説明

アウトリガ装置

【課題】格納および張り出しを狭い空間で行うことができるアウトリガ装置を提供する。
【解決手段】外筒31と中筒32と内筒33とで構成されたジャッキボックス30と、外筒31にロッド41が固定されたジャッキシリンダ40と、シリンダ42を内筒33に固定する第1固定手段と、シリンダ42を中筒32に固定する第2固定手段と、中筒32を収縮した状態において外筒31に固定する第3固定手段と、内筒33を伸長した状態において中筒32に固定する第4固定手段とを備える。ジャッキボックス30を伸縮させることにより格納および張り出しができるので、格納および張り出しを狭い空間で行うことができる。ジャッキボックス30の伸縮は、ストロークの短い1本のジャッキシリンダ40の伸縮により行えるので、軽量であり、安価にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトリガ装置に関する。さらに詳しくは、格納時に縦アウトリガを上方に配置できるアウトリガ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12に示すように、積載形トラッククレーン101は、汎用トラック110の運転室111と荷台112との間の車両フレーム113に小型クレーン120が搭載されたものである。小型クレーン120は、車両フレーム113上に固定されたベース121にアウトリガ装置122が備えられている。
【0003】
一般に、アウトリガ装置122は、ベース121に固定された横アウトリガ123と、横アウトリガ123に上端部が固定された縦アウトリガ124とで構成されている。そして、作業開始時には横アウトリガ123を張り出し、縦アウトリガ124を伸長して下端のフロートを接地させる。これにより、積載形トラッククレーン101の安定が確保される。また、作業終了時には、縦アウトリガ124を収縮し、横アウトリガ123を引き込んで、アウトリガ装置122を格納する。
【0004】
従来のアウトリガ装置122は、格納時の縦アウトリガ124の最低地上高さhが、積載形トラッククレーン101の走行時に障害とならない範囲で可能な限り低くなるように取り付けられている。しかし、車両フレーム113には、バッテリー、エアタンク等の補機類114や燃料タンク115等の装備が取り付けられているため、格納時に縦アウトリガ124がその装備114、115と干渉する恐れがある。そのため、縦アウトリガ124と干渉しない位置に装備114、115を移設した後に、小型クレーン120を汎用トラック110に搭載する必要があった。
【0005】
これに対して、特許文献1に記載のアウトリガ装置は、格納時に縦アウトリガを車両フレームより上方に配置できる構成とし、装備を移設せずとも小型クレーンを汎用トラックに搭載できるようにしたものである。
【0006】
図13に示すように、特許文献1に記載のアウトリガ装置210は、横アウトリガ211と、横アウトリガ211に連結された縦アウトリガ212とで構成されている。横アウトリガ211は、アウトリガ外箱213と、アウトリガ外箱213の内部に挿入されたアウトリガ内箱214とから構成されており、縦アウトリガ212は、アウトリガステー215と、アウトリガステー215の内部に設けられたアウトリガシリンダ216とから構成されている。アウトリガステー215の基端部にはボス218が横アウトリガ211側に向けて突設されており、このボス218がアウトリガ内箱214の側端のプレート219に設けた軸受220に回転可能に支承されて回転機構を構成している。
【0007】
図14に示すように、プレート219には、軸受220を中心として左右対称に2つのピン孔221、221が設けられており、アウトリガステー215のピンブラケット223にはピン孔221に嵌脱するピン222が設けられている。
【0008】
作業開始時には、まず横アウトリガ211を車幅方向へ張り出す。このとき縦アウトリガ212は上方に保持されている(図14における実線)。つぎに、ピン222をピン孔221から抜き、縦アウトリガ212を下方へ180°回転させ(図14における二点鎖線)、ピン222を反対側のピン孔221に挿入する。そして、アウトリガシリンダ216を伸長してフロート217を接地させて、積載形トラッククレーンの安定を確保する。
作業終了時には、まずアウトリガシリンダ216を収縮させ、ピン222をピン孔221から抜き、縦アウトリガ212を上方へ180°回転させ、ピン222を反対側のピン孔221に挿入して縦アウトリガ212を上方に保持する。そして、横アウトリガ211を引き込んでアウトリガ装置210を格納する。
【0009】
図13に示すように、アウトリガ装置210は、格納時には最低地上高さhが車両フレーム201の上面の高さHより高くなる。そのため、燃料タンク202等の装備と縦アウトリガ212との干渉が生じることはなく、小型クレーンを汎用トラックに搭載するときに装備202の移設は不要であり、容易に搭載することができる。
【0010】
しかるに、上記従来のアウトリガ装置210は、縦アウトリガ212を下方に降ろしたり、上方に格納したりする際に、回転させる必要があるため、その回転を許容する広い空間を確保する必要があり、積載形トラッククレーンを停車させる際などに場所を選ぶ必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−274783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に鑑み、格納および張り出しを狭い空間で行うことができるアウトリガ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明のアウトリガ装置は、外筒と、該外筒の内部に挿入された中筒と、該中筒の内部に挿入された内筒とでテレスコピック状に構成されたジャッキボックスと、前記外筒にロッドが固定されたジャッキシリンダと、前記ジャッキシリンダのシリンダを前記内筒に固定する第1固定手段と、前記ジャッキシリンダのシリンダを前記中筒に固定する第2固定手段と、前記中筒を収縮した状態において前記外筒に固定する第3固定手段と、前記内筒を伸長した状態において前記中筒に固定する第4固定手段と、を備えることを特徴とする。
第2発明のアウトリガ装置は、外筒と、該外筒の内部に挿入された中筒と、該中筒の内部に挿入された内筒とでテレスコピック状に構成されたジャッキボックスと、前記外筒にシリンダが固定されたジャッキシリンダと、前記ジャッキシリンダのロッドを前記内筒に固定する第1固定手段と、前記ジャッキシリンダのロッドを前記中筒に固定する第2固定手段と、前記中筒を収縮した状態において前記外筒に固定する第3固定手段と、前記内筒を伸長した状態において前記中筒に固定する第4固定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1発明によれば、ジャッキボックスを構成する外筒と中筒と内筒を、第1固定手段、第2固定手段、第3固定手段および第4固定手段で選択して伸縮させることで、ジャッキボックスを伸縮させることができる。ジャッキボックスを伸縮させることにより格納および張り出しができるので、格納および張り出しを狭い空間で行うことができる。また、ジャッキボックスの伸縮は、ストロークの短い1本のジャッキシリンダの伸縮により行えるので、軽量であり、安価にできる。
第2発明によれば、第1発明と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアウトリガ装置の縦アウトリガ部分の正面視断面図である。
【図2】同アウトリガ装置の格納状態における正面図である。
【図3】同アウトリガ装置の張り出し状態における正面図である
【図4】同アウトリガ装置の張り出し手順の説明図である。
【図5】同アウトリガ装置の格納手順の説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るアウトリガ装置の縦アウトリガ部分の正面視断面図である。
【図7】同アウトリガ装置の張り出し手順の説明図である。
【図8】同アウトリガ装置の格納手順の説明図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るアウトリガ装置の縦アウトリガ部分の正面視断面図である。
【図10】同アウトリガ装置の張り出し手順の説明図である。
【図11】同アウトリガ装置の格納手順の説明図である。
【図12】一般的な積載形トラッククレーンの側面図である。
【図13】従来のアウトリガ装置の正面図である。
【図14】同アウトリガ装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係るアウトリガ装置1は、積載形トラッククレーンに積載される小型クレーンに備えられるものである。小型クレーンは、ベースbを有しており、そのベースbにアウトリガ装置1が固定されている。
【0017】
アウトリガ装置1は、ベースbの左右に水平に設けられた一対の横アウトリガ10、10と、各横アウトリガ10に連結された縦アウトリガ20とを備えている。横アウトリガ10は、アウトリガ外箱11とアウトリガ内箱12とからなり、アウトリガ外箱11の内部にアウトリガ内箱12が挿入され、テレスコピック状に構成されている。
なお、汎用トラックの車両フレームfにアウトリガ外箱11の底面が固定されることにより、小型クレーンが汎用トラックに搭載され、積載形トラッククレーンが構成される。
【0018】
図1に示すように、縦アウトリガ20は、ジャッキボックス30を備えている。ジャッキボックス30は、外筒31と、その外筒31の内部に挿入された中筒32と、その中筒32の内部に挿入された内筒33とでテレスコピック状に構成されている。外筒31は、その下方部分がアウトリガ内箱12の先端に固定されている。また、中筒32および内筒33は、外筒31に対して下方に伸長できるようになっている。内筒33の下端には、フロート34が取り付けられている。
【0019】
外筒31,中筒32および内筒33は、いずれも中空であり、その内部にジャッキシリンダ40が収められている。そして、ジャッキシリンダ40のロッド41先端が外筒31の上部に固定されている。
【0020】
ジャッキシリンダ40のシリンダ42には、ロッド側に第1固定ピン51が設けられている。一方、中筒32の上部、および内筒33の上部には、それぞれ挿入孔32u、33uが形成されている。第1固定ピン51はシリンダ42の側面から突出、引き込み可能となっており、その先端を挿入孔32uに挿入することで、シリンダ42を中筒32に固定できるようになっている。また、第1固定ピン51の先端を挿入孔33uに挿入することで、シリンダ42を内筒33に固定できるようになっている。
なお、第1固定ピン51と挿入孔33uの組み合わせが、特許請求の範囲に記載の第1固定手段に相当し、第1固定ピン51と挿入孔32uの組み合わせが、特許請求の範囲に記載の第2固定手段に相当する。
【0021】
また、外筒31の下部には、第2固定ピン52が設けられている。一方、中筒32の下部には、挿入孔32dが形成されている。第2固定ピン52は、中筒32に対して突出、引き込み可能となっており、その先端を挿入孔32dに挿入することで、中筒32を外筒31に対して収縮した状態で外筒31に固定できるようになっている。
なお、第2固定ピン52と挿入孔32dの組み合わせが、特許請求の範囲に記載の第3固定手段に相当する。
【0022】
さらに、中筒32の下部には、第3固定ピン53が設けられている。一方、内筒33の中央および下部には、それぞれ挿入孔33m、33dが形成されている。第3固定ピン53は、内筒33に対して突出、引き込み可能となっており、その先端を挿入孔33dに挿入することで、内筒33を中筒32に対して収縮した状態で中筒32に固定できるようになっている。また、第3固定ピン53の先端を挿入孔33mに挿入することで、内筒33を中筒32に対して伸長した状態で中筒32に固定できるようになっている。
なお、第3固定ピン53と挿入孔33mの組み合わせが、特許請求の範囲に記載の第4固定手段に相当する。
【0023】
なお、上記固定ピン51、52、53、および挿入孔32u、32d、33u、33m、33dは、縦アウトリガ20の中心軸を挟んで対象に一対ずつ設けられている。
【0024】
図4に示すように、このアウトリガ装置1は以下の手順で張り出しが行われる。
縦アウトリガ20を格納した状態では、第1固定ピン51が挿入孔33uに挿入され、第2固定ピン52が挿入孔32dに挿入され、第3固定ピン53が挿入孔33dに挿入されている。
(i)まず、第3固定ピン53を挿入孔33dから抜去して、中筒32と内筒33の固定を解除する。
(ii)つぎに、ジャッキシリンダ40を伸長させる。ジャッキシリンダ40のロッド41は外筒31に固定されているので、シリンダ42が下降する。また、内筒33は第1固定ピン51によりシリンダ42に固定されているので、シリンダ42の下降とともに、内筒33も下降する。
(iii)つぎに、第3固定ピン53を挿入孔33mに挿入して、中筒32と内筒33を固定する。
(iv)つぎに、第1固定ピン51を挿入孔33uから抜去して、シリンダ42と内筒33の固定を解除する。ここで、内筒33は、第3固定ピン53により中筒32に固定されているので、第1固定ピン51の固定を解除しても、落下することはない。
【0025】
(v)つぎに、ジャッキシリンダ40を収縮させる。そうすると、シリンダ42が上昇する。
(vi)つぎに、第1固定ピン51を挿入孔32uに挿入して、シリンダ42と中筒32を固定する。
(vii)つぎに、第2固定ピン52を挿入孔32dから抜去して、外筒31と中筒32の固定を解除する。
(viii)最後に、ジャッキシリンダ40を伸長させる。そうすると、シリンダ42が下降する。また、中筒32は第1固定ピン51によりシリンダ42に固定されているので、シリンダ42の下降とともに、中筒32も下降する。さらに、内筒33は第3固定ピン53により中筒32に固定されているので、シリンダ42および中筒32の下降とともに、内筒33も下降する。そして、フロート34を接地させる。
【0026】
図3に示すように、フロート34を接地させることで、積載形トラッククレーンを安定して支えることができる。なお、横アウトリガ10は、アウトリガ内箱12をアウトリガ外箱11から引き出すことにより、車幅方向(図3における左右方向)へ張り出される。横アウトリガ10の張り出しは手作業で行うか、横アウトリガ10に備えられた油圧シリンダにより行われる。
【0027】
図5に示すように、このアウトリガ装置1は以下の手順で格納が行われる。
縦アウトリガ20を張り出した状態では、第1固定ピン51が挿入孔32uに挿入され、第3固定ピン53が挿入孔33mに挿入され、ジャッキシリンダ40が伸長している。
(i)まず、ジャッキシリンダ40を収縮させる。ジャッキシリンダ40のロッド41は外筒31に固定されているので、シリンダ42が上昇する。また、中筒32は第1固定ピン51によりシリンダ42に固定されているので、シリンダ42の上昇とともに、中筒32も上昇する。さらに、内筒33は第3固定ピン53により中筒32に固定されているので、シリンダ42および中筒32の上昇とともに、内筒33も上昇する。
(ii)つぎに、第2固定ピン52を挿入孔32dに挿入して、外筒31と中筒32を固定する。
(iii)つぎに、第1固定ピン51を挿入孔32uから抜去して、シリンダ42と中筒32の固定を解除する。
(iv)つぎに、ジャッキシリンダ40を伸長させる。そうすると、シリンダ42が下降する。
【0028】
(v)つぎに、第1固定ピン51を挿入孔33uに挿入して、シリンダ42と内筒33を固定する。
(vi)つぎに、第3固定ピン53を挿入孔33mから抜去して、中筒32と内筒33の固定を解除する。ここで、内筒33は、第1固定ピン51によりシリンダ42に固定されているので、第3固定ピン53の固定を解除しても、落下することはない。
(vii)つぎに、ジャッキシリンダ40を収縮させる。そうすると、シリンダ42が上昇する。また、内筒33は第1固定ピン51によりシリンダ42に固定されているので、シリンダ42の上昇とともに、内筒33も上昇する。
(viii)最後に、第3固定ピン53を挿入孔33dに挿入して、中筒32と内筒33を固定する。
【0029】
以上のように、ジャッキボックス30を構成する外筒31と中筒32と内筒33を、第1固定ピン51、第2固定ピン52、第3固定ピン53で選択して伸縮させることで、ジャッキボックス30を伸縮させることができる。
ジャッキボックス30を伸縮させることにより格納および張り出しができるので、格納および張り出しを狭い空間で行うことができる。
また、ジャッキボックス30の伸縮は、ストロークの短い1本のジャッキシリンダ40の伸縮により行えるので、軽量であり、安価にできる。
【0030】
さらに、アウトリガ装置1は、格納した状態では縦アウトリガ20の大部分が横アウトリガ10より上方に配置され、横アウトリガ10の底面より下方にはほとんど突き出さない。そのため、汎用トラックの他の装備と縦アウトリガ20とが干渉することはなく、小型クレーンを汎用トラックに搭載するときに装備の移設は不要であり、容易に搭載することができる。
【0031】
(第2実施形態)
図6に示すように、本発明の第2実施形態に係るアウトリガ装置2は、第1実施形態に係るアウトリガ装置1において、ジャッキシリンダ40のシリンダ42のキャップ側端部が外筒31の上部に固定されているものである。
【0032】
ジャッキシリンダ40のロッド41には、先端に第1固定ピン51が設けられている。一方、内筒33の上部、および下部には、それぞれ挿入孔33u、33dが形成されており、中筒32の下端には、挿入孔32dが形成されている。第1固定ピン51はロッド41の側面から突出、引き込み可能となっており、その先端を挿入孔33dに挿入することで、ロッド41を内筒33に固定できるようになっている。また、第1固定ピン51の先端を挿入孔33uに挿入し、さらに挿入孔32dに挿入することで、ロッド41を中筒32に固定できるようになっている。
なお、第1固定ピン51と挿入孔33dの組み合わせが、特許請求の範囲に記載の第1固定手段に相当し、第1固定ピン51と挿入孔32dの組み合わせが、特許請求の範囲に記載の第2固定手段に相当する。
【0033】
また、外筒31の下部には、第2固定ピン52が設けられている。一方、中筒32の下部には、挿入孔32mが形成されている。第2固定ピン52は、中筒32に対して突出、引き込み可能となっており、その先端を挿入孔32mに挿入することで、中筒32を外筒31に対して収縮した状態で外筒31に固定できるようになっている。
なお、第2固定ピン52と挿入孔32mの組み合わせが、特許請求の範囲に記載の第3固定手段に相当する。
【0034】
さらに、中筒32の下端には、第3固定ピン53が設けられている。第3固定ピン53は、その先端を挿入孔32dに挿入し、さらに挿入孔33dに挿入することで、内筒33を中筒32に対して収縮した状態で中筒32に固定できるようになっている。また、第3固定ピン53の先端を挿入孔32dに挿入し、さらに挿入孔33uに挿入することで、内筒33を中筒32に対して伸長した状態で中筒32に固定できるようになっている。
なお、第3固定ピン53と挿入孔33uの組み合わせが、特許請求の範囲に記載の第4固定手段に相当する。
【0035】
なお、上記固定ピン51、52、53、および挿入孔32m、32d、33u、33dは、縦アウトリガ20の中心軸を挟んで対象に一対ずつ設けられている。
【0036】
図7に示すように、このアウトリガ装置2は以下の手順で張り出しが行われる。
縦アウトリガ20を格納した状態では、第2固定ピン52が挿入孔32mに挿入され、第3固定ピン53が挿入孔32dおよび挿入孔33dに挿入されている。
(i)まず、第3固定ピン53を挿入孔33dから抜去して、中筒32と内筒33の固定を解除するとともに、第1固定ピン51を挿入孔33dに挿入して、ロッド41と内筒33とを固定する。
(ii)つぎに、ジャッキシリンダ40を伸長させる。ジャッキシリンダ40のシリンダ42は外筒31に固定されているので、ロッド41が下降する。また、内筒33は第1固定ピン51によりロッド41に固定されているので、ロッド41の下降とともに、内筒33も下降する。
(iii)つぎに、第3固定ピン53を挿入孔33uに挿入して、中筒32と内筒33を固定する。
(iv)つぎに、第1固定ピン51を挿入孔33dから抜去して、ロッド41と内筒33の固定を解除する。ここで、内筒33は、第3固定ピン53により中筒32に固定されているので、第1固定ピン51の固定を解除しても、落下することはない。
【0037】
(v)つぎに、ジャッキシリンダ40を収縮させる。そうすると、ロッド41が上昇する。
(vi)つぎに、第1固定ピン51を挿入孔33uに挿入して、さらに挿入孔32dに挿入して、ロッド41と中筒32を固定する。
(vii)つぎに、第2固定ピン52を挿入孔32mから抜去して、外筒31と中筒32の固定を解除する。
(viii)最後に、ジャッキシリンダ40を伸長させる。そうすると、ロッド41が下降する。また、中筒32および内筒33は第1固定ピン51によりロッド41に固定されているので、ロッド41の下降とともに、中筒32および内筒33も下降する。そして、フロート34を接地させる。
【0038】
図8に示すように、このアウトリガ装置2は以下の手順で格納が行われる。
縦アウトリガ20を張り出した状態では、第1固定ピン51が挿入孔33uおよび挿入孔32dに挿入され、ジャッキシリンダ40が伸長している。
(i)まず、ジャッキシリンダ40を収縮させる。ジャッキシリンダ40のシリンダ42は外筒31に固定されているので、ロッド41が上昇する。また、中筒32および内筒33は第1固定ピン51によりロッド41に固定されているので、ロッド41の上昇とともに、中筒32および内筒33も上昇する。
(ii)つぎに、第2固定ピン52を挿入孔32mに挿入して、外筒31と中筒32を固定する。
(iii)つぎに、第1固定ピン51を挿入孔32dおよび挿入孔33uから抜去して、ロッド41と中筒32および内筒33の固定を解除するとともに、第3固定ピン53を挿入孔32dおよび挿入孔33uに挿入して、中筒32と内筒33を固定する。
(iv)つぎに、ジャッキシリンダ40を伸長させる。そうすると、ロッド41が下降する。
【0039】
(v)つぎに、第1固定ピン51を挿入孔33dに挿入して、ロッド41と内筒33を固定する。
(vi)つぎに、第3固定ピン53を挿入孔33uから抜去して、中筒32と内筒33の固定を解除する。ここで、内筒33は、第1固定ピン51によりロッド41に固定されているので、第3固定ピン53の固定を解除しても、落下することはない。
(vii)つぎに、ジャッキシリンダ40を収縮させる。そうすると、ロッド41が上昇する。また、内筒33は第1固定ピン51によりロッド41に固定されているので、ロッド41の上昇とともに、内筒33も上昇する。
(viii)最後に、第1固定ピン51を挿入孔33dから抜去して、ロッド41と内筒33の固定を解除するとともに、第3固定ピン53を挿入孔32dおよび挿入孔33dに挿入して、中筒32と内筒33を固定する。
【0040】
以上のように、ジャッキボックス30を構成する外筒31と中筒32と内筒33を、第1固定ピン51、第2固定ピン52、第3固定ピン53で選択して伸縮させることで、ジャッキボックス30を伸縮させることができる。
ジャッキボックス30を伸縮させることにより格納および張り出しができるので、格納および張り出しを狭い空間で行うことができる。
また、ジャッキボックス30の伸縮は、ストロークの短い1本のジャッキシリンダ40の伸縮により行えるので、軽量であり、安価にできる。
【0041】
さらに、アウトリガ装置2は、格納した状態では縦アウトリガ20の大部分が横アウトリガ10より上方に配置され、横アウトリガ10の底面より下方にはほとんど突き出さない。そのため、汎用トラックの他の装備と縦アウトリガ20とが干渉することはなく、小型クレーンを汎用トラックに搭載するときに装備の移設は不要であり、容易に搭載することができる。
【0042】
(第3実施形態)
図9に示すように、本発明の第3実施形態に係るアウトリガ装置3は、第1実施形態に係るアウトリガ装置1において、ジャッキシリンダ40がジャッキボックス30の外部に備えられたものである。そして、ジャッキシリンダ40のシリンダ42のキャップ側端部が外筒31の上部に固定されている。
【0043】
ジャッキシリンダ40のロッド41には、先端に第1固定ピン51が設けられている。一方、中筒32の下部、および内筒33の下部には、それぞれアーム32a、33aが突設されており、各アーム32a、33aには、挿入孔32d、33dが形成されている。第1固定ピン51はロッド41の側面から突出、引き込み可能となっており、その先端を挿入孔33dに挿入することで、ロッド41を内筒33に固定できるようになっている。また、第1固定ピン51の先端を挿入孔32dに挿入することで、ロッド41を中筒32に固定できるようになっている。
なお、第1固定ピン51と挿入孔33dの組み合わせが、特許請求の範囲に記載の第1固定手段に相当し、第1固定ピン51と挿入孔32dの組み合わせが、特許請求の範囲に記載の第2固定手段に相当する。
【0044】
また、外筒31の下部には、第2固定ピン52が設けられている。一方、中筒32の下部には、挿入孔32mが形成されている。第2固定ピン52は、中筒32に対して突出、引き込み可能となっており、その先端を挿入孔32mに挿入することで、中筒32を外筒31に対して収縮した状態で外筒31に固定できるようになっている。
なお、第2固定ピン52と挿入孔32mの組み合わせが、特許請求の範囲に記載の第3固定手段に相当する。
【0045】
さらに、中筒32の下端には、第3固定ピン53が設けられている。一方、内筒33の上部および下部には、それぞれ挿入孔33u、33mが形成されている。第3固定ピン53は、内筒33に対して突出、引き込み可能となっており、その先端を挿入孔33mに挿入することで、内筒33を中筒32に対して収縮した状態で中筒32に固定できるようになっている。また、第3固定ピン53の先端を挿入孔33uに挿入することで、内筒33を中筒32に対して伸長した状態で中筒32に固定できるようになっている。
なお、第3固定ピン53と挿入孔33uの組み合わせが、特許請求の範囲に記載の第4固定手段に相当する。
【0046】
図10に示すように、このアウトリガ装置2は以下の手順で張り出しが行われる。
縦アウトリガ20を格納した状態では、第1固定ピン51が挿入孔33dに挿入され、第2固定ピン52が挿入孔32mに挿入され、第3固定ピン53が挿入孔33mに挿入されている。
(i)まず、第3固定ピン53を挿入孔33mから抜去して、中筒32と内筒33の固定を解除する。
(ii)つぎに、ジャッキシリンダ40を伸長させる。ジャッキシリンダ40のシリンダ42は外筒31に固定されているので、ロッド41が下降する。また、内筒33は第1固定ピン51によりロッド41に固定されているので、ロッド41の下降とともに、内筒33も下降する。
(iii)つぎに、第3固定ピン53を挿入孔33uに挿入して、中筒32と内筒33を固定する。
(iv)つぎに、第1固定ピン51を挿入孔33dから抜去して、ロッド41と内筒33の固定を解除する。ここで、内筒33は、第3固定ピン53により中筒32に固定されているので、第1固定ピン51の固定を解除しても、落下することはない。
【0047】
(v)つぎに、ジャッキシリンダ40を収縮させる。そうすると、ロッド41が上昇する。
(vi)つぎに、第1固定ピン51を挿入孔32uに挿入して、ロッド41と中筒32を固定する。
(vii)つぎに、第2固定ピン52を挿入孔32mから抜去して、外筒31と中筒32の固定を解除する。
(viii)最後に、ジャッキシリンダ40を伸長させる。そうすると、ロッド41が下降する。また、中筒32は第1固定ピン51によりロッド41に固定されているので、ロッド41の下降とともに、中筒32も下降する。さらに、内筒33は第3固定ピン53により中筒32に固定されているので、ロッド41および中筒32の下降とともに、内筒33も下降する。そして、フロート34を接地させる。
【0048】
図11に示すように、このアウトリガ装置3は以下の手順で格納が行われる。
縦アウトリガ20を張り出した状態では、第1固定ピン51が挿入孔32dに挿入され、第3固定ピン53が挿入孔33uに挿入され、ジャッキシリンダ40が伸長している。
(i)まず、ジャッキシリンダ40を収縮させる。ジャッキシリンダ40のシリンダ42は外筒31に固定されているので、ロッド41が上昇する。また、中筒32は第1固定ピン51によりロッド41に固定されているので、ロッド41の上昇とともに、中筒32も上昇する。さらに、内筒33は第3固定ピン53により中筒32に固定されているので、ロッド41および中筒32の上昇とともに、内筒33も上昇する。
(ii)つぎに、第2固定ピン52を挿入孔32mに挿入して、外筒31と中筒32を固定する。
(iii)つぎに、第1固定ピン51を挿入孔32dから抜去して、ロッド41と中筒32の固定を解除する。
(iv)つぎに、ジャッキシリンダ40を伸長させる。そうすると、ロッド41が下降する。
【0049】
(v)つぎに、第1固定ピン51を挿入孔33dに挿入して、ロッド41と内筒33を固定する。
(vi)つぎに、第3固定ピン53を挿入孔33uから抜去して、中筒32と内筒33の固定を解除する。ここで、内筒33は、第1固定ピン51によりロッド41に固定されているので、第3固定ピン53の固定を解除しても、落下することはない。
(vii)つぎに、ジャッキシリンダ40を収縮させる。そうすると、ロッド41が上昇する。また、内筒33は第1固定ピン51によりロッド41に固定されているので、ロッド41の上昇とともに、内筒33も上昇する。
(viii)最後に、第3固定ピン53を挿入孔33mに挿入して、中筒32と内筒33を固定する。
【0050】
以上のように、ジャッキボックス30を構成する外筒31と中筒32と内筒33を、第1固定ピン51、第2固定ピン52、第3固定ピン53で選択して伸縮させることで、ジャッキボックス30を伸縮させることができる。
ジャッキボックス30を伸縮させることにより格納および張り出しができるので、格納および張り出しを狭い空間で行うことができる。
また、ジャッキボックス30の伸縮は、ストロークの短い1本のジャッキシリンダ40の伸縮により行えるので、軽量であり、安価にできる。
【0051】
さらに、アウトリガ装置3は、格納した状態では縦アウトリガ20の大部分が横アウトリガ10より上方に配置され、横アウトリガ10の底面より下方にはほとんど突き出さない。そのため、汎用トラックの他の装備と縦アウトリガ20とが干渉することはなく、小型クレーンを汎用トラックに搭載するときに装備の移設は不要であり、容易に搭載することができる。
【符号の説明】
【0052】
1〜3 アウトリガ装置
10 横アウトリガ
11 アウトリガ外箱
12 アウトリガ内箱
20 縦アウトリガ
30 ジャッキボックス
31 外筒
32 中筒
33 内筒
32d、32m、32u、33d、33m、33u 挿入孔
34 フロート
40 ジャッキシリンダ
41 ロッド
42 シリンダ
51 第1固定ピン
52 第2固定ピン
53 第3固定ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒と、該外筒の内部に挿入された中筒と、該中筒の内部に挿入された内筒とでテレスコピック状に構成されたジャッキボックスと、
前記外筒にロッドが固定されたジャッキシリンダと、
前記ジャッキシリンダのシリンダを前記内筒に固定する第1固定手段と、
前記ジャッキシリンダのシリンダを前記中筒に固定する第2固定手段と、
前記中筒を収縮した状態において前記外筒に固定する第3固定手段と、
前記内筒を伸長した状態において前記中筒に固定する第4固定手段と、を備える
ことを特徴とするアウトリガ装置。
【請求項2】
外筒と、該外筒の内部に挿入された中筒と、該中筒の内部に挿入された内筒とでテレスコピック状に構成されたジャッキボックスと、
前記外筒にシリンダが固定されたジャッキシリンダと、
前記ジャッキシリンダのロッドを前記内筒に固定する第1固定手段と、
前記ジャッキシリンダのロッドを前記中筒に固定する第2固定手段と、
前記中筒を収縮した状態において前記外筒に固定する第3固定手段と、
前記内筒を伸長した状態において前記中筒に固定する第4固定手段と、を備える
ことを特徴とするアウトリガ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−82547(P2013−82547A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224742(P2011−224742)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】