説明

りん酸とシリカイオン存在下における希薄砒素濃度の測定方法

【課題】 鉱山廃水などに含まれることがある低濃度の砒素を短時間で検出する。
【解決手段】 りん酸とシリカイオンが存在する試料液中の希薄な砒素濃度を、モリブデン酸アンモニウムを使ったフローインジェクション分析に基づいて測定する方法であり、前記試料を酸化剤、又は還元剤と反応させる第一段階と、前記反応させた試料を発色剤と反応させる第二段階とからなる。発色剤との反応温度は約70℃、反応時間は約1.4分間である。試料液、標準液、酸化剤、及び還元剤溶液はキャリア(水)によって測定用の管路へ運び、発色剤溶液及びキャリアにドデシル硫酸ナトリウムを溶解添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱山廃水などに含まれることがある、低濃度の砒素を短時間で検出する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
砒素は常温では固体で、最も安定で金属光沢のあるため金属砒素とも呼ばれる「灰色砒素」、ニンニク臭があり透明なロウ状の柔らかい「黄色砒素」、黒りんと同じ構造を持つ「黒色砒素」の3つの同素体が存在する。鶏冠石・雄黄・硫砒鉄鉱など硫化物として天然に広く産する。現在は半導体の原料、医薬品、農薬、防腐剤として広く利用されている。
【0003】
一方、単体の砒素および大部分の砒素化合物は人体に非常に有害である。WHOの下部機関であるIRACより発がん性があると勧告されている。飲み込んだ際の急性症状は、消化管の刺激によって、吐き気、おう吐、下痢、激しい腹痛などが見られ、場合によってはショック状態から死に至る。慢性症状は、剥離性の皮膚炎や過度の色素沈着、骨髄障害、末梢性神経炎、黄疸、腎不全などである。
【0004】
宮崎県高千穂町の旧土呂久鉱山では亜砒酸の製造が行われていた。この地区の住民に現れた慢性砒素中毒症は、公害病に認定された。症状としては、暴露後数十年して、皮膚の雨だれ様の色素沈着や白斑、手掌・足底の角化、ボーエン病、およびそれに続発する皮膚がん、呼吸器系の肺がん、泌尿器系のがんがある。
【0005】
ところで、砒素は水中ではV価の砒酸あるいはIII価の亜砒酸として存在するが、毒性は亜砒酸が砒酸より強い。そして、上流に天然の砒素化合物鉱床がある河川水は砒素を含有する場合がある。河川水に含まれる砒素は低濃度であっても人体に蓄積するので、長期の飲用は上記事実のように、中毒を発症するおそれがある。なお、河川水だけでなく、その他、砒素を含有する水としては、温泉水、地熱発電の水などがある。また、産業系では、砒素の用途先である半導体工場や、医薬品、農薬、防腐剤などの製造工場排水、非鉄金属(銅、亜鉛、鉛等)の製錬プロセス、化石燃料やゴミの焼却で発生する飛灰の処分プロセス等から一般環境水域へ排出される。
【0006】
このように、砒素は人体に有害なので、一律排水基準で0.1mg/L以下であること、環境基準で0.01mg/L以下であることと、低濃度の基準が定められている。このような背景のもと、砒素が存在する鉱山廃水の処理施設、砒素を原料として取り扱う工場等の排水処理施設、および砒素の存在が予想される坑廃水や河川水、地下水、湖沼水、海水などの環境水を対象とした水中の砒素濃度のモニタリング装置が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−301609号
【非特許文献1】JIS K 0102(工場排水試験方法)
【非特許文献2】JIS M 0202(坑水・廃水試験方法)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記公知技術のうち、特許文献1に記載された発明は、りん酸を含む試料中の砒素濃度を、モリブデン酸アンモニウムを使ったフローインジェクション分析(Flow Injection Analysis)に基づいて測定する方法を開示している。
【0009】
ところが、例えば鉱山廃水の処理施設の処理水の水質は表1の如く、試料中の砒素濃度に対し、りん酸ばかりでなくシリカイオンの濃度も高いので、特許文献1に示した方法では、正確な測定は困難である。
即ち、特許文献1は、試料液を酸性の液性下において、生成するヘテロポリ酸錯体の還元剤である硫酸ヒドラジンと、砒素の反応を抑制するマスキング剤である酒石酸ナトリウムカリウムと共にモリブデン酸アンモニウム液と短時間加熱反応させた後に試料液の吸光度を測定し、さらに上記反応を進めた後にもう一度、試料液の吸光度を測定し、先に測定した吸光度と次に測定した吸光度の差から砒素濃度を求める方法である。この方法は、砒素とりん酸イオンのモリブデン酸ナトリウムに対する反応速度の差を利用したものである。しかし、りん酸と同様にモリブデン酸アンモニウムに反応するシリカの影響を除外する方法については一切記載されていない。この方法は、りん酸と砒素のみが共存する試料については有効であるが、表1の通り、測定対象の砒素濃度に対し約4,000倍のシリカイオンが存在するような試料については、正しい砒素濃度を測定することができない。
【0010】
【表1】

【0011】
一方、非特許文献1、又は2に規定されている砒素の測定方法は、次のようなものである。
(1):ジエチルジチオカルバミド酸銀吸光光度法
(2):水素化物発生原子吸光法
(3):水素化物発生ICP発光分光分析法
(4):ICP質量分析法
【0012】
上記(1)の方法は、三角フラスコ様の専用ガラス瓶に試料を採り、亜鉛末を加え試料中の砒素をアルシンガス(水素化砒素、AsH3)とし、別に用意する吸収液が入った水素化砒素吸収管に導き、後で吸収液の吸光度を測定し砒素濃度を求めるものである。この方法では低濃度の砒素を測定するためには大量の試料を前処理として濃縮する必要があるので、簡易な測定方法ではない。また水素化砒素の発生・吸収だけでも1時間という長時間を要し、且つ、操作が複雑なので分析者の能力により測定結果の異なる可能性がある。
【0013】
また、(1)、(2)、(3)の方法ともに、試料中の砒素をアルシンガスとする操作があるので、連続モニタリング操作には不向きである。また操作・管理者や装置周辺の環境も悪い。さらに、(2)と(3)の方法に利用する分析装置は、そのものが高価であるし、かつ高価なアルゴンガスを大量に使用するので、連続モニタリング装置に組み込んだ場合、ランニングコストも高くなる欠点がある。
【0014】
(4)の方法は、高感度であるが分析装置が(2)と(3)の方法よりさらに高価であるし、操作上連続モニタリングの装置には不向きである。
【0015】
その他、モリブデン酸アンモニウムを使用し生成するヘテロポリ酸錯体の吸光度を測定し砒素濃度を求める方法が、以前のJIS K 0101(工業用水試験方法)やJIS M 0202では採用されていた。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の測定方法として、りん酸とシリカイオンが存在する試料液中の希薄な砒素濃度を、モリブデン酸アンモニウムを使ったフローインジェクション分析に基づいて測定する方法を基準とした。そして、測定の対象である前記試料を、第一段階として酸化剤、又は還元剤と反応させた。次に、第二段階において、反応させた試料を発色剤と反応させるという手段を連続することによって、りん酸とシリカイオン存在下において希薄砒素濃度を測定した。
【0017】
さらに、測定条件を特定する手段として、発色剤との反応温度は約70℃、反応時間は約1.4分間行い、吸光度を測定し砒素濃度を求めることとした。測定に用いる酸化剤は一例として、過マンガン酸カリウム、還元剤は塩化ヒドロキシルアンモニウムを用い、発色剤は一例として、モリブデン酸アンモニウムとビス[(+)-タルトラト]二アンチモン酸二カリウム三水和物、及びアスコルビン酸の混合液を用いた。
【0018】
さらにより具体的には、試料液中のSS(懸濁物質、Suspended Solids)は、塩酸、硫酸、硝酸などの酸を添加しpH約2に調整しながら充分攪拌し、試料液として調整した。
【0019】
又、試料液、標準液、酸化剤、及び還元剤溶液などはキャリア(水)によって測定用の管路へ運び、発色剤溶液にはドデシル硫酸ナトリウムを溶解添加するという手段も選択的に用いた。
【0020】
測定結果を求める手段としては、さらに(試料液+酸化剤)の条件で測定した吸光度をA1、(試料液+還元剤)の条件で測定した吸光度をA2、(水+還元剤)の条件で測定した吸光度をA3とし、試料液の総砒素濃度Cを、C=A1−(A2−A3)の関係と検量線から求めることとした。ここで、A3に関連する水は、砒素濃度が0mg/Lの標準液を示し、検量線とは、複数の砒素濃度既知の標準液を使い作成した、砒素濃度と吸光度の関係を表す直線を示す。
【0021】
前記測定方法のさらなる手段としては、試料液あるいは標準液のうちの一つをサンプルループに溜めると共に、酸化剤あるいは還元剤のいずれか一つもサンプルループに溜め、これらを同時にキャリア(水)で管路に流し込み室温の反応コイルで反応させ、その後発色剤溶液と混合し恒温槽内の反応コイルで反応させ、冷却コイルを通過後880nmで吸光度を測定するという手段を採用した。
【0022】
砒酸イオン(AsO43-)が存在する試料液を、モリブデン酸アンモニウムと反応させると、ヘテロポリ酸錯体を生成し、これを還元させると880nm、840nm、710nmなどの波長の光を吸収し青色に発色する。本発明方法は、この吸光度を測定し試料液の砒素濃度を求めるものである。
【0023】
砒酸イオンと同様に、試料中にりん酸やシリカイオンも存在する場合、これらがモリブデン酸アンモニウムと反応しヘテロポリ酸錯体を生成し、分析値に正の誤差を与える。又、砒素は水中では砒酸イオン(AsO43-)と亜砒酸イオン(AsO2-)になるが、亜砒酸はモリブデン酸アンモニウムが存在してもヘテロポリ酸錯体を生成しない。ところで、モリブデン酸アンモニウムに対する反応性は、りん酸>砒酸>シリカイオンの順に速い。そこでシリカイオンの影響は、りん酸と砒酸イオンはモリブデン酸アンモニウムと反応するが、シリカイオンは反応しない条件を設定することで排除した。具体的には、恒温槽の温度を約70℃、反応時間を約1.4分に設定した。
【0024】
りん酸イオンの影響は、(りん酸+砒酸)の吸光度と(りん酸)の吸光度を測定し、後で(りん酸+砒酸の吸光度)−(りん酸の吸光度)を計算し、砒素濃度を求めることで排除した。具体的には、まず、試料液に酸化剤として過マンガン酸カリウム溶液(0.08g/L)を作用させ試料液中の砒素を全て砒酸とした後、一連の操作で吸光度を測定する。この吸光度は(りん酸+砒酸)の濃度に関連したものである。次に、先の分析試料と同時に分取した試料液に還元剤として塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(0.1g/L)を作用させ、試料液中の砒素を全て亜砒酸とした後、一連の操作で吸光度を測定する。この吸光度は(りん酸)の濃度に関連したものである。そして(りん酸+砒酸の吸光度)−(りん酸の吸光度)のデータ処理を行い、試料液の総砒素濃度を求める。
【0025】
シリカイオンをモリブデン酸アンモニウムと反応させない条件を設定するということは、砒酸を感度よく分析する条件には設定しない、ということを意味する。よって、砒素の分析感度を上げるため、その他の分析条件も検討し工夫した。具体的には、フローセルの光路長を20mmとし(10mmが標準)、試料液のサンプルループ量を500μLおよび酸化剤や還元剤のサンプルループ量を600μLとし、試料液および酸化剤や還元剤を管路に導入するキャリア(水)と発色剤溶液にドデシル硫酸ナトリウムを溶解添加(0.5g/L)した。このような分析条件を設定することで、反応温度を低く、反応時間を短くしても低濃度の砒素を検出することが可能になった。
【0026】
砒素は人体に有害なので一律排水基準は0.1mg/L以下、環境基準は0.01mg/L以下と定められている。これらの基準値は試料液の溶解性のものに対する値ではなく、懸濁物質を含む総砒素に対して定められたものである。従って試料液中にSSが存在する場合は、これを溶解し、総砒素を測定する必要がある。
砒素を含む排水の一般的処理方法は、第二鉄塩との共沈法である。この方法では、反応槽に第二鉄塩を添加しながらアルカリ剤も加えpH調整し、砒素を含む鉄殿物を生成させ、その後凝集反応槽で高分子凝集剤を添加し、砒素を含む鉄殿物を凝集させ、最後にシックナーや清澄池で砒素を含む鉄殿物を沈降させ、清澄な上澄水を処理水として放流する。本発明の砒素測定装置は、このような処理水中の砒素濃度の連続モニタリングなどに活用するが、シックナーや清澄池での固液分離は完全ではないので、処理水にSSが存在する。前述した通り、我が国の排水基準や環境基準はSSを含む総砒素に対する規制なので、連続モニタリングにおいてもSSを溶解した後の試料液を測定対象にしなければならない。
【0027】
上記の対策のため、SSを溶解し、分析への影響を最小限にする試料液のpHに関する検討を行った。塩酸で試料液(砒素を0.2mg/L含有する標準液)のpHを変化させ、吸光度を比較した(図1)。図1の通り、試料液のpHは酸性側にシフトするほど分析の感度を低下させることが分かった。砒素と第二鉄塩が沈殿物を生成するpHの範囲は、およそ2.5〜4.5である。従ってこのpHの範囲より低く溶解のpHを設定すればSSは溶解し、砒素はイオンとして水中に存在すると考えられる。以上からSSを溶解でき、砒素の分析への影響を最小限にできるpH=2を、試料液の調整pHとした。鉄の他、砒素と共沈するものにアルミニウムがあるが、アルミニウムの沈殿物もpH=2では溶解する。従ってこの条件で環境水中の砒素と関連するSSはほぼ溶解できると考えられる。SSを溶解する酸については、塩酸、硫酸、硝酸を使い、試料液(砒素を0.2mg/L含有する標準液)のpHを1.5とし、吸光度を表2に示すように比較した。このように、使用する酸による影響は少ないが、塩酸が分析への影響が最少であった。これによりSSを溶解する酸として塩酸を使用する。
【0028】
【表2】

【発明の効果】
【0029】
本発明では、上述した手段を採用したので、りん酸とシリカイオンが存在する環境水においても、りん酸とシリカイオンの分析に対する影響を排除して、低濃度の砒素を、誰でも簡単に素早く且つ正確に測定することができた。なお、この測定方法に用いる装置はプランジャーポンプ、注入バルブ、恒温槽、フローセルと吸光光度計、ポリテトラフルオロエチレン チューブなどの汎用品で構成できるので、原子吸光光度計やICP発光分析装置などの大掛かりな装置に比べて廉価に構築することが可能である。また水処理施設に関連した原水や処理水、坑廃水、河川水、地下水、湖沼水、海水などの連続モニタリング装置として使用できる。なお、本発明における測定方法と装置では、砒素濃度の検出限界は0.001mg/L、定量下限は0.005mg/L、1試料についての分析時間は約15分が通常である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】試料液pHが分析感度に与える影響を示したグラフ。
【図2】本発明方法によって鉱山廃水処理施設の処理水を測定するフローシート。
【図3】本発明方法と公定法で測定した環境試料液の砒素濃度の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図2は、本発明方法の実現の一例として、鉱山廃水処理施設の処理水を測定する場合のフローシートを示したものである。
先ず、第一段階の手順として、試料液や標準液の酸化剤は過マンガン酸カリウム溶液(0.08g/L)を、還元剤として塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(0.1g/L)を使用した。試料液あるいは標準液はサンプルループに500μL溜め、酸化剤あるいは還元剤はサンプルループに600μL溜め、各々ドデシル硫酸ナトリウム(0.5g/L)を溶解添加したキャリア(水)で0.6mL/minの流速で管路に導入した。
次に、第二段階の手順として、発色剤は、モリブデン酸アンモニウム(5g/L)とビス[(+)-タルトラト]二アンチモン酸二カリウム三水和物(0.2g/L)およびアスコルビン酸(6g/L)の混合液(2.4Nの硫酸酸性)を使用し、この発色剤にさらにドデシル硫酸ナトリウム(0.5g/L)を溶解添加し、0.2mL/minの流速で管路に導入した。
砒素の標準液は三酸化二砒素からなる溶液を使用した。
【0032】
検量線は、砒素の標準液0、0.005、0.01、0.02mg/Lと酸化剤を添加する条件で吸光度を測定し作成した。図3に本発明方法と、公定法で測定した環境試料液中の砒素濃度を示す。本発明方法によっても、公定法と同等に測定できていることが図3のグラフから確認することができた。
【0033】
次に砒素濃度が本法で0.0012mg/L(公定法で0.0013mg/L)と測定された環境試料液に、標準液を使って砒素を0.01mg/L加えた試料液の分析結果を表3に示す。標準液で加えた砒素がほぼ正確に分析できていることが分かる。
【0034】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明方法によると、従来と比較してより簡便な測定で微量の砒素を検出することが可能となるので、鉱山廃水の測定だけでなく、工業排水における砒素の測定にも応用することができ、その利用範囲は非常に広い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
りん酸とシリカイオンが存在する試料液中の希薄な砒素濃度を、モリブデン酸アンモニウムを使ったフローインジェクション分析に基づいて測定する方法であって、前記試料を酸化剤、又は還元剤と反応させる第一段階と、前記反応させた試料を発色剤と反応させる第二段階とからなることを特徴とする、りん酸とシリカイオン存在下における希薄砒素濃度の測定方法。
【請求項2】
発色剤との反応温度は約70℃、反応時間は約1.4分間行い、吸光度を測定し砒素濃度を求める請求項1記載のりん酸とシリカイオン存在下における希薄砒素濃度の測定方法。
【請求項3】
酸化剤は過マンガン酸カリウム、還元剤は塩化ヒドロキシルアンモニウム、発色剤はモリブデン酸アンモニウムとビス[(+)-タルトラト]二アンチモン酸二カリウム三水和物、及びアスコルビン酸の混合液である請求項1又は2記載のりん酸とシリカイオン存在下における希薄砒素濃度の測定方法。
【請求項4】
試料液中のSS(懸濁物質、Suspended Solids)は、塩酸、硫酸、硝酸などの酸を添加しpH約2に調整しながら充分攪拌し、試料液にした請求項1記載のりん酸とシリカイオン存在下における希薄砒素濃度の測定方法。
【請求項5】
試料液、標準液、酸化剤、及び還元剤溶液はキャリア(水)によって測定用の管路へ運ぶと共に、発色剤溶液及びキャリアにドデシル硫酸ナトリウムを溶解添加した請求項1記載のりん酸とシリカイオン存在下における希薄砒素濃度の測定方法。
【請求項6】
(試料液+酸化剤)の条件で測定した吸光度をA1、(試料液+還元剤)の条件で測定した吸光度をA2、(水+還元剤)の条件で測定した吸光度をA3とし、試料液の総砒素濃度Cを、C=A1−(A2−A3)の関係と検量線から求める請求項1記載のりん酸とシリカイオン存在下における希薄砒素濃度の測定方法。ただし、A3に関連する水は、砒素濃度が0mg/Lの標準液を示し、検量線とは、複数の砒素濃度既知の標準液を使い作成した、砒素濃度と吸光度の関係を表す直線を示す。
【請求項7】
試料液あるいは標準液のうちの一つをサンプルループに溜めると共に、酸化剤あるいは還元剤のいずれか一つもサンプルループに溜め、これらを同時にキャリア(水)で管路に流し込み室温の反応コイルで反応させ、その後発色剤溶液と混合し恒温槽内の反応コイルで反応させ、冷却コイルを通過後880nmで吸光度を測定する請求項1〜6のいずれか記載の希薄砒素濃度の測定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−58128(P2012−58128A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203066(P2010−203066)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000224787)DOWAテクノエンジ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】