説明

らせん軌道型飛行時間型質量分析計

【課題】本発明はらせん軌道型飛行時間型質量分析計に関し、らせん軌道型TOFMSにリフレクトロンを組み合わせることにより、中間収束点の位置を自由な位置に設定することができるらせん軌道型飛行時間型質量分析計を提供することを目的としている。
【解決手段】サンプルをイオン化するイオン源30と、イオンをパルス的に加速するための加速手段と、複数の扇形電場31〜34で構成され、イオンをらせん軌道で飛行させる分析部と、反射電場35と、イオンを検出する検出器36とで構成されるらせん軌道型飛行時間型質量分析計において、らせん軌道周回部で、空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすことのできるイオン光学系を設けると共に、イオン加速法による中間収束点がらせん軌道の周回上にないように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微量化合物の定量分析、定性分析及び試料イオンの構造解析分野に用いられるらせん軌道型飛行時間型質量分析計に関する。
【背景技術】
【0002】
(飛行時間型質量分析計)
飛行時間型質量分析計(TOFMS)では、イオンを一定のパルス電圧で加速する。この時、イオンの速度はその質量に依存するため、イオンは一定距離後に配置した検出器に質量に依存した飛行時間で到達する。TOFMSは、この飛行時間の違いにより質量を分析する装置である。
【0003】
図3は直線型TOFMSの説明図である。1はパルスイオン源であり、内部にパルス電圧発生器2が設けられている。ここで、パルスイオン源1で発生したイオンをパルス電圧発生器2でパルス的に加速すると、それぞれのイオンは空間を飛行し、検出器3に到達する。この場合において、質量の小さいイオンがより速度が速くなることから、検出器3には質量の小さいイオンから到着する。
【0004】
直線型TOFMSの場合、イオン源での空間及び運動エネルギーの広がりを検出面で時間収束させるようイオン光学系の設計を行なう。このような時間収束を実現できる方法としていくつかのイオン加速法が提案されている(例えば非特許文献1〜4参照)。
【0005】
TOFMSの質量分解能は、総飛行時間をT、ピーク幅をΔTとすると、
質量分解能=T/2ΔT (1)
で定義される。直線型TOFMSでは、装置の大型化につながることからTに制限があり、ΔTも実行飛行距離を伸ばすことで悪化するため、高質量分解能を得ることができない。
【0006】
このような直線型TOFMSの欠点を補うために、イオン源と検出器の間に反射電場を置くことにより飛行距離を延長すること、即ちTを大きくすることのできる反射型TOFMSも広く利用されている。
【0007】
図4は反射型TOFMSの説明図である。パルスイオン源1内のイオンは、パルス電圧発生器2でパルス的に加速される。加速されたイオンは、中間収束点Aを通り、リフレクトロン4の反射電場で反射され、検出器3に質量の小さいイオンから到着する。この場合において、反射電場で入射されたイオンが反射されるまでの距離だけ総飛行時間Tが伸びることになり、質量分解能が向上する。
【0008】
反射電場の形状には、一般的に1段型と2段型があり、どちらも運動エネルギー収束性を持つことが知られている。図5は1段型及び2段型リフレクトロンの説明図である。(a)が1段型であり、(b)が2段型である。1段型の場合、ポテンシャルは図に示すように、リフレクトロン中で直線的にVrefまで上昇している。2段型の場合、ポテンシャルは、図に示すように、リフレクトロン内でVref1まで上昇し、Vref1に到達したらVref2の勾配で上昇する。
【0009】
1段型の場合、リフレクトロン中におけるイオン進入距離(Lref)と進入距離の4倍の自由空間(Lffr)を組み合わせることにより運動エネルギー収束性が実現できる。また、2段型の場合は、1段目と2段目の電場を作る、ポテンシャルVref1とVref2を調節することにより、運動エネルギー収束を実現できる自由空間長を自由に設定できることが知られている。
【0010】
イオン光学系の設計を行なう場合、イオン加速法により一度時間収束点(以下中間収束点)をつくり、その後に反射電場と自由空間を組み合わせた運動エネルギー収束可能な系を設置することでΔTの広がりを防いでいる。以上の技術は、TOFMSの基本的な技術であり、詳しい説明がなされている(例えば非特許文献5)。
(らせん軌道型TOFMS)
TOFMS飛行時間型質量分の質量分解能は、(1)式で定義される。即ち、ピーク幅ΔTを一定にして、総飛行時間Tを伸ばすことができれば、質量分解能を向上させられる。しかしながら、従来の直線型、反射型のTOFMSでは、総飛行時間Tを伸ばすこと、即ち総飛行時間を伸ばすことは装置の大型化に直結する。装置の大型化を避け、かつ高質量分解能を実現するために開発された装置が多重周回型飛行時間型質量分析計(非特許文献6参照)である。
【0011】
この装置は、円筒電場にマツダプレートを組み合わせたトロイダル電場を4個用い、8の字型の周回軌道を多重周回させることにより、総飛行時間Tを伸ばすことができる。この装置では、1周回毎に空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすことのできるイオン光学系を採用しているため、飛行距離を伸ばすことによる時間的な広がり(ΔT)及びイオンビームの空間的な広がりを防いでいる。
【0012】
しかしながら、閉軌道を多重周回するTOFMSには、「追い越し」の問題が存在する。これは閉軌道を多重周回するため、軽いイオン(飛行速度大)が重いイオン(飛行速度小)を追い越してしまうことによりおこる。このため、検出面に軽いイオンから順に到着するというTOFMSの基本概念が通用しなくなる。
【0013】
この問題を解決するために考案されたのが、らせん軌道型TOFMSである。らせん軌道型TOFMSは、閉軌道の始点と終点を閉軌道に対して垂直方向にずらすことを特徴としている。これを実現するためには、イオンを始めから斜めに入射する方法(例えば特許文献1参照)や、デフレクタを用いて閉軌道の始点と終点を垂直方向にずらす方法がある(例えば特許文献2参照)。
(MALDI法と遅延引きだし法)
MALDI(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization)法は、使用するレーザー光波長に吸収帯をもつマトリックス(液体や結晶性化合物、金属粉等)に試料を混合融解させて固化し、これにレーザー照射して試料を気化或いはイオン化させる方法である。MALDI法に代表されるレーザーによるイオン化では、イオン生成時の初期エネルギー分布が大きく、これを時間収束させるため、遅延引き出し法が殆どの場合で用いられる。これはレーザー照射より数100ns程度遅れてパルス電圧を印加する方法である。
【0014】
図6はMALDI法と遅延引き出し法の説明図である。図において、10はサンプルプレート、11は該サンプルプレート10に固着されたサンプルである。14はイオンを加速するための中間電極、15はベース電極である。12はレーザー光を集束するレンズ1、13はレーザー光を反射するミラー1、16はイオン源から到着したイオンを検出する分析部である。17は、イオン源からの像を反射するミラー2、18は該ミラー2からの反射された像を集束するレンズ2、19はレンズ2を介して入ってくるサンプル11の像を観察するCCDカメラである。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0015】
サンプルプレート10上に、マトリックス(液体や結晶化合物、金属粉等)に試料を混合溶解させて固化したサンプル11を固着させる。サンプル11の状態が観察できるように、ミラー2、レンズ2、CCDカメラ19を配置している。レンズ1、ミラー1によりレーザー光をサンプル11に照射し、サンプル11を気化或いはイオン化する。生成したイオンは、加速電極(図示せず)に印加された電圧により加速され、TOFMSに導入される。
【0016】
次に、遅延引き出し法の飛行時間測定のシーケンスについて説明する。先ず、加速電極とサンプルプレート10の電位を同電位Vsにしておく。次に、レーザー発振を知らせるレーザーからの信号を受けてから、数100ns後に加速電極の電圧を高速で変化させ、サンプルプレート10と加速電極間に電位勾配を作り加速させる。この電位勾配は電位VsとV1間の勾配である。飛行時間計測の開始時間は、パルス電圧発生器の立ち上がり時間と同期させる。
【0017】
MALDI法では、初期運動エネルギー分布が大きいため、遅延引き出し法により中間収束点での時間収束性を向上させている。しかしながら、遅延引き出し法の欠点として、中間収束点での時間収束性に質量依存性があるため、質量分解能や質量精度を広質量範囲で得ることが難しいことがあげられる。この問題を解決する方法として、中間収束点をできるだけイオン源側に近づける等があげられる。
(垂直加速法)
MALDI法は、パルス的にイオンを生成するため、TOFMSとの相性が非常によい。しかしながら、質量分析法のイオン化法には、El,Cl,ESl,APClといった連続的にイオンを生成するイオン化法も数多くある。これらイオン化法とTOFMSを組み合わせるために開発されたのがOrthogonal Acceleration(垂直加速法)である。
【0018】
図7は垂直加速型TOFMSの説明図である。連続的にイオンを生成するイオン源20から生成したイオンビームは、数10eVの運動エネルギーで垂直加速部22に輸送される。垂直加速部22では、10kV程度のパルス電圧をパルス電圧源21により印加し、イオンをイオン源20からの輸送方向に対して垂直方向に加速して反射電場24に入力させ、反射させたイオンを検出器23に導く。パルス電圧印加開始時間から検出器23までの到達時間が、イオンの質量により異なることから質量分離を行なう。
【非特許文献1】Rev.Sci.Instrum,26,1150(1955)
【非特許文献2】Rapid Commun.Mass Spectram,8,865(1994)
【非特許文献3】Rapid Commun.Mass Spectram,3,155(1989)
【非特許文献4】So.Phys.JETP,3745(1973)
【非特許文献5】Time-of-Flight Mass Spectrometry,J.Cotter,American Chemical Society(1997)
【非特許文献6】J.Mass Spectram.Soc.Jpn,51,2(2003)349-353
【特許文献1】特開2000−243345号公報(段落0010〜0016、図1)
【特許文献2】特開2003−86129号公報(段落0010〜0022、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
1周回毎に空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすことのできるイオン光学系を採用したらせん軌道型TOFMSでは、周回部でイオン光学系が完結している。そのため、イオン加速法による中間収束点を周回中に持ってこなければならない。このため、中間収束点の位置が、イオン源からある程度離れた場所になる。しかしながら、この方法ではイオン加速による初期位置の広がりや初期運動エネルギーの広がりを時間収束させるという側面からは不利である。
【0020】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、らせん軌道型TOFMSにリフレクトロンを組み合わせることにより、中間収束点の位置を自由な位置に設定することができるらせん軌道型飛行時間型質量分析計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
(1)請求項1記載の発明は、サンプルをイオン化するイオン源と、イオンをパルス的に加速するための加速手段と、複数の扇形電場で構成され、イオンをらせん軌道で飛行させる分析部と、反射電場と、イオンを検出する検出器とで構成されるらせん軌道型飛行時間型質量分析計において、らせん軌道周回部で、空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすことのできるイオン光学系を設けると共に、イオン加速法による中間収束点がらせん軌道の周回上にないようにしたことを特徴とする。
(2)請求項2記載の発明は、前記イオン源でのイオン化法が、導電性のサンプルプレート上のサンプルをレーザー照射しイオン化することを特徴とする。
(3)請求項3記載の発明は、イオン源でのイオン化法が、MALDI法であることを特徴とする。
(4)請求項4記載の発明は、イオンを加速する手段に遅延引き出し法を用いることを特徴とする。
(5)請求項5記載の発明は、サンプルを連続的にイオン化するイオン源と、イオンを輸送する手段と、イオンを輸送方向に対して垂直方向にパルス的に加速するための手段と、複数の扇形電場で構成され、イオンをらせん軌道で飛行させる分析部と、反射電場と、イオンを検出する検出器とで構成されるらせん軌道型飛行時間型質量分析計において、らせん軌道周回部で、空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすことのできるイオン光学系を設けると共に、イオン加速法による中間収束点がらせん軌道の周回上にないようにしたことを特徴とする。
(6)請求項6記載の発明は、周回部のイオン光学系が、1周回毎に空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすことのできるイオン光学系を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
(1)請求項1記載の発明によれば、らせん軌道型飛行時間型質量分析計において、らせん軌道周回部で、空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすことのできるイオン光学系を設けると共に、イオン加速法による中間収束点がらせん軌道の周回上にないようにすねことにより、イオン加速による広がりや初期運動エネルギーの広がりを時間収束させることができ、イオン加速法による質量分解能、質量精度の向上を図ることができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、サンプルプレート上のサンプルをレーザー照射によりイオン化することができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、サンプルに対してマトリックスを用いたMALDI法を用いてイオン化することができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、遅延引き出し法を用いてイオンを加速することができる。
(5)請求項5記載の発明によれば、イオンを輸送方向に対して垂直方向に加速するらせん軌道型飛行時間型質量分析計において、空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすことのできるイオン光学系を設けると共に、イオン加速法による中間収束点がらせん軌道の周回上にないようにすることにより、イオン加速による広がりや初期運動エネルギーの広がりを時間収束させることができ、イオン加速法による質量分解能、質量精度の向上を図ることができる。
(6)請求項6記載の発明によれば、周回部が1周回毎に空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすイオン光学系を用いることにより、質量分析を正確に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態例を示す構成図である。(a)は装置をZ方向に見た図、(b)は(a)において矢印方向から見た図である。破線の矢印はイオン軌道である。図において、30はレーザービーム照射によりイオンを発生させるMALDIイオン源である。Bは中間収束点であり、MALDIイオン源30近傍に形成される。31はイオンを通過させる扇形電場1、32は扇形電場1を通過したイオンを通過させる扇形電場2、33は扇形電場2を通過したイオンを通過させる扇形電場3、34は扇形電場3を通過したイオンを通過させる扇形電場4である。
【0024】
35は扇形電場4を通過したイオンを受ける反射電場である。該反射電場35としては、例えばリフレクトロンが用いられる。36は該反射電場35を反射したイオンを検出する検出器である。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0025】
MALDIイオン源30にてサンプルをイオン化し、パルス電圧にて加速する。ここまでは、従来技術と同様である。イオン加速法による時間収束点Bは、TOFMSの周回部分ではなく、イオン加速部により近い位置に設定することができる。MALDIイオン源30から出射したイオンは、デフレクタ(図示せず)により角度調整され、扇形電場1に入射する。
【0026】
イオンは、扇形電場1から4を順次通過し、1周回する。この時、Z方向の位置が前周回とずれているため、周回を重ねながらZ方向に移動していき、らせん軌道を描く。そして、最終回の扇形電場4を通過したイオンは反射電場35を通過し、検出器36に到着してイオン検出される。
【0027】
この実施の形態例によれば、らせん軌道型飛行時間型質量分析計において、中間収束点BをMALDIイオン源30に近づけ、らせん軌道周回部で、空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすことのできるイオン光学系を設けると共に、イオン加速法による中間収束点がらせん軌道の周回上にないようにすねことにより、イオン加速による広がりや初期運動エネルギーの広がりを時間収束させることができ、イオン加速法による質量分解能、質量精度の向上を図ることができる。
【0028】
また、本発明によれば、周回部が1周回毎に空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすイオン光学系を用いることにより、質量分析を正確に行なうことができる。
図2は本発明の第2の実施の形態例を示す構成図である。(a)は装置をZ方向に見た図、(b)は(a)の矢印方向から見た図である。破線の矢印はイオン軌道である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、40はイオンを発生させるイオン源、41はイオン源40で発生したイオンを輸送するイオン輸送部、42はイオンを垂直方向に加速する垂直加速部である。31はイオンを通過させる扇形電場1、32は扇形電場1を通過したイオンを通過させる扇形電場2、33は扇形電場2を通過したイオンを通過させる扇形電場3、34は扇形電場3を通過したイオンを通過させる扇形電場4である。
【0029】
35は扇形電場4を通過したイオンを受ける反射電場である。該反射電場35としては、例えばリフレクトロンが用いられる。36は該反射電場35を通過したイオンを検出する検出器である。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0030】
イオン源40にてサンプルをイオン化し、イオン輸送部41で垂直加速部42に輸送する。ここまでは、従来の技術と同様である。イオン加速法による時間収束点はらせん軌道型TOFMSの周回部分ではなく、よりイオン加速部に近い位置に設定することができる。垂直加速部42から出射したイオンはデフレクタ(図示せず)により角度調整され、扇形電場1に入射する。
【0031】
イオンは扇形電場1から4を順次通過し、1周回する。この時、Z方向の位置が前周回とずれているため、周回を重ねながらZ方向に移動して、らせん軌道を描く。そして、最終回の扇形電場4を出射したイオンは、反射電場35を通過し、検出器36にてイオン検出される。
【0032】
このように、この実施の形態例によれば、イオンを輸送方向に対して垂直方向に加速するらせん軌道型飛行時間型質量分析計において、空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすことのできるイオン光学系を設けると共に、イオン加速法による中間収束点がらせん軌道の周回上にないようにすることにより、イオン加速による広がりや初期運動エネルギーの広がりを時間収束させることができ、イオン加速法による質量分解能、質量精度の向上を図ることができる。
【0033】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、らせん軌道型TOFMSにより、中間収束点をイオン源に近づけることにより、質量分解能と、質量精度の向上を図ると共に、イオン加速法による質量分解能、質量精度が悪化しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態例を示す構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態例を示す構成図である。
【図3】直線型TOFMSの説明図である。
【図4】反射型TOFMSの説明図である。
【図5】1段型及び2段型リフレクトロンの説明図である。
【図6】MALDI法と遅延引き出し法の説明図である。
【図7】垂直加速型TOFMSの説明図である。
【符号の説明】
【0035】
30 MALDIイオン源
31 扇形電場1
32 扇形電場2
33 扇形電場3
34 扇形電場4
35 反射電場
36 検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルをイオン化するイオン源と、イオンをパルス的に加速するための加速手段と、複数の扇形電場で構成され、イオンをらせん軌道で飛行させる分析部と、反射電場と、イオンを検出する検出器とで構成されるらせん軌道型飛行時間型質量分析計において、
らせん軌道周回部で、空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすことのできるイオン光学系を設けると共に、イオン加速法による中間収束点がらせん軌道の周回上にないようにしたことを特徴とするらせん軌道型飛行時間型質量分析計。
【請求項2】
前記イオン源でのイオン化法が、導電性のサンプルプレート上のサンプルをレーザー照射しイオン化することを特徴とする請求項1記載のらせん軌道型飛行時間型質量分析計。
【請求項3】
イオン源でのイオン化法が、MALDI法であることを特徴とする請求項2記載のらせん軌道型飛行時間型質量分析計。
【請求項4】
イオンを加速する手段に遅延引き出し法を用いることを特徴とする請求項2又は3記載のらせん軌道型飛行時間型質量分析計。
【請求項5】
サンプルを連続的にイオン化するイオン源と、イオンを輸送する手段と、イオンを輸送方向に対して垂直方向にパルス的に加速するための手段と、複数の扇形電場で構成され、イオンをらせん軌道で飛行させる分析部と、反射電場と、イオンを検出する検出器とで構成されるらせん軌道型飛行時間型質量分析計において、
らせん軌道周回部で、空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすことのできるイオン光学系を設けると共に、イオン加速法による中間収束点がらせん軌道の周回上にないようにしたことを特徴とするらせん軌道型飛行時間型質量分析計。
【請求項6】
周回部のイオン光学系が、1周回毎に空間収束条件及び時間収束条件を完全に満たすことのできるイオン光学系を用いることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のらせん軌道型飛行時間型質量分析計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−317375(P2007−317375A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142515(P2006−142515)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】