説明

アクセス切断システムおよび方法

【課題】患者の血管へのアクセスをモニタリングする新規な構成を提供する。
【解決手段】
医療的治療の間のアクセス切断を検出するための装置、デバイス、システムおよび方法が、提供される。本発明は、例えば透析治療の間に使用される血液回路に連結される電気回路を含む。この電気回路は、この血液回路中に電気信号を注入するように適応させられ得、それによって、アクセス切断(例えば、針の落下またはカテーテルの落下)に応答する電気的値の変化が、効果的に検出され得、アクセス切断に起因する患者の血液損失を最小限にすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、一般的に、医療的処置のための患者のアクセス切断システムおよび方法に関する。より詳細には、本発明は、患者のアクセス切断の検出(例えば、透析治療の間の針またはカテーテルの脱落の検出)に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の異なる医療的処置は、流体の患者への送達、患者を通る送達および/または患者からの送達(例えば、患者と、患者の体内に挿入された針(1つまたは複数)を介して患者に接続される体外システムとの間の血液の送達)に関する。例えば、血液透析、血液濾過および血液透析濾過(hemodiafiltration)はすべて、患者の血液から直接的に廃棄物、毒素および余剰の水を除去する処置である。これらの処置の間、患者は、体外の機械に接続され、患者の血液は、その機械を通ってポンプされる。廃棄物、毒素および余剰の水が、患者の血液から除去され、血液が、患者の体内に戻される。針または同様のアクセスデバイスは、患者の血液を体外の機械へ移転するためおよび体外の機械から移転するために、患者の血管へのアクセス内に挿入され得る。伝統的な血液透析処置、血液濾過処置および血液透析濾過処置は、数時間、続き得、一般的に、週に約3〜4回、処置センターで行われ得る。
【0003】
任意のこれらの血液処置の間、アクセスデバイスの脱落(例えば、患者の血管へのアクセス(動静脈の移植または動静脈瘻を含む)中に挿入された針またはアクセスデバイスの脱落)が、発生し得る。すぐに検出されない場合、これにより、重大な量の血液の損失が患者に生じ得る。針の脱落または他の適切な状態に関連するこのような危険性は、考慮に値する。この点について、血液の損失をモニタリングするための重要な基準としては、例えば、針の脱落の検出に関する感度、特異性および応答時間が挙げられる。感度、特異性および応答時間のレベルが増大するにつれて、針の脱落の検出は増強され得、脱落に起因する血液の損失は、最小にされ得る。
【0004】
代表的には、医療的処置(例えば、血液透析、血液濾過または血液透析濾過)を受けている患者は、針の脱落を検出するために、視覚的にモニタリングされている。しかし、針は、患者または医療スタッフの明確な視界中には無いことがあり得(すなわち、針は、毛布で覆われ得る)、そのために、脱落について、検出が遅れ得、従って、対処(例えば、患者の血液の損失を最小にするための体外機械の血液ポンプの停止)をするのが遅れ得る。
【0005】
さらに生活の質の増大、罹病率および死亡率の両方において観察される減少、ならびにセンターでの処置よりも低い費用という観点から、自己治療および家庭血液治療に対して、再度の関心が起こってきている。このような家庭血液治療(血液透析、血液濾過または血液透析濾過のいずれであってもよい)によって、夜間および日中の処置の両方が可能になる。これらの自己治療および家庭血液治療、特に夜間の家庭血液治療の間、患者が眠っている場合、脱落の危険性がより重大である。これは、看護婦または他の付添人が、脱落を検出するためにいないからである。
【0006】
種々の異なるセンサーを使用するデバイスが利用可能であり、種々の異なる体性流体の検出および/またはモニタリングのために公知であるが、これらのデバイスは、針の脱落を検出するように適切に適応されないかもしれない。例えば、センサー(pH、温度および導電率が挙げられる)を使用する公知のデバイスは、夜尿およびオムツの濡れを検出するために利用されている。さらに、圧力センサーおよび/またはフロー感知デバイスを使用するデバイスが、公知であり、患者へ流れる流体フローおよび/または患者から流れる流体フロー(血液を含む)をモニタリングするために、医療的処置(例えば、透析治療)の間に使用されている。しかし、これらのタイプの検出デバイスは、針の脱落に起因する患者からの血液の損失の検出に適用される場合、適切なレベルの感度および応答性を提供しないかもしれない。静脈圧が、針の脱落をモニタリングするために使用されることが公知であるが、針の落下に対してあまり感受的ではない。
【0007】
一般的には、さらなる他のデバイスおよび方法が、血液の導電率に基づいて血管へのアクセスをモニタリングすることで公知である。例えば、国際公開番号WO99/12588に基づく豪州特許第730,338号(特許文献1)は、電流を体外血液回路に誘導する電気デバイスを開示する。電流が、血液回路中の2点の周囲に設置された界磁コイルによって誘導され、それによって、全血液回路に沿って閉導電ループが規定される。これには、患者の健康的観点および安全的観点ならびに、針の落下または他の血管へのアクセスの状態の効果的な検出の両方において問題があり得た。
【0008】
この点について、血液回路は、多くの高インピーダンスの構成要素(例えば、血液ポンプ、気泡トラップ、および/またはピンチクランプなど)を備える血液処置システムに連結される。実行される流体ループの大きなインピーダンス(ぜん動ポンプおよび他の構成要素に起因する)のために、患者に安全な電流の誘導および検出には、コイルおよびシステムについての非現実的なほど複雑な設計が必要である。さらに、高レベルのノイズが、このようなレベルの誘導電流の使用から、必然的に生じる。これによって、検出の感度に大きな悪影響が与えられ得る。弱い電流が使用される場合、界磁コイルは、このような低レベルの電流を検出するために、大きさが増大されなければならない。これは、使用、特に透析治療の間に適用される場合に、現実的でないことがあり得る。
【0009】
PCT公報WO01/47581(特許文献2)は、患者の心臓血管システムへのアクセスをモニタリングするための方法およびデバイスを開示する。このアクセスのモニタリングは、患者に接続された血液回路に沿った別の地点で、電流を生成し得、かつ検出し得る電気回路を使用する。それぞれが血液回路チューブの周囲に設置された金属チューブを有する容量連結器を使用することで、電流が流体中に注入される。この点について、金属チューブは、コンデンサーの第1プレートを規定し、血液回路チューブは、絶縁体を規定し、そして、血液回路チューブ内の血液は、コンデンサーの第2プレートを規定する。
【0010】
発電器は、一対の容量連結器の間に電位差を適用し、血液回路のセグメントに電流を生成する。検出器は、さらなる別の対の容量連結器を利用し、第1接点と静脈針との間の静脈枝道中の少なくとも1つの区間に沿って電流を測定する。次いで、電圧(dV)の変化が、測定された電流の変化に基づいて決定され、基準範囲(I)と比較され、アクセス状態をモニタリングする。この点について、PCT公報WO01/47581は、血管へのアクセスを維持するために、多数の容量連結器の集合を利用する複雑な回路設計を必要とする。これにより、この装置の使用についての費用および負担が、増大し得る。
【0011】
さらに、血液回路に電気信号を注入するため、および/または検出の目的のための容量連結的手段は、問題を含むものであり得る。この点について、チューブはコンデンサーの絶縁体として機能するので、信号は、血液回路中のチューブを通って通過しなければならない。これにより、血管へのアクセスの状態の変化の検出に関して、余剰のレベルのノイズおよび/または他の干渉が引き起こされ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】豪州特許第730,338号明細書
【特許文献2】国際公開第WO01/47581号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この点について、患者の血管へのアクセスをモニタリングするために使用され得る公知のデバイス、装置および/または方法は、透析治療の間に、血液の損失の速やかな検出を確実にし、対処が血液の損失を最小にするために行われ得るために十分な感度および特異性で、血管へのアクセスをモニタリングする能力、特に針の落下を検出する能力を有さないかもしれないと考えられている。適用される際、静脈針の脱落に起因する血液の損失から20秒以上の時間が経過する場合、400ml/分の血液流速(透析治療では代表的な値である)において、100ミリリットルを超える血液の損失が、発生し得る。従って、針の脱落が速やかに検出される場合、すばやく応答する能力が、患者の安全を確実にするために必須である。
【0014】
従って、努力が、アクセス状態の変化(例えば針の脱落に応答する変化)を検出するための装置、デバイス、システムおよび方法を設計することに向けられている。ここで、検出が、このようなアクセス変化への応答について感受性であり、特異的であり、および速やかであるならば、対処が、アクセス変化に起因する患者の血液の損失を最小にするために適切に行われ得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
本発明は、医療的治療の間のアクセス切断を検出するための、改良したデバイス、装置、システムおよび方法を提供する。特に、本発明は、医療的治療(例えば、透析治療)の間、患者に挿入され、それを通じて流体が流れ得るアクセスデバイス(例えば、針またはカテーテルなど)の脱落または切断を検出し得る。
【0016】
一般的に、本発明は、医療的治療(透析治療を含む)の間に、電気信号が、流体回路(例えば、体外血液回路)内に規定される導電性経路に沿って通過する際に、電気信号を生成し得、測定し得、および/または処理し得る、任意の適切なタイプの電気回路を含む。この血液回路は、患者の体内に挿入された1つ以上のアクセスデバイスを介して、血液処置システムに連結され得る。このアクセスデバイスとしては、例えば、針、またはカテーテルなどが挙げられる。この点について、血液は、血液回路に沿って、患者の中へ入り、患者を通り、そして患者の外へと循環し得る。
【0017】
本発明は、患者のアクセス状態をモニタリングするために、血液回路に沿って距離を置いて配置された、多くの電気的接続部および/または電気的接触部を含み得る。特に、これは、高い信頼性でアクセス切断を検出するために使用され得る。この点について、本発明は、モニタリングされる治療に対する(例えば、透析治療の間に使用される体外血液回路に対する)さらなる改変を必要とせずに、増強された検出能力を提供し得る。アクセス切断の検出はまた、公知のシステムとは対照的に、低レベルの電流の使用によっても、達成され得ると考えられる。
【0018】
1つの実施形態において、本発明は、患者を医療的治療システムに接続する流体回路に沿う(例えば、流体回路中の流入流体ラインと流出流体ラインとの間の)導電性接続部または導電性経路を含む。これは、少なくとも、例えば、アクセス切断があるまで閉状態であり得る、流体回路(例えば、体外血液回路)に沿うループを含むセグメントを規定し得る。ここで、このループを通過する電流または他の信号が、流体回路(例えば、透析機、血液ポンプ、ドリップチャンバー、他の類似の構成要素およびその組合せを含む透析システム)に連結される医療システムの1つ以上の構成要素をバイパスし得るように、このループが適合され得る。次いで、患者の血管へのアクセスは、アクセス切断(例えば、それを通って流体が流れ得る針またはカテーテルの患者からの脱落)に応答する電気的値の変化を測定することにより、モニタリングされ得る。
【0019】
1つの実施形態において、本発明は、アクセス状態をモニタリングするために、血液回路または他の適切な流体回路に沿って距離を置いて配置された、少なくとも3つの電気的接点を利用し得る。例えば、電気信号、好ましくは電流は、血液回路に沿って配置された第1接点を第2接点に直接的に接続する導電性経路を通って、注入され得る。次いで、電気信号が、この中を通過する際に、電気的値の変化が、第1接点および第2接点とは別に離れて配置された第3接点を使用して、測定され得る。あるいは、電気信号などは、単一の接点を通じて、血液回路中に注入され得、次いで、ここで、脱落に応答する電気的値の変化が、2つの残りの電気的接触部の位置の間の直接的接続部を使用して、測定され得る。
【0020】
本発明はまた、検出の目的で、誘導コイルを流体回路に取り付けるために、より容易にかつ効果的に利用され得る誘導連結器デバイスを提供する。1つの実施形態において、誘導連結器は、末端領域に取り付けられた移動可能な部材を備える。コイル部材(例えば、誘導コイル)は、移動可能な部材の少なくとも1つの周囲に設置される。これによって、誘導連結器が、末端領域の周囲を移動することが可能となり、従って、それが、容易に流体導管(例えば、血液回路)の周囲に設置され、そこに固定されることが可能となる。この点について、誘導連結器は、それが容易に流体導管に固定され得るように、開配置および閉配置において配置され得る。本明細書中で使用される場合、用語「誘導連結器」または他の類似語(例えば、「誘導連結デバイス」)は、誘導コイルを流体導管(例えば、血液回路)に取り付けるために使用され得る任意の適切なデバイスを意味する。
【0021】
1つの実施形態において、移動可能な連結部材は、高透磁率を有する材料から構成される。この点において、移動可能な連結部材の透磁率は、電磁場を誘導コイルへと収束させるか、または指向するために十分効果的である。これにより、電磁的信号が効果的に、血液回路に注入され得、そして同様に血液回路中で測定され得るように、誘導コイルを通る電磁束が増強され得る。
【0022】
本発明の利点は、アクセス切断を検出するための、改良した装置、デバイス、システムおよび/または方法を提供することである。
【0023】
本発明のさらなる利点は、透析治療の間に血管へのアクセスへの接続をモニタリングするための、改良した装置、システムおよび/または方法を提供することである。
【0024】
本発明の別の利点は、自己治療および家庭血液処置の間のアクセス切断(例えば、針、またはカテーテルなどの脱落)のための、改良した装置、デバイス、システムおよび/または方法を提供することである。
【0025】
さらに、本発明の利点は、アクセス切断の検出に関して増強された正確性、感度および応答性を有する、アクセス切断をモニタリングするための、改良した装置、デバイス、システムおよび/または方法を提供することである。
【0026】
またさらに、本発明の利点は、容易かつ効果的に、検出の目的(例えば、アクセス切断の検出)で使用される流体導管に、誘導コイルを取り付け得る、改良したデバイスを提供することである。
【0027】
本発明のさらなる特徴および利点が、以下の発明の詳細な説明および図面に記載されており、そしてそれらから明らかになる。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
体外血液処置の間のアクセス切断を検出する方法であって、上記方法は以下の工程:
第1血液ラインおよび第2血液ラインを備えた体外血液回路を有する患者に、複数の構成要素を含む体外血液システムを連結し、これにより、処置の間、血液が、上記体外血液回路に沿って、上記患者の中へ流れ、上記患者を通って流れ、そして上記患者の外へと流れる、工程;
上記体外血液回路に電気信号を注入する工程;
上記第1血液ラインと上記第2血液ラインとの間の導電性接続部を介して、上記電気信号を通過させ、それによって、上記体外血液回路に連結された上記体外血液システムの1つ以上の構成要素をバイパスするループを規定する、工程;および
アクセス切断に応答する電気的値の変化を測定する工程、
を包含する、方法。
(項目2)
電流が、上記血液回路に注入される、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記電気的値の変化が、静脈血液ラインに連結された、上記患者内にある針の脱落に応答して測定される、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記電気的値の変化が、動脈血液ラインに連結された、上記患者内にある針の脱落に応答して測定される、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記導電性接続部が、上記第1血液ラインと上記第2血液ラインとの間の導電性経路を規定する導電性材料を含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
上記導電性接続部が、上記第1血液ラインおよび上記第2血液ラインを通って流れる血液と接触するように適合される、項目5に記載の方法。
(項目7)
上記導電性接続部が、上記第1血液ラインおよび上記第2血液ラインに、容量的に連結される、項目5に記載の方法。
(項目8)
上記バイパスされる構成要素が、バブルトラップ、血液ポンプ、血液処理デバイス、透析機およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目9)
上記電気的値が、電圧、抵抗、インピーダンス、電流、それらの変化速度、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目10)
血液が、体外血液回路を通って流れる際に、患者の内部に挿入されたアクセスデバイスの脱落を検出するための装置であって、上記体外血液回路は、第1血液ラインおよび第2血液ラインを備え、これらは、複数の構成要素を含む体外血液システムに、上記患者を接続し、上記装置は以下:
電気信号を上記体外血液回路中に注入するための、電気信号デバイス;
バイパスデバイスであって、上記第1血液ラインと上記第2血液ラインとの間に導電性接続部を備え、それによって、上記電気信号が、上記体外血液システムの1つ以上の構成要素をバイパスすることを可能にする、上記体外血液回路に沿ったループを規定する、バイパスデバイス;および
上記アクセスデバイスの脱落に応答した電気的値の変化を測定し得る、上記体外血液回路に連結された測定デバイス、を備える、装置。
(項目11)
上記電気信号デバイスが、誘導コイルを備える、項目10に記載の装置。
(項目12)
上記電気信号デバイスが、上記血液回路に容量的に連結される、項目10に記載の装置。(項目13)
上記電気信号デバイスが、上記血液回路を通って流れる血液と流体的かつ電気的に連絡する電気的接触部を備える、項目10に記載の装置。
(項目14)
上記測定デバイスからの信号を処理し、上記電気的値の変化が検出され、さらに処理されることを可能にする、上記測定デバイスに連結される分析ユニットをさらに備える、項目10に記載の装置。
(項目15)
上記電気的値の変化が、患者内にある針の脱落に応答して検出される、項目10に記載の装置。
(項目16)
上記導電性接続部が、上記第1血液ラインおよび上記第2血液ラインを流れる血液と直接的に接触する導電性経路を備える、項目10に記載の装置。
(項目17)
上記導電性接続部が、上記第1血液ラインおよび上記第2血液ラインに容量的に連結される、項目10に記載の装置。
(項目18)
上記測定デバイスが、誘導コイルを備える、項目10に記載の装置。
(項目19)
体外血液処理の間のアクセス切断を検出する方法であって、上記方法は、以下の工程:
第1血液ラインおよび第2血液ラインを備えた体外血液回路を介して、患者に複数の構成要素を備える体外血液システムを連結する工程であって、上記第1血液ラインおよび上記第2血液ラインによって、処置の間、血液が、上記体外血液回路に沿って、上記患者の中へ流れ、上記患者を通って流れ、そして上記患者の外へと流れることが可能となる、工程;
上記体外血液回路に装着された第1接点と第2接点との間の直接的な導電性接続部を通じて、電気信号を上記血液回路に注入し、血液と直接的に接触させ、それによって、ループを規定する、工程;および
アクセス切断に応答して、上記体外血液回路に装着された第3接点で、電気的値の変化を測定する工程、
を包含する、方法。
(項目20)
上記直接的な導電性接続部が、血液が上記体外血液回路を通って流れる際に、血液と直接的に接触する一対の電極の間に形成される、項目19に記載の方法。
(項目21)
誘導コイルが、上記電気的値の変化が測定されることを可能にする第3接点で、上記体外血液回路に連結される、項目19に記載の方法。
(項目22)
上記第3接点が、血液と流体的に連絡する上記血液回路に装着された電気的接触部を含む、項目19に記載の方法。
(項目23)
上記第3の接点が、容量連結器を含む、項目19に記載の方法。
(項目24)
上記電気的値が、電圧、抵抗、インピーダンス、電流、それらの変化速度、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目19に記載の方法。
(項目25)
上記電気的値の変化が、上記体外血液回路に連結された上記患者中にある針の脱落に応答して測定される、項目19に記載の方法。
(項目26)
血液が、体外血液回路を通って流れる際に、患者からのアクセスデバイスの脱落を検出する装置であって、上記体外血液回路は、第1血液ラインおよび第2血液ラインを備え、これにより、複数の構成要素を備える体外血液システムに、患者を接続することを可能とし、上記装置が、以下:
上記体外血液回路に装着された第1接点と第2接点との間の直接的な導電性接続部であって、これを通じて、電気信号が、上記血液回路に注入され得、それによって、ループを規定する、導電性接続部;および
第3接点で上記体外血液回路に連結された測定デバイスであって、上記測定デバイスが、上記第3接点で、脱落の検出に応答する電気的値の変化を測定するために使用され得る、測定デバイス、
を備える、装置。
(項目27)
上記直接的な導電性接続部が、血液が上記体外血液回路を通って流れる際に、血液と直接的に接触する一対の電極の間で形成される、項目26に記載の装置。
(項目28)
誘導コイルが、上記第3接点で上記体外血液回路に連結され、それによって、上記電気的値の変化が、測定されることが可能となる、項目26に記載の装置。
(項目29)
上記第3接点が、上記血液と流体的に連絡する上記血液回路に装着された電気的接触部を含む、項目26に記載の装置。
(項目30)
上記第3接点が、上記血液回路に装着された容量連結器を含む、項目26に記載の装置。(項目31)
上記電気的値が、電圧、抵抗、インピーダンス、電流、それらの変化速度、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目26に記載の装置。
(項目32)
インピーダンスの変化が、上記体外血液回路に連結された上記患者中にある針の脱落に応答して、検出される、項目26に記載の方法。
(項目33)
体外血液処置の間のアクセス切断を検出する方法であって、上記方法が、以下:
第1血液ラインおよび第2血液ラインを備えた体外血液回路を介して、患者に複数の構成要素を備える体外血液システムを連結する工程であって、上記体外血液回路によって、処置の間、血液が、上記体外血液回路に沿って、上記患者の中へ流れ、上記患者を通って流れ、そして上記患者から流れることが可能となる、工程;
第1接点において血液回路に、電気信号を注入し、それによって、ループを規定する工程;および
上記ループに沿って第2電気的接点と第3電気的接点の間に作製された直接的な導電性接続部を使用して、アクセス切断に応答して、電気的値の変化を測定する工程、
を包含する、方法。
(項目34)
上記直接的な導電性接続部が、血液が体外血液回路を通って流れる際に、上記血液と直接的に接触する一対の電極の間で形成される、項目33に記載の方法。
(項目35)
誘導コイルが、上記第1接点で上記体外血液回路に連結され、それによって、上記電気信号が、注入されることが可能となる、項目33に記載の方法。
(項目36)
上記第3接点が、上記血液と流体的に連絡する上記血液回路に取り付けられた電気的接触部を含む、項目33に記載の方法。
(項目37)
上記第3接点が、上記血液回路に取り付けられた容量連結器を含む、項目33に記載の方法。
(項目38)
上記電気的値が、電圧、抵抗、インピーダンス、電流、それらの変化速度、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目33に記載の方法。
(項目39)
上記電気的値の変化が、血液が、上記患者の中へ流れ、上記患者を通って流れ、そして上記患者の外へ流れることを可能にする上記体外血液回路に連結された上記患者の中にある針の脱落に応答して、測定される、項目33に記載の方法。
(項目40)
第1血液ラインおよび第2血液ラインを備え、複数の構成成分を含む体外血液システムに患者を接続することを可能にする体外血液回路を通って、血液が、流れる際に、上記患者からのアクセスデバイスの脱落を検出するための装置であって、上記装置が、以下:
第1接点において、上記体外血液回路に連結された電気信号デバイスであって、電気信号を上記血液回路中に注入し得、それによってループを規定する、電気信号デバイス;および
上記ループ内にある第2接点と第3接点の間の直接的な導電性接続部であって、上記ループに沿って、脱落に応答して、電気的値の変化が測定され得る、直接的な導電性接続部、を備える、装置。
(項目41)
上記直接的な導電性接続部が、血液が上記体外血液回路を通って流れる際に、血液と直接的に接触する一対の電極を含む、項目40に記載の装置。
(項目42)
誘導コイルが、上記第3接点で上記体外血液回路に連結される、項目40に記載の装置。(項目43)
上記第3接点が、血液と流体的に連絡する上記血液回路に取り付けられた電気的接触部を含む、項目40に記載の装置。
(項目44)
上記第3接点が、容量連結器を含む、項目40に記載の装置。
(項目45)
上記電気的値が、電圧、抵抗、インピーダンス、電流、それらの変化速度、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目40に記載の装置。
(項目46)
上記電気的値の変化が、上記体外血液回路に連結された上記患者中にある針の脱落に応答して、測定される、項目40に記載の装置。
(項目47)
血液回路を通じて、患者を透析機に接続するための1つ以上のコネクタを有するシャーシを備え、上記血液回路によって、透析治療の間、血液が、上記患者と上記透析機との間を流れることが可能となる透析機であって、上記透析機において、複数の電気的接触部が、上記血液回路に接続され、上記血液回路によって、直接的な導電性接続部を使用するアクセス切断の検出が可能となる、透析機。
(項目48)
上記直接的な導電性接続部が、上記血液回路に電気信号を注入し、それによって、アクセス切断の検出を可能にするループを規定するために使用され得る、項目47に記載の透析機。
(項目49)
上記直接的な導電性接続部が、アクセス切断に応答する電気的値の変化を測定するために使用され得る、項目48に記載の透析機。
(項目50)
上記直接的な導電性接続部が、上記ループから上記透析機をバイパスするために使用され得る、項目48に記載の透析機。
(項目51)
上記直接的な導電性接続部が、血液が上記体外血液回路を通って流れる際に、上記血液と直接的に接触する一対の電気的接触部の間に作製される、項目47に記載の透析機。
(項目52)
コントローラーが、少なくとも1つの上記電気的接触部に取り付けられ、それによって、アクセス切断に応答する電気的値の検出可能な変化を示す信号を処理することが可能となり、アクセス切断に起因する血液損失が最小にされ得る、項目47に記載の透析機。
(項目53)
上記信号が、処理され、透析治療を自動的に終了することが可能となり得る、項目52に記載の透析機。
(項目54)
上記アクセス切断が、上記患者内に挿入されたアクセスデバイスの脱落に起因し、上記アクセスデバイスを通って、血液が上記血液回路に沿って流れ得る、項目47に記載の透析機。
(項目55)
上記アクセスデバイスが、針、カテーテル、静脈針および動脈針からなる群から選択される、項目54に記載の透析機。
(項目56)
上記電気的接触部が、上記透析機のシャーシに取り付けられる、項目47に記載の透析機。
(項目57)
透析処置センターであって、上記透析処置センターが、
複数の患者ステーションであって、上記患者ステーションのそれぞれにおいて、透析処置が行われ得る患者ステーション;および
1つ以上の透析機であって、上記透析機が、それぞれの患者ステーションに配置され、上記透析機の少なくとも1つが、血液回路を介して、患者を上記透析機に接続するための1つ以上のコネクタを有するシャーシを備え、上記血液回路によって、透析治療の間、血液が、上記患者と上記透析機との間を流れることが可能となり、ここで、複数の電気的接触部が、上記血液回路に接続され、それによって、直接的な導電性接続部を使用するアクセス切断の検出が可能となる、透析機
を備える、透析処置センター。
(項目58)
上記直接的な導電性接続部が、上記血液回路に電気信号を注入し、それによって、アクセス切断の検出を可能にするループを規定するために使用され得る、項目57に記載の透析処置センター。
(項目59)
上記直接的な導電性接続部が、アクセス切断に応答する電気的値の変化を測定するために使用され得る、項目58に記載の透析処置センター。
(項目60)
上記直接的な導電性接続部が、上記ループから上記透析機をバイパスするために使用され得る、項目58に記載の透析処置センター。
(項目61)
上記直接的な導電性接続部が、血液が上記血液回路を通って流れる際に、血液と直接的に接触する一対の電気的接触部の間に作製される、項目57に記載の透析処置センター。
(項目62)
コントローラーが、上記電気的接触部の少なくとも1つに取り付けられ、それによって、アクセス切断に応答する電気的値の検出可能な変化を示す信号を処理することが可能となり、アクセス切断に起因する血液損失が最小にされ得る、項目57に記載の透析処置センター。
(項目63)
上記信号が、処理され、透析治療を自動的に終了することが可能となり得る、項目62に記載の透析処置センター。
(項目64)
上記信号が、処理され、アクセス切断が検出された場合に、警報を発生し得る、項目62に記載の透析処置センター。
(項目65)
患者および/または医療スタッフが、警報を受け、その警報に応答して対処し得る、項目62に記載の透析処置センター。
(項目66)
上記透析治療が、血液透析、血液濾過、血液透析濾過および持続的腎置換からなる群から選択される、項目57に記載の透析処置センター。
(項目67)
上記アクセス切断が、上記患者内に挿入されたアクセスデバイスの脱落に起因し、上記アクセスデバイスを通って、血液が流れ得る、項目57に記載の透析処置センター。
(項目68)
上記アクセスデバイスが、針、カテーテル、静脈針および動脈針からなる群から選択される、項目67に記載の透析処置センター。
(項目69)
誘導連結デバイスであって、上記誘導連結デバイスが、以下:
第1部材および、末端で上記第1部材に移動可能に取り付けられた第2部材であって、それにより上記第1部材および上記第2部材が、開配置および閉配置に置き換えられることが可能となる、第1部材および第2部材;ならびに
上記第1部材および上記第2部材の少なくとも1つの少なくとも一部分の周囲に設置された誘導コイル、
を備える、誘導連結デバイス。
(項目70)
末端で、上記第1部材および上記第2部材に取り付けられたヒンジを備える、項目69に記載の誘導連結デバイス。
(項目71)
上記第1部材および上記第2部材が、電磁場を誘導コイル中に収束させるのに効果的な透磁率を有する材料で構成される、項目69に記載の誘導連結デバイス。
(項目72)
流体導管を通って流れる流体中に電気信号を注入するための方法であって、上記方法が以下:
第1部材および、末端で上記第1部材に移動可能に取り付けられた第2部材を備える誘導連結デバイスを提供する工程であって、それにより、上記第1部材および上記第2部材が、開配置および閉配置に置き換えられることが可能となり、誘導コイルが、上記誘導連結デバイスに取り付けられている、工程;
開配置において、上記誘導連結デバイスを上記流体導管の周囲に設置する工程;
上記第1部材および上記第2部材を置き換えて、閉配置にし、それによって、上記誘導連結デバイスを上記流体導管に固定する工程;および
電気信号を流体中に注入するために、上記誘導連結デバイスを使用する工程、
を包含する、方法。
(項目73)
ヒンジが、上記第1部材を上記第2部材に移動可能に取り付けるために、使用される、項目72に記載の方法。
(項目74)
上記第1部材および上記第2部材が、電磁場を上記誘導コイルに指向させ、上記電気信号の注入を可能にし得る、項目72に記載の方法。
(項目75)
上記流体が、体外血液システムに患者を接続する体外血液回路を通る血液を含む、項目72に記載の方法。
(項目76)
上記電気信号が、電流を含む、項目72に記載の方法。
(項目77)
流体が、流体回路の流体導管を通って通過する際に、電気的値の変化を検出する方法であって、上記方法が、以下の工程:
第1部材および、第1末端で上記第1部材に移動可能に取り付けられた第2部材を備える連結デバイスを提供する工程であって、それにより、上記第1部材および上記第2部材が、開配置および閉配置に置き換えられることが可能となり、誘導コイルが、上記連結デバイスに取り付けられている、工程;
上記開配置において、上記誘導コイルを有する上記連結デバイスを、上記流体導管の周囲に設置する工程;
上記第1部材および上記第2部材を置き換えて、閉配置にし、それによって、上記誘導コイルを上記流体導管に固定する工程;および
流体が、上記流体導管を通って通過する際に、上記流体導管を通過する電気信号を使用して、電気的値の変化を測定するために、上記誘導コイルを使用する工程、
を包含する、方法。
(項目78)
ヒンジが、上記第1部材を、上記第2部材に移動可能に取り付けるために、使用される、項目77に記載の方法。
(項目79)
上記連結デバイスが、電磁場を上記誘導コイルに指向させ、上記電気的値の変化の測定を可能にする、項目77に記載の方法。
(項目80)
上記流体が、体外血液システムに患者を連結する体外血液回路を通る血液を含む、項目77に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、血液回路に沿って患者に連結される血液処置システムの1つ以上の構成要素をバイパスするために使用され得る、導電性接続部を示す本発明の実施形態を示す。
【図2A】図2Aは、本発明の実施形態に従う導電性接続部を使用する、血液回路への電気信号の注入を示す。
【図2B】図2Bは、本発明の実施形態に従う導電性接続部を使用する、アクセス切断に応答する電気的値の変化の測定を示す。
【図3A】図3Aは、流体導管の周囲に設置されている、開配置中の本発明の実施形態の誘導連結器を示す。
【図3B】図3Bは、流体導管に固定された、閉配置中の本発明の実施形態の誘導連結器を示す。
【図3C】図3Cは、本発明の1つの実施形態における、電気的接触部連結デバイスの分解図を示す。
【図3D】図3Dは、本発明の1つの実施形態における、図3Cの連結デバイスの側面断面図を示す。
【図3E】図3Eは、本発明の連結デバイスの別の実施形態を示す。
【図3F】図3Fは、本発明の連結デバイスの別の実施形態を示し、連結デバイスの構成要素の間のネジ止めによる係合を示す。
【図3G】図3Gは、図3Fの断面図を示す。
【図4A】図4Aは、本発明の1つの実施形態における透析機を示す。
【図4B】図4Bは、本発明の別の実施形態における透析機を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
本発明は、アクセス切断(例えば、医療的治療(例えば、透析治療)を受けている患者の血管へのアクセスに挿入されている針、カテーテルまたは他のアクセスデバイスの脱落)を検出するための装置、デバイス、システム、および/または方法に関する。一般的に、本発明は、流体回路(例えば、血液回路)に連結される、離れて配置された任意の数と種類の適切な接点を提供する、適切な電気回路を含む。この接点は、電気信号を流体回路を通って流れる流体(例えば、血液)中に注入し、流体回路の少なくとも一部に沿って導電ループを規定するために利用され得る。電気的値の変化は、アクセス状態の変化(例えば、アクセス切断(針の落下が挙げられる))に応答する。
【0030】
本発明は、針の脱落の検出に限定されず、任意の適切なアクセスデバイスの脱落または切断を検出するためにも利用され得ることが、理解されるべきである。本明細書中で使用される場合、用語「アクセス切断」または他の類似語は、流体回路に連結された電気的接触部間の電気的連続性の変化が、検出され得る場合の、患者に接続された流体回路に沿って流れる導電性流体の損失または漏洩を引き起こし得る、任意の適切な状態または事象を意味する。電気的値(例えば、インピーダンス)によって測定される電気的連続性の変化は、アクセスデバイスの患者からの脱落が起きていない場合であっても検出され得ることが、理解されるべきである。本明細書中で使用される場合、用語「アクセスデバイス」または他の類似語は、患者の体内に挿入され得、流体(血液を含む)が、そのアクセスデバイスを介して、患者へ通過し得る、患者を通り得る、および/または患者から通過し得る、適切なデバイスを意味する。アクセスデバイスは、種々の異なる適切な形状、サイズおよび材料構成を有し得る。アクセスデバイスの例としては、針、カテーテル、またはカニューレなどが挙げられる。アクセスデバイスは、任意の適切な材料(例えば、ステンレス鋼、プラスチックまたは同様の生体適合性材料が挙げられる)から構成され得る。
【0031】
以下に示す実施形態において、装置および/またはデバイスは、透析治療(例えば、血液透析、血液濾過または血液透析濾過)における使用のために設計されているが、本発明は、種々の異なる適切な流体システム(例えば、体外血液システム)を使用する、多くの異なる医療的治療において、使用され得ることに留意されるべきである。例えば、本出願の発明は、医療的ソリューションもしくは医療的薬剤、血液、血液製品、または処理される血液などを患者と流体システムの間に送達するために、患者の体内に挿入可能な単一の針を使用し得る静脈注入の間に使用され得る。さらに、本発明は、血漿交換治療において使用され得、この治療において、膜が、全血を血漿性成分と細胞性成分に分離するために使用される。
【0032】
透析治療に関して、本発明は、腎不全を処置するための種々の異なる治療において使用され得る。本明細書において使用される場合、透析治療またはその類似語は、患者の血液を利用して、その患者から老廃物、毒素および余剰の水を除去する、任意の全ての形態の治療を含むことが意図される。このような治療は、間欠性治療(血液透析、血液濾過および血液透析濾過が挙げられる)および、持続的腎置換治療(CRRT)のために使用される持続的治療の両方を含む。これらの持続的治療としては、緩徐持続限外濾過法(SCUF)、持続的静脈血液濾過(CVVH)、持続的静脈血液透析(CVVHD)、および持続的静脈血液透析濾過(CVVHDF)が挙げられる。透析治療はまた、腹膜透析(例えば、通院による持続性腹膜透析、自動腹膜透析および持続的フロー腹膜透析)も含む。さらに、1つの実施形態において、本発明は、慢性腎不全または慢性腎疾患を有する患者のための透析治療を提供する方法において利用され得るが、本発明は、急性の透析の必要(例えば、救急治療室環境)のために使用され得ることが、理解されるべきである。結局、当業者は、間欠性の形態の治療(すなわち、血液濾過、血液透析および血液透析濾過)が、センター、自己治療/限定的治療および家庭内環境において、使用され得ることを理解する。
【0033】
(アクセス切断)
図1、図2Aおよび図2Bに示すように、1つの実施形態において、本発明は、透析治療の間のアクセス状態をモニタリングするように適応され得る。患者は、動脈血液ライン14および静脈血液ライン16を含む体外血液回路12を介して、透析システム10に接続されている。この動脈血液ライン14および静脈血液ライン16は、図1に示すように、動脈針20および静脈針22または他の適切なアクセスデバイスを介して、患者の血管へのアクセス18に連結されている。この点について、血液は、透析治療の間、血液回路12に沿って、患者の体内へ入り、患者の体内を通り、そして患者の体外へと循環し得る。
【0034】
透析システム10は、任意の数および種類の構成要素を含み得る。例えば、透析システムは、任意の適切なクランプ24または他のフローレギュレーター、気泡トラップ26など、血液処置デバイス28(例えば、透析機および血液ポンプ29(例えば、ぜん動ポンプ))を備える。構成要素は、図1に概略的に示されるように、血液回路に連結され得る。以下に記載するように、これらの構成要素の任意の1つまたは任意の組合せは、血液回路に連結された透析機から、離れていることがあり得る。処置の間、血液は、患者から動脈血液ライン14を通って、血液処置デバイス28に流れ、そして循環して、静脈血液ライン16に沿って患者に戻ってくる。
【0035】
既に議論したように、本発明は、任意の適切な種類の電気回路を含み得、そして医療的治療の間のアクセス切断を効果的に検出するように設計され得る。1つの実施形態において、本発明は、別々の場所で血液回路12に取り付けられた1対の誘導コイルを含む。図1に示すように、第1誘導コイル30は、静脈血液ライン16に、第2誘導コイル32は、動脈血液ライン14に取り付けられる。
【0036】
任意の適切な種類の誘導コイル(例えば、血液回路におよびその周囲に連結された界磁コイル)が、利用され得ることが、理解されるべきである。誘導コイルは、任意の適切な方法で流体回路に取り付けられ得る。例えば、界磁コイルは、流体回路の周りに巻かれ得る。1つの実施形態において、誘導コイルは、移動可能な連結デバイスの少なくとも1つの部材の周囲に設置される。以下に記載されるように、連結デバイスは、誘導コイルが、流体回路の周囲に容易かつ効果的に設置されることを可能にするように、開かれ得るし、閉じられ得る。
【0037】
1つの実施形態において、任意の適切な電気信号が、血液回路内に注入され得る。あるレベルの電流が、任意の適切なデバイス34によって生成され、静脈血液ライン16に取り付けられた第1誘導コイル30において、血液回路に注入される。電流が血液回路12を通過する際に、第2コイル32が、透析治療の間のアクセス状態の変化に起因する電気的値の変化を測定し得る。アンペア数、インピーダンスなどの変化は、患者からの静脈針22および動脈針20の一方または両方の脱落、または他の類似のデバイスの脱落に応答して、高い信頼性で検出され得る。あるいは、電流は、静脈血液ラインの内部へと誘導され得、そして動脈血液ラインに沿って測定され得る。本明細書中で使用される場合、用語「電気的値」または他の類似語は、代表的には、電気回路に関連する、任意の適切な電気的パラメーター(例えば、インピーダンス、抵抗、電圧、電流、それらの変化速度およびそれらの組合せが挙げられる)を意味する。
【0038】
誘導コイル32は、アンペア数などのアクセス状態の変化(例えば、針または落下)に起因する測定可能な変化に基づいて、信号を通過させるために使用され得る。この信号は、次いで、検出され得、さらに誘導コイル32に接続された信号処理ユニット33によって処理され得る。信号処理ユニット33は、次いで血液処置システムの任意の適切な構成要素(例えば、血液ポンプ29およびクランプ24)に連結され得る。この点において、例えば、針の落下または他の適切なアクセス切断状態に応答して、患者の血液損失を制御可能に最小にするために、血液ポンプ29が、自動的に停止され得、および/またはクランプ24が自動的に閉じられ得る。
【0039】
(導電性バイパス)
図1に示されるように、本発明は、動脈血液ライン14および静脈血液ライン16に沿って配置された2つの接点36の間に作製された導電性接続部35を含む。これにより、導電性経路38が形成され、これにより、アクセス切断があるまで閉じたままである導電ループ40が規定される。このことにより、そこを通過する電気信号が、透析システムの1つ以上の構成要素を、血液回路に沿ってバイパスすることが可能となる。1つの実施形態において、図1に示すように、導電性接続部35が配置され得、導電性経路が、透析システム10の全ての構成要素をバイパスすることが可能になる。
【0040】
バイパスは、透析システムの種々の構成要素(例えば、気泡トラップ26、血液処置デバイス28、血液ポンプ29など、およびそれらの組合せ)の高インピーダンス効果を減少させるように、効果的に機能する。この点において、これらの構成要素の高インピーダンス効果を克服するために、高レベルの電流などを血液回路中に注入することは必要でない。このことにより、針の脱落に応答するインピーダンスまたは他の適切な電気的値の変化の信頼性の高い検出が容易になり得る。高レベルの電流の使用は、必然的に、検出感度に大きな影響を与え得る、高レベルのノイズを生じ得る。さらに、低レベルの電気信号、好ましくは電流を血液回路内に注入する能力により、患者の健康および安全をより確実にし得る。
【0041】
導電性接続部35は、任意の適切な方法で、形成され得る。1つの実施形態において、導電性接続部35は、2つの接点36において、動脈血液ライン14および静脈血液ライン16を通って流れる血液と流体的に接触する導電性経路38を含む。導電性経路38は、それが、バイパスされる透析システム10の1つの構成要素または複数の構成要素のインピーダンスよりも小さいインピーダンスを有するように、任意の適切な導電性材料(例えば、ワイヤまたは他の類似の導電性材料)から構成され得る。導電性経路38のインピーダンスは、電流が、構成要素をバイパスし、従って、最も抵抗が小さい経路に沿って流れることを引き起こすために効果的なほど、構成要素のインピーダンスよりも小さい。あるいは、導電性接続部35は、容量連結器により静脈血液ラインおよび動脈血液ラインに連結され得、従って、血液と流体的に接触しない。
【0042】
(導電性接続部)
図2Aおよび図2Bに示すように、本発明は、血液回路12に沿って配置された3つの接点を含み得る。1つの実施形態において、第1接点42は、電流などを血液回路に誘導し得る誘導コイルを含む。電流または他の適切な信号は、任意の適切な方法(誘導コイル(既に議論した)、容量連結器、血液と流体的に連絡する電気的接触部などの使用が挙げられる)で、血液回路に注入され得ることが理解されるべきである。第1接点42は、血液回路12に沿う透析システムの構成要素の前の位置で(図1を参照のこと)、静脈血液ライン16上に位置する。第2接点44は、血液回路12に沿う透析システムの構成要素の前の位置で、動脈血液ライン14上に位置する。あるいは、第1接点42および第2接点44はそれぞれ、動脈血液ライン14および静脈血液ライン16上に位置し得る。
【0043】
第3接点46は、血液回路12の一部に沿って、第1接点42および第2接点44の間の任意の適切な位置に、位置し得、図2Aおよび図2Bに示すように、第1接点42および第2接点44を透析システムの構成要素に接続する。第2接点44および第3接点46は、血液回路12に直接的な導電性接続部を形成する。第2接点44と第3接点46との間の直接的な導電性接続部は、任意の適切な方法で作製され得る。例えば、第2接点44と第3接点46は、血液回路12に沿って流体が流れるように、誘導コイル、血液と流体的に接触する電気的接触部、血液回路および/またはその類似物に容量的に連結された電気的接触部を介して、血液回路12に取り付けられ得る。任意の適切なデバイスが、流体回路との電気的接触部を作製するために使用され得る。その例示的な例が、以下で詳細に記載される。
【0044】
1つの実施形態において、電気信号は、任意の適切な方法(例えば、誘導コイル)で、第1接点42を通って血液回路に注入され、それによって、血液回路に沿った導電ループを規定する。第2接点44と第3接点46との間に直接的に作製された導電性接続部は、図2Aに示すように、アクセス切断に応じた電気的値の変化を測定するために利用され得る。あるいは、電気信号が、生成され得、そして直接的な導電性接続部を通って注入され得る。この導電性接続部において、第1接点42が、図2Bに示すように、電気的値(例えば、インピーダンスなど)の検出可能な変化を測定するために使用される。
【0045】
第2接点44と第3接点46との間の直接的な接続部の使用は、アクセス切断(例えば、針またはカテーテルの脱落)の信頼できる検出を容易にし得る。この点において、低レベルの電流などが、検出の目的で使用され得る。現実的な立場から、すでに議論したように、直接的な接続部の使用は、血液回路の拡張的な改変を必要とすることなく、達成され得ると考えられる。
【0046】
本発明は、電気的接触部が、アクセス検出の間に使用されるために、流体回路(例えば、血液回路)に取り付けられ得る、種々の異なる方法を提供する。例示的例が以下に記載されるが、例示の目的であって、限定する目的ではない。
【0047】
(誘導コイル連結デバイス)
1つの実施形態において、本発明は、治療の間、血管へのアクセスをモニタリングするために、より容易かつ効果的に利用され得る誘導コイル連結デバイスを含む。1つの実施形態において、本発明の連結デバイス50は、第1末端55において第2部材54に移動可能に取り付けられた、第1部材52を備える。この第1末端55によって、第1部材52および第2部材54を、互いに変位することが可能となる。第1部材52および第2部材54は、任意の適切な様式で、移動可能に取り付けられ得る。例えば、ヒンジ56または任意の他の適切な移動可能デバイスが、使用され得る。コイル部材57、好ましくは誘導コイル57が、連結デバイスの少なくとも一部に巻かれ得る。1つの実施形態において、図3Aおよび図3Bに示すように、誘導コイルは、第1移動可能部材52の一部に巻かれる。あるいは、誘導コイル57は、第2移動可能部材54、両方の部材およびそれらの一部に巻かれ得る。
【0048】
図3Aにおいて、本発明の誘導連結デバイス50は、開配置をとっており、そのために、連結デバイス50は、流体導管(例えば、血液回路の血液ライン)(示さず)の周囲に容易に設置され得る。次に、図3Bに示すように、第1部材52および/または第2部材54が変位されることで、連結デバイス50は、閉じられ、そして、血液ラインに固定され得る。1つの実施形態において、第1部材52および第2部材54は、変位され、任意の適切な方法で、第2末端でかみ合うように係合する。これにより、誘導連結デバイス50が、誘導界磁コイルの単なる使用と比較して、血液回路に容易に取り付けられることが可能となる。誘導界磁コイルは、必然的に、効果的な使用のために、何巻きも血液回路の血液ラインに巻かれなければならない。
【0049】
1つの実施形態において、移動可能部材は、高透磁率を有する材料(例えば、フェライトビーズ)から構成される。閉配置において、移動可能部材は、かみ合い係合部において、交わらなければならない。この点について、移動可能部材は、電磁場を誘導コイル57に収束させるか、または指向するために、効果的に作用し得る。これにより、誘導コイルを通る電磁束が増強され得、すでに議論したように、誘導連結デバイスが、アクセス切断を検出するために、効果的に使用されることを可能にする。
【0050】
(電気的接触部および流体的接触部)
1つの実施形態において、本発明は、電気的接触部連結デバイスを含み得る。この連結デバイスは、電気的接触部、好ましくは電極を血液回路に固定し、それによって、電極が、血液に効果的に接触させ、従って、すでに議論したように、アクセス状態の変化を効果的にモニタリングするために使用され得るようにするために利用され得る。本発明の連結デバイスはまた、使用者の潜在的電気源との接触からの防護を容易にするように設計され得る。1つの実施形態において、このデバイスは、医療的流体がそれを通って流れ得るチューブに接続された導電性要素を含み得、ここで、導電性要素が、医療的流体(例えば、血液)に曝露された第1部分およびチューブから外側にある第2部分を有する。
【0051】
本発明の連結デバイスは、種々の異なる適切な配置、構成要素、または構成材料などを含み得ることが、理解されるべきである。1つの実施形態において、本発明は、電気的接点を流体導管に接続し、電気的接点と流体導管を通って流れる流体との間に流体的連絡および電気的連絡を提供するためのデバイスを含み得る。このデバイスは、電気的接触部を包含し得る環状部分、およびこの環状部材に接続され、そこを通って環状部分へと延長する開口部を有する第1ステム部分を備える第1部材;溝領域を有する基礎部分および、そこを通って溝領域へと延長し、第1部材が第2部材に挿入され、固定されることを可能にする開口部を有する第2ステム部分を備える第2部材;ならびに第1ステム部分および、接触部材が、電気的接触部材(電気的接点と接触部材との間で、電気的接触が生じることを可能とする)に取り付けられることを可能にする第2ステム部分に適合するように適応させられた接触部材、を備える。
【0052】
図3Cおよび図3Dに示すように、電気的接点連結デバイス80は、そこを通って延長する開口部84を備えた円筒形状を有するプローブ部材82を含む。この点について、電気的接点、好ましくは円筒形状を有する電極86は、開口部84に挿入され得、その結果、電極86がプローブ部材82の中に固定され得る。1つの実施形態において、プローブ部材82は、開口部84の少なくとも一部に沿って延長するチャネル85を有する。ここで、開口部84で、電極86がプローブ部材82に挿入され得る。チューブ部材(例えば、血液チューブセット、透析機のコネクタチューブ部材などに由来するチューブ部材)は、チャネル85の外側部分に接しているプローブ部材82の開口部84の両端に挿入され得る。このチャネル85は、血液または他の適切な流体が、任意の適した様式で電極86と流体接触することを可能にする。電極86は、そこに通って延長する開口部88を有する。流体回路中の血液(示さず)または他の適切な流体が、開口部88の中を流れ得る。1つの実施形態において、電極86の開口部88の直径は、血液が電極86を通って流れ、それによって、代表的な使用条件(例えば、透析治療の間)における血液フローのレベルが、適切に維持され得ることを可能にするようなサイズにされる。この点について、本発明の連結デバイスは、医療的治療(例えば、透析治療が挙げられる)の間の使用のために、流体回路(血液回路などが挙げられる)に、容易かつ効果的に取り付けられ得る。本発明の連結デバイス80は、流体回路を通って流れる流体と電気的接触および流体接続が作製されるような任意の適切な方法で、流体回路に取り付けられ得ることが、理解されるべきである。
【0053】
プローブ部材82はまた、その円筒形状の本体の表面92から延長するステム部分90を備える。ステム部分90は、そこ通って延長する開口部93を有する。1つの実施形態において、ステム部分90は、電極86の少なくとも一部が、ステム部分90の開口部93と接するように、配置される。
【0054】
電極86を血液回路に固定するために、連結デバイス80は、プローブ部材82および血液回路の血液チューブ部材(示さず)を受容するための開口部98を有する本体部分96を備えるソケット部材94を備え、これによって、血液は、透析治療の間に血液回路を循環する際に、電極と直接的に接触する。1つの実施形態において、ソケット部材94は、本体部材96から延長するステム部分100を備える。本体部材96において、ステム部分100は、そこを通って延長する開口部102を含む。プローブ部材82が、本体部材96の開口部98を通って挿入される際に、プローブ部材82のステム部分90は、ソケット部材94の本体96のステム部分100の開口部102に挿入され得る。
【0055】
1つの実施形態において、ソケット部材94は、ソケット部材94の本体96の少なくとも一部に沿って延長する溝領域104を含む。この点について、プローブ部材82をソケット部材94の本体96の中に固定するために、プローブ部材82は、開口部98へ挿入され、次いで、溝領域104中に移動させられ得るか、または配置され得る。
【0056】
1つの実施形態において、連結デバイス80は、ソケット部材94の本体96のステム部分100の開口部102の中に挿入される電気的接触部材106を備え、それによって、この電気的接触部材106は、電極86の表面108の少なくとも一部と接触するまで、プローブ部材82のステム部分90の開口部93を通って延長する。
【0057】
電気的接触部材106は、アクセス状態の変化(例えば、針の脱落)をモニタリングする、および/または制御するための使用に適した電子機器(例えば、励起源、信号処理デバイス、他の同様の電気デバイス)(示さず)を接続するために利用される。電気的接触部材106は、任意の適切な材料(例えば、任意の適切な導電性材料(ステンレス鋼、他の同様の導電性材料またはそれらの組合せを含む))から作製され得る。電気的接触部材106を適切に固定するために、接触保持器部材110が、末端領域112で、ステム部分100の開口部102の中に挿入される。
【0058】
1つの実施形態において、連結デバイスは、任意の適切な様式で、透析機、透析デバイスまたは透析システムに搭載され得る。例えば、連結デバイスは、透析機の一体化された構成要素として搭載され得る。同様に、連結デバイスは、本発明の装置およびシステムの任意の構成要素と接続することが可能である、別の構成要素および/または単独の構成要素として搭載され得る。1つの実施形態において、連結デバイス80は、ソケット部材94のステム部分100を介して、透析機または他の適切な構成要素に、挿入可能に搭載され得る。
【0059】
電気的接触部連結デバイスは、種々の異なる適切な形状、サイズおよび材料構成要素を含み得ることが、理解されるべきである。例えば、連結デバイスの別の実施形態を、図3Eに示す。図3Eの連結デバイス114は、図3Cおよび図3Dに示すような連結デバイスと構造において類似している。この点において、例えば、図3Eの連結デバイス114は、円筒形の電極または他の適切な電気的接触部、電極を受容するため、そして、それを感知デバイスのソケット部材の中に適切に固定するためのプローブ部材を備える。プローブ部材は、ソケット部材のステム部分の中に挿入可能であるステム部分を備える。電気的接触部材は、電気的接触部材が電極と接触し得るように、ステム部分に挿入可能である。図3Eの連結デバイスはまた、図3Cおよび図3Dで示した連結デバイスと同様に、電気的接触部材を適切に保持するために、接触保持器部材を備える。
【0060】
図3Eに示すように、電気的接触部連結デバイス114のプローブ部材116は、プローブ部材116をソケット部材120内に固定することを容易にし得るハンドル118を備える。示すように、ハンドル118は、連結デバイス114の使用および製造を容易にし得る中実の形状を有する。さらに、プローブ部材116のステム部分(示さず)の直径は、図3Cに示すプローブ部材のステム部分よりも大きい。ステムのサイズを大きくすることによって、プローブ部材は、ソケット部材の中に、より容易かつ簡単に挿入され得る。さらに、プローブ部材の長さは、図3Cおよび図3Dに示すプローブ部材よりも長く、それによって、プローブ部材116の末端領域122が、ソケット部材120の溝領域124を超えて延長する。これにより、ソケット部材120の溝領域124内にプローブ部材を固定することが容易になり得る。
【0061】
1つの実施形態において、ソケット部材120の開口部126は、大きなサイズを有するプローブ部材116のステム部分のそこに対する挿入を仲介する、さらなる開口部部分128を含み得る。これにより、プローブ部材のソケット部材への挿入の前に、ソケット部材に対するプローブ部材の適切な整列が確実になり得、従って、挿入プロセスが容易になる。
【0062】
プローブ部材、ソケット部材および接触保持器部材は、種々の異なる適切な材料(例えば、プラスチック、成型プラスチック、同様の材料またはそれらの組合せを含む)から構成され得ることが、理解されるべきである。連結デバイスの種々の構成要素(例えば、プローブ部材、ソケット部材および接触保持器部材)は、任意の方法で適合され得る。例えば、構成要素は、滑らかな係合部(図3Cおよび図3Dに示す)、ネジ止め係合部(図3Fおよび図3Gに示す)および/または任意の適切な係合部または相互配置に適合され得る。
【0063】
図3Fおよび図3Gに示すように、本発明の連結デバイス130は、ネジ部品によって構成され得る。このネジ部品は、互いに取り外し可能かつ挿入可能に接続され、連結デバイスを形成する。このネジ部品によって、電極の血液回路への固定および以下に記載するような同一物の一般的な使用が容易になり得る。
【0064】
1つの実施形態において、連結デバイス130の本体134のステム部分132は、ネジ領域136を有する。このネジ領域136は、ネジ止め係合部で、透析機または他の適切な搭載デバイスに挿入可能に取り付けられ得る。これにより、連結デバイスの搭載デバイスへの取り付け、および搭載デバイスからの取り外しが容易になり得る。
【0065】
図3Gに示すように、ステム部分132は、両側でネジ状にされ、環状部材138とネジ止め係合されることが可能となる。環状部材138は、方向付けおよび支持を提供し、すでに議論したように、電気的接触部材140が、プローブ部材144中に配置された電極142に接合することを可能とする。
【0066】
1つの実施形態において、任意の適切な導電性材料で構成されたプレート部材146は、プローブ部材144が、本体134に固定される際に、バネ148に押し付けられ得る。同時に、別のバネ150が、保持器152と接触する電気的接触部材140に対して取り付けられ得る。この保持器152は、電気的接触部材140を本体134に固定するために、環状部材138の環状領域の中に挿入されている。
【0067】
本発明の1つの実施形態において、バネ機構により、連結デバイス130の部分が、使用する間、安定な係合部に保持されることが可能になる。バネ機構はまた、洗浄、メンテナンスまたは他の適切な目的のための部品の取り外しの間の使用を容易にする。
【0068】
既に議論したように、本発明は、患者の体内に挿入され、それを通って、流体が、患者と流体送達および/または処置システムとの間を通過し得る、アクセスデバイス(例えば、針またはカテーテル)の脱落を検出するために、効果的に使用され得る。本発明は、多くの異なる適用(例えば、医療的治療または処置(特に透析治療))に適用され得る。透析治療において、アクセスデバイス(例えば、針またはカテーテル)は、患者の動脈および静脈中に挿入され、透析機に向かう血液フロー、および透析機からの血液フローを接続し得る。
【0069】
これらの環境において、アクセスデバイスが、血液回路から脱落または離れた場合(特に、静脈針の場合)、患者からの血液損失量は、重大でかつ急を要する。この点について、本発明は、例えば、透析治療(血液透析、血液濾過、血液透析濾過および持続的腎置換が挙げられる)の間のアクセスデバイスの脱落に起因する患者からの血液損失を、制御可能かつ効果的に最小にするために、使用され得る。
【0070】
(透析機)
既に議論したように、本発明は、任意の適切な流体送達システム、流体処置システムなどとの使用のために適応され得る。1つの実施形態において、本発明は、処置(例えば、血液透析、血液濾過および血液透析濾過が挙げられる)の間に、血液が、血液回路に沿って患者と透析機との間を流れる際の、アクセス切断を検出するために、透析機との使用に適応される。
【0071】
本発明は、このような目的のための任意の適切な透析機を包含し得る。本発明の血液透析機の例が、米国特許第6,143,181号(本明細書中で参考として援用する)で開示されている。1つの実施形態において、透析機190は、移動性シャーシ192を備え、そしてその前面194に、チューブなどを接続するための一般的な機構196を有する。このチューブによって、図4Bに示すように、患者が透析機に接続され得る。いくつかの操作上のパラメーターを示し得、それぞれタッチされるスクリーン上の適切な記号およびフィールドによって、透析機の調整のための記号およびフィールドが提供される平面タッチスクリーン197は、垂直に調整され得るし、透析機上を自在に(universally)旋回させられ得るし、そして所望の調整した配置に固定され得る。
【0072】
1つの実施形態において、透析機は、血液回路を介して、患者を透析機に接続するための,1つ以上のコネクタを有するシャーシを備える。このコネクタにより、透析治療の間に、血液が、患者と透析機との間を流れることが可能となり、ここで、1つ以上の電気的接触部が、血液と流体連絡するように血液回路に接続され、既に議論したように、血液が、そこを通過する電気信号を有する血液回路を通って流れる際に、アクセス切断に応答する電気的値の変化の検出が可能となる。
【0073】
1つの実施形態において、本発明の透析機は、1つ以上の連結デバイス(例えば、既に議論したような、誘導コイル連結デバイスおよび他のそのような連結デバイス)を提供するように設計され得るし、図4Bに示すようにアクセス切断を検出するために使用され得る。例えば、1つ以上の連結デバイス198が、透析機190の前パネル194に取り付けられ得る。これは、任意の適切な方法で行われ得る。1つの実施形態において、連結デバイスのステム部分は、既に議論したように、ネジ止め適合、摩擦適合などを介して、挿入可能に搭載される。これにより、血液チューブセット202を介して、患者が透析機190に接続される。血液チューブセットは、第1血液ライン204および第2血液ライン206を備える。1つの実施形態において、第1血液ライン204が、動脈針208などを介して、患者に接続される。この動脈針を通って、血液が、患者200から透析機190へと流れ得る。次いで、第2血液ライン206が、静脈針210などを介して、患者200に接続される。この静脈針を通って、流体が、透析機から患者へと流れ、それによって、血液回路が規定される。あるいは、第1血液ラインおよび第2血液ラインはそれぞれ、静脈針および動脈針に連結され得る。血液ラインは、任意の適切な医療品質の材料から作製される。この点について、既に議論したように、アクセス切断(例えば、動脈針および/または静脈針の脱落)が、検出され得る。あるいは、連結デバイスは、血液チューブセットに取り付けられ得、次いで、この血液チューブセットが、任意の適切な方法で、透析機に取り付けられる。
【0074】
(透析処置センター)
既に議論したように、本発明は、家庭および透析処置センターにおいて実施される透析治療の間に使用され得る。透析処置センターは、多くの患者に透析治療を提供し得る。この点において、処置センターは、患者の需要に対応するために、多くの透析機を備える。透析処置センターの治療活動は、その使用に対する現場の需要および患者の需要に依存して、一週間に7日、1日に24時間、行われ得る。
【0075】
1つの実施形態において、透析処置センターに、本発明の1つの実施形態に従う透析治療の間のアクセス切断を検出するための能力が提供される。例えば、センター内の1つ以上の透析機が、すでに議論したように、アクセス切断を検出するために必要な他の構成要素と共に、電気的接触部連結デバイス、誘導コイル連結デバイスなどと使用するために適応され得る。
【0076】
1つの実施形態において、連結デバイスは、透析処置センターの1つ以上の透析機に直接的に取り付けられ得る。本発明の1つの実施形態に従う、装置、デバイス、方法および/またはシステムが、透析処置センターにおいて1人以上の患者に対して任意の適切な方法で行われる透析治療の間の使用のために適用され得ることが、理解されるべきである。1つの実施形態において、処置センターは、1つ以上の患者ステーションを有し得る。患者ステーションでは、1人以上の患者に透析治療が行われ得、各患者は、それぞれの透析機に連結される。例えば、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、持続的腎置換およびそれらの組合せを含む、任意の適切なセンター内での治療が、行われ得る。本明細書中で使用される場合、用語「患者ステーション」またはその類似の用語は、透析治療の間に使用するために提供される、透析処置センターの任意の適切に規定された領域を意味する。患者ステーションは、透析治療を行うために必要な、任意の数および型の適切な装置を備え得る。
【0077】
1つの実施形態において、透析処置センターは、多くの患者ステーションを備え、各患者ステーションでは、1人以上の患者に透析治療が行われ、1つ以上の透析機が各患者ステーションにある。1つ以上の透析機が、血液回路を介して、患者を透析機に接続するための1つ以上のコネクタを有するシャーシを備え得る。このことによって、透析治療の間、血液が患者と透析機との間を流れることが可能になり、ここで、多くの電気的接触部が、血液と流体連絡するように、血液回路に接続され得る。このことによって、そこを通過する電気信号を有する血液回路を通って血液が流れる際に、アクセス切断に応答する電気的値の変化の検出が可能となる。
【0078】
既に議論したように、本発明のアクセス切断検出能力は、安全かつ効果的な透析治療をモニタリングし、制御するために利用され得る。アクセスデバイス(例えば、針またはカテーテル)の患者からの脱落の際に、本発明のアクセス切断検出能力が、脱落を示す信号を提供するために使用され得、この信号はさらに、制御目的および/またはモニタリング目的で処理され得る。1つの実施形態において、この信号がさらに処理されて、既に議論したように、自動的に透析治療が停止されて、脱落に起因する血液損失を最小化し得る。さらに、この信号が処理されて、警報が出され得、この警報により、患者および/または医療職員に脱落状態について警告し、対処がとられることを確実にし得る。本発明は、医療的治療(透析治療を含む)の安全かつ効果的な実施を容易にするために、種々の適切な方法で改変され得ることが、理解されるべきである。
【0079】
本明細書中に記載した、現在の好ましい実施形態についての種々の変化および改変は、当業者にとって明白であることが、理解されるべきである。このような変化および改変は、本発明の目的と精神と逸脱せずに、そして、その意図される利点を損なうことなく、なされ得る。そのため、このような変化および改変は、添付の請求項の範囲内であることが、意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2013−99607(P2013−99607A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−34343(P2013−34343)
【出願日】平成25年2月25日(2013.2.25)
【分割の表示】特願2010−55110(P2010−55110)の分割
【原出願日】平成15年4月2日(2003.4.2)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】