説明

アギ又はアギ揮発油を有効成分とする抗癌剤

【課題】アギ又はアギ揮発油を有効成分とする抗癌剤を提供する。
【解決手段】本抗癌剤は、注射剤、カプセル剤、滴丸剤、錠剤、顆粒剤、散剤又は経口液であってもよい。前記アギ揮発油は、主にα−ピネン、2−ボルネオール、ジsec―ブチルジスルファイド、sec―ブチル―トランス―1―ブテニルジスルファイド、sec―ブチル―プロペニルジスルファイド、ジメチルジスルファイド、ジメチルトリスルファイドを含有している。通常の抽出方法を採用してアギによりアギ揮発油を抽出できる。上述のアギは、新疆アギ又は阜康アギ由来のファクチス樹脂であってもよく、イラン、アフガニスタン、スリランカ、インド、イラク、ベンガル、パキスタン、キルギスタン、カザフスタン等の国に産する膠アギ草由来のファクチス樹脂であってもよい。アギ又はアギ揮発油で製造した抗癌剤は、各種類の癌に掛かった患者の治療に適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漢方薬である生薬アギ又はアギ揮発油或はイラン、アフガニスタン、スリランカ等の国で産するアギ又はアギ揮発油の医薬用途に関する。
【背景技術】
【0002】
アギは、天然植物の分泌物であり、《中華人民共和国薬局方》2005版第一部131頁には、以下のように記載されている。アギは、その性味が苦、辛、温、帰脾、胃経、消積、散寒、殺虫であり、肉類食品の消化不良、凝血塊、腹中腫物、寄生虫病腹痛の治療に用いられる。《全国中草薬総論》下冊人民衛星出版社、1978年、318頁の記載によれば、アギは、その性味が辛、微温、消積、殺虫、散寒であり、主に寄生虫病、腹部腫塊、胃腹膨張痛、マラリア、下痢の治療、麻疹の予防に用いられる。アギの伝統的な用途は、原薬アギを薬とすることであり、一つには(第1種は)、水で煎出すこと、二つには(第2種は)、丸剤として製薬するか又は他の薬と配合することであるが、いずれもそのきつい臭気を覆い隠すことができず、その応用は、大きな影響を受けている。
【0003】
癌は極普通の病気であり、世界的な範囲における多発病の1種である。癌は、人類の健康及び生命に厳しく影響を与え、多種の病気の中で人類の最大のキラーになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今まで用いられてきた癌の治療剤は、比較的に多く、その中の治療効果が良いものとしては、ドキソルビシン、サイクロフォスファマイド、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、マイトマイシン、シスプラチン、ビンクリスチン、タキソール、ドセタキセールなどが挙げられる。それらは、ある癌に対して治療効果が約30%であり、50%以上に達し得るものは極少なく且つ毒性が大きい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、アギ又はアギ揮発油を有効成分とする抗癌剤を提供する。
【0006】
前記抗癌剤は注射剤、カプセル剤、滴丸剤、錠剤、顆粒剤、散剤又は経口液、ペースト剤、又はチンキ剤であってもよい。
【0007】
前記抗癌剤は食道癌、鼻咽頭癌、胃癌、肝癌、肺癌、乳腺癌、膵臓癌、大腸癌、卵巣癌、白血病、子宮頚癌、リンパ癌、骨癌、皮膚癌、口腔癌、膀胱癌に有効である。
【0008】
前記アギ揮発油はアギ由来の抽出物であってもよい。
【0009】
前記アギは新疆アギ又は阜康アギ由来のファクチス樹脂であってもよい。
【0010】
前記アギは、イラン、アフガニスタン、スリランカ、インド、イラク、ベンガル、パキスタン、キルギスタン、カザフスタンの膠アギ草由来のファクチス樹脂であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を発揮油を例として説明する。
【0012】
アギ揮発油は、生薬アギとしての傘形類新疆アギ(Ferula sinkiangensisK.M.Shen)又は阜康アギ(Ferula fukanensis K.M.Shen)のファクチス樹脂から一般な抽出方法を採用して抽出できるものである。上記抽出物を各々中国科学院成都分院テストセンターに送付してGC−MS検出を行った結果、いずれも主にα−ピネン、α−テルピネン、2−ボルネオール、ジペンテングリコール4−オール、Dフェンキルアルコール(fenchol)、イソカルベオール(同ピノカルベオール)、β−オシメンA、β−オシメンB、ジsec―ブチルジスルファイド、sec―ブチル―トランス―1―ブテニルジスルファイド、sec―ブチル―シス―プロペニルジスルファイド、sec―ブチル―シス―1―ブテニルジスルファイド、sec―ブチル―トランス―2―ブテニルジスルファイド、チオsec―ブチル―トランス―メチルエチレンジスルファイドを含有している、とのことであった。
【0013】
アギ揮発油は、イラン、アフガニスタン等の国の膠アギ草(F.assafoetida L)のファクチス樹脂から通常の抽出方法により抽出されたものであっても良い。中国科学院成都分院分析テストセンターに送付してGC−MS検出を行った結果、いずれも主に、α−テルピネン、2−ボルネオール、ジペンテングリコール4−オール、D−フェンキルアルコール、ピノカルベオール、ジメチルジスルファイド、ジメチルトリスルファイド、メチル―プロペニル―ジスルファイド、2、2―ビスメチルチオプロパン、1、2―ビスエチルチオプロパン、N、N―ジメチルチオホルムアミド、プロペニル―ブチル―ジスルファイドを含有する、とのことであった。通常の油水分離法、水蒸気蒸留法、共沸蒸留法(azeotropic distillation)、減圧蒸留法或いは溶剤抽出法でアギ揮発油を抽出できる。
【0014】
上述の水蒸気蒸留法では、油水分離器により揮発油を分離する。以下、重量部に基づいて計量すると、アギ0.1〜20部に純水0.1〜80部を加えて、水蒸気蒸留して、油水分離を行い、温度を105〜108℃に制御して揮発油0.012〜2.4部「原料平均揮発油の含有量は12%(g/g)である」を収集する。
【0015】
上述の共沸蒸留法では、油水分離器により揮発油を分離する。以下、重量部に基づいて計量すると、アギ0.1〜20部に純水0.5〜200部を加えて、温度を105〜108℃に制御しながら共沸を行い、油水を分離させて揮発油0.012〜2.4部を収集する。
【0016】
上述の減圧蒸留法では、油水分離器により揮発油を分離する。以下、重量部に基づいて計量すると、アギ0.1〜20部に純水0.5〜200部を加えて、104〜107℃/1300〜1400Paの条件下で、減圧蒸留を行い、揮発油0.012〜2.4部を収集する。
【0017】
上述の溶剤抽出法では、以下、重量部に基づいて計量すると、アギ0.1〜20部に有機溶剤であるエタノールとクロロホルム0.6〜120重量部を加える。エタノールとクロロホルムの重量比は、クロロホルム:エタノール=2:1である。還流抽出する時、温度は、65〜70℃、還流時間は2時間に制御し、還流液温度が常温までに下がった時に、還流液を放出し、有機溶剤を回収して、揮発油原品を得た後、純水0.1〜80重量部を加える。水蒸気蒸留により温度を105〜108℃に制御しながら油水分離を行って、揮発油0.012〜2.4部を収集する。
【0018】
上述の抗癌剤は、注射剤、カプセル剤、滴丸剤、錠剤、顆粒剤、散剤又は経口液等の剤型とすることができる。注射剤は、筋肉注射液又は静脈注射液とすることができる。
【0019】
本発明の実質を更に詳しく理解するために、アギ揮発油にて製造した抗癌剤を暫く以下のように命名する:癌根注射液、癌根カプセル、癌根滴丸剤、癌根錠剤、癌根顆粒。
【0020】
アギ揮発油の動物試験及び癌根軟カプセルの臨床試験にてアギ揮発油の製薬分野における新しい用途に対し説明する。
【0021】
アギ揮発油にて抗癌剤である癌根注射液を製造する。アギ揮発油を取り、可溶化剤、例えば、2、3-HP、β-CD(加える前に注射用水にて可溶化剤を溶解させる)加え、攪拌し、等張化剤として塩化ナトリウム(注射用塩化ナトリウム)を加え、規定量まで注射用水を加えて攪拌し続け、更にマイクロメンブレンを通して濾過し、アンプルに充填し、滅菌して癌根注射液を得る。
【0022】
アギ揮発油にて抗癌剤である癌根カプセルを製造する。重量比でアギ揮発油:賦形剤=1:3〜20であるが、賦形剤は、澱粉、加圧性澱粉、低級置換ヒドロキシルプロピルセルロース(L−HPC)、微結晶セルロース、カルボキシルメチル澱粉ナトリウム(CMS-Na)のうちの少なくとも一つである。賦形剤を攪拌機中に入れ、オンして5 min攪拌した後、揮発油を賦形剤に均一にスプレーし、散布した後に5 min攪拌し続け、5%澱粉スラリーを加えて軟性材を製造し、軟性材を製粒機中に入れ、ステンレス製篩を通して、湿顆粒を製造し、60℃以下で乾粒にあぶり乾燥し、製粒機に入れ、ステンレス製篩を通して粒を整型し、カプセルに充填する時に均一、スムースに行えるよう、潤滑剤であるステアリン酸マグネシウムを添加する必要があり、それの重量比は、賦形剤:潤滑剤=1:0.002〜0.01である。整粒した後の乾粒を混合機に添加し、潤滑剤を加え、オンして5min混合した後、全自動カプセル充填機に搬送してアギカプセルを仕上げる。
【0023】
癌根カプセルごとに含有されるアギ揮発油含有量をアギ0.1〜2gに相当させる。
【0024】
本発明のアギ揮発油を、抗癌剤である癌根滴丸剤(又は癌根軟カプセルとも言う)製造に用いる場合には、通用の方法を採用して製薬する。
【0025】
水蒸気蒸留法にて揮発油を抽出し、油水分離器によりアギ100kgに相当するアギ揮発油12kgを得る。(1)ゼラチン液の製造:ゼラチンと、グリセリンと、水との割合は、1:0.3〜0.5:0.7〜1.4である。ゼラチン液に適量の水(ゼラチン重量25%の水)を加え、それを吸水・膨張させ、別途、グリセリン及び剰余の水をステンレス瓶に入れ70〜80℃まで加熱し、均一に混合し、膨張したゼラチンを加えて攪拌し、溶融させ均一な溶液を形成し、1〜2時間保温して静置し、浮かび上がった泡沫を除去し、ナイロン布で濾過する。(2)薬液(即ち、油液)の製造:上述のアギ揮発油に植物油(例えば、落花生油)0.75kgを加え、充分に攪拌する。(3)カプセル丸剤の製造:ゼラチン液と薬液をそれぞれ丸剤機の液体予備タンク内に入れ、定量制御機により、所定量のゼラチンと薬液を二重層ノズルにより、外層として、60〜70℃のゼラチン液を通し、内層として、薬液を通して、ゲルが薬液を覆うようにさせ、アギカプセル丸剤ごとに含有するアギ揮発油をアギ0.1〜3gに相当させ、覆った丸剤を速やかに冷却剤、即ち温度が13〜17℃である液状パラフィン中に滴下し、液滴は、表面張力により球状を形成し、漸次に凝固してカプセル丸剤になり、収集器上でカプセル丸剤を収集する。(4)丸剤の精製と乾燥:カプセル丸剤をガーゼにて付着した液体パラフィンを拭き、更に10℃程度の低温で4〜6時間送風し、更に25〜35℃で4時間あぶり乾燥し、取り出して、エタノール:アセトン=5:1の混合液にて2回洗ってから洗浄液を吹き付け乾燥し、再度40〜45℃で24時間あぶり乾燥し、灯検査を行い、不良の丸剤を除去した後、95%のエタノールにて1回洗い、更に40〜45℃で吹き付け乾燥し、即ち、アギカプセル丸剤(軟カプセル)を得る。
【0026】
アギ揮発油にて抗癌剤である癌根錠剤を製造する。重量比でアギ揮発油:賦形剤=1:3〜20であるが、賦形剤は、澱粉、加圧澱粉L−HPC、微結晶セルロース、CMS−Naのうちの少なくとも一つである。賦形剤を攪拌機中に入れ、オンして5 min攪拌した後、アギ揮発油を賦形剤中に均一に散布し、散布した後に5 min攪拌し続け、5%澱粉スラリーを加えて軟性材を製造し、軟性材を製粒機中に入れ、ステンレス製篩を通して、湿顆粒を製造し、60℃以下で乾粒にあぶり乾燥し、製粒機に入れ、ステンレス製篩を通して粒を整型し、製錠する時に均一、スムースにするために、潤滑剤であるステアリン酸マグネシウムを添加する必要があり、それの重量比は、賦形剤:潤滑剤=1:0.002〜0.01である。整粒した後の乾粒を混合機に添加し、潤滑剤を加え、オンして5min混合した後、材料を錠剤製造器に搬送して癌根錠剤を製造し、更に癌根錠剤をコーティング機に搬送して薄膜コーティング錠剤を製造する。錠剤中のアギ揮発油含有量をアギ0.1〜2gに相当させる。
【0027】
アギ揮発油にて抗癌剤である癌根顆粒を製造する。重量比で、アギ揮発油:賦形剤=1:10〜100であるが、賦形剤は、蔗糖粉末、デキストリンである。賦形剤を攪拌機中に入れ、オンして5 min攪拌した後、アギ揮発油を充填料に均一に散布し、散布した後に5 min攪拌し続け、2%澱粉スラリーを加えて軟性材を製造し、軟性材を製粒機中に入れ、ステンレス製篩を通して、湿顆粒を製造し、60℃以下で乾粒にあぶり乾燥し、製粒機に入れ、ステンレス製篩を通して粒を整型し、顆粒剤を分割分包機で分割分包し、毎包中のアギ揮発油含有量をアギ0.1〜2gに相当させる。
【0028】
アギ揮発油の動物試験及び癌根軟カプセルの臨床試験
動物試験
アギ揮発油のS180肉腫、エールリッヒ腹水ガンに対する抑制作用の研究
1.材料と方法
1.1 材料
1.1.1 受験動物
清潔級昆明種のマウス:160匹、体重:18〜20g、成都中医薬大学実験動物センターから提供、雄性、実験動物品質合格証号:「川実動管6号」。全価顆粒飼料(合理的な処方にて作られ、動物の各栄養要求を満たせる飼料)で飼育。
【0029】
1.1.2 主要試薬と腫株細胞
受験薬物:アギ発揮油、サンプルとして透明油状液体(ミリリットルごとに揮発油0.25mlを含有し、2.2gの生薬に相当する)、成都市山和薬品開発有限公司から提供。ロットナンバー050612。人用量0.013ml/Kg/日に準じて、それぞれ5倍及び20倍量にて注胃投与し、使用する前に大豆油にて希釈することにより0.4ml/20g投与量にする。
【0030】
陽性対照薬:テガフル錠剤(Tegafur Tablets)、中国済南製薬社製、ロットナンバー220602。
【0031】
180肉腫細胞株:エールリッヒ腹水ガン細胞株サンプル、四川大学薬学院腫瘍研究室から提供。
【0032】
主要機器:電子スケール、型番号BS110S、精度0.1mg、Sartorius製。
【0033】
1.2 実験方法
1.2.1 腫瘍モデルの立て:超清潔テーブルで先ずS180肉腫液を0.1ml取り、生理塩水にて20倍希釈し、光学顕微鏡下で肉腫液中の活性腫細胞数を計算し、肉腫液の希釈倍数を計算し、生理塩水にて2×10個/0.2mlになるまでに希釈する。氷水中に保存し、75%アルコールでマウスの右腋皮膚を消毒し、0.2ml/1匹でマウスの右腋に接種する。
【0034】
エールリッヒ腹水ガンモデルの立て方:同上。
【0035】
1.2.2 動物グループ分け:接種24hr後、体重を量り、S180モデル群、S180陽性対照群、アギ発揮油小投与量群及びアギ発揮油大投与量群の四つのグループにランダムに分け、マウス20匹/群にする。
【0036】
1.2.3 実験手順:グループ分けの当日から投与量0.02ml/g(体重)で潅胃投与し始め、陽性薬の投与量を換算すると、100mg/kg/日に相当し、アギ発揮油小投与量群に10d(日)連続投与する。投与終了後の翌日にマウスを殺し、体重を量り、ランダムに皮下腫瘍組織をきれいに剥がし、腫瘍の重さを電子スケールにて量り、各群腫瘍体の平均重量及び腫瘍抑制率を計算する。
【0037】
2.結果
2.1 S180肉腫移植移植モデルの実験結果
2.1.1 S180肉腫腫株をマウスに接種10日後、腫瘍生長様子を表1に示す。薬物投与群の2群のいずれもモデル群に比べて実体腫瘍の重量差が有意的である(P<0.01)。
【0038】
【表1】

【0039】
2.2 エールリッヒ腹水ガン腫瘍移植モデルの実験結果
2.2.1 昆明マウスのエールリッヒ腹水ガン実体型接種した10日後の腫瘍生長様子を表2に示す。薬物投与群の2群及び陽性対象群の腫瘍とモデル群のそれとの重量差が有意的である(P<0.01)。
【0040】
【表2】

【0041】
3.結論
アギ発揮油は、潅胃投与でS180肉腫移植移植モデル及びエールリッヒ腹水ガン腫瘍移植モデルに対して、いずれも顕著な抑制効果が認められ、且つ一定の投与量と効果との関係がある。
【0042】
臨床実験
1.食道癌
1.1 食道癌患者の選択基準
1.1.1 嚥下困難
1.1.2 発痛:胸痛又は背中発痛、発痛が鈍痛、潜在痛、焼灼痛、刺痛
1.1.3 粘液吐き、さ声、出血、乾性咳
1.2 治療効果の評価基準
1.2.1 症状:嚥下困難、発痛、粘液吐き、さ声、出血、乾性咳
1.3治療効果
顕著効果(顕効):症状が明らかに緩和された
効果あり(有効):症状がある程度緩和された
効果なし(無効):症状が緩和されず
1.4 治療方案
食道癌患者の性別、年齢によりランダム且つバランスよくの原則に従って、癌根軟カプセル治療群、マイトマイシン(MMC)陽性対照群にグループ分けされ、各群に用いられた薬剤及び投与方法は以下表3、表4の通りである。
【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
2 胃癌
2.1 胃癌患者の選択基準
2.1.1 胃部発痛、特異性無し
2.1.2 食欲低下、痩せ、弱質、特異性無し
2.1.3 悪心嘔吐
2.1.4 出血及び黒便
2.1.5 他の症状:下痢、便秘、熱病
2.2 治療効果の評価基準
2.2.1 症状:胃部発痛、食欲低下、悪心嘔吐、出血、黒便、下痢、便秘、熱病
2.3 治療効果
顕著効果(顕効):症状が明らかに緩和され、
効果あり(有効):症状がある程度緩和され、
効果なし(無効):症状が緩和されず
2.4 治療方案
胃癌患者の性別、年齢によりランダム且つバランスよくの原則に従って、癌根軟カプセル治療群、5−フルオロウラシル(5−Fu)陽性対照群にグループ分けされ、各群に用いられた薬剤及び投与方法は以下表5、表6の通りである。
【0046】
【表5】

【0047】
【表6】

【0048】
3. 肝癌
3.1 肝癌患者の選択基準
3.1.1 肝臓発痛、腹部腫物
3.1.2 消化管症状:食欲低下、食後上腹部脹満感、おくび、消化不良、悪心、下痢
3.1.3 発熱、痩せ、弱質
3.1.4 出血傾向:常に牙銀出血、皮下於血斑傾向
3.2 治療効果の評価基準
3.2.1 症状:肝臓発痛、腹部腫物、消化管症状、発熱、痩せ、弱質、出血傾向
3.3 治療効果
顕著効果(顕効):症状が明らかに緩和され、
効果あり(有効):症状がある程度緩和され、
効果なし(無効):症状が緩和されず
3.4 治療方案
肝癌患者の性別、年齢によりランダム且つバランスよくの原則に従って、癌根軟カプセル治療群、シスプラチン(Cisplatin. DDP)陽性対照群にグループ分けされ、各群に用いられた薬剤及び投与方法が以下表7、表8の通りである。
【0049】
【表7】

【0050】
【表8】

【0051】
4.肺癌
4.1 肺癌患者の選択基準
4.1.1 胸発痛、頭痛
4.1.2 息切れ、咳、血糸痰、さ声、視覚曇り、頚静脈瘤
4.2 治療効果の評価基準
4.2.1 症状:胸発痛、頭痛、息切れ、咳、血糸痰、さ声、視覚曇り、頚静脈瘤
4.3 治療効果
顕著効果(顕効):症状が明らかに緩和され、
効果あり(有効):症状がある程度緩和され、
効果なし(無効):症状が緩和されず
4.4 治療方案
肺癌患者の性別、年齢によりランダム且つバランスよくの原則に従って、癌根軟カプセル治療群、サイクロフォスファマイド(CTX)陽性対照群にグループ分けされ、各群に用いられた薬剤及び投与方法が以下表9、表10の通りである。
【0052】
【表9】

【0053】
【表10】

【0054】
5.乳腺癌
5.1 乳腺癌患者の選択基準
5.1.1 乳腺腫物、乳頭排泄物(発生率が一般的に10%以下)
5.1.2 乳頭及び乳輪の変化
5.1.3 腋の下及び鎖骨上のリンパ腺腫脹
5.2 治療効果の評価基準
5.2.1 症状:乳腺腫物、乳頭排泄物、乳頭及び乳輪の変化、腋の下及び鎖骨上のリンパ腺腫脹
5.3 治療効果の評価基準
顕著効果(顕効):症状が明らかに緩和され、
効果あり(有効):症状がある程度緩和され、
効果なし(無効):症状が緩和されず
5.4 治療方案
乳腺癌患者の性別、年齢によりランダム且つバランスよくの原則に従って、癌根軟カプセル治療群、マイトマイシン(MMC)陽性対照群にグループ分けされ、各群に用いられた薬剤及び投与方法が以下表11、表12の通りである。
【0055】
【表11】

【0056】
【表12】

【0057】
結論:癌根軟カプセルは食道癌、胃癌、肝癌、肺癌及び乳腺癌に対していずれもいままで用いられたこれらの治療剤より優れた治療効果を有し、肝癌を除いていずれの総有効率が90%以上である。
【0058】
上述の通り、本発明は、アギとアギ揮発油の医療用途を開発し、アギとアギ揮発油の一つの新しい応用分野を開拓した。本発明のアギ揮発油より製造する抗癌剤は、治療効果が非常によく、副作用がない。産業化生産を行うことができる。現代科学工程により製造された注射液、カプセル剤、滴丸剤、錠剤、顆粒剤、散剤、経口液等の剤型は、効果が速く、投与量が精確であり、服用が便利であり、アギのきつい臭気を隠蔽し又は減少でき、応用が極めて便利である。
【0059】
本発明の抗癌剤は、各種類の癌に掛かった患者の治療に適用する。
【0060】
以下、実施例により本発明の作用に対し更に説明する。
【0061】
新疆アギ或は阜康アギとイラン、アフガニスタン、スリランカ等の国のアギの製法は同一であり、以下、実施例として、新疆アギ或は阜康アギを例示する。
【実施例1】
【0062】
本発明のアギ揮発油は、抗癌剤である癌根注射液の製造に用いられるが、常軌の方法を採用して製薬できる。
【0063】
アギ揮発油は、新疆アギ或阜康アギを原料とし、通常の油水分離法を採用して揮発油を製造する。以下、重量部に基づいて計量すると、アギ0.1〜20重量部に純水0.1〜80部を加え、水蒸気蒸留を行い、温度を105〜108℃に制御して油水分離器により分離を行い、揮発油0.012〜2.4部をアギ揮発油として収集した。
【0064】
表13の計量に基づいて、アギ揮発油に可溶化剤、例えば、2、3-HP、β-CD、(可溶化剤は、先に適量な注射用水を加えて溶解させる)を加えて20min攪拌した後、適量の注射用水を加え、等張化剤である塩化ナトリウム(注射用塩化ナトリウム)を加え、1000mlになるまで注射用水を加え、10min攪拌し続け、0.22μmのマイクロメンブレンにより濾過し、注入し、滅菌して癌根注射液を得た。
【0065】
滅菌温度(1〜2mlアンプル100℃、30min;5〜10mlアンプル100℃、45 min)にて、癌根注射液(筋肉注射或は靜脈注射に用いられる)を得た。規格は、2ml:1g/本、5ml:3g/本、10ml:3g/本等である。
【0066】
アギ注射液中の成分及びそれの含有量は、表13を参照(注射用水は、必要により加わる)。
【0067】
【表13】

【実施例2】
【0068】
本発明のアギ揮発油は、抗癌剤である癌根カプセルの製造に用いられる。癌根カプセルは、通用の方法により製造した。アギ100kgに相当するアギ揮発油12kgを取った。賦形剤47.74kgを取り、即ち、重量比は、アギ揮発油:賦形剤=1:3.98であり、その中で、澱粉25kg、ゲル化になる前の澱粉(Pregelatinized Starch)12kg、L-HPC 8kg、微結晶セルロース(microcrystalline cellulose)2.5kg、CMS-Na 0.24kgである。賦形剤を攪拌機中に入れ、オンして5min攪拌した後、アギ揮発油を均一に賦形剤中に散布し、散布した後に5min攪拌し続け、5%澱粉スラリーを加えて軟性材を製造し、軟性材を製粒機中に入れ、ステンレス製篩を通して湿顆粒を製造し、60℃以下で乾粒にあぶり乾燥し、製粒機に入れ、ステンレス製篩を通して粒を整型した後、混合機に入れ、潤滑剤であるステアリン酸マグネシウム0.096kg(賦形剤:潤滑剤=1:0.002)を加え、オンして5min混合した後、全自動カプセル填充機に搬送して癌根カプセルを製造し、カプセル丸剤ごとに含有するアギ揮発油をアギ0.5gに相当させた。
【実施例3】
【0069】
本発明のアギ揮発油は、抗癌剤である癌根滴丸剤(癌根軟カプセルとも命名する)の製造に用いられる。癌根滴丸剤(癌根軟カプセルとも命名する)は、通用の方法を採用して製薬する。
【0070】
水蒸気蒸留法により揮発油を抽出し、油水分離器により分離してアギ100kgに相当するアギ揮発油12kgを得た。
【0071】
(1)ゼラチン液の製造(ゼラチン:グリセリン:水=1:0.4:1):
グラチン7kgに純水1.75kgを加えて吸水膨張させ、別途、グリセリン2.8kg及び純水5.25kgをステンレス瓶に入れ、75℃に加熱して均一に混合し、膨張したゼラチンを加えて攪拌し、均一な溶液に溶融させ、1.5時間保温して静置し、浮かび上がった泡沫を除去し、ナイロン布で濾過した。
【0072】
(2)薬液(即油液)の製造:
上述の揮発油12kgに薬用落花生油0.75kg加え、充分に均一に攪拌する。
【0073】
(3)軟カプセル剤の製造:
上述のゼラチン液と薬液をそれぞれ丸剤機の液体予備タンク内に入れ、定量制御器により一定量のゼラチンと薬液を二重層噴頭を通じて吐出し、外層として、65℃のゼラチン液を通し、内層として、薬液を通して、ゲルが薬液を覆うようにさせ、軟カプセルごとに含有するアギ揮発油をアギ2.5gに相当させた。覆われた丸剤を速やかに冷却剤(温度が14.5℃である液状パラフィン)中に滴下すれば、液滴は、表面張力により球状を形成し、漸次に凝固してカプセル丸剤になる。収集器上でカプセル丸剤を収集した。
【0074】
(4)丸剤の精製と乾燥:
ガーゼにて、カプセル丸剤に付着された液体パラフィンを拭き、更に9℃の低温で4.5時間送風し、更に28〜30℃で4時間あぶり乾燥し、取り出して、エタノール:アセトン=5:1の混合液10kgにて2回洗ってから洗浄液を吹き付け乾燥し、更に42〜44℃で24時間あぶり乾燥し、灯検査を行い、不良の丸剤を除去した後、95%のエタノールにて1回洗い、更に42〜43.5℃で吹き付け乾燥して、癌根軟カプセルを得た。
【実施例4】
【0075】
本発明のアギ揮発油は、抗癌剤である癌根錠剤の製造に用いられる。癌根錠剤は、常軌の方法を採用して製薬する。
【0076】
アギ100kgに相当するアギ揮発油12kgを取る。賦形剤42.7kgを取り、即ち、重量比で、アギ揮発油:賦形剤=1:3.56であり、その中で、澱粉22.5kg、ゲル化になる前の澱粉11.5kg、L-HPC 6.5kg、微結晶セルロース2kg、CMS-Na 0.2kgであり、賦形剤を攪拌機中に入れ、オンして5min攪拌した後、アギ揮発油を均一に賦形剤中に散布し、散布した後に5min攪拌し続け、5%澱粉スラリーを加えて軟性材を製造し、軟性材を製粒機中に入れ、ステンレス製篩を通して湿顆粒を製造し、60℃以下で乾粒にあぶり乾燥し、製粒機に入れ、ステンレス製篩を通して粒を整型した後、混合機に入れ、潤滑剤であるステアリン酸マグネシウム0.214kg(即ち、賦形剤:潤滑剤=1:0.005)を加え、オンして5min混合した後、材料を錠剤製造機に搬送して癌根錠剤を製造し、更に癌根錠剤をコーティング機に搬送して薄膜コーティング錠剤を製造し、錠ごとにアギ抽出物含有量をアギ0.5gに相当させた。
【実施例5】
【0077】
本発明のアギ揮発油は、抗癌剤である癌根顆粒の製造に用いられる。癌根顆粒は、常軌の方法を採用して製薬する。
【0078】
アギ100kgに相当するアギ揮発油12kgを取る。賦形剤196kgを取り、アギ揮発油:賦形剤=1:16.33であり、その中で、蔗糖粉末140kg、デキストリン56kgである。賦形剤を攪拌機中に入れ、オンして5min攪拌した後、アギ揮発油を均一に補助原料中に散布し、散布した後に5min攪拌し続け、2%澱粉スラリーを加えて軟性材を製造し、軟性材を製粒機中に入れ、ステンレス製篩を通して湿顆粒を製造し、60℃以下で乾粒にあぶり乾燥し、製粒機に入れ、ステンレス製篩を通して粒を整型し、顆粒剤を分割分包機に分割分包し、毎包中のアギ揮発油含有量をアギ0.5gに相当させた。
【実施例6】
【0079】
本発明のアギ揮発油は、抗癌剤である癌根散剤の製造に用いられる。癌根散剤は、通用の方法を採用して製薬する。
【0080】
アギ100kgに相当するアギ揮発油12kgを取る。澱粉140kg、蔗糖粉末36kgを攪拌機に入れ、オンして5min攪拌した後、アギ揮発油を均一に補助原料中に散布し、散布した後に5min攪拌し続け、原料を出して、60℃以下であぶり乾燥し、粉粋し、100メッシュの篩を通させ、20kgのタルクを加え、混合機中において15min混合した後、散剤定量分割分包機に搬送して癌根散剤を製造した。毎包中のアギ揮発油含有量をアギ0.5gに相当させた。
【実施例7】
【0081】
本発明のアギ揮発油は、抗癌剤である癌根経口液の製造に用いられる。癌根経口液は、通用の方法を採用して製薬する。
【0082】
水蒸気蒸留法により油水分離器を経て揮発油を抽出し、アギ25kgに相当するアギ揮発油3kgを取り、300g 2、3-HP、β-CDを加え、適量な蒸留水を加え、5min攪拌した後、50%橙皮シロップ25kgを加え、更に適量の蒸留水を規定量である12.5万mlになるまで加え、5min攪拌した後、0.45マイクロメンブレンにより濾過し、癌根経口液を製造し、全自動経口液注入機に搬送して10ml経口液瓶中に注入し、100℃、45min滅菌して規格が10ml:2g/瓶である癌根経口液を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アギ又はアギ揮発油を有効成分とする抗癌剤。
【請求項2】
前記抗癌剤が注射剤、カプセル剤、滴丸剤、錠剤、顆粒剤、散剤又は経口液、ペースト剤、又はチンキ剤であることを特徴とする請求項1に記載の抗癌剤。
【請求項3】
前記抗癌剤が食道癌、鼻咽頭癌、胃癌、肝癌、肺癌、乳腺癌、膵臓癌、大腸癌、卵巣癌、白血病、子宮頚癌、リンパ癌、骨癌、皮膚癌、口腔癌、膀胱癌に有効であることを特徴とする請求項1に記載の抗癌剤。
【請求項4】
前記アギ揮発油がアギ由来の抽出物であることを特徴とする請求項1に記載の抗癌剤。
【請求項5】
前記アギが新疆アギ又は阜康アギ由来のファクチス樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の抗癌剤。
【請求項6】
前記アギが、イラン、アフガニスタン、スリランカ、インド、イラク、ベンガル、パキスタン、キルギスタン、カザフスタンの膠アギ草由来のファクチス樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の抗癌剤。

【公開番号】特開2007−119474(P2007−119474A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291990(P2006−291990)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(506278635)
【Fターム(参考)】