アクチュエータの駆動装置
【課題】一対のトーションバーで可動部を固定部に揺動可能に軸支するアクチュエータを、高調波成分を含む鋸歯状波形の駆動信号で駆動する場合に、鋸歯状波形信号の直線部分を長くし、且つ、高調波成分に起因する可動部の共振振動を抑制する。
【解決手段】鋸歯状波形データを格納する波形メモリ1と、目標振れ角情報から鋸歯状波形信号の振幅を演算する振幅演算部2と、振幅演算部2からのデジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器3と、アナログの鋸歯状波形信号に含まれる可動部が共振振動する共振周波数成分を減衰するローパスフィルタ4と、可動部の実際の振れ角を検出する振れ角センサ7と、可動部の目標位置を示す駆動信号と可動部の実際位置を示すセンサ信号の偏差に基づいて駆動信号を調整するPID制御部5と、調整された駆動信号に基づいてアクチュエータ10に駆動信号を供給する駆動信号供給部6と、を備えて構成した。
【解決手段】鋸歯状波形データを格納する波形メモリ1と、目標振れ角情報から鋸歯状波形信号の振幅を演算する振幅演算部2と、振幅演算部2からのデジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器3と、アナログの鋸歯状波形信号に含まれる可動部が共振振動する共振周波数成分を減衰するローパスフィルタ4と、可動部の実際の振れ角を検出する振れ角センサ7と、可動部の目標位置を示す駆動信号と可動部の実際位置を示すセンサ信号の偏差に基づいて駆動信号を調整するPID制御部5と、調整された駆動信号に基づいてアクチュエータ10に駆動信号を供給する駆動信号供給部6と、を備えて構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームの走査に好適なアクチュエータの駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のアクチュエータとして、半導体基板を異方性エッチングして、枠状の固定部と、可動部と、固定部に可動部を揺動可能に軸支するトーションバーとを一体形成し、可動部に駆動コイルを設け、トーションバーの軸方向と平行な可動部両端縁部の駆動コイル部分に静磁界を作用させる静磁界発生手段(例えば永久磁石)を設ける構成の電磁アクチュエータがある。
【0003】
この電磁アクチュエータは、外部の駆動回路から駆動コイルに交流電流を供給すると、駆動コイルを流れる電流と静磁界発生手段の静磁界との相互作用により、可動部を揺動駆動可能な駆動力(ローレンツ力)が発生して可動部に作用し、可動部がトーションバーの軸回りに揺動する。この可動部に反射ミラーを設ければ、可動部を揺動駆動することで反射ミラーに照射した光ビームの反射光を走査できる。従って、例えばレーザ光等の光ビームをラスタ走査して画像を表示するレーザプロジェクタ等の光デバイスにおける光走査用アクチュエータとして好適である。
【0004】
ところで、上述したアクチュエータでラスタ走査を実現する場合、例えば鋸歯状波形の駆動信号で光走査用アクチュエータの可動部を低速で揺動駆動することで、垂直方向の走査が行われる。しかし、信号周波数の整数倍の高調波成分を含む鋸歯状波形等の駆動信号は、可動部が共振振動する共振周波数近傍の高調波成分が含まれることによって、可動部が共振振動を起こす虞れがある。可動部が共振振動を起こすと、可動部は微小に振動しながらトーションバー回りに揺動することになるため、走査光の揺らぎが発生し、レーザプロジェクタでは、表示される画像の画質が悪化するという問題がある。
【0005】
この問題を解決するため、高調波成分を含む波形の駆動信号から、可動部が共振振動する共振周波数成分を減衰するフィルタ部としてローパスフィルタやノッチフィルタを設け、このようなフィルタで共振周波数成分が減衰された駆動信号をアクチュエータに供給してアクチュエータの可動部を駆動するようにしたアクチュエータの駆動装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−92018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、アクチュエータの個体ばらつき等によりアクチュエータの共振周波数にはばらつきが存在するため、特許文献1に記載されたアクチュエータの駆動装置では、アクチュエータの共振周波数のばらつきを考慮し、フィルタ部のフィルタ特性として減衰周波数領域を広めに設定する必要がある。しかしながら、フィルタ部の減衰周波数領域を広めに設定した場合、可動部に共振振動を発生させない周波数成分の減衰量も多くなり、フィルタ部から出力される鋸歯状の駆動信号波形の上下端部(鋭角部分)が丸まり、駆動信号波形の直線部分が短くなってしまう。このため、レーザプロジェクタに適用した場合に画像の解像度が悪化するという問題が発生する。
【0008】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、駆動信号波形の直線部分を短くせずに、駆動信号に含まれる高調波成分に起因する可動部の共振振動を抑制できるアクチュエータの駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、請求項1の発明は、固定部にトーションバーを介して揺動可能に軸支した可動部と、該可動部を前記トーションバーの軸回りに揺動させる駆動力を発生する駆動力発生部とを備えるアクチュエータの駆動装置であって、高調波成分を含む波形の駆動信号から前記可動部が共振振動する共振周波数成分をフィルタ部で減衰し、前記フィルタ部で共振周波数成分が減衰された駆動信号を前記駆動力発生部に供給して前記駆動力を発生させる構成のアクチュエータの駆動装置において、前記可動部の動きを検出する位置センサと、該位置センサから出力される可動部の実際位置を示す信号値と前記フィルタ部から出力される可動部の目標位置を示す駆動信号値との偏差に基づいて、可動部が目標位置に近づくように前記駆動信号値を調整するフィードバック制御部と、該フィードバック制御部で調整された駆動信号を前記駆動力発生部に供給して前記駆動力を発生させる駆動信号供給部と、を備えて構成したことを特徴とする。
【0010】
かかる構成では、高調波成分を含む波形の駆動信号から可動部が共振振動する共振周波数成分をフィルタ部で減衰し、フィルタ部から出力される可動部の目標位置を示す駆動信号値と可動部の動きを検出する位置センサから出力される可動部の実際位置を示す信号値との偏差に基づいて、駆動力発生部に供給する駆動信号値を調整して可動部の揺動動作をフィードバック制御するようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアクチュエータの駆動装置によれば、フィルタ部による可動部が共振振動する共振周波数成分の減衰機能とフィードバック制御部による可動部の動きに対するフィードバック制御動作とを組み合わせて可動部の共振振動を抑制する構成としたので、フィルタ部による可動部が共振振動する共振周波数成分の減衰特性を緩くし、フィードバック制御動作によって最終的に可動部の共振振動を抑制することで、可動部が微小振動しながら揺動することを抑制できると共に、高調波成分を含む波形の駆動信号、例えば鋸歯状波形の駆動信号の直線部分の長さを、フィルタ部のみで可動部の共振周波数成分を減衰する場合に比べて長くできる。従って、例えばプロジェクタ等のような光ビームをラスタ走査して画像を表示する光デバイスに適用する場合でも、画像の解像度の悪化を抑えることができ、良好な画質の画像を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の駆動装置を示すブロック図
【図2】第1実施形態におけるPID制御部を示すブロック図
【図3】第1実施形態で可動部の振れ角(位置)を検出するピエゾ素子のブリッジ回路を示す回路図
【図4】第1実施形態におけるアクチュエータの一例を示す平面図
【図5】第1実施形態でアクチュエータを駆動する鋸歯状波形の駆動信号を示す図
【図6】第1実施形態における鋸歯状波形の駆動信号のパワースペクトルを示す図
【図7】第1実施形態において共振周波数成分による微小振動を伴う可動部の動作状態を示す図
【図8】第1実施形態におけるローパスフィルタのフィルタ特性を示す図
【図9】第1実施形態におけるローパスフィルタから出力される駆動信号波形を示す図
【図10】第1実施形態のローパスフィルタ出力をフィードバック制御で調整した場合の可動部の動作状態を示す図
【図11】本発明の第2実施形態の駆動装置を示すブロック図
【図12】第2実施形態におけるノッチフィルタのフィルタ特性を示す図
【図13】本発明の駆動装置における鋸歯状波形の生成処理の別の例を示す図
【図14】本発明の駆動装置を適用するレーザプロジェクタの構成の一例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るアクチュエータの駆動装置の第1実施形態を示すブロック図である。
図1において、第1実施形態の駆動装置101は、高調波成分を含む波形の駆動信号として鋸歯状波形信号の1周期分のデジタルデータを格納する波形メモリ1と、図示しない制御部により設定される後述のアクチュエータ10の可動部13の目標振れ角を示す目標振れ角情報(位置情報)に基づいて鋸歯状波形の駆動信号の振幅を演算し、前記波形メモリ1に格納されている前記デジタルデータと前記振幅とに基づき、鋸歯状波形でかつ前記演算した振幅のデジタル駆動信号を生成する振幅演算部2と、振幅演算部2から出力されるデジタル駆動信号をアナログ駆動信号に変換するD/A変換器3と、D/A変換器3から出力されたアナログ駆動信号から、前記可動部13が共振振動する共振周波数成分を減衰するフィルタ部としてのローパスフィルタ4と、ローパスフィルタ4から出力される可動部13の目標位置を示すアナログ駆動信号値と後述する振れ角センサ7から出力される可動部13の実際の位置を示す信号値との偏差に基づいて、可動部13が目標位置に近づくようにアクチュエータ10の駆動力発生部に供給する駆動信号値を調整するフィードバック制御部としてのPID制御部5と、PID制御部5で調整された駆動信号をアクチュエータ10の駆動力発生部に供給して駆動力を発生させる駆動信号供給部6と、アクチュエータ10の可動部13の動きを検出して可動部13の実際位置を示す信号を出力する位置センサとしての前述した振れ角センサ7と、ローパスフィルタ4の出力信号レベルに合わせるように振れ角センサ7の出力レベルを増幅する利得調整部8と、を備えて構成される。ここで、波形メモリ1と振幅演算部2とで信号生成部102が構成される。
【0014】
前記PID制御部5は、ローパスフィルタ4から出力される可動部13の目標位置を示す駆動信号値と振れ角センサ7から出力される可動部13の実際の位置を示す信号値との偏差に比例した比例制御分(Proportional)と、定常偏差を除去するための積分制御分(Integral)及び振れ角センサ7の信号値の変化速度に対する応答性を高めるための微分制御分(Differential)を設定して可動部13が目標位置に近づくようにアクチュエータ10をフィードバック制御するもので、図2に示すように、比例利得調整部5Aと、積分利得調整部5Bと、微分利得調整部5Cと、比例回路5Dと、積分回路5Eと、微分回路5Fと、加算器5Gと、を備えて構成される。前記比例利得調整部5Aは比例制御分の利得を調整するものであり、前記積分利得調整部5Bは積分制御分の利得を調整するものであり、前記微分利得調整部5Cは微分制御分の利得を調整するものである。これら各利得調整部5A〜5Cで調整される各利得は、例えばアクチュエータ10の基本的な特性等に基づいて予め設定される。比例回路5Dは、可動部13の目標位置を示す駆動信号値と振れ角センサ7から出力される可動部13の実際の位置を示す信号値との偏差に比例利得調整部5Aで設定された比例利得を乗算して比例制御分を演算する。積分回路5Eは前記偏差を積分しその積分値に積分利得調整部5Aで設定された積分利得を乗算して積分制御分を演算する。微分回路5Fは前記偏差を微分しその微分値に微分利得調整部5Aで設定された微分利得を乗算して微分制御分を演算する。加算器5Gは、演算された比例制御分と積分制御分と微分制御分とを加算し、その加算値を調整された駆動信号として駆動信号供給部6に出力する。ここで、比例利得調整部5Aと比例回路5Dで、偏差に比例して可動部が目標位置に近づくように駆動信号の比例制御分を設定する比例分設定部が構成される。また、積分利得調整部5Bと積分回路5Eで、前記偏差に基づいて可動部が目標位置に近づくように駆動信号の積分制御分を設定する積分分設定部が構成される。また、微分利得調整部5Cと微分回路5Fで、可動部13の実際位置を示す信号値の変化速度に基づいて駆動信号の微分制御分を設定する微分分設定部が構成される。
【0015】
前記振れ角センサ7は、一対のピエゾ素子7a,7bを後述するアクチュエータ10の各トーションバー12,12の軸を挟んで対向配置し、これら4個のピエゾ素子7a,7a,7b,7bで図3に示すようにブリッジ回路を構成する。可動部13の揺動に伴ってトーションバー12,12が捩れることで発生する各ピエゾ素子7a,7a,7b,7bの抵抗値変化が、前記ブリッジ回路の出力変化として検出され、前記ブリッジ回路の出力が、可動部13の実際位置を示す信号として振れ角センサ7の出力となる。
【0016】
前記ピエゾ素子17が、例えばp型拡散抵抗により形成されている場合、ピエゾ素子7a,7aに引張応力が加わり、ピエゾ素子7b,7bに圧縮応力が加わると、ピエゾ素子7a,7aの抵抗値は増加し、ピエゾ素子7b,7bの抵抗値は減少するため、図3のブリッジ回路の出力電圧V(V=Va−Vb)の値は負になる。また、可動部13の傾き方向が切り替わって、ピエゾ素子7b,7bに引張応力が加わり、ピエゾ素子7a,7aに圧縮応力が加わるようになると、ピエゾ素子7a,7aの抵抗値は減少し、ピエゾ素子7b,7bの抵抗値は増加するため、図3のブリッジ回路の出力電圧V(V=Va−Vb)の値は正になる。
【0017】
従って、前記ブリッジ回路の出力電圧Vの正負から、可動部13の傾き方向を判断でき、また、電圧値から傾斜角(振れ角)を検出することができ、ブリッジ回路の出力から可動部13の実際の位置が検出される。振れ角センサ7の出力レベルはローパスフィルタ4から出力される駆動信号レベルに比べて小さいため、利得調整部8で増幅してローパスフィルタ4の駆動信号レベルに合わせている。
【0018】
この駆動装置101によって駆動される前記アクチュエータ10の一例を図4に示す。
図4において、このアクチュエータ10は、半導体製造技術を利用して製造した電磁駆動式のプレーナ型アクチュエータである。このアクチュエータ10は、図4に示すように、枠状の固定部11と、可動部13と、前記可動部13を固定部11に対し揺動可能に軸支する一対のトーションバー12,12とを備えて構成され、前記固定部11、トーションバー12,12及び可動部13は、半導体基板を用いて一体に形成される。
【0019】
可動部13の周縁部には、通電により磁界を発生する駆動コイル14が形成され、駆動コイル14の両端は、固定部11に形成した一対の電極端子15,15に接続され、電極端子15,15は、図1に示す駆動信号供給部6に対し、例えばワイヤーボンディング等により電気的に接続される。また、トーションバー12,12の軸方向と平行な可動部対辺部と対面する固定部11の外方には、一対の永久磁石16,16が、互いに反対磁極を対向して配置されており、この一対の永久磁石16,16は、トーションバー12,12の軸方向と平行な可動部対辺部の駆動コイル14部分に静磁界を作用させる。
【0020】
この電磁駆動式アクチュエータ10は、駆動信号供給部6から駆動コイル14に駆動信号として駆動電流(交流電流)を供給すると、駆動コイル14に流れる電流と永久磁石16,16の静磁界との相互作用により駆動力(ローレンツ力)が発生し、可動部13がトーションバー12,12回りに当該トーションバー12,12の捩れ量に応じて発生する弾性復元力に抗して回動する。ここで、駆動コイル14と一対の永久磁石16,16とで駆動力発生部が構成される。尚、永久磁石16,16に代えて電磁石を設けてもよい。また、前述したようにトーションバー12,12の軸を挟んで対向配置して一対のピエゾ素子(歪ゲージ)7a,7aと7b,7bが設けられている。
【0021】
次に、本実施形態の駆動装置101の動作について説明する。
前記波形メモリ1には、図5に示すように、予め設定される基本周波数foの鋸歯状波形の1周期(T=1/fo)分の波形データが格納されている。前記振幅演算部2は、入力する目標振れ角情報に基づいて波形メモリ1内の波形データを用いて生成される鋸歯状波形信号の振幅を演算し、可動部13を目標の振れ角で駆動できるような振幅を持つ鋸歯状波形の駆動信号を生成し出力する。前記振幅演算部2からのデジタル駆動信号は、D/A変換器3でアナログ駆動信号に変換されてローパスフィルタ4に入力される。
【0022】
図6は、前記鋸歯状波形信号のパワースペクトルを示し、この図6に示すように、鋸歯状波形の駆動信号には、可動部13の目標揺動周期に対応する基本周波数foの整数倍の高調波成分が含まれている。換言すれば、前記鋸歯状波形信号は、基本周波数foの正弦波に対し、整数倍の周波数の正弦波を合成することで生成される信号である。
【0023】
一方、アクチュエータ10の可動部13は、共振を起こす固有振動数を有している。このため、図6に示すように、例えば鋸歯状波形の駆動信号の高調波成分として、アクチュエータ10の可動部13の共振周波数frに一致する周波数の高調波成分を含むか、或いは、共振周波数frに近い周波数の高調波成分を含む場合、ローパスフィルタ4を設けずにD/A変換器3からの鋸歯状波形の駆動信号をそのまま駆動信号供給部6に与えると、駆動信号供給部6からの駆動信号により駆動される可動部13は共振振動を起こし、可動部13は、図7に示すように微小に振動しながら揺動動作する。尚、図7では、可動部13が水平状態にあるときを振れ角0度として表している。
【0024】
そこで、前記ローパスフィルタ4のフィルタ特性として、その遮断周波数fcを図8に示すようにローパスフィルタ4の共振周波数frよりも低い周波数に設定して駆動信号に含まれる共振周波数fr成分が減衰されるように設定する。この場合、可動部13の共振振動を後段のPID制御部5によるフィードバック制御によって最終的に抑制するので、ローパスフィルタ4のフィルタ特性の設定は、可動部13の共振振動がある程度抑制できるような設定とする。このため、アクチュエータ10の駆動初期では、可動部13は微小に振動しながら揺動し、可動部13の微小振動が振れ角センサ7で検出され、その検出信号値とローパスフィルタ4から出力される駆動信号値との偏差として現れる。この偏差に基づいてPID制御部5は、可動部13が目標位置に近づくようにローパスフィルタ4から出力される駆動信号値を調整し、駆動信号供給部6は調整された駆動信号に基づいてアクチュエータ10の駆動コイル14に駆動信号(交流電流)を供給する。これにより、駆動初期に生じる可動部13の微小振動が短時間で収束し、その後は、フィードバック制御により可動部13は目標位置を示す駆動信号に従って微小振動することなく安定に揺動動作するようになる。
【0025】
ここで、ローパスフィルタ19から出力される駆動信号波形は、ローパスフィルタ4で共振振動を発生させることがない高周波成分が減衰されるので、図9の円部分で示した駆動信号波形の上下端部(鋭角部)が丸まった波形となるが、ローパスフィルタ4のフィルタ特性の設定を、可動部13の共振振動がある程度抑制できるような設定とすることで、駆動信号波形の上下端部(鋭角部)の丸みが小さくなる。このため、ローパスフィルタ4から出力される鋸歯状の駆動信号波形の直線部分(図9に示す)が長くなる。そして、フィルタ部だけで可動部13の微小振動を抑制する従来装置の場合に比べて直線部分の長い波形の駆動信号値を目標位置として、PID制御部5によりフィードバック制御して最終的に可動部13の微小振動をなくす。
【0026】
かかる構成の駆動装置101によれば、アクチュエータ10の可動部13を駆動する場合に、ローパスフィルタ4で駆動信号から共振周波数fr付近の周波数の高調波成分を減衰した後、PID制御部5によるフィードバック制御によりローパスフィルタ4から出力される直線部分の長い鋸歯状波形の駆動信号値を目標位置として、最終的にフィードバック制御によりアクチュエータ10の可動部13の微小振動を抑制するから、図10図に示すように、可動部13を微小振動することなく円滑に揺動動作させることができる。しかも、駆動信号波形の直線部分が長くできるから、レーザプロジェクタに適用した場合にレーザ光を直線線的に走査できる領域が拡大でき画像解像度を向上できるようになる。
【0027】
上記第1実施形態では、フィルタ部としてローパスフィルタ4を用いたが、図11に示す第2実施形態のように、ローパスフィルタ4に代えて帯域除去フィルタを設ける構成としてもよい。
【0028】
図11に示す第2実施形態では、帯域除去フィルタとしてノッチフィルタ9を設ける構成であり、可動部13の共振周波数frを含む高周波帯域の周波数成分を、鋸歯状波形の駆動信号からある程度減衰するように、ノッチフィルタ9のフィルタ特性を設定する。ここで、ノッチフィルタ9のフィルタ特性を、図12に示すように、可動部13が共振振動する共振周波数frを中心とした所定の周波数帯域を減衰させるように設定するが、本実施形態では、従来のフィルタ部だけで可動部13の微小振動を抑制する構成の場合のフィルタ特性(図12中に破線で示す)に比べて、減衰させる周波数帯域を狭く、且つその減衰量も少なくなるようなフィルタ特性(図12中に破線で示す)に設定する。かかる設定とすることで、従来のフィルタ部だけで可動部13の微小振動を抑制する構成の場合と比較して、高調波成分を含む波形の駆動信号として鋸歯状波形信号の直線部分を長くできる。尚、図11において第1実施形態と同一部分には同一符号を付してある。
【0029】
上記各実施形態では、駆動信号の波形を鋸歯状波形としたが、鋸歯状波形に限定されるものではなく、可動部3の揺動駆動における基本周波数foの整数倍の高調波成分を含むことで生成される波形であれば良く、例えば、矩形パルス、三角波、台形波等であっても良いが、可動部3を一定速度で揺動させる場合には、鋸歯状波形の駆動信号を用いることが好ましい。
また、上記各実施形態では、アクチュエータ10を電磁駆動式のアクチュエータとしたが、駆動方式は、静電駆動式や圧電駆動式等の他の方式であってもよい。
【0030】
尚、上述の各実施形態では、波形メモリ1を用いて駆動信号の基本波形である鋸歯状波形を生成させるが、波形メモリ1に代えて鋸歯状波形を演算で生成する波形演算部を設ける構成としてもよい。前記波形演算部は、例えば図13に示すように、1クロック毎にカウント値を0から増大させ、カウント値が既定値(例えば1024)に達した時点で、カウント値を0にリセットし、再度、カウント値を0から1クロック毎に増大させる処理を繰り返し、前記カウント値をD/A変換することで鋸歯状波形を生成させるものである。尚、鋸歯状波形等の駆動信号の基本波形を演算で生成する方法としては、上記のカウント値を用いる方法に限定されるものではなく、公知の種々の方法を適用できる。
【0031】
次に、本発明に係るアクチュエータの駆動装置を、レーザ光をラスタ走査して画像を表示するレーザプロジェクタに適用した場合について説明する。
図14は、本発明に係るアクチュエータの駆動装置を適用したレーザプロジェクタの一例を示す概略構成図である。
図14において、レーザプロジェクタは、レーザ制御部21と、R.G.Bレーザ発光部22と、水平走査用アクチュエータ23と、この水平走査用アクチュエータ23の駆動装置である水平駆動波形生成部24及び駆動信号供給部25と、垂直走査用アクチュエータ26と、この垂直走査用アクチュエータ26の駆動装置である垂直駆動波形生成部27及び駆動信号供給部28と、同期信号生成部29と、を備えて構成される。
【0032】
前記水平走査用及び垂直走査用の各アクチュエータ23,26は、図4に示したアクチュエータ10の可動部13の例えば裏面に反射ミラー(図示せず)を設けて光走査用アクチュエータとしたものである。そして、前記垂直走査用アクチュエータ26の駆動装置として、前記第1及び第2実施形態に示した駆動装置101のいずれかを適用し、駆動信号供給部28が上記実施形態における駆動信号供給部6に対応し、駆動信号供給部6を除く駆動装置101の各構成が垂直駆動波形生成部27に備えられているものとする。
【0033】
次に、前記レーザプロジェクタの動作を説明する。
レーザ制御部21の発光指令により、R.G.Bレーザ発光部22内の3原色毎の発光素子を発光させる。
一方、水平走査用アクチュエータ23は、水平駆動波形生成部24で生成される正弦波状波形信号に基づいて、駆動信号供給部25から供給される駆動信号によって高速駆動される。
【0034】
そして、R.G.Bレーザ発光部22からのレーザ光が、水平走査用アクチュエータ23の反射ミラーに照射されることで、レーザ光は水平走査される。また、垂直走査用アクチュエータ26は、垂直駆動波形生成部27で生成される鋸歯状波形信号に基づいて、駆動信号供給部28から供給される駆動信号によって低速駆動される。前記水平走査用アクチュエータ23の反射ミラーからの反射光(水平走査光)は、垂直走査用アクチュエータ26の反射ミラーに照射され、レーザ光が垂直走査される。
【0035】
一方、両アクチュエータ23,26の各走査位置(可動部の振れ角)を、それぞれの振れ角センサ7で検出し、該振れ角センサ7による振れ角情報を同期信号生成部29に送信する。同期信号生成部29は、両アクチュエータ23,26の各走査位置に基づいて同期信号を生成して、レーザ制御部21に送信する。
【0036】
レーザ制御部21は、表示する画像データと前記同期信号とに基づいてR.G.Bレーザ発光部22の各発光素子の各発光タイミングを制御して、前記発光指令を適切なタイミングで発生する。これにより、水平走査用及び垂直走査用の各アクチュエータ23、26により、レーザ光をラスタ走査して画像30を表示する。
【0037】
このようなレーザプロジェクタの垂直走査用アクチュエータ26の駆動装置として、本発明に係る駆動装置101を適用すれば、垂直走査用アクチュエータ26の可動部の揺動動作中の微小振動を抑制できるので、レーザ走査光の揺らぎがなくなり、しかも、鋸歯状波形の駆動信号の直線部分を長くできるので、画像の解像度が向上すると共に画像サイズも大きくでき、大きな画像サイズで良好な画質の画像を表示できるようになる。
【0038】
上記実施形態では、本発明によるアクチュエータの駆動装置の適用例としてレーザプロジェクタを説明したが、本発明によるアクチュエータの駆動装置の適用はレーザプロジェクタに限らないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1 波形メモリ(信号生成部)
2 振幅演算部(信号生成部)
4 ローパスフィルタ(帯域除去フィルタ、フィルタ部)
5 PID制御部(フィードバック制御部)
6 駆動信号供給部
7 振れ角センサ(位置センサ)
7a,7b ピエゾ素子
9 ローパスフィルタ(フィルタ部)
10 アクチュエータ
11 固定部
12,12 トーションバー
13 可動部
14 駆動コイル(駆動力発生部)
16 永久磁石(駆動力発生部)
101 駆動装置
102 信号生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームの走査に好適なアクチュエータの駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のアクチュエータとして、半導体基板を異方性エッチングして、枠状の固定部と、可動部と、固定部に可動部を揺動可能に軸支するトーションバーとを一体形成し、可動部に駆動コイルを設け、トーションバーの軸方向と平行な可動部両端縁部の駆動コイル部分に静磁界を作用させる静磁界発生手段(例えば永久磁石)を設ける構成の電磁アクチュエータがある。
【0003】
この電磁アクチュエータは、外部の駆動回路から駆動コイルに交流電流を供給すると、駆動コイルを流れる電流と静磁界発生手段の静磁界との相互作用により、可動部を揺動駆動可能な駆動力(ローレンツ力)が発生して可動部に作用し、可動部がトーションバーの軸回りに揺動する。この可動部に反射ミラーを設ければ、可動部を揺動駆動することで反射ミラーに照射した光ビームの反射光を走査できる。従って、例えばレーザ光等の光ビームをラスタ走査して画像を表示するレーザプロジェクタ等の光デバイスにおける光走査用アクチュエータとして好適である。
【0004】
ところで、上述したアクチュエータでラスタ走査を実現する場合、例えば鋸歯状波形の駆動信号で光走査用アクチュエータの可動部を低速で揺動駆動することで、垂直方向の走査が行われる。しかし、信号周波数の整数倍の高調波成分を含む鋸歯状波形等の駆動信号は、可動部が共振振動する共振周波数近傍の高調波成分が含まれることによって、可動部が共振振動を起こす虞れがある。可動部が共振振動を起こすと、可動部は微小に振動しながらトーションバー回りに揺動することになるため、走査光の揺らぎが発生し、レーザプロジェクタでは、表示される画像の画質が悪化するという問題がある。
【0005】
この問題を解決するため、高調波成分を含む波形の駆動信号から、可動部が共振振動する共振周波数成分を減衰するフィルタ部としてローパスフィルタやノッチフィルタを設け、このようなフィルタで共振周波数成分が減衰された駆動信号をアクチュエータに供給してアクチュエータの可動部を駆動するようにしたアクチュエータの駆動装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−92018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、アクチュエータの個体ばらつき等によりアクチュエータの共振周波数にはばらつきが存在するため、特許文献1に記載されたアクチュエータの駆動装置では、アクチュエータの共振周波数のばらつきを考慮し、フィルタ部のフィルタ特性として減衰周波数領域を広めに設定する必要がある。しかしながら、フィルタ部の減衰周波数領域を広めに設定した場合、可動部に共振振動を発生させない周波数成分の減衰量も多くなり、フィルタ部から出力される鋸歯状の駆動信号波形の上下端部(鋭角部分)が丸まり、駆動信号波形の直線部分が短くなってしまう。このため、レーザプロジェクタに適用した場合に画像の解像度が悪化するという問題が発生する。
【0008】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、駆動信号波形の直線部分を短くせずに、駆動信号に含まれる高調波成分に起因する可動部の共振振動を抑制できるアクチュエータの駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、請求項1の発明は、固定部にトーションバーを介して揺動可能に軸支した可動部と、該可動部を前記トーションバーの軸回りに揺動させる駆動力を発生する駆動力発生部とを備えるアクチュエータの駆動装置であって、高調波成分を含む波形の駆動信号から前記可動部が共振振動する共振周波数成分をフィルタ部で減衰し、前記フィルタ部で共振周波数成分が減衰された駆動信号を前記駆動力発生部に供給して前記駆動力を発生させる構成のアクチュエータの駆動装置において、前記可動部の動きを検出する位置センサと、該位置センサから出力される可動部の実際位置を示す信号値と前記フィルタ部から出力される可動部の目標位置を示す駆動信号値との偏差に基づいて、可動部が目標位置に近づくように前記駆動信号値を調整するフィードバック制御部と、該フィードバック制御部で調整された駆動信号を前記駆動力発生部に供給して前記駆動力を発生させる駆動信号供給部と、を備えて構成したことを特徴とする。
【0010】
かかる構成では、高調波成分を含む波形の駆動信号から可動部が共振振動する共振周波数成分をフィルタ部で減衰し、フィルタ部から出力される可動部の目標位置を示す駆動信号値と可動部の動きを検出する位置センサから出力される可動部の実際位置を示す信号値との偏差に基づいて、駆動力発生部に供給する駆動信号値を調整して可動部の揺動動作をフィードバック制御するようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアクチュエータの駆動装置によれば、フィルタ部による可動部が共振振動する共振周波数成分の減衰機能とフィードバック制御部による可動部の動きに対するフィードバック制御動作とを組み合わせて可動部の共振振動を抑制する構成としたので、フィルタ部による可動部が共振振動する共振周波数成分の減衰特性を緩くし、フィードバック制御動作によって最終的に可動部の共振振動を抑制することで、可動部が微小振動しながら揺動することを抑制できると共に、高調波成分を含む波形の駆動信号、例えば鋸歯状波形の駆動信号の直線部分の長さを、フィルタ部のみで可動部の共振周波数成分を減衰する場合に比べて長くできる。従って、例えばプロジェクタ等のような光ビームをラスタ走査して画像を表示する光デバイスに適用する場合でも、画像の解像度の悪化を抑えることができ、良好な画質の画像を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の駆動装置を示すブロック図
【図2】第1実施形態におけるPID制御部を示すブロック図
【図3】第1実施形態で可動部の振れ角(位置)を検出するピエゾ素子のブリッジ回路を示す回路図
【図4】第1実施形態におけるアクチュエータの一例を示す平面図
【図5】第1実施形態でアクチュエータを駆動する鋸歯状波形の駆動信号を示す図
【図6】第1実施形態における鋸歯状波形の駆動信号のパワースペクトルを示す図
【図7】第1実施形態において共振周波数成分による微小振動を伴う可動部の動作状態を示す図
【図8】第1実施形態におけるローパスフィルタのフィルタ特性を示す図
【図9】第1実施形態におけるローパスフィルタから出力される駆動信号波形を示す図
【図10】第1実施形態のローパスフィルタ出力をフィードバック制御で調整した場合の可動部の動作状態を示す図
【図11】本発明の第2実施形態の駆動装置を示すブロック図
【図12】第2実施形態におけるノッチフィルタのフィルタ特性を示す図
【図13】本発明の駆動装置における鋸歯状波形の生成処理の別の例を示す図
【図14】本発明の駆動装置を適用するレーザプロジェクタの構成の一例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るアクチュエータの駆動装置の第1実施形態を示すブロック図である。
図1において、第1実施形態の駆動装置101は、高調波成分を含む波形の駆動信号として鋸歯状波形信号の1周期分のデジタルデータを格納する波形メモリ1と、図示しない制御部により設定される後述のアクチュエータ10の可動部13の目標振れ角を示す目標振れ角情報(位置情報)に基づいて鋸歯状波形の駆動信号の振幅を演算し、前記波形メモリ1に格納されている前記デジタルデータと前記振幅とに基づき、鋸歯状波形でかつ前記演算した振幅のデジタル駆動信号を生成する振幅演算部2と、振幅演算部2から出力されるデジタル駆動信号をアナログ駆動信号に変換するD/A変換器3と、D/A変換器3から出力されたアナログ駆動信号から、前記可動部13が共振振動する共振周波数成分を減衰するフィルタ部としてのローパスフィルタ4と、ローパスフィルタ4から出力される可動部13の目標位置を示すアナログ駆動信号値と後述する振れ角センサ7から出力される可動部13の実際の位置を示す信号値との偏差に基づいて、可動部13が目標位置に近づくようにアクチュエータ10の駆動力発生部に供給する駆動信号値を調整するフィードバック制御部としてのPID制御部5と、PID制御部5で調整された駆動信号をアクチュエータ10の駆動力発生部に供給して駆動力を発生させる駆動信号供給部6と、アクチュエータ10の可動部13の動きを検出して可動部13の実際位置を示す信号を出力する位置センサとしての前述した振れ角センサ7と、ローパスフィルタ4の出力信号レベルに合わせるように振れ角センサ7の出力レベルを増幅する利得調整部8と、を備えて構成される。ここで、波形メモリ1と振幅演算部2とで信号生成部102が構成される。
【0014】
前記PID制御部5は、ローパスフィルタ4から出力される可動部13の目標位置を示す駆動信号値と振れ角センサ7から出力される可動部13の実際の位置を示す信号値との偏差に比例した比例制御分(Proportional)と、定常偏差を除去するための積分制御分(Integral)及び振れ角センサ7の信号値の変化速度に対する応答性を高めるための微分制御分(Differential)を設定して可動部13が目標位置に近づくようにアクチュエータ10をフィードバック制御するもので、図2に示すように、比例利得調整部5Aと、積分利得調整部5Bと、微分利得調整部5Cと、比例回路5Dと、積分回路5Eと、微分回路5Fと、加算器5Gと、を備えて構成される。前記比例利得調整部5Aは比例制御分の利得を調整するものであり、前記積分利得調整部5Bは積分制御分の利得を調整するものであり、前記微分利得調整部5Cは微分制御分の利得を調整するものである。これら各利得調整部5A〜5Cで調整される各利得は、例えばアクチュエータ10の基本的な特性等に基づいて予め設定される。比例回路5Dは、可動部13の目標位置を示す駆動信号値と振れ角センサ7から出力される可動部13の実際の位置を示す信号値との偏差に比例利得調整部5Aで設定された比例利得を乗算して比例制御分を演算する。積分回路5Eは前記偏差を積分しその積分値に積分利得調整部5Aで設定された積分利得を乗算して積分制御分を演算する。微分回路5Fは前記偏差を微分しその微分値に微分利得調整部5Aで設定された微分利得を乗算して微分制御分を演算する。加算器5Gは、演算された比例制御分と積分制御分と微分制御分とを加算し、その加算値を調整された駆動信号として駆動信号供給部6に出力する。ここで、比例利得調整部5Aと比例回路5Dで、偏差に比例して可動部が目標位置に近づくように駆動信号の比例制御分を設定する比例分設定部が構成される。また、積分利得調整部5Bと積分回路5Eで、前記偏差に基づいて可動部が目標位置に近づくように駆動信号の積分制御分を設定する積分分設定部が構成される。また、微分利得調整部5Cと微分回路5Fで、可動部13の実際位置を示す信号値の変化速度に基づいて駆動信号の微分制御分を設定する微分分設定部が構成される。
【0015】
前記振れ角センサ7は、一対のピエゾ素子7a,7bを後述するアクチュエータ10の各トーションバー12,12の軸を挟んで対向配置し、これら4個のピエゾ素子7a,7a,7b,7bで図3に示すようにブリッジ回路を構成する。可動部13の揺動に伴ってトーションバー12,12が捩れることで発生する各ピエゾ素子7a,7a,7b,7bの抵抗値変化が、前記ブリッジ回路の出力変化として検出され、前記ブリッジ回路の出力が、可動部13の実際位置を示す信号として振れ角センサ7の出力となる。
【0016】
前記ピエゾ素子17が、例えばp型拡散抵抗により形成されている場合、ピエゾ素子7a,7aに引張応力が加わり、ピエゾ素子7b,7bに圧縮応力が加わると、ピエゾ素子7a,7aの抵抗値は増加し、ピエゾ素子7b,7bの抵抗値は減少するため、図3のブリッジ回路の出力電圧V(V=Va−Vb)の値は負になる。また、可動部13の傾き方向が切り替わって、ピエゾ素子7b,7bに引張応力が加わり、ピエゾ素子7a,7aに圧縮応力が加わるようになると、ピエゾ素子7a,7aの抵抗値は減少し、ピエゾ素子7b,7bの抵抗値は増加するため、図3のブリッジ回路の出力電圧V(V=Va−Vb)の値は正になる。
【0017】
従って、前記ブリッジ回路の出力電圧Vの正負から、可動部13の傾き方向を判断でき、また、電圧値から傾斜角(振れ角)を検出することができ、ブリッジ回路の出力から可動部13の実際の位置が検出される。振れ角センサ7の出力レベルはローパスフィルタ4から出力される駆動信号レベルに比べて小さいため、利得調整部8で増幅してローパスフィルタ4の駆動信号レベルに合わせている。
【0018】
この駆動装置101によって駆動される前記アクチュエータ10の一例を図4に示す。
図4において、このアクチュエータ10は、半導体製造技術を利用して製造した電磁駆動式のプレーナ型アクチュエータである。このアクチュエータ10は、図4に示すように、枠状の固定部11と、可動部13と、前記可動部13を固定部11に対し揺動可能に軸支する一対のトーションバー12,12とを備えて構成され、前記固定部11、トーションバー12,12及び可動部13は、半導体基板を用いて一体に形成される。
【0019】
可動部13の周縁部には、通電により磁界を発生する駆動コイル14が形成され、駆動コイル14の両端は、固定部11に形成した一対の電極端子15,15に接続され、電極端子15,15は、図1に示す駆動信号供給部6に対し、例えばワイヤーボンディング等により電気的に接続される。また、トーションバー12,12の軸方向と平行な可動部対辺部と対面する固定部11の外方には、一対の永久磁石16,16が、互いに反対磁極を対向して配置されており、この一対の永久磁石16,16は、トーションバー12,12の軸方向と平行な可動部対辺部の駆動コイル14部分に静磁界を作用させる。
【0020】
この電磁駆動式アクチュエータ10は、駆動信号供給部6から駆動コイル14に駆動信号として駆動電流(交流電流)を供給すると、駆動コイル14に流れる電流と永久磁石16,16の静磁界との相互作用により駆動力(ローレンツ力)が発生し、可動部13がトーションバー12,12回りに当該トーションバー12,12の捩れ量に応じて発生する弾性復元力に抗して回動する。ここで、駆動コイル14と一対の永久磁石16,16とで駆動力発生部が構成される。尚、永久磁石16,16に代えて電磁石を設けてもよい。また、前述したようにトーションバー12,12の軸を挟んで対向配置して一対のピエゾ素子(歪ゲージ)7a,7aと7b,7bが設けられている。
【0021】
次に、本実施形態の駆動装置101の動作について説明する。
前記波形メモリ1には、図5に示すように、予め設定される基本周波数foの鋸歯状波形の1周期(T=1/fo)分の波形データが格納されている。前記振幅演算部2は、入力する目標振れ角情報に基づいて波形メモリ1内の波形データを用いて生成される鋸歯状波形信号の振幅を演算し、可動部13を目標の振れ角で駆動できるような振幅を持つ鋸歯状波形の駆動信号を生成し出力する。前記振幅演算部2からのデジタル駆動信号は、D/A変換器3でアナログ駆動信号に変換されてローパスフィルタ4に入力される。
【0022】
図6は、前記鋸歯状波形信号のパワースペクトルを示し、この図6に示すように、鋸歯状波形の駆動信号には、可動部13の目標揺動周期に対応する基本周波数foの整数倍の高調波成分が含まれている。換言すれば、前記鋸歯状波形信号は、基本周波数foの正弦波に対し、整数倍の周波数の正弦波を合成することで生成される信号である。
【0023】
一方、アクチュエータ10の可動部13は、共振を起こす固有振動数を有している。このため、図6に示すように、例えば鋸歯状波形の駆動信号の高調波成分として、アクチュエータ10の可動部13の共振周波数frに一致する周波数の高調波成分を含むか、或いは、共振周波数frに近い周波数の高調波成分を含む場合、ローパスフィルタ4を設けずにD/A変換器3からの鋸歯状波形の駆動信号をそのまま駆動信号供給部6に与えると、駆動信号供給部6からの駆動信号により駆動される可動部13は共振振動を起こし、可動部13は、図7に示すように微小に振動しながら揺動動作する。尚、図7では、可動部13が水平状態にあるときを振れ角0度として表している。
【0024】
そこで、前記ローパスフィルタ4のフィルタ特性として、その遮断周波数fcを図8に示すようにローパスフィルタ4の共振周波数frよりも低い周波数に設定して駆動信号に含まれる共振周波数fr成分が減衰されるように設定する。この場合、可動部13の共振振動を後段のPID制御部5によるフィードバック制御によって最終的に抑制するので、ローパスフィルタ4のフィルタ特性の設定は、可動部13の共振振動がある程度抑制できるような設定とする。このため、アクチュエータ10の駆動初期では、可動部13は微小に振動しながら揺動し、可動部13の微小振動が振れ角センサ7で検出され、その検出信号値とローパスフィルタ4から出力される駆動信号値との偏差として現れる。この偏差に基づいてPID制御部5は、可動部13が目標位置に近づくようにローパスフィルタ4から出力される駆動信号値を調整し、駆動信号供給部6は調整された駆動信号に基づいてアクチュエータ10の駆動コイル14に駆動信号(交流電流)を供給する。これにより、駆動初期に生じる可動部13の微小振動が短時間で収束し、その後は、フィードバック制御により可動部13は目標位置を示す駆動信号に従って微小振動することなく安定に揺動動作するようになる。
【0025】
ここで、ローパスフィルタ19から出力される駆動信号波形は、ローパスフィルタ4で共振振動を発生させることがない高周波成分が減衰されるので、図9の円部分で示した駆動信号波形の上下端部(鋭角部)が丸まった波形となるが、ローパスフィルタ4のフィルタ特性の設定を、可動部13の共振振動がある程度抑制できるような設定とすることで、駆動信号波形の上下端部(鋭角部)の丸みが小さくなる。このため、ローパスフィルタ4から出力される鋸歯状の駆動信号波形の直線部分(図9に示す)が長くなる。そして、フィルタ部だけで可動部13の微小振動を抑制する従来装置の場合に比べて直線部分の長い波形の駆動信号値を目標位置として、PID制御部5によりフィードバック制御して最終的に可動部13の微小振動をなくす。
【0026】
かかる構成の駆動装置101によれば、アクチュエータ10の可動部13を駆動する場合に、ローパスフィルタ4で駆動信号から共振周波数fr付近の周波数の高調波成分を減衰した後、PID制御部5によるフィードバック制御によりローパスフィルタ4から出力される直線部分の長い鋸歯状波形の駆動信号値を目標位置として、最終的にフィードバック制御によりアクチュエータ10の可動部13の微小振動を抑制するから、図10図に示すように、可動部13を微小振動することなく円滑に揺動動作させることができる。しかも、駆動信号波形の直線部分が長くできるから、レーザプロジェクタに適用した場合にレーザ光を直線線的に走査できる領域が拡大でき画像解像度を向上できるようになる。
【0027】
上記第1実施形態では、フィルタ部としてローパスフィルタ4を用いたが、図11に示す第2実施形態のように、ローパスフィルタ4に代えて帯域除去フィルタを設ける構成としてもよい。
【0028】
図11に示す第2実施形態では、帯域除去フィルタとしてノッチフィルタ9を設ける構成であり、可動部13の共振周波数frを含む高周波帯域の周波数成分を、鋸歯状波形の駆動信号からある程度減衰するように、ノッチフィルタ9のフィルタ特性を設定する。ここで、ノッチフィルタ9のフィルタ特性を、図12に示すように、可動部13が共振振動する共振周波数frを中心とした所定の周波数帯域を減衰させるように設定するが、本実施形態では、従来のフィルタ部だけで可動部13の微小振動を抑制する構成の場合のフィルタ特性(図12中に破線で示す)に比べて、減衰させる周波数帯域を狭く、且つその減衰量も少なくなるようなフィルタ特性(図12中に破線で示す)に設定する。かかる設定とすることで、従来のフィルタ部だけで可動部13の微小振動を抑制する構成の場合と比較して、高調波成分を含む波形の駆動信号として鋸歯状波形信号の直線部分を長くできる。尚、図11において第1実施形態と同一部分には同一符号を付してある。
【0029】
上記各実施形態では、駆動信号の波形を鋸歯状波形としたが、鋸歯状波形に限定されるものではなく、可動部3の揺動駆動における基本周波数foの整数倍の高調波成分を含むことで生成される波形であれば良く、例えば、矩形パルス、三角波、台形波等であっても良いが、可動部3を一定速度で揺動させる場合には、鋸歯状波形の駆動信号を用いることが好ましい。
また、上記各実施形態では、アクチュエータ10を電磁駆動式のアクチュエータとしたが、駆動方式は、静電駆動式や圧電駆動式等の他の方式であってもよい。
【0030】
尚、上述の各実施形態では、波形メモリ1を用いて駆動信号の基本波形である鋸歯状波形を生成させるが、波形メモリ1に代えて鋸歯状波形を演算で生成する波形演算部を設ける構成としてもよい。前記波形演算部は、例えば図13に示すように、1クロック毎にカウント値を0から増大させ、カウント値が既定値(例えば1024)に達した時点で、カウント値を0にリセットし、再度、カウント値を0から1クロック毎に増大させる処理を繰り返し、前記カウント値をD/A変換することで鋸歯状波形を生成させるものである。尚、鋸歯状波形等の駆動信号の基本波形を演算で生成する方法としては、上記のカウント値を用いる方法に限定されるものではなく、公知の種々の方法を適用できる。
【0031】
次に、本発明に係るアクチュエータの駆動装置を、レーザ光をラスタ走査して画像を表示するレーザプロジェクタに適用した場合について説明する。
図14は、本発明に係るアクチュエータの駆動装置を適用したレーザプロジェクタの一例を示す概略構成図である。
図14において、レーザプロジェクタは、レーザ制御部21と、R.G.Bレーザ発光部22と、水平走査用アクチュエータ23と、この水平走査用アクチュエータ23の駆動装置である水平駆動波形生成部24及び駆動信号供給部25と、垂直走査用アクチュエータ26と、この垂直走査用アクチュエータ26の駆動装置である垂直駆動波形生成部27及び駆動信号供給部28と、同期信号生成部29と、を備えて構成される。
【0032】
前記水平走査用及び垂直走査用の各アクチュエータ23,26は、図4に示したアクチュエータ10の可動部13の例えば裏面に反射ミラー(図示せず)を設けて光走査用アクチュエータとしたものである。そして、前記垂直走査用アクチュエータ26の駆動装置として、前記第1及び第2実施形態に示した駆動装置101のいずれかを適用し、駆動信号供給部28が上記実施形態における駆動信号供給部6に対応し、駆動信号供給部6を除く駆動装置101の各構成が垂直駆動波形生成部27に備えられているものとする。
【0033】
次に、前記レーザプロジェクタの動作を説明する。
レーザ制御部21の発光指令により、R.G.Bレーザ発光部22内の3原色毎の発光素子を発光させる。
一方、水平走査用アクチュエータ23は、水平駆動波形生成部24で生成される正弦波状波形信号に基づいて、駆動信号供給部25から供給される駆動信号によって高速駆動される。
【0034】
そして、R.G.Bレーザ発光部22からのレーザ光が、水平走査用アクチュエータ23の反射ミラーに照射されることで、レーザ光は水平走査される。また、垂直走査用アクチュエータ26は、垂直駆動波形生成部27で生成される鋸歯状波形信号に基づいて、駆動信号供給部28から供給される駆動信号によって低速駆動される。前記水平走査用アクチュエータ23の反射ミラーからの反射光(水平走査光)は、垂直走査用アクチュエータ26の反射ミラーに照射され、レーザ光が垂直走査される。
【0035】
一方、両アクチュエータ23,26の各走査位置(可動部の振れ角)を、それぞれの振れ角センサ7で検出し、該振れ角センサ7による振れ角情報を同期信号生成部29に送信する。同期信号生成部29は、両アクチュエータ23,26の各走査位置に基づいて同期信号を生成して、レーザ制御部21に送信する。
【0036】
レーザ制御部21は、表示する画像データと前記同期信号とに基づいてR.G.Bレーザ発光部22の各発光素子の各発光タイミングを制御して、前記発光指令を適切なタイミングで発生する。これにより、水平走査用及び垂直走査用の各アクチュエータ23、26により、レーザ光をラスタ走査して画像30を表示する。
【0037】
このようなレーザプロジェクタの垂直走査用アクチュエータ26の駆動装置として、本発明に係る駆動装置101を適用すれば、垂直走査用アクチュエータ26の可動部の揺動動作中の微小振動を抑制できるので、レーザ走査光の揺らぎがなくなり、しかも、鋸歯状波形の駆動信号の直線部分を長くできるので、画像の解像度が向上すると共に画像サイズも大きくでき、大きな画像サイズで良好な画質の画像を表示できるようになる。
【0038】
上記実施形態では、本発明によるアクチュエータの駆動装置の適用例としてレーザプロジェクタを説明したが、本発明によるアクチュエータの駆動装置の適用はレーザプロジェクタに限らないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1 波形メモリ(信号生成部)
2 振幅演算部(信号生成部)
4 ローパスフィルタ(帯域除去フィルタ、フィルタ部)
5 PID制御部(フィードバック制御部)
6 駆動信号供給部
7 振れ角センサ(位置センサ)
7a,7b ピエゾ素子
9 ローパスフィルタ(フィルタ部)
10 アクチュエータ
11 固定部
12,12 トーションバー
13 可動部
14 駆動コイル(駆動力発生部)
16 永久磁石(駆動力発生部)
101 駆動装置
102 信号生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部にトーションバーを介して揺動可能に軸支した可動部と、該可動部を前記トーションバーの軸回りに揺動させる駆動力を発生する駆動力発生部とを備えるアクチュエータの駆動装置であって、高調波成分を含む波形の駆動信号から前記可動部が共振振動する共振周波数成分をフィルタ部で減衰し、前記フィルタ部で共振周波数成分が減衰された駆動信号を前記駆動力発生部に供給して前記駆動力を発生させる構成のアクチュエータの駆動装置において、
前記可動部の動きを検出する位置センサと、
該位置センサから出力される可動部の実際位置を示す信号値と前記フィルタ部から出力される可動部の目標位置を示す駆動信号値との偏差に基づいて、可動部が目標位置に近づくように前記駆動信号値を調整するフィードバック制御部と、
該フィードバック制御部で調整された駆動信号を前記駆動力発生部に供給して前記駆動力を発生させる駆動信号供給部と、
を備えて構成したことを特徴とするアクチュエータの駆動装置。
【請求項2】
前記フィードバック制御部は、
前記実際位置を示す信号値と前記目標位置を示す駆動信号値との偏差に比例して可動部が目標位置に近づくように前記駆動信号の比例制御分を設定する比例分設定部と、
前記実際位置を示す信号値と前記目標位置を示す駆動信号値との偏差に基づいて可動部が目標位置に近づくように前記駆動信号の積分制御分を設定する積分分設定部と、
前記可動部の実際位置を示す信号値の変化速度に基づいて前記駆動信号の微分制御分を設定する微分分設定部と、
前記比例制御分と積分制御分と微分制御分とを加算し当該加算値を駆動信号の調整値として前記駆動信号供給部に出力する加算部と、
を備えて構成した請求項1に記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項3】
前記フィルタ部が、前記高調波成分を含む波形の駆動信号を入力し、前記共振周波数成分を含む高周波帯域を減衰して出力するローパスフィルタで構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項4】
前記フィルタ部が、前記高調波成分を含む波形の駆動信号を入力し、前記共振周波数成分を含む所定の周波数帯域を減衰して出力する帯域除去フィルタで構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項5】
前記帯域除去フィルタがノッチフィルタであることを特徴とする請求項4記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項6】
前記高調波成分を含む波形の駆動信号が、鋸歯状波形の駆動信号であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、前記固定部、前記トーションバー及び前記可動部を半導体基板で一体形成して構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項8】
前記アクチュエータは、前記可動部に反射ミラーを備え、前記可動部を揺動駆動して前記反射ミラーに照射される光ビームの反射光を走査する光走査用アクチュエータであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項9】
前記アクチュエータは、反射光をラスタ走査する光デバイスの前記ラスタ走査における垂直走査用の光走査用アクチュエータであることを特徴とする請求項8記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項10】
前記光デバイスが、前記反射ミラーへの光ビームの照射を、画像データに基づいて制御して、前記画像データに対応する画像を表示するプロジェクタであることを特徴とする請求項9記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項1】
固定部にトーションバーを介して揺動可能に軸支した可動部と、該可動部を前記トーションバーの軸回りに揺動させる駆動力を発生する駆動力発生部とを備えるアクチュエータの駆動装置であって、高調波成分を含む波形の駆動信号から前記可動部が共振振動する共振周波数成分をフィルタ部で減衰し、前記フィルタ部で共振周波数成分が減衰された駆動信号を前記駆動力発生部に供給して前記駆動力を発生させる構成のアクチュエータの駆動装置において、
前記可動部の動きを検出する位置センサと、
該位置センサから出力される可動部の実際位置を示す信号値と前記フィルタ部から出力される可動部の目標位置を示す駆動信号値との偏差に基づいて、可動部が目標位置に近づくように前記駆動信号値を調整するフィードバック制御部と、
該フィードバック制御部で調整された駆動信号を前記駆動力発生部に供給して前記駆動力を発生させる駆動信号供給部と、
を備えて構成したことを特徴とするアクチュエータの駆動装置。
【請求項2】
前記フィードバック制御部は、
前記実際位置を示す信号値と前記目標位置を示す駆動信号値との偏差に比例して可動部が目標位置に近づくように前記駆動信号の比例制御分を設定する比例分設定部と、
前記実際位置を示す信号値と前記目標位置を示す駆動信号値との偏差に基づいて可動部が目標位置に近づくように前記駆動信号の積分制御分を設定する積分分設定部と、
前記可動部の実際位置を示す信号値の変化速度に基づいて前記駆動信号の微分制御分を設定する微分分設定部と、
前記比例制御分と積分制御分と微分制御分とを加算し当該加算値を駆動信号の調整値として前記駆動信号供給部に出力する加算部と、
を備えて構成した請求項1に記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項3】
前記フィルタ部が、前記高調波成分を含む波形の駆動信号を入力し、前記共振周波数成分を含む高周波帯域を減衰して出力するローパスフィルタで構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項4】
前記フィルタ部が、前記高調波成分を含む波形の駆動信号を入力し、前記共振周波数成分を含む所定の周波数帯域を減衰して出力する帯域除去フィルタで構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項5】
前記帯域除去フィルタがノッチフィルタであることを特徴とする請求項4記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項6】
前記高調波成分を含む波形の駆動信号が、鋸歯状波形の駆動信号であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、前記固定部、前記トーションバー及び前記可動部を半導体基板で一体形成して構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項8】
前記アクチュエータは、前記可動部に反射ミラーを備え、前記可動部を揺動駆動して前記反射ミラーに照射される光ビームの反射光を走査する光走査用アクチュエータであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項9】
前記アクチュエータは、反射光をラスタ走査する光デバイスの前記ラスタ走査における垂直走査用の光走査用アクチュエータであることを特徴とする請求項8記載のアクチュエータの駆動装置。
【請求項10】
前記光デバイスが、前記反射ミラーへの光ビームの照射を、画像データに基づいて制御して、前記画像データに対応する画像を表示するプロジェクタであることを特徴とする請求項9記載のアクチュエータの駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−55852(P2012−55852A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202988(P2010−202988)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】
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