説明

アクチュエータを有し皮下脂肪過多細胞から熱を除去する装置

【課題】患者の皮下脂肪過多細胞から熱を除去する治療装置であって、機械エネルギを組織に与える治療装置を提供する。
【解決手段】
与えられる機械エネルギは、低周波と超高周波との間にあるのが良い振動成分を含むのが良く、このようなエネルギは、所望の効果を皮下組織に与えるよう調整して設定された2つ又は3つ以上の周波数の種々の組み合わせを含むのが良い。外部治療装置によって冷却される脂肪組織の破壊を促進するには、機械エネルギを冷却状態の組織に与えるのが良い。さらに、機械エネルギは、振動効果、マッサージ効果、脈動効果又はこれらの組み合わせを組織に与えるのが良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概略的には、皮下の脂肪が過多な(lipid-rich)細胞から熱を除去する治療装置、治療システム及び治療方法に関し、詳細には、幾つかの実施形態は、アクチュエータ、例えば振動装置、空気圧装置及び(又は)マッサージ装置及び皮下脂肪過多細胞に影響を及ぼす少なくとも1つの治療ユニットを有する治療装置に関するが、これらには限られない。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2007年5月18日に出願された米国特許出願第11/750,953号明細書(発明の名称:METHOD OF ENHANCED REMOVAL OF HEAT FROM SUBCUTANEOUS LIPID-RICH CELLS AND TREATMENT APPARATUS HAVING AN ACTUATOR)の優先権主張出願であり、この米国特許出願の記載内容を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0003】
過剰な身体脂肪又は脂肪組織は、人の外観及び運動能力を損なう場合がある。過剰な脂肪組織が身体の種々の場所に存在する場合があり、このような場所としては、例えば、腿、臀部、腹部、膝、背中、顔面、腕及び他の領域が挙げられる。さらに、過剰な脂肪組織は、皮下脂肪が真皮中に入り込み、皮膚が下に位置する構造的線維ストランドに取り付けられる場所としての窪みを作ったときに生じるセルライトの魅力の無い外観を誇張すると考えられる。セルライト及び過剰量の脂肪組織は、魅力の無いものと考えられる場合が多い。さらに、相当な健康上の危険が、多量の過剰身体脂肪と関連している場合がある。したがって、過剰な身体脂肪を制御し又は除去する有効な手だてが必要である。
【0004】
吸引脂肪除去術は、人の体を「彫刻」するよう脂肪組織を選択的に除去する方法である。吸引脂肪除去術は、形成外科医又は皮膚科医が皮下脂肪組織を吸引により侵襲的に除去する専用の外科用器具を用いることによって実施される。脂肪吸引除去術の一欠点は、これが外科的処置であり、回復が有痛性であり時間がこのような場合があるということにある。さらに、このような外科的処置では、典型的には、腫脹性の麻酔薬の注入が必要であり、これは、一時的な紫斑と関連している場合が多い。吸引脂肪除去術は又、重度であり且つ場合によっては死に至る場合さえある合併症を引き起こす場合がある。更に、吸引脂肪除去術は、通常、かなり費用がかかる。吸引脂肪組織の除去のための他の話題になりつつある技術としては、メソセラピー(mesotherapy)、レーザ利用脂肪吸引除去及び高強度集束超音波が挙げられる。
【0005】
過剰な身体脂肪を除去する従来型の非侵襲的治療としては、典型的には、局所用剤、体重減少薬剤、規則正しい運動、ダイエット又はこれら治療の組み合わせが挙げられる。これら治療の一欠点は、これらが或る特定の環境下においては有効ではなく、それどころか可能でない場合がある。例えば、人が身体的に外傷を受けている場合又は病気である場合、規則正しい運動は、オプションとはならない場合がある。同様に、体重減少薬剤又は局所用剤は、これらによりアレルギー反応又は負の反応が生じる場合にはオプションではない。さらに、人の体の選択的な領域の脂肪減少は、一般的な又は全身的体重減少方法を用いては達成できない。
【0006】
他の非侵襲的治療方法としては、熱を脂肪過多細胞の一ゾーンに加えることが挙げられる。米国特許第5,948,011号明細書は、皮下脂肪層を輻射エネルギで加熱する一方で皮膚の表面を冷却することにより皮下身体脂肪及び(又は)コラーゲンを変質させることを開示している。加えられた熱は、コラーゲン組織で作られた線維性中隔を変性し、皮膚の下の脂肪細胞を破壊することができ、冷却は、表皮を熱的損傷から保護する。この方法は、吸引脂肪除去術よりも侵襲性が低いが、これにより依然として隣接する組織の熱的損傷が生じる場合があり、しかもこのような方法は、流通性であり且つ予測不可能である場合がある。
【0007】
皮下脂肪細胞を除去する別の方法は、例えば米国特許出願公開第2003/0220674号明細書及び同第2005/0251120号明細書に開示されているように、これら皮下脂肪細胞を冷却し又は選択的に除去し若しくは標的とする。なお、これら米国特許出願公開の開示内容全体を本明細書に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,948,011号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0220674号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0251120号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これら米国特許出願公開は、とりわけ、皮下脂肪組織の温度を低下させて、表皮及び他の周りの組織の細胞を損傷させないで、このような皮下脂肪組織に選択的に影響を及ぼす技術的思想を開示している。これら米国特許出願公開に開示された方法及び装置は、期待が持てるが、これら方法及び装置の具体化を促進するための幾つかの技術的改良が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
患者の皮下脂肪過多細胞から熱を除去する治療装置であって、機械エネルギを組織に与える治療装置が提供される。与えられる機械エネルギは、低周波と超高周波との間にある振動成分を含むのが良く、このようなエネルギは、所望の効果を皮下組織に与えるよう調整して設定された2つ又は3つ以上の周波数の種々の組み合わせを含むのが良い。外部治療装置によって冷却される脂肪組織の破壊を促進するには、機械エネルギを冷却状態の組織に与えることのが良い。さらに、かかく機械エネルギは、振動効果、マッサージ効果、脈動効果又はこれらの組み合わせを組織に与えるのが良い。
【0011】
図中、同一の参照符号は、ほぼ同じ要素又は行為を示している。図中の要素の大きさ及び相対位置は、必ずしも縮尺通りに示されていない。例えば、種々の要素の形状及び角度は、縮尺通りには描かれておらず、これら要素の中には、図面を分かりやすくするために恣意的に拡大されて配置されているものがある。さらに、図示されている要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関する情報を含むものではなく、図面を理解しやすくするために選択されているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に従って熱を皮下脂肪過多細胞から除去するシステムの等角図である。
【図2】本発明の実施形態による治療装置に用いられるアクチュエータの等角図である。
【図3】本発明の実施形態としての治療装置のフレームセグメントに結合された図2のアクチュエータの等角図である。
【図4A】本発明の実施形態としての治療装置に用いられるアクチュエータの等角図である。
【図4B】図4Aの治療装置の等角分解組立図である。
【図5】本発明の実施形態による図4のアクチュエータの実施形態の略図である。
【図6】本発明の変形実施形態による図4のアクチュエータの実施形態の略図である。
【図7】本発明の変形実施形態による図4のアクチュエータの実施形態の略図である。
【図8】本発明の実施形態に従って熱を皮下脂肪過多細胞から除去する治療装置の等角図である。
【図9】図8の治療装置の分解組立等角図であり、本発明の別の実施形態による治療装置の追加のコンポーネントを更に示す図である。
【図10】本発明の実施形態に従って熱を皮下脂肪過多細胞から除去する別の治療装置の等角平面図である。
【図11】図10の別の治療装置の等角底面図である。
【図12】本発明の別の実施形態に従って熱を皮下脂肪過多細胞から除去する治療装置の等角分解組立図である。
【図13】本発明の更に別の実施形態に従って熱を皮下脂肪過多細胞から除去する治療装置内に配置されたバイブレータの等角分解組立図である。
【図14】本発明の別の実施形態に従って熱を皮下脂肪過多細胞から除去するコンピュータ処理システムソフトウェアモジュールを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.概観
本明細書は、皮下脂肪組織を冷却する装置、システム及び方法に関する。「皮下組織」という用語は、真皮の下に位置する組織を意味し、主として脂肪過多細胞又は脂肪細胞で構成された皮下脂肪又は脂肪組織を含む。以下に説明する細部の幾つかは、当業者が以下の実施形態及び方法を実施し、構成し、そして利用することができるのに十分、このような実施形態及び方法を説明するために提供されている。しかしながら、以下に説明する細部及び利点の幾つかは、本発明の特定の実施形態及び方法を実施するのに必要であるとは言えない場合がある。更に、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内に属するが、詳細には説明されていない他の実施形態及び方法を含む場合がある。
【0014】
本明細書全体を通じて「一実施形態」又は「実施形態」という表現は、当該実施形態と関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味している。この結果、本明細書全体を通じて種々の場所に見られる「一実施形態では」又は「実施形態では」という表現は、必ずしも全て同一の実施形態を意味しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造又は特性を1又は2以上の実施形態で任意適当な仕方で組み合わせることができる。本明細書に記載された見出しは、便宜上のものであるに過ぎず、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲又は意味を制限するものでもなくこれを解釈するものでもない。
【0015】
本発明は、患者の皮下脂肪過多細胞から熱を除去する治療装置及びこのような装置を用いる方法に関する。治療装置は、機械エネルギを組織に与えるアクチュエータを有する。提供される機械エネルギは、低周波と超高周波との間に有る振動成分を含むのが良く、このようなエネルギは、所望の効果を皮下組織に与えるよう調整して設定された2つ又は3つ以上の周波数の種々の組み合わせを含むのが良い。例えば、一実施形態によれば、外部治療装置によって冷却される脂肪組織の破壊は、冷却された組織を振動させることによって促進可能である。すると、このような振動が、組織に及ぼされると、振動効果、マッサージ効果、脈動効果、これらの組み合わせ等を与えることができる。
【0016】
熱を皮下脂肪過多細胞から除去する治療装置の幾つかの実施形態は、少なくとも1つのアクチュエータ及び治療ユニットを有する。アクチュエータは、直接治療ユニットに連結されても良く、或いは、治療ユニットのハウジングに取り付けられても良い。変形例として、治療装置は、治療ユニットを収容した可撓性基板を更に有しても良く、アクチュエータは、この可撓性基板に連結される。アクチュエータは、機械エネルギを組織に提供することができる。これは、多種多様な仕方で実施でき、例えば、漸変する機械エネルギ、例えば振動エネルギをアクチュエータにより与えることができる。代替的に又は追加的に、組織は、漸変空気圧で直接操作されても良い。アクチュエータは、偏心重りを備えたモータ又はエネルギを治療部位に与える他の振動モータ、例えば油圧モータ、電気モータ、ソレノイド、他の機械式モータ又は圧電振動機を含むのが良い。治療ユニットは、多数の冷却技術を用いるのが良く、このような冷却技術を用いるのが良く、このような冷却技術としては、例えば、熱電冷却器、再循環冷却流体、蒸気圧縮要素又は相変化極低温装置が挙げられる。当業者であれば認識されるように、治療ユニット及び機械式装置が本明細書において説明される治療ユニット及び機械式装置に限定される必要がないように用いることができる多くの他の冷却技術及び機械式運動技術が存在する。
【0017】
治療装置の別の実施形態は、複数の相互に連結されているヒンジ止め又は結合されたセグメントの少なくとも1つに結合された1つ又は2つ以上のアクチュエータを有するのが良く、ヒンジ止め又は結合されたセグメントにより、治療装置は、形状が身体部分に一致することができる。1つ又は2つ以上のアクチュエータは、相互に連結されているヒンジ止め又は結合されたセグメントの任意の部分に剛性的に取り付けられ又は解除自在に結合可能である。変形例として、1つ又は2つ以上のアクチュエータは、治療ユニットを更に有する可撓性基板上に設けられても良く又はこの中に埋め込まれても良い。
【0018】
さらに別の実施形態では、治療装置は、治療中、運動の漸変強度、振動数、場所及び(又は)持続時間を提供するよう制御可能な1つ又は2つ以上のアクチュエータを有する。運動プロフィール(変化図又は分布図)は、例えば、あらかじめ選択された又は制御された期間にわたり運動を治療装置の選択された領域に沿って提供するよう作成されるのが良い。変形例として、運動プロフィールは、例えば、増大した強度の期間を提供するよう作成されても良い。他の実施形態では、運動プロフィールは、所定のパターンに従って、治療中、減少し又は増大する強度を提供するよう経時的に変化しても良い。さらに別の実施形態では、互いに異なるアクチュエータが、2つのアクチュエータ相互間で又は3つ以上のアクチュエータ相互間で互いに異なる形式の運動又は漸変する強度、振動数、場所及び(又は)持続時間の運動を同時に提供しても良く、或いは、アクチュエータの中には、治療全体にわたって非動作状態にされるものがあれば、漸変パターンで作動状態にされているものがあっても良い。
【0019】
以下に開示する追加の実施形態は、治療装置を適用し、機械エネルギを1つ又は2つ以上のアクチュエータから標的細胞に与えることにより脂肪過多細胞に影響を及ぼす方法に関する。アクチュエータは、組織に与えられる機械エネルギを提供するのが良い。機械エネルギの振動数及び振幅に応じて、機械エネルギは、機械エネルギを治療装置を介して又はこれと関連して患者に送る作用効果、例えば振動効果、マッサージ効果、脈動効果又はこれら任意の組み合わせを生じさせることができる。このような方法の一実施形態は、治療装置を所望の形態で配置するステップと、治療ユニットの熱交換面を所望の温度まで冷却するステップと、冷却された熱交換面を患者の皮膚の近くに配置するステップと、機械エネルギを組織に与えるアクチュエータを作動させるステップと、標的領域の温度を減少させてこの領域中の脂肪過多細胞が影響を受ける一方で、この領域中の非脂肪過多細胞が全体として影響を受けないようにするステップとを有する。変形例として、アクチュエータ及び治療ユニットは、可撓性基板上に設けられると共に(或いは)この中に設けられても良い。
【0020】
本発明の別の実施形態は、熱を皮下脂肪過多細胞から除去するシステムに関する。このシステムの一実施形態は、治療装置を有し、この治療装置は、そのヒンジ、フレーム、基盤又は他の部分に結合された1つ又は2つ以上のアクチュエータを有する。アクチュエータは、正圧及び負圧を含む機械的運動を患者の皮膚に及ぼすよう構成されており、例えば、アクチュエータは、患者の組織を治療装置から引き離すと共に(或いは)患者の組織を治療装置に押し近付けるための空気圧的特徴、例えば真空を含むのが良い。別の実施形態では、アクチュエータは、治療装置を介して患者の皮膚に送られた機械的振動を提供する振動装置を有するのが良い。さらに別の実施形態では、アクチュエータは、機械エネルギをもたらしてマッサージ効果を生じさせても良く、かくして、機械的マッサージが標的領域に施される。治療装置は、患者の皮膚の近くに配置されると、標的領域の温度を減少させてこの領域中の脂肪過多細胞が影響を受ける一方で、表皮及び(又は)真皮中の非脂肪過多細胞が全体として影響を受けないようにすることができる。
【0021】
B.脂肪過多細胞をより効果的に選択的に減少させるシステム
図1は、患者101の皮下脂肪過多細胞から熱を除去する治療システム100の一実施形態の等角図である。システム100は、アクチュエータ105を含む治療装置104を有するのが良い。治療装置104は、患者101の皮下脂肪過多細胞を冷却する、即ちこれから熱を除去するために例えば患者101の腹部領域102又は別の適当な領域に配置されるのが良い。以下、図2〜図12を参照して、治療装置100への種々の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
システム100は、治療ユニット106′及び治療装置104と流体源106との間の送り及び戻り流体ライン108a,108bを更に有するのが良い。流体源106は、熱を冷却剤からヒートシンクに移すことができ、流体ライン108a,108bを介して冷却状態の冷却剤を治療装置104に提供することができる。循環冷却剤の例としては、水、グリコール、合成熱伝達流体、油、冷媒として及び(又は)任意他の適当な伝熱流体が挙げられる。流体ライン108a,108bは、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン及び(又は)特定の循環冷却剤を受け入れることができる他の材料で作られたホース又は他の導管であるのが良い。治療ユニット106′は、冷凍ユニット、冷却塔、熱電式冷凍機又は熱を冷却剤から除去することができる任意他の装置であるのが良い。変形例として、都市上水道(即ち、水道水)を治療ユニットに代えて用いても良い。
【0023】
以下に詳細に説明するように、治療装置104は、少なくとも1つのアクチュエータ105及び少なくとも1つの治療ユニットを有する。治療ユニットは、ペルチェ型熱電素子であるのが良く、治療装置104は、特注の空間冷却プロフィール及び(又は)時間変化冷却プロフィールを生じさせる複数の個々に制御される治療ユニットを有するのが良い。システム100は、電源110及び治療装置104及びアクチュエータ105に作動的に結合された処理ユニット114を更に有するのが良い。一実施形態では、電源110は、熱を患者101から除去するために直流電圧を熱電治療装置104及び(又は)アクチュエータ105に印加する。処理ユニット114は、電力ライン116を介して治療装置104の近くに配置されたセンサ(図示せず)によりプロセスパラメータをモニタして、とりわけ、プロセスパラメータに基づいて熱除去量を調節することができる。処理ユニット114は、更に、プロセスパラメータをモニタしてプロセスパラメータに基づいてアクチュエータ105を調節することができる。処理ユニット114は、図1に示されているように電線112を介して治療装置104と直接的な通電状態にあるのが良く、変形例として、処理ユニット114は、ワイヤレスにより又は光通信リンクにより治療装置(及び(又は)以下に説明するようにシステム100の任意の数の他のコンポーネント)に結合されても良い。処理ユニット114は、任意のプロセッサ、プログラマブルロジックコントローラ、分散型制御システム等であるのが良い。電力ライン116及び電線112は、支持構造体が全く無い状態で図1に示されている。変形例として、電力ライン116及び電線112(並びに流体ライン108a,108bを含む(これらには限定されない)を含む他のライン)を導管等の状態に束にしても良く、又は導管等に同伴させても良く、それによりこのようなラインを保護し、ユーザの安全性及び人間工学的快適さを高め、望ましくない運動(及びかくして患者101からの熱の潜在的に非効率的な除去)を最小限に抑えると共に見栄えの良い概観をシステム100に与えても良い。このような導管の例としては、柔軟性のポリマーシース、布シース又は複合材シース、調節可能なアーム等が挙げられる。このような導管は、導管を患者101の治療のために定位置に「設定」するよう構成される(調節可能な継手等により)のが良い。
【0024】
別の態様では、処理ユニット114は、入力装置118、出力装置120及び(又は)制御パネル122と通電状態又は他の連絡状態にあるのが良い。入力装置118は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、押しボタン、スイッチ、ポテンショメータ、これらの任意の組み合わせ及びユーザ入力を受け取るのに適した任意他の1つの装置若しくは複数の装置であるのが良い。出力装置120としては、ディスプレイスクリーン、プリンタ、メディアリーダ、音声装置、これらの任意の組み合わせ及びユーザフィードバックをもたらすのに適した任意他の1つの装置又は複数の装置が挙げられる。制御パネル122としては、視覚表示装置又は制御装置(灯、数値ディスプレイ等)及び(又は)音声表示装置又は制御装置が挙げられる。変形実施形態では、制御パネル122は、治療装置104に収納されても良く、これに取り付けられても良く、或いはこれと一体であっても良い。図1に示されている実施形態では、処理ユニット114、電源110、制御パネル122、治療ユニット106′、入力装置118及び出力装置120は、運ぶことができるようにするために車輪126を備えたラック又はカート124によって支持されている。変形実施形態では、処理ユニット114は、治療装置104及び(又は)アクチュエータ105内に収納され、これに取り付けられ又はこれと一体であっても良い。さらに別の実施形態では、種々のコンポーネントが治療部位のところに固定的に取り付けられても良い。
【0025】
C.治療装置用のアクチュエータ
図2、図3及び図4は、システム100に用いられるのに適した治療装置104用のアクチュエータ105の実施形態の等角図である。アクチュエータは、振動効果、マッサージ効果及び(又は)脈動効果を生じさせるよう機械エネルギをもたらすことができる。アクチュエータは、偏心重りを備えたモータ又はエネルギを治療部位に与える他の振動モータ、例えば油圧モータ、電気モータ、ソレノイド、他の機械式モータ又は圧電振動機を含むのが良い。別の実施形態は、単一の治療装置104と関連して任意所望の組み合わせで用いられる複数のアクチュエータ105を含む。例えば、偏心重りアクチュエータは、1つの治療装置104と関連するのが良く、空気圧モータは、同一の治療装置の別の部分と関連するのが良い。これは、例えば、治療システム100のオペレータに患者101の単一の領域又は多数の領域中の脂肪過多細胞の種々の治療のオプションを与える。治療装置104への1つ又は2つ以上のアクチュエータ及び種々の組み合わせ及び形態のアクチュエータ形式の使用は、本発明の全ての実施形態について可能である。
【0026】
D.アクチュエータを例えば振動装置として有する治療装置
図2は、機械的振動効果、脈動効果及び(又は)サイクル動作効果を生じさせるよう偏心重り151を有するモータ150を備えたアクチュエータ105を示している。電力が電力ライン152を介してモータ150に供給される。変形例として、モータ150は、電池式のものであっても良く、或いは、電気プラグを有しても良い。変形例として、当該技術分野において知られているように油圧装置、電気装置、電気機械装置、ソレノイド又は機械装置を用いた機構体により振動、脈動及び(又は)サイクル動作を生じさせても良い。図3は、本明細書によって更に説明するように治療装置104の選択された部分に取り付けられた図2のモータ150を示している。
【0027】
一実施形態によれば、アクチュエータ105は、ねじ154又は他の機械的固定装置によって治療装置104のハウジング156に取り付けられ、治療装置104を介して機械エネルギを患者の皮膚に送るように構成されている。変形例として、アクチュエータ105は、治療装置104を介して機械エネルギを患者の皮膚に送るよう治療装置104の近くの場所に紐で取り付けられても良い。さらに別の実施形態によれば、アクチュエータ105は、治療装置104に組み込まれても良く、それにより機械エネルギをもたらすアクチベータを備えた一体形治療装置が提供される。
【0028】
変形実施形態によれば、治療装置104は、複数のヒンジに機械的に結合された複数のリンク及び隣接するリンクを介して機械振動エネルギを皮膚に送る単一のアクチュエータを有する。変形例として、アクチュエータは、2つ以上のリンクに組み込まれても良く、或いは、複数のアクチュエータが単一の治療装置に用いられても良い。
【0029】
モータ150の特定の実施形態では、偏心重りは、真鍮から機械加工により作られた重りであるのが良く、変形例として、重りは、鋼、アルミニウム、これらの合金、高密度ポリマー材料又は任意他の相対的に高密度の材料で作られても良い。別の実施形態によれば、用いられるモータは、ブラシありDCモータであり、変形例として、電気モータ又は当該技術分野において知られている重りを回転させる任意他の手段を用いても良い。
【0030】
アクチュエータ105は、回転偏心重りを有する必要はなく、その代わりに、他の実施形態は、漸変又は脈動エネルギを生じさせる電気コイル等を有しても良い。電気コイルは、例えば、ソレノイド、振動アーマチュア又はボイスコイルを含むのが良い。ソレノイドを用いた実施形態によれば、コイルは、鋼又は鉄アーマチュアを動かす磁界を生じさせるよう付勢される。アーマチュアは、重り又は塊状態に取り付けられるのが良く、このアーマチュアは、パルスを生じさせるようハードストップ内に駆動されるのが良い。ハードストップが皮膚に装着された装置に機械的に結合される場合、このエネルギは、組織中に送られる。機械エネルギを脂肪過多細胞に与えてマッサージ効果又はマッサージのような効果を生じさせるこの方法は、低振動数且つ高衝撃エネルギに適しているが、必ずしもこれには限定されない。
【0031】
振動アーマチュア又はボイスコイルの特定の実施形態は、アーマチュアを前後に動かし又は振動させるよう交流電流により駆動されるコイルを有する。この運動の慣性は、脂肪過多細胞に対する振動効果を促進するためのアクチュエータを提供するようリンクを介して組織中に送られるのが良い。
【0032】
さらに別の実施形態によれば、機械的力は、ウォーターハンマ(水撃作用)を用いてマッサージ又はマッサージのような効果を生じさせることができる。水又は熱電式冷却器を冷却するのに適した他の多くの熱伝達流体の任意のものは、相当な質量を有する場合があり、これら流体は、それに見合って相当大きな運動量を有する場合がある。例えばソレノイド弁を流体ライン中に配置し、流路を閉鎖することによりこのような流体の流れを迅速に止めることによって、適切に設計されているシステムは、流体の運動量を治療装置104に、そして組織中に送る。この実施形態の種々の態様によれば、このようなウォーターハンマー又はこれに類似した運動量移送装置は、低振動数に適している。さらに、このような装置は、熱伝達量を減少させることができ、これは、或る特定の用途にとって望ましい場合がある。
【0033】
作用を説明すると、図2に示されているモータ150は、偏心重りを回転させて機械エネルギを生じさせる。モータは、治療装置104に、例えば図3に示されているように治療装置104のハウジング156にしっかりと取り付けられている。脈動、サイクル動作及び振動効果を生じさせる機械エネルギは、偏心重りが回転しているときに生じる遠心力によって及ぼされ、それにより漸変又は脈動機械エネルギが生じる。このエネルギは、治療装置104を介して患者の皮膚及びその下の組織に伝達される。振動数を増大させるには、重りの回転速度を増大させるのが良い。また、振動数が高いと、加えられる振動の力が増大する。一実施形態によれば、マッサージの頻度(又は振動数)は、約0.1Hz〜約50MHz、より好ましくは約200Hz〜約400Hzであり、変形実施形態によれば、マッサージの頻度(又は振動数)は、これよりも高くても低くても良い。モータ150は、受動型又は能動型防振材料(図示せず)を更に有するのが良い。重りの各回転中に及ぼされる力を増大させるには、例えば、重りの質量を増大させ又は重りの重心とその回転軸線との間の距離を増大させるのが良い。同様に、例えば、重りの質量を減少させ又は重りの重心とその回転軸線との間の距離を減少させることにより、重りの各回転中に加えられる力を減少させることができる。適当な力は、モータ150が取り付けられるハウジング156又は治療装置104の他のコンポーネントの質量で決まる。実施形態によれば、一層どっしりとしたハウジング組立体は、ハウジング156を介して振動力を治療装置104が装着されている組織中に伝えるようよりどっしりとした偏心重りを必要とする。
【0034】
図2に示されているようなアクチュエータの図示の実施形態により、コンパクト且つ比較的低電力のアクチュエータ105を治療装置104のリンク組立体の1つ又は2つ以上に結合することができる。アクチュエータ105を治療装置104に結合することにより、必ずしもアプリケータを取り外すことなく、機械エネルギを冷却プロセス又は加熱プロセス中の任意の時点で加えることができる。変形例として、アプリケータを取り外し、アクチュエータ、例えば市販のマッサージ装置を組織に適用しても良く或いは組織を手動でマッサージしても良い。
【0035】
更に、図示の実施形態は、機械的マッサージ又は振動を介して脂肪組織に対して虚血性再灌流による損傷の加速及び促進を可能にすることができる。さらに、アクチュエータと治療装置の図示の実施形態は、互いに組み合わさって、結晶化脂肪細胞を破壊し、更に脂肪過多細胞に影響を及ぼす能力を向上させることができる。
【0036】
E.アクチュエータを例えば真空装置として有する治療装置
図4A及び図4Bは、冷却前、冷却中及び(又は)冷却後に真空を患者の組織に適用するために治療装置に用いられるのに適した真空装置160を示している。図3を参照して説明したように、この実施形態では、真空装置160として示されたアクチュエータ105は、真空装置160に取り付けられた治療ユニット408a,408bを有するのが良い。真空装置160は、機械エネルギを治療領域に提供することができる。例えば、真空を患者の組織に繰り返し適用したり解除したりすることにより、機械的振動エネルギを患者の組織に与えることによって、マッサージ作用が生じる。変形例として、当該技術分野で知られているマッサージ装置を用いて脂肪過多細胞に対する所望の効果を促進しても良い。図5〜図7は、真空装置160の実施形態の略図を示している。
【0037】
本明細書において説明するように、マッサージを治療装置105に組み込む技術としては、差圧を利用して皮膚を熱により制御される1枚又は複数枚のプレートに引き付けることが挙げられる。例えば図4A及び図4Bに示されている真空装置160のようなアクチュエータでは、真空ライン162を真空装置160に連結するのが良い。作用を説明すると、空気を真空装置160内のチャンバから排出することにより、差圧が生じ、この差圧により患者の皮膚及び皮下組織のひだが真空装置160のリザーバ430内で引き上げられて治療ユニット408a,408bに引き付けられる。
【0038】
真空装置160は、治療中、患者の組織を受け入れるリザーバ430を備えている。真空装置160は、真空装置160の互いに反対側に位置決めされた治療ユニット408a,408bを更に有するのが良い。変形例として、治療ユニット408a,408bは互いに隣接して位置しても良い。さらに、真空装置160は、単一の治療ユニットを有しても良く、或いは、3つ以上の治療ユニットを有しても良い。図4Bの例に示されているように、治療ユニット408a,408bの一方又は両方は、熱を患者101に送ったりこれから奪ったりする熱交換インタフェース420を有するのが良い。凍結保護物質又は結合剤(図示せず)を熱交換インタフェース420に塗布して、温度が水の凝固点(0℃)の付近又はこれよりも低い温度まで減少したときに氷が熱交換インタフェース上に生じるのを阻止するのが良い。一実施形態では、熱交換インタフェース420は、全体として平らであるが、他の実施形態では、熱交換インタフェース420は、平らではない(例えば、湾曲しており、フェーセット付き等である)。インタフェース420は、熱伝導率が0.05ワット/メートルKよりも大きな任意適当な材料で作られるのが良く、多くの実施形態では、熱伝導率は、0.1ワット/メートルKを超える。適当な材料の例としては、アルミニウム、他の金属、金属合金、黒鉛、セラミック、幾つかのポリマー材料、複合材又は可撓性メンブレン内に収納された流体が挙げられる。熱交換要素420の幾つかの部分は、熱伝導率が約0.05ワット/メートルK以下の断熱材料であっても良い。
【0039】
熱交換インタフェース420は、熱交換インタフェース420の近くに設けられた少なくとも1つの検出要素(図示せず)を更に有するのが良い。検出要素は、例えば、熱交換インタフェース420と全体として面一をなすのが良い。変形例として、検出要素は、表面から引っ込んでいても良く又はこれから突き出ても良い。検出要素としては、温度センサ、圧力センサ、透過率センサ、生体抵抗センサ、超音波センサ、光センサ、赤外線センサ、血液の流量を測定するセンサ又は任意他の所望のセンサが挙げられる。一実施形態では、検出要素は、熱交換インタフェース420の温度及び(又は)患者の皮膚の温度を測定するよう構成された温度センサであるのが良い。例えば、温度センサは、測定中、皮膚を穿刺するプローブ又は針として構成されるのが良い。適当な温度センサの例としては、熱電対、抵抗式温度センサ装置、サーミスタ(例えば、中性子変換ドープトゲルマニウムサーミスタ)及び赤外線式温度センサが挙げられる。別の実施形態では、検出要素は、患者の脂肪層の厚さ又は患者の治療部位中の皮下脂肪の結晶化を測定するよう構成された超音波センサであるのが良い。さらに別の実施形態では、検出要素は、例えば治療に対する表皮の生理学的反応を検出するために治療領域の画像をモニタするよう構成された光センサ又は赤外線センサであるのが良い。さらに別の実施形態では、検出要素は、血液の流量を測定する装置であるのが良い。検出要素は、例えばダイレクトワイヤード接続方式、ネットワーク化接続方式及び(又は)ワイヤレス接続方式により処理ユニット114と通電状態に有るのが良い。
【0040】
真空装置160は、治療ユニット408a,408bを真空装置160に結合する取り付け要素406を更に有するのが良い。取り付け要素406は、例えば、ブラケット、フレーム又は他の適当な取り付け具であるのが良い。治療ユニット408a,408bは、カバー401を備えたヒートシンク402、ヒートシンク402と熱交換インタフェース420との間に設けられた熱電冷却器を有するのが良い。熱電冷却器404は、単一のペルチェ型要素であっても良く、複数のペルチェ型要素であっても良い。適当な熱電冷却器の1つは、ミシガン州トラバースシティ所在のティーイー・テクノロジー・インコーポレイテッド(TE Technology, Inc.)により製造されたペルチェ型熱交換要素(モデル番号CP‐2895)である。
【0041】
図示の実施形態では、ヒートシンク402は、少なくとも部分的にヒートシンク402内に埋め込まれた曲がりくねった形状の流体導管を有する。図示の実施形態では、ヒートシンクは、流体ライン108a,108bを介して循環流体源(図示せず)に結合可能な流体ポート410a,410bを有する。他の実施形態では、ヒートシンク402は、プレート型熱交換器、多管式熱交換器及び(又は)他形式の熱交換器装置を有するのが良い。
【0042】
差圧を生じさせることができる任意のポンプ(図示せず)によって真空圧を供給するのが良い。空気圧力を真空源とアプリケータとの間に設けられた調整器により制御しても良く、或いは、圧力をポンプの最大容量まで減少させても良い。例えば、ポンプのすぐ下流側に調整器を有するシステムは、適当な最大圧力容量を備えたポンプをサイズ変更することにより調整器を無くすよう設計されている。一実施形態によれば、約5インチ(12.7cm)Hgの真空が適用され変形実施形態では、これよりも高い又は低いレベルの真空が適用される。この実施形態では、真空レベルが低すぎる場合、組織は、真空装置160のリザーバ430内に適切には引き込まれず(全く引き込まれず)、真空レベルが高すぎる場合には、患者に対する望ましくない不快感及び(又は)組織損傷が生じる場合がある。
【0043】
真空装置160の内部で2つの互いに異なる真空レベルを交互に用いることにより、組織に加えられる力は、それに伴って増減し、それにより組織に対するマッサージ作用の効果が生じる。これは、例えば、最小真空レベルが組織を真空装置160内に引き込まれた状態に保ち、そして高い真空レベルが適用されたときには組織を真空装置160内に一段と引き込むのに十分に高いようにすることによって達成できる。組織がアプリケータ内に可能な限り最も大きな程度まで引き込まれた場合、アプリケータの壁と組織との間の摩擦は、組織をその全体的位置に維持することができ又は組織がこのような位置を維持するのを助けることができる。所望の振動数での真空レベルの変化は、組織を脈動させ、真空にさらされている組織の領域を真空装置160内の交互に存在する位置に動かす。これは、1つには、組織をリザーバ430の密封面を越えて引っ張ってリザーバ430内に引き上げるのに高い差圧が必要であるので可能であるが、組織が定位置にいったん引かれると、組織を定位置に保持するのに必要な力(及びそれ故に真空レベル)は低い。この実施形態では、低い真空レベル(周囲圧力に近い真空レベル)は、非常に低い場合があり、潜在的に、1インチ(2.54cm)のHg以下という低さである。高いパルス化圧力は、2インチ(5.08cm)の水銀柱以上の真空である場合がある。作用に当たり、2つの真空レベル相互間の差を増大させると、マッサージ力が増大する。さらに、2つの圧力相互間のサイクル速度を増大させると、マッサージ振動数が増大する。したがって、組織を約0.1Hz以下〜10Hz以上の範囲で脈動させることができる。また、組織を真空装置リザーバ430内に引き込んで交互の真空レベルが適用したときに組織位置をリザーバ430内で比較的一定に保ちながら組織にマッサージ効果又は脈動効果を与えるのに十分2つの真空レベル(及び場合によっては他のパラメータ、例えば振動数)等を選択することが可能である。これは、例えば、組織に加えられる真空レベル相互間の相対的な差を減少させるが、低い真空レベルを、組織が治療中、真空装置160のリザーバ430内に引き込まれた状態に保つのに十分高く保つことによって達成できる。
【0044】
この空気圧によるマッサージ作用を生じさせる一方法は、変速ポンプによる。圧力フィードバックを用いてポンプ速度を制御することにより、ポンプを電子的に2つの互いに異なる真空レベル相互間で制御することができる。この実施形態によれば、ポンプの速度を変化させるのに要する時間には機械的な遅れが存在し、したがって、この実施形態は、本明細書において説明する他の実施形態の幾つかと同じほど高い振動数でパルス化することができない場合がある。さらに別の実施形態によれば、大径ピストンが治療装置104に結合され、このピストンは、システム中に圧力波を生じさせるよう空気圧の作用か機械的作用かのいずれかによって前後に駆動される。
【0045】
図5に示された変形実施形態では、2つの調整器を互いに切り替えるのに、1つのポンプ、2つの調整器及び三方弁が用いられる場合がある。変形実施形態は、例えば、高真空調整器を取り外し又は調整器の前に三方弁を動かすことによって構成できる。さらに別の実施形態では、三方弁に代えて、2つの2位置弁を用いても良い。この実施形態によれば、弁は、ソレノイド弁であるが、別の実施形態によれば、空気圧制御弁を用いても良い。
【0046】
変形例として、図6に示されているように、2つのポンプ及び2つの調整器を用いても良い。この実施形態の態様によれば、このシステムの動的応答は、向上する。さらに、この実施形態は、オプションとして、空気圧シリンダに結合可能であり、それにより、システムの空気圧応答が向上すると共に高いマッサージ振動数が得られる。さらに別の実施形態によれば、調整器を取り外してポンプがこれらの最大圧力容量に合わせて動作することができるようにしても良い。他の実施形態は、調整器がこれらポンプに対して又は種々の形式の調整器を用いるポンプに対して種々の位置を取るシステムを含む。
【0047】
図7に示されているように、弁及び背圧調整器をシステムに組み込むのが良い。作用を説明すると、弁を開くと、システム内の圧力は、調整器によって設定された圧力まで減少する。別の実施形態によれば、調整器を取り外して弁を処理ユニット114で制御しても良い。さらに、弁を開き、オリフィス100(図示せず)を通って空気を抜いて流量を制限するのが良い。圧力変換器によって測定して圧力下限に達すると、弁を閉じるのが良く、システムを高い真空圧まで戻す。この実施形態の一利点は、圧力逃しが非常に迅速に生じ、かくして利点のうちとりわけ、高いマッサージ振動数が得られる可能性があるということである。
【0048】
治療装置104と組み合わせたアクチュエータ105の図示の実施形態は、外部皮膚治療装置によって冷却された脂肪組織の破壊を促進することができる。さらに、図示の実施形態では、治療時間を短縮し、患者に対する不快感を減少させ、しかも治療の効能を高めることができる。例えば、変形実施形態では、真空装置160は、この中に引き込まれた組織に対して振動効果、脈動効果又はマッサージ効果を与えずに使用でき、更に適切に言えば、真空は、静的に組織を真空組織160のリザーバ430内に引き込んで、治療の全持続時間の一部分の間又はその全体にわたって冷却を行いながら組織をリザーバ430内に保持することができ、冷却治療プロトコルは完了したときにのみ組織が解除される。何らかの特定の理論により本発明の範囲を限定するものではないが、考えられることとして、真空装置のリザーバ430内への引き込み中、リザーバ430内に引き込まれない組織(例えば、下に位置する血管構造、筋肉等)の下に通常位置する組織の熱的質量からの表皮の下に位置する標的皮下脂肪組織の相対的な物理的隔離とリザーバ430内に引き込まれた組織を通る血液循環量の減少は、脂肪過多細胞の効果的な温度低下を可能にし、その結果、脂肪過多細胞は、実質的に影響を受け入れ、他方、表皮中の非脂肪過多細胞は、実質的には影響を受けない。これは、治療の効能を増大させると共に(或いは)治療時間を減少させるという利点を有する場合がある。
【0049】
F.複数の治療ユニットを備えた治療装置
図8は、アクチュエータ105に用いられる治療装置800の特定の実施形態としての治療装置800の等角図である。この実施形態絵では、治療装置800は、制御システムハウジング202及び治療ユニットハウジング204a〜204gを有している。アクチュエータ105は、制御システムハウジング202又は治療ユニットハウジング204a〜204gに結合され、取り付けられ、又は収納されるのが良い。制御システムハウジング202は、カラー310内に摺動することができると共に(或いは)機械的に治療ユニットハウジングに取り付け可能なスリーブ308(図9)を有している。アクチュエータ105は、更に、スリーブ308に結合可能であり、取り付け可能であり又はこの中に収納可能であり、若しくはこれを包囲するのが良い。
【0050】
治療ユニットハウジング204a〜204gは、取り付け装置206によって熱交換要素(図示せず)に連結されている。取り付け装置は、任意の機械的取り付け装置、例えば当該技術分野において知られているねじ又はピンであるのが良い。複数の治療ユニットハウジング204a〜204gは、多くの互いに類似した特徴を有するのが良い。したがって、以下では、第1の治療ユニットハウジング204aの特徴については、記号“a”を付けた参照符号で説明し、第2の治療ユニットハウジング204bの対応の特徴については、“b”を付けた同一の参照符号で示す共に説明し、以下同様である。治療ユニットハウジング204aは、ポリマー材料、金属、セラミック、木材及び(又は)他の適当な材料で構成可能である。図2A〜図2Cに示された治療ユニットハウジング204aの例は、全体として長方形であるが、任意他の所望の形状のものであって良い。
【0051】
制御システムハウジング202は、アクチュエータ105及び(又は)治療装置800を制御する処理ユニット及び(又は)流体ライン108a,108b及び(又は)電力ライン及び通信ラインを収容するのが良い。制御システムハウジング202は、電気ライン及び供給流体ライン(分かりやすくする目的で示されていない)のためのハーネスポート210を有する。制御システムハウジング202は、更に、治療装置800のユーザのための取っ手としての役目を果たすよう構成されているのが良い。変形例として、複数のアクチュエータ(図示せず)を治療ユニットハウジングセグメント204a〜204gの任意の1つに取り付けても良い。
【0052】
図8に示されているように、治療装置800は、治療装置800の各端部のところに位置し、フレーム304に結合された保持装置208a,208bを更に有するのが良い。本発明の実施形態によれば、アクチュエータ105は、更に、保持装置208a,208bに結合されるのが良い。保持装置208a,208bは、保持装置結合要素212a,212bによりフレームに回転可能に連結されている。保持装置結合要素212a,212bは、例えば、ピン、ボールジョイント(玉継手)、軸受又は他形式の回転可能な継手であるのが良い。
【0053】
治療装置104は、複数の回転可能に連結されたセグメント305a〜305gを備えたフレーム304を有している。回転可能に連結されたセグメント305a〜305gは、ヒンジ306a〜ヒンジ306gによって互いに連結されており、一実施形態によれば、アクチュエータ105は、ヒンジ306a〜306gの少なくとも1つに取り付けられている。変形例として、フレーム304の回転可能に連結されたセグメント305a〜305gは、回転を可能にする連結手段、例えばピン、一体ヒンジ又は可撓性基板、例えばウェブ又は織物等で互いに連結されても良い。本発明の一態様によれば、リンク又はヒンジは、治療ユニットを互いに絶縁するようプラスチックで作られている。
【0054】
図9は、米国特許出願第11/528,225号明細書に更に記載されている本発明の一例としての図8の治療装置の分解組立等角図であり、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。この別の分解組立図は、上述の例に実質的に類似しており、共通の動作及び構造は、同一の参照符号で示されている。動作及び構造の大きな差についてのみ以下に説明する。当業者であれば理解できるように、アクチュエータは、種々の箇所で治療装置に結合されるのが良く、例えば、アクチュエータは、ハウジング内に収容され、ハウジングの外面に結合され、ヒンジのところで又はセグメントに沿ってフレームに取り付けられ、治療ユニットに結合され、或いは、当該技術分野において知られている適当な連結手段による連結箇所の任意の組み合わせによって互いに結合されても良い。
【0055】
図10は、アクチュエータに使用可能な更に別の治療装置によるマトリクス設計の状態に収納された複数の熱電冷却器の等角図である。図10及び図11に示されているように、治療装置810は、平らなマトリクスの状態に構成された治療ユニット804を有している。一実施形態によれば、アクチュエータ105は、平らなマトリクスに一体であっても良く、平らなマトリクスの一部分に取り付けられても良く、或いは、平らなマトリクスに解除可能に結合されても良い。治療装置810は、治療ユニット804を使用中、定位置に保持するバンド812を更に有するのが良く、アクチュエータは、バンド812内に収納され又はこれに結合されるのが良い。治療装置は、取っ手814、配線ハーネス818及びバンド812を治療ユニット804に解除可能に固定するフラップ816を更に有するのが良い。アクチュエータ105は、取っ手814、配線ハーネス818及び(又は)フラップ816内に収納されるのが良く、又はこれに結合されるのが良い。
【0056】
G.治療装置の動作原理
何らかの特定の理論により、本発明の範囲を限定するものではないが、考えられることとして、作用にわたり、伝導を介して冷える治療装置からの効果的な冷却は、多くの要因で決まる。皮膚領域及び関連の組織からの熱の除去に影響を及ぼす例示の要因は、治療ユニットの表面積、インタフェース部材の温度及び組織に送られる機械エネルギである。
【0057】
図示の実施形態によれば、アクチュエータ105と治療装置104は、互いに組み合わさって、冷却状態の脂肪組織の破壊を促進する。さらに、図示の実施形態は、治療時間の減少、患者に対する不快感の軽減及び治療効能の向上をもたらすことができる。
【0058】
図示の実施形態は、皮下脂肪過多細胞を全体的に減少させる治療装置104及びアクチュエータ105を提供することができ、この場合、これに随伴して治療領域中の非脂肪過多細胞を損傷させることはない。一般に、脂肪過多細胞には非脂肪過多細胞に影響を及ぼさない低い温度で影響を及ぼすことができる。その結果、当該表面のところの非脂肪過多細胞が実際に低い温度の作用を受けた場合であっても、脂肪過多細胞、例えば皮下脂肪組織に影響を及ぼすことができる一方で、同一領域の他の細胞は全体として損傷を生じない。アクチュエータにより提供される機械エネルギは、影響を受けた脂肪過多細胞を破壊することにより脂肪過多細胞に対する作用を一段と促進する。
【0059】
変形実施形態では、2007年4月27日に出願された米国特許出願第11/741,271号(発明の名称:Cryoprotectant for use with a Treatment Device for Improved Cooling of Subcutaneous Lipid-Rich Cells)に記載されているように利点のうちでとりわけ治療中、組織の凍結を阻止するための凍結保護物質が治療装置に用いられる。なお、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0060】
H.空間的に制御される治療ユニット分布状態
本発明の一態様によれば、空間的に制御される分布状態は、効率的な冷却作用を治療領域にもたらすことができる。複数のアクチュエータ及び(又は)熱電冷却器により、治療装置は、空間冷却を行うことができる。例えば、アクチュエータを治療装置の周囲のところに設けると、治療ゾーンの互いに異なる領域の互いに異なる境界条件に起因して、治療装置の内部のところに設けられたアクチュエータにより提供される機械エネルギよりも多くの機械エネルギ(振幅若しくは強度の増大又は持続時間の長期化又はこれらの任意の組み合わせにより)提供することができる。変形例として、個々のアクチュエータ又は個々のアクチュエータのグループを様々な時点で又は様々な振動数で若しくは任意の組み合わせで作動させて治療領域全体にわたって与えられる機械エネルギの漸変空間分布を提供しても良い。
【0061】
本発明の一態様によれば、装置は、少なくとも以下の利点、即ち、(1)効率の向上、(2)効能が同等した場合での電力消費量の減少、(3)患者の快適さの向上、又は(4)治療時間の減少を提供することができる空間的に制御される治療ユニット分布状態に適合することができる。例えば、本発明の態様によれば、複数のアクチュエータは、患者の解剖学的差異に基づいて装置の幾つかの部分を選択的に実行可能にし又は実行不能にすることにより患者毎の解剖学的差の調節を可能にする。この選択的実行可能は、機械的作動機構体及び(又は)冷却プロフィールの両方を多くの仕方で変化させることにより達成できる。
【0062】
例えば、もう1つの変形例は、個々の患者のセルライトのパターン又は皮下脂肪にマッチするよう調整して設定可能な特定の制御冷却パターンの実施を含み、かくして、治療の効能を向上させると共に所望の美的効果又は他の効果を達成するよう患者の組織の「彫刻」又は輪郭付けを可能にする。同様に、高度の治療を必要とする治療領域は、超音波装置又は他の装置によってあらかじめ識別可能である。この場合、装置を空間制御して高度の治療をこれらあらかじめ識別された領域に提供することができる。別の利点としては、冷却の空間制御が特定の患者の解剖学的構造の特別な特徴(例えば、脂肪肉腫のような腫瘍、傷又は瘢痕、過剰な毛のある領域、インプラント又は宝石の入った領域又は感度の強調された領域、例えば乳首又は創傷)に対処することができるようにすることによる患者の快適さ及び安全性の向上が挙げられる。
【0063】
この装置の空間制御のもう1つの利点としては、治療を必要とする領域のみを取り扱うためにアクチュエータの一部だけを利用することが挙げられる。過剰な治療(例えば、空間制御できない大型装置)を用いないで又は装置を多数回にわたって動かし、かくして治療時間を延ばす必要なく、狭い治療範囲又及び広い治療範囲に対応できる1つの装置(例えば、治療領域よりも小さな治療装置)を用いるのが有利である。かくして、本発明の態様によれば、機械エネルギを選択された領域に提供するのにアクチュエータの選択されたものを制御するのが良い。変形例として、治療装置の第1のアクチュエータをターンオフし、治療装置の第2のアクチュエータを作動させ、その結果、患者の選択された領域のみを機械エネルギで治療し、かくして治療領域を制限するのが良い。他の有利な空間制御パターンは、治療領域内の領域をより強力に治療すること、アクチュエータを交互に用いることにより電力の保存、治療領域全体にわたる一様なエネルギ分布を生じさせるための種類のところでの機械エネルギの増大及び治療の効能を向上させ、治療時間を短縮し、電力消費量を減少させ、患者の快適さ及び安全性を提供するためのこれら空間制御パターンの組み合わせを含む。
【0064】
本発明の実施形態は、所望の効果を達成するために、空間制御又は場合によってはランダムに選択されたプロフィールを介して、本明細書において説明したような機械エネルギを与えるための作動と、治療装置を利用して脂肪過多細胞を多くの仕方で(例えば、振動数、強度(振幅)、持続時間、開始時間、停止時間、温度等を変えることにより)影響を及ぼすこと、冷却を行わないで機械エネルギだけを加えること、機械エネルギなしで冷却のみを及ぼすこと、再熱を利用して脂肪過多細胞への損傷を促進することとの様々な組み合わせを利用することを具体的に想定していることがはっきりと理解される。
【0065】
I.治療装置を利用する方法
一動作モードでは、アクチュエータは、治療装置に結合される。治療装置は、手持ち型装置、例えば2006年2月22日に出願された米国特許出願第11/359,092号(発明の名称:Treatment device For Removing Heat From Subcutaneous Lipid-Rich Cells)に開示された装置であるよう構成されているのが良く、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。治療装置は、可撓性基板又は回転可能なハウジング内に収納された複数の治療装置、例えば、2006年9月26日に出願された米国特許出願第11/528,225号(発明の名称:Cooling Devices Having a Plurality of Controllable Treatment units to Provide a Predetermined Cooling Profile)に開示された装置であるよう構成されているのが良く、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0066】
治療装置を圧力で患者の皮膚に当て又はこれを皮膚に押し付けることは、効果的な冷却を達成するうえで有利な場合がある。一般に、患者101の体温は、約37℃であり、血液循環は、一定の体温を保つうえでの一機序である。その結果、治療されるべき領域の真皮及び皮下層を通る血液の流れは、皮下脂肪の冷却に対抗する熱源と見なすことができる。したがって、関心のある組織の冷却には、熱をこのような組織から除去するだけでなく、この組織を通って循環している血液から熱を除去する必要がある。かくして、例えば治療装置を圧力で当てることによる等の手段によって治療領域を通る血液の流れを一時的に減少させ又は止めることにより、組織冷却効率を向上させることができると共に真皮及び表皮を通る過剰な熱の損失を回避することができる。
【0067】
皮下組織を37℃よりも低い温度に冷却することにより、皮下脂肪過多細胞に選択的に影響を及ぼすことができる。一般に、患者101の表皮及び真皮は、皮下組織を形成する下に位置する脂肪過多細胞と比較して、不飽和脂肪酸の量が少ない。非脂肪過多細胞は、通常、脂肪過多細胞よりも低い温度に良好に耐えることができるので、非脂肪過多細胞を真皮及び表皮中に維持しながら皮下脂肪過多細胞に選択的に影響を及ぼすことができる。治療ユニット302a〜302gに関して例示の範囲は、約−20℃〜約20℃、好ましくは約−20℃〜約10℃、より好ましくは約−15℃〜約5℃、より好ましくは約−10℃〜約0℃である。
【0068】
分断、収縮、障害、破壊、除去、死滅又は改質により脂肪過多細胞に影響を及ぼすことができる。何らかの特定の理論により本発明の範囲を限定するわけではないが、脂肪過多細胞に選択的に影響を及ぼすことは、非脂肪過多細胞では結晶化を生じさせない温度で高い飽和状態の脂肪酸の局所結晶化に起因しているものと考えられる。結晶は、これら細胞を選択的に壊死させるよう脂肪過多細胞の2層膜を破壊する場合がある。かくして、非脂肪過多細胞、例えば真皮細胞の損傷は、脂肪過多細胞中に結晶生成を生じさせる温度では回避できる。冷却は又、脂肪過多細胞の脂肪分解(例えば、脂肪代謝)を生じさせて皮下脂肪過多細胞の減少を一段と促進すると考えられる。脂肪分解は、脂肪低温暴露によって促進可能であり、それにより交感神経系の刺激を生じさせる。
【0069】
治療装置の追加の実施形態
図12は、本発明の別の実施形態としての治療装置104の等角分解組立図である。治療装置104は、ハウジング300、少なくとも部分的にハウジング300内に収納された冷却組立体308及び冷却組立体308をハウジング300に締結するよう構成された保持装置318を有している。治療装置104は、図13を参照して以下に詳細に説明するようにハウジング300内に設けられた振動部材を更に有するのが良い。
【0070】
冷却組立体308は、ヒートシンク312、熱伝導性インタフェース部材309及びヒートシンク312とインタフェース部材309との間に設けられた熱電冷却器314を有するのが良い。熱電冷却器314は、接続端子316を介して外部電源(図示せず)に接続されるのが良い。図示の実施形態では、ヒートシンク312は、ヒートシンク312の熱伝導性部分313内に少なくとも部分的に埋め込まれたU字形流体導管310を有する。流体導管310は、流体ライン108a,108bを介して循環流体源(図示せず)に結合可能な流体ポート138a,138bを有している。他の実施形態では、ヒートシンク312は、プレート型熱交換器、多管式熱交換器及び(又は)他形式の熱交換器装置を有するのが良い。インタフェース部材309は、金属、金属合金及び他種類の熱伝導性材料で構成されたプレートから成るのが良い。熱電冷却器314は、単一のペルチェ型要素であっても良く、ペルチェ型要素のアレイであっても良い。適当な熱電冷却器の1つは、ミシガン州トラバースシティ所在のティーイー・テクノロジー・インコーポレイテッド(TE Technology, Inc.)により製造されたペルチェ型熱交換要素(モデル番号CP‐2895)である。
【0071】
個々の保持装置318は、プレート330及びプレート330の複数の孔332(例示目的で2つが示されている)を貫通して延びる複数の締結具306を有するのが良い。図示の実施形態では、締結具は、ハウジング300により受け入れ可能なねじである。他の実施形態では、締結具306は、ボルト、クランプ、クリップ、くぎ、ピン、リング、リベット、ストラップ及び(又は)他の適当な締結具であっても良い。組み立ての際、まず最初に、冷却組立体308をハウジング300の内部空間303内に少なくとも部分的に配置する。次に、保持装置318を冷却組立体308の近くに位置決めし、締結具306をプレート330の穴332に通してハウジング300に係合させる。締結具306とプレート330とハウジング300は、互いに協働して、冷却組立体308を結合保持する。
【0072】
電力を熱電冷却器314に供給することにより、熱を患者の皮膚から流体導管310内の循環中の流体に効果的に捨てることができる。例えば、電流を熱電冷却器314に流すことにより、温度は、一般に、熱電冷却器314の第1の側315aでは37℃未満になり、それによりインタフェース部材309を介して熱を患者から除去することができる。熱電冷却器314は、熱を第1の側315aから第2の側315bに移送する。次に、熱は、流体導管310中の循環中の流体に移される。
【0073】
図13は、図12の治療装置104内に設けられたバイブレータ322の等角分解組立図である。バイブレータ322は、フレーム324、フレーム324によって支持されたモータ325、モータ325に作動的に結合された回転部材328及びフレーム324をハウジング300にしっかりと取り付ける複数の締結具326(例えば、ねじ)を有するのが良い。図示の実施形態では、モータ325は、全体的中心がモータ325の本体軸線327に一致した出力シャフト(図示せず)を有する。適当なモータの1つは、ペンシルバニア州ハニーズビル所在のアメテック・インコーポレイテッド(Ametek, Inc.)によって製造されている直流モータ(モデル番号Pittman8322S008-R1)である。回転部材328は、全体として円筒形であり、本体軸線327から心外れ状態にある。他の実施形態では、モータ325は、回転部材328に作動的に結合された心外れシャフトを有するのが良い。
【0074】
作用を説明すると、モータ325に通電することにより、回転部材328は、モータ325の本体軸線327を中心として回転することができる。心外れ回転部材328により、バイブレータ322は、本体軸線327周りにバランスを崩した状態になり、その結果、振動がフレーム324及びハウジング300に生じる場合がある。
【0075】
J.コンピュータ処理システムソフトウェアモジュール
図14は、処理ユニット114に用いるのに適した例示のソフトウェアモジュール940を示す機能図である。各コンポーネントは、従来型のプログラミング言語、例えばC++プログラミング言語でソースコードとして書き込まれたコンピュータプログラム、手順又はプロセスであるのが良く、プロセッサ942のCPUにより実行可能に提供されるのが良い。ソースコード並びにオブジェクトコード及びバイトコードの種々の具体例は、コンピュータにより読み取り可能なストレージ媒体上に記憶され又は搬送波の状態で伝送媒体上に具体化されるのが良い。プロセッサ942のモジュールは、入力モジュール944、データベースモジュール946、プロセスモジュール948、出力モジュール950及びオプションとしてディスプレイモジュール951を有するのが良い。別の実施形態では、ソフトウェアモジュール948は、分散型計算方式でネットワークサーバのCPUにより実行可能に提供されるのが良い。
【0076】
作用を説明すると、入力モジュール944は、オペレータの入力、例えばプロセス設定値及び制御選択を受け取り、受け取った情報又は選択を次の処理のために他のコンポーネントに送る。データベースモジュール946は、動作パラメータ954、オペレータ活動956及び警報958を含む記録を組織化し、データベース952へのこれら記録の記憶及びデータベース952からのこれら記憶の取り出しを容易にする。任意形式のデータベース組織化を利用することができ、このようなデータベース組織化形式としては、フラットファイルシステム、階層型データベース、関係(リレーショナル)データベース又は例えばデータベースベンダー、例えばカリフォルニア州レッドウッドショアーズ所在のオラクル・コーポレイション(Oracle Corporation)により提供されている分散型データが挙げられる。
【0077】
プロセスモジュール948は、センサ読み960に基づいて制御変数を生じさせ、出力モジュール950は、制御変数に基づいて出力信号962を発生させる。例えば、出力モジュール950は、プロセスモジュール948から生じた制御変数を直流電圧変調器に適した4〜20mA出力信号962に変換するのが良い。プロセッサ942は、オプションとして、センサ読み960及び出力信号962を例えば出力装置120のような装置により表示し、印刷し又はダウンロードするディスプレイモジュール951を有するのが良い。適当なディスプレイモジュール951は、プロセッサ942がセンサの読み960を出力装置120上に表示することができるようにするビデオドライバであるのが良い。
【0078】
英文の明細書及び特許請求の範囲全体を通じて特に明示してあるものを除き、「〜を有する」又は「〜を含む」は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包括的な意味に解されるべきであり、即ち、「〜を含むが、これには限定されない」の意味に解されるべきである。また、単数又は複数を用いた単語は、それぞれ、複数及び単数を含む。英文特許請求の範囲において、2つ又は3つ以上の構成要素のリストに関して「又は」という単語を用いている場合、この単語は、単語の解釈、即ち、リスト中の構成要素の任意の1つ、リスト中の構成要素の全て、リスト中の構成要素の任意の組み合わせの全てを含む。
【0079】
上述の種々の実施形態は、別の実施形態を構成するよう組み合わせ可能である。本明細書において言及すると共に(或いは)アプリケーションデータシートに一覧表示された米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許文献を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。本発明の態様は、必要ならば、本発明の更に別の実施形態を構成するよう複数の治療ユニットを備えた治療装置及びアクチュエータ、種々の形態の熱伝導性装置及び種々の特許、特許出願及び特許出願公開の技術的思想を採用するよう設計変更可能である。
【0080】
上述の説明に照らして、本発明の上述の変更及び他の変更を行うことができる。一般的に言って、特許請求の範囲において、用いられている用語は、本発明を本明細書及び特許請求の範囲に記載された特定の実施形態に限定するものと解釈されてはならず、特許請求の範囲に記載された本発明に従って動作するあらゆる冷却方式を含むものと解されるべきである。したがって、本発明は、明細書の記載によっては限定されず、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載にのみ基づいて定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚をもつ患者の皮下脂肪過多細胞から熱を除去する治療装置であって、
複数の治療ユニットの少なくとも1つと、
機械エネルギを前記治療ユニットに提供するよう構成されたアクチュエータとを有する、
ことを特徴とする治療装置。
【請求項2】
前記アクチュエータは、約0.1Hz〜約50MHzの振動数を発生させる、
請求項1記載の治療装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、偏心重りを有するモータである、
請求項2記載の治療装置。
【請求項4】
前記アクチュエータを前記治療ユニットに解除可能に保持する保持装置を更に有する、 請求項1記載の治療装置。
【請求項5】
前記治療ユニットの1つ又は2つ以上に設けられたハウジングの少なくとも1つを更に有し、前記アクチュエータは、前記ハウジングに取り付けられている、
請求項1記載の治療装置。
【請求項6】
前記複数の治療ユニットに取り付けられた複数のアクチュエータを更に有する、
請求項5記載の治療装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、振動効果、揺動効果、脈動効果及び(又は)マッサージ効果を生じさせるよう機械エネルギをもたらす、
請求項1記載の治療装置。
【請求項8】
前記アクチュエータは、前記治療ユニットに剛性的に取り付けられている、
請求項1記載の治療装置。
【請求項9】
前記治療装置と前記患者の前記皮膚との間の熱伝導率を増大させるよう前記治療装置と前記患者の前記皮膚との間のインタフェースに塗布可能な熱伝導性結合剤を更に有する、 請求項1記載の治療装置。
【請求項10】
前記複数の治療ユニットの各々は、対応のインタフェース部材と熱的連絡状態にある第1の側部及び前記第1の側部とは反対側に位置し、対応の熱電式熱交換器と熱的連絡状態にある第2の側部を有し、前記治療ユニットは、標的領域の脂肪過多細胞に影響を及ぼす一方で、熱交換器面の近くに位置する非脂肪過多細胞にはそれほど影響を及ぼさないよう前記標的領域の温度を減少させるよう構成されている、
請求項1記載の治療装置。
【請求項11】
複数の治療装置を有し、前記治療装置は、隣接する治療装置に可動的に連結されている、
請求項1記載の治療装置。
【請求項12】
前記アクチュエータは、真空である、
請求項1記載の治療装置。
【請求項13】
複数の治療ユニットと、前記治療ユニット相互間の少なくとも1つのヒンジとを更に有し、前記アクチュエータは、前記少なくとも1つのヒンジに結合されている、
請求項1記載の治療装置。
【請求項14】
患者の皮下脂肪過多細胞から熱を除去するシステムであって、
前記患者の表皮の下に位置する標的領域の温度を減少させて前記標的領域中の脂肪過多細胞の温度を減少させ、その結果、前記脂肪過多細胞には実質的に影響を及ぼすが、前記表皮中の非脂肪過多細胞には実質的に影響を及ぼさないようにするよう構成された治療ユニットを有する治療装置と、
前記治療ユニットの近くに設けられ、機械エネルギ、真空、又は機械エネルギと真空の両方を前記標的領域に提供するよう構成された少なくとも1つのアクチュエータとを有する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項15】
流体チャンバと熱的連絡状態にある治療ユニットを更に有し、前記流体チャンバは、冷却剤を前記治療装置に提供するよう構成されている、
請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記治療装置が前記治療ユニットと流体連通関係をなすよう前記治療ユニットと前記治療装置との間に設けられた流体ラインを更に有する、
請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記治療装置は、熱交換面の少なくとも1つの近くに位置する検出要素を有し、前記システムは、
前記検出要素と連絡状態にあり且つ前記検出要素からの信号を動作パラメータに変換するよう構成されたプロセッサと、
前記動作パラメータを記憶するよう前記プロセッサに接続されたデータベースとを更に有する、
請求項15記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記動作パラメータに基づいて前記標的領域の温度を制御する制御モジュールを有し、前記標的領域の温度は、選択された空間温度分布に基づいて制御される、
請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記動作パラメータに基づいて前記標的領域の温度を制御する制御モジュールを有し、前記標的領域の温度は、所定の時間変化プロフィールに基づいて制御される、
請求項17記載のシステム。
【請求項20】
患者の皮下脂肪過多細胞から熱を除去する治療装置であって、
複数の治療ユニットを有し、各冷却要素が、隣接する冷却要素に対して動くことができ、
前記治療ユニットの少なくとも1つの近くに設けられ、機械エネルギを前記治療装置に提供するよう構成されたアクチュエータを有する、
ことを特徴とする治療装置。
【請求項21】
前記治療ユニットは、縁を有し、隣り合う治療ユニットの縁は、互いに実質的に平行である、
請求項20記載の治療装置。
【請求項22】
前記アクチュエータは、約0.1Hz〜約50MHzの振動数を発生させる、
請求項20記載の治療装置。
【請求項23】
前記アクチュエータは、空気的力、電気的力及び(又は)電気機械的力を用いる、
請求項20記載の治療装置。
【請求項24】
可撓性基板を更に有し、前記複数の治療ユニット及び前記アクチュエータは、前記基板上に固定的に配置されている、
請求項20記載の治療装置。
【請求項25】
前記複数の治療ユニットの各々は、少なくとも1つの他の治療ユニットに隣接して位置決めされ、回転可能な連結手段が、隣り合う前記治療ユニットを互いに結合しており、前記アクチュエータは、前記治療ユニット相互間の前記回転可能な連結手段に取り付けられている、
請求項20記載の治療装置。
【請求項26】
前記回転可能な連結手段は、ヒンジである、
請求項25記載の治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−6116(P2013−6116A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−225924(P2012−225924)
【出願日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【分割の表示】特願2010−509318(P2010−509318)の分割
【原出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(507159980)ゼルティック エステティックス インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】