説明

アイアンゴルフクラブ

【課題】ギヤ効果を高めバックスピンを加速させたアイアンゴルフクラブである。
【解決手段】 打球面を有するフェース部2、下部に接地面を有するソール部6、トップ部4、ホーゼル部3とで構成されるヘッド1の下部接地面側を空洞を設けあるいは材料を変える等で低い剛性に構成した。又、ヘッド50の重心部位置に重量物55を配置してヘッド上下の慣性モーメントを小さくした。ホーゼル部3の長さが50mm以上であるとき、慣性モーメントの値が800g・cm未満となるようにし、ホーゼル部3の長さが50mm未満であるとき、慣性モーメントの値が750g・cm未満になるようにした。これらの構成でギヤ効果を高めスピンを加速させるゴルフクラブを実現した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギヤ効果を高めたアイアンゴルフクラブに関する。更に詳しくは、ヘッドの下部を低剛性にし、ヘッドを低慣性モーメント化し、ギヤ効果を高めボールのスピンを加速させるアイアンゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からゴルフクラブは、飛距離を延ばすため、あるいは正確な位置にボールを飛ばすため等に、安定した打撃が行えるように種々改良がなされている。特にアイアン型のゴルフクラブは、例えばピッチングウェッジやサンドウェッジ等が使用されている。このアイアン型のゴルフクラブは、基本的にフェース面の傾斜角度が決められ、打球面であるフェース面に対して下部にソール面等が設けられた構成のもので、特に打球の正確性を求められるゴルフクラブである。
【0003】
アイアンゴルフクラブは、種々の構造が提案されており、プレイヤの好みによって、選択して使用されており、例えば、フラットバックタイプ、キャビティータイプ、ポケットキャビティータイプ、中空構造タイプなどである。これらのものには、何れも共通して、フェース面にスコアラインが形成され、ボールのバックスピン量を安定させる処置がなされている。ボールをグリーンに乗せるためのショット打法において、ボールにバックスピン(逆回転)をかけ、高く打ち上げて目標とする所定位置のグリーン上に停止させることができるような打ち方が行われている。
【0004】
このボールに、バックスピンをより多くかけるためのギヤ効果を高める従来の技術に関しては、本出願人も、ヘッドのソール面が接する水平面から、ヘッドの重心位置までの高さ距離を、ボールの半径より大きく形成し、スピンをかけやすくした構成のゴルフクラブを提案している(特許文献1参照)。又、本出願人は打撃時のフェースの撓み、又はフェースのヘッドに対する相対変位を大きくし、ボールにスピンをかけやすくした構成のゴルフクラブを提案している(特許文献2参照)。更に、スコアライン関係の改良技術の例として、スコアラインのエッジを鋭く形成して、ボールにバックスピンを与えるアイアンゴルフクラブが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
一般にボールにスピンをかけるゴルフクラブは、前述のようにフェース面にスコアラインが形成されている。ボールは打撃の際、このフェース面に沿って回転しながら相対的に移動するが、そのときボールがスコアラインのエッジに引っかかり、ボールに安定したスピンをかけている。このスピンをより多くかけるために、有効なスコアラインが形成されているフェース面に対しては、種々改良案が提案されている。
【0006】
しかし、最近このスコアラインの溝形成において、一定の制限を設けるべく溝のプロフィル(マーキング)規定が、国際的に検討され規則が提案された。即ち、クラブフェースマーキングとスピン発生への新規制案として、第1点はスコアラインの溝の総断面積を溝のピッチ(溝幅+間隔)で割った値が、0.0025スクエアインチ/インチ(0.0635mm/mm)に制限されるというものである。第2点は、溝の縁(角)の鋭さは有効最小半径0.010インチ(0.254mm)に制限される点である。
【0007】
従来からもスコアラインについてはある程度の規制はあったが、今回はその従来からの規制を強化するというものである。従って、スコアラインの溝を変えて、例えば溝の縁の角度を鋭くするような改良を行って、スピン効果を高めるようなことは今後制約されることになる。
【0008】
【特許文献1】特開2006−149478号公報
【特許文献2】特開2007−44445号公報
【特許文献3】特開2004−141277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように、ゴルフクラブのフェース面にスコアラインを設ける改良案は、今後制限され、溝のエッジを鋭くするような改良は実質的に困難となる。従って、他の方法を考慮せざるをえない状況にある。ボールにバックスピンをより多くかけるためのギヤ効果を高めることは、ゴルフクラブの性能を高めることであり、フェース面だけの問題ではない。しかしながら、スコアラインの規制がありその改良が制約されても、スコアライン以外の面で改良する余地はあり、そのことが求められている。
【0010】
本発明は上述のような従来の技術背景の問題点を解決するために開発されたものであり、下記の目的を達成する。本発明の目的は、アイアンゴルフクラブにおいて、スピンをかけやすくするためギヤ効果を高めるようにした、ゴルフクラブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記目的を達成するため次の手段を採る。
本発明1のアイアンゴルフクラブは、下部に接地面を有するソール部、上部にトップ部、ボールを打撃するための打球面を有するフェース部、及び一端にシャフト接続部であるホーゼル部とからなるヘッドと、前記ホーゼル部に一端を接続されたシャフトとを備えたアイアンゴルフクラブにおいて、前記ヘッドの前記接地面側が低い剛性で構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明2のアイアンゴルフクラブは、本発明1において、前記ヘッドの前記トップ部側は、前記接地面側に比べ、相対的に高い剛性で構成されていることを特徴とする。
本発明3のアイアンゴルフクラブは、本発明1において、前記ヘッドの前記接地面側は、前記ヘッドの前記トップ部側に比べ、相対的に反発係数が高くなっていることを特徴とする。
【0013】
本発明4のアイアンゴルフクラブは、本発明1から3において、前記ヘッドの前記接地面側は、スコアラインに平行で重心位置を通る略水平面よりソール部側の範囲であることを特徴とする。
【0014】
本発明5のアイアンゴルフクラブは、下部に接地面を有するソール部、上部にトップ部、ボールを打撃するための打球面を有するフェース部、及び一端にシャフト接続部であるホーゼル部とからなるヘッドと、前記ホーゼル部に一端を接続されたシャフトとを備えたアイアンゴルフクラブにおいて、前記ホーゼル部の長さが50mm以上であるとき、前記ヘッドの重心点をトウヒール方向に水平に通る軸を中心とした慣性モーメントの値が800g・cm未満であることを特徴とする。好ましくは770g・cm以下であるのがよい。
【0015】
本発明6のアイアンゴルフクラブは、下部に接地面を有するソール部、上部にトップ部、ボールを打撃するための打球面を有するフェース部、及び一端にシャフト接続部であるホーゼル部とからなるヘッドと、前記シャフト接続部に一端を接続されたシャフトとを備えたアイアンゴルフクラブにおいて、前記ホーゼル部の長さが50mm未満であるとき、前記ヘッドの重心点をトウヒール方向に水平に通る軸を中心とした慣性モーメントの値が750g・cm未満であることを特徴とする。
【0016】
本発明7のアイアンゴルフクラブは、本発明1から5において、前記ヘッドの主要部分を構成する素材の比重は、6.5g/cm以上であることを特徴とする。
本発明8のアイアンゴルフクラブは、本発明1から6において、前記ヘッドはショートアイアンのヘッド又はウェッジのヘッドであることを特徴とする。
【0017】
いずれにしても、ヘッド下部を低剛性化し、ヘッドの慣性モーメントを小さくするとギヤ効果が増しスピンがかけやすくなる。これを達成するためには、次に示すような手段が効果的である。
第1に、ヘッドは、接地面側のみが内部に空洞を有する中空体を構成する手段のものである。
第2に、ヘッドは、内部に空洞を有する中空体を構成し、ソール部のみが他の部分より低ヤング率の材質からなる手段のものである。
【0018】
第3に、ヘッドは、接地面側のみが内部に空洞を有する中空体を構成し、この空洞の上部において、フェース部と他の部分との間に機械的強度の高い材質の材料を積層させた手段のものである。
第4に、ヘッドは、内部に空洞を有する中空体を構成し、ソール部のみが他の部分より肉厚が部分的に薄い凹溝が形成される手段のものである。
【0019】
第5に、ヘッドは、内部に空洞を有する中空体を構成し、フェース部の上部の肉厚部が下部の肉厚部より厚い肉厚を形成する手段のものである。
第6に、ヘッドは、内部に空洞を有する中空体を構成し、フェース部の下部に部分的に薄い凹溝が形成される手段のものである。
【0020】
第7に、ヘッドは、内部に空洞を有する中空体を構成し、フェース部が同一材質でフェース部の下部の材質を上部の材質より相対的に低硬度に形成した手段のものである。
第8に、ヘッドは、内部に空洞を有する中空体を構成し、フェース部の上部と下部が異なる材質の材料で、下部の材料を上部の材料より相対的に低硬度に形成した手段のものである。
【0021】
第9に、ヘッドは、内部に空洞を有する中空体を構成し、フェース部を除く部分は同一材質で、ヘッドの下部の材質が上部の材質より相対的に低硬度に形成した手段のものである。
第10に、ヘッドは、内部に空洞を有する中空体を構成し、フェース部を除く部分の上部と下部が異なる材質の材料で、下部の材料を上部の材料より相対的に軟質の硬度を有する材料に形成した手段のものである。
【0022】
第11に、ヘッドは、内部に空洞を有する中空体を構成し、フェース部の下部の材料が、上部の材料より相対的に低ヤング率に形成した手段のものである。
第12に、ヘッドは、内部に空洞を有する中空体を構成し、フェース部を除く部分の下部の材料が、上部の材料より相対的に低ヤング率に形成した手段のものである。
【0023】
第13に、ヘッドは、フェース部の打球面に形成されたスコアラインと平行な通し凹溝を、フェース部裏面側のヘッド中間部に形成された手段のものである。
第14に、ヘッドは、フェース部の打球面に形成されたスコアラインと平行でトウ側端部が開放されたポケット状凹溝が、フェース部裏面側のヘッド中間部に形成された手段のものである。
【0024】
第15に、ヘッドは、ヘッド下部に接地面の垂直方向に沿って、中間位置まで凹溝が形成された手段のものである。
第16に、ヘッドは、ヘッド下部に接地面の垂直方向に沿って、中間位置まで形成された凹溝に弾性部材が配置された手段のものである。
【0025】
第17に、ヘッドは、上下の慣性モーメントを小さくするための重量物を、ヘッドの重心部近傍に配置した手段のものである。
第18に、ヘッドは、上下の慣性モーメントを小さくするための重量物が配置されたヘッドの重心部近傍が、凹溝に形成された手段のものである。
【0026】
第19に、ヘッドは、内部に空洞を有する中空体を構成し、上下の慣性モーメントを小さくするための重量物は、ヘッドの重心部近傍に配置され、前記空洞はフェース部を除く部分の上下の中間部に形成されているものである。
第20に、ヘッドは、内部に空洞を有する中空体を構成し、上下の慣性モーメントを小さくするための重量物は、ヘッドの重心部近傍に配置され、前記空洞はフェース部の上下の中間部に形成されているものである。
【0027】
第21に、ヘッドは、上下の慣性モーメントを小さくするための重量物は、ヘッドの重心部近傍に配置され、また、上下の中間部に凹溝を形成し、更にその凹溝の下部のソール部側の内部に、空洞である中空体に形成したものである。
第22に、ヘッドは、上下の慣性モーメントを小さくするための重量物は、ヘッドの重心部近傍に配置され、かつこの重量物はフェース部を除く部分のヘッドの下部の立ち上がり端部に配置されたものである。
【発明の効果】
【0028】
以上、詳記したように、本発明のアイアンゴルフクラブは、ヘッドをフェース下部の撓み易くする増す構成、或いは慣性モーメントを小さくする構成にして、即ちヘッドの下部が変形して、回動のしやすい構造としたことにより、打撃時にフェース面が下向き方向に反り返り回動し、ボール滞留(接触)を長くすることができるので、従来技術のものよりギヤ効果が高まることとなった。従って、ボールにより効果的に逆方向の回転を与えることとなった。このために、本発明のアイアンゴルフクラブは、ボールにバックスピン量をより多くかけることが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の対象のゴルフクラブは、アイアンゴルフクラブである。図1は、アイアンゴルフクラブ全体の外観を示す全体図である。図2、図3は側面の説明図で、図2はボールがヘッドに打撃される直前の状態を示している。図3はボールがヘッドに打撃された直後の状態を示している。アイアンゴルフクラブの基本構造は、公知であり詳細な説明は省略するが、本発明の理解を容易にするため、概要を次に説明する。
【0030】
本発明に関わるアイアンゴルフクラブは、図1に示すように、正面にフェース部2、シャフト側にシャフト接続部であるホーゼル部3、上部にトップ部4、前部にトウ部5、地面に接する下部にソール部6を形成するヘッド1と、このヘッド1のホーゼル部3に接続するシャフト7から構成されている。又、ソール部6の接地水平面11の垂線(鉛直線)に対する打球面の傾斜角をロフト角δとしている(図2参照)。
【0031】
フェース部2の打球面には、スコアライン8が刻接されている。ソール部6の接地水平面11からヘッド重心9位置までの高さが、ボール10の半径より大きく形成されたゴルフクラブの発明は、本発明と同じ出願人の提案になるものであるが、スピン効果に有効な構造であるので、これを例にスピン効果の説明をする。図2、図3に示すように、ボール10に対してヘッド1は打撃時にボール10の下方に入り込むように円弧を描いてダウンスイングする。
【0032】
このときフェース部2の打球面は、ボール10に対して下方に入り込むように接して打球する。この結果、ボール10は衝突でやや凹み、スコアライン8のエッジ部にひっかかり、ボール10は図3の矢印Aに示すように反時計方向回りに回転し、ボール10にバックスピンがかかる。打撃スイングに従いボール10は、打球面上を相対動作で、図に示した矢印Bで示す方向に移動し回転しながら、矢印Cで示す方向に飛ばされる。
【0033】
打球時にボール10はヘッド1と衝突した際、ヘッド1の重心9の高さDがボール10の中心より上方にあるので、瞬間的に打球面はソール部6側が引き下がり、打球面が起き上がるように時計方向回りに回動する。即ち、瞬間的にロフト角δが小さくなり、(図3参照)この結果、ボール10に対して、この打球面の回動と逆方向の回転が付与されるというギヤ効果が発生し、バックスピンが加速される。又、本発明の出願人は、他の発明で図示していないが、他の方法によるスピン効果を高める提案もしている(特許文献2参照)。
【0034】
それは、打撃時のフェース部の撓み、又はフェース部のヘッドに対する相対変位が大きくなる変位部を設けたことである。具体的には、フェース部の表裏に連続した周縁溝を設け、フェース部におけるトップ側エッジ、トウ側エッジ、リーディングエッジの3方にのみ表側の変位用溝が設けられるようにした。打撃時に、ヒール側を回転中心として、トウ側が大きくなるように相対変位を起させ、ギヤ効果によるボール打ち出しを容易にするものである。
【0035】
これらの技術はそれなりに効果のあるものであるが、前述したようにフェース部2の打球面に対して、特にスコアライン8の性能を変える等の改良は、新しい規則により制限されている。従って、フェース部2の表面以外の部分を改良することによって、最適な方法を見出さなければならない。フェース部2に対して、ボール10は通常はフェースの下部に衝突する。衝突したボール10は、スコアライン8のある打球面上を相対的に接しながら移動し、ボール10は反時計方向に回転しバックスピンがかかることは前述のとおりである。
【0036】
本発明はこれに対応し、ボール10がフェース下部に衝突したとき、この下部を後方へ反り返りを相対的に変動しやすくするように、ヘッド下部の構造を変える構成にしたことである。即ち、前述したように、ギヤ効果を高めるために本実施の形態においては、特に打撃時にフェース下部の打球部位が、ヘッド1の重心9の位置を支点に後方へ相対的に回動し、つまりヘッド1の反り返りが可能な構造にした。
【0037】
このようにすることで、ボール10は衝突後直ぐに移動せず、フェース下部が後方へ相対回動することで、即ちフェース下部が反り返り易くなったことで、ボール10は打球面に長く滞留(接触)することになる。その結果、ボール10の打球面上での移動が長くなり、即ち接触時間が長くなってボール10の食いつきを助長し、ギヤ効果が増してバックスピンの大きいボール10の打ち出しとなる。以上のように本発明は、前述の問題点を解消し、ギヤ効果をさらに高めスピンを加速させるようにしたものである。次に具体的にその実施の形態を説明する。
【0038】
(ヘッド下部を低剛性にした実施の形態)
ヘッド下部を低剛性に、即ち撓みやすい構造あるいは変形し易い構造にして、打撃時のヘッドに相対回動を与えて、ボールに対してギヤ効果を高めバックスピンを加速させるようにした例である。図4に示すアイアンヘッドは、ヘッド1の下部、即ち、ソール部の接地面側のみを、内部に空洞20を有する中空体としたものである。この空洞20は、フェース部21の裏面とフェース部21をのぞく部分22に囲われた接地面側の空間である。
【0039】
上部は中実とし下部を空洞化して、上下で相対的に剛性を異なるようにして、下部を低剛性にして撓み易くした例である。なお、本発明でいう剛性とは、次の定義による。固体の一部に荷重Pが作用したとき、その荷重点に生じる変形量をuとしたとき、弾性体では変形量uは荷重Pに比例する。即ち、u=αP.となる。この比例常数αを柔さといい、1/α=Kを剛性という。
【0040】
図5に示すアイアンヘッドは、ヘッド1を内部に空洞23を有する中空体とした上で、ヘッド1の下部、即ち接地面側のフェース部21を除く部分24のソール部側の材質を、低ヤング率材料25にした例である。この例も接地面側を上部に比し低剛性にして撓み易くした例である。図6に示すアイアンヘッドは、ヘッド1の下部、即ち接地面側のみを内部に空洞20を有する中空体とした上で、ヘッド上部のフェース部21と、フェース部21をのぞく部分26の間に、高強度材料27を挟む形で配置した例である。この例もヘッド1の上部と下部とで、相対的に剛性を異なるようにして、接地面側を上部に比し低剛性にして撓み易くした例である。
【0041】
図7に示すアイアンヘッドは、ヘッド1を内部に空洞23を有する中空体とした上で、この空洞23内で、ヘッド下部におけるフェース21をのぞく部分28の接地面側の一部に、凹溝29を設けた例である。この例は、凹溝29によって、ヘッド1の接地面側を上部に比し低剛性にして撓み易くした例である。
【0042】
図8に示すアイアンヘッドは、ヘッド1を内部に空洞23を有する中空体とした上で、フェース部30の肉厚に段差を設けた例である。即ち、フェース部30の打球面は同一平面とし、この空洞23内に段差を設け上部を厚肉部31、下部を薄肉部32とするフェース部30の構成としたものである。この結果、フェース部30の下部を、上部に比し低剛性にして、ヘッド下部を撓み易くした例である。
【0043】
図9に示すアイアンヘッドは、ヘッド1を内部に空洞23を有する中空体とした上で、フェース部33の下部に凹溝34を設けた例である。即ち、フェース部33の打球面は同一平面とし、裏面側で接地面側の一部に凹溝34を設けるフェース構成とした。これによりフェース部33の下部を、上部に比し低剛性にしてヘッド下部を撓み易くした例である。
【0044】
図10に示すアイアンヘッドは、ヘッド1を内部に空洞23を有する中空体とした上で、フェース部35の上部と下部で、硬度を変えた例である。即ち、フェース部35は同一材料で、上部を高硬度材質35aにし、下部を低硬度材質35bにしたものである。高硬度材質35aと低硬度材質35の素材の硬度差によって、フェース部35の上部と下部とを相対的に剛性を異なるようにしたものである。この結果、フェース部35の下部を、上部に比して低剛性にしてヘッド下部を撓み易くした例である。
【0045】
図11に示すアイアンヘッドは、ヘッド1を内部に空洞23を有する中空体とした上で、フェース部36の上部と下部で、その素材の硬度を変えた例である。即ち、フェース部36の上部を高硬度材料36aに、下部を低硬度材料36bにし、硬度の異なる材料を溶接で接合した構成である。高硬度材料36aと低硬度材料36bの硬度差によって、フェース部36の上部と下部を相対的に剛性が異なるようにしたものである。この結果、フェース部36の下部を、上部に比し低剛性にしてヘッド下部を撓み易くした例である。
【0046】
図12に示すアイアンヘッドは、ヘッド1を内部に空洞23を有する中空体とした上で、フェース部21をのぞく部分37の上部と下部で硬度を変えた例である。即ち、フェース部21を除く部分37は同一材料で、上部を高硬度材質37aに下部を低硬度材質37bにしたものである。高硬度材質37aと低硬度材質37bの硬度差によって、フェース部21を除く部分37の上部と下部を、相対的に剛性が異なるようにしたものである。この結果、フェース部21を除く部分37の下部を、上部に比し低剛性にしてヘッド下部を撓み易くした例である。
【0047】
図13に示すアイアンヘッドは、ヘッド1を内部に空洞23を有する中空体とした上で、フェース部21をのぞく部分38の上部と下部で、硬度を変えた例である。即ち、フェース部21を除く部分38の上部を高硬度材料38aに、下部を低硬度材料38bにし、硬度の異なる両材料を溶接で接合した構成である。高硬度材料38aと低硬度材料38bの硬度差によって、フェース部21を除く部分38の上部と下部を、相対的に剛性が異なるようにしたものである。この結果、フェース部21を除く部分38の下部を、上部に比し低剛性にしてヘッド下部を撓み易くした例である。
【0048】
図14に示すアイアンヘッドは、ヘッド1を内部に空洞23を有する中空体とした上で、フェース部39の上部と下部で異なるヤング率に変えた例である。即ち、フェース部39の上部を高ヤング率材料39aに、下部を低ヤング率材料39bにし、ヤング率の異なる両材料を溶接で接合した構造である。高ヤング率材料39aと低ヤング率材料39bのヤング率の差によって、フェース部39の上部と下部を相対的に剛性が異なるようにしたものである。この結果、フェース部39の下部を上部に比し低剛性にして、ヘッド下部を撓み易くした例である。
【0049】
図15に示すアイアンヘッドは、ヘッド1を内部に空洞23を有する中空体とした上で、フェース部21をのぞく部分40の上部と下部で、ヤング率を変えた例である。即ち、フェース部21を除く部分40の上部を、高ヤング率材料40aに、下部を低ヤング率材料40bにし、ヤング率の異なる両材料を溶接で接合した構成である。高ヤング率材料40aと低ヤング率材料40bのヤング率の差によって、フェース部21を除く部分40の上部と下部とを、相対的に剛性を異なるようにしたものである。この結果、フェース部21を除く部分40の下部を上部に比し低剛性にしてヘッド下部を撓み易くした例である。なお、硬度やヤング率を異なるようにする手段としては、上記以外に熱処理など他の方法も選択できる。
【0050】
図16に示すアイアンヘッドは、ヘッド41の裏面に設けられ、フェース部の打球面に形成されたスコアラインと平行な通し凹溝42を、フェース部裏面のヘッド中間部に形成した例である。図17は、図16の側面図である。通し凹溝42は、ヘッド41のトウ部5側とホーゼル部3側の方向に、突き抜ける通し状態(貫通)の凹溝である。ヘッド41は、通し凹溝42で構成される中間部が、ヘッド41の上部と下部に比し低剛性になっているので、ヘッド41の下部が打撃時に撓みやすい構成となっている。これにより結果的に、ヘッド41の下部は低剛性となり撓み易くなる。
【0051】
図18に示すアイアンヘッドは、ヘッド43の裏面に設けられ、フェース部の打球面に形成されたスコアラインと平行で、トウ側端部が開放されたポケット状凹溝44が、フェース部裏面のヘッド43中間部に、形成された例である。図19は、図18の側面図である。このアイアンヘッドは、ポケット状凹溝44のトウ部5の側端部が、開放されていることで、このポケット状凹溝44の部分は低剛性になるので、ヘッド43の下部が打撃時に撓みやすい構成となっている。これにより結果的に、ヘッド43の下部は低剛性となり撓み易くなる。
【0052】
図20に示すアイアンヘッドは、ヘッド45の下部に、接地面から略垂直(鉛直)方向、正確には鉛直から鋭角(ほぼロフト角)を成した方向に、中間位置まで、凹溝46が形成された構成の例である。フェース部の裏面とほぼ一体になったフェース部を除く部分47に、スリット状に凹溝46を設けた例で、フェース部上部の肉厚に比し、フェース部下部の肉厚は相対的に薄くなっている。この構成により、ヘッド下部が打撃時に撓みやすい構成となっている。これにより結果的に、ヘッド下部は低剛性となり撓み易くなる。
【0053】
図21に示すアイアンヘッドは、図20のものと同様に、ヘッド45の下部に対して接地面のロフト角の方向に沿って、ソール部の底面から中間位置まで、凹溝46が形成された構成であるが、この凹溝46内にゴムあるいは合成樹脂等の弾性体48を配置した例である。この例もヘッド下部が打撃時に撓みやすい構成となっていて、結果的に、ヘッド下部は低剛性となり撓み易くなる。
【0054】
(慣性モーメントを小さくした実施の形態)
ヘッドの上下方向の慣性モーメントを小さくし、打撃時のヘッドの返りを容易にする構造にし、打撃時のヘッドに相対回動を与えてボールに対してギヤ効果を高めバックスピンを加速させるようにした例である。図22に示すアイアンヘッドは、上下方向の慣性モーメントを小さくしたヘッドの例を示す説明図である。比較の例として、図23には従来技術の構成におけるアイアンゴルフクラブのヘッドを示す。
【0055】
図22のもの及び図23のものも共に、ヘッドの重心位置を同一として、その差異を説明すると、図23に示す従来のアイアンヘッドの場合は、ヘッド51の相対回転のための抵抗力が大きくなっている。これはヘッド51が回転しにくい状態を示し、その重心位置回りの上下方向の慣性モーメントは、850g・cmを超えている。
【0056】
これに対し、図22に示すアイアンヘッドの場合は、ヘッド50のフェースの表面を変えずにヘッド50の構成を変えることで、ヘッド50の相対回転するための抵抗力を小さくし、ヘッド50の回転をしやすくした。図23に示すアイアンヘッドの慣性モーメントの大きさを回転矢印a,bでその差を示している。図24に示すアイアンヘッドは、ボール53がヘッド50のフェース部52に衝突する直前の状態を示しているが、ボール53がヘッド50に衝突すると、図25に示すように変化する。ボール53は、スピンが付与され矢印のように反時計方向に回転し、フェース部52の打球面を相対的に移動する。
【0057】
又、衝突する直前のヘッド50位置は、点線50aで示す状態であったものが図に示す実線位置に変化する。この状態は、ヘッド50に対し上下方向に慣性モーメントを発生させ、ヘッド50は重心54の位置を中心に相対回転する。ヘッド50の慣性モーメントは小さく、回転変形は図23に示したものに比し大きくなる。その結果、図22に示すアイアンヘッドの場合、上下方向の慣性モーメントは、ホーゼル部の長さ(この定義は後述する。)50mm以上で800g・cm未満を達成した。
【0058】
前述のように、本発明になるアイアンゴルフクラブは、下部に接地面を有するソール部6、上部にトップ部4、ボールを打撃するための打球面を有するフェース部2、及び一端にシャフト接続部であるホーゼル部3とからなるヘッド1と、ホーゼル部3に一端を接続されたシャフト7とから構成されている。このホーゼル部3の長さが50mm以上であるとき、ヘッド50の重心点をトウヒール方向に水平に通る軸を中心とした慣性モーメントの値は800g・cm未満となる。
【0059】
又、ホーゼル部3の長さが50mm未満であるとき、ヘッド50の重心点をトウヒール方向に水平に通る軸を中心とした慣性モーメントの値は750g・cm未満となる。次にその具体的実施の形態について説明する。慣性モーメントを小さくするために、ヘッド重心位置近傍に重量物を配置するようにした。
【0060】
図26に示すアイアンヘッドは、上下の慣性モーメントを小さくするための重量物55をヘッド56の重心部近傍に配置した構成図で、この重心部近傍のフェース側に凹溝57を形成し、この凹溝57に重量物55を配置した構成を示している。図27は図26の側面図である。重量物55は、ヘッド56の重心部位置で接地面に略平行方向に沿って、即ち、トウ部58側の先端部からホーゼル部59側に、トウヒール方向に水平に通る軸線を中心とした位置に配置されている。
【0061】
又、ヘッド56のソール部側の部分60を、内部に空洞61を有する中空体62としている。更に図示はしていないが、この中空体62の上部を開放したくぼみ形状であってもよい。この構成にすることで、ヘッド下部の重量が減り、慣性モーメントを小さくすると同時にヘッド下部を低剛性化する。
【0062】
図28に示すアイアンヘッドは、ヘッド64を内部に空洞65を有する中空体とし、上下の慣性モーメントを小さくするための重量物63を、ヘッド64の重心部近傍に配置した例である。図29は、図28の側面図である。重量物63は、フェース部を除く部分66の重心部の近傍の位置に配置されている。重量物63は、ヘッド64の重心部の近傍位置で、かつ接地面に略平行方向に沿って、即ち、トウ部58側からホーゼル部59側に、トウヒール方向に水平に通る軸線を中心とした位置の中間部に配置されている。
【0063】
図30に示すアイアンヘッドは、ヘッド68を内部に空洞65を有する中空体とし、上下の慣性モーメントを小さくするための重量物67を、ヘッド68の重心部の近傍に配置した例である。図31は、図30の側面図である。重量物67は、フェース部69の裏面の重心部の近傍位置に配置されている。重量物67は、ヘッド68の重心部の近傍位置で、接地面に略平行方向に沿って、即ち、トウ部58側からホーゼル部59側に、トウヒール方向に水平に通る軸線を中心とした位置の中間部に配置されている。
【0064】
図32に示すアイアンヘッドは、ヘッド71の裏面の重心部近傍に、重量物70を配置した例である。図33は、図32の側面図である。この例は、図26に示したアイアンヘッドの中空体62の上部を、開放したくぼみ形状と類似した構成である。重量物70は、図26に示すアイアンヘッドと同様に、ヘッド71の重心部の近傍位置で、かつ接地面に略平行方向に沿って配置されている。即ち、重量物70は、トウ部58側の先端部からホーゼル部59側に、トウヒール方向に水平に通る軸を中心とした位置に配置されている。
【0065】
図34に示すアイアンヘッドは、上下の慣性モーメントを小さくするための重量物72を、ヘッド73の重心部近傍の位置で、フェース部を除く部分74のヘッド下部から上方に立ち上がったところの頂点、即ち上部端(頂部)74aの近くで、かつ重心部の近傍位置に配置した例である。図35は、図34の側面図である。重量物72は、ヘッド73の重心部の近傍位置で、かつ接地面に略平行方向に沿って、即ち、トウ部58側からホーゼル部59側に、トウヒール方向に水平に通る軸線を中心として、かつトップ部とソール部の中間部に配置されている。
【0066】
図36に示すアイアンヘッドは、フェース部2にスコアライン8が示された側面図である。図36に示したアイアンヘッド1は、スコアライン8は、ソール部6の接地面11と平行になるような関係で接地面11上に置かれている。本例では、位置Gは、フェース部2面のトップ部4からソール部6までの高さ(上下方向)、の略1/2の位置が位置Gである。この位置Gは、正確にはヘッド1の重心からフェース部2のフェース面に垂線で投影した位置である。
【0067】
この位置Gを通る水平軸線Pは、スコアライン8と平行であり、かつ接地面11と略平行である。この水平軸線Pを含む水平面は、フェース部2の打球面においては略水平軸線Pとなる。本実施の形態のヘッド1は、この位置Gを通る略水平面より下部、即ち、接地面11側のソール部を低い剛性にし、反発係数を高めるようにしたものである。
【0068】
又、この位置Gの近傍を、他の部位に比し重くするようにすれば、慣性モーメントを小さくすることが可能である。ホーゼル部3は、上下方向で示すと、一般にこの位置Gよりトップ部4側に寄っている。このためホーゼル部3の長さ(L)が長いと、ヘッド1の重心は相対的にトップ部4側に寄ることになる。従って、ホーゼル部3の長さ(L)が短いと、ヘッド1の重心は相対的にソール部6側に寄ることになるので、結果的に重心位置を下げ慣性モーメントを下げることに寄与する。なお、ホーゼル部長さLとは、ホーゼル部の上部端面とホーゼル部の中心線とソール面との交点までの長さとする(図37参照)。
【0069】
図37に示すアイアンヘッドは、位置Gを通る軸線Sを、図27、29、31、33、及び35に示すように、トップ部4のトウ側がヒール側より高く(テーパー状に大きく)なっている形状を考慮して定めた例を示したものである。即ち、図36に示すように、ヘッド1をスコアラインが水平になるように位置させる。
【0070】
このとき、トップ部4のホーゼル部3へ向けての上面に平行な軸線と、接地面11と成す角度を交差角度αとする。この交差角度αの略1/2の角度を通る線分を、通し軸線Sとしたものである。この通し軸の軸線Sとシャフト7の中心軸線の関係は、通し軸の軸線Sは接地面11と平行な軸線に比べると、より直角に近い向きの軸線となる。前述した図27、29、31、33、及び35に示した各ヘッドの例は、この通し軸線Sに近い軸線に沿って、重量物を配置した構造になっている。
【0071】
以上説明した上下の慣性モーメントを小さくするためのヘッドの主要部分を構成する素材比重は、6.5g/cm以上であることが好ましい。又、対象となるアイアンゴルフクラブは、ロフト角の大きい、いわゆるショートアイアン又はウェッジに適用されるのが好ましい。本発明の実施の形態は、以上のような構成になっているが、本発明はこの実施の形態に限定されないことはいうまでもない。
【実施例1】
【0072】
次、本発明の実施例の効果を示すための実験を行った。実験に用いたゴルフクラブヘッドは、図32,33に示すアイアンヘッドに関わるものであり、その実施例1ないし3で、試打結果を表1に示す。この例は、ホーゼル部の長さLが54mmで、ソール部を除いて、バック側に盛肉がないもの、即ち板状のフェース部を用いたものである。この板状のフェース部に、図32の重心位置にある重量物70を、余肉として固着した構造のものであるが、この重量物の重量は100gである。実施例1ないし3は、この重量物の位置を少しずつ変えて慣性モーメントを変化させた。それぞれの慣性モーメントは、715〜770g・cmであった。スコアラインはプレスにより形成されている。
【0073】
比較例は、同じ方法で慣性モーメントを800g・cmとした。従来例1は、通常のマッスルバックタイプのウェッジであり、スコアラインはプレスで形成されている。従来例2は、スコアラインを彫刻(バイトによる切削加工)により形成している。プレス成形に比べ、スコアラインの角が鋭角になり、従来はこの方法によりスピン量を増加させていたが、今後この点が規制されることは前述の通りである。ヘッドスピードは30m/sで、従来例および比較例と同条件で試打を行った。結果は図23に示す従来例に比し図22に示す本案の事例の効果を示すこととなった。
【0074】
【表1】

【0075】
慣性モーメントが800g・cmのとき、従来例1と比べてスピン量はほぼ同等で、慣性モーメントの値が小さくなるとスピン量が増加することから、ホーゼル長さが50mm以上の場合に慣性モーメントを800g・cm未満とする実証が得られた。これらの結果から、ホーゼル長さが50mm以下の場合には、慣性モーメントが750g・cm未満とする実現が可能である。
【実施例2】
【0076】
図20,21に示すアイアンヘッドに関わるゴルフクラブの実施例であり、図36に示すフェース部のX〜Wにおける試打結果を表2に示す。この例は、スリット部位のフェース部の厚さを2mm、スリット幅を1.5mmとし、スリットの深さをソール部底面から30mmとした。試打位置は、図に示すようにスコアラインの直角方向の位置で、重心位置Gを境にトップ部側位置にX,Yを定め、ソール部側位置にZ,Wを定めた。
【0077】
各位置のトウヒール方向の位置は同じとし、トップ部とソール部間の各位置間は5mmとした。結果として、スリットのない従来に比し、反発係数が重心位置を境にソール部側の数値が高くなっていることが、次表2のデータにより実証された。
【0078】
【表2】

【0079】
又、スピン量は、従来に比し、表3に示すように大きな数値となった。このときのヘッドスピードは30m/sである。
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、アイアンゴルフクラブの全体図である。
【図2】図2は、ボールがヘッドに打撃される直前の状態を示す説明図である。
【図3】図3は、ボールがヘッドに打撃された直後の状態を示す説明図である。
【図4】図4は、ヘッド下部を中空体として低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図5】図5は、ヘッドを中空体とし、ソール部の材質を低ヤング率にしてヘッド下部を低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図6】図6は、ヘッド下部を中空体とし、上部に高強度材料を配置してヘッド下部を低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図7】図7は、ヘッドを中空体とし、フェースを除く部分の下部の一部を凹溝にして低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図8】図8は、ヘッドを中空体とし、フェース下部の肉厚を上部の肉厚に比し薄くしてヘッド下部を低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図9】図9は、ヘッドを中空体とし、フェースの下部の一部を凹溝にして低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図10】図10は、ヘッドを中空体とし、フェースを同一材料にし、上部を高硬度材質に下部を低硬度材質にして、ヘッド下部を低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図11】図11は、ヘッドを中空体とし、フェースの上部を高硬度材料にして下部を低硬度材料にして、ヘッド下部を低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図12】図12は、ヘッドを中空体とし、フェースを除く部分を同一材料にし、上部を高硬度材質に下部を低硬度材質にして、ヘッド下部を低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図13】図13は、ヘッドを中空体とし、フェースを除く部分の上部を高硬度材料にし、下部を低硬度材料にして、ヘッド下部を低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図14】図14は、ヘッドを中空体とし、フェースの上部を高ヤング率材料に下部を低ヤング率材料にして、ヘッド下部を低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図15】図15は、ヘッドを中空体とし、フェースを除く部分の上部を高ヤング率材料に下部を低ヤング率材料にして、ヘッド下部を低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図16】図16は、ヘッド裏面の重心部位置に略水平の通し凹溝を設けてヘッド下部を低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図17】図17は、図16の側面図である。
【図18】図18は、ヘッド裏面の重心部位置にトウ側開放のポケット凹溝を設けてヘッド下部を低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図19】図19は、図18の側面図である。
【図20】図20は、ヘッドの下部に接地面の垂直方向にスリット状の凹溝を設けて、ヘッド下部を低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図21】図21は、図20の同形状のスリット状の凹溝に弾性体を配置して、ヘッド下部を低剛性にした実施の形態の説明図である。
【図22】図22は、ヘッド上下方向の慣性モーメントを小さくすることを示す説明図である。
【図23】図23は、従来の慣性モーメントの状況を示す説明図である。
【図24】図24は、図22と同形図で、ボールがヘッドに衝突する直前の状態を示す説明図である。
【図25】図25は、図22と同形図で、ボールがヘッドに衝突した直後の状態を示す説明図である。
【図26】図26は、重量物をヘッド重心部近傍フェース側の凹溝に設けて慣性モーメントを小さくした実施の形態の説明図である。
【図27】図27は、図26の側面図である。
【図28】図28は、ヘッドを中空体とし、重量物をフェースを除く部分の重心部位置に配置して、慣性モーメントを小さくした実施の形態の説明図である。
【図29】図29は、図28の側面図である。
【図30】図30は、ヘッドを中空体とし、重量物をフェースの重心部の近傍位置に配置して、慣性モーメントを小さくした実施の形態の説明図である。
【図31】図31は、図30の側面図である。
【図32】図32は、重量物をヘッド裏面の重心部の近傍位置に配置して、慣性モーメントを小さくした実施の形態の説明図である。
【図33】図33は、図32の側面図である。
【図34】図34は、重量物をフェースを除く部分のソール部の下部から立ち上がった端の重心部の近傍位置に配置して、慣性モーメントを小さくした実施の形態の説明図である。
【図35】図35は、図34の側面図である。
【図36】図36は、スコアラインを設けたフェース部を示すヘッドの側面図である。
【図37】図37は、接地面と平行な軸線に対し角度を有する通し軸を示すヘッドの説明図である。
【符号の説明】
【0081】
1、50…ヘッド
2、21…フェース部
3、59…ホーゼル部
4…トップ部
5、58…トウ部
6…ソール部
7…シャフト
8…スコアライン
9…重心部
10…ボール
20,23…空洞
42…凹溝
55…重量物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部に接地面を有するソール部(6)、上部にトップ部(4)、ボールを打撃するための打球面を有するフェース部(2)、及び一端にシャフト接続部であるホーゼル部(3)とからなるヘッド(1)と、
前記ホーゼル部に一端を接続されたシャフト(7)と
を備えたアイアンゴルフクラブにおいて、
前記ヘッド(1)の前記接地面側が低い剛性で構成されている
ことを特徴とするアイアンゴルフクラブ。
【請求項2】
前記ヘッド(1)の前記トップ部(4)側は、前記接地面側に比べ、相対的に高い剛性で構成されている
ことを特徴とする請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
【請求項3】
前記ヘッド(1)の前記接地面側は、前記ヘッド(1)の前記トップ部(4)側に比べ、相対的に反発係数が高くなっている
ことを特徴とする請求項1記載のアイアンゴルフクラブ。
【請求項4】
前記ヘッド(1)の前記接地面側は、スコアラインに平行で重心位置を通る略水平面よりソール部側の範囲である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアイアンゴルフクラブ。
【請求項5】
下部に接地面を有するソール部(6)、上部にトップ部(4)、ボールを打撃するための打球面を有するフェース部(2)、及び一端にシャフト接続部であるホーゼル部(3)とからなるヘッド(50)と、
前記ホーゼル部に一端を接続されたシャフト(7)と
を備えたアイアンゴルフクラブにおいて、
前記ホーゼル部(3)の長さ(L)が50mm以上であるとき、前記ヘッド(50)の重心点(9)をトウヒール方向に水平に通る軸を中心とした慣性モーメントの値が800g・cm未満である
ことを特徴とするアイアンゴルフクラブ。
【請求項6】
下部に接地面を有するソール部(6)、上部にトップ部(4)、ボールを打撃するための打球面を有するフェース部(2)、及び一端にシャフト接続部であるホーゼル部(3)とからなるヘッド(50)と、
前記ホーゼル部に一端を接続されたシャフト(7)と
を備えたアイアンゴルフクラブにおいて、
前記ホーゼル部(3)の長さ(L)が50mm未満であるとき、前記ヘッド(50)の重心点(9)をトウヒール方向に水平に通る軸を中心とした慣性モーメントの値が750g・cm未満である
ことを特徴とするアイアンゴルフクラブ。
【請求項7】
前記ヘッド(50)の主要部分を構成する素材の比重は、6.5g/cm以上である
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のアイアンゴルフクラブ。
【請求項8】
前記ヘッド(50)は、ショートアイアンのヘッド又はウェッジのヘッドである
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のアイアンゴルフクラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2008−279249(P2008−279249A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98798(P2008−98798)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(591002382)株式会社遠藤製作所 (19)
【Fターム(参考)】