説明

アクセサリー装着装置およびこのアクセサリー装着装置を備えたアクセサリー

【課題】 アクセサリーの固定状況を確実に認識することが可能なアクセサリー装着装置およびこのアクセサリー装着装置を備えたアクセサリーを提供する。
【解決手段】 踏み台を天板に装着するときには、固定部材52を揺動させて係合位置に移動させる。これにより、固定部材52の先端に配設されたピン51が天板に形成された固定用凹部に係合する。このときには、表示領域101がロック状態表示窓48を介して外部から視認される。一方、固定部材52が移動可能な非ロック状態においては、表示領域102がロック状態表示窓48を介して外部から視認される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、X線撮影装置における天板にX線撮影に使用するアクセサリーを装着するためのアクセサリー装着装置およびこのアクセサリー装着装置を備えたアクセサリーに関する。
【背景技術】
【0002】
X線透視撮影台等のX線撮影装置においては、被検者が起立する踏み台または被検者が座着する撮影架台等のアクセサリーが使用される。このX線撮影に使用するアクセサリーは、X線撮影装置の天板の側面に形成された凹部に、ピンを利用して固定されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59−156607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
X線透視撮影台等のX線撮影装置においては、天板を水平方向から立位あるいは逆傾と角度を変化させる必要がある。このため、踏み台や撮影架台等のアクセサリーの天板に対する固定が不十分であると、検査中に患者が踏み台や撮影架台から落下する可能性があることから、それらの固定状況を確実に確認する必要がある。このため、従来においては、オペレータがこれらのアクセサリーを左右に揺するなどして、アクセサリーの固定状況を確認するようにしているが、アクセサリーの固定状況はそのような操作では解りにくいというのが実情であった。
【0005】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、アクセサリーの固定状況を確実に認識することが可能なアクセサリー装着装置およびこのアクセサリー装着装置を備えたアクセサリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、X線撮影装置における天板に、X線撮影に使用するアクセサリーを装着するためのアクセサリー装着装置であって、前記天板に形成された固定用凹部と係合可能なピンを備え、前記ピンが前記固定用凹部と係合する係合位置と、前記ピンが前記凹部から離隔する離隔位置との間を移動可能な固定部材と、前記係合位置に配置された前記固定部材が当該係合位置から前記離隔位置へ移動することを規制する規制位置と、前記固定部材が前記係合位置と前記離隔位置との間で移動することを許容する退避位置との間を移動可能であるとともに、互いに色またはパターンが異なる一対の表示領域が形成された移動規制部材と、前記移動規制部材の規制位置と退避位置との間の移動に伴って、前記一対の表示領域のいずれか一方のみを外部から視認可能とするロック状態表示窓とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記固定部材は、前記係合位置と前記離隔位置との間を揺動可能な構成を有し、第1のバネにより前記係合一方向に付勢されるとともに、前記移動規制部材は、前記固定部材が離隔位置に移動したときに前記固定部材が配置される領域と重複する規制位置と、前記固定部材が離隔位置に移動したときに前記固定部材が配置される領域から離隔した領域である退避位置との間を揺動可能な構成を有し、第2のバネにより前記規制位置に向けて付勢されている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記固定部材および前記移動規制部材を収納するケーシングを備え、前記ロック状態表示窓は、前記ケーシングにおける前記移動規制部材の一対の表示領域の揺動領域に対応する領域に形成された孔部である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明において、前記アクセサリーは、被検者が起立する踏み台または被検者が座着する撮影架台である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のアクセサリー装着装置が、前記天板の左右両端に対応する位置に一対配設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1乃至請求項4に記載の発明によれば、固定部材が係合位置に配置され、移動規制部材が規制位置に配置された状態において、ロック状態表示窓に対して一対の表示領域のうちの、いずれか一方の表示領域が表示されることになる。このため、ロック状態表示窓にいずれの表示領域が視認されるかにより、ロック状態を確認することができ、アクセサリーを確実に天板に固定することが可能となる。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、天板の左右両端に対応する位置に配置されたアクセサリー装着装置により、アクセサリーを確実に天板に固定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明を適用するX線検査装置の概要図であり、テーブル13が臥位位置に配置されたときの正面図である。
【図2】この発明を適用するX線検査装置の概要図であり、テーブル13が立位位置に配置されたときの正面図である。
【図3】この発明を適用するX線検査装置の概要図であり、テーブル13が立位位置に配置されたときの側面図である。
【図4】踏み台30の正面図である。
【図5】踏み台30を天板13とともに示す平面図である。
【図6】踏み台30を天板13とともに示す側面図である。
【図7】装着部40の概要図である。
【図8】装着部40の概要図である。
【図9】移動規制部材43の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1乃至図3は、この発明を適用するX線検査装置の概要図である。なお、図1は、テーブル13が臥位位置に配置されたときのX線検査装置の正面図である。また、図2は、テーブル13が立位位置に配置されたときのX線検査装置の正面図である。さらに、図3は、テーブル13が立位位置に配置されたときのX線検査装置の側面図である。
【0015】
このX線検査装置は、X線透視撮影台と呼称されるものであり、天板13と、この天板13に連結されたスライドアーム15と、このスライドアーム15の先端に配設されたX線管11と、天板13に対してX線管11の逆側に配設されたX線検出器としてのフラットパネルディテクタ12とを備える。スライドアーム15には、必要に応じ被検者の診断部位を圧迫するための圧迫筒機構20が配設されている。また、天板13には、この発明に係るアクセサリーとしての踏み台30が固定されている。
【0016】
これらの天板13、スライドアーム15およびX線管11は、図示しないモータを内蔵した回転機構16の作用により、図1に示す、天板13の表面が水平方向を向く臥位位置と、図2および図3に示す、天板13の表面が鉛直方向を向く立位位置との間を回動可能となっている。また、回動機構16自体は、ベースプレート18上に立設された主支柱17に対して昇降可能となっている。
【0017】
天板13が臥位位置にあるときには、臥位状態の被検者に対して透視あるいは撮影が行われる。このときには、被検者は天板13上に載置される。また、天板13が立位位置にあるときには、立位状態の被検者に対して透視あるいは撮影が行われる。また、天板13の角度を変更しながら撮影を行うときには、被検者は天板13に固定された踏み台30上に起立する。そして、被検者を天板13に乗せたままの状態で、天板13の角度が変更される。踏み台30は、図1に示すように、天板13が臥位位置にある状態で天板13に対して着脱が行われる。なお、臥位状態の被検者に対して透視あるいは撮影を実行するときには、踏み台30は天板13から取り外される。
【0018】
次に、この発明に係るアクセサリーとしての踏み台30の構成について説明する。図4は、踏み台30の正面図である。また、図5は、踏み台30を天板13とともに示す平面図である。さらに、図6は、踏み台30を天板13とともに示す側面図である。なお、図6においては、固定部材52の向こう側にあるピン51を実線で図示している。
【0019】
この踏み台30は、踏み板31と、この踏み板31の左右両側に配設された一対の装着部40とを備える。各装着部40は、後述するロック状態表示窓48が穿設されたケーシング41と、その先端にピン51を備えた固定部材52と、ケーシング41に穿設された孔部47内に配置された操作ピン42とを備える。これらの一対の装着部40は、天板13に形成された複数の固定用凹部14(図6参照)に対して固定部材52の先端に配設されたピン51を係合させることにより、踏み台30全体を天板13に装着する構成を有する。なお、この装着部40は、この発明に係るアクセサリー装着装置を構成する。
【0020】
次に、装着部40の構成について説明する。図7および図8は、装着部40の概要図である。なお、これらの図においては、(a)は平面から見た概要を示しており、(b)は正面から見た概要を示している。また、これらの図には、ケーシング41に形成された孔部47およびロック状態表示窓48を図示している。
【0021】
この装着部40は、上述したように、その先端にピン51を備えた固定部材52を有する。この固定部材52は、軸53を中心に揺動可能となっており、バネ54の作用により図7(a)および図8(a)における時計回り方向に付勢されている。後述するように、この固定部材52は、図7に示す離隔位置と図8に示す係合位置との間を揺動可能となっている。また、この装着部40は、軸44を中心に揺動可能な移動規制部材43を備える。この移動規制部材43は、バネ46の作用により図7(b)および図8(b)における時計回り方向に付勢されている。後述するように、この移動規制部材43は、図7に示す退避位置と図8に示す規制位置との間を揺動可能となっている。
【0022】
図9は、移動規制部材43の正面図である。
【0023】
この移動規制部材43には、上述した操作ピン42が立設されている。また、この移動規制部材43の端部には、互いに色またはパターンが異なる一対の表示領域101、102が形成されている。これらの表示領域101、102は、軸44から互いに等しい距離だけ離隔した位置に配置されている。すなわち、これら一対の表示領域101、102は、軸44を中心とした同心円状に配置されている。このため、移動規制部材43が軸44を中心として揺動することにより、これらの表示領域101、102は、その位置を互いに変更することが可能となっている。
【0024】
なお、上述したロック状態表示窓48と軸44との距離は、表示領域101、102と軸44との距離と同一となっている。すなわち、上述したロック状態表示窓48は、ケーシング41における移動規制部材43の一対の表示領域101、102の揺動領域に対応する領域に形成された孔部から構成されている。
【0025】
以上の構成を有する装着部40においては、図7に示すように、操作ピン42を操作することにより、移動規制部材43をバネ46による付勢力に抗して軸44を中心として図7(b)に示す反時計回り方向に揺動させて退避位置に移動させるとともに、固定部材52をバネ54による付勢力に抗して軸53を中心として図7(a)に示す反時計回り方向に揺動させて離隔位置に移動させた状態とすることにより、踏み台30を天板13に装着し、あるいは、天板13から取り外すことが可能となる。
【0026】
この状態においては、図7(b)に示すように、表示領域102がロック状態表示窓48と対向する位置に配置される。このため、表示領域102のみが、ロック状態表示窓48を介して外部から視認可能な状態となっている。
【0027】
踏み台30を天板13に装着するときには、図8に示すように、固定部材52を軸53を中心として図7(a)に示す時計回り方向に揺動させて係合位置に移動させる。これにより、図5および図6に示すように、固定部材52の先端に配設されたピン51が天板13に形成された固定用凹部14に係合することにより、踏み台30を天板13に固定することが可能となる。
【0028】
そして、操作ピン42を操作することにより、移動規制部材43を軸44を中心として図7(b)に示す時計回り方向に揺動させて規制位置に移動させる。これにより、図8に示すように、固定部材52が離隔位置に移動したときに配置されるべき領域に、移動規制部材43が配置されることになる。このため、規制位置に配置された移動規制部材43の作用により、係合位置に配置された固定部材52が、この係合位置から図7に示す離隔位置へ移動することを規制することが可能となる。
【0029】
この状態においては、図8(b)に示すように、表示領域101がロック状態表示窓48と対向する位置に配置される。このため、表示領域101のみが、ロック状態表示窓48を介して外部から視認可能な状態となっている。
【0030】
以上のように、この装着部40においては、固定部材52の移動が規制されたロック状態においては、表示領域101がロック状態表示窓48を介して外部から視認され、固定部材52が移動可能な非ロック状態においては、表示領域102がロック状態表示窓48を介して外部から視認される。このため、いずれの表示領域がロック状態表示窓48から視認できるかにより、装着部40のロック状態を容易に認識することが可能となる。
【0031】
なお、表示領域101と表示領域102とは、例えば、緑と赤など、互いに異なり、かつ、容易に識別可能な色とすることが好ましい。また、ベタとハッチングなどのように、互いに異なるパターンとすることにより、色覚障害があるオペレータにもそれらを容易に認識しうるようにしてもよい。さらには、色とパターンの両方を異ならせるようにしてもよい。
【0032】
なお、上述した実施形態においては、X線撮影に使用するアクセサリーとして、被検者が起立する踏み台にこの発明を適用しているが、被検者が座着する撮影架台にこの発明を適用してもよい。また、天板13に着脱自在に固定されるその他のアクセサリーにこの発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0033】
11 X線管
12 フラットパネルディテクタ
13 天板
14 固定用凹部
15 スライドアーム
16 回転機構
17 主支柱
18 ベースプレート
30 踏み台
31 踏み板
40 装着部
41 ケーシング
42 操作ピン
43 移動規制部材
44 軸
45 取付台
46 バネ
48 ロック状態表示窓
53 軸
54 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線撮影装置における天板に、X線撮影に使用するアクセサリーを装着するためのアクセサリー装着装置であって、
前記天板に形成された固定用凹部と係合可能なピンを備え、前記ピンが前記固定用凹部と係合する係合位置と、前記ピンが前記固定用凹部から離隔する離隔位置との間を移動可能な固定部材と、
前記係合位置に配置された前記固定部材が当該係合位置から前記離隔位置へ移動することを規制する規制位置と、前記固定部材が前記係合位置と前記離隔位置との間で移動することを許容する退避位置との間を移動可能であるとともに、互いに色またはパターンが異なる一対の表示領域が形成された移動規制部材と、
前記移動規制部材の規制位置と退避位置との間の移動に伴って、前記一対の表示領域のいずれか一方のみを外部から視認可能とするロック状態表示窓と、
を備えたことを特徴とするアクセサリー装着装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアクサセリー装着装置において、
前記固定部材は、前記係合位置と前記離隔位置との間を揺動可能な構成を有し、第1のバネにより前記係合位置方向に向けて付勢されるとともに、
前記移動規制部材は、前記固定部材が離隔位置に移動したときに前記固定部材が配置される領域と重複する規制位置と、前記固定部材が離隔位置に移動したときに前記固定部材が配置される領域から離隔した領域である退避位置との間を揺動可能な構成を有し、第2のバネにより前記規制位置に向けて付勢されているアクセサリー装着装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアクサセリー装着装置において、
前記固定部材および前記移動規制部材を収納するケーシングを備え、
前記ロック状態表示窓は、前記ケーシングにおける前記移動規制部材の一対の表示領域の揺動領域に対応する領域に形成された孔部であるアクセサリー装着装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のアクサセリー装着装置において、
前記アクセサリーは、被検者が起立する踏み台または被検者が座着する撮影架台であるアクセサリー装着装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のアクセサリー装着装置が、前記天板の左右両端に対応する位置に一対配設されたアクセサリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−27542(P2013−27542A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165437(P2011−165437)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】