説明

アクセスポイント、端末、およびプログラム

【課題】無線設定の設定変更要求がなされた場合に、無線ネットワーク内に存在する端末が通信不可能な状況に陥ることを抑制できる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】アクセスポイント10は、無線ネットワーク1内の端末の通信を中継する。アクセスポイント10は、PC19から設定変更要求を受信すると、無線ネットワーク1内に他の端末が存在するかを判断する。アクセスポイント10は、無線ネットワーク1内に他の端末が存在しないと判断すると、設定変更要求に応じて無線設定を変更する。無線ネットワーク1内に他の端末が存在すると判断すると、設定変更要求に応じて無線設定を変更せず、現在の無線設定を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワーク内の端末の通信を中継可能なアクセスポイント、アクセスポイントが通信を中継可能な無線ネットワーク内の端末、および無線ネットワーク内の端末の通信を中継可能なアクセスポイントを制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パスワードを設定して、設定変更可能なケースを制限する技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1の技術では、設定変更をする前にユーザ認証を行い、パスワードが一致した場合に限り、設定変更を可能にし、パスワードが一致しない場合、他者が設定変更を試みているとして、設定操作禁止モードに移行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−43721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ユーザが誤って無線設定を変更してしまうことが多々ある。例えば、無線設定は一般的に煩雑で難しい傾向があり、ユーザが、誤操作により意図しないにもかかわらず無線設定を変更してしまう場合や、ユーザが既存の無線ネットワークを知らずに新規に無線ネットワークを構築してしまう場合等である。このように誤って無線設定変更がなされると、無線ネットワーク内の端末の通信が切断されてしまうという問題が生じる。
【0006】
これに対し、特許文献1の技術では、パスワードの入力の有無により、設定変更を許可するか否かを制御するにすぎず、ユーザが誤って無線設定を変更してしまう場合が起こり得る。したがって、上記の問題を解決することができない。
【0007】
また、上記のような誤った無線設定変更ではなく、ユーザが既存の無線ネットワークの無線設定を意図的に変更する場合であっても、無線ネットワーク内でこれまで通信可能であった端末が、通信を切断されてしまうという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、無線設定の設定変更要求がなされた場合に、無線ネットワーク内に存在する端末が通信不可能な状況に陥ることを抑制できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するためになされた本発明のアクセスポイントは、無線ネットワーク内の端末の通信を中継可能なアクセスポイントであって、無線ネットワークの無線設定として現在設定されている第1の無線設定を第2の無線設定に変更するための設定変更要求を第1の端末から受信する要求受信手段と、第1の端末と異なる他の端末であって、第1の無線設定にしたがってアクセスポイントと通信する他の端末が、無線ネットワーク内に存在するかを判断する判断手段と、無線ネットワーク内に他の端末が存在しないと判断された場合に、設定変更要求に応じて第1の無線設定を第2の無線設定に変更し、無線ネットワーク内に他の端末が存在すると判断された場合に、設定変更要求に応じて第1の無線設定を第2の無線設定に変更せず、第1の無線設定を維持する設定変更手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
無線ネットワーク内に他の端末が存在しないと判断された場合、第1の無線設定が第2の無線設定に変更されても他の端末への影響は生じないため、第1の無線設定が第2の無線設定に変更される。一方、無線ネットワーク内に他の端末が存在すると判断された場合、第1の無線設定が第2の無線設定に変更されると他の端末への影響が生じるため、第1の無線設定は変更されず、維持される。このように、設定変更要求がなされた場合に、無線ネットワークの状況により第1の無線設定が変更されるか否かが制御される。これにより、無線ネットワーク内に存在する端末が通信不可能な状況に陥ることを抑制できる。
【0011】
なお、第1の端末とは、無線ネットワーク内に存在する端末であっても、無線ネットワーク内に存在しない端末(例えば、アクセスポイントと有線で接続された端末)であってもよい。
【0012】
また、かかる目的を達成するためになされた本発明の他のアクセスポイントは、無線ネットワーク内の端末の通信を中継可能なアクセスポイントであって、無線ネットワークの無線設定として現在設定されている第1の無線設定を第2の無線設定に変更するための設定変更要求を第1の端末から受信する要求受信手段と、第1の端末と異なる他の端末であって、第1の無線設定にしたがってアクセスポイントと通信する他の端末が、無線ネットワーク内に存在するかを判断する判断手段と、無線ネットワーク内に他の端末が存在すると判断された場合に、他の端末に、第1の無線設定が変更される旨を通知する通知手段と、設定変更要求に応じて第1の無線設定を第2の無線設定に変更する設定変更手段と、を備え、設定変更手段は、無線ネットワーク内に他の端末が存在すると判断された場合に、通知手段による通知後に、第1の無線設定を第2の無線設定に変更することを特徴とする。
【0013】
無線ネットワーク内に他の端末が存在しないと判断された場合、第1の無線設定が第2の無線設定に変更されても他の端末への影響は生じないため、第1の無線設定が第2の無線設定に変更される。一方、無線ネットワーク内に他の端末が存在すると判断された場合、第1の無線設定が第2の無線設定に変更されると他の端末への影響が生じるため、他の端末へ第1の無線設定が変更される旨を通知後に第1の無線設定を第2の無線設定に変更する。これにより、無線ネットワーク内に他の端末が存在する場合でも、他の端末は第1の無線設定が変更されることを認識できるため、通知に応じて通信を維持するための対処に処理を移行できる。すなわち、無線ネットワーク内に存在する端末が通信不可能な状況に陥ること抑制できる。
【0014】
なお、第1の端末とは、無線ネットワーク内に存在する端末であっても、無線ネットワーク内に存在しない端末(例えば、アクセスポイントと有線で接続された端末)であってもよい。
【0015】
上記のアクセスポイントにおいて、無線ネットワーク内に前記他の端末が存在すると判断された場合に、第1の無線設定を保存する第1の保存手段をさらに備え、設定変更手段は、無線ネットワーク内に他の端末が存在すると判断された場合に、第1の保存手段による保存後に、第1の無線設定を第2の無線設定に変更するとよい。
【0016】
アクセスポイントは、無線ネットワーク内に他の端末が存在すると判断された場合に、現在の無線設定を保存した後、無線設定を変更する。これにより、アクセスポイントは、変更前の無線設定に戻すことが可能になり、変更前の無線設定による通信を再度実現可能になる。
【0017】
上記のアクセスポイントにおいて、無線ネットワーク内の端末を示すアドレスのうち特定のアドレスに端末が存在するかを問い合わせる問合手段と、特定のアドレスに端末が存在する場合に、問合手段による問い合わせに応じて端末が送信する応答を受信する応答受信手段と、を備え、判断手段は、応答受信手段が受信した応答に基づいて、他の端末が、前記無線ネットワーク内に存在するかを判断するとよい。
【0018】
これにより、アクセスポイントは、応答受信手段が受信した応答に基づいて、他の端末が、無線ネットワーク内に存在するかを判断することができる。
【0019】
また、かかる目的を達成するためになされた本発明の端末は、アクセスポイントが通信を中継可能な無線ネットワーク内の端末であって、無線ネットワーク内の端末を示すアドレスのうち特定のアドレスに存在し、アクセスポイントから、特定のアドレスに端末が存在するかの問い合わせを受信する問合受信手段と、問い合わせに応じてアクセスポイントに応答を送信する応答手段と、応答に応じてアクセスポイントが送信する通知であって、第1の無線設定が変更される旨の通知を受信する通知受信手段と、通知受信手段が通知を受信した場合に、アクセスポイントと異なる他のアクセスポイントへの接続を試行する接続試行手段と、を備えることを特徴とする。
【0020】
これにより、無線ネットワーク内に他の端末が存在する場合、他の端末は通知に応じて他のアクセスポイントへの接続を試行することにより、他の端末が通信不可能な状況に陥ること抑制できる。
【0021】
上記の端末において、通知受信手段が通知を受信した場合に、第1の無線設定を保存する第2の保存手段をさらに備え、接続試行手段は、通知受信手段が通知を受信した場合に、第2の保存手段による保存後に、他のアクセスポイントへの接続を試行するとよい。
【0022】
端末は、通知を受信した場合に、現在の無線設定を保存した後、他のアクセスポイントへの接続を試みる。これにより、他の端末は、変更前の無線設定に戻すことが可能になり、変更前の無線設定による通信を再度実現可能になる。
【0023】
また、かかる目的を達成するためになされた本発明のプログラムは、無線ネットワーク内の端末の通信を中継可能なアクセスポイントを制御するためのプログラムであって、コンピュータを、無線ネットワークの無線設定として現在設定されている第1の無線設定を第2の無線設定に変更するための設定変更要求を第1の端末から受信する要求受信手段、第1の端末と異なる他の端末であって、第1の無線設定にしたがってアクセスポイントと通信する他の端末が、無線ネットワーク内に存在するかを判断する判断手段、無線ネットワーク内に他の端末が存在しないと判断された場合に、設定変更要求に応じて第1の無線設定を第2の無線設定に変更し、無線ネットワーク内に他の端末が存在すると判断された場合に、設定変更要求に応じて第1の無線設定を第2の無線設定に変更せず、第1の無線設定を維持する設定変更手段、として機能させることを特徴とする。
【0024】
これにより、上記プログラムを備えるアクセスポイントは、無線ネットワーク内に存在する端末が通信不可能な状況に陥ることを抑制できる。
【0025】
また、かかる目的を達成するためになされた本発明の他のプログラムは、無線ネットワーク内の端末の通信を中継可能なアクセスポイントを制御するためのプログラムであって、コンピュータを、無線ネットワークの無線設定として現在設定されている第1の無線設定を第2の無線設定に変更するための設定変更要求を第1の端末から受信する要求受信手段、第1の端末と異なる他の端末であって、第1の無線設定にしたがってアクセスポイントと通信する他の端末が、無線ネットワーク内に存在するかを判断する判断手段、無線ネットワーク内に他の端末が存在すると判断された場合に、他の端末に、第1の無線設定が変更される旨を通知する通知手段、設定変更要求に応じて第1の無線設定を第2の無線設定に変更する設定変更手段、として機能させ、設定変更手段は、無線ネットワーク内に他の端末が存在すると判断された場合に、通知手段による通知後に、第1の無線設定を第2の無線設定に変更することを特徴とする。
【0026】
これにより、上記プログラムを備えるアクセスポイントは、無線ネットワーク内に存在する端末が通信不可能な状況に陥ることを抑制できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るアクセスポイントによれば、無線設定の設定変更要求がなされた場合に、無線ネットワーク内に存在する端末が通信不可能な状況に陥ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態の概要を示す説明図である。
【図2】アクセスポイント10およびプリンタ15の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態におけるアクセスポイント10および各端末が実行する処理を示すシーケンス図である。
【図4】第2実施形態の概要を説明するための説明図である。
【図5】第2実施形態におけるアクセスポイント10および各端末が実行する処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施形態を図面に基づき説明する。
【0030】
(A.第1実施形態)
(A−1.第1実施形態の概要)
図1を参照して第1実施形態の概要を説明する。図1は、第1実施形態の概要を示す説明図である。
【0031】
図1(a)に示すように、アクセスポイント10は、無線ネットワーク1内のPC13と、プリンタ15と、PC17と、PC19と、の通信を中継している。
【0032】
ここで、PC19が、ユーザの誤操作により設定変更要求をアクセスポイント10に送信してしまったとする。すると、アクセスポイント10は、無線ネットワーク1内に他の端末が存在するかを判断し、他の端末が存在すると判断した場合には、設定変更を拒否する(図1(a)参照)。一方、他の端末が存在しないと判断した場合には、無線設定を変更する(図1(b)参照)。
【0033】
(A−2.アクセスポイント10の構成)
図2(a)を参照してアクセスポイント10の構成を説明する。図2(a)は、アクセスポイント10の構成を示すブロック図である。
【0034】
アクセスポイントは、CPU101と、ROM103と、RAM105と、NVRAM107と、ネットワークI/F113と、を備える。
【0035】
CPU101は、アクセスポイント10のすべての構成を統括制御する。
【0036】
ROM103は、アクセスポイント10が様々な処理を実行するためのプログラムを記憶する。CPU101は、ROM103に記憶されるプログラムにしたがって、後述の処理を行う。
【0037】
RAM105は、CPU101が各種処理を行った際に作成されるデータを記憶する記憶領域として用いられ、また、CPU101が各種処理を行う際に記憶領域として用いられる。
【0038】
NVRAM107は、無線設定領域109と、保存領域111と、を備える。
【0039】
無線設定領域109には、アクセスポイント10に現在設定されている無線設定が記憶される。
【0040】
保存領域111には、アクセスポイント10が無線設定を新たな設定に変更する際、アクセスポイント10に現在設定されている無線設定が記憶される。詳細は、第2実施形態にて説明する。
【0041】
ネットワークI/F113は、アクセスポイント10を無線ネットワーク1に接続するためのインターフェイスである。
【0042】
(A−3.プリンタ15の構成)
続いて、図2(b)を参照して無線ネットワーク1内の端末であって、設定変更要求を送信した端末(PC19)以外の端末の構成を、プリンタ15を例に説明する。図2(b)は、プリンタ15の構成を示すブロック図である。
【0043】
なお、PC13およびPC17についても、印刷手段の有無を除いてプリンタ15と同様の構成である。
【0044】
プリンタ15は、CPU151と、ROM153と、RAM157と、NVRAM159と、操作手段167と、印刷手段169と、を備える。
【0045】
CPU151は、プリンタ15のすべての構成を統括制御する。
【0046】
ROM153は、プリンタ15が様々な処理を実行するためのプログラム(例えば印刷処理のためのプログラム)を記憶する。CPU151は、ROM153に記憶されるプログラムにしたがって、後述の処理を行う。
【0047】
RAM157は、CPU151が各種処理を行った際に作成されるデータを記憶する記憶領域として用いられ、また、CPU151が各種処理を行う際に記憶領域として用いられる。
【0048】
NVRAM159は、無線設定領域161と、保存領域163と、第2候補領域165と、を備える。
【0049】
無線設定領域161には、プリンタ15に現在設定されている無線設定が記憶される。
【0050】
保存領域163には、プリンタ15がアクセスポイント10から設定変更通知(後述)を受信した際、プリンタ15に現在設定されている無線設定が記憶される。詳細は第2実施形態にて説明する。
【0051】
第2候補領域165には、プリンタ15が第2候補のアクセスポイント21に接続要求するための無線設定、すなわち、第2候補のアクセスポイントの無線設定が記憶される。詳細は第2実施形態にて説明する。
【0052】
操作手段167は、操作キーを備える。ユーザは、操作手段167を操作することにより、プリンタ15に様々な処理(例えばコピー処理)を実行させることができる。
【0053】
印刷手段169は、印刷指示に従って、印刷処理を実行する。
【0054】
ネットワークI/F171は、プリンタ15を無線ネットワーク1に接続するためのインターフェイスである。
【0055】
(A−4.アクセスポイント10および各端末が実行する処理)
続いて、図3を参照して各端末が実行する処理を説明する。図3は、第1実施形態における各端末が実行する処理を示すシーケンス図である。
【0056】
まず、図3(a)を参照して、無線ネットワーク1内に、設定変更要求を送信した端末(PC19)と異なる他の端末(以下、他の端末と呼ぶ)が存在する場合について説明する。なお、他の端末として、プリンタ15を例に説明するが、PC13およびPC15についてもプリンタ15と同様の処理を行う。
【0057】
PC19は、無線ネットワーク1に現在設定されている無線設定(以下、第1の無線設定と呼ぶ)の要求を示す無線設定要求(以下、無線設定要求と呼ぶ)を、アクセスポイント10に送信する(A)。アクセスポイント10は、PC19から無線設定要求を受信する(A)。
【0058】
続いて、アクセスポイント10は、第1の無線設定をPC19に送信する(B)。PC19は、アクセスポイント10から第1の無線設定を受信する(B)。
【0059】
続いて、PC19は、第1の無線設定を第2の無線設定へ変更することを要求する設定変更要求(以下、設定変更要求と呼ぶ)をアクセスポイント10に送信する(C)。アクセスポイント10は、PC19から設定変更要求を受信する(C)。
【0060】
続いて、アクセスポイント10は、無線ネットワーク1内に、PC19以外の端末が存在するかを検索する(D)。具体的には、アクセスポイント10は、無線ネットワーク1に対応するブロードキャストアドレスに、ブロードキャストを送信する(D)。プリンタ15は、アクセスポイント10からブロードキャストを受信する(D)。
【0061】
続いて、プリンタ15は、ブロードキャストに応じて、自身が無線ネットワーク1内に存在することを示す応答(以下、応答と呼ぶ)をアクセスポイント10に送信する(E)。アクセスポイント10は、プリンタ15から応答を受信する(E)。
【0062】
続いて、アクセスポイント10は、受信した応答が、他の端末から送信されたかを判断することにより、無線ネットワーク1内に他の端末が存在するかを判断する。
【0063】
より具体的には、アクセスポイント10は、PC19のIPアドレスを記憶しておく。そして、ブロードキャストに対して応答を送信した端末のIPアドレスが、PC19のIPアドレス以外も存在するかを判断する。応答を送信した端末のIPアドレスがPC19のIPアドレス以外も存在する場合には、無線ネットワーク1内に他の端末が存在すると判断する。一方、応答を送信した端末のIPアドレスがPC19のIPアドレスしか存在しない場合には、無線ネットワーク1内に他の端末が存在しないと判断する。
【0064】
ここで、プリンタ15はブロードキャストに対して応答しているため、アクセスポイントは、無線ネットワーク1内に他の端末が存在すると判断する(F)。
【0065】
アクセスポイント10は、無線ネットワーク1内に他の端末が存在すると判断すると、第1の無線設定を変更することなく、要求失敗通知をPC19に送信する(G)。PC19は、要求失敗通知をアクセスポイント10から受信する(G)。
【0066】
次に、図3(b)を参照して、無線ネットワーク1内に、他の端末が存在しない場合について説明する。なお、図3(b)のA〜Dの処理は、図3(a)の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0067】
アクセスポイント10は、無線ネットワーク1に対応するブロードキャストアドレスにブロードキャストを送信すると(D)、PC19からは応答を受信するものの他の端末からは応答を受信しない。
【0068】
したがって、アクセスポイント10は、無線ネットワーク1内に他の端末が存在しないと判断する(H)。
【0069】
アクセスポイント10は、無線ネットワーク1内に他の端末が存在しないと判断すると、第1の無線設定を、設定変更要求に応じて第2の無線設定に変更する(I)。より具体的には、NVRAM107内の無線設定領域109に記憶されていた第1の無線設定を消去し、第2の無線設定を無線設定領域109に記憶する。
【0070】
続いて、アクセスポイント10は、要求成功通知をPC19に送信する(J)。PC19は、要求成功通知をアクセスポイント10から受信する(J)。
【0071】
このように、アクセスポイント10は、無線ネットワーク1内に他の端末が存在するかを判断することにより、現在の無線設定を変更するか否かを制御する。すなわち、アクセスポイント10は、無線ネットワーク1の状況を判断することにより、PC19からの設定変更要求が意図された要求であるかを判断している。アクセスポイント10は、他の端末が無線ネットワーク1内に存在する場合には、設定変更要求は誤った要求であると判断し、現在の無線設定を維持する。一方、他の端末が無線ネットワーク1内に存在しない場合には、設定変更要求が意図された要求であると判断し、新たな無線設定に変更する。
【0072】
これにより、無線ネットワーク1内の端末のユーザが、誤操作によって設定変更要求をアクセスポイント10に送信してしまった場合でも、無線ネットワーク1の通信を維持することができる。
【0073】
(B.第2実施形態)
(B−1.第2実施形態の概要)
続いて、図4を参照して第2実施形態の概要を説明する。図4は、第2実施形態の概要を説明するための説明図である。
【0074】
なお、第2実施形態は、無線ネットワーク1内に他の端末が存在しない場合の処理については第1実施形態と同様であるため、無線ネットワーク1内に他の端末が存在する場合についてのみ説明する。
【0075】
アクセスポイント10は、PC19から設定変更要求を受信すると、無線ネットワーク1内に他の端末が存在するかを判断し、他の端末が存在すると判断した場合には、他の端末に無線設定が変更されることを示す設定変更通知を送信する。アクセスポイント10は、設定変更通知を他の端末へ送信後、無線設定を変更する。
【0076】
(B−2.アクセスポイント10および各端末が実行する処理)
続いて、図5を参照して第2実施形態におけるアクセスポイント10および各端末が実行する処理を説明する。図5は、第2実施形態におけるアクセスポイント10および各端末が実行する処理を示すシーケンス図である。なお、第2実施形態についても、他の端末としてプリンタ15を例に説明する。
【0077】
図5に示すA〜Fの処理は図3(a)のA〜Fと同様であるため説明を省略する。
【0078】
アクセスポイント10は、無線ネットワーク1内に他の端末が存在すると判断すると(F)、プリンタ15に、第1の無線設定が変更される旨を示す設定変更通知(以下、設定変更通知と呼ぶ)を送信する(K)。プリンタ15は、設定変更通知をアクセスポイント10から受信する(K)。
【0079】
続いて、プリンタ15は、第1の無線設定を保存する(L)。より具体的には、第1の無線設定を、NVRAM159内の保存領域163に記憶する。そして、NVRAM159内の無線設定領域161に記憶されている第1の無線設定を消去する。
【0080】
続いて、プリンタ15は、NVRAM159内の第2候補領域165に記憶されている第2候補のアクセスポイント21の無線設定を読み出し、新たな無線設定として無線設定領域161に記憶することにより、第2候補のアクセスポイント21に接続要求を送信する(M)。
【0081】
一方、アクセスポイント10は、設定変更通知をプリンタ15に送信すると、第1の無線設定を保存する(N)。より具体的には、第1の無線設定を、NVRAM107内の保存領域111に記憶する。そして、NVRAM107内の無線設定領域109に記憶されている第1の無線設定を消去する。
【0082】
続いて、アクセスポイント10は、第1の無線設定を、設定変更要求に応じて第2の無線設定に変更する(O)。より具体的には、NVRAM107内の無線設定領域109に、第2の無線設定を記憶する。
【0083】
続いて、アクセスポイント10は、要求成功通知をPC19に送信する(P)。PC19は、要求成功通知をアクセスポイント10から受信する(P)。
【0084】
このように、第2実施形態では、無線ネットワーク1内に他の端末が存在する場合には、設定変更通知が他の端末に送信され、他の端末は、第2候補のアクセスポイント21へ接続要求する。これにより、他の通信は、通信が切断されるといった状況に陥らない。また、第2実施形態では、PC19は、アクセスポイント10の無線設定を第2の無線設定に変更することができる。すなわち、第1実施形態では、PC19のユーザが意図的に送信した設定変更要求であっても、誤った設定変更要求であるとして拒否されるが、第2実施形態では、拒否されず、既存の無線ネットワーク1の構成を変更することが可能となる。
【0085】
なお、実施形態では、PC19が「第1の端末」に、プリンタ15が「他の端末」に、CPU101による処理Cが「要求受信手段」に、CPU101による処理FおよびHが「判断手段」に、CPU101による処理IまたはOが「設定変更手段」に、CPU101による処理Kが「通知手段」に、CPU101による処理Lが「第1の保存手段」に、CPU101による処理Dが「問合手段」に、CPU101による処理Eが「応答受信手段」に、CPU151による処理Dが「問合受信手段」に、CPU151による処理Eが「応答手段」に、CPU151による処理Kが「通知受信手段」に、CPU151による処理Mが「接続試行手段」に、CPU151による処理Lが「第2の保存手段」に、対応する。
【0086】
(変形例)
なお、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて、種々の態様を採ることができる。
【0087】
例えば、実施形態では、アクセスポイント10に設定変更要求を送信するPC19は、無線ネットワーク1内の端末であるとして説明したがこれに限らない。すなわち、PC19は、アクセスポイントに有線で接続された端末であって、無線ネットワーク1に参加していない端末であってもよい。この場合、PC19は無線ネットワーク1に対応するブロードキャストアドレスに存在しないため、アクセスポイント10からのブロードキャストは届かない。よって、アクセスポイント10は、無線ネットワーク1内に他の端末が存在するかをブロードキャストに対する応答の有無により判断するとよい。
【0088】
また、実施形態では、アクセスポイント10は、ブロードキャストを送信することで無線ネットワーク1内に他の端末が存在するかを判断したが、これに限らない。例えば、アクセスポイント10は、無線ネットワーク1内に参加要求した端末のIPアドレスを随時記憶しておき、設定変更要求を受信した場合には、記憶しているIPアドレスに端末が存在しているかを簡易パケットを送信し、端末からの応答の有無により判断しても良い。
【0089】
また、第2の実施形態において、プリンタ15は、第2候補のアクセスポイント21の無線設定のみならず、第3候補以降のアクセスポイントの無線設定を記憶し、接続要求が許可されるまで、別のアクセスポイントへ接続を試行してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 無線ネットワーク
10 アクセスポイント
15 プリンタ
19 PC
101 CPU
151 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワーク内の端末の通信を中継可能なアクセスポイントであって、
前記無線ネットワークの無線設定として現在設定されている第1の無線設定を第2の無線設定に変更するための設定変更要求を第1の端末から受信する要求受信手段と、
前記第1の端末と異なる他の端末であって、前記第1の無線設定にしたがって前記アクセスポイントと通信する前記他の端末が、前記無線ネットワーク内に存在するかを判断する判断手段と、
前記無線ネットワーク内に前記他の端末が存在しないと判断された場合に、前記設定変更要求に応じて前記第1の無線設定を前記第2の無線設定に変更し、
前記無線ネットワーク内に前記他の端末が存在すると判断された場合に、前記設定変更要求に応じて前記第1の無線設定を前記第2の無線設定に変更せず、当該第1の無線設定を維持する設定変更手段と、
を備えることを特徴とするアクセスポイント。
【請求項2】
無線ネットワーク内の端末の通信を中継可能なアクセスポイントであって、
前記無線ネットワークの無線設定として現在設定されている第1の無線設定を第2の無線設定に変更するための設定変更要求を第1の端末から受信する要求受信手段と、
前記第1の端末と異なる他の端末であって、前記第1の無線設定にしたがって前記アクセスポイントと通信する前記他の端末が、前記無線ネットワーク内に存在するかを判断する判断手段と、
前記無線ネットワーク内に前記他の端末が存在すると判断された場合に、当該他の端末に、前記第1の無線設定が変更される旨を通知する通知手段と、
前記設定変更要求に応じて前記第1の無線設定を前記第2の無線設定に変更する設定変更手段と、を備え、
前記設定変更手段は、前記無線ネットワーク内に前記他の端末が存在すると判断された場合に、前記通知手段による通知後に、前記第1の無線設定を前記第2の無線設定に変更することを特徴とするアクセスポイント。
【請求項3】
前記無線ネットワーク内に前記他の端末が存在すると判断された場合に、前記第1の無線設定を保存する第1の保存手段をさらに備え、
前記設定変更手段は、前記無線ネットワーク内に前記他の端末が存在すると判断された場合に、前記第1の保存手段による保存後に、前記第1の無線設定を前記第2の無線設定に変更することを特徴とする請求項2に記載のアクセスポイント。
【請求項4】
前記無線ネットワーク内の端末を示すアドレスのうち特定のアドレスに端末が存在するかを問い合わせる問合手段と、
前記特定のアドレスに端末が存在する場合に、前記問合手段による問い合わせに応じて当該端末が送信する応答を受信する応答受信手段と、を備え、
前記判断手段は、前記応答受信手段が受信した前記応答に基づいて、前記他の端末が、前記無線ネットワーク内に存在するかを判断することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のアクセスポイント。
【請求項5】
アクセスポイントが通信を中継可能な無線ネットワーク内の端末であって、
前記無線ネットワーク内の端末を示すアドレスのうち特定のアドレスに存在し、
前記アクセスポイントから、前記特定のアドレスに端末が存在するかの問い合わせを受信する問合受信手段と、
前記問い合わせに応じて前記アクセスポイントに応答を送信する応答手段と、
前記応答に応じて前記アクセスポイントが送信する通知であって、前記第1の無線設定が変更される旨の通知を受信する通知受信手段と、
前記通知受信手段が前記通知を受信した場合に、前記アクセスポイントと異なる他のアクセスポイントへの接続を試行する接続試行手段と、
を備えることを特徴とする端末。
【請求項6】
前記通知受信手段が前記通知を受信した場合に、前記第1の無線設定を保存する第2の保存手段をさらに備え、
前記接続試行手段は、前記通知受信手段が前記通知を受信した場合に、前記第2の保存手段による保存後に、前記他のアクセスポイントへの接続を試行することを特徴とする請求項5に記載の端末。
【請求項7】
無線ネットワーク内の端末の通信を中継可能なアクセスポイントを制御するためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記無線ネットワークの無線設定として現在設定されている第1の無線設定を第2の無線設定に変更するための設定変更要求を第1の端末から受信する要求受信手段、
前記第1の端末と異なる他の端末であって、前記第1の無線設定にしたがって前記アクセスポイントと通信する前記他の端末が、前記無線ネットワーク内に存在するかを判断する判断手段、
前記無線ネットワーク内に前記他の端末が存在しないと判断された場合に、前記設定変更要求に応じて前記第1の無線設定を前記第2の無線設定に変更し、
前記無線ネットワーク内に前記他の端末が存在すると判断された場合に、前記設定変更要求に応じて前記第1の無線設定を前記第2の無線設定に変更せず、当該第1の無線設定を維持する設定変更手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
無線ネットワーク内の端末の通信を中継可能なアクセスポイントを制御するためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記無線ネットワークの無線設定として現在設定されている第1の無線設定を第2の無線設定に変更するための設定変更要求を第1の端末から受信する要求受信手段、
前記第1の端末と異なる他の端末であって、前記第1の無線設定にしたがって前記アクセスポイントと通信する前記他の端末が、前記無線ネットワーク内に存在するかを判断する判断手段、
前記無線ネットワーク内に前記他の端末が存在すると判断された場合に、当該他の端末に、前記第1の無線設定が変更される旨を通知する通知手段、
前記設定変更要求に応じて前記第1の無線設定を前記第2の無線設定に変更する設定変更手段、として機能させ、
前記設定変更手段は、前記無線ネットワーク内に前記他の端末が存在すると判断された場合に、前記通知手段による通知後に、前記第1の無線設定を前記第2の無線設定に変更することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−70228(P2012−70228A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213470(P2010−213470)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】