説明

アイオノマー材料を含む集光器を備えた集光式太陽電池モジュール

集光式太陽電池モジュールが少なくとも1つの太陽電池と少なくとも1つの集光器とを含む。この少なくとも1つの集光器は、約1.02〜約2000sunに等価の太陽エネルギーを太陽電池上に集光する能力を有し、かつ、アイオノマー組成物を含む。このアイオノマー組成物は、そのクリープ開始温度がそのピーク融解温度よりかなり高いアイオノマーを含む、あるいはそのようなアイオノマーから製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は少なくとも1つの集光器を含む集光式太陽電池モジュールに関する。この集光器は、アイオノマー組成物を含み、あるいはアイオノマー組成物から製造され、そのアイオノマー組成物は、アイオノマーを含む、あるいはアイオノマーから製造される。
【背景技術】
【0002】
本明細書においては、本発明が属する分野の技術の現状をより完全に記述するため、いくつかの特許文献および刊行された図書を引用する。これらの特許文献および刊行図書のそれぞれの全開示内容は、参照によって本願に組み込まれる。
【0003】
可視光から電気を生成する太陽電池は、再生可能かつ持続可能なエネルギー源の必要性から、その利用が急速に拡大している。太陽電池は、2つのタイプ、すなわちバルクまたはウエハベースの太陽電池と薄膜太陽電池とに分類できる。太陽電池および光起電力装置に関する包括的な記述が、「Handbook of Photovoltaic Science and Engineering」、Antonio LuqueおよびSteven Hegedus編、John Wiley and Sons発行(2003年、Hoboken、ニュージャージー州)に見られる。
【0004】
特に、集光式太陽電池モジュールは、太陽電池上に集められ、そして投射される光の量を増大することによって、通常の太陽電池モジュールの効率を改善する。このような集光式太陽電池モジュールは、所与の面積を照らす太陽光を捕捉して、それを、表面積がより小さい太陽電池上に投射するために、反射または屈折光学系のような集光器を含んでいる。
【0005】
各太陽電池上に投射される光の量が増大すると、太陽電池が生成する電気の量が増大する。例えば、比較的低効率の集光式太陽電池モジュールは約1.02〜10sunの集光率をもたらす能力を有するが、比較的高効率の集光式太陽電池モジュールは約200sun以上の集光率を有することが可能である。
【0006】
さらに、集光器は、通常シリコン製またはGaAsのような高効率のIII〜V族の材料製である太陽電池よりも、一般的に安価である。従って、集光式太陽電池モジュールの使用は、経済的な効率をももたらす。
【0007】
いくつかの集光器および集光式太陽電池モジュールが開発されてきた。それらは次のような文献に記載されているが、これらに限定されない。最初に、光を太陽電池に再導入するためのエンボス加工された溝を含む封止層が、米国特許第5,110,370号明細書、同第5,228,926号明細書および同第5,554,229号明細書に記載されている。収束レンズが、米国特許第4,053,327号明細書、同第4,188,238号明細書、同第4,253,880号明細書、同第4,331,829号明細書、同第4,379,202号明細書、同第4,836,861号明細書、同第5,096,505号明細書、同第5,116,427号明細書、同第5,167,724号明細書、同第5,123,968号明細書、同第6,111,190号明細書および同第6,700,054号明細書と、米国特許出願公開第2008/0087323号明細書と、欧州特許第0581889号明細書と、国際公開第2007/044384号パンフレットとに記載されている。集光カバーガラスが、米国特許第5,959,787号明細書および同第6,091,020号明細書と、米国特許出願公開第2006/0283497号明細書と、欧州特許第0255900号明細書とに記載されている。フレネルレンズが、米国特許第3,125,091号明細書、同第4,545,366号明細書、同第4,848,319号明細書、同第5,118,361号明細書、同第5,217,539号明細書、同第5,496,414号明細書、同第5,498,297号明細書および同第5,578,139号明細書と、米国特許出願公開第2003/0201007号明細書および同第2004/0112424号明細書と、欧州特許第1892771号明細書と、国際公開第2006/120475号パンフレットおよび同第2007/041018号パンフレットとに記載されている。さらに、米国特許第5,344,497号明細書、同第5,505,789号明細書および同第6,075,200号明細書は、集光式太陽電池モジュールにおける直線状の湾曲型線焦点フレネルレンズの利用を記載している。米国特許第4,069,812号明細書および同第6,031,179号明細書は、集光式太陽電池モジュールにおける曲線プリズム状のフレネル型レンズの利用を記載している。米国特許出願公開第2003/0075212号明細書は、放物線型反射式集光器と直列に組み合わせたフレネル型屈折集光器の利用を記載している。米国特許出願公開第2005/0081908号明細書は、ミニチュアの光起電力デバイスアレイに対する集光器用小型レンズの利用を記載している。最後に、収束レンズを組み込んだ一体型集光式太陽電池モジュールが、米国特許出願公開第2005/0081909号明細書、同第2006/0283495号明細書、同第2007/0056626号明細書、同第2008/0053515号明細書および同第2007/0095386号明細書と、国際公開第2007/093422号パンフレットとに記載されている。
【0008】
集光式太陽電池モジュールに用いる集光器は、多くの場合、ガラス製またはプラスチック製、例えば、ポリカーボネート製、およびポリ(メチルメタクリレート)のようなアクリル樹脂製である。例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、あるいはメタクリレートスチレンコポリマーをフレネルレンズ用の材料として利用することが、米国特許第4,069,812号明細書、同第4,188,238号明細書、同第4,545,366号明細書および同第5,498,297号明細書に記載されており、アクリル樹脂を収束レンズ用の材料として利用することが、米国特許第6,700,054号明細書に記載されている。これらの光学的プラスチックおよびその特性に関する包括的な記述が、「Handbook of Optical Materials」、M.Weber編、CRC Press発行(Boca Raton、2002年)に見られる。
【0009】
しかし、ガラスおよびアクリル樹脂は、低コストの溶融加工法によっては容易には集光器に成形し得ない点が注目される。さらに、太陽電池の有用な寿命は約20〜30年であるが、ポリカーボネート製の集光器は、この期間、例えば風化などの環境ストレスに耐え得ない場合が多い。応力による過度の変形のような機械的な不具合も問題である。従って、ポリカーボネートおよび他の熱可塑性材料の劣化が太陽電池モジュールの有用な寿命を制限することになる。
【0010】
このため、集光式太陽電池モジュールに包含される集光器に用いるための新しい材料の開発の必要性が依然として存在する。この材料は、溶融加工法によって容易に成形できることが望ましい。また、集光器は、太陽電池モジュールの有用な寿命を制限しないような期間の間、安定であることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書においては、少なくとも1つの太陽電池と、少なくとも1つの集光器とを含む集光式太陽電池モジュールが提供される。この少なくとも1つの集光器は、アイオノマー組成物を含み、太陽電池上に、約1.02〜約2000sunに等価の太陽エネルギーを集光する能力を有する。そのアイオノマー組成物は、そのクリープ開始温度がそのピーク融解温度よりかなり高いアイオノマーを含む、あるいは、そのようなアイオノマーから製造される。
【0012】
本発明を特徴付ける新規性のこれらおよび他の種々の利点および特徴は、本明細書に添付されかつ本明細書の一部分を構成する特許請求の範囲において、具体的に指摘されている。しかし、本発明と、その利点と、それを用いることによって得られる対象物とをさらによく理解するために、本明細書の別の一部分を構成する図面と、本発明の好ましい実施形態が説明されかつ記述される以下の記述説明とが参照されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】集光式太陽電池モジュールの断面図である。
【図2】第2の集光式太陽電池モジュールの斜視図である。
【図3】第3の集光式太陽電池モジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の定義は、特定の例において別の内容に限定されない限り、本明細書全体にわたって使用されるものとして当該用語に適用される。
【0015】
本明細書で使用する技術的および科学的な用語は、本発明が属する分野の当業者たる者が共通して理解するものと同じ意味を有する。競合する場合は、本明細書が、本明細書における定義を含めて優先する。
【0016】
本明細書で用いる「補足的に(complementarily)」という用語は、合計すると100%になる数のことを言う。
【0017】
本明細書で用いる用語としての「含む(comprises/comprising)」、「含む、包含する(includes/including)」、「含有する(containing)」、「を特徴とする(characterized by)」、「有する(has/having)」、あるいはこれらの任意の他の変形句は、非限定的な包摂を意味するように意図されている。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、製品または装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されるのではなく、明示的には列挙されていない他の要素、あるいは、そのようなプロセス、方法、製品または装置には本来固有の他の要素を包含することができる。
【0018】
移行句としての「からなる(consisting of)」は、請求項において、特定されない一切の要素、ステップまたは成分を排除し、その請求項が、列挙される材料以外の材料を、通常それに含まれる不純物を除いて含むことを禁止する。「からなる」の句が、前提部の直後ではなく請求項の本体部の文節に出てくる場合は、その文節に述べられる要素のみを制限する。すなわち、他の要素は、その請求項全体からは排除されない。
【0019】
移行句としての「から実質的に構成される(consisting essentially of)」は、請求項の範囲を、規定される材料またはステップと、特許請求される本発明の基本的かつ新規の特徴に実質的な影響を及ぼさない材料またはステップとに限定する。請求項の「から実質的に構成される」の規定は、「からなる」の書式で記述されるクローズドクレームと、「を含む(comprising)」の書式で書かれる完全オープンクレームとの間の中間的な位置を占める。場合によって用いる本明細書規定の添加物であって、そのような添加物に適切な濃度レベルの添加物と、微少量の不純物とは、「から実質的に構成される」の用語によっては、組成物から排除されない。
【0020】
組成物、プロセス、構造体、あるいは、組成物、プロセスまたは構造体の一部分が、本明細書において、「を含む」のようなオープンエンドの用語を用いて記述される場合は、別に陳述しない限り、その記述は、その組成物、そのプロセス、その構造体の要素、あるいは、その組成物、そのプロセスまたはその構造体の一部分の要素「から実質的に構成される」、あるいは、そのような要素「からなる」実施形態をも包含する。
【0021】
本明細書に記述する組成物、プロセスまたは構造体の種々の要素および構成要素に関して、冠詞「a」または「an」を用いることがある。これは単に便宜上のためであり、その組成物、プロセスまたは構造体の一般的な意味を与えるためである。この記述は、その要素または構成要素の「1つまたは少なくとも1つ」を包含する。さらに、本明細書で用いる単数の冠詞は、複数が排除されることが特定文脈から明らかでない限り、複数の要素または構成要素の記述をも包含する。
【0022】
「約(about)」という用語は、量、寸法、調合処方、パラメータ、他の量、および特性が、正確でなくかつ正確である必要がなく、公差、変換率、数値の丸め、測定誤差など、および当業者に知られる他の因子を反映して、近似的なものでよく、および/または、所望に応じて大きくまたは小さくすることができることを意味する。一般的に、量、寸法、調合処方、パラメータ、あるいは他の量または特性は、明示的にそうであると述べられていてもいなくても、「約」または「近似的(approximate)」である。
【0023】
本明細書で用いる用語の「または、あるいは(or)」は包含的である。すなわち、「Aまたは、あるいはB」という語句は、「A、B、あるいは、AおよびBの両者」を意味する。排他的な「または、あるいは」は、本明細書においては、例えば「AまたはBのいずれか(either A or B)」および「AまたはBのどちらか(one of A or B)」のような用語で指示される。
【0024】
さらに、本明細書において言及される範囲は、別の内容に明示的に述べられない限り、その終端点を包含する。さらにまた、量、濃度、あるいは他の値またはパラメータが、ある1つの範囲、1つ以上の好ましい範囲、あるいは、好ましい上限値および好ましい下限値のリストとして与えられる場合は、これは、任意の範囲上限または好ましい上限値と、任意の範囲下限または好ましい下限値との任意の組合せから形成されるすべての範囲を、そのような組合せが個別に記述されているか否かには関係なく特定して開示しているものと理解されるべきである。本発明の範囲は、範囲を規定する時に列挙される特定の値に制限されるものではない。
【0025】
本明細書において、材料、方法または機械設備が、「当業者に知られる(known to those of skill in the art)」、「従来型の(conventional)」、あるいはこれらの類義語または語句と共に記述される場合は、これらの用語は、この記述によって、本願の出願時において慣用されている材料、方法および機械設備が包括されることを意味する。また、現在では慣用されていないが、当分野において類似目的に適していると認められることになるような材料、方法および機械設備も包括される。
【0026】
特に別の形に述べられない限り、すべての百分率、部、比、および類似の量は、重量基準で規定される。
【0027】
本明細書で用いる「コポリマー(copolymer)」という用語は、2つ以上のコモノマーの共重合から得られる共重合ユニットを含むポリマーのことを言う。この点に関して、本明細書においては、コポリマーを、その構成成分のコモノマーに言及して、あるいは、その構成成分のコモノマーの量に言及して記述する場合がある。例えば、「エチレンおよび15重量%のアクリル酸を含むコポリマー」または類似の記述がその例である。このような記述は、それが、共重合ユニットとしてのコモノマーに言及していないという点、また、それが、コポリマーに対する従来の命名法、例えば、国際純正・応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry:IUPAC)の命名法を含んでいないという点、さらに、それが、プロダクト・バイ・プロセスの用語法を用いていないという点で、あるいは他の理由から、非公式なものと考えることができる。しかし、本明細書で用いる記述、すなわち、その構成成分のコモノマーに言及した、あるいはその構成成分のコモノマーの量に言及したコポリマーの記述は、そのコポリマーが、特定されたコモノマーの共重合ユニットを(量が特定される場合は、その特定される量において)含有することを意味する。コポリマーは、限定された状況においてそうであると明示的に述べられない限り、所与のコモノマーを所与の量において含有する反応混合物の生成物ではないことは、当然の結論であることが分かる。
【0028】
「ジポリマー(dipolymer)」という用語は、2つのモノマーから実質的に構成されるポリマーのことを言い、「ターポリマー(terpolymer)」という用語は、3つのモノマーから実質的に構成されるポリマーのことを言う。
【0029】
本明細書で用いる「酸のコポリマー(acid copolymer)」という用語は、α−オレフィンと、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸と、場合によっては他の適切なコモノマー、例えばα、β−エチレン性不飽和カルボン酸エステルとの共重合ユニットを含むポリマーのことを言う。
【0030】
最後に、本明細書で用いる「アイオノマー(ionomer)」という用語は、カチオンを伴うカルボン酸塩、例えば、カルボン酸アンモニウム、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ土類金属カルボン酸塩、遷移金属カルボン酸塩、および/またはこれらのカルボン酸塩の混合物のようなカルボン酸塩であるイオン基を含むポリマーのことを言う。このようなポリマーは、一般的に、本明細書で定義されるような酸のコポリマーである前駆体または親ポリマーのカルボン酸基を、例えば塩基と反応させて部分的にまたは完全に中和することによって製造される。本明細書において記述するアイオノマーの例は、亜鉛/ナトリウム混合アイオノマー(または亜鉛/ナトリウム中和混合アイオノマー)、例えば、エチレンおよびメタクリル酸のコポリマーであって共重合されたメタクリル酸ユニットのカルボン酸基のすべてまたは一部分がカルボン酸亜鉛およびカルボン酸ナトリウムの形であるコポリマーである。
【0031】
最後に、本明細書で用いる「太陽電池(solar cell)」という用語は、光を電気エネルギーに変換する能力を有する任意の物品のことを言い、本明細書で用いる「集光器(light concentrating article)」という用語は、大きい面積を照らす光を捕捉して、その光を、より小さい面積に投射し、導き、屈折させ、または焦点合わせする能力を有する任意の光学系のことを言う。
【0032】
本明細書においては集光式太陽電池モジュールが提供されるが、この集光式太陽電池モジュールは、1つ以上の集光器と、光がその集光器によって太陽電池上に集光されるように配置される1つまたは複数の太陽電池とを含む。この集光器はアイオノマー組成物を含む。太陽電池は、集光式太陽電池モジュールの中に組み込まれるさらに簡単な太陽電池モジュールの一部であってもよい。適切な太陽電池モジュールおよび集光式太陽電池モジュールが、前記に引用した「Handbook of Photovoltaic Science and Engineering」に記載されている。
【0033】
ここで、図面を参照するが、図面においては、類似の参照番号は、図面全体を通して対応する構造部分を指す。特に図1を参照すると、1つの適切な集光式太陽電池モジュール100が1つ以上の太陽電池10を含んでいる。太陽電池10には、場合によっては、熱シンク20を備えることができる。図1に表現される熱シンク20は、通常金属製の伝熱フィンを含んでおり、その大きな表面積によって熱が大気に伝達される効率が高められる。太陽電池モジュール100においては、他の形式の熱シンク、例えば、冷却水または空気流れを用いることもできる。
【0034】
なお図1を参照すると、太陽電池モジュール100は、基板30と、少なくとも1つのレンズ40とをさらに含む。レンズ40は集光器であり、これは、例えば、接着剤によって、あるいは1つ以上のクランプまたはフレームのような機械的手段によって基板30に装着することができる。代替方式として、レンズ40および基板30を一体的に形成してもよい。レンズおよび基板用の適切な材料は、透明なものであり、かつ、運転条件の下で太陽電池モジュール100の使用期間、安定なものである。基板30およびレンズ40を一体形成しない場合は、基板30用の材料としてガラスが好ましい。
【0035】
図1には、さらに、光線50が表現されており、この光線50は、同時に、レンズ40によって太陽電池10上に投射される入射光の角度θを表現している。角度θは、レンズ40がない場合に太陽電池10上に投射されるであろう入射光の角度である角度θ'より明らかに大きい。実際、太陽電池モジュール100は比較的低い集光率を有するように設計されている。例えば、この構造または類似の構造を有する太陽電池モジュールは、その太陽電池を照らす光を1.01〜10倍だけ増大することが予期される。
【0036】
ここで図2に目を移すと、第2の集光式太陽電池モジュール200が表現されている。この太陽電池モジュール200も、1つ以上の太陽電池10と、場合によっては、図示のようなフィン、冷却水、空気流れ、あるいは他の任意の適切な形式の熱除去方式を含むことができる熱シンク20とを含む。太陽電池モジュール200は、さらに、図においてはフレネルレンズとして表現されているレンズ240、好ましくは可撓性のフレネルレンズを含む。このレンズは、1つ以上の支持体210によって所定位置に保持される。好ましい支持体210は、例えば、金属、プラスチック、木材またはガラスのような剛性材料製である。
【0037】
レンズ240は集光器である。支持体210は、接続具220を介して直接または間接的に太陽電池10に連結される。さらに、支持体210は直接、または第2接続具230を介して間接的に、レンズ240に連結される。このタイプの太陽電池に関する他の形態も可能である。例えば、太陽電池10を長方形プリズムの底面に装着することが可能であろう。この場合、プリズムの4つの壁面は支持体210として機能し、その上面はレンズ240に置き換えられる。
【0038】
太陽電池モジュール200は、中程度の集光率を有するように設計される。例えば、この構造または類似の構造を有する太陽電池モジュールは、その太陽電池を照らす光を10〜200倍だけ増大することが予期される。このレベルの効率を達成するために、太陽電池モジュール200は、太陽の径路を追尾するように、例えば1軸または2軸の追跡装置を有する形態に製作することができる。
【0039】
ここで図3に目を移すと、第3の集光式太陽電池モジュール300が、1つ以上の太陽電池10と、場合によっては熱シンク(図示せず)とを含む。太陽電池10は、支持構造310に連結される装着部320に、恒久的にまたは交換可能に固定される。好ましい支持構造310は、例えば、金属、プラスチック、木材またはガラスのような剛性材料製である。支持構造310の内面は、太陽電池10上により多くの光を投射するように、好ましくは反射表面としてもよい。支持構造310には、1次光学系330および2次光学系340も連結される。1次光学系330および2次光学系340の少なくともいずれかが集光器である。しかし、1次光学系330および2次光学系340の両者を集光器とすることが望ましい。さらに、2次光学系340は、通常太陽電池10と直接接触している。
【0040】
太陽電池モジュール300は、高い集光率を有するように設計される。例えば、この構造または類似の構造を有する太陽電池モジュールは、その太陽電池を照らす光を200〜2000倍だけ増大することが予期される。このレベルの効率を達成するために、太陽電池モジュール300は、太陽の径路を追尾するように、例えば高精度の2軸追跡装置を有する形態に製作することができる。
【0041】
本明細書に記載する集光式太陽電池モジュールに使用するのに適した太陽電池には、ウエハベースの太陽電池および薄膜太陽電池が包含されるが、これらに限定されない。モジュールにおいて多数の太陽電池を用いる場合は、太陽電池を電気的に相互接続することが望ましい。以下に述べる太陽電池材料の2種類以上の組合せを含む多接合型太陽電池も集光式太陽電池モジュールに用いることができる。
【0042】
単結晶シリコン(c−Si)、多(ポリ)結晶シリコン(poly−Si)または多(マルチ)結晶シリコン(mc−Si)、およびリボンシリコンが、ウエハベースの太陽電池の形成に最も一般的に用いられる材料である。さらに、GaAsのような高効率のIII〜V族の太陽電池材料をウエハベースの太陽電池に使用してもよい。ウエハベースの太陽電池から作製される太陽電池モジュールは、多くの場合、一緒にハンダ付けされる一連の自立型ウエハ(またはセル)を含む。ウエハは、一般的に、約180〜約240μmの厚さを有する。このような太陽電池のパネルは、太陽電池層と呼称され、個別のセルユニットを接続するクロスリボンのような電気結線と、一端がセルに接続され、他端がモジュールから出て行くバスバーとをさらに含むことができる。この太陽電池層は、続いてさらに、封止層および保護層に積層され、25〜30年までの間使用し得る耐候性のモジュールが形成される。一般的に、ウエハベースの太陽電池から作製される太陽電池モジュールは、前面の受光側から裏面の非受光側への位置的な順序で、(1)入射層と、(2)前面(入射)封止層と、(3)太陽電池層と、(4)裏面封止層と、(5)裏面層とを含む。
【0043】
薄膜太陽電池は、一般的に、アモルファスシリコン(a−Si)、微結晶シリコン(microcrystalline silicon:μc−Si)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化銅インジウム(CuInSe2またはCIS)、二セレン化銅インジウム/ガリウム(CuInxGa(1-x)Se2またはCIGS)、光吸収色素、および有機半導体を包含する材料から形成される。いくつかの適切な薄膜太陽電池が、例えば、米国特許第5,507,881号明細書、同第5,512,107号明細書、同第5,948,176号明細書、同第5,994,163号明細書、同第6,040,521号明細書、同第6,137,048号明細書および同第6,258,620号明細書と、米国特許出願公開第2007/0298590号明細書、同第2007/0281090号明細書、同第2007/0240759号明細書、同第2007/0232057号明細書、同第2007/0238285号明細書、同第2007/0227578号明細書、同第2007/0209699号明細書および同第2007/0079866号明細書とに記載されている。
【0044】
通常厚さが2μm未満の薄膜太陽電池は、ガラスまたは可撓性のフィルムから形成される表板または基板上に半導体層を堆積させることによって製造される。製造中、隣接セルを直接直列に相互接続することが可能なレーザスクライビング操作を含むことが一般的になっている。この場合は、セル間を別にハンダ付け結合する必要はない。しかし、ウエハセルの場合と同様に、薄膜太陽電池も、クロスリボンおよびバスバーのような電気結線をさらに含むことができる。また同様に、薄膜太陽電池は、環境において頑丈な耐候性のモジュールとするために、他の封止層および保護層にさらに積層される。
【0045】
多層の堆積が実施される順序に応じて、薄膜太陽電池を、最終的には完成モジュールにおいて入射層として機能する表板の上に堆積させることができ、あるいは、完成モジュールにおいて最後の裏面層として機能する基板の上に堆積させることができる。従って、薄膜太陽電池から作製される太陽電池モジュールは、2つのタイプの構造のいずれかを有することができる。第1のタイプは、前面の受光側から裏面の非受光側への位置的な順序で、(1)表板およびその表板の非受光側に堆積される薄膜太陽電池の層を含む太陽電池層と、(2)(裏面の)封止層と、(3)裏面層とを包含する。第2のタイプは、前面の受光側から裏面の非受光側への位置的な順序で、(1)入射層と、(2)(前面のまたは入射層の)封止層と、(3)基板の受光側に堆積される薄膜太陽電池の層を含む太陽電池層とを包含することができる。
【0046】
本明細書に記載する集光式太陽電池モジュールに用いるのに適した集光器は、約1.02または1.04〜約2000、好ましくは約1.5〜約1700sunの集光能力を提供し得る任意の光学機器を包含する。さらに、この集光器は、以下に述べるアイオノマー組成物を含む。さらに具体的には、集光器の1つ以上の部品が、あるいは集光器が全体として、アイオノマー組成物を含むか、あるいはアイオノマー組成物から作製される。1つの好ましい集光器は、約2〜約10sunの集光能力を提供することができ、低効率の集光式太陽電池モジュールにおいて有用である。別の好ましい集光器は、約200sun以上の集光能力、あるいは約500〜約1000sunの集光能力を提供することができ、高効率の集光式太陽電池モジュールにおいて有用である。
【0047】
集光器は任意の形式を有することができる。例えば、集光器は、反射光学系の形式、または屈折光学系の形式、または反射および屈折の両者によって作用する光学系の形式とすることができる。例えば、集光器を、反射鏡、反射放物面、反射皿、または直線状の放物線トラフを含む反射光学系の形式にすることができる。また代替的に、集光器を、屈折レンズ、あるいはダイクロイックフィルターのような2次集光器を含む屈折光学系の形式にすることができる。
【0048】
屈折レンズは、撮像光学系に由来するものであっても、または非撮像光学系に由来するものであってもよい。さらに、屈折レンズは、成形された入射封止層、収束レンズを含むカバースライド、収束レンズを含むカバーガラス、収束レンズ、単レンズ、合成レンズ、両凸レンズ、平凸レンズ、正メニスカスレンズ、平凹レンズ、非球面レンズ、膨張レンズ、フレネルレンズ、リニアフレネルレンズ、直線状の湾曲型フレネルレンズ、点焦点フレネルレンズ、セグメント化フレネルレンズ、またはこれらの形態の任意の2つ以上の組合せとすることができる。
【0049】
さらに、集光器の全部またはその一部分は反射防止被膜を含むことができる。特に、集光器の表面を、部分的にまたは完全に反射防止被膜でコーティングすることができる。屈折レンズには反射防止被膜を施すことが特に望ましいと言える。適切な反射防止被膜は、MgF2、フルオロポリマー、フルオロエラストマー、およびこれらの材料の2つ以上の混合物から選択される材料から形成することができる。適切な反射防止被膜の例が次のような文献に記載されている。すなわち、まず、2007年11月30日に出願された米国特許仮出願第60/991,294号(代理人整理番号第FL0448号)明細書と、2007年12月19日に出願された米国特許仮出願第61/015,063号、同第61/015,074号および同第61/015,080号(それぞれ代理人整理番号第FL0461号、同第FL0419号および同第FL0458号)明細書と、2007年8月1日に出願された米国特許出願第11/888,382号および同第11/888,383号(それぞれ代理人整理番号第FL0403号および同第FL0404号)明細書と、特にJose Manuel Rodriguez−Paradaまたは特にKostantinos Kourtakisによって出願された他の米国特許、例えば、2006年12月8日に出願された米国特許仮出願第60/873,861号(代理人整理番号第CL3613号)明細書並びに2008年12月22日に出願された米国特許仮出願第61/139,657号および同第61/139,661号(それぞれ代理人整理番号第CL4279号およびCL4281号)明細書とに記載されており、さらに、上記の出願に対する優先権を主張する米国出願および国際出願と、上記の出願において引用される参照文献とに記載されている。
【0050】
また好ましくは、反射光学系は、金属化処理、研磨、または、太陽電池上に反射される光の量を高める他の手段によって処理されてもよい。アイオノマー組成物を含む対象物を金属化処理するための適切な条件および装置が、2008年3月17日に出願された米国特許出願第12/077,307号および2009年7月29日に出願された同第12/511,678号(それぞれ代理人整理番号第AD7463号およびPP0022号)明細書に記載されている。また、反射光学系は、例えば二酸化チタン、ガラスビーズまたはアルミニウムフレークのような反射充填剤を含むアイオノマー組成物から製造することもできる。
【0051】
重要なことであるが、集光器は、集光式太陽電池モジュールの受光側に用いることができる。この受光側は、モジュールの前面側、裏面側、あるいは裏面側および前面側の両者とすることができる。さらにまた重要なことであるが、集光器は、ガラスまたは1つ以上の他の前面シートをも包含する集光式太陽電池モジュールにおいて用いることができる。代替方式として、集光器そのものを、集光式太陽電池モジュールの裏面または前面シートとして用いることができる。
【0052】
集光器が、厚さと、諸寸法と、例えば、凹面または凸面、セグメント化されているか否かなどの形状のタイプとを有するであろうことは明らかである。これらの特性は、よく知られた光学の原理に合致して決定され、所望の集光式太陽電池の要件に合うように調整される。特に、当業者は、例えば寸法およびエネルギー出力などの具体的な1組の設計要件を有する集光式太陽電池モジュールにおける所望の集光率を得るために、凸レンズの適切な焦点長さを決定すると共に、適切な屈折指標を有する材料を特定できる。上記に引用した「Handbook of Optical Materials」を参照されたい。
【0053】
1つの好ましい集光器は、米国特許第4,177,083号明細書に記載されるような、1/2反射器を備えた透明な半円錐体をシールすることによって形成される気密のエンクロージャを含む。この透明な半円錐体は本明細書に記載するアイオノマー組成物から作製される。2つの半円錐体は、例えば融合によってシールすることができる。
【0054】
別の好ましい集光器は、米国特許第4,440,153号明細書に記載されるような、平面の入射表面と、その入射表面と反対側の曲線状の反射表面とを有する透明ブロックを含む。この透明ブロックは本明細書に記載するアイオノマー組成物から作製される。
【0055】
さらに別の好ましい集光器は、米国特許第5,110,370号明細書、同第5,228,926号明細書および同第5,554,229号明細書に記載されるような、形状化された入射層の封止層を含む。この形状化された入射層の封止層は本明細書に記載するアイオノマー組成物から作製される。
【0056】
さらに別の好ましい集光器は、米国特許第4,053,327号明細書、同第4,379,202号明細書、同第5,959,787号明細書および同第6,091,020号明細書と、米国特許出願公開第2006/0283497号明細書と、欧州特許第0255900号明細書とに記載されるようなカバースライドまたはカバーガラスを含む。このカバースライドまたはカバーガラスは本明細書に記載するアイオノマー組成物から作製される。
【0057】
さらに別の好ましい集光器は、米国特許第4,188,238号明細書、同第4,253,880号明細書、同第4,331,829号明細書、同第4,836,861号明細書、同第5,096,505号明細書、同第5,116,427号明細書、同第5,123,968号明細書、同第5,167,724号明細書および同第6,700,054号明細書と、米国特許出願公開第2005/0081908号明細書および同第2008/0087323号明細書と、欧州特許第0581889号明細書と、国際公開第2007/044384号パンフレットとに記載されるような収束レンズを含む。この収束レンズは本明細書に記載するアイオノマー組成物から作製される。
【0058】
さらに別の好ましい集光器は、2008年11月5日に出願された米国特許出願第12/264,986号(代理人整理番号第CL4382号)明細書に記載されるような、テクスチャー加工された前面または裏面シートを含む。このテクスチャー加工された前面または裏面シートは本明細書に記載するアイオノマー組成物から作製される。
【0059】
さらに別の好ましい集光器は、米国特許第3,125,091号明細書および同第6,111,190号明細書に記載されるような膨張レンズを含む。この膨張レンズは本明細書に記載するアイオノマー組成物から作製される。
【0060】
さらに別の好ましい集光器は、米国特許第4,069,812号明細書、同第4,545,366号明細書、同第4,848,319号明細書、同第5,344,497号明細書、同第5,496,414号明細書、同第5,498,297号明細書、同第5,505,789号明細書、同第5,578,139号明細書、同第6,031,179号明細書および同第6,075,200号明細書と、米国特許出願公開第2003/0201007号明細書とに記載されるような、複数の直線プリズムを包含し得る直線状の湾曲型フレネルレンズを含む。この直線状の湾曲型フレネルレンズは本明細書に記載するアイオノマー組成物から作製される。
【0061】
さらに別の好ましい集光器は、米国特許第5,118,361号明細書および同第5,217,539号明細書と、米国特許出願公開第2003/0075212号明細書および同第2004/0112424号明細書と、欧州特許第1892771号明細書と、国際公開第2006/120475号パンフレットおよび同第2007/041018号パンフレットとに記載されるようなフレネルレンズを含む。このフレネルレンズは本明細書に記載するアイオノマー組成物から作製される。
【0062】
さらに別の好ましい集光器は、米国特許出願公開第2005/0081909号明細書、同第2006/0283495号明細書、同第2007/0056626号明細書、同第2008/0053515号明細書および同第2007/0095386号明細書と、国際公開第2007/093422号パンフレットとに記載されるような収束レンズを含み、この収束レンズは本明細書に記載するアイオノマー組成物から作製される。
【0063】
さらにこれに関連して、集光器を、自立型にするかあるいは基板によって支持することができる。例えば、ポリアクリレート製のフレネルレンズは、十分な厚さがあれば、基板を必要としない。代わりの方式として、フレネルレンズの有用な寿命を延長するために、大気に曝露されるフレネルレンズの側に、例えばガラスシートの基板を用いることが望ましい場合がある。基板を用いる他の理由としては、集光器に対する構造上の支持の寸法的な安定性を付与することが含まれる。さらに、基板は、例えば集光器の目的に応じて、透明または不透明にすることができる。屈折式の集光器用としては、明らかに透明な基板が好ましい。しかし、反射式の集光器の場合は、透明な基板が必要であるとは言えず、不透明な基板が好ましい場合がある。
【0064】
適切な基板には、木材と、金属と、ガラスと、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリエステルおよびポリカーボネートのような有機ポリマーと、スレート、花こう岩または大理石のような無機物質と、コンクリートと、有機/無機組成物等が包含されるが、これらに限定されない。基板の厚さは最終用途の必要性に従って選択される。例えば、数百分の1センチメートルの厚さのポリエステルフィルムは、可撓なフレネルレンズ用の適切な基板とすることができ、0.5センチメートル以上の厚さの構造的な金属壁は曲線状のミラーで内張りすることができる。
【0065】
集光器は任意の適切な方法で製造することができる。例えば、それは、射出成形法、射出オーバーモールド法、押出し法、キャストフィルムまたはシート法、インフレーションフィルムまたはシート法、あるいは異形押出し法によって形成することができる。曲げ、スタンピング、機械加工などの2次成形法も、集光器の形成に用いることができる。集光器の形成には、2つ以上の方法または2次成形法を用いることが必要または望ましい場合がある。適切な製造方法に関するさらなる情報は、2009年11月25日に出願された米国特許仮出願第61/XXX,XXX号(代理人整理番号第PP0128号)明細書に見られる。
【0066】
本明細書に記載する集光器はアイオノマー組成物を含み、この組成物はアイオノマーを含む。アイオノマーは、太陽電池の封止材料に使用し得るものとして知られる熱可塑性のイオン性コポリマーである。例えば、米国特許第5,476,553号明細書、同第5,478,402号明細書、同第5,733,382号明細書、同第5,741,370号明細書、同第5,762,720号明細書、同第5,986,203号明細書、同第6,114,046号明細書、同第6,187,448号明細書、同第6,353,042号明細書、同第6,320,116号明細書および同第6,660,930号明細書と、米国特許出願公開第2003/0000568号明細書、同第2005/0279401号明細書、同第2008/0017241号明細書、同第2008/0023063号明細書、同第2008/0023064号明細書および同第2008/0099064号明細書とを参照されたい。アイオノマーは、その清澄度を制御し得る点および処理が容易である点に加えて、安定な機械的特性を有しており、これによって集光器における利用に適したものになっている。
【0067】
特に、ほとんどの熱可塑性材料は、示差走査熱量測定法(differential scanning calorimetry:DSC)によって測定されるピーク融解温度(Tm)とクリープとの間の相関関係によって特徴付けられる。従って、約60℃未満のTmを有する材料は、太陽電池モジュールにおける集光器に用いるための適切な候補材料とは見做されてこなかった。相対的に低いTmを有する材料は、クリープ開始温度が低く、クリープレベルが高いという特徴をも有するであろうと想定されているのである。この特性は、太陽電池モジュールが使用されるであろう期間および条件において、受け入れ難い大きな変形をもたらすであろう。変形した集光器は効率的には機能しなくなり、従って、太陽電池の発電量が低下するであろう。
【0068】
意外なことに、この相関関係は、好ましいアイオノマーに対しては、同じ厳密性をもって当てはまらない。実際、好ましいアイオノマーは、Tmとクリープ開始温度との間において、符号反転した顕著な差を有するという特徴を備えている。例えば、60℃〜110℃の範囲のピーク融解温度を有するアイオノマーのような材料は、ピーク融解温度よりも低い温度、例えば45℃〜85℃の範囲の温度でクリープをも生じるであろうと予想される。実際、ほとんどのポリマーは、その融点以下の温度において軟化し始める。また、クリープの程度および速度は、アイオノマーが上記の長期間の安定性の要件に適合することを妨げるであろうとも予想される。
【0069】
ところが、有利なことに、アイオノマーのクリープ開始温度はピーク融解温度よりも高いのである。好ましいアイオノマーにおいては、クリープ開始温度は、ピーク融解温度より、少なくとも5℃、少なくとも8℃または少なくとも10℃高い。
【0070】
理論にとらわれることを望むわけではないが、アイオノマーのポリエチレンの部分が、Tmより高い温度において存続する結晶化度を有すると仮定される。この仮定は、アイオノマーの特性において知られる傾向、例えば、酸濃度の低下(ポリエチレン濃度の補足的な増大)とTmの増大との間のよく確立された相関関係と整合する。すなわち、アイオノマーは、熱力学的に定義されかつ熱分析的に測定されるその融点を超えても、完全に液化されるわけではなくアモルファスになるのでもない。さらに、この仮定から考えると、その結晶化度を高める傾向を有するアイオノマーの任意の物理的特徴、あるいは、高温における3次構造の持続性を促進する傾向を有するアイオノマーの任意の物理的特徴は、Tmとクリープ開始温度との間の差異をも広げるであろう。
【0071】
また、印加されるかなり大きな力または荷重の下におけるクリープと、自己応力または低応力の下におけるクリープとを区別することが重要である。後者においては、材料に加えられる僅かな荷重は、その自重の力またはごく小さな付加力である。さらに、Tmを超える温度におけるアイオノマーのレオロジー的な性質は、ずり減粘(shear thinning)材料の性質に近づくと仮定される。特に、アイオノマーに小さい力を加えた場合、大きな力を印加することによって生じる変形に比べて、比例的な値よりも遥かに小さい変形しか生じない可能性がある。その結果、好ましいアイオノマーの自己応力または低応力の下でのクリープは、他の熱可塑性材料のそれに比べて、予期しないほど低減されることになる。
【0072】
従って、直感には反するが、好ましいアイオノマーは、そのTmより高い温度においてクリープのレベルが低いのである。好ましいアイオノマーは、このクリープレベルおよびクリープ開始温度のために、集光式太陽電池モジュールにおいて長期間使用するのに適した材料の範囲内に明確に入れられる。
【0073】
ここで、記述を化学的な組成に転じると、適切なアイオノマーは、2〜10個の炭素原子を有するα−オレフィンの共重合ユニットと、3〜8個の炭素を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合ユニットとを含む前駆物質の酸のコポリマーを中和した誘導体である。アイオノマーは、前駆物質の酸のコポリマーの全重量を基準として、40重量%〜90重量%の共重合α−オレフィンと、10重量%〜60重量%の共重合カルボン酸とを含む。アイオノマーは、好ましくは、65〜90重量%または70〜85重量%の共重合α−オレフィンと、10〜35重量%または15〜30重量%の共重合カルボン酸とを含み、さらに好ましくは、75%〜80%の共重合α−オレフィンと、20%〜25%の共重合カルボン酸とを含む。
【0074】
適切なα−オレフィンコモノマーには、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなど、およびこれらの2つ以上の混合物が包含され得るが、これらに限定されない。α−オレフィンはエチレンであることが望ましい。
【0075】
適切なα,β−エチレン性不飽和カルボン酸コモノマーには、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、およびこれらの2つ以上の混合物が包含され得るが、これらに限定されない。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの2つ以上の混合物から選択するのが望ましい。
【0076】
前駆物質の酸のコポリマーは、さらに、2〜10個の炭素、あるいは好ましくは3〜8個の炭素を有する不飽和カルボン酸のような、あるいはそれらの誘導体のような他の1つ以上のコモノマーの共重合ユニットを含むことができる。適切な酸の誘導体には、酸無水物、アミド、およびエステルが包含される。いくつかの適切な前駆物質の酸のコポリマーは不飽和カルボン酸のエステルをさらに含む。不飽和カルボン酸の適切なエステルの例として、2009年11月2日に出願された米国特許出願第12/610,678号(代理人整理番号PP0019号)明細書に記載されているエステルが包含されるが、これらに限定されない。好ましいコモノマーの例には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、酢酸ビニル、およびこれらの2つ以上の混合物が包含されるが、これらに限定されない。しかし、前駆物質の酸のコポリマーは、他のコモノマーを組み入れないことが望ましい。
【0077】
低ヘーズの集光器が望ましい場合は、前駆物質の酸のコポリマーが、ASTM D1238の方法に従って190℃および2.16kgにおいて測定されるメルトフローレート(MFR)として、約1〜約1000g/10分間、好ましくは約20〜約900g/10分間、さらに好ましくは約60〜約700g/10分間、さらに一層好ましくは約100〜約500g/10分間、まださらに一層好ましくは約150〜約300g/10分間、最も好ましくは約200〜約250g/10分間のMFRを有することができる。前駆物質の酸のコポリマーのMFRを、さらに好ましいMFR範囲および最も好ましいMFR範囲にすることによって、結果的に得られるアイオノマーが、高い中和度と、さらに、低ヘーズと、高い清澄度と、後続のシート製造法または射出成形法における優れた処理性とを有することが可能になる。
【0078】
しかし、ある程度の、もしくはかなりの程度のヘーズレベルが許容される場合は、前駆物質の酸のコポリマーは、ASTM D1238の方法に従って190℃および2.16kgにおいて測定されるメルトフローレートとして、好ましくは約60g/10分間以下、さらに好ましくは約45g/10分間以下、さらに一層好ましくは約30g/10分間以下、最も好ましくは約25g/10分間以下のメルトフローレートを有する。さらに、一般的には、低いメルトインデックスが低クリープに有利である。
【0079】
前駆物質の酸のコポリマーは、米国特許第3,404,134号明細書、同第5,028,674号明細書、同第6,500,888号明細書または同第6,518,365号明細書に記載されているように重合することができる。また、それは、米国特許第3,404,134号明細書および同第6,518,365号明細書に記載されるような任意の従来方式の手順で中和することができる。
【0080】
集光器のアイオノマー組成物に有用なアイオノマーを得るためには、前駆物質の酸のコポリマーを、中和されていない前駆物質の酸のコポリマーについて計算または測定される前駆物質の酸のコポリマーの全カルボン酸含有量を基準として、約5%〜約90%、好ましくは約10%〜約60%、あるいはさらに好ましくは約20%〜約55%、あるいはさらに一層好ましくは約35%〜約55%、あるいは最も好ましくは約40%〜約55%の程度まで中和するのが望ましい。さらに好ましい中和範囲および最も好ましい中和範囲まで中和することによって、低ヘーズ、高い清澄度、十分な耐衝撃性および良好な処理性などの1つ以上の望ましい特性を有するアイオノマーのシートまたは成形品を得ることが可能になる。しかし、低いクリープレベルには、一般的に高い中和度が有利である。
【0081】
アイオノマーに用いるのに適したカチオンは、ポリマーの加工処理および太陽電池製造の条件の下で安定な任意のカチオンである。例えばアンモニウムカチオンが適している。金属イオンも好ましいカチオンである。金属イオンは、1価、2価、3価、多価またはこれらの混合物とすることができる。有用な1価の金属イオンには、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀、水銀、銅などのイオン、およびこれらの混合物が包含されるが、これらに限定されない。有用な2価の金属イオンには、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、カドミウム、水銀、スズ、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛などのイオン、およびこれらの混合物が包含されるが、これらに限定されない。有用な3価の金属イオンには、アルミニウム、スカンジウム、鉄、イットリウムなどのイオン、およびこれらの混合物が包含されるが、これらに限定されない。有用な多価の金属イオンには、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタル、タングステン、クロム、セリウム、鉄などのイオン、およびこれらの混合物が包含されるが、これらに限定されない。金属イオンが多価である場合には、米国特許第3,404,134号明細書に記載されるように、ステアレート、オレエート、サリチレート、およびフェノレートのラジカルのような錯化剤を含み得ることが注目される。金属イオンは1価または2価の金属イオンであることが望ましい。1つの好ましいアイオノマーにおいては、金属イオンが、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、カリウム、およびこれらの混合物から選択される。別の好ましいアイオノマーにおいては、金属イオンが、ナトリウム、亜鉛、およびこれらの混合物から選択される。水分の侵入に対する抵抗が必要な場合には、亜鉛が好ましいカチオンである。
【0082】
集光器に用いるアイオノマーは、ASTM D1238の方法に従って190℃および2.16kgにおいて測定されるMFRとして、0.75〜約20g/10分間、好ましくは約1〜約10g/10分間、さらに好ましくは約1.5〜約5g/10分間、最も好ましくは約2〜約4g/10分間のMFRを有することができる。意外なことに、これらのアイオノマーのいくつかは、例えばMFRによって測定される等しい溶融粘度において、当分野に見られるものより、低い水分吸収と組み合わされた低いヘーズおよび高い清澄度を有する。一般的に、メルトインデックスが低いほど、クリープの低下が促進される。
【0083】
いくつかの好ましいアイオノマー組成物は、低ヘーズで高い清澄度のアイオノマー製品に容易に加工処理可能である。特に、低ヘーズで高い清澄度のアイオノマー製品は、中和度の高い、例えば、上記の最も好ましい中和度である約40〜約55%のような高い中和度のアイオノマー組成物によって得られる。アイオノマーのMFRは、その中和度が増大するにつれて減少する(アイオノマーがより高粘度になる)ことがよく知られている。本明細書に記載するように、高いMFRの前駆物質の酸のコポリマーによって、結果として得られるアイオノマーが、シート形成または成形のような溶融加工法における良好な処理性を維持しながら高い中和度を達成することが可能になる。例えば、アイオノマーが約0.75g/10分間以下のMFRを有すると、押出しキャスティング法および射出成形法によって処理することは困難になる可能性があり、しかも、せん断応力によって発生する熱のために重大な熱劣化が生じることがある。シート形成および射出成形法の両者においてはリグラインドが普通であるので、アイオノマーを相対的に高いMFRレベル(例えば、約0.75g/10分間以上)に維持することが望ましい。
【0084】
1つの好ましい集光器においては、アイオノマー組成物に用いられるアイオノマーが、前記に引用した米国特許出願第12/610,678号(代理人整理番号PP0019号)明細書、または、2009年11月2日に出願された同第12/610,881号(代理人整理番号PP0055号)明細書に記載される低ヘーズで高い清澄度のアイオノマーの中から選択される。
【0085】
代替的に、集光器がある程度のヘーズレベルを有することが有利である場合がある。例えば、かなり高いレベルのヘーズを有するフレネルレンズは、ヘーズレベルが低いフレネルレンズよりも、より平等に太陽電池上に光を投射するであろう。一般的に、共重合酸の含有濃度が低いアイオノマー、あるいは、場合によって用いられる共重合エステルを含むアイオノマー、あるいは、多相反応条件(上記に引用した米国特許出願第12/610,678号(代理人整理番号PP0019号)明細書参照)の下で合成されるアイオノマーは、かなり高いヘーズレベルを有する傾向がある。多相反応条件の下での合成は類似のコモノマーの逐次反応を促進する。この方式において、ポリマー鎖の中に長いポリエチレンの連が形成され、この現象がポリエチレン部分の結晶化傾向を促進する。結晶化度の増大は、ヘーズの増大と、特にアイオノマーのTmより高い温度におけるクリープの低下とに有利である。さらに、ヘーズを増大する他の方策としては、アイオノマーのポリ(エチレン)部分の結晶化度を促進するためのアイオノマー組成物の徐冷と、中和度の低下と、アイオノマー組成物中に高ヘーズの他のポリマーを含ませることと、アイオノマー組成物への充填剤の添加とが包含される。
【0086】
アイオノマー組成物は、さらに、1つ以上の添加剤を含むことができる。例えば、ジブチルスズジラウレートのような開始剤を、アイオノマー組成物中に、アイオノマー組成物の全重量を基準として約0.01〜約0.05重量%の濃度で存在させることもできる。望ましい場合には、さらに、反応に対する制御および安定性を強化する目的で、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノンおよびメチルヒドロキノンのような抑制剤を添加することができる。抑制剤は、通常、組成物の全重量を基準として約5重量%未満の濃度で添加するのがよい。
【0087】
アイオノマー組成物は、さらに、樹脂のメルトフローを効果的に低減する他の添加剤を含有することができ、この添加剤は、熱硬化性の製品の製造を可能にする任意の量において存在することができる。すなわち、開始剤および他のメルトフロー低減添加剤は、難加工性または溶融物において処理し得ないアイオノマー組成物をもたらさないような任意の量において存在することができる。このような添加剤を用いると、使用上限温度が高められ、クリープが低下し、さらに一般的に、それから作製される集光器の寸法的な安定性を向上させるであろう。通常、アイオノマー組成物の使用上限温度を約20〜70℃までだけ高めて、使用上限温度を120℃以上にすることができる。
【0088】
代表的かつ有効なメルトフロー低減添加剤は、次のような有機過酸化物である。すなわち、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3,ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、α,α’−ビス(tert−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチル−ペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ベンゾイルペルオキシドなど、およびこれらの混合物の組合せである。有機過酸化物は、約100℃以上の温度で分解してラジカルを生成することが望ましい。さらに好ましいのは、有機過酸化物が、ブレンド操作のために改善された安定性が付与されるように、約70℃以上において10時間の半減期を呈するような分解温度を有することである。有機過酸化物は、アイオノマー組成物の全重量を基準として、約0.01〜約10重量%、あるいは好ましくは約0.5〜約3重量%の濃度で添加することができる。
【0089】
シランは付着性および橋かけ結合を促進する添加剤である。アイオノマー組成物において有用なシランカップリング剤の例として次のような化合物が包含されるが、これらに限定されない。すなわち、Y−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、Y−ビニルベンジルプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−Y−アミノプロピルトリメトキシシラン、Y−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、Y−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、Y−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、Y−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、Y−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−Y−アミノプロピルトリメトキシシランである。また、米国特許出願公開第2007/0267059号明細書、同第2008/0108757号明細書および同第2008/0169023号明細書に記載されるシランカップリング剤も適している。さらに好ましいのは、ジメトキシシラン(例えば(CH3O)2SiRR’)、ジエトキシシラン(例えば(CH3CH2O)2SiRR’)、およびトリエトキシシラン(例えば(CH3CH2O)3SiR)を包含するエトキシシランであり、さらに一般的には、ジアルコキシシラン(例えば(RO)(R’O)SiR'’R''’)である。他の適切なシランは、米国特許出願公開第2006/352,789号明細書および同第1999/320,995号明細書に記載されている。さらに、2種類以上の適切なシランを組み合わせてアイオノマー組成物に用いることができる。シランカップリング剤は、アイオノマー組成物中に、アイオノマー組成物の全重量を基準として、約0.01〜約5重量%、あるいはさらに好ましくは約0.05〜約1重量%の濃度で組み入れることが望ましい。
【0090】
さらに、開始剤単独、過酸化物単独、シラン単独、あるいは、少なくとも1種類のシランと、少なくとも1種類の過酸化物と、少なくとも1種類の開始剤との2つ以上の組合せを、アイオノマー組成物に用いることができる。
【0091】
これに関連して、また前記のように、寸法的な安定性が太陽電池の構成要素の重要な特性である。従って、いくつかのアイオノマー組成物においては、集光器の寸法的な安定性を高めるために橋かけ剤を用いることが望ましい。しかし、処理の簡素化および簡易化のために、橋かけ添加剤をアイオノマー組成物から省くことが望ましい場合がある。
【0092】
注目すべき他の添加剤として、熱安定剤、UV吸収剤、およびヒンダードアミン光安定剤が包含される。適切で好ましい添加剤と、アイオノマー組成物における添加剤の濃度と、添加剤を組成物中に組み入れる方法とが、前記に引用した米国特許出願第12/610,678号(代理人整理番号PP0019号)明細書に詳細に記載されている。
【0093】
アイオノマー組成物は、また、当分野で知られる1つ以上の他の添加剤を含有することもできる。これらの添加剤には次のようなものが包含されるが、これらに限定されず、すなわち、加工処理助剤、流動性強化剤、潤滑剤、顔料、染料、難燃剤、衝撃改質剤、成核剤、シリカのようなブロッキング防止剤、UV安定剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、他のカップリング剤、ガラス繊維のような補強添加剤、充填剤など、および、2つ以上の従来型添加剤の混合物または組合せである。これらの添加剤は、例えば、「Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology」、第5版、John Wiley and Sons発行(ニュージャージー州、2004年)に記載されている。さらに、場合によって行うこのような従来型材料の組成物中への組み入れは、任意の既知の方法で実施できる。例えば、この組み入れを、乾式混合、種々の構成成分の混合物の押出し、マスターバッチ法などによって実施できる。これについても、上記の「Kirk Othmer Encyclopedia」を参照されたい。
【0094】
総括すれば、好ましい集光式太陽電池モジュールとして、次の18項目の特徴の1つ以上を有するモジュールが包含される。
1.アイオノマーが、ASTM D1238の方法に従って190℃および2.16kgにおいて測定されるメルトフローレートとして、約0.75〜約20g/10分間のメルトフローレートを有し、前駆物質のα−オレフィンカルボン酸コポリマーが、同様に測定されるメルトフローレートとして、約1〜約1000g/10分間、または約60〜約700g/10分間のメルトフローレートを有する。
2.前駆物質のα−オレフィンカルボン酸コポリマー中に存在するカルボン酸基が、少なくとも部分的に中和されており、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、およびカリウムからなる群から選択される1つ以上の金属イオンを含む。
3.前駆物質のα−オレフィンカルボン酸コポリマー中に存在するカルボン酸基が、中和されており、アイオノマー中のカルボン酸基の全モル数を基準として、約5〜約95モル%、または約55〜約70モル%のナトリウムイオンと、残余の亜鉛イオンとの混合物を含む。
4.アイオノマーのクリープ開始温度がピーク融解温度より高い。
5.アイオノマーのクリープ開始温度が、ピーク融解温度より少なくとも5℃、少なくとも8℃、または少なくとも10℃高い。
6.アイオノマー組成物が低ヘーズで高い清澄度のアイオノマーを含む。
7.アイオノマー組成物がかなり高いヘーズレベルを有する。
8.太陽電池が、ウエハベースの太陽電池および薄膜太陽電池からなる群から選択される。
9.ウエハベースの太陽電池が、結晶シリコン(c−Si)、多(マルチ)結晶シリコン(mc−Si)、GaAsベースの太陽電池からなる群から選択される。
10.薄膜太陽電池が、アモルファスシリコン(a−Si)、微結晶シリコン(μc−Si)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化銅インジウム(CIS)、二セレン化銅インジウム/ガリウム(CIGS)、光吸収色素、および有機半導体ベースの太陽電池からなる群から選択される。
11.集光式太陽電池モジュールに用いられる集光器が、反射光学系または屈折光学系の形式であるか、あるいは反射および屈折光学系の組合せを含む。
12.反射光学系が、アイオノマー組成物を含む反射鏡、アイオノマー組成物を含む反射放物面、アイオノマー組成物を含む反射皿、およびアイオノマー組成物を含む直線状の放物線トラフからなる群から選択される。さらに、屈折光学系が、アイオノマー組成物を含む屈折レンズ、およびアイオノマー組成物を含むダイクロイックフィルターのような2次集光器からなる群から選択される。
13.反射光学系が、反射される光の量を高めるために金属化処理される。
14.屈折レンズが撮像光学系に由来する。
15.屈折レンズが、成形された入射封止層、収束レンズを含むカバースライド、収束レンズを含むカバーガラス、収束レンズ、単レンズ、合成レンズ、両凸レンズ、平凸レンズ、正メニスカスレンズ、平凹レンズ、膨張レンズ、フレネルレンズ、リニアフレネルレンズ、直線状の湾曲型フレネルレンズ、点焦点フレネルレンズ、およびこれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
16.屈折レンズが非撮像光学系に由来する。
17.屈折レンズが反射防止被膜をも含む。
18.反射防止被膜が、MgF2、フルオロポリマー、フルオロエラストマー、およびこれらの混合物から選択される材料を含む。
【0095】
以下の実施例は本発明をさらに詳細に記述するために提供される。これらの実施例は、本発明を実施するために現在考えられる好ましい態様を述べているが、これは例示用として意図されたものであり、本発明を制限する意図のものではない。
【実施例】
【0096】
実施例E1〜E25および比較例CE1〜CE4に使用したアイオノマー樹脂を表1に記載する。
【0097】
【表1】

1 列挙した値は、中和前のコポリマーの全重量を基準とした、共重合メタクリル酸の重量百分率である。コポリマーの残余の部分は共重合エチレンである。
2 ASTM D1238の方法に従って温度190℃および重量2.16 kgにおいて測定した。
【0098】
比較例CE1〜CE3および実施例E1〜E7
いくつかのアイオノマー組成物を、溶融物の温度をアイオノマーの融点より約10℃超高い130℃〜200℃の範囲に維持しながら、150−6HPM型射出成形機(Taylor’s Industrial Services社、Mount Gilead、オハイオ州)に供給した。成形サイクル時間は約90秒であった。続いて、薄い長方形部品(125×75×3mm)および厚い長方形部品(125×45×20mm)を型から取り出し、テーブルの上に載せて室温(約22±3℃)まで空気冷却した。
【0099】
薄い長方形部品のヘーズは、ASTM D1003−07の方法に従って、HunterLab ColorQuest XEヘーズメータ(Hunter Associates Laboratory社、Reston、バージニア州)上で3mm厚さを通して測定した。測定値を、以下の表1の「ヘーズ(空気冷却)」として示す。厚い長方形部品は目視検査した。各サンプルの清澄度は、他のサンプルのそれに対して相対的にランク付けした。清澄度の格付けは1(最高清澄度)〜5(最低清澄度)の範囲である。結果は以下の表1に「清澄度(空気冷却)」として示す。
【0100】
次に、薄い長方形部品を、空気オーブン内で125℃の温度に90分間再加熱し、その部品を、制御された徐冷速度0.1℃/分で室温に冷却した。この条件は、厚い成形品が空気中で大気温度に冷却される場合の速度を模擬するように意図されたものである。再加熱された部品のヘーズを同じ方法でもう一度測定し、以下の表2に「ヘーズ(徐冷)」として示している。
【0101】
【表2】

【0102】
比較例CE4および実施例E8〜E25
種々のタイプのアイオノマー樹脂を、25mm直径のKillon押出し機に、表3に示す温度条件において供給した。樹脂は、次の条件の下で、アイオノマーシートに押出しキャストした。最初に、ポリマーのスループットは、スクリュー速度を最高スループットに調整することによって制御した。押出し機は、2mmの呼称間隙を備えた150mmのスロットダイに材料供給する。キャストされたばかりのシートは、10℃および15℃の間の温度に保持されかつ1〜2rpmで回転する200mm直径の研磨クロム急冷ロールの上に送られる。アイノマーシートは0.76mm(0.030インチ)の呼称厚さを有していた。シートを押出しラインから取り外し、300×300mmの正方形にカットした。アイオノマーシートの水分濃度は、約35%の相対湿度(RH)を含む大気条件への曝露を最小化することによって、0.06重量%未満に維持した。
【0103】
【表3】

【0104】
各アイオノマーシートからガラスラミネートを調製した。アニール処理されたガラスシート(100×100×3mm)を、リン酸三ナトリウム(5g/l)の脱イオン水溶液で、50℃において5分間洗浄し、続いて脱イオン水で完全にリンスして乾燥した。各アイオノマーシートの3枚の層を一緒に積み重ねて2枚のガラスシートの間に挟み込み、予備積層アセンブリを形成した。中間層の呼称厚さは2.28mmであった。
【0105】
予備積層アセンブリは、各層の相対的な位置決めを維持するためにいくつかの箇所をポリエステルテープで括り、層の内部からの空気除去を容易にするためにアセンブリの周囲をナイロン繊維の帯材で巻いた。このアセンブリを、ナイロンの真空バッグの内側に入れてシールし、バッグ内部の空気圧力が50ミリバール絶対圧力未満に低下するように真空を印加した。次に、このバッグに入れたアセンブリを、温度が120℃に保持される対流空気オーブンの中に30分間置き、続いて、冷却ファンを用いてアセンブリを室温近傍に冷却した。アセンブリを真空源から切り離し、バッグを取り除いて、完全に予備加圧したガラスおよび中間層のアセンブリを生成した。アセンブリは、その周囲を取り囲むように密封シールされていたが、いくつかの気泡を呈した。これは、特定の面積部分が完全には接合されていなかったことを示している。
【0106】
次に、このアセンブリを空気オートクレーブの中に入れて、オートクレーブ内の温度および圧力を、15分間にわたって大気条件から135℃および13.8バールに高めた。この温度および圧力を30分間保持し、続いて、温度を、2.5℃/分の冷却速度Aで40℃に下げた。同時に付随して、Gay−Lussacの法則の作用と15分間にわたる換気とによって、オートクレーブ内部の圧力は大気圧に低下した。その後、同じラミネートをオーブン内で120℃に加熱し、その温度に2〜3時間維持し、続いて室温に徐冷し(例えば、0.1℃/分の冷却速度Bで)、ヘーズ試験にかけた。
【0107】
仕上げられたラミネートをオートクレーブから取り出し、そのヘーズを測定した。最初に、ガラスラミネートを、Windex(登録商標)ガラスクリーナおよびリントレス布を用いて徹底的に清浄化し、それらに、気泡と、光学的測定の精度と干渉する可能性がある他の欠陥とがないことを確認するため検査した。ラミネートのヘーズは、Gardnerヘーズメータ(BYK−Gardner USA社、Columbia、メリーランド州)を用いて測定した。このヘーズメータは、グレージング材料のヘーズレベルを測定するための適切な方法および計器の設定を詳細に記述している米国規格(ANSI Z26.1−1966)「高速道路走行用車両の安全グレージング材料に関する安全コード(Safety Code for Safety Glazing Materials for Glazing Motor Vehicles Operating on Land Highways)」の試験に関する節5.17および5.18と、図5および6とに適合している。計器が正しく校正されかつ適正に作動することを確実にするため、国立標準局(National Bureau of Standards[現在のNIST])に跡付け得るヘーズ規格を用いた。ラミネートを測定した結果を表4に示す。
【0108】
この結果は、一般的に、冷却速度が低下すると、ヘーズが増大し、従ってラミネートの清澄度が低下することを表している。この結果は、また、高い酸濃度(すなわち、約18〜約30重量%、好ましくは約20〜約25重量%、さらに好ましくは約21〜約24重量%)と、相応する中和度とを有するアイオノマーが、酸濃度が低い(すなわち、15重量%)アイオノマーに比べて低ヘーズもしくは良好な清澄度を呈することを表している。
【0109】
【表4】

【0110】
実施例E26〜E32
2インチ×2インチ(5.1cm×5.1cm)寸法のフロートガラス(Krystal Klear Solar Glass(商標)、AFG Industries Inc.社、Kingsport、テネシー州)のスライドを、3−アミノプロピルトリメトキシシランのエタノール溶液(100gの95%エタノールに約5滴、約0.01%のアミノシラン濃度になる)に5分間浸漬した。スライドをその溶液から取り出し、イソプロパノールでリンスして、高圧の窒素ガス流れの下で乾燥した。この処理スライドを、さらに、オーブン内で100℃において30分間乾燥した。
【0111】
非コーティングフィルムを、E.I.du Pont de Nemours and Co.社、Wilmington、デラウェア州(以下「DuPont」と表記する)から入手可能なSurlyn(登録商標)9120のシートから用意した。Surlyn(登録商標)シートを、真空の下で50℃において48時間乾燥し、続いて、XRL−120型ホットロールラミネータ(Hot Roll Laminator)(Western Magnum Corporation社、El Segundo、カリフォルニア州)を用いて155℃および19psi(0.13MPa)において、5ミル(0.127mm)の厚さにカレンダー処理した。カレンダー処理されたフィルムを2インチ×2インチ(5.1cm×5.1cm)寸法の正方形にカットした。
【0112】
コーティングフィルムを次の手順に従って用意した。まず、Surlyn(登録商標)9120のシートを真空の下で40℃において2週間乾燥し、次に、それを、非コートフィルムの場合と同じ方法で5ミル(0.127mm)の厚さにカレンダー処理した。フルオロポリマーベースの反射防止被膜溶液を、2gのViton(登録商標)GF−200Sフルオロエラストマー(DuPont)と、0.2gのIrgacure(登録商標)−651(Ciba Specialty Chemicals社)と、0.2gのトリアリルイソシアヌレート(Aldrich社)とを32gの酢酸プロピルに溶解して調製し、続いて、その溶液を、0.45μmのTeflon(登録商標)PTFE膜フィルタによってろ過した。この反射防止被膜溶液を、カレンダー処理したSurlyn(登録商標)フィルムに、Mini−Labo coater(Yasui Seiki(康井精機) Co.社、Bloomington、インディアナ州)を用いてコーティングした。この場合の操作条件は、#200MGロールを、6.5rpm、ライン速度=0.5m/分、乾燥機オフおよび空気流れなしにおいて用いるという条件である。コーティングは、薄膜分析器(Filmetrics Inc.社、San Diego、カリフォルニア州のF20−EXR型;Rmin=640〜650nm)を用いた分光反射率測定法によって測定した厚さとして一様であった。
【0113】
コーティングフィルムはコーティング処理後直ちに硬化処理した。最初に、4インチ×24インチ(10.2cm×61.2cm)寸法のフィルムを、ホットプレート上で75℃に加熱されたアルミニウムのサンプルホルダの上に載せた。このアセンブリを、SB614型のBenchtop Conveyor UV硬化ユニット(Fusion UV Systems社、Gaithersburg、メリーランド州)に、0.7mm/分の速度で2度通した。放射の周波数および強度を表5に示す。硬化処理されたフィルムを2インチ×2インチ(5.1cm×5.1cm)寸法の正方形にカットし、大気条件の下で保管した。
【0114】
【表5】

【0115】
Surlyn(登録商標)9120のフィルムを処理済みのフロートガラススライドのスズ側に対して積層して、予備積層アセンブリを作製した。この場合、コーティングされたSurlyn(登録商標)フィルムの非コーティング側をガラス側と接触させた。各予備積層アセンブリを真空下にあるサンプルホルダアセンブリの中に入れ、この装填済みサンプルホルダアセンブリを、150℃に加熱したCarverプレスの中に差し込んだ。プレスの温度が150℃に再安定した時に、サンプルホルダアセンブリに圧力(1000psi(6.89MPa)未満)を印加し、15分間保持した。その後、加熱を中断し、プレスを水冷した。サンプルアセンブリが60℃に冷却された後、それをプレスから取り出した。
【0116】
Surlyn(登録商標)/ガラスラミネートを、フレネルレンズパターンによってエンボス加工した。エンボス加工用のテンプレートをSurlyn(登録商標)層に当てがい、このアセンブリを、Carverプレス内で積層用の上記の手順に従って処理した。但し、圧力は500psi(3.45MPa)未満とし、それを5分間印加した。各実施例のエンボス加工に用いたテンプレートおよび温度を表6に示す。
【0117】
【表6】

3 ABは、交互に並ぶ60および100マイクロメートルのピーク高さと基底とを備えた直線状の三角形の溝であって幅が500マイクロメートルの溝から構成されるパターンでエッチングしたアルミニウムブロックである。FLは、商業的に入手可能なプラスチックのポケットサイズのフレネルレンズである。
【0118】
実施例No.E26、E27、E29およびE30の表面パターンを、DekTakプロフィルメータ(Veeco Instruments Inc.社、Plainview、ニューヨーク州)を用いて形状スキャンとして測定した。フレネルレンズ(エンボス加工前後)およびアルミニウムブロックの表面パターンも測定した。形状スキャンの条件は次のとおりである。すなわち、探針タイプ:半径、12.5μm;スキャン長さ:5000μm;解像度:1.111μm/サンプル;探針力:3mg;スキャン長さ:5000μm;サンプル:4500;時間:15秒;測定範囲:2620kÅである。
【0119】
プロフィル測定の結果、アルミニウム型の逆構造が、Surlyn(登録商標)/ガラスの積層サンプル上に良好な精度で転写されたことが分かった。しかし、フレネルレンズの逆パターンは同じ程度の精度では転写されなかった。さらに、フレネルレンズの表面パターンには、エンボス加工後に歪みが観察された。フレネルレンズは、エンボス加工条件の下で歪みが生じる可能性があるポリ(メチルメタクリレート)または他の材料製であったと想定している。
【0120】
さらに、共焦点顕微鏡法によって、実施例E27においてフレネルレンズパターンが伝達された精度を確認した。
【0121】
要約すると、実施例E26〜E32は、光学的なフレネルパターンを包含する微小パターンが、Surlyn(登録商標)/ガラスラミネート上に比較的低い圧力および温度で正確にエンボス加工できることを表している。
【0122】
以上、本発明の好ましい実施形態のいくつかを説明しかつ具体的に例示してきたが、本発明がこのような実施形態に限定されることは意図されていない。むしろ、次の点が理解されるべきである。すなわち、本発明の多数の特徴および利点を、本発明の構造および機能の詳細と共に以上の記述において述べてきたが、この開示は単に例示的なものであり、本発明の原理の範囲内で、添付の請求項が表現されている用語の広義の一般的な意味によって指示される全範囲まで、詳細において、特に、部品の形状、寸法および配置の点において、変更をなすことが可能であるという点である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の太陽電池と、
少なくとも1つの集光器と、
を含む集光式太陽電池モジュールであって、
前記集光器が、約1.02〜約2000sunの太陽エネルギーを前記太陽電池上に集光する能力を有し、
前記少なくとも1つの集光器はアイオノマー組成物を含み、前記アイオノマー組成物は、アイオノマーを含みあるいはアイオノマーから調製され、前記アイオノマーはクリープ開始温度およびピーク融解温度を有し、前記クリープ開始温度が前記ピーク融解温度より少なくとも5℃高い、
集光式太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記太陽電池が、結晶シリコン(c−Si)、多(マルチ)結晶シリコン(mc−Si)、多(ポリ)結晶シリコン(poly−Si)、リボンシリコン、およびGaAsベースの太陽電池からなる群から選択されるウエハベースの太陽電池である、請求項1に記載の集光式太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記太陽電池が、アモルファスシリコン(a−Si)、微結晶シリコン(μc−Si)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化銅インジウム(CIS)、二セレン化銅インジウム/ガリウム(CIGS)、光吸収色素、および有機半導体ベースの太陽電池からなる群から選択される薄膜太陽電池である、請求項1に記載の集光式太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記集光器が、反射光学系として、屈折光学系として、あるいは反射および屈折光学系の両者として作用する、請求項1に記載の集光式太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記反射光学系が、前記アイオノマー組成物を含み、かつ、反射鏡、反射放物面、反射皿、および直線状の放物線トラフからなる群から選択される、請求項4に記載の集光式太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記屈折光学系が、前記アイオノマー組成物を含み、かつ、屈折レンズおよびダイクロイックフィルターからなる群から選択される、請求項4に記載の集光式太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記屈折レンズが撮像光学系に由来する、請求項6に記載の集光式太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記屈折レンズが、成形された入射封止層、収束レンズを含むカバースライド、収束レンズを含むカバーガラス、収束レンズ、単レンズ、合成レンズ、両凸レンズ、平凸レンズ、正メニスカスレンズ、平凹レンズ、非球面レンズ、膨張レンズ、フレネルレンズ、リニアフレネルレンズ、直線状の湾曲型フレネルレンズ、点焦点フレネルレンズ、セグメント化されたフレネルレンズ、およびこれらのレンズの任意の2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の集光式太陽電池モジュール。
【請求項9】
前記屈折レンズの少なくとも一部分が反射防止被膜でコーティングされる、請求項6に記載の集光式太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記反射防止被膜が、MgF2と、フルオロポリマーと、フルオロエラストマーと、MgF2、前記フルオロポリマーおよび前記フルオロエラストマーの2つまたは3つの混合物とから選択される材料を含む、請求項9に記載の集光式太陽電池モジュール。
【請求項11】
1つまたは複数の太陽電池と、少なくとも1つの集光器とを含む集光式太陽電池モジュールであって、
(A)前記集光器が、約1.02〜約2000sunの太陽エネルギーを前記太陽電池上に集光する能力を有し、
(B)前記少なくとも1つの集光器はアイオノマー組成物を含み、前記アイオノマー組成物は、アイオノマーを含みあるいはアイオノマーから調製され、前記アイオノマーは、カルボキシレート基およびカチオンを含み、かつ前駆物質のα−オレフィンカルボン酸コポリマーの中和生成物であり、前記前駆物質のα−オレフィンカルボン酸コポリマーは、(i)2〜10個の炭素を有するα−オレフィンの共重合ユニットと、(ii)3〜8個の炭素を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合ユニットであって、前記α−オレフィンカルボン酸コポリマーの全重量を基準として約18〜約30重量%のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合ユニットと、を含み、前記前駆物質のα−オレフィンカルボン酸コポリマー中に存在する前記カルボン酸基の全含有量の約5%〜約90%が、アイオノマーを形成するために中和されている、集光式太陽電池モジュール。
【請求項12】
前記前駆物質のα−オレフィンカルボン酸コポリマーが、約20〜約25重量%の前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合ユニットを含み、あるいは、前記前駆物質のα−オレフィンカルボン酸コポリマー中に存在する前記カルボン酸基の全含有量の約20%〜約55%が中和されている、請求項11に記載の集光式太陽電池モジュール。
【請求項13】
前記アイオノマーが、ASTM D1238に従って190℃および2.16kgの重量において測定されて、約0.75〜約20g/10分間のメルトフローレートを有し、前記前駆物質のα−オレフィンカルボン酸コポリマーが、約1〜約1000g/10分間のメルトフローレートを有する、請求項11に記載の集光式太陽電池モジュール。
【請求項14】
前記カチオンが、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、またはナトリウムおよび亜鉛の両イオンを包含する、請求項11に記載の集光式太陽電池モジュール。
【請求項15】
前記カチオンが、約55〜約70当量%のナトリウムイオンと、補足的に約30〜約45当量%の亜鉛イオンとを含む、請求項14に記載の集光式太陽電池モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−510182(P2012−510182A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538686(P2011−538686)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/065901
【国際公開番号】WO2010/062947
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】