説明

アクチノマデュラ属に属する新規微生物、その微生物が産生する新規化合物、及びその化合物を有効成分とする医薬

【課題】 抗菌性を有する化合物を提供することを目的とする。
【解決手段】 下記式(I)中の化学式で表される新規化合物を産生する新規微生物、及び前記化合物を有効成分とする、抗菌剤及び/又は抗真菌剤を提供する。
【式1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規微生物、その微生物が産生する新規化合物、及びその化合物を有効成分とする抗菌剤及び/又は抗真菌剤に関する。より詳細には、アクチノマデュラ(Actinomadura)属に属する新規微生物、その微生物が産生する新規化合物、及びその化合物を有効成分とする医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌感染症は古くから医療と公衆衛生の重要課題とされてきた。これら細菌感染症の多くは感染原や感染経路に対する衛生対策、及び有効な抗菌薬の普及によりその流行を抑えることができるようになった。
従来、細菌感染症の治療には病原微生物(グラム陽性菌の球菌や桿菌、グラム陰性菌の球菌や桿菌)に作用する薬物が使用されてきた。例えば抗菌に用いられる薬剤としては、古くからサルファ剤などの化学合成剤が作られてきたほか、ペニシリン、ストレプトマイシンなどの微生物由来の抗生物質が利用されてきた。
また、こうした抗菌薬の一部である、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、ドキソルビシンその他の細胞毒抗生物質は抗癌剤としても応用され、医療の発展に寄与している。
あるいは、有機化学的手法によりリード化合物を原点として化学修飾を行っていくことで、効果が高く、副作用の少ない薬剤を開発できるようになってきた。また細胞生物学的手法により薬剤の細胞内での作用機序は分子レベルで解析されるようになり、抗菌力や安全性を向上させることを目的とした研究開発が図られてきた。
【0003】
このような現代の抗菌薬開発において原点となる化合物としては、微生物由来の抗生物質が非常に有用である。
また、カンジダなどの真菌類は主として皮膚炎や粘膜症の原因菌となる。これらは皮膚常在菌であり、また真菌類は真核生物であって原核生物の細菌とは細胞構造が異なることなどを理由として、細菌用の抗菌薬とは異なる独自の抗真菌薬が必要とされている。真菌類の感染症に対してはポリエン系抗生物質類のアムホテリシンBやナイスタチンなどが使われてきた。
また、抗菌薬は医療だけではなく、農林水産業においても広く利用されており、例えば、農作物、家畜、養殖魚等の病害予防に使われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の通り公衆衛生の進歩と効果的な抗菌剤の普及により、細菌感染症の多くは制御されるようになった。しかし、それらをもってしても、結核、百日咳、コレラ、サルモネラ、カンピロバクターなど、なお容易には制圧できない感染症(細菌)が存在している上、腸管出血性大腸菌(O-157)、新型コレラ(O-139)、レジオネラといった新興感染症菌や、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)といった薬剤耐性細菌などが新たな脅威として感染の拡大を続けている。
【0005】
一方で、医療の高度化が思わぬ細菌感染症を惹起することがある。例えば、抗癌剤、ステロイド剤、免疫抑制剤等を服用する患者では、免疫力が低下していることから易感染性宿主となりやすく、感染者の増大と感染の拡大とを招くことが多い。上述のような薬剤耐性細菌などの出現も医療の高度化に伴って発生した課題である。
また、真菌類による感染症も上記のような、薬剤耐性や易感染性宿主の出現といった問題をはらんでいる。
以上から、今までの抗生物質とは異なる分子メカニズムにより、抗菌剤としての力を発揮しつつ、発がん性などの副作用がない新規の化合物が求められている。また、抗真菌剤、農薬、動物用医薬製剤においても同様の新規化合物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、以上のような状況の下で、上記のような活性を示す新規化合物を産生するActinomadura属に属する新規微生物を見出し、本願発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、特許生物寄託センターに受託番号: NITE P-768として寄託されたアクチノマデュラ(Actinomadura)属に属する新規微生物である。
また、本発明は、前記の微生物が産生し、抗菌活性を有する、下記式(I)で表される新規化合物である。
【0007】
【化1】

【0008】
ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケン基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアシル基、及びヒドロキシル基からなる群から選ばれるいずれかの官能基を表す。
ここで、前記式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、及びヒドロキシル基からなる群から選ばれるいずれかの官能基であることが好ましい。
また、前記式(I)で表される化合物は、下記式(II)で表される化合物であることが好ましい。
【0009】
【化2】

【0010】
本発明はまた、前記式(I)または前記式(II)で表される化合物、それらの誘導体、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする抗菌剤である。ここで、前記式(I)中、R〜Rは、上述した通りである。
前記抗菌剤は、グラム陽性菌に対して抗菌活性を示すものであり、前記グラム陽性菌は、ミクロコッカス属グラム陽性菌であり、前記ミクロコッカス属グラム陽性菌は、グラム陽性菌ミクロコッカス ルテウス(Micrococcus luteus)である。
また、本発明は、上記の微生物が産生し、抗真菌活性を有する、下記式(I)で表される新規化合物である。
【0011】
【化3】

【0012】
ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケン基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアシル基、及びヒドロキシル基からなる群から選ばれるいずれかの官能基を表す。
ここで、前記式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、及びヒドロキシル基からなる群から選ばれるいずれかの官能基であることが好ましい。
また、前記式(I)で表される化合物は、下記式(II)で表される化合物であることが好ましい。
【0013】
【化4】

【0014】
本発明はまた、前記式(I)または前記式(II)で表される化合物、それらの誘導体、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする抗真菌剤である。ここで、前記式(I)中、R〜Rは、上述した通りである。
前記抗真菌剤は、カンジダ属(Candidas)及びクリベロマイセス属(Kluyveromyces)からなる群から選ばれるいずれかの属に属する真菌に対して抗真菌活性を示すものであり、前記真菌は、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)及びクリベロマイセス フラジリス(Kluyveromyces fragilis)からなる群から選ばれるいずれかの真菌である。
【発明の効果】
【0015】
本発明において、上述したアクチノマデュラ(Actinomadura)属に属する新規微生物は、上記式(I)又は(II)で表される新規化合物を産生する。そして、上記新規化合物は抗菌活性及び/又は抗真菌活性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、アクチノマデュラ属に属する新規微生物、TP-A0878の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、本発明の新規化合物の平面構造を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る化合物TPU-0119のHMBC及びCOSYに基づく構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るアクチノマデュラ属に属する新規微生物(TP-A0878)は、以下のようにして単離する。
まず、生ゴミ処理物を滅菌シャーレ上で風乾後、乳鉢で細かく粉砕し、所定の培地に懸濁させる。ついで、室温にて静置し、順次10倍希釈を行って試料を調製する。生ゴミ処理物としては、例えば、事業所系の生ゴミ、動物残渣・牛糞・魚腸骨、家庭からの生ゴミ、野菜残渣・魚残渣その他の各種生ゴミ由来の堆肥を使用することができる。
所定の培地としては、例えば、YS培地等を使用することができ、これらの培地を用いて、上記の懸濁液の10倍希釈を行う。
【0018】
次いで、平板培地上にこれらの試料を塗布し、恒温機中で培養し、平板上に出現したコロニーを採取することにより、菌を分離することができる。平板培地としては、例えば、Bn2培地、HMG培地等を使用することができる。恒温器での培養は、約30℃〜64℃の間の所望の温度で行うことができる。
上記のようにして得られたアクチノマデュラ属に属する新規微生物は、走査型電子顕微鏡を用いた形態学的観察を行う。本発明の新規微生物は、気菌糸はループを形成し胞子は図1に示すように表面がイボ状の球形胞子が10〜15個連鎖している。
また、寒天培地における生育状態の観察には、種々のISP培地を使用することができる。例えば、ISP培地No.2(イースト・麦芽寒天培地)、ISP培地No.3(オートミール寒天培地)、ISP培地No.4(スターチ・無機塩寒天培地)、及びISP培地No.5(グリセリン・アスパラギン寒天培地)等を使用し、培養温度を例えば、32℃として、これらの寒天培地上における増殖の状況、気中菌糸及び基底菌糸の色、及び色素の産生等を観察することができる。これによって、菌の形態学的な性質を明らかにすることができる。
【0019】
また、ベネット寒天培地上における生育温度の範囲や、最適な生育温度、メラニン様色素の生成等を調べることによって、菌の生理学的性質を明らかにすることができる。
さらに、どのような炭素原を利用することができるかの確認、菌体分析、及び16S rRNAの塩基配列を対照となる菌のそれと比較することによって、分類学的性質をより明らかにすることができる。
以上の性質より、単離された菌株の同定をすることができる。
菌の単離及び二次代謝産物(以下、単に「化合物」ということがある。)の精製は、以下のようにして行うことができる。
まず、上記のような手段を用いて特徴付けられる菌を、種母培地に接種して、例えば、約15〜40℃の温度範囲で3〜5日間、振とう培養によって前培養を行う。次いで、前培養が終了した種母培地を所定量とり、本培養用の培地に接種し、例えば、数日間、上記の温度で振とう培養を行う。
【0020】
こうした種母培地としては、V-22液体培地等を挙げることができる。振盪培養は、例えば、150〜250rpmで、室温にて3〜5日間という条件で行うことができる。
種母培地を用いた前培養後、本培養を行うにあたっては、例えば、A−3M液体培地を用いて、150〜250rpmで、室温にて4〜8日間という条件で行うことができる。培養条件を、約200rpmで6日間として振とう培養を行うことが、本発明の微生物の生育の面から好ましい。
培養終了後、一般的には、培養液に所定量の有機溶媒を加えて、所望の時間、抽出を行い、次いで遠心して有機相と水相とに分ける。その後、得られた有機相を減圧濃縮する。
まず、上記のように培養が終了した培養液に、例えば、等量の有機溶媒を加え、0.5〜2時間、振盪を行い、その後、遠心して水相と有機相とに分離する。次いで、有機相を、例えば、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮することにより、抽出物が得られる。
【0021】
本発明の菌の場合には、水相と併せずに精製を行うため、水との相溶性の低い溶媒を使用することが可能であり、n−ブタノール、酢酸エチル、塩化メチレン等を使用することができ、所望の回数、抽出を行うことができる。
n−ブタノール等を使用することが、粗抽出の抽出効率が高いことから好ましく、複数回の抽出を行うこともできる。
以上のようにして粗抽出物を得た後は、カラムワークによって二次代謝産物の単離・精製を行う。得られた粗抽出物の量がある程度以上ある場合には、通常は、逆相系及び/又は順相系のシリカゲルクロマトグラフィーによる分画を行う。
【0022】
こうしたクロマトグラフィーに使用する溶離液としては、例えば、逆相系のカラムクロマトグラフィーの場合には、クロロホルム−メタノール、塩化メチレン−メタノール、アセトニトリル−リン酸二水素カリウムバッファー、アセトニトリル−ギ酸水溶液等を挙げることができ、順相系のカラムクロマトグラフィーの場合には、ヘキサン−酢酸エチル等を挙げることができる。
目的化合物は、粗抽出物をアプライしたカラムから一定の組成の溶離液を用いて溶出させることもでき、溶離液の極性を変化させながら溶出させることもできる。溶離液の極性を変化させながら溶出させる場合には、所定の割合で上記有機溶媒を含有する溶離液を数種類用意して行う、ステップグラジエント法によってもよく、連続的な濃度勾配となるように調製するグラジエント法によってもよい。また、精製の工程に応じて、適宜これらを組み合わせて使用することもできる。
本発明の新規化合物は、まず、上記のシリカゲルカラムクロマトグラフィーを、逆相系の溶離液、例えば、クロロホルム:メタノール(100:0〜0:100)等を用いたグラジエント溶出により、分画することが抽出効率の点から好ましい。
【0023】
分画によって得られた画分のうち、どこに目的化合物が含まれているかについては、各画分から少量の試料を抜き取り、高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)にかけて確認を行う。こうした確認のためには、例えば、ヒューレットパッカード社製、島津製作所製、その他のHPLC装置と、ODSカラム、逆相系の溶離液を用いる場合には、アセトニトリル−水、アセトニトリル−リン酸二水素カリウムバッファー等(pH3〜5)等を使用して、検出波長を210〜300nmとして行うことができる。
ここで使用する、確認用のHPLC用カラムとしては、例えば、COSMOSIL 5C18-AR-II4.6×250mm(nacalai tesque 社製)、cadenza CD-C18 75 ×4.6mm(Imtakt社製)、MICROSORB-MV 100×4.6mm(RAININ INSTRUMENT COMPANY. INC製)等を挙げることができ、MICROSORB-MV 100×4.6mmを使用することが、操作の効率化の点から好ましい。
【0024】
また、上記HPLC用の溶離液としては、例えば、アセトニトリル−水、アセトニトリル−0.15%KH2PO4水溶液(pH3.5)等を使用することができる。また、グラジエント法による場合には、例えば、アセトニトリル−0.15%KH2PO4水溶液(pH3.5)=15−85〜85−15とし、検出波長を245〜280nmとすることが、目的物質を容易に検出できることから好ましい。
目的化合物を含有する画分を確認した後に、このような画分を集めて減圧濃縮を行い、さらに、カラムクロマトグラフィーに供して、所定の溶離液で分画する。この段階においても、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用することができる。
目的とする化合物性質に応じて、順相系又は逆相系の溶離液を選択する。本発明の化合物を単離・精製する場合には、逆相系の溶離液を使用することが好ましく、こうした溶離液としては、例えば、クロロホルム−メタノール、アセトニトリル−リン酸二水素カリウムバッファー、アセトニトリル−ギ酸水溶液、塩化メチレン−メタノール等を挙げることができる。
本発明の化合物を得るためには、逆相系のシリカゲルカラムクロマトグラフィーを3回行うことが、効率的に精製する上で好ましい。
【0025】
最初の段階のシリカゲルクロマトグラフィーにおいて、必要に応じてグラジエント溶出を行うことができ、また、ステップグラジエント溶出を行ってもよい。
例えば、クロロホルム:メタノールを溶離液として用いたステップグラジエントを行うことにより、本発明の化合物を含有する画分を効率よく得ることができる。
目的とする化合物が含まれている画分を上記と同様にして確認し、集めて減圧濃縮を行い、粗精製物を得ることができる。得られた粗精製物の量が多い場合には、その一部を分取クロマトグラフィーに供する。
こうした分取クロマトグラフィーとして、シリカゲルクロマトグラフィー、ODSカラムクロマトグラフィー等を挙げることができ、溶離液は上述したように、目的とする化合物の性質に応じて適宜選択すればよい。
【0026】
ここで使用する分取カラムクロマトグラフィーとしては、上述したようにシリカゲルクロマトグラフィー以外にも、例えば、ODSシリカゲルカラム(ナカライテスク社製)や中性シリカゲルカラム(関東化学社製)を使用することができ、これらを使用することが分取効率の面から好ましい。
次の段階として行う、本発明の化合物の単離・精製にも、前述のように逆相系の溶離液を用いることが、精製効率の理由から好ましく、アセトニトリル:0.15% KH2PO4水溶液 pH 3.5=70:30を用いることにより、効率よく目的とする化合物を含有する画分を分取することが可能となる。
目的とする化合物が含まれている画分を上記と同様にして確認し、集めて減圧濃縮を行い、酢酸エチルを用いた抽出を行うことで中間精製物を得ることができる。
【0027】
さらに次の段階として行う、本発明の化合物の単離・精製にも、前述のように逆相系の溶離液を用いることが、精製効率の理由から好ましく、アセトニトリル:0.05%ギ酸水溶液を用いることにより、純度よく目的とする化合物を含有する画分を分取することが可能となる。
目的とする化合物が含まれている画分を上記と同様にして確認し、必要に応じて、例えば、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮し、酢酸エチルを用いた抽出を行い、その後、無水硫酸ナトリウムによる有機層の脱水のような操作を行うことによって、目的の化合物を結晶として得ることができる。
以上のようにして、本発明の新規化合物を得ることができる。これらの化合物を公知の方法に従って処理し、所望の誘導体、塩、水和物等を得ることができる。
また、本発明は、上述した方法で得られた下記式(I)又は(II)で表される化合物、それらの誘導体、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする抗菌剤及び/又は抗真菌剤である。
【0028】
【化5】

【0029】
ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケン基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び炭素数1〜6のアシル基、及びヒドロキシル基からなる群から選ばれるいずれかの官能基を表す。
ここで、上記式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、及びヒドロキシル基からなる群から選ばれるいずれかの官能基であることが好ましい。
生理学的に許容されるそれらの塩としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩等を挙げることができる。また、それらの水和物としては、一水塩、二水塩等を挙げることができる。
また、本発明の抗菌剤及び/又は抗真菌剤は、下記式(II)で表される新規化合物を含有するものであることが、さらに好ましい。
【0030】
【化6】

【0031】
ここで、上記の抗菌剤及び/又は抗真菌剤中における前記有効成分の含量は、製剤の1用量当たり0.1〜1,000mgであることが好ましい。
また、上記抗菌剤及び/又は抗真菌剤は、経口投与、静脈内投与、又は腹腔内投与が可能な剤形であることが好ましく、錠剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、トローチ剤、及び液剤からなる群から選ばれるものであることが好ましい。静脈内投与の場合には、静脈内注射、点滴静注用の製剤とすることが好ましい。
上記の化合物を有効成分する抗菌剤及び/又は抗真菌剤は、上記以外の粉剤その他の固形剤としてもよく、注射剤用の凍結乾燥製剤、リポソーム剤等、各種の剤形とすることもできる。
上述したように製造したこれらの化合物、それらの誘導体、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物を用いて製剤を製造する場合には、常法に従って、粉末とした後に散剤としてもよく、公知の賦形剤、崩壊剤等とともに打錠し、錠剤、トローチ剤等にしてもよい。錠剤の場合には、必要に応じて白糖その他の糖等を用いて、単層又は複数の層でコーティングを行い、糖衣錠としてもよい。また、矯味・矯臭剤を添加してもよい。
【0032】
また、これらを適当な溶媒に溶解し、常法に従って乾燥させ、顆粒剤としてもよい。さらに、上記のような粉剤、顆粒剤を所定の大きさの軟カプセル又は硬カプセルに充填し、カプセル剤とすることもできる。
液剤とする場合には、必要に応じて、pH調整剤、分散剤等を添加することもできる。リポソーム剤とする場合には、適当なリン脂質を選択し、溶液中でこれらとともに懸濁することによって、製造することができる。
【実施例】
【0033】
(実施例1)菌の探索と分離・同定
(1−1)試薬等
以下の試薬を使用した。
塩化カルシウム、炭酸カルシウム、ブドウ糖、グリセロール、硫酸マグネシウム7水和物(MgSO4・7H2O)、硫酸鉄7水和物(FeSO4・7H2O)、塩化マンガン4水和物(MnCl2・4H2O)、硫酸ニッケル4水和物(NiSO4・4H2O)、硫酸亜鉛4水和物(ZnSO4・4H2O)、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、NZケース(NZ Case)、溶性でんぷん(Soluble Starch)、メタノール、アセトニトリル、リン酸水素2カリウム(K2HPO4)、リン酸水素2ナトリウム12水和物(Na2HPO4・12H2O)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ゲランガム(Gellan gum)、Cell Counting Kit及び寒天は、和光純薬工業(株)より購入した。
肉エキスはDifco Laboratoriesより、酵母エキスは極東製薬工業(株)よりそれぞれ購入した。ファーマメディア(Pharmamedia)はTraders Protein社より購入した。ダイヤイオン(Diaion HP-20)は、三菱化学(株)より購入した。
NMR用クロロホルムは関東化学(株)より購入した。
【0034】
(1−2)放線菌の探索
探索源として、下記表1に示す堆肥を使用した。これらの堆肥を滅菌シャーレ上で風乾し、乾燥後の堆肥を乳鉢で細かく粉砕した。
【0035】
【表1】

【0036】
粉砕した堆肥1gを、10mLのYS培地に懸濁し、ボルテックスミキサーで1分間攪拌した後に、室温にて30分間静置した。YS培地の組成を下記表2に示す。
【0037】
【表2】

【0038】
静置30分後、この懸濁液をYS培地で、順次10倍に段階希釈した。適当な濃度に調整した懸濁液0.1mLをBn2平板培地又はHMG平板培地2枚に、コンラージ棒にて塗布し、各平板培地を表1に示す温度に設定した恒温器(恒温器:ADVANTEC INCUBATOR CI-612)に入れ、2〜4週間培養し、出現したコロニーから釣菌し、菌を単離した。上記の試料から、約60株が得られた。
下記の表3及び4に、Bn2培地及びHMG培地の組成を示す。
【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

*1:詳細は、次表に示す。
【0041】
ここで、上記HMG培地で使用した金属溶液の組成及びフミン酸溶液の組成を下記表5及び6に示す。
【0042】
【表5】

【0043】
【表6】

【0044】
(1−3)菌の同定
以上のようにして得られた菌株の1つをTP-A0878と命名し、その分類学的性質を「放線菌の分類と同定」(日本放線菌学会編、日本学会事務センター刊 2001年2月)に従って決定した。
菌の同定に使用したISP(International Actinomadura Project)培地 No. 2及び同No. 4は、DIFCO社より購入した。また、ISP培地 No. 3、及び同No. 5としては、日本放線菌学会規格放線菌培地ダイゴ No. 3、及び同No. 5を日本製薬(株)より購入した。
色調は標準として、『新色名事典』(財団法人日本色彩研究所 1987年)を用いて決定し、色標名とともに括弧内にそのコードを併せて記した。観察は32℃、4週間目の各種培地における結果である。
【0045】
本菌株の分類学的性質は下記の通りであった。
(1)形態学的性質
走査型電子顕微鏡で観察したところ、気菌糸はループを形成し胞子は図1に示すように表面がイボ状の球形胞子が10〜15個連鎖していた(図1参照)。
(2)寒天培地における生育状態
本菌株は、下記の培地上で中程度以上の生育を示した。気中菌糸は白色を呈し、また基底菌糸裏面は淡い黄色から明るい赤みの黄色系を呈した。
(a)ISP培地 No. 2(イースト・麦芽寒天培地、32℃培養)で余り良く生育しなかった。基底菌糸裏面は濃い灰色を呈し、中程度の灰色(ミディアム・グレー)の気中菌糸を厚く着生した。
【0046】
(b)ISP培地 No. 3(オートミール寒天培地、32℃培養)で中程度に増殖した。基底菌糸裏面も灰色がかった白色を呈し、灰色がかった白色の気中菌糸をうっすらと着生した。
(c)ISP培地 No. 4(スターチ・無機塩寒天培地、32℃培養)で良く増殖した。基底菌糸裏面は濃い灰色を呈し、赤みがかった灰色の気中菌糸を厚く着生した。
(d)ISP培地 No. 5(グリセリン・アスパラギン寒天培地、32℃培養)で良く増殖した。基底菌糸裏面は濃い灰色を呈し、明るい灰色の気中菌糸を厚く着生した。
TP-A0878菌株の各種寒天培地上の培養性状を表7にまとめた。
【0047】
【表7】

【0048】
(3)生理学的性質
(a)ベネット寒天培地(肉エキス0.1%、酵母エキス0.1%、NZアミン0.2%、ブドウ糖1.0%、及び寒天2.0%を含む)において17〜48℃の温度範囲で増殖し、約25〜48℃付近で良好に増殖した。
(b)メラニン様色素生成は陰性であった。
(4)炭素源の利用
利用可能な炭素源は、D-グルコース、D-キシロース、D-フラクトース、D-マンニトール、スクロース、L-ラムノース、及びL-アラビノースであった。
一方、利用しない炭素源は、ラフィノース、myo‐イノシトールであった。
(5)菌体分析の結果
全菌体加水分解物中のジアミノピメリン酸はmeso型を含み、グリシンを含んでいた。全菌体糖としては、グルコース、リボース、及びマジュロースを含んでいた。
16S rRNAの塩基配列(1,468塩基対)を、Actinomadura sp. TFS 455 (EF2120220)の該当する塩基配列と比較したところ、100%の相同性を示した。
以上の分類学的性質を示したことから、本菌株をアクチノマデュラ属(Actinomadura)と同定した。
【0049】
(1−4)二次代謝産物の探索
TP-A0878を、100mLの種母培地であるV-22液体培地(溶性デンプン1.0%、ブドウ糖0.5%、NZケース0.3%、酵母エキス0.2%、トリプトン0.5%、K2HPO4 0.1%、MgSO4・7H2O 0.05%、CaCO3 0.3%を含む)が入った500mLのK型フラスコに接種し、200rpm、30℃にて4日間、振とう培養した(振とう機:サンキ精機(株)RGS-200R)。
その後、100mLの生産培地A−3M(ブドウ糖0.5%、グリセロール2.0%、溶性デンプン2.0%、ファーマメディア(Pharmamedia)1.5%、酵母エキス0.3%、Diaion HP-20 1.0%を含む)の入った500mLのK型フラスコ20個に、上記の種母培養液を3mLずつ移植し、200rpm、30℃にて6日間振とう培養した。
【0050】
培養終了後、上記のフラスコから集めた2Lの培養液に、等量のn−ブタノールを加え、1時間ロータリーシェーカー(いわしやサンキ社製)で振盪した後に、5,000rpmで10分間遠心し(遠心機:HITACHI himac CR20、ロータ:HITACHI R12A、いずれも日立製作所(株)製)、有機相と水相とに分離した。次いで、得られた有機相をロータリーエバポレータ(ROTARY EVAPORATOR REN-1000, IWAKI製)を用いて減圧濃縮し、粗抽出物(2.99g)を得た。
この粗抽出物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学社製、シリカゲル量:200g)に供し、クロロホルム:メタノール(100:1〜1:1)を用いてステップグラジエントにて溶出し、分画した。
各画分について、以下の条件でHPLC分析を行った。
【0051】
<HPLC条件>
装置:Agilent 1090
溶離液:アセトニトリル:0.15%KH2PO4水溶液(pH3.5)=15:85〜85:15
流 速:1.2ml/min
検出波長:254nm
カラム:MICROSORB-MV 100×4.6mm
カラム温度:室温
【0052】
クロロホルム:メタノール=2:1〜1:1の画分に、後述する化合物(TPU-0119)を確認した。このため、これらの画分を集めて減圧濃縮し、残渣(473mg)を得た。
得られた残渣を少量のDMSOに溶解し、ODSシリカゲルクロマトグラフィー(ナカライテスク社製、内径:50mm、カラム長:25cm)に供し、溶離液としてアセトニトリル:0.15%KH2PO4水溶液(pH3.5)(20:80〜100:0)を用いて、ステップグラジエントにて溶出し、分画した。
各画分について、上記同様の条件でHPLC分析を行ったところ、アセトニトリル:0.15%KH2PO4水溶液(pH3.5)=70:30の画分に、後述する化合物(TPU-0119)を確認した。このため、これらの画分を集めてロータリーエバポレータ(ROTARY EVAPORATOR REN-1000, IWAKI製)を用いて減圧濃縮し、酢酸エチル抽出を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水後濃縮乾固し残渣(89.9mg)を得た。
【0053】
得られた残渣を少量のDMSOに溶解しHPLC用逆相シリカゲルクロマトグラフィー(ウォーターズ社製Waters XTerraTM RP18 7μm、内径:1.9cm、カラム長:30cm)に供し、溶離液としてアセトニトリル:0.05%ギ酸水溶液(50:50〜80:20)を用いて、グラジエントにて溶出し、分画した。
後述する化合物(TPU-0119)を確認した画分を集めてロータリーエバポレータ(ROTARY EVAPORATOR REN-1000, IWAKI製)を用いて減圧濃縮し、酢酸エチル抽出を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水後濃縮乾固し、19mgのTPU-0119を得た。
【0054】
(実施例2)菌の産生化合物の構造決定
次に、実施例1で得られた無色結晶の構造決定を行った。構造決定のために、核磁気共鳴吸収(NMR)、紫外吸光(UV)分析、赤外吸収(IR)分析、質量分析(MS)、旋光度測定を行った。以下の機器を使用して分析を行い、UV及びIRスペクトルの結果と合わせて、構造決定を行った。
【0055】
13C-NMR:BRUKER Avance 400M(100 MHz)
1H-NMR:BRUKER Avance 500M(500 MHz)
UV:HITACHI U-3210
IR:PerkinElmer Spectrum 100
MS:BRUKER DALTONICOS microTOF(ESI-TOF-MS)
旋光度:JASCO P-1030
【0056】
HPLCの保持時間…以下の条件でHPLC分析を行い、保持時間を測定した。
カラム:MICROSORB-MVTM (100×i.d. 4.6mm、RAININ INSTRUMENT COMPANY. INC製)
移動相:CHCN:0.15% KHPO(pH3.5)=15:85〜85:15
流速:1.2mL/分
検出波長:254nm
【0057】
(2)TPU-0119の構造決定と物性
TPU-0119は、UV分析の結果、293及び250 nmに吸収極大を示し、IR分析では、3397cm‐1にOH伸縮振動、及び1749cm‐1にC=O伸縮振動に由来する吸収帯が観測された。また、質量分析では、ESI-TOF-MSで[M−H]がm/z 495.2752に検出されたため、分子式をC30H40O6と決定した。
13C NMR分析の結果、30個のシグナルが観測された。その内訳は、メチル基由来のシグナルが5個、メチレン基由来のシグナルが5個、メチン基由来のシグナルが12個、四級炭素由来のシグナルが8個観測された(CDCl3、30℃)。
TPU-0119のNMRデータを下記表8に、構造式を図2及び3にそれぞれ示す。また、下記表9に、一般的な性状、分子量、紫外吸収、赤外吸収等のデータを示す。
【0058】
【表8】


a 100 MHzで記録。b 500 MHzで記録。
【0059】
【表9】

【0060】
(実施例3)
実施例2で構造決定を行ったTPU-0119の抗菌及び抗真菌活性について検討した。
(3−1)抗菌及び抗真菌試験
下記表10に示す細菌6種及び酵母3種及び培地を用いて、TPU-0119の抗菌及び抗真菌活性を試験した。
【0061】
【表10】

【0062】
まず、上記表10に示す細菌及び酵母を前培養し、シングルコロニーを作るように、それぞれ、平板寒天培地上で増殖させた。
次に、各寒天平板よりコロニーを白金耳でかき取り、それぞれ8mLの液体培地に懸濁した。次いで、30℃にて、20時間振とう培養(120rpm/分、振とう機:サンキ精機(株)RGS-200R)した。
培養終了後に、遠心分離により集菌し(遠心機:HITACHI himac CR20、ロータ:HITACHI R12A、いずれも日立製作所(株)製、3000rpm, 5分)、得られた菌を生理食塩水に懸濁して、OD660を測定した(Emax、Molecular Devices社製)。
【0063】
作成した検量線をもとに希釈倍率を求め、同上の培地にて、最終濃度が1×105 cells/mLとなるように、それぞれの菌液を調製した。
下記の菌を培養するために、96穴滅菌平底プレートに、同上の培地を、100μLずつ分注した。
終濃度の100倍濃度のTPU-0119を含む試料溶液を調整し、上記の96穴平底プレートの各穴に1〜0.5%ずつ添加した(n=3)。2倍ずつの段階希釈を行い、希釈系列を調整した。次いで、上記のように調整した菌液を、終濃度が1×104 cells/mLとなるように各穴に添加し、攪拌器(Biomek2000, Beckman社製)で撹拌した。
その後、グラム陰性細菌は37℃にて、その他の菌は30℃にて、20時間、インキュベータ中で静置培養した。
【0064】
培養終了後、各穴内の菌液が均一になるようBiomek2000を用いて撹拌し、Emax(Molecular Devices社製)にてOD650を測定した。
コントロール(化合物非添加区)のODの値を100%としたときの化合物添加区のODの値から、化合物添加区における菌の増殖率を計算し、被検菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)(μM)を求めた。結果を表11に示す。
TPU-0119のMICは、下記のグラム陰性細菌及び一部の酵母に対しては100μM以上となり、抗菌及び抗真菌活性は示さなかった。一方、下記のグラム陽性細菌及び一部の酵母に対しては抗菌及び抗真菌活性を示した。
【0065】
【表11】

【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の微生物は、抗菌及び抗真菌活性を有する新規化合物を産生し、医薬の分野において有用である。
【受託番号】
【0067】
NITE P-768

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特許生物寄託センターに受託番号: NITE P-768として寄託されたアクチノマデュラ(Actinomadura)属に属する新規微生物。
【請求項2】
請求項1に記載の新規微生物によって産生され、抗菌活性を有する、下記式(I)で表される新規化合物。
【化1】

(ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケン基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアシル基、及びヒドロキシル基からなる群から選ばれるいずれかの官能基を表す。)
【請求項3】
前記式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、及びヒドロキシル基からなる群から選ばれるいずれかの官能基を表す、ことを特徴とする、請求項2に記載の新規化合物。
【請求項4】
前記式(I)で表される化合物は、下記式(II)で表される化合物であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の新規化合物。
【化2】

【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載の化合物、それらの誘導体、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする抗菌剤。
【請求項6】
前記抗菌剤は、グラム陽性菌に対して抗菌活性を示すことを特徴とする、請求項5に記載の抗菌剤。
【請求項7】
前記グラム陽性菌は、ミクロコッカス属グラム陽性菌であることを特徴とする、請求項6に記載の抗菌剤。
【請求項8】
前記ミクロコッカス属グラム陽性菌は、グラム陽性菌ミクロコッカス ルテウス(Micrococcus luteus)であることを特徴とする、請求項7に記載の抗菌剤。
【請求項9】
請求項1に記載の新規微生物によって産生され、抗真菌活性を有する、下記式(I)で表される新規化合物。
【化3】

(ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケン基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアシル基、及びヒドロキシル基からなる群から選ばれるいずれかの官能基を表す。)
【請求項10】
前記式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、及びヒドロキシル基からなる群から選ばれるいずれかの官能基を表す、ことを特徴とする、請求項9に記載の新規化合物。
【請求項11】
前記式(I)で表される化合物は、下記式(II)で表される化合物であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の新規化合物。
【化4】

【請求項12】
請求項9〜11のいずれかに記載の化合物、それらの誘導体、生理学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの水和物からなる群から選ばれる、いずれかを有効成分とする抗真菌剤。
【請求項13】
前記抗真菌剤は、カンジダ属(Candidas)及びクリベロマイセス属(Kluyveromyces)からなる群から選ばれるいずれかの属に属する真菌に対して抗真菌活性を示すことを特徴とする、請求項12に記載の抗真菌剤。
【請求項14】
前記真菌は、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)及びクリベロマイセス フラジリス(Kluyveromyces fragilis)からなる群から選ばれるいずれかの真菌に対して抗真菌活性を示すことを特徴とする、請求項13に記載の抗真菌剤。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−97871(P2011−97871A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254509(P2009−254509)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(500280825)
【出願人】(000236920)富山県 (197)
【Fターム(参考)】