説明

アクセスポートと取り付けられたコードとを有する可撓性スリーブ

【課題】複数の外科手術器具が単一の切開を通って挿入されることを可能にする外科手術装置を提供すること。
【解決手段】下にある体腔にアクセスする組織路内に位置決めする外科手術装置であって、この外科手術装置は、長手方向軸と、近位端と、遠位端と、物体を受容する通路とを規定する可撓性スリーブと、可撓性スリーブの近位端に取り付けられるコードと、可撓性スリーブの中に挿入可能であるアクセスデバイスとを備えている、外科手術装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2011年3月30日に出願された米国仮特許出願第61/469,220号の優先権および利益を主張し、この仮特許出願の内容全体が本明細書に参照によって援用される。
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は、概して、内視鏡および/または腹腔鏡の処置などの最小侵襲性外科手術処置において用いられる外科手術装置に関し、より詳細には、複数の外科手術器具が単一の切開を通って挿入されることを可能にする外科手術装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
今日、多くの外科手術処置は、患者に対する外傷および患者の回復時間の両方を減少させる努力において、従来の処置において典型的に必要とされる大きな切開と比較して、皮膚の小さな切開を通して行われる。概して、そのような処置は、患者の腹部に対して行なわれる場合を除いて、「内視鏡処置」と呼ばれ、患者の腹部に対して行われる場合、処置は「腹腔鏡処置」と呼ばれる。本開示の全体にわたり、用語「最小侵襲性」は、内視鏡処置および腹腔鏡処置の両方を包含するものと理解されるべきである。
【0004】
典型的な最小侵襲性処置中、内視鏡、グラスパ、ステープラおよび鉗子などの外科手術物体は、組織の切開を通って患者の体内に挿入される。概して、患者の体内に外科手術物体を導入する前に、標的外科手術部位の周囲領域を拡大し、より大きくより多くのアクセス可能な作業領域を作るために、通気気体が標的外科手術部位に供給される。このことは、標的外科手術部位を膨張させるのに十分な圧力で通気気体を維持する実質的に流体密閉のシールを用いて達成される。
【0005】
実質的に流体密閉のシールを用いることによって通気気体の圧力を維持しながら、標的外科手術部位に器具を挿入することが望ましい。さらに、通気気体の圧力を維持しながら、異なる寸法の複数の器具が実質的に流体密閉のシールを通って操作されることを可能にすることも望ましい。
【0006】
創傷レトラクタなどの先行技術の既存のアクセスデバイスは、概してアクセスデバイスを通して複数の器具を操作することを可能にするものとして公知であるが、小寸法の器具がアクセスデバイスを通して操作された場合に通気気体の漏れを防げないなどの既存のアクセスデバイスの欠点もまた公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に基づいて、向上した密閉特徴を提供するアクセスデバイスに対する継続したニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(概要)
下にある体腔にアクセスする組織路内に位置決めする外科手術装置が本明細書において開示される。外科手術装置は、物体を受容する通路を規定する可撓性スリーブと、可撓性スリーブの一端部に取り付けられるコードとを含む。
【0009】
一実施形態において、可撓性スリーブの通路は、通路内にアクセスデバイスを受容するように構成される。通路は第1の直径を規定し、アクセスデバイスは第2の直径を規定し、第1の直径は第2の直径より大きい。コードは、可撓性スリーブの通路内にアクセスデバイスを固定するように構成される。
【0010】
特定の実施形態において、コードは、通路の直径を減少させるように構成される。
【0011】
好ましい実施形態において、コードは、可撓性スリーブの外側表面の周りを結ぶように適合される。
【0012】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
下にある体腔にアクセスする組織路内に位置決めする外科手術装置であって、
該外科手術装置は、
可撓性スリーブであって、該可撓性スリーブは、長手方向軸と、近位端と、遠位端と、物体を受容する通路とを規定する、可撓性スリーブと、
該可撓性スリーブの該近位端に取り付けられたコードと、
該可撓性スリーブの中に挿入可能であるアクセスデバイスと
を備えている、外科手術装置。
(項目2)
上記コードは、上記可撓性スリーブの外側表面の周りで結ばれるように適合される、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目3)
上記可撓性スリーブは、概ね円筒形の構成のシースを含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目4)
上記外科手術装置は、調整可能な高さを規定する、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目5)
上記可撓性スリーブは、該可撓性スリーブの各端部に取り付けられた、近位リング部材と遠位リング部材とを含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目6)
上記コードを操作することにより、上記可撓性スリーブを第1の直径から第2の直径に移行する、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目7)
上記通路は上記第1の直径を規定し、上記アクセスデバイスは上記第2の直径を規定し、該第1の直径は該第2の直径より大きい、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目8)
上記コードは、上記可撓性スリーブの上記通路内に上記アクセスデバイスを固定するように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目9)
上記遠位リング部材は、上記組織路の内部に配置されるように適合される、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目10)
上記近位リング部材は、上記組織路の外部に配置されるように適合される、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目11)
下にある体腔にアクセスする組織路内に位置決めする、長手方向軸を規定する外科手術装置であって、
該外科手術装置は、
該長手方向軸に沿って配置される2つのリング部材と、
該長手方向軸に沿う該2つのリング部材の間に延びるシースと、
二つの端部を有するコードであって、一方の端部が1つのリング部材に取り付けられ、もう一方の端部が自由端である、コードと
を備えている、外科手術装置。
(項目12)
上記シースは、上記2つのリング部材の間に延び、物体を受容するように構成される通路を規定する、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目13)
上記シースは、概ね円筒形の構成を規定する、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目14)
上記通路は、該通路内にアクセスデバイスを受容するように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目15)
上記通路は第1の直径を規定し、上記アクセスデバイスは第2の直径を規定し、該第1の直径は該第2の直径より大きい、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目16)
上記コードは、上記通路内に上記アクセスデバイスを固定するように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
(項目17)
上記コードは、上記通路の直径を減少させて、上記アクセスデバイスと密閉関係を形成するように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術装置。
【0013】
(摘要)
下にある体腔にアクセスする組織路内に位置決めする外科手術装置は、組織路内に挿入されるポータル部材を受容するように適合される。外科手術装置は、可撓性スリーブと、スリーブの一端部に取り付けられるコードとを含む。コードは、外科手術装置がポータル部材と密閉の関係を構成するように外科手術装置内にポータル部材を固定するように構成される。
【0014】
本開示の上記および他の局面、特徴ならびに利点は、添付の図面と共に解されるとき、以下の詳細な説明を考慮してより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本開示の原理に従う外科手術装置の正面斜視図であり、組織に対して位置を決められる外科手術装置を例示する。
【図1A】図1Aは、図1の外科手術装置の側断面図である。
【図2】図2は、組織の中への挿入の前に傾いた位置での図1の外科手術装置の正面斜視図である。
【図3】図3は、収縮の前に組織内に配置された図1の外科手術装置の正面斜視図である。
【図4】図4は、収縮した位置で組織内に配置された図1の外科手術装置の正面斜視図である。
【図5】図5は、図1の外科手術装置の側断面図であり、収縮した位置での外科手術装置を例示する。
【図6】図6は、収縮位置での図1の外科手術装置の正面断面図であり、外科手術装置の上に位置を決められるアクセスデバイスを例示する。
【図7】図7は、図6の外科手術装置の正面断面図であり、外科手術装置内に配置されたアクセスデバイスを例示する。
【図8】図8は、図7の外科手術装置の側断面図であり、自立位置で外科手術装置内に配置された図7の外科手術装置を例示する。
【図9】図9は、図8の外科手術装置の側断面図であり、外科手術装置内に固定されたアクセスデバイスを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
本開示の特定の実施形態が、本明細書において添付の図面を参照して説明される。図面において示されかつ以下の説明の全体にわたり説明されるように、そして物体に対して相対的な位置決めをいう場合従来のように、用語「近位」または「後(trailing)」はユーザにより近い、装置の端部をいい、用語「遠位」または「前(leading)」はユーザからより遠い、装置の端部をいう。以下の説明において、不必要な詳細で本開示を不明瞭にすることを避けるために、周知の機能または構造は詳細に説明されない。
【0017】
本明細書において説明される1つのタイプの最小侵襲性外科手術は、単一の切開を通る複数の器具のアクセスを容易にするデバイスを用いる。これは最小侵襲性外科手術処置であり、この最小侵襲性外科手術処置は、典型的には患者のへそである単一の入口点を通ってユーザが操作することを可能にする。さらに本開示されるデバイスは、自然にあるオリフィス(例えば、膣または肛門)が外科手術部位への入口点である処置において用いられ得る。開示される処置は、体腔を通気することおよび患者の例えばへそ内にポータル部材の位置を決めることを伴う。内視鏡、およびグラスパ、ステープラ、鉗子または類似のものなどの追加の器具を含む器具は、外科手術処置を行なうためにポータル部材内に導入され得る。そのような外科手術ポータルの一例は、米国特許出願第12/244,024号、2008年10月2日に出願された米国特許出願公開第2009/0093752号に開示され、これらの特許出願の内容全体が、参照によって本明細書により本明細書に援用される。
【0018】
ここで図面を参照すると、図面において同様な参照数字はいくつかの図を通して同一かまたは実質的に類似する部品を識別し、図1は、本開示の原理に従う外科手術装置10を例示する。外科手術装置10は、例えば、腹腔鏡外科手術処置に関連して腹部または腹膜内層内層(peritoneal lining)を通って組織路105内の組織開口部106に挿入されるように適合している。外科手術装置10は、より詳細に以下に説明される。
【0019】
図1に示されるように、外科手術装置10は、概ね円筒形形状を規定する可撓性スリーブ100を含む。しかしながら、スリーブ100が組織路105内に挿入される前および挿入された後の両方において他の構成を規定し得ることが企図される。
【0020】
スリーブ100は、長手方向軸「L」、半径方向軸「R」を規定し、近位端110と遠位端120とを含み、シースまたはライナー130は、近位端110と遠位端120との間に延びる。シース130は、一実施形態において概ね円筒形の構成を示す。シース130が他の構成を示し得ることが想定される。シース130は、内側表面130aと外側表面130bとを規定する。内側表面130aは、その中に、図1Aに例示されるようにその半径方向寸法において直径「D1」を有する長手方向通路131を規定する。一実施形態において、半径方向寸法「D1」は、シース130の長さに沿って一様である。シース130の全長が組織開口部106に挿入可能であることが想定される。
【0021】
さらに図1Aを参照すると、リング部材111、121は、シース130に接続しているスリーブ100の各端部110、120のそれぞれに取り付けられる。各リング部材は、内側表面と外側表面とを含む。例えば、近位端110におけるリング部材111は、内側表面111aと外側表面111bとを含む。遠位端120におけるリング部材121もまた、内側表面121aと外側表面121bとを含む。近位リング部材111は、組織開口部106の外部に配置されるように構成され、一方、遠位リング部材121は、組織開口部106に対して内部に配置されるように構成される。内側表面111aおよび121aは、長手方向通路131の直径に同一である内径「D1」を規定する。外側表面111bおよび121bは、外径「D2」を有するように構成され、外径「D2」は、組織開口部106の半径方向寸法「D3」に等しいかまたはそれより大きい。外側表面111bおよび112bは、それらの比較的大きい寸法のために、ユーザが介在することなく、リング部材111および121が組織開口部106を横切って進むことを妨げる。組織開口部106を通って任意のリング部材(例えば、遠位リング部材121)を挿入するために、リング部材121は、傾けられるかまたは付勢されて、組織開口部106の半径方向寸法「D3」より小さいかまたはそれに等しくなる程度(例えば、「D4」)までリング部材121の半径方向寸法を減少させる必要がある。図3に例示されるように一旦遠位リング部材121が組織開口部106の内部に配置されると、遠位リング部材121は、その通常の付勢されない位置に戻る。遠位リング部材121の外側表面121bの半径方向寸法「D2」は、組織路105内に外科手術装置10を固定することを容易にする。
【0022】
図4および図5に例示されるように、リング部材の各々(例えば、近位リング部材111)は、シース130の長手方向の長さに沿って巻き付くように構成され、組織路105を接近させ収縮させ、外科手術装置10の高さを組織路105の厚さに近づかせる。リング部材111が、シース130の長手方向の長さに沿って遠位方向に巻き付くと、シース130は、リング部材111の周りに巻き付けられそれ自体に巻かれ、図1Aに例示される巻かれない状態または第1の状態から図4および図5に例示されるように巻かれた状態または第2の状態に移行する。
【0023】
図4および図5は、収縮位置における外科手術装置10を例示し、収縮位置において、リング部材111および121は、組織路105に隣接し、それによって、組織路106に対して外科手術装置10を固定する。収縮位置において、長手方向通路131の半径方向寸法は、組織開口部106の半径方向寸法「D3」と同一である。また、収縮位置において、シース130は、組織開口部106との密閉関係を形成する。
【0024】
外科手術装置10は、遠位端120から近位端110までの高さを規定する。高さは、シール130の巻き状態に従って変化する。図1Aに例示されるようにシース130が巻かれない場合、外科手術装置10は、最大高さ「H1」を有する。近位端110が遠位端120に接触する程度までシース130がそれ自体に巻かれる場合(図示されていない)、外科手術装置10は最小高さを有する。従って、リング部材111が遠位方向にシース130に沿って巻くと、外科手術装置10は、最大高さから最小高さに移行する。図4および図5に例示されるように、シース130が中間まで巻かれると、外科手術装置10は、最大高さより小さいが最小高さより大きい「H2」の高さを有する。
【0025】
外科手術装置10の高さは、異なる厚さの組織路105に適応するように調整され得る。外科手術装置10の最大高さが組織路105に容易に適合する状況において、シース130は巻かれる必要はない。しかしながら、図5に例示されるように、組織路105が外科手術装置10の最大高さより小さい厚さを有する状況において、図5に例示されるように、リング部材111は、シース130の長さに沿って遠位に巻いて、組織路105に接近し、外科手術装置10の高さを組織路105の厚さに接近させ得る。
【0026】
外科手術装置10の所望の高さを選択し、固定し、維持するために縫合糸が用いられ得ることが想定される。所望の高さに外科手術装置10を保持するためにクリップ、スナップ、またはフックを含む他の固定手段もまた想定される。
【0027】
図1に例示されるように、外科手術装置10は、近位端110に接続されるコード140をさらに含む。コード140は、外科手術装置10の長手方向通路131の半径方向寸法を減少させるために外科手術装置10の外側表面130bの周囲を輪にして巻き結ぶのに十分な長さを有する。
【0028】
図6および図7を参照すると、外科手術装置10の長手方向通路131は、2008年10月2日に出願された米国特許出願第12/244,024号、公開第US2009/0093752号において開示されるポータル部材などのポータル部材20を受容するように適合される。ポータル部材20は、少なくとも1つの長手方向通路230であって、そこを通って外科手術物体を受容するためにポータル部材20の近位端210と遠位端220との間に、少なくとも1つの長手方向通路230を規定する。ポータル部材20は、細腰構成を規定する。特に、図6を参照すると、ポータル部材20は、その近位端210およびその遠位端220において最大半径方向寸法「D5」を規定し、最大半径方向寸法「D5」は、中間部分240の方に徐々に小さくなっており、中間部分240において、最小半径方向寸法「D6」が規定される。ポータル部材20の最大半径方向寸法「D5」は、外科手術装置10がその収縮位置である場合長手方向通路131の半径方向寸法「D3」より小さい。ポータル部材20の小寸法のために、図7および図8に例示されるように、ポータル部材20が自立位置で外科手術装置10に配置される場合、重力は、長手方向通路131を通って患者の体腔の中に降下するようにポータル部材20を誘引する。
【0029】
図9をさらに参照すると、コード140は、組織開口部106の直上に外科手術装置10の外側表面130bの周りに輪にして巻き結ぶように構成され、組織開口部106は、組織開口部106の直上に位置を決められる外科手術装置10の長手方向通路131の半径方向寸法を減少させる。外科手術装置10の周りにコード140を結ぶことによって、組織開口部106の上側106aにおける長手方向通路131は、ポータル部材20の最大半径方向寸法「D5」より小さい半径方向寸法「D7」に減少させられ、それによって、ポータル部材20の近位端210が開口部を通って降下することを防ぐ。組織開口部106の上側106aにおける長手方向通路131は、ポータル部材20に対して懸垂の関係を形成し、それによって、外科手術装置10に対してポータル部材20を固定する。さらに、組織開口部の上側106aにおける長手方向通路131は、ポータル部材20に対して気密または密閉の関係を形成する。対照的に、組織開口部106の下側106bにおける長手方向通路131は、組織開口部106の寸法と同じ寸法「D3」を有したままであり、組織開口部106の下側106bにおけるシース130は、組織開口部106の下側106bと密閉の関係を形成し続ける。
【0030】
リング部材111および121は、剛体またはプラスチックもしくはゴムなどの半剛体の材料から作られる。シース130は、組織路105と密閉の関係を確立することも可能であり、長手方向通路131内に挿入される外科手術物体との密閉の関係を形成することが可能である可撓性材料から作られる。コード140は、糸または縫合糸の形式の繊維または組みひもなどの可撓性材料から作られる。ポータル部材20は、例えば、これらに限定されないが、1つ以上の外科手術物体の周りに密閉を形成するほど十分にコンプライアンスを有する、適切な発泡体、ゲル材料、または軟質ゴムなどの半弾性で使い捨てで圧縮可能な可撓性のタイプ(例えば、ゴムまたはスポンジ)の材料から作られ得、組織路105および外科手術物体と密閉の関係をも確立し得る。一実施形態において、発泡体は、ポリイソプレン材料を含む。ポータル部材20の弾性は、外科手術装置10を通るポータル部材20の容易な挿入および除去を提供する。
【0031】
一実施形態において、コード140は、近位端110との一体化部品である。コード140は、接着剤、縫合糸によってまたはオーバーモールディングプロセスによって外科手術装置10の近位端110に永続的に取り付けられる。別の実施形態において、コード140は、外科手術装置10の近位端110に分離可能に接続される。
【0032】
動作時、図1および図1Aに例示されるように、組織路105の中に外科手術装置10を挿入する前に、外科医は第1に、シース130の長さに沿って近位方向に近位リング部材111を巻くことによってシース130をその巻かれない状態に巻きを解く。第2に、外科医は、図2に例示されるように外科手術装置10の遠位端120を傾け、組織開口部106を通って組織路105の中に外科手術装置10の遠位端120を導入する。第3に、図4および図5に例示されるように、遠位端120が組織路105に対して内部に固定されながら、外科医は、シース130内に張力を作るためにシース130の長さに沿って遠位方向にリング部材111を巻くことによって組織開口部106を収縮させる。同じ巻きステップはまた、リング部材111を組織路105の上側に近づかせ、このことは、次に、外科手術装置10の高さを組織路105の厚さに近づくように減少させる。第4に、外科医は、図6〜図8に例示されるように、外科手術装置10の長手方向通路131の中にポータル部材20を導入し、組織路105の上側の上にポータル部材20の近位端210を保持する。第5に、ポータル部材20の近位端210を保持しながら、外科医は、組織開口部106の上側106aにおいて外科手術装置10の長手方向通路131の半径方向の寸法を減少させるために、シース130の外側表面130bの周りにコード140を輪にして巻き、その結果、長手方向通路131は、ポータル部材20に対して密閉の関係を形成する。
【0033】
使用時、外科手術装置10は、様々な寸法の器具を密閉して係合し得、組織開口部106において通気圧力を維持し得る。例えば、大きい器具が組織開口部106を通って動作することが所望される場合、大きい器具は、長手方向通路131内に直接に位置を決められ得、外科手術器具10に対して密閉の関係を容易に形成し得る。より小さい寸法の器具が組織開口部106を通って動作することが所望される場合、外科手術装置10は、中程度アクセスポート(例えば、ポータル部材20)に容易に適応し、アクセスポートとの密閉の関係を形成し、中程度アクセスポートは小さい寸法の器具を密閉して受容するように構成される。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態が、図面に示されかつ/または本明細書において考察されたが、本開示がそれらの実施形態に限定されることは意図されないで、開示の範囲は技術が許容される限りできるだけ広くあるべきこと、および明細書は同様に読まれるべきことが意図される。従って、上記の説明は、限定することとしてではなく、単に特定の実施形態の例証として解釈されるべきである。本開示の異なる実施形態は、外科手術処置の最適な結果を達成するために患者の特定にニーズに基づいて互いに組み合わせられ得る。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲および精神内における他の修正形態を想定する。
【符号の説明】
【0035】
10 外科手術器具
20 ポータル部材
105 組織路
106 組織開口部
100 スリーブ
110 近位端
111 リング部材
120 遠位端
130 シース
131 長手方向通路
140 コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下にある体腔にアクセスする組織路内に位置決めする外科手術装置であって、
該外科手術装置は、
可撓性スリーブであって、該可撓性スリーブは、長手方向軸と、近位端と、遠位端と、物体を受容する通路とを規定する、可撓性スリーブと、
該可撓性スリーブの該近位端に取り付けられたコードと、
該可撓性スリーブの中に挿入可能であるアクセスデバイスと
を備えている、外科手術装置。
【請求項2】
前記コードは、前記可撓性スリーブの外側表面の周りで結ばれるように適合される、請求項1に記載の外科手術装置。
【請求項3】
前記可撓性スリーブは、概ね円筒形の構成のシースを含む、請求項1に記載の外科手術装置。
【請求項4】
前記外科手術装置は、調整可能な高さを規定する、請求項1に記載の外科手術装置。
【請求項5】
前記可撓性スリーブは、該可撓性スリーブの各端部に取り付けられた、近位リング部材と遠位リング部材とを含む、請求項1に記載の外科手術装置。
【請求項6】
前記コードを操作することにより、前記可撓性スリーブを第1の直径から第2の直径に移行する、請求項1に記載の外科手術装置。
【請求項7】
前記通路は前記第1の直径を規定し、前記アクセスデバイスは前記第2の直径を規定し、該第1の直径は該第2の直径より大きい、請求項6に記載の外科手術装置。
【請求項8】
前記コードは、前記可撓性スリーブの前記通路内に前記アクセスデバイスを固定するように構成される、請求項7に記載の外科手術装置。
【請求項9】
前記遠位リング部材は、前記組織路の内部に配置されるように適合される、請求項5に記載の外科手術装置。
【請求項10】
前記近位リング部材は、前記組織路の外部に配置されるように適合される、請求項5に記載の外科手術装置。
【請求項11】
下にある体腔にアクセスする組織路内に位置決めする、長手方向軸を規定する外科手術装置であって、
該外科手術装置は、
該長手方向軸に沿って配置される2つのリング部材と、
該長手方向軸に沿う該2つのリング部材の間に延びるシースと、
二つの端部を有するコードであって、一方の端部が1つのリング部材に取り付けられ、もう一方の端部が自由端である、コードと
を備えている、外科手術装置。
【請求項12】
前記シースは、前記2つのリング部材の間に延び、物体を受容するように構成される通路を規定する、請求項11に記載の外科手術装置。
【請求項13】
前記シースは、概ね円筒形の構成を規定する、請求項11に記載の外科手術装置。
【請求項14】
前記通路は、該通路内にアクセスデバイスを受容するように構成される、請求項12に記載の外科手術装置。
【請求項15】
前記通路は第1の直径を規定し、前記アクセスデバイスは第2の直径を規定し、該第1の直径は該第2の直径より大きい、請求項14に記載の外科手術装置。
【請求項16】
前記コードは、前記通路内に前記アクセスデバイスを固定するように構成される、請求項15に記載の外科手術装置。
【請求項17】
前記コードは、前記通路の直径を減少させて、前記アクセスデバイスと密閉関係を形成するように構成される、請求項15に記載の外科手術装置。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−210402(P2012−210402A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52945(P2012−52945)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】