説明

アイライナー化粧料

【課題】滑らかに伸び広がることで、まぶたに描きやすさく、付着性に優れるため、重ね付けがしやすく思い通りの形や濃さのアイラインを描くことができ、更には、涙や汗に滲みにくく、瞼の動きにもポロポロと剥げ落ちにくい化粧持ちに優れるアイライナー化粧料の提供。
【解決手段】次の成分(A)〜(D):(A)粒子表面の全面に亘ってシリコーンの微小突起を有する球状粒子(B)皮膜形成成分(C)揮発性成分(D)着色剤が配合されたアイライナー化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイライナー化粧料に関し、滑らかに伸び広がり、肌への付着性や重ね付けのしやすさに優れ、化粧持続効果に優れるアイライナー化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アイライナー化粧料は、目の輪郭に発色の良いラインを入れることで目を大きく見せるものである。また、目の輪郭に描くという使用方法から、滑らかにラインを入れられる描きやすさや、涙や皮脂によるにじみ、瞼の連続運動によるポロ落ちの無い化粧持続効果が求められている。最近では、目元を強調するメイクが流行し、さらに目元を強調するためにアイライナー化粧料を重ね付けして、細いラインや太いラインを描き分けたり、濃くはっきりとしたアイラインを描くために、滑らかな使用性だけではなく重ね描きのしやすさが重要視されるようになってきた。
【0003】
こうした市場の要求に応えるべく、機能向上の努力がなされ、有機シリコーン樹脂と揮発性炭化水素油とを配合して耐水性や耐汗が良好で化粧持ちに優れた油性メーキャップ化粧料(特許文献1参照)や、微生物由来の多糖と揮発性アルコール、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、光輝性顔料等を配合し発色と、経時安定性が良好な水系アイライナーの技術(特許文献2参照)が開発されてきた。また、アイライナー化粧料に求められる品質である、滑らかな使用感を得る為にアクリル−シリコーン系グラフト共重合体と球状微粒子粉体と低沸点シリコーン油を配合して化粧持続性に優れ、展延性も良く使用感に優れた液体メークアップ化粧料(特許文献3参照)や、球状粉体と板状粉体を含有して滑らかで描きやすい使用性を有し、化粧持続性に優れる液状アイライナー化粧料(特許文献4参照)等の技術があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−15453号公報
【特許文献2】特許4299294号公報
【特許文献3】特開2002−047140号公報
【特許文献4】特開平11-302126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術で得られる化粧料では、耐皮脂性などの化粧持ちの効果が消費者に満足できるほどのものが得られず、特許文献2の技術で得られるアイライナー化粧料では、化粧持ち、肌への付着性で満足できるほどのものは得られていない。また、特許文献3や特許文献4の球状粉体を配合した化粧料では、滑らかな使用感は得られるものの重ね付けをした場合の付着性が十分ではなく、そこに言及した検討はなされていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、粒子表面の全面に亘ってシリコーンの微小突起を有する、いわゆる金平糖様の形状を有する球状粒子が滑らかな使用感でありながら、肌への付着性が優れることに着目し、皮膜形成成分と揮発性成分と着色剤を配合した化粧持ちの良いアイライナー化粧料に配合することで、重ね付けのしやすさに優れているだけでなく、涙等の水分や皮脂とのにじみを防ぐ化粧持続効果を更に向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(D):
(A)粒子表面の全面に亘ってシリコーンの微小突起を有する球状粒子
(B)皮膜形成成分
(C)揮発性成分
(D)着色剤
を配合することを特徴とするアイライナー化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアイライナー化粧料は、滑らかに伸び広がることで、まぶたに描きやすく、付着性に優れるため、重ね付けがしやすく思い通りの形や濃さのアイラインを描くことができ、更には、涙や汗に滲みにくく、瞼の動きにもポロポロと剥げ落ちにくい化粧持ちに優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアイライナー化粧料に使用される(A)粒子表面の全面に亘ってシリコーンの微小突起を有する球状粒子はその形状に特徴があり、母体となる球状の粒子表面全体にシリコーンの微小突起を複数有し、いわゆる金平糖のような形状をなすものである。平均粒子径は特に限定されるものではないが、1〜30μmのものが好ましく、更には3.5〜10μmが好ましい。また、(突起物の平均高さ)/(母体となる球状の粒子の平均粒径)が、0.01〜0.3であることが望ましい。これらとしては、特開2008−137953号や特開2009−280570に記載されたものがあり、市販品としては、母体となる球状粒子と、突起物のどちらもがポリメチルシルセスキオキサンであるTOSPEARL 150KA(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、母体となる球状粒子がメタクリル酸メチルクロスポリマーであり、表面に有される突起物がポリメチルシルセスキオキサンであるSilcrusta MK03(日興リカ社製)等がある。平均粒子径は、突起物を含む球状シリコーン粒子の平均粒径をいい、例えば、特に限定されないが、粒度分布測定装置(Coulter社製、レーザー散乱・回折型コールターLSシリーズ)により測定することができる。
【0010】
本発明における成分(A)の配合量は、0.5〜20質量%(以下、単に%とする)が好ましく、更に好ましくは1〜10%である。この範囲であれば、重ね付けのしやすさや、均一な付着性などの効果が十分に発揮される。
【0011】
本発明のアイライナー化粧料に使用される(B)の皮膜形成成分は、通常化粧料に配合されるものであれば特に限定されずに使用できる。例えば、ロジン酸系樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル変性シリコーン、高重合度ジメチルポリシロキサン、キャンデリラ樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリブテン、ポリイソブチレン等の油溶性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等の水溶性樹脂、溶媒に分散させたものとして、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・酢酸ビニルエマルション、ビニルピロリドン・スチレン共重合体エマルション、ポリ酢酸ビニルエマルション、ポリウレタンエマルション等のポリマーエマルションなどが挙げられる。また、成分(B)の皮膜形成成分は水不溶性であると、化粧持ちの点で優位である。中でも、油を連続相とする油性や油中水型ではロジン酸系樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル変性シリコーン、高重合度ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン系樹脂、キャンデリラ樹脂が好ましく、水を連続相とする水性、水中油型では、アクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル共重合体が使用性・化粧持ちの面から好ましい。これらの皮膜形成成分は必要に応じ、1種又は2種以上を用いることができる。
【0012】
本発明のアイライナー化粧料における成分(B)の皮膜形成成分の配合量は、特に限定されないが、固形分濃度として油性や油中水型において3〜40%が好ましく、5〜25%が更に好ましい。また、水性や水中油型では成分(B)がエマルションポリマー形態であると、化粧膜が柔軟性をもち、化粧持続効果の点で優位であり、さらに入手のしやすさ、生産時の配合しやすさの点からも好ましく、固形分濃度として1〜25%が好ましく、5〜15%が更に好ましい。この範囲であれば、肌への密着性、化粧持ちの良さという点で良好なものが得られる。
【0013】
本発明に用いられる成分(C)の揮発性成分としては特に制限されず、常温で揮発する成分であり、通常化粧料に配合されるものであればいずれのものも使用できる。例えば、水、エタノール等の水性成分、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン、揮発性シリコーン油、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール等の油性成分等が挙げられる。これらの揮発性成分は必要に応じ、1種又は2種以上を用いることができる。本発明に用いられる揮発性成分の配合量は、使用性、使用感、及び剤型により異なり、特に制限されないが、全成分中、10〜90%、特に20〜75%が化粧効果、使用性、使用感の面で好ましい。
【0014】
本発明のアイライナー化粧料に使用される(D)の着色剤は、化粧料に通常使用される着色剤であれば、球状、板状、紡錘状、針状等の形状や煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、あるいは多質、無質等のその粒子構造等には特に限定されず、無機顔料、有機顔料、光輝性顔料、金属類等を使用することができる。具体的な粉体としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、ベンガラ等の有色無機顔料、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、有機顔料処理雲母チタン、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、魚鱗箔、二酸化チタン被覆ガラス末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の樹脂積層末等の光輝性顔料、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは、更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等を例示することができ、必要に応じて1種又は2種以上を使用することができる。これらは、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0015】
本発明における(D)の着色剤の配合量は、特に限定されないが1〜50%が好ましく、5〜25%がより好ましい。この範囲であれば、発色、及び涙等の水分や皮脂とのにじみのなさという点で満足のいくものが得られる。
【0016】
本発明のアイライナー化粧料には、(A)〜(D)の必須成分のほかに、目的に応じて本発明の効果を損なわない範囲において、感触調整効果、エモリエント効果等を付与するための成分、界面活性剤、油性成分、粉体、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤等、通常化粧品に配合される他の成分を配合することができる。
【0017】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であれば特に制約はなく、非イオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が使用される。
粉体としては、通常化粧料原料として使用されるものであれば、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等に特に限定されず、無機粉体類、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、シリカ、炭化珪素、窒化ホウ素等の無機粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N―アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類が挙げられ、これら1種又は2種以上用いることができる。またこれら粉体は、1種又は2種以上の複合化したものも用いてもよく、その表面処理を油剤処理、シリコーン化合物処理、水溶性高分子処理等を施してあってもよい。
【0018】
更に、油性成分としては、成分(B)及び(C)の他に、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ビーズワックス、モクロウ、ゲイロウ、ジロウ、モンタンワックス、ステアリル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン等のワックス類、重質流動イソパラフィン、ポリブテン等の炭化水素類、リンゴ酸ジイソステアリル、デカイソステアリン酸ポリグリセリル−10、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)等のエステル類、高重合度ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のシリコーン類等が挙げられ、これらより一種又は二種以上用いることができる。
【0019】
更に、(C)以外の水性成分としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられ、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられ、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が挙げられ、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられ、防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2ペンタジオール等が挙げられる。
【0020】
本発明のアイライナー化粧料は、液状、ゲル状、クリーム状、固形状等の形状は問わず、油を連続相とする油性、油中水型、水を連続相とする水性、水中油型等の剤型がある。
【0021】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0022】
実施例1〜5及び比較例1〜2:油性アイライナー化粧料(固形)
下記表1に示す処方の油性固形アイライナー化粧料を調製し、滑らかな伸び広がり、発色のよさ、肌への付着性、重ね付けのしやすさ、涙等の水分や皮脂とのにじみを防ぐ化粧持続効果について下記の方法により評価した。その結果も併せて表1に示す。
【0023】
【表1】

※1:TOSPEARL 150KA(平均粒子径3.5〜6.5μm、モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※2:TOSPEARL 145A(平均粒子径4.5μm、モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※3:SR1000(モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※4:BENTONE 38V(エレメンティス社製)
※5:PERMETHYL 99A(PRESPERS社製)
※6:AEROSIL R976S(日本アエロジル社製)
【0024】
(製法)
A.成分(4)〜(9)を110℃にて均一に加熱溶解する。
B.Aに成分(1)〜(3)、(10)〜(14)を加え、均一に混合する。
C.Bを90℃で容器に充填、冷却して油性固形アイライナー化粧料を得た。
【0025】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
イ.滑らかな伸び広がり
ロ.肌への付着性
ハ.重ね付けのしやすさ
ニ.重ね付けによる発色
ホ.化粧持ち
イ〜ホの項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。各試料を皮膚に3回連続塗布し、ハの重ね付けのしやすさについては試料が重なって均一な膜を作るかどうか、その際に化粧膜の発色が得られたかをニの重ね付けによる発色として評価した。ホの化粧持ちについては塗布後、パネルに通常の生活をしてもらった後、6時間後に涙や汗などでにじんだりしていないか、化粧膜が部分的に剥離していないか等を評価した。各項目について、パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
【0026】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
【0027】
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
【0028】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜5の油性固形アイライナー化粧料は、比較例1〜2の油性固形アイライナー化粧料に比べ、滑らかな伸び広がりの使用感を有し、肌への付着性や重ね付けのしやすさ、重ね付けの発色に優れ、涙等の水分や皮脂とのにじみを防ぐ化粧持続効果に優れたものであった。
一方、成分(A)の粒子表面の全面に亘ってシリコーンの微小突起を有する球状粒子の代わりに真球状シリコーン樹脂粉末を配合した比較例1では、滑らかな伸び広がりはあるものの、滑らかさが付着を低下させ、重ね付けする時に上滑りし、重ね付けが十分ではない傾向があり、肌への付着性、重ね付けのしやすさにおいて、満足のいくものが得られなかった。また成分(A)の代わりに不定形粉末を配合した比較例2は全項目にわたり評価が低く、特に重ね付けする時に、既に塗布されている膜を引っ張ってしまい、均一な膜にならず、重ね付けのしやすさ、重ね付けによる発色の点で満足のいくものが得られなかった。
【0029】
実施例6〜10及び比較例3〜4:水中油型アイライナー化粧料(液状)
下記表2に示す処方の水中油型アイライナー化粧料を調製し、実施例1〜5及び比較例1〜2と同様の方法により評価した。その結果も併せて表2に示す。
【0030】
【表2】

※7:NIKKOL DDP−6(日本サーファクタント工業社製)
※8:YODOSOL GH810F(固型分46%、アクゾノーベル社製)
※9:ビニゾール2140L(固型分43%、大同化成工業社製)
【0031】
(製法)
A.成分(1)〜(13)を均一に分散する。
B.Aに成分(14)〜(20)を加え、均一に混合する。
C.Bを容器に充填して水中油型アイライナー化粧料を得た。
【0032】
表2の結果から明らかなように、本発明の実施例6〜10の水中油型アイライナー化粧料は、比較例3〜4の水中油型アイライナー化粧料に比べ、滑らかな伸び広がりの使用感を有し、肌への付着性や重ね付けのしやすさ、重ね付けの発色に優れ、涙等の水分や皮脂とのにじみを防ぐ化粧持続効果に優れたものであった。
比較例1〜2と同様に、成分(A)の粒子表面の全面に亘ってシリコーンの微小突起を有する球状粒子の代わりに真球状シリコーン樹脂粉末を配合した比較例3では、重ね付け時の上滑り感があり、肌への付着性、重ね付けのしやすさの点で、満足のいくものが得られず、成分(A)の代わりに不定形粉末を配合した比較例4では、全項目にわたり評価が低く、重ね付けする時に均一な膜が得られず、滑らかなのび広がりの点でも満足のいくものが得られなかった。
【0033】
実施例11:油中水型アイライナー化粧料(液状)
(成分) (%)
(1)(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン 2
(2)ポリイソブチレン 2
(3)シリル化シリカ※10 0.05
(4)シリカ※11 0.01
(5)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト※12 8
(6)軽質イソパラフィン※13 残量
(7)ポリエチレン 3
(8)シリコーンの微小突起を有する球状粒子(金平糖状)※1 3
(9)シリコーン処理ベンガラ 0.5
(10)赤色226号 0.5
(11)カーボンブラック 4
(12)精製水 10
(13)エデト酸二ナトリウム 0.01
(14)1,2−ペンタンジオール 1
(15)パラオキシ安息香酸メチル 適量
(16)香料 0.1
※10:AEROSIL R972(日本アエロジル社製)
※11:AEROSIL 300(日本アエロジル社製)
※12:ルーセンタイトSAN(コープケミカル社製)
※13:IPソルベント1620MU(出光興産社製)
【0034】
(製法)
A.成分(1)〜(7)を90℃で加熱溶解し、成分(8)〜(11)を均一に混合する。
B.Aに成分(12)〜(16)を加え、乳化する。
C.Bを容器に充填してアイライナー化粧料を得た。
【0035】
本発明の実施例11の油中水型アイライナー化粧料は、滑らかな伸び広がりの使用感を有し、肌への付着性や重ね付けのしやすさ、重ね付けの発色に優れ、涙等の水分や皮脂とのにじみを防ぐ化粧持続効果に優れたものであった。
【0036】
実施例12:油性アイライナー化粧料(液状)
(成分) (%)
(1)パルミチン酸デキストリン 1
(2)トリメチルシロキシケイ酸※14 14
(3)ポリエチレン 6
(4)マイクロクリスタリンワックス 2.5
(5)軽質流動イソパラフィン※13 残量
(6)デカメチルシクロペンタシロキサン 20
(7)フェニルグリコール 適量
(8)シリコーンの微小突起を有する球状粒子(金平糖状)※15 5
(9)シリコーン処理ベンガラ被覆板状シリカ 10
(10)ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム
・エポキシ積層末 1
(11)ポリエチレンテレフタレート
・ポリメタクリル酸メチル積層フィルム末※16 2
(12)酸化チタン被覆合成金雲母※17 2
(13)アクリル・スチレン共重合体溶液※18 5
※14:シリコンKF−7312J(50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液、信越化学工業社製)
※15:Silcrusta MK03(日興リカ社製)
※16:NEWオーロラフレークブルー0.2mm(角八魚鱗箔社製)
※17:HELIOS R100S(トピー工業社製)
※18:ニッセツ U−3700A(日本カーバイド工業社製:溶媒として軽質流動イソパラフィン、固形分としてアクリル酸アルキル・スチレン共重合体 固形分48%)
【0037】
(製法)
A.成分(1)〜(6)を90℃で加熱溶解する。
B.Aに成分(7)〜(13)を加え、均一に混合する。
C.Bを容器に充填してアイライナー化粧料を得た。
【0038】
本発明の実施例12の油性アイライナー化粧料は、滑らかな伸び広がりの使用感を有し、肌への付着性や重ね付けのしやすさ、重ね付けの発色に優れ、涙等の水分や皮脂とのにじみを防ぐ化粧持続効果に優れたものであった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D):
(A)粒子表面の全面に亘ってシリコーンの微小突起を有する球状粒子
(B)皮膜形成成分
(C)揮発性成分
(D)着色剤
を配合したことを特徴とするアイライナー化粧料。
【請求項2】
上記成分(B)が水不溶性であることを特徴とする請求項1記載のアイライナー化粧料。
【請求項3】
連続相を油とする剤型であり、且つ、上記成分(B)がロジン酸樹脂、シリコーン樹脂、キャンデリラ樹脂の1種又は2種以上から選ばれることを特徴とする請求項1又は2記載のアイライナー化粧料。
【請求項4】
連続相を水とする剤型であり、且つ、上記成分(B)がアクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル共重合体の1種又は2種以上から選ばれることを特徴とする請求項1又は2記載のアイライナー化粧料。
【請求項5】
上記成分(B)が水分散物またはエマルションポリマーであることを特徴とする請求項1〜2及び4のいずれかに記載のアイライナー化粧料。


【公開番号】特開2012−67088(P2012−67088A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181849(P2011−181849)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】