説明

アクチュエーターの製造方法、アクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置

【課題】振動系を有する基体上に導体パターンを設けた構成にいて、比較的簡単に、長寿命化を図ることができるアクチュエーター、アクチュエーターの製造方法、光スキャナーおよび画像形成装置を提供すること。
【解決手段】光スキャナー(アクチュエーター)1の製造方法は、基板をエッチングした後に平坦化処理することにより、所定の軸まわりに回動可能な可動部と、前記可動部に連結された連結部と、前記連結部を支持する支持部とを有する基体を形成する第1の工程と、基体上に絶縁層を形成する第2の工程と、基体の一方の面の絶縁層上に導電性を有する導体部を形成する第3の工程とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエーターの製造方法、アクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によりシリコン基板を加工して形成された捩り振動子を有する構造体を用いたアクチュエーターが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなアクチュエーターは、例えば、プリンターやディスプレイ等において、光を走査する光スキャナーとして用いられる。
例えば、特許文献1に記載されたアクチュエーターは、平板状の可動部と、可動部を揺動可能に支持する1対のトーションバーとを有する。そして、かかるアクチュエーターは、可動部に設けられた平面コイルと、固定配置された永久磁石とを有し、平面コイルおよび永久磁石の相互の磁界の作用により可動部を回動させる。
【0003】
このようなアクチュエーターにおいては、平面コイルと可動部との間の電気的絶縁のため、平面コイルが絶縁層を介して可動部上に配置される。
また、可動部および1対のトーションバーを有する構造体は、シリコン基板をエッチングすることにより形成される。
かかる構造体をドライエッチングにより形成すると、可動部および各トーションバーの側面にいわゆるスキャロップと呼ばれる凹凸が形成されてしまう。また、かかる構造体をウェットエッチングにより形成すると、可動部と各トーションバーとの接続部にシリコン結晶面に起因する角部が形成されてしまう。
【0004】
このような凹凸や角部は、トーションバーに形成されていると、可動部の回動に伴って応力が集中しやすく、アクチュエーターの寿命を短くする原因となる。この為、凸凹部の平坦化および角部に丸みを持たせる処理が必要となる。このような手法としては、シリコンの表面拡散運動を利用した熱処理が有効である。
しかしながら、特許文献1に記載のアクチュエーターでは、シリコン酸化膜で構成された絶縁層が可動部および各トーションバーの側面付近にも形成されている。そのため、絶縁層に阻害され、前述したような凹凸部の平坦化処理や角部の丸め処理を完全に行うことができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−175005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、振動系を有する基体上に導体パターンを設けた構成において、長寿命化を図ることができるアクチュエーターの製造方法、アクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のアクチュエーターの製造方法は、基板をエッチングした後に平坦化処理することにより、所定の軸まわりに回動可能な可動部と、前記可動部に連結された連結部と、前記連結部を支持する支持部とを含む基体を形成する第1の工程と、
前記基体上に絶縁層を形成する第2の工程と、
前記基体の前記絶縁層上に導電性を有する導体部を形成する第3の工程とを有することを特徴とする。
【0008】
このようなアクチュエーターの製造方法によれば、第1の工程において、基板をエッチングした後に平坦化処理することにより、可動部、連結部および支持部を形成するので、連結部および連結部の周辺の角部が丸められるとともに表面の凹凸部が平坦化される。そのため、得られるアクチュエーターは、可動部の回動に伴って連結部および連結部の周辺に生じる応力集中を防止または緩和することができる。
また、このような平坦化処理は、第2の工程前に行うので、基体上に導体部(導体パターン)が形成されていない状態で行うことができる。そのため、平坦化処理を行うに際し、基体上の導体部を保護する処理が不要となる。
このようなことから、本発明に係るアクチュエーターの製造方法によれば、振動系を有する基体上に導体パターンを設けた構成において、比較的簡単に、長寿命化を図ることができる。
【0009】
本発明のアクチュエーターの製造方法では、前記導体部は、前記基体の一方の面側であって、前記可動部に形成されたコイルと、前記連結部に形成され、前記コイルに電気的に接続された配線とを含むことが好ましい。
これにより、ムービングコイル型のアクチュエーターを得ることができる。
本発明のアクチュエーターの製造方法では、前記絶縁層は、少なくとも、前記基体の一方の面上と、前記可動部および前記連結部の側面上とに形成されていることが好ましい。
これにより、導体部を構成する各部の短絡を防止することができる。
【0010】
本発明のアクチュエーターの製造方法では、絶縁性を有する樹脂フィルム上に前記コイルが形成されたシート材を用意し、該シート材を前記可動部に貼り付けることにより、前記可動部に前記コイルを形成することが好ましい。
これにより、可動部の絶縁層上にコイルを簡単に形成することができる。
本発明のアクチュエーターの製造方法では、前記配線は、蒸着により形成されることが好ましい。
これにより、連結部の絶縁層上に配線を簡単に形成することができる。
【0011】
本発明のアクチュエーターの製造方法では、前記配線は、その一端が前記可動部の上方まで延長されており、
前記配線の前記可動部上方に位置する部位と前記コイルとが電気的に接続されていることが好ましい。
これにより、配線とコイルとが電気的に接続した状態をより確実に長期的に維持することができる。
【0012】
本発明のアクチュエーターの製造方法では、前記平坦化処理は、水素アニール処理であることが好ましい。
これにより、基体に形成された角部を丸めたり、基体に形成された凹凸部を平坦化したりすることができる。
本発明のアクチュエーターの製造方法では、前記平坦化処理は、前記水素アニール処理後、Ar雰囲気でアニール処理を行なう処理であることが好ましい。
これにより、基体に形成された角部を丸めたり、基体に形成された凹凸部を平坦化したりすることができる。
【0013】
本発明のアクチュエーターの製造方法では、前記平坦化処理は、前記基板の表面に熱酸化膜を形成する工程と、前記熱酸化膜を除去する工程とを複数回繰り返す処理であることが好ましい。
これにより、基体に形成された角部を丸めたり、基体に形成された凹凸部を平坦化したりすることができる。
【0014】
本発明のアクチュエーターの製造方法では、前記基板は、シリコン基板であることが好ましい。
これにより、振動特性に優れたアクチュエーターを得ることができる。
本発明のアクチュエーターの製造方法では、前記絶縁層は、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜で構成されていることが好ましい。
シリコン酸化膜は、絶縁性を有するとともに、シリコンの熱酸化処理により比較的簡単に形成することができる。また、平坦化処理として水素アニール処理を用いた場合、絶縁層の表面に微細な凹凸を形成することができる。このような凹凸を有する絶縁層は、光の反射を防止または抑制することができる。また、平坦化処理として熱酸化膜の形成と除去とを繰り返す処理を用いた場合には、最後に形成した熱酸化膜を除去せずに、当該熱酸化膜を絶縁層として利用することができる。
【0015】
本発明のアクチュエーターは、本発明の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、安価で、優れた振動特性を有するアクチュエーターを提供することができる。
本発明のアクチュエーターは、所定の軸回りに回動可能な可動部と、前記可動部に連結する連結部と、前記連結部を支持する支持部とを含む基体と、
前記基体上に形成された絶縁層と、
絶縁性を有する樹脂フィルム上に形成された導電性を有する導体部が前記可動部上の前記絶縁層上に貼り付けられて形成されたコイルと、
前記連結部上の前記絶縁層上に形成され、前記コイルに電気的に接続された配線とを有することを特徴とする。
これにより、安価で、優れた振動特性を有するアクチュエーターを提供することができる。
【0016】
本発明のアクチュエーターでは、前記可動部は、前記可動部の表面に設けられ、かつ光反射性を有する光反射部を備えることが好ましい。
これにより、安価で、優れた振動特性を有するアクチュエーターを提供することができる。
本発明の光スキャナーは、所定の軸回りに回動可能な可動部と、前記可動部に連結する連結部と、前記連結部を支持する支持部とを含む基体と、
前記基体上に形成された絶縁層と、
前記基体の前記絶縁層上に設けられ、導電性を有する導体部とを有し、
前記可動部は、前記可動部の表面に設けられ、光反射性を有する光反射部を備え、
本発明の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、安価で、優れた振動特性を有する光スキャナーを提供することができる。
【0017】
本発明の画像形成装置は、光を出射する光源と、
前記光源からの光を走査する光スキャナーとを備え、
前記光スキャナーは、
所定の軸回りに回動可能な可動部と、前記可動部に連結する連結部と、前記連結部を支持する支持部とを含む基体と、
前記基体上に設けられ、導電性を有する導体部とを有し、
前記可動部は、前記可動部の表面に設けられ、光反射性を有する光反射部を備え、
本発明の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、安価で、信頼性に優れる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)を示す平面図(上面図)である。
【図2】図1中のA−A線断面図である。
【図3】図1に示す光スキャナーに備えられた基体(可動部、支持部および1対の弾性部を備える構造体)を示す平面図(下面図)である。
【図4】図3に示す基体の部分拡大図である。
【図5】図1に示す光スキャナーの製造方法を説明する断面図である。
【図6】図1に示す光スキャナーの製造方法を説明する断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)を示す平面図(上面図)である。
【図8】図7中のA−A線断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)を示す平面図(上面図)である。
【図10】本発明の画像形成装置の実施形態(プロジェクター)を示す概略図である。
【図11】本発明の画像形成装置の実施形態(ヘッドアップディスプレイ)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のアクチュエーターの製造方法、アクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、本発明のアクチュエーターを光スキャナーに適用した場合を例に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の光スキャナーの第1実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)を示す平面図(上面図)、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1に示す光スキャナーに備えられた基体(可動部、支持部および1対の弾性部を備える構造体)を示す平面図(下面図)、図4は、図3に示す基体の部分拡大図である。なお、以下では、説明の便宜上、図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示すように、光スキャナー1は、振動系を含む板状の基体2と、基体2を支持する支持体3と、基体2の振動系を振動させる駆動手段4とを有する。
【0021】
また、基体2は、光反射部211が設けられた可動部(可動板)21と、可動部21に連結する1対の連結部23、24と、1対の連結部23、24とを支持する支持部22とを有している。支持部22は、連結部23、24を介して可動部21を支持しているとも言え、1対の連結部23、24は、可動部21と支持部22とを連結しているとも言える。
このような光スキャナー1では、駆動手段4の駆動力により、各連結部23、24を捩り変形させながら、可動部21を連結部23、24に沿った所定の軸(いわゆる回動中心軸)まわりに回動させる。これにより、光反射部211で反射した光を所定の一方向に走査することができる。
【0022】
以下、光スキャナー1を構成する各部を順次詳細に説明する。
[基体]
基体2は、前述したように、光反射部211が設けられた可動部21と、可動部21を支持する支持部22と、可動部21と支持部22とを連結する1対の連結部23、24とを有する。
このような基体2は、シリコンで構成されており、可動部21、支持部22および連結部23、24が一体的に形成されている。この基体2は、後に詳述するように、シリコン基板をエッチングすることにより形成されたものであり、基体2には、厚さ方向に貫通した異形状の貫通孔25が形成されている。
【0023】
シリコンは、軽量かつSUSなみの剛性を有するため、基体2がシリコンで構成されていることにより、優れた振動特性を有する基体2が得られる。また、シリコンは、後述するようにエッチングにより高精度な寸法精度で加工が可能であるので、シリコン基板を用いて基体2を形成することにより、所望の形状(所望の振動特性)を有する基体2を得ることができる。このようなシリコン基板としては、一般的に単結晶シリコン基板が用いられる。
【0024】
以下、基体2についてさらに詳述する。
図1に示すように、支持部22は、枠状をなしている。より具体的には、支持部22は、四角環状をなしている。なお、支持部22の形状としては、1対の連結部23、24を介して可動部21を支持することができれば、特に限定されず、例えば、各連結部23、24に対応して分割された形状をなしていてもよい。
このような支持部22の内側には、可動部21が設けられている。
【0025】
可動部21は、板状をなしている。また、本実施形態では、可動部21は、可動部21の板厚方向からの平面視にて、四角形(本実施形態では正方形)をなしている。なお、可動部21の平面視形状は、四角形に限定されず、例えば、十字形状、五角形、六角形等の他の多角形、円形、楕円形等であってもよい。
このような可動部21の上面には、光反射性を有する光反射部211が設けられている。
【0026】
各連結部23、24は、後述の回動中心軸Xに沿って長い長手形状をなしており、弾性変形可能に構成されている。また、連結部23および連結部24は、可動部21を介して対向している。このような連結部23、24は、それぞれ、可動部21を支持部22に対して回動可能とするように、可動部21と支持部22とを連結している。1対の連結部23、24は、回動中心軸Xに沿って同軸的に設けられており、この回動中心軸Xを回動中心軸として、可動部21が支持部22に対して回動する。
【0027】
また、各連結部23、24は、その横断面形状が四角形をなしている。本実施形態では、各連結部23、24は、基体2の板面に沿って互いに平行な上面および下面と、この上面および下面に対して垂直でかつ互いに平行な1対の側面とを有する。なお、各連結部23、24の横断面形状は、これに限定されず、例えば、台形をなしていてもよいし、平行四辺形をなしていてもよい。また、各連結部23、24は、互いに平行な複数の梁部材で構成されていてもよい。
【0028】
このような基体2において、基体2の表面、特に貫通孔25の壁面251が全域に亘って平坦化処理されている。また、図4に示すように、基体2の各角部、特に、可動部21の側面と連結部23、24の側面との境界部付近に形成された角部26および連結部23、24の側面と支持部22の側面との境界部付近に形成された角部27が、それぞれ、平坦化処理により丸められている。
このような平坦化処理により、1対の連結部23、24の捩り変形を伴う可動部21の回動の際に、各連結部23、24に生じる応力集中を防止または緩和することができる。その結果、光スキャナー1の長寿命化を図ることができる。なお、かかる平坦化処理については、後に詳述する。
【0029】
また、基体2上には、絶縁層6が設けられている。本実施形態では、基体2は、その表面の全域(基体2の上面、下面、および側面)が絶縁層6で覆われている。このような絶縁層6の下面(基体2の下面に形成された面)上には、コイル41、配線72、74および電極73、75で構成された導体パターン8が設けられている。
なお、コイル41、配線72、74および電極73、75については、駆動手段4の説明において詳述する。また、図1、3、4では、説明の便宜上、絶縁層6の図示を省略している。
【0030】
このように、基体2を絶縁層6で覆うことにより、導体パターン8の各部同士の絶縁を確実なものとすることができる。
この絶縁層6は、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜で構成されている。なお、このような絶縁層6の形成方法については、後述する基体2の製造方法の説明において詳述する。
【0031】
このような絶縁層6は、絶縁性を有する。そのため、絶縁層6上に設けられたコイル41、配線72、74および電極73、75で構成された導体パターン8の各部同士の短絡を防止することができる。
特に、絶縁層6は、シリコン酸化膜で構成されているのが好ましい。より具体的には、絶縁層6は、シリコン熱酸化膜で構成されているのが好ましい。
シリコン酸化膜は、絶縁性を有するとともに、シリコンの熱酸化処理により比較的簡単に形成することができる。
また、絶縁層6の厚さは、特に限定されないが、例えば、200nm以上1500nm以下程度である。
【0032】
[支持体]
支持体3は、前述した基体2を支持する機能を有する。また、支持体3は、後述する駆動手段4の永久磁石42、43を支持する機能をも有する。
この支持体3は、上方に開放する凹部31を有する箱状をなしている。言い換えると、支持体3は、板状をなす板状部32と、その板状部32の上面の外周部に沿って設けられた枠状をなす枠状部33とで構成されている。
【0033】
このような支持体3の上面のうち凹部31の外側の部分、すなわち、枠状部33の上面には、前述した基体2の支持部22の下面が接合されている。これにより、基体2の可動部21および1対の連結部23、24と支持体3との間には、可動部21の回動を許容する空間が形成されている。
このような支持体3の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、石英ガラス、パイレックスガラス(「パイレックス」は登録商標)、テンパックスガラス等のガラス材料や、単結晶シリコン、ポリシリコン等のシリコン材料、LTCC(低温焼結セラミックス)等が挙げられる。
また、基体2と支持体3との接合方法としては、支持体3の構成材料、形状等に応じて適宜決められるものであり、特に限定されないが、接着剤を用いた方法、陽極接合法、直接接合法等が挙げられる。
【0034】
[駆動手段]
駆動手段4は、コイル41および1対の永久磁石42、43を有し、前述した基体2の可動部21を電磁駆動方式(より具体的にはムービングコイル方式)により回動駆動させるものである。電磁駆動方式は、大きな駆動力を発生させることができる。そのため、電磁駆動方式を採用する駆動手段4によれば、低駆動電圧化を図りつつ、可動部21の振れ角を大きくすることができる。
【0035】
図2に示すように、コイル41は、可動部21の下面の絶縁層6上に、絶縁性シートを介して設けられている。このようなコイル41は、後述するように、前記絶縁性シートとしての樹脂フィルム51と、この樹脂フィルム51の一方の面上に形成された金属層52とを有するシート材5の金属層52を渦巻状にパターニングして形成されたものであり、前記パターニング後、シート材5を可動部21の下面に貼り付けることにより設けられる。
このコイル41は、可動部21の光反射部211とは反対側の面の絶縁層6上に設けられているため、基体2の光反射部211とは反対側の板面を有効利用して、導体パターン8を形成することができる。また、光反射部211の設計の自由度が低下することがない。
【0036】
本実施形態では、コイル41は、図3に示すように、可動部21の板面に沿って渦巻状に形成されている。このような渦巻状のコイル41は、単に環状に形成したコイルに比し大きな磁力を発生させることができ、また、可動部21の厚さ方向に積層して形成したコイルに比し構成が簡単で製造も容易である。すなわち、コイル41の構成を比較的簡単なものとするとともに、駆動電圧を抑えつつ、コイル41に生じる磁力を大きくすることができる。
【0037】
また、コイル41を構成する素線の一端(渦巻きの外周側の端)は、配線72を介して電極73に電気的に接続されている。また、コイル41を構成する素線の他端(渦巻きの中心側の端)は、配線74を介して電極75に電気的に接続されている。これにより、電極73と電極75との間に電圧を印加することにより、コイル41に通電することができる。
【0038】
配線72は、連結部23の下面の絶縁層6上に、連結部23の長手方向に沿って設けられており、その一端が可動部21の上方、他端が支持部22の上方まで延長されている。同様に、配線74は、連結部24の下面の絶縁層6上に、連結部24の長手方向に沿って設けられており、その一端が可動部21の上方、他端が支持部22の上方まで延長されている。
【0039】
また、配線72、74は、支持部22に延長されている端部にて、支持部22の下面の絶縁層6上に形成された電極73、75に、電気的に接続されている。
また、配線72、74は、可動部21の上方に延長されている端部にて、コイル41とボンディングワイヤー76、77を介してコイル41に電気的に接続されている。このような箇所にボンディングワイヤー76、77を接続することにより、次の効果を発揮することができる。
【0040】
第1に、配線72、74とボンディングワイヤー76、77との電気的な接続状態をより確実に維持することができる。具体的には、仮に、配線72、74の連結部23、24上の部分にボンディングワイヤー76、77を接続すると、連結部23、24が駆動時にねじり変形することによって、ボンディングワイヤー76、77や、ボンディングワイヤー76、77と配線72、74との接合部に応力が加わる。そして、当該応力の作用によって、ボンディングワイヤー76、77や、ボンディングワイヤー76、77と配線72、74との接合部が劣化し破壊され、配線72、74とボンディングワイヤー76、77との電気的な接続状態が解除されてしまうおそれがある。
【0041】
これに対して、可動部21は、駆動時でも殆ど変形しない。そのため、配線72、74の可動部21上の部分にボンディングワイヤー76、77を接続することにより、駆動時にボンディングワイヤー76、77や、ボンディングワイヤー76、77と配線72、74との接合部に加わる応力を小さくすることができる。その結果、上述したように、配線72、74とボンディングワイヤー76、77との電気的な接続状態を長期的により確実に維持することができる。
【0042】
第2に、連結部23、24のばね特性(例えば、ばね定数)の変化を防止することができる。具体的には、仮に、配線72、74の連結部23、24上の部分にボンディングワイヤー76、77を接続すると、それにより、連結部23、24の剛性等の物性が変化し、それに伴って、連結部23、24のばね特性が変化するおそれがある。連結部23、24のばね特性が変化すると、光スキャナー1が所望の振動特性を発揮することができなくなる場合がある。
【0043】
これに対して、配線72、74の可動部21上の部分にボンディングワイヤー76、77を接続すると、連結部23、24のばね特性の変化を防止することができ、光スキャナー1は、所望の振動特性を発揮することができる。
また、配線72、74の幅は、連結部23、24の幅とほぼ等しい。すなわち、配線72、74は、連結部23、24の下面の幅方向の全域に亘って形成されている。これにより、次の効果を発揮することができる。
【0044】
第1に、配線72、74の強度を高めることができ、配線72、74の破損(断線)を効果的に防止することができる。具体的には、前述したように、連結部23、24は、駆動時にねじり変形するため、当該変形により配線72、74に応力が作用する。そのため、配線72、74の幅を太くし、配線72、74の強度を高めることにより、前記応力による配線72、74の破損(断線)を効果的に防止することができる。
【0045】
第2に、より確実に、可動部21を円滑に回動させることができる。具体的には、仮に、配線72、74の幅を連結部23、24の幅よりも細くした場合であって、基体2の板厚方向からの平面視にて、配線72、74の中心軸と連結部23、24の中心軸とが一致している場合には、連結部23、24の前記中心軸の一方側と他方側との剛性が等しく保たれる。そのため、連結部23、24の一方まわりのねじり変形と、他方まわりのねじり変形とのバランスが取れており、可動部21を円滑に回動させることができる。しかしながら、製造時の精度不足や他の原因によって、配線72、74の中心軸が連結部23、24の中心軸からずれてしまった場合には、連結部23、24の前記中心軸の一方側と他方側との剛性に差が生じてしまう。そのため、連結部23、24の一方まわりのねじり変形と、他方まわりのねじり変形とのバランスが崩れてしまい、可動部21を円滑に回動させることができなくなるおそれがある。すなわち、仮に、配線72、74の幅を連結部23、24の幅よりも細くした場合には、生産させる光スキャナー1の性能の個体差が大きくなるおそれがある。
【0046】
これに対して、配線72、74の幅を連結部23、24の幅と等しくすれば、自動的に、基体2の板厚方向からの平面視にて、配線72、74の中心軸と連結部23、24の中心軸とが一致する。そのため、可動部21を円滑に回動させることができるとともに、生産させる光スキャナー1の性能の個体差を小さくすることができる。
このような導体パターン8を構成するコイル41、配線72、74および電極73、75の構成材料としては、それぞれ、導電性を有していれば、特に限定されないが、例えば、Cr、Au、Ni、Cu、Ag、Al、Pt、Ir、Os、Re、W、Ta、Ru、Tc、Mo、Nb等、または、これらの一部の材料を組み合わせた積層構造が挙げられる。
【0047】
一方、1対の永久磁石42、43は、支持体3に接合・固定されている。
永久磁石42は、可動部21の回動中心軸Xに対して一方側(図1、2にて左側)に設けられ、また、永久磁石43は、可動部21の回動中心軸Xに対して他方側(図1、2にて右側)に設けられている。そして、1対の永久磁石42、43は、可動部21を介して対向している。
【0048】
また、永久磁石42は、可動部21側をN極、その反対側をS極とするように設置され、永久磁石43は、可動部21側をS極、その反対側をN極とするように設置されている。したがって、1対の永久磁石42、43は、可動部21付近に、非回動時の可動部21の板面に平行で、かつ、可動部21の回動中心軸Xに直角な方向の磁界を発生させる。
このような永久磁石42、43としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、ボンド磁石などの、硬磁性体を着磁したものを好適に用いることができる。
なお、コイル41の磁界との相互作用により可動部21を回動し得るものであれば、永久磁石の数、配置や極性等は、図示のものに限定されないことは言うまでもない。
以上のような構成を有する光スキャナー1は、次のようにして作動する。
【0049】
電極73と電極75との間に周期的に変化する電圧(交番電圧、間欠的な直流等)を印加する。これにより、コイル41の上側がN極、下側がS極となる第1の磁界と、コイル41の上側がS極、下側がN極となる第2の磁界とが、交互にかつ周期的に発生する。
第1の電界では、コイル41の上側が永久磁石43側に引きつけられ、反対にコイル41の下側が永久磁石42側に引き付けられ、可動部21が回動中心軸Xを中心に図2にて時計回りに回動する(第1の状態)。反対に、第2の電界では、コイル41の上側が永久磁石42側に引きつけられ、反対にコイル41の下側が永久磁石43側に引き付けられ、可動部21が回動中心軸Xを中心に図2にて反時計回りに回動する(第2の状態)。このような第1の状態と第2の状態とが交互に繰り返され、可動部21が回動中心軸Xを中心に回動する。
このように、1対の永久磁石42、43の磁界中に配された可動部21は、各連結部23、24を捩れ変形させながら、支持部22に対し回動(振動)する。
以上説明したように構成された光スキャナー1によれば、後述する製造方法を用いて製造することができ、これにより、安価で、優れた振動特性を有する。
【0050】
(アクチュエーターの製造方法)
以上のような光スキャナー1は、例えば、次のようにして製造することができる。
以下、本発明のアクチュエーターの製造方法の一例として、光スキャナー1の製造方法を説明する。
図5および図6は、それぞれ、図1に示す光スキャナーの製造方法を説明する断面図である。なお、図5および図6は、それぞれ、図2に対応する断面で示されている。
光スキャナー1の製造方法は、[A]可動部21、連結部23、24および支持部22を有する基体202を形成し、平坦化処理を行う第1の工程と、[B]基体202上に絶縁層6を形成する第2の工程と、[C]導体パターン(導体部)8を形成する第3の工程とを有する。
【0051】
[A]第1の工程
−A1−
まず、図5(a)に示すように、シリコン基板102を用意する。このシリコン基板102は、後述するエッチングおよび平坦化処理を経ることにより基体2となる基板である。
【0052】
−A2−
次に、図5(b)に示すように、シリコン基板102上に、基体2の平面視形状に対応した形状をなすマスク200を形成する。より具体的に説明すると、まず、シリコン基板102上にそれぞれレジスト膜(図示せず)を形成する。このレジスト膜の構成材料としては、ポジ型またはネガ型のレジスト材料を用いることができる。次に、このレジスト膜を露光および現像することにより、基体2の平面視形状に対応した形状をなすマスク200を形成する。なお、このマスク200は、シリコン基板102の下面上に形成してもよいし、上面上および下面上の双方に形成してもよい。
【0053】
−A3−
次に、マスク200を介してシリコン基板102をドライエッチングする。これにより、図5(c)に示すように、基体2に対応した形状をなし、可動部121と、連結部123、124と、支持部122とを有する基体202を形成する。このような基体202の側面(貫通孔25の壁面251)には、ドライエッチングにより形成された微細な凹凸が形成されている。
なお、可動部121は、後述する平坦化処理を経ることにより可動部21となるものである。また、連結部123、124は、後述する平坦化処理を経ることにより連結部23、24となるものである。また、支持部122は、後述する平坦化処理を経ることにより支持部22となるものである。
【0054】
−A4−
次に、マスク200を除去する。マスク200(レジスト膜)の除去方法としては、特に限定されないが、例えば、硫酸過水による洗浄、Oアッシング等が挙げられる。
−A5−
その後、基体202に平坦化処理を施す。これにより、図5(d)に示すように、基体2を得る。この平坦化処理により、基体202の全面(特に、貫通孔25の壁面251)が平坦化されるとともに、基体202が有する全角部(特に、貫通孔25の壁面251に存在する角部、すなわち、可動部21の側面と各連結部23、24の側面との境界部付近、および、支持部22の側面と各連結部23、24の側面との境界部付近)が丸められる。
【0055】
このような平坦化処理としては、特に限定されないが、例えば、下記の処理方法を用いることにより、平坦化処理を精度よく、簡単かつ確実に行うことができる。
第1の処理方法として、熱処理(より具体的には、数torr程度の減圧〜大気圧の圧力下、900〜1300℃程度、Hを好ましくは2%以上導入したAr雰囲気下で行う水素アニール処理、または、水素アニール処理後、雰囲気ガスを切り替え、大気圧付近下、900〜1300℃程度、Ar雰囲気でアニール処理を連続で行う処理)を好適に用いることができる。これにより、可動部21、支持部22および連結部23、24の側面の平坦化処理、および、可動部21、支持部22および連結部23、24の縁部や角部の丸め処理を行うことができる。
【0056】
第2の処理方法として、基体202の表面にシリコン酸化膜を形成する工程と、形成したシリコン酸化膜を除去する工程を複数回繰り返す方法を好適に用いることができる。シリコン酸化膜を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、熱酸化法が挙げられ、シリコン酸化膜を除去する方法としては、例えば、HF(フッ酸)による洗浄が挙げられる。
【0057】
以上のような第1の工程によれば、シリコン基板102をエッチングした後に平坦化処理することにより、可動部21、連結部23、24および支持部22を形成するので、連結部23、24および連結部23、24の周辺の角部が丸められるとともに表面の凹凸部が平坦化される。そのため、得られる光スキャナー1は、可動部21の回動に伴って連結部23、24および連結部23、24の周辺に生じる応力集中を防止または緩和することができる。
また、第1の工程における平坦化処理は、第2の工程前に行うので、基体202上に導体部(導体パターン8)が形成されていない状態で行うことができる。そのため、平坦化処理を行うに際し、基体202上の導体部を保護する処理が不要となる。
【0058】
[B]第2の工程
次に、図6(a)に示すように、シリコン基板102の表面上(上面、下面および側面)に絶縁層6を一様に形成する。この絶縁層6は、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜で構成されている。絶縁層6の形成方法としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、絶縁層6がシリコン酸化膜で構成されている場合、熱酸化法を用いることができ、また、絶縁層6がシリコン窒化膜で構成されている場合、プラズマCVD、LPCVD等の気相成膜法を用いることができる。
このように、後述する第3の工程[C]の前に、シリコン基板102上に絶縁層6を形成する工程を有することにより、第3の工程[C]において、絶縁層6上に導体パターン8を形成することができる。これにより、得られる光スキャナー1において、導体パターン8の各部同士の短絡を防止することができる。
【0059】
[C]第3の工程
−C1−
次に、図6(b)に示すように、絶縁層6上にコイル41を含む導体パターン8を形成する。以下、導体パターン8の形成について詳細に説明する。
導体パターン8の形成は、配線72、74および電極73、75を形成する工程と、コイル41を形成する工程とを有している。
【0060】
配線72、74および電極73、75は、マスク蒸着により形成するのが好ましい。具体的には、まず、配線72、74および電極73、75のパターンに対応した開口を有するステンシルマスク等のマスクを用意し、このマスクを介して金属材料を絶縁層6上に蒸着することにより、配線72、74および電極73、75を形成するのが好ましい。このようなマスク蒸着を用いることにより、配線72、74および電極73、75をより簡単に形成することができる。
【0061】
一方で、配線72、74および電極73、75を形成する方法として、マスク蒸着の他にフォトリソグラフィーを用いる方法が挙げられる。しかしながら、すでに外形形状が形成された構造体(基体2)に対してレジストを均一に薄く塗布することが困難であり、そのため、精度の高いフォトリソグラフィーを行うことができない場合がある。そのため、フォトリソグラフィーでは、配線72、74および電極73、75を精度よく形成することができず、例えば、断線等の不具合が生じるおそれがある。
これに対して、マスク蒸着を用いた方法では、精度の高いマスクを形成するのが容易であるため、配線72、74および電極73、75を簡単かつ精度よく形成することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、前述したように、配線72、74が連結部23、24の幅方向の全域に形成されている。そのため、配線72、74の形成に、マスク蒸着を用いた場合、極めて稀に、連結部23、24の側面に金属材料が付着し、配線72、74が連結部23、24の側面まで回り込んで形成される場合がある。そして、当該部分がシリコンで構成された基体2を介して導体パターン8の各部同士の短絡を発生させる原因となる場合がある。しかしながら、本実施形態では、絶縁層6が基体2の表面の全域(特に、連結部23、24の下面および側面)を覆っているため、仮に、配線72、74が連結部23、24の側面まで回り込んで形成された場合であっても、基体2を介した導体パターン8の各部同士の短絡を確実に防止することができる。
【0063】
一方、コイル41の形成は、まず、未硬化または半硬化状態の硬化性樹脂で構成された絶縁性の樹脂フィルム51と、金属材料で構成された導電性を有する金属層52とが積層されたシート材(積層体)5を用意する。このようなシート材5としては、例えば、銅箔に代表される高導電性金属箔と、芳香族ポリイミドフィルムに代表される高耐熱性・熱圧着性を有する樹脂フィルムとを積層してなる金属箔付き接着フィルムを好適に用いることができる。
【0064】
次に、金属層52をエッチング等によって所定のパターンに加工することにより、樹脂フィルム51上にコイル41を形成する。そして、コイル41が形成されたシート材5の樹脂フィルム51のコイル41と反対側の面を可動部21の下面の絶縁層6上に熱圧着し、樹脂フィルム51を硬化させる。これにより、シート材5が可動部21の下面の絶縁層6上に接着し、可動部21の下面にコイル41が形成される。
【0065】
このように、すでに出来上がっているコイル41を貼り付けることにより可動部21の下面にコイル41を設けることにより、より簡単に、コイル41を形成することができる。一方で、例えば、可動部21の下面の絶縁層6上に直接コイル41を形成する方法として、フォトリソグラフィーによってパターニングする方法が挙げられる。しかしながら、フォトリソグラフィーを用いる方法では、前述した問題によって、コイル41を精度よく形成することができず、例えば、断線等の不具合が生じるおそれがある。
【0066】
これに対して、すでに出来上がったコイル41を可動部21の下面に貼り付けるだけの前述の方法では、上記問題が生じず、可動部21の下面にコイル41を簡単かつ精度よく形成することができる。
なお、シート材5では、樹脂フィルム51が接着性を有していたが、樹脂フィルム51は、接着性を有していなくてもよい。この場合には、例えば、接着剤を用いてシート材5を可動部21に接着すればよい。
【0067】
このようにして、コイル41、配線72、74および電極73、75を形成したあとに、ボンディングワイヤー76、77によって、コイル41と配線72、74とを電気的に接続する。
以上のような第3の工程[C]によれば、導体パターン8を簡単かつ精度よく形成することができる。
その後、図示しないが、可動部21の上面に光反射部211を形成し、基体2に支持体3を接合し、1対の永久磁石42、43を設置する。
以上の工程により、光スキャナー1が得られる。
【0068】
以上説明したような光スキャナー1の製造方法によれば、第1の工程[A]において、シリコン基板102をエッチングした後に平坦化処理することにより、可動部21、連結部23、24および支持部22を形成するので、基体2の各角部(特に、連結部23、24および連結部23、24の周辺の角部)が丸められるとともに、表面の凹凸部が平坦化される。そのため、得られる光スキャナー1は、可動部21の回動に伴って連結部23、24および連結部23、24の周辺に生じる応力集中を防止または緩和することができる。
【0069】
また、このような平坦化処理は、第2の工程[B]の前に行うので、基体202上に導体部(導体パターン8)が形成されていない状態で行うことができる。そのため、平坦化処理を行うに際し、基体202上の導体部を保護する処理が不要となる。
このようなことから、振動系を有する基体2上に導体パターン8を設けた構成において、比較的簡単に、長寿命化を図ることができる。
また、このような製造方法を用いて製造された光スキャナー1は、安価で、優れた振動特性を有する。
【0070】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)を示す平面図(上面図)、図8は、図7中のA−A線断面図である。
以下、第2実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0071】
第2実施形態の光スキャナーは、支持部の構成が異なる以外は、第1実施形態の光スキャナー1とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の光スキャナー1Aは、図7および図8に示すように、支持体3に支持された基体2Aを有する。
【0072】
基体2Aは、可動部(可動板))21と、可動部21に連結する1対の連結部23、24と、1対の連結部23、24とを支持する支持部22Aとを有している。
支持部22Aは、連結部23を支持する支持部22aと、連結部24を支持する支持部22bとで構成されている。支持部22Aは、第1実施形態の支持部22のように枠状をなしておらず、連結部23を支持する支持部22aと連結部24を支持する支持部22bとは直接的に接続されていない。
このように構成された光スキャナー1Aも前述した第1実施形態の光スキャナー1と同様にして製造することができる。
以上説明したような第2実施形態によっても、振動系を有する基体2A上に導体パターン8を設けた構成において、比較的簡単に、長寿命化を図ることができる。
【0073】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の第3実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)を示す平面図(上面図)である。
以下、第3実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0074】
第3実施形態の光スキャナーは、2次元走査可能な振動系を有する光スキャナー(アクチュエーター)に本発明を適用した以外は、第1実施形態の光スキャナー1とほぼ同様である。
本実施形態の光スキャナー1Bは、図9に示すように、互いに直交する軸線X1、Y1まわりに回動する2つの振動系を有する基体2Bと、基体2Bの各振動系を駆動する駆動手段4Bとを備える。また、図示しないが、光スキャナー1Bは、基体2Bを支持する支持体を備える。
【0075】
基体2Bは、枠状の第1の可動部21Bと、第1の可動部21Bに連結する1対の第1の連結部23B、24Bと、1対の第1の連結部23B、24Bを支持する枠状の支持部22Bと、第1の可動部21Bの内側に設けられた板状の第2の可動部55と、第1の可動部21Bに支持されるとともに第2の可動部55に連結する1対の第2の連結部53、54とを有する。
ここで、第1の可動部21Bおよび1対の第1の連結部23B、24Bが軸線X1まわりに回動する第1の振動系を構成し、また、第2の可動部55および1対の第2の連結部53、54が軸線Y1まわりに回動する第2の振動系を構成する。
【0076】
第1の振動系において、第1の可動部21Bは、その板厚方向からの平面視にて、四角環状をなしている。なお、第1の可動部21Bの平面視形状は、枠状をなしていれば、特に限定されず、例えば、円環状をなしていてもよい。
このような第1の可動部21Bの上面には、樹脂フィルム51上に形成された第1のコイル44が設けられている。この第1のコイル44は、ボンディングワイヤーおよび第1の連結部23B、24B上に設けられた配線72B、74Bを介して、支持部22B上に設けられた電極73B、75Bに電気的に接続されている。
【0077】
第1の連結部23B、24Bは、それぞれ、軸線X1に沿って長い長手形状をなしており、弾性変形可能である。第1の連結部23B、24Bは、それぞれ、第1の可動部21Bを支持部22Bに対して回動可能とするように、第1の可動部21Bと支持部22Bとを連結している。このような、第1の連結部23B、24Bは、互いに同軸的に設けられており、軸線X1を中心として、第1の可動部21Bが支持部22Bに対して回動するように構成されている。
【0078】
第2の振動系において、第2の可動部55は、その板厚方向からの平面視にて、四角形をなしている。なお、第2の可動部55の形状は、第1の可動部21Bの内側に配置することができれば、特に限定されず、例えば、平面視にて、円形状、十字形状、四角形以外の多角形状等をなしていてもよい。
このような第2の可動部55の上面には、光反射性を有する光反射部551が設けられている。また、第2の可動部55の下面には、樹脂フィルム51上に形成された第2のコイル45が設けられている。この第2のコイル45は、図示しないが、ボンディングワイヤーおよび1対の配線を介して、支持部22B上に設けられた1対の電極に電気的に接続されている。
【0079】
第2の連結部53、54は、それぞれ、軸線Y1に沿って長い長手形状をなしており、弾性変形可能である。第2の連結部53、54は、それぞれ、第2の可動部55を第1の可動部21Bに対して回動可能とするように、第2の可動部55と第1の可動部21Bとを連結している。このような第2の連結部53、54は、互いに同軸的に設けられており、軸線Y1を中心として、第2の可動部55が第1の可動部21Bに対して回動するように構成されている。
【0080】
ここで、第1の可動部21Bは、1対の第2の連結部53、54を支持する支持部56を構成するとも言える。
このような基体2Bの2つの振動系を駆動する駆動手段4Bは、前述した第1のコイル44と、第2のコイル45と、1対の永久磁石46、47と、第1のコイル44および第2のコイル45に通電する電源(図示せず)とを有する。
【0081】
1対の永久磁石46、47は、平面視にて、基体2Bを介して対向して設けられている。この1対の永久磁石46、47は、平面視にて軸線X1、Y1の双方に傾斜する軸線aに沿って基体2Bを貫く磁界を発生させるように設けられている。
ここで、平面視における軸線X1、Y1に対する軸線aの傾斜角度は、30〜60度であるのが好ましく、40〜50度であるのがより好ましく、ほぼ45度であるのがさらに好ましい。このように永久磁石46、47を設けることで、円滑に、第1の可動部21Bを軸線X1、Y1まわりにそれぞれ回動させることができる。本実施形態では、線分aは、軸線X1、Y1に対して約45度傾斜している。
【0082】
このような1対の永久磁石46、47による磁界のもと、図示しない電源は、第1のコイル44に、第1の周波数で電圧または電流が周期的に変化する第1の電圧が印加するとともに、第2のコイル45に、第2の周波数で電圧または電流が周期的に変化する第2の電圧を印加すると、第1の可動部21Bが軸線X1まわりに第1の周波数で回動するとともに、第2の可動部55が軸線Y1まわりに第2の周波数で回動する。
【0083】
これにより、光スキャナー1Bは、1つの光スキャナーで光を2次元的に走査することができる。そのため、2次元走査を必要とする機器の小型化を図ることができる。また、このような光スキャナー1Bを用いると、1次元走査の光スキャナーを2つ組み合わせて2次元走査を実現する場合のような2つの光スキャナー間のアライメントが不要であるため、2次元走査を必要とする機器の製造が容易となる。
このように構成された光スキャナー1Bも前述した第1実施形態の光スキャナー1と同様にして製造することができる。
【0084】
以上説明したような第3実施形態によっても、振動系を有する基体2B上に導体パターンを設けた構成において、比較的簡単に、長寿命化を図ることができる。
以上説明したような光スキャナーは、例えば、プロジェクター、レーザープリンター、イメージング用ディスプレイ、バーコードリーダー、走査型共焦点顕微鏡などの画像形成装置に好適に適用することができる。その結果、優れた描画特性を有する画像形成装置を提供することができる。
このような画像形成装置よれば、前述したような光スキャナー1を有するので、安価で、信頼性に優れる。
【0085】
(画像形成装置)
ここで、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
(プロジェクター)
図10は、本発明の画像形成装置の実施形態(プロジェクター)を示す概略図である。なお、以下では、説明の便宜上、スクリーンSCの長手方向を「横方向」といい、長手方向に直角な方向を「縦方向」という。
【0086】
図10に示すプロジェクター9は、レーザーなどの光を照出する光源装置91と、クロスダイクロイックプリズム92と、1対の本発明の光スキャナー93、94(例えば、光スキャナー1と同様の構成の光スキャナー)と、固定ミラー95とを有している。
光源装置91は、赤色光を照出する赤色光源装置911と、青色光を照出する青色光源装置912と、緑色光を照出する緑色光源装置913とを備えている。
【0087】
クロスダイクロイックプリズム92は、4つの直角プリズムを貼り合わせて構成され、赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913のそれぞれから照出された光を合成する光学素子である。
このようなプロジェクター9は、赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913のそれぞれから、図示しないホストコンピューターからの画像情報に基づいて照出された光をクロスダイクロイックプリズム92で合成し、この合成された光が、光スキャナー93、94によって走査され、さらに固定ミラー95によって反射され、スクリーンSC上でカラー画像を形成するように構成されている。
【0088】
ここで、光スキャナー93、94の光走査について具体的に説明する。
まず、クロスダイクロイックプリズム92で合成された光は、光スキャナー93によって横方向に走査される(主走査)。そして、この横方向に走査された光は、光スキャナー94によってさらに縦方向に走査される(副走査)。これにより、2次元カラー画像をスクリーンSC上に形成することができる。このような光スキャナー93、94として本発明の光スキャナーを用いることで、極めて優れた描画特性を発揮することができる。
【0089】
ただし、プロジェクター9としては、光スキャナーにより光を走査し、対象物に画像を形成するように構成されていれば、これに限定されず、例えば、固定ミラー95を省略してもよい。
このように構成されたプロジェクター9によれば、前述した光スキャナー1と同様の構成の光スキャナー93、94を備えるので、安価に、高品位な画像を得ることができる。
【0090】
(ヘッドアップディスプレイ)
図11は、本発明の画像形成装置の実施形態(ヘッドアップディスプレイ)を示す概略図である。なお、以下では、前述したプロジェクター9と同様の構成については、その説明を省略する。
図11に示すヘッドアップディスプレイ9Aは、自動車、飛行機等の移動体において、各種情報をフロントウインドウSC1に投影する装置である。
【0091】
このヘッドアップディスプレイ9Aは、赤色光源装置911、青色光源装置912および緑色光源装置913と、クロスダイクロイックプリズム92と、1対の本発明の光スキャナー93、94と、固定ミラー95Aとを有している。
ここで、固定ミラー95Aは、凹面ミラーであり、光スキャナー94からの光をフロントウインドウSC1に投影する。すると、移動体の操縦者は、フロントウインドウSC1に対して前方に位置する仮想面SC2に虚像として表示像を視認することができる。
【0092】
以上、本発明のアクチュエーターの製造方法、アクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のアクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、本発明のアクチュエーターの製造方法では、任意の工程を付加することもできる。
【0093】
また、前述した実施形態では、可動部が平面視において回動中心軸およびそれに垂直な線分の少なくとも一方に対して対称な形状をなす場合を説明したが、これに限定されず、可動部が平面視において回動中心軸およびそれに垂直な線分のいずれに対しても非対称な形状をなしていてもよい。
また、前述した実施形態では、可動部を支持部に対して回動可能に連結する連結部が1対設けられた場合を例に説明したが、可動部を支持部に対して回動可能に連結するものであれば、連結部の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0094】
また、前述した実施形態では、本発明のアクチュエーターを光スキャナーに適用した場合を例に説明したが、本発明のアクチュエーターは、これに限定されず、例えば、光スイッチ、光アッテネーター等の他の光学デバイスに適用することも可能である。
また、前述した実施形態では、可動部を回動させる駆動手段がムービングコイル型の電磁駆動方式を採用した構成を例に説明したが、かかる駆動手段は、ムービングマグネット型の電磁駆動方式であってもよいし、また、静電駆動方式、圧電駆動方式等の電磁駆動方式以外の駆動方式を採用するものであってもよい。
【0095】
また、前述した実施形態では、基体上に絶縁層を介して設けた導体パターンがコイルを有する場合を例に説明したが、かかる導体パターンは、電気的導通のためのものであれば、これに限定されず、例えば、各種駆動源への通電のための配線、各種センサーに接続された配線等を含むものであってもよい。
また、前述した実施形態では、基体の表面の全域を覆うように絶縁層が形成された場合について説明したが、絶縁層は、可動部および連結部の下面(導体パターンが形成される面)および側面のみを覆うように形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1……光スキャナー 1A……光スキャナー 1B……光スキャナー 2……基体 2A……基体 2B……基体 21……可動部 21B……第1の可動部 211……光反射部 22……支持部 22a……支持部 22A……支持部 22b……支持部 22B……支持部 23……連結部 23B……第1の連結部 24……連結部 24B……第1の連結部 25……貫通孔 251……壁面 26……角部 27……角部 3……支持体 31……凹部 32……板状部 33……枠状部 4……駆動手段 4B……駆動手段 41……コイル 42……永久磁石 43……永久磁石 44……コイル 45……コイル 46……永久磁石 47……永久磁石 5……シート材 51……樹脂フィルム 52……金属層 53……第2の連結部 54……第2の連結部 55……第2の可動部 551……光反射部 56……支持部 6……絶縁層 72……配線 72B……配線 73……電極 73B……電極 74……配線 74B……配線 75……電極 75B……電極 76……ボンディングワイヤー 77……ボンディングワイヤー 8……導体パターン 9……プロジェクター 9A……ヘッドアップディスプレイ 91……光源装置 911……赤色光源装置 912……青色光源装置 913……緑色光源装置 92……クロスダイクロイックプリズム 93……光スキャナー 94……光スキャナー 95……固定ミラー 95A……固定ミラー 102……シリコン基板 121……可動部 122……支持部 123……連結部 124……連結部 200……マスク 202……基体 SC……スクリーン SC1……フロントウインドウ SC2……仮想面 X……回動中心軸 X1……軸線 Y1……軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をエッチングした後に平坦化処理することにより、所定の軸まわりに回動可能な可動部と、前記可動部に連結された連結部と、前記連結部を支持する支持部とを含む基体を形成する第1の工程と、
前記基体上に絶縁層を形成する第2の工程と、
前記基体の前記絶縁層上に導電性を有する導体部を形成する第3の工程とを有することを特徴とするアクチュエーターの製造方法。
【請求項2】
前記導体部は、前記基体の一方の面側であって、前記可動部に形成されたコイルと、前記連結部に形成され、前記コイルに電気的に接続された配線とを含む請求項1に記載のアクチュエーターの製造方法。
【請求項3】
前記絶縁層は、少なくとも、前記基体の一方の面上と、前記可動部および前記連結部の側面上とに形成されている請求項2に記載のアクチュエーターの製造方法。
【請求項4】
絶縁性を有する樹脂フィルム上に前記コイルが形成されたシート材を用意し、該シート材を前記可動部に貼り付けることにより、前記可動部に前記コイルを形成する請求項2または3に記載のアクチュエーターの製造方法。
【請求項5】
前記配線は、蒸着により形成される請求項2ないし4のいずれかに記載のアクチュエーターの製造方法。
【請求項6】
前記配線は、その一端が前記可動部の上方まで延長されており、
前記配線の前記可動部上方に位置する部位と前記コイルとが電気的に接続されている請求項2ないし5のいずれかに記載のアクチュエーターの製造方法。
【請求項7】
前記平坦化処理は、水素アニール処理である請求項1ないし6のいずれかに記載のアクチュエーターの製造方法。
【請求項8】
前記平坦化処理は、前記水素アニール処理後、Ar雰囲気でアニール処理を行なう処理である請求項7に記載のアクチュエーターの製造方法。
【請求項9】
前記平坦化処理は、前記基板の表面に熱酸化膜を形成する工程と、前記熱酸化膜を除去する工程とを複数回繰り返す処理である請求項1ないし6のいずれかに記載のアクチュエーターの製造方法。
【請求項10】
前記基板は、シリコン基板である請求項1ないし9のいずれかに記載のアクチュエーターの製造方法。
【請求項11】
前記絶縁層は、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜で構成されている請求項10に記載のアクチュエーターの製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とするアクチュエーター。
【請求項13】
所定の軸回りに回動可能な可動部と、前記可動部に連結する連結部と、前記連結部を支持する支持部とを含む基体と、
前記基体上に形成された絶縁層と、
絶縁性を有する樹脂フィルム上に形成された導電性を有する導体部が前記可動部上の前記絶縁層上に貼り付けられて形成されたコイルと、
前記連結部上の前記絶縁層上に形成され、前記コイルに電気的に接続された配線とを有することを特徴とするアクチュエーター。
【請求項14】
前記可動部は、前記可動部の表面に設けられ、かつ光反射性を有する光反射部を備えることを特徴とする請求項12または13に記載のアクチュエーター。
【請求項15】
所定の軸回りに回動可能な可動部と、前記可動部に連結する連結部と、前記連結部を支持する支持部とを含む基体と、
前記基体上に形成された絶縁層と、
前記基体の前記絶縁層上に設けられ、導電性を有する導体部とを有し、
前記可動部は、前記可動部の表面に設けられ、光反射性を有する光反射部を備え、
請求項1ないし11のいずれかに記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする光スキャナー。
【請求項16】
光を出射する光源と、
前記光源からの光を走査する光スキャナーとを備え、
前記光スキャナーは、
所定の軸回りに回動可能な可動部と、前記可動部に連結する連結部と、前記連結部を支持する支持部とを含む基体と、
前記基体上に設けられ、導電性を有する導体部とを有し、
前記可動部は、前記可動部の表面に設けられ、光反射性を有する光反射部を備え、
請求項1ないし11のいずれかに記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−35081(P2013−35081A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170777(P2011−170777)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】