説明

アウタールーフ用防水構造

【課題】防水性及び美観性を共に向上させ得るアウタールーフ用防水構造を提供する。
【解決手段】上部フレームに固着されてキャビン側部材を形成するシールプレートと、キャビン側部材及びアウタールーフの間に介挿される第1弾性シール部材と、アウタールーフに装着される第2弾性シール部材とを備える。第1弾性シール部材がアウタールーフ及びキャビン側部材によって挟持されることでキャビンの内部を外部に対してシールする第1シール部が形成され、第2弾性シール部材のシール部位が前記シールプレートの外方延在領域に圧接されることで第1シール部より外方側においてキャビンの内部を外部に対してシールする第2シール部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
キャビンの前側上部フレーム,左右一対の横側上部フレーム及び後側上部フレームのうちの対応する上部フレームとアウタールーフとの間をシールする為のアウタールーフ用防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
キャビンの上部フレームとアウタールーフとの間をシールする為のアウタールーフ用防水構造として、前記上部フレームに固着されたブラケットの上面にゴムカラーを設け、内周側が前記上部フレームの上面に載置され且つ外周側が前記ゴムカラーの上面に載置されるように弾性変形可能な防水プレートを設け、前記防水プレートの内周側を前記上部フレームの上面に弾圧しながら前記アウタールーフを取付具を介して前記ブラケットに固着させた構成が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
前記従来のアウタールーフ用防水構造においては、前記キャビンの内外を連通する前記アウタールーフと前記防水プレートとの間及び前記防水プレートと前記上部フレームとの間がそれぞれ面接触によってシールされる。
【0004】
しかしながら、前記キャビンの内外を連通する前記アウタールーフと前記防水プレートとの間及び前記防水プレートと前記上部フレームとの間は、それぞれ、単一の防水構造である為、防水性の観点においては改善の余地がある。
【0005】
又、前記従来のアウタールーフ用防水構造においては、前記アウタールーフの自由端部(エッジ)が露出しており、外観上の観点においても問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−156827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、キャビンの前側上部フレーム,左右一対の横側上部フレーム及び後側上部フレームのうちの対応する上部フレームとアウタールーフとの間をシールする為のアウタールーフ用防水構造であって、防水性及び美観性を共に向上させ得るアウタールーフ用防水構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、キャビンの内部を外部に対して防水する為に、前記キャビンの前側上部フレーム,左右一対の横側上部フレーム及び後側上部フレームのうちの対応する上部フレームとアウタールーフとの間に適用されるアウタールーフ用防水構造であって、前記上部フレームに直接又は間接的に固着されてキャビン側部材を形成するシールプレートであって、前記上部フレームより外方に位置する外方延在領域を有するシールプレートと、前記キャビン側部材及び前記アウタールーフの間に介挿される第1弾性シール部材と、前記アウタールーフに装着される第2弾性シール部材とを備え、前記アウタールーフは、前記キャビンの内部空間の上方を覆う本体領域と、前記本体領域の外周縁を画する外周領域と、前記外周領域より外方に位置する外方領域とを有し、前記第2弾性シール部材は、前記外方領域の自由端部に装着される装着部位と、前記シールプレートの前記外方延在領域に圧接されるように前記装着部から延びるシール部位とを有し、前記第1弾性シール部材が前記外周領域及び前記キャビン側部材によって挟持されることで前記キャビンの内部を外部に対してシールする第1シール部が形成され、前記第2弾性シール部材の前記シール部位が前記外方延在領域に圧接されることで前記第1シール部より外方側において前記キャビンの内部を外部に対してシールする第2シール部が形成されているアウタールーフ用防水構造を提供する。
【0009】
好ましくは、前記外方領域の自由端部は前記外方延在領域の外端部よりも外方へ延在されており且つ下向き状態で終焉され、前記第2弾性シール部材の前記シール部位は、前記装着部位が前記外方領域の自由端部に装着された状態で前記装着部位から内方へ延びており、前記アウタールーフが前記キャビン側部材に固着された状態において前記外方延在領域の上面に圧接される。
【0010】
好ましくは、前記第1弾性シール部材は、前記上部フレーム上に配置される。
【0011】
好ましくは、前記アウタールーフの前記外方領域は、前記キャビン側部材の上面に立設されたボスに載置された状態で締結部材を介して前記キャビン側部材に着脱可能に固定され、前記ボスの長さは、自然長状態における前記第1シール部材の上下方向厚みよりも短くされる。
【0012】
一形態においては、前記上部フレームは前記横側上部フレームの一方とされる。
斯かる形態においては、前記外周領域の上面が車輌前後方向に沿った溝を形成するように前記外周領域が前記本体領域及び前記外方領域の隣接部位に比して下方へ凹まされる。
前記溝は、前記アウタールーフの後方側へ開放される。
【0013】
前記一形態において、好ましくは、前記一方の横側上部フレームの内表面には取付ステーが固着される。前記取付ステーは、他方の横側上部フレームとの間を連結する為の補強フレームを支持すると共に、前記第1弾性シール部材が内方側へ変形することを規制するように構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るアウタールーフ用防水構造によれば、アウタールーフ及びキャビン側部材の間に介挿される第1弾性シール部材によってキャビンの内部を外部に対してシールする第1シール部が形成され、さらに、前記アウタールーフの外方領域の自由端部に装着される第2弾性シール部材のシール部位が上部フレームに固着されて前記キャビン側部材を形成するシールプレートの外方延在領域に圧接されることで前記第1シール部より外方側において前記キャビンの内部を外部に対してシールする第2シール部が形成されているので、防水性及び美観性を共に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係るアウタールーフ用防水構造が適用される作業車輌の一例であるトラクタの斜視図である。
【図2】図2は、前記作業車輌におけるアウタールーフ近傍の斜視図である。
【図3】図3は、前記作業車輌におけるアウタールーフ近傍の分解斜視図である。
【図4】図4は、前記作業車輌におけるキャビンのフレーム構造を示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明に係るアウタールーフ用防水構造の一実施の形態が適用された前記アウタールーフ及び横側上部フレームの縦断斜視図であって、図2のV部における縦断斜視図である。
【図6】図6は、図2のVI部における前記アウタールーフ及び前記横側上部フレームの縦断斜視図である。
【図7】図7は、前記アウタールーフの斜視図である。
【図8】図8は、前記アウタールーフを車輌幅方向に沿った切断面で切断した断面図である。
【図9】図9は、前記アウタールーフを車輌長手方向に沿った切断面で切断した断面図である。
【図10】図10(a)〜(c)は、前記アウタールーフ用防水構造における第2弾性シール部材の端面図である。
【図11】図11は、前記アウタールーフの前方側に装着されるフロントカバーの斜視図である。
【図12】図12は、前記アウタールーフの前側部分の分解縦断斜視図である。
【図13】図13は、前記アウタールーフの後側部分の分解縦断斜視図である。
【図14】図14は、前記アウタールーフの後側部分の第1領域の縦断斜視図である。
【図15】図15は、前記アウタールーフの後側部分の第2領域の縦断斜視図である。
【図16】図16は、前記アウタールーフの後側部分の第3領域の縦断斜視図である。
【図17】図17は、前記一実施の形態における取付構造とは異なるアウタールーフの取付構造の分解斜視図である。
【図18】図18は、前記一実施の形態における取付構造とは異なるフロントカバーの取付構造の分解縦断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るアウタールーフ用防水構造の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施の形態に係るアウタールーフ用防水構造が適用される作業車輌1の一形態であるトラクタの斜視図を示す。又、図2及び図3に、それぞれ、前記作業車輌のアウタールーフ近傍の拡大斜視図及び分解拡大斜視図を示す。なお、図1においては、前方照明の図示を省略している。
本明細書において「左」及び「右」は、特段の説明が無い限り、車輌の後方から前方を向いた状態を基準にした方向を示している。
【0017】
図1に示すように、前記作業車輌1は、車輌フレーム10と、車輌前方側及び後方側にそれぞれ配設された左右一対の前輪21及び左右一対の後輪22と、前記車輌フレーム10に支持されたキャビン30と、前記キャビン30の上部を覆うアウタールーフ100と、前記キャビン30より前方側において前記車輌フレーム10に支持されたエンジンユニット40と、前記エンジンユニット40を覆うボンネット50と、前記エンジンユニット40から作動的に回転動力を入力するトランスミッション(図示せず)とを備えている。
【0018】
図4に、前記キャビン30の斜視図を示す。
図4に示すように、前記キャビン30は、前記車輌フレーム10に支持される下部フレーム31と、前記下部フレームに立設された縦フレーム32と、縦フレーム32の上端部に連結された上部フレーム33とを有している。
前記上部フレーム33は、前側上部フレーム33F,左右一対の横側上部フレーム33S及び後側上部フレーム33Rを有している。
【0019】
本発明に係るアウタールーフ用防水構造は、前記前側上部フレーム33F,左右一対の横側上部フレーム33S及び後側上部フレーム33Rのうちの一の上部フレームと前記アウタールーフ100との間に適用される。
本実施の形態においては、前記左右一対の横側上部フレーム33Sと前記アウタールーフ100との間に前記アウタールーフ用防水構造が適用される場合を例に説明する。
【0020】
図5に、図2のV部における前記作業車輌1の縦断部分斜視図を示す。
又、図6に、図2のVI部における前記作業車輌1の縦断部分斜視図を示す。
【0021】
図3,図5及び図6に示すように、前記アウタールーフ用防水構造は、シールプレート200と、第1弾性シール部材310と、第2弾性シール部材320とを有している。
【0022】
前記シールプレート200は、対応する上部フレームである前記左側の横側上部フレーム33Sに直接又は間接的に固着されてキャビン側部材を形成している。
詳しくは、図5及び図6に示すように、前記シールプレート200は、前記横側上部フレーム33Sより外方に位置する外方延在領域201を有するように、前記横側上部フレーム33Sに直接又は間接的に固着されている。
【0023】
本実施の形態においては、図5及び図6に示すように、前記横側上部フレーム33Sには支持ステー35が固着されており、前記シールプレート200は前記支持ステー35に固着されている。
【0024】
詳しくは、前記支持ステー35は、図5及び図6に示すように、前記横側上部フレーム33Sの内表面に溶接等により固着される縦板部35Vと、前記縦板部35Vの上端から前記横側上部フレーム33Sの上方を通って外方へ延在された横板部35Hとを有しており、前記シールプレート200は前記横板部35Hにボルト及びナット等の締結部材210を介して固着されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、前記アウタールーフ100は、前記キャビン30の内部空間の上方を覆う本体領域101と、前記本体領域101の外周縁を画する外周領域110と、前記外周領域110より外方に位置する外方領域120とを有している。
【0026】
図7に、前記アウタールーフ100の斜視図を示す。
又、図8及び図9に、それぞれ、前記アウタールーフ100の車輌幅方向に沿った切断面で切断した断面斜視図及び車輌前後方向に沿った切断面で切断した斜視図を示す。
なお、図7〜図9は、前記アウタールーフ100に前記第2弾性シール部材320及び下記フロントカバー150が装着されている状態を示している。
【0027】
図7〜図9に示すように、前記外周領域110は、前方側に位置する前側外周領域110Fと、左右両側にそれぞれ位置する横側外周領域110Sと、後方側に位置する後側外周領域110Rとを有している。
【0028】
前記外方領域120は、前記前側外周領域110Fより外方(前方)に位置する前側外方領域120Fと、前記横側外周領域110Sより外方(側方)に位置する横側外方領域120Sと、前記後側外周領域110Rより外方(後方)に位置する後側外方領域120Rとを有している。
【0029】
前記第1弾性シール部材310は、図3に示すように、前側領域310F,左右横側領域310S及び後側領域310Rを有する無端状とされている。
【0030】
図6に示すように、前記アウタールーフ100は、前記第1弾性シール部材310の前記横側領域310Sが前記アウタールーフ100の前記横側外周領域110S及び前記キャビン側部材の間に介挿された状態で、ボルト及びナット等の締結部材190を介して前記キャビン側部材に装着されている。
【0031】
即ち、本実施の形態に係る前記アウタールーフ用防水構造においては、前記第1弾性シール部材310の前記横側領域310Sが前記横側外周領域110S及び前記キャビン側部材によって挟持されることで前記キャビン30の内部を外部に対してシールする第1シール部が形成されている。
【0032】
図6に示すように、前記キャビン側部材の上面にはボス290が立設されており、前記アウタールーフ100は前記ボス290の上面に載置された状態で前記締結部材190を介して前記キャビン側部材に着脱可能に装着されている。
【0033】
前記ボス290の長さは、自然長状態における前記第1弾性シール部材310の上下方向厚みよりも短くされている。
斯かる構成によれば、前記アウタールーフ100を前記キャビン側部材に装着した状態において前記第1弾性シール部材310が上下方向に圧縮されることになる。従って、前記第1シール部の防水性を向上させることができる。
【0034】
本実施の形態においては、図6に示すように、キャビン側部材(本実施の形態においては前記支持ステー35の前記横板部35H)に前記締結部材を形成するボルト191が溶接等によって固定されており、前記ボス290は前記ボルト191に外挿されている。そして、前記アウタールーフ100には前記ボルト191が挿通される開口が設けられており、前記アウタールーフ100は前記ボス290に載置され且つ前記開口に前記ボルト191が挿通された状態で前記締結部材190を構成するナット192によって締結されている。
【0035】
斯かる構成に代えて、内周孔にねじが設けられたボスを前記シールプレート200の上面又は下面に溶接等によって固着し、前記アウタールーフ100を前記ネジ付ボスに載置させた状態で上方からボルトによって締結することも可能である。
【0036】
好ましくは、図5及び図6に示すように、前記第1弾性シール部材310の前記横側領域310Sは、前記横側上部フレーム33S上に配置される。
斯かる構成によれば、前記第1弾性シール部材310の前記横側領域310Sが、高剛性である前記横側上部フレーム33Sによって保持された状態で前記アウタールーフ100の前記横側外周領域110Sによって圧縮されることになり、前記第1シール部の防水性を向上させることができる。
なお、前記第1弾性シール部材310は、ゴムやウレタン等の弾性を有する樹脂材料によって好適に形成され得る。
【0037】
図5〜図9等に示すように、前記第2弾性シール部材320は、前記アウタールーフ100の横側の外周エッジ、即ち、前記アウタールーフ100における前記横側外方領域120Sの自由端部に装着されている。
【0038】
前記第2弾性シール部材320は、図5及び図6に示すように、前記横側外方領域120Sの自由端部に装着される装着部位330と、前記シールプレート200の前記外方延在領域201に圧接されるように前記装着部330から延びるシール部位340とを有している。
【0039】
即ち、本実施の形態に係る前記アウタールーフ用防水構造においては、前記シール部位340が前記シールプレート200の前記外方延在領域201に圧接されることで、前記第1シール部より外方において前記キャビン30の内部を外部に対してシールする第2シール部が形成されている。
【0040】
このように、本実施の形態に係る前記アウタールーフ用防水構造は、前記第1弾性シール部材310による前記第1シール部に加えて、前記アウタールーフ100の外周エッジに装着される前記第2弾性シール部材320による前記第2シール部を有しており、従って、前記アウタールーフ100の美観性を向上させつつ、前記キャビン30の防水性を向上させることができる。
【0041】
さらに、本実施の形態に係る前記アウタールーフ用防水構造においては、図5及び図6に示すように、前記横側外方領域120Sの自由端部が、前記シールプレート200の前記外方延在領域201の外端部よりも外方へ延在されており且つ下向き状態で終焉している。
【0042】
そして、前記第2弾性シール部材320の前記シール部位340は、前記アウタールーフ100が前記キャビン側部材に装着される際に前記外方延在領域201の上面に圧接されるように、前記装着部位330から内方へ延びている。
【0043】
斯かる構成によれば、前記アウタールーフ100及び/又は前記キャビン側部材の製造誤差や組立誤差によって前記キャビン側部材に対する前記アウタールーフ100の外周エッジの相対位置が上下方向及び/又は車輌幅方向に変位したとしても、前記第2弾性シール部材320を確実に前記シールプレート200に圧接させることができる。
【0044】
前記第2弾性シール部材320は、ゴムやウレタン等の弾性を有する樹脂材料によって好適に形成され得る。
なお、前記第2弾性シール部材320は前記装着部位330及び前記シール部位340を一体的に有する限り、種々の形態をとり得る。
【0045】
10(a)に前記第2弾性シール部材320の一例320Aの端面図を示す。
図10(a)に示すように、前記装着部位330は、間隙を存しつつ互いに対向する一対の側壁332及び前記一対332の側壁の一端側同士を連結する端壁333を有し、前記一対の側壁332の他端側が開口とされた断面コの字状の中空本体部331と、前記一対の側壁332の内周面からそれぞれ内方へ延びる第1脱離防止片335とを有している。
前記第1脱離防止片335は、自由端部が基端部より前記アウタールーフ100の外周エッジの挿入方向側に位置するように傾斜されている。
なお、図10(a)における符号339は、前記本体部に内装された金属芯である。
【0046】
前記装着部位330は、図10(a)に示すように、さらに、前記本体部331の開口の近傍に位置するように前記本体部331から外方へ延びる第2脱離防止片336を有している。
前記第2脱離防止片336は、前記本体部331の前記一対の側壁332の一方から前記外周エッジの挿入方向とは反対側へ延びる支持部337と、前記支持部337の自由端部から前記一対の側壁332の他方側且つ前記外周エッジの挿入方向側へ延びる当接部338とを有している。
【0047】
図10(a)に示す一例320Aにおいては、前記シール部340は、断面略円形の中空形状を有している。
当然ながら、前記シール部340は、断面矩形又は断面楕円形等の種々の中空形状を有し得る。
【0048】
図10(b)及び(c)に前記第2弾性シール部材320の他例320B,320Cの端面図を示す。
図10(b)に示す例320Bにおいては、前記シール部340は、基端部が前記本体部330に連結され且つ先端部が自由端部とされた形状を有している。
なお、図10(b)に示す例320Bにおいては、前記シール部340は、基端部から先端部へ至る部分が断面視において屈曲箇所を有するなフック状とされているが、当然ながら、基端部から先端部へ至る部分が断面視において湾曲状を有することも可能である。
【0049】
図10(c)に示す例320Cにおいては、前記シール部340は、中実形状とされている。
この場合、好ましくは、前記シール部340には発泡部が備えられる。図10(c)に示す前記シール部340は、例えば、発泡倍率の高い材料(例えば、発泡ウレタン材料)で形成される。
【0050】
又、本実施の形態においては、前述の通り、前記アウタールーフ用防水構造が前記左右の横側上部フレーム33Sと前記アウタールーフ100との間に適用されている。
斯かる場合には、図2及び図7等に示すように、好ましくは、前記横側外周領域110Sの上面側が車輌前後方向に沿った溝を形成するように前記横側外周領域110Sが前記本体領域101及び前記横側外方領域120Sの隣接部位に比して下方へ凹まされ、さらに、前記溝は前記アウタールーフ100の後方側へ開放される。
斯かる構成によれば、前記作業車輌1の走行時間の大半を占める前進走行時に、前記アウタールーフ100の上面の水を前記溝を介して後方側へ効率的に排水させることができる。
【0051】
本実施の形態においては、図2及び図7等に示すように、前記前側外周領域110Fも下方へ凹まされており、前記前側外周領域110Fによって形成される溝及び左右の前記横側外周領域110Sによって形成される溝が連通されて単一の外周溝を形成している。
【0052】
又、前記作業車輌1は、図3及び図5に示すように、前記左右の横側上部フレーム33Sの前後方向中間部位同士を間接的に連結する補強フレーム37を有している。
詳しくは、図5に示すように、一方の横側上部フレーム33Sの内表面には取付ステー38が固着されている。図示は省略するが、同様に、他方の横側上部フレーム33Sの内表面にも取付ステーが固着されている。
そして、左右の取付ステー38に前記補強フレーム37が連結されている。
【0053】
斯かる構成においては、図5に示すように、前記取付ステー38によって、前記第1弾性シール部材310の内方側への変形を規制することができる。
斯かる構成によれば、追加部材を要することなく前記第1弾性シール部材310が内方へ弾性変形することを防止して、前記アウタールーフ100と前記第1弾性シール部材310の上面との間、及び、前記第1弾性シール部材310の下面と対応する前記横側上部フレーム33Sとの間の密着性を向上させることができる。
【0054】
ここで、前記アウタールーフ100の前側部分について説明する。
前述の通り、前記アウタールーフ100には前記フロントカバー150が装着されている。
詳しくは、前記フロントカバー150は前記前側外方領域120Fの自由端部(前記アウタールーフ100の前側の外周エッジ)に装着されている。
【0055】
図11に、前記フロントカバー150の斜視図を示す。
図11に示すように、前記フロントカバー150は、底壁161及び前壁162を有し、上方及び後方が開放されたカバー本体160と、前記底壁161に立設された取付ボス170と、前記底壁161及び前記前壁162に跨るように設けられた第1及び第2リブ181,182とを有している。
【0056】
図12に、前記アウタールーフ100の前側部分の分解縦断斜視図を示す。
図11及び図12に示すように、前記第1リブ181及び前記前壁162の間には上方に開くフロントカバー側スリット181Sが形成されており、前記アウタールーフ100の前側の外周エッジは前記フロントカバー側スリット181Sに係入されている。
【0057】
一方、前記アウタールーフ100の前側の外周エッジのうち前記第2リブ182に対応した部分には、図12に示すように、下方に開くアウタールーフ側スリット100Sが形成されており、前記第2リブ182は前記アウタールーフ側スリット100Sに係入されている。
【0058】
即ち、前記アウタールーフ100の前側の外周エッジが前記フロントカバー側スリット181Sに係入されることで前記フロントカバー150及び前記アウタールーフ100の車輌前後方向の相対移動が防止され、且つ、前記第2リブ182が前記アウタールーフ側スリット100Sに係入されることで前記フロントカバー150及び前記アウタールーフ100の車輌幅方向の相対移動が防止されている。
【0059】
前記フロントカバー150及び前記アウタールーフ100は、このように車輌前後方向及び車輌幅方向に関する相対移動が防止された状態で、前記取付ボス170のねじ孔に螺入されるボルト(図示せず)を介して着脱可能に連結されている。
【0060】
そして、前記フロントカバー150が装着された状態の前記アウタールーフ100は、図12に示すように、前記第1弾性シール部材310の前記前側領域310Fが前記前側上部フレーム33F及び前記前側外周領域110Fによって挟持されるように、上方から前記キャビン側部材に締結部材(図示せず)を介して着脱可能に固定される。
【0061】
次に、前記アウタールーフ100の後側部分について説明する。
前記アウタールール100の後側は、図7〜図9に示すように、車輌幅方向中央に位置する第1領域100R(1)と、前記中央領域100R(1)の車輌幅方向両側に位置する左右一対の第2領域100R(2)と、前記一対の第2領域100R(2)の車輌幅方向外方に位置する左右一対の第3領域100R(3)とを有している。
【0062】
図13に、前記アウタールーフ100の後側部分の分解斜視図を示す。
又、図14〜図16に、それぞれ、前記第1〜第3領域100R(1)〜100R(3)における縦断斜視図を示す。
【0063】
図13及び図14に示すように、前記第1領域100R(1)においては、前記後側外周領域110Rは、前記第1弾性シール部材310との間に空気導入用間隙115が存するように前記第1弾性シール部材310から上方に離間され、且つ、前記後側外方領域120Rは、前記後側上部フレーム33Rに取付ステー185を介して装着されるフィルタユニット180を囲繞し得るように構成されている。
なお、図13及び図14における符号130は、前記フィルタユニット180及び前記第1弾性シール部材310の間をシールする為に前記アウタールーフ100に固着されたアウタールーフ側シールプレートである。
【0064】
前記第2領域100R(2)においては、図13及び図15に示すように、前記後側外周領域110Rの下面は、前記第1弾性シール部材310の上面に直接又は間接的に圧接されている。
【0065】
前記第2領域100R(2)においては、前記後側外周領域110R及び前記後側外方領域120Rの上面は、前記前側外周領域110Fによって形成される溝及び左右の前記横側外周領域110Sによって形成される溝を流れる水を後方へ排出する排出部を形成している。
【0066】
即ち、前記アウタールーフ100は、図7等に示すように、前記後側外方領域120Rにおける前記第2領域100R(2)の上面は、前記横側外周領域110Sの上面によって形成される溝を流れる水を前記後側外周領域110Rにおける前記第2領域100R(2)の上面を介して後方へ排出するように、前記後側外方領域120Rにおける前記第1及び第3領域100R(1),100R(3)の上面よりも下方へ凹まされており、これにより、前記排出部が形成されている。
【0067】
前記第3領域100R(3)においては、図16に示すように、前記後側外周領域110Rの下面は、前記第1弾性シール部材310の上面に直接又は間接的に圧接されている。
前記後側外周領域110Rにおける前記第3領域100R(3)の上面は、図7及び図16に示すように、左右の前記横側外周領域110Sによって形成される溝に連通する溝を形成するように、前記内方領域101及び前記後側外方領域120Rにおける前記第3領域100R(3)の隣接部位に比して下方へ凹まされている。
【0068】
本実施の形態においては、図16に示すように、前記後側外周領域120Rにおける前記第3領域100R(3)には、遮閉プレート140が固着されている。
前記遮閉プレート140は、前記作業車輌1におけるリヤハッチ5の上端部に設けられた弾性シール部材6の上方を覆っており、これにより、前記弾性シール部材6の上端部に塵等が付着することを防止している。
なお、前記遮閉プレート140を前記アウタールーフ100に固着する代わりに、前記後側上部フレーム33R等のキャビン側部材に固着することも可能である。
【0069】
好ましくは、前記後側外方領域110Rは、前記第1〜第3領域100R(1)〜100R(3)の全てにおいて、自由端部が前記第1弾性シール部材310より下方において下向きに終焉される。斯かる構成によれば、外部からの水が前記第1弾性シール部材310に直接的に当たることを防止でき、前記第1弾性シール部材310によるシール性を向上させることができる。
【0070】
このように、本実施の形態においては、前記アウタールーフ100の前側及び後側には、前記第2弾性シール部材320は設けられていない。
従って、仮に、前記第2弾性シール部材320による前記第2シール部を通過して水が侵入したとしても、前記水は前記アウタールーフ100の左右の前記横側外方領域110S及び前記シールプレート200によって画される空間を流れて車輌前方側及び/又は車輌後方側から排出される。
【0071】
なお、本実施の形態においては、図5に示すように、前記シールプレート200はキャビン側部材である前記支持ステー35に前記締結部材210を介して固着されており、前記締結部材210として前記支持ステー35とは別体のボルトが用いられているが、斯かる取付構造に代えて他の取付構造を採用することも可能である。
【0072】
図17に、前記他の取付構造を採用した前記アウタールーフ100,前記シールプレート200及び前記支持ステー35の分解斜視図を示す。
図17に示す取付構造においては、前記支持ステー35の上面にボルト付きステー210aが溶接によって固着され且つ前記シールプレート200には前記ステー210aが挿通される締結孔280が形成されている。
そして、前記ステー210aを前記締結孔280に挿通させた状態で前記シールプレート200の上方側から前記ステー210aのボルトにナット210bを螺入させることで、前記シールプレート200が前記支持ステー35に固着されている。
【0073】
さらに、本実施の形態においては、図6に示すように、前記アウタールーフ100は、キャビン側部材である前記シールプレート200に前記ボス290を介して載置された状態で、前記シールプレート200に固着され且つ前記ボスに内挿された前記ボルト191と前記ナット192とを締結することで前記シールプレート200に固着されている。
【0074】
斯かる前記アウタールーフ100の取付構造に代えて、図17に示すように、前記シールプレート200の上面にねじ孔付きのボス290aを溶接によって固着させ、前記アウタールーフ100に形成された開口を介して前記アウタールーフ100の上方側からボルト290aを前記ボス290aのねじ孔に螺入させることで、前記アウタールーフ100を前記シールプレート200に固着させることも可能である。
【0075】
又、前記フロントカバー150を本実施の形態における取付構造とは異なる取付構造で前記アウタールーフ100に固着させることも可能である。
図18に、異なる取付構造によって連結された前記アウタールーフ100及び前記フロントカバー150の分解縦断斜視図を示す。
【0076】
図18に示す取付構造は、前記フロントカバー150の前記取付ボス170に装着されたスピードナット175を介して前記フロントカバー150が前記アウタールーフ100に固着されるように構成されている。
【0077】
即ち、前記取付ボス170は、前記カバー本体160に立設された中空の周壁部171と前記周壁部171の上端を閉塞する上壁部172とを有している。
前記周壁部171には前記スピードナット175が前記上壁部172に装着されることを許容する為の切り欠き171aが設けられており、前記上壁部172には前記スピードナット175に螺入されるボルト176が挿通される開口172aが設けられている。
【符号の説明】
【0078】
30 キャビン
33F 前側上部フレーム
33S 横側上部フレーム
33R 後側上部フレーム
37 補強フレーム
38 取付ステー
100 アウタールーフ
101 本体領域
110 外周領域
110S 横側外周領域
120 外方領域
120S 横側外方領域
200 シールプレート
201 外方延在領域
290 ボス
310 第1弾性シール部材
320 第2弾性シール部材
330 装着部位
340 シール部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビンの内部を外部に対して防水する為に、前記キャビンの前側上部フレーム,左右一対の横側上部フレーム及び後側上部フレームのうちの対応する上部フレームとアウタールーフとの間に適用されるアウタールーフ用防水構造であって、
前記上部フレームに直接又は間接的に固着されてキャビン側部材を形成するシールプレートであって、前記上部フレームより外方に位置する外方延在領域を有するシールプレートと、前記キャビン側部材及び前記アウタールーフの間に介挿される第1弾性シール部材と、前記アウタールーフに装着される第2弾性シール部材とを備え、
前記アウタールーフは、前記キャビンの内部空間の上方を覆う本体領域と、前記本体領域の外周縁を画する外周領域と、前記外周領域より外方に位置する外方領域とを有し、
前記第2弾性シール部材は、前記外方領域の自由端部に装着される装着部位と、前記シールプレートの前記外方延在領域に圧接されるように前記装着部から延びるシール部位とを有し、
前記第1弾性シール部材が前記外周領域及び前記キャビン側部材によって挟持されることで前記キャビンの内部を外部に対してシールする第1シール部が形成され、
前記第2弾性シール部材の前記シール部位が前記外方延在領域に圧接されることで前記第1シール部より外方側において前記キャビンの内部を外部に対してシールする第2シール部が形成されていることを特徴とするアウタールーフ用防水構造。
【請求項2】
前記外方領域の自由端部は前記外方延在領域の外端部よりも外方へ延在されており且つ下向き状態で終焉しており、
前記第2弾性シール部材の前記シール部位は、前記装着部位が前記外方領域の自由端部に装着された状態で前記装着部位から内方へ延びており、前記アウタールーフが前記キャビン側部材に固着された状態において前記外方延在領域の上面に圧接されていることを特徴とする請求項1に記載のアウタールーフ用防水構造。
【請求項3】
前記第1弾性シール部材は、前記上部フレーム上に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアウタールーフ用防水構造。
【請求項4】
前記アウタールーフの前記外方領域は、前記キャビン側部材の上面に立設されたボスに載置された状態で締結部材を介して前記キャビン側部材に着脱可能に固定されており、
前記ボスの長さは、自然長状態における前記第1シール部材の上下方向厚みよりも短いことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のアウタールーフ用防水構造。
【請求項5】
前記上部フレームは前記横側上部フレームの一方とされており、
前記外周領域の上面が車輌前後方向に沿った溝を形成するように前記外周領域が前記本体領域及び前記外方領域の隣接部位に比して下方へ凹まされており、
前記溝は、前記アウタールーフの後方側へ開放されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のアウタールーフ用防水構造。
【請求項6】
前記一方の横側上部フレームの内表面には取付ステーが固着されており、
前記取付ステーは、他方の横側上部フレームとの間を連結する為の補強フレームを支持すると共に、前記第1弾性シール部材が内方側へ変形することを規制していることを特徴とする請求項5に記載のアウタールーフ用防水構造。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図17】
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【図18】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−235107(P2010−235107A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110856(P2009−110856)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】