説明

アキシャルギャップ型回転電機及び界磁子用コア

【課題】永久磁石の面積をなるべく大きくしつつ、スキューを設けること。
【解決手段】電機子30、40と界磁子20とが回転軸18a方向において対向するアキシャルギャップ型回転電機10であって、界磁子20は、電機子30、40に対して磁極を呈する永久磁石22と、永久磁石22のうち電機子30、40側の面を覆う界磁子用コア50とを備えている。界磁子用コア50は、電機子30、40に対向する部分であって回転軸18a周りの周方向端部側の辺として、回転軸18aから放射状に延びる線に対して成す角度が比較的大きい傾斜辺50aを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アキシャルギャップ型回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
アキシャルギャップ型回転電機は、界磁子と電機子とが回転軸方向に沿って対向しており、薄型化できる点及び磁極面積を大きくすることでトルク密度を向上できる点で利点を有している。
【0003】
ここで、ラジアルギャップ型回転電機においては、ロータとして、回転軸方向にずらしながら電磁鋼板を積層することでスキューを形成することができ、これによりコギングトルクを低減することができる。
【0004】
アキシャルギャップ型回転電機においてスキューを設けるための構成としては、特許文献1に開示のものがある。
【0005】
特許文献1では、コイル及び永久磁石のロータ回転方向と交差する方向の輪郭線を略直線状とし、また、ロータの回転時にコイルの輪郭線と永久磁石の輪郭線を互いに非平行状態でロータ回転方向に接離するように設定した構成が開示されている。この設定により、ロータの回転時に、永久磁石による磁極がステータのコイルによる磁極を通過する際の磁束の変動が、ロータの回転に伴い徐々に変化し、その結果、急激なトルク変動が抑制され、コギングトルクが緩和される旨開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−130692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、ロータの回転時にと永久磁石の輪郭線を互いに非平行状態でロータ回転方向に接離するように設定するという形状に関する制約から、永久磁石の磁極面積が小さくなってしまう。従って、アキシャルギャップ型回転電機が本来有していた利点、即ち、磁極面積を大きくすることができるという利点を損ってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、永久磁石の面積をなるべく大きくしつつ、スキューを設けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るアキシャルギャップ型回転電機は、電機子(30、40)と界磁子(20,320,420,420B,520,620,720)とが所定の回転軸方向(18a)において対向するアキシャルギャップ型回転電機(10,310,410,410B,610,710)であって、前記界磁子は、前記電機子に対して磁極を呈する永久磁石(22,222I,222L,422,422B,522,622)と、前記永久磁石のうち前記電機子側の面を覆う界磁子用コア(50,150C,150D,150F,250B,250C,250D,250E,250E1,250F,250G,250G1,250H,250I,250J,250K,550,650A)と、を備え、前記界磁子用コアは、前記電機子に対向する部分であって前記回転軸周りの周方向端部側の辺として、前記回転軸から放射状に延びる線(L1)に対して成す角度(θ1)が、前記界磁子用コアのうち前記永久磁石に接する部分であって前記周方向端部側の辺(50B)が前記回転軸から放射状に延びる線(L1)に対して成す角度(θ2)よりも大きい傾斜辺(50a,150Da,250Ba,550a)を有するものである。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係るアキシャルギャップ型回転電機(10)であって、前記界磁子用コア(50)を複数備え、前記複数の界磁子用コアは、前記回転軸から放射状に延びる線の方向において相互に重ならない形状に形成されているものである。
【0011】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るアキシャルギャップ型回転電機(10)であって、前記界磁子用コア(50)のうち前記永久磁石に接する部分の面積は、前記界磁子用コアのうち前記電機子に対向する部分の面積よりも大きいものである。
【0012】
第4の態様は、第1〜第3のいずれかの態様に係るアキシャルギャップ型回転電機(10)であって、前記傾斜辺のうち前記電機子用コアと対向する部分の外周側部分と前記回転軸とを結ぶ第1の線(L1)と、前記傾斜辺のうち前記電機子用コアと対向する部分の内周側部分と前記回転軸とを結ぶ第2の線(L2)との成す角度(θg)が、コギングトルクの一周期分の角度と略同じであるものである。
【0013】
第5の態様は、第4の態様に係るアキシャルギャップ型回転電機(10)であって、前記第1の線と前記第2の線とが成す角度(θg)は、360゜/Nc(但し、Ncは前記界磁子の磁極数Naと前記電機子のティース数Nbとの最小公倍数)に設定されたものである。
【0014】
第6の態様は、第1〜第3のいずれかの態様に係るアキシャルギャップ型回転電機(10)であって、前記界磁子用コアのうち前記電機子に対向する部分であって前記周方向の一端部側に設けられた前記傾斜辺(50a)と、前記電機子用コアのうち前記界磁子に対向する部分であって前記周方向の他端部側に設けられた辺(35a,35Ba)とが成す角度(θ3)が、コギングトルクの一周期分の角度と略同じであるものである。
【0015】
第7の態様は、第1〜第6のいずれかの態様に係るアキシャルギャップ型回転電機(10,310,410,410B,610,710)であって、前記界磁子用コア(50,150C,150D,150F,250B,250C,250D,250E,250E1,250F,250G,250G1,250H,250I,250J,250K,650A)のうち前記電機子に対向する部分は、外周側に向けて順次幅広になる形状に形成されているものである。
【0016】
第8の態様は、第1〜第7のいずれかの態様に係るアキシャルギャップ型回転電機であって、前記界磁子用コア(550)のうち前記電機子に対向する部分は、内周側に向けて順次幅広になる形状に形成されているものである。
【0017】
第9の態様は、第1〜第8のいずれかの態様に係るアキシャルギャップ型回転電機であって、前記界磁子用コアで覆われる前記永久磁石(522)は、略直方体形状に形成されているものである。
【0018】
第10の態様は、第1〜第9のいずれかの態様に係るアキシャルギャップ型回転電機(10,310,410,410B,710)であって、前記界磁子用コア(50,150C,150D,150F,250B,250C,250D,250E,250E1,250F,250G,250G1,250H,250I,250J,250K,550)を複数備え、少なくとも隣設する前記各界磁子用コア間に介在コア(26,126B,126C,126D,326,426,526,726)が配設されたものである。
【0019】
第11の態様は、第10の態様に係るアキシャルギャップ型回転電機であって、前記界磁子用コア(50)を複数備え、前記介在コア(126B,126C,126D,326)のうち前記各界磁子用コアで挟まれる部分が、前記界磁子用コアのうち前記傾斜辺を含む部分の形状に応じて回転方向に突出して形成されているものである。
【0020】
第12の態様は、第1〜第11のいずれかの態様に係るアキシャルギャップ型回転電機であって、前記界磁子用コア(250E,250E,250F,250G,250G1)は、前記電機子に対向する部分を含む第1分割体(250Ep,250Fp,250Gp)と前記永久磁石に接する部分を含む第2分割体(250Eq,250Fq,250Gq)とが、前記傾斜辺を有する前記周方向端部で段差を生じる態様で接合されたものである。
【0021】
第13の態様は、第12の態様に係るアキシャルギャップ型回転電機であって、前記第1分割体の厚み寸法(250Ep,250Fp,250Gp)と前記第2分割体(250Eq,250Fq,250Gq)の厚み寸法とが略同じであるものである。
【0022】
第14の態様は、第1〜第13のいずれかの態様に係るアキシャルギャップ型回転電機(10,310,410,410B)であって、前記電機子(30,40)が、前記回転軸方向における前記界磁子(20,320,420,420B,520)の両側に位置するように2つ設けられ、前記界磁子用コアが、前記2つの電機子のそれぞれに対向して少なくとも2つ設けられると共に、前記少なくとも2つの界磁子用コアがそれぞれ前記傾斜辺を有しているものである。
【0023】
第15の態様は、第1〜第13のいずれかの態様に係るアキシャルギャップ型回転電機(610)であって、前記回転軸方向において前記界磁子(620)の一方側に前記電機子(30)が配設されると共に他方側にエアギャップを介して略円板状の固定ヨーク(640)が配設され、前記界磁子用コア(650A)のうち前記電機子に対向する部分は、外周側に向けて順次幅広になる形状に形成されているものである。
【0024】
第16の態様は、第15の態様に係るアキシャルギャップ型回転電機であって、前記永久磁石(622)のうち前記バックヨーク側の面を覆うバックヨーク側界磁子用コア(650B)をさらに備え、前記バックヨーク側界磁子用コアのうち前記バックヨークに対向する側の部分は、内周側に向けて順次幅広になる形状に形成されているものである。
【0025】
上記課題を解決するため、第17の態様に係る界磁子用コアは、永久磁石(22,222I,222L,422,422B,522,622)のうち電機子(30、40)に対向する面を覆うアキシャルギャップ型回転電機用の界磁子用コア(50,150C,150D,150F,250B,250C,250D,250E,250E1,250F,250G,250G1,250H,250I,250J,250K,550,650A)であって、前記電機子に対向する部分と、前記永久磁石に接する部分とを備え、前記電機子に対向する部分であって回転軸周りの周方向端部側の辺として、前記回転軸から放射状に延びる線(L1)に対して成す角度(θ1)が、前記界磁子用コアのうち前記永久磁石に接する部分であって前記周方向端部側の辺が前記回転軸から放射状に延びる線(L1)に対して成す角度(θ2)よりも大きい傾斜辺(50a,150Da,250Ba,550a)を有するものである。
【発明の効果】
【0026】
第1の態様に係るアキシャルギャップ型回転電機によると、前記界磁子用コアは、前記電機子に対向する部分であって前記回転軸周りの周方向端部側の辺として、前記回転軸から放射状に延びる線に対して成す角度が、前記界磁子用コアのうち前記永久磁石に接する部分であって前記周方向端部側の辺が前記回転軸から放射状に延びる線に対して成す角度よりも大きい傾斜辺を有しているため、その傾斜角度の違いをもって、前記界磁子用コアのうち前記永久磁石に接する部分の面積を前記界磁子用コアのうち前記電機子に対向する部分の面積よりも大きくして永久磁石の面積を大きくすることを可能にしつつ、界磁子用コアのうち前記電機子に対向する部分の辺を傾斜させて、スキューを設けることができる。
【0027】
また、第2の態様のように、前記界磁子用コアを複数備えている場合には、前記回転軸から放射状に延びる線の方向において相互に重ならない形状に形成することで、隣設磁極間で界磁子用コアを介した漏れ磁束を防止することができる。
【0028】
第3の態様によると、前記界磁子用コアのうち前記永久磁石に接する部分の面積を前記界磁子用コアのうち前記電機子に対向する部分の面積よりも大きくすることで永久磁石磁束を増すことができる。
【0029】
また、第4の態様のように、前記傾斜辺のうち前記電機子用コアと対向する部分の外周側部分と前記回転軸とを結ぶ第1の線と、前記傾斜辺のうち前記電機子用コアと対向する部分の内周側部分と前記回転軸とを結ぶ第2の線との成す角度が、コギングトルクの一周期分の角度と略同じであるように設定することで、コギングトルクを抑制することができる。
【0030】
第5の態様によると、前記第1の線と前記第2の線とが成す角度を、360゜/Nc(但し、Ncは前記界磁子の磁極数Naと前記電機子のティース数Nbとの最小公倍数)に設定することで、コギングトルクを抑制することができる。なお、界磁子、電機子のいずれか一方が2組ある場合は、1組分の磁極数またはティース数を示す。
【0031】
第6の態様によると、前記界磁子用コアのうち電機子に対向する部分であって前記周方向の一端部側に設けられた前記傾斜辺と、前記電機子用コアのうち前記界磁子に対向する部分であって前記周方向の他端部側に設けられた辺とが成す角度が、コギングトルクの一周期分の角度と略同じであると、前記電機子用コアのうち前記界磁子に対向する部分であって前記周方向の他端部側に設けられた辺が前記回転軸から放射状に延びる線に対して傾斜する角度を考慮して、コギングトルクを抑制することができる。
【0032】
第7の態様によると、前記界磁子用コアのうち前記電機子に対向する部分の面積をなるべく大きくすることができる。
【0033】
第8の態様によると、界磁子用コアの外周側で、それに隣設する介在コア等に対して一定の間隔を確保し易い。また、リラクタンストルク発生箇所が外側になるため、リラクタンストルクを増すことができる。
【0034】
第9の態様によると、前記界磁子用コアで覆われる前記永久磁石は、略直方体形状に形成されているため、永久磁石の製造が容易であり、磁石の高密度化も可能である。
【0035】
第10の態様によると、隣設する前記各界磁子用コア間に配設された介在コアによって、リラクタンストルクを併用できる。
【0036】
第11の態様によると、介在コアのうち前記各界磁子用コアで挟まれる部分を突出させることで、介在コアが界磁子と対向する面積を大きくすることができる。
【0037】
第12の態様によると、2つの部材を接合することで、傾斜辺を有する界磁子用コアを容易に製造することができる。
【0038】
第13の態様によると、前記第1分割体の厚み寸法と前記第2分割体の厚み寸法とが略同じであるため、製造工程の部分的な共通化に資する。
【0039】
第14の態様によると、2つの電機子と界磁子とのそれぞれの間に作用する吸引力によってスラスト力を低減したアキシャルギャップ型回転電機において、永久磁石の面積を大きくすることを可能にしつつ、スキューを設けることができる。
【0040】
第15の態様によると、スラスト力を低減しつつコイル数を減らすことができるアキシャルギャップ型回転電機においても、永久磁石の面積を大きくすることを可能にしつつ、スキューを設けることができる。
【0041】
第16の態様によると、界磁子とバックヨークとの対向面積を小さくすることで両者間の吸引力を、スラスト力を低減するように調整することができる。また、バックヨークを通る磁束が、なるべく内周部を通るようにすることができ、磁路を短くして鉄損を小さくすることができる。
【0042】
第17の態様に係るアキシャルギャップ型回転電機用の界磁子用コアによると、前記電機子に対向する部分であって回転軸周りの周方向端部側の辺として、前記回転軸から放射状に延びる線に対して成す角度が、前記界磁子用コアのうち前記永久磁石に接する部分であって前記周方向端部側の辺が前記回転軸から放射状に延びる線に対して成す角度よりも大きい傾斜辺を有しているため、その傾斜角度の違いをもって、前記界磁子用コアのうち前記永久磁石に接する部分の面積を前記界磁子用コアのうち前記電機子に対向する部分の面積よりも大きして永久磁石の面積を大きくすることを可能にしつつ、界磁子用コアのうち前記電機子に対向する部分の辺を傾斜させて、スキューを設けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
{第1実施形態}
以下、実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機及び界磁子用コアについて説明する。
【0044】
図1はアキシャルギャップ型回転電機10を示す概略図である。同図に示すように、アキシャルギャップ型回転電機10は、界磁子20と、2つの電機子30、40とを備えている。界磁子20は略円盤状に形成されており、2つの電機子30、40も略円盤状に形成されている。2つの電機子30、40は、回転軸18a方向において界磁子20の両側に設けられている。そして、両電機子30、40による回転磁界によって界磁子20が電機子30、40に対して相対的に回転軸18a周りに回転するようになっている。
【0045】
このように、界磁子20の両側にそれぞれ電機子30、40を設けた構成にあっては、当該2つの電機子30、40と界磁子20とのそれぞれの間に作用する吸引力によってスラスト力を低減させることができるというメリットがある。
【0046】
各部についてより詳細に説明する。
【0047】
電機子30、40は、回転軸18aの方向において、界磁子20に対してエアギャップ(ここでは僅かなエアギャップ)を隔てて対向する位置及び姿勢で、図示省略のケーシング等に固定されている。本実施形態において、電機子30、40は、固定子として用いられ、界磁子20は回転子として用いられている。
【0048】
電機子30は、バックヨーク32と、複数(ここでは9個)のティース34と、各ティース34に巻回された巻線36とを備えている。ここで、巻線36は、細い銅線を複数回巻回したものをいうが、図では、これを省略して示す。また、わたり線や結線等は省略した。
【0049】
バックヨーク32は、略円盤状であり、図示省略のケーシング等に固定されている。バックヨーク32の略中央部には、図示省略のシャフトを挿通可能な孔部32hが形成されている。シャフトと孔部32h間には、隙間或は軸受等が介在し、バックヨーク32に対してシャフトは自在に回転できるようになっている。また、シャフトと孔部32hとの間には、隙間或は非磁性体が介在することで、両者は磁気的に分離している。
【0050】
複数のティース34は、バックヨーク32のうち界磁子20側の面に、回転軸18aを中心として略環状に間隔をあけて配設されている。各ティース34は、その先端部につば部34aを有している。つば部34aは省略されていてもよい。
【0051】
これらのバックヨーク32及び各ティース34は、磁性体により形成されており、例えば、圧粉鉄心等の圧粉磁心又は積層鋼板、又はそれらの組合わせ等により構成されている。
【0052】
特に、ティース34については、それぞれ異なる形状に打抜かれた電磁鋼板を電機子30の径方向に積層することで形成することができる。このような方向で電磁鋼板を積層することで、つば部34a部分をティース34の本体部分と同時形成することができる。このとき、つば部34aの突出寸法(つまり、電機子30の径方向に略直交する方向で突出する寸法)を一定とすることが好ましい。これにより、母材となる電磁鋼板からティース34の本体部分及びつば部34aの部分を含む形状を打抜く際に、その側部部分については同形状の打抜き金型を用いて打抜くことができる。
【0053】
ここで、本実施形態で説明するアキシャルギャップ型回転電機は、基本的には界磁子側にスキューを設けようとする構成であり、電機子側にスキューを設ける場合と比較して以下のメリットがある。
【0054】
すなわち、電機子側の構成でスキューを設けようとすると、つば部の突出寸法を電機子の径方向で変えるか、或は、ティースを電機子の周方向両端部で非対称にする必要がある。
【0055】
まず、つば部の突出寸法を電機子の径方向で変える場合を考える。この場合に、ティースを積層鋼板で形成するためには、当該突出寸法に応じて複数の打抜き金型の相対的な位置関係を動かす等する必要があり、当該打抜き装置の複雑化及び大型化を招くことになる。また、ティースを圧粉磁心で形成する場合には、つば部の突出寸法が極端に大きい部分が生じ強度的に好ましくない。
【0056】
次に、ティースを電機子の周方向両端部で非対称にする場合には、ティースに極端な鋭角部分が生じてしまい、巻線36の巻太りが生じると共に、占積率が低下してしまう。
【0057】
また、電機子側では、鎖交磁束を増すため、できるだけティース間の隙間を小さくしたいという要請が強い。例えば、ティース34間の隙間は、エアギャップ長の2倍以上でできるだけ小さく設定することが好ましい。このため、ティース34間の隙間でスキューを形成する際には比較的制約が大である。
【0058】
これに対して界磁子20にスキューを設けた場合、上記のデメリットを回避できるという点でメリットがある。
【0059】
また、各ティース34のそれぞれに巻線36が装着されている。ここでは、U相、V相、W相の3相の巻線36が、回転軸18a周りにその順で、複数組(ここでは3組)設けられている。
【0060】
電機子40も上記電機子30と同様構成であり、バックヨーク42と、複数のティース44と、各ティース44に巻回された巻線46とを備えている。
【0061】
そして、両電機子30、40の間で界磁子20を介して連続する磁気回路が構成されるように、電機子30、40の各巻線36、46に3相交流を流すことで、両電機子30、40間に、界磁子20を介して共通する回転磁界を発生させるようにしている。
【0062】
なお、上記電機子30、40の構成は一例であり、上記に限定されるものではない。例えば、巻線36、46が分布巻又は波巻されていてもよい。このように、界磁子20を挟んで対向する電機子30、40を設けた構成では、両電機子30、40からの吸引力によってスラスト力を有効にキャンセルすることができるというメリットがある。
【0063】
界磁子20は、電機子30、40に対して磁極を呈する永久磁石22と、永久磁石22のうち電機子30、40側の面(磁極面)22a、22bを覆う界磁子用コア50とを有している。
【0064】
ここでは、永久磁石22は、回転軸18a周りに間隔をあけて複数(ここでは6個)設けられている。各永久磁石22は、回転軸18a方向に沿った方向、即ち、永久磁石22の厚み方向に沿って磁化されており、その2つの主面である磁極面22a、22bがN極又はS極の磁極を呈する。これらの永久磁石22は、回転軸18aの周りで環状かつ交互の磁極を呈するように配設されており、両電機子30、40に対してそれぞれ回転軸18a周りに交互の磁極を呈する。
【0065】
なお、本実施形態では、永久磁石22は、両電機子30,40間で一層設けられた構成であるが、一方の電機子30に対して磁極を呈する永久磁石と、他方の電機子30に対して磁極を呈する永久磁石とが2層に設けられた構成であってもよい。また、ここでは、複数の永久磁石22を用いているが、環状に一体化されると共に周方向に交互に多極着磁した永久磁石を用いてもよい。
【0066】
界磁子用コア50は、上記各永久磁石22の磁極面22a、22bのそれぞれを覆うように複数設けられている。各界磁子用コア50は、各永久磁石22の磁極面22a、22bに接触した状態で配設可能な板状に形成されている。ここでは、各永久磁石22は、2つの電機子30、40に対して磁極面22a、22bを呈するため、各永久磁石22の両面を覆うようにそれぞれの永久磁石22に2つの界磁子用コア50が設けられている。
【0067】
これらの永久磁石22と界磁子用コア50とについては後にさらに詳述する。
【0068】
また、ここでは、回転軸18a周りにおいて隣設する永久磁石22間及び同様に隣設す界磁子用コア50間に介在コア26が配設されている。介在コア26は、圧粉鉄心等の圧粉磁心又は積層鋼板等によって構成されており、各永久磁石22及び各界磁子用コア50に対して磁気的に独立し、かつ、回転軸18a方向に貫通する態様で設けられている。介在コア26は、隣設する各永久磁石22及び隣設する各界磁子用コア50間の略全体に亘って配設可能で、かつ、介在コア26のうち永久磁石22及び界磁子用コア50に対向する面を、当該永久磁石22及び介在コア26に対して隙間を有して略平行となるように配設可能な形状とされている。ここでは、介在コア26は、回転軸18aから放射状に延びる線の方向に沿って長い形状で、かつ、外周側に向けて幅狭となる略三角柱状形状に形成されている。
【0069】
このように介在コア26と永久磁石22及び界磁子用コア50との間の隙間が必要最小限の略等幅に設定されることで、空間効率、つまり、磁性体の密度を高くすることができ、全体として小型化が可能となる。
【0070】
この介在コア26は、q軸磁性体とも呼ばれ、基本的には、永久磁石22の中心を示すd軸のインダクタンスLdよりも、極間を示すq軸のインダクタンスLqを大きくすることで、逆突極性を呈し、いわゆるマグネットトルクに、いわゆるリラクタンストルクを更に加えて界磁子20を回転させる役割を有している。
【0071】
この介在コア26は、隣設する界磁子用コア50だけに介在する態様(後述する)であってもよく、また、介在コア26を省略してもよい。また、介在コア26と界磁子用コア50とが磁気的に独立している態様には、両者が容易に磁気飽和する連結部分(薄肉部分)等で連結されて一体化されている場合をも含む。
【0072】
上記永久磁石22及び界磁子用コア50及び介在コア26は、図示省略のホルダ等によって上記した配設形態で保持されている。ホルダとしては、永久磁石22及び界磁子用コア50及び介在コア26全体をインサート成型した樹脂、又は、非磁性体金属のホルダ等を用いることができる。このホルダにはシャフトが連結されており、回転する界磁子20の回転力が当該シャフトを通じて外部に取出される。
【0073】
上記永久磁石22及び界磁子用コア50についてより具体的に説明する。
【0074】
図2は永久磁石22及び界磁子用コア50を示す斜視図であり、図3は界磁子20を示す平面図である。
【0075】
永久磁石22は、界磁子20の内周側から外周側に向けて延びる2つの側辺部分と、その2つの側辺部分を内周側で結ぶ内周側辺部分と、2つの側辺部分を外周側で結ぶ外周側辺部分とで囲まれる略平板状に形成されている。ここでは、永久磁石22は、内周側辺と外周側辺とが弧状である略扇形の平板状に形成されており、両面に磁極面22a、22bを有している。
【0076】
上記2つの側辺部分は、回転軸18aから放射状に延びる線に沿った姿勢で延在していても、当該放射状に延びる線から傾いた姿勢で延在していてもよい。また、永久磁石22の外周側辺部分及び内周側辺部分のいずれか一方又は両方が直線状であってもよい。
【0077】
界磁子用コア50は、上記磁極面22a、22bを覆う略平板状に形成されている。また、界磁子用コア50のうち回転軸18a周りの両端部に段部54を設けることで、一方主面側部分と他方主面側部分とで異なる広がり形状に形成している。そして、界磁子用コア50の一方主面が電機子30、40に対向するギャップ対向面52aに形成され、他方主面が磁極面22aに接する磁石接触面52bに形成されている。
【0078】
磁石接触面52bは、永久磁石22の磁極面22a、22bと略同じ形状及び大きさに形成されており、当該磁極面22a、22bの全体を覆う略扇形状に形成されている。ここでは、磁石接触面52bの全体が磁極面22a、22b全体に面接触しているため、磁石接触面52bのうち回転軸18a周りの周方向端部の辺50bは、磁極面22aのうち回転軸18a周りの周方向端部と一致している。
【0079】
なお、磁石接触面は、磁極面よりも小さくてもよい。この場合には、界磁子用コアのうち永久磁石に接する部分であって回転軸周りの周方向端部側の辺は、磁極面の内側に存在する。これにより、磁石端部の磁束の漏れが低減する。また、磁石接触面は、磁極面よりも大きくてもよい。この場合には、界磁子用コアのうち永久磁石に接する部分であって回転軸周りの周方向端部側の辺は、磁極面のうち回転軸周りの周方向端部側の辺と一致する。
【0080】
また、ギャップ対向面52aの面積は、上記磁石接触面52bの面積よりも小さく、より好ましくは、磁石接触面52bのうち永久磁石22の磁極面22a、22bに接する部分の面積よりも小さい。ここでは、ギャップ対向面52aが内周側に向けて狭くなる度合が、磁石接触面52bが内周側に向けて狭くなる度合よりも大きくなる態様で、上記面積差を生じさせている。
【0081】
また、このギャップ対向面52aは、外周側に向けて順次幅広になる形状である。ここでは、ギャップ対向面52aは、上記磁石接触面52bと同様に略扇形状に形成されている。ギャップ対向面52aは、外周側が長辺で内周側が短辺である略台形状に形成されていてもよい。これにより、ギャップ対向面52aの面積の外側をもなるべき大きくすることができる。
【0082】
また、周方向に隣設する界磁子用コア50の相互関係に関して、各界磁子用コア50の周方向端部は、回転軸18aから放射状に延びる線を挟むようにして延在しており、回転軸18aから放射状に延びる線の方向において相互に重ならない形状になっている。換言すれば、回転軸18a周りで隣設する界磁子用コア50間に、回転軸18aから放射状に延びる線が通過可能な隙間が設けられている。これにより、回転軸18a周りで隣設する界磁子用コア50間で、巻線36、46を鎖交せずに、ティース34、44先端のみを通じて磁束が短絡することを抑制できる。
【0083】
なお、隣設する界磁子用コア50同士が、容易に磁気飽和可能な連結部(薄肉部)等で連結されていてもよく、この場合には、連結部は上記の相互に重ならない形状部分からは除外して捉えられる。
【0084】
なお、介在コア26を省略した場合、上記界磁子用コア50間の間隔は、エアギャップ長の2倍以上離れていれば、両者間の漏れ磁束は十分に低減できる。
【0085】
この界磁子用コア50は、電機子30に対向する部分であって回転軸18a周りの周方向端部側に傾斜辺50aを有している。傾斜辺50aは、回転軸18aから放射状に延びる線L1に対して成す角度θ1が、界磁子用コア50のうち永久磁石22に接する部分であって回転軸18a周りの周方向端部側の辺50bが回転軸18aから放射状に延びる線L1に対して成す角度θ2よりも大きい辺として定義される。換言すれば、傾斜辺50aは、界磁子用コア50のうち永久磁石22に接する部分であって回転軸18a周りの周方向端部側の辺50bよりも、回転軸18aから放射状に延びる線に対して大きく傾いている辺として捉えることもできる。ここで、回転軸18aから放射状に延びる線L1は、回転軸18aに略直交する平面を通る線であり、ここでは、線L1は、辺50a、50bの外周側端点を通る線であるとしている。この傾斜辺50aによって、ティース34、44の周方向端部の辺に対して傾斜させてスキューを設けることができる。
【0086】
上記傾斜辺50aと辺50bとは、回転軸18aから放射状に延びる線L1に対して同一側に傾斜していることが好ましい。これにより、回転軸18a周りの周方向に関して、界磁子用コア50の幅と永久磁石22の幅とをなるべき近似させることができ、界磁子用コア50での磁気飽和を抑制することができる。また、磁極面22a、22bの面積及び界磁子用コア50のギャップ対向面52aの面積の双方を、なるべく大きくすることができるというメリットもある。
【0087】
なお、上記傾斜辺50aの傾斜角度は、全ての界磁子用コア50において同じに揃えられている必要はない。もっとも、周方向に隣設する界磁子用コア50において、隙間を介して(ここでは介在コア26及び隙間を介して)対向する傾斜辺50aは、対応して隣設する永久磁石22の磁極境界中心線を基準に、線対称形状とされていることが好ましい。これにより、各界磁子用コア50を容易に製造でき、かつ、界磁子用コア50の凹み寸法を揃えることで、強度的にも優れたものとすることができる。
【0088】
以上のように構成されたアキシャルギャップ型回転電機10によると、界磁子用コア50は、電機子30に対向する部分であって回転軸18a周りの周方向端部の辺として、回転軸18aから放射状に延びる線L1に対して成す角度θ1が、界磁子用コア50のうち永久磁石22に接する部分であって前記周方向端部側の辺が前記線L1に対して成す角度θ2よりも大きい傾斜辺50aを有している。このため、その傾斜角度θ1、θ2の違いをもって、界磁子用コア50のうち永久磁石22に接する部分の面積を界磁子用コア50のうち電機子30に対向する部分の面積よりも大きくして永久磁石22の面積をなるべき大きくすることを可能にしつつ、界磁子用コア50のうち電機子30に対向する部分の辺を傾斜させてスキューを設けることができる。
【0089】
なお、ここでは、界磁子用コア50のうち回転軸18a周りの周方向両端部に傾斜辺50aを設けているが、当該周方向一端部だけに傾斜辺50aを設けてもよい。この場合、界磁子20の回転方向前進側に傾斜辺50aを設けることが好ましい。
【0090】
また、特許文献1では、永久磁石自体に対する形状設定によって、その外周部が鋭角を呈し強度が低下する問題を生じ易かったが、本実施形態では、永久磁石22に対する形状に関する制約は少なく、従って、コーナー部分の鋭角形状をなるべく緩和することができる。
【0091】
上記したアキシャルギャップ型回転電機10を前提にして、より好ましい形態、変形例等について説明する。なお、以下の説明において、上記したものと同様構成部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0092】
まず、傾斜辺50aのより好ましい傾斜角度について説明する。なお、ここでは、電機子30、40のうちの一方の電機子30との関係で傾斜辺50aの傾斜角度を説明するが、他方の電機子40との関係でも同様にすることが好ましい。
【0093】
まず、ティース34のうち界磁子20に対向する部分であって回転軸18a周りの周方向端部の辺が、回転軸18aから放射状に延びる線とほぼ一致している場合について説明する。
【0094】
この場合、図3に示すように、傾斜辺50aのうち電機子30と対向する部分の外周側端点と回転軸18aとを結ぶ第1の線L1と、傾斜辺50aのうち電機子30と対向する部分の内周側端点と回転軸18aとを結ぶ第2の線L2との成す角度θgが、コギングトルクの一周期分の角度と略同じであることが好ましい。
【0095】
ここで、コギングトルク一周期分の角度は、通常、360゜/Nc(但し、Ncは界磁子20の磁極数Naと電機子30のティース34との最小公倍数)で求められる。例えば、磁極数Naが”6”であり、ティース34の数が”9”であると、これらの最小公倍数18を、360゜から除した角度20゜がコギングトルクの一周期分の角度ということになる。
【0096】
図4は、角度θgとコギングトルク及び同一電流を流したときのトルクとの関係を示す図である。図4では、磁極数Naが”6”であり、ティース34の数が”9”である場合を想定して、有限要素法による解析を行い、θgを変えたときのコギングトルクと、同一電流を流したときのトルクとを予測した値が示されている。なお、各値は、角度θgが15゜である場合の値で規格化されている。
【0097】
同図から、角度θgが15゜である場合に比べ、角度θgが20゜である場合には、コギングトルクが約70パーセントに低減され、また、トルク自体も増加していることがわかる。また、角度θgが25゜である場合には、コギングトルクは若干低減するものの、トルクも低下する。
【0098】
なお、角度θgが15゜である場合でも少なからずスキュー効果は得られる。たとえは、角度θgが0゜である場合よりも、コギングトルクは半分以下に低減し、また、トルクも若干増加すると予測される。
【0099】
これらから角度θgを0°よりも大きくすることでスキュー効果が得られ、特に、角度θgを上記のようにコギングトルクの一周期分の角度と略同じに設定するのが効果的であることがわかる。
【0100】
なお、例えば、ティース34、44先端にコギングトルク周期を小さくするための補助溝を設ける等、他のコギングトルク対策を併用する場合には、角度θgとして適した値は変動し、上記の例でも角度θgが20゜よりも小さくてもよい場合もあり得る。
【0101】
次に、ティース34、44のうち界磁子20に対向する部分であって回転軸18a周りの周方向端部の辺が、回転軸18aから放射状に延びる線から無視できない程度の傾斜している場合について説明する。
【0102】
この場合には、前記傾斜辺50aの角度は、ティース34、44のうち界磁子20に対向する部分であって回転軸18a周りの周方向端部の辺との関係で考慮する必要がある。
【0103】
つまり、図5に示すように、ティース34のうち界磁子20に対向する部分であって回転軸18a周りの周方向端部の辺35aが、回転軸18aから放射状に延びる線M1、M2から傾斜している場合である。
【0104】
この場合、図6に示すように、界磁子用コア50のうち電機子30に対向する部分であって前記周方向の一端部側に設けられた傾斜辺50aと、ティース34のうち界磁子20に対向する部分(ここではつば部34a部分)であって前記周方向の他端部側に設けられた辺35aとが成す角度θ3が、コギングトルクの一周期分の角度と略同じになるように設定するとよい。
【0105】
前記傾斜辺50aと辺35aとが成す角度θ3は、例えば、電機子30に対して相対的に界磁子20が回転する際に、傾斜辺50aの中点と辺35aの中点とが一致した時点での傾斜角度として捉えることができる。
【0106】
また、上記傾斜辺50aと辺35aとの相対的な関係を、電機子30に対して界磁子20が相対的にR方向に回転する場合で考えると、傾斜辺50aは回転方向Rの一方側の辺(例えば、前進側の辺)辺であり、辺35aは回転方向Rの他方側の辺(例えば、後進側の辺)として捉えることができる。
【0107】
これにより、ティース34のうち界磁子20に対向する部分であって回転軸18a周りの周方向端部の辺が、回転軸18aから放射状に延びる線から比較的大きく傾斜している場合であっても、当該傾斜の角度を考慮して、コギングトルクを有効に抑制できる。
【0108】
図7はつば部が無いティース34Bの場合において、当該ティース34Bと界磁子用コア50との関係を示す図である。
【0109】
この場合、ティース34Bのうち界磁子20に対向する部分であって前記周方向の他端部側に設けられた辺34Baとの関係で、当該辺34Baと界磁子用コア50のうちの上記傾斜辺50aとの成す角度θ3を設定すればよい。
【0110】
界磁子用コア50と介在コア26との関係について説明する。
【0111】
図8は、上記したアキシャルギャップ型回転電機10において、回転軸18aを中心とする円周表面における界磁子用コア50と介在コア26との断面を示す図である。なお、以下の図9〜図12でも同様面における断面を示している。
【0112】
界磁子用コア50のうち磁石接触面52b側の部分(内側の部分)は、永久磁石22の磁極面22a、22bと略同様の広がり及び幅を有している。これは、永久磁石22の磁束をそのまま界磁子用コア50内に導くためである。また、界磁子用コア50のうちギャップ対向面52a側の部分(外側の部分)は、上記傾斜辺50aを設けるべく(つまり、スキューを設けるべく)、磁石接触面52b側の部分よりも幅狭に形成されている。
【0113】
界磁子用コア50のうち磁石接触面52b側の部分とギャップ対向面52a側の部分とは、段部54を介して連なっており、界磁子用コア50の全体的な断面形状は長方形状の一辺にそれよりも幅狭な他の長方形状が連なった形状、即ち、エアギャップ側に突出する凸形状を呈している。かかる形状とすることで、界磁子用コア50を容易に製造できる。例えば、界磁子用コア50のうち磁石接触面52b側の部分とギャップ対向面52a側の部分とを別々の平板状部材として形成し、これらを接合することで界磁子用コア50を製造できる。これについては後で詳述する。また、例えば、界磁子用コア50を圧粉磁心にて金型成型する場合、段部54を介して連続する側面を、同様の段部を介して連なる別々の金型面にて押圧する、2段プレスにて容易に製造することができる。
【0114】
図8では、介在コア26は、回転軸18a方向沿って、略等幅に形成されている。
【0115】
これに対して、図9に示す介在コア126Bは、回転軸18a方向における端部に、上記界磁子用コア50のうちギャップ対向面52a側の部分が幅狭となった分、外方に突出するつば部126Baを有している。この場合、つば部126Baを含む介在コア126Bの側面と界磁子用コア50の側面との間隔は、略一定とすることが好ましい。
【0116】
図10では、界磁子用コア150Cは、回転軸18a方向における端部に向けて外向き傾斜する段部154Cを有している。この場合、永久磁石22からの磁束がその傾斜する段部154Cに沿うように滑らかに曲るため、磁路に無駄が無く、鉄損も低減される。また、介在コア126Cは、傾斜する段部154Cに対して略等間隔を有して対向する傾斜面126Cbを持つつば部126Caを有している。この場合でも、つば部126Caを含む介在コア126Cの側面と界磁子用コア150Cの側面との間隔は略一定とすることが好ましい。
【0117】
なお、図10に示す例に関して、図11に示す界磁子用コア150Dのように、段部154Dが、界磁子用コア150Dのうち電機子30に対向する側の傾斜辺150Da(傾斜辺50aに対応する)に直接連なる態様で形成されていてもよい。この場合、介在コア126Dのつば部126Daの段部126Dbも、同様に、介在コア126Dのうち電機子30に対向する辺に直接連なる態様で形成するとよい。
【0118】
図12に示す例では、界磁子用コア150Fの周方向幅を、永久磁石22の周方向幅よりも小さくすることで、永久磁石22の周方向端部を、界磁子用コア150Fの周方向端部よりも突出させている。この場合、磁極面22a、22bの間で、永久磁石22の外周側面に沿った磁路についての磁気抵抗が大きくなる。よって、永久磁石22の突出した部分に流出入する磁束は、磁気抵抗の低い介在コア126Bへと流れやすい。これにより、永久磁石22の周方向端部での漏れ磁束を低減することができる。
【0119】
図9〜図12に示すように、介在コア26、126B、126C、126Dのうち界磁子用コア50、150C、150D、150Fで挟まれる部分を、界磁子用コア50、150C、150D、150Fのうち傾斜辺50a、150Daを含む部分の凹み形状に対応する形状に突出して形成することで、介在コア26、126B、126C、126Dが界磁子用コア50と対向する面積を大きくすることができ、リラクタンストルクをより有効に利用できる。
【0120】
上記界磁子用コア50及び永久磁石22の変形例、製造方法等について説明する。
【0121】
図13に示す例では、界磁子用コア250Bのうち界磁子20の周方向一端部側だけに段部254Baが形成されて上記傾斜辺50aに対応する傾斜辺250Baが形成されている。周方向一端部だけに傾斜辺250Baを形成する場合、傾斜辺250Baが形成されるのは、界磁子用コア250Bの回転方向前進側であることが好ましい。界磁子用コア250Bの回転方向前進側で特に磁束が強められ、コギングトルクが強くなる傾向にあるからである。
【0122】
図14に示す例では、界磁子用コア250Cのうちギャップ対向面252Caの内周側部分が、磁石接触面252Cbの内周側部分よりも外周側に位置している。かかる構成は、例えば、永久磁石22については面積をなるべく大きくするために回転軸18a近くにまで延びているものの、ティース34のギャップ対向面の内周部は上記永久磁石22の内周部よりも外周側に位置している場合に有効である。これは、界磁子用コア250Cのギャップ対向面252Caについては、永久磁石22の内周部の位置に合わせて回転軸18a近くに位置するまで大きくする必要がある一方で、界磁子用コア250Cギャップ対向面252Caについては、ティース34のギャップ対向面の内周部の位置に合わせて回転軸18aからより離れた位置に達する程度の大きさに形成すれば十分だからである。
【0123】
図15に示す例では、界磁子用コア250Dの外周側コーナー部分250Dpは、切除されたような形状とされており、鋭角形状が緩和されている。界磁子用コア250Dを略扇板状又は略台形板状にした場合、外周側のコーナー部分が鋭角形状を呈することになる。そこで、その鋭角形状を呈する部分を切除したようなコーナー部分250Dpに形成することで、当該鋭角形状を緩和し、もって、界磁子用コア250Dの強度を増すことができる。界磁子用コア250Dの外周側のコーナー部分250Dpは、90゜以上の角度になる形状に形成されることが好ましい。
【0124】
図16に示す例では、界磁子用コア250Eは、段部を境界として、比較的小さいギャップ対向面252Ea側の部分250Epと、比較的大きい磁石接触面252Eb側の部分250Eqとの2分割構成とされ、これらを接合することで形成された例を示している。これらの部分250Ep及び部分250Eqは、平板形状であるので、それらを圧粉磁心にて形成する場合に、金型で十分な圧力を加えて成形することができ、密度を向上させて、透磁率を高くすることができる。両部分250Ep、250Eqは、図示省略のホルダ、後述する係合構造等で接合形態を保持される。
【0125】
このように界磁子用コア250Eを2分割構成として接合することで、傾斜辺50aを有する界磁子用コア250Eを容易に製造することができる。
【0126】
図17に示す例では、界磁子用コア250E1は、図16に示す例において、ギャップ対向面252Ea側の部分250Epの接合面に凸条250Epaを形成すると共に、磁石接触面252Eb側の部分250Eqの接合面に凹溝250Eqaを形成した構成とされている。凸条250Epaは、先端側に向けて順次幅広になる形状であり、これに対応して凹溝250Eqaは奥側に向けて順次幅広になる形状である。ここでは、凸条250Epa及び凹溝250Eqaは、回転軸18aから放射状に延びる線の方向(界磁子20の径方向)に沿って形成されている。
【0127】
そして、凸条250Epaを凹溝250Eqa内にその長手方向一端側開口から差込むように嵌め込むことで、凸条250Epaと凹溝250Eqaとが嵌め合され、ギャップ対向面252Ea側の部分250Epと磁石接触面252Eb側の部分250Eqとが接合されるようになっている。なお、凸条250Epaと凹溝250Eqaとは、ギャップ対向面252Ea側の部分250Ep及び磁石接触面252Eb側の部分250Eqのいずれに形成されてもよい。
【0128】
図18に示す例では、界磁子用コア250Fは、図16に示す例において、磁石接触面252Fb側の部分252Fqの接合面に、ギャップ対向面252Fa側の部分250Fpに対応する嵌め込み凹部252Fgを形成した構成とされている。そして、ギャップ対向面252Fa側の部分250Fpのうち接合面部分を、上記凹部252Fgに嵌め込んだ状態で、両部分252Fp、252Fq同士が接合されている。これにより、両部分252Fp、252Fqの位置ずれを抑制できる。
【0129】
図19に示す例では、界磁子用コア250Gは、段部を境界として、比較的小さいギャップ対向面252Ga側の部分250Gpと、比較的大きい磁石接触面252Gb側の部分250Gqとの2分割構成とされ、それらの部分250Gp、250Gqを積層鋼板で形成した例を示している。各部分250Gp、250Gqは、回転軸18aから放射状に延びる線の方向(つまり、界磁子20の径方向)に略直交する方向に沿った鋼板を、当該回転軸18aから放射状に延びる線の方向に積層して形成されている。各部分250Gp、250Gqの厚み寸法は略同一である。これにより、打ち抜き幅を可変としたプレス等を用いて、同一金型で、打抜き幅を変えて打抜いた鋼板を積層することで、各部分250Gp、250Gqを製造することができる。つまり、製造工程の部分的な共通化を図ることができる。これにより、製造容易化及び製造設備の簡略化を図ることができる。
【0130】
図20に示す例では、界磁子用コア250G1は、図19に示す例において、ギャップ対向面252Ga側の部分250Gpの接合面に、凸条部分と凹状部分とが並列された第1凹凸部250Gpaを形成すると共に、磁石接触面252Gb側の部分250Gqの接合面に、凸条部分と凹状部分とが並列された第2凹凸部250Gqaを形成している。これらの第1凹凸部250Gpaの輪郭線及び第2凹凸部250Gqaの輪郭線は、その延在方向に沿った線周りで点対称形状を有しており、互いに嵌め合い可能に構成されている。これらの第1凹凸部250Gpa部分及び第2凹凸部250Gqa部分は、同じ金型にて形成することができる。
【0131】
図21に示す例では、界磁子用コア250Hのうち磁石接触面252Hbに、永久磁石22を嵌め込み可能な磁石埋設用凹部251Hを形成している。この場合、界磁子用コア250Hを積層鋼板で製造することが好ましい。これにより、界磁子用コア250Hと永久磁石22とをより確実に位置決めすることができる。
【0132】
図22に示す例では、永久磁石222Iの磁極面222Ia、222Ibに、上記凸条250Epaと同様形状の凸条223Iaを形成すると共に、界磁子用コア250Iの磁石接触面252Ibに上記凹溝250Eqaと同様形状の凹溝250Iqaを形成している。そして、凸条223Iaを凹溝250Eqaに嵌め込むことで、永久磁石222Iと界磁子用コア250Iとが接合形態に保持される。この場合、減磁を考慮すると、突出する凸条223Iaを、永久磁石222I側に形成することが好ましい。
【0133】
図23に示す例では、永久磁石22の2つの磁極面22a、22bをそれぞれ覆う2つの界磁子用コア250Jを、周方向両端部の薄肉部251Jで連結した構成を、積層鋼板によって形成した例を示している。2つの界磁子用コア250Jとその周方向両端の薄肉部251Jには、略扇板状の磁石収容空間251Jgが形成されている。この磁石収容空間251Jgは外周側に開口しており、当該外周側開口を通じて永久磁石22が磁石収容空間251Jg内に収容配置される。なお、各鋼板は、各鋼板を貫通するボルトやカシメ構造等の周知構造を含む締結部によって積層状態に維持されている。これにより、2つの界磁子用コア250Jを一体として構成することができ、製造時等における取扱いが容易になる。
【0134】
図24に示す例では、永久磁石22を金型内に配設したインサート成型によって、界磁子用コア250K部分を圧粉磁心によって金型成形した例を示している。
【0135】
図25に示す例では、界磁子用コア50を金型内に配設したインサート成型によって、永久磁石222L部分を金型成形した例を示している。
【0136】
これらの例では、永久磁石22、222Lと界磁子用コア250K、50とを一体物として取扱うことができる。
【0137】
{第2実施形態}
第2実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機310について説明する。なお、上記第1実施の形態において説明したものと同様要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0138】
図26は第2実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機310を示す概略図であり、図27は図26にホルダを組込んだ状態を示す概略図であり、図28は界磁子320の分解斜視図であり、図29〜図31は界磁子320の製造途中状態を示す図である。
【0139】
本実施形態では、上記介在コア26に対応する介在コア326は、エアギャップと対向する部分に幅広部327を有している。幅広部327は、界磁子用コア50の傾斜辺50aに対応して凹んだ部分に対応する突出形状、ここでは、外周側に向けて突出寸法が順次大きくなる略三角翼状の突出形状に形成されている。かかる形状により、リラクタンス発生に寄与する磁束を多く流すことができ、リラクタンスを増大させることができる。
【0140】
本実施形態では、かかる介在コア326を、永久磁石22及び界磁子用コア50と共に一定の配設形態で保持するホルダ360の例を説明する。
【0141】
ホルダ360は、回転軸18a方向において2分割された2つの分割ホルダ362を有している(図27〜図31参照)。
【0142】
分割ホルダ362は、非磁性体によって形成されており、界磁子320の外周部分を囲む環状部363と、環状部363から内周側に向けて延びる複数(ここでは各介在コア326に対応する数6つ)の保持延設部364とを有している。保持延設部364は、一対の保持延設片365を有しており、一対の保持延設片365の間に介在コア326のうち幅広部327側の端部を保持可能な幅広部収容凹部365aが形成されると共に、一対の保持延設片365の外側面部分に、界磁子用コア50のうち段部54を含む周方向端部を保持可能な界磁子用コア収容凹部365bが形成されている。
【0143】
幅広部収容凹部365aは、分割ホルダ362の内周側に向けて順次幅広になる凹形状に形成されると共に、その内周側で開口している。そして、幅広部収容凹部365aに対してその内周側から介在コア326のうち幅広部327側の端部を挿入嵌め込み可能に構成されている(図28参照)。なお、介在コア326の幅広部327が外周側に向けて幅広に形成されている場合等には、幅広部収容凹部365a外周側で開口していてもよい。
【0144】
また、界磁子用コア収容凹部365bは、一対の分割ホルダ362の合体面側で大きく開口している。そして、本界磁子用コア収容凹部365bに対して、一対の分割ホルダ362の合体面側から界磁子用コア50のうち段部54を含む周方向端部を嵌め込み可能に構成されている(図28参照)。
【0145】
本界磁子320を組立製造するにあたっては、一対の界磁子用コア50間で永久磁石22を挟込むように積層し、この積層体の周方向両端部を界磁子用コア収容凹部365bで保持するように、一対の分割ホルダ362を積層状に合体させる(図29参照)。これにより、一対の分割ホルダ362に対して、界磁子用コア50の軸方向移動が規制される。
【0146】
この状態で、一対の分割ホルダ362のそれぞれにおいて、各幅広部収容凹部365aに対してその内周側から介在コア326のうち幅広部327側の端部を挿入して嵌め込む。すると、介在コア326の幅広部327が幅広部収容凹部365aの外向き面に当接するので、一対の分割ホルダ362が回転軸18a方向において離間する向きへの移動が抑制され、一対の分割ホルダ362が合体形態で維持される(図30参照)。
【0147】
この後、一対の分割ホルダ362の内周側に略環状のボス部367を嵌め込む。このボス部367は、介在コア326の内周側への移動を規制してその抜けを防止する役割を有している。ここでは、ボス部367は、回転軸18a方向で2分割された構成とされている。各ボス部367のうち少なくとも一方は、つば部368aを有していることが好ましい。ここでは、両ボス部367がつば部368aを有している(図31参照)。
【0148】
このつば部368aが分割ホルダ362や介在コア326、界磁子用コア50を押えた状態で、ボス部367が図示省略のシャフトに対して当該シャフトの段部等を介して固定されることで、シャフトに対する分割ホルダ362や介在コア326、界磁子用コア50の抜けが防止される。また、ボス部37内径にシャフトを焼きばめしても良い。
【0149】
このようなホルダ360を採用することで、永久磁石22及び界磁子用コア50の積層体と、介在コア326とを簡易な構成でより確実に一体の配設形態に保持できる。
【0150】
なお、特に、永久磁石22が界磁子用コア50の磁石接触面52bよりも大きい場合、当該永久磁石22の周方向端部を位置決めするための段付凹部を保持延設部364に形成してもよい。これにより、より簡易な構成で、永久磁石22をも一定の配設形態に保持できる。
【0151】
{第3実施形態}
第3実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機410について説明する。なお、上記第1実施の形態において説明したものと同様要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0152】
図32は第3実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機410を示す概略図であり、図33は同アキシャルギャップ型回転電機410の分解概略図である。
【0153】
このアキシャルギャップ型回転電機410では、上記介在コア26の代りに、隣設する界磁子用コア50間に介在し、隣設する永久磁石22間には介在しない(つまり、回転軸18a方向では短絡されていない)板状の介在コア426を備えている。
【0154】
板状の介在コア426は、界磁子420の両側のそれぞれにおいて、隣設する界磁子用コア50の間に介在している。介在コア426は、隣設する界磁子用コア50の隙間形状に対応して、内周側に向けて幅広となる略三角板状に形成されており、介在コア426と界磁子用コア50との間には隙間が存在している。
【0155】
また、界磁子420の両側のそれぞれにおいて、各界磁子用コア50は内周側の短絡部427を介して短絡されている。2つの短絡部427は、回転軸18a方向において介在コア426よりも厚く形成されており、界磁子420の両側の短絡部427が回転軸18a周りで密着している。これにより、短絡部427に嵌め込まれる図示省略のシャフトに対して十分な嵌合長を得ることができるようにしている。
【0156】
また、永久磁石22の代りに、当該永久磁石22よりも回転軸18a周りの周方向長が長い永久磁石422を用いている。この永久磁石422の周方向両端部は、界磁子用コア50の周方向両端部よりも突出している。つまり、介在コア426が隣設する界磁子用コア50間に存在する構成であるため、永久磁石422の周方向両端部をより突出させて、永久磁石422の磁極面を大きくすることができる。
【0157】
なお、上記永久磁石422及び界磁子用コア50の積層体及び介在コア426の配設形態は、図示省略のホルダによって維持される。
【0158】
このアキシャルギャップ型回転電機410によると、永久磁石422の周方向端部をより突出させて、その磁極面を大きくすることができるというメリットがある。同時に、リラクタンストルクをも利用できるというメリットもある。
【0159】
図34は本実施形態の変形例に係るアキシャルギャップ型回転電機410Bを示す概略図である。
【0160】
このアキシャルギャップ型回転電機410Bの界磁子420Bでは、永久磁石422に代えて、略環状に一体形成されると共に、その周方向に沿って交互にS極及びN極に多極着磁されたリング状磁石422Bを用いている。このリング状磁石422Bは、電機子30、40側に向く環状面(ここでは両面の各環状面)で、その周方向に沿ってS極及びN極の交互の磁極面を呈する。そして、その各磁極面に、界磁子用コア50が配設されている。なお、各磁極境界中心線上では、隣設する界磁子用コア50間に隙間が設けられており、隣設する界磁子用コア50同士は磁気的に分離している。
【0161】
かかるアキシャルギャップ型回転電機410Bでも、上記アキシャルギャップ型回転電機410と同様の効果を得ることができる。
【0162】
なお、上記リング状磁石422Bを用いた構成において、介在コア426を省略してもよい。
【0163】
{第4実施形態}
第4実施形態について説明する。なお、上記第1実施の形態において説明したものと同様要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0164】
図35は、第4実施形態に係る界磁子520を示す概略図であり、図36は同界磁子520を示す平面図である。
【0165】
この界磁子520は、上記第1実施形態のアキシャルギャップ型回転電機10における界磁子20に代えて用いられる。
【0166】
この界磁子520は、上記電機子30、40に対して磁極を呈する永久磁石522と、永久磁石522のうち電機子30、40側の面(磁極面)を覆う界磁子用コア550とを備えている。
【0167】
永久磁石522は、上記永久磁石22に対して異なる形状を有している。すなわち、永久磁石522は、回転軸18a方向からみて略長方形状を呈する略直方体形状に形成されている。永久磁石522のその他の構成は、上記永久磁石22と略同様である。
【0168】
界磁子用コア550は、上記界磁子用コア50とは異なる形状を有しており、以下に説明する点を除いては界磁子用コア50と略同様構成とされている。
【0169】
すなわち、界磁子用コア550は、上記永久磁石522の磁極面を覆う平板状に形成されている。界磁子用コア550の回転軸18a周りの両端部に段部554を設けることで、一方主面側部分と他方主面側部分とで異なる広がり形状に形成されている。ここでは、界磁子用コア550のうち一方主面が電機子30、40に対向するギャップ対向面552aに形成され、他方主面が磁極面に接する磁石接触面552bに形成されている。
【0170】
磁石接触面552bは、永久磁石522の磁極面の全体を覆う略長方形状に形成されている。より具体的には、磁石接触面552bのうち回転軸18aの周方向幅は、永久磁石522の磁極面の周方向幅と略同じに形成されている。また、磁石接触面552bの内周側の辺は、同磁極面の対応する内周側の辺と略一致し、磁石接触面552bの外周側の辺は同磁極面の対応する外周側の辺よりも外側に湾曲する弧状辺に形成されている。勿論、磁石接触面552bの内周側の辺及び外周側の辺は、略弧状又は略直線状のいずれであってもよい。
【0171】
また、ギャップ対向面552aは、内周側に向けて順次幅広になる形状に形成されている。より具体的には、ギャップ対向面552aは、内周側を長辺、外周側を短辺とする略台形状に形成されている。ギャップ対向面552aの内周側の辺及び外周側の辺は弧状又は直線状のいずれであってもよい。
【0172】
そして、ギャップ対向面552aの面積は、上記磁石接触面552bの面積よりも小さく、より好ましくは、磁石接触面552bが磁極面に接する面積よりも小さい。
【0173】
また、上記界磁子用コア550は、電機子30、40に対向するギャップ対向面552aであって回転軸18a周りの周方向端部に、傾斜辺550aを有している。上記傾斜辺50aと同様に、傾斜辺550aが回転軸18aから放射状に延びる線N1に対して成す角度θ5は、磁石接触面552bのうち永久磁石522に接する部分であって前記周方向端部側の辺550bが回転軸18aから放射状に延びる線N2に対して成す角度θ6よりも大きい。
【0174】
従って、上記実施形態と同様に当該傾斜辺550aによってスキューを設けることができる。なお、傾斜辺550aの好ましい傾斜態様は、上記第1実施形態で説明した通りである。
【0175】
また、隣設する永久磁石522間及び隣設する界磁子用コア550間に、上記介在コア26に対応する介在コア526が設けられている。介在コア526は、略三角柱形状を有している。この介在コア526は、上記介在コア26と同様に、リラクタンストルクの発生に寄与する。
【0176】
本実施形態によると上記第1実施形態と同様に、永久磁石522の磁極面積を大きくすることを可能にしつつ、傾斜辺550aによってスキューを設けることができる。
【0177】
また、本実施形態では、永久磁石522は、略直方体形状に形成されているため、その製造が容易である。例えば、保磁力の強い永久磁石522を用いる場合、縦磁場成形を用いることになるところ、縦磁場成形では印加する磁場の方向と成形方向との関係から直方体の磁石を成形し易い。そこで、永久磁石522を略直方体形状とすることで、縦磁場成形にて製造された、保磁力の強い永久磁石522を用いることができる。
【0178】
また、上記略直方体形状の永久磁石522を回転軸18a周りになるべく密に配設する構成を考えると、内周側で永久磁石522同士が近接する。この場合、略三角柱状の介在コア526は、隣設する永久磁石522間で外周側よりの位置に配設されることになる。すると、ギャップ対向面552aを内周側に向けて順次幅広になる形状に形成すれば、特に外周側で、ギャップ対向面552aと介在コア526との間隔を十分に確保できることができる。つまり、略直方体形状の永久磁石522を用いた場合には、特に外周側で介在コア526とのギャップ対向面552aとの間隔を十分に確保するために、ギャップ対向面552aを内周側に向けて順次幅広になる形状に形成することが好ましい。
【0179】
{第5実施形態}
第5実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機610について説明する。なお、上記第1実施の形態において説明したものと同様要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0180】
図37及び図38は第5実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機610を示す概略図である。
【0181】
このアキシャルギャップ型回転電機610では、一方側の電機子40に代えて、巻線を備えない短絡ヨーク(固定ヨーク)640を備えている。ここでは、短絡ヨーク640は、電機子30と共にステータとして用いられている。
【0182】
短絡ヨークは、積層鋼板又は圧粉磁心等の磁性体で構成された略円盤状の部材であり、界磁子620に対して上記電機子30の反対側の部分で、磁束を短絡させる役割を有している。
【0183】
このアキシャルギャップ型回転電機610では、一方側の電機子40に代えて、巻線を備えない短絡ヨーク640を用いているため、コイル数を削減して構成の簡略化を図ることができる。また、界磁子620と短絡ヨーク640との間でも磁力によく吸引力が作用するため、その吸引力と界磁子620と電機子30間に作用する吸引力との打消し合いによって、シャフトに働くスラスト力を低減することができる。
【0184】
また、界磁子620は、永久磁石622と、界磁子用コア650A、650Bとを有している。この界磁子620では、介在コアは省略されている。
【0185】
永久磁石622は、介在コアが省略された分、周方向に幅広になっている点を除いて、上記永久磁石22と略同様構成とされている。
【0186】
界磁子用コア650Aは、永久磁石622のうち電機子30に対向する磁極面を覆うように配設されている。この界磁子用コア650Aは、介在コアが省略された分、周方向に幅広になっている点を除いて、上記界磁子用コア50と略同様構成とされている。つまり、この界磁子用コア650Aのうちギャップ対向面652Aaは、外周側に向けて順次幅広に形成されている。
【0187】
界磁子用コア650Bは、バックヨーク側界磁子用コアであり、永久磁石622のうち短絡ヨーク640に対向する磁極面を覆うように配設されている。界磁子用コア650Bの周方向端部には段部654Baが形成されており、界磁子用コア650Bの両面でそれぞれ異なる形状に形成されている。界磁子用コア650Bのうち永久磁石622側の磁石接触面652Bbは、当該永久磁石622の磁極面と略同様に形状であり、外周側に向けて広がる形状、ここでは、略扇形状を有している。また、界磁子用コア650Bのうち短絡ヨーク640に対向する側のギャップ対向面652Baは、内周側に向けて順次幅広になる形状に形成されている。図38では内周側に向けて僅かに順次幅広に形成されている。
【0188】
このアキシャルギャップ型回転電機610によると、スラスト力を低減しつつコイル数を減らすことができる回転電機において、上記第1実施形態と同様に、永久磁石622の磁極面の面積を大きくしつつ、スキューを設けることができる。
【0189】
また、短絡ヨーク640に対向する側のギャップ対向面652Baは、内周側に向けて順次幅広になる形状に形成されているので、界磁子用コア650Bが短絡ヨーク640に対向する面積を減らすことができる。通常、短絡ヨーク640が界磁子620に対して一様な平面を呈している等の理由で、短絡ヨーク640に吸引される力の方が大きくなる傾向にあるところ、上記のように界磁子用コア650Bが短絡ヨーク640に対向する面積を減らすことで、界磁子620の両側で作用する吸引力を均衡させて、スラスト力を低減することができる。
【0190】
また、短絡ヨーク640に対向する側のギャップ対向面652Baを内周側に向けて順次幅広になる形状に形成することで、磁束が短絡ヨーク640においてなるべく内周部を通るよいうにすることができる。これにより、磁路を短くすることができ鉄損を小さくすることができる。
【0191】
{第6実施形態}
第6実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機710について説明する。なお、上記第1実施の形態において説明したものと同様要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0192】
図39は第6実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機710を示す概略図である。
【0193】
このアキシャルギャップ型回転電機710は、一つの電機子30と、一つの界磁子720とを有しており、電機子30と界磁子720とは回転軸18a方向において対向している。
【0194】
界磁子720は、バックヨーク728と、永久磁石22と、界磁子コア50と、介在コア726とを有している。
【0195】
バックヨーク728は、積層鋼板、巻鉄心又は圧粉磁心等で構成されており、略円盤状の部材に形成されている。
【0196】
複数の永久磁石22が、バックヨーク728の一主面上に、回転軸18a周りに間隔をあけて配設されている。また、永久磁石22のうち電機子30と対向する磁極面を覆うようにして界磁子コア50が配設されている。
【0197】
介在コア726は、上記介在コア26に対応する部材であり、回転軸18a周りで隣設する永久磁石22及び界磁子コア50の積層体間に配設されている。介在コア726は、外周側に向けて幅広となる略三角柱状の部材であり、バックヨーク728の一主面から界磁子コア50のギャップ対向面52aに達する程度の高さ寸法に形成されている。また、複数の介在コア726の内周部に略環状の短絡部727が設けられてており、複数の介在コア726は内周部で当該短絡部727を通じて連結されている。この短絡部727の内周部には、図示省略のシャフトが挿入嵌合される。シャフトと本界磁子720とは、バックヨーク728部分と本短絡部727との双方に挿入嵌合されることで結合されるので、両者をより確実に嵌合できる。
【0198】
介在コア726を通る磁束は、バックヨーク728又は短絡部727のいずれかを通ることができる。仮に大きいトルクを発生させるべく大電流を流してバックヨーク728が磁気飽和したとしても、介在コア26を通る磁束は短絡部727をも通ることができる。従って、上記のような場合においてリラクタンストルクの低下を抑制することができる。介在コア726を通る磁束が専ら短絡部727を通るように、バックヨーク728と介在コア726とを離間させてもよい。
【0199】
なお、本実施形態において、バックヨーク32を省略した電機子30を挟むように、2つの界磁子720を設けてもよい。
【0200】
{変形例}
なお、上記各実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機及び界磁子用コアは、発電用としても適用できる。
【0201】
また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】第1実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機を示す概略図である。
【図2】永久磁石及び界磁子用コアを示す斜視図である。
【図3】界磁子を示す平面図である。
【図4】角度θgとコギングトルク及びトルクとの関係を示す図である。
【図5】ティースの辺の傾斜状態を示す図である。
【図6】界磁子用コアの傾斜辺とティースの辺との関係を示す図である。
【図7】界磁子用コアの傾斜辺とティースの辺との関係を示す図である。
【図8】界磁子用コアと介在コアとの断面を示す図である。
【図9】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図10】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図11】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図12】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図13】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図14】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図15】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図16】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図17】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図18】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図19】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図20】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図21】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図22】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図23】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図24】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図25】界磁子用コアと介在コアとの変形例を示す図である。
【図26】第2実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機を示す概略図である。
【図27】同上のアキシャルギャップ型回転電機にホルダを適用した状態を示す概略図である。
【図28】界磁子の分解斜視図である。
【図29】界磁子の製造途中状態を示す図である。
【図30】界磁子の製造途中状態を示す図である。
【図31】界磁子の製造途中状態を示す図である。
【図32】第3実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機を示す概略図である。
【図33】同上のアキシャルギャップ型回転電機の分解概略図である。
【図34】第3実施形態の変形例に係るアキシャルギャップ型回転電機を示す概略図である。
【図35】第4実施形態に係る界磁子を示す概略図である。
【図36】同上の界磁子を示す平面図である。
【図37】第5実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機を示す概略図である。
【図38】第5実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機を示す概略図である。
【図39】6実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機を示す概略図である。
【符号の説明】
【0203】
10,310,410,410B,610,710 アキシャルギャップ型回転電機
18a 回転軸
20,320,420,420B,520,620,720 界磁子
22,222I,222L,422,522,622 永久磁石
22a,22b,222Ia,222Ib 磁極面
26,126B,126C,126D,326,426,526,726 介在コア
30,40 電機子
32,42 バックヨーク
34,44,34B ティース
35a,34Ba 辺
36,46 巻線
50,150C,150D,150F,250B,250C,250D,250E,250E1,250F,250G,250G1,250H,250I,250J,250K,550,650A 界磁子用コア
50a,150Da,250Ba,550a 傾斜辺
50b,550b 辺
52a,252Ca,252Ea,252Fa,252Ga,552a,652Aa ギャップ対向面
52b,252Cb,252Eb,252Fb,252Gb,252Hb,252Ib,552b 磁石接触面
54,154C,154D,254Ba,554 段部
126Ba,126Ca,126Da つば部
126Cb 傾斜面
126Db 段部
150Da 傾斜辺
250Ep,250Gp,252Fp ギャップ対向面側の部分
250Eq,250Gq,252Fq 磁石接触面側の部分
327 幅広部
422B リング状磁石
650B 界磁子用コア
652Ba ギャップ対向面
652Bb 磁石接触面
654Ba 段部
728 バックヨーク
L1,N1,N2 線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電機子(30、40)と界磁子(20,320,420,420B,520,620,720)とが所定の回転軸方向(18a)において対向するアキシャルギャップ型回転電機(10,310,410,410B,610,710)であって、
前記界磁子は、
前記電機子に対して磁極を呈する永久磁石(22,222I,222L,422,422B,522,622)と、
前記永久磁石のうち前記電機子側の面を覆う界磁子用コア(50,150C,150D,150F,250B,250C,250D,250E,250E1,250F,250G,250G1,250H,250I,250J,250K,550,650A)と、
を備え、
前記界磁子用コアは、前記電機子に対向する部分であって前記回転軸周りの周方向端部側の辺として、前記回転軸から放射状に延びる線(L1)に対して成す角度(θ1)が、前記界磁子用コアのうち前記永久磁石に接する部分であって前記周方向端部側の辺(50B)が前記回転軸から放射状に延びる線(L1)に対して成す角度(θ2)よりも大きい傾斜辺(50a,150Da,250Ba,550a)を有する、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項2】
請求項1記載のアキシャルギャップ型回転電機(10)であって、
前記界磁子用コア(50)を複数備え、
前記複数の界磁子用コアは、前記回転軸から放射状に延びる線の方向において相互に重ならない形状に形成されている、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のアキシャルギャップ型回転電機(10)であって、
前記界磁子用コア(50)のうち前記永久磁石に接する部分の面積は、前記界磁子用コアのうち前記電機子に対向する部分の面積よりも大きい、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機(10)であって、
前記傾斜辺のうち前記電機子用コアと対向する部分の外周側部分と前記回転軸とを結ぶ第1の線(L1)と、前記傾斜辺のうち前記電機子用コアと対向する部分の内周側部分と前記回転軸とを結ぶ第2の線(L2)との成す角度(θg)が、コギングトルクの一周期分の角度と略同じである、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項5】
請求項4記載のアキシャルギャップ型回転電機(10)であって、
前記第1の線と前記第2の線とが成す角度(θg)は、360゜/Nc(但し、Ncは前記界磁子の磁極数Naと前記電機子のティース数Nbとの最小公倍数)に設定された、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項6】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機(10)であって、
前記界磁子用コアのうち前記電機子に対向する部分であって前記周方向の一端部側に設けられた前記傾斜辺(50a)と、前記電機子用コアのうち前記界磁子に対向する部分であって前記周方向の他端部側に設けられた辺(35a,35Ba)とが成す角度(θ3)が、コギングトルクの一周期分の角度と略同じである、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機(10,310,410,410B,610,710)であって、
前記界磁子用コア(50,150C,150D,150F,250B,250C,250D,250E,250E1,250F,250G,250G1,250H,250I,250J,250K,650A)のうち前記電機子に対向する部分は、外周側に向けて順次幅広になる形状に形成されている、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記界磁子用コア(550)のうち前記電機子に対向する部分は、内周側に向けて順次幅広になる形状に形成されている、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記界磁子用コアで覆われる前記永久磁石(522)は、略直方体形状に形成されている、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機(10,310,410,410B,710)であって、
前記界磁子用コア(50,150C,150D,150F,250B,250C,250D,250E,250E1,250F,250G,250G1,250H,250I,250J,250K,550)を複数備え、
少なくとも隣設する前記各界磁子用コア間に介在コア(26,126B,126C,126D,326,426,526,726)が配設された、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項11】
請求項10記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記界磁子用コア(50)を複数備え、
前記介在コア(126B,126C,126D,326)のうち前記各界磁子用コアで挟まれる部分が、前記界磁子用コアのうち前記傾斜辺を含む部分の形状に応じて回転方向に突出して形成されている、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記界磁子用コア(250E,250E,250F,250G,250G1)は、前記電機子に対向する部分を含む第1分割体(250Ep,250Fp,250Gp)と前記永久磁石に接する部分を含む第2分割体(250Eq,250Fq,250Gq)とが、前記傾斜辺を有する前記周方向端部で段差を生じる態様で接合されたものである、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項13】
請求項12記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記第1分割体の厚み寸法(250Ep,250Fp,250Gp)と前記第2分割体(250Eq,250Fq,250Gq)の厚み寸法とが略同じである、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項14】
請求項1〜請求項13のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機(10,310,410,410B)であって、
前記電機子(30,40)が、前記回転軸方向における前記界磁子(20,320,420,420B,520)の両側に位置するように2つ設けられ、
前記界磁子用コアが、前記2つの電機子のそれぞれに対向して少なくとも2つ設けられると共に、前記少なくとも2つの界磁子用コアがそれぞれ前記傾斜辺を有している、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項15】
請求項1〜請求項13のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機(610)であって、
前記回転軸方向において前記界磁子(620)の一方側に前記電機子(30)が配設されると共に他方側にエアギャップを介して略円板状の固定ヨーク(640)が配設され、
前記界磁子用コア(650A)のうち前記電機子に対向する部分は、外周側に向けて順次幅広になる形状に形成されている、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項16】
請求項15記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記永久磁石(622)のうち前記バックヨーク側の面を覆うバックヨーク側界磁子用コア(650B)をさらに備え、
前記バックヨーク側界磁子用コアのうち前記バックヨークに対向する側の部分は、内周側に向けて順次幅広になる形状に形成されている、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項17】
永久磁石(22,222I,222L,422,422B,522,622)のうち電機子(30、40)に対向する面を覆うアキシャルギャップ型回転電機用の界磁子用コア(50,150C,150D,150F,250B,250C,250D,250E,250E1,250F,250G,250G1,250H,250I,250J,250K,550,650A)であって、
前記電機子に対向する部分と、前記永久磁石に接する部分とを備え、
前記電機子に対向する部分であって回転軸周りの周方向端部側の辺として、前記回転軸から放射状に延びる線(L1)に対して成す角度(θ1)が、前記界磁子用コアのうち前記永久磁石に接する部分であって前記周方向端部側の辺が前記回転軸から放射状に延びる線(L1)に対して成す角度(θ2)よりも大きい傾斜辺(50a,150Da,250Ba,550a)を有する、アキシャルギャップ型回転電機用の界磁子用コア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2009−207338(P2009−207338A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50196(P2008−50196)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】