説明

ろ過体連結部材およびそれを用いたろ過モジュール

【課題】ろ過体の荷重を支持しつつ連結部分を確実にシールすることを可能にし、且つ、連結したろ過体の周囲を液体が流れることを可能にしたろ過体連結部材を提供する。また、そのろ過体連結部材を用いて連結したろ過体をハウジング内に収容してなるろ過モジュールを提供する。
【解決手段】柱状のろ過体同士をろ過体の軸線方向に連結するろ過体連結部材であって、第1の内径を有し、連結されるろ過体が係止される筒状の縮径部と、縮径部の軸線方向両外側に一体的に配設され、第1の内径よりも大きい第2の内径を有して、連結されるろ過体が挿入される筒状の嵌合部と、縮径部および嵌合部の外周面の少なくとも一部と一体的に、且つ、縮径部および嵌合部の外周面側で軸線と平行な方向に液体が流通可能に配設された外周支持部とを備えるろ過体連結部材である。また、そのろ過体連結部材を用いて連結したろ過体をハウジング内に収容してなるろ過モジュールである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろ過体連結部材および該ろ過体連結部材を用いたろ過モジュールに関し、特に、質量が大きいろ過体の連結に用いられるろ過体連結部材、および、該ろ過体連結部材を用いて連結したろ過体をハウジング内に収容してなるろ過モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上水処理システムや、下水処理システムや、海水淡水化システム等の各種水処理システムでは、例えば、耐久性に優れるセラミック製のろ過膜や金属製のろ過膜をろ過体として用いて被処理水をろ過している。
【0003】
具体的には、上記水処理システムでは、例えば、図5に一部切り欠き断面を示すような、多数の管状膜211をレンコン状に一体化してなる長さ1m程度のモノリス型の多孔質セラミック膜210を、シール部材230を介して円筒状のハウジング220内に液密状態で設置して構成したろ過モジュール200を用いて被処理水をろ過している。そして、このろ過モジュール200では、図5に矢印で水の流れを示すように、ろ過モジュール200の一端側からモノリス型多孔質セラミック膜210の管状膜211内に流入した被処理水が該管状膜211でろ過され、得られたろ過水が、モノリス型多孔質セラミック膜210の外周面212と、ハウジング220の内周面222との間を通ってハウジング220に設けられた流出口221から流出する。また、ろ過モジュール200では、定期的に、或いは、ろ過の継続に伴ってモノリス型多孔質セラミック膜210が閉塞した場合には、モノリス型多孔質セラミック膜210の外周面212側から管状膜211内に向かって逆洗水を流してモノリス型多孔質セラミック膜210を逆洗(逆流洗浄)している。
【0004】
ところで、近年、上述したようなハウジング内にろ過体(ろ過膜)を設置してなるろ過モジュールを用いた水処理システムにおいては、効率性の観点から、ろ過モジュールの設置面積低減およびコスト削減が求められている。
【0005】
そこで、ろ過モジュールの設置面積を低減可能なろ過モジュールの設置構造として、円筒状のハウジングの中心軸線が水平面と平行になるように横置きした複数のろ過モジュールを、鉛直方向に並列に配置した構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3857164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来のろ過モジュールの設置構造では、横置きしたろ過モジュールを鉛直方向に並列配置して集積化することでろ過モジュールの設置面積を低減することはできるものの、長さ1m程度のろ過体ごとにハウジング等を準備する必要があるため、コストを十分に削減することができなかった。
【0008】
そのため、十分にコストを削減するためには、一つのハウジング内に収納するろ過体の長さを長くし、使用するハウジング等の数を低減する必要があった。即ち、ハウジング内に設置するセラミック製のろ過膜や金属製のろ過膜などのろ過体の長さを長くする必要があった。
【0009】
ここで、ハウジング内に設置するろ過体の長さを長くする方法としては、ろ過体の長さを単純に長くする方法と、連結部材を用いて複数のろ過体をハウジング内で連結する方法とが考えられる。しかし、セラミック製または金属製のろ過体は、材質上、単位長さ当たりの質量が大きい(例えば、見掛け密度が1000kg/m3以上である)ため、ろ過体の長さを単純に長くする方法では、ろ過体の質量が非常に大きくなり、ろ過体のハンドリング性が悪化する。そのため、ハウジング内に設置するろ過体の長さを長くする方法としては、連結部材を用いて複数のろ過体を連結する方法が好ましい。また、連結部材を用いて複数のろ過体を連結する際には、質量の大きいろ過体を連結しながらハウジング内に挿入する操作を容易にする観点から、ろ過体の軸線が水平面と平行になるように横置きして連結することが特に好ましい。
【0010】
しかし、上述したようなセラミック製または金属製のろ過体を連結するためには、連結部材でろ過体の荷重を支持しつつ、連結部分においてろ過体の一次側(被処理水流入側)から二次側(ろ過水流出側)へと被処理水が漏れ出さないように連結部分を確実にシールする必要がある。また、各ろ過体で被処理水をろ過して得たろ過水をハウジングの流出口から流出させ、或いは、各ろ過体を逆洗することができるように、ろ過体を連結部材で連結してなる組立体(連結ろ過体)の外周面とハウジングの内周面との間を水が流れ得るようにする必要がある。なお、連結部材でろ過体の荷重を支持しつつ連結部分を確実にシールすることは、ろ過体の軸線が水平面と平行になるように横置きした状態、或いは、ろ過体の軸線が水平面に対して傾斜するように斜め置きした状態でろ過体を連結する際に特に求められていた。
【0011】
そこで、この発明は、ろ過体の荷重を支持しつつ連結部分を確実にシールすることを可能にし、且つ、連結したろ過体の周囲を水等の液体が流れることを可能にしたろ過体連結部材を提供することを目的とする。また、この発明は、該ろ過体連結部材を用いて連結したろ過体をハウジング内に収容してなるろ過モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のろ過体連結部材は、両端面間を貫通する少なくとも一つの貫通孔を有し、貫通孔内から外周面に向かって被処理水を通水してろ過水を得る柱状のろ過体同士、或いは、両端面間を貫通する少なくとも一つの貫通孔を有し、外周面から貫通孔内に向かって被処理水を通水してろ過水を得る柱状のろ過体同士を、該ろ過体の軸線方向に連結するろ過体連結部材であって、第1の内径を有し、連結されるろ過体が係止される筒状の縮径部と、前記縮径部の軸線方向両外側のそれぞれに該縮径部と一体的に配設され、前記第1の内径よりも大きい第2の内径を有して、連結されるろ過体が挿入される筒状の嵌合部と、前記縮径部の外周面および前記嵌合部の外周面の少なくとも一部と一体的に、且つ、前記縮径部および前記嵌合部の外周面側で縮径部および嵌合部の軸線と平行な方向に向かって液体が流通できるように配設された外周支持部とを備えることを特徴とする。このように、第1の内径を有する縮径部の軸線方向両側に第2の内径を有する嵌合部を配設すれば、連結されるろ過体の端面同士が縮径部を挟んで対向するようにろ過体を嵌合部に挿入することで、ろ過体の荷重を支持しつつろ過体同士を連結することができる。また、連結されるろ過体の端面の外周縁部が当接する縮径部の端面にゴムパッキン等のシール材を配設した状態でろ過体同士を連結すれば、連結部分を確実にシールすることができる。更に、縮径部および嵌合部の軸線と平行な方向に向かって液体が流通できるように外周支持部を配設すれば、連結したろ過体をハウジング等に収容した際に、連結したろ過体をハウジングの内周面に対して外周支持部で支持しつつ、連結したろ過体の周囲(連結したろ過体の外周面とハウジング内周面との間)に液体を流すことができる。
【0013】
ここで、本発明のろ過体連結部材は、前記嵌合部の端面の少なくとも一部に、該嵌合部の軸線方向外方および径方向内方に向かって突出し、連結されるろ過体の荷重を支持する爪部を嵌合部と一体的に配設されていることが好ましい。このように、爪部を配設すれば、ろ過体を横置き或いは斜め置きした状態で連結する場合に、ろ過体の荷重を爪部で支持することができる。従って、ろ過体の連結される側の端面の外周縁部と、ろ過体の外周面の連結される側の端部とを一体的にシールするシール材を用いて連結部分をシールする場合であっても、ろ過体の荷重によりシール材が局所的に潰れるのを抑制することができるからである。即ち、連結部分をより確実にシールすることができると共に、シール材の劣化を抑制することができるからである。
【0014】
また、本発明のろ過体連結部材は、前記爪部の端面側の内面に、爪部の端縁から嵌合部側に向かってテーパー状に傾斜した傾斜面を有することが好ましい。傾斜面を設ければ、ろ過体を連結する際に、傾斜面を利用して嵌合部にろ過体を容易に挿入することができるからである。
【0015】
更に、本発明のろ過体連結部材は、前記外周支持部が、前記嵌合部および前記縮径部の軸線と平行な方向に延在する3つ以上の突起からなり、前記突起が、前記縮径部および前記嵌合部の周方向に互いに等間隔で配設されていることが好ましい。突起を周方向に互いに等間隔で配設して外周支持部を形成すれば、縮径部および嵌合部の外周面側での液体の均等な流通を可能にしつつ、ろ過体連結部材を用いて連結したろ過体をハウジング等に収容した状態で搬送する際などに、ハウジング内でろ過体が自由に動くのを防止することができるからである。
【0016】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のろ過モジュールは、両端面間を貫通する少なくとも一つの貫通孔を有し、貫通孔内から外周面に向かって被処理水を通水してろ過水を得る柱状のろ過体同士、或いは、両端面間を貫通する少なくとも一つの貫通孔を有し、外周面から貫通孔内に向かって被処理水を通水してろ過水を得る柱状のろ過体同士を、上記ろ過体連結部材の何れかを用いて該ろ過体の軸線方向に連結した連結ろ過体と、前記連結ろ過体の外径よりも大きい内径を有する筒状のハウジングと、前記連結ろ過体の両端部のそれぞれに取り付けられ、前記ハウジングの内部に収容された連結ろ過体を、該連結ろ過体の軸線方向内方に向かって押圧した状態でハウジング内に固定すると共に、ハウジングの内周面と連結ろ過体の外周面との間に形成された空間を液密に封止する端部固定部材と、前記ハウジング外から前記ろ過体の貫通孔へ液体を供給し、或いは、前記ろ過体の貫通孔から前記ハウジング外へ液体を流出させる第1の流路と、前記ハウジングの内周面と連結ろ過体の外周面との間に形成された空間から前記ハウジング外へ液体を流出させ、或いは、前記ハウジング外から前記ハウジングの内周面と連結ろ過体の外周面との間に形成された空間へ液体を供給する第2の流路とを備えることを特徴とする。このように、上述したろ過体連結部材を用いれば、ろ過体の荷重を支持しつつ連結部分を確実にシールすることができると共に、連結ろ過体の外周面とハウジングの内周面との間に水等の液体を流すことができる。また、上述したろ過体連結部材を用いて連結された複数のろ過体(連結ろ過体)をハウジング内に収容してろ過モジュールとすれば、一つのハウジング内に収納するろ過体の長さを長くし、コストを削減することができる。即ち、ろ過体ごとにハウジングを準備する場合と比較して、使用するハウジング等の数を低減し、コストを削減することができる。
【0017】
そして、本発明のろ過モジュールは、前記ハウジングが、前記端部固定部材を固定するための環状溝を内周面に有し、前記端部固定部材が、前記ハウジングの内径に対応した外径と、前記ろ過体の外径に対応した内径とを有する筒状の拡径部と、前記拡径部の軸線方向一端側に該拡径部と一体的に配設され、前記拡径部の内径よりも小さい内径を有して前記連結ろ過体が係止される筒状の係止部と、前記係止部の内径よりも小さい内径と、前記係止部の外径よりも小さい外径とを有し、外周面に前記環状溝と嵌合するリング部材が配設される筒状の縮径部と、前記拡径部と前記縮径部とを軸線方向に一体的に連結するテーパー部とを有し、前記端部固定部材の内側空間が前記第1の流路を形成することが好ましい。拡径部よりも内径の小さな係止部を有する端部固定部材を用いれば、連結ろ過体の端面の外周縁部が当接する係止部の端面にゴムパッキン等のシール材を配設した状態で連結ろ過体をハウジング内に固定することができるからである。また、環状溝とリング部材とを用いれば、端部固定部材をハウジングに容易に固定することができるからである。更に、拡径部とテーパー部との間に筒状の係止部を設ければ、連結ろ過体の端面とテーパー部との間の距離を確保して、連結ろ過体の端面近傍で液体を良好に流すことができるからである。
なお、本発明において、「ハウジングの内径に対応した外径」とは、Oリング等のシール材を介してハウジングの内周面に嵌合させ得る外径を指し、「ろ過体の外径に対応した内径」とは、ゴムパッキン等のシール材を介してろ過体の外周面と嵌合し得る内径を指す。
【発明の効果】
【0018】
本発明のろ過体連結部材によれば、ろ過体の荷重を支持しつつ連結部分を確実にシールすることができると共に、連結したろ過体の周囲に水等の液体を流すことができる。また、本発明によれば、該ろ過体連結部材を用いて連結したろ過体をハウジング内に収容してなるろ過モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に従う代表的なろ過モジュールの一部切り欠き断面図である。
【図2】図1に示すろ過モジュールに用いられているろ過体連結部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は底面図、(e)は図2(a)のI−I線に沿う断面図である。
【図3】図1に示すろ過モジュールに用いられている端部固定部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は底面図、(e)は図3(a)のII−II線に沿う断面図である。
【図4】(a)は、本発明のろ過体連結部材の一変形例の平面図であり、(b)は、本発明のろ過体連結部材の他の変形例の正面図である。
【図5】従来のろ過モジュールの一例の一部切り欠き断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明のろ過体連結部材は、比較的質量の大きい柱状のろ過体、例えば柱状のセラミック製のろ過膜や柱状の金属製のろ過膜を、ろ過体の軸線方向に連結する際に用いられる。そして、本発明のろ過体連結部材は、連結したろ過体を横置き(ろ過体の軸線が水平面と平行になるように設置)または斜め置き(ろ過体の軸線が水平面に対して傾斜するように設置)して使用する際に特に好適に用いることができる。また、本発明のろ過モジュールは、本発明のろ過体連結部材を用いて連結したろ過体(連結ろ過体)をハウジング内に収容してなることを特徴とする。そして、本発明のろ過モジュールは、上水処理システムや、下水処理システムや、海水淡水化システム等の各種水処理システムにおいて被処理水をろ過する際に使用される。
【0021】
ここで、本発明のろ過モジュールの一例について、一部を切り欠いて図1に示す。図1に示すろ過モジュール100は、ろ過体としての円柱状セラミックろ過膜10を該セラミックろ過膜10の軸線方向(図1では左右方向)に例えば3本連結してなる連結ろ過体を、ハウジングとしての円筒状ベッセル40に液密に収容および固定してなる。そして、このろ過モジュール100では、セラミックろ過膜10同士は、本発明のろ過体連結部材の一例のろ過体連結部材20を介して連結されている。なお、図1では、切り欠き断面の一部を拡大して示している。
【0022】
<ろ過体>
ろ過体としてのセラミックろ過膜10は、円柱状で、図1に断面を示すように、両端面間をセラミックろ過膜10の軸線方向に貫通する複数の貫通孔11を有している。また、セラミックろ過膜10の体積密度(見掛け密度=セラミックろ過膜の質量/セラミックろ過膜の嵩体積)は、例えば1000kg/m3以上と比較的大きい。そして、セラミックろ過膜10の貫通孔11の周囲には、被処理水をろ過するための分離層(図示せず)が設けられている。
【0023】
即ち、このセラミックろ過膜10は、各貫通孔11の周囲に分離層を形成してなる複数の管状膜を、支持層を介してレンコン状に一体化してなるモノリス型の多孔質セラミック膜である。そして、このセラミックろ過膜10では、図1に矢印で水の流れを示すように、貫通孔11内からセラミックろ過膜10の外周面12側に向かって被処理水を通水することで、ろ過水を得ることができる。また、このセラミックろ過膜10では、ろ過時とは逆方向に、即ち、外周面12側から貫通孔11内に向かって逆洗水を流すことで、セラミックろ過膜10を逆流洗浄することができる。
【0024】
なお、本発明のろ過体連結部材で連結するろ過体、或いは、本発明のろ過モジュールで用いるろ過体は、上記一例とは逆方向に被処理水を通水してろ過水を得るろ過体であっても良い。具体的には、本発明では、例えば、円柱状で、両端面間を貫通する貫通孔と、ろ過体の外周面に沿って形成された分離膜とを有し、外周面から貫通孔内に向かって被処理水を通水してろ過水を得るろ過体をろ過体連結部材で連結してろ過モジュールに用いても良い。
【0025】
<ろ過体連結部材>
ろ過体としてのセラミックろ過膜10を軸線方向に連結するろ過体連結部材20は、図2(a)に正面図、(b)に平面図、(c)に側面図、(d)に底面図、(e)に図2(a)のI−I線に沿う断面図をそれぞれ示すように、略円筒状をしている。
【0026】
そして、図1および図2(e)に示すように、ろ過体連結部材20は、第1の内径D1を有する円筒状の縮径部21と、第1の内径D1よりも大きい第2の内径D2を有し、且つ、縮径部21の軸線方向(図1および図2(e)では左右方向)両外側のそれぞれに縮径部21と一体的に配設された円筒状の嵌合部22と、各嵌合部22の端面の少なくとも一部に嵌合部22と一体的に配設された爪部23と、縮径部21の外周面および嵌合部22の外周面の少なくとも一部と一体的に配設された外周支持部としての複数の突起25とを備えている。なお、ろ過体連結部材20は、特に限定されることなく、硬質塩化ビニル樹脂や、ガラス繊維入りポリプロピレン樹脂などの耐薬品性の高い樹脂を用いて作製することができる。
【0027】
縮径部21は、図1および図2(e)に示すように、略円筒状のろ過体連結部材20の軸線方向中央部に位置している。また、図1に示すように、縮径部21の内径D1は、嵌合部22の内径D2よりも小さく、且つ、ろ過体連結部材20を用いて連結されるセラミックろ過膜10の外径(即ち、円柱状のセラミックろ過膜10の端面の直径)よりも小さい。
【0028】
そして、図1に示すように、セラミックろ過膜10を連結する際には、縮径部21には、シール材としてのゴムパッキン60を介してセラミックろ過膜10が液密に係止される。即ち、嵌合部22の内径D2と縮径部21の内径D1との差の半分(=(D2−D1)/2)の大きさだけ嵌合部22の内周面よりもろ過体連結部材20の径方向内方に突出する縮径部21の各端面(換言すれば、縮径部21と嵌合部22とで形成される段差部分)に、セラミックろ過膜10の連結される側の端面の外周縁部がゴムパッキン60を介して係止される。
【0029】
嵌合部22は、図1および図2(e)に示すように、円筒状の縮径部21の軸線方向両外側にそれぞれ位置している。また、各嵌合部22は、縮径部21と外径が等しく、且つ、縮径部21と同軸に配設されている。更に、嵌合部22の内径D2は、ろ過体連結部材20を用いて連結されるセラミックろ過膜10の外径よりも大きい。
【0030】
そして、図1に示すように、セラミックろ過膜10を連結する際には、嵌合部22の内周面側には、シール材としてのゴムパッキン60を介してセラミックろ過膜10が挿入される。従って、嵌合部22は、連結されるセラミックろ過膜10の外周面形状に対応した内周面形状を有している。即ち、嵌合部22は、シール材としてのゴムパッキン60を介して、ろ過体連結部材20にセラミックろ過膜10を液密に挿入および係止し得るような形状および寸法とされている。
【0031】
なお、本発明のろ過体連結部材では、嵌合部とろ過体との間にシール材を介在させることなく、ろ過体の端面の外周縁部と縮径部の端面との間のみに環状のシール材を介在させた状態でろ過体を連結しても良い。そして、嵌合部とろ過体との間にシール材を介在させることなくろ過体を連結させるろ過体連結部材では、嵌合部の内周面形状は、ろ過体と直接嵌合し得る形状にすることができる。
【0032】
爪部23は、図1および図2(a),(b),(e)に示すように、嵌合部22の縮径部21側とは反対側の端面の一部に、嵌合部22から軸線方向外方に突出するように配設されている。また、爪部23は、嵌合部22の内周面よりもろ過体連結部材20の径方向内方(即ち、円筒状の嵌合部22の径方向内方)に突出する部分を有している。更に、爪部23の嵌合部22側とは反対側の端部の内面には、爪部23の端縁から嵌合部22側に向かってテーパー状に傾斜した傾斜面24が設けられている。即ち、爪部23の傾斜面24が形成されている部分の厚さは、嵌合部22側に向かって次第に厚くなっている。
【0033】
そして、図1に示すように、セラミックろ過膜10を連結する際には、連結されるセラミックろ過膜10の下側(連結ろ過体を横置きした際にセラミックろ過膜10の荷重を受ける側)に爪部23が位置するように配置したろ過体連結部材20の嵌合部22にセラミックろ過膜10が挿入される。即ち、嵌合部22および爪部23上にセラミックろ過膜10が載置され、嵌合部22および爪部23がセラミックろ過膜10を支持する。従って、爪部23が嵌合部22の内周面よりもろ過体連結部材20の径方向内方に突出する(立ち上がる)高さは、嵌合部22の内周面に配置されるゴムパッキン60の厚さと略等しい。より具体的には、爪部23が突出する高さは、ろ過体連結部材20にセラミックろ過膜10を挿入し、且つ、セラミックろ過膜10内に水を充填した状態におけるゴムパッキン60の厚さと等しい。
【0034】
なお、本発明のろ過体連結部材では、爪部を配設しなくても良いが、特に、ろ過体の端面の外周縁部とろ過体の端部の外周面とを一体的に覆うシール材を用いてろ過体を連結する場合には、爪部を配設することが好ましい。爪部を配設すれば、嵌合部以外に爪部でもろ過体の荷重を負担することができるので、嵌合部に配置されたシール材の一部、特に横置きしたろ過体の端部下側を覆う部分にろ過体の荷重がかかってシール材が局所的に潰れて変形するのを防止することができるからである。即ち、シール材の局所的な変形の発生を防止して、ろ過体の連結部分のシール性が低下するのを防止することができると共に、シール材の劣化を抑制することができるからである。因みに、本発明のろ過体連結部材では、爪部を形成する範囲は、ろ過体の荷重を負担してシール材の局所的な変形を抑制し得る範囲であれば任意の範囲とすることができる。従って、爪部は、嵌合部の端面全体に設けても良いし、爪部を形成した部分の中心角の大きさが例えば30〜120°となる範囲に設けても良い。
【0035】
また、本発明のろ過体連結部材では、爪部にテーパー状の傾斜面を形成しなくても良いが、嵌合部へのろ過体の挿入を容易にする観点からは、爪部に傾斜面を形成することが好ましい。傾斜面を形成すれば、ろ過体を連結する際に、傾斜面を利用して嵌合部へろ過体を容易に挿入することができるからである。
【0036】
外周支持部としての突起25は、図1および図2(a)〜(e)に示すように、縮径部21および嵌合部22の外周面上に、周方向に等間隔で合計8つ配設されている。また、突起25は、ろ過体連結部材20の縮径部21および嵌合部22の軸線と平行な方向(軸線方向)に延在しており、突起25の軸線方向の長さは、縮径部21および嵌合部22の軸線方向の合計長さと略等しい。より詳細には、縮径部21および嵌合部22の外周面のうち、軸線方向両側に爪部23が形成されていない範囲には、5つの突起25が、縮径部21および嵌合部22の軸線方向の合計長さよりも若干短い長さで配設されている。また、縮径部21および嵌合部22の外周面のうち、軸線方向両側に爪部23が形成されている範囲では、3つの突起25が、縮径部21、嵌合部22および爪部23の外周面上に、縮径部21および嵌合部22の軸線方向の合計長さよりも長く、且つ、縮径部21、嵌合部22および爪部23の軸線方向の合計長さよりも若干短い長さで配設されている。
【0037】
更に、図1に示すように、突起25の高さは、縮径部21および嵌合部22の外周面上に突起25を一体的に形成してなるろ過体連結部材20の外径(突起25を含む最大外径)D3が、ベッセル40の内径よりも小さくなるように設計されている。より詳細には、突起25は、ろ過体連結部材20でセラミックろ過膜10を連結してなる連結ろ過体を、ベッセル40内に収容可能であり、且つ、ベッセルに収容した連結ろ過体がベッセル内で大きく遊動しない程度の高さとされている。
【0038】
そして、図1に示すように、ろ過体連結部材20を介してセラミックろ過膜10を連結してなる連結ろ過体をベッセル40内に収容する際には、突起25がベッセル40の内周面に当接して連結ろ過体を支持する。また、突起25は、縮径部21および嵌合部22の外周面上に周方向に等間隔で配設されているので、連結ろ過体をベッセル40内に収容した際に、ろ過体連結部材20の外周面の突起25が配設されていない部分と、ベッセル40の内周面との間には、軸線方向に延びる空間が形成される。従って、ろ過体連結部材20の縮径部21および嵌合部22の外周面側では、縮径部21および嵌合部22の軸線と平行な方向に向かって液体が均等に流通することができる。
【0039】
なお、本発明のろ過体連結部材では、外周支持部としての突起の形状は適宜変更することができる。具体的には、例えば図4(a)に本発明のろ過体連結部材の一変形例の平面図を示すように、ろ過体連結部材20Aの突起25Aの形状は流線形状としても良い。このように、突起25Aの形状を流線形状とすれば、突起25Aの間に形成される空間を液体がより良好に流れることができる。なお、図4(a)中、符号23Aは爪部を示し、24Aは傾斜面を示す。
【0040】
また、本発明のろ過体連結部材では、外周支持部は突起に限定されることはなく、縮径部および嵌合部の外周面側で軸線方向に液体が流通可能であり、且つ、連結ろ過体をハウジング(ベッセル)の内周面に支持可能であれば、任意の形状にすることができる。具体的には、例えば図4(b)に本発明のろ過体連結部材の他の変形例の正面図を示すように、ろ過体連結部材20Bの外周支持部25Bは、縮径部21Bおよび嵌合部22Bの外周面上に一体的に配設され、且つ、縮径部21Bおよび嵌合部22Bの軸線方向に延びる貫通孔26Bを有する筒状体としても良い。このように、外周支持部を筒状体とすれば、連結ろ過体をベッセル40の内周面に良好に支持することができる。なお、図4(b)中、符号23Bは爪部を示す。
【0041】
そして、上述したろ過体連結部材20によれば、セラミックろ過膜10の端面同士が縮径部21を挟んで対向するようにセラミックろ過膜10を嵌合部22に挿入することで、セラミックろ過膜10同士を軸線方向に連結することができる。
【0042】
ここで、各嵌合部22は縮径部21と同軸で配設されており、また、連結されるセラミックろ過膜10の端部の外周面は、同軸で配設された嵌合部22の内周面で支持される。従って、このろ過体連結部材20では、セラミックろ過膜10同士を良好な同軸度で連結することができる。なお、「同軸度」とは、JIS B0182等に記載の「共通の軸線をもつように配置された二つの部分の軸線が一致していない程度」を指す。
【0043】
また、ろ過体連結部材20では、環状のゴム部材の外周縁に円筒状のゴム部材を一体的に配設してなるゴムパッキン60を、縮径部21の端面および嵌合部22の内周面にシール材として配置すると共に、セラミックろ過膜10を縮径部21側に向かって軸線方向に押圧してセラミックろ過膜10同士を連結している。従って、セラミックろ過膜10の連結される側の端面の外周縁部および端部の外周面を一体的にシールして、連結ろ過体の一次側から二次側へと被処理水が漏れ出さないように連結部分を確実にシール(即ち、液密に封止)することができる。
【0044】
更に、ろ過体連結部材20は、爪部23を有しているので、セラミックろ過膜10を横置き或いは斜め置きした状態で連結する場合であっても、セラミックろ過膜10の大きな荷重を爪部23で支持することができる。従って、セラミックろ過膜10の荷重によりゴムパッキン60が嵌合部22の内周面側で局所的に潰れるのを抑制し、嵌合部22の内周面のシール面圧を均一化することができる。そのため、ろ過体連結部材20では、連結部分をより確実にシールすることができると共に、ゴムパッキン60が局所的に潰れて劣化するのを抑制することができる。また、ろ過体連結部材20の爪部23には傾斜面24が形成されているので、ろ過体連結部材20では、傾斜面24を利用してセラミックろ過膜10を嵌合部22へ容易に挿入することができる。
【0045】
そして、このろ過体連結部材20には、軸線方向に延びる突起25が周方向に均等に配設されているので、連結ろ過体をベッセル40(ハウジング)に配置した際に、連結ろ過体の外周面とベッセル40の内周面との間で液体を均等に流通させることができる。従って、一本のベッセル40内に連結ろ過体を設置した場合であっても、ベッセル40内からのろ過水の流出口41をセラミックろ過膜10ごとに配設することなくろ過および逆洗を実施することができる。また、一本当たりの質量が大きいセラミックろ過膜10を複数本連結してなる連結ろ過体は非常に重いため、連結ろ過体の設置時やメンテナンス時には、連結ろ過体をベッセル40に収容した状態で搬送する必要があるが、ろ過体連結部材20には突起25が周方向に均等に配設されているので、搬送時にベッセル40内で連結ろ過体が自由に動くのを防止することができる。
【0046】
<ろ過モジュール>
図1に示すように、ろ過モジュール100は、上記ろ過体連結部材20を用いて連結したセラミックろ過膜よりなる連結ろ過体を、端部固定部材30を用いてベッセル40内に液密に収容および固定してなる。なお、連結ろ過体は、ろ過体連結部材20内に配置したゴムパッキン60を用いて連結部分を確実にシールするために、連結ろ過体の両端面から連結ろ過体の軸線方向内方に向かって所定の圧力をかけた状態でベッセル40内に固定される。
【0047】
ここで、ベッセル40としては、特に限定されることなく、繊維強化プラスチック(FRP)製の、規格化されたRO(半透膜)用ベッセルなどを用いることができる。規格化されたFRP製RO用ベッセルを用いれば、製造コストを削減することができると共に、ろ過モジュールを海水淡水化処理等で使用した場合でも、ベッセル40が錆びることがないからである。
【0048】
そして、図1に示すように、ベッセル40は、円筒状で、ろ過体連結部材20の外径D3と略等しい内径を有している。また、ベッセル40には、連結ろ過体で被処理水をろ過して得たろ過水が流出する、第2の流路としての流出口41が設けられている。なお、流出口41は、連結ろ過体を逆洗する際には、逆洗水の流入口として機能する。更に、ベッセル40の両端部の内周面には、端部固定部材30を固定するための環状溝42が形成されている。因みに、環状溝42は、環状溝42を用いて端部固定部材30を固定した際に、両端を端部固定部材30で挟まれた連結ろ過体が軸線方向内方に向かって所定の圧力で押圧される位置に形成されている。
【0049】
また、図3(a)に正面図、(b)に平面図、(c)に側面図、(d)に底面図、(e)に図3(a)のII−II線に沿う断面図をそれぞれ示すように、端部固定部材30は、円筒状の拡径部31と、拡径部31の軸線方向一端側に該拡径部31と一体的に配設された円筒状の係止部32と、係止部32の拡径部31側とは反対側の端面に一体的に配設され、且つ、内周面が次第に縮径するテーパー部34と、テーパー部34の係止部32側とは反対側の端面に一体的に配設された縮径部33とを有している。
【0050】
ここで、拡径部31は、ベッセル40の内径に略等しい外径D5と、セラミックろ過膜10の外径およびセラミックろ過膜10の端部外周面に配置されるシール材としてのゴムパッキン60の厚みの和に略等しい内径D4とを有する。そして、拡径部31の内周面には、連結ろ過体の両端に位置するセラミックろ過膜10がゴムパッキン60を介して挿入される。即ち、拡径部31には、セラミックろ過体10の端部が嵌合する。また、拡径部31の外周面は、端部固定部材30をベッセル40内に固定した際に、ベッセル40の内周面と嵌合する。
【0051】
なお、拡径部31の係止部32側とは反対側の端面の一部には、ろ過体連結部材20の爪部23と同様の形状を有する爪部35が配設されている。従って、この端部固定部材30では、上述したろ過体連結部材20と同様にして、連結ろ過体を横置き或いは斜め置きした状態で固定する場合であっても、連結ろ過体の大きな荷重を爪部35でも支持することができる。従って、連結ろ過体の荷重によりゴムパッキン60が拡径部31の内周面側で局所的に潰れるのを抑制し、拡径部31の内周面のシール面圧を均一化することができる。そのため、端部固定部材30では、固定部分をより確実にシールすることができると共に、ゴムパッキン60が局所的に潰れて劣化するのを抑制することができる。また、爪部35には傾斜面36が形成されているので、端部固定部材30は、傾斜面36を利用して連結ろ過体の端部へ容易に取り付けることができる。
【0052】
また、図1および図3(e)に示すように、係止部32は、拡径部31の内径D4よりも小さい内径D6を有している。また、係止部32は、拡径部31と外径が等しく、且つ、拡径部31と同軸に配設されている。そして、係止部32には、連結ろ過体の両端に位置するセラミックろ過膜10の端面が、シール材としてのゴムパッキン60を介して液密に係止される。即ち、係止部32の内径D6と拡径部31の内径D4との差により形成される段差部分に、セラミックろ過膜10の端面の外周縁部がゴムパッキン60を介して係止される。
【0053】
テーパー部34を介して係止部32と一体的に連結された縮径部33は、係止部32の内径D6よりも小さい内径D7と、係止部32の外径D5よりも小さい外径D8とを有する。そして、図1に示すように、縮径部33の外周面には、ベッセル40の内周面に形成された環状溝42と嵌合して端部固定部材30をベッセル内に固定するリング部材80が配設される。なお、リング部材80としては、特に限定されることなく、スナップリング等を用いることができる。
【0054】
また、図1に示すように、テーパー部34は、内部空間が係止部32側から縮径部33側に向かって次第に縮径している。即ち、テーパー部34の内部空間は、裁頭円錐形状をしている。更に、テーパー部34の外周面には、Oリング70を設置するための環状溝37が形成されている。
【0055】
そして、この端部固定部材30は、テーパー部34の外周面に形成された環状溝37にOリング70を設置した状態で連結ろ過体の両端部のそれぞれに取り付けられ、リング部材80によりベッセル40に容易に固定される。即ち、ベッセル40の内周面と連結ろ過体の外周面との間に形成された空間50は、Oリング70を配置した端部固定部材30により液密に封止される。
【0056】
ここで、連結ろ過体の端部に取り付けられた端部固定部材30の内側の空間は、被処理水のろ過時にベッセル40外からセラミックろ過膜10の貫通孔11に被処理水を供給する第1の流路を形成する。なお、この第1の流路は、連結ろ過体を逆洗する際には、セラミックろ過膜10の貫通孔11からベッセル40の外へと逆洗排水を排出する流出口として機能する。因みに、この端部固定部材30では、拡径部31とテーパー部34との間に円筒状の係止部32が位置しているので、連結ろ過体の端面とテーパー部34の内周面との間に所定長さの空間が存在している。従って、係止部32を設けることなく拡径部31とテーパー部34とを隣接配置した場合と比較して、テーパー部34の内周面が逆洗排水の流れの抵抗になり難く、逆洗時に逆洗排水を良好に流すことができる。
【0057】
そして、このようなろ過モジュール100によれば、一つのベッセル40内に収納するセラミックろ過膜10の全長を長くして、コストを削減することができる。即ち、セラミックろ過膜10ごとにベッセル40を準備する場合と比較して、使用するベッセル40等の数を低減し、コストを削減することができる。なお、このろ過モジュール100では、上記ろ過体連結部材20を用いているので、セラミックろ過膜10の荷重を支持しつつ連結部分を確実にシールすることができると共に、連結ろ過体の外周面とハウジングの内周面との間に水等の液体を流すことができる。従って、通常のろ過操作および逆洗操作に支障は生じない。
【0058】
因みに、ベッセル40内への連結ろ過体の収容および固定は、特に限定されることなく、例えば以下のようにして実施することができる。
【0059】
まず、セラミックろ過膜10の一端にゴムパッキン60を介して端部固定部材30を取り付ける。次に、一端に端部固定部材30を取り付けたセラミックろ過膜10に対し、ろ過体連結部材20およびゴムパッキン60を用いて所望の本数のセラミックろ過膜を連結して、一端に端部固定部材30が取り付けられた連結ろ過体を構成する。その後、連結ろ過体の他端にパッキン60を介して端部固定部材30を取り付ける。そして、両端に端部固定部材30を取り付けた連結ろ過体を、端部固定部材30にOリング70を取り付けた状態でベッセル40内に圧入する。そして最後に、連結ろ過体を内部に収容したベッセル40の両端からリング部材80を圧入して、端部固定部材30および連結ろ過体をベッセル40に固定する。
【0060】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明のろ過体連結部材およびろ過モジュールは上述した一例に限定されることは無く、適宜変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、ろ過体の荷重を支持しつつ連結部分を確実にシールすることを可能にし、且つ、連結したろ過体の周囲を水等の液体が流れることを可能にしたろ過体連結部材を提供することができる。また、該ろ過体連結部材を用いて連結したろ過体をハウジング内に収容してなるろ過モジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 セラミックろ過膜
11 貫通孔
12 外周面
20,20A,20B ろ過体連結部材
21,21B 縮径部
22,22B 嵌合部
23,23A,23B 爪部
24,24A 傾斜面
25,25A 突起
25B 外周支持部
26B 貫通孔
30 端部固定部材
31 拡径部
32 係止部
33 縮径部
34 テーパー部
35 爪部
36 傾斜面
37 環状溝
40 ベッセル
41 流出口
42 環状溝
50 空間
60 ゴムパッキン
70 Oリング
80 リング部材
100 ろ過モジュール
200 ろ過モジュール
210 多孔質セラミック膜
211 管状膜
212 外周面
220 ハウジング
221 流出口
230 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端面間を貫通する少なくとも一つの貫通孔を有し、貫通孔内から外周面に向かって被処理水を通水してろ過水を得る柱状のろ過体同士、或いは、両端面間を貫通する少なくとも一つの貫通孔を有し、外周面から貫通孔内に向かって被処理水を通水してろ過水を得る柱状のろ過体同士を、該ろ過体の軸線方向に連結するろ過体連結部材であって、
第1の内径を有し、連結されるろ過体が係止される筒状の縮径部と、
前記縮径部の軸線方向両外側のそれぞれに該縮径部と一体的に配設され、前記第1の内径よりも大きい第2の内径を有して、連結されるろ過体が挿入される筒状の嵌合部と、
前記縮径部の外周面および前記嵌合部の外周面の少なくとも一部と一体的に、且つ、前記縮径部および前記嵌合部の外周面側で縮径部および嵌合部の軸線と平行な方向に向かって液体が流通できるように配設された外周支持部と、
を備えることを特徴とする、ろ過体連結部材。
【請求項2】
前記嵌合部の端面の少なくとも一部に、該嵌合部の軸線方向外方および径方向内方に向かって突出し、連結されるろ過体の荷重を支持する爪部を嵌合部と一体的に配設したことを特徴とする、請求項1に記載のろ過体連結部材。
【請求項3】
前記爪部の端面側の内面に、爪部の端縁から嵌合部側に向かってテーパー状に傾斜した傾斜面を有することを特徴とする、請求項2に記載のろ過体連結部材。
【請求項4】
前記外周支持部が、前記嵌合部および前記縮径部の軸線と平行な方向に延在する3つ以上の突起からなり、
前記突起が、前記縮径部および前記嵌合部の周方向に互いに等間隔で配設されていることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載のろ過体連結部材。
【請求項5】
両端面間を貫通する少なくとも一つの貫通孔を有し、貫通孔内から外周面に向かって被処理水を通水してろ過水を得る柱状のろ過体同士、或いは、両端面間を貫通する少なくとも一つの貫通孔を有し、外周面から貫通孔内に向かって被処理水を通水してろ過水を得る柱状のろ過体同士を、請求項1〜4の何れかに記載のろ過体連結部材を用いて該ろ過体の軸線方向に連結した連結ろ過体と、
前記連結ろ過体の外径よりも大きい内径を有する筒状のハウジングと、
前記連結ろ過体の両端部のそれぞれに取り付けられ、前記ハウジングの内部に収容された連結ろ過体を、該連結ろ過体の軸線方向内方に向かって押圧した状態でハウジング内に固定すると共に、ハウジングの内周面と連結ろ過体の外周面との間に形成された空間を液密に封止する端部固定部材と、
前記ハウジング外から前記ろ過体の貫通孔へ液体を供給し、或いは、前記ろ過体の貫通孔から前記ハウジング外へ液体を流出させる第1の流路と、
前記ハウジングの内周面と連結ろ過体の外周面との間に形成された空間から前記ハウジング外へ液体を流出させ、或いは、前記ハウジング外から前記ハウジングの内周面と連結ろ過体の外周面との間に形成された空間へ液体を供給する第2の流路と、
を備えることを特徴とする、ろ過モジュール。
【請求項6】
前記ハウジングが、前記端部固定部材を固定するための環状溝を内周面に有し、
前記端部固定部材が、
前記ハウジングの内径に対応した外径と、前記ろ過体の外径に対応した内径とを有する筒状の拡径部と、
前記拡径部の軸線方向一端側に該拡径部と一体的に配設され、前記拡径部の内径よりも小さい内径を有して前記連結ろ過体が係止される筒状の係止部と、
前記係止部の内径よりも小さい内径と、前記係止部の外径よりも小さい外径とを有し、外周面に前記環状溝と嵌合するリング部材が配設される筒状の縮径部と、
前記拡径部と前記縮径部とを軸線方向に一体的に連結するテーパー部と、
を有し、
前記端部固定部材の内側空間が前記第1の流路を形成することを特徴とする、請求項5に記載のろ過モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−200615(P2012−200615A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64376(P2011−64376)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】