説明

アクセサリーギアボックスアッセンブリおよびアクセサリギアボックスにおけるアクセサリ構成部品への回転エネルギー供給方法

【課題】改良されたアクセサリーギアボックスアッセンブリを提供する。
【解決手段】航空機用アクセサリギアボックス10は、動力伝達シャフト14を介してエンジンコア12に接続され、ギアボックス10の長手方向端部24に位置するアクセサリ構成部品22に回転エネルギーを提供する。ギア16は、ギアボックスハウジング18内に配設され、かつ少なくとも部分的にアクセサリハウジング30内に配設される。スパーギア歯部34は、スパー軸32を中心に回転するようにギア歯36と噛合する。スパーギア28により、アクセサリシャフト38が回転して構成部品22に動力が伝わる。スパーギア28を介して構成部品22をギアボックス10に接続することにより、スパー歯部34の数又はギア歯36の数を変更することで、スパーギア28の回転速度およびアクセサリ構成部品22に付与される回転エネルギーの調節が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用のギアボックスに関し、より具体的には、航空機用ギアボックスに対するアクセサリ(付属品)の接続に関する。
【背景技術】
【0002】
ギアボックスは、航空機エンジンのメインシャフトから複数のエンジンおよび航空機アクセサリへと動力を伝達する。通常、アクセサリは、発電機、油圧ポンプ、燃料ポンプ、スタータおよび潤滑/排油ポンプを含む。通常、これらのアクセサリは、ギアボックスとギアボックスギアの間の同軸スプラインを介してギアボックスに接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このギアボックスに対するアクセサリの接続により、スペースが制限されたギアボックスの側面にアクセサリを配置することが強いられる。さらに、直接的なスプライン接続のため、ギアボックスのギア速度によりアクセサリの速度が決まる。また、ギアボックスの側面にアクセサリを配置することにより、ギアボックスの側面に対する片持ち(カンチレバー)で不均衡なモーメントが増加し、このため、ギアボックスの側面の支持構造の補強が必要となり、ギアボックスの重量が増加することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によると、航空機のアクセサリーギアボックスアッセンブリは、アクセサリギアボックスハウジングに配設され、エンジンのコアから回転エネルギーを伝達する、互いに噛合した1つまたは複数のギアを備える。アクセサリ構成部品は、少なくとも部分的にアクセサリギアボックスハウジングに配設されたアクセサリスパーギアを有する。アクセサリスパーギアは、ギアボックスハウジング内でギアと噛み合い、これによりギアボックスからアクセサリ構成部品へと回転エネルギーが伝達される。
【0005】
本発明の他の態様によると、アクセサリギアボックスにおけるアクセサリ構成部品に回転エネルギーを供給する方法は、アクセサリギアボックスにおける互いに噛合する1つまたは複数のギアに回転エネルギーを供給するステップと、アクセサリギアボックスにアクセサリ構成部品を配置するステップと、を含む。アクセサリ構成部品は、少なくとも部分的にアクセサリハウジングに配設されるスパーギアを有する。スパーギアは、ギアと噛合し、回転エネルギーは、スパーギアを介して1つまたは複数のギアからアクセサリ構成部品へと伝達される。
【0006】
上記及び他の利点や特徴は、図面及び発明を実施するための形態により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】航空機用アクセサリギアボックスの実施例を示す概略図。
【図2】ギアボックスのシール形態の実施例を示す分解図。
【図3】ギアボックスのクラウンギアインタフェースの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照しつつ、本発明の実施例や利点及び特徴について説明する。
【0009】
図1は、航空機用のアクセサリギアボックス10の概略図である。ギアボックス10は、動力伝達シャフト14を介してエンジンコア12に接続される。エンジンコア12からの回転エネルギーは、動力伝達シャフト14を介してギアボックス10に伝達され、ギアボックス10における1つまたは複数のギア16を駆動する。互いに噛み合うギア16は、ギアボックスハウジング18内に配設される。図1に図示するように、ギア16は、各回転軸20が互いに平行をなすように配設される。ギア16の配置はこれに限定されず、他の配置であってもよいことを理解されたい。
【0010】
ギアボックス10は、ギアボックス10と作動可能に関連する1つまたは複数のアクセサリ構成部品(コンポーネント)22に回転エネルギーを提供するように構成される。例えば、アクセサリ構成部品22は、燃料ポンプ、潤滑ポンプ、水圧ポンプ、油圧ポンプまたは冷却ファンである。図1の実施例では、アクセサリ構成部品22の少なくとも1つは、ギアボックス10の長手方向端部24に位置する。ここで、長手方向端部は、ギア16の回転軸20に対して実質的に平行なギアボックスの表面として画定され、ギア16の回転軸20と実質的に直交するギアボックス10の表面として画定されるギアボックス10の側面26と直交する。
【0011】
アクセサリ構成部品22は、スパーギア28を介してギアボックス10に対して作動可能に接続され、スパーギア28は、スパー軸32を中心に回転する。ギアボックスギア16の1つは、少なくとも部分的にアクセサリハウジング30内に配設される。スパーギア28は、複数のスパー歯部34を有し、スパー歯部34は、ギア16の複数のギア歯36に向かって延び、ギア歯部36と噛合する。スパーギア28は、ギア16の回転によって回転するようにギア16と噛み合う。次いで、スパーギア28の回転により、アクセサリシャフト38が回転してアクセサリ構成部品22に動力が伝わる。スパー回転軸32は、スパーギア28が噛合するギア16の回転軸20と実質的に平行である。
【0012】
スパーギア28を介してアクセサリ構成部品22をギアボックス10に接続することにより、スパーギア28のスパー歯部34の数を変更すること、又はスパーギア28が噛合するギア16のギア歯36の数を変更することで、スパーギア28の回転速度の調節、したがって、アクセサリ構成部品22に付与される回転エネルギーの調節が容易となる。
【0013】
スパーギア28とギア16を噛合可能にするため、ギアボックスハウジング18は、長手方向端部24にギア開口部40を有し、アクセサリハウジング30は、相補的なスパー開口部42を有し、当該開口部40,42を通ってギアボックスギア16およびスパーギア28がそれぞれ延在して互いに噛合する。アクセサリ構成部品22とギアボックス10の間にシールを設け、ギアボックス10とアクセサリ構成部品22の間のインタフェースにシールを施して、ギア開口部40およびスパー開口部42をそれぞれ通ってギアボックス10およびアクセサリ構成部品22に異物が入り込まないように防止する。図2に示すように、シールはシールプレート46とし得る。該シールプレート46は、スパー開口部42を囲むようにアクセサリハウジング30に設けられ、ギアボックスハウジング18におけるギア開口部40を囲む相補的なシール溝48へと延びる。図2の実施例では、シールプレート46はアクセサリハウジング30に設けられているが、他の実施例では、ガスケットや成形エラストマーなど他の手段によって、ギアボックスハウジングとアクセサリハウジング30の間のインタフェースをシールしてもよい。
【0014】
次に図3を参照すると、1つまたは複数の16およびスパーギア28は、クラウン形状(crowned shape)を有して構成されている。クラウニングは、ギア歯50の面の曲率をもたらす。このクラウン形状により、噛合するギアと接触する際のギア歯50に対する点荷重や線荷重が防止される。
【0015】
再び図1を参照すると、アクセサリ構成部品22を長手方向端部24に配置することにより、ギアボックス10の側面26に加わる片持ち力(cantilever force)が減少する。さらに、長手方向端部24に位置するアクセサリ構成部品22により、アクセサリ構成部品のモーメントの反応がギアボックス10の側面26間に均等に分配される。上記の要素により、ギアボックス10およびギアボックスハウジング18がより軽量に構成され得る。
【0016】
いくつかの実施例について本発明を詳細に説明してきたが、開示した実施例は例示的なものに過ぎず、本発明は、上記実施例に限定されない。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更や修正等がなされることを理解されたい。
【符号の説明】
【0017】
10 アクセサリギアボックス
12 エンジンコア
14 動力伝達シャフト
16 ギア
18 ギアボックスハウジング
20 回転軸
22 アクセサリ部品
24 長手方向端部
26 側面
28 スパーギア
30 アクセサリハウジング
32 スパー軸
34 スパー歯部
36 ギア歯
38 アクセサリシャフト
40 ギア開口部
42 スパー開口部
46 シールプレート
48 シール溝
50 ギア歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のアクセサリーギアボックスアッセンブリであって、
ギアボックスハウジングに配設され、エンジンのコアから回転エネルギーを伝達する、互いに噛合した1つまたは複数のギアと、
少なくとも部分的にアクセサリハウジングに配設されたスパーギアを有するアクセサリ構成部品と、
を備え、
スパーギアは、ギアと噛み合い、これによりギアボックスからアクセサリ構成部品へと回転エネルギーが伝達されることを特徴とするアクセサリーギアボックスアッセンブリ。
【請求項2】
スパーギアはスパー回転軸を有し、該回転軸は、スパーギアが噛合するギアのギア回転軸と実質的に平行をなすことを特徴とする請求項1に記載のアクセサリーギアボックスアッセンブリ。
【請求項3】
アクセサリ構成部品は、ギアボックスの長手方向端部に配設されることを特徴とする請求項1に記載のアクセサリーギアボックスアッセンブリ。
【請求項4】
スパーギアは、アクセサリハウジングのスパー開口部を通ってギアに向かって延びることを特徴とする請求項1に記載のアクセサリーギアボックスアッセンブリ。
【請求項5】
ギアは、ギアボックスハウジングのギア開口部を通ってスパーギアに向かって延びることを特徴とする請求項1に記載のアクセサリーギアボックスアッセンブリ。
【請求項6】
スパーギアおよびギアの少なくとも一方はクラウン形状であることを特徴とする請求項1に記載のアクセサリーギアボックスアッセンブリ。
【請求項7】
ギアボックスハウジングとアクセサリハウジングの間に配設されるシールをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のアクセサリーギアボックスアッセンブリ。
【請求項8】
アクセサリ構成部品は、燃料ポンプ、潤滑ポンプ、油圧ポンプ又は冷却ファンであることを特徴とする請求項1に記載のアクセサリーギアボックスアッセンブリ。
【請求項9】
アクセサリギアボックスにおけるアクセサリ構成部品に回転エネルギーを供給する方法であって、
アクセサリギアボックスにおける互いに噛合する1つまたは複数のギアに回転エネルギーを供給するステップと、
アクセサリギアボックスにアクセサリ構成部品を配置するステップであって、アクセサリ構成部品は、少なくとも部分的にアクセサリハウジングに配設されるスパーギアを有する、配置ステップと、
スパーギアとギアを噛合させるステップと、
スパーギアを介して1つまたは複数のギアからアクセサリ構成部品へと回転エネルギーを伝達するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
スパー回転軸を中心としてスパーギアを回転させるステップをさらに含み、
該スパー回転軸は、スパーギアが噛合するギアのギア回転軸と実質的に平行をなすことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アクセサリギアボックスにアクセサリ構成部品を配置するステップは、ギアボックスの長手方向端部にアクセサリ構成部品を配設することを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
アクセサリハウジングのスパー開口部を通してギアに向けてスパーギアを延在させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
アクセサリギアボックスのギアボックスハウジングのギア開口部を通してスパーギアに向けてギアを延在させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
スパーギアにおけるスパー歯部の数およびギアにおけるギア歯部の数を変更することにより、アクセサリ構成部品の回転速度を調節するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
エンジンコアへの作動可能な接続を介して1つまたは複数のギアに回転エネルギーを供給するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−17740(P2012−17740A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150541(P2011−150541)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.