説明

アイマスク

【課題】耳掛け部8を形成する1本の非伸縮性紐7の両端を紐留め具9で連結し、非伸縮性紐7を耳方向へ引っ張る力により、紐留め具9を瞼に押し付けて瞼に軽微な圧力を与え眼精疲労状態を緩和する。
【解決手段】鼻に架け渡して両眼を覆うアイマスク本体1の左右両端部に、上下対となる紐挿通孔6、6を設け、この紐挿通孔6、6に非伸縮性紐7の両端をアイマスク本体1の顔面側から外面側方に挿通し、アイマスク本体1の左右外側方に環状耳掛け部8を形成し、アイマスク本体1の外面側に於ける眼対応位置には、両眼を夫々軽微に圧迫可能な形状の紐留め具9を配設し、紐留め具9には非伸縮性紐7の両端が位置移動、且つ係脱可能に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアイマスクに関し、更に詳しくは眼精疲労症状を緩和するために使用するアイマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ画面の凝視等により眼精疲労症状を訴える人が著しく増加した。眼精疲労症状を緩和するためのアイマスクとしては、アイマスク本体の顔面側に含水された吸水性部材が具備され、この吸水性部材には両眼球を圧迫するように両眼球対応位置に突出部が設けられ、この突出部には他の部分よりも多くの水が含まれ、含水された突出部を眼球に押し当ててドライアイの症状を緩和しようとするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
又、安眠用のアイマスクとして、無端の環状伸縮性バンドに2個の植毛パッドを移動可能に取り付け、伸縮性バンドの伸縮力で瞼を微小圧迫して安眠と瞼の脂肪除去を目的とするものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
又、マスクや眼帯の耳掛け部に関するものとして、1本の紐の両端を、2孔又は4孔の糸孔を穿設した盤状ボタンに挿通し、紐の長さを調整するようにしたものが提案されている(例えば、実用新案文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−254994号公報
【特許文献2】特開平6−315499号公報
【実用新案文献1】
実用新案登録第3088501号の登録実用新案公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1記載のアイマスクは、アイマスクと顔面との間を加湿状態としてドライアイの症状を改善し、突出部の微小圧迫で角膜表面のくせ付けを促進して近視を矯正するようにしているが、雑菌繁殖防止のために洗浄を必要とし、手軽に使用ができず、又、密着剤がポリウレタン発泡体等からなるため顔面への衝撃や刺激が強く、長時間に亘たる使用には不向きであるという問題点があった。
特許文献2記載のアイマスクは頭部に巻き付けた伸縮性バンドの復元力により植毛パッドを瞼に押し付ける構成であるため、植毛パッドの瞼への圧力を調整不可能で、却って眼の健康を害し、常時伸縮性バンドで頭を締め付けているため筋収縮性偏頭痛様の症状の原因となる問題点があった。又、植毛パッドの抜毛が眼に入り、角膜等を傷付けるおそれがあり、伸縮性バンドで圧迫される目頭から目尻、こめかみ等に押し付けられた跡が残るという欠点も有していた。
実用新案文献1記載のマスクや眼帯の耳掛け部は、1本の紐をマスクや眼帯の紐孔を挿通させて、紐の両端を紐孔より外部に引き出し、引き出された紐の両端は2孔若しくは4孔を有する盤状ボタンに挿通して環状耳掛け部を形成し、紐を盤状ボタンの孔内を移動させることにより耳掛け部の長さ調整を行うもので、瞼を軽微に圧迫させることで眼精疲労を緩和させる本願発明とは構成及び作用効果を別異にする。
本願発明は、耳掛け部を形成する1本の非伸縮性紐の両端を紐留め具で連結し、非伸縮性紐を耳方向へ引っ張る力により、留め具を瞼に押し付けて瞼に軽微な圧力を与えて眼精疲労状態を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明は、鼻に架け渡して両眼を覆うアイマスク本体の左右両端部に、上下対となる紐挿通孔を設け、この紐挿通孔に非伸縮性紐の両端を前記アイマスク本体の顔面側から外面側方に挿通し、前記アイマスク本体の左右外側方に環状耳掛け部を形成し、前記アイマスク本体の外面側に於ける両眼対応位置には、両眼を夫々軽微に圧迫可能な形状の紐留め具を配設し、この紐留め具には前記非伸縮性紐の両端が位置移動可能且つ係脱可能に取り付けられてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、伸縮性を全く有しない性質の紐を用いているため、鼻とアイマスク本体の紐挿通孔の傾斜角度を利用して紐留め具で軽微に眼を圧迫でき、耳が痛くなることなく眼精疲労症状を緩和できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1はアイマスクの正面図、図2は背面図、図3は紐留め具の作動状態を示す断面図、図4は使用状態を示す説明図である。
【0007】
これらの図において、アイマスク本体1は遮光性材料を用い、下側縁の略中央を上側縁方に僅かばかり窪ませて使用の際に鼻孔が露出するようにし、鼻を架け渡して両眼を被覆可能な横幅を有する横方向に長い形状に形成されている。遮光性材料の一例として、例えば保温性を有するキルティング材2を外面側に、黒色等の濃色に染色された布3を眼面側にして重合し、周縁をバイアステープ4で包んで縫着したものを用いている。5は所定の厚みを有する光侵入防止片であって、下瞼と頬突出部との間の窪みに位置し、眼への下方からの光の侵入を防止するためにアイマスク本体1の下部に縫着されている。
【0008】
アイマスク本体1の左右両端部には上下1対の紐挿通孔6を設けている。2本の紐7、7で夫々耳掛け部8、8を形成している。詳しくは、各紐挿通孔6、6には、1本の紐7の両端が、夫々顔面側から外面側に挿通され、顔面側方に於いて環状の耳掛け部8を形成している。紐7、7は伸縮性を有しない材質のものであることを必要とする。非伸縮性の紐7、7の両端は、外面側に於ける眼配設位置にて紐留め具9、9により移動及び係脱可能に連結されている。
【0009】
図3により紐留め具9の構成を説明する。紐留め具9は、上方を開口した有底円筒体10とバネ11及び紐押さえ12とより構成されている。有底円筒体10の周壁上部には、2本の紐7が充分挿通可能な径の孔が対設されている。紐押さえ12は、有底円筒体10の内側を上下動可能な円柱体の上部に紐7の直径の2倍以上の径を有する紐挿通孔13が横方向に貫設されている。
【0010】
次に作用について説明する。
耳掛け部8、8を両耳の付け根に夫々掛け、アイマスク本体1を人の顔面の鼻を掛け渡して両眼を覆い、両眼の真上に紐留め具9が位置するように紐7に沿って紐留め具9を移動し、紐留め具9を所望位置に配置した状態でアイマスクを着用する。
【0011】
まず、紐留め具9の動作について説明すると、図3中の矢印で示す方向に紐押さえ12を押し下げ、有底中空円筒体10の周壁上部に穿設した紐挿通孔と紐押さえ12の紐挿通孔13が横方向に同一直線上に配置するようにし、1本の紐7の両端を、有底中空円筒体10の周壁上部に穿設された一方の紐挿通孔へ挿し入れ、紐押さえ12の紐挿通孔13を通って、有底中空円筒体10の周壁上部に穿設された他方の紐挿通孔より引き出す。紐押さえ12を押し下げ、有底中空円筒体10の紐挿通孔と紐押さえ12の紐挿通孔13が同一直線上に配置している状態のときに、有底中空円筒体10及び紐押さえ12をアイマスク本体1の両眼配設対応位置に移動して位置調整を行なう。紐押さえ12の押し下げを解除すると、バネ11の復元力により紐押さえ12は有底中空円筒体10内を上方に位置移動する。2本の紐7は、有底中空円筒体の周壁上部に穿設された紐挿通孔の上側孔縁と、紐挿通孔13の下側孔縁とにより挟み付けられて、位置移動不可能に固定される。
【0012】
通常、人の顔面形状は平面から見て眼よりも鼻の位置が最も突出している。図4に示すように、アイマスクを着用すると、アイマスク本体1の形状は、顔面形状に対応してアイマスク本体1の横方向略中央位置が最も正面方向に突出し、アイマスク本体1の左右両端方にかけて緩やかに後方に傾斜している。紐挿通孔6よりアイマスク本体1の顔面側に引き出された紐は耳掛け部8を形成し、紐留め具9と連結した紐7は紐挿通孔6の方向に引っ張られる。紐留め具9に働く力のうち、紐7を通じて紐挿通孔6の方向に働く力をfとし、紐留め具9が眼の方向に働く力をNとし、紐留め具9の位置からNに対し外側方に90°の角度を有する線とfとのなす角をθとすると、N=fsinθの式が成立する。アイマスクを着用すると、紐留め具9から眼にはN=fsinθの力が働いて眼を軽微に圧迫し、眼精疲労症状を緩和する。光侵入防止片5は下瞼の下方の窪みに合致して配設され、鼻と頬との間から侵入する光を遮断し眼を光の刺激から守るようにしている。
【実施例2】
【0013】
図5に示される実施例2を説明する。実施例1と異なる点は、紐14のアイマスク本体1への取付である。紐14の略中央部は、アイマスク本体1に縫着固定し、紐14の両端は夫々有底中空円筒体10、10の周壁上部に穿設された内側の紐挿通孔へ挿し入れられ、紐押さえ9、9の紐挿通孔13を通って有底中空円筒体10、10の周壁上部に窮設された外側の紐挿通孔から引き出され、上下対となる紐挿通孔6、6のうちの下側紐挿通孔6、6から顔面側に夫々引き出され、環状の耳掛け部8、8を形成し、上側紐挿通孔6、6から夫々外面側に引き出して、両端を夫々有底中空円筒体10、10の紐挿通孔及び紐押さえ12の紐挿通孔13、13に挿通し、有底中空円筒体10、10より外側に引き出して形成されている。
このように、紐14の中央部をアイマスク本体1に縫着固定することにより、紐留め具9、9の位置が定まりやすく、特に極めて鼻の低い人が使用する場合であっても紐留め具9、9が紐挿通孔6、6の側へ移動することがなく、紐留め具9、9の位置ずれが生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】アイマスクの正面図である。(実施例1)
【図2】アイマスクの背面図である。(実施例1)
【図3】紐留め具の作動状態を示す断面図である。(実施例1)
【図4】使用状態を示す説明図である。(実施例1)
【図5】アイマスクの正面図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0015】
1 アイマスク本体
6 紐挿通孔
7、14 紐
8 耳掛け部
9 紐留め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻に架け渡して両眼を覆うアイマスク本体の左右両端部に、上下対となる紐挿通孔を設け、
この紐挿通孔に非伸縮性紐の両端を前記アイマスク本体の顔面側から外面側方に挿通し、
前記アイマスク本体の左右外側方に環状耳掛け部を形成し、
前記アイマスク本体の外面側に於ける両眼対応位置には、両眼を夫々軽微に圧迫可能な形状の紐留め具を配設し、
この紐留め具には前記非伸縮性紐の両端が位置移動可能、且つ係脱可能に取り付けられてなることを特徴とするアイマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−271937(P2006−271937A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127086(P2005−127086)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(505153502)有限会社トリム (1)