より均一なエレクトロルミネッセンスディスプレイ
バックライトは、基板の透明前面層(11)と前記透明前面層(11)の背面に形成され、バックライトの前面電極となる透明導電性フィルム(12)と、前記透明導電性フィルム(12)を覆うエレクトロルミネッセンス/蛍光体材料(13)の層と、前記エレクトロルミネッセンス/蛍光体材料(13)の層の背面を覆う高誘電体層(16)と、前記高誘電体層(16)の背面に形成された、裏面電極となる導電性フィルム(17)とによって構成される。これらは全て、ディスプレイが表示するキャラクタを定めるマスク(18)の背後に配置される。蛍光体およびこれを取り囲む絶縁体材料のいずれか一方(またはこれらの両方)の色/反射性を、他方の色/反射性に適合するように変更、または見かけ上変更し、これにより前記蛍光体と絶縁体材料とを互いに調和させ、これらをより識別しにくくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイに関するものであり、より詳しくは、このようなディスプレイの均一性および視認性の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある種の材料は、電界発光性、すなわち、電界を発生させると光を発して輝く性質を有する。最初に知られたエレクトロルミネッセンス材料は、硫化亜鉛等の無機粒状物質であったが、それよりも最近発見されたエレクトロルミネッセンス材料には、有機LED(OLED)として知られる多数の小分子有機発光体や、発光ポリマー(LEP)として知られる数種のプラスチック(合成有機重合物質)等が含まれる。無機粒状体は、特に、バインダーに混合され、比較的厚い層として基板表面に塗布される場合には、ドープされてカプセル封入された形態で依然として使用されている。一方、LEPは、バインダーマトリックス中の粒状材料として使用することもできるし、あるいは、そのまま比較的薄い連続したフィルムとして使用することもでき、後者にはいくつかの利点がある。
【0003】
この電界発光効果はディスプレイの構成に利用されており、大面積のエレクトロルミネッセンス材料(この文脈では、一般的に蛍光体と称される)を設け、ディスプレイが表示するキャラクタを定めるマスクを通して視認されるバックライトを形成する。
【0004】
このようなバックライトは、一般的には、その前面(視認側)から背面にかけて、
基板として知られる、通常、ガラスまたはポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックからなる電気絶縁性の比較的厚い透明保護前面層と、
前記基板の背面全体を覆うように形成された、インジウム錫酸化物(ITO)等の材料からなる非常に薄い透明導電性フィルムであり、前記バックライトの一方の電極(前面電極)を形成するフィルムと、
前記前面電極の背面を覆う、エレクトロルミネッセンス/蛍光体材料(通常は、バインダーマトリックスに含まれる粒状蛍光体)からなる比較的薄い層と、
前記蛍光体層の背面に形成された、50前後の比較的高い誘電率(比誘電率)を有する材料(通常はセラミック)からなる比較的薄い電気絶縁層と、
前記電気絶縁層の背面全体を覆うように形成された、通常は不透明(かつ、炭素または銀で形成されることが典型的)な連続した導電性フィルムであり、前記バックライトの他方の電極(裏面電極)を形成するフィルムとによって構成されている。
【0005】
さらに、非常に壊れやすい裏面電極層は、ディスプレイの背後に取り付けられることが考えられる何らかの装置の構成部品(例えば、電子回路)との接触による損傷を防止するため、保護フィルム(通常は、別個の、同様のセラミック層)によって被覆されている。
【0006】
前記各種層はそれぞれ、しかるべき位置に簡便にスクリーン印刷される(ただし、通常、スパッタリングによって前記基板上に形成される前記ITO前面電極は除く)。スクリーン印刷は、好適なペーストを用い、前記層の成分の形状、大きさ、および位置を定めるマスクを通して行い、前記ペーストを、次の層の塗布前に、一般的には熱または紫外光によって適宜乾燥、凝固、または硬化させるという通常の方法で行われる。エレクトロルミネッセンスディスプレイに関する文脈において、「比較的厚い」および「比較的薄い」という表現は、30〜300μmの範囲、一般的には100μm前後の厚みと、50μm未満、最も一般的には25μm以下の厚みとをそれぞれ意味するものである。
【0007】
ディスプレイにおいては、このようなバックライトは、ディスプレイが表示するキャラクタを定めるマスクの後ろに配置されている。残念ながら、真に効率的で読みやすいディスプレイを形成するためには、見る人の目が伝えようとする情報からそらされることがないように、ディスプレイの背景の均一性を十分に制御しなければならない。現在に至っても、このような制御はエレクトロルミネッセンスディスプレイに関しては十分に達成されていない。
【0008】
先に示したように、エレクトロルミネッセンスディスプレイのほとんどが、電界発光原理の均一な照明特性をバックライトとして利用しており、特定の開口を通して光が放たれるようにする切り欠きオーバーレイを使用することによって、グラフィックキャラクタの形成を可能にしている。粒状蛍光体を用いてこのような方法で形成されたキャラクタは、不鮮明になりがちである。さらに、このようなディスプレイは、バックライトが「オン」の時には全てのキャラクタが照明され、「オフ」の時にはいずれのキャラクタも照明されない「全か無か」型のディスプレイである。
【0009】
しかしながら、マスキングオーバーレイを備えたバックライトの通常の構造を「反転させる」ことによって、個別にアクティブ化可能なキャラクタを備えた、よりクリアでより輪郭がはっきりとしたディスプレイを構成できることがわかった。より具体的には、連続した電極の代わりに、個別に適切に成形された電極の配列が蛍光体層の少なくとも片側(特に背面)に設けられていれば、前記マスクを完全に省くことができることがわかった。これは、前記蛍光体が、その性質上、所望の不連続形状の形態(例えば、アイコン、英数字、またはその配置によって再構成可能な情報を提供する個別に切換可能なセグメントのパターン)でアクティブ化可能となり、よって、所望の鮮明度を有するディスプレイを構成できるためである。
【0010】
このように形成されたディスプレイは、マスクを利用した従来のディスプレイと比べて実際にかなり有利であったが、依然として多数の欠点があった。このような欠点の一つは、連続した電極の代わりに個別に適切に成形された裏面電極を使用することが直接の原因となっている。ディスプレイの端から端へと有効に延びる連続した裏面電極の場合、励起電圧(activating voltage)は、リードによって、ディスプレイの最端部にあり、容易に視界から隠すことが可能な接点へと供給することができるが、個別の裏面電極の場合、これらの電極が形成された誘電体層上に導電性トラックとして形成されるリードが必要であり、これらトラックリードのうちのいくつかは、必然的にディスプレイの主な領域を横切ってしまう。また、各トラックリードは、極めて細いものであるとはいえ、それ自体が電極として機能するので、蛍光体は、個別に成形された電極のそれぞれによってのみならず、前記電極のリードによっても励起され、微弱ではあるが、注意をそらす(distracting)(さらに、紛らわしくもなりかねない)余計な照明源となり、これにより、ディスプレイの各アイコンまたはキャラクタは後尾(tail)を有しているかのように見える。
【0011】
この問題に対処するため、様々な試みがなされてきた。これまででより高い成果をあげている試みの一つは、通常行われるように裏面電極を備えた誘電体層上にリードトラックを直接形成する代わりに、前記トラックと前記電極を備えた誘電体層との間にさらなる絶縁層を配置することによって前記トラックをエレクトロルミネッセンス材料層から離間させ、前記トラックによって生じる電界を低減し、これにより、その下にある蛍光体の不要な励起や照明効果を最小限に抑えることである。しかしながら、各トラックリードは依然として電極として機能し、よって、依然として微弱な(この場合、ずっと微弱ではあるが)照明源となり、ディスプレイの各アイコンまたはキャラクタは、依然として後尾を有しているかのように見える。
【0012】
このトラックによって生じる後尾の問題については、同時係属中の英国特許出願第0318598.0号(特許文献1)の発明によって対処しようとしている。この出願においては、エレクトロルミネッセンス材料自体を、関連する個別に成形された裏面電極に形状および大きさが高度に適合する不連続な領域となるように形成することを提案している。この方法は効果的であるが、残念なことに、副次的な影響が伴う。成形領域からなる裏面電極と、これに対応する成形領域からなる蛍光体層とを用いて形成されるディスプレイは鮮明で輪郭がはっきりとしており、かつ、画像決定マスクを設ける必要性が排除されるが、このように形成されたディスプレイには多数の欠点が伴うことが考えられ、このような欠点の一つは、他でもない前記マスクの「除去」とこれに伴うエレクトロルミネッセンス材料の成形に起因する。この問題とは、エレクトロルミネッセンス材料(蛍光体)が励起されず、光を発しなかったとしても、エレクトロルミネッセンス材料そのものが、反射光(近隣からディスプレイへと入射し、前記ディスプレイの各種構成部品で反射されて戻ってくる光)により、微かであるとはいえ、視認され得るということである。この問題は、前記ディスプレイの蛍光体の成形体を「取り囲む」材料、すなわち、絶縁層(通常は、セラミック)の色および反射性が、前記蛍光体層の色および反射性とは異なり、アクティブ化されていない状態においても、前記蛍光体の成形体の視認性が強調されるという事実によって、より深刻なものとなっている。
【特許文献1】英国特許出願第0318598.0号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これに対し、本発明は、前記蛍光体およびこれを取り囲む絶縁体材料のいずれか一方(または、実際にこれらの両方)の色/反射性を、他方の色/反射性に「適合する」ように変更(または、見かけ上変更)し、これにより前記蛍光体と前記絶縁体材料とを互いに調和させ、これらをより識別しにくくするという単純な解決方法を提案している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、一態様において、本発明は、エレクトロルミネッセンス材料の層が、二つの電極層の間に、前記二つの電極層から離間された状態で挟まれており、さらに、前記エレクトロルミネッセンス材料層が、前記ディスプレイの関連箇所に表示される画像に形状および大きさが適合する複数の別個の領域で構成され、前記各別個の領域は絶縁材料の層に取り囲まれているタイプのエレクトロルミネッセンスディスプレイであって、前記エレクトロルミネッセンス材料およびこれを取り囲む前記絶縁体材料の一方および/または他方の色/反射性を、他方の色/反射性に適合するように変更(または、見かけ上変更)していることを特徴とするエレクトロルミネッセンスディスプレイを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、ある種の装置に使用されるエレクトロルミネッセンスディスプレイを提供する。この装置は、いかなる形状および形態であってもよく、また、いかなる用途に使用されるものであってもよい。このような装置の典型例として、ラジオ、オーディオカセットテープデッキ、CDプレーヤー、テレビ、DVDプレーヤー、またはビデオレコーダー用の手で保持できるコントローラ(リモコン)が挙げられる。このような使用のため、前記装置は、通常、用途に適した複数の個別の表示要素が配置された、おそらく13×5cm(5×2インチ)の長方形のパネルを備えている。よって、例えば、テープデッキに関しては、前記表示要素は、「再生」、「早送り」、「巻き戻し」、「録音」、および「停止」(その他の可能性もあるが、特にこれらを挙げた)を表すアイコン(または単語、もしくは単語を構成する個々の文字)であってもよい。
【0016】
本発明のディスプレイは、エレクトロルミネッセンスディスプレイである。すなわち、本発明のディスプレイは、電界発光を用いてそのいくつかの部分を点灯させるディスプレイである。より具体的には、本発明のディスプレイは、エレクトロルミネッセンス材料の連続したシートまたはフィルムではなく、粒状のエレクトロルミネッセンス材料(粒状の蛍光体)の層を利用するディスプレイである。粒状の蛍光体としては、粒子の形態の発光プラスチック(LEP)を使用することができるが、最も好ましいのは無機材料である。典型的な無機粒状蛍光体は、硫化亜鉛であり、特に、カプセル封入粒子(encapsulated particles)の形態の硫化亜鉛である(カプセル封入により、安定性および寿命が実質的に向上される)。このような硫化亜鉛として特に便利なものの例として、7151jグリーンブルー(7151j Green Blue)の商品名でデュポン(Dupont)社より市販されている熱硬化性材料であって、膜厚25μm前後の層であるものが挙げられる。このような硫化亜鉛の他の例として、同じくデュポン社製の8164ハイブライトグリーン(8164 High Bright Green)が挙げられる。
【0017】
当業界で公知の多くのエレクトロルミネッセンスディスプレイとは異なり、本発明のディスプレイは、マスクが定める表示キャラクタまたはアイコンの「バックライト」を形成する、均一にアクティブ化可能な単一の大面積エレクトロルミネッセンス材料の代わりに、表示キャラクタまたはアイコンの全体または一部分を表す別々にアクティブ化可能な個別の領域を備えている。その結果、本発明のディスプレイは、従来のバックパネル型のディスプレイに比べて、はるかに鮮明で、輪郭がはっきりとし、「明瞭(cleaner)」となる。
【0018】
このディスプレイにおいては、各キャラクタまたはアイコンは、それ自体が単独で全体を完全に表すことができ、個々の数字または文字(アルファベットの文字)、あるいは何らかの所望の効果(「再生」を意味するものとして一般的に採用されている単一の右向きの山形、または「早送り」を意味する同様の山形を二つ重ねたもの等)を表すアイコン(またはシンボル、ピクトグラム、カルトゥーシュもしくはグリフ)を表すことができる。しかしながら、これに加えて、あるいはこれに代わるものとして、前記個別の領域は、それ自体が何らかの意味またはメッセージを有するより大きな領域を構成する小部分を形成することができる。よって、前記個別の小領域を、関連するキャラクタ決定セグメント同士のまとまりへとグループ化することができ、各グループは、適切なセグメントのアクティブ化により、表示するキャラクタを決定できる。典型的なグループの例として、近代的な電気および電子ディスプレイにおいて一般的に採用されている標準的な7セグメントグループが挙げられる。7セグメントグループにおいては、オンに切り換えるセグメントを適切に選択することによって、前記グループにアラビア数字またはローマ字を表示させることができる(これ以外のナンバリング方式またはアルファベット方式では、より多数のセグメントを有するグループが必要となる場合がある)。もちろん、前記グループ自体を配列に配置することが可能であり、前記配列の各部分を操作することにより、例えば、完結したテキストメッセージを表示してもよい。
【0019】
各アクティブ化可能領域は、蛍光体の薄い(25μm前後)層を備えており、前記蛍光体層は、いずれかの側(前記層の各隣接面)に、前記層に電圧を供給して前記層を電界発光状態へと切り換えるために用いられる(前面また背面)電極を備えている。
【0020】
本発明のディスプレイを構成する材料の各種層は、通常のスクリーン印刷法により、この目的において一般に知られている各種技術およびペースト状材料を用いて形成することができ、これに関してはここでこれ以上説明する必要はない。
【0021】
上述の構成に加え、前記基板に外側保護フィルムを被せてもよく、また、前記保護フィルムに対しては、適切な場合、着色を施すことや、あるいは何らかの銘(legends)を付与することができる。
【0022】
前記エレクトロルミネッセンスディスプレイ、前記エレクトロルミネッセンスディスプレイの材料および形成方法、ならびに前記エレクトロルミネッセンスディスプレイが組み込まれる装置は、先に述べた通りであってもよく、これらについてはここでこれ以上言及する必要はない。
【0023】
この改良されたディスプレイにおいては、前記エレクトロルミネッセンス材料(前記蛍光体)およびこれを取り囲む誘電材料(前記セラミック/絶縁体)のいずれか一方の色/反射性を、他方の色/反射性に適合するように変更(または、見かけ上変更)している。これは、多数の異なる方法によって可能である。
【0024】
第1に、前記絶縁体材料の色/反射性を、前記蛍光体の色/反射性に適合するように変更することが可能である。したがって、使用する絶縁体材料を好適な着色材料(インクまたは染料)と混合し、前記蛍光体の「オフ」(アクティブ化されていない)状態に適合する色とすることができ、これにより、このように着色した絶縁体材料を前記蛍光体が存在しない箇所、すなわち、前記蛍光体の周囲に配置すると、透明電極を通してこの組み合わせを見た場合に、連続した層であるかのような印象が得られる。
【0025】
一般的に採用されている蛍光体(例えば、上述した特定の硫化亜鉛)は、硬化されているが「オフ」状態にある場合には、オフホワイトまたはクリーム色となる傾向があり、一方、前記蛍光体を取り囲むセラミック様絶縁体材料(先に述べたような材料)は、硬化された状態において、白であるが、(少なくとも、ITOコーティング基板を通して見た場合には)ベージュに見えるという傾向がある。このような絶縁体の色は、ダイロン(Dylon)社の「マルチパーパス(Multipurpose)」シリーズから選択される適切な溶媒系染料を前記絶縁体に適量混合することによって、前記蛍光体の色により近くなるように変更することが可能である。上述のものと同一の特定の蛍光体および絶縁体に関しては、前記蛍光体の色を、前記蛍光体にダイロン社製の「レインディアベージュ(reindeer beige)」を適量混合することによって、前記絶縁体の色により近くなるように変更することが可能である。
【0026】
第2に、事実上、これと全く逆のことを行うことが可能である。すなわち、前記蛍光体材料の色/反射性を、前記絶縁体の色/反射性に適合するように変更することが可能である。したがって、使用する蛍光体材料を好適な着色材料(インクまたは染料)と混合し、前記絶縁体材料に適合する色とすることができ、これにより、前記絶縁体材料を前記蛍光体が存在しない箇所、すなわち、前記蛍光体の周囲に配置すると、透明電極を通してこの組み合わせを見た場合に、やはり連続した層であるかのような印象が得られる。
【0027】
上述のものと同一の特定の蛍光体および絶縁体に関しては、前記蛍光体の色を、前記蛍光体に適切なインク(この場合は、セリコール(Sericol)社製のカラースターCS CS021(Colorstar CS CS021)等の白)を適量混合することによって、前記絶縁体の色により近くなるように変更することが可能である。
【0028】
第3に、前記蛍光体材料と前記絶縁材料のそれぞれの色/反射性を、互いにより厳密に適合するように変更することが可能である。したがって、使用する蛍光体材料を1種類の好適な色の材料と混合し、前記絶縁材料もまた好適な色(異なる色であってもよいが、強さの異なる同一の色である最も適切である)の材料と混合することができ、これにより、前記絶縁体材料を前記蛍光体が存在しない箇所、すなわち、前記蛍光体の周囲(および、実際には、前記蛍光体の背面)に配置すると、透明電極を通してこの組み合わせを見た場合に、やはり連続した層であるかのような印象が得られる。
【0029】
言うまでもなく、(いずれの構成部材に関しても)選択した染料(またはその他の着色材料)およびその使用量が、構成部材の所要の特性(具体的には、前記絶縁材料の誘電率や前記蛍光体の発光能力)に悪影響を及ぼすことがないよう注意を払う必要がある。
【0030】
蛍光体および絶縁体の色/反射性の所望の適合を達成するために採用し得る第4の方法は、基板と絶縁体層との間に適切に着色した材料からなる層をさらに形成し、前記絶縁体層を効果的に視界から隠すことである。これにより、透明電極を通してこの組み合わせを見た場合に、やはり連続した層であるかのような印象が得られる。
【0031】
上述のものと同一の特定の蛍光体に関しては、所要の前記絶縁体遮蔽層は、セリコール社製のカラースターCS CS021(適合する白色である)等のインクを用いて形成することができる。
【0032】
「オフ」状態の蛍光体と絶縁体/誘電材料との間の色/反射性の不適合に関して所望の低減を達成するための第5の方法(先に述べた方法とはかなり異なる)は、近隣からディスプレイに入射した外光がディスプレイを透過し反射される挙動を適切に変更するため、適切に着色された透明材料からなる前面フィルター/吸収層(オーバーレイ)をディスプレイに設けることである。このフィルター層は、それを使用することによって、前記エレクトロルミネッセンス/蛍光体材料およびこれを取り囲む絶縁体材料のいずれか一方の色/反射性を、他方の色/反射性に適合するように見かけ上変更するものであり、前記基板自体の一部とすることもできるし、あるいは、前記基板上(外側に位置する前面に形成するのが簡便である)に形成されたさらに別の層とすることもでき、後者のほうが好ましい。
【0033】
着色したフィルター層の使用は、前記蛍光体および/または絶縁層の着色に加えて適用してもよい。実際のところ、着色した蛍光体と着色したフィルターとをこのように組み合わせることは好ましい選択であり(実際に使用される色および強さは、一方を他方に慎重に適合させる)、さらに、以下に詳述するように、着色した絶縁体も併せて使用することが最も好ましい。
【0034】
前記フィルター層は、前記ディスプレイに入射した外光が数個の界面(典型的には、周囲空気・フィルター、フィルター・基板、基板・蛍光体、および基板・絶縁体の界面)で反射されて戻される挙動を適切に変更する。この特定の例においては、前記ディスプレイの最前面(前記フィルターの前面)で反射される光が、「内部」のいずれの界面で反射される光よりもはるかに大きく、かつ、基板・蛍光体の界面で反射される光の色および色相が、基板・絶縁体の界面で反射される光の色および色相に適合することが要求される。そして、前記ディスプレイ(前記蛍光体)が「オン」状態(アクティブ)である場合、前記蛍光体からの出力を、いずれの反射光(特に、最前面の前記フィルターでの反射光)よりも著しく大きくする必要がある。
【0035】
前記フィルターは、表示される個別の各種画像と位置合わせされた箇所のみに位置する(あるいは位置しない)ように配置することができるが、このような構成の代わりに、前記ディスプレイの表面全体を覆うように配置することもでき、この配置のほうがおそらく有利である。
【0036】
このようなフィルターを使用した場合、前記蛍光体から発せられた光は前記フィルターを1回通過するのに対し、近隣由来の反射光は前記フィルターを2回通過しなければならず、結果として生じる蛍光体パターンの視認性は、「オフ」状態にある場合、前記フィルターの吸光率の分だけ低減することがわかるだろう。もちろん、前記ディスプレイの全体輝度(overall brightness)も低減するが、「オン」状態での発光と「オフ」状態での各種反射レベルとの比率は高まる。
【0037】
前記蛍光体から発せられた光の色/色相が、前記ディスプレイの最前(前記フィルター)の面の反射光の色/色相と同一にはならないように、前記フィルターの反射率スペクトルの波長が、前記フィルターの透過率スペクトルと比べてずれていれば、この効果をさらに活用することができる。これによって光の強度が向上することはないものの、クロミナンスコントラストによって視認性は向上する。
【0038】
所望の効果をもたらす上で好適なこのようなフィルターの材料の色は、575/T134402の名称でウルトラマーク(Ultramark)社が提供している濃い青色が挙げられる。
【0039】
先に示したように、3つの構成部材(前記蛍光体、前記絶縁層、および前記フィルター)全てを着色することが特に好ましい。3色全てが、強さの違いを除いてほとんど同一(例えば、青色の濃淡、または、灰色の濃淡)であることが最も簡便であり、構成部材が本質的に備えている反射性が高いほど、これらの色をより濃く(より強く)することが好ましい。例えば、先に具体的に示した材料を用いた場合、前記蛍光体は、前記絶縁層よりも白く、かつ反射性が高いため、より濃く着色する必要がある場合がある。しかしながら、これらの層は非常に薄いため、前記蛍光体と前記絶縁層の両方がほとんど同じように着色され、前者(後者はこの上に形成される)を後者が背後にある状態で見た場合には、前者がより濃く見える可能性が高い。この場合、前記着色した蛍光体と絶縁層とは、これらを直接見た場合にこれらの境界がなくなる程度に調和するという意味合いではなく、適用されるフィルター層を通して見た場合に、所望の調和が得られるように適合して見えるという意味合いにおいて互いに「適合」する。
【0040】
数学的には、観察される効果は、概して以下の式によって表わすことができる。
【0041】
「オフ」状態においては、以下の関数が適用される。
a)誘電体
RJ[R1,G1,B1](×)TJ[R2,G2,B2]≧I0J[R3,G3,B3]
b)染色された蛍光体
RJ[R4,G4,B4](×)TJ[R2,G2,B2]≧I0J[R5,G5,B5]
これにより、目は、「オフ」状態のクラッターをほとんどまたは全く知覚しない。一般に、入射光の色相は、I0の大きさを変化させるだけなので、無関係である。
【0042】
「オン」状態においては、
a)誘電体
RJ[R1,G1,B1](×)TJ[R2,G2,B2]≧I0J[R3,G3,B3]
b)染色された蛍光体
I1J[R6,G6,B6](×)TJ[R2,G2,B2]≧I3J[R7,G7,B7]であり、式中、I3≫I0であり、R2,R7は小さく、G7B7>B3である。
【0043】
「オフ」状態の蛍光体と絶縁体/誘電材料との間の色/反射性の不適合に関して所望の低減を達成するための上述の第5の方法は、先に述べたように、近隣からディスプレイに入射した外光がディスプレイを透過し反射される挙動を適切に変更するため、適切に着色された透明材料からなる前面フィルター/吸収層(オーバーレイ)をディスプレイに設けることである。この構成については、これまでほぼ同一の色(具体的には青色)を有する3つの構成部材全てを使用する例を用いて具体的に説明してきた。しかしながら、おそらくは驚くべきことに、これと関連はしているが別の方法により、同様の効果を得ることが可能である。この別の方法とは、前記ディスプレイの点灯可能領域が「オン」になった際に前記点灯可能領域から発せられる光(ほとんどの好ましいエレクトロルミネッセンス材料に関しては、このような光は明るい緑から白である)に適合するような透明な色を前記前面フィルターに付与し、それから前記蛍光体および前記絶縁/誘電材料をこのフィルターの透過色の補色となるように着色することである。
【0044】
その結果、前記各領域が「オフ」状態にある場合には、前記ディスプレイ(各領域およびそれを取り囲む誘電体)で反射される光は、前記フィルターの透過特性とは適合せず、よって吸収される。これにより、前記ディスプレイは均一に非常に濃い色に見え、黒に見えることさえあり、前記個別の蛍光体の領域を区別することは不可能である。もちろん、「オン」状態においては、発せられた光は前記フィルターの透過率に適合し、よって、明るくハイコントラストなディスプレイが提供される。
【0045】
数学的には、観察される効果は、概して以下の式によって表わすことができる。
【0046】
「オフ」状態においては、以下の関数が適用される。
a)誘電体
RJ[R1,G1,B1](×)TJ[R2,G2,B2]≧I0J[R3,G3,B3]
b)染料された蛍光体
RJ[R4,G4,B4](×)TJ[R2,G2,B2]≧I0J[R5,G5,B5]
青色発光蛍光体および青色フィルターに関しては、式中、B1−B4≪R1,R4,G1,G4であり、I0は、一般的な周辺光の強度よりもずっと小さい。
【0047】
「オン」状態においては、
b)染料された蛍光体
I1J[R5,G5,B5](×)TJ[R2,G2,B2]≧I2J[R6,G6,B6]であり、式中、I2は、I1にほぼ等しく、かつ≫I0であり、さらに、B6≫R6,G6である。
【0048】
エレクトロルミネッセンスディスプレイの視認性は、オンにされた(「点灯された」)前記ディスプレイの領域と、オンにされていない領域との間のコントラストに依存する。このコントラストは、前記点灯領域がこれを取り囲む領域よりも明るく(「輝度コントラスト」)、かつ、往々にして色も異なる(「クロミナンスコントラスト」)ことによって生じるものである。前記点灯領域の輝度および色は、使用される特定のエレクトロルミネッセンス材料とその励起の程度による作用である。前記非点灯領域の輝度および色は、これら領域の表面で反射される光に依存するものであり、言い換えれば、周辺光のレベルと前記ディスプレイの構成に用いられる材料(フィルターおよび反射防止コーティングが含まれる場合がある)による作用である。
【0049】
これに代わる構成として、本発明はさらに、着色したフィルターを使用する代わりに、これとは全く逆のフィルターであるNDフィルター(neutral-density filter)(すなわち、外見は「灰色」であって、あらゆる色を均一に除去するフィルター)を使用することを提案している。これに加え、鏡面反射前面(外側の面)を備えた「フィルター」層もさらに提案されている(典型的には、このような層は、マジックミラー(one-way mirror)のように片面のみ銀被覆されており(semi-silvered)であり、片側(外側)は反射率が高いが、反対側(内側)は著しく透過率が高くなっている)。
【0050】
このようなNDフィルターまたは鏡面反射フィルターを使用した場合、前記透明前面電極(前記ITO層)の代わりに、若干透明な薄い金属電極を用いることができる。発せられた光に対する前記電極の減衰は、従来と同一の範囲内であると思われる(すなわち、約3〜20dB)。高容量においては、このような構成は、これに代わる方法と比べてより安価であり、同一の性能を得ることができる。
【0051】
ディスプレイ関連においてNDフィルターを使用することは、それだけでも発明と見なされると考えられる。したがって、本発明のさらなる態様においては、点灯領域と非点灯領域との間に明確なコントラストが必要とされる発光型ディスプレイであって、実質的なNDフィルターか外側を向いた鏡面反射面のいずれか一方、または両方を形成する透過型オーバーレイを備えた発光型ディスプレイを提供する。
【0052】
前記発光型ディスプレイは、どのようなタイプのものであってもよい。例えば、前記発光型ディスプレイは、発光ダイオード(LED)ディスプレイまたはバックライト付き液晶ディスプレイ(LCD)であってもよいし、あるいは、コンピュータの画面に使用される薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイであってもよい。しかしながら、本発明は、発光のためにエレクトロルミネッセンス材料を使用したディスプレイへの適用が特に有用である。
【0053】
エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイは、その柔軟性と薄型性が高く評価されている。このような性質は、ELディスプレイがいかなる形状にも切断可能であり、屈曲した状態で動作可能であり、あるいはボタンマット上に配置することもできる(前記ディスプレイの屈曲に伴ってボタンが前記ディスプレイに押されると動作する)ことを意味している。
【0054】
表示内容を明らかにする(そして、ユーザーがそれを見る)必要が生じるまでそれを隠しておくことが所望されており、そのため、あるセグメントがオンに切り替えられて目視可能となるまで、前記ディスプレイは均一に何も表示しない状態とされる。ELディスプレイに固有の特徴として、オンに切り替えられたセグメントから発せられた光は、観測者に関する限り、前記ディスプレイの表面から直接向かってくることが挙げられる。しかしながら、先に述べたように、既存のELディスプレイの多くは、セグメントへの接続トラックやその他の構造体等、前記ディスプレイの細部の多くが目視可能であるという点で理想的なものとは言えない。前記ディスプレイは面発光型であり、前記ディスプレイの薄型性のため、観測者はこれら「オフ」状態の素子(アクティブ化されていないもの、またはアクティブ化しないもの)を視認してしまう傾向があり、これにより、「オン」状態(アクティブ)のセグメントの視認性が低減されてしまう。
【0055】
「オン」セグメントをより明らかにするため、これらセグメントの輝度を高めるか、あるいは、前記ディスプレイを薄暗い環境で作動させることが従来行われてきた。しかしながら、後者の選択肢は、明るい昼光の環境化で使用されることが考えられる製品の表面に直接搭載されるディスプレイには多くの用途があるため、ELディスプレイに著しい制限を加えることになる。ディスプレイの発光輝度(emitted brightness)を高めることは可能であるが、これには、ディスプレイの寿命が著しく短縮される(さらに、ディスプレイの駆動に用いられる電池電源が消耗する)場合があるという深刻な不利点が伴い、いずれにしても、光強度が強い環境下でディスプレイを使用する場合には役に立たない(このような環境下では、前記ディスプレイは、本質的に、周辺の太陽光を凌駕しようとしているに等しい)。許容可能な信頼性と寿命をもってこれを達成することは、ほとんどの発光技術(emissive technologies)において不可能である。
【0056】
本発明のこの態様(NDフィルターおよび/または外側を向いた鏡面反射面を形成する透過型オーバーレイを使用する態様)によれば、接続トラックやディスプレイの内部構造の視認性が抑制されると共に、ディスプレイの「オフ」要素から得られる背景拡散周辺光に比べて前記ディスプレイの「オン」セグメントの視認性が向上する。この効果は、当初は実際にはディスプレイの輝度を下げてしまうと思われていたどちらかというと奇抜な発想によってもたらされたものであるが、実際にこれが有効であったのは、以下に挙げる理由によるものと考えられる。
【0057】
NDフィルターを使用した場合、ディスプレイの内部構成(アクティブ化不可能な要素またはアクティブ化可能であるが「オフ」である要素)の抑制は、このような要素によって反射される光の強度を、「オン」セグメントによって発せられる光の強度よりも低くすることによって達成される。前記発光要素によって発せられた光は、ディスプレイ上に配置された薄く、吸収性の高いニュートラルな層を1回だけ通過し、よって1回だけ減衰される。しかしながら、前記ディスプレイの構成要素および「オフ」セグメント(いずれも、周辺光のみを反射する)から発せられる光は、前記吸収層を2回通過する。よって、前記「オン」要素から発せられた光が若干低減されたとしても、これら2種類の光の間のコントラストは強められる。
【0058】
前記「オン」要素の視認性は、前記オーバーレイの吸収率の増加に伴い、前記ディスプレイの残りの領域全てに比べて向上する。このことにより、高い視認性を達成するためには、環境が明るくなればれるほど、前記層の吸収性を高くすべきであるという、直感的に考えれば逆であるかのように思われる奇抜な見解を得るに至った。このオーバーレイが発揮できる吸収性の限界は、「オン」セグメントによって発せられた光が、ディスプレイの使用環境における一般的な背景照明を下回り、よって観測者がこれを区別することができなくなった時点によって決定される。
【0059】
前記ディスプレイは、実質的なNDフィルターを利用している。厳密には、そして理論的には、真のNDフィルターとは、あらゆる光の周波数を等しく除去する(吸収する)フィルターである。しかしながら、実用上は、このように完全な中立性は容易には達成できないか、もしくは達成不可能である。NDフィルターとして一般に認められているほとんどのフィルターにおいて、可視スペクトルの範囲内において、最も高い吸収率と最も低い吸収率との間に差(20%に達する場合もある)が認められる。よって、本発明の目的に関しては、「ND(neutral-density)」という用語は、このような周波数依存の場合も含むものとするが、言うまでもなく、このような差はなるべく小さいことが好ましい。
【0060】
NDフィルターは、吸収する光の量の減少に伴い、その外見が、黒からチャコールグレーを経て極めて薄い灰色へと変化する。本発明に関しては、実際の環境において、本発明で使用されるNDフィルターの吸収効果は、簡便に75%〜85%の範囲としてもよく、最も好ましくは80%前後である(発せられた光の強度が当初の強度の20%まで低減し、さらにこの光の反射光の強度もまた20%まで低減し、その強度が周辺光レベルの4%となるようにするため)。このような吸収を達成すると共に、適度な柔軟性と薄型性を示す材料の典型的な例として、CPフィルム(CP Films)社のAT15GR HPR(AT15GR HPR)およびベカルト(Bekaert)社のブラックタイプNRチャコール17(Black type NR Charcoal 17)が挙げられる。
【0061】
鏡面反射層は、これとは異なる方法で作用する。「オン」セグメントの視認性を低減する別の要因は、ディスプレイの上面(外側の面)で反射される光である。これは、面発光型ディスプレイに関しては深刻な問題である。なぜなら、ディスプレイ内において「オン」セグメントから発せられた光は、前記ディスプレイ前面での反射光が発せられる面と同一の(あるいは、ほとんど同一の)面から発せられるからである。これに対し、その他のタイプのディスプレイにおいては、これらのディスプレイには奥行きがあり(「オン」部分が、明らかにディスプレイの前面よりかなり「下方」にある)、眼と脳の組み合わせはセグメントから発せられた光の面に集中しており、ディスプレイの前面で反射される光は無視する(写真撮影において使用される「プリング・フォーカス(pulling focus)」と似た技術)ことから、この問題は回避される。面反射効果を回避するためのさらに別の技術としては、高価で、かつ往々にして壊れやすい反射防止コーティングを使用することが挙げられる。しかしながら、上述の技術(「奥行きのある(deep)」発光要素、および反射防止コーティング)はいずれも、通常、低コストでかつフレキシブルであることが求められる面発光型のELディスプレイには適していない。本発明のこの態様は、光沢仕上げを用いて表面層の反射性を実際に高めるという驚くべき工程を用いている。
【0062】
鏡面反射面を備えたオーバーレイの使用は、光を拡散させることなく特定の方向に向けることによって効果を得るものである。したがって、眼は、前記ディスプレイ表面に「オン」セグメントの像を得ることができる。これは、その他の鏡面反射光は全て焦点が合わず、よって、ディスプレイの「オン」セグメントの視認性に対して極めてわずかな影響しかおよぼさないことを意味している。
【0063】
鏡面反射される光の光源が、太陽等のように、焦点が合っていない場合においても非常に明るい場合、ディスプレイをわずかに傾け、前記明るい物体をユーザーのもと以外のどこかに鏡面反射させるだけで、「オン」セグメントをユーザーに目視可能とすることができる。
【0064】
この発明は、ディスプレイの前面に非常に滑らかな(「光沢」)仕上げを施しさえすれば実施でき、先に述べた2種類のNDフィルター材料は、実際に光沢の強い、つやのある表面を有しており、所要の鏡面反射効果をもたらす。しかしながら、極端かつ好ましい一例においては、さらに別のコーティングを外面に設け、「銀被覆(silvered)」または「クロム被覆(chromed)」効果を示すメタリック仕上げ等、より効果の高い反射材料とする。
【0065】
ディスプレイをユーザーに対して垂直な方向に見た場合、ユーザーの顔で反射されて前記ディスプレイに衝突する光のみが、反射により真直ぐにユーザーの元に戻ってくる。この反射光は、通常、周辺光に比べて強度がずっと低いが、さらに、ユーザーが前記ディスプレイの前にいるのに対し明らかに前記ディスプレイのかなり背後にあり、焦点も合っていない。よって、ディスプレイの視認性に対し極めてわずかな影響しかおよぼさない。
【0066】
反射面は、反射する光の量がそれぞれ異なる。実際の環境においては、本発明で使用される鏡面反射オーバーレイの反射効果は、簡便に75%〜85%の範囲内としてもよく、最も好ましくは80%前後である。このような反射を達成すると共に、適度な柔軟性と薄型性を示す材料の典型的な例として、CPフィルム社のRS20SR HPR(RS20SR HPR)(スパッタリングによるメタリック仕上げに、光沢と傷防止効果を付与したアンチグレア保護オーバーレイを加えたプラスチックシートである)が挙げられる。
【0067】
この種の鏡面反射材料の別の例として、多層「放射」カラーフィルム(multilayer "radiant" colour film)を形成するものが挙げられる。このようなフィルムの使用は、本発明に基づくものである。前記鏡面仕上げに加え、このような材料(多層構造を有し、複数の層を通過し、各層の境界で少なくとも部分的に反射され、それ自身に干渉して、ある種の色のみを打ち消す光によって生成される干渉縞によって色が生じる)は、視角の変更に伴って透過率および色が変化する。このようにして、ユーザーが前記ディスプレイをわずかに傾けてユーザーの背後の明るい物体をユーザーのもと以外のどこかに鏡面反射させると、前記ディスプレイの色が変わり、前記ディスプレイの点灯領域と非点灯領域との間のコントラストが増加する。これにより、周辺光の輝度が高い条件下における前記ディスプレイの視認性が著しく向上する。さらに、前記材料はまっすぐに見た場合に透過性が高いため、周辺光の輝度が低い条件下においても、表示ははっきりと目視可能である。よって、全体輝度の低減が可能であり、寿命が延長され、これにより性能が向上される。
【0068】
このような多層「放射」色材料の典型的な例として、3M(ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング(Minnesota Mining and Manufacturing))社より市販されている透明3M ラジアント カラーフィルム(3M RADIANT Colour Film)または3M ラジアント ミラー フィルム(3M RADIANT Mirror Film)(タイプ:3MCM500、3MCM590[3M ラジアント カラーフィルム]および3MVM2002)が挙げられる。
【0069】
表示内容を明らかにするまで隠しておくことが所望されており、そのため、あるセグメントがオンに切り替えられて目視可能となるまで、前記ディスプレイは均一に何も表示しない状態とされる。
【0070】
白色仕上げの場合、白色は、可視スペクトル全体にわたって均一に光を強力に拡散させる材料を用いて形成されることから、これは極めて困難である。前記ディスプレイの画像が横方向に分散されることなく投射されない限り、前記画像は、白色フィルムを介して見た場合、非常にぼやけて見え、細部はかき消されてしまう。
【0071】
この問題に対する解決手段としては、レンズ系(lensing system)またはファイバー光学フェイスプレート(fibre optic face plate)を使用することが考えられる。しかしながら、これらはいずれも高価で嵩高であるため、ほとんどの実際の用途において実用的ではない。
【0072】
ELディスプレイに固有の特徴として、オンに切り替えられたセグメントから発せられた光は、観測者に関する限り、前記ディスプレイの表面から直接向かってくることが挙げられる。この特性を利用して、薄型、低コスト、フレキシブル、かつ軽量なディスプレイであって、オンに切り替えられて許容可能な忠実度で表示内容が目視可能とされるまでは、均一な白色に見えるをオフ状態にあるディスプレイを提供することができる。
【0073】
前記ディスプレイの光学的深さがセグメントの空間的広がりと比べて厚いという状況下では、オン状態のセグメントから発せられる光は発散し、前記白色層によって強力に拡散される。このことは、前記セグメントの空間的広がりが不鮮明になってはっきりしなくなることを意味する。
【0074】
上述したようなタイプのELディスプレイに関しては、前記ディスプレイの光学的深さはセグメントの空間的広がりと比べて薄く、よって、光が分散する機会がない。重ね合わせるフィルムの光学特性を正しく選択すれば、オン状態のディスプレイの画像からの光が、優れた忠実度で前記白色フィルムを通して放たれて視認される。
【0075】
前記白色層の特性は、以下のようなものでなくてはならない。
1)前記白色層は高拡散性である。
2)前記フィルムの高拡散要素が、ディスプレイにおける最小の構成部材の空間的広がりと比べて薄い。
3)前記高拡散フィルムが、可視スペクトルにおいて基本的に光を均一に拡散させる。
【0076】
好適な層は、4:1の混合比で白色インクと混合した光沢紫外線硬化ワニスを透明光沢ポリエステル(clear gloss polyester)上に1回の塗布でスクリーン印刷するか、リー・フィルター(Lee Filters)社のポリエステルフィルム220ホワイトフロスト2層によって構成することができる。
【0077】
以下、あくまでも例示目的で、本発明の様々な実施形態について添付の概略図面を参照しながら説明する。
【0078】
図1は、簡略化した従来技術のエレクトロルミネッセンスディスプレイの一部分を断面図で示している。ディスプレイは、薄い前面電極(12)と、その上に形成されたより厚いエレクトロルミネッセンス材料(蛍光体)層(13)を備えた透明保護基板(11)で構成されている。この蛍光体は、結合マトリックス(15)内に保持された顆粒状、粒状の材料(図中14)である。しかしながら、ここでは前記層そのものは、ディスプレイ全域にわたって設けられた連続した層として示している。
【0079】
前記蛍光体層13の背後(図中における上面側)には、厚い絶縁性セラミック層(16)が設けられ、この絶縁性セラミック層上には裏面電極(17)が形成されている。この裏面電極は、前記蛍光体層13と同様、ディスプレイ全域にわたって設けられた連続した電極である。
【0080】
使用時には、不透明なマスク(18)が、ディスプレイの前(図中では下)に配置される。このマスクは、成形された開口(図中19)により、前記蛍光体によって発せられた光(Ie)は各開口19を通過するが、その他の箇所では遮断される状態として、ディスプレイが表示する「画像」を決定する。
【0081】
図2は、基板11、透明前面電極12、連続した蛍光体層13、およびセラミック絶縁体層14を備えた同様のディスプレイであるが、薄くて細いリードトラック(図中22)を介してアドレス可能な多数の成形領域(21、ここでは一つの成形領域のみを示している)からなる画像決定裏面電極を備えたディスプレイの一部分を断面図で示している。成形されたパターン化裏面電極21の使用は、概念上は、個別の成形体21と前面電極11との間に直接存在している蛍光体の領域(図中A)のみが励起され、照明Ieが得られるということを意味している。しかしながら、実用上は、個別のリードトラック22は裏面電極としても機能するため、その下に設けられた蛍光体層からも若干の照明Ieが出力され、これにより表示が分かりづらくなる。この問題に対しては、図3に示すような方法で、すなわち、図2に示すディスプレイの「トラックを離間した」バージョンとすることで、少なくとも部分的には対処することができる。図3からわかるように、裏面電極の成形領域21は、絶縁材料の厚い層(31)に囲まれており、電極領域21につながるリードトラック32がその上面に形成されている。図3に示す実施形態において、トラック32が、図2の実施形態における同様のトラック22と比べ、蛍光体層13からかなり離れていることは明らかであり、これにより、トラック32の影響が小さくなる。よって、前記トラック32が原因となって発せられる光(ie)の量もまた小さくなり、場合によってはほとんど無視できる程度にまで低減される。
【0082】
リードトラックの影響を回避するための改良された構成を図4に示している。図4は、図2に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、蛍光体材料(43)の異なる個々の成形体(43)からなるパターン化された蛍光体層を用いて構成することでさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。図4から容易にわかるように、励起により、成形された蛍光体部分のみから光が発せられ、よって、原理上は、リードトラック22によって生じる電界によって光が発せられることはない。しかしながら、実用上は、前記蛍光体と裏面電極層である43と21との位置合わせが正確でない場合が考えられるため、短いトラック部分が関連する蛍光体の成形体43の一部に重なってしまう可能性がある。したがって、前記トラックによってもたらされる影響を最小限に抑えるためには、前記トラックを図3に示すような「持ち上げた」形態に構成することが最善であり、このような構成を図5に示している。
【0083】
本発明は、前記エレクトロルミネッセンス材料およびこれを取り囲む前記絶縁体材料のいずれか一方の色/反射性が、他方の色/反射性に適合するように変更されたエレクトロルミネッセンスディスプレイを提供する。この構成を、図6、7および8に示している。
【0084】
図6においては、セラミック絶縁体層(84)を蛍光体43の色に適合するように着色することでこのような変更を行ったバージョンを示している。図7は、蛍光体(93)をセラミック絶縁体14に適合するように着色した場合を示し、図8は、透明電極12上において、インク層(101)を成形領域からなる蛍光体43の周りに設け、前記インク層(101)と前記成形領域からなる蛍光体43の両方をセラミック絶縁体層14で覆った場合を示している。前記インク層101は、前記蛍光体43に適合するように着色されている。
【0085】
図9においては、蛍光体43の成形領域間における見かけ上のコントラストを低減するための若干異なる方法を示している。基板11の前面全体に、着色したフィルター層(111)が形成されている。前記フィルター層111は、前記ディスプレイに入射した外光(I0)が数個の界面、すなわち、フィルター・基板間である111・11の界面、基板・蛍光体間である11・43の界面、および基板・絶縁体間である11・14の界面(ここでは、非常に薄い透明電極12は無視している)で反射されて戻される挙動を、前記ディスプレイの最前面(前記フィルター111の前面)で反射される光(Il)が、「内部」のいずれの界面で反射される光(I2、I3)よりもはるかに大きくなり、かつ、基板・蛍光体の界面で反射される光I2の色および色相が、基板・絶縁体の界面で反射される光I3の色および色相に適合するように変更する。前記ディスプレイ(前記蛍光体43)が「オン」状態(アクティブ)である場合、前記蛍光体から出力される光(I4)は、いずれの反射光(特に、最前面の前記フィルター111で反射される光I1)よりも著しく大きい。
【0086】
先に述べたように、蛍光体43から発せられた光I4は前記フィルター111を1回通過するのに対し、近隣由来の反射光I2、I3は前記フィルターを2回通過しなければならず、結果として生じる蛍光体43のパターンの視認性は、「オフ」状態にある場合には、前記フィルターの吸光率の分だけ低減することがわかるだろう。この結果、この組み合わせを見た場合、連続した層であるかのような印象が得られる。
【0087】
また、前記蛍光体43から発せられた図中の光I4の色/色相が、ディスプレイの最前(前記フィルター)の面の反射光Ilの色/色相と同一にはならないように、前記フィルター111の反射率スペクトルの波長が、前記フィルターの透過率スペクトルと比べてずれていれば、クロミナンスコントラストによって視認性が向上される。
【0088】
図10は、図9に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、外側「着色」層と共に、着色した蛍光体および絶縁材料層を使用することによって、さらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【0089】
好ましい絶縁材料/誘電体(デュポン社の7153)は、無視できる程度の色相の広帯域リフレクタである。よって、白色光が照射されると想定した場合、赤、緑、青が等量反射され、青色フィルターを通して見ると、青い彩色のみが視認可能である。前記青色フィルター(ウルトラマーク(Ultramark)社製のPVC系の材料;575T134402)の透過スペクトルに適合する反射スペクトルを有するように、スタンプスダイレクト(Stamps Direct)社のインクX2ブルー(Ink X2 Blue)(一般的に「ソルベントブルー(Solvent Blue)」として知られている青色の商用バージョン)等の青色で染色した蛍光体層(例えば、デュポン社の8164)もまた、前記フィルターを通して青色と視認される。観察されるこれら2種類の青色は互いに適合し、前記蛍光体を、これを取り囲む誘電体から容易に識別することは不可能である。
【0090】
この特定の青色の場合に関しては、前記誘電体を極めて淡い青色(前記フィルターにおいては、より濃い形態の同一の青色が用いられている)に着色し、前記蛍光体を若干濃い色合いの同一の青色(特に、前記蛍光体の背後に設けられた前記誘電体の層により、前記蛍光体がさらに濃く見えるため)に着色することにより、前記効果が向上され、通常の照明の下では前記2つの構成部材の区別がほとんど不可能となることが分かっている。それぞれの場合において、前記蛍光体または誘電体約20mlにつき、せいぜい10滴程度と、ごく微量の青い彩色が添加された。
【0091】
より具体的には、ある特定の着色の例は、以下のように行われた。
【0092】
デュポン社の8164蛍光体(明るい緑色光を発する)の通常の外観は、明るい乳白色であり、デュポン社の7153誘電体の通常の外観は、コントラストの強い灰白色である。まず、このコントラストを低減するため、前記蛍光体と前記セラミック誘電体の両方を、ソルベントブルー染料(スタンプスダイレクト社のインクX2 パーマネントマーキングインク(Ink X2 permanent Marking ink))で着色した。ソルベントブルー染料は、前記蛍光体20mlに対して10滴、前記セラミック誘電体20mlに対して20滴用いた。これらの濃度は低いため、硬化した蛍光体にはほとんど色が付かず、一方、硬化したセラミックは、非常に淡いチョークブルーとなった。
【0093】
おそらく直感には反する結果であろうが、前記淡い青色のセラミックを前記薄く着色した蛍光体の背後に追加すると、前記蛍光体の前記見かけ上のコントラストは、染色を行わなかったコントロールと比べ、実際には著しく増加した。
【0094】
驚くべきことに、このような方法で着色した材料を用いて作成したディスプレイに青色フィルター(ウルトラマーク社の575/T134402)を重ねたところ、見かけ上のコントラストが、ほとんどなくなるか、あるいは全くなくなるまで低減し、常光下においては、前記蛍光体を、これを取り囲む誘電体から区別することは、不可能ではないにしても困難であった。
【0095】
図11において、多層ディスプレイ(112:見えるのは一部分のみである)を有する表示装置(概略的に111)の一部分を示している。ディスプレイ112は、その内部において表示要素(114:「オン」状態を図示)が他の構成材料(115)に取り囲まれているディスプレイ層(113)と、前記ディスプレイ層(113)の上面に形成された透過保護層(116)とを備えている。この上を覆っているのが、NDフィルター材料からなる外層(117)である。
【0096】
前記表示装置からユーザー(眼)に向かう光は、周辺光(118)と生成された光(119)の混合物である。反射された周辺光118は、まず外側から前記ディスプレイに衝突し、次にフィルター層117を透過して減衰し、前記透明保護層116を透過し、ディスプレイ材料115によって反射され、層116および117を再度透過して減衰した光である。これに対し、「オン」状態の表示要素114から発せられる光は、フィルター層117を(若干の減衰を伴って)1回だけ通過している。
【0097】
フィルター層117の使用により、前記ディスプレイのコントラスト(要素から発せられる光と反射される周辺光との間の強度差)が著しく増加することは明らかである
図12は、本発明の鏡面反射オーバーレイの使用を示している。図12は、強い周辺光の下で見た表示装置(概略的に121)を示している。周辺光(一方の側に配置された光源122から発せられたもの)は、前記表示装置の前面の鏡面性のため、全て他方の側に反射され、ユーザーに向かって反射される光は存在しないことは明白であろう。さらに、(ユーザー自身が反射層122に映ることによって生じる)ユーザーの像は、前記装置のかなり背後にあり、ユーザーがディスプレイを見るために焦点を合わせる面から外れており、問題にはならないことも明白であろう。
【0098】
ユーザーのすぐ後ろの周辺光光源から発せられる光(123)は、当然ながらユーザーの頭によって遮断され、よって視認されることはない。
【0099】
高拡散白色オーバーレイフィルムを使用したELランプの一例は、以下のように構成される。
【0100】
蛍光体層は、デュポン社製のパートNo.8164(Part No-8164)のハイブライトグリーン(High Bright Green)である。
【0101】
300 OhmのITOでコーティングされたPETは、ベカルト社のNV−CT−300、シェルダール(Sheldahl)社の157349、またはCPフィルム社のOC300で構成されている。
【0102】
前記高拡散白色オーバーレイフィルムは、4:1の混合比で白色インクと混合した光沢紫外線硬化ワニスを透明光沢ポリエステル上に1回の塗布でスクリーン印刷したものか、リー・フィルター社のポリエステルフィルム220ホワイトフロスト2層のいずれかである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、簡略化した従来技術のエレクトロルミネッセンスディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図2】図2は、図1に示す簡略化した従来技術のディスプレイに、裏面電極をパターン化するように改良を加えたバージョンの一部分を断面図で示している。
【図3】図3は、図2に示す簡略化した従来技術のディスプレイに、トラックを離間させるようにさらに改良を加えたバージョンの一部分を断面図で示している。
【図4】図4は、図2に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、パターン化された蛍光体層を備えるようにさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図5】図5は、図4に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、図3に示すように、トラックを離間させるようにさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図6】図6は、図5に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、本発明に基づきセラミック絶縁体層を「着色する」ことによってさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図7】図7は、図5に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、本発明に基づき、代替の方法として蛍光体層を「着色する」ことによってさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図8】図8は、図5に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、本発明に基づき、代替の方法として蛍光体層に色が適合したさらなる中間層を設けることによってさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図9】図9は、図5に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、本発明に基づき、代替の方法として外側「着色」層を使用することによってさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図10】図10は、図9に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、本発明に基づき、外側「着色」層に加えて、着色した蛍光体および絶縁材料層を使用することによって、さらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図11】図11は、本発明のニュートラルフィルターオーバーレイを備えたディスプレイを示している。
【図12】図12は、本発明の鏡面反射フィルターオーバーレイを備えたディスプレイを示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイに関するものであり、より詳しくは、このようなディスプレイの均一性および視認性の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある種の材料は、電界発光性、すなわち、電界を発生させると光を発して輝く性質を有する。最初に知られたエレクトロルミネッセンス材料は、硫化亜鉛等の無機粒状物質であったが、それよりも最近発見されたエレクトロルミネッセンス材料には、有機LED(OLED)として知られる多数の小分子有機発光体や、発光ポリマー(LEP)として知られる数種のプラスチック(合成有機重合物質)等が含まれる。無機粒状体は、特に、バインダーに混合され、比較的厚い層として基板表面に塗布される場合には、ドープされてカプセル封入された形態で依然として使用されている。一方、LEPは、バインダーマトリックス中の粒状材料として使用することもできるし、あるいは、そのまま比較的薄い連続したフィルムとして使用することもでき、後者にはいくつかの利点がある。
【0003】
この電界発光効果はディスプレイの構成に利用されており、大面積のエレクトロルミネッセンス材料(この文脈では、一般的に蛍光体と称される)を設け、ディスプレイが表示するキャラクタを定めるマスクを通して視認されるバックライトを形成する。
【0004】
このようなバックライトは、一般的には、その前面(視認側)から背面にかけて、
基板として知られる、通常、ガラスまたはポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックからなる電気絶縁性の比較的厚い透明保護前面層と、
前記基板の背面全体を覆うように形成された、インジウム錫酸化物(ITO)等の材料からなる非常に薄い透明導電性フィルムであり、前記バックライトの一方の電極(前面電極)を形成するフィルムと、
前記前面電極の背面を覆う、エレクトロルミネッセンス/蛍光体材料(通常は、バインダーマトリックスに含まれる粒状蛍光体)からなる比較的薄い層と、
前記蛍光体層の背面に形成された、50前後の比較的高い誘電率(比誘電率)を有する材料(通常はセラミック)からなる比較的薄い電気絶縁層と、
前記電気絶縁層の背面全体を覆うように形成された、通常は不透明(かつ、炭素または銀で形成されることが典型的)な連続した導電性フィルムであり、前記バックライトの他方の電極(裏面電極)を形成するフィルムとによって構成されている。
【0005】
さらに、非常に壊れやすい裏面電極層は、ディスプレイの背後に取り付けられることが考えられる何らかの装置の構成部品(例えば、電子回路)との接触による損傷を防止するため、保護フィルム(通常は、別個の、同様のセラミック層)によって被覆されている。
【0006】
前記各種層はそれぞれ、しかるべき位置に簡便にスクリーン印刷される(ただし、通常、スパッタリングによって前記基板上に形成される前記ITO前面電極は除く)。スクリーン印刷は、好適なペーストを用い、前記層の成分の形状、大きさ、および位置を定めるマスクを通して行い、前記ペーストを、次の層の塗布前に、一般的には熱または紫外光によって適宜乾燥、凝固、または硬化させるという通常の方法で行われる。エレクトロルミネッセンスディスプレイに関する文脈において、「比較的厚い」および「比較的薄い」という表現は、30〜300μmの範囲、一般的には100μm前後の厚みと、50μm未満、最も一般的には25μm以下の厚みとをそれぞれ意味するものである。
【0007】
ディスプレイにおいては、このようなバックライトは、ディスプレイが表示するキャラクタを定めるマスクの後ろに配置されている。残念ながら、真に効率的で読みやすいディスプレイを形成するためには、見る人の目が伝えようとする情報からそらされることがないように、ディスプレイの背景の均一性を十分に制御しなければならない。現在に至っても、このような制御はエレクトロルミネッセンスディスプレイに関しては十分に達成されていない。
【0008】
先に示したように、エレクトロルミネッセンスディスプレイのほとんどが、電界発光原理の均一な照明特性をバックライトとして利用しており、特定の開口を通して光が放たれるようにする切り欠きオーバーレイを使用することによって、グラフィックキャラクタの形成を可能にしている。粒状蛍光体を用いてこのような方法で形成されたキャラクタは、不鮮明になりがちである。さらに、このようなディスプレイは、バックライトが「オン」の時には全てのキャラクタが照明され、「オフ」の時にはいずれのキャラクタも照明されない「全か無か」型のディスプレイである。
【0009】
しかしながら、マスキングオーバーレイを備えたバックライトの通常の構造を「反転させる」ことによって、個別にアクティブ化可能なキャラクタを備えた、よりクリアでより輪郭がはっきりとしたディスプレイを構成できることがわかった。より具体的には、連続した電極の代わりに、個別に適切に成形された電極の配列が蛍光体層の少なくとも片側(特に背面)に設けられていれば、前記マスクを完全に省くことができることがわかった。これは、前記蛍光体が、その性質上、所望の不連続形状の形態(例えば、アイコン、英数字、またはその配置によって再構成可能な情報を提供する個別に切換可能なセグメントのパターン)でアクティブ化可能となり、よって、所望の鮮明度を有するディスプレイを構成できるためである。
【0010】
このように形成されたディスプレイは、マスクを利用した従来のディスプレイと比べて実際にかなり有利であったが、依然として多数の欠点があった。このような欠点の一つは、連続した電極の代わりに個別に適切に成形された裏面電極を使用することが直接の原因となっている。ディスプレイの端から端へと有効に延びる連続した裏面電極の場合、励起電圧(activating voltage)は、リードによって、ディスプレイの最端部にあり、容易に視界から隠すことが可能な接点へと供給することができるが、個別の裏面電極の場合、これらの電極が形成された誘電体層上に導電性トラックとして形成されるリードが必要であり、これらトラックリードのうちのいくつかは、必然的にディスプレイの主な領域を横切ってしまう。また、各トラックリードは、極めて細いものであるとはいえ、それ自体が電極として機能するので、蛍光体は、個別に成形された電極のそれぞれによってのみならず、前記電極のリードによっても励起され、微弱ではあるが、注意をそらす(distracting)(さらに、紛らわしくもなりかねない)余計な照明源となり、これにより、ディスプレイの各アイコンまたはキャラクタは後尾(tail)を有しているかのように見える。
【0011】
この問題に対処するため、様々な試みがなされてきた。これまででより高い成果をあげている試みの一つは、通常行われるように裏面電極を備えた誘電体層上にリードトラックを直接形成する代わりに、前記トラックと前記電極を備えた誘電体層との間にさらなる絶縁層を配置することによって前記トラックをエレクトロルミネッセンス材料層から離間させ、前記トラックによって生じる電界を低減し、これにより、その下にある蛍光体の不要な励起や照明効果を最小限に抑えることである。しかしながら、各トラックリードは依然として電極として機能し、よって、依然として微弱な(この場合、ずっと微弱ではあるが)照明源となり、ディスプレイの各アイコンまたはキャラクタは、依然として後尾を有しているかのように見える。
【0012】
このトラックによって生じる後尾の問題については、同時係属中の英国特許出願第0318598.0号(特許文献1)の発明によって対処しようとしている。この出願においては、エレクトロルミネッセンス材料自体を、関連する個別に成形された裏面電極に形状および大きさが高度に適合する不連続な領域となるように形成することを提案している。この方法は効果的であるが、残念なことに、副次的な影響が伴う。成形領域からなる裏面電極と、これに対応する成形領域からなる蛍光体層とを用いて形成されるディスプレイは鮮明で輪郭がはっきりとしており、かつ、画像決定マスクを設ける必要性が排除されるが、このように形成されたディスプレイには多数の欠点が伴うことが考えられ、このような欠点の一つは、他でもない前記マスクの「除去」とこれに伴うエレクトロルミネッセンス材料の成形に起因する。この問題とは、エレクトロルミネッセンス材料(蛍光体)が励起されず、光を発しなかったとしても、エレクトロルミネッセンス材料そのものが、反射光(近隣からディスプレイへと入射し、前記ディスプレイの各種構成部品で反射されて戻ってくる光)により、微かであるとはいえ、視認され得るということである。この問題は、前記ディスプレイの蛍光体の成形体を「取り囲む」材料、すなわち、絶縁層(通常は、セラミック)の色および反射性が、前記蛍光体層の色および反射性とは異なり、アクティブ化されていない状態においても、前記蛍光体の成形体の視認性が強調されるという事実によって、より深刻なものとなっている。
【特許文献1】英国特許出願第0318598.0号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これに対し、本発明は、前記蛍光体およびこれを取り囲む絶縁体材料のいずれか一方(または、実際にこれらの両方)の色/反射性を、他方の色/反射性に「適合する」ように変更(または、見かけ上変更)し、これにより前記蛍光体と前記絶縁体材料とを互いに調和させ、これらをより識別しにくくするという単純な解決方法を提案している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、一態様において、本発明は、エレクトロルミネッセンス材料の層が、二つの電極層の間に、前記二つの電極層から離間された状態で挟まれており、さらに、前記エレクトロルミネッセンス材料層が、前記ディスプレイの関連箇所に表示される画像に形状および大きさが適合する複数の別個の領域で構成され、前記各別個の領域は絶縁材料の層に取り囲まれているタイプのエレクトロルミネッセンスディスプレイであって、前記エレクトロルミネッセンス材料およびこれを取り囲む前記絶縁体材料の一方および/または他方の色/反射性を、他方の色/反射性に適合するように変更(または、見かけ上変更)していることを特徴とするエレクトロルミネッセンスディスプレイを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、ある種の装置に使用されるエレクトロルミネッセンスディスプレイを提供する。この装置は、いかなる形状および形態であってもよく、また、いかなる用途に使用されるものであってもよい。このような装置の典型例として、ラジオ、オーディオカセットテープデッキ、CDプレーヤー、テレビ、DVDプレーヤー、またはビデオレコーダー用の手で保持できるコントローラ(リモコン)が挙げられる。このような使用のため、前記装置は、通常、用途に適した複数の個別の表示要素が配置された、おそらく13×5cm(5×2インチ)の長方形のパネルを備えている。よって、例えば、テープデッキに関しては、前記表示要素は、「再生」、「早送り」、「巻き戻し」、「録音」、および「停止」(その他の可能性もあるが、特にこれらを挙げた)を表すアイコン(または単語、もしくは単語を構成する個々の文字)であってもよい。
【0016】
本発明のディスプレイは、エレクトロルミネッセンスディスプレイである。すなわち、本発明のディスプレイは、電界発光を用いてそのいくつかの部分を点灯させるディスプレイである。より具体的には、本発明のディスプレイは、エレクトロルミネッセンス材料の連続したシートまたはフィルムではなく、粒状のエレクトロルミネッセンス材料(粒状の蛍光体)の層を利用するディスプレイである。粒状の蛍光体としては、粒子の形態の発光プラスチック(LEP)を使用することができるが、最も好ましいのは無機材料である。典型的な無機粒状蛍光体は、硫化亜鉛であり、特に、カプセル封入粒子(encapsulated particles)の形態の硫化亜鉛である(カプセル封入により、安定性および寿命が実質的に向上される)。このような硫化亜鉛として特に便利なものの例として、7151jグリーンブルー(7151j Green Blue)の商品名でデュポン(Dupont)社より市販されている熱硬化性材料であって、膜厚25μm前後の層であるものが挙げられる。このような硫化亜鉛の他の例として、同じくデュポン社製の8164ハイブライトグリーン(8164 High Bright Green)が挙げられる。
【0017】
当業界で公知の多くのエレクトロルミネッセンスディスプレイとは異なり、本発明のディスプレイは、マスクが定める表示キャラクタまたはアイコンの「バックライト」を形成する、均一にアクティブ化可能な単一の大面積エレクトロルミネッセンス材料の代わりに、表示キャラクタまたはアイコンの全体または一部分を表す別々にアクティブ化可能な個別の領域を備えている。その結果、本発明のディスプレイは、従来のバックパネル型のディスプレイに比べて、はるかに鮮明で、輪郭がはっきりとし、「明瞭(cleaner)」となる。
【0018】
このディスプレイにおいては、各キャラクタまたはアイコンは、それ自体が単独で全体を完全に表すことができ、個々の数字または文字(アルファベットの文字)、あるいは何らかの所望の効果(「再生」を意味するものとして一般的に採用されている単一の右向きの山形、または「早送り」を意味する同様の山形を二つ重ねたもの等)を表すアイコン(またはシンボル、ピクトグラム、カルトゥーシュもしくはグリフ)を表すことができる。しかしながら、これに加えて、あるいはこれに代わるものとして、前記個別の領域は、それ自体が何らかの意味またはメッセージを有するより大きな領域を構成する小部分を形成することができる。よって、前記個別の小領域を、関連するキャラクタ決定セグメント同士のまとまりへとグループ化することができ、各グループは、適切なセグメントのアクティブ化により、表示するキャラクタを決定できる。典型的なグループの例として、近代的な電気および電子ディスプレイにおいて一般的に採用されている標準的な7セグメントグループが挙げられる。7セグメントグループにおいては、オンに切り換えるセグメントを適切に選択することによって、前記グループにアラビア数字またはローマ字を表示させることができる(これ以外のナンバリング方式またはアルファベット方式では、より多数のセグメントを有するグループが必要となる場合がある)。もちろん、前記グループ自体を配列に配置することが可能であり、前記配列の各部分を操作することにより、例えば、完結したテキストメッセージを表示してもよい。
【0019】
各アクティブ化可能領域は、蛍光体の薄い(25μm前後)層を備えており、前記蛍光体層は、いずれかの側(前記層の各隣接面)に、前記層に電圧を供給して前記層を電界発光状態へと切り換えるために用いられる(前面また背面)電極を備えている。
【0020】
本発明のディスプレイを構成する材料の各種層は、通常のスクリーン印刷法により、この目的において一般に知られている各種技術およびペースト状材料を用いて形成することができ、これに関してはここでこれ以上説明する必要はない。
【0021】
上述の構成に加え、前記基板に外側保護フィルムを被せてもよく、また、前記保護フィルムに対しては、適切な場合、着色を施すことや、あるいは何らかの銘(legends)を付与することができる。
【0022】
前記エレクトロルミネッセンスディスプレイ、前記エレクトロルミネッセンスディスプレイの材料および形成方法、ならびに前記エレクトロルミネッセンスディスプレイが組み込まれる装置は、先に述べた通りであってもよく、これらについてはここでこれ以上言及する必要はない。
【0023】
この改良されたディスプレイにおいては、前記エレクトロルミネッセンス材料(前記蛍光体)およびこれを取り囲む誘電材料(前記セラミック/絶縁体)のいずれか一方の色/反射性を、他方の色/反射性に適合するように変更(または、見かけ上変更)している。これは、多数の異なる方法によって可能である。
【0024】
第1に、前記絶縁体材料の色/反射性を、前記蛍光体の色/反射性に適合するように変更することが可能である。したがって、使用する絶縁体材料を好適な着色材料(インクまたは染料)と混合し、前記蛍光体の「オフ」(アクティブ化されていない)状態に適合する色とすることができ、これにより、このように着色した絶縁体材料を前記蛍光体が存在しない箇所、すなわち、前記蛍光体の周囲に配置すると、透明電極を通してこの組み合わせを見た場合に、連続した層であるかのような印象が得られる。
【0025】
一般的に採用されている蛍光体(例えば、上述した特定の硫化亜鉛)は、硬化されているが「オフ」状態にある場合には、オフホワイトまたはクリーム色となる傾向があり、一方、前記蛍光体を取り囲むセラミック様絶縁体材料(先に述べたような材料)は、硬化された状態において、白であるが、(少なくとも、ITOコーティング基板を通して見た場合には)ベージュに見えるという傾向がある。このような絶縁体の色は、ダイロン(Dylon)社の「マルチパーパス(Multipurpose)」シリーズから選択される適切な溶媒系染料を前記絶縁体に適量混合することによって、前記蛍光体の色により近くなるように変更することが可能である。上述のものと同一の特定の蛍光体および絶縁体に関しては、前記蛍光体の色を、前記蛍光体にダイロン社製の「レインディアベージュ(reindeer beige)」を適量混合することによって、前記絶縁体の色により近くなるように変更することが可能である。
【0026】
第2に、事実上、これと全く逆のことを行うことが可能である。すなわち、前記蛍光体材料の色/反射性を、前記絶縁体の色/反射性に適合するように変更することが可能である。したがって、使用する蛍光体材料を好適な着色材料(インクまたは染料)と混合し、前記絶縁体材料に適合する色とすることができ、これにより、前記絶縁体材料を前記蛍光体が存在しない箇所、すなわち、前記蛍光体の周囲に配置すると、透明電極を通してこの組み合わせを見た場合に、やはり連続した層であるかのような印象が得られる。
【0027】
上述のものと同一の特定の蛍光体および絶縁体に関しては、前記蛍光体の色を、前記蛍光体に適切なインク(この場合は、セリコール(Sericol)社製のカラースターCS CS021(Colorstar CS CS021)等の白)を適量混合することによって、前記絶縁体の色により近くなるように変更することが可能である。
【0028】
第3に、前記蛍光体材料と前記絶縁材料のそれぞれの色/反射性を、互いにより厳密に適合するように変更することが可能である。したがって、使用する蛍光体材料を1種類の好適な色の材料と混合し、前記絶縁材料もまた好適な色(異なる色であってもよいが、強さの異なる同一の色である最も適切である)の材料と混合することができ、これにより、前記絶縁体材料を前記蛍光体が存在しない箇所、すなわち、前記蛍光体の周囲(および、実際には、前記蛍光体の背面)に配置すると、透明電極を通してこの組み合わせを見た場合に、やはり連続した層であるかのような印象が得られる。
【0029】
言うまでもなく、(いずれの構成部材に関しても)選択した染料(またはその他の着色材料)およびその使用量が、構成部材の所要の特性(具体的には、前記絶縁材料の誘電率や前記蛍光体の発光能力)に悪影響を及ぼすことがないよう注意を払う必要がある。
【0030】
蛍光体および絶縁体の色/反射性の所望の適合を達成するために採用し得る第4の方法は、基板と絶縁体層との間に適切に着色した材料からなる層をさらに形成し、前記絶縁体層を効果的に視界から隠すことである。これにより、透明電極を通してこの組み合わせを見た場合に、やはり連続した層であるかのような印象が得られる。
【0031】
上述のものと同一の特定の蛍光体に関しては、所要の前記絶縁体遮蔽層は、セリコール社製のカラースターCS CS021(適合する白色である)等のインクを用いて形成することができる。
【0032】
「オフ」状態の蛍光体と絶縁体/誘電材料との間の色/反射性の不適合に関して所望の低減を達成するための第5の方法(先に述べた方法とはかなり異なる)は、近隣からディスプレイに入射した外光がディスプレイを透過し反射される挙動を適切に変更するため、適切に着色された透明材料からなる前面フィルター/吸収層(オーバーレイ)をディスプレイに設けることである。このフィルター層は、それを使用することによって、前記エレクトロルミネッセンス/蛍光体材料およびこれを取り囲む絶縁体材料のいずれか一方の色/反射性を、他方の色/反射性に適合するように見かけ上変更するものであり、前記基板自体の一部とすることもできるし、あるいは、前記基板上(外側に位置する前面に形成するのが簡便である)に形成されたさらに別の層とすることもでき、後者のほうが好ましい。
【0033】
着色したフィルター層の使用は、前記蛍光体および/または絶縁層の着色に加えて適用してもよい。実際のところ、着色した蛍光体と着色したフィルターとをこのように組み合わせることは好ましい選択であり(実際に使用される色および強さは、一方を他方に慎重に適合させる)、さらに、以下に詳述するように、着色した絶縁体も併せて使用することが最も好ましい。
【0034】
前記フィルター層は、前記ディスプレイに入射した外光が数個の界面(典型的には、周囲空気・フィルター、フィルター・基板、基板・蛍光体、および基板・絶縁体の界面)で反射されて戻される挙動を適切に変更する。この特定の例においては、前記ディスプレイの最前面(前記フィルターの前面)で反射される光が、「内部」のいずれの界面で反射される光よりもはるかに大きく、かつ、基板・蛍光体の界面で反射される光の色および色相が、基板・絶縁体の界面で反射される光の色および色相に適合することが要求される。そして、前記ディスプレイ(前記蛍光体)が「オン」状態(アクティブ)である場合、前記蛍光体からの出力を、いずれの反射光(特に、最前面の前記フィルターでの反射光)よりも著しく大きくする必要がある。
【0035】
前記フィルターは、表示される個別の各種画像と位置合わせされた箇所のみに位置する(あるいは位置しない)ように配置することができるが、このような構成の代わりに、前記ディスプレイの表面全体を覆うように配置することもでき、この配置のほうがおそらく有利である。
【0036】
このようなフィルターを使用した場合、前記蛍光体から発せられた光は前記フィルターを1回通過するのに対し、近隣由来の反射光は前記フィルターを2回通過しなければならず、結果として生じる蛍光体パターンの視認性は、「オフ」状態にある場合、前記フィルターの吸光率の分だけ低減することがわかるだろう。もちろん、前記ディスプレイの全体輝度(overall brightness)も低減するが、「オン」状態での発光と「オフ」状態での各種反射レベルとの比率は高まる。
【0037】
前記蛍光体から発せられた光の色/色相が、前記ディスプレイの最前(前記フィルター)の面の反射光の色/色相と同一にはならないように、前記フィルターの反射率スペクトルの波長が、前記フィルターの透過率スペクトルと比べてずれていれば、この効果をさらに活用することができる。これによって光の強度が向上することはないものの、クロミナンスコントラストによって視認性は向上する。
【0038】
所望の効果をもたらす上で好適なこのようなフィルターの材料の色は、575/T134402の名称でウルトラマーク(Ultramark)社が提供している濃い青色が挙げられる。
【0039】
先に示したように、3つの構成部材(前記蛍光体、前記絶縁層、および前記フィルター)全てを着色することが特に好ましい。3色全てが、強さの違いを除いてほとんど同一(例えば、青色の濃淡、または、灰色の濃淡)であることが最も簡便であり、構成部材が本質的に備えている反射性が高いほど、これらの色をより濃く(より強く)することが好ましい。例えば、先に具体的に示した材料を用いた場合、前記蛍光体は、前記絶縁層よりも白く、かつ反射性が高いため、より濃く着色する必要がある場合がある。しかしながら、これらの層は非常に薄いため、前記蛍光体と前記絶縁層の両方がほとんど同じように着色され、前者(後者はこの上に形成される)を後者が背後にある状態で見た場合には、前者がより濃く見える可能性が高い。この場合、前記着色した蛍光体と絶縁層とは、これらを直接見た場合にこれらの境界がなくなる程度に調和するという意味合いではなく、適用されるフィルター層を通して見た場合に、所望の調和が得られるように適合して見えるという意味合いにおいて互いに「適合」する。
【0040】
数学的には、観察される効果は、概して以下の式によって表わすことができる。
【0041】
「オフ」状態においては、以下の関数が適用される。
a)誘電体
RJ[R1,G1,B1](×)TJ[R2,G2,B2]≧I0J[R3,G3,B3]
b)染色された蛍光体
RJ[R4,G4,B4](×)TJ[R2,G2,B2]≧I0J[R5,G5,B5]
これにより、目は、「オフ」状態のクラッターをほとんどまたは全く知覚しない。一般に、入射光の色相は、I0の大きさを変化させるだけなので、無関係である。
【0042】
「オン」状態においては、
a)誘電体
RJ[R1,G1,B1](×)TJ[R2,G2,B2]≧I0J[R3,G3,B3]
b)染色された蛍光体
I1J[R6,G6,B6](×)TJ[R2,G2,B2]≧I3J[R7,G7,B7]であり、式中、I3≫I0であり、R2,R7は小さく、G7B7>B3である。
【0043】
「オフ」状態の蛍光体と絶縁体/誘電材料との間の色/反射性の不適合に関して所望の低減を達成するための上述の第5の方法は、先に述べたように、近隣からディスプレイに入射した外光がディスプレイを透過し反射される挙動を適切に変更するため、適切に着色された透明材料からなる前面フィルター/吸収層(オーバーレイ)をディスプレイに設けることである。この構成については、これまでほぼ同一の色(具体的には青色)を有する3つの構成部材全てを使用する例を用いて具体的に説明してきた。しかしながら、おそらくは驚くべきことに、これと関連はしているが別の方法により、同様の効果を得ることが可能である。この別の方法とは、前記ディスプレイの点灯可能領域が「オン」になった際に前記点灯可能領域から発せられる光(ほとんどの好ましいエレクトロルミネッセンス材料に関しては、このような光は明るい緑から白である)に適合するような透明な色を前記前面フィルターに付与し、それから前記蛍光体および前記絶縁/誘電材料をこのフィルターの透過色の補色となるように着色することである。
【0044】
その結果、前記各領域が「オフ」状態にある場合には、前記ディスプレイ(各領域およびそれを取り囲む誘電体)で反射される光は、前記フィルターの透過特性とは適合せず、よって吸収される。これにより、前記ディスプレイは均一に非常に濃い色に見え、黒に見えることさえあり、前記個別の蛍光体の領域を区別することは不可能である。もちろん、「オン」状態においては、発せられた光は前記フィルターの透過率に適合し、よって、明るくハイコントラストなディスプレイが提供される。
【0045】
数学的には、観察される効果は、概して以下の式によって表わすことができる。
【0046】
「オフ」状態においては、以下の関数が適用される。
a)誘電体
RJ[R1,G1,B1](×)TJ[R2,G2,B2]≧I0J[R3,G3,B3]
b)染料された蛍光体
RJ[R4,G4,B4](×)TJ[R2,G2,B2]≧I0J[R5,G5,B5]
青色発光蛍光体および青色フィルターに関しては、式中、B1−B4≪R1,R4,G1,G4であり、I0は、一般的な周辺光の強度よりもずっと小さい。
【0047】
「オン」状態においては、
b)染料された蛍光体
I1J[R5,G5,B5](×)TJ[R2,G2,B2]≧I2J[R6,G6,B6]であり、式中、I2は、I1にほぼ等しく、かつ≫I0であり、さらに、B6≫R6,G6である。
【0048】
エレクトロルミネッセンスディスプレイの視認性は、オンにされた(「点灯された」)前記ディスプレイの領域と、オンにされていない領域との間のコントラストに依存する。このコントラストは、前記点灯領域がこれを取り囲む領域よりも明るく(「輝度コントラスト」)、かつ、往々にして色も異なる(「クロミナンスコントラスト」)ことによって生じるものである。前記点灯領域の輝度および色は、使用される特定のエレクトロルミネッセンス材料とその励起の程度による作用である。前記非点灯領域の輝度および色は、これら領域の表面で反射される光に依存するものであり、言い換えれば、周辺光のレベルと前記ディスプレイの構成に用いられる材料(フィルターおよび反射防止コーティングが含まれる場合がある)による作用である。
【0049】
これに代わる構成として、本発明はさらに、着色したフィルターを使用する代わりに、これとは全く逆のフィルターであるNDフィルター(neutral-density filter)(すなわち、外見は「灰色」であって、あらゆる色を均一に除去するフィルター)を使用することを提案している。これに加え、鏡面反射前面(外側の面)を備えた「フィルター」層もさらに提案されている(典型的には、このような層は、マジックミラー(one-way mirror)のように片面のみ銀被覆されており(semi-silvered)であり、片側(外側)は反射率が高いが、反対側(内側)は著しく透過率が高くなっている)。
【0050】
このようなNDフィルターまたは鏡面反射フィルターを使用した場合、前記透明前面電極(前記ITO層)の代わりに、若干透明な薄い金属電極を用いることができる。発せられた光に対する前記電極の減衰は、従来と同一の範囲内であると思われる(すなわち、約3〜20dB)。高容量においては、このような構成は、これに代わる方法と比べてより安価であり、同一の性能を得ることができる。
【0051】
ディスプレイ関連においてNDフィルターを使用することは、それだけでも発明と見なされると考えられる。したがって、本発明のさらなる態様においては、点灯領域と非点灯領域との間に明確なコントラストが必要とされる発光型ディスプレイであって、実質的なNDフィルターか外側を向いた鏡面反射面のいずれか一方、または両方を形成する透過型オーバーレイを備えた発光型ディスプレイを提供する。
【0052】
前記発光型ディスプレイは、どのようなタイプのものであってもよい。例えば、前記発光型ディスプレイは、発光ダイオード(LED)ディスプレイまたはバックライト付き液晶ディスプレイ(LCD)であってもよいし、あるいは、コンピュータの画面に使用される薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイであってもよい。しかしながら、本発明は、発光のためにエレクトロルミネッセンス材料を使用したディスプレイへの適用が特に有用である。
【0053】
エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイは、その柔軟性と薄型性が高く評価されている。このような性質は、ELディスプレイがいかなる形状にも切断可能であり、屈曲した状態で動作可能であり、あるいはボタンマット上に配置することもできる(前記ディスプレイの屈曲に伴ってボタンが前記ディスプレイに押されると動作する)ことを意味している。
【0054】
表示内容を明らかにする(そして、ユーザーがそれを見る)必要が生じるまでそれを隠しておくことが所望されており、そのため、あるセグメントがオンに切り替えられて目視可能となるまで、前記ディスプレイは均一に何も表示しない状態とされる。ELディスプレイに固有の特徴として、オンに切り替えられたセグメントから発せられた光は、観測者に関する限り、前記ディスプレイの表面から直接向かってくることが挙げられる。しかしながら、先に述べたように、既存のELディスプレイの多くは、セグメントへの接続トラックやその他の構造体等、前記ディスプレイの細部の多くが目視可能であるという点で理想的なものとは言えない。前記ディスプレイは面発光型であり、前記ディスプレイの薄型性のため、観測者はこれら「オフ」状態の素子(アクティブ化されていないもの、またはアクティブ化しないもの)を視認してしまう傾向があり、これにより、「オン」状態(アクティブ)のセグメントの視認性が低減されてしまう。
【0055】
「オン」セグメントをより明らかにするため、これらセグメントの輝度を高めるか、あるいは、前記ディスプレイを薄暗い環境で作動させることが従来行われてきた。しかしながら、後者の選択肢は、明るい昼光の環境化で使用されることが考えられる製品の表面に直接搭載されるディスプレイには多くの用途があるため、ELディスプレイに著しい制限を加えることになる。ディスプレイの発光輝度(emitted brightness)を高めることは可能であるが、これには、ディスプレイの寿命が著しく短縮される(さらに、ディスプレイの駆動に用いられる電池電源が消耗する)場合があるという深刻な不利点が伴い、いずれにしても、光強度が強い環境下でディスプレイを使用する場合には役に立たない(このような環境下では、前記ディスプレイは、本質的に、周辺の太陽光を凌駕しようとしているに等しい)。許容可能な信頼性と寿命をもってこれを達成することは、ほとんどの発光技術(emissive technologies)において不可能である。
【0056】
本発明のこの態様(NDフィルターおよび/または外側を向いた鏡面反射面を形成する透過型オーバーレイを使用する態様)によれば、接続トラックやディスプレイの内部構造の視認性が抑制されると共に、ディスプレイの「オフ」要素から得られる背景拡散周辺光に比べて前記ディスプレイの「オン」セグメントの視認性が向上する。この効果は、当初は実際にはディスプレイの輝度を下げてしまうと思われていたどちらかというと奇抜な発想によってもたらされたものであるが、実際にこれが有効であったのは、以下に挙げる理由によるものと考えられる。
【0057】
NDフィルターを使用した場合、ディスプレイの内部構成(アクティブ化不可能な要素またはアクティブ化可能であるが「オフ」である要素)の抑制は、このような要素によって反射される光の強度を、「オン」セグメントによって発せられる光の強度よりも低くすることによって達成される。前記発光要素によって発せられた光は、ディスプレイ上に配置された薄く、吸収性の高いニュートラルな層を1回だけ通過し、よって1回だけ減衰される。しかしながら、前記ディスプレイの構成要素および「オフ」セグメント(いずれも、周辺光のみを反射する)から発せられる光は、前記吸収層を2回通過する。よって、前記「オン」要素から発せられた光が若干低減されたとしても、これら2種類の光の間のコントラストは強められる。
【0058】
前記「オン」要素の視認性は、前記オーバーレイの吸収率の増加に伴い、前記ディスプレイの残りの領域全てに比べて向上する。このことにより、高い視認性を達成するためには、環境が明るくなればれるほど、前記層の吸収性を高くすべきであるという、直感的に考えれば逆であるかのように思われる奇抜な見解を得るに至った。このオーバーレイが発揮できる吸収性の限界は、「オン」セグメントによって発せられた光が、ディスプレイの使用環境における一般的な背景照明を下回り、よって観測者がこれを区別することができなくなった時点によって決定される。
【0059】
前記ディスプレイは、実質的なNDフィルターを利用している。厳密には、そして理論的には、真のNDフィルターとは、あらゆる光の周波数を等しく除去する(吸収する)フィルターである。しかしながら、実用上は、このように完全な中立性は容易には達成できないか、もしくは達成不可能である。NDフィルターとして一般に認められているほとんどのフィルターにおいて、可視スペクトルの範囲内において、最も高い吸収率と最も低い吸収率との間に差(20%に達する場合もある)が認められる。よって、本発明の目的に関しては、「ND(neutral-density)」という用語は、このような周波数依存の場合も含むものとするが、言うまでもなく、このような差はなるべく小さいことが好ましい。
【0060】
NDフィルターは、吸収する光の量の減少に伴い、その外見が、黒からチャコールグレーを経て極めて薄い灰色へと変化する。本発明に関しては、実際の環境において、本発明で使用されるNDフィルターの吸収効果は、簡便に75%〜85%の範囲としてもよく、最も好ましくは80%前後である(発せられた光の強度が当初の強度の20%まで低減し、さらにこの光の反射光の強度もまた20%まで低減し、その強度が周辺光レベルの4%となるようにするため)。このような吸収を達成すると共に、適度な柔軟性と薄型性を示す材料の典型的な例として、CPフィルム(CP Films)社のAT15GR HPR(AT15GR HPR)およびベカルト(Bekaert)社のブラックタイプNRチャコール17(Black type NR Charcoal 17)が挙げられる。
【0061】
鏡面反射層は、これとは異なる方法で作用する。「オン」セグメントの視認性を低減する別の要因は、ディスプレイの上面(外側の面)で反射される光である。これは、面発光型ディスプレイに関しては深刻な問題である。なぜなら、ディスプレイ内において「オン」セグメントから発せられた光は、前記ディスプレイ前面での反射光が発せられる面と同一の(あるいは、ほとんど同一の)面から発せられるからである。これに対し、その他のタイプのディスプレイにおいては、これらのディスプレイには奥行きがあり(「オン」部分が、明らかにディスプレイの前面よりかなり「下方」にある)、眼と脳の組み合わせはセグメントから発せられた光の面に集中しており、ディスプレイの前面で反射される光は無視する(写真撮影において使用される「プリング・フォーカス(pulling focus)」と似た技術)ことから、この問題は回避される。面反射効果を回避するためのさらに別の技術としては、高価で、かつ往々にして壊れやすい反射防止コーティングを使用することが挙げられる。しかしながら、上述の技術(「奥行きのある(deep)」発光要素、および反射防止コーティング)はいずれも、通常、低コストでかつフレキシブルであることが求められる面発光型のELディスプレイには適していない。本発明のこの態様は、光沢仕上げを用いて表面層の反射性を実際に高めるという驚くべき工程を用いている。
【0062】
鏡面反射面を備えたオーバーレイの使用は、光を拡散させることなく特定の方向に向けることによって効果を得るものである。したがって、眼は、前記ディスプレイ表面に「オン」セグメントの像を得ることができる。これは、その他の鏡面反射光は全て焦点が合わず、よって、ディスプレイの「オン」セグメントの視認性に対して極めてわずかな影響しかおよぼさないことを意味している。
【0063】
鏡面反射される光の光源が、太陽等のように、焦点が合っていない場合においても非常に明るい場合、ディスプレイをわずかに傾け、前記明るい物体をユーザーのもと以外のどこかに鏡面反射させるだけで、「オン」セグメントをユーザーに目視可能とすることができる。
【0064】
この発明は、ディスプレイの前面に非常に滑らかな(「光沢」)仕上げを施しさえすれば実施でき、先に述べた2種類のNDフィルター材料は、実際に光沢の強い、つやのある表面を有しており、所要の鏡面反射効果をもたらす。しかしながら、極端かつ好ましい一例においては、さらに別のコーティングを外面に設け、「銀被覆(silvered)」または「クロム被覆(chromed)」効果を示すメタリック仕上げ等、より効果の高い反射材料とする。
【0065】
ディスプレイをユーザーに対して垂直な方向に見た場合、ユーザーの顔で反射されて前記ディスプレイに衝突する光のみが、反射により真直ぐにユーザーの元に戻ってくる。この反射光は、通常、周辺光に比べて強度がずっと低いが、さらに、ユーザーが前記ディスプレイの前にいるのに対し明らかに前記ディスプレイのかなり背後にあり、焦点も合っていない。よって、ディスプレイの視認性に対し極めてわずかな影響しかおよぼさない。
【0066】
反射面は、反射する光の量がそれぞれ異なる。実際の環境においては、本発明で使用される鏡面反射オーバーレイの反射効果は、簡便に75%〜85%の範囲内としてもよく、最も好ましくは80%前後である。このような反射を達成すると共に、適度な柔軟性と薄型性を示す材料の典型的な例として、CPフィルム社のRS20SR HPR(RS20SR HPR)(スパッタリングによるメタリック仕上げに、光沢と傷防止効果を付与したアンチグレア保護オーバーレイを加えたプラスチックシートである)が挙げられる。
【0067】
この種の鏡面反射材料の別の例として、多層「放射」カラーフィルム(multilayer "radiant" colour film)を形成するものが挙げられる。このようなフィルムの使用は、本発明に基づくものである。前記鏡面仕上げに加え、このような材料(多層構造を有し、複数の層を通過し、各層の境界で少なくとも部分的に反射され、それ自身に干渉して、ある種の色のみを打ち消す光によって生成される干渉縞によって色が生じる)は、視角の変更に伴って透過率および色が変化する。このようにして、ユーザーが前記ディスプレイをわずかに傾けてユーザーの背後の明るい物体をユーザーのもと以外のどこかに鏡面反射させると、前記ディスプレイの色が変わり、前記ディスプレイの点灯領域と非点灯領域との間のコントラストが増加する。これにより、周辺光の輝度が高い条件下における前記ディスプレイの視認性が著しく向上する。さらに、前記材料はまっすぐに見た場合に透過性が高いため、周辺光の輝度が低い条件下においても、表示ははっきりと目視可能である。よって、全体輝度の低減が可能であり、寿命が延長され、これにより性能が向上される。
【0068】
このような多層「放射」色材料の典型的な例として、3M(ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング(Minnesota Mining and Manufacturing))社より市販されている透明3M ラジアント カラーフィルム(3M RADIANT Colour Film)または3M ラジアント ミラー フィルム(3M RADIANT Mirror Film)(タイプ:3MCM500、3MCM590[3M ラジアント カラーフィルム]および3MVM2002)が挙げられる。
【0069】
表示内容を明らかにするまで隠しておくことが所望されており、そのため、あるセグメントがオンに切り替えられて目視可能となるまで、前記ディスプレイは均一に何も表示しない状態とされる。
【0070】
白色仕上げの場合、白色は、可視スペクトル全体にわたって均一に光を強力に拡散させる材料を用いて形成されることから、これは極めて困難である。前記ディスプレイの画像が横方向に分散されることなく投射されない限り、前記画像は、白色フィルムを介して見た場合、非常にぼやけて見え、細部はかき消されてしまう。
【0071】
この問題に対する解決手段としては、レンズ系(lensing system)またはファイバー光学フェイスプレート(fibre optic face plate)を使用することが考えられる。しかしながら、これらはいずれも高価で嵩高であるため、ほとんどの実際の用途において実用的ではない。
【0072】
ELディスプレイに固有の特徴として、オンに切り替えられたセグメントから発せられた光は、観測者に関する限り、前記ディスプレイの表面から直接向かってくることが挙げられる。この特性を利用して、薄型、低コスト、フレキシブル、かつ軽量なディスプレイであって、オンに切り替えられて許容可能な忠実度で表示内容が目視可能とされるまでは、均一な白色に見えるをオフ状態にあるディスプレイを提供することができる。
【0073】
前記ディスプレイの光学的深さがセグメントの空間的広がりと比べて厚いという状況下では、オン状態のセグメントから発せられる光は発散し、前記白色層によって強力に拡散される。このことは、前記セグメントの空間的広がりが不鮮明になってはっきりしなくなることを意味する。
【0074】
上述したようなタイプのELディスプレイに関しては、前記ディスプレイの光学的深さはセグメントの空間的広がりと比べて薄く、よって、光が分散する機会がない。重ね合わせるフィルムの光学特性を正しく選択すれば、オン状態のディスプレイの画像からの光が、優れた忠実度で前記白色フィルムを通して放たれて視認される。
【0075】
前記白色層の特性は、以下のようなものでなくてはならない。
1)前記白色層は高拡散性である。
2)前記フィルムの高拡散要素が、ディスプレイにおける最小の構成部材の空間的広がりと比べて薄い。
3)前記高拡散フィルムが、可視スペクトルにおいて基本的に光を均一に拡散させる。
【0076】
好適な層は、4:1の混合比で白色インクと混合した光沢紫外線硬化ワニスを透明光沢ポリエステル(clear gloss polyester)上に1回の塗布でスクリーン印刷するか、リー・フィルター(Lee Filters)社のポリエステルフィルム220ホワイトフロスト2層によって構成することができる。
【0077】
以下、あくまでも例示目的で、本発明の様々な実施形態について添付の概略図面を参照しながら説明する。
【0078】
図1は、簡略化した従来技術のエレクトロルミネッセンスディスプレイの一部分を断面図で示している。ディスプレイは、薄い前面電極(12)と、その上に形成されたより厚いエレクトロルミネッセンス材料(蛍光体)層(13)を備えた透明保護基板(11)で構成されている。この蛍光体は、結合マトリックス(15)内に保持された顆粒状、粒状の材料(図中14)である。しかしながら、ここでは前記層そのものは、ディスプレイ全域にわたって設けられた連続した層として示している。
【0079】
前記蛍光体層13の背後(図中における上面側)には、厚い絶縁性セラミック層(16)が設けられ、この絶縁性セラミック層上には裏面電極(17)が形成されている。この裏面電極は、前記蛍光体層13と同様、ディスプレイ全域にわたって設けられた連続した電極である。
【0080】
使用時には、不透明なマスク(18)が、ディスプレイの前(図中では下)に配置される。このマスクは、成形された開口(図中19)により、前記蛍光体によって発せられた光(Ie)は各開口19を通過するが、その他の箇所では遮断される状態として、ディスプレイが表示する「画像」を決定する。
【0081】
図2は、基板11、透明前面電極12、連続した蛍光体層13、およびセラミック絶縁体層14を備えた同様のディスプレイであるが、薄くて細いリードトラック(図中22)を介してアドレス可能な多数の成形領域(21、ここでは一つの成形領域のみを示している)からなる画像決定裏面電極を備えたディスプレイの一部分を断面図で示している。成形されたパターン化裏面電極21の使用は、概念上は、個別の成形体21と前面電極11との間に直接存在している蛍光体の領域(図中A)のみが励起され、照明Ieが得られるということを意味している。しかしながら、実用上は、個別のリードトラック22は裏面電極としても機能するため、その下に設けられた蛍光体層からも若干の照明Ieが出力され、これにより表示が分かりづらくなる。この問題に対しては、図3に示すような方法で、すなわち、図2に示すディスプレイの「トラックを離間した」バージョンとすることで、少なくとも部分的には対処することができる。図3からわかるように、裏面電極の成形領域21は、絶縁材料の厚い層(31)に囲まれており、電極領域21につながるリードトラック32がその上面に形成されている。図3に示す実施形態において、トラック32が、図2の実施形態における同様のトラック22と比べ、蛍光体層13からかなり離れていることは明らかであり、これにより、トラック32の影響が小さくなる。よって、前記トラック32が原因となって発せられる光(ie)の量もまた小さくなり、場合によってはほとんど無視できる程度にまで低減される。
【0082】
リードトラックの影響を回避するための改良された構成を図4に示している。図4は、図2に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、蛍光体材料(43)の異なる個々の成形体(43)からなるパターン化された蛍光体層を用いて構成することでさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。図4から容易にわかるように、励起により、成形された蛍光体部分のみから光が発せられ、よって、原理上は、リードトラック22によって生じる電界によって光が発せられることはない。しかしながら、実用上は、前記蛍光体と裏面電極層である43と21との位置合わせが正確でない場合が考えられるため、短いトラック部分が関連する蛍光体の成形体43の一部に重なってしまう可能性がある。したがって、前記トラックによってもたらされる影響を最小限に抑えるためには、前記トラックを図3に示すような「持ち上げた」形態に構成することが最善であり、このような構成を図5に示している。
【0083】
本発明は、前記エレクトロルミネッセンス材料およびこれを取り囲む前記絶縁体材料のいずれか一方の色/反射性が、他方の色/反射性に適合するように変更されたエレクトロルミネッセンスディスプレイを提供する。この構成を、図6、7および8に示している。
【0084】
図6においては、セラミック絶縁体層(84)を蛍光体43の色に適合するように着色することでこのような変更を行ったバージョンを示している。図7は、蛍光体(93)をセラミック絶縁体14に適合するように着色した場合を示し、図8は、透明電極12上において、インク層(101)を成形領域からなる蛍光体43の周りに設け、前記インク層(101)と前記成形領域からなる蛍光体43の両方をセラミック絶縁体層14で覆った場合を示している。前記インク層101は、前記蛍光体43に適合するように着色されている。
【0085】
図9においては、蛍光体43の成形領域間における見かけ上のコントラストを低減するための若干異なる方法を示している。基板11の前面全体に、着色したフィルター層(111)が形成されている。前記フィルター層111は、前記ディスプレイに入射した外光(I0)が数個の界面、すなわち、フィルター・基板間である111・11の界面、基板・蛍光体間である11・43の界面、および基板・絶縁体間である11・14の界面(ここでは、非常に薄い透明電極12は無視している)で反射されて戻される挙動を、前記ディスプレイの最前面(前記フィルター111の前面)で反射される光(Il)が、「内部」のいずれの界面で反射される光(I2、I3)よりもはるかに大きくなり、かつ、基板・蛍光体の界面で反射される光I2の色および色相が、基板・絶縁体の界面で反射される光I3の色および色相に適合するように変更する。前記ディスプレイ(前記蛍光体43)が「オン」状態(アクティブ)である場合、前記蛍光体から出力される光(I4)は、いずれの反射光(特に、最前面の前記フィルター111で反射される光I1)よりも著しく大きい。
【0086】
先に述べたように、蛍光体43から発せられた光I4は前記フィルター111を1回通過するのに対し、近隣由来の反射光I2、I3は前記フィルターを2回通過しなければならず、結果として生じる蛍光体43のパターンの視認性は、「オフ」状態にある場合には、前記フィルターの吸光率の分だけ低減することがわかるだろう。この結果、この組み合わせを見た場合、連続した層であるかのような印象が得られる。
【0087】
また、前記蛍光体43から発せられた図中の光I4の色/色相が、ディスプレイの最前(前記フィルター)の面の反射光Ilの色/色相と同一にはならないように、前記フィルター111の反射率スペクトルの波長が、前記フィルターの透過率スペクトルと比べてずれていれば、クロミナンスコントラストによって視認性が向上される。
【0088】
図10は、図9に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、外側「着色」層と共に、着色した蛍光体および絶縁材料層を使用することによって、さらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【0089】
好ましい絶縁材料/誘電体(デュポン社の7153)は、無視できる程度の色相の広帯域リフレクタである。よって、白色光が照射されると想定した場合、赤、緑、青が等量反射され、青色フィルターを通して見ると、青い彩色のみが視認可能である。前記青色フィルター(ウルトラマーク(Ultramark)社製のPVC系の材料;575T134402)の透過スペクトルに適合する反射スペクトルを有するように、スタンプスダイレクト(Stamps Direct)社のインクX2ブルー(Ink X2 Blue)(一般的に「ソルベントブルー(Solvent Blue)」として知られている青色の商用バージョン)等の青色で染色した蛍光体層(例えば、デュポン社の8164)もまた、前記フィルターを通して青色と視認される。観察されるこれら2種類の青色は互いに適合し、前記蛍光体を、これを取り囲む誘電体から容易に識別することは不可能である。
【0090】
この特定の青色の場合に関しては、前記誘電体を極めて淡い青色(前記フィルターにおいては、より濃い形態の同一の青色が用いられている)に着色し、前記蛍光体を若干濃い色合いの同一の青色(特に、前記蛍光体の背後に設けられた前記誘電体の層により、前記蛍光体がさらに濃く見えるため)に着色することにより、前記効果が向上され、通常の照明の下では前記2つの構成部材の区別がほとんど不可能となることが分かっている。それぞれの場合において、前記蛍光体または誘電体約20mlにつき、せいぜい10滴程度と、ごく微量の青い彩色が添加された。
【0091】
より具体的には、ある特定の着色の例は、以下のように行われた。
【0092】
デュポン社の8164蛍光体(明るい緑色光を発する)の通常の外観は、明るい乳白色であり、デュポン社の7153誘電体の通常の外観は、コントラストの強い灰白色である。まず、このコントラストを低減するため、前記蛍光体と前記セラミック誘電体の両方を、ソルベントブルー染料(スタンプスダイレクト社のインクX2 パーマネントマーキングインク(Ink X2 permanent Marking ink))で着色した。ソルベントブルー染料は、前記蛍光体20mlに対して10滴、前記セラミック誘電体20mlに対して20滴用いた。これらの濃度は低いため、硬化した蛍光体にはほとんど色が付かず、一方、硬化したセラミックは、非常に淡いチョークブルーとなった。
【0093】
おそらく直感には反する結果であろうが、前記淡い青色のセラミックを前記薄く着色した蛍光体の背後に追加すると、前記蛍光体の前記見かけ上のコントラストは、染色を行わなかったコントロールと比べ、実際には著しく増加した。
【0094】
驚くべきことに、このような方法で着色した材料を用いて作成したディスプレイに青色フィルター(ウルトラマーク社の575/T134402)を重ねたところ、見かけ上のコントラストが、ほとんどなくなるか、あるいは全くなくなるまで低減し、常光下においては、前記蛍光体を、これを取り囲む誘電体から区別することは、不可能ではないにしても困難であった。
【0095】
図11において、多層ディスプレイ(112:見えるのは一部分のみである)を有する表示装置(概略的に111)の一部分を示している。ディスプレイ112は、その内部において表示要素(114:「オン」状態を図示)が他の構成材料(115)に取り囲まれているディスプレイ層(113)と、前記ディスプレイ層(113)の上面に形成された透過保護層(116)とを備えている。この上を覆っているのが、NDフィルター材料からなる外層(117)である。
【0096】
前記表示装置からユーザー(眼)に向かう光は、周辺光(118)と生成された光(119)の混合物である。反射された周辺光118は、まず外側から前記ディスプレイに衝突し、次にフィルター層117を透過して減衰し、前記透明保護層116を透過し、ディスプレイ材料115によって反射され、層116および117を再度透過して減衰した光である。これに対し、「オン」状態の表示要素114から発せられる光は、フィルター層117を(若干の減衰を伴って)1回だけ通過している。
【0097】
フィルター層117の使用により、前記ディスプレイのコントラスト(要素から発せられる光と反射される周辺光との間の強度差)が著しく増加することは明らかである
図12は、本発明の鏡面反射オーバーレイの使用を示している。図12は、強い周辺光の下で見た表示装置(概略的に121)を示している。周辺光(一方の側に配置された光源122から発せられたもの)は、前記表示装置の前面の鏡面性のため、全て他方の側に反射され、ユーザーに向かって反射される光は存在しないことは明白であろう。さらに、(ユーザー自身が反射層122に映ることによって生じる)ユーザーの像は、前記装置のかなり背後にあり、ユーザーがディスプレイを見るために焦点を合わせる面から外れており、問題にはならないことも明白であろう。
【0098】
ユーザーのすぐ後ろの周辺光光源から発せられる光(123)は、当然ながらユーザーの頭によって遮断され、よって視認されることはない。
【0099】
高拡散白色オーバーレイフィルムを使用したELランプの一例は、以下のように構成される。
【0100】
蛍光体層は、デュポン社製のパートNo.8164(Part No-8164)のハイブライトグリーン(High Bright Green)である。
【0101】
300 OhmのITOでコーティングされたPETは、ベカルト社のNV−CT−300、シェルダール(Sheldahl)社の157349、またはCPフィルム社のOC300で構成されている。
【0102】
前記高拡散白色オーバーレイフィルムは、4:1の混合比で白色インクと混合した光沢紫外線硬化ワニスを透明光沢ポリエステル上に1回の塗布でスクリーン印刷したものか、リー・フィルター社のポリエステルフィルム220ホワイトフロスト2層のいずれかである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、簡略化した従来技術のエレクトロルミネッセンスディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図2】図2は、図1に示す簡略化した従来技術のディスプレイに、裏面電極をパターン化するように改良を加えたバージョンの一部分を断面図で示している。
【図3】図3は、図2に示す簡略化した従来技術のディスプレイに、トラックを離間させるようにさらに改良を加えたバージョンの一部分を断面図で示している。
【図4】図4は、図2に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、パターン化された蛍光体層を備えるようにさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図5】図5は、図4に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、図3に示すように、トラックを離間させるようにさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図6】図6は、図5に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、本発明に基づきセラミック絶縁体層を「着色する」ことによってさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図7】図7は、図5に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、本発明に基づき、代替の方法として蛍光体層を「着色する」ことによってさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図8】図8は、図5に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、本発明に基づき、代替の方法として蛍光体層に色が適合したさらなる中間層を設けることによってさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図9】図9は、図5に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、本発明に基づき、代替の方法として外側「着色」層を使用することによってさらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図10】図10は、図9に示すものと同様の簡略化したディスプレイであるが、本発明に基づき、外側「着色」層に加えて、着色した蛍光体および絶縁材料層を使用することによって、さらに改良を加えたディスプレイの一部分を断面図で示している。
【図11】図11は、本発明のニュートラルフィルターオーバーレイを備えたディスプレイを示している。
【図12】図12は、本発明の鏡面反射フィルターオーバーレイを備えたディスプレイを示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロルミネッセンス材料の層が、二つの電極層の間に、前記二つの電極層から離間された状態で挟まれており、さらに、前記エレクトロルミネッセンス材料層が、前記ディスプレイの関連箇所に表示される画像に形状および大きさが適合する複数の別個の領域で構成され、前記各別個の領域は絶縁材料の層に取り囲まれているタイプのエレクトロルミネッセンスディスプレイであって、
前記エレクトロルミネッセンス材料およびこれを取り囲む前記絶縁体材料の一方および/または他方の色/反射性を、他方の色/反射性に適合するように変更、または見かけ上変更していることを特徴とするエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項2】
前記絶縁体材料の色/反射性を、前記蛍光体の色/反射性に適合するように変化させている請求項1に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項3】
前記絶縁体材料をインクまたは染料と混合し、前記蛍光体の励起されていない状態に適合するような色としている請求項2に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項4】
前記蛍光体材料の色/反射性を、前記絶縁体の色/反射性に適合するように変化させている請求項1に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項5】
前記蛍光体材料をインクまたは染料と混合し、前記絶縁体材料に適合するような色としている請求項4に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項6】
前記蛍光体材料と前記絶縁材料のそれぞれの色/反射性を、互いにより厳密に適合するように変更している請求項1に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項7】
使用される前記蛍光体材料が1種類の好適な色の材料と混合され、前記絶縁材料もまた好適な色の材料と混合されている請求項6に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項8】
前記蛍光体材料および前記絶縁体材料を、強さが異なる同一の色と混合する請求項7に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項9】
前記基板と前記絶縁体層との間に適切に着色した材料からなる層をさらに形成し、前記絶縁体層を効果的に視界から隠し、これにより、透明電極を通してこの組み合わせを見た場合、連続した層であるかのような印象が得られる請求項1〜8のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項10】
近隣から前記ディスプレイに入射した外光が前記ディスプレイを透過し反射される挙動を適切に変更するため、透明材料からなる前面フィルター/吸収層(オーバーレイ)を備えている請求項1〜9のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項11】
前記フィルター/吸収層が、前記基板自体の一部である請求項10に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項12】
前記フィルター/吸収層が、前記基板上に形成された追加の層である請求項10に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項13】
前記フィルター/吸収層が、外側に位置する前記基板の前面に形成されている請求項12に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項14】
前記フィルター/吸収層が、表示される個別の画像と位置合わせされた箇所にのみ配置されている請求項10〜13のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項15】
前記フィルターが、前記ディスプレイの表面全体を覆うように配置されている請求項10〜13のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項16】
前記ディスプレイの前面で反射される光が、前記ディスプレイ内部におけるいずれの界面で反射される光よりもはるかに大きい請求項10〜15のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項17】
基板・蛍光体の界面で反射される光の色および色相が、基板・絶縁体の界面で反射される光の色および色相に適合する請求項10〜16のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項18】
前記蛍光体から発せられた光の色/色相が、前記ディスプレイの最前面での反射光の色/色相と同一にはならないように、前記フィルターの反射率スペクトルの波長が、前記フィルターの透過率スペクトルと比べてずれている請求項10〜17のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項19】
前記前面フィルター/吸収層が、着色された透明材料で形成されている請求項10〜18のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項20】
前記構成部材が本質的に備えている反射性が高いほど、前記色はより濃くされる請求項19に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項21】
前記前面フィルターは、前記ディスプレイの点灯可能領域が「オン」になった際に前記点灯可能領域から発せられる光に適合する透過色(transmission colour)を有し、前記蛍光体および前記絶縁/誘電材料は、前記フィルターの透過色の補色に着色されている請求項19に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項22】
前記前面フィルター/吸収層がNDフィルター(neutral-density filter)である請求項10〜18のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項23】
前記NDフィルターの吸収率が75%〜85%である請求項22に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項24】
前記NDフィルターの吸収率が80%前後である請求項23に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項25】
前記前面フィルター/吸収層が鏡面反射前面を有している請求項10〜18または22〜24のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項26】
前記鏡面反射フィルター/吸収層が、多層「放射」カラーフィルム(multilayer "radiant" colour film)である請求項25に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項27】
前記鏡面反射フィルター/吸収層が高拡散白色層であり、前記フィルムの高拡散要素は、前記ディスプレイにおける最小の要素の空間的広がりよりも薄く、前記高拡散フィルムは、可視スペクトルにおいて基本的に均一に光を拡散させる請求項25に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項28】
前記鏡面反射オーバーレイの反射率が75%〜85%である請求項25、26または27に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項29】
前記鏡面反射オーバーレイの反射率が80%前後である請求項28に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項30】
前記透明前面電極の代わりに若干透明な薄い金属電極が使用されている請求項22〜29のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項31】
前面に極めて滑らかな仕上げが施されている請求項22〜30のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項32】
実質的なNDフィルターか外側を向いた鏡面反射面のいずれか一方、または両方を形成する透過型オーバーレイを備えた発光型ディスプレイ。
【請求項33】
前記発光型ディスプレイが、発光ダイオード(LED)ディスプレイである請求項32に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項34】
前記発光型ディスプレイが、バックライト付き液晶ディスプレイ(LCD)である請求項32に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項35】
前記発光型ディスプレイが、薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイである請求項32に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項36】
前記発光型ディスプレイが、エレクトロルミネッセンスディスプレイである請求項32に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項37】
請求項1〜36のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイを備えた手で保持できるコントローラ。
【請求項38】
前記エレクトロルミネッセンス材料が粒状蛍光体である請求項1〜37のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項39】
前記粒状蛍光体が、硫化亜鉛である請求項38に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項40】
前記粒状蛍光体が、カプセル封入粒子(encapsulated particles)の形態である請求項38または39に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項41】
前記エレクトロルミネッセンス材料の複数の別個の領域が、関連するキャラクタ決定セグメント同士のまとまりへとグループ化されている請求項1〜40のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項42】
前記関連するセグメントのグループが、近代的な電気および電子ディスプレイにおいて一般的に採用されている標準的な7セグメントグループである請求項41に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項43】
前記グループが配列に配置されている請求項41または42に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項1】
エレクトロルミネッセンス材料の層が、二つの電極層の間に、前記二つの電極層から離間された状態で挟まれており、さらに、前記エレクトロルミネッセンス材料層が、前記ディスプレイの関連箇所に表示される画像に形状および大きさが適合する複数の別個の領域で構成され、前記各別個の領域は絶縁材料の層に取り囲まれているタイプのエレクトロルミネッセンスディスプレイであって、
前記エレクトロルミネッセンス材料およびこれを取り囲む前記絶縁体材料の一方および/または他方の色/反射性を、他方の色/反射性に適合するように変更、または見かけ上変更していることを特徴とするエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項2】
前記絶縁体材料の色/反射性を、前記蛍光体の色/反射性に適合するように変化させている請求項1に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項3】
前記絶縁体材料をインクまたは染料と混合し、前記蛍光体の励起されていない状態に適合するような色としている請求項2に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項4】
前記蛍光体材料の色/反射性を、前記絶縁体の色/反射性に適合するように変化させている請求項1に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項5】
前記蛍光体材料をインクまたは染料と混合し、前記絶縁体材料に適合するような色としている請求項4に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項6】
前記蛍光体材料と前記絶縁材料のそれぞれの色/反射性を、互いにより厳密に適合するように変更している請求項1に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項7】
使用される前記蛍光体材料が1種類の好適な色の材料と混合され、前記絶縁材料もまた好適な色の材料と混合されている請求項6に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項8】
前記蛍光体材料および前記絶縁体材料を、強さが異なる同一の色と混合する請求項7に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項9】
前記基板と前記絶縁体層との間に適切に着色した材料からなる層をさらに形成し、前記絶縁体層を効果的に視界から隠し、これにより、透明電極を通してこの組み合わせを見た場合、連続した層であるかのような印象が得られる請求項1〜8のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項10】
近隣から前記ディスプレイに入射した外光が前記ディスプレイを透過し反射される挙動を適切に変更するため、透明材料からなる前面フィルター/吸収層(オーバーレイ)を備えている請求項1〜9のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項11】
前記フィルター/吸収層が、前記基板自体の一部である請求項10に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項12】
前記フィルター/吸収層が、前記基板上に形成された追加の層である請求項10に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項13】
前記フィルター/吸収層が、外側に位置する前記基板の前面に形成されている請求項12に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項14】
前記フィルター/吸収層が、表示される個別の画像と位置合わせされた箇所にのみ配置されている請求項10〜13のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項15】
前記フィルターが、前記ディスプレイの表面全体を覆うように配置されている請求項10〜13のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項16】
前記ディスプレイの前面で反射される光が、前記ディスプレイ内部におけるいずれの界面で反射される光よりもはるかに大きい請求項10〜15のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項17】
基板・蛍光体の界面で反射される光の色および色相が、基板・絶縁体の界面で反射される光の色および色相に適合する請求項10〜16のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項18】
前記蛍光体から発せられた光の色/色相が、前記ディスプレイの最前面での反射光の色/色相と同一にはならないように、前記フィルターの反射率スペクトルの波長が、前記フィルターの透過率スペクトルと比べてずれている請求項10〜17のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項19】
前記前面フィルター/吸収層が、着色された透明材料で形成されている請求項10〜18のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項20】
前記構成部材が本質的に備えている反射性が高いほど、前記色はより濃くされる請求項19に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項21】
前記前面フィルターは、前記ディスプレイの点灯可能領域が「オン」になった際に前記点灯可能領域から発せられる光に適合する透過色(transmission colour)を有し、前記蛍光体および前記絶縁/誘電材料は、前記フィルターの透過色の補色に着色されている請求項19に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項22】
前記前面フィルター/吸収層がNDフィルター(neutral-density filter)である請求項10〜18のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項23】
前記NDフィルターの吸収率が75%〜85%である請求項22に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項24】
前記NDフィルターの吸収率が80%前後である請求項23に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項25】
前記前面フィルター/吸収層が鏡面反射前面を有している請求項10〜18または22〜24のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項26】
前記鏡面反射フィルター/吸収層が、多層「放射」カラーフィルム(multilayer "radiant" colour film)である請求項25に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項27】
前記鏡面反射フィルター/吸収層が高拡散白色層であり、前記フィルムの高拡散要素は、前記ディスプレイにおける最小の要素の空間的広がりよりも薄く、前記高拡散フィルムは、可視スペクトルにおいて基本的に均一に光を拡散させる請求項25に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項28】
前記鏡面反射オーバーレイの反射率が75%〜85%である請求項25、26または27に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項29】
前記鏡面反射オーバーレイの反射率が80%前後である請求項28に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項30】
前記透明前面電極の代わりに若干透明な薄い金属電極が使用されている請求項22〜29のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項31】
前面に極めて滑らかな仕上げが施されている請求項22〜30のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項32】
実質的なNDフィルターか外側を向いた鏡面反射面のいずれか一方、または両方を形成する透過型オーバーレイを備えた発光型ディスプレイ。
【請求項33】
前記発光型ディスプレイが、発光ダイオード(LED)ディスプレイである請求項32に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項34】
前記発光型ディスプレイが、バックライト付き液晶ディスプレイ(LCD)である請求項32に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項35】
前記発光型ディスプレイが、薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイである請求項32に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項36】
前記発光型ディスプレイが、エレクトロルミネッセンスディスプレイである請求項32に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項37】
請求項1〜36のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイを備えた手で保持できるコントローラ。
【請求項38】
前記エレクトロルミネッセンス材料が粒状蛍光体である請求項1〜37のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項39】
前記粒状蛍光体が、硫化亜鉛である請求項38に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項40】
前記粒状蛍光体が、カプセル封入粒子(encapsulated particles)の形態である請求項38または39に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項41】
前記エレクトロルミネッセンス材料の複数の別個の領域が、関連するキャラクタ決定セグメント同士のまとまりへとグループ化されている請求項1〜40のいずれか1項に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項42】
前記関連するセグメントのグループが、近代的な電気および電子ディスプレイにおいて一般的に採用されている標準的な7セグメントグループである請求項41に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【請求項43】
前記グループが配列に配置されている請求項41または42に記載のエレクトロルミネッセンスディスプレイ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−501995(P2007−501995A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522416(P2006−522416)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003419
【国際公開番号】WO2005/015958
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(503183640)ペリコン リミテッド (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003419
【国際公開番号】WO2005/015958
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(503183640)ペリコン リミテッド (16)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]