説明

りん測定方法とその装置

【課題】りん酸イオン態りんを連続的に精度よく安全に自動測定する。
【解決手段】りん測定装置1は試薬溶液としてモリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液が供されるフローインジェクション分析手段2aによって試料水中のりん酸イオン態りん濃度を電気化学的に測定する。フローインジェクション分析手段2aは、キャリアー液に前記試薬溶液または試料水を注入するためのインジェクションバルブ3と、前記キャリアー液と前記試薬溶液と前記試料水とを混合させる混合器4と、この混合器4から供給された試薬溶液と試料水との反応に基づく電流変化を検出するフローセル5とを備える。前記試薬溶液または混合液のモリブデン酸アンモニウム濃度は8〜10g/Lに調製される。前記試薬溶液または混合液の硫酸濃度は16〜24mL/Lに調製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶解性のりん酸イオン態りんをクーロメトリックタイプのフローセルを用いた電気化学測定法を検出系としたフローインジェクション分析法に関する。
【背景技術】
【0002】
水質総量規制制度は産業の集中、人口の増加等の影響で汚濁の著しい東京湾等の広域な閉鎖性水域を対象に、環境基準の確保を図るため、当該水域に流入する上流県等の内陸部からの負荷、生活排水等を含めた汚濁源について、汚濁負荷量の総量を統一的且つ効果的に削減することを目的として制定された。
【0003】
この制度は、昭和53年の水質汚濁防止法の改正により導入され、昭和55年から化学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand:COD)を対象項目とし、4次にわたり実施されてきた。
【0004】
その結果、東京湾に係る汚濁負荷量は着実に削減されてきたが、CODの環境基準の達成率は満足できる状況にはなく、また、赤潮等の窒素及びりんに起因する富栄養化に伴う問題も発生していることから、従来のCODに加えて新たに窒素含有量及びりん含有量も対象とした第5次の総量規制(目標年度:平成16年度)を実施することになった。
【0005】
りんは地中に広く存在する元素であるため、自然水中にも含まれているが、水中にりんが増加するのは、し尿、洗剤、肥料等に多量に含まれているため、生活排水、工場排水、農業排水等の混入に由来する場合が多い。
【0006】
りんは生物の増殖活動に重要な役割を果たしており、下水の生物処理において必須の元素である。しかし、りんは、湖沼、海域等の富栄養化を促進する一因とされており、水中のりん化合物の増加は好ましくない。
【0007】
水中のりんはオルトりん酸塩、メタりん酸塩、ピロりん酸塩、ポリりん酸塩等の無機性りん酸塩や、りん酸エステル、りん脂質等の有機性りん化合物等の様々な形態で存在する。
【0008】
りんの形態を分析方法に基づいて分類すると、りん酸イオン態りん、加水分解性りん及び全りんの3種類に分けられる。これはさらに溶解性と不溶解性に分類される。
【0009】
特に、りん酸イオン態りんの測定法としては、非特許文献1である日本下水道協会編「下水試験方法」にはモリブデン青吸光度法が記載されている。
【0010】
この方法はりん酸イオンがモリブデン酸アンモニウム及び酒石酸アンチモニルカリウムと反応して生成するヘテロポリ化合物をアスコルビン酸で還元し、生成したモリブデン青の吸光度を測定して、りん酸イオン態りん(P)を定量する方法である。多量の塩類を含む試料や、前処理によって多量の塩類を生じた試料に適している。
【0011】
(1)式に示したように、試料水(りん)をモリブデン酸アンモニウム溶液とアスコルビン酸の体積比が5:1になるように混合した混合液と反応させ、880nmの吸光度を測定する。前記モリブデン酸アンモニウム溶液はモリブデン酸アンモニウム四水和物と酒石酸アンチモニルカリウムと硫酸とアミド硫酸アンモニウムを含んでいる。空実験として試料水の代わりに水についても同様に880nmの吸光度が測定される。そして、試料水の吸光度の値から前記空実験で測定された吸光度の値が差し引かれ、検量線から試料水中のりんの量a(mg)が算出された後に、(2)式に基づき試料水中のりん酸イオン態りん濃度P(mg/L)が算出される。「りん酸イオン態りん」は水中のりん酸イオンをそのりん(P)の量で表したものである。(2)式記載のbは試料量(mL)を意味する。
【0012】
りん + (モリブデン酸アンモニウム溶液+アスコルビン酸) → 光(吸光度880nm) …(1)
P=a×(1000/b)…(2)
一方、電気化学測定法は電極上での酸化還元反応に伴う電流変化及び電圧変化を測定する方法で、無機化学、分析化学、有機化学、生物学、医学等の幅広い分野で利用されている。
【0013】
電気化学測定法は高感度測定が可能である反面、電極表面の汚染等により再現性が低下する問題がある。クーロメトリー測定法は試料水中の対象成分の全量を検出するため、再現性が低下する問題点が改善される特徴がある。
【0014】
フローインジェクション分析法は試薬溶液を一定流速で流して容量計測を行い、一定量の試料水を流れに注入して、テフロン(登録商標)等の配管をフラスコやビーカー等の反応容器に見立てて両液の混合と反応を行なう方法である。
【0015】
試薬溶液と測定に影響を与えない蒸留水等のキャリアー液を2本の流路を設け、試料水をキャリアー液の流れに導入する方式が一般的な構成である。
【0016】
これに対して、試薬溶液の代わりに試料水とキャリアー液を一定流速で流し、試薬溶液をキャリアー液の流れに導入する逆フローインジェクション分析法と呼ばれる方法や、高価な試薬を使用する場合には、試薬溶液をキャリアー液の流れに導入した後、検出器のところで一端、流れを停止するストップトフロー方式や単一の試料水流路に対して複数のキャリアー液、試薬溶液の流路を設けて多成分の分析を行なう方法等さまざまな方法が提案されている(非特許文献2)。
【0017】
フローインジェクション分析法は可動部分が少なく、動くのは溶液の方というのが特徴であるため装置化が容易である。
【非特許文献1】社団法人日本下水道協会編,「下水試験方法」,1997,pp.191
【非特許文献2】黒田六郎,小熊幸一,中村洋著,「フローインジェクション分析法」,共立出版株式会社,1990年9月,pp.50−117
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
りん酸イオン態りんを吸光度法で測定する場合、アスコルビン酸が不安定であるため、着色ガラス瓶に入れて保存する等、試薬の品質を保持するための維持管理が煩わしい。また、試料水(りん)とモリブデン酸アンモニウム溶液とアスコルビン酸の混合液との反応に15分間程度の反応時間が必要であるため、少なくとも15分以上の測定間隔が確保されないと測定できない。さらに、硝酸や亜硝酸の影響を受けるため、毒性の強い酒石酸アンチモニルカリウムやアミド硫酸アンモニウムの試薬が必要である等の問題がある。
【0019】
本発明は以上の事情に鑑みなされたもので、その目的は連続的に精度良く且つ安全に自動測定できるりん測定方法とその装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
そこで、請求項1のりん測定方法は、試薬溶液としてモリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液が供されるフローインジェクション分析によって試料水中のりん酸イオン態りん濃度を電気化学的に測定するりん測定方法であって、前記混合液のモリブデン酸アンモニウム濃度は8〜10g/Lであり、前記混合液の硫酸濃度は16〜24mL/Lであることを特徴とする。
【0021】
請求項2のりん測定方法は、請求項1のりん測定方法において、前記フローインジェクション分析はクーロメトリーを利用した電気化学的検出工程を有し、この電気化学的検出工程の印加電圧は290〜320mVであることを特徴とする。
【0022】
請求項3のりん測定方法は、請求項2のりん測定方法において、前記電気化学的検出工程に供される作用電極の長さは20mm以上であることを特徴とする。
【0023】
請求項4のりん測定方法は、請求項3のりん測定方法において、前記試薬溶液、試料水及びキャリアー液の流速は0.05〜0.5mL/分であることを特徴とする。
【0024】
請求項5のりん測定方法は、請求項4のりん測定方法において、前記フローインジェクション分析の試料量は100〜500μLであることを特徴とする。
【0025】
請求項6のりん測定方法は、請求項1から5のいずれかのりん測定方法において、試料水をクーロメトリータイプのフローセルによって試料水中の妨害物質を還元処理した後にフローインジェクション分析に供することを特徴とする。
【0026】
請求項7のりん測定方法は、請求項1から5のいずれかのりん測定方法において、前記試薬溶液をクーロメトリータイプのフローセルによって試薬溶液中の妨害物質を還元処理した後にフローインジェクション分析に供することを特徴とする。
【0027】
請求項8のりん測定方法は、請求項1から5のいずれかのりん測定方法前記キャリアー液をクーロメトリータイプのフローセルによってキャリアー液中の妨害物質を還元処理した後にフローインジェクション分析に供することを特徴とする。
【0028】
請求項9のりん測定装置は、試薬溶液としてモリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液が供されるフローインジェクション分析手段によって試料水中のりん酸イオン態りん濃度を電気化学的に測定するりん測定装置であって、前記フローインジェクション分析手段は、キャリアー液に前記試薬溶液または試料水を注入するための注入手段と、前記キャリアー液と前記試薬溶液と前記試料水とを混合させる混合器と、前記混合器から供給された試薬溶液と試料水との反応に基づく電流変化を検出するフローセルとを備え、前記試薬溶液または混合液のモリブデン酸アンモニウム濃度は8〜10g/Lであり、前記試薬溶液または混合液の硫酸濃度は16〜24mL/Lであることを特徴とする。
【0029】
請求項10のりん測定装置は、請求項9のりん測定装置において、前記フローインジェクション分析手段はクーロメトリーを利用した電気化学的検出手段を備え、この電気化学的検出手段の印加電圧は290〜320mVであることを特徴とする。
【0030】
請求項11のりん測定装置は、請求項10のりん測定装置において、前記電気化学的検出手段に係る作用電極の長さは20mm以上であることを特徴とする。
【0031】
請求項12のりん測定装置は、請求項11のりん測定装置において、前記試薬溶液、試料水及びキャリアー液の流速は0.05〜0.5mL/分であることを特徴とする。
【0032】
請求項13のりん測定装置は、請求項12のりん測定装置において、前記フローインジェクション分析の試料量は100〜500μLであることを特徴とする。
【0033】
請求項14のりん測定装置は、請求項9から13のいずれかのりん測定装置において、前記試料水を前記注入手段に供給する流路にクーロメトリータイプのフローセルが具備され、前記フローセルが前記試料水に含まれる妨害物質を還元処理することを特徴とする。
【0034】
請求項15のりん測定装置は、請求項9から13のいずれかのりん測定装置において、前記試薬溶液を前記混合器に供給する流路にクーロメトリータイプのフローセルが具備され、前記フローセルが前記試薬溶液中の妨害物質を還元処理することを特徴とする。
【0035】
請求項16のりん測定装置は、請求項9から13のいずれかのりん測定装置において、前記キャリアー液を前記注入手段に供給する流路にクーロメトリータイプのフローセルが具備され、前記フローセルが前記キャリアー液に含まれる妨害物質を還元処理することを特徴とする。
【0036】
請求項1〜16の発明によると、試料水中の溶解性のりん酸イオン態りんを希釈なしに0〜100mg/Lの範囲で測定できることが確認されている。前記試料水中の溶解性のりん酸イオン態りんは1.3〜2.3分間隔で連続測定できることが確認されている。前記排水中の溶解性のりん酸イオン態りんは変動係数が2%以内の精度で測定できることが確認されている。特に、請求項6〜8及び14〜16の発明によれば、妨害物質が還元処理されるので、より一層精度良く測定できる。また、公定法の吸光度法で必要とされる不安定なアスコルビン酸や毒性の強いアミド硫酸アンモニウムの試薬が不要である。さらに、硝酸や亜硝酸の影響を受けないので、公定法の吸光度法で必要とされるアミド硫酸アンモニウムの試薬が不要となる。また、水温が変化しても測定値が安定であることも確認されている。これにより、測定毎に標準液の調製に係る煩わしい手間や標準液による校正が必要でなくなる。
【発明の効果】
【0037】
請求項1〜16の発明によればりん酸イオン態りんを連続的に精度よく安全に自動測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
図1は本発明のりん測定方法の一実施形態を示した概略構成図である。
【0039】
本発明の一実施形態であるりん測定装置1はフローインジェクション分析によってりん酸イオン態りんを測定する。前記フローインジェクション分析は試薬溶液とキャリアー液を一定方向に流し、この流れの中に測定対象の試料水を導入して測定する方法である。試料水としては例えば下水処理場や食品製造業、繊維工業、化学工業等の製造業から排出された排水が挙げられる。
【0040】
りん測定装置1は試薬溶液としてモリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液が供されるフローインジェクション分析手段2aによって試料水中のりん酸イオン態りん濃度を電気化学的に測定する。フローインジェクション分析手段2aは、インジェクションバルブ3と混合器4とフローセル5とを備える。
【0041】
インジェクションバルブ3はキャリアー液と試薬溶液または試料水とを注入するための注入手段である。図示されたインジェクションバルブ3は六方ロータリーバルブタイプである。インジェクションバルブ3には流路として細管31〜35が接続されている。細管31はポンプP2によって供給されたキャリアー液を注入するための流路を構成する管である。細管32はポンプP3によって供給された試料水を注入するための流路を構成する管である。細管33はサンプルループを構成した管である。細管34は試料水を含んだキャリアー液を混合器4に供給するための流路を構成した管である。細管35はサンプルループからオーバーフローした試料水をドレイン部であるドレイン瓶7に移送するための管である。
【0042】
インジェクションバルブ3は、キャリアー液と試料水とを注入する形態となっているが、キャリアー液と試薬溶液とを注入するような形態にしてもよい。また、前記注入手段の形態は、インジェクションバルブ3のような六方ロータリーバルブタイプに限定されず、例えば注射器タイブや比例インジェクタータイプ等が挙げられる。
【0043】
混合器4は前記キャリアー液と前記試薬溶液と前記試料水とを混合する。混合器4としては電気化学検出を用いたフローインジェクション分析に供されている既知の混合器を用いればよい。混合器4には細管34と細管41,42が接続されている。細管41はポンプP1によって供給された試薬溶液を注入するための流路を構成する管である。細管42は混合器4から供給された試料水及び試薬を含んだキャリアー液をフローセル5に注入するための流路を構成する管である。
【0044】
フローセル5は混合器4から供給されたキャリアー液に含まれた試薬溶液と試料水との反応に基づく電流変化を検出する。フローセル5には細管42を介して供されたキャリアー液等をドレイン瓶7に移送するための細管51が接続されている。フローセル5における電流変化を検出するための印加電圧は例えば290〜320mVに設定される。フローセル5は内部に作用電極と参照電極と対極とを備える。作用電極と参照電極と対極としてはクーロメトリータイプ(全量検出)の分析に供されているフローセルに具備されている既知の電極を採用すればよい。作用電極としてはカーボン繊維からなるものが例示される。カーボン繊維からなる作用電極としては例えば長さが20mm以上である100本以上の束が内径5mmのバイコールガラス管内に収納されたものが採用される。前記参照電極としてはAg/AgClからなるものが例示される。前記対極としてはステンレス(SUS316)からなるものが例示される。
【0045】
前記試薬溶液のモリブデン酸アンモニウムの濃度は8〜10g/Lに調製される。一方、硫酸の濃度は16〜24mL/Lに調製される。前記キャリアー液としては試料水及び試薬溶液に対して不活性なものを使用すればよい。例えば蒸留水が挙げられる。前記試料水、試薬溶液及びキャリアー液の流速はそれぞれ0.05〜0.5mL/分に設定するとよい。また、前記フローインジェクション分析法の試料量は100〜500μLに設定するとよい。
【0046】
りん測定装置1の動作例について図1を参照しながら説明する。試薬溶液、キャリアー液及び試料水はそれぞれポンプP1,P2及びP3により、一定速度でドレイン部(ドレイン瓶7)まで送液される。サンプル瓶6内の試料水はポンプP3によって細管32を介してインジェクションバルブ3に供給される。インジェクションバルブ3で定量された試料水は細管31を介して供されたキャリアー液の流れに乗って細管33,34を介して混合器4に供給される。このとき、前記試料水に含まれるりん成分は細管41を介して注入された試薬溶液中のモリブデン酸アンモニウムと反応してモリブドリン酸を生成させる。前記生成したモリブドリン酸は細管42を介してフローセル5に到達すると、前記モリブドリン酸の還元反応に伴う電流変化が作用電極によって測定される。前記検出された還元電流値はポテンショスタット8を介して端末(PC)に送信されてデータ処理に供される。フローセル5を経由した試薬溶液及び試料水を含んだキャリアー液は細管51を介して廃液としてドレイン瓶7に導かれる。
【0047】
図2はフローインジェクション分析法で測定された還元電流のパターンを示した特性図である。図2は試料水としてリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)を用い、同一濃度のリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)を繰り返し3回づつ測定した結果である。測定値のパラメータは測定された還元電流の最大電流や電気量(電流積分値)である。
【0048】
還元電流のパターンは反応液の流速が速くなるとシャープになり、前記流速が遅くなるとブロードになる。したがって、フローインジェクション分析法では一般に反応液の流速が測定値の感度等を左右し、最適な反応液の流速の設定が必要である。
【0049】
(1)最適なモリブデン酸アンモニウム濃度
図3〜図8には試薬溶液中のモリブデン酸アンモニウムの最適濃度について検討された結果が示されている。図3〜図8に係る実験では図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表1に示された条件でモリブデン酸アンモニウム濃度が5〜10g/Lになるように、モリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液が試薬溶液として調製された。試料水にはりん酸イオン態りん濃度60mg/Lに調製されたリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)が用いれらた。この試料水は200μLと400μLの試料量でりん測定システム1のインジェクションバルブからキャリアー液に注入された。そして、電気量、最大電流及びバックグラウンド電流が測定された。
【0050】
【表1】

【0051】
図3は電気量に対するモリブデン酸アンモニウム濃度依存性(試料量200μm)を示した特性図であり。図4は最大電流に対するモリブデン酸アンモニウム濃度依存性(試料量200μm)を示した特性図である。図5はバックグラウンド電流に対するモリブデン酸アンモニウム濃度依存性(試料量200μm)を示した特性図である。
【0052】
図3の特性図から明らかなように、試料量が200μLである場合、モリブデン酸アンモニウム濃度が6μL以上で電気量が一定となることが確認された。図4の特性図から明らかなように、モリブデン酸アンモニウム濃度が増加するに伴って最大電流は上昇するが、図5の特性図に示されたように、モリブデン酸アンモニウム濃度が8g/L付近からバックグラウンド電流が急激に上昇することが確認できる。これはモリブデン酸アンモニウムの最適濃度が8g/L付近であることを示唆するものである。
【0053】
一方、図6は電気量に対するモリブデン酸アンモニウム濃度依存性(試料量400μm)を示した特性図である。図7は最大電流に対するモリブデン酸アンモニウム濃度依存性(試料量400μm)を示した特性図である。図8はバックグラウンド電流に対するモリブデン酸アンモニウム濃度依存性(試料量400μm)を示した特性図である。
【0054】
試料量が400μLである場合、図6の特性図から明らかなように、モリブデン酸アンモニウム濃度が7g/L以上で電気量が一定となることが確認された。また、図7の特性図から明らかなように、試料量が200μLである場合と異なり、最大電流はモリブデン酸アンモニウム濃度が8g/L付近から一定となることが確認された。バックグラウンド電流は図8の特性図から明らかなようにモリブデン酸アンモニウム濃度が7〜8g/Lから急激に上昇するため、モリブデン酸アンモニウム濃度は8g/L付近が適していることが示された。
【0055】
図9〜図12には図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表2に示された条件で0〜100mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)が測定された結果が示されている。
【0056】
【表2】

【0057】
図9は試薬溶液のモリブデン酸アンモニウム濃度が4g/Lである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図10は試薬溶液のモリブデン酸アンモニウム濃度が6g/Lである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図11は試薬溶液のモリブデン酸アンモニウム濃度が8g/Lである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図12は試薬溶液のモリブデン酸アンモニウム濃度が10g/Lである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。
【0058】
図9〜図12の特性図から明らかなように、モリブデン酸アンモニウム濃度が8〜10g/Lの場合、0〜100mg/Lのリン標準液が測定できることが確認できるが、試薬量は少量であることが望ましいことを考慮すると、モリブデン酸アンモニウム濃度は8g/Lが最適であることがわかる。尚、図9〜図12に表記された回帰直線のパラメータyは電気量(mC)を意味し、パラメータxはリン標準液濃度(mg/L)を意味する。
【0059】
(2)最適な硫酸濃度
図13には試薬溶液中の硫酸の最適濃度について検討された結果が示されている。
【0060】
図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表3に示された条件で硫酸濃度が4〜56mL/Lとなるようにモリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液が試薬として調製された。試料水としては4mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)がインジェクションバルブから注入され、最大電流が測定された。
【0061】
【表3】

【0062】
図13の特性図から明らかなように硫酸濃度は16〜24mL/Lが最適であることがわかる。
【0063】
(3)最適な印加電圧
印加電圧はバックグラウンドや感度等を左右するので、最適な印加電圧が設定されなけらばならない。図14には最適な印加電圧について検討された結果が示されている。
【0064】
図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表4に示された条件でモリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液を試薬溶液とし、インジェクションバルブから試料水として10mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)が注入された。印加電圧は400mV〜290mVまで変化され、ハイドロダイナミックボルタグラムが求められた。また、図15に印加電圧とバックグラウンド電流との関係を示した特性図を開示した。
【0065】
【表4】

【0066】
図14の特性図から明らかなように、印加電圧は変動がほとんどなくなる320mV以下が適値であることが確認できる。また、図15の特性図から印加電圧の減少に伴ってバックグラウンド電流が上昇することが確認できる。以上のことから印加電圧は290〜320mVが適していることが示された。
【0067】
図16〜図19には図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表5に示された条件のもと290〜320mVの印加電圧で10〜50mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)が測定された結果が示されている。
【0068】
【表5】

【0069】
図16は印加電圧が290mVである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図17は印加電圧が300mVである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図18は印加電圧が310mVである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図19は印加電圧が320mVである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。
【0070】
図16〜図19に示された決定係数(R2)がいずれもR2>0.9であるので、表4及び表5の条件において、印加電圧が290〜320mVの範囲であれば精度よく測定できることを示している。図16〜図19に表記された回帰直線のパラメータyは電気量(mC)を意味し、パラメータxはリン標準液濃度(mg/L)を意味する。印加電圧は例えば試薬濃度等の条件が異なると最適印加電圧は変動するので、条件を変化した時には、その都度、ハイドロダイナミックボルタグラムを求めて最適な印加電圧を求める必要がある。
【0071】
(4)カーボン繊維の長さの影響
カーボン繊維の長さはモリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液と試料水(りん)との反応により生成したモリブドリン酸の還元反応率に影響する。流速が速く、モリブドリン酸がフローセル内に滞留する時間が短くなるため、全電解できず測定値が低くなる可能性がある。
【0072】
図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表6に示された条件で50mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)の電気量が測定された。
【0073】
【表6】

【0074】
図20はモリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液を試薬溶液とし、インジェクションバルブから試料水として50mg/Lのリン酸標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)が注入され、作用電極の長さと流速を変化させて電気量を測定した結果を示す。
【0075】
図20の特性図によれば、モリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液と50mg/L以下の濃度のリン酸標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)は作用電極の長さが20mm以上あれば流速が0.2〜1.0mL/分の範囲で完全に電気分解できることが確認できる。
【0076】
(5)流速の影響
図2の還元電流のパターンから明らかなように、反応液の流速が速くなるとシャープになり、前記流速が遅くなるとブロードになる。フローインジェクション分析法では一般に流速は測定値の感度等を左右するので、最適な流速を設定しなければならない。
【0077】
前記流速は混合器内においてモリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液と試料水(りん)との反応により生成するモリブドリン酸の生成率を左右すると共にフローセル内の作用電極上での還元反応率に影響する。
【0078】
図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表7に示された条件で0〜50mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)の電気量が測定された。
【0079】
【表7】

【0080】
図21〜図28にはモリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液を試薬溶液とし、インジェクションバルブから試料水として0〜50mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)が注入され、流速が0.05〜0.5mL/分に変化されて電気量が測定された結果が示されている。
【0081】
図21は流速が0.5mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図22は流速が0.4mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図23は流速が0.3mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図24は流速が0.25mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図25は流速が0.2mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図26は流速が0.15mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図27は流速が0.1mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図28は流速が0.05mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。尚、図21〜図28に表記された回帰直線のパラメータyは電気量(mC)を意味し、パラメータxはリン標準液濃度(mg/L)を意味する。
【0082】
図21〜図27に示された決定係数(R2)がいずれもR2>0.9であることから、流速が0.1〜0.5mL/分の範囲で、0〜50mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)の測定が可能であることがわかる。
【0083】
(6)試料量
図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表8に示された条件で試料水として0〜50mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)がインジェクションバルブから100μL、200μL、500μLの試料量で注入されたときの電気量が測定された。
【0084】
【表8】

【0085】
図29は流速が0.3mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。図30は流速が0.6mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図である。これらの特性図から試料量は100〜500μLの範囲で試薬溶液(モリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液)と反応して完全に電気分解できることが示された。
【0086】
(7)温度の影響
図31には図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表9に示された条件で試料水温度を恒温槽によって5〜40℃に変化させて、試料水として20mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)が200μLの試料量でインジェクションバルブ3から注入されたときの電気量を測定した結果が示されている。
【0087】
【表9】

【0088】
図31の特性図から明らかなように試料水は5〜40℃の範囲で水温が変化しても測定値には影響しないことが確認された。
【0089】
(8)測定感度
図32には図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表10に示された条件で0〜4mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)の電気量を測定した結果が示されている。尚、図示された回帰直線のパラメータyは電気量(mC)を意味し、パラメータxはリン標準液濃度(mg/L)を意味する。
【0090】
【表10】

【0091】
図32の特性図から明らかなようにリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)濃度が0.5mg/Lの場合の電気量と、0mg/Lの場合の電気量との差異が1mC以上であるので、少なくとも測定感度は0.5mg/L以下まで測定可能であると判断できる。
【0092】
(9)測定範囲
図33には図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表11に示された条件で0〜100mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)の電気量を測定した結果が示されている。尚、図示された回帰直線のパラメータyは電気量(mC)を意味し、パラメータxはリン標準液濃度(mg/L)を意味する。
【0093】
【表11】

【0094】
図33の特性図から明らかなようにリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)濃度が100mg/Lまで測定可能であることが示されており、測定範囲はリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)濃度で0〜100mg/Lであると判断できる。
【0095】
(10)測定精度
図34には図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表12に示された条件で下水処理場の曝気槽下水のろ過水を15分間隔でりん濃度(mg/L)を7時間連続測定した結果が示されている。
【0096】
【表12】

【0097】
図34の特性図から明らかなように29回の測定値の変動係数は1.4%となり良好な再現性で測定できることが示された。
【0098】
また、表12の条件で別の日に採水した下水処理場の曝気槽下水のろ過水を15分間隔で6時間連続的に測定した結果を図35に示した。図35の特性図から明らかなように25回の測定値の変動係数は0.6%となり良好な再現性で測定できることが示された。
【0099】
(11)測定間隔
図36には図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表13に示された条件のもとモリブデン酸アンモニウムと硫酸とが混合されて試薬溶液が調製され、試料水として60mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)が5分間隔でインジェクションバルブからキャリアー液に注入されて還元電流が測定された結果が示されている。
【0100】
【表13】

【0101】
図36の特性図から明らかなように測定間隔が5分でも直前に測定した試料の影響を受けずに測定できることが示された。
【0102】
また、図37〜図40には図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表14に示された条件のもとモリブデン酸アンモニウムと硫酸とが混合されて試薬溶液が調製され、試料水として60mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)が1.3分〜2.3分間隔でインジェクションバルブからキャリアー液に注入されて還元電流が測定された結果が示されている。
【0103】
【表14】

【0104】
図37〜図40の特性図から明らかなように測定間隔が1.3分〜2.3分でも直前に測定した試料の影響を受けずに測定できることが示された。
【0105】
さらに、図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表15に示された条件のもとモリブデン酸アンモニウムと硫酸とが混合されて試薬溶液が調製され、試料水として60mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)400μLと蒸留水400μLが交互に2.3分間隔で繰り返し3回インジェクションバルブからキャリアー液に注入され、その直前に測定された60mg/Lのリン標準液(りん酸二水素カリウム水溶液)の影響が蒸留水の測定値に影響するか、いわゆるテーリングの影響があるかについて試験された。
【0106】
【表15】

【0107】
図41は前記試験の結果を示す。この特性図から明らかなように直前に測定した試料の影響を受けずに測定できることが示された。
【0108】
(12)公定法との相関性
図42には図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表16に示された条件で下水処理場の曝気槽下水のろ過水を公定法(吸光度法)と本測定法で測定した値の相関関係が示されている。尚、図示された回帰直線のパラメータyは電気量(mC)を意味し、パラメータxはリン標準液濃度(mg/L)を意味する。
【0109】
図42の特性図から明らかなように決定係数R2は0.9992、回帰直線の傾きが0.9964で1に近い値を示しており、公定法と同等の測定精度が実現することが確認された。
【0110】
【表16】

【0111】
(13)標準曲線(検量線)
図43には図1のりん測定システム1の構成要素からなる実験系において表17に示された条件で0〜50mg/Lのリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)の電気量を4回、測定日を変えて測定した結果が示されている。
【0112】
表18には測定結果の回帰式と相関係数が示されている。表に示された回帰直線のパラメータyは電気量(mC)を意味し、パラメータxはリン標準液濃度(mg/L)を意味する。また、表19にはリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)の各濃度に対する電気量がそれぞれの検量線から算出された場合の電気量の変動係数が示されている。
【0113】
表19に示されたようにリン標準液(リン酸二水素カリウム水溶液)濃度に対する電気量は測定日が異なっていても変動係数は1%程度で、ほとんど変動がなく、測定毎に標準液の測定を行なわなくてもよいことが示されている。
【0114】
以上のように検量線が安定しているので、測定ごとに標準液の調製にかかる煩わしい操作や標準液の校正が必要でないことが示された。
【0115】
【表17】

【0116】
【表18】

【0117】
【表19】

【0118】
図44は本発明のりん測定方法の一実施形態に係るりん測定装置の概略構成図である。
【0119】
りん測定装置10のフローインジェクション分析手段2bはりん測定装置1に係るフローインジェクション分析手段2aの構成要素にクーロメトリックタイプのフローセル11が具備されている。フローセル11はポンプP3とインジェクションバルブ3とを連結している細管32に具備されている。
【0120】
フローセル11はフローセル5と同様に作用電極と参照電極と対極とを備える。フローセル11は作用電極、参照電極及び対極の間で起こる酸化還元反応によって試料水に含まれる次亜塩素酸イオン等に例示される妨害物質を還元処理する。フローインジェクション分析手段2bは、フローセル11で妨害物質を測定するシステムを例示しているが、妨害物質を測定するために試薬が必要な場合には、ポンプP3とフローセル11とを連結している細管32の間に混合容器を具備し、前記試薬を導入できるようにすることもできる。また、試薬溶液中に妨害物質が含まれているおそれがある場合には細管41にフローセル11と同タイプのクーロメトリックタイプのフローセルが具備される。さらに、キャリアー液中に妨害物質が含まれているおそれがある場合には細管31にフローセル11と同タイプのクーロメトリックタイプのフローセルが具備される。以上のように試料水、試薬溶液及びキャリアー液に含まれる妨害物質はインジェクションバルブ3または混合器4に供給する前に還元除去されて、試料水中のりん酸イオン態りん濃度が精度よく測定される。
【0121】
図44に示されたりん測定装置10の動作例について説明する。試薬溶液、キャリアー液及び試料水はそれぞれポンプP1,P2及びP3により、一定速度でドレイン部(ドレイン瓶7)まで送液される。サンプル瓶6内の試料水はポンプP3によって細管32を介してインジェクションバルブ3に供給される。この過程でフローセル11は試料水に含まれる妨害物質を還元除去する。インジェクションバルブ3で定量された試料水は細管31を介して供されたキャリアー液の流れにのって細管33,34を介して混合器4に供給される。このとき、前記試料水に含まれるりん成分は細管41を介して注入された試薬溶液中のモリブデン酸アンモニウムと反応してモリブドリン酸を生成させる。前記生成したモリブドリン酸は細管42を介してフローセル5に到達すると、前記モリブドリン酸の還元反応に伴う電流変化が作用電極によって測定される。前記検出された還元電流値はポテンショスタット8を介して端末(PC)に送信されてデータ処理に供される。フローセル5を経由した試薬溶液及び試料水を含んだキャリアー液は細管51を介して廃液としてドレイン瓶7に導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明のりん測定方法の一実施形態を示した概略構成図。
【図2】フローインジェクション分析法で測定された還元電流のパターンを示した特性図。
【図3】電気量に対するモリブデン酸アンモニウム濃度依存性(試料量200μm)を示した特性図。
【図4】最大電流に対するモリブデン酸アンモニウム濃度依存性(試料量200μm)を示した特性図。
【図5】バックグラウンド電流に対するモリブデン酸アンモニウム濃度依存性(試料量200μm)を示した特性図。
【図6】電気量に対するモリブデン酸アンモニウム濃度依存性(試料量400μm)を示した特性図。
【図7】最大電流に対するモリブデン酸アンモニウム濃度依存性(試料量400μm)を示した特性図。
【図8】バックグラウンド電流に対するモリブデン酸アンモニウム濃度依存性(試料量400μm)を示した特性図。
【図9】試薬溶液のモリブデン酸アンモニウム濃度が4g/Lである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図10】試薬溶液のモリブデン酸アンモニウム濃度が6g/Lである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図11】試薬溶液のモリブデン酸アンモニウム濃度が8g/Lである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図12】試薬溶液のモリブデン酸アンモニウム濃度が10g/Lである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図13】試薬溶液の硫酸濃度と最大電流値との関係を示した特性図。
【図14】印加電圧と電気量との関係を示した特性図。
【図15】印加電圧とバックグラウンド電流との関係を示した特性図。
【図16】印加電圧が290mVである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図17】印加電圧が300mVである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図18】印加電圧が310mVである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図19】印加電圧が320mVである場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図20】作用電極と電気量との関係を示した特性図。
【図21】流速が0.5mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図22】流速が0.4mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図23】流速が0.3mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図24】流速が0.25mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図25】流速が0.2mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図26】流速が0.15mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図27】流速が0.1mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図28】流速が0.05mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図29】流速が0.3mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図30】流速が0.6mL/分である場合のリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図31】測定値に及ぼす試料水温度の影響を示した特性図。
【図32】測定感度を示した特性図。
【図33】リン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図34】測定精度を示した特性図。
【図35】測定精度を示した特性図。
【図36】5分間隔で還元電流を連続測定した結果を示した特性図。
【図37】1.3分間隔で還元電流を連続測定した結果を示した特性図。
【図38】1.4分間隔で還元電流を連続測定した結果を示した特性図。
【図39】1.6分間隔で還元電流を連続測定した結果を示した特性図。
【図40】2.3分間隔で還元電流を連続測定した結果を示した特性図。
【図41】蒸留水とリン標準液の電気量を示した特性図。
【図42】本発明に係る測定法と公定法との相関性を示した特性図。
【図43】繰り返し測定されたリン標準液濃度と電気量との関係を示した特性図。
【図44】本発明のりん測定方法の一実施形態を示した概略構成図。
【符号の説明】
【0123】
1,10…りん測定装置
2a,2b…フローインジェクション分析手段
3…インジェクションバルブ
4…混合器
5,11…フローセル
6…サンプル瓶
7…ドレイン瓶
8…ポテンショスタット
9…端末(PC)
31〜35,41,42,51…細管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬溶液としてモリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液が供されるフローインジェクション分析によって試料水中のりん酸イオン態りん濃度を電気化学的に測定するりん測定方法であって、
前記混合液のモリブデン酸アンモニウム濃度は8〜10g/Lであり、
前記混合液の硫酸濃度は16〜24mL/Lであること
を特徴とするりん測定方法。
【請求項2】
前記フローインジェクション分析はクーロメトリーを利用した電気化学的検出工程を有し、この電気化学的検出工程の印加電圧は290〜320mVであること
を特徴とする請求項1記載のりん測定方法。
【請求項3】
前記電気化学的検出工程に供される作用電極の長さは20mm以上であること
を特徴とする請求項2記載のりん測定方法。
【請求項4】
前記試薬溶液、試料水及びキャリアー液の流速は0.05〜0.5mL/分であること
を特徴とする請求項3記載のりん測定方法。
【請求項5】
前記フローインジェクション分析の試料量は100〜500μLであること
を特徴とする請求項4記載のりん測定方法。
【請求項6】
試料水をクーロメトリータイプのフローセルによって試料水中の妨害物質を還元処理した後にフローインジェクション分析に供すること
を特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のりん測定方法。
【請求項7】
前記試薬溶液をクーロメトリータイプのフローセルによって試薬溶液中の妨害物質を還元処理した後にフローインジェクション分析に供すること
を特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のりん測定方法。
【請求項8】
前記キャリアー液をクーロメトリータイプのフローセルによってキャリアー液中の妨害物質を還元処理した後にフローインジェクション分析に供すること
を特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のりん測定方法。
【請求項9】
試薬溶液としてモリブデン酸アンモニウムと硫酸の混合液が供されるフローインジェクション分析手段によって試料水中のりん酸イオン態りん濃度を電気化学的に測定するりん測定装置であって、
前記フローインジェクション分析手段は、キャリアー液に前記試薬溶液または試料水を注入するための注入手段と、前記キャリアー液と前記試薬溶液と前記試料水とを混合させる混合器と、前記混合器から供給された試薬溶液と試料水との反応に基づく電流変化を検出するフローセルとを備え、
前記試薬溶液または混合液のモリブデン酸アンモニウム濃度は8〜10g/Lであり、
前記試薬溶液または混合液の硫酸濃度は16〜24mL/Lであること
を特徴とするりん測定装置。
【請求項10】
前記フローインジェクション分析手段はクーロメトリーを利用した電気化学的検出手段を備え、この電気化学的検出手段の印加電圧は290〜320mVであること
を特徴とする請求項9記載のりん測定装置。
【請求項11】
前記電気化学的検出手段に係る作用電極の長さは20mm以上であること
を特徴とする請求項10記載のりん測定装置。
【請求項12】
前記試薬溶液、試料水及びキャリアー液の流速は0.05〜0.5mL/分であること
を特徴とする請求項11記載のりん測定装置。
【請求項13】
前記フローインジェクション分析の試料量は100〜500μLであること
を特徴とする請求項12記載のりん測定装置。
【請求項14】
前記試料水を前記注入手段に供給する流路にクーロメトリータイプのフローセルが具備され、
前記フローセルが前記試料水に含まれる妨害物質を還元処理すること
を特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載のりん測定装置。
【請求項15】
前記試薬溶液を前記混合器に供給する流路にクーロメトリータイプのフローセルが具備され、
前記フローセルが前記試薬溶液中の妨害物質を還元処理すること
を特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載のりん測定装置。
【請求項16】
前記キャリアー液を前記注入手段に供給する流路にクーロメトリータイプのフローセルが具備され、
前記フローセルが前記キャリアー液に含まれる妨害物質を還元処理すること
を特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載のりん測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2008−196873(P2008−196873A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29984(P2007−29984)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(591031212)北斗電工株式会社 (20)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】