アクセス切断システムのための改良型信号検出
【課題】透析療法中に患者に挿入された針の除去等の、アクセスデバイスの除去または切断を検出するための改良型デバイス、装置、システム、および方法を提供すること。
【解決手段】アクセス切断システムは、体外回路と、体外回路の中に提供される第1の接点48および第2の接点50と、第1の接点と連絡し、かつ、体外回路を通って流れる流体内で電流を生成するように構成される電流源と、体外回路からの経路に沿う複数の点において信号を印加するように配置される装置であって、信号が電流の少なくとも一部分が体外回路に並列している接地経路を通って伝わることを防止するのに役立つ、装置とを備えている、アクセス切断システムである。
【解決手段】アクセス切断システムは、体外回路と、体外回路の中に提供される第1の接点48および第2の接点50と、第1の接点と連絡し、かつ、体外回路を通って流れる流体内で電流を生成するように構成される電流源と、体外回路からの経路に沿う複数の点において信号を印加するように配置される装置であって、信号が電流の少なくとも一部分が体外回路に並列している接地経路を通って伝わることを防止するのに役立つ、装置とを備えている、アクセス切断システムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本願は、米国仮特許出願第10/760,849号(名称「Conductive Polymer Materials And Applications Thereof Including Monitoring And Providing Effective Therapy」、2004年1月19日出願)に対する優先権および一部継続出願としての利益を主張し、後者の出願は、米国特許出願第10/121,006号(名称「Access Disconnection Systems And Methods」、2002年4月10日出願)の一部継続出願である。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、治療のための患者のアクセス切断システムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、透析療法を含む治療または内科的療法中の患者アクセスデバイスの除去等の、患者アクセス切断の検出に関する。
【背景技術】
【0003】
種々の異なる治療は、患者と、1本の針または複数の針あるいは患者の体内に挿入される任意の好適なアクセスデバイスを介して患者に接続される体外システムとの間の血液の送達等の、患者への、および/または患者からの流体の送達に関連する。例えば、血液透析、血液濾過、および血液透析濾過は、全て患者の血液から直接、老廃物、有害物質、および過剰水を除去する治療である。これらの治療の際に、患者は、体外機械に接続され、患者の血液は、機械を介して圧送される。老廃物、有害物質、および過剰水は、患者の血液から除去され、血液は、患者内に逆注入される。体外機械を往復して患者の血液が移送されるために、針または他の好適なアクセスデバイスが、患者の血管アクセスに挿入される。従来の血液透析、血液濾過、および血液透析濾過治療は、数時間も続き得、概して、週約3回乃至4回、治療施設で行われる。
【0004】
これらの血液治療のいずれかの間に、動静脈グラフトまたは瘻を含む、患者の血管アクセスに挿入された針の除去等の、アクセスデバイスの除去が起こり得る。即時に検出されなければ、これは、患者にとって有意量の失血を生じ得る。針除去と関連する危険性は多大である。失血の重要基準は、例えば、針除去の検出に対する感度、特異性、および応答時間を含む。増加したレベルの感度、特異性、および応答時間により、針除去の検出を強化することができ、除去による失血を最小化することができる。
【0005】
典型的には、血液透析、血液濾過、または血液透析濾過等の医療治療を受ける患者は、針除去を検出するために視覚的に監視される。しかしながら、針は、患者または医療従事者の目につかない場合がある(すなわち、毛布で覆われている場合がある)ため、検出を遅延させ、したがって、患者の失血を最小化するように体外機械の血液ポンプを停止する等の、除去を考慮して取られる対応措置を遅延させる可能性がある。
【0006】
さらに、生活の質の向上、罹患率および死亡率の両方に認められる低減、および施設内治療よりも低い費用を考慮して、自己療法および在宅血液透析療法に対する新たな関心が高まっている。そのような在宅血液透析療法(血液透析、血液濾過、または血液透析濾過)は、夜間ならびに昼間の治療の両方を可能にする。これらの自己療法および在宅血液透析セッション中、特に夜間在宅血液透析セッション中、患者が睡眠中である時、看護師または他の付添人が存在して除去を検出しないため、除去の危険性がさらに有意となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アクセス切断(「ADS」)システムを、失血を最小化するように可能な限り迅速に動作させる必要性が存在する。
【0008】
また、ADSシステムを、不必要に治療および患者を妨害する誤ったトリガなしで動作させる必要性も存在する。
【0009】
現在すでに使用されている機械は、ADSシステムまたは本明細書に記載のシステムと同様に動作するものを持たない場合があるが、そのようなADSシステムを容易に、かつ比較的安価で提供する、さらなる必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、透析療法中に患者に挿入された針の除去等の、アクセスデバイスの除去または切断を検出するための改良型デバイス、装置、システム、および方法を提供する。本開示のデバイス、装置、システム、および方法は、例えば、導電性流体回路の少なくとも一部分に沿って画定されるループを含む、少なくとも一区分に、電気信号を注入することができるように流体回路と接触している、多数の電気接点を伴う電気回路を利用する。例えば、透析療法および薬剤送達を含む内科的療法中に、患者からの針または他のアクセスデバイスの除去によるインピーダンスの変化等の、アクセス状態の変化に応じて、電気値の変化の即時検出を提供するために、直接接触測定を使用することができる。
【0011】
一実施形態における本開示のデバイス、装置、システム、および方法は、ADSシステムまたは本明細書に記載のシステムと同様に動作するものを持たない既存の機械に取り付けられ、かつそれともに動作可能にすることができる、独立型の据え付けパッケージで提供される。独立型ADSシステムは、血液管類セットに取り付けられ、かつそれとともに動作可能な検出器モジュールと、血液治療、例えば、血液透析機械に取り付けられ、かつそれとともに動作可能な保護装置モジュールとを含む。検出器モジュールおよび保護装置モジュールは、一実施形態においては、例えば、無線周波数を介して、無線で連絡する。検出器モジュールは、アクセス切断を検出し、次いで、静脈および動脈管類の一方または両方を締め付けるように構成される保護装置モジュールに、対応する出力を送信する。管類の締め付けは、例えば、静脈管路中の圧力の増加を引き起こし、それは血液透析機械によって検出され、血液ポンプを閉鎖させる。
【0012】
インピーダンス信号出力を出力し、使い捨ての費用を低減するための複数のシステムを以下に記載する。インピーダンス感知システムに関連する1つの問題は、患者接地の効果である。透析システムは、安全上の理由で、透析装置および透析液経路を通してアース接地に接続される。患者を防御する試行にもかかわらず、患者は電気的にアースと同じ電位となり得る。このことが起こると、針の除去時でさえ、接地電流経路が患者とシステムの分離接地との間に存在し、システムを無効にし得る。
【0013】
患者接地の影響に対処するための1つの装置および方法は、透析液または接地経路の区間の両側で平等な電位の2つの点を作成するために、信号源の2つの出力を使用することである。これは、仮想の開回路を点の間に存在させ、アース接地からシステムの分離接地までの電流経路を開く。
【0014】
この技術は、代替として、または加えて、信号電流の一部分が血液ポンプを通って流れるのを止めるために使用される。以下のシステムでは、電圧源および高抵抗抵抗器を使用して、電流が血液内に誘導される。電流は通常、2つの経路に分割され、一方は患者アクセスを通行し、他方は血液ポンプを通る。感知の観点から、電流の全てが患者アクセス経路を通行し、血液ポンプ経路を全く通らないことが望ましい。過剰な電流が血液ポンプ経路を通って流れる場合、針除去によるインピーダンスの増加は、閾値を越えるほど大きくない場合がある。したがって、上記の開回路作成回路は、血液ポンプ経路に配置される。これは、電流が血液ポンプ経路中の血液を通って流れるのを事実上妨げ、事実上強制的に全ての電流を患者アクセス経路に通す。
【0015】
患者接地の影響に対処するための別の装置および方法は、血液回路接点を可能な限り患者の近くに移動させることである。血液回路接点から患者アクセスまでのインピーダンスを低減することは、並列電流経路の影響を最小化するため、少なくとも部分的には有益であると判定されている。これは、血液回路接点を可能な限り患者の近くに移動させ、接点から患者アクセスまでの管類の長さ、したがって、そのような管類の長さのインピーダンスを最小化することによって行うことができる。
【0016】
患者接地の影響に対処するためのさらなる装置および方法は、接地電流経路に、例えば、透析液経路に、第2の感知回路を配置することである。ここで、透析液管類に一対の接点が追加される。これらの接点は、使い捨てではなく、したがって、使い捨ての費用を増大させない。接地経路のインピーダンスは、針除去時に増加する。患者アクセスを検出するために、接地経路への患者のみを使用することができる。患者が接地されていない場合、回路がこの状態を検出し、代わりにアクセス切断検出のために、システムに血液回路感知回路を使用させる。さらなる代替実施では、システムは、血液回路および接地ループ回路からの信号を組み合わせて、アクセス切断を検出する。
【0017】
透析液経路を使用してアクセス切断を検出するためのシステムおよび方法を下記でさらに記載する。ここでは、複数セットの接点が、透析装置を往復する透析液管類に配置される。上記の開回路作成回路は、接点対のうちの2つに接続され、接点の間に電気開放回路を作成する。これは、透析回路内に誘導された全誘導電流を、透析装置、血液回路、および患者アクセスを通して接地へと強制的に流す。患者は、電流がアース接地を通ってシステムの分離接地へと戻るように接地される。システムは、例えば、血液圧力カフを通して、患者に接続される接地ストラップを提供する。接地ストラップは、アース接地またはシステム接地に接続することができる。このシステムは、流体接点を透析液経路に配置し、流体接点が各療法後に廃棄される必要がないため、有利である。
【0018】
本開示の利点は、アクセス切断を検出するための改良型デバイス、装置、システム、および/または方法を提供することである。
【0019】
本開示のさらなる利点は、透析療法を含む内科的療法中に患者からのアクセスデバイスの除去を検出するための改良型デバイス、装置、システム、および/または方法を提供することである。
【0020】
本開示の別の利点は、透析療法中に針の脱落を検出するための改良型デバイス、装置、方法、および/またはシステムを提供することである。
【0021】
本開示のさらに別の利点は、自己療法および在宅血液透析治療中にアクセス切断を検出するための、高感度、特異的、および応答性の装置および/またはデバイスを提供することである。
【0022】
さらに、本開示の利点は、非医療設備で患者または他の非医療関係者が患者の循環系の一部分を使用する透析療法を施与できるようにするための可変デバイスまたは装置を提供することである。
【0023】
なおもさらに、本開示の利点は、直流導電率測定を使用する、アクセス切断を検出するための改良型装置を提供することである。
【0024】
なおもさらに、本開示の利点は、流体中の電気回路、および血液回路を通って流れる血液との電気接点を採用して、直流導電率測定が行われることを可能にする、アクセス切断検出デバイス、方法、および/またはシステムを提供することである。
【0025】
その上、本開示の利点は、患者からの失血を監視および/または制御するための改良型デバイス、システム、および方法を提供することである。
【0026】
本開示の別の利点は、透析療法中に、それを通って血液が流れる患者に挿入された針の除去等のアクセス切断を検出し、結果として生じる失血を最小化することが可能な装置、デバイス、および/またはシステムを採用する、透析のための改良型方法である。
【0027】
本開示のさらに別の利点は、電気接点を流体回路に接続し、電気接点と流体回路を通って流れる流体との間の流体および電気的な連絡を可能にするための、改良型デバイスである。
【0028】
本開示のさらに別の利点は、強化された感度、正確性、および応答性により、透析療法中の針の脱落等のアクセス切断を検出するための改良型装置、デバイス、システム、および/または方法である。
【0029】
本開示のなおもさらなる別の利点は、内科的療法、例えば、薬剤送達および単一針血液透析療法中の、例えば、単一アクセスデバイスの除去による、流体喪失の検出のための、改良型装置、デバイス、システム、および/または方法である。
【0030】
本開示のなおもさらなる利点は、ADSシステムまたは本明細書に記載のシステムと同様に動作するものを持たない既存の機械に据え付けることができる、例えば、内科的療法中の単一アクセスデバイスの除去による、流体喪失の検出のための、改良型装置、デバイス、システム、および/または方法である。
【0031】
本開示のなおもさらなる利点は、接地電流経路中に開回路を作成することによって、患者接地の影響に対処し、感知されたインピーダンスを強化する、アクセス切断システムを提供することである。
【0032】
本開示の別の利点は、血液接点を患者の近くに移動させることによって、患者接地の影響に対処する、アクセス切断システムを提供することである。
【0033】
本開示のさらなる利点は、第2の感知回路を接地電流ループに配置することによって、患者接地の影響に対処する、アクセス切断システムを提供することである。
【0034】
本開示のさらに別の利点は、接点が使い捨てではないように流体接点を透析液回路に配置する、アクセス切断システムを提供することである。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
体外回路と、
該体外回路の中に提供される、第1および第2の接点と、
該第1の接点と連絡し、該体外回路を通って流れる流体内で信号を生成するように構成される、信号源と、
該第2の接点と連絡する、分離接地と、
該体外回路からアース接地までの経路に沿う複数の点において電圧を印加するように配置される装置であって、該電圧は、該信号の少なくとも一部分がアース接地を通って該分離接地へと伝わることを防止するのに役立つ、装置と
を備える、アクセス切断システム。
(項目2)
前記信号源は、電圧源と、前記信号が電流信号であるように配置される抵抗器とを含む、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目3)
前記装置は、前記経路に沿う前記複数の点において前記電圧を複製するように配置される、増幅器である、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目4)
プロセッサと、前記信号源と該プロセッサとの間に配置される信号調節とを含み、前記信号は、第1の信号であり、かつ該信号調節によって調節され、前記体外回路からの患者切断を判定するために該プロセッサに送信される、第2の信号を含む、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目5)
前記信号調節は、増幅器およびアナログ・デジタル変換器のうちの少なくとも1つを含む、項目4に記載のアクセス切断システム。
(項目6)
前記第2の信号は、前記体外回路のインピーダンスを示す、項目4に記載のアクセス切断システム。
(項目7)
前記第2の信号は、デジタル化された信号である、項目4に記載のアクセス切断システム。
(項目8)
前記体外回路からアース接地までの前記経路は、透析装置および透析液流路のうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目9)
前記体外回路は、(i)前記第1の接点と該体外回路によって動作可能なポンプとの間の管区分の中の血液のインピーダンス、(ii)ポンプ管区分の中の血液のインピーダンス、(iii)前記ポンプと該体外回路によって動作可能な透析装置との間の管区分の中の血液のインピーダンス、(iv)該透析装置と前記第2の接点との間の管区分の中の血液のインピーダンス、(v)該第2の接点と第2の患者アクセス点との間の管区分の中の血液のインピーダンス、および(vi)第1の患者アクセス点と該第1の接点との間の管区分の中の血液のインピーダンス、から成る群より選択される少なくとも1つのインピーダンスを産出する、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目10)
前記第1の接点は、前記体外回路の動脈経路に配置され、前記第2の接点は、該体外回路の静脈経路に配置される、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目11)
前記装置は、第1の装置であり、前記電圧は、第1の電圧であり、前記経路は、第1の経路であって、前記体外回路の第2の経路に沿う複数の点において第2の電圧を印加するように構成される第2の装置を含み、該第2の電圧は、前記信号の少なくとも一部分が該体外回路のポンプ管区分を通って伝わることを防止するの役立つ、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目12)
前記第2の装置は、前記第2の経路に沿う前記複数の点において電圧を複製するように配置される、増幅器である、項目11に記載のアクセス切断システム。
(項目13)
前記第1および第2の電圧は、少なくとも実質的に同一である、項目11に記載のアクセス切断システム。
(項目14)
前記第2の経路に沿う複数の点において印加される前記第2の電圧は、前記体外回路の患者アクセス部分を通る前記信号のより多くを短絡することに役立つ、項目11に記載のアクセス切断システム。
(項目15)
体外回路と、
該体外回路の中に提供される、第1および第2の接点と、
該第1および第2の接点のうちの少なくとも1つと連絡し、該体外回路を通って流れる流体内で電流を生成するように構成される、電流源と、
該体外回路に並列な経路に沿った複数の点において信号を印加するように配置される装置であって、該信号は、該電流の少なくとも一部分が該並列経路を通って伝わることを防止するのに役立つ、装置と
を備える、アクセス切断システム。
(項目16)
前記並列経路は、前記システムのアース接地から分離接地までの経路を含む、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目17)
前記電流源は、抵抗器と直列な電圧源を含む、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目18)
前記信号は、患者アクセス切断後においてさえ、前記電流の前記一部分が前記並列経路を通って伝わることを防止するのに役立つ、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目19)
体外回路と、
該体外回路の中に提供される、第1および第2の接点と、
該第1および第2の接点のうちの少なくとも1つと連絡し、該体外回路を通って流れる流体内で信号を生成するように構成される、信号源と、
該体外回路に並列な経路に沿う複数の点において電位を印加するように配置される装置であって、該印加される電位は、該複数の点の間で仮想の開回路を作成する、装置と
を備える、アクセス切断システム。
(項目20)
前記電位は、前記信号の少なくとも一部分が前記体外回路に並列な接地経路を通って伝わることを防止するのに役立つ、項目19に記載のアクセス切断システム。
(項目21)
体外回路と、
透析液回路と、
該体外回路を通って流れる流体によって産出される第1のインピーダンスを示す第1の信号を感知するように構成される、第1の感知装置と、
該透析液回路を通って流れる流体によって産出される第2のインピーダンスを示す第2の信号を感知するように構成される、第2の感知装置と
を備える、アクセス切断システム。
(項目22)
前記体外回路の中に提供される第1および第2の接点と、該第1および第2の接点のうちの少なくとも1つと連絡し、該体外回路を通って流れる流体内で信号を生成するように構成される、信号源とを含む、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目23)
前記信号源によって生成される前記信号は、前記第1および第2の信号部分に分割される、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目24)
前記第2の信号部分は、(i)前記第1の信号部分と並列である、(ii)接地ループの中に提供される、および(iii)接地に対する患者の電位を示す、から成る群より選択される少なくとも1つの特性を有する、項目23に記載のアクセス切断システム。
(項目25)
前記第1および第2の感知装置と連絡する制御装置であって、前記第2の信号が閾値以下である場合に、アクセス切断に対して前記第1の信号のみを監視するように構成される、制御装置を含む、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目26)
前記第1および第2の感知装置と連絡する制御装置であって、前記第2の信号が閾値以上である場合に、アクセス切断に対して該第2の信号のみを監視するように構成される、制御装置を含む、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目27)
前記第1および第2の感知装置と連絡する制御装置であって、アクセス切断に対して前記第1および第2の信号を監視するように構成される、制御装置を含む、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目28)
前記第1および第2のインピーダンスのうちの少なくとも1つは、集中インピーダンスである、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目29)
前記体外回路を通って流れる前記流体は、少なくとも実質的に血液であり、前記透析回路を通って流れる前記流体は、少なくとも実質的に透析液である、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目30)
体外回路と、
該体外回路の中に提供される、動脈および静脈接点と、
動脈および静脈患者アクセス装置と、
該動脈および静脈接点のうちの少なくとも1つと連絡し、該体外回路を通って流れる流体内で信号を生成するように構成される、信号源と、
該体外回路を通って流れる流体によって産出される第1のインピーダンスを示す該信号の第1の部分を感知するように構成される、感知装置と
を備え、
該動脈および静脈接点のうちの少なくとも1つは、並列接地ループを通って流れる流体によって産出される第2のインピーダンスを示す該信号の第2の部分が無視されることができるように、各動脈および静脈患者アクセス装置の十分近くに配置される、アクセス切断システム。
(項目31)
前記第1および第2のインピーダンスのうちの少なくとも1つは、集中インピーダンスである、項目30に記載のアクセス切断システム。
(項目32)
前記動脈および静脈接点のうちの少なくとも1つは、前記各動脈および静脈患者アクセス装置の十分近くに配置されるために、前記信号の前記第1の部分の大部分は、該動脈および静脈患者アクセス装置を通って流れる、項目30に記載のアクセス切断システム。
(項目33)
体外回路と、
透析液回路と、
該透析液回路に沿う複数の点において電位を印加するように配置される装置であって、該印加される電位は、該複数の点の間で仮想の開回路を作成する、装置と、
該複数の点から該体外回路まで延在する、電気経路と、
患者を接地させるように構成されるデバイスであって、これにより、該患者が該体外回路に、および接地デバイスに接続されると、該電気経路が該体外回路から接地まで延在する、デバイスと
を備える、アクセス切断システム。
(項目34)
前記接地は、アースおよび分離接地のうちの一方である、項目33に記載のアクセス切断システム。
(項目35)
前記電気経路に配置される感知装置と、信号を該電気経路内へ誘導するように構成される信号源とを含み、該感知装置は、該信号を感知し、該信号は、該電気経路のインピーダンスを示す、項目33に記載のアクセス切断システム。
(項目36)
インピーダンスは、前記体外回路からの前記患者のアクセス切断時に増加し、電子機器は、前記感知装置が該体外回路からの該患者のアクセス切断を示すインピーダンスの増加を感知すると、警報を発生させるように構成される、項目35に記載のアクセス切断システム。
(項目37)
前記接地デバイスは、前記患者から可撤的に接続するように構成される、項目33に記載のアクセス切断システム。
(項目38)
前記透析液回路に沿う前記複数の点は、再利用可能な導電性結合器を含む、項目33に記載のアクセス切断システム。
(項目39)
体外回路と、
透析液回路と、
該透析液回路から該体外回路まで延在する、電気経路と、
信号源であって、信号を該信号源から該電気経路内へ誘導するように構成される、信号源と、
該信号を感知するように構成される感知装置であって、該信号は該電気経路のインピーダンスを示す、感知装置と
を備える、アクセス切断システム。
(項目40)
患者を接地させるように構成されるデバイスを含み、これにより、該患者が前記体外回路に、および接地デバイスに接続されると、前記電気経路が該体外回路から接地まで延在する、項目39に記載のアクセス切断システム。
(項目41)
前記感知装置が、前記体外回路からの患者の切断に起因するインピーダンスの増加を感知すると、警報を発生させるように構成される、電子機器を含む、項目39に記載のアクセス切断システム。
(項目42)
前記インピーダンスの増加は、前記アクセス切断時に、前記体外回路のより大きいインピーダンス経路を通って短絡されている前記信号による、項目41に記載のアクセス切断システム。
(項目43)
前記透析液回路に沿う複数の点において電位を印加するように配置される装置を含み、該印加される電位は、該複数の点の間で仮想の開回路を作成する、項目39に記載のアクセス切断システム。
(項目44)
前記信号源および感知装置のうちの少なくとも1つは、前記複数の点と前記体外回路との間の前記透析液回路における前記電気経路と連絡する、項目43に記載のアクセス切断システム。
(項目45)
体外回路と、
透析液回路と、
信号を該透析液回路内へ誘導するように構成される、信号源と、
該信号を感知するように構成される感知装置であって、該信号は、該体外回路における少なくとも1つの電気インピーダンスおよび該透析液回路における少なくとも1つの電気インピーダンスを示す、感知装置と
を備える、アクセス切断システム。
(項目46)
前記透析液回路に沿う複数の点において電位を印加するように配置される装置を含み、該印加される電位は、該複数の点の間で仮想の開回路を作成する、項目45に記載のアクセス切断システム。
(項目47)
前記複数の点の1つの側に位置する前記信号源から、前記体外回路を通り、アース接地への経路を通り、該複数の点の第2の側に位置する前記透析液回路を通り、分離接地まで延在する、電気経路を含む、項目45に記載のアクセス切断システム。
(項目48)
少なくとも1つの管路クランプおよび無線レシーバを含む保護装置モジュールであって、信号が該無線レシーバによって受信されると、該少なくとも1つの管路クランプを使用して、動脈および静脈管路のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に閉塞することが可能となるように、血液治療機械に対して配置されるように構成される、保護装置モジュールと、
センサおよび無線エミッタを含む検出器モジュールであって、患者からの該動脈および静脈管路のうちの1つの切断を感知し、かつ、該無線エミッタを介して該信号を該保護装置モジュールの該無線レシーバに送信することが可能となるように、該動脈および静脈管路に対して配置されるように構成される、検出器モジュールと
を備える、アクセス切断システム。
(項目49)
(i)前記保護装置モジュールは、前記血液治療機械に可撤的に取着可能である、および(ii)前記検出器モジュールは、前記動脈および静脈管路に解除可能に取着可能である、のうちの少なくとも1つである、項目48に記載のアクセス切断システム。
(項目50)
前記検出器モジュールの前記センサは、(i)前記動脈および静脈管路を通って流れる流体に接触する一式の導体、(ii)該動脈および静脈管路のうちの少なくとも1つの内部の該流体に信号を注入するように構成される信号源、(iii)該動脈および静脈管路のうちの少なくとも1つの内部の該流体のインピーダンスの変化を検出するように構成される感知装置、(iv)信号調節、および(v)論理制御のうちの少なくとも1つを含む、項目48に記載のアクセス切断システム。
【0035】
本開示の付加的な特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態および図面に記載され、そこから明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】図1Aは、それを通って血液が体外システムを往復して流れる、患者の体内に挿入可能な2本の針を示す、本開示の一実施形態の概略図を図示する。
【図1B】図1Bは、透析療法中に針の除去を検出することが可能な、本開示の一実施形態の概略図を図示する。
【図1C】図1Cは、1本の針を介して施与される内科的療法中のアクセス切断検出能力を示す、本開示の一実施形態の斜視図を図示する。
【図2A】図2Aは、本開示の一実施形態における電気接点結合デバイスの分解図を図示する。
【図2B】図2Bは、本開示の一実施形態における図2Aの結合デバイスの側断面図を図示する。
【図2C】図2Cは、本開示の結合デバイスの別の実施形態を図示する。
【図2D】図2Dは、結合デバイスの構成要素間のネジ式係合を示す、本開示の結合デバイスの別の実施形態を図示する。
【図2E】図2Eは、図2Dの断面図を図示する。
【図3】図3は、治療中に基準インピーダンスの変化を補正するための測定可能な電圧信号の処理に関する、本開示の一実施形態を図式的に図示する。
【図4A】図4Aは、本開示の一実施形態における血液透析機械を図式的に図示する。
【図4B】図4Bは、本開示の一実施形態における管類セットを介して患者のアクセスに結合される血液透析機械を図式的に図示する。
【図5】図5Aおよび5Bは、本開示の一実施形態による、結合器を図示する。
【図6】図6は、本開示の一実施形態による、透析装置を図示する。
【図7】図7Aおよび7Bは、本開示の一実施形態による、センサアセンブリを図示する。
【図8】図8Aおよび8Bは、本開示の一実施形態による、単一部品センサを図示する。
【図9】図9は、本開示の一実施形態による、多重チャンババッグを図示する。
【図10】図10は、本開示の一実施形態による、剥離可能なシールを伴う多重チャンババッグを図示する。
【図11】図11は、本開示の一実施形態による、自動腹膜透析システムを図示する。
【図12】図12は、既存の血液治療機械に容易に据え付けることができる、本明細書のアクセス切断方法を採用するアクセス切断システムの一実施形態の等角図である。
【図13】図13は、図12のアクセス切断システムの検出器モジュールを図式的に図示する。
【図14】図14は、図12のアクセス切断システムの保護装置モジュールを図式的に図示する。
【図15】図15は、血液回路および並列アース経路をモデル化する概略電気回路図である。
【図16】図16は、除去された両方の針を示す、並列アース経路のない、血液回路および感知回路をモデル化する概略電気回路図である。
【図17】図17は、除去された少なくとも1本の針を示す、並列アース経路のない、血液回路および感知回路をモデル化する概略電気回路図である。
【図18】図18は、除去された少なくとも1本の針、およびアースを通る分離接地への並列電流経路を示す、並列アース経路を伴う、血液回路および感知回路をモデル化する概略電気回路図である。
【図19】図19は、図18のシステムについてキロオームで対比した、接地された患者の留置と接地された患者の除去とを対比した、デジタル化された感知インピーダンス信号のプロットである。
【図20】図20は、患者接地の影響に対処するため、蠕動ポンプとともに動作する血液管類を通るインピーダンスを増加させるための1つのシステムを示す、概略電気回路図である。
【図21】図21は、図20のシステムについてキロオームで対比した、接地された患者の留置と接地された患者の除去とを対比した、デジタル化された感知インピーダンス信号のプロットである。
【図22】図22は、患者アクセスからの異なる血液接点間隔に対する、高導電率および低導電率血液のデジタル化された感知したインピーダンス信号を示す、患者接地の影響に対処するための別のシステムのプロットである。
【図23】図23は、二重感知回路、血液経路の第1の回路感知インピーダンス、接地経路の第2の回路感知インピーダンスを使用する、患者接地の影響に対処するためのさらなるシステムを示す、概略電気回路図である。
【図24】図24−27は、図23のシステムの両方の感知回路についてキロオームで対比した、留置と除去とを対比した、デジタル化された感知インピーダンス信号の種々のプロットである。
【図25】図24−27は、図23のシステムの両方の感知回路についてキロオームで対比した、留置と除去とを対比した、デジタル化された感知インピーダンス信号の種々のプロットである。
【図26】図24−27は、図23のシステムの両方の感知回路についてキロオームで対比した、留置と除去とを対比した、デジタル化された感知インピーダンス信号の種々のプロットである。
【図27】図24−27は、図23のシステムの両方の感知回路についてキロオームで対比した、留置と除去とを対比した、デジタル化された感知インピーダンス信号の種々のプロットである。
【図28】図28は、患者接地の影響に対処し、両方の針が除去された状態でインピーダンスを感知するための透析液経路を使用するためのさらなるシステムを示す、概略電気回路図である。
【図29】図29は、静脈針が除去された、図28のシステムの概略電気回路図である。
【図30】図30−32は、図28および29の透析液感知システムについて時間で対比した、出力電圧またはデジタル化されたインピーダンス信号の種々のプロットである。
【図31】図30−32は、図28および29の透析液感知システムについて時間で対比した、出力電圧またはデジタル化されたインピーダンス信号の種々のプロットである。
【図32】図30−32は、図28および29の透析液感知システムについて時間で対比した、出力電圧またはデジタル化されたインピーダンス信号の種々のプロットである。
【図33】図33は、図28および29の透析液感知システムと関連するハードウェアを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、アクセス切断を検出するための医療デバイス、装置、システム、および方法を提供する。より具体的には、本開示は、流体回路と流体接触および電気的に連絡している電気接点を伴う電気回路を部分的に採用する、医療デバイス、装置、システム、および方法を提供し、患者と流体回路との間で流体がそれを通って流れる、針または他のアクセスデバイスの除去を即時に検出することができるように、直流導電率測定が使用されることを可能にする。例えば、透析療法、薬剤送達、または同等物等の医療治療を受けている患者からの針の除去による、流体喪失(例えば、失血)を制御可能に最小化することができる。
【0038】
本開示は、針の除去の検出に限定されるのではなく、任意の好適なアクセスデバイスの除去または切断を検出するために利用できることを理解されたい。本明細書で使用されるように、「アクセス切断」という用語または他の類似用語は、流体回路に結合された電気接点間の電気的導通の変化が検出できる状態で患者に接続された、流体回路に沿って流れる導電性流体の喪失または漏出を引き起こし得る、任意の好適な状態または事象を意味することができる。インピーダンス等の電気値によって測定されるような電気的導通の変化は、患者からのアクセスデバイスの除去がない場合でさえも、検出され得ることを理解されたい。本明細書で使用されるような「アクセスデバイス」という用語、または他の類似用語は、血液を含む流体が、アクセスデバイスを介して、患者へと、患者を通って、および/または患者から通過することができるように、患者の体内に挿入することができる、好適なデバイスを意味することができる。アクセスデバイスは、種々の異なる好適な形状、サイズ、および材料構成を含むことができる。アクセスデバイスの実施例は、針、カテーテル、およびカニューレを含む。アクセスデバイスは、例えば、ステンレス鋼、プラスチック、または類似生体適合性材料を含む、任意の好適な材料で作ることができる。
【0039】
下記で説明される実施形態では、装置および/またはデバイスは、血液透析、血液濾過、または血液透析濾過等の透析療法で使用するために設計されているが、本開示は、体外血液システム等の種々の異なる好適な流体システムを採用する、多数の異なる内科的療法で使用できることに留意されたい。例えば、本開示のシステムは、患者と流体システムとの間で、医療溶液または薬物、血液、血液製剤、処理血液、または同等物を送達するために患者の体内に挿入可能な1本の針の使用を採用することができる、静脈内注射中に使用することができる。さらに、本開示のシステムは、全血を血漿および細胞成分に分離するために膜が使用される、血漿交換療法で使用することができる。
【0040】
透析療法に関して、本開示のシステムは、腎不全を治療する種々の異なる治療法で使用することができる。本文の全体を通して使用されるような用語または類似用語としての透析療法は、患者から老廃物、有害物質、および過剰水を除去するために患者の血液を利用する、任意の形態および全ての形態の治療法を内含および包含するように意図されている。透析療法は、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、および持続的腎置換療法(「CRRT」)を含む。CRRTは、持続的緩徐式限外濾過(「SCUF」)、持続的静脈−静脈血液濾過(「CVVH」)、持続的静脈血液透析(「CVVHD」)、および持続的静脈−静脈血液透析濾過(「CVVHDF」)を含む。透析療法はまた、持続的携帯式腹膜透析、自動腹膜透析、および連続流腹膜透析等の、腹膜透析を含むことができる。さらに、本開示は、一実施形態においては、慢性腎不全または疾患を有する患者のために透析療法を提供する方法で利用することができるが、本開示は、急な透析の必要性のために、例えば、緊急治療室の設定で使用できることを理解されたい。最後に、断続的な形態の治療法(すなわち、血液濾過、血液透析、および血液透析濾過)が、施設内、自己/限定的ケア、および家庭の設定で使用されてもよい。
【0041】
一実施形態においては、本開示のシステムは、流体回路と流体接触および電気的に連絡している、一対の電気接点等の、多数の電気接点を伴う電気回路を含む。電気接点は、任意の好適なデバイスを含むことができ、それを通る導電性経路またはその中の導体ループを画定するように、流体回路との電気接続を行うことができる。次いで、以下に記載のようなアクセス状態の変化に応じて、電気値または導体ループと関連する任意の好適なパラメータの変化を監視することができる。一実施形態においては、電気接点は、以下で論じられるように、流体回路を通って流れる流体と流体接触して電気接続を行うことができるように、流体回路に結合することができる電極を含む。
【0042】
例えば、導電性流体回路の少なくとも一部分に沿ってループを画定するために、電極の間を流れる流体と接触している電極対を介して、定電流または他の好適な電気信号を流体回路に注入することができる。次いで、アクセス切断に応じて、電気値、例えば、インピーダンスの変化を測定することができる。これは、患者の体内に挿入された1本の針、複数の針、または他のアクセスデバイスを介して、患者と流体システム(すなわち、体外血液システム)との間を流れる際に、血液、医療溶液、または同等物を含む、導電性流体等の流体のインピーダンスまたは他の好適な電気パラメータの変化を検出することが可能な、直流導電率測定を提供することができる。
【0043】
本開示のシステムは、それを通って血液または他の好適な流体が、例えば、透析療法中に使用される血液回路等、患者へと、患者を通って、または患者から流れることができる、針(例えば、静脈針および/または動脈針)または他のアクセスデバイスの除去を効果的に検出することができる。本開示の検出能力は、例えば、患者からのアクセスデバイスの切断に由来する流体喪失による、1つまたは複数の導電性流体のインピーダンスの測定可能な変化に基づいて、即時的であると考えられる。
【0044】
本開示の即時検出能力は、特に、透析療法に適用される際に重要であり、検出および失血を止めるための対応措置の遅延が発生した場合、有意量の失血が、比較的短期間に発生し得る。典型的な透析条件下で、除去による失血が検出されて止められる前に、20秒以上が経過した場合、400ミリリットル/分という典型的な血流流量に基づいて、100ミリリットル以上の血液が喪失され得る。
【0045】
出願人らは、その即時検出能力に加えて、高度の感度および特異性により、特に、透析療法中の静脈針の除去に応答して、本開示がアクセス切断を検出できることを発見した。本開示の直接接触測定は、透析療法中に血液が血液回路を通って流れる際に、針の除去などによる、電気値、例えば、インピーダンスの変化を検出することが可能である。本明細書で使用されるような、「電気値」という用語、または他の類似用語は、インピーダンス、抵抗、電圧、電流、それらの変化率、およびそれらの組み合わせ等の、任意の好適な電気パラメータを意味する。インピーダンスまたは同等物の変化の検出は、針が除去されたか、または他の類似状態が発生したという指示である。本開示の検出能力はまた、たとえ1本または複数の針が除去されていなくても、流体回路の切断に起因する、内科的療法中の失血を効果的に検出することもできることに留意されたい。本開示のシステムは、高度の感度および特異性により、失血によるインピーダンスまたは同等物の変化を即時に測定する、本開示の能力に基づいて、患者からの失血を制御可能に最小化することができる。
【0046】
本開示のデバイスおよび装置は、流体喪失、特に、針の除去または同等物による失血を効果的に監視することができるように、適用された内科的療法に応じて、種々の異なる構成要素および構成を含むことができる。
【0047】
(多重アクセス切断)
ここで図1Aを参照して、本開示の装置10の一実施形態は、血液回路16の血液管類セット14と流体接触している、一対の電気接点12を含む。血液回路16は、例えば、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、持続的腎置換、または同等物、または血漿療法を含む、透析療法に適用される際に、患者18を体外血液システム20に接続する。一対の電気接点12は、血液回路16の第1の管部材26および第2の管部材28のそれぞれに取着される、第1の電気接点22および第2の電気接点24を含む。第1の管部材26は、患者の血管アクセス領域(図示せず)に挿入された静脈針または他の好適なアクセスデバイスに接続される。第2の管部材28は、患者の血管アクセス領域(図示せず)に同様に挿入された動脈針または同等物に接続される。透析療法中、例えば、血液は、第2の管部材28を経由して、患者18から動脈針を通って体外血液システム20(例えば、透析機械)へと流れ、血液は、治療され、第1の管部材26を経由して、静脈針を通って患者18に送達される。
【0048】
血液が透析療法中に血液回路を通って流れるとき、制御装置29および関連電子機器は、電気接点対12、例えば、以下に記載のような電極対を介して血流に注入または渡される、定電流または同等物を生成する。次いで、制御装置29または他の好適な電子デバイスに接続された電極対12は、未知の流体(例えば、血液)インピーダンスまたは他の類似電気値にわたる電圧変化を測定して、血管アクセス領域にわたるインピーダンスまたは同等物の変化を検出するために使用することができる。一実施形態においては、流体回路に電気信号を注入するために1つの電極を使用することができる一方で、電気値の変化を感知し、処理および検出目的で同変化を示す電気信号を送出するために、他方の対の電極を使用することができる。血液回路からの静脈針および動脈針のうちの少なくとも1つの除去、または他の好適な状態の際に、正常な動作条件下で測定されるインピーダンスまたは他の好適なパラメータと比較して、インピーダンスまたは同等物の即時かつ検出可能な増加を測定することができる。
【0049】
図1Aで具体化されるような本開示は、適用されるような内科的療法に応じて、種々の好適な方法で修正できることを理解されたい。例えば、静脈および動脈針は、透析療法中に、上腕、前腕、上部大腿域、または同等物等の患者の身体の任意の好適な部分において、患者の血管アクセスに挿入することができる。以前に論じられているように、本開示は、静脈内注射、血漿交換、薬剤送達、薬物送達、血液送達、および透析療法(すなわち、血液濾過、血液透析、血液透析濾過、および持続的腎置換)を含む、種々の異なる内科的療法に適用することができる。
【0050】
図1Bに図示されるように、本開示の透析システム等のシステム30の一実施形態は、透析療法中に適用されるとして示されている。一実施形態においては、本開示は、患者アクセス36内に挿入された静脈針32および動脈針34を含む。静脈針32および動脈針34は、それぞれ、静脈管路26および動脈管路28を介して血液回路35に接続される。他の管38は、例えば、静脈滴下チャンバ40、透析装置42、動脈滴下チャンバ44、および血液ポンプ46を含む、血液回路35の種々の構成要素を接続する。血液回路に結合される透析機械内に、透析システムの構成要素のうちの1つ以上を提供できることを理解されたい。
【0051】
図1Bに示されるように、第1の電気接点結合デバイス48および第2の電気接点結合デバイス50は、静脈針32/動脈針34と、静脈滴下チャンバ40、透析装置42、動脈滴下チャンバ44、および血液ポンプ46を接続する管38との間で、血液回路35中に配置される。本明細書で使用されるような、「電気接点結合バイス」、「結合デバイス」という用語、または他の類似用語は、電気接点を流体回路に接続するために使用することができる、任意の好適なデバイスを意味することができる。一実施形態においては、電気接点結合デバイスは、電気接点を流体回路に接触させるために使用することができ、以下に記載のような流体回路を通って流れる流体との流体接触および電気接続を可能にする。
【0052】
一実施形態において、電気接点対は、制御装置52または他の好適な電子デバイスに接続される。制御装置は、血液が血液回路を通って流れる際に、電極対を介して血液および/または他の流体に電気信号を注入するために使用することができる。これは、導体ループを提供し、それに沿って、電気パラメータまたは値の変化を測定することができる。電極対に結合される制御装置52はまた、この変化を測定するためにも使用することができる。制御装置52は、電気信号を血液回路に入力して導体ループを画定するため、導体ループと関連する電気パラメータまたは値の変化を測定するため、および/または以下で論じられるように検出可能な信号の処理等の任意の他の好適な作業を行うために、電気接点と電気的に接続している単一の電子デバイスまたは任意の好適な数のデバイスを含むことができることを理解されたい。
【0053】
電気信号は、一実施形態においては、除去が発生するまで電極に供給される定電流から生成される。次いで、アクセス状態の変化によるインピーダンスを検出するように、血液回路を通って循環する流体(例えば、血液)の未知のインピーダンスにわたる電圧を測定することができる。しかしながら、以前に論じられているように、針の脱落または同等物を検出するように、任意の好適な電気パラメータおよびその変化を監視できることを理解されたい。
【0054】
以下で明示されるように、本開示の検出能力は、高感度、特異的で、針の除去等のアクセス切断に応じて、事実上即時的である。さらに、本開示の電子回路は、設計が比較的単純であり、直流導電率測定を行うために1つの電極対しか必要ではない。これは、以前に論じられているような容量結合器および誘導コイル等の非侵襲検出技術のみを採用する、既知の血管アクセス監視技術と比較して、費用および労力を削減する。
【0055】
出願人らは、測定される全インピーダンス(「Z」)を、透析システムおよび/または同等物のポンプ区間、透析装置、滴下チャンバ、および/または他の好適な構成要素によってもたらされる1つのインピーダンス(「ZD」)と並列する、2つの集中インピーダンスとしてモデル化できることを発見した。その他方のインピーダンス構成要素(「ZP」)は、患者の血管アクセス、血管アクセスおよび/または同等物を往復して血液を搬送する関連管類によって形成される。測定される全インピーダンスは、次のように、ZDおよびZPの両方の関数として特徴付けることができる。
【0056】
Z=(1/ZD+1/ZP)−1
この並列インピーダンスにもかかわらず、出願人らは、針の除去等のアクセス切断に応じて、血液が血液回路を通って流れる際に、導体ループに沿ったインピーダンスの変化を測定するために、制御装置と接続している電気接点を使用できることを見出した。針の除去が発生した場合に、流体回路の少なくとも一部分に沿った導体ループは、閉回路から開回路へと変化し、したがって、Z=ZDへと変化し、ここにZPは無限に近づく。本開示の直流伝導測定能力は、アクセス切断を検出するために効果的に使用することができる。
【0057】
出願人らは、ZD構成要素が、透析システム、および、例えば、血液ポンプ、滴下チャンバ、および/または同等物を含む、その構成要素等の、流体回路に結合された医療システムの構成要素の時変高インピーダンスと関連する、あるレベルの電気的相互作用をもたらし得ることに注目している。出願人らは、必要であれば、ZD構成要素による相互作用を効果的に排除または少なくとも低減できることを見出した。一実施形態においては、Zまたは同等物の検出と関連する信号を、以下で論じられるように、さらに処理することができる。代替として、一実施形態においては、本開示の電気回路は、以下に記載のように、血液回路に沿って画定された導体ループまたは経路から、透析システムの1つ以上の構成要素を遮断または迂回するように設計することができる。アクセス切断の検出に関する正確性、感度、および応答性は、強化することができる。
【0058】
一実施形態においては、血液ポンプおよび同等物等の、血液回路に結合された高インピーダンス構成要素に対する相互作用を最小化するか、または効果的に排除するために、第3の電気接点53を利用することができる。任意の好適な方法で、付加的な接点を作成することができる。例えば、第3の接点は、電極または他の好適なデバイスとなり得て、それを介して、それと結合デバイスの電極のうちの1つとの間に電気的導通を確立することができる。一実施形態においては、第3の電気接点は、流体回路を通って流れる流体と流体的および電気的に連絡している、流体回路に取着することができる。
【0059】
第3の接点53は、血液回路に沿った任意の好適な位置に配置することができる。図示された実施形態における第3の接点53は、図1Bに示されるように、血液ポンプ46と動脈結合デバイス50との間の任意の好適な場所に配置される。次いで、等化電位を、第3の接点53と結合デバイス50の電極との間に印加することができる。この電位は、第1の結合デバイス48と第2の結合デバイス50との電極の間に印加される電位に等しい電圧で、印加される。
【0060】
これは、いったん血液回路に注入されると、電流または同等物を、透析システムの構成要素のうちの1つ以上を効果的に迂回させる。一実施形態においては、電流または同等物が、図1Bに示されるような透析システムの構成要素の全てを効果的に迂回するように、第3の接点53を配置することができる。つまり、接点50と53とに印加されるものと同一の電圧は、接点50と53との間に仮想の開回路を作成するので、結合器48または50のいずれかにおいて、制御装置および関連電子機器52によって管38に注入された電流が、管/患者アクセス36、ならびに、静脈滴下チャンバ40、透析装置42、動脈滴下チャンバ44、および血液ポンプ46を含む残りの体外回路を通って分かれるよりもむしろ、静脈管26、動脈管28、および患者アクセス36を通る最小抵抗の経路を事実上完全に辿る。
【0061】
(単一アクセス切断)
本開示の電気接点は、患者の体内に挿入された1本の針、複数の針、または好適なアクセスデバイスに対して、任意の好適な場所に配置することができる。図1Cに図示されるように、患者の体内に挿入された単一のアクセスデバイスの除去等の、アクセス検出の検出に関して適用されるような、本開示の一実施形態が示されている。この種類の用途は、静脈内注射、ならびに血液透析、血液濾過、血液透析濾過、および持続的腎置換を含む透析療法を含む、1本の針等の単一アクセスデバイスを介して施与される、種々の異なる好適な内科的療法に適用可能である。
【0062】
適用されると、血液、血液製剤、流体薬剤、または同等物等の導電性流体は、単一アクセスデバイスを介して、患者と流体システムとの間を流れる。例えば、単一アクセスデバイスの除去検出は、例えば、血液、または医療薬物あるいは溶液(例えば、生理食塩水等の導電性流体に含有される薬剤)、処理血液製剤、血液製剤、静脈内溶液、同等物、またはそれらの組み合わせを含む、1つまたは複数の任意の好適な導電性流体の送達中の針の除去の検出を含むことができる。流体送達は、血液バッグまたは類似流体送達デバイス等の好適な容器と患者との間で行うことができる。本開示のシステムは、1本の針を介して施与される内科的療法中に、薬剤または薬物等の、血液または流体薬剤アクセスのアクセス切断の即時的および即応的な検出を提供するように、針アクセスを監視および制御する。
【0063】
図1Cに示されるように、本開示の装置またはデバイス54の一実施形態は、患者62の針挿入部位60内の血管58に挿入された針等の、アクセスデバイス56を含む。針56は、管部材64を介して、流体注入システム等の流体システム63に接続される。注入システムは、例えば、容器68(例えば、血液バッグ)から患者に血液または同等物を輸送するための注入ポンプ66を含む。第1の電気接点70は、管部材64に沿って針56から離間され、第2の電気接点72は、挿入部位60の近傍で患者に取着される。第1の電気接点70は、流体が送達容器68から患者に流れる際に、流体と流体接触する。
【0064】
この構成では、電気信号がその中を通る際に、流体回路の少なくとも一部分によって形成される導体ループ内で、電気値、例えば、インピーダンスの変化を監視するために、第1および第2の電気接点、例えば、電極を使用することができる。電気接点は、以下で詳細に記載されるように、単一アクセスデバイスの除去による、インピーダンスまたは同等物の変化に応答して、電極を介して伝送される検出可能な信号を処理することが可能な電子デバイス74に結合することができる。電気信号は、一実施形態においては、アクセス針の除去等の、血管アクセス状態の変化に応答して、インピーダンスまたは同等物の変化を検出するように直流導電率測定を行うことができるように、電極に供給される定電流によって生成される。
【0065】
測定されたインピーダンスは、単一針用途では、流体(すなわち、血液)のインピーダンスおよび挿入部位にわたって測定されるようなインピーダンスの両方の関数であると考えられる。電子デバイス74は、電気経路の全項目(すなわち、管の中の導電性流体、針、静脈血管の血流、身体組織、感知電極72に対する皮膚をわたるインピーダンス、および同等物)の複合インピーダンスと同等のレベルのインピーダンスを検出するように調整することができる。
【0066】
(電気接点)
以前に論じられているように、本開示の電気接点は、流体が流体回路を通って流れる際に、流体と流体接触する。電気接点は、高感度および特異性により、透析療法中の血液回路からの静脈針(動脈針または両方)の除去等の、アクセス切断によるインピーダンスまたは同等物の変化(例えば、増加)を即時に検出することが可能な、直流導電率測定を可能にする。
【0067】
電気接点は、ステンレス鋼、他の好適な導電性材料、またはそれらの組み合わせを含む、任意の好適な電極材料等の、任意の好適な導電性かつ生体適合性の材料から構成することができる。電極材料が生体適合性であることは必須である。
【0068】
電気接点は、種々の異なる形状およびサイズで構築できることを理解されたい。その例示的実施例を以下に記載する。例えば、電気接点は、湿気と接触すると膨張することが可能な薬剤を含む、プラスタ電極として構成または設計することができる。薬剤は、湿気と接触すると体積が10倍以上に膨張することが知られているゲルを含む、種々の好適な材料を含むことができる。
【0069】
一実施形態においては、プラスタ電極は、以前に論じられているように、単一アクセスデバイスを介した内科的療法の施与中に患者の体内に挿入可能なアクセスデバイスの挿入部位において、流体(すなわち、血液漏出)を検出するために利用することができる。流体と接触すると、プラスタ電極は、必ず、電極接触が断絶されるような程度に膨張し、こうして、流体が針を介して流体システムから患者へと流れる際に、流体のインピーダンスの検出可能な増加を引き起こす。
【0070】
一実施形態においては、以前に論じられているような1つ以上のプラスタ電極等の1つ以上の電極(図示せず)は、例えば、図1Aおよび1Bに示されるような電気接点対と組み合わせて使用することができる。例えば、プラスタ電極は、動脈針および静脈針のいずれか一方または両方の挿入部位の近傍において患者に取着することができる。プラスタ電極は、アクセスデバイスの挿入部位からの、血液等の流体の漏出を検出するために利用することができる。
【0071】
一実施形態においては、電極対は、以前に論じられているように、電極が血液に接触するように、侵襲的方式(以下で論じられるような図2A−2Cに図示)で血液回路に結合される。電気信号を血液回路に注入するように、定電流源または同等物を含む励起源が電極に適用されることができ、それにより、導体ループを画定し、それに沿って直流導電率測定を行うことができる。
【0072】
患者の安全性を確保するために、励起源は、典型的には、器具電力から分離される。励起源は、電極を経由して、血液を通過する定電流を産出することができる。検出目的で、任意の好適な量の電流を生成することができる。一実施形態においては、電流は、血液を通過する際に、約10マイクロアンペア以下、例えば、約5マイクロアンペア以下のレベルに維持される。電流のレベルが、たとえあったとしても、患者の健康および安全性にほとんど影響を及ぼさないように、本開示を低レベルの電流(例えば、10マイクロアンペア以下)で動作できることを理解されたい。
【0073】
インピーダンスまたは他の好適なパラメータは、種々の異なる好適な方法で測定および計算できることを理解されたい。例えば、定電流励起源の振幅、位相、および/または周波数は、インピーダンスの変化の検出中に測定および変動させることができる。次いで、インピーダンスレベルは、電極にわたる電圧を測定することによって検出することができる。次いで、電圧の振幅、周波数、および/または位相を測定し、典型的には、インピーダンスを計算するために使用される微分または式に基づいて、血液インピーダンスレベルを計算するために、励起源の測定された振幅、周波数、および/または位相と組み合わせて利用することができる。
【0074】
電気接点は、種々の異なる好適な方法で血液回路に接続することができる。例えば、電気接点は、体外システムの一体型構成要素、血液回路の管類部材に接続し、そこから解放することができる使い捨て構成要素、使用と使用との間に加熱滅菌処理することができる再利用可能な構成要素、または同等物となり得る。
【0075】
(電気接点結合デバイス)
一実施形態においては、本開示の装置は、電極が血液に効果的に接触するように、血液回路への電気接点を確保するために使用することができ、したがって、以前に論じられているように、アクセス状態の変化を効果的に監視するために使用することができる、電気接点結合デバイスを含む。本開示の結合デバイスはまた、電位電源との接触からのユーザの保護を促進するように設計することもできる。一実施形態においては、デバイスは、それを通って医療用流体が流れることができる、管に接続される導電性要素を含むことができ、導電性要素は、血液等の医療用流体に暴露される第1の部分、および管の外部にある第2の部分を有する。
【0076】
本開示の結合デバイスは、種々の異なる好適な構成、構成要素、材料構成、または同等物を含むことができる。一実施形態においては、本開示は、電気接点を流体導管に接続し、電気接点と流体導管を通って流れる流体との間の流体および電気的に連絡を提供するためのデバイスを含むことができる。デバイスは、電気接点および環状部材に接続された第1の柄部分を収容することが可能な環状部分を含む、第1の部材であって、柄部分は、環状部分へとそれを通って延在する開口部を有する、第1の部材と、溝領域および第2の柄部分を伴う基礎部分を含む、第2の部材であって、開口部が溝領域へとそれを通って延在し、第1の部材が第2の部材に挿入および固定されることを可能にする、第2の部材と、第1および第2の柄部分を嵌合するように適合される、接点部材であって、接点部材が電気接点部材の少なくとも一部に対して近接できるようにし、電気接点と接点部材との間で電気接続が行われることを可能にする、接点部材とを含むことができる。本開示の電気接点結合デバイスの例示的な実施例を以下で記載する。
【0077】
図2Aおよび2Bに図示されるように、電気接点結合デバイス80は、それを通って延在する開口部84を伴う円筒形状を有する、プローブ部材82を含む。円筒形状を有する電極86等の電気接点は、電極86がプローブ部材82内で固定されるように、開口部84に挿入することができる。一実施形態においては、プローブ部材82は、開口部84の少なくとも一部分に沿って延在するチャネル85を有し、その内側で電極86をプローブ部材82に挿入することができる。例えば、血液管類セットからの管部材、透析機械のコネクタ管部材、または同等物を、チャネル85の外側部分と接触しているプローブ部材82の開口部84の両端に挿入することができ、血液または他の好適な流体が任意の好適な方式で電極86と流体接触できるようにする。電極86は、それを通って延在する開口部88を有し、その内側で血液(図示せず)または流体回路からの他の好適な流体が流れることができる。一実施形態においては、電極86の開口部88の直径は、透析療法中等の典型的な動作条件下で、血流レベルを好適に維持することができるように、電極86を通る血流を可能にするサイズに決定される。本開示の結合デバイスは、例えば、透析療法を含む内科的療法中に使用するために、血液回路または同等物を含む流体回路に、容易に、かつ効果的に取着することができる。本開示の結合デバイス80は、流体回路を通って流れる流体と、電気接続および流体接続を行うことができるように、任意の好適な方法で流体回路に取着できることを理解されたい。
【0078】
プローブ部材82はまた、その円筒形状本体の表面92から延在する、柄部分90を含む。柄部分90は、それを通って延在する開口部93を有する。一実施形態においては、柄部分90は、電極86の少なくとも一部分が柄部分90の開口部93と接触するように配置される。
【0079】
電極86を血液回路に固定するために、結合デバイス80は、プローブ部材82を受入するため、および、透析療法中に血液が血液回路を通って循環する際に、血液が電極に直接接触するように、血液回路の血液管部材(図示せず)を受入するための、開口部98を伴う本体部分96を含む、ソケット部材94を含む。一実施形態においては、ソケット部材94は、本体部分96から延在する柄部分100を含み、柄部分100は、それを通って延在する開口部102を含む。プローブ部材82が本体部分96の開口部98を通して挿入される際に、プローブ部材82の柄部分90は、ソケット部材94の本体96の柄部分100の開口部102に挿入されることができる。
【0080】
一実施形態においては、ソケット部材94は、ソケット部材94の本体96の少なくとも一部に沿って延在する溝領域104を含む。プローブ部材82は、開口部98を通って挿入され、次いで、ソケット部材94の本体96内でプローブ部材82を固定するように溝領域104の中へ移動させられるか、または配置されることができる。
【0081】
一実施形態においては、結合デバイス80は、ソケット部材94の本体96の柄部分100の開口部102内に挿入される、電気接点部材106を含むため、電気接点部材106は、プローブ部材82の柄部分90の開口部93を通って延在して、電極86の表面108の少なくとも一部分に接触する。
【0082】
電気接点部材106は、例えば、励起源、信号処理デバイス、針の除去等のアクセス状態の変化を監視および/または制御する際の使用に適した他の類似電子デバイスの電子機器(図示せず)を接続するために利用される。電気接点部材106は、ステンレス鋼、他の類似導電性材料、またはそれらの組み合わせを含む、任意の好適な導電性材料等の任意の好適な材料で作ることができる。電気接点部材106を適所に固定するために、その末端領域112において柄部分100の開口部102の中に、接点保持部材110が挿入される。
【0083】
一実施形態においては、結合デバイスは、任意の好適な方式で、透析機械、デバイス、またはシステムに取り付けられる。例えば、結合デバイスは、透析機械の一体型構成要素として取り付けられることができる。結合デバイスはまた、本開示の装置およびシステムの構成要素のいずれかと連動することができる、別個および/または独立型の構成要素として取り付けられることもできる。一実施形態においては、結合デバイス80は、ソケット部材94の柄部分100を介して、透析機械または他の好適な構成要素に挿入可能に取り付けられることができる。
【0084】
電気接点結合デバイスは、種々の異なる好適な形状、サイズ、および材料成分を含むことができることを理解されたい。例えば、結合デバイスの別の実施形態を図2Cに図示する。図2Cの結合デバイス114は、図2Aおよび2Bに示されるような結合デバイスと構造が類似している。図2Cの結合デバイス114は、例えば、円筒形状電極または他の好適な電気接点と、電極を受入し、それを感知デバイスのソケット部材内で適所に固定するためのプローブ部材とを含むことができる。プローブ部材は、ソケット部材の柄部分の中に挿入可能な柄部分を含む。電気接点部材は、電極に接触できるように、柄部分内に挿入可能である。図2Cの結合デバイスはまた、図2Aおよび2Bに示されるような結合デバイスと同様に、電気接点部材を適所に保持するように接点保持部材を含む。
【0085】
図2Cに示されるように、電気接点結合デバイス114のプローブ部材116は、ソケット部材120内でプローブ部材116を固定することを促進することができる、ハンドル118を含む。ハンドル118は、示されるように、結合デバイス114の使用および製造を容易にすることができる、固体形状を有する。さらに、プローブ部材116の柄部分(図示せず)は、図2Aに図示されるようなプローブ部材の柄部分よりも直径が大きい。柄のサイズを増加させることによって、プローブ部材を、より容易かつ手軽にソケット部材内に挿入することができる。さらに、プローブ部材は、図2Aおよび2Bに示されるようなプローブ部材と比較して長いため、プローブ部材116の末端領域122は、ソケット部材120の溝領域124を越えて延在する。これは、ソケット部材120の溝領域124内でプローブ部材を固定することを促進することができる。
【0086】
一実施形態においては、ソケット部材120の開口部126は、それを通る増加したサイズを有する、プローブ部材116の柄部分の挿入を収容するように、付加的な開口部分128を含むことができる。これは、ソケット部材へのプローブ部材の挿入の前に、ソケット部材に対するプローブ部材の適正な整合を確保することができ、したがって、挿入プロセスを容易にする。
【0087】
プローブ部材、ソケット部材、および接点保持部材は、例えば、プラスチック、成型プラスチック、類似材料、またはそれらの組み合わせを含む、種々の異なる好適な材料から構成できることを理解されたい。プローブ部材、ソケット部材、および接点保持部材等の結合デバイスの種々の構成要素は、任意の好適な方法で嵌合することができる。例えば、構成要素は、平滑係合(図2Aおよび2Bに示されるような)で、ネジ式係合(図2Dおよび2Eに示されるような)で、および/または任意の好適な嵌合係合あるいは配置で、互いに嵌合することができる。
【0088】
図2Dおよび2Eに示されるように、本開示の結合デバイス130は、結合デバイスを形成するように互いに取り外し可能に接続される、ネジ式部品で作ることができる。ネジ式部品は、電極を血液回路に固定すること、ならびに以下に記載されるように、同部の一般的な使用を容易にすることができる。
【0089】
一実施形態においては、結合デバイス130の本体134の柄部分132は、ネジ式係合で透析機械または他の好適な取付デバイスに挿入可能に取着することができる、ネジ式領域136を有する。これは、結合デバイスを取付デバイスに取着し、それから取り外されることの容易性を促進することができる。
【0090】
図2Eに示されるように、柄部分132は、両側がネジ式であり、環状部材138とネジ式係合できるようになる。環状部材138は、電気接点部材140が、以前に論じられているように、プローブ部材144に収納された電極142に対して近接できるようにする、方向および支持を提供する。
【0091】
一実施形態においては、プローブ部材144が本体134に固定される際に、任意の好適な導電性材料で作られたプレート部材146を、バネ148に対して押圧することができる。同時に、電気接点部材140を本体134に固定するように環状部材138の環状領域内に挿入される、保持器152と接触している、電気接点部材140に対して、別のバネ150を変位させることができる。
【0092】
本開示の実施形態のバネ機構は、結合デバイス130の部品が、使用中に確実に係合したままに維持できる。それはまた、清掃、保守、または他の好適な目的で、部品の着脱中の使用も促進することができる。
【0093】
以前に論じられているように、本開示は、流体が患者と、流体送達および/または治療システムとの間を通過することができる、患者の体内に挿入される針等の、アクセスデバイスの除去を検出するために、効果的に利用することができる。本開示は、内科的療法または治療、特に透析療法等の、多数の異なる用途で適用することができる。透析療法では、透析機械を往復して血液を接続するように、針等のアクセスデバイスが、患者の動脈および静脈に挿入される。
【0094】
これらの状況下で、針、特に、静脈針が血液回路から除去または分離された場合、患者からの失血の量は、有意に差し迫ったものとなり得る。本開示のシステムは、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、および持続的腎置換を含む、透析療法中等の、アクセスデバイスの除去による患者からの失血を制御し、効果的に最小化することができる。
【0095】
(信号検出および処理)
以前に論じられているように、針の脱落、またはアクセス状態の他の類似の変化に応答して、インピーダンスまたは同等物の変化を検出するために、制御装置と接続している電気接点を使用することができる。一実施形態においては、本開示は、経時的な基準インピーダンスの変動を補正するように適合することができる。これは、本開示の検出能力に関する感度のレベルを増加させることができる。基準インピーダンスの変化が大きすぎて、適度に補正されない場合、針の除去によるインピーダンスの変化は、たとえそうであるとしても、容易に検出可能な基準を上回る値ではない場合がある。
【0096】
実用的観点から、経時的な基準インピーダンスの変化に影響を及ぼし得る、多数の異なるプロセス条件がある。例えば、基準の段階的動向または変化は、治療中に、血液または他の好適な流体のヘマトクリット値、血漿タンパク質、血液/水の導電率、および/または同等物等の特性の変化により、発生し得る。これは、透析療法中に、電解質または他の成分のレベルの変化によって生じ得る。
【0097】
図3に図示されるように、本開示は、測定可能な電圧信号を処理して、経時的な基準インピーダンスの変化を補正することができる。これは、以前に論じられているように、本開示の検出能力を強化することができる。一実施形態においては、静脈針および動脈針を介して、種々のプロセス構成要素を含む透析システムに患者を接続する、体外血液回路162に沿って、血液が患者の中へ、患者を通って、および患者の外へ循環する際に、電流源160または同等物が、電流を生成して血液を通過させる。電流は、血液回路に沿って導体ループまたは経路を画定するように、第1の電気接点163aを介して、血液回路に注入される。電流は、一実施形態においては、除去が発生するまで、一定のレベルに維持される。
【0098】
第2の電極163bは、導体ループに沿う電圧または同等物を感知し、次いで、同電圧および/またはその変化を示す信号を、以前に論じられているような検出および処理のための電子デバイスに送出するために使用される。電圧信号は、任意の好適な方法で測定および処理することができる。
【0099】
一実施形態においては、信号は、針の除去についての誤った否定的および/または肯定的検出を最小化するために、信号から雑音、特にポンプの回転に由来する雑音を除去するように作用することができる、1つまたは複数のフィルタ164、整流器166、ピーク検出器168、および信号をデジタル化するアナログ・デジタル変換器(「ADC」)170を含む、一連の構成要素を通過させられる。次いで、デジタル信号は、さらなる処理のために、コンピュータデバイス(図示せず)に記憶されることができる。電圧信号は、継続的に測定され、経時的に処理される。各測定により、デジタル化された信号は、以前に論じられているような血液の特性の変化等の、経時的なプロセス状態の変動と関連する基準変化による変化を評価するために比較される。基準変化が判定された場合、デジタル化された信号は、基準の変化を補正するためにさらに処理されることができる。
【0100】
電圧データは、ADCに結合された制御ユニット172に継続的に送信される。制御ユニットは、継続的に計算を行って、針の除去に応じてインピーダンスまたは同等物の変化が発生したかどうかを判定する。一実施形態においては、[V(t)−V(t−T)]>C1であるときに、アクセスデバイスの除去が検出され、式中、tは時間であり、Tは血液ポンプ回転の周期であり、C1は定数であり、V(t)=Io*Zであり、Ioは電流であり、Zは、患者の血管アクセスと関連するインピーダンス、および以前に論じられているような透析装置等の透析システムの種々の構成要素と関連するインピーダンスの関数である、血液管路のインピーダンスである。
【0101】
血液回路からの患者の切断が検出された場合、患者からの失血を最小にするために、信号を処理するように制御ユニット172を利用することができる。一実施形態においては、制御装置は、例えば、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、および持続的腎置換を含む、透析療法を施すために適用されるような透析システムと連絡している。この通信は、配線接続(すなわち、電気通信ケーブル)、無線通信(すなわち、無線RFインターフェース)、空気圧式インターフェース、または同等物のいずれかとなり得る。制御装置は、信号を処理して、透析システムまたはデバイスと通信し、血液透析機械と関連する血液ポンプ174を閉鎖するか、または停止し、したがって、血液透析中の針の除去による患者からの失血の量を効果的に最小にすることができる。
【0102】
制御装置は、種々の他の方法で透析システムと通信することができる。例えば、制御装置および血液透析機械は、静脈針を介したさらなる血流を防止し、したがって患者の失血を最小化するための静脈管路クランプ176を始動させるように通信することができる。一実施形態においては、静脈管路クランプは、制御装置によって始動させられ、針の極近傍の静脈管路をクランプすることができるように、静脈針に取着されるか、または静脈針に対して配置される。一旦クランプされると、透析システムは、圧力の増加を感知することが可能であり、所定のレベルを上回る血流管路内の圧力を感知すると、血液ポンプを閉じるようにプログラムすることができる。代替として、静脈管路クランプは、透析システムに制御可能に取着することができる。
【0103】
一実施形態においては、例えば、透析療法中の針の除去による、失血の検出時に、警報を始動させることができる。いったん始動されると、警報(すなわち、音声および/または視覚的、または同等物)は、患者、医療提供者(すなわち、医師、正看護師、または同等者)、および/または非医療提供者(すなわち、家族、友人、または同等者)に、例えば、針の除去による失血について警告することが可能である。警報機能は、透析療法が、典型的には、病院または他の医療設備を除く、非医療設定または環境で患者および/または非医療提供者によって施される、家庭設定または自己療法設定等の非医療設備での透析療法中に、特に望ましい。
【0104】
警報の始動は、例えば、血液ポンプが自動的に閉じられて血液が最小にされていることをチェックするように患者を促す。したがって、患者は、第三者の補助なしで行動して(すなわち、自分の意志で行動する)、失血を最小にするように対応措置を取ることを確実にする能力を有する。したがって、警報は、患者が眠っている間に透析療法の少なくとも一部を施すことができる在宅血液透析治療に特に適用されるように、透析療法の施与中に患者の安全性を確保するために機能することができる。
【0105】
(透析機械)
以前に論じられているように、本開示は、任意の好適な流体送達システム、治療システム、または同等物とともに使用するために適合することができる。一実施形態においては、本開示は、例えば、血液透析、血液濾過、および血液透析濾過を含む治療中に、血液回路に沿って患者と透析機械との間を血液が流れる際にアクセス切断を検出するように、透析機械とともに使用するために適合される。
【0106】
本開示は、そのような目的で、任意の好適な透析機械を含むことができる。本開示の血液透析機械の一実施例は、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,143,181号に開示されている。一実施形態においては、透析機械190は、移動式シャーシ192を備え、その前面194において、管類または同等物を接続するための共通機構196を有し、それにより、図4Bに示されるように、患者を透析機械に接続することができる。フラットタッチスクリーン197は、いくつかの動作パラメータを示すことができ、透析機械の調整のための記号および欄が提供される。タッチスクリーン197は、垂直方向に調整されることができ、透析機械190のシャーシ192に対して全範囲に軸回転されることができ、所望の調整位置に固定されることができる。
【0107】
一実施形態においては、透析機械190は、血液回路を経由して患者を透析機械に接続するための1つ以上のコネクタを有するシャーシ192を含み、血液回路は、透析療法中に血液が患者と透析機械との間を流れることができるようにし、そして、1つ以上の電気接点は、血液と流体的に連絡している血液回路に接続され、血液がその中を通過する電気信号を有する血液回路を通って流れる際に、アクセス切断に応じて、電気値の変化の検出を可能にする。
【0108】
一実施形態においては、透析機械190は、図4Bに示されるように、アクセス切断を検出するために使用される一対の結合デバイス等の、電気接点結合デバイスのうちの1つ以上を収容するように設計されることができる。例えば、1つ以上の結合デバイス198を、透析機械190の前面パネル194に取着することができる。これは、任意の好適な方法で行うことができる。一実施形態においては、結合デバイスの柄部分は、以前に論じられているように、ネジ式嵌合、摩擦嵌合、または同等物を介して、挿入可能に取り付けられる。これは、血液管類セット202を介して、患者を透析機械190に接続する。血液管類セットは、第1の血液管路204および第2の血液管路206を含む。一実施形態においては、第1の血液管路204は、血液が患者200から透析機械190へとそれを通って流れる、動脈針208または同等物を介して、患者に接続される。次いで、第2の血液管路206は、血液が透析機械から患者へとそれを通って流れて血液回路を画定する、静脈針210または同等物を介して、患者200に接続される。
【0109】
代替として、第1の血液管路および第2の血液管路を、静脈針および動脈針にそれぞれ結合することができる。血液管路は、任意の好適な医療グレード材料から作られる。動脈針および/または静脈針の除去等のアクセス切断は、以前に論じられているように検出することができる。代替として、結合デバイスを血液管類セットに取着することができ、次いで、血液管類セットが、任意の好適な方法で透析機械に取着される。
【0110】
(透析治療施設)
以前に論じられているように、本開示は、家庭または透析治療施設で行われる透析療法中に使用することができる。透析治療センターは、多数の患者に透析療法を提供することができる。治療センターは、患者の要求を受け入れるように、多数の透析機械を含む。透析治療施設での治療セッションは、場所および使用に対する患者要求に応じて、1日24時間、週に7日行うことができる。
【0111】
一実施形態においては、透析治療施設には、本開示の一実施形態に従って、透析療法中にアクセス切断を検出する能力が提供される。例えば、透析機械のうちの1つ以上は、以前に論じられているような、アクセス切断を検出するために必要な他の構成要素に加えて、電気接点結合デバイスとともに使用するために適合することができる。
【0112】
一実施形態においては、電気接点結合デバイスは、透析治療施設の透析機械のうちの1つ以上に、直接取着することができる。本開示の実施形態に従った装置、デバイス、方法、および/またはシステムは、任意の好適な方法で透析治療施設において、1名以上の患者に施与される透析療法中に使用するために適用できることを理解されたい。一実施形態においては、治療施設は、各透析機械にそれぞれ結合された1名以上の患者に透析療法を行うことができる、1つ以上の患者ステーションを有することができる。例えば、血液透析、血液濾過、および血液透析濾過、ならびにそれらの組み合わせを含む、任意の好適な施設内療法を行うことができる。本明細書で使用されるような、「患者ステーション」という用語、または他の類似用語は、透析療法中の使用のための専用透析治療施設の任意の好適に画定された領域を意味する。患者ステーションは、透析療法を施与するために必要な、任意の数および種類の好適な機器を含むことができる。
【0113】
一実施形態においては、透析治療施設は、それぞれ透析療法を1名以上の患者に施与することができ、1つ以上の透析機械が各患者ステーションに位置する、多数の患者ステーションを含むことができる。透析機械のうちの1つ以上は、血液回路を介して患者を透析機械に接続するための1つ以上のコネクタを有するシャーシを含むことができ、血液回路は、透析療法中に血液が患者と透析機械との間を流れることができるようにし、そして、一対の電気接点は、血液と流体的に連絡している血液回路に接続され、その中を通過する電気信号を有する血液回路を通って血液が流れる際に、アクセス切断に応じて、電気値の変化の検出を可能にする。
【0114】
以前に論じられているように、安全で効果的な透析療法を監視および制御するために、本開示のアクセス切断検出能力を利用することができる。患者からの針等のアクセスデバイスの除去時に、制御および/または監視目的でさらに処理することができる、除去を示す信号を提供するために、本開示の直流伝導測定能力を使用することができる。一実施形態においては、透析療法を自動的に終了させて、以前に論じられているような除去による失血を最小にするように、信号をさらに処理することができる。さらに、患者および/または医療関係者に除去状態を警告することができる警報を始動させて、対応措置が取られることを確実にするように、信号を処理することができる。透析療法を含む内科的療法の安全で効果的な施与を促進するように、本開示を種々の好適な方法で修正できることを理解されたい。
【0115】
出願人らは、高感度および選択性により、本開示の装置の直流伝導測定能力が、針除去等のアクセス切断による失血または同等物を即時に検出することができ、その結果、アクセス切断による失血を最小にするように対応措置を取ることができることを見出した。検出時に失血を最小にするために応答可能かつ迅速に作用する能力は、血液透析中の針除去に関して、特に重要である。即時に検出され、応答されなければ、失血の量はかなりのものとなり得る。一実施形態においては、本開示は、針除去の即時検出時に、約3秒以下の範囲、例えば、約2〜3秒以内に失血を最小にするための積極的措置または対応措置(すなわち、血液ポンプを閉じる、静脈管路クランプを始動させる、または同等の措置)を取ることが可能である。
【0116】
さらに、血液透析中に1つ以上の治療パラメータを監視および/または制御するために、制御装置を利用することができる。これらのパラメータは、例えば、針除去時の失血による血液の検出、血流の変化、動脈管路中の気泡の検出、治療中のセンサの動きの検出、センサの電気的導通の検出および/または監視、または他の類似の治療パラメータを含むことができる。一実施形態においては、制御装置は、パラメータのうちの1つ以上を監視するためのディスプレイ(図示せず)を含む。
【0117】
本明細書で使用されるような「医療提供者」という用語、または、例えば「医療関係者」を含む他の類似用語は、患者に、例えば、透析療法を含む医療手技を実践および/または施与するために、医療免許がある、訓練されている、経験がある、および/あるいは資格がある、1名または複数の個人を意味する。医療提供者の実施例は、医者、医師、正看護師、または他の類似の医療関係者を含む。
【0118】
本明細書で使用されるような「非医療提供者」という用語、または、例えば「非医療関係者」を含む他の類似の用語は、医者、医師、正看護師、または同等者等の典型的な医療提供者として、概して認識されない、1名または複数の個人を意味する。非医療提供者の実施例は、患者、家族、友人、または他の類似の個人を含む。
【0119】
本明細書で使用されるような「医療設備」、または、例えば「医療設定」を含む他の類似の用語は、透析療法を含む医療手技または治療法が、典型的には、医療関係者の保護下で行われる、設備または施設を意味する。医療施設の実施例は、病院、透析治療設備、透析治療施設、血液透析施設、または同等物等の、医療治療設備を含む。
【0120】
本明細書で使用されるような「非医療設備」、または、例えば「非医療設定」を含む他の類似の用語は、病院または同等物等の典型的な医療設備として認識されない、設備、施設、設定、および/または環境を意味する。非医療設定の実施例は、家庭、住居、または同等物を含む。
【0121】
電極出力信号は、針除去に対する特異性を向上させるように、静脈圧測定、全身血圧力、同等物、またはそれらの組み合わせ等の、他の低感度の失血検出方法と組み合わせることができることを理解されたい。
【0122】
(導電性ポリマー)
本開示は、導電性ポリマー材料と、同材料を採用するデバイス、装置、システム、および方法を提供する。導電性ポリマー材料は、患者の治療を監視する等の、多数の異なる用途で利用することができる。例えば、導電性ポリマー材料は、前述のように、かつ以下でさらに詳述されるように、患者アクセス状態を監視するために利用することが可能である。他の種類の監視用途は、例えば、以下でさらに詳細に記載されるように、溶液の混合または調合を監視するステップを含む。本開示は、単独または組み合わせで、患者アクセス状態および溶液混合状態を監視するステップ等の、患者治療と関連する1つの状態変化または状態変化の組み合わせを監視するステップを検討する。
【0123】
一実施形態においては、導電性ポリマー材料は、ポリマーマトリクスと、ポリマーマトリクスに組み込まれる導電性成分とを含む。代替として、導電性ポリマー材料は、一実施形態においては、ステンレス鋼等の、別個の導電性成分を有しない導電性ポリマー成分を含む。導電性ポリマー材料は、任意の好適な種類または量の材料から、かつ任意の好適な方法で作製できることを理解されたい。
【0124】
前述のように、導電性ポリマーは、ポリマーマトリクスと、マトリクスに組み込まれる導電性成分とを含むことができる。ポリマーマトリクスは、特に、透析療法等の医療用途を含む、種々の用途での使用に適した、種々の異なるポリマーベースの材料を含むことができる。一実施形態においては、ポリマーマトリクスは、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、アクリル、シクロオレフィン共重合体、シクロオレフィン共重合体ブレンド、メタロセンベースのポリエチレン、類似ポリマー材料、およびそれらの好適な組み合わせを含む。
【0125】
導電性成分は、例えば、以前に論じられているような、内科的療法中に患者アクセス切断を検出するステップ、混合溶液を形成するように溶液成分の混合または調合を監視するステップ、および/または他の類似用途を含む、多数の異なる用途のために適用可能な導電特性を有する、好適な材料または材料の組み合わせを含むことができる。好ましくは、導電性成分は、ステンレス鋼、充填材、カーボンブラック、それらの繊維、および/または同等物を含む。
【0126】
導電性成分は、ポリマーマトリクスに容易に組み込むことができるように、任意の好適な方法でサイズ決定され、成形されることができる。例えば、導電性成分は、ステンレス鋼、炭素質材料、および/または同等物等の、任意の好適な材料から作られた導電性繊維を含むことができる。繊維は、一実施形態においては、約2:1から約30:1に及ぶアスペクト比を有する。
【0127】
導電性ポリマー材料は、任意の好適な量の導電性ポリマーマトリクスおよび導電性成分を含むことができる。これは、導電性ポリマー材料の用途に応じて、変動することができる。一実施形態においては、導電性成分は約10重量%を超える導電性ポリマー材料を含む。好ましくは、導電性成分は、約10〜約50重量%の導電性ポリマー材料に及ぶ。約50重量%を上回る導電性成分を利用することができるが、用途によっては、たとえあったとしても、導電性ポリマー材料の性能の最小の増加を提供してもよいことを理解されたい。好ましくは、導電性成分は、ポリマーマトリクスの全体にわたって均一に分散される。
【0128】
以前に論じられているように、導電性ポリマー材料は、一実施形態においては、導電性ポリマー成分から構成される。この種類の成分は、ステンレス鋼等の付加的な導電性成分が必要とされないように、十分な電気伝導性を有する。導電性ポリマー材料成分の実施例は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、同等物、およびそれらの混合物を含む。
【0129】
以前に論じられているように、導電性ポリマー材料は、任意の好適な方法で作製することができる。一般に、導電性成分は、例えば、その中に導電性成分が組み込まれたポリマーマトリクスを形成するように、温度および圧力を含む、好適な処理条件下でポリマー成分と混合される。導電性成分がポリマーマトリクスの全体にわたって均一に分配されるように、混合は、好適な期間にわたって、かつ十分な量の力で行われるべきである。
【0130】
次いで、導電性成分と組み合わされたポリマーマトリクスは、任意の好適な方法で最終生成物に成形および形成される。例えば、導電性成分と組み合わされたポリマーマトリクスは、好適な処理条件下で、射出成形プロセス、押出プロセス、または同等のプロセスを介して、単一部品に形成することができる。したがって、導電性ポリマー材料は、射出成形および押出等の製造技術で容易に作製することができる。これは、消費者に必然的に伝えられることができる製造プロセスに費用節約を効果的に提供することができる。
【0131】
導電性ポリマー材料は、用途に応じて、任意の好適な形状およびサイズに形成されることができる。一実施形態においては、導電性ポリマー材料は、前述のように、かつ以下でさらに詳細に記載されるように、例えば、患者アクセス状態を監視するステップ、および/または溶液の混合または調合を監視するステップを含む、多数の異なる用途に利用することができる、電極または他の類似の電気接点に形成される。導電性ポリマー電極は、用途に応じて、種々の異なる好適な構成を有することができる。例えば、導電性ポリマー電極は、以下に記載のように、管類を接合して管類接合部を形成するために使用することができる、結合器に作製することができる。
【0132】
図5Aおよび5Bに示されるように、導電性ポリマー結合器は、概して円筒形状を有する。この構成により、導電性ポリマーは、それを通って流体が流れる管に容易に取着されることができ、したがって、管類接合部を形成する。
【0133】
図5Aに示されるように、結合器220は、結合器電極220の内面224から延在する部材222を有する。部材222は、管類接合部228の所望の長さを事前設定することができるように、電極に取着される管226に対する停止部の役割を果たす。一実施形態においては、図5Aに示されるような結合器220は、射出成形プロセスを介して作製される。
【0134】
図5Aに示されるように、第1の管部材230は、結合器220の第1の端232に取着され、部材222の第1の端234によって位置決めされるか、または停止される。第2の管部材236は、結合器220の第2の端238に取着され、部材222の第2の端240によって停止されるか、または位置決めされる。これは、本願に記載のように、血液回路に一体化され、透析療法中に利用される管類接合部等の、管類接合部228を形成する。
【0135】
図5Bに示されるように、結合器242は、管類接合部の長さを前述のように事前設定できるようにする部材なしで形成される。この点で、管類接合部の長さは、用途に応じて、調整することができる。さらに、図5Bに示されるような結合器242は、射出成形プロセスの代わりに、押出プロセスを介して作製することができる。これは、前述のような射出成形プロセスと比較して、結合器の製造に関するさらなる費用節減を提供することができる。図5Bに示されるように、第1の管部材244は、結合器242の第1の端246に取着され、第2の管部材248は、結合器242の第2の端250に取着され、したがって、管類接合部252を形成する。
【0136】
管部材は、任意の好適な方法で導電性ポリマー結合器に取着されることができる。例えば、導電性ポリマー材料は、管類に、溶剤接着、熱癒着、レーザ溶接、無線周波癒着、または同等物を行うことができる。
【0137】
管類は、用途に応じて、任意の好適な材料で作ることができる。例えば、管類は、ポリ塩化ビニル(「PVC」)から作ることができる。好ましくは、PVC管類は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(「ABS」)から構成されたポリマーマトリクスで作られている導電性ポリマー材料に取着され、ABSベースの導電性材料はPVC管類に溶剤接着される。
【0138】
しかしながら、管類は、用途に応じて、種々の異なる材料で作成されることができる。一実施形態においては、管類は、メタロセンベースのポリエチレンポリマー、シクロオレフィン共重合体、シクロオレフィン共重合体ブレンド、および同等物等の、非PVC材料を含む。非PVC材料は、任意の好適な種類および量の構成物質を含むことができる。本開示を例示する、メタロセンベースのポリエチレンポリマーおよび同等物は、例えば、米国特許第6,372,848号に見ることができ、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。これらの種類の非PVCポリマーは、約0〜約99重量%のブレンドの重量で存在し、約0.1g/10分〜約5g/10分等の分画からのメルトフローインデックスを有する、シングルサイト触媒を使用して得られる第1のエチレンおよびα−オレフィン共重合体と、約0〜約99重量%のブレンドの重量に存在し、約5g/10分〜約20g/10分よりも高いメルトフローインデックスを有する、シングルサイト触媒を使用して得られる第2のエチレンおよびα−オレフィン共重合体と、約0〜約99重量%のブレンドの重量に存在し、約20g/10分よりも大きいメルトフローインデックスを有する、シングルサイト触媒を使用して得られる第3のエチレンおよびα−オレフィン共重合体とを有する、ポリマーブレンドを含むことができる。一実施形態においては、α−オレフィン共重合体は、約3未満の分子量分布を有する。
【0139】
本開示を例示する、シクロオレフィン共重合体およびそれらのブレンドは、例えば、米国特許第6,255,396号に見ることができ、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。これらの種類の非PVCポリマーは、成分として、環状オレフィンまたは架橋多環式炭化水素のホモポリマーまたは共重合体を含むことができる。例えば、ポリマー組成は、ノルボルメン単量体およびエチレン単量体を共重合することによって得られる第1の成分であって、第1の成分は、組成の約1〜99重量%の量である、第1の成分と、6個の炭素を有するエチレンおよびα−オレフィン共重合体の第2の成分であって、第2の成分は、組成の約99〜約1重量%の量である、第2の成分とを含む。一実施形態においては、ポリマー組成は、環状オレフィンまたは架橋多環式炭化水素の第2のホモポリマーまたは共重合体等の、付加的な成分を含むことができる。
【0140】
非PVCベースの管類および非PVCベースの導電性結合器は、管類接合部を形成するように、任意の好適な方法で接合することができる。一実施形態においては、非PVCベースの管類および結合器は、米国特許第6,255,396号および第6,372,848号で開示されているような溶剤接着を介して接合される。本明細書で使用されるような、溶剤接着という用語、または他の同類の用語は、管類を融解、溶解、または膨張させるように管類を溶剤に暴露し、次いで、永久接着を形成するように他の別のポリマー成分に取着できることを意味する。好適な溶剤は、典型的には、約20(Mpa)1/2未満の溶解パラメータを有するものを含む。好適な溶剤はまた、約200g/モル未満の分子量を有することができる。溶剤は、例えば、脂肪族炭化水素、炭化水素、およびそれらの混合物を含むことができる。本明細書で使用されるような、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素という用語は、炭素および水素元素のみを含有する化合物である。
【0141】
好適な脂肪族炭化水素は、置換および非置換ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、デカリン、および同等物を含むことができる。好適な芳香族炭化水は、キシレン、テトラリン、トルエン、クメン、および同等物等の、置換および非置換芳香族炭化水素溶剤を含むことができる。好適な炭化水素置換基は、1〜12個の炭素を有し、プロピル、エチル、ブチル、ヘキシル、第3ブチル、イソブチル、同等物、およびそれらの組み合わせを含む、脂肪族置換基を含むことができる。
【0142】
以前に論じられているように、本開示の導電性ポリマーは、図5Aおよび5Bに示され、上記で論じられているような、導電性ポリマー結合器等の、種々の異なる構成に構築し、配設することができる。別の実施例は、一実施形態による、導電性ポリマーから作られる透析装置ヘッダを含む。図6を参照して、透析装置253が概して図示されている。透析装置253は、ケーシング256を概して含む、本体部材254を含む。ケーシング256は、コア区間、ならびに透析装置の各端に位置する2つの鐘形部材260を含む。コアの内側には、繊維束258が位置する。透析装置はまた、透析液入口262および透析液出口264も含む。
【0143】
透析装置253の第1の端266には、流体入口268が位置し、第2の端270には、流体出口272が位置し、それぞれ、流体入口ヘッダ274および流体出口ヘッダ276によって画定される。透析装置253は、任意の好適な方法で透析血液回路に接続される。一実施形態においては、入口274および出口276ヘッダは、前述のような本開示の導電性ポリマー材料から作られる。入口274および出口276ヘッダは、以前に論じられているように、患者アクセス状態を監視するために導電性ポリマーヘッダを使用することができるように、制御装置278に接続することができる。
【0144】
種々の異なるヘッダおよび透析装置設計を利用することができる。例えば、米国特許第6,623,638号および米国特許公報第2003/0075498号は、本開示を例示する、多数の異なる実施例を提供している。米国特許第6,623,638号および米国特許公報第2003/0075498号の開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0145】
本開示の導電性ポリマーは、任意の好適な方法で、および種々の異なるデバイス、装置、システム、およびそれらの用途で、利用することができる。例えば、導電性ポリマーは、アクセスデバイスの除去に応答してインピーダンスの変化を検出するため、溶液組成の変化に応答して導電率の変化を検出するため、および/または他の好適な用途において利用することができる。
【0146】
一実施形態においては、導電性ポリマーは、例えば、本願で論じられているような透析監視用途に利用することができる、センサアセンブリまたは装置の一部である。本開示のセンサ装置は、多数の異なる構成および設計を含むことができる。本開示を例示する、そのような設計の2つの実施例を、図7Aおよび7Bで下記に記載する。
【0147】
図7Aにおいては、前述のように、管部材288に取着された導電性ポリマー電極286を含む管類接合部284は、例えば、一実施形態におけるセンサ装置291と関連する検出機能のために、保持デバイス290またはホルダによって適所に配置される。一般に、図7Aに示されるようなホルダ290は、ハブ設計を有する。より具体的には、ホルダ290は、その上に管類接合部284を配置することができる、基礎部材292を含む。基礎部材292は、プラスチックまたは他の好適な材料から作られる第1の部分294を含む。第1の部分294は、基礎部材292の外面296を画定する。外面296に沿って、第1の部分294は、図7Aに示されるように、離間した2つの開口部を含む。第1の開口部298は、基礎の第1の部分の第1の縁300上に位置し、第2の開口部302は、基礎の第1の部分の第2の縁304上に位置する。開口部は、任意の好適な方法で構成され、取り付ける目的で利用されることができる。
【0148】
基礎部材の第2の部分は、図7Aに示されるような導電性部分306を含む。一実施形態においては、導電性部分306は、ステンレス鋼および/または同等物等の、任意の好適な導電性材料から作られる、単一部品308を含む。図7Aに示されるように、管類接合部の導電性ポリマーは、導電性ポリマー電極286の外面312を実質的に形成する、第2の部分の曲線縁310に対して配置される。電極は、概して円筒形状である。
【0149】
ホルダ290はさらに、図7Aに示されるような、基礎部材292に枢動可能に取着されるアーム部材314を含む。アーム部材314は、アーム314を管類接合部284の上方に配置することができるように、概して曲線の領域を含み、アームが管接合部の概して円筒形の表面に実質的に一致できるようにし、したがって、管類接合部284を適所にさらに固定する。
【0150】
本開示のセンサ装置を例示する、ハブ設計の別の構成を図7Bに示す。一般に、この設計は、管類接合部318を封入する、ボックス様のホルダ316を提供し、管類接合部は、前述のように管部材322に取着される結合器の形の導電性ポリマー電極320を含む。ホルダ316は、基礎部材324を含む。基礎部材324は、側面部分326、底部分328、および最上部分332における開口部330を含む。図7Bに示されるように、センサ装置334は、基礎部材324に含有される導電性部材336を含む。導電性部材336は、前述のような任意の好適な材料で作ることができる。導電性部材336は、環状形状の表面338を含み、それに対して管類接合部318を配置することができる。センサ装置334はさらに、基礎部材324に枢動可能に取着される、蓋340を含む。蓋340は、閉鎖位置で管類接合部の一部分に対して近接する部材342を含む。これは、使用のために管類接合部を適所に固定する。
【0151】
以前に論じられているように、本願のセンサ装置は、多数の好適な用途において使用することができる。例えば、センサ装置は、血液回路に好適に結合し、本願に記載のように、アクセスデバイスの切断を検出する目的で使用することができる。別の用途は、以下でさらに詳細に記載されるような、溶液調合の監視を含む。この点で、図7Aおよび7Bに示されるようなセンサ装置は、図2A−2Eで図示され、上記でさらに記載されるような、電気結合デバイスと組み合わせて、またはその代わりに使用することができる。したがって、本開示は、使用中に、患者アクセスおよび溶液混合等の1つの状態または状態の組み合わせを監視するために使用することができる。適用されるように、センサ装置は、検出目的で、制御装置または他の類似デバイスに接続することができる。制御装置は、任意の好適な方法でセンサ装置と電気的に接触している、1つまたは多数の異なるデバイスを含むことができる。
【0152】
別の実施形態では、センサ装置は、導電性ポリマー材料から作られる単一部品を含むことができる。単一部品は、前述のような射出成形を介する等、任意の好適な方法で作ることができる。多数の異なる好適な形状およびサイズを形成することができる。本開示を例示する、単一部品の導電性電極344の1つのそのような実施例を、図8Aおよび8Bに示す。
【0153】
一般に、導電性ポリマー電極344は、図8Aおよび8Bに示されるように、流体がそれを通って流れることができる、管類接合部を形成するように管類を接合することができる、結合器として構成される。導電性ポリマー電極344は、それを通って延在する環状開口部348を有する、基礎部材346を含む。管部材350は、前述のように管類接合部を形成することができるように、環状開口部348の端351に取着することができる。基礎部材346は、基礎部材346の表面354の一部分から延在する、柄部分352を含む。これは、制御盤、または前述のような血液透析機械等の他の好適な構成要素に、導電性ポリマー電極344を取り付けるか、または取着するために使用することができる。柄部分352は、基礎部材346の表面354から終わる、環状形状チャネル356を画定する。環状形状チャネル内では、図8Bに示されるように、基礎346の表面354から延在する、内側の環状形状チャネル360も提供される。柄部分は、経路を提供するために利用されることができ、それを通って、電極が、任意の好適な方法で、制御装置等の1つ以上の他のデバイスと電気的に接触することができる。基礎部材はさらに、基礎部材346の表面354の一部分から延在する、最上部材362を含む。最上部材362は、使用のために基礎部材346の柄部分352を適所に固定するため、および/または使用後に電極を除去するために使用することができる。
【0154】
図8Aおよび8Bに示されるように、導電性ポリマー電極344は、環状開口部348の内面から延在する部材366を含む。部材366は、停止部の役割を果たし、それに対して管類を配置して管類接合部を形成することができる。部材366は、開口部368を伴う概して円筒形状を有し、それを通って流体が流れることができる。
【0155】
以前に論じられているように、本開示の導電性ポリマー材料は、多数の異なる用途で利用することができる。一実施形態においては、導電性ポリマー材料は、内科的療法中に流体がそれを通って流れる、患者に挿入されるアクセスデバイスの切断を検出するため等、患者アクセス状態を監視するために利用することができる。好ましくは、切断検出用途は、血液透析療法中等の透析療法中に適用される。
【0156】
透析用途に適用される際に、導電性ポリマーは、電極に形成され、任意の好適な方式で透析血液回路に取着されることができる。図1Aおよび2Aに示され、上記でさらに記載されるように、センサのうちの少なくとも1つは、本開示の導電性ポリマー材料で作られた電極を含むことができる。センサ22および24は、制御装置29と電気的に接触し、したがって、導電性ポリマー電極は、前述のような透析療法に関連する検出、監視、および制御目的に対して利用することができる。図4Aおよび4Bに示され、本願において記載のように、センサ198は、血液透析機械に直接取着することができ、センサのうちの少なくとも1つは、本開示の一実施形態による導電性ポリマー電極を含む。導電性ポリマーセンサは、前述のように、結合器およびハブ設計(図5A、5B、7A、および7B参照)、単一部品設計(図8Aおよび8B参照)、および透析装置ヘッダ設計(図8Aおよび8B参照)等の、任意の好適な方法で構成することができる。本開示は、患者アクセスおよび溶液混合状態等の内科的療法を監視するために、1つのセンサまたは異なるセンサの組み合わせの使用を検討することを理解されたい。
【0157】
一実施形態においては、本開示の導電性ポリマー材料は、内科的療法の間に使用される混合溶液等の混合溶液を形成するための溶液混合を監視するために、利用されることができる。そのような監視目的のための本開示を例示する、1つの用途の形式は、透析療法中、特に腹膜透析中のものである。一般に、導電性ポリマー材料は、腹膜透析中に患者に施与される透析液と関連する導電率の変化を効果的に検出することができる、電極または他の感知デバイスに形成することができる。
【0158】
透析液は、施与前に混合透析液を形成するために混合される、多数の溶液成分から形成されることができる。透析液成分は、約1.8〜約9.2の範囲等の、変動するpHレベルを有し得る。一旦混合されると、混合透析液のpHは、使用前には約6.8〜約7.5の範囲等の生理学的許容レベルとなるべきである。pHレベルは、透析液の導電率レベルにおける変化に関して監視することができる。この点で、本開示の導電性ポリマーは、導電率レベルの変化を検出するために利用することができ、したがって、使用前に許容pHレベルで混合透析液を形成するように溶液成分が適切に混合されているか否かを判定するために利用されることができる。腹膜透析の概要を以下に提供し、本開示を例示する。
【0159】
腹膜透析は、患者の腹膜腔に注入され、患者の腹膜と接触する滅菌透析液を使用する。老廃物、有害物質、および過剰水は、患者の血流から、腹膜を通って透析液の中へ通過する。血流から透析液の中への老廃物、有害物質、および過剰水の移動は、透析液中の浸透物質が膜にわたる浸透勾配を形成する停留期間中の分散および浸透によって発生する。本溶液は、患者から老廃物、有害物質、および過剰水を除去するために、後に患者の腹膜腔から排出される。
【0160】
持続的な携帯式腹膜透析(「CAPD」)および自動腹膜透析を含む、種々の種類の腹膜透析療法がある。CAPDは、手動透析治療であり、患者は、カテーテルを新鮮な透析液のバッグに接続し、カテーテルまたは他の好適なアクセスデバイスを通して、患者の腹膜腔に新鮮な透析液を手動で注入する。患者は、新鮮な透析液のバッグからカテーテルを切断し、溶液が腹膜腔内に停留できるようにして、患者の血流から透析液へと老廃物、有害物質、および過剰水を移動させる。停留期間後に、患者は、使用済みの透析液を排出し、次いで、手動透析手順を反復する。患者が行わなければならない接続の数を低減することができる、溶液および排出バッグ用の「Y」字形コネクタを有する管類セットが利用可能である。管類セットは、例えば、空のバッグ、および透析液が充填されたバッグを含む、事前に取着されたバッグを含むことができる。
【0161】
CAPDでは、患者は、日中に、例えば、1日に約4回、いくつかの排出、充填、および停留サイクルを行う。排出、充填、および停留を含む、各治療サイクルは、約4時間かかる。
【0162】
透析治療が、排出、充填、および停留サイクルを含むという点で、自動腹膜透析は、持続的携帯式腹膜透析と同様である。しかしながら、透析機械は、典型的には、患者が眠っている一晩の間に、3サイクル以上の腹膜透析治療を自動的に行う。
【0163】
自動腹膜透析に関して、自動透析機械は、埋め込みカテーテルに流体的に接続される。自動透析機械はまた、新鮮な透析液源またはバッグに、および流体排出管に、流体的に接続される。透析機械は、カテーテルを通して、腹膜腔から排出管へと使用済みの透析液を圧送する。次いで、透析機械は、カテーテルを通して、透析液源から患者の腹膜腔の中へ、新鮮な透析液を圧送する。自動機械は、患者の血流から透析液への老廃物、有害物質、および過剰水の移動を行うことができるように、透析液が腹膜腔内に停留できるようにする。コンピュータは、患者が透析機械に接続されると、例えば、患者が眠っているときに、透析治療が自動的に発生するように、自動透析機械を制御する。つまり、透析システムは、自動的かつ連続的に腹膜腔の中へ流体を圧送し、停留を可能にし、腹膜腔の外へ流体を圧送し、手順を反復する。
【0164】
いくつかの排出、充填、および停留サイクルは、治療中に発生する。また、最終容量である「最後の充填」は、一般に、自動透析治療の終わりに使用され、患者がその日に透析機械から切断されると、患者の腹膜腔の中にとどまる。自動腹膜透析は、患者が日中に排出、充填、および停留ステップを手動で行うことから解放する。
【0165】
一般に、透析液は、約1.5重量%〜約4.25重量%等の任意の好適な量で、デキストロースまたは他の好適な構成物質等の浸透物質を含む。透析液はさらに、任意の好適な量で、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、塩化物、および/または同等物等の、1つ以上の電解質を含む。透析液はまた、乳酸塩および重炭酸塩を含む緩衝剤、または同等物等の他の構成物質、および安定剤等の他の構成物質を含んでもよい。透析液は、その成分の種類および量が変動し、変動するpHレベルを有し得る、複数の溶液成分から作ることができる。
【0166】
種々の異なる好適な種類の多重部分透析溶液を利用することができる。例えば、多重部分重炭酸塩ベースの溶液は、2001年9月17日出願の「Biochemically
Balanced Peritoneal Dialysis Solutions」と題された、米国特許出願第09/955,248号で見ることができ、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。多重部分乳酸塩ベースの溶液の一実施例は、2003年7月25日出願の「Dialysis Solutions With Reduced Levels Of Glucose Degradation Products」と題された、米国特許出願第10/628,065号で見ることができ、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0167】
重炭酸塩ベースの溶液の別の実施例は、2002年1月11日出願の「Bicarbonate−Based Solutions For Dialysis Therapies」と題された米国特許出願第10/044,234号で見ることができ、さらに、米国特許第6,309,673号で開示されており、それらの開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。重炭酸塩ベースの溶液は、中程度および極端なpH条件下等、変動pH条件を有する溶液成分から作ることができる。一実施形態においては、溶液成分は、約1.0〜約10.0の間でpHが変動することができる。いったん混合させると、混合溶液の所望のpHは、約6.5〜約7.6の間等の、生理学的許容レベルである(すなわち、血液のpHに近い)。
【0168】
例えば、中程度のpH条件下で、約7.2から約7.9、好ましくは、約7.4から約7.6に及ぶpHの重炭酸塩濃縮物、および約3.0から約5.0に及ぶpHの電解質濃縮物の混合によって、重炭酸塩ベースの溶液を処方することができる。極端なpH条件下で、例えば、重炭酸塩濃縮物は、約8.6から約9.5に及ぶことができるpHを有し、約1.7から約2.2のpHを有する電解質濃縮物と混合される。重炭酸塩および/または電解質濃縮物のpHを調整するために、種々の異なる好適な酸性および/または塩基性物質を利用することができる。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素、ヨウ化水素、水酸化ナトリウム、同等物、またはそれらの組み合わせ等の、種々の無機酸および塩基を利用することができる。
【0169】
次いで、電解質濃縮物およびデキストロース濃縮物等の溶液成分を溶液バッグ中で混合し、次いで、腹膜透析中に患者に混合溶液として施与することができる。本開示の実施形態による、透析液の溶液成分を別々に含有する、多重チャンバ溶液の図示した実施例を図9に示す。
【0170】
本開示の透析液の成分は、透析液を効果的に調製し、施与することができるように、任意の好適な方式で収納または含有できることを理解されたい。一実施形態においては、本開示は、2つ以上の部分が処方され、別々に格納され、次いで、使用の直前に混合される、多重部分透析液を含む。透析液の種々の部分を収納するために、好適な流体的な連絡機構によって接続される別個の容器(すなわち、フラスコまたはバッグ)等の、種々の容器を使用することができる。
【0171】
一実施形態においては、例えば、デキストロース濃縮物および緩衝剤濃縮物を含む、溶液の別個の成分を収納するために、多重チャンバ容器またはバッグを使用することができる。一実施形態においては、別個の成分は、膜透析中に適用される等、使用の前に、多重チャンババッグ内で混合される。
【0172】
図9は、本開示の一実施形態による、持続的携帯式腹膜透析中等に、透析液を格納、処方、混合、および施与するための好適な容器を図示する。多重チャンババッグ380は、第1のチャンバ382および第2のチャンバ384を有する。容器の内部は、熱シール386によって2つのチャンバに分断される。容器は、任意の好適なシールによって別個のチャンバに分断できることを理解されたい。
【0173】
一実施形態においては、容器は、剥離シールによって、2つ以上のチャンバ等の別個のチャンバに分断することができる。剥離シールの使用により、壊れやすいコネクタまたは他の好適な種類のコネクタは、多重チャンババッグ内で溶液成分を混合することを必要とされなくなる。剥離シールを含む多重チャンバ溶液バッグの一実施例は、米国特許第6,319,243号で開示されており、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。図10に示されるように、容器388は、少なくとも3つのチャンバ390、392、および394を含む。チャンバ390、392、および394は、使用準備ができている混合溶液を形成するように溶液内で混合することができる、液体および/または溶液の別個の格納のために設計される。3つより多い、または少ないチャンバを利用できることを理解されたい。
【0174】
剥離可能なシール396および398は、それぞれ、チャンバ390、392、および394の間に提供される。剥離可能なシールの実施例は、1993年3月16日出願の「Peelable Seal And Container Having Same」と題された、米国特許出願第08/033,233号で見ることができ、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。剥離可能なシールは、チャンバの選択的開放を可能にして、その中に含有される液体の選択的混合を可能にする。
【0175】
容器388はまた、図10に示されるような管状ポート400、402、および404等の、管状ポートを含むこともできる。管状ポートは、容器、具体的にはチャンバ390、392、および394との流体的に連絡を可能にするよう、容器に取り付けられる。この目的を達成するために、管状ポート400、402、および404は、患者への容器の内容物の送達のために、カニューレ、先が鋭くとがったもの、または施与セットによって貫通される、膜を含むことができる。3つより多い、または少ないポートを利用できることを理解されたい。
【0176】
図9に示されるように、多重チャンバ容器380は、剥離可能なシールの代わりに、第1のチャンバ382を第2のチャンバ384に封止結合するように、壊れやすいコネクタ406を有する。多重チャンババッグ380内で溶液を混合するために、壊れやすいコネクタ406が壊される。
【0177】
第1の容器またはチャンバ382は、好適なサイズおよび長さの2つのポート管408を含む。2つより多い、または少ないポート管が使用されてもよいことを理解されたい。ポート管のうちの1つは、例えば、必要であれば、本開示の溶液の処方中に、他の成分を第1のチャンバ382に添加するために利用することができる。残りのポート管は、例えば、患者の施与管路(図示せず)を介して第1のチャンバ382を患者に適合して結合するために利用する、付加的な他の成分を添加するために使用する、また同等のことを行うことができる。第2の容器またはチャンバ384は、そこから延在する単一ポート管410を有する。一実施形態においては、ポート管410は、患者の施与管路に接続され、いったん溶液が以下に記載されるように混合されると、溶液がそれを通って流れることができる。
【0178】
一実施形態においては、本開示の透析液を形成するために各チャンバの成分を適切に混合することができるように、多重チャンババッグ380内の生成物の移動を、第1のチャンバ382から第2のチャンバ384へと開始することができる。一実施形態においては、デキストロース濃縮物412が第1のチャンバ382に含有され、緩衝剤濃縮物414が第2のチャンバ384に含有される。任意の好適な種類または数の溶液成分を多重チャンババッグで分離し、次いで、患者への施与の前に混合溶液を形成するように混合できることを理解されたい。腹膜透析液の例示的な実施例は、前述のような米国特許出願第09/955,298号および第10/628,065号、ならびに米国特許第6,309,673に記載されているものを含む。
【0179】
いったん第1のチャンバから第2のチャンバへの移動が発生すると、各チャンバの成分を適切に混合することができるように、第1のチャンバ382は、第2のチャンバ384よりも容積が小さい。したがって、多重チャンババッグ380は、少なくとも2つの溶液成分の部分を収納することができ、その後、混合物は使用準備ができた透析液をもたらす。多重チャンバ容器の一実施例は、米国特許第5,431,496号で説明されており、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。多重チャンババッグは、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、または同等物等の、ガス透過性材料から作ることができる。
【0180】
多重チャンババッグは、種々の異なる好適な材料から製造し、本開示の透析液を効果的に処方し、任意の好適な方式で内科的療法中に患者に施与することができるように、多数の好適な方法で構成できることを理解されたい。例えば、第1のチャンバは、第2のチャンバよりも容積が大きく、さらに、本開示の透析液を容易かつ効果的に作って患者に施与することができるように適合することができる。
【0181】
一実施形態においては、透析液は、CAPD等の腹膜透析中に、多重チャンバ溶液バッグに含有され、そこから施与される。溶液バッグは、前述のように、混合する前に透析液の別個の成分をそれぞれ含有する、複数のチャンバを含むことができる。これは、使用前の透析液と関連する安定性、滅菌性、有効性、または同等物の目的で、混合前に非適合溶液成分の分離を維持するために必要であってもよい。
【0182】
別の実施形態では、溶液成分を調製し、別個の溶液に格納し、次いで、自動腹膜透析中に適用される等の使用の前に、混合デバイスを介して混合することができる。図11に示されるように、デキストロース濃縮物416等の第1の溶液成分、および緩衝剤濃縮物420等の第2の溶液成分は、自動腹膜透析中の使用に適した混合デバイス426に流体的に接続される、それぞれの別個の容器422および424またはバッグに格納される。第1および第2の成分に加えて、好適な溶液で充填された第1のバッグ428および最後のバッグ430もまた、概して公知のような透析療法中に使用することができる。
【0183】
一実施形態においては、有効量の第1の溶液成分416および第2の溶液成分420が各容器からヒータバッグ432の中へ引き出され、溶液成分(例えば、デキストロースおよび緩衝剤濃縮物)は、透析療法中の患者434への注入の前に、混合し、加熱することができる。図11にさらに示されるように、排出管路436が混合デバイス426に結合され、そこから、治療中に老廃物流体を患者から除去することができる。
【0184】
本開示の一実施形態によれば、導電性ポリマー材料は、腹膜透析中等に、溶液複合を監視するためにセンサとして使用することができる。例えば、導電性ポリマーセンサ438を管440に取着することができ、図9に示されるように、それを通って混合透析液が、多重チャンバ溶液バッグ380から患者へと流れる。導電性ポリマーセンサ438は、患者に注入される混合透析液の導電率の変化を監視することができるように、制御装置442または他の類似デバイスと電気的に接触している。導電率レベルに基づいて、混合溶液のpHレベルを監視し、溶液成分(例えば、デキストロース濃縮物および緩衝剤濃縮物)が、使用前に透析液を形成するように適切かつ十分に混合されているかどうかを判定することができる。透析液が適切に混合されていない場合、導電性レベルは、使用準備ができている透析液の所望のpHレベルと概して関連する、基準導電率レベルを上回って、または下回って存在する。以前に論じられているように、混合透析液の所望のpHは、使用前に、約6.5〜約7.6の間等の生理学的許容レベルに維持される。この情報に基づいて、透析液の溶液化学が適正な使用のために修正されるように、プロセスに調整を行うことができる。これは、透析療法中等の使用中に、溶液の安全かつ有効な使用を促進することができる。
【0185】
図11に示されるように、本開示の導電性ポリマーセンサ444は、自動腹膜透析中に適用することができる。より具体的には、本開示の導電性ポリマーセンサ444は、管部材446に取着することができ、それを通って透析液が患者へと流れる。透析液は、以前に論じられているように、別個の溶液バッグに格納される溶液成分の混合の生成物である。導電性ポリマーセンサ444は、以前に論じられているように、患者に施与される溶液の導電率レベル、およびしたがってpHレベルを監視することができるように、電気的に接触している制御装置448または他の類似デバイスに取着することができる。随意で、一実施形態においては、少なくとも1つの付加的な導電性ポリマーセンサ450もまた、図11に示されるように利用することができる。この点で、付加的なセンサは、混合前に溶液成分の導電率レベルを監視するために利用することができる。これは、前述のように、導電率測定に基づいて、溶液成分が所望のpHに維持されているかどうかを評価するために利用することができる。
【0186】
(独立型切断システムおよび方法)
ここで図12を参照して、独立型アクセス切断システム220の一実施形態を図示する。システム220は、図4Aおよび4Bに関連して上記に記載されているもの等の透析機械190を含む。例えば、機械190は、シャーシ192およびタッチスクリーン197を含む。機械190は、それぞれ静脈針32および動脈針34に接続する、静脈管路26および動脈管路28を有する血液回路35を含んで、患者アクセス36を形成する。動脈管路28は、患者アクセス36から、図13に関連して以下でさらに詳細に示される検出器モジュール225へと延在する。一般に、検出器モジュール225は、それぞれ、静脈および動脈管路26および28が提供された接点22および24(図1A)と電気的に連絡する電極を含む。代替として、検出器モジュール225は、血液と直接接触する、それぞれ図1Bに関連して上記で参照されている、静脈および動脈接点生成結合デバイス48および50を含み、血液セット上の接点22および24の必要性を除去する。検出器モジュールは225また、アクセス切断を検出し、図14に関連してさらに詳細に記載される保護装置モジュール230に遠隔または無線信号を送信することが可能な、電子機器も含む。
【0187】
血液回路35の第1の管類区分38aは、検出器モジュール225から血液ポンプ46へと延在する。第2の管区分38bは、血液ポンプ46における区分38aから透析装置42へと延在する。第3の管区分38cは、透析装置42から検出器モジュール225へと延在する。静脈管路26は、検出器モジュール225から患者アクセス36へと延在する。図示されるように、検出器モジュール225は、検出器モジュール225によって患者アクセス36における切断を感知すると、管区分38aまたは38cのうちの1つ以上を締め付けるように配置される。静脈滴下チャンバ40は、管区分38cで動作して示されている。図示されていないが、加えて、動脈滴下チャンバ44を管区分38aに配置することができる。静脈滴下チャンバ40は、圧力センサ214で動作して示されている。
【0188】
機械190の統合部品、機械190を注文する際のオプション、または既存の透析機械(または、本明細書に記載の任意の他の種類の血液治療あるいは医療送達機械)に対する据え付けキットのいずれかとして、検出器モジュール225および保護装置モジュール230を含むシステム220を提供することが明白に検討される。したがって、一実施形態においては、検出器モジュール225および保護装置モジュール230と関連する電子機器は、(おそらく、入力電力を除いて)機械190の電子機器から独立している
加えて、図13を参照して、検出器モジュール225は、一実施形態においては、本明細書で記載のように、体外回路中の血液の電気インピーダンスを監視し、患者アクセス36における静脈または動脈除去が発生すれば、警報を生成して、保護装置モジュール230に、血液回路35の動脈管区分38aおよび静脈管区分38cのうちの少なくとも1つを締め付けさせる。
【0189】
検出器モジュール225および保護装置モジュール230以外に、システム220はまた、一実施形態においては、図13に示されるような使い捨て部分も含む。使い捨て部分は、検出器モジュール225で動作し、血流と電気的に接触するか、または血液セット管類の上方で締め付ける、図1Aに示される2つの接点22および24を含む。据え付け実施形態では、治療の前に、使い捨て電極22および24が、血液回路35に挿入される。示されるように、動脈管28および管類38aが接点24の上方で封止嵌合される一方で、静脈管26および管類38cは、接点22の上方で封止嵌合される。または、血液回路35には、事前設置される接点22および24を提供することができる。いずれの場合でも、接点22および24は、金属構成要素であるか、または導電性ポリマーで作ることができる。接点22および24に血液回路35が提供されると、検出器モジュール225には、それぞれ、血液回路35の接点22および24と電気的に接触する、2つの電極222および224が提供される。図示された実施形態における電極222および224は、血液回路35の接点22および24、ならびに関連管26、28、38a、および38bを適所で物理的に担持する、バネクリップとして提供される。
【0190】
代替実施形態では、血液回路35には、接点22および24(図示せず)が提供されず、代わりに、検出器モジュール225に、図2A−2Eに関連して上記で記載されている、結合デバイス80、114、および130のうちの1つの対が提供される。結合デバイス80、114、および130は、血液との電気接続を確立し、血液回路35が提供された接点22および24の必要性を排除する。
【0191】
検出器モジュール225は、本明細書に記載のように、電極間のインピーダンスを測定することによって、針の除去を感知する。そうするために、検出器モジュール225は、血流に電流を注入する。電流注入は、侵襲的(例えば、電流源160から、電極222または224を通って接点22および24への直接血液接触)または非侵襲的(以下で論じられているように、接触がない)のいずれかで行われる。一実施形態においては、検出器モジュール225は、直接かつ侵襲的に、インピーダンスを誘導し、測定する。侵襲的測定は、使い捨て接点22および24が、血液回路35中の血流と物理的に接触して配置されることを必要とする。
【0192】
侵襲的測定の代案として、検出器モジュール225は、例えば、容量結合によって、または電流の磁気誘導を介して、インピーダンスを非侵襲的に測定するように構成することができる。容量電流結合を達成するために、検出器モジュール225は、血液回路35の上方に容量電極(図示せず)を配置する。次いで、検出器モジュール225は、外部電極に交流電圧を印加して、一方の電極から他方の電極へと移動するイオン電流を誘導する。誘導の実施形態では、検出器モジュール225は、血液管類を巻装する磁気コイル(図示せず)を含む。検出器モジュール225は、磁気コイルを使用してイオン電流を誘導する。コイルに印加される交流電流は、磁束を変化させ、血液中のイオン電流を誘導する。
【0193】
電流が血液に直接的に、容量的に、誘導的に導入されるかどうかにかかわらず、検出器モジュール225は、電気インピーダンスの変化を測定するように構成される電子機器を含む。一実施形態における検出器モジュール225は、使い捨てADS電極22および24(図1A)に接続する、小型で軽量の電池式デバイスである。検出器モジュール225は、血液中に誘導される電流に変換される、励起電圧源160(図3)を含む。接点22および24のうちの1つを通る帰電流(血液回路35のインピーダンスを示す)は、電圧に変換され、測定され、処理される。代替として、検出器モジュール225は、同様に血液回路35のインピーダンスを示す、接点22と24とにわたる電圧を測定する。
【0194】
図示されるように、検出器モジュール225は、電圧源160(モジュール25の電極222および224を通って接点22および24に電気的に接続される)、フィルタ164、整流器166、ピーク検出器168、アナログ・デジタル変換器(「ADC」)170、制御ユニット172(図3)、および保護装置モジュール230と連絡するように設定される無線エミッタ226のうちのいずれか1つ以上を含む。検出器モジュール225の電子機器は、一実施形態においては、印刷回路板(「PCB」)216上に提供され、トレース218を介して互いに電気的に接続される。
【0195】
制御ユニット172は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)等のメモリ、およびデジタル信号プロセッサ(「DSP」)等のプロセッサを含むことができる。RAMは、ソフトウェアを格納し、ADC170からのデジタル信号をバッファリングする。プロセッサは、ソフトウェアを使用して、バッファリングされた信号を処理する。アクセス切断時に、血液回路35のインピーダンスは、大幅に変化する。制御ユニット170のプロセッサは、この変化を感知し、エミッタ226を介して、保護装置モジュール230のレシーバ228に出力を送信する。エミッタ226およびレシーバ228は、一実施形態においては、無線周波数(「RF」)を介して動作するが、代替として、マイクロ波または他の好適な周波数を介して動作する。さらに代替として、検出器モジュール225は、保護装置モジュール230に配線接続される。
【0196】
保護装置モジュール230を、図14でさらに詳細に示す。保護装置モジュール230は、その対応するエミッタ226および検出器モジュール225からの特定の伝送のみを探すように設定される、無線レシーバ228を含む。このように、システム220を採用する複数の機械190を並べて設定することができる。一実施形態においては、レシーバ228によって受信された信号は、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)等のプロセッサ232が受け取るのに適した形となるように、レシーバ228によってデジタル化あるいは調節される。一実施形態のプロセッサ232は、レシーバ228からの信号を探すように設定され、そうすると、プロセッサ232は、以下でさらに詳細に記載されているように、クランプまたは閉塞器234および236に、動脈管類38aおよび静脈管類38cの一方または両方を完全または部分的に閉鎖させる。クランプまたは閉塞器234および236は、一実施形態においては、機械190の電源が切れているソレノイド弁である。プロセッサ232は、動作電力をソレノイド234および236にそれぞれ到達させるように指示されると閉鎖する、固体状態スイッチ238および240で動作する。
【0197】
アクセス切断信号を受信すると、保護装置モジュール230は、少なくとも静脈管類38cを締め付けるように構成され、一実施形態においては、静脈管類38cおよび動脈管類38aの両方を締め付けるように構成される。しかしながら、静脈管類38cおよび動脈管類38aの両方を締め付けることにより、静脈管類38c中で圧力の急上昇をさらに迅速に発生させる可能性があり、それは次に、静脈滴下チャンバ40に結合された圧力トランスデューサ214によってさらに迅速に感知される。圧力トランスデューサ214によって感知された圧力の急上昇は、一実施形態においては、圧力が静脈管類38cを損傷するほど増加することができる前に、例えば、機械190内の回路に、血液ポンプ46を閉鎖させる。この回路は、機械190内にすでに存在していることができるため、システム220に追加する必要はない。代替として、保護装置モジュール230は、必要な回路を含むことができる。
【0198】
代替実施形態では、圧力トランスデューサ214が提供されない場合、またはトランスデューサが単純に、制御のためよりもむしろ、圧力を読み取るためのものである場合、静脈管類38cおよび動脈管類38aの血液管路の両方が閉塞される。動脈血液管路38aは、さらなる血液が失われる(体外回路中にすでにあるもの以外)のを防止するように完全に閉塞される。静脈血液管路38cは、すでに体外回路中にある血液の喪失を減速する一方で、過剰圧力による血液管路38cの損傷を防止するように、部分的に閉塞される。
【0199】
検出器モジュール225および保護装置モジュール230は、比較的単純で安価なデバイスである。保護装置モジュール230を機械190の正面194に取り付けることが検討されるが、代替として、保護装置モジュール230を機械190の任意の部品に取り付けることができ、そこへ静脈管類38cおよび動脈管類38aが到達し、依然として患者アクセス36に到達することができる。保護装置モジュール230は、一実施形態においては、機械190から電力供給される。検出器モジュール225は、前述のように、電池式となり得る。そのためには、検出器モジュール225のバッテリ244は、一実施形態においては、再充電可能であり、保護装置モジュール230は、一実施形態においては、バッテリ244を再充電し、使用と使用との間に検出器モジュール225を格納するために、検出器モジュール225の再充電コネクタを受容するように、電気ソケットを含む。
【0200】
検出器モジュール225は、一実施形態においては、検出器モジュール225がそのバッテリ244を再充電または交換を必要とする時に患者または介護者に警告する、低電力警報242を含む。バッテリ244は、電圧源160と、電力を必要とする、フィルタ164、整流器166、ピーク検出器168、ADC170、制御ユニット172、警報242、および無線エミッタ226のうちのいずれか1つ以上に電力供給する。図示されていないが、警報242は、エミッタ226を介して連動し、検出器モジュール225のバッテリ244が再充電されるまで、保護装置モジュール230に血液管路38aおよび38cを締め付けさせ、血液ポンプ46を潜在的に止めることができる。そのためには、検出器モジュール225は、一実施形態においては、AC電力(図示せず)を受け取るように構成されるため、バッテリを即時に再充電または交換する必要なく、治療を再開することができる。
【0201】
検出器モジュール225および保護装置モジュール230のいずれか一方は、診断目的により、リアルタイムまたは後で、格納された情報をダウンロードするように、小型モニタおよび/またはデータポート(図示せず)を含むことができる。一実施形態においては、そのような装置は、検出器モジュール225上に提供されるため、検索されたデータは、保護装置モジュール230に送信されなくてもよい。代替として、例えば、電力またはスペースの理由で、モニタおよび/またはデータポートには、保護装置モジュール230が提供される。そのような場合、必要なソフトウェアおよび処理能力が、保護装置モジュール230に追加される。
【0202】
検索されるデータは、ピークインピーダンス(例えば、低血流速度)、低インピーダンス(例えば、高血流速度)、平均インピーダンス(例えば、平均血流速度)、インピーダンススパイクの周波数等のいずれか1つを含むことができる。例えば、血液回路35の血液ポンプの周期的閉塞は、有意な周波数を有するインピーダンススパイクを生じることが検討される。周波数が変化する場合、それは、血液ポンプの摩耗または不適正機能の徴候、あるいは、例えば、管路をねじることによって、患者がインピーダンススパイクを引き起こしているという信号となり得る。このデータ検索および分析は、本明細書に記載のシステムのいずれによっても行うことができる。
【0203】
検出器モジュール225および保護装置モジュール230の電子機器は、一実施形態においては、独立型であり、おそらく、前述のように保護装置モジュール230に電力供給する以外は、機械190の電子機器と連動する必要はない。しかしながら、例えば、新しい機械190とともに販売されてもよく、またはそうではなくてもよい、オプションとして、検出器モジュール225および保護装置モジュール230を新しく販売される機械190に組み込むことが、明白に検討される。
【0204】
(上部分岐インピーダンスの最大化、および患者接地の最小化)
未検出の失血を防止するように血液透析中に動脈または静脈針の除去を検出するために電気インピーダンス測定を使用する、上記のアクセス切断(「ADS」)システムは、患者「接地」によって達成されることが分かっている。患者接地は、直接的に、または他のデバイスを介してのいずれかで、アース接地への患者の接続によって引き起こされる。少なくとも部分的には、通常は患者の安全のためにアース接地に接続される透析装置が、以下に示されるように電極間の測定されたインピーダンスと並列な代替インピーダンス経路を提供するため、患者接地は、ADSシステムの検出感度を低減する。
【0205】
以下の図では、ADSシステムに対する患者接地の影響を最小化するための本開示の方法および装置は、図15に示されるように、アース接地242の並列経路に対するモデル250と組み合わせた、血液回路35中の血液に対する電気的集中モデルとして図示される。血液、透析液、または両方のいずれかを含有する管類のセクションは、低周波数において抵抗に近いと考えられるインピーダンスとしてモデル化される。血液回路35に対するインピーダンスは、次のとおりである。
【0206】
RUAは、動脈接点24から血液ポンプ46の出口までの、管類区分38a中の血液のインピーダンスである。
【0207】
RPUMPは、(各旋回中に変動する)蠕動ポンプのインピーダンスである。
【0208】
RPDは、血液ポンプ46を透析装置42に接続する管類区分38b中の血液のインピーダンスである。
【0209】
RUVは、透析装置42から静脈接点22までの管類38c中の血液のインピーダンスである。
【0210】
RDVは、静脈接点22から患者アクセス36までの静脈管類26中の血液のインピーダンスである。
【0211】
RDAは、患者アクセス36から動脈接点24までの動脈管類28中の血液のインピーダンスである。
【0212】
前述のように、動脈接点24および静脈接点22は、ADSシステムを体外血液回路の動脈および静脈枝にそれぞれ電気的に接続する、2つの使い捨て項目である。動脈接点24ノードおよび静脈接点22ノードにおける電気回路は、2つの分岐を、上部分岐244および切断分岐246といった、2つの分岐に並列して分け、各分岐244および246は、異なるセットの集中インピーダンスを含む。
【0213】
切断分岐246がインピーダンスRDAおよびRDVを直列で含む一方で、上部分岐244は、RUA、RPUMP、RPD、およびRUVの組み合わせを含む(患者アクセス36および透析装置42のインピーダンスが、他のインピーダンスと比較してわずかであると仮定して)。切断分岐246は、インピーダンスRDAおよびRDVを含み、(i)体外システムの異なる区分における管類の根本的に異なる長さ、および(ii)蠕動ポンプ46の管類閉塞により、RUA、RPUMP、RPD、およびRUVを有する上部分岐244よりも低い全体的インピーダンスを有する。
【0214】
図16は、電圧を既知の電流に変換するために電圧源160および高抵抗抵抗器248(例えば、1ミリオーム以上)を使用して血液回路35中の血液のインピーダンスを測定し、動脈接点24と静脈接点22との間に既知の電流を注入して、動脈接点24上の得られる電圧を監視する、本明細書に記載のシステムに対する1つの電気回路図を示す。図示された実施形態では、電流信号から直流(「DC」)成分を除去するように、コンデンサ252が配置される。図示されるように、制御装置172(上記に図示)は、動作増幅器254のセンス1において測定される、対応する電圧を測定することによって、インピーダンスを測定する。センス1における信号は、例えば、増幅器およびアナログ・デジタル変換器を介して調節される。
【0215】
オームの法則によれば、針の除去は、インピーダンスを増加させ、電圧源160によって印加される定電圧に対する電流信号を低減する。対応するインピーダンスが、ある閾値を上回って増加するように、電流信号が十分に変化する場合、対応する制御装置172が警報を起動させる。図16は、動脈および静脈針の両方が患者アクセス36に留置される、正常な動作を図示する。電流源160によって誘発される電流は、上部分岐244を通って流れる上部電流Iuと、切断分岐246を通って流れる下部経路電流Idとの間で分割される。図16のプロット256は、血液回路35のインピーダンスを示す出力された電圧信号センス1が警報閾値電圧を下回っていることを示す。
【0216】
図17は、患者アクセス36の動脈または静脈針の除去中である、図16に示されるのと同じADSシステムを図示する。ここで、切断分岐246のインピーダンスが増加し、切断分岐246を通って流れる電流Idをゼロにさせる。これは、プロット256に表されるようなセンス1の振幅を、閾値インピーダンスレベルを越えて増加させる。センス1の変化は、血液回路35の上部分岐244および切断分岐246のインピーダンスの関数である。上部分岐244のインピーダンスは、一定ではない。管類上の血液ポンプロータ46の回転は、回転する際に異なる程度の閉塞を及ぼすため、インピーダンスの変調を生じさせる。正常動作下での上部分岐244のインピーダンスを最大化することにより、上部分岐244の電流Iuを減少させ、切断分岐246の電流Idを最大化すると、センス1における増加した振幅の影響を拡大することを理解されたい。
【0217】
図16および17の電気システムは、図15に示され、記載されるように、(概して必要に応じて)透析装置42がアース接地242に接続される時の電気的状況を完全に記載するわけではない。図18は、透析装置42が並列接地経路250のアース接地242に接続される時の、図10の切断状態を図示する。ここで、示されるようなシステムは、アース接地242への患者の潜在的接続を含む。患者がアース接地242に接続される時には、図18の太線から分かるように、注入電流Idに対して別の帰経路が存在する。図18では、
RPGは、接地に対する患者の身体インピーダンスを表す。
【0218】
RDGIおよびRDG2は、透析液インピーダンスを表す。
【0219】
アース接地242からの励起電圧の電気的分離(例えば、分離変圧器を通して)にもかかわらず、患者接地の問題が存在する。患者接地の影響は、図18のプロット256で表されるように、除去によるインピーダンスの測定された変化を有意に低減することである。ここで、代替電流経路が作られて、アクセス切断時の切断電流Idが、アース接地242から、静脈接点22に接続されるシステム接地258へと流れることができるようにする。アクセス切断時に停止する代わりに、切断分岐246の電流Idは、流れ続ける。その結果、並列接地帰経路250のインピーダンスは、センス1で測定されるインピーダンスの変化を、閾値を上回って上昇しないような程度まで低減する。ここで、警報が鳴らされることも、血液ポンプ停止されること等も行われない。
【0220】
図19は、図18のシステムに対する血液測定に基づく抵抗モデルからの、接地に対する患者インピーダンスの関数として、除去による測定された電圧の変化のシミュレーションを示す。y軸は測定された電圧に比例する、均等目盛である(出力圧がアナログ・デジタル変換器を通して供給されるセンス1にて、時間あたりのカウント、例えば、無電圧に対応するゼロカウントおよび最大電圧に対応する256カウントに、電圧を計測する)。x軸は、アース接地に対する患者インピーダンス(RPG)の変化を示す、対数目盛である。データは、留置(菱形)および除去(四角)された針の状態に対する電圧を示す。2つのプロットを比較することによって分かるように、インピーダンス変化閾値(プロット256中)が40カウントに設定される場合、システムは、接地に対する患者インピーダンスが約100キロオーム未満の時には除去を検出しない。実践では、変動インピーダンスを通して患者を接地に接続することができるため、これは、検出閾値と比較して、測定されたインピーダンスの大きな変動を引き起こすことができる。したがって、患者接地の影響は、インピーダンスを使用する針の除去の効果的な検出のために、最小化されるべきである。
【0221】
(上部分岐インピーダンスの最大化)
図20は、正常動作下で上部分岐244のインピーダンスを最大化することにより、正常動作下で、上部分岐244の電流Iuを減少させ、切断分岐246の電流Idを最大化するための装置および方法を図示する。図20では、動作増幅器等の信号産出源260が、上部分岐244の一部分にわたって配置される。ここで、抵抗器248と組み合わせた電圧源160は、ノード262から動作増幅器260の中へ電流を誘導し、増幅器は、電流を1だけ増幅し、Gコンタクト262におけるノード262と同じ電位の電圧を出力する。このように、インピーダンスRCG1を有する管類区分の対向端において、同じ電位がノード262およびGコンタクト262に存在し、それは、開回路をシミュレートし、図20から分かるように、上部分岐244の電流Iuを効果的にゼロに駆動し、強制的に電流を下部経路246に通し、それはセンス1における信号を増強する。
【0222】
(接地電流低減回路)
図20はまた、上部分岐244のインピーダンスを最大化するための前述の同じアプローチを使用して、患者接地の影響を最小化するための装置および方法を図示する。再び、方法は、管類の区分にわたる等しい電位の2つの接点266および268を動的に作成するために電子フィードバックを使用して達成される、仮想の開回路を作成することによって、電流の流れに反作用する原理に基づき、ここで、透析液経路264は、透析装置42につながるか、またはそこから通じる。血液側の接点22および24に対照的に、接点266および268は、再利用可能であり、使い捨ての費用を増大させないことを理解されたい。
【0223】
動作増幅器等の信号産出源270は、透析液経路264の一部分にわたって配置される。接点266における電圧電位は、動作増幅器270に供給され、増幅器は、信号を1だけ増幅し、第2の接点268において接点266と同じ電位の電圧を出力する。並列接地経路250で動作する電子機器は、分離システム接地258に対してアース接地242上の電位を監視し、RDG1とRDG2との間の接点268において、同じ電位を生成する。このように、インピーダンスRDG1を有する透析液経路264の管類区分の対向端において、同じ電位が存在し、それは、開回路をシミュレートし、図20から分かるように、接地電流Igを効果的にゼロに駆動する。
【0224】
図20のADSシステムの実験室実施で得られた実験結果を図21にプロット表示する。図21は、図19と同じ種類のシミュレーションを示す。ここで、図20のシステムについて、接地に対する患者インピーダンスの関数としての、除去による測定された電圧を図示する。y軸は測定された電圧に比例する、均等目盛である(出力圧がアナログ・デジタル変換器を通して供給されるセンス1において、前述のような時間あたりのカウントに電圧を計測する)。再び、x軸はアース接地に対する患者インピーダンス(RPG)の変化を示す、対数目盛である。データは、留置(菱形)および除去(四角)された針の状態に対する電圧を示す。
【0225】
2つのプロットを比較することによって分かるように、接地電流低減回路の影響は、このグラフを図19のグラフと比較すると、非常に顕著である。確かに、上部経路244の電流Iuをゼロに駆動するために使用される回路260がなくても、接地電流Ig単独をゼロに駆動するために使用される回路270が、正確かつ反復可能なADSシステムを提供するために十分であると考えられる。
【0226】
(患者接地に対処するための測定電極の移動)
図18のADSシステムの数学的解析は、患者が除去された時の測定されたインピーダンスと、患者が留置された時に測定されたインピーダンスとの間の比率を示し、透析装置42と静脈接点22との間のインピーダンスであるRUVと、静脈アクセス接点22と患者アクセス36との間のインピーダンスであるRDVとの間の比率に、特に敏感である。RUVのRDVに対する比率が増加するにつれて、インピーダンスの除去測定値と留置測定値との間の差も増加する。したがって、図18のADSシステムは、インピーダンスRDVに対してインピーダンスRUVを増加させることによって、患者接地の影響をさらに受けないようにすることができる。
【0227】
数学的解析はまた、患者アクセス36と動脈接点24との間のインピーダンスである、インピーダンスRDAのより低い値も示し、また、除去測定値と留置測定値との間の差を増加させる。インピーダンスRDAおよびインピーダンスRDVを低減させる一方で、インピーダンスRUVを同時に増加させることが望ましい。静脈接点22および動脈接点24を可能な限り患者の近くに配置することにより、インピーダンスRDAおよびRDVを低減する一方で、インピーダンスRUVを増加させる。
【0228】
静脈接点22および動脈接点24を患者のより近くに移動させることの影響を、図22に示す。y軸は、デジタル化された測定電圧(インピーダンスに依存し、図19および21と同じ)であり、横座標は、患者アクセス36における患者の瘻設定コネクタからの静脈接点22および動脈接点24の距離である。低導電率血液(菱形)および高導電率血液(四角)の両方について、所与の入力信号および血液回路35に対するインピーダンスは、静脈接点22および動脈接点24が患者のより近くに移動させられると、センス1においてさらに高くなる。
【0229】
静脈接点22および動脈接点24を患者のより近くに移動させるステップは、単独で、または、患者接地の影響を低減し、センス1において測定されるインピーダンスを増加させるための他の方法のうちの1つ以上と組み合わせて、使用されてもよい。
【0230】
(患者接地に対処する二重感知回路)
ここで図23を参照して、患者接地の影響に対処するための別の装置および方法は、患者とアース接地242との間の接続が、強制的に励起電流Igの一部分を接地帰経路に流し、検出閾値を下回るレベルにセンス1上の信号Idを低減させるという事実に依存する。図23のシステムでは、第2の感知回路274は、接点266および268において、透析液経路264に配置される。感知回路254と同様に、制御装置172(上記に図示)は、動作増幅器274のセンス2において測定される、対応する電圧を測定することによって、接地インピーダンスを測定する。センス2における信号は、例えば、増幅器およびアナログ・デジタル変換器を介して調節される。
【0231】
並列接地経路264中の励起電流Igを監視することは、患者が接地されているか否かを示すだけでなく、患者が接地されている時に患者アクセス36からの除去の検出を強化するためにも使用される。そのような場合、接地帰経路264を流れる電流Igは、除去時に大幅に増加する。
【0232】
したがって、図23のADSシステムは、信号センス1およびセンス2の両方を使用する。センス1およびセンス2の組み合わせは、患者とアース接地242との間のインピーダンスの範囲全体を網羅する。つまり、患者がアース接地242から分離されると、センス1は除去を検出するのに十分である。アース接地242に対する患者のインピーダンスが非常に低い、例えば、患者がアース接地のところにいる時は、制御装置172が、監視源としてセンス2を使用させられる。アース接地への患者接続の中間段階において、確実な除去の検出のために、両方の信号の組み合わせが使用される。
【0233】
一実施形態においては、制御装置172は、(i)センス1のみ、(ii)センス2のみ、および(iii)センス1とセンス2、といった、3つの信号シナリオのうちの1つを選択し、(i)センス1が警報を起動させるほど高い時を判定する、(ii)センス2が警報を起動させるほど高い時を判定する、および(iii)警報を起動させるために、センス1またはセンス2の両方が使用されなければならない時を選定するように構成される。
【0234】
代替として、制御装置172は、第3のシナリオのセンス1およびセンス2を常に使用するように構成される。ここで、制御装置172はまた、センス2に関心を向けて、患者が接地されているか否かを示す。
【0235】
図23のシステムの抵抗性の高導電率血液モデルの実験室実施で得られた実験結果を、図24にプロット表示する。低導電率血液に対する同等なグラフを、図25にプロット表示する。ウシ血液で行った実験室測定を、高導電率血液については図26、低導電率血液については図27にプロット表示する。それぞれの場合において、センス2を使用することは、地上で少なくとも最大で約3000〜5000キロオームのインピーダンスのアクセス切断を検出する効果的な方法であると思われる。
【0236】
(ADSデバイスにおける使い捨て接点を排除するための透析液経路の使用)
図28を参照して、透析液感知システムが図示され、透析装置42は、体外回路中の血液から、経路264中の透析液を通ってアース接地242までの電気経路を提供する。顕著なことに、血液回路35は、接点22および24を含まない。接点は、代わりに、以下でさらに詳細に示されるように、透析液経路264の中に提供される。これは、接点がシステムの使い捨て部分の一部ではなく、費用を節約するため、有利である。
【0237】
患者からアース接地または信号の分離接地258のいずれかまでの帰経路が提供される限り、透析液に注入される信号は、体外回路および患者の身体中の血液を通って循環する。一実施形態においては、アース接地242または分離接地258への帰経路は、血液治療、例えば、血液透析治療中に、患者の腕(図33)に取着される血圧モニタのカフに固定された接地ストラップ280によって促進される。
【0238】
図28の透析液感知システムでは、提案される方法は、並列アース接地経路250のモデルと併せて、血液回路35中の血液に対する電気的集中モデルによって図示される。図28では、Sコンタクト282、GRコンタクト284、およびIGコンタクト286は、透析液感知システムを、例えば、血液透析器具の内部の透析液経路264に接続する、3つの非使い捨て接点である。これらの接点は以下を分ける。
【0239】
RDG1(IGコンタクト286とアース接地242との間)、アース接地242と透析装置42との間のインピーダンスの第1の区分。
【0240】
RDG2(GRコンタクト284とIGコンタクト286との間)、アース接地242と透析装置42との間のインピーダンスの第2の区分。
【0241】
RDG3(Sコンタクト282とGRコンタクト284との間)、アース接地242と透析装置42との間のインピーダンスの第3の区分。
【0242】
RDG4(透析装置42とSコンタクト282との間)、アース接地242と透析装置42との間のインピーダンスの第4の区分。
【0243】
図28では、動作増幅器等の信号産出源290が、透析液経路264のRDG3部分にわたって配置される。ここで、抵抗器248と組み合わせた電圧源160は、動作増幅器290の中へ電流を誘導し、増幅器は、電流を1だけ増幅し、Sコンタクト282において出力する電位と同じ電位である、GRコンタクト284における電位を出力する。このように、インピーダンスRDG3を有する管類区分の対向端において、同じ電位がSコンタクト282およびGRコンタクト284に存在し、それは、開回路をシミュレートし、図28から分かるように、接地電流Igを効果的にゼロに駆動する。GRコンタクト284において注入される保護信号は、電流がRDG3を通って循環するのを防止する。
【0244】
電圧源160および抵抗器248はまた、Sコンタクト282において電流を注入し、開回路が強制的にRDG4を通り、次いで、電気的に並列である、第1の分岐294の電流I1および第2の分岐296の電流I2に分岐する。第1の分岐294がインピーダンスRDVと直列なインピーダンスRUVを含む一方で、第2の分岐296は、直列インピーダンスRPD、RPUMP、RUA、およびRDAを含む。第1の分岐294(RUVおよびRDV)は、体外システムの異なる区分における管類の根本的に異なる長さ、および蠕動ポンプ46の管類閉塞により、第2の分岐296(RPD、RPUMP、RUA、およびRDA)よりもはるかに低い全体的インピーダンスを有する。したがって、分岐294を通る電流I1は、分岐296を通る電流I2よりもはるかに大きい。電流は、患者アクセス36を通ってアース接地242の中へ、そして最終的に、RDG1を通って、アース接地242および分離帰経路292への患者の接続288を通して分離接地258に接続されるIGコンタクト286へと循環する。代替実施形態では、患者接地経路288は、分離接地258に直接接続される。
【0245】
図28の透析液感知システムは、前述のような動作増幅器254を使用して、センスにおけるインピーダンスを測定する。センスにおける信号は、例えば、増幅器およびアナログ・デジタル変換器を介して調節される。透析液感知システムは、Sコンタクト282上の得られる電圧を監視することによって、Sコンタクト282とIGコンタクト286との間のインピーダンスを測定する。静脈針の除去は、センスにおいて測定される測定インピーダンスを増加させる。透析液感知システムは、インピーダンス変化が閾値レベルを越えた場合に警報を起動させる。
【0246】
図28では、透析液感知システムは、患者アクセス36において留置された両方の針による正常動作で表されている。プロット256から分かるように、センスにおける測定インピーダンスは通常、閾値量を下回る。
【0247】
図29では、透析液感知システムは、針の除去、例えば、患者アクセス36における静脈針の除去中で示されている。ここで、電流I1は、経路294を通ってゼロになり、全ての電流I2は、強制的に高インピーダンス経路296を通される。センスの増加した振幅の影響は、プロット256において表されている。インピーダンスの変化は、血液回路35の高インピーダンス(RPD、RPUMP、RUA、およびRDA)分岐294のみが接続されるという事実によるものである。動脈経路の除去(ポンプ前)による損傷は本質的に軽減されるため、静脈針(帰経路)の除去を感知することがより重要である。
【0248】
図30は、低ヘマトクリット値を持つ患者のモデルでの感知電圧信号のシミュレーションを示す。y軸は、電圧を示す。x軸は、時間を示す。ゼロと50ミリ秒との間の区間が、両方の針が患者アクセス36において留置された感知信号である一方で、50と100ミリ秒との間の区間は、静脈の除去中の信号である。センスにおける電圧出力は、針の除去時に2倍以上である。これらの結果は、高ヘマトクリット値を持つ患者に対しても同様である。
【0249】
図31および32は、それぞれ、低および高ヘマトクリットのウシ血液について、経時的にカウントにデジタル化されたセンス信号を示す(より少ないカウントがより低いインピーダンスに対応し、より多くのカウントがより高いインピーダンスに対応する)。図31および32はそれぞれ、留置、除去、および再留置の順序を含む。センスにおけるインピーダンスは、両方の場合において測定可能に増加する。患者アクセス36が再留置されると、センスにおけるインピーダンスは、初期レベルに戻り、システムが反復可能であることを示す。
【0250】
図33は、透析液感知システムと関連するハードウェアを示す。透析液経路264は、逆電流の流れを産出するように、透析装置への経路264aおよび透析装置からの経路264bに分割される。Sコンタクト282、GRコンタクト284、およびIGコンタクト286は、透析装置への経路264aおよび透析装置からの経路264bの両方で透析液と電気的に連絡している。回路160、248、252、254、および280は、前述のように示される。血液ポンプ46は、患者アクセス36から、動脈管路28、動脈滴下チャンバ44、透析装置42、静脈滴下チャンバ40、静脈管路26を通って、再び患者アクセス36へと、血液を圧送する。
【0251】
図33では、透析液感知システムは、2つの構成で示される。両方の構成は、例えば患者の腕に取着された、血圧カフに固定された接地ストラップ280を介して、帰経路288を患者に接続する。1つの実施では、帰経路288は、分離接地242に向かわされる。第2の実施では、帰経路288は、接地242に向かわされる。両方の接地実施が、効果的で反復可能なインピーダンス測定アクセス切断システムを提供すると考えられる。再度、図21−26の透析液感知システムは、使い捨て金属接点を含まないために有利である。
【0252】
本明細書に記載の現在好ましい実施形態に対する種々の変更および修正が、当業者にとって明白となることを理解されたい。そのような変更および修正は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、かつその意図された利点を損なうことなく、行うことができる。したがって、そのような変更および修正は、添付の請求項によって網羅されることが意図される。
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本願は、米国仮特許出願第10/760,849号(名称「Conductive Polymer Materials And Applications Thereof Including Monitoring And Providing Effective Therapy」、2004年1月19日出願)に対する優先権および一部継続出願としての利益を主張し、後者の出願は、米国特許出願第10/121,006号(名称「Access Disconnection Systems And Methods」、2002年4月10日出願)の一部継続出願である。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、治療のための患者のアクセス切断システムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、透析療法を含む治療または内科的療法中の患者アクセスデバイスの除去等の、患者アクセス切断の検出に関する。
【背景技術】
【0003】
種々の異なる治療は、患者と、1本の針または複数の針あるいは患者の体内に挿入される任意の好適なアクセスデバイスを介して患者に接続される体外システムとの間の血液の送達等の、患者への、および/または患者からの流体の送達に関連する。例えば、血液透析、血液濾過、および血液透析濾過は、全て患者の血液から直接、老廃物、有害物質、および過剰水を除去する治療である。これらの治療の際に、患者は、体外機械に接続され、患者の血液は、機械を介して圧送される。老廃物、有害物質、および過剰水は、患者の血液から除去され、血液は、患者内に逆注入される。体外機械を往復して患者の血液が移送されるために、針または他の好適なアクセスデバイスが、患者の血管アクセスに挿入される。従来の血液透析、血液濾過、および血液透析濾過治療は、数時間も続き得、概して、週約3回乃至4回、治療施設で行われる。
【0004】
これらの血液治療のいずれかの間に、動静脈グラフトまたは瘻を含む、患者の血管アクセスに挿入された針の除去等の、アクセスデバイスの除去が起こり得る。即時に検出されなければ、これは、患者にとって有意量の失血を生じ得る。針除去と関連する危険性は多大である。失血の重要基準は、例えば、針除去の検出に対する感度、特異性、および応答時間を含む。増加したレベルの感度、特異性、および応答時間により、針除去の検出を強化することができ、除去による失血を最小化することができる。
【0005】
典型的には、血液透析、血液濾過、または血液透析濾過等の医療治療を受ける患者は、針除去を検出するために視覚的に監視される。しかしながら、針は、患者または医療従事者の目につかない場合がある(すなわち、毛布で覆われている場合がある)ため、検出を遅延させ、したがって、患者の失血を最小化するように体外機械の血液ポンプを停止する等の、除去を考慮して取られる対応措置を遅延させる可能性がある。
【0006】
さらに、生活の質の向上、罹患率および死亡率の両方に認められる低減、および施設内治療よりも低い費用を考慮して、自己療法および在宅血液透析療法に対する新たな関心が高まっている。そのような在宅血液透析療法(血液透析、血液濾過、または血液透析濾過)は、夜間ならびに昼間の治療の両方を可能にする。これらの自己療法および在宅血液透析セッション中、特に夜間在宅血液透析セッション中、患者が睡眠中である時、看護師または他の付添人が存在して除去を検出しないため、除去の危険性がさらに有意となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アクセス切断(「ADS」)システムを、失血を最小化するように可能な限り迅速に動作させる必要性が存在する。
【0008】
また、ADSシステムを、不必要に治療および患者を妨害する誤ったトリガなしで動作させる必要性も存在する。
【0009】
現在すでに使用されている機械は、ADSシステムまたは本明細書に記載のシステムと同様に動作するものを持たない場合があるが、そのようなADSシステムを容易に、かつ比較的安価で提供する、さらなる必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、透析療法中に患者に挿入された針の除去等の、アクセスデバイスの除去または切断を検出するための改良型デバイス、装置、システム、および方法を提供する。本開示のデバイス、装置、システム、および方法は、例えば、導電性流体回路の少なくとも一部分に沿って画定されるループを含む、少なくとも一区分に、電気信号を注入することができるように流体回路と接触している、多数の電気接点を伴う電気回路を利用する。例えば、透析療法および薬剤送達を含む内科的療法中に、患者からの針または他のアクセスデバイスの除去によるインピーダンスの変化等の、アクセス状態の変化に応じて、電気値の変化の即時検出を提供するために、直接接触測定を使用することができる。
【0011】
一実施形態における本開示のデバイス、装置、システム、および方法は、ADSシステムまたは本明細書に記載のシステムと同様に動作するものを持たない既存の機械に取り付けられ、かつそれともに動作可能にすることができる、独立型の据え付けパッケージで提供される。独立型ADSシステムは、血液管類セットに取り付けられ、かつそれとともに動作可能な検出器モジュールと、血液治療、例えば、血液透析機械に取り付けられ、かつそれとともに動作可能な保護装置モジュールとを含む。検出器モジュールおよび保護装置モジュールは、一実施形態においては、例えば、無線周波数を介して、無線で連絡する。検出器モジュールは、アクセス切断を検出し、次いで、静脈および動脈管類の一方または両方を締め付けるように構成される保護装置モジュールに、対応する出力を送信する。管類の締め付けは、例えば、静脈管路中の圧力の増加を引き起こし、それは血液透析機械によって検出され、血液ポンプを閉鎖させる。
【0012】
インピーダンス信号出力を出力し、使い捨ての費用を低減するための複数のシステムを以下に記載する。インピーダンス感知システムに関連する1つの問題は、患者接地の効果である。透析システムは、安全上の理由で、透析装置および透析液経路を通してアース接地に接続される。患者を防御する試行にもかかわらず、患者は電気的にアースと同じ電位となり得る。このことが起こると、針の除去時でさえ、接地電流経路が患者とシステムの分離接地との間に存在し、システムを無効にし得る。
【0013】
患者接地の影響に対処するための1つの装置および方法は、透析液または接地経路の区間の両側で平等な電位の2つの点を作成するために、信号源の2つの出力を使用することである。これは、仮想の開回路を点の間に存在させ、アース接地からシステムの分離接地までの電流経路を開く。
【0014】
この技術は、代替として、または加えて、信号電流の一部分が血液ポンプを通って流れるのを止めるために使用される。以下のシステムでは、電圧源および高抵抗抵抗器を使用して、電流が血液内に誘導される。電流は通常、2つの経路に分割され、一方は患者アクセスを通行し、他方は血液ポンプを通る。感知の観点から、電流の全てが患者アクセス経路を通行し、血液ポンプ経路を全く通らないことが望ましい。過剰な電流が血液ポンプ経路を通って流れる場合、針除去によるインピーダンスの増加は、閾値を越えるほど大きくない場合がある。したがって、上記の開回路作成回路は、血液ポンプ経路に配置される。これは、電流が血液ポンプ経路中の血液を通って流れるのを事実上妨げ、事実上強制的に全ての電流を患者アクセス経路に通す。
【0015】
患者接地の影響に対処するための別の装置および方法は、血液回路接点を可能な限り患者の近くに移動させることである。血液回路接点から患者アクセスまでのインピーダンスを低減することは、並列電流経路の影響を最小化するため、少なくとも部分的には有益であると判定されている。これは、血液回路接点を可能な限り患者の近くに移動させ、接点から患者アクセスまでの管類の長さ、したがって、そのような管類の長さのインピーダンスを最小化することによって行うことができる。
【0016】
患者接地の影響に対処するためのさらなる装置および方法は、接地電流経路に、例えば、透析液経路に、第2の感知回路を配置することである。ここで、透析液管類に一対の接点が追加される。これらの接点は、使い捨てではなく、したがって、使い捨ての費用を増大させない。接地経路のインピーダンスは、針除去時に増加する。患者アクセスを検出するために、接地経路への患者のみを使用することができる。患者が接地されていない場合、回路がこの状態を検出し、代わりにアクセス切断検出のために、システムに血液回路感知回路を使用させる。さらなる代替実施では、システムは、血液回路および接地ループ回路からの信号を組み合わせて、アクセス切断を検出する。
【0017】
透析液経路を使用してアクセス切断を検出するためのシステムおよび方法を下記でさらに記載する。ここでは、複数セットの接点が、透析装置を往復する透析液管類に配置される。上記の開回路作成回路は、接点対のうちの2つに接続され、接点の間に電気開放回路を作成する。これは、透析回路内に誘導された全誘導電流を、透析装置、血液回路、および患者アクセスを通して接地へと強制的に流す。患者は、電流がアース接地を通ってシステムの分離接地へと戻るように接地される。システムは、例えば、血液圧力カフを通して、患者に接続される接地ストラップを提供する。接地ストラップは、アース接地またはシステム接地に接続することができる。このシステムは、流体接点を透析液経路に配置し、流体接点が各療法後に廃棄される必要がないため、有利である。
【0018】
本開示の利点は、アクセス切断を検出するための改良型デバイス、装置、システム、および/または方法を提供することである。
【0019】
本開示のさらなる利点は、透析療法を含む内科的療法中に患者からのアクセスデバイスの除去を検出するための改良型デバイス、装置、システム、および/または方法を提供することである。
【0020】
本開示の別の利点は、透析療法中に針の脱落を検出するための改良型デバイス、装置、方法、および/またはシステムを提供することである。
【0021】
本開示のさらに別の利点は、自己療法および在宅血液透析治療中にアクセス切断を検出するための、高感度、特異的、および応答性の装置および/またはデバイスを提供することである。
【0022】
さらに、本開示の利点は、非医療設備で患者または他の非医療関係者が患者の循環系の一部分を使用する透析療法を施与できるようにするための可変デバイスまたは装置を提供することである。
【0023】
なおもさらに、本開示の利点は、直流導電率測定を使用する、アクセス切断を検出するための改良型装置を提供することである。
【0024】
なおもさらに、本開示の利点は、流体中の電気回路、および血液回路を通って流れる血液との電気接点を採用して、直流導電率測定が行われることを可能にする、アクセス切断検出デバイス、方法、および/またはシステムを提供することである。
【0025】
その上、本開示の利点は、患者からの失血を監視および/または制御するための改良型デバイス、システム、および方法を提供することである。
【0026】
本開示の別の利点は、透析療法中に、それを通って血液が流れる患者に挿入された針の除去等のアクセス切断を検出し、結果として生じる失血を最小化することが可能な装置、デバイス、および/またはシステムを採用する、透析のための改良型方法である。
【0027】
本開示のさらに別の利点は、電気接点を流体回路に接続し、電気接点と流体回路を通って流れる流体との間の流体および電気的な連絡を可能にするための、改良型デバイスである。
【0028】
本開示のさらに別の利点は、強化された感度、正確性、および応答性により、透析療法中の針の脱落等のアクセス切断を検出するための改良型装置、デバイス、システム、および/または方法である。
【0029】
本開示のなおもさらなる別の利点は、内科的療法、例えば、薬剤送達および単一針血液透析療法中の、例えば、単一アクセスデバイスの除去による、流体喪失の検出のための、改良型装置、デバイス、システム、および/または方法である。
【0030】
本開示のなおもさらなる利点は、ADSシステムまたは本明細書に記載のシステムと同様に動作するものを持たない既存の機械に据え付けることができる、例えば、内科的療法中の単一アクセスデバイスの除去による、流体喪失の検出のための、改良型装置、デバイス、システム、および/または方法である。
【0031】
本開示のなおもさらなる利点は、接地電流経路中に開回路を作成することによって、患者接地の影響に対処し、感知されたインピーダンスを強化する、アクセス切断システムを提供することである。
【0032】
本開示の別の利点は、血液接点を患者の近くに移動させることによって、患者接地の影響に対処する、アクセス切断システムを提供することである。
【0033】
本開示のさらなる利点は、第2の感知回路を接地電流ループに配置することによって、患者接地の影響に対処する、アクセス切断システムを提供することである。
【0034】
本開示のさらに別の利点は、接点が使い捨てではないように流体接点を透析液回路に配置する、アクセス切断システムを提供することである。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
体外回路と、
該体外回路の中に提供される、第1および第2の接点と、
該第1の接点と連絡し、該体外回路を通って流れる流体内で信号を生成するように構成される、信号源と、
該第2の接点と連絡する、分離接地と、
該体外回路からアース接地までの経路に沿う複数の点において電圧を印加するように配置される装置であって、該電圧は、該信号の少なくとも一部分がアース接地を通って該分離接地へと伝わることを防止するのに役立つ、装置と
を備える、アクセス切断システム。
(項目2)
前記信号源は、電圧源と、前記信号が電流信号であるように配置される抵抗器とを含む、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目3)
前記装置は、前記経路に沿う前記複数の点において前記電圧を複製するように配置される、増幅器である、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目4)
プロセッサと、前記信号源と該プロセッサとの間に配置される信号調節とを含み、前記信号は、第1の信号であり、かつ該信号調節によって調節され、前記体外回路からの患者切断を判定するために該プロセッサに送信される、第2の信号を含む、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目5)
前記信号調節は、増幅器およびアナログ・デジタル変換器のうちの少なくとも1つを含む、項目4に記載のアクセス切断システム。
(項目6)
前記第2の信号は、前記体外回路のインピーダンスを示す、項目4に記載のアクセス切断システム。
(項目7)
前記第2の信号は、デジタル化された信号である、項目4に記載のアクセス切断システム。
(項目8)
前記体外回路からアース接地までの前記経路は、透析装置および透析液流路のうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目9)
前記体外回路は、(i)前記第1の接点と該体外回路によって動作可能なポンプとの間の管区分の中の血液のインピーダンス、(ii)ポンプ管区分の中の血液のインピーダンス、(iii)前記ポンプと該体外回路によって動作可能な透析装置との間の管区分の中の血液のインピーダンス、(iv)該透析装置と前記第2の接点との間の管区分の中の血液のインピーダンス、(v)該第2の接点と第2の患者アクセス点との間の管区分の中の血液のインピーダンス、および(vi)第1の患者アクセス点と該第1の接点との間の管区分の中の血液のインピーダンス、から成る群より選択される少なくとも1つのインピーダンスを産出する、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目10)
前記第1の接点は、前記体外回路の動脈経路に配置され、前記第2の接点は、該体外回路の静脈経路に配置される、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目11)
前記装置は、第1の装置であり、前記電圧は、第1の電圧であり、前記経路は、第1の経路であって、前記体外回路の第2の経路に沿う複数の点において第2の電圧を印加するように構成される第2の装置を含み、該第2の電圧は、前記信号の少なくとも一部分が該体外回路のポンプ管区分を通って伝わることを防止するの役立つ、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目12)
前記第2の装置は、前記第2の経路に沿う前記複数の点において電圧を複製するように配置される、増幅器である、項目11に記載のアクセス切断システム。
(項目13)
前記第1および第2の電圧は、少なくとも実質的に同一である、項目11に記載のアクセス切断システム。
(項目14)
前記第2の経路に沿う複数の点において印加される前記第2の電圧は、前記体外回路の患者アクセス部分を通る前記信号のより多くを短絡することに役立つ、項目11に記載のアクセス切断システム。
(項目15)
体外回路と、
該体外回路の中に提供される、第1および第2の接点と、
該第1および第2の接点のうちの少なくとも1つと連絡し、該体外回路を通って流れる流体内で電流を生成するように構成される、電流源と、
該体外回路に並列な経路に沿った複数の点において信号を印加するように配置される装置であって、該信号は、該電流の少なくとも一部分が該並列経路を通って伝わることを防止するのに役立つ、装置と
を備える、アクセス切断システム。
(項目16)
前記並列経路は、前記システムのアース接地から分離接地までの経路を含む、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目17)
前記電流源は、抵抗器と直列な電圧源を含む、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目18)
前記信号は、患者アクセス切断後においてさえ、前記電流の前記一部分が前記並列経路を通って伝わることを防止するのに役立つ、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目19)
体外回路と、
該体外回路の中に提供される、第1および第2の接点と、
該第1および第2の接点のうちの少なくとも1つと連絡し、該体外回路を通って流れる流体内で信号を生成するように構成される、信号源と、
該体外回路に並列な経路に沿う複数の点において電位を印加するように配置される装置であって、該印加される電位は、該複数の点の間で仮想の開回路を作成する、装置と
を備える、アクセス切断システム。
(項目20)
前記電位は、前記信号の少なくとも一部分が前記体外回路に並列な接地経路を通って伝わることを防止するのに役立つ、項目19に記載のアクセス切断システム。
(項目21)
体外回路と、
透析液回路と、
該体外回路を通って流れる流体によって産出される第1のインピーダンスを示す第1の信号を感知するように構成される、第1の感知装置と、
該透析液回路を通って流れる流体によって産出される第2のインピーダンスを示す第2の信号を感知するように構成される、第2の感知装置と
を備える、アクセス切断システム。
(項目22)
前記体外回路の中に提供される第1および第2の接点と、該第1および第2の接点のうちの少なくとも1つと連絡し、該体外回路を通って流れる流体内で信号を生成するように構成される、信号源とを含む、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目23)
前記信号源によって生成される前記信号は、前記第1および第2の信号部分に分割される、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目24)
前記第2の信号部分は、(i)前記第1の信号部分と並列である、(ii)接地ループの中に提供される、および(iii)接地に対する患者の電位を示す、から成る群より選択される少なくとも1つの特性を有する、項目23に記載のアクセス切断システム。
(項目25)
前記第1および第2の感知装置と連絡する制御装置であって、前記第2の信号が閾値以下である場合に、アクセス切断に対して前記第1の信号のみを監視するように構成される、制御装置を含む、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目26)
前記第1および第2の感知装置と連絡する制御装置であって、前記第2の信号が閾値以上である場合に、アクセス切断に対して該第2の信号のみを監視するように構成される、制御装置を含む、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目27)
前記第1および第2の感知装置と連絡する制御装置であって、アクセス切断に対して前記第1および第2の信号を監視するように構成される、制御装置を含む、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目28)
前記第1および第2のインピーダンスのうちの少なくとも1つは、集中インピーダンスである、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目29)
前記体外回路を通って流れる前記流体は、少なくとも実質的に血液であり、前記透析回路を通って流れる前記流体は、少なくとも実質的に透析液である、項目21に記載のアクセス切断システム。
(項目30)
体外回路と、
該体外回路の中に提供される、動脈および静脈接点と、
動脈および静脈患者アクセス装置と、
該動脈および静脈接点のうちの少なくとも1つと連絡し、該体外回路を通って流れる流体内で信号を生成するように構成される、信号源と、
該体外回路を通って流れる流体によって産出される第1のインピーダンスを示す該信号の第1の部分を感知するように構成される、感知装置と
を備え、
該動脈および静脈接点のうちの少なくとも1つは、並列接地ループを通って流れる流体によって産出される第2のインピーダンスを示す該信号の第2の部分が無視されることができるように、各動脈および静脈患者アクセス装置の十分近くに配置される、アクセス切断システム。
(項目31)
前記第1および第2のインピーダンスのうちの少なくとも1つは、集中インピーダンスである、項目30に記載のアクセス切断システム。
(項目32)
前記動脈および静脈接点のうちの少なくとも1つは、前記各動脈および静脈患者アクセス装置の十分近くに配置されるために、前記信号の前記第1の部分の大部分は、該動脈および静脈患者アクセス装置を通って流れる、項目30に記載のアクセス切断システム。
(項目33)
体外回路と、
透析液回路と、
該透析液回路に沿う複数の点において電位を印加するように配置される装置であって、該印加される電位は、該複数の点の間で仮想の開回路を作成する、装置と、
該複数の点から該体外回路まで延在する、電気経路と、
患者を接地させるように構成されるデバイスであって、これにより、該患者が該体外回路に、および接地デバイスに接続されると、該電気経路が該体外回路から接地まで延在する、デバイスと
を備える、アクセス切断システム。
(項目34)
前記接地は、アースおよび分離接地のうちの一方である、項目33に記載のアクセス切断システム。
(項目35)
前記電気経路に配置される感知装置と、信号を該電気経路内へ誘導するように構成される信号源とを含み、該感知装置は、該信号を感知し、該信号は、該電気経路のインピーダンスを示す、項目33に記載のアクセス切断システム。
(項目36)
インピーダンスは、前記体外回路からの前記患者のアクセス切断時に増加し、電子機器は、前記感知装置が該体外回路からの該患者のアクセス切断を示すインピーダンスの増加を感知すると、警報を発生させるように構成される、項目35に記載のアクセス切断システム。
(項目37)
前記接地デバイスは、前記患者から可撤的に接続するように構成される、項目33に記載のアクセス切断システム。
(項目38)
前記透析液回路に沿う前記複数の点は、再利用可能な導電性結合器を含む、項目33に記載のアクセス切断システム。
(項目39)
体外回路と、
透析液回路と、
該透析液回路から該体外回路まで延在する、電気経路と、
信号源であって、信号を該信号源から該電気経路内へ誘導するように構成される、信号源と、
該信号を感知するように構成される感知装置であって、該信号は該電気経路のインピーダンスを示す、感知装置と
を備える、アクセス切断システム。
(項目40)
患者を接地させるように構成されるデバイスを含み、これにより、該患者が前記体外回路に、および接地デバイスに接続されると、前記電気経路が該体外回路から接地まで延在する、項目39に記載のアクセス切断システム。
(項目41)
前記感知装置が、前記体外回路からの患者の切断に起因するインピーダンスの増加を感知すると、警報を発生させるように構成される、電子機器を含む、項目39に記載のアクセス切断システム。
(項目42)
前記インピーダンスの増加は、前記アクセス切断時に、前記体外回路のより大きいインピーダンス経路を通って短絡されている前記信号による、項目41に記載のアクセス切断システム。
(項目43)
前記透析液回路に沿う複数の点において電位を印加するように配置される装置を含み、該印加される電位は、該複数の点の間で仮想の開回路を作成する、項目39に記載のアクセス切断システム。
(項目44)
前記信号源および感知装置のうちの少なくとも1つは、前記複数の点と前記体外回路との間の前記透析液回路における前記電気経路と連絡する、項目43に記載のアクセス切断システム。
(項目45)
体外回路と、
透析液回路と、
信号を該透析液回路内へ誘導するように構成される、信号源と、
該信号を感知するように構成される感知装置であって、該信号は、該体外回路における少なくとも1つの電気インピーダンスおよび該透析液回路における少なくとも1つの電気インピーダンスを示す、感知装置と
を備える、アクセス切断システム。
(項目46)
前記透析液回路に沿う複数の点において電位を印加するように配置される装置を含み、該印加される電位は、該複数の点の間で仮想の開回路を作成する、項目45に記載のアクセス切断システム。
(項目47)
前記複数の点の1つの側に位置する前記信号源から、前記体外回路を通り、アース接地への経路を通り、該複数の点の第2の側に位置する前記透析液回路を通り、分離接地まで延在する、電気経路を含む、項目45に記載のアクセス切断システム。
(項目48)
少なくとも1つの管路クランプおよび無線レシーバを含む保護装置モジュールであって、信号が該無線レシーバによって受信されると、該少なくとも1つの管路クランプを使用して、動脈および静脈管路のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に閉塞することが可能となるように、血液治療機械に対して配置されるように構成される、保護装置モジュールと、
センサおよび無線エミッタを含む検出器モジュールであって、患者からの該動脈および静脈管路のうちの1つの切断を感知し、かつ、該無線エミッタを介して該信号を該保護装置モジュールの該無線レシーバに送信することが可能となるように、該動脈および静脈管路に対して配置されるように構成される、検出器モジュールと
を備える、アクセス切断システム。
(項目49)
(i)前記保護装置モジュールは、前記血液治療機械に可撤的に取着可能である、および(ii)前記検出器モジュールは、前記動脈および静脈管路に解除可能に取着可能である、のうちの少なくとも1つである、項目48に記載のアクセス切断システム。
(項目50)
前記検出器モジュールの前記センサは、(i)前記動脈および静脈管路を通って流れる流体に接触する一式の導体、(ii)該動脈および静脈管路のうちの少なくとも1つの内部の該流体に信号を注入するように構成される信号源、(iii)該動脈および静脈管路のうちの少なくとも1つの内部の該流体のインピーダンスの変化を検出するように構成される感知装置、(iv)信号調節、および(v)論理制御のうちの少なくとも1つを含む、項目48に記載のアクセス切断システム。
【0035】
本開示の付加的な特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態および図面に記載され、そこから明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】図1Aは、それを通って血液が体外システムを往復して流れる、患者の体内に挿入可能な2本の針を示す、本開示の一実施形態の概略図を図示する。
【図1B】図1Bは、透析療法中に針の除去を検出することが可能な、本開示の一実施形態の概略図を図示する。
【図1C】図1Cは、1本の針を介して施与される内科的療法中のアクセス切断検出能力を示す、本開示の一実施形態の斜視図を図示する。
【図2A】図2Aは、本開示の一実施形態における電気接点結合デバイスの分解図を図示する。
【図2B】図2Bは、本開示の一実施形態における図2Aの結合デバイスの側断面図を図示する。
【図2C】図2Cは、本開示の結合デバイスの別の実施形態を図示する。
【図2D】図2Dは、結合デバイスの構成要素間のネジ式係合を示す、本開示の結合デバイスの別の実施形態を図示する。
【図2E】図2Eは、図2Dの断面図を図示する。
【図3】図3は、治療中に基準インピーダンスの変化を補正するための測定可能な電圧信号の処理に関する、本開示の一実施形態を図式的に図示する。
【図4A】図4Aは、本開示の一実施形態における血液透析機械を図式的に図示する。
【図4B】図4Bは、本開示の一実施形態における管類セットを介して患者のアクセスに結合される血液透析機械を図式的に図示する。
【図5】図5Aおよび5Bは、本開示の一実施形態による、結合器を図示する。
【図6】図6は、本開示の一実施形態による、透析装置を図示する。
【図7】図7Aおよび7Bは、本開示の一実施形態による、センサアセンブリを図示する。
【図8】図8Aおよび8Bは、本開示の一実施形態による、単一部品センサを図示する。
【図9】図9は、本開示の一実施形態による、多重チャンババッグを図示する。
【図10】図10は、本開示の一実施形態による、剥離可能なシールを伴う多重チャンババッグを図示する。
【図11】図11は、本開示の一実施形態による、自動腹膜透析システムを図示する。
【図12】図12は、既存の血液治療機械に容易に据え付けることができる、本明細書のアクセス切断方法を採用するアクセス切断システムの一実施形態の等角図である。
【図13】図13は、図12のアクセス切断システムの検出器モジュールを図式的に図示する。
【図14】図14は、図12のアクセス切断システムの保護装置モジュールを図式的に図示する。
【図15】図15は、血液回路および並列アース経路をモデル化する概略電気回路図である。
【図16】図16は、除去された両方の針を示す、並列アース経路のない、血液回路および感知回路をモデル化する概略電気回路図である。
【図17】図17は、除去された少なくとも1本の針を示す、並列アース経路のない、血液回路および感知回路をモデル化する概略電気回路図である。
【図18】図18は、除去された少なくとも1本の針、およびアースを通る分離接地への並列電流経路を示す、並列アース経路を伴う、血液回路および感知回路をモデル化する概略電気回路図である。
【図19】図19は、図18のシステムについてキロオームで対比した、接地された患者の留置と接地された患者の除去とを対比した、デジタル化された感知インピーダンス信号のプロットである。
【図20】図20は、患者接地の影響に対処するため、蠕動ポンプとともに動作する血液管類を通るインピーダンスを増加させるための1つのシステムを示す、概略電気回路図である。
【図21】図21は、図20のシステムについてキロオームで対比した、接地された患者の留置と接地された患者の除去とを対比した、デジタル化された感知インピーダンス信号のプロットである。
【図22】図22は、患者アクセスからの異なる血液接点間隔に対する、高導電率および低導電率血液のデジタル化された感知したインピーダンス信号を示す、患者接地の影響に対処するための別のシステムのプロットである。
【図23】図23は、二重感知回路、血液経路の第1の回路感知インピーダンス、接地経路の第2の回路感知インピーダンスを使用する、患者接地の影響に対処するためのさらなるシステムを示す、概略電気回路図である。
【図24】図24−27は、図23のシステムの両方の感知回路についてキロオームで対比した、留置と除去とを対比した、デジタル化された感知インピーダンス信号の種々のプロットである。
【図25】図24−27は、図23のシステムの両方の感知回路についてキロオームで対比した、留置と除去とを対比した、デジタル化された感知インピーダンス信号の種々のプロットである。
【図26】図24−27は、図23のシステムの両方の感知回路についてキロオームで対比した、留置と除去とを対比した、デジタル化された感知インピーダンス信号の種々のプロットである。
【図27】図24−27は、図23のシステムの両方の感知回路についてキロオームで対比した、留置と除去とを対比した、デジタル化された感知インピーダンス信号の種々のプロットである。
【図28】図28は、患者接地の影響に対処し、両方の針が除去された状態でインピーダンスを感知するための透析液経路を使用するためのさらなるシステムを示す、概略電気回路図である。
【図29】図29は、静脈針が除去された、図28のシステムの概略電気回路図である。
【図30】図30−32は、図28および29の透析液感知システムについて時間で対比した、出力電圧またはデジタル化されたインピーダンス信号の種々のプロットである。
【図31】図30−32は、図28および29の透析液感知システムについて時間で対比した、出力電圧またはデジタル化されたインピーダンス信号の種々のプロットである。
【図32】図30−32は、図28および29の透析液感知システムについて時間で対比した、出力電圧またはデジタル化されたインピーダンス信号の種々のプロットである。
【図33】図33は、図28および29の透析液感知システムと関連するハードウェアを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、アクセス切断を検出するための医療デバイス、装置、システム、および方法を提供する。より具体的には、本開示は、流体回路と流体接触および電気的に連絡している電気接点を伴う電気回路を部分的に採用する、医療デバイス、装置、システム、および方法を提供し、患者と流体回路との間で流体がそれを通って流れる、針または他のアクセスデバイスの除去を即時に検出することができるように、直流導電率測定が使用されることを可能にする。例えば、透析療法、薬剤送達、または同等物等の医療治療を受けている患者からの針の除去による、流体喪失(例えば、失血)を制御可能に最小化することができる。
【0038】
本開示は、針の除去の検出に限定されるのではなく、任意の好適なアクセスデバイスの除去または切断を検出するために利用できることを理解されたい。本明細書で使用されるように、「アクセス切断」という用語または他の類似用語は、流体回路に結合された電気接点間の電気的導通の変化が検出できる状態で患者に接続された、流体回路に沿って流れる導電性流体の喪失または漏出を引き起こし得る、任意の好適な状態または事象を意味することができる。インピーダンス等の電気値によって測定されるような電気的導通の変化は、患者からのアクセスデバイスの除去がない場合でさえも、検出され得ることを理解されたい。本明細書で使用されるような「アクセスデバイス」という用語、または他の類似用語は、血液を含む流体が、アクセスデバイスを介して、患者へと、患者を通って、および/または患者から通過することができるように、患者の体内に挿入することができる、好適なデバイスを意味することができる。アクセスデバイスは、種々の異なる好適な形状、サイズ、および材料構成を含むことができる。アクセスデバイスの実施例は、針、カテーテル、およびカニューレを含む。アクセスデバイスは、例えば、ステンレス鋼、プラスチック、または類似生体適合性材料を含む、任意の好適な材料で作ることができる。
【0039】
下記で説明される実施形態では、装置および/またはデバイスは、血液透析、血液濾過、または血液透析濾過等の透析療法で使用するために設計されているが、本開示は、体外血液システム等の種々の異なる好適な流体システムを採用する、多数の異なる内科的療法で使用できることに留意されたい。例えば、本開示のシステムは、患者と流体システムとの間で、医療溶液または薬物、血液、血液製剤、処理血液、または同等物を送達するために患者の体内に挿入可能な1本の針の使用を採用することができる、静脈内注射中に使用することができる。さらに、本開示のシステムは、全血を血漿および細胞成分に分離するために膜が使用される、血漿交換療法で使用することができる。
【0040】
透析療法に関して、本開示のシステムは、腎不全を治療する種々の異なる治療法で使用することができる。本文の全体を通して使用されるような用語または類似用語としての透析療法は、患者から老廃物、有害物質、および過剰水を除去するために患者の血液を利用する、任意の形態および全ての形態の治療法を内含および包含するように意図されている。透析療法は、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、および持続的腎置換療法(「CRRT」)を含む。CRRTは、持続的緩徐式限外濾過(「SCUF」)、持続的静脈−静脈血液濾過(「CVVH」)、持続的静脈血液透析(「CVVHD」)、および持続的静脈−静脈血液透析濾過(「CVVHDF」)を含む。透析療法はまた、持続的携帯式腹膜透析、自動腹膜透析、および連続流腹膜透析等の、腹膜透析を含むことができる。さらに、本開示は、一実施形態においては、慢性腎不全または疾患を有する患者のために透析療法を提供する方法で利用することができるが、本開示は、急な透析の必要性のために、例えば、緊急治療室の設定で使用できることを理解されたい。最後に、断続的な形態の治療法(すなわち、血液濾過、血液透析、および血液透析濾過)が、施設内、自己/限定的ケア、および家庭の設定で使用されてもよい。
【0041】
一実施形態においては、本開示のシステムは、流体回路と流体接触および電気的に連絡している、一対の電気接点等の、多数の電気接点を伴う電気回路を含む。電気接点は、任意の好適なデバイスを含むことができ、それを通る導電性経路またはその中の導体ループを画定するように、流体回路との電気接続を行うことができる。次いで、以下に記載のようなアクセス状態の変化に応じて、電気値または導体ループと関連する任意の好適なパラメータの変化を監視することができる。一実施形態においては、電気接点は、以下で論じられるように、流体回路を通って流れる流体と流体接触して電気接続を行うことができるように、流体回路に結合することができる電極を含む。
【0042】
例えば、導電性流体回路の少なくとも一部分に沿ってループを画定するために、電極の間を流れる流体と接触している電極対を介して、定電流または他の好適な電気信号を流体回路に注入することができる。次いで、アクセス切断に応じて、電気値、例えば、インピーダンスの変化を測定することができる。これは、患者の体内に挿入された1本の針、複数の針、または他のアクセスデバイスを介して、患者と流体システム(すなわち、体外血液システム)との間を流れる際に、血液、医療溶液、または同等物を含む、導電性流体等の流体のインピーダンスまたは他の好適な電気パラメータの変化を検出することが可能な、直流導電率測定を提供することができる。
【0043】
本開示のシステムは、それを通って血液または他の好適な流体が、例えば、透析療法中に使用される血液回路等、患者へと、患者を通って、または患者から流れることができる、針(例えば、静脈針および/または動脈針)または他のアクセスデバイスの除去を効果的に検出することができる。本開示の検出能力は、例えば、患者からのアクセスデバイスの切断に由来する流体喪失による、1つまたは複数の導電性流体のインピーダンスの測定可能な変化に基づいて、即時的であると考えられる。
【0044】
本開示の即時検出能力は、特に、透析療法に適用される際に重要であり、検出および失血を止めるための対応措置の遅延が発生した場合、有意量の失血が、比較的短期間に発生し得る。典型的な透析条件下で、除去による失血が検出されて止められる前に、20秒以上が経過した場合、400ミリリットル/分という典型的な血流流量に基づいて、100ミリリットル以上の血液が喪失され得る。
【0045】
出願人らは、その即時検出能力に加えて、高度の感度および特異性により、特に、透析療法中の静脈針の除去に応答して、本開示がアクセス切断を検出できることを発見した。本開示の直接接触測定は、透析療法中に血液が血液回路を通って流れる際に、針の除去などによる、電気値、例えば、インピーダンスの変化を検出することが可能である。本明細書で使用されるような、「電気値」という用語、または他の類似用語は、インピーダンス、抵抗、電圧、電流、それらの変化率、およびそれらの組み合わせ等の、任意の好適な電気パラメータを意味する。インピーダンスまたは同等物の変化の検出は、針が除去されたか、または他の類似状態が発生したという指示である。本開示の検出能力はまた、たとえ1本または複数の針が除去されていなくても、流体回路の切断に起因する、内科的療法中の失血を効果的に検出することもできることに留意されたい。本開示のシステムは、高度の感度および特異性により、失血によるインピーダンスまたは同等物の変化を即時に測定する、本開示の能力に基づいて、患者からの失血を制御可能に最小化することができる。
【0046】
本開示のデバイスおよび装置は、流体喪失、特に、針の除去または同等物による失血を効果的に監視することができるように、適用された内科的療法に応じて、種々の異なる構成要素および構成を含むことができる。
【0047】
(多重アクセス切断)
ここで図1Aを参照して、本開示の装置10の一実施形態は、血液回路16の血液管類セット14と流体接触している、一対の電気接点12を含む。血液回路16は、例えば、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、持続的腎置換、または同等物、または血漿療法を含む、透析療法に適用される際に、患者18を体外血液システム20に接続する。一対の電気接点12は、血液回路16の第1の管部材26および第2の管部材28のそれぞれに取着される、第1の電気接点22および第2の電気接点24を含む。第1の管部材26は、患者の血管アクセス領域(図示せず)に挿入された静脈針または他の好適なアクセスデバイスに接続される。第2の管部材28は、患者の血管アクセス領域(図示せず)に同様に挿入された動脈針または同等物に接続される。透析療法中、例えば、血液は、第2の管部材28を経由して、患者18から動脈針を通って体外血液システム20(例えば、透析機械)へと流れ、血液は、治療され、第1の管部材26を経由して、静脈針を通って患者18に送達される。
【0048】
血液が透析療法中に血液回路を通って流れるとき、制御装置29および関連電子機器は、電気接点対12、例えば、以下に記載のような電極対を介して血流に注入または渡される、定電流または同等物を生成する。次いで、制御装置29または他の好適な電子デバイスに接続された電極対12は、未知の流体(例えば、血液)インピーダンスまたは他の類似電気値にわたる電圧変化を測定して、血管アクセス領域にわたるインピーダンスまたは同等物の変化を検出するために使用することができる。一実施形態においては、流体回路に電気信号を注入するために1つの電極を使用することができる一方で、電気値の変化を感知し、処理および検出目的で同変化を示す電気信号を送出するために、他方の対の電極を使用することができる。血液回路からの静脈針および動脈針のうちの少なくとも1つの除去、または他の好適な状態の際に、正常な動作条件下で測定されるインピーダンスまたは他の好適なパラメータと比較して、インピーダンスまたは同等物の即時かつ検出可能な増加を測定することができる。
【0049】
図1Aで具体化されるような本開示は、適用されるような内科的療法に応じて、種々の好適な方法で修正できることを理解されたい。例えば、静脈および動脈針は、透析療法中に、上腕、前腕、上部大腿域、または同等物等の患者の身体の任意の好適な部分において、患者の血管アクセスに挿入することができる。以前に論じられているように、本開示は、静脈内注射、血漿交換、薬剤送達、薬物送達、血液送達、および透析療法(すなわち、血液濾過、血液透析、血液透析濾過、および持続的腎置換)を含む、種々の異なる内科的療法に適用することができる。
【0050】
図1Bに図示されるように、本開示の透析システム等のシステム30の一実施形態は、透析療法中に適用されるとして示されている。一実施形態においては、本開示は、患者アクセス36内に挿入された静脈針32および動脈針34を含む。静脈針32および動脈針34は、それぞれ、静脈管路26および動脈管路28を介して血液回路35に接続される。他の管38は、例えば、静脈滴下チャンバ40、透析装置42、動脈滴下チャンバ44、および血液ポンプ46を含む、血液回路35の種々の構成要素を接続する。血液回路に結合される透析機械内に、透析システムの構成要素のうちの1つ以上を提供できることを理解されたい。
【0051】
図1Bに示されるように、第1の電気接点結合デバイス48および第2の電気接点結合デバイス50は、静脈針32/動脈針34と、静脈滴下チャンバ40、透析装置42、動脈滴下チャンバ44、および血液ポンプ46を接続する管38との間で、血液回路35中に配置される。本明細書で使用されるような、「電気接点結合バイス」、「結合デバイス」という用語、または他の類似用語は、電気接点を流体回路に接続するために使用することができる、任意の好適なデバイスを意味することができる。一実施形態においては、電気接点結合デバイスは、電気接点を流体回路に接触させるために使用することができ、以下に記載のような流体回路を通って流れる流体との流体接触および電気接続を可能にする。
【0052】
一実施形態において、電気接点対は、制御装置52または他の好適な電子デバイスに接続される。制御装置は、血液が血液回路を通って流れる際に、電極対を介して血液および/または他の流体に電気信号を注入するために使用することができる。これは、導体ループを提供し、それに沿って、電気パラメータまたは値の変化を測定することができる。電極対に結合される制御装置52はまた、この変化を測定するためにも使用することができる。制御装置52は、電気信号を血液回路に入力して導体ループを画定するため、導体ループと関連する電気パラメータまたは値の変化を測定するため、および/または以下で論じられるように検出可能な信号の処理等の任意の他の好適な作業を行うために、電気接点と電気的に接続している単一の電子デバイスまたは任意の好適な数のデバイスを含むことができることを理解されたい。
【0053】
電気信号は、一実施形態においては、除去が発生するまで電極に供給される定電流から生成される。次いで、アクセス状態の変化によるインピーダンスを検出するように、血液回路を通って循環する流体(例えば、血液)の未知のインピーダンスにわたる電圧を測定することができる。しかしながら、以前に論じられているように、針の脱落または同等物を検出するように、任意の好適な電気パラメータおよびその変化を監視できることを理解されたい。
【0054】
以下で明示されるように、本開示の検出能力は、高感度、特異的で、針の除去等のアクセス切断に応じて、事実上即時的である。さらに、本開示の電子回路は、設計が比較的単純であり、直流導電率測定を行うために1つの電極対しか必要ではない。これは、以前に論じられているような容量結合器および誘導コイル等の非侵襲検出技術のみを採用する、既知の血管アクセス監視技術と比較して、費用および労力を削減する。
【0055】
出願人らは、測定される全インピーダンス(「Z」)を、透析システムおよび/または同等物のポンプ区間、透析装置、滴下チャンバ、および/または他の好適な構成要素によってもたらされる1つのインピーダンス(「ZD」)と並列する、2つの集中インピーダンスとしてモデル化できることを発見した。その他方のインピーダンス構成要素(「ZP」)は、患者の血管アクセス、血管アクセスおよび/または同等物を往復して血液を搬送する関連管類によって形成される。測定される全インピーダンスは、次のように、ZDおよびZPの両方の関数として特徴付けることができる。
【0056】
Z=(1/ZD+1/ZP)−1
この並列インピーダンスにもかかわらず、出願人らは、針の除去等のアクセス切断に応じて、血液が血液回路を通って流れる際に、導体ループに沿ったインピーダンスの変化を測定するために、制御装置と接続している電気接点を使用できることを見出した。針の除去が発生した場合に、流体回路の少なくとも一部分に沿った導体ループは、閉回路から開回路へと変化し、したがって、Z=ZDへと変化し、ここにZPは無限に近づく。本開示の直流伝導測定能力は、アクセス切断を検出するために効果的に使用することができる。
【0057】
出願人らは、ZD構成要素が、透析システム、および、例えば、血液ポンプ、滴下チャンバ、および/または同等物を含む、その構成要素等の、流体回路に結合された医療システムの構成要素の時変高インピーダンスと関連する、あるレベルの電気的相互作用をもたらし得ることに注目している。出願人らは、必要であれば、ZD構成要素による相互作用を効果的に排除または少なくとも低減できることを見出した。一実施形態においては、Zまたは同等物の検出と関連する信号を、以下で論じられるように、さらに処理することができる。代替として、一実施形態においては、本開示の電気回路は、以下に記載のように、血液回路に沿って画定された導体ループまたは経路から、透析システムの1つ以上の構成要素を遮断または迂回するように設計することができる。アクセス切断の検出に関する正確性、感度、および応答性は、強化することができる。
【0058】
一実施形態においては、血液ポンプおよび同等物等の、血液回路に結合された高インピーダンス構成要素に対する相互作用を最小化するか、または効果的に排除するために、第3の電気接点53を利用することができる。任意の好適な方法で、付加的な接点を作成することができる。例えば、第3の接点は、電極または他の好適なデバイスとなり得て、それを介して、それと結合デバイスの電極のうちの1つとの間に電気的導通を確立することができる。一実施形態においては、第3の電気接点は、流体回路を通って流れる流体と流体的および電気的に連絡している、流体回路に取着することができる。
【0059】
第3の接点53は、血液回路に沿った任意の好適な位置に配置することができる。図示された実施形態における第3の接点53は、図1Bに示されるように、血液ポンプ46と動脈結合デバイス50との間の任意の好適な場所に配置される。次いで、等化電位を、第3の接点53と結合デバイス50の電極との間に印加することができる。この電位は、第1の結合デバイス48と第2の結合デバイス50との電極の間に印加される電位に等しい電圧で、印加される。
【0060】
これは、いったん血液回路に注入されると、電流または同等物を、透析システムの構成要素のうちの1つ以上を効果的に迂回させる。一実施形態においては、電流または同等物が、図1Bに示されるような透析システムの構成要素の全てを効果的に迂回するように、第3の接点53を配置することができる。つまり、接点50と53とに印加されるものと同一の電圧は、接点50と53との間に仮想の開回路を作成するので、結合器48または50のいずれかにおいて、制御装置および関連電子機器52によって管38に注入された電流が、管/患者アクセス36、ならびに、静脈滴下チャンバ40、透析装置42、動脈滴下チャンバ44、および血液ポンプ46を含む残りの体外回路を通って分かれるよりもむしろ、静脈管26、動脈管28、および患者アクセス36を通る最小抵抗の経路を事実上完全に辿る。
【0061】
(単一アクセス切断)
本開示の電気接点は、患者の体内に挿入された1本の針、複数の針、または好適なアクセスデバイスに対して、任意の好適な場所に配置することができる。図1Cに図示されるように、患者の体内に挿入された単一のアクセスデバイスの除去等の、アクセス検出の検出に関して適用されるような、本開示の一実施形態が示されている。この種類の用途は、静脈内注射、ならびに血液透析、血液濾過、血液透析濾過、および持続的腎置換を含む透析療法を含む、1本の針等の単一アクセスデバイスを介して施与される、種々の異なる好適な内科的療法に適用可能である。
【0062】
適用されると、血液、血液製剤、流体薬剤、または同等物等の導電性流体は、単一アクセスデバイスを介して、患者と流体システムとの間を流れる。例えば、単一アクセスデバイスの除去検出は、例えば、血液、または医療薬物あるいは溶液(例えば、生理食塩水等の導電性流体に含有される薬剤)、処理血液製剤、血液製剤、静脈内溶液、同等物、またはそれらの組み合わせを含む、1つまたは複数の任意の好適な導電性流体の送達中の針の除去の検出を含むことができる。流体送達は、血液バッグまたは類似流体送達デバイス等の好適な容器と患者との間で行うことができる。本開示のシステムは、1本の針を介して施与される内科的療法中に、薬剤または薬物等の、血液または流体薬剤アクセスのアクセス切断の即時的および即応的な検出を提供するように、針アクセスを監視および制御する。
【0063】
図1Cに示されるように、本開示の装置またはデバイス54の一実施形態は、患者62の針挿入部位60内の血管58に挿入された針等の、アクセスデバイス56を含む。針56は、管部材64を介して、流体注入システム等の流体システム63に接続される。注入システムは、例えば、容器68(例えば、血液バッグ)から患者に血液または同等物を輸送するための注入ポンプ66を含む。第1の電気接点70は、管部材64に沿って針56から離間され、第2の電気接点72は、挿入部位60の近傍で患者に取着される。第1の電気接点70は、流体が送達容器68から患者に流れる際に、流体と流体接触する。
【0064】
この構成では、電気信号がその中を通る際に、流体回路の少なくとも一部分によって形成される導体ループ内で、電気値、例えば、インピーダンスの変化を監視するために、第1および第2の電気接点、例えば、電極を使用することができる。電気接点は、以下で詳細に記載されるように、単一アクセスデバイスの除去による、インピーダンスまたは同等物の変化に応答して、電極を介して伝送される検出可能な信号を処理することが可能な電子デバイス74に結合することができる。電気信号は、一実施形態においては、アクセス針の除去等の、血管アクセス状態の変化に応答して、インピーダンスまたは同等物の変化を検出するように直流導電率測定を行うことができるように、電極に供給される定電流によって生成される。
【0065】
測定されたインピーダンスは、単一針用途では、流体(すなわち、血液)のインピーダンスおよび挿入部位にわたって測定されるようなインピーダンスの両方の関数であると考えられる。電子デバイス74は、電気経路の全項目(すなわち、管の中の導電性流体、針、静脈血管の血流、身体組織、感知電極72に対する皮膚をわたるインピーダンス、および同等物)の複合インピーダンスと同等のレベルのインピーダンスを検出するように調整することができる。
【0066】
(電気接点)
以前に論じられているように、本開示の電気接点は、流体が流体回路を通って流れる際に、流体と流体接触する。電気接点は、高感度および特異性により、透析療法中の血液回路からの静脈針(動脈針または両方)の除去等の、アクセス切断によるインピーダンスまたは同等物の変化(例えば、増加)を即時に検出することが可能な、直流導電率測定を可能にする。
【0067】
電気接点は、ステンレス鋼、他の好適な導電性材料、またはそれらの組み合わせを含む、任意の好適な電極材料等の、任意の好適な導電性かつ生体適合性の材料から構成することができる。電極材料が生体適合性であることは必須である。
【0068】
電気接点は、種々の異なる形状およびサイズで構築できることを理解されたい。その例示的実施例を以下に記載する。例えば、電気接点は、湿気と接触すると膨張することが可能な薬剤を含む、プラスタ電極として構成または設計することができる。薬剤は、湿気と接触すると体積が10倍以上に膨張することが知られているゲルを含む、種々の好適な材料を含むことができる。
【0069】
一実施形態においては、プラスタ電極は、以前に論じられているように、単一アクセスデバイスを介した内科的療法の施与中に患者の体内に挿入可能なアクセスデバイスの挿入部位において、流体(すなわち、血液漏出)を検出するために利用することができる。流体と接触すると、プラスタ電極は、必ず、電極接触が断絶されるような程度に膨張し、こうして、流体が針を介して流体システムから患者へと流れる際に、流体のインピーダンスの検出可能な増加を引き起こす。
【0070】
一実施形態においては、以前に論じられているような1つ以上のプラスタ電極等の1つ以上の電極(図示せず)は、例えば、図1Aおよび1Bに示されるような電気接点対と組み合わせて使用することができる。例えば、プラスタ電極は、動脈針および静脈針のいずれか一方または両方の挿入部位の近傍において患者に取着することができる。プラスタ電極は、アクセスデバイスの挿入部位からの、血液等の流体の漏出を検出するために利用することができる。
【0071】
一実施形態においては、電極対は、以前に論じられているように、電極が血液に接触するように、侵襲的方式(以下で論じられるような図2A−2Cに図示)で血液回路に結合される。電気信号を血液回路に注入するように、定電流源または同等物を含む励起源が電極に適用されることができ、それにより、導体ループを画定し、それに沿って直流導電率測定を行うことができる。
【0072】
患者の安全性を確保するために、励起源は、典型的には、器具電力から分離される。励起源は、電極を経由して、血液を通過する定電流を産出することができる。検出目的で、任意の好適な量の電流を生成することができる。一実施形態においては、電流は、血液を通過する際に、約10マイクロアンペア以下、例えば、約5マイクロアンペア以下のレベルに維持される。電流のレベルが、たとえあったとしても、患者の健康および安全性にほとんど影響を及ぼさないように、本開示を低レベルの電流(例えば、10マイクロアンペア以下)で動作できることを理解されたい。
【0073】
インピーダンスまたは他の好適なパラメータは、種々の異なる好適な方法で測定および計算できることを理解されたい。例えば、定電流励起源の振幅、位相、および/または周波数は、インピーダンスの変化の検出中に測定および変動させることができる。次いで、インピーダンスレベルは、電極にわたる電圧を測定することによって検出することができる。次いで、電圧の振幅、周波数、および/または位相を測定し、典型的には、インピーダンスを計算するために使用される微分または式に基づいて、血液インピーダンスレベルを計算するために、励起源の測定された振幅、周波数、および/または位相と組み合わせて利用することができる。
【0074】
電気接点は、種々の異なる好適な方法で血液回路に接続することができる。例えば、電気接点は、体外システムの一体型構成要素、血液回路の管類部材に接続し、そこから解放することができる使い捨て構成要素、使用と使用との間に加熱滅菌処理することができる再利用可能な構成要素、または同等物となり得る。
【0075】
(電気接点結合デバイス)
一実施形態においては、本開示の装置は、電極が血液に効果的に接触するように、血液回路への電気接点を確保するために使用することができ、したがって、以前に論じられているように、アクセス状態の変化を効果的に監視するために使用することができる、電気接点結合デバイスを含む。本開示の結合デバイスはまた、電位電源との接触からのユーザの保護を促進するように設計することもできる。一実施形態においては、デバイスは、それを通って医療用流体が流れることができる、管に接続される導電性要素を含むことができ、導電性要素は、血液等の医療用流体に暴露される第1の部分、および管の外部にある第2の部分を有する。
【0076】
本開示の結合デバイスは、種々の異なる好適な構成、構成要素、材料構成、または同等物を含むことができる。一実施形態においては、本開示は、電気接点を流体導管に接続し、電気接点と流体導管を通って流れる流体との間の流体および電気的に連絡を提供するためのデバイスを含むことができる。デバイスは、電気接点および環状部材に接続された第1の柄部分を収容することが可能な環状部分を含む、第1の部材であって、柄部分は、環状部分へとそれを通って延在する開口部を有する、第1の部材と、溝領域および第2の柄部分を伴う基礎部分を含む、第2の部材であって、開口部が溝領域へとそれを通って延在し、第1の部材が第2の部材に挿入および固定されることを可能にする、第2の部材と、第1および第2の柄部分を嵌合するように適合される、接点部材であって、接点部材が電気接点部材の少なくとも一部に対して近接できるようにし、電気接点と接点部材との間で電気接続が行われることを可能にする、接点部材とを含むことができる。本開示の電気接点結合デバイスの例示的な実施例を以下で記載する。
【0077】
図2Aおよび2Bに図示されるように、電気接点結合デバイス80は、それを通って延在する開口部84を伴う円筒形状を有する、プローブ部材82を含む。円筒形状を有する電極86等の電気接点は、電極86がプローブ部材82内で固定されるように、開口部84に挿入することができる。一実施形態においては、プローブ部材82は、開口部84の少なくとも一部分に沿って延在するチャネル85を有し、その内側で電極86をプローブ部材82に挿入することができる。例えば、血液管類セットからの管部材、透析機械のコネクタ管部材、または同等物を、チャネル85の外側部分と接触しているプローブ部材82の開口部84の両端に挿入することができ、血液または他の好適な流体が任意の好適な方式で電極86と流体接触できるようにする。電極86は、それを通って延在する開口部88を有し、その内側で血液(図示せず)または流体回路からの他の好適な流体が流れることができる。一実施形態においては、電極86の開口部88の直径は、透析療法中等の典型的な動作条件下で、血流レベルを好適に維持することができるように、電極86を通る血流を可能にするサイズに決定される。本開示の結合デバイスは、例えば、透析療法を含む内科的療法中に使用するために、血液回路または同等物を含む流体回路に、容易に、かつ効果的に取着することができる。本開示の結合デバイス80は、流体回路を通って流れる流体と、電気接続および流体接続を行うことができるように、任意の好適な方法で流体回路に取着できることを理解されたい。
【0078】
プローブ部材82はまた、その円筒形状本体の表面92から延在する、柄部分90を含む。柄部分90は、それを通って延在する開口部93を有する。一実施形態においては、柄部分90は、電極86の少なくとも一部分が柄部分90の開口部93と接触するように配置される。
【0079】
電極86を血液回路に固定するために、結合デバイス80は、プローブ部材82を受入するため、および、透析療法中に血液が血液回路を通って循環する際に、血液が電極に直接接触するように、血液回路の血液管部材(図示せず)を受入するための、開口部98を伴う本体部分96を含む、ソケット部材94を含む。一実施形態においては、ソケット部材94は、本体部分96から延在する柄部分100を含み、柄部分100は、それを通って延在する開口部102を含む。プローブ部材82が本体部分96の開口部98を通して挿入される際に、プローブ部材82の柄部分90は、ソケット部材94の本体96の柄部分100の開口部102に挿入されることができる。
【0080】
一実施形態においては、ソケット部材94は、ソケット部材94の本体96の少なくとも一部に沿って延在する溝領域104を含む。プローブ部材82は、開口部98を通って挿入され、次いで、ソケット部材94の本体96内でプローブ部材82を固定するように溝領域104の中へ移動させられるか、または配置されることができる。
【0081】
一実施形態においては、結合デバイス80は、ソケット部材94の本体96の柄部分100の開口部102内に挿入される、電気接点部材106を含むため、電気接点部材106は、プローブ部材82の柄部分90の開口部93を通って延在して、電極86の表面108の少なくとも一部分に接触する。
【0082】
電気接点部材106は、例えば、励起源、信号処理デバイス、針の除去等のアクセス状態の変化を監視および/または制御する際の使用に適した他の類似電子デバイスの電子機器(図示せず)を接続するために利用される。電気接点部材106は、ステンレス鋼、他の類似導電性材料、またはそれらの組み合わせを含む、任意の好適な導電性材料等の任意の好適な材料で作ることができる。電気接点部材106を適所に固定するために、その末端領域112において柄部分100の開口部102の中に、接点保持部材110が挿入される。
【0083】
一実施形態においては、結合デバイスは、任意の好適な方式で、透析機械、デバイス、またはシステムに取り付けられる。例えば、結合デバイスは、透析機械の一体型構成要素として取り付けられることができる。結合デバイスはまた、本開示の装置およびシステムの構成要素のいずれかと連動することができる、別個および/または独立型の構成要素として取り付けられることもできる。一実施形態においては、結合デバイス80は、ソケット部材94の柄部分100を介して、透析機械または他の好適な構成要素に挿入可能に取り付けられることができる。
【0084】
電気接点結合デバイスは、種々の異なる好適な形状、サイズ、および材料成分を含むことができることを理解されたい。例えば、結合デバイスの別の実施形態を図2Cに図示する。図2Cの結合デバイス114は、図2Aおよび2Bに示されるような結合デバイスと構造が類似している。図2Cの結合デバイス114は、例えば、円筒形状電極または他の好適な電気接点と、電極を受入し、それを感知デバイスのソケット部材内で適所に固定するためのプローブ部材とを含むことができる。プローブ部材は、ソケット部材の柄部分の中に挿入可能な柄部分を含む。電気接点部材は、電極に接触できるように、柄部分内に挿入可能である。図2Cの結合デバイスはまた、図2Aおよび2Bに示されるような結合デバイスと同様に、電気接点部材を適所に保持するように接点保持部材を含む。
【0085】
図2Cに示されるように、電気接点結合デバイス114のプローブ部材116は、ソケット部材120内でプローブ部材116を固定することを促進することができる、ハンドル118を含む。ハンドル118は、示されるように、結合デバイス114の使用および製造を容易にすることができる、固体形状を有する。さらに、プローブ部材116の柄部分(図示せず)は、図2Aに図示されるようなプローブ部材の柄部分よりも直径が大きい。柄のサイズを増加させることによって、プローブ部材を、より容易かつ手軽にソケット部材内に挿入することができる。さらに、プローブ部材は、図2Aおよび2Bに示されるようなプローブ部材と比較して長いため、プローブ部材116の末端領域122は、ソケット部材120の溝領域124を越えて延在する。これは、ソケット部材120の溝領域124内でプローブ部材を固定することを促進することができる。
【0086】
一実施形態においては、ソケット部材120の開口部126は、それを通る増加したサイズを有する、プローブ部材116の柄部分の挿入を収容するように、付加的な開口部分128を含むことができる。これは、ソケット部材へのプローブ部材の挿入の前に、ソケット部材に対するプローブ部材の適正な整合を確保することができ、したがって、挿入プロセスを容易にする。
【0087】
プローブ部材、ソケット部材、および接点保持部材は、例えば、プラスチック、成型プラスチック、類似材料、またはそれらの組み合わせを含む、種々の異なる好適な材料から構成できることを理解されたい。プローブ部材、ソケット部材、および接点保持部材等の結合デバイスの種々の構成要素は、任意の好適な方法で嵌合することができる。例えば、構成要素は、平滑係合(図2Aおよび2Bに示されるような)で、ネジ式係合(図2Dおよび2Eに示されるような)で、および/または任意の好適な嵌合係合あるいは配置で、互いに嵌合することができる。
【0088】
図2Dおよび2Eに示されるように、本開示の結合デバイス130は、結合デバイスを形成するように互いに取り外し可能に接続される、ネジ式部品で作ることができる。ネジ式部品は、電極を血液回路に固定すること、ならびに以下に記載されるように、同部の一般的な使用を容易にすることができる。
【0089】
一実施形態においては、結合デバイス130の本体134の柄部分132は、ネジ式係合で透析機械または他の好適な取付デバイスに挿入可能に取着することができる、ネジ式領域136を有する。これは、結合デバイスを取付デバイスに取着し、それから取り外されることの容易性を促進することができる。
【0090】
図2Eに示されるように、柄部分132は、両側がネジ式であり、環状部材138とネジ式係合できるようになる。環状部材138は、電気接点部材140が、以前に論じられているように、プローブ部材144に収納された電極142に対して近接できるようにする、方向および支持を提供する。
【0091】
一実施形態においては、プローブ部材144が本体134に固定される際に、任意の好適な導電性材料で作られたプレート部材146を、バネ148に対して押圧することができる。同時に、電気接点部材140を本体134に固定するように環状部材138の環状領域内に挿入される、保持器152と接触している、電気接点部材140に対して、別のバネ150を変位させることができる。
【0092】
本開示の実施形態のバネ機構は、結合デバイス130の部品が、使用中に確実に係合したままに維持できる。それはまた、清掃、保守、または他の好適な目的で、部品の着脱中の使用も促進することができる。
【0093】
以前に論じられているように、本開示は、流体が患者と、流体送達および/または治療システムとの間を通過することができる、患者の体内に挿入される針等の、アクセスデバイスの除去を検出するために、効果的に利用することができる。本開示は、内科的療法または治療、特に透析療法等の、多数の異なる用途で適用することができる。透析療法では、透析機械を往復して血液を接続するように、針等のアクセスデバイスが、患者の動脈および静脈に挿入される。
【0094】
これらの状況下で、針、特に、静脈針が血液回路から除去または分離された場合、患者からの失血の量は、有意に差し迫ったものとなり得る。本開示のシステムは、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、および持続的腎置換を含む、透析療法中等の、アクセスデバイスの除去による患者からの失血を制御し、効果的に最小化することができる。
【0095】
(信号検出および処理)
以前に論じられているように、針の脱落、またはアクセス状態の他の類似の変化に応答して、インピーダンスまたは同等物の変化を検出するために、制御装置と接続している電気接点を使用することができる。一実施形態においては、本開示は、経時的な基準インピーダンスの変動を補正するように適合することができる。これは、本開示の検出能力に関する感度のレベルを増加させることができる。基準インピーダンスの変化が大きすぎて、適度に補正されない場合、針の除去によるインピーダンスの変化は、たとえそうであるとしても、容易に検出可能な基準を上回る値ではない場合がある。
【0096】
実用的観点から、経時的な基準インピーダンスの変化に影響を及ぼし得る、多数の異なるプロセス条件がある。例えば、基準の段階的動向または変化は、治療中に、血液または他の好適な流体のヘマトクリット値、血漿タンパク質、血液/水の導電率、および/または同等物等の特性の変化により、発生し得る。これは、透析療法中に、電解質または他の成分のレベルの変化によって生じ得る。
【0097】
図3に図示されるように、本開示は、測定可能な電圧信号を処理して、経時的な基準インピーダンスの変化を補正することができる。これは、以前に論じられているように、本開示の検出能力を強化することができる。一実施形態においては、静脈針および動脈針を介して、種々のプロセス構成要素を含む透析システムに患者を接続する、体外血液回路162に沿って、血液が患者の中へ、患者を通って、および患者の外へ循環する際に、電流源160または同等物が、電流を生成して血液を通過させる。電流は、血液回路に沿って導体ループまたは経路を画定するように、第1の電気接点163aを介して、血液回路に注入される。電流は、一実施形態においては、除去が発生するまで、一定のレベルに維持される。
【0098】
第2の電極163bは、導体ループに沿う電圧または同等物を感知し、次いで、同電圧および/またはその変化を示す信号を、以前に論じられているような検出および処理のための電子デバイスに送出するために使用される。電圧信号は、任意の好適な方法で測定および処理することができる。
【0099】
一実施形態においては、信号は、針の除去についての誤った否定的および/または肯定的検出を最小化するために、信号から雑音、特にポンプの回転に由来する雑音を除去するように作用することができる、1つまたは複数のフィルタ164、整流器166、ピーク検出器168、および信号をデジタル化するアナログ・デジタル変換器(「ADC」)170を含む、一連の構成要素を通過させられる。次いで、デジタル信号は、さらなる処理のために、コンピュータデバイス(図示せず)に記憶されることができる。電圧信号は、継続的に測定され、経時的に処理される。各測定により、デジタル化された信号は、以前に論じられているような血液の特性の変化等の、経時的なプロセス状態の変動と関連する基準変化による変化を評価するために比較される。基準変化が判定された場合、デジタル化された信号は、基準の変化を補正するためにさらに処理されることができる。
【0100】
電圧データは、ADCに結合された制御ユニット172に継続的に送信される。制御ユニットは、継続的に計算を行って、針の除去に応じてインピーダンスまたは同等物の変化が発生したかどうかを判定する。一実施形態においては、[V(t)−V(t−T)]>C1であるときに、アクセスデバイスの除去が検出され、式中、tは時間であり、Tは血液ポンプ回転の周期であり、C1は定数であり、V(t)=Io*Zであり、Ioは電流であり、Zは、患者の血管アクセスと関連するインピーダンス、および以前に論じられているような透析装置等の透析システムの種々の構成要素と関連するインピーダンスの関数である、血液管路のインピーダンスである。
【0101】
血液回路からの患者の切断が検出された場合、患者からの失血を最小にするために、信号を処理するように制御ユニット172を利用することができる。一実施形態においては、制御装置は、例えば、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、および持続的腎置換を含む、透析療法を施すために適用されるような透析システムと連絡している。この通信は、配線接続(すなわち、電気通信ケーブル)、無線通信(すなわち、無線RFインターフェース)、空気圧式インターフェース、または同等物のいずれかとなり得る。制御装置は、信号を処理して、透析システムまたはデバイスと通信し、血液透析機械と関連する血液ポンプ174を閉鎖するか、または停止し、したがって、血液透析中の針の除去による患者からの失血の量を効果的に最小にすることができる。
【0102】
制御装置は、種々の他の方法で透析システムと通信することができる。例えば、制御装置および血液透析機械は、静脈針を介したさらなる血流を防止し、したがって患者の失血を最小化するための静脈管路クランプ176を始動させるように通信することができる。一実施形態においては、静脈管路クランプは、制御装置によって始動させられ、針の極近傍の静脈管路をクランプすることができるように、静脈針に取着されるか、または静脈針に対して配置される。一旦クランプされると、透析システムは、圧力の増加を感知することが可能であり、所定のレベルを上回る血流管路内の圧力を感知すると、血液ポンプを閉じるようにプログラムすることができる。代替として、静脈管路クランプは、透析システムに制御可能に取着することができる。
【0103】
一実施形態においては、例えば、透析療法中の針の除去による、失血の検出時に、警報を始動させることができる。いったん始動されると、警報(すなわち、音声および/または視覚的、または同等物)は、患者、医療提供者(すなわち、医師、正看護師、または同等者)、および/または非医療提供者(すなわち、家族、友人、または同等者)に、例えば、針の除去による失血について警告することが可能である。警報機能は、透析療法が、典型的には、病院または他の医療設備を除く、非医療設定または環境で患者および/または非医療提供者によって施される、家庭設定または自己療法設定等の非医療設備での透析療法中に、特に望ましい。
【0104】
警報の始動は、例えば、血液ポンプが自動的に閉じられて血液が最小にされていることをチェックするように患者を促す。したがって、患者は、第三者の補助なしで行動して(すなわち、自分の意志で行動する)、失血を最小にするように対応措置を取ることを確実にする能力を有する。したがって、警報は、患者が眠っている間に透析療法の少なくとも一部を施すことができる在宅血液透析治療に特に適用されるように、透析療法の施与中に患者の安全性を確保するために機能することができる。
【0105】
(透析機械)
以前に論じられているように、本開示は、任意の好適な流体送達システム、治療システム、または同等物とともに使用するために適合することができる。一実施形態においては、本開示は、例えば、血液透析、血液濾過、および血液透析濾過を含む治療中に、血液回路に沿って患者と透析機械との間を血液が流れる際にアクセス切断を検出するように、透析機械とともに使用するために適合される。
【0106】
本開示は、そのような目的で、任意の好適な透析機械を含むことができる。本開示の血液透析機械の一実施例は、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,143,181号に開示されている。一実施形態においては、透析機械190は、移動式シャーシ192を備え、その前面194において、管類または同等物を接続するための共通機構196を有し、それにより、図4Bに示されるように、患者を透析機械に接続することができる。フラットタッチスクリーン197は、いくつかの動作パラメータを示すことができ、透析機械の調整のための記号および欄が提供される。タッチスクリーン197は、垂直方向に調整されることができ、透析機械190のシャーシ192に対して全範囲に軸回転されることができ、所望の調整位置に固定されることができる。
【0107】
一実施形態においては、透析機械190は、血液回路を経由して患者を透析機械に接続するための1つ以上のコネクタを有するシャーシ192を含み、血液回路は、透析療法中に血液が患者と透析機械との間を流れることができるようにし、そして、1つ以上の電気接点は、血液と流体的に連絡している血液回路に接続され、血液がその中を通過する電気信号を有する血液回路を通って流れる際に、アクセス切断に応じて、電気値の変化の検出を可能にする。
【0108】
一実施形態においては、透析機械190は、図4Bに示されるように、アクセス切断を検出するために使用される一対の結合デバイス等の、電気接点結合デバイスのうちの1つ以上を収容するように設計されることができる。例えば、1つ以上の結合デバイス198を、透析機械190の前面パネル194に取着することができる。これは、任意の好適な方法で行うことができる。一実施形態においては、結合デバイスの柄部分は、以前に論じられているように、ネジ式嵌合、摩擦嵌合、または同等物を介して、挿入可能に取り付けられる。これは、血液管類セット202を介して、患者を透析機械190に接続する。血液管類セットは、第1の血液管路204および第2の血液管路206を含む。一実施形態においては、第1の血液管路204は、血液が患者200から透析機械190へとそれを通って流れる、動脈針208または同等物を介して、患者に接続される。次いで、第2の血液管路206は、血液が透析機械から患者へとそれを通って流れて血液回路を画定する、静脈針210または同等物を介して、患者200に接続される。
【0109】
代替として、第1の血液管路および第2の血液管路を、静脈針および動脈針にそれぞれ結合することができる。血液管路は、任意の好適な医療グレード材料から作られる。動脈針および/または静脈針の除去等のアクセス切断は、以前に論じられているように検出することができる。代替として、結合デバイスを血液管類セットに取着することができ、次いで、血液管類セットが、任意の好適な方法で透析機械に取着される。
【0110】
(透析治療施設)
以前に論じられているように、本開示は、家庭または透析治療施設で行われる透析療法中に使用することができる。透析治療センターは、多数の患者に透析療法を提供することができる。治療センターは、患者の要求を受け入れるように、多数の透析機械を含む。透析治療施設での治療セッションは、場所および使用に対する患者要求に応じて、1日24時間、週に7日行うことができる。
【0111】
一実施形態においては、透析治療施設には、本開示の一実施形態に従って、透析療法中にアクセス切断を検出する能力が提供される。例えば、透析機械のうちの1つ以上は、以前に論じられているような、アクセス切断を検出するために必要な他の構成要素に加えて、電気接点結合デバイスとともに使用するために適合することができる。
【0112】
一実施形態においては、電気接点結合デバイスは、透析治療施設の透析機械のうちの1つ以上に、直接取着することができる。本開示の実施形態に従った装置、デバイス、方法、および/またはシステムは、任意の好適な方法で透析治療施設において、1名以上の患者に施与される透析療法中に使用するために適用できることを理解されたい。一実施形態においては、治療施設は、各透析機械にそれぞれ結合された1名以上の患者に透析療法を行うことができる、1つ以上の患者ステーションを有することができる。例えば、血液透析、血液濾過、および血液透析濾過、ならびにそれらの組み合わせを含む、任意の好適な施設内療法を行うことができる。本明細書で使用されるような、「患者ステーション」という用語、または他の類似用語は、透析療法中の使用のための専用透析治療施設の任意の好適に画定された領域を意味する。患者ステーションは、透析療法を施与するために必要な、任意の数および種類の好適な機器を含むことができる。
【0113】
一実施形態においては、透析治療施設は、それぞれ透析療法を1名以上の患者に施与することができ、1つ以上の透析機械が各患者ステーションに位置する、多数の患者ステーションを含むことができる。透析機械のうちの1つ以上は、血液回路を介して患者を透析機械に接続するための1つ以上のコネクタを有するシャーシを含むことができ、血液回路は、透析療法中に血液が患者と透析機械との間を流れることができるようにし、そして、一対の電気接点は、血液と流体的に連絡している血液回路に接続され、その中を通過する電気信号を有する血液回路を通って血液が流れる際に、アクセス切断に応じて、電気値の変化の検出を可能にする。
【0114】
以前に論じられているように、安全で効果的な透析療法を監視および制御するために、本開示のアクセス切断検出能力を利用することができる。患者からの針等のアクセスデバイスの除去時に、制御および/または監視目的でさらに処理することができる、除去を示す信号を提供するために、本開示の直流伝導測定能力を使用することができる。一実施形態においては、透析療法を自動的に終了させて、以前に論じられているような除去による失血を最小にするように、信号をさらに処理することができる。さらに、患者および/または医療関係者に除去状態を警告することができる警報を始動させて、対応措置が取られることを確実にするように、信号を処理することができる。透析療法を含む内科的療法の安全で効果的な施与を促進するように、本開示を種々の好適な方法で修正できることを理解されたい。
【0115】
出願人らは、高感度および選択性により、本開示の装置の直流伝導測定能力が、針除去等のアクセス切断による失血または同等物を即時に検出することができ、その結果、アクセス切断による失血を最小にするように対応措置を取ることができることを見出した。検出時に失血を最小にするために応答可能かつ迅速に作用する能力は、血液透析中の針除去に関して、特に重要である。即時に検出され、応答されなければ、失血の量はかなりのものとなり得る。一実施形態においては、本開示は、針除去の即時検出時に、約3秒以下の範囲、例えば、約2〜3秒以内に失血を最小にするための積極的措置または対応措置(すなわち、血液ポンプを閉じる、静脈管路クランプを始動させる、または同等の措置)を取ることが可能である。
【0116】
さらに、血液透析中に1つ以上の治療パラメータを監視および/または制御するために、制御装置を利用することができる。これらのパラメータは、例えば、針除去時の失血による血液の検出、血流の変化、動脈管路中の気泡の検出、治療中のセンサの動きの検出、センサの電気的導通の検出および/または監視、または他の類似の治療パラメータを含むことができる。一実施形態においては、制御装置は、パラメータのうちの1つ以上を監視するためのディスプレイ(図示せず)を含む。
【0117】
本明細書で使用されるような「医療提供者」という用語、または、例えば「医療関係者」を含む他の類似用語は、患者に、例えば、透析療法を含む医療手技を実践および/または施与するために、医療免許がある、訓練されている、経験がある、および/あるいは資格がある、1名または複数の個人を意味する。医療提供者の実施例は、医者、医師、正看護師、または他の類似の医療関係者を含む。
【0118】
本明細書で使用されるような「非医療提供者」という用語、または、例えば「非医療関係者」を含む他の類似の用語は、医者、医師、正看護師、または同等者等の典型的な医療提供者として、概して認識されない、1名または複数の個人を意味する。非医療提供者の実施例は、患者、家族、友人、または他の類似の個人を含む。
【0119】
本明細書で使用されるような「医療設備」、または、例えば「医療設定」を含む他の類似の用語は、透析療法を含む医療手技または治療法が、典型的には、医療関係者の保護下で行われる、設備または施設を意味する。医療施設の実施例は、病院、透析治療設備、透析治療施設、血液透析施設、または同等物等の、医療治療設備を含む。
【0120】
本明細書で使用されるような「非医療設備」、または、例えば「非医療設定」を含む他の類似の用語は、病院または同等物等の典型的な医療設備として認識されない、設備、施設、設定、および/または環境を意味する。非医療設定の実施例は、家庭、住居、または同等物を含む。
【0121】
電極出力信号は、針除去に対する特異性を向上させるように、静脈圧測定、全身血圧力、同等物、またはそれらの組み合わせ等の、他の低感度の失血検出方法と組み合わせることができることを理解されたい。
【0122】
(導電性ポリマー)
本開示は、導電性ポリマー材料と、同材料を採用するデバイス、装置、システム、および方法を提供する。導電性ポリマー材料は、患者の治療を監視する等の、多数の異なる用途で利用することができる。例えば、導電性ポリマー材料は、前述のように、かつ以下でさらに詳述されるように、患者アクセス状態を監視するために利用することが可能である。他の種類の監視用途は、例えば、以下でさらに詳細に記載されるように、溶液の混合または調合を監視するステップを含む。本開示は、単独または組み合わせで、患者アクセス状態および溶液混合状態を監視するステップ等の、患者治療と関連する1つの状態変化または状態変化の組み合わせを監視するステップを検討する。
【0123】
一実施形態においては、導電性ポリマー材料は、ポリマーマトリクスと、ポリマーマトリクスに組み込まれる導電性成分とを含む。代替として、導電性ポリマー材料は、一実施形態においては、ステンレス鋼等の、別個の導電性成分を有しない導電性ポリマー成分を含む。導電性ポリマー材料は、任意の好適な種類または量の材料から、かつ任意の好適な方法で作製できることを理解されたい。
【0124】
前述のように、導電性ポリマーは、ポリマーマトリクスと、マトリクスに組み込まれる導電性成分とを含むことができる。ポリマーマトリクスは、特に、透析療法等の医療用途を含む、種々の用途での使用に適した、種々の異なるポリマーベースの材料を含むことができる。一実施形態においては、ポリマーマトリクスは、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、アクリル、シクロオレフィン共重合体、シクロオレフィン共重合体ブレンド、メタロセンベースのポリエチレン、類似ポリマー材料、およびそれらの好適な組み合わせを含む。
【0125】
導電性成分は、例えば、以前に論じられているような、内科的療法中に患者アクセス切断を検出するステップ、混合溶液を形成するように溶液成分の混合または調合を監視するステップ、および/または他の類似用途を含む、多数の異なる用途のために適用可能な導電特性を有する、好適な材料または材料の組み合わせを含むことができる。好ましくは、導電性成分は、ステンレス鋼、充填材、カーボンブラック、それらの繊維、および/または同等物を含む。
【0126】
導電性成分は、ポリマーマトリクスに容易に組み込むことができるように、任意の好適な方法でサイズ決定され、成形されることができる。例えば、導電性成分は、ステンレス鋼、炭素質材料、および/または同等物等の、任意の好適な材料から作られた導電性繊維を含むことができる。繊維は、一実施形態においては、約2:1から約30:1に及ぶアスペクト比を有する。
【0127】
導電性ポリマー材料は、任意の好適な量の導電性ポリマーマトリクスおよび導電性成分を含むことができる。これは、導電性ポリマー材料の用途に応じて、変動することができる。一実施形態においては、導電性成分は約10重量%を超える導電性ポリマー材料を含む。好ましくは、導電性成分は、約10〜約50重量%の導電性ポリマー材料に及ぶ。約50重量%を上回る導電性成分を利用することができるが、用途によっては、たとえあったとしても、導電性ポリマー材料の性能の最小の増加を提供してもよいことを理解されたい。好ましくは、導電性成分は、ポリマーマトリクスの全体にわたって均一に分散される。
【0128】
以前に論じられているように、導電性ポリマー材料は、一実施形態においては、導電性ポリマー成分から構成される。この種類の成分は、ステンレス鋼等の付加的な導電性成分が必要とされないように、十分な電気伝導性を有する。導電性ポリマー材料成分の実施例は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、同等物、およびそれらの混合物を含む。
【0129】
以前に論じられているように、導電性ポリマー材料は、任意の好適な方法で作製することができる。一般に、導電性成分は、例えば、その中に導電性成分が組み込まれたポリマーマトリクスを形成するように、温度および圧力を含む、好適な処理条件下でポリマー成分と混合される。導電性成分がポリマーマトリクスの全体にわたって均一に分配されるように、混合は、好適な期間にわたって、かつ十分な量の力で行われるべきである。
【0130】
次いで、導電性成分と組み合わされたポリマーマトリクスは、任意の好適な方法で最終生成物に成形および形成される。例えば、導電性成分と組み合わされたポリマーマトリクスは、好適な処理条件下で、射出成形プロセス、押出プロセス、または同等のプロセスを介して、単一部品に形成することができる。したがって、導電性ポリマー材料は、射出成形および押出等の製造技術で容易に作製することができる。これは、消費者に必然的に伝えられることができる製造プロセスに費用節約を効果的に提供することができる。
【0131】
導電性ポリマー材料は、用途に応じて、任意の好適な形状およびサイズに形成されることができる。一実施形態においては、導電性ポリマー材料は、前述のように、かつ以下でさらに詳細に記載されるように、例えば、患者アクセス状態を監視するステップ、および/または溶液の混合または調合を監視するステップを含む、多数の異なる用途に利用することができる、電極または他の類似の電気接点に形成される。導電性ポリマー電極は、用途に応じて、種々の異なる好適な構成を有することができる。例えば、導電性ポリマー電極は、以下に記載のように、管類を接合して管類接合部を形成するために使用することができる、結合器に作製することができる。
【0132】
図5Aおよび5Bに示されるように、導電性ポリマー結合器は、概して円筒形状を有する。この構成により、導電性ポリマーは、それを通って流体が流れる管に容易に取着されることができ、したがって、管類接合部を形成する。
【0133】
図5Aに示されるように、結合器220は、結合器電極220の内面224から延在する部材222を有する。部材222は、管類接合部228の所望の長さを事前設定することができるように、電極に取着される管226に対する停止部の役割を果たす。一実施形態においては、図5Aに示されるような結合器220は、射出成形プロセスを介して作製される。
【0134】
図5Aに示されるように、第1の管部材230は、結合器220の第1の端232に取着され、部材222の第1の端234によって位置決めされるか、または停止される。第2の管部材236は、結合器220の第2の端238に取着され、部材222の第2の端240によって停止されるか、または位置決めされる。これは、本願に記載のように、血液回路に一体化され、透析療法中に利用される管類接合部等の、管類接合部228を形成する。
【0135】
図5Bに示されるように、結合器242は、管類接合部の長さを前述のように事前設定できるようにする部材なしで形成される。この点で、管類接合部の長さは、用途に応じて、調整することができる。さらに、図5Bに示されるような結合器242は、射出成形プロセスの代わりに、押出プロセスを介して作製することができる。これは、前述のような射出成形プロセスと比較して、結合器の製造に関するさらなる費用節減を提供することができる。図5Bに示されるように、第1の管部材244は、結合器242の第1の端246に取着され、第2の管部材248は、結合器242の第2の端250に取着され、したがって、管類接合部252を形成する。
【0136】
管部材は、任意の好適な方法で導電性ポリマー結合器に取着されることができる。例えば、導電性ポリマー材料は、管類に、溶剤接着、熱癒着、レーザ溶接、無線周波癒着、または同等物を行うことができる。
【0137】
管類は、用途に応じて、任意の好適な材料で作ることができる。例えば、管類は、ポリ塩化ビニル(「PVC」)から作ることができる。好ましくは、PVC管類は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(「ABS」)から構成されたポリマーマトリクスで作られている導電性ポリマー材料に取着され、ABSベースの導電性材料はPVC管類に溶剤接着される。
【0138】
しかしながら、管類は、用途に応じて、種々の異なる材料で作成されることができる。一実施形態においては、管類は、メタロセンベースのポリエチレンポリマー、シクロオレフィン共重合体、シクロオレフィン共重合体ブレンド、および同等物等の、非PVC材料を含む。非PVC材料は、任意の好適な種類および量の構成物質を含むことができる。本開示を例示する、メタロセンベースのポリエチレンポリマーおよび同等物は、例えば、米国特許第6,372,848号に見ることができ、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。これらの種類の非PVCポリマーは、約0〜約99重量%のブレンドの重量で存在し、約0.1g/10分〜約5g/10分等の分画からのメルトフローインデックスを有する、シングルサイト触媒を使用して得られる第1のエチレンおよびα−オレフィン共重合体と、約0〜約99重量%のブレンドの重量に存在し、約5g/10分〜約20g/10分よりも高いメルトフローインデックスを有する、シングルサイト触媒を使用して得られる第2のエチレンおよびα−オレフィン共重合体と、約0〜約99重量%のブレンドの重量に存在し、約20g/10分よりも大きいメルトフローインデックスを有する、シングルサイト触媒を使用して得られる第3のエチレンおよびα−オレフィン共重合体とを有する、ポリマーブレンドを含むことができる。一実施形態においては、α−オレフィン共重合体は、約3未満の分子量分布を有する。
【0139】
本開示を例示する、シクロオレフィン共重合体およびそれらのブレンドは、例えば、米国特許第6,255,396号に見ることができ、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。これらの種類の非PVCポリマーは、成分として、環状オレフィンまたは架橋多環式炭化水素のホモポリマーまたは共重合体を含むことができる。例えば、ポリマー組成は、ノルボルメン単量体およびエチレン単量体を共重合することによって得られる第1の成分であって、第1の成分は、組成の約1〜99重量%の量である、第1の成分と、6個の炭素を有するエチレンおよびα−オレフィン共重合体の第2の成分であって、第2の成分は、組成の約99〜約1重量%の量である、第2の成分とを含む。一実施形態においては、ポリマー組成は、環状オレフィンまたは架橋多環式炭化水素の第2のホモポリマーまたは共重合体等の、付加的な成分を含むことができる。
【0140】
非PVCベースの管類および非PVCベースの導電性結合器は、管類接合部を形成するように、任意の好適な方法で接合することができる。一実施形態においては、非PVCベースの管類および結合器は、米国特許第6,255,396号および第6,372,848号で開示されているような溶剤接着を介して接合される。本明細書で使用されるような、溶剤接着という用語、または他の同類の用語は、管類を融解、溶解、または膨張させるように管類を溶剤に暴露し、次いで、永久接着を形成するように他の別のポリマー成分に取着できることを意味する。好適な溶剤は、典型的には、約20(Mpa)1/2未満の溶解パラメータを有するものを含む。好適な溶剤はまた、約200g/モル未満の分子量を有することができる。溶剤は、例えば、脂肪族炭化水素、炭化水素、およびそれらの混合物を含むことができる。本明細書で使用されるような、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素という用語は、炭素および水素元素のみを含有する化合物である。
【0141】
好適な脂肪族炭化水素は、置換および非置換ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、デカリン、および同等物を含むことができる。好適な芳香族炭化水は、キシレン、テトラリン、トルエン、クメン、および同等物等の、置換および非置換芳香族炭化水素溶剤を含むことができる。好適な炭化水素置換基は、1〜12個の炭素を有し、プロピル、エチル、ブチル、ヘキシル、第3ブチル、イソブチル、同等物、およびそれらの組み合わせを含む、脂肪族置換基を含むことができる。
【0142】
以前に論じられているように、本開示の導電性ポリマーは、図5Aおよび5Bに示され、上記で論じられているような、導電性ポリマー結合器等の、種々の異なる構成に構築し、配設することができる。別の実施例は、一実施形態による、導電性ポリマーから作られる透析装置ヘッダを含む。図6を参照して、透析装置253が概して図示されている。透析装置253は、ケーシング256を概して含む、本体部材254を含む。ケーシング256は、コア区間、ならびに透析装置の各端に位置する2つの鐘形部材260を含む。コアの内側には、繊維束258が位置する。透析装置はまた、透析液入口262および透析液出口264も含む。
【0143】
透析装置253の第1の端266には、流体入口268が位置し、第2の端270には、流体出口272が位置し、それぞれ、流体入口ヘッダ274および流体出口ヘッダ276によって画定される。透析装置253は、任意の好適な方法で透析血液回路に接続される。一実施形態においては、入口274および出口276ヘッダは、前述のような本開示の導電性ポリマー材料から作られる。入口274および出口276ヘッダは、以前に論じられているように、患者アクセス状態を監視するために導電性ポリマーヘッダを使用することができるように、制御装置278に接続することができる。
【0144】
種々の異なるヘッダおよび透析装置設計を利用することができる。例えば、米国特許第6,623,638号および米国特許公報第2003/0075498号は、本開示を例示する、多数の異なる実施例を提供している。米国特許第6,623,638号および米国特許公報第2003/0075498号の開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0145】
本開示の導電性ポリマーは、任意の好適な方法で、および種々の異なるデバイス、装置、システム、およびそれらの用途で、利用することができる。例えば、導電性ポリマーは、アクセスデバイスの除去に応答してインピーダンスの変化を検出するため、溶液組成の変化に応答して導電率の変化を検出するため、および/または他の好適な用途において利用することができる。
【0146】
一実施形態においては、導電性ポリマーは、例えば、本願で論じられているような透析監視用途に利用することができる、センサアセンブリまたは装置の一部である。本開示のセンサ装置は、多数の異なる構成および設計を含むことができる。本開示を例示する、そのような設計の2つの実施例を、図7Aおよび7Bで下記に記載する。
【0147】
図7Aにおいては、前述のように、管部材288に取着された導電性ポリマー電極286を含む管類接合部284は、例えば、一実施形態におけるセンサ装置291と関連する検出機能のために、保持デバイス290またはホルダによって適所に配置される。一般に、図7Aに示されるようなホルダ290は、ハブ設計を有する。より具体的には、ホルダ290は、その上に管類接合部284を配置することができる、基礎部材292を含む。基礎部材292は、プラスチックまたは他の好適な材料から作られる第1の部分294を含む。第1の部分294は、基礎部材292の外面296を画定する。外面296に沿って、第1の部分294は、図7Aに示されるように、離間した2つの開口部を含む。第1の開口部298は、基礎の第1の部分の第1の縁300上に位置し、第2の開口部302は、基礎の第1の部分の第2の縁304上に位置する。開口部は、任意の好適な方法で構成され、取り付ける目的で利用されることができる。
【0148】
基礎部材の第2の部分は、図7Aに示されるような導電性部分306を含む。一実施形態においては、導電性部分306は、ステンレス鋼および/または同等物等の、任意の好適な導電性材料から作られる、単一部品308を含む。図7Aに示されるように、管類接合部の導電性ポリマーは、導電性ポリマー電極286の外面312を実質的に形成する、第2の部分の曲線縁310に対して配置される。電極は、概して円筒形状である。
【0149】
ホルダ290はさらに、図7Aに示されるような、基礎部材292に枢動可能に取着されるアーム部材314を含む。アーム部材314は、アーム314を管類接合部284の上方に配置することができるように、概して曲線の領域を含み、アームが管接合部の概して円筒形の表面に実質的に一致できるようにし、したがって、管類接合部284を適所にさらに固定する。
【0150】
本開示のセンサ装置を例示する、ハブ設計の別の構成を図7Bに示す。一般に、この設計は、管類接合部318を封入する、ボックス様のホルダ316を提供し、管類接合部は、前述のように管部材322に取着される結合器の形の導電性ポリマー電極320を含む。ホルダ316は、基礎部材324を含む。基礎部材324は、側面部分326、底部分328、および最上部分332における開口部330を含む。図7Bに示されるように、センサ装置334は、基礎部材324に含有される導電性部材336を含む。導電性部材336は、前述のような任意の好適な材料で作ることができる。導電性部材336は、環状形状の表面338を含み、それに対して管類接合部318を配置することができる。センサ装置334はさらに、基礎部材324に枢動可能に取着される、蓋340を含む。蓋340は、閉鎖位置で管類接合部の一部分に対して近接する部材342を含む。これは、使用のために管類接合部を適所に固定する。
【0151】
以前に論じられているように、本願のセンサ装置は、多数の好適な用途において使用することができる。例えば、センサ装置は、血液回路に好適に結合し、本願に記載のように、アクセスデバイスの切断を検出する目的で使用することができる。別の用途は、以下でさらに詳細に記載されるような、溶液調合の監視を含む。この点で、図7Aおよび7Bに示されるようなセンサ装置は、図2A−2Eで図示され、上記でさらに記載されるような、電気結合デバイスと組み合わせて、またはその代わりに使用することができる。したがって、本開示は、使用中に、患者アクセスおよび溶液混合等の1つの状態または状態の組み合わせを監視するために使用することができる。適用されるように、センサ装置は、検出目的で、制御装置または他の類似デバイスに接続することができる。制御装置は、任意の好適な方法でセンサ装置と電気的に接触している、1つまたは多数の異なるデバイスを含むことができる。
【0152】
別の実施形態では、センサ装置は、導電性ポリマー材料から作られる単一部品を含むことができる。単一部品は、前述のような射出成形を介する等、任意の好適な方法で作ることができる。多数の異なる好適な形状およびサイズを形成することができる。本開示を例示する、単一部品の導電性電極344の1つのそのような実施例を、図8Aおよび8Bに示す。
【0153】
一般に、導電性ポリマー電極344は、図8Aおよび8Bに示されるように、流体がそれを通って流れることができる、管類接合部を形成するように管類を接合することができる、結合器として構成される。導電性ポリマー電極344は、それを通って延在する環状開口部348を有する、基礎部材346を含む。管部材350は、前述のように管類接合部を形成することができるように、環状開口部348の端351に取着することができる。基礎部材346は、基礎部材346の表面354の一部分から延在する、柄部分352を含む。これは、制御盤、または前述のような血液透析機械等の他の好適な構成要素に、導電性ポリマー電極344を取り付けるか、または取着するために使用することができる。柄部分352は、基礎部材346の表面354から終わる、環状形状チャネル356を画定する。環状形状チャネル内では、図8Bに示されるように、基礎346の表面354から延在する、内側の環状形状チャネル360も提供される。柄部分は、経路を提供するために利用されることができ、それを通って、電極が、任意の好適な方法で、制御装置等の1つ以上の他のデバイスと電気的に接触することができる。基礎部材はさらに、基礎部材346の表面354の一部分から延在する、最上部材362を含む。最上部材362は、使用のために基礎部材346の柄部分352を適所に固定するため、および/または使用後に電極を除去するために使用することができる。
【0154】
図8Aおよび8Bに示されるように、導電性ポリマー電極344は、環状開口部348の内面から延在する部材366を含む。部材366は、停止部の役割を果たし、それに対して管類を配置して管類接合部を形成することができる。部材366は、開口部368を伴う概して円筒形状を有し、それを通って流体が流れることができる。
【0155】
以前に論じられているように、本開示の導電性ポリマー材料は、多数の異なる用途で利用することができる。一実施形態においては、導電性ポリマー材料は、内科的療法中に流体がそれを通って流れる、患者に挿入されるアクセスデバイスの切断を検出するため等、患者アクセス状態を監視するために利用することができる。好ましくは、切断検出用途は、血液透析療法中等の透析療法中に適用される。
【0156】
透析用途に適用される際に、導電性ポリマーは、電極に形成され、任意の好適な方式で透析血液回路に取着されることができる。図1Aおよび2Aに示され、上記でさらに記載されるように、センサのうちの少なくとも1つは、本開示の導電性ポリマー材料で作られた電極を含むことができる。センサ22および24は、制御装置29と電気的に接触し、したがって、導電性ポリマー電極は、前述のような透析療法に関連する検出、監視、および制御目的に対して利用することができる。図4Aおよび4Bに示され、本願において記載のように、センサ198は、血液透析機械に直接取着することができ、センサのうちの少なくとも1つは、本開示の一実施形態による導電性ポリマー電極を含む。導電性ポリマーセンサは、前述のように、結合器およびハブ設計(図5A、5B、7A、および7B参照)、単一部品設計(図8Aおよび8B参照)、および透析装置ヘッダ設計(図8Aおよび8B参照)等の、任意の好適な方法で構成することができる。本開示は、患者アクセスおよび溶液混合状態等の内科的療法を監視するために、1つのセンサまたは異なるセンサの組み合わせの使用を検討することを理解されたい。
【0157】
一実施形態においては、本開示の導電性ポリマー材料は、内科的療法の間に使用される混合溶液等の混合溶液を形成するための溶液混合を監視するために、利用されることができる。そのような監視目的のための本開示を例示する、1つの用途の形式は、透析療法中、特に腹膜透析中のものである。一般に、導電性ポリマー材料は、腹膜透析中に患者に施与される透析液と関連する導電率の変化を効果的に検出することができる、電極または他の感知デバイスに形成することができる。
【0158】
透析液は、施与前に混合透析液を形成するために混合される、多数の溶液成分から形成されることができる。透析液成分は、約1.8〜約9.2の範囲等の、変動するpHレベルを有し得る。一旦混合されると、混合透析液のpHは、使用前には約6.8〜約7.5の範囲等の生理学的許容レベルとなるべきである。pHレベルは、透析液の導電率レベルにおける変化に関して監視することができる。この点で、本開示の導電性ポリマーは、導電率レベルの変化を検出するために利用することができ、したがって、使用前に許容pHレベルで混合透析液を形成するように溶液成分が適切に混合されているか否かを判定するために利用されることができる。腹膜透析の概要を以下に提供し、本開示を例示する。
【0159】
腹膜透析は、患者の腹膜腔に注入され、患者の腹膜と接触する滅菌透析液を使用する。老廃物、有害物質、および過剰水は、患者の血流から、腹膜を通って透析液の中へ通過する。血流から透析液の中への老廃物、有害物質、および過剰水の移動は、透析液中の浸透物質が膜にわたる浸透勾配を形成する停留期間中の分散および浸透によって発生する。本溶液は、患者から老廃物、有害物質、および過剰水を除去するために、後に患者の腹膜腔から排出される。
【0160】
持続的な携帯式腹膜透析(「CAPD」)および自動腹膜透析を含む、種々の種類の腹膜透析療法がある。CAPDは、手動透析治療であり、患者は、カテーテルを新鮮な透析液のバッグに接続し、カテーテルまたは他の好適なアクセスデバイスを通して、患者の腹膜腔に新鮮な透析液を手動で注入する。患者は、新鮮な透析液のバッグからカテーテルを切断し、溶液が腹膜腔内に停留できるようにして、患者の血流から透析液へと老廃物、有害物質、および過剰水を移動させる。停留期間後に、患者は、使用済みの透析液を排出し、次いで、手動透析手順を反復する。患者が行わなければならない接続の数を低減することができる、溶液および排出バッグ用の「Y」字形コネクタを有する管類セットが利用可能である。管類セットは、例えば、空のバッグ、および透析液が充填されたバッグを含む、事前に取着されたバッグを含むことができる。
【0161】
CAPDでは、患者は、日中に、例えば、1日に約4回、いくつかの排出、充填、および停留サイクルを行う。排出、充填、および停留を含む、各治療サイクルは、約4時間かかる。
【0162】
透析治療が、排出、充填、および停留サイクルを含むという点で、自動腹膜透析は、持続的携帯式腹膜透析と同様である。しかしながら、透析機械は、典型的には、患者が眠っている一晩の間に、3サイクル以上の腹膜透析治療を自動的に行う。
【0163】
自動腹膜透析に関して、自動透析機械は、埋め込みカテーテルに流体的に接続される。自動透析機械はまた、新鮮な透析液源またはバッグに、および流体排出管に、流体的に接続される。透析機械は、カテーテルを通して、腹膜腔から排出管へと使用済みの透析液を圧送する。次いで、透析機械は、カテーテルを通して、透析液源から患者の腹膜腔の中へ、新鮮な透析液を圧送する。自動機械は、患者の血流から透析液への老廃物、有害物質、および過剰水の移動を行うことができるように、透析液が腹膜腔内に停留できるようにする。コンピュータは、患者が透析機械に接続されると、例えば、患者が眠っているときに、透析治療が自動的に発生するように、自動透析機械を制御する。つまり、透析システムは、自動的かつ連続的に腹膜腔の中へ流体を圧送し、停留を可能にし、腹膜腔の外へ流体を圧送し、手順を反復する。
【0164】
いくつかの排出、充填、および停留サイクルは、治療中に発生する。また、最終容量である「最後の充填」は、一般に、自動透析治療の終わりに使用され、患者がその日に透析機械から切断されると、患者の腹膜腔の中にとどまる。自動腹膜透析は、患者が日中に排出、充填、および停留ステップを手動で行うことから解放する。
【0165】
一般に、透析液は、約1.5重量%〜約4.25重量%等の任意の好適な量で、デキストロースまたは他の好適な構成物質等の浸透物質を含む。透析液はさらに、任意の好適な量で、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、塩化物、および/または同等物等の、1つ以上の電解質を含む。透析液はまた、乳酸塩および重炭酸塩を含む緩衝剤、または同等物等の他の構成物質、および安定剤等の他の構成物質を含んでもよい。透析液は、その成分の種類および量が変動し、変動するpHレベルを有し得る、複数の溶液成分から作ることができる。
【0166】
種々の異なる好適な種類の多重部分透析溶液を利用することができる。例えば、多重部分重炭酸塩ベースの溶液は、2001年9月17日出願の「Biochemically
Balanced Peritoneal Dialysis Solutions」と題された、米国特許出願第09/955,248号で見ることができ、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。多重部分乳酸塩ベースの溶液の一実施例は、2003年7月25日出願の「Dialysis Solutions With Reduced Levels Of Glucose Degradation Products」と題された、米国特許出願第10/628,065号で見ることができ、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0167】
重炭酸塩ベースの溶液の別の実施例は、2002年1月11日出願の「Bicarbonate−Based Solutions For Dialysis Therapies」と題された米国特許出願第10/044,234号で見ることができ、さらに、米国特許第6,309,673号で開示されており、それらの開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。重炭酸塩ベースの溶液は、中程度および極端なpH条件下等、変動pH条件を有する溶液成分から作ることができる。一実施形態においては、溶液成分は、約1.0〜約10.0の間でpHが変動することができる。いったん混合させると、混合溶液の所望のpHは、約6.5〜約7.6の間等の、生理学的許容レベルである(すなわち、血液のpHに近い)。
【0168】
例えば、中程度のpH条件下で、約7.2から約7.9、好ましくは、約7.4から約7.6に及ぶpHの重炭酸塩濃縮物、および約3.0から約5.0に及ぶpHの電解質濃縮物の混合によって、重炭酸塩ベースの溶液を処方することができる。極端なpH条件下で、例えば、重炭酸塩濃縮物は、約8.6から約9.5に及ぶことができるpHを有し、約1.7から約2.2のpHを有する電解質濃縮物と混合される。重炭酸塩および/または電解質濃縮物のpHを調整するために、種々の異なる好適な酸性および/または塩基性物質を利用することができる。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素、ヨウ化水素、水酸化ナトリウム、同等物、またはそれらの組み合わせ等の、種々の無機酸および塩基を利用することができる。
【0169】
次いで、電解質濃縮物およびデキストロース濃縮物等の溶液成分を溶液バッグ中で混合し、次いで、腹膜透析中に患者に混合溶液として施与することができる。本開示の実施形態による、透析液の溶液成分を別々に含有する、多重チャンバ溶液の図示した実施例を図9に示す。
【0170】
本開示の透析液の成分は、透析液を効果的に調製し、施与することができるように、任意の好適な方式で収納または含有できることを理解されたい。一実施形態においては、本開示は、2つ以上の部分が処方され、別々に格納され、次いで、使用の直前に混合される、多重部分透析液を含む。透析液の種々の部分を収納するために、好適な流体的な連絡機構によって接続される別個の容器(すなわち、フラスコまたはバッグ)等の、種々の容器を使用することができる。
【0171】
一実施形態においては、例えば、デキストロース濃縮物および緩衝剤濃縮物を含む、溶液の別個の成分を収納するために、多重チャンバ容器またはバッグを使用することができる。一実施形態においては、別個の成分は、膜透析中に適用される等、使用の前に、多重チャンババッグ内で混合される。
【0172】
図9は、本開示の一実施形態による、持続的携帯式腹膜透析中等に、透析液を格納、処方、混合、および施与するための好適な容器を図示する。多重チャンババッグ380は、第1のチャンバ382および第2のチャンバ384を有する。容器の内部は、熱シール386によって2つのチャンバに分断される。容器は、任意の好適なシールによって別個のチャンバに分断できることを理解されたい。
【0173】
一実施形態においては、容器は、剥離シールによって、2つ以上のチャンバ等の別個のチャンバに分断することができる。剥離シールの使用により、壊れやすいコネクタまたは他の好適な種類のコネクタは、多重チャンババッグ内で溶液成分を混合することを必要とされなくなる。剥離シールを含む多重チャンバ溶液バッグの一実施例は、米国特許第6,319,243号で開示されており、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。図10に示されるように、容器388は、少なくとも3つのチャンバ390、392、および394を含む。チャンバ390、392、および394は、使用準備ができている混合溶液を形成するように溶液内で混合することができる、液体および/または溶液の別個の格納のために設計される。3つより多い、または少ないチャンバを利用できることを理解されたい。
【0174】
剥離可能なシール396および398は、それぞれ、チャンバ390、392、および394の間に提供される。剥離可能なシールの実施例は、1993年3月16日出願の「Peelable Seal And Container Having Same」と題された、米国特許出願第08/033,233号で見ることができ、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。剥離可能なシールは、チャンバの選択的開放を可能にして、その中に含有される液体の選択的混合を可能にする。
【0175】
容器388はまた、図10に示されるような管状ポート400、402、および404等の、管状ポートを含むこともできる。管状ポートは、容器、具体的にはチャンバ390、392、および394との流体的に連絡を可能にするよう、容器に取り付けられる。この目的を達成するために、管状ポート400、402、および404は、患者への容器の内容物の送達のために、カニューレ、先が鋭くとがったもの、または施与セットによって貫通される、膜を含むことができる。3つより多い、または少ないポートを利用できることを理解されたい。
【0176】
図9に示されるように、多重チャンバ容器380は、剥離可能なシールの代わりに、第1のチャンバ382を第2のチャンバ384に封止結合するように、壊れやすいコネクタ406を有する。多重チャンババッグ380内で溶液を混合するために、壊れやすいコネクタ406が壊される。
【0177】
第1の容器またはチャンバ382は、好適なサイズおよび長さの2つのポート管408を含む。2つより多い、または少ないポート管が使用されてもよいことを理解されたい。ポート管のうちの1つは、例えば、必要であれば、本開示の溶液の処方中に、他の成分を第1のチャンバ382に添加するために利用することができる。残りのポート管は、例えば、患者の施与管路(図示せず)を介して第1のチャンバ382を患者に適合して結合するために利用する、付加的な他の成分を添加するために使用する、また同等のことを行うことができる。第2の容器またはチャンバ384は、そこから延在する単一ポート管410を有する。一実施形態においては、ポート管410は、患者の施与管路に接続され、いったん溶液が以下に記載されるように混合されると、溶液がそれを通って流れることができる。
【0178】
一実施形態においては、本開示の透析液を形成するために各チャンバの成分を適切に混合することができるように、多重チャンババッグ380内の生成物の移動を、第1のチャンバ382から第2のチャンバ384へと開始することができる。一実施形態においては、デキストロース濃縮物412が第1のチャンバ382に含有され、緩衝剤濃縮物414が第2のチャンバ384に含有される。任意の好適な種類または数の溶液成分を多重チャンババッグで分離し、次いで、患者への施与の前に混合溶液を形成するように混合できることを理解されたい。腹膜透析液の例示的な実施例は、前述のような米国特許出願第09/955,298号および第10/628,065号、ならびに米国特許第6,309,673に記載されているものを含む。
【0179】
いったん第1のチャンバから第2のチャンバへの移動が発生すると、各チャンバの成分を適切に混合することができるように、第1のチャンバ382は、第2のチャンバ384よりも容積が小さい。したがって、多重チャンババッグ380は、少なくとも2つの溶液成分の部分を収納することができ、その後、混合物は使用準備ができた透析液をもたらす。多重チャンバ容器の一実施例は、米国特許第5,431,496号で説明されており、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。多重チャンババッグは、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、または同等物等の、ガス透過性材料から作ることができる。
【0180】
多重チャンババッグは、種々の異なる好適な材料から製造し、本開示の透析液を効果的に処方し、任意の好適な方式で内科的療法中に患者に施与することができるように、多数の好適な方法で構成できることを理解されたい。例えば、第1のチャンバは、第2のチャンバよりも容積が大きく、さらに、本開示の透析液を容易かつ効果的に作って患者に施与することができるように適合することができる。
【0181】
一実施形態においては、透析液は、CAPD等の腹膜透析中に、多重チャンバ溶液バッグに含有され、そこから施与される。溶液バッグは、前述のように、混合する前に透析液の別個の成分をそれぞれ含有する、複数のチャンバを含むことができる。これは、使用前の透析液と関連する安定性、滅菌性、有効性、または同等物の目的で、混合前に非適合溶液成分の分離を維持するために必要であってもよい。
【0182】
別の実施形態では、溶液成分を調製し、別個の溶液に格納し、次いで、自動腹膜透析中に適用される等の使用の前に、混合デバイスを介して混合することができる。図11に示されるように、デキストロース濃縮物416等の第1の溶液成分、および緩衝剤濃縮物420等の第2の溶液成分は、自動腹膜透析中の使用に適した混合デバイス426に流体的に接続される、それぞれの別個の容器422および424またはバッグに格納される。第1および第2の成分に加えて、好適な溶液で充填された第1のバッグ428および最後のバッグ430もまた、概して公知のような透析療法中に使用することができる。
【0183】
一実施形態においては、有効量の第1の溶液成分416および第2の溶液成分420が各容器からヒータバッグ432の中へ引き出され、溶液成分(例えば、デキストロースおよび緩衝剤濃縮物)は、透析療法中の患者434への注入の前に、混合し、加熱することができる。図11にさらに示されるように、排出管路436が混合デバイス426に結合され、そこから、治療中に老廃物流体を患者から除去することができる。
【0184】
本開示の一実施形態によれば、導電性ポリマー材料は、腹膜透析中等に、溶液複合を監視するためにセンサとして使用することができる。例えば、導電性ポリマーセンサ438を管440に取着することができ、図9に示されるように、それを通って混合透析液が、多重チャンバ溶液バッグ380から患者へと流れる。導電性ポリマーセンサ438は、患者に注入される混合透析液の導電率の変化を監視することができるように、制御装置442または他の類似デバイスと電気的に接触している。導電率レベルに基づいて、混合溶液のpHレベルを監視し、溶液成分(例えば、デキストロース濃縮物および緩衝剤濃縮物)が、使用前に透析液を形成するように適切かつ十分に混合されているかどうかを判定することができる。透析液が適切に混合されていない場合、導電性レベルは、使用準備ができている透析液の所望のpHレベルと概して関連する、基準導電率レベルを上回って、または下回って存在する。以前に論じられているように、混合透析液の所望のpHは、使用前に、約6.5〜約7.6の間等の生理学的許容レベルに維持される。この情報に基づいて、透析液の溶液化学が適正な使用のために修正されるように、プロセスに調整を行うことができる。これは、透析療法中等の使用中に、溶液の安全かつ有効な使用を促進することができる。
【0185】
図11に示されるように、本開示の導電性ポリマーセンサ444は、自動腹膜透析中に適用することができる。より具体的には、本開示の導電性ポリマーセンサ444は、管部材446に取着することができ、それを通って透析液が患者へと流れる。透析液は、以前に論じられているように、別個の溶液バッグに格納される溶液成分の混合の生成物である。導電性ポリマーセンサ444は、以前に論じられているように、患者に施与される溶液の導電率レベル、およびしたがってpHレベルを監視することができるように、電気的に接触している制御装置448または他の類似デバイスに取着することができる。随意で、一実施形態においては、少なくとも1つの付加的な導電性ポリマーセンサ450もまた、図11に示されるように利用することができる。この点で、付加的なセンサは、混合前に溶液成分の導電率レベルを監視するために利用することができる。これは、前述のように、導電率測定に基づいて、溶液成分が所望のpHに維持されているかどうかを評価するために利用することができる。
【0186】
(独立型切断システムおよび方法)
ここで図12を参照して、独立型アクセス切断システム220の一実施形態を図示する。システム220は、図4Aおよび4Bに関連して上記に記載されているもの等の透析機械190を含む。例えば、機械190は、シャーシ192およびタッチスクリーン197を含む。機械190は、それぞれ静脈針32および動脈針34に接続する、静脈管路26および動脈管路28を有する血液回路35を含んで、患者アクセス36を形成する。動脈管路28は、患者アクセス36から、図13に関連して以下でさらに詳細に示される検出器モジュール225へと延在する。一般に、検出器モジュール225は、それぞれ、静脈および動脈管路26および28が提供された接点22および24(図1A)と電気的に連絡する電極を含む。代替として、検出器モジュール225は、血液と直接接触する、それぞれ図1Bに関連して上記で参照されている、静脈および動脈接点生成結合デバイス48および50を含み、血液セット上の接点22および24の必要性を除去する。検出器モジュールは225また、アクセス切断を検出し、図14に関連してさらに詳細に記載される保護装置モジュール230に遠隔または無線信号を送信することが可能な、電子機器も含む。
【0187】
血液回路35の第1の管類区分38aは、検出器モジュール225から血液ポンプ46へと延在する。第2の管区分38bは、血液ポンプ46における区分38aから透析装置42へと延在する。第3の管区分38cは、透析装置42から検出器モジュール225へと延在する。静脈管路26は、検出器モジュール225から患者アクセス36へと延在する。図示されるように、検出器モジュール225は、検出器モジュール225によって患者アクセス36における切断を感知すると、管区分38aまたは38cのうちの1つ以上を締め付けるように配置される。静脈滴下チャンバ40は、管区分38cで動作して示されている。図示されていないが、加えて、動脈滴下チャンバ44を管区分38aに配置することができる。静脈滴下チャンバ40は、圧力センサ214で動作して示されている。
【0188】
機械190の統合部品、機械190を注文する際のオプション、または既存の透析機械(または、本明細書に記載の任意の他の種類の血液治療あるいは医療送達機械)に対する据え付けキットのいずれかとして、検出器モジュール225および保護装置モジュール230を含むシステム220を提供することが明白に検討される。したがって、一実施形態においては、検出器モジュール225および保護装置モジュール230と関連する電子機器は、(おそらく、入力電力を除いて)機械190の電子機器から独立している
加えて、図13を参照して、検出器モジュール225は、一実施形態においては、本明細書で記載のように、体外回路中の血液の電気インピーダンスを監視し、患者アクセス36における静脈または動脈除去が発生すれば、警報を生成して、保護装置モジュール230に、血液回路35の動脈管区分38aおよび静脈管区分38cのうちの少なくとも1つを締め付けさせる。
【0189】
検出器モジュール225および保護装置モジュール230以外に、システム220はまた、一実施形態においては、図13に示されるような使い捨て部分も含む。使い捨て部分は、検出器モジュール225で動作し、血流と電気的に接触するか、または血液セット管類の上方で締め付ける、図1Aに示される2つの接点22および24を含む。据え付け実施形態では、治療の前に、使い捨て電極22および24が、血液回路35に挿入される。示されるように、動脈管28および管類38aが接点24の上方で封止嵌合される一方で、静脈管26および管類38cは、接点22の上方で封止嵌合される。または、血液回路35には、事前設置される接点22および24を提供することができる。いずれの場合でも、接点22および24は、金属構成要素であるか、または導電性ポリマーで作ることができる。接点22および24に血液回路35が提供されると、検出器モジュール225には、それぞれ、血液回路35の接点22および24と電気的に接触する、2つの電極222および224が提供される。図示された実施形態における電極222および224は、血液回路35の接点22および24、ならびに関連管26、28、38a、および38bを適所で物理的に担持する、バネクリップとして提供される。
【0190】
代替実施形態では、血液回路35には、接点22および24(図示せず)が提供されず、代わりに、検出器モジュール225に、図2A−2Eに関連して上記で記載されている、結合デバイス80、114、および130のうちの1つの対が提供される。結合デバイス80、114、および130は、血液との電気接続を確立し、血液回路35が提供された接点22および24の必要性を排除する。
【0191】
検出器モジュール225は、本明細書に記載のように、電極間のインピーダンスを測定することによって、針の除去を感知する。そうするために、検出器モジュール225は、血流に電流を注入する。電流注入は、侵襲的(例えば、電流源160から、電極222または224を通って接点22および24への直接血液接触)または非侵襲的(以下で論じられているように、接触がない)のいずれかで行われる。一実施形態においては、検出器モジュール225は、直接かつ侵襲的に、インピーダンスを誘導し、測定する。侵襲的測定は、使い捨て接点22および24が、血液回路35中の血流と物理的に接触して配置されることを必要とする。
【0192】
侵襲的測定の代案として、検出器モジュール225は、例えば、容量結合によって、または電流の磁気誘導を介して、インピーダンスを非侵襲的に測定するように構成することができる。容量電流結合を達成するために、検出器モジュール225は、血液回路35の上方に容量電極(図示せず)を配置する。次いで、検出器モジュール225は、外部電極に交流電圧を印加して、一方の電極から他方の電極へと移動するイオン電流を誘導する。誘導の実施形態では、検出器モジュール225は、血液管類を巻装する磁気コイル(図示せず)を含む。検出器モジュール225は、磁気コイルを使用してイオン電流を誘導する。コイルに印加される交流電流は、磁束を変化させ、血液中のイオン電流を誘導する。
【0193】
電流が血液に直接的に、容量的に、誘導的に導入されるかどうかにかかわらず、検出器モジュール225は、電気インピーダンスの変化を測定するように構成される電子機器を含む。一実施形態における検出器モジュール225は、使い捨てADS電極22および24(図1A)に接続する、小型で軽量の電池式デバイスである。検出器モジュール225は、血液中に誘導される電流に変換される、励起電圧源160(図3)を含む。接点22および24のうちの1つを通る帰電流(血液回路35のインピーダンスを示す)は、電圧に変換され、測定され、処理される。代替として、検出器モジュール225は、同様に血液回路35のインピーダンスを示す、接点22と24とにわたる電圧を測定する。
【0194】
図示されるように、検出器モジュール225は、電圧源160(モジュール25の電極222および224を通って接点22および24に電気的に接続される)、フィルタ164、整流器166、ピーク検出器168、アナログ・デジタル変換器(「ADC」)170、制御ユニット172(図3)、および保護装置モジュール230と連絡するように設定される無線エミッタ226のうちのいずれか1つ以上を含む。検出器モジュール225の電子機器は、一実施形態においては、印刷回路板(「PCB」)216上に提供され、トレース218を介して互いに電気的に接続される。
【0195】
制御ユニット172は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)等のメモリ、およびデジタル信号プロセッサ(「DSP」)等のプロセッサを含むことができる。RAMは、ソフトウェアを格納し、ADC170からのデジタル信号をバッファリングする。プロセッサは、ソフトウェアを使用して、バッファリングされた信号を処理する。アクセス切断時に、血液回路35のインピーダンスは、大幅に変化する。制御ユニット170のプロセッサは、この変化を感知し、エミッタ226を介して、保護装置モジュール230のレシーバ228に出力を送信する。エミッタ226およびレシーバ228は、一実施形態においては、無線周波数(「RF」)を介して動作するが、代替として、マイクロ波または他の好適な周波数を介して動作する。さらに代替として、検出器モジュール225は、保護装置モジュール230に配線接続される。
【0196】
保護装置モジュール230を、図14でさらに詳細に示す。保護装置モジュール230は、その対応するエミッタ226および検出器モジュール225からの特定の伝送のみを探すように設定される、無線レシーバ228を含む。このように、システム220を採用する複数の機械190を並べて設定することができる。一実施形態においては、レシーバ228によって受信された信号は、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)等のプロセッサ232が受け取るのに適した形となるように、レシーバ228によってデジタル化あるいは調節される。一実施形態のプロセッサ232は、レシーバ228からの信号を探すように設定され、そうすると、プロセッサ232は、以下でさらに詳細に記載されているように、クランプまたは閉塞器234および236に、動脈管類38aおよび静脈管類38cの一方または両方を完全または部分的に閉鎖させる。クランプまたは閉塞器234および236は、一実施形態においては、機械190の電源が切れているソレノイド弁である。プロセッサ232は、動作電力をソレノイド234および236にそれぞれ到達させるように指示されると閉鎖する、固体状態スイッチ238および240で動作する。
【0197】
アクセス切断信号を受信すると、保護装置モジュール230は、少なくとも静脈管類38cを締め付けるように構成され、一実施形態においては、静脈管類38cおよび動脈管類38aの両方を締め付けるように構成される。しかしながら、静脈管類38cおよび動脈管類38aの両方を締め付けることにより、静脈管類38c中で圧力の急上昇をさらに迅速に発生させる可能性があり、それは次に、静脈滴下チャンバ40に結合された圧力トランスデューサ214によってさらに迅速に感知される。圧力トランスデューサ214によって感知された圧力の急上昇は、一実施形態においては、圧力が静脈管類38cを損傷するほど増加することができる前に、例えば、機械190内の回路に、血液ポンプ46を閉鎖させる。この回路は、機械190内にすでに存在していることができるため、システム220に追加する必要はない。代替として、保護装置モジュール230は、必要な回路を含むことができる。
【0198】
代替実施形態では、圧力トランスデューサ214が提供されない場合、またはトランスデューサが単純に、制御のためよりもむしろ、圧力を読み取るためのものである場合、静脈管類38cおよび動脈管類38aの血液管路の両方が閉塞される。動脈血液管路38aは、さらなる血液が失われる(体外回路中にすでにあるもの以外)のを防止するように完全に閉塞される。静脈血液管路38cは、すでに体外回路中にある血液の喪失を減速する一方で、過剰圧力による血液管路38cの損傷を防止するように、部分的に閉塞される。
【0199】
検出器モジュール225および保護装置モジュール230は、比較的単純で安価なデバイスである。保護装置モジュール230を機械190の正面194に取り付けることが検討されるが、代替として、保護装置モジュール230を機械190の任意の部品に取り付けることができ、そこへ静脈管類38cおよび動脈管類38aが到達し、依然として患者アクセス36に到達することができる。保護装置モジュール230は、一実施形態においては、機械190から電力供給される。検出器モジュール225は、前述のように、電池式となり得る。そのためには、検出器モジュール225のバッテリ244は、一実施形態においては、再充電可能であり、保護装置モジュール230は、一実施形態においては、バッテリ244を再充電し、使用と使用との間に検出器モジュール225を格納するために、検出器モジュール225の再充電コネクタを受容するように、電気ソケットを含む。
【0200】
検出器モジュール225は、一実施形態においては、検出器モジュール225がそのバッテリ244を再充電または交換を必要とする時に患者または介護者に警告する、低電力警報242を含む。バッテリ244は、電圧源160と、電力を必要とする、フィルタ164、整流器166、ピーク検出器168、ADC170、制御ユニット172、警報242、および無線エミッタ226のうちのいずれか1つ以上に電力供給する。図示されていないが、警報242は、エミッタ226を介して連動し、検出器モジュール225のバッテリ244が再充電されるまで、保護装置モジュール230に血液管路38aおよび38cを締め付けさせ、血液ポンプ46を潜在的に止めることができる。そのためには、検出器モジュール225は、一実施形態においては、AC電力(図示せず)を受け取るように構成されるため、バッテリを即時に再充電または交換する必要なく、治療を再開することができる。
【0201】
検出器モジュール225および保護装置モジュール230のいずれか一方は、診断目的により、リアルタイムまたは後で、格納された情報をダウンロードするように、小型モニタおよび/またはデータポート(図示せず)を含むことができる。一実施形態においては、そのような装置は、検出器モジュール225上に提供されるため、検索されたデータは、保護装置モジュール230に送信されなくてもよい。代替として、例えば、電力またはスペースの理由で、モニタおよび/またはデータポートには、保護装置モジュール230が提供される。そのような場合、必要なソフトウェアおよび処理能力が、保護装置モジュール230に追加される。
【0202】
検索されるデータは、ピークインピーダンス(例えば、低血流速度)、低インピーダンス(例えば、高血流速度)、平均インピーダンス(例えば、平均血流速度)、インピーダンススパイクの周波数等のいずれか1つを含むことができる。例えば、血液回路35の血液ポンプの周期的閉塞は、有意な周波数を有するインピーダンススパイクを生じることが検討される。周波数が変化する場合、それは、血液ポンプの摩耗または不適正機能の徴候、あるいは、例えば、管路をねじることによって、患者がインピーダンススパイクを引き起こしているという信号となり得る。このデータ検索および分析は、本明細書に記載のシステムのいずれによっても行うことができる。
【0203】
検出器モジュール225および保護装置モジュール230の電子機器は、一実施形態においては、独立型であり、おそらく、前述のように保護装置モジュール230に電力供給する以外は、機械190の電子機器と連動する必要はない。しかしながら、例えば、新しい機械190とともに販売されてもよく、またはそうではなくてもよい、オプションとして、検出器モジュール225および保護装置モジュール230を新しく販売される機械190に組み込むことが、明白に検討される。
【0204】
(上部分岐インピーダンスの最大化、および患者接地の最小化)
未検出の失血を防止するように血液透析中に動脈または静脈針の除去を検出するために電気インピーダンス測定を使用する、上記のアクセス切断(「ADS」)システムは、患者「接地」によって達成されることが分かっている。患者接地は、直接的に、または他のデバイスを介してのいずれかで、アース接地への患者の接続によって引き起こされる。少なくとも部分的には、通常は患者の安全のためにアース接地に接続される透析装置が、以下に示されるように電極間の測定されたインピーダンスと並列な代替インピーダンス経路を提供するため、患者接地は、ADSシステムの検出感度を低減する。
【0205】
以下の図では、ADSシステムに対する患者接地の影響を最小化するための本開示の方法および装置は、図15に示されるように、アース接地242の並列経路に対するモデル250と組み合わせた、血液回路35中の血液に対する電気的集中モデルとして図示される。血液、透析液、または両方のいずれかを含有する管類のセクションは、低周波数において抵抗に近いと考えられるインピーダンスとしてモデル化される。血液回路35に対するインピーダンスは、次のとおりである。
【0206】
RUAは、動脈接点24から血液ポンプ46の出口までの、管類区分38a中の血液のインピーダンスである。
【0207】
RPUMPは、(各旋回中に変動する)蠕動ポンプのインピーダンスである。
【0208】
RPDは、血液ポンプ46を透析装置42に接続する管類区分38b中の血液のインピーダンスである。
【0209】
RUVは、透析装置42から静脈接点22までの管類38c中の血液のインピーダンスである。
【0210】
RDVは、静脈接点22から患者アクセス36までの静脈管類26中の血液のインピーダンスである。
【0211】
RDAは、患者アクセス36から動脈接点24までの動脈管類28中の血液のインピーダンスである。
【0212】
前述のように、動脈接点24および静脈接点22は、ADSシステムを体外血液回路の動脈および静脈枝にそれぞれ電気的に接続する、2つの使い捨て項目である。動脈接点24ノードおよび静脈接点22ノードにおける電気回路は、2つの分岐を、上部分岐244および切断分岐246といった、2つの分岐に並列して分け、各分岐244および246は、異なるセットの集中インピーダンスを含む。
【0213】
切断分岐246がインピーダンスRDAおよびRDVを直列で含む一方で、上部分岐244は、RUA、RPUMP、RPD、およびRUVの組み合わせを含む(患者アクセス36および透析装置42のインピーダンスが、他のインピーダンスと比較してわずかであると仮定して)。切断分岐246は、インピーダンスRDAおよびRDVを含み、(i)体外システムの異なる区分における管類の根本的に異なる長さ、および(ii)蠕動ポンプ46の管類閉塞により、RUA、RPUMP、RPD、およびRUVを有する上部分岐244よりも低い全体的インピーダンスを有する。
【0214】
図16は、電圧を既知の電流に変換するために電圧源160および高抵抗抵抗器248(例えば、1ミリオーム以上)を使用して血液回路35中の血液のインピーダンスを測定し、動脈接点24と静脈接点22との間に既知の電流を注入して、動脈接点24上の得られる電圧を監視する、本明細書に記載のシステムに対する1つの電気回路図を示す。図示された実施形態では、電流信号から直流(「DC」)成分を除去するように、コンデンサ252が配置される。図示されるように、制御装置172(上記に図示)は、動作増幅器254のセンス1において測定される、対応する電圧を測定することによって、インピーダンスを測定する。センス1における信号は、例えば、増幅器およびアナログ・デジタル変換器を介して調節される。
【0215】
オームの法則によれば、針の除去は、インピーダンスを増加させ、電圧源160によって印加される定電圧に対する電流信号を低減する。対応するインピーダンスが、ある閾値を上回って増加するように、電流信号が十分に変化する場合、対応する制御装置172が警報を起動させる。図16は、動脈および静脈針の両方が患者アクセス36に留置される、正常な動作を図示する。電流源160によって誘発される電流は、上部分岐244を通って流れる上部電流Iuと、切断分岐246を通って流れる下部経路電流Idとの間で分割される。図16のプロット256は、血液回路35のインピーダンスを示す出力された電圧信号センス1が警報閾値電圧を下回っていることを示す。
【0216】
図17は、患者アクセス36の動脈または静脈針の除去中である、図16に示されるのと同じADSシステムを図示する。ここで、切断分岐246のインピーダンスが増加し、切断分岐246を通って流れる電流Idをゼロにさせる。これは、プロット256に表されるようなセンス1の振幅を、閾値インピーダンスレベルを越えて増加させる。センス1の変化は、血液回路35の上部分岐244および切断分岐246のインピーダンスの関数である。上部分岐244のインピーダンスは、一定ではない。管類上の血液ポンプロータ46の回転は、回転する際に異なる程度の閉塞を及ぼすため、インピーダンスの変調を生じさせる。正常動作下での上部分岐244のインピーダンスを最大化することにより、上部分岐244の電流Iuを減少させ、切断分岐246の電流Idを最大化すると、センス1における増加した振幅の影響を拡大することを理解されたい。
【0217】
図16および17の電気システムは、図15に示され、記載されるように、(概して必要に応じて)透析装置42がアース接地242に接続される時の電気的状況を完全に記載するわけではない。図18は、透析装置42が並列接地経路250のアース接地242に接続される時の、図10の切断状態を図示する。ここで、示されるようなシステムは、アース接地242への患者の潜在的接続を含む。患者がアース接地242に接続される時には、図18の太線から分かるように、注入電流Idに対して別の帰経路が存在する。図18では、
RPGは、接地に対する患者の身体インピーダンスを表す。
【0218】
RDGIおよびRDG2は、透析液インピーダンスを表す。
【0219】
アース接地242からの励起電圧の電気的分離(例えば、分離変圧器を通して)にもかかわらず、患者接地の問題が存在する。患者接地の影響は、図18のプロット256で表されるように、除去によるインピーダンスの測定された変化を有意に低減することである。ここで、代替電流経路が作られて、アクセス切断時の切断電流Idが、アース接地242から、静脈接点22に接続されるシステム接地258へと流れることができるようにする。アクセス切断時に停止する代わりに、切断分岐246の電流Idは、流れ続ける。その結果、並列接地帰経路250のインピーダンスは、センス1で測定されるインピーダンスの変化を、閾値を上回って上昇しないような程度まで低減する。ここで、警報が鳴らされることも、血液ポンプ停止されること等も行われない。
【0220】
図19は、図18のシステムに対する血液測定に基づく抵抗モデルからの、接地に対する患者インピーダンスの関数として、除去による測定された電圧の変化のシミュレーションを示す。y軸は測定された電圧に比例する、均等目盛である(出力圧がアナログ・デジタル変換器を通して供給されるセンス1にて、時間あたりのカウント、例えば、無電圧に対応するゼロカウントおよび最大電圧に対応する256カウントに、電圧を計測する)。x軸は、アース接地に対する患者インピーダンス(RPG)の変化を示す、対数目盛である。データは、留置(菱形)および除去(四角)された針の状態に対する電圧を示す。2つのプロットを比較することによって分かるように、インピーダンス変化閾値(プロット256中)が40カウントに設定される場合、システムは、接地に対する患者インピーダンスが約100キロオーム未満の時には除去を検出しない。実践では、変動インピーダンスを通して患者を接地に接続することができるため、これは、検出閾値と比較して、測定されたインピーダンスの大きな変動を引き起こすことができる。したがって、患者接地の影響は、インピーダンスを使用する針の除去の効果的な検出のために、最小化されるべきである。
【0221】
(上部分岐インピーダンスの最大化)
図20は、正常動作下で上部分岐244のインピーダンスを最大化することにより、正常動作下で、上部分岐244の電流Iuを減少させ、切断分岐246の電流Idを最大化するための装置および方法を図示する。図20では、動作増幅器等の信号産出源260が、上部分岐244の一部分にわたって配置される。ここで、抵抗器248と組み合わせた電圧源160は、ノード262から動作増幅器260の中へ電流を誘導し、増幅器は、電流を1だけ増幅し、Gコンタクト262におけるノード262と同じ電位の電圧を出力する。このように、インピーダンスRCG1を有する管類区分の対向端において、同じ電位がノード262およびGコンタクト262に存在し、それは、開回路をシミュレートし、図20から分かるように、上部分岐244の電流Iuを効果的にゼロに駆動し、強制的に電流を下部経路246に通し、それはセンス1における信号を増強する。
【0222】
(接地電流低減回路)
図20はまた、上部分岐244のインピーダンスを最大化するための前述の同じアプローチを使用して、患者接地の影響を最小化するための装置および方法を図示する。再び、方法は、管類の区分にわたる等しい電位の2つの接点266および268を動的に作成するために電子フィードバックを使用して達成される、仮想の開回路を作成することによって、電流の流れに反作用する原理に基づき、ここで、透析液経路264は、透析装置42につながるか、またはそこから通じる。血液側の接点22および24に対照的に、接点266および268は、再利用可能であり、使い捨ての費用を増大させないことを理解されたい。
【0223】
動作増幅器等の信号産出源270は、透析液経路264の一部分にわたって配置される。接点266における電圧電位は、動作増幅器270に供給され、増幅器は、信号を1だけ増幅し、第2の接点268において接点266と同じ電位の電圧を出力する。並列接地経路250で動作する電子機器は、分離システム接地258に対してアース接地242上の電位を監視し、RDG1とRDG2との間の接点268において、同じ電位を生成する。このように、インピーダンスRDG1を有する透析液経路264の管類区分の対向端において、同じ電位が存在し、それは、開回路をシミュレートし、図20から分かるように、接地電流Igを効果的にゼロに駆動する。
【0224】
図20のADSシステムの実験室実施で得られた実験結果を図21にプロット表示する。図21は、図19と同じ種類のシミュレーションを示す。ここで、図20のシステムについて、接地に対する患者インピーダンスの関数としての、除去による測定された電圧を図示する。y軸は測定された電圧に比例する、均等目盛である(出力圧がアナログ・デジタル変換器を通して供給されるセンス1において、前述のような時間あたりのカウントに電圧を計測する)。再び、x軸はアース接地に対する患者インピーダンス(RPG)の変化を示す、対数目盛である。データは、留置(菱形)および除去(四角)された針の状態に対する電圧を示す。
【0225】
2つのプロットを比較することによって分かるように、接地電流低減回路の影響は、このグラフを図19のグラフと比較すると、非常に顕著である。確かに、上部経路244の電流Iuをゼロに駆動するために使用される回路260がなくても、接地電流Ig単独をゼロに駆動するために使用される回路270が、正確かつ反復可能なADSシステムを提供するために十分であると考えられる。
【0226】
(患者接地に対処するための測定電極の移動)
図18のADSシステムの数学的解析は、患者が除去された時の測定されたインピーダンスと、患者が留置された時に測定されたインピーダンスとの間の比率を示し、透析装置42と静脈接点22との間のインピーダンスであるRUVと、静脈アクセス接点22と患者アクセス36との間のインピーダンスであるRDVとの間の比率に、特に敏感である。RUVのRDVに対する比率が増加するにつれて、インピーダンスの除去測定値と留置測定値との間の差も増加する。したがって、図18のADSシステムは、インピーダンスRDVに対してインピーダンスRUVを増加させることによって、患者接地の影響をさらに受けないようにすることができる。
【0227】
数学的解析はまた、患者アクセス36と動脈接点24との間のインピーダンスである、インピーダンスRDAのより低い値も示し、また、除去測定値と留置測定値との間の差を増加させる。インピーダンスRDAおよびインピーダンスRDVを低減させる一方で、インピーダンスRUVを同時に増加させることが望ましい。静脈接点22および動脈接点24を可能な限り患者の近くに配置することにより、インピーダンスRDAおよびRDVを低減する一方で、インピーダンスRUVを増加させる。
【0228】
静脈接点22および動脈接点24を患者のより近くに移動させることの影響を、図22に示す。y軸は、デジタル化された測定電圧(インピーダンスに依存し、図19および21と同じ)であり、横座標は、患者アクセス36における患者の瘻設定コネクタからの静脈接点22および動脈接点24の距離である。低導電率血液(菱形)および高導電率血液(四角)の両方について、所与の入力信号および血液回路35に対するインピーダンスは、静脈接点22および動脈接点24が患者のより近くに移動させられると、センス1においてさらに高くなる。
【0229】
静脈接点22および動脈接点24を患者のより近くに移動させるステップは、単独で、または、患者接地の影響を低減し、センス1において測定されるインピーダンスを増加させるための他の方法のうちの1つ以上と組み合わせて、使用されてもよい。
【0230】
(患者接地に対処する二重感知回路)
ここで図23を参照して、患者接地の影響に対処するための別の装置および方法は、患者とアース接地242との間の接続が、強制的に励起電流Igの一部分を接地帰経路に流し、検出閾値を下回るレベルにセンス1上の信号Idを低減させるという事実に依存する。図23のシステムでは、第2の感知回路274は、接点266および268において、透析液経路264に配置される。感知回路254と同様に、制御装置172(上記に図示)は、動作増幅器274のセンス2において測定される、対応する電圧を測定することによって、接地インピーダンスを測定する。センス2における信号は、例えば、増幅器およびアナログ・デジタル変換器を介して調節される。
【0231】
並列接地経路264中の励起電流Igを監視することは、患者が接地されているか否かを示すだけでなく、患者が接地されている時に患者アクセス36からの除去の検出を強化するためにも使用される。そのような場合、接地帰経路264を流れる電流Igは、除去時に大幅に増加する。
【0232】
したがって、図23のADSシステムは、信号センス1およびセンス2の両方を使用する。センス1およびセンス2の組み合わせは、患者とアース接地242との間のインピーダンスの範囲全体を網羅する。つまり、患者がアース接地242から分離されると、センス1は除去を検出するのに十分である。アース接地242に対する患者のインピーダンスが非常に低い、例えば、患者がアース接地のところにいる時は、制御装置172が、監視源としてセンス2を使用させられる。アース接地への患者接続の中間段階において、確実な除去の検出のために、両方の信号の組み合わせが使用される。
【0233】
一実施形態においては、制御装置172は、(i)センス1のみ、(ii)センス2のみ、および(iii)センス1とセンス2、といった、3つの信号シナリオのうちの1つを選択し、(i)センス1が警報を起動させるほど高い時を判定する、(ii)センス2が警報を起動させるほど高い時を判定する、および(iii)警報を起動させるために、センス1またはセンス2の両方が使用されなければならない時を選定するように構成される。
【0234】
代替として、制御装置172は、第3のシナリオのセンス1およびセンス2を常に使用するように構成される。ここで、制御装置172はまた、センス2に関心を向けて、患者が接地されているか否かを示す。
【0235】
図23のシステムの抵抗性の高導電率血液モデルの実験室実施で得られた実験結果を、図24にプロット表示する。低導電率血液に対する同等なグラフを、図25にプロット表示する。ウシ血液で行った実験室測定を、高導電率血液については図26、低導電率血液については図27にプロット表示する。それぞれの場合において、センス2を使用することは、地上で少なくとも最大で約3000〜5000キロオームのインピーダンスのアクセス切断を検出する効果的な方法であると思われる。
【0236】
(ADSデバイスにおける使い捨て接点を排除するための透析液経路の使用)
図28を参照して、透析液感知システムが図示され、透析装置42は、体外回路中の血液から、経路264中の透析液を通ってアース接地242までの電気経路を提供する。顕著なことに、血液回路35は、接点22および24を含まない。接点は、代わりに、以下でさらに詳細に示されるように、透析液経路264の中に提供される。これは、接点がシステムの使い捨て部分の一部ではなく、費用を節約するため、有利である。
【0237】
患者からアース接地または信号の分離接地258のいずれかまでの帰経路が提供される限り、透析液に注入される信号は、体外回路および患者の身体中の血液を通って循環する。一実施形態においては、アース接地242または分離接地258への帰経路は、血液治療、例えば、血液透析治療中に、患者の腕(図33)に取着される血圧モニタのカフに固定された接地ストラップ280によって促進される。
【0238】
図28の透析液感知システムでは、提案される方法は、並列アース接地経路250のモデルと併せて、血液回路35中の血液に対する電気的集中モデルによって図示される。図28では、Sコンタクト282、GRコンタクト284、およびIGコンタクト286は、透析液感知システムを、例えば、血液透析器具の内部の透析液経路264に接続する、3つの非使い捨て接点である。これらの接点は以下を分ける。
【0239】
RDG1(IGコンタクト286とアース接地242との間)、アース接地242と透析装置42との間のインピーダンスの第1の区分。
【0240】
RDG2(GRコンタクト284とIGコンタクト286との間)、アース接地242と透析装置42との間のインピーダンスの第2の区分。
【0241】
RDG3(Sコンタクト282とGRコンタクト284との間)、アース接地242と透析装置42との間のインピーダンスの第3の区分。
【0242】
RDG4(透析装置42とSコンタクト282との間)、アース接地242と透析装置42との間のインピーダンスの第4の区分。
【0243】
図28では、動作増幅器等の信号産出源290が、透析液経路264のRDG3部分にわたって配置される。ここで、抵抗器248と組み合わせた電圧源160は、動作増幅器290の中へ電流を誘導し、増幅器は、電流を1だけ増幅し、Sコンタクト282において出力する電位と同じ電位である、GRコンタクト284における電位を出力する。このように、インピーダンスRDG3を有する管類区分の対向端において、同じ電位がSコンタクト282およびGRコンタクト284に存在し、それは、開回路をシミュレートし、図28から分かるように、接地電流Igを効果的にゼロに駆動する。GRコンタクト284において注入される保護信号は、電流がRDG3を通って循環するのを防止する。
【0244】
電圧源160および抵抗器248はまた、Sコンタクト282において電流を注入し、開回路が強制的にRDG4を通り、次いで、電気的に並列である、第1の分岐294の電流I1および第2の分岐296の電流I2に分岐する。第1の分岐294がインピーダンスRDVと直列なインピーダンスRUVを含む一方で、第2の分岐296は、直列インピーダンスRPD、RPUMP、RUA、およびRDAを含む。第1の分岐294(RUVおよびRDV)は、体外システムの異なる区分における管類の根本的に異なる長さ、および蠕動ポンプ46の管類閉塞により、第2の分岐296(RPD、RPUMP、RUA、およびRDA)よりもはるかに低い全体的インピーダンスを有する。したがって、分岐294を通る電流I1は、分岐296を通る電流I2よりもはるかに大きい。電流は、患者アクセス36を通ってアース接地242の中へ、そして最終的に、RDG1を通って、アース接地242および分離帰経路292への患者の接続288を通して分離接地258に接続されるIGコンタクト286へと循環する。代替実施形態では、患者接地経路288は、分離接地258に直接接続される。
【0245】
図28の透析液感知システムは、前述のような動作増幅器254を使用して、センスにおけるインピーダンスを測定する。センスにおける信号は、例えば、増幅器およびアナログ・デジタル変換器を介して調節される。透析液感知システムは、Sコンタクト282上の得られる電圧を監視することによって、Sコンタクト282とIGコンタクト286との間のインピーダンスを測定する。静脈針の除去は、センスにおいて測定される測定インピーダンスを増加させる。透析液感知システムは、インピーダンス変化が閾値レベルを越えた場合に警報を起動させる。
【0246】
図28では、透析液感知システムは、患者アクセス36において留置された両方の針による正常動作で表されている。プロット256から分かるように、センスにおける測定インピーダンスは通常、閾値量を下回る。
【0247】
図29では、透析液感知システムは、針の除去、例えば、患者アクセス36における静脈針の除去中で示されている。ここで、電流I1は、経路294を通ってゼロになり、全ての電流I2は、強制的に高インピーダンス経路296を通される。センスの増加した振幅の影響は、プロット256において表されている。インピーダンスの変化は、血液回路35の高インピーダンス(RPD、RPUMP、RUA、およびRDA)分岐294のみが接続されるという事実によるものである。動脈経路の除去(ポンプ前)による損傷は本質的に軽減されるため、静脈針(帰経路)の除去を感知することがより重要である。
【0248】
図30は、低ヘマトクリット値を持つ患者のモデルでの感知電圧信号のシミュレーションを示す。y軸は、電圧を示す。x軸は、時間を示す。ゼロと50ミリ秒との間の区間が、両方の針が患者アクセス36において留置された感知信号である一方で、50と100ミリ秒との間の区間は、静脈の除去中の信号である。センスにおける電圧出力は、針の除去時に2倍以上である。これらの結果は、高ヘマトクリット値を持つ患者に対しても同様である。
【0249】
図31および32は、それぞれ、低および高ヘマトクリットのウシ血液について、経時的にカウントにデジタル化されたセンス信号を示す(より少ないカウントがより低いインピーダンスに対応し、より多くのカウントがより高いインピーダンスに対応する)。図31および32はそれぞれ、留置、除去、および再留置の順序を含む。センスにおけるインピーダンスは、両方の場合において測定可能に増加する。患者アクセス36が再留置されると、センスにおけるインピーダンスは、初期レベルに戻り、システムが反復可能であることを示す。
【0250】
図33は、透析液感知システムと関連するハードウェアを示す。透析液経路264は、逆電流の流れを産出するように、透析装置への経路264aおよび透析装置からの経路264bに分割される。Sコンタクト282、GRコンタクト284、およびIGコンタクト286は、透析装置への経路264aおよび透析装置からの経路264bの両方で透析液と電気的に連絡している。回路160、248、252、254、および280は、前述のように示される。血液ポンプ46は、患者アクセス36から、動脈管路28、動脈滴下チャンバ44、透析装置42、静脈滴下チャンバ40、静脈管路26を通って、再び患者アクセス36へと、血液を圧送する。
【0251】
図33では、透析液感知システムは、2つの構成で示される。両方の構成は、例えば患者の腕に取着された、血圧カフに固定された接地ストラップ280を介して、帰経路288を患者に接続する。1つの実施では、帰経路288は、分離接地242に向かわされる。第2の実施では、帰経路288は、接地242に向かわされる。両方の接地実施が、効果的で反復可能なインピーダンス測定アクセス切断システムを提供すると考えられる。再度、図21−26の透析液感知システムは、使い捨て金属接点を含まないために有利である。
【0252】
本明細書に記載の現在好ましい実施形態に対する種々の変更および修正が、当業者にとって明白となることを理解されたい。そのような変更および修正は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、かつその意図された利点を損なうことなく、行うことができる。したがって、そのような変更および修正は、添付の請求項によって網羅されることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【図1A】
【図1B】
【図3】
【図6】
【図9】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図3】
【図6】
【図9】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−66756(P2013−66756A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−272276(P2012−272276)
【出願日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【分割の表示】特願2009−549652(P2009−549652)の分割
【原出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−272276(P2012−272276)
【出願日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【分割の表示】特願2009−549652(P2009−549652)の分割
【原出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
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