アクチュエータ及びロボットハンド
【課題】進行波により対象物を搬送する上で、十分な搬送性能を実現することができ、構造が簡単であり、かつ小型化に適したアクチュエータを提供する。
【解決手段】アクチュエータ基板11上にフレキシブル基板14を重ね合わせて固定し、フレキシブル基板14上に複数の伸縮駆動素子12を並設して固定し、各伸縮駆動素子12の上端にシート状の弾性部材13を載せて係止し、制御駆動部15をフレキシブル基板14を通じて各伸縮駆動素子12に接続している。制御駆動部15は、フレキシブル基板14を通じて各伸縮駆動素子12に電圧を順次印加し、各伸縮駆動素子12をZ方向に順次伸縮させて、弾性部材13を変形させて波打たせ、弾性部材13に進行方向がX方向の進行波を形成する。この弾性部材13に対象物を載置すると、この弾性部材13の進行波により対象物がX方向とは逆方向に搬送される。
【解決手段】アクチュエータ基板11上にフレキシブル基板14を重ね合わせて固定し、フレキシブル基板14上に複数の伸縮駆動素子12を並設して固定し、各伸縮駆動素子12の上端にシート状の弾性部材13を載せて係止し、制御駆動部15をフレキシブル基板14を通じて各伸縮駆動素子12に接続している。制御駆動部15は、フレキシブル基板14を通じて各伸縮駆動素子12に電圧を順次印加し、各伸縮駆動素子12をZ方向に順次伸縮させて、弾性部材13を変形させて波打たせ、弾性部材13に進行方向がX方向の進行波を形成する。この弾性部材13に対象物を載置すると、この弾性部材13の進行波により対象物がX方向とは逆方向に搬送される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を搬送するアクチュエータ及びロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の様に搬送装置として、ベルトコンベアなどがある。このベルトコンベアは、無端ベルトを複数のローラに掛け渡して支持し、無端ベルトを回転させて、無端ベルト上に置かれた物体を搬送するという装置である。
【0003】
しかしながら、このベルトコンベアでは、複数の回転ローラや、各回転ローラの動力源となるモーターなどが必要であり、その構成が複雑であり、また小型化が容易ではなかった。更に、モーターからは電磁波が発生するので、この電磁波を嫌う装置、例えば半導体製造装置等においては、ベルトコンベアは不向きであった。
【0004】
この様なベルトコンベアに対して、電磁波を発生せず、構成が簡単であるとか、小型化が容易であるという搬送装置が提案されている。例えば、特許文献1には、複数の振動子を並設し、各振動子上に弾性材料からなる搬送路を載せて支持し、各振動子を振動させて、搬送路表面に進行波を形成し、この進行波により搬送路上の物体を搬送するという搬送装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、図18に示す様に板状の弾性部材101に複数の圧力室102を並べて形成し、各圧力室102の圧力を制御し、各圧力室102を順次膨張させて、板状の弾性部材101を変形させ、この板状の弾性部材101の表面101aに進行波を形成し、この板状の弾性部材101の表面101a上の物体を搬送するというアクチュエータが開示されている。
【0006】
更に、特許文献3には、図19に示す様に複数の固定子111を並設し、各固定子111上に波動弾性板112を載せて支持し、各固定子111の印加電圧を制御し、各固定子111を静電気力により順次撓ませて、波動弾性板112の表面に進行波を形成し、この波動弾性板112上の可動子113を搬送するというアクチュエータが開示されている。
【特許文献1】特開昭60−258013号公報
【特許文献2】特開平9−79213号公報
【特許文献3】特開平9−252585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の搬送装置は、小型化に適しているものの、各振動子の撓み量が小さいので、進行波の振幅が小さくて、搬送速度が遅く、また物体が重くなると、搬送に支障を来たした。
【0008】
また、特許文献2に記載のアクチュエータは、その構成が簡単であっても、板状の弾性部材の各圧力室に空気を圧送する圧力印加手段、及び各圧力室と圧力印加手段を接続する複数のチューブが必要であり、小型化には不向きであった。また、空気圧を利用しているので、進行波の応答性が悪く、周波数の高い進行波の形成が困難であった。更に、各圧力室間の隔壁が、圧力室の変形を阻む要因になっており、板状の弾性部材が変形し難く、搬送速度を上昇させることができなかった。また、アクチュエータの端部と中央部では厚みが異なり、端部の方が厚くて、その剛性が高いので、端部と中央部では進行波の振幅に差異が生じ、搬送性能にムラが生じるという問題があった。
【0009】
更に、特許文献3に記載のアクチュエータは、小型化に適しているものの、各固定子の撓み量が小さいので、進行波の振幅が小さくて、搬送速度が遅く、また物体が重くなると、搬送に支障を来たした。その上、固定子の端部と中央部では撓み量が異なるので、アクチュエータの端部と中央部では進行波の振幅が異なり、搬送性能にムラが生じるという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、進行波により対象物を搬送する上で、十分な搬送性能を実現することができ、構造が簡単であり、かつ小型化に適したアクチュエータを提供することを目的とする。
【0011】
また、他の本発明は、上記本発明のアクチュエータを設けたロボットハンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のアクチュエータは、配列された複数の伸縮駆動素子と、各伸縮駆動素子に載せられて係止された弾性部材と、各伸縮駆動素子の伸縮に追従して弾性部材が変形し、この弾性部材に進行波が形成される様に、各伸縮駆動素子にそれぞれの電圧を印加して、各伸縮駆動素子を伸縮させる制御手段とを備えている。
【0013】
また、本発明においては、各伸縮駆動素子は、弾性を有する高分子材料を各電極間に挟み込んだ高分子アクチュエータである。
【0014】
更に、本発明においては、各伸縮駆動素子は、行列方向に配列されている。
【0015】
また、本発明においては、対象物と弾性部材との接触状態を検出する接触状態検出手段を備え、制御手段は、接触状態検出手段の検出出力に基づいて、各伸縮駆動素子を伸縮させて、弾性部材を対象物の表面に沿う様に変形させ、この状態で各伸縮駆動素子を伸縮させて、弾性部材に進行波を形成させている。
【0016】
更に、本発明においては、弾性部材の表面に複数の突起を形成している。
【0017】
また、本発明においては、各伸縮駆動素子にそれぞれ接続された複数の電極パターンを備え、各伸縮駆動素子を複数組に分けて、組毎に、相互に異なる電位に設定される各電極パターンを各伸縮駆動素子に対応させて順次配列し、各組の同一順序に、相互に等しい電位に設定される電極パターンを伸縮駆動素子に対応させて配置している。そして、1組における各電極パターンの電位の位相が異なっている。また、組毎に、各電極パターンに接続されたそれぞれの伸縮駆動素子により1波長分の進行波が形成される。
【0018】
更に、本発明においては、各伸縮駆動素子は、曲面上に配列されている。
【0019】
一方、他の本発明は、対象物の把持等を行うロボットハンドにおいて、上記発明のアクチュエータを、対象物に接触する該ロボットハンドの部位に設けている。
【発明の効果】
【0020】
本発明のアクチュエータによれば、各伸縮駆動素子にそれぞれの電圧を印加して、各伸縮駆動素子を伸縮させ、各伸縮駆動素子上の弾性部材に進行波を形成している。従って、各伸縮駆動素子に電圧を印加する制御手段及び制御手段と各伸縮駆動素子を接続するそれぞれの配線パターンを必要とするものの、構成が簡単であって、かつ小型化を図ることが可能である。また、各伸縮駆動素子は、相互に離間しており、該各伸縮駆動素子の変形を阻む要因を含まないので、弾性部材の進行波の振幅を大きくすることができ、弾性部材による搬送力並びに搬送速度の上昇や、重い対象物の搬送等が可能になる。
【0021】
各伸縮駆動素子は、弾性を有する高分子材料を各電極間に挟み込んだ高分子アクチュエータである。この高分子アクチュエータの伸縮駆動素子は、その伸縮量が大きいので、進行波の振幅を大きくすることができる。また、高分子材料及び各電極のいずれも弾性を有し、それらの加工が容易なため、各伸縮駆動素子の長さを長くすることができる。この場合でも、各伸縮駆動素子の中央部と端部間での伸縮量が同じであり、端部と中央部では進行波の振幅に差異がなく、搬送性能にムラが生じることもない。
【0022】
更に、本発明によれば、各伸縮駆動素子を行列方向に配列している。この場合は、各伸縮駆動素子上の弾性部材に行列方向の進行波は勿論のこと、斜め方向や回転する進行波を形成することができ、対象物の一方向への搬送だけではなく、対象物の前後左右の搬送や回転移動なども可能になる。
【0023】
また、本発明によれば、対象物と弾性部材との接触状態を検出し、各伸縮駆動素子を伸縮させて、弾性部材を対象物の表面に沿う様に変形させ、この状態で各伸縮駆動素子を伸縮させて、弾性部材に進行波を形成している。これにより、対象物の表面に搬送力を均一に作用させることができ、対象物の安定な搬送が可能になる。
【0024】
更に、本発明によれば、弾性部材の表面に複数の突起を形成している。この場合は、各伸縮駆動素子の伸縮に伴う弾性部材の変形に際し、各突起先端の移動量が大きくなり、各突起先端に振幅の大きな進行波が形成される。このため、搬送力並びに搬送速度をより上昇させて、搬送性能を向上させることが可能になる。
【0025】
また、本発明によれば、各伸縮駆動素子にそれぞれ接続された複数の電極パターンを備え、各電極パターンを適宜の順序で配列している。これにより、各伸縮駆動素子が順次伸縮して、弾性部材に進行波が形成される。
【0026】
更に、本発明によれば、各伸縮駆動素子を曲面上に配列されている。この場合は、各伸縮駆動素子上の弾性部材表面も曲面となり、対象物を弾性部材の曲面に沿って搬送することができる。
【0027】
一方、他の本発明によれば、上記発明のアクチュエータを、対象物に接触するロボットハンドの部位に設けている。このため、ロボットハンドにより対象物を把持したときには、対象物がアクチュエータに接触することになり、アクチュエータによる対象物の搬送が可能になる。例えば、ロボットハンドの手の平にアクチュエータを設ければ、手の平上で対象物を移動させたり回転させることができ、ロボットハンドによる対象物の微妙な扱いが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明のアクチュエータの第1実施形態を示す一部分解斜視図である。本実施形態のアクチュエータ10では、アクチュエータ基板11上にフレキシブル基板14を重ね合わせて固定し、フレキシブル基板14上に複数の伸縮駆動素子12を並設して固定し、各伸縮駆動素子12の上端にシート状の弾性部材13を載せて係止し、制御駆動部15をフレキシブル基板14を通じて各伸縮駆動素子12に接続している。制御駆動部15は、フレキシブル基板14を通じて各伸縮駆動素子12に電圧を順次印加し、各伸縮駆動素子12をZ方向に順次伸縮させて、弾性部材13を変形させて波打たせ、弾性部材13に進行方向がX方向の進行波を形成する。この弾性部材13に対象物を載置すると、この弾性部材13の進行波により対象物がX方向とは逆方向に搬送される。
【0029】
各伸縮駆動素子12は、図2(a)に示す様なシート状の高分子材料21を一対の電極22、23間に挟み込んだ高分子アクチュエータを、図3に示す様にロール状に巻回して角棒状に成型してなる。高分子材料21は、誘電性エラストマ、電歪高分子等とも称され、スピンコーティング法、ディップコーティング法、キャスト法、スプレイ法とにより形成される。また、各電極22は、柔軟性を有しており、高分子材料21と同様の製法により形成される。
【0030】
各電極22、23間に電圧を印加すると、各電極22、23間に静電力が生じて、この静電力が図2(b)に示す様に高分子材料21を押し広げる様に作用して、高分子材料21及び各電極22、23が延び、伸縮駆動素子が伸長する。
【0031】
また、各電極22、23間への電圧印加を停止すると、各電極22間の静電力が消えて、高分子材料21及び各電極22、23が図2(a)に示す元の状態に戻り、伸縮駆動素子の長さが元に戻る。
【0032】
従って、図3に示す様に高分子材料21及び各電極22をロール状に巻回して角棒状に成型した伸縮駆動素子12は、高分子材料21及び各電極22、23が広がるZ方向に伸縮することになる。
【0033】
尚、高分子アクチュエータは、技術調査会から出版されている「エレクトロニクス実装技術」の2001年1月号のP32〜P38、及びサイエンス社(SCIENCE)から出版されている「SCIENCE」の2000年4月(FEBRUARY)号のVOL287のP836、P837等に詳しく記載されている。
【0034】
フレキシブル基板14は、周知の可撓性もしくは弾性を有するものであり、図4に示す様な配線パターンを有している。ここでは、各伸縮駆動素子12を、奇数番目と偶数番目を1組として複数組に分け、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12の一方の電極22をそれぞれの配線パターン24を通じて制御駆動部15に共通接続し、各組の偶数番目の伸縮駆動素子12の一方の電極22をそれぞれの配線パターン25を通じて制御駆動部15に共通接続している。また、全ての各伸縮駆動素子12の他方の電極23を図示しない配線パターンを通じて接地している。
【0035】
制御駆動部15は、各配線パターン24及び各配線パターン25に一定電圧を交互に出力して、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12に交互に一定電圧を印加し、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12を交互に伸長させる。より具体的には、各配線パターン24を通じて各組の奇数番目の伸縮駆動素子12の電極22に一定電圧を印加して、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12を伸長させ、このときに各組の偶数番目の伸縮駆動素子12の電極22への電圧印加を停止して、各組の偶数番目の伸縮駆動素子12を元の長さに戻す。また、制御駆動部15は、各配線パターン25を通じて各組の偶数番目の伸縮駆動素子12の電極22に一定電圧を印加して、各組の偶数番目の伸縮駆動素子12を伸長させ、このときに各組の奇数番目の伸縮駆動素子12の電極22への電圧印加を停止して、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12を元の長さに戻す。これにより、図5(a)及び(b)に示す様に各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12が交互に伸長する。
【0036】
弾性部材13は、弾性を有する合成樹脂からなり、各伸縮駆動素子12の上端に係止されている。例えば、各伸縮駆動素子12の上端を山形に成型して、各伸縮駆動素子12の上端中央に弾性部材13を接着している。
【0037】
従って、図5(a)及び(b)に示す様に各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12が交互に伸長すると、弾性部材13が該各伸縮駆動素子12の上端に追従して変形し、弾性部材13が波打つ。
【0038】
そして、図5(a)及び(b)に示す様に弾性部材13が該各伸縮駆動素子12の上端に追従して波打つ状態で、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12の電極22に印加される電圧と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12の電極22に印加される電圧との位相をずらすと、弾性部材13に進行波が発生する。例えば、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12の電極22に印加される電圧の位相を進ませると、弾性部材13にX方向とは逆方向の進行波が生じて、駆動部材13上の対象物がX方向に搬送され、また各組の偶数番目の伸縮駆動素子12の電極22に印加される電圧の位相を進ませると、弾性部材13にX方向の進行波が生じて、駆動部材13上の対象物がX方向とは逆方向に搬送される。
【0039】
ここで、一般に、進行波が伝播する媒質上の一点のみに着目すると、その点は単なる上下運動ではなく楕円運動をしていることが知られている。例えば、図6に示す様に弾性部材13表面の点Pが楕円運動をする。このとき、弾性部材13の進行波の進行方向がX方向である場合は、進行波の頂点近傍の点Pの運動方向P1が、進行波の進行方向Xと逆方向に向く。この弾性部材13に対象物を置くと、対象物は、進行波の頂点近傍の点Pのみに接触して、この頂点近傍の点Pの力を受けるので、進行方向Xと逆方向に搬送される。
【0040】
この様に本実施形態のアクチュエータ10では、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12に交互に一定電圧を印加して、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12が交互に伸長させ、弾性部材13に進行波を発生させ、駆動部材13上の対象物を進行波とは逆方向に搬送している。
【0041】
このアクチュエータ10では、各伸縮駆動素子12に電圧を印加する制御駆動部15、アクチュエータ基板11、及びフレキシブル基板14を必要とするものの、その構成が簡単であって、各伸縮駆動素子12の小型化が容易であることから、このアクチュエータ10そのものの小型化を図ることが可能である。また、各伸縮駆動素子12は、相互に離間しており、該各伸縮駆動素子12の変形を阻む要因を含まないので、弾性部材13の進行波の振幅を大きくすることができ、弾性部材13による搬送力並びに搬送速度の上昇や、重い対象物の搬送等が可能になる。
【0042】
また、伸縮駆動素子12をY方向に長くしても、伸縮行動素子12全体がZ方向に一様に伸縮し、伸長伸縮駆動素子12の中央部と端部間での伸縮量が同じであるので、伸縮駆動素子12の端部と中央部では進行波の振幅に差異がなく、搬送性能にムラが生じることがない。
【0043】
更に、アクチュエータ10は、ベルトコンベアと比較すると、構成が簡単であって、全体を薄くすることができるので、小スペースであっても、搭載することができる。更に、モーター等も必要としないので、電磁波を放出することもなく、電磁波を嫌うような半導体製造装置にも搭載することが可能である。
【0044】
尚、フレキシブル基板14をアクチュエータ基板11と各伸縮駆動素子12間に設ける代わりに、フレキシブル基板14を各伸縮駆動素子12と弾性部材13間に設け、各伸縮駆動素子12をフレキシブル基板14の配線パターンを通じて制御駆動部14に接続しても良い。また、フレキシブル基板14を設ける代わりに、複数のラインを各伸縮駆動素子12の側部に引き回して該各伸縮駆動素子12の電極に接続し、該各ラインを通じて、各伸縮駆動素子12と制御駆動部14を接続しても構わない。
【0045】
また、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12を交互に伸縮させる代わりに、2つ以上の伸縮駆動素子12を1組とし、奇数番目の組の各伸縮駆動素子12と偶数番目の組の各伸縮駆動素子12を交互に伸縮させても良い。あるいは、図7(a)〜(e)に示す様に各伸縮駆動素子12を1つずつ順次伸長させても良い。あるいは、図8に示す様に3つ以上の伸縮駆動素子12を1組とし、組毎に、各伸縮駆動素子12により1波長分の進行波を駆動部材13に生じさせても良い。ただし、各伸縮駆動素子12の電極22を制御駆動部14に別々に接続して、各伸縮駆動素子12を別々に制御する必要がある。
【0046】
更に、各伸縮駆動素子12を等間隔に並べず、各伸縮駆動素子12の間隔を故意に変更し、これにより搬送性能を調節しても良い。
【0047】
また、図9に示す様に駆動部材13に複数の突起13aを設けても良い。各突起13aは、駆動部材13に対してZ方向に突設され、各伸縮駆動素子12に沿ってY方向に延び、X方向に等間隔で配置され、それらの先端のみが対象物に接触する。これらの突起13aが高くなる程、該各突起13aの先端の上下前後の振幅が大きくなって、該各突起13aのX方向の変位速度が増大する。このため、対象物をより高速で搬送することができ、搬送性能をより向上させることができる。
【0048】
更に、フレキシブル基板14だけではなく、アクチュエータ基板11として可撓性もしくは弾性を有するものを適用し、アクチュエータ10そのものに可撓性もしくは弾性を持たせても良い。この場合は、アクチュエータ10を曲面に沿って設けたり、アクチュエータ10を相対的に移動する2つの箇所に掛け渡して設けることができる。
<実施形態2>
図10は、本発明のアクチュエータの第2実施形態を示す一部分解斜視図である。本実施形態のアクチュエータ30では、アクチュエータ基板31上にフレキシブル基板34を重ね合わせて固定し、フレキシブル基板34上に複数の伸縮駆動素子32を行列方向に配列して固定し、各伸縮駆動素子32の上端にシート状の弾性部材33を載せて係止し、制御駆動部35をフレキシブル基板34を通じて各伸縮駆動素子32に接続している。制御駆動部34は、フレキシブル基板34を通じて各伸縮駆動素子32に電圧を選択的に順次印加し、各伸縮駆動素子32を選択的に順次伸縮させ、弾性部材33に進行波を形成する。この弾性部材33に対象物を載置すると、この弾性部材33の進行波により対象物が進行波の進行方向とは逆方向に搬送される。
【0049】
各伸縮駆動素子32は、図1の伸縮駆動素子12と同様の構成であり、形状及びサイズのみが異なる。
【0050】
フレキシブル基板34は、各伸縮駆動素子32の一方の電極を制御駆動部34に接続するそれぞれの配線パターン、及び各伸縮駆動素子32の他方の電極を接地する配線パターンを有している。あるいは、フレキシブル基板34を設ける代わりに、複数のラインを各伸縮駆動素子32の側部に引き回して該各伸縮駆動素子32の電極に接続し、該各ラインを通じて、各伸縮駆動素子32と制御駆動部34を接続しても構わない。
【0051】
制御駆動部35は、フレキシブル基板34の各配線パターンを通じて、電圧を各伸縮駆動素子32に選択的に順次印加して、各伸縮駆動素子32を選択的に順次伸縮させる。
【0052】
弾性部材33は、各伸縮駆動素子32の上端に係止されており、各伸縮駆動素子32の伸縮に追従して変形し、その表面に進行波を生じる。
【0053】
この様な構成のアクチュエータ30においては、制御駆動部35の制御により各伸縮駆動素子32を選択的に順次伸縮させることができる。例えば、各伸縮駆動素子32の行列において、Y方向の行単位で、各行を選択的に順次伸縮させれば、弾性部材33にX方向又はX方向とは逆方向の進行波を生じさせて、駆動部材33上の対象物をX方向とは逆方向又はX方向に搬送することができる。また、X方向の列単位で、各列を選択的に順次伸縮させれば、弾性部材33にY方向又はY方向とは逆方向の進行波を生じさせて、駆動部材33上の対象物をY方向とは逆方向又はY方向に搬送することができる。
【0054】
あるいは、X方向及びY方向に対して斜めの方向についても各伸縮駆動素子32を選択的に順次伸縮させ、弾性部材33に斜めの方向又は斜めの方向とは逆方向の進行波を生じさせて、駆動部材33上の対象物を斜めの方向とは逆方向又は斜めの方向に搬送することができる。
【0055】
また、図11に示す様に各伸縮駆動素子32を2つの領域36、37に割り振り、制御駆動部35の制御により、各領域36、37別に、各伸縮駆動素子32を選択的に順次伸縮させても良い。例えば、領域36においては、各伸縮駆動素子32の伸縮に伴う弾性部材33の進行波の速度N1を速くし、領域37においては、各伸縮駆動素子32の伸縮に伴う弾性部材33の進行波の速度N2を遅くする。これにより、各領域36、37間で対象物39の搬送速度に差が生じ、対象物39が弾性部材33上で搬送されつつ方向Cに回転する。
【0056】
あるいは、領域36における進行波の進行方向と領域37における進行波の進行方向を相互に逆にすれば、対象物39が弾性部材33上で回転する。
【0057】
尚、フレキシブル基板34をアクチュエータ基板31と各伸縮駆動素子32間に設ける代わりに、フレキシブル基板34を各伸縮駆動素子32と弾性部材33間に設け、各伸縮駆動素子32をフレキシブル基板34の配線パターンを通じて制御駆動部34に接続しても良い。
【0058】
また、図12に示す様に駆動部材33に複数の突起33aを行列方向に設けても良い。各突起33aは、駆動部材33に対してZ方向に突設され、XY方向に等間隔で配置され、それらの先端のみが対象物に接触する。これらの突起33aが高くなる程、該各突起33aの先端の振幅が大きくなって、該各突起33aの先端のXY方向の変位速度が増大する。このため、対象物をより高速で搬送することができ、搬送性能をより向上させることができる。
【0059】
更に、フレキシブル基板34だけではなく、アクチュエータ基板31として可撓性もしくは弾性を有するものを適用し、アクチュエータ30そのものに可撓性もしくは弾性を持たせても良い。この場合は、図13に示す様にアクチュエータ30を曲面Sに沿って設けたり、アクチュエータ30を相対的に移動する2つの箇所に掛け渡して設けることができる。あるいは、ロボットハンドの手の平、指の腹にも設けることができる。近年、ロボットハンドの開発が盛んで、ロボットハンドに複雑な動きをさせようとしている。このためには、多自由度を有する機構と複雑な制御が必要となるが、その開発は極めて困難である。そこで、ロボットハンドの手の平や指の腹に、本発明のアクチュエータを搭載し、ロボットハンドにより把持されている対象物の移動もしくは回転等を行えば、ロボットハンドの構成や制御を複雑化せずに、複雑な作業を行うことが可能となる。
【0060】
また、各伸縮駆動素子32の配列パターンもしくは図12の駆動部材33の各突起33aの配列パターンは、行列方向に限らず、多様に変形しても構わない。また、複数の領域別に、それらの配列パターンを変更しても良い。
<実施形態3>
図14は、本発明のアクチュエータの第3実施形態を示す一部分解斜視図である。尚、図14において、図10と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付す。
【0061】
本実施形態のアクチュエータ40では、図1における各伸縮駆動素子32と弾性部材33間に、周知のタッチパネル等と同等の座標センサ41を挿入している。この座標センサ41は、タッチパネルの様に透明である必要がなく、感圧ゴム等を用いた可撓性もしくは弾性を有するものであり、対象物が弾性部材33に接触したときに、対象物が接触した位置を弾性部材33を介して検出する。制御駆動部35Aは、座標センサ41の検出出力に基づいて、弾性部材33が対象物の表面に沿う形状に変形する様に各伸縮駆動素子32を伸縮させる。
【0062】
例えば、図15(a)に示す様に各伸縮駆動素子32が縮小した状態で、対象物42が弾性部材33に接触すると、制御駆動部35Aは、座標センサ41の検出出力に基づいて、対象物42の接触位置の少なくとも1つの伸縮駆動素子32を判定し、この接触位置の伸縮駆動素子32周りの他の各伸縮駆動素子32を徐々に伸長させる。そして、制御駆動部35Aは、他の各伸縮駆動素子32の伸長に伴い、対象物42の表面に弾性部材33の他の位置が接触すると、座標センサ41の検出出力に基づいて、この接触した他の位置の伸縮駆動素子32を判定し、この接触位置の伸縮駆動素子32の伸長を停止させて、このときの伸縮駆動素子32の長さを維持する。以降同様に、対象物42の表面に弾性部材33のいずれかの位置が接触する度に、座標センサ41の検出出力に基づいて、この接触した位置の伸縮駆動素子32を判定し、この接触位置の伸縮駆動素子32の伸長を停止させて、その長さを維持する。
【0063】
これにより、図15(b)に示す様に各伸縮駆動素子32が伸長し、弾性部材33が対象物の表面に沿う形状に変形して、弾性部材33が対象物の表面に広い範囲で接触する。
【0064】
この後、制御駆動部35は、各伸縮駆動素子32を選択的に順次伸縮させ、弾性部材33に進行波を生じさせて、駆動部材33上の対象物を搬送もしくは回転させる。また、この対象物の搬送もしくは回転に際しても、座標センサ41の検出出力に基づいて、弾性部材33が対象物42の表面に沿う形状に変形する様に各伸縮駆動素子32を伸縮させた上で、弾性部材33に進行波を生じさせる。
【0065】
この結果、弾性部材33が対象物42の表面に広い範囲で接触した状態が維持されつつ、弾性部材33の進行波により対象物42が搬送もしくは回転されることになり、対象物42の表面に広い範囲で搬送力が作用して、対象物42が安定的に搬送もしくは回転される。
【0066】
尚、座標センサ41として、タッチパネルだけではなく、他の種類のものを適用しても良い。例えば、図16に示す様に伸縮駆動素子32毎に、伸縮駆動素子32先端に電極51を設けると共に、弾性部材33の裏面における該伸縮駆動素子32先端の対向位置に電極52を設け、各電極51、52間にバネ53を介在させたものを適用しても構わない。対象物が弾性部材33に接触したときには、この接触位置の伸縮駆動素子32に力が作用して、該伸縮駆動素子32の各電極51、52が接近し、各電極51、52間の静電容量が変化するので、伸縮駆動素子32毎に、各電極51、52間の静電容量の変化を検出すれば、対象物の表面が弾性部材33のいずれの位置に接触したかを検出して、この位置の伸縮駆動素子32を判定することができる。
【0067】
図16に示す様な構造のセンサは、MEMS(Microelectoromechanical System)センサとして実現すれば、小型なものを得ることができる。
【0068】
また、伸縮駆動素子そのものを、センサとしても用いることができる。高分子アクチュエータである伸縮駆動素子は、対象物に接触すると多少の座屈を起こす。この座屈により高分子アクチュエータの伸張が非対称になる。その非対称な伸張を読み取れば、対象物に接触したかどうかを知ることができる。その他にも、高分子アクチュエータそのものを用いたセンシング方法はいろいろと考えられるが、高分子アクチュエータの設置場所や搬送物体に応じて適当な方法を選んでやればよい。
【0069】
尚、本発明のアクチュエータは、上記各実施形態に限定されるものではなく、多様に変形することができる。例えば、伸縮駆動素子として、図2(a)に示す高分子材料21を一対の電極22、23間に挟み込んだ高分子アクチュエータに限らず、他の種類のものを適用しても良い。この他の種類の伸縮駆動素子としては、高分子材料に電極を設け電圧を加えるとイオンを取り込んで膨張するという性質を利用したものもあり、それを用いても構わない。
【0070】
あるいは、電気的に制御することができ、高分子アクチュエータと同様な性質を有するアクチュエータであれば、どのような駆動素子でも用いることができる。
【0071】
また、伸縮駆動素子として、超音波を弾性部材の表面に発生させて、対象物を搬送するというものもある。この場合は、進行波の振幅が小さいので、駆動力を得るために対象物が弾性部材の表面にある程度の力で押さえ付けられるか、弾性部材の表面に対する弾性部材の接触面積が広くなければ、十分な駆動力が得られない。このため、複雑な形状の対象物の搬送には向いていない。搬送速度は、超音波のものが速くなる。ただし、高い搬送速度を要求されない場合は、上記の理由から超音波で進行波を形成するより、高分子アクチュエータで進行波を形成した方が良い。
【0072】
更に、搬送される対象物は、特に限定されない。
<実施形態4>
図17(a)及び(b)は、本発明のアクチュエータを適用したロボットハンドの実施形態を概略的に示す側面図及び平面図である。このロボットハンド51は、複数の関節を有する5本の指52と、各指52を支持する手の平部53と、手の平部53の内側に設けられたアクチュエータ30と、手の平部13の甲側に設けられたハンド制御回路55とを備えている。
【0073】
各指52の駆動機構としては、プーリとワイヤーを組み合わせたものやギヤを組み合わせたもの等、多種多様なものが既に提案されており、いずれの駆動機構を適用しても構わない。また、各指52の駆動機構は、図示しない信号線を通じてハンド制御回路55により駆動制御される。
【0074】
アクチュエータ30は、図10に示すものと同様の構成である。
【0075】
ハンド制御回路55は、各指52の駆動機構を駆動制御し、各指52による対象物の把持等を適確に行わせる。また、ハンド制御回路55は、アクチュエータ30を制御する制御駆動部35を含み、アクチュエータ30の制御駆動も行って、アクチュエータ30の弾性部材33に進行波を生じさせる。
【0076】
この様な構成のロボットハンドにおいては、各指52により対象物を把持すると、対象物がアクチュエータ30の弾性部材33の表面に接触する。この状態で、ハンド制御回路55の制御駆動部35によりアクチュエータ30の弾性部材33に進行波を生じさせると、弾性部材33の進行波により対象物を搬送もしくは回転させることができる。これにより、ロボットハンドの各指52だけでは到底不可能であった対象物の微妙な扱いが可能になる。
【0077】
尚、アクチュエータ30に限定されるものではなく、本発明のアクチュエータであれば、これを適用することができる。また、アクチュエータを設ける箇所を変更したり、複数のアクチュエータを設けても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明のアクチュエータの第1実施形態を示す一部分解斜視図である。
【図2】(a)は高分子アクチュエータの構造を示す斜視図であり、(b)は高分子アクチュエータの動作を示す斜視図である。
【図3】高分子アクチュエータをロール状に巻回して角棒状に成型してなる伸縮駆動素子を示す斜視図である。
【図4】図1のアクチュエータにおけるフレキシブル基板等を示す平面図である。
【図5】(a)及び(b)は、図1のアクチュエータにおける各伸縮駆動素子の動作を示す図である。
【図6】図1のアクチュエータにおける弾性部材の進行波を示す図である。
【図7】(a)〜(e)は、図1のアクチュエータにおける各伸縮駆動素子の動作の変形例を示す図である。
【図8】図1のアクチュエータにおける各伸縮駆動素子の動作の他の変形例を示す図である。
【図9】図1のアクチュエータにおける弾性部材の変形例を示す図である。
【図10】本発明のアクチュエータの第2実施形態を示す一部分解斜視図である。
【図11】図10のアクチュエータによる対象物の搬送状態を示す図である。
【図12】図10のアクチュエータにおける弾性部材の変形例を示す図である。
【図13】図10のアクチュエータの変形例を示す図である。
【図14】本発明のアクチュエータの第3実施形態を示す一部分解斜視図である。
【図15】(a)及び(b)は、図14のアクチュエータにおける各伸縮駆動素子の動作を示す図である。
【図16】図14のアクチュエータにおける座標センサの変形例を示す図である。
【図17】(a)及び(b)は、本発明のアクチュエータを適用したロボットハンドの実施形態を概略的に示す側面図及び平面図である。
【図18】従来のアクチュエータを示す斜視図である。
【図19】従来の他のアクチュエータを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
10、30、40 アクチュエータ
11、31 アクチュエータ基板
12、32 伸縮駆動素子
13、33 弾性部材
14、34 フレキシブル基板
15、35、35A 制御駆動部
21 高分子材料
22、23 電極
24、25 配線パターン
41 座標センサ
51 ロボットハンド
52 指
53 手の平部
55 ハンド制御回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を搬送するアクチュエータ及びロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の様に搬送装置として、ベルトコンベアなどがある。このベルトコンベアは、無端ベルトを複数のローラに掛け渡して支持し、無端ベルトを回転させて、無端ベルト上に置かれた物体を搬送するという装置である。
【0003】
しかしながら、このベルトコンベアでは、複数の回転ローラや、各回転ローラの動力源となるモーターなどが必要であり、その構成が複雑であり、また小型化が容易ではなかった。更に、モーターからは電磁波が発生するので、この電磁波を嫌う装置、例えば半導体製造装置等においては、ベルトコンベアは不向きであった。
【0004】
この様なベルトコンベアに対して、電磁波を発生せず、構成が簡単であるとか、小型化が容易であるという搬送装置が提案されている。例えば、特許文献1には、複数の振動子を並設し、各振動子上に弾性材料からなる搬送路を載せて支持し、各振動子を振動させて、搬送路表面に進行波を形成し、この進行波により搬送路上の物体を搬送するという搬送装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、図18に示す様に板状の弾性部材101に複数の圧力室102を並べて形成し、各圧力室102の圧力を制御し、各圧力室102を順次膨張させて、板状の弾性部材101を変形させ、この板状の弾性部材101の表面101aに進行波を形成し、この板状の弾性部材101の表面101a上の物体を搬送するというアクチュエータが開示されている。
【0006】
更に、特許文献3には、図19に示す様に複数の固定子111を並設し、各固定子111上に波動弾性板112を載せて支持し、各固定子111の印加電圧を制御し、各固定子111を静電気力により順次撓ませて、波動弾性板112の表面に進行波を形成し、この波動弾性板112上の可動子113を搬送するというアクチュエータが開示されている。
【特許文献1】特開昭60−258013号公報
【特許文献2】特開平9−79213号公報
【特許文献3】特開平9−252585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の搬送装置は、小型化に適しているものの、各振動子の撓み量が小さいので、進行波の振幅が小さくて、搬送速度が遅く、また物体が重くなると、搬送に支障を来たした。
【0008】
また、特許文献2に記載のアクチュエータは、その構成が簡単であっても、板状の弾性部材の各圧力室に空気を圧送する圧力印加手段、及び各圧力室と圧力印加手段を接続する複数のチューブが必要であり、小型化には不向きであった。また、空気圧を利用しているので、進行波の応答性が悪く、周波数の高い進行波の形成が困難であった。更に、各圧力室間の隔壁が、圧力室の変形を阻む要因になっており、板状の弾性部材が変形し難く、搬送速度を上昇させることができなかった。また、アクチュエータの端部と中央部では厚みが異なり、端部の方が厚くて、その剛性が高いので、端部と中央部では進行波の振幅に差異が生じ、搬送性能にムラが生じるという問題があった。
【0009】
更に、特許文献3に記載のアクチュエータは、小型化に適しているものの、各固定子の撓み量が小さいので、進行波の振幅が小さくて、搬送速度が遅く、また物体が重くなると、搬送に支障を来たした。その上、固定子の端部と中央部では撓み量が異なるので、アクチュエータの端部と中央部では進行波の振幅が異なり、搬送性能にムラが生じるという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、進行波により対象物を搬送する上で、十分な搬送性能を実現することができ、構造が簡単であり、かつ小型化に適したアクチュエータを提供することを目的とする。
【0011】
また、他の本発明は、上記本発明のアクチュエータを設けたロボットハンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のアクチュエータは、配列された複数の伸縮駆動素子と、各伸縮駆動素子に載せられて係止された弾性部材と、各伸縮駆動素子の伸縮に追従して弾性部材が変形し、この弾性部材に進行波が形成される様に、各伸縮駆動素子にそれぞれの電圧を印加して、各伸縮駆動素子を伸縮させる制御手段とを備えている。
【0013】
また、本発明においては、各伸縮駆動素子は、弾性を有する高分子材料を各電極間に挟み込んだ高分子アクチュエータである。
【0014】
更に、本発明においては、各伸縮駆動素子は、行列方向に配列されている。
【0015】
また、本発明においては、対象物と弾性部材との接触状態を検出する接触状態検出手段を備え、制御手段は、接触状態検出手段の検出出力に基づいて、各伸縮駆動素子を伸縮させて、弾性部材を対象物の表面に沿う様に変形させ、この状態で各伸縮駆動素子を伸縮させて、弾性部材に進行波を形成させている。
【0016】
更に、本発明においては、弾性部材の表面に複数の突起を形成している。
【0017】
また、本発明においては、各伸縮駆動素子にそれぞれ接続された複数の電極パターンを備え、各伸縮駆動素子を複数組に分けて、組毎に、相互に異なる電位に設定される各電極パターンを各伸縮駆動素子に対応させて順次配列し、各組の同一順序に、相互に等しい電位に設定される電極パターンを伸縮駆動素子に対応させて配置している。そして、1組における各電極パターンの電位の位相が異なっている。また、組毎に、各電極パターンに接続されたそれぞれの伸縮駆動素子により1波長分の進行波が形成される。
【0018】
更に、本発明においては、各伸縮駆動素子は、曲面上に配列されている。
【0019】
一方、他の本発明は、対象物の把持等を行うロボットハンドにおいて、上記発明のアクチュエータを、対象物に接触する該ロボットハンドの部位に設けている。
【発明の効果】
【0020】
本発明のアクチュエータによれば、各伸縮駆動素子にそれぞれの電圧を印加して、各伸縮駆動素子を伸縮させ、各伸縮駆動素子上の弾性部材に進行波を形成している。従って、各伸縮駆動素子に電圧を印加する制御手段及び制御手段と各伸縮駆動素子を接続するそれぞれの配線パターンを必要とするものの、構成が簡単であって、かつ小型化を図ることが可能である。また、各伸縮駆動素子は、相互に離間しており、該各伸縮駆動素子の変形を阻む要因を含まないので、弾性部材の進行波の振幅を大きくすることができ、弾性部材による搬送力並びに搬送速度の上昇や、重い対象物の搬送等が可能になる。
【0021】
各伸縮駆動素子は、弾性を有する高分子材料を各電極間に挟み込んだ高分子アクチュエータである。この高分子アクチュエータの伸縮駆動素子は、その伸縮量が大きいので、進行波の振幅を大きくすることができる。また、高分子材料及び各電極のいずれも弾性を有し、それらの加工が容易なため、各伸縮駆動素子の長さを長くすることができる。この場合でも、各伸縮駆動素子の中央部と端部間での伸縮量が同じであり、端部と中央部では進行波の振幅に差異がなく、搬送性能にムラが生じることもない。
【0022】
更に、本発明によれば、各伸縮駆動素子を行列方向に配列している。この場合は、各伸縮駆動素子上の弾性部材に行列方向の進行波は勿論のこと、斜め方向や回転する進行波を形成することができ、対象物の一方向への搬送だけではなく、対象物の前後左右の搬送や回転移動なども可能になる。
【0023】
また、本発明によれば、対象物と弾性部材との接触状態を検出し、各伸縮駆動素子を伸縮させて、弾性部材を対象物の表面に沿う様に変形させ、この状態で各伸縮駆動素子を伸縮させて、弾性部材に進行波を形成している。これにより、対象物の表面に搬送力を均一に作用させることができ、対象物の安定な搬送が可能になる。
【0024】
更に、本発明によれば、弾性部材の表面に複数の突起を形成している。この場合は、各伸縮駆動素子の伸縮に伴う弾性部材の変形に際し、各突起先端の移動量が大きくなり、各突起先端に振幅の大きな進行波が形成される。このため、搬送力並びに搬送速度をより上昇させて、搬送性能を向上させることが可能になる。
【0025】
また、本発明によれば、各伸縮駆動素子にそれぞれ接続された複数の電極パターンを備え、各電極パターンを適宜の順序で配列している。これにより、各伸縮駆動素子が順次伸縮して、弾性部材に進行波が形成される。
【0026】
更に、本発明によれば、各伸縮駆動素子を曲面上に配列されている。この場合は、各伸縮駆動素子上の弾性部材表面も曲面となり、対象物を弾性部材の曲面に沿って搬送することができる。
【0027】
一方、他の本発明によれば、上記発明のアクチュエータを、対象物に接触するロボットハンドの部位に設けている。このため、ロボットハンドにより対象物を把持したときには、対象物がアクチュエータに接触することになり、アクチュエータによる対象物の搬送が可能になる。例えば、ロボットハンドの手の平にアクチュエータを設ければ、手の平上で対象物を移動させたり回転させることができ、ロボットハンドによる対象物の微妙な扱いが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明のアクチュエータの第1実施形態を示す一部分解斜視図である。本実施形態のアクチュエータ10では、アクチュエータ基板11上にフレキシブル基板14を重ね合わせて固定し、フレキシブル基板14上に複数の伸縮駆動素子12を並設して固定し、各伸縮駆動素子12の上端にシート状の弾性部材13を載せて係止し、制御駆動部15をフレキシブル基板14を通じて各伸縮駆動素子12に接続している。制御駆動部15は、フレキシブル基板14を通じて各伸縮駆動素子12に電圧を順次印加し、各伸縮駆動素子12をZ方向に順次伸縮させて、弾性部材13を変形させて波打たせ、弾性部材13に進行方向がX方向の進行波を形成する。この弾性部材13に対象物を載置すると、この弾性部材13の進行波により対象物がX方向とは逆方向に搬送される。
【0029】
各伸縮駆動素子12は、図2(a)に示す様なシート状の高分子材料21を一対の電極22、23間に挟み込んだ高分子アクチュエータを、図3に示す様にロール状に巻回して角棒状に成型してなる。高分子材料21は、誘電性エラストマ、電歪高分子等とも称され、スピンコーティング法、ディップコーティング法、キャスト法、スプレイ法とにより形成される。また、各電極22は、柔軟性を有しており、高分子材料21と同様の製法により形成される。
【0030】
各電極22、23間に電圧を印加すると、各電極22、23間に静電力が生じて、この静電力が図2(b)に示す様に高分子材料21を押し広げる様に作用して、高分子材料21及び各電極22、23が延び、伸縮駆動素子が伸長する。
【0031】
また、各電極22、23間への電圧印加を停止すると、各電極22間の静電力が消えて、高分子材料21及び各電極22、23が図2(a)に示す元の状態に戻り、伸縮駆動素子の長さが元に戻る。
【0032】
従って、図3に示す様に高分子材料21及び各電極22をロール状に巻回して角棒状に成型した伸縮駆動素子12は、高分子材料21及び各電極22、23が広がるZ方向に伸縮することになる。
【0033】
尚、高分子アクチュエータは、技術調査会から出版されている「エレクトロニクス実装技術」の2001年1月号のP32〜P38、及びサイエンス社(SCIENCE)から出版されている「SCIENCE」の2000年4月(FEBRUARY)号のVOL287のP836、P837等に詳しく記載されている。
【0034】
フレキシブル基板14は、周知の可撓性もしくは弾性を有するものであり、図4に示す様な配線パターンを有している。ここでは、各伸縮駆動素子12を、奇数番目と偶数番目を1組として複数組に分け、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12の一方の電極22をそれぞれの配線パターン24を通じて制御駆動部15に共通接続し、各組の偶数番目の伸縮駆動素子12の一方の電極22をそれぞれの配線パターン25を通じて制御駆動部15に共通接続している。また、全ての各伸縮駆動素子12の他方の電極23を図示しない配線パターンを通じて接地している。
【0035】
制御駆動部15は、各配線パターン24及び各配線パターン25に一定電圧を交互に出力して、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12に交互に一定電圧を印加し、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12を交互に伸長させる。より具体的には、各配線パターン24を通じて各組の奇数番目の伸縮駆動素子12の電極22に一定電圧を印加して、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12を伸長させ、このときに各組の偶数番目の伸縮駆動素子12の電極22への電圧印加を停止して、各組の偶数番目の伸縮駆動素子12を元の長さに戻す。また、制御駆動部15は、各配線パターン25を通じて各組の偶数番目の伸縮駆動素子12の電極22に一定電圧を印加して、各組の偶数番目の伸縮駆動素子12を伸長させ、このときに各組の奇数番目の伸縮駆動素子12の電極22への電圧印加を停止して、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12を元の長さに戻す。これにより、図5(a)及び(b)に示す様に各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12が交互に伸長する。
【0036】
弾性部材13は、弾性を有する合成樹脂からなり、各伸縮駆動素子12の上端に係止されている。例えば、各伸縮駆動素子12の上端を山形に成型して、各伸縮駆動素子12の上端中央に弾性部材13を接着している。
【0037】
従って、図5(a)及び(b)に示す様に各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12が交互に伸長すると、弾性部材13が該各伸縮駆動素子12の上端に追従して変形し、弾性部材13が波打つ。
【0038】
そして、図5(a)及び(b)に示す様に弾性部材13が該各伸縮駆動素子12の上端に追従して波打つ状態で、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12の電極22に印加される電圧と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12の電極22に印加される電圧との位相をずらすと、弾性部材13に進行波が発生する。例えば、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12の電極22に印加される電圧の位相を進ませると、弾性部材13にX方向とは逆方向の進行波が生じて、駆動部材13上の対象物がX方向に搬送され、また各組の偶数番目の伸縮駆動素子12の電極22に印加される電圧の位相を進ませると、弾性部材13にX方向の進行波が生じて、駆動部材13上の対象物がX方向とは逆方向に搬送される。
【0039】
ここで、一般に、進行波が伝播する媒質上の一点のみに着目すると、その点は単なる上下運動ではなく楕円運動をしていることが知られている。例えば、図6に示す様に弾性部材13表面の点Pが楕円運動をする。このとき、弾性部材13の進行波の進行方向がX方向である場合は、進行波の頂点近傍の点Pの運動方向P1が、進行波の進行方向Xと逆方向に向く。この弾性部材13に対象物を置くと、対象物は、進行波の頂点近傍の点Pのみに接触して、この頂点近傍の点Pの力を受けるので、進行方向Xと逆方向に搬送される。
【0040】
この様に本実施形態のアクチュエータ10では、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12に交互に一定電圧を印加して、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12が交互に伸長させ、弾性部材13に進行波を発生させ、駆動部材13上の対象物を進行波とは逆方向に搬送している。
【0041】
このアクチュエータ10では、各伸縮駆動素子12に電圧を印加する制御駆動部15、アクチュエータ基板11、及びフレキシブル基板14を必要とするものの、その構成が簡単であって、各伸縮駆動素子12の小型化が容易であることから、このアクチュエータ10そのものの小型化を図ることが可能である。また、各伸縮駆動素子12は、相互に離間しており、該各伸縮駆動素子12の変形を阻む要因を含まないので、弾性部材13の進行波の振幅を大きくすることができ、弾性部材13による搬送力並びに搬送速度の上昇や、重い対象物の搬送等が可能になる。
【0042】
また、伸縮駆動素子12をY方向に長くしても、伸縮行動素子12全体がZ方向に一様に伸縮し、伸長伸縮駆動素子12の中央部と端部間での伸縮量が同じであるので、伸縮駆動素子12の端部と中央部では進行波の振幅に差異がなく、搬送性能にムラが生じることがない。
【0043】
更に、アクチュエータ10は、ベルトコンベアと比較すると、構成が簡単であって、全体を薄くすることができるので、小スペースであっても、搭載することができる。更に、モーター等も必要としないので、電磁波を放出することもなく、電磁波を嫌うような半導体製造装置にも搭載することが可能である。
【0044】
尚、フレキシブル基板14をアクチュエータ基板11と各伸縮駆動素子12間に設ける代わりに、フレキシブル基板14を各伸縮駆動素子12と弾性部材13間に設け、各伸縮駆動素子12をフレキシブル基板14の配線パターンを通じて制御駆動部14に接続しても良い。また、フレキシブル基板14を設ける代わりに、複数のラインを各伸縮駆動素子12の側部に引き回して該各伸縮駆動素子12の電極に接続し、該各ラインを通じて、各伸縮駆動素子12と制御駆動部14を接続しても構わない。
【0045】
また、各組の奇数番目の伸縮駆動素子12と各組の偶数番目の伸縮駆動素子12を交互に伸縮させる代わりに、2つ以上の伸縮駆動素子12を1組とし、奇数番目の組の各伸縮駆動素子12と偶数番目の組の各伸縮駆動素子12を交互に伸縮させても良い。あるいは、図7(a)〜(e)に示す様に各伸縮駆動素子12を1つずつ順次伸長させても良い。あるいは、図8に示す様に3つ以上の伸縮駆動素子12を1組とし、組毎に、各伸縮駆動素子12により1波長分の進行波を駆動部材13に生じさせても良い。ただし、各伸縮駆動素子12の電極22を制御駆動部14に別々に接続して、各伸縮駆動素子12を別々に制御する必要がある。
【0046】
更に、各伸縮駆動素子12を等間隔に並べず、各伸縮駆動素子12の間隔を故意に変更し、これにより搬送性能を調節しても良い。
【0047】
また、図9に示す様に駆動部材13に複数の突起13aを設けても良い。各突起13aは、駆動部材13に対してZ方向に突設され、各伸縮駆動素子12に沿ってY方向に延び、X方向に等間隔で配置され、それらの先端のみが対象物に接触する。これらの突起13aが高くなる程、該各突起13aの先端の上下前後の振幅が大きくなって、該各突起13aのX方向の変位速度が増大する。このため、対象物をより高速で搬送することができ、搬送性能をより向上させることができる。
【0048】
更に、フレキシブル基板14だけではなく、アクチュエータ基板11として可撓性もしくは弾性を有するものを適用し、アクチュエータ10そのものに可撓性もしくは弾性を持たせても良い。この場合は、アクチュエータ10を曲面に沿って設けたり、アクチュエータ10を相対的に移動する2つの箇所に掛け渡して設けることができる。
<実施形態2>
図10は、本発明のアクチュエータの第2実施形態を示す一部分解斜視図である。本実施形態のアクチュエータ30では、アクチュエータ基板31上にフレキシブル基板34を重ね合わせて固定し、フレキシブル基板34上に複数の伸縮駆動素子32を行列方向に配列して固定し、各伸縮駆動素子32の上端にシート状の弾性部材33を載せて係止し、制御駆動部35をフレキシブル基板34を通じて各伸縮駆動素子32に接続している。制御駆動部34は、フレキシブル基板34を通じて各伸縮駆動素子32に電圧を選択的に順次印加し、各伸縮駆動素子32を選択的に順次伸縮させ、弾性部材33に進行波を形成する。この弾性部材33に対象物を載置すると、この弾性部材33の進行波により対象物が進行波の進行方向とは逆方向に搬送される。
【0049】
各伸縮駆動素子32は、図1の伸縮駆動素子12と同様の構成であり、形状及びサイズのみが異なる。
【0050】
フレキシブル基板34は、各伸縮駆動素子32の一方の電極を制御駆動部34に接続するそれぞれの配線パターン、及び各伸縮駆動素子32の他方の電極を接地する配線パターンを有している。あるいは、フレキシブル基板34を設ける代わりに、複数のラインを各伸縮駆動素子32の側部に引き回して該各伸縮駆動素子32の電極に接続し、該各ラインを通じて、各伸縮駆動素子32と制御駆動部34を接続しても構わない。
【0051】
制御駆動部35は、フレキシブル基板34の各配線パターンを通じて、電圧を各伸縮駆動素子32に選択的に順次印加して、各伸縮駆動素子32を選択的に順次伸縮させる。
【0052】
弾性部材33は、各伸縮駆動素子32の上端に係止されており、各伸縮駆動素子32の伸縮に追従して変形し、その表面に進行波を生じる。
【0053】
この様な構成のアクチュエータ30においては、制御駆動部35の制御により各伸縮駆動素子32を選択的に順次伸縮させることができる。例えば、各伸縮駆動素子32の行列において、Y方向の行単位で、各行を選択的に順次伸縮させれば、弾性部材33にX方向又はX方向とは逆方向の進行波を生じさせて、駆動部材33上の対象物をX方向とは逆方向又はX方向に搬送することができる。また、X方向の列単位で、各列を選択的に順次伸縮させれば、弾性部材33にY方向又はY方向とは逆方向の進行波を生じさせて、駆動部材33上の対象物をY方向とは逆方向又はY方向に搬送することができる。
【0054】
あるいは、X方向及びY方向に対して斜めの方向についても各伸縮駆動素子32を選択的に順次伸縮させ、弾性部材33に斜めの方向又は斜めの方向とは逆方向の進行波を生じさせて、駆動部材33上の対象物を斜めの方向とは逆方向又は斜めの方向に搬送することができる。
【0055】
また、図11に示す様に各伸縮駆動素子32を2つの領域36、37に割り振り、制御駆動部35の制御により、各領域36、37別に、各伸縮駆動素子32を選択的に順次伸縮させても良い。例えば、領域36においては、各伸縮駆動素子32の伸縮に伴う弾性部材33の進行波の速度N1を速くし、領域37においては、各伸縮駆動素子32の伸縮に伴う弾性部材33の進行波の速度N2を遅くする。これにより、各領域36、37間で対象物39の搬送速度に差が生じ、対象物39が弾性部材33上で搬送されつつ方向Cに回転する。
【0056】
あるいは、領域36における進行波の進行方向と領域37における進行波の進行方向を相互に逆にすれば、対象物39が弾性部材33上で回転する。
【0057】
尚、フレキシブル基板34をアクチュエータ基板31と各伸縮駆動素子32間に設ける代わりに、フレキシブル基板34を各伸縮駆動素子32と弾性部材33間に設け、各伸縮駆動素子32をフレキシブル基板34の配線パターンを通じて制御駆動部34に接続しても良い。
【0058】
また、図12に示す様に駆動部材33に複数の突起33aを行列方向に設けても良い。各突起33aは、駆動部材33に対してZ方向に突設され、XY方向に等間隔で配置され、それらの先端のみが対象物に接触する。これらの突起33aが高くなる程、該各突起33aの先端の振幅が大きくなって、該各突起33aの先端のXY方向の変位速度が増大する。このため、対象物をより高速で搬送することができ、搬送性能をより向上させることができる。
【0059】
更に、フレキシブル基板34だけではなく、アクチュエータ基板31として可撓性もしくは弾性を有するものを適用し、アクチュエータ30そのものに可撓性もしくは弾性を持たせても良い。この場合は、図13に示す様にアクチュエータ30を曲面Sに沿って設けたり、アクチュエータ30を相対的に移動する2つの箇所に掛け渡して設けることができる。あるいは、ロボットハンドの手の平、指の腹にも設けることができる。近年、ロボットハンドの開発が盛んで、ロボットハンドに複雑な動きをさせようとしている。このためには、多自由度を有する機構と複雑な制御が必要となるが、その開発は極めて困難である。そこで、ロボットハンドの手の平や指の腹に、本発明のアクチュエータを搭載し、ロボットハンドにより把持されている対象物の移動もしくは回転等を行えば、ロボットハンドの構成や制御を複雑化せずに、複雑な作業を行うことが可能となる。
【0060】
また、各伸縮駆動素子32の配列パターンもしくは図12の駆動部材33の各突起33aの配列パターンは、行列方向に限らず、多様に変形しても構わない。また、複数の領域別に、それらの配列パターンを変更しても良い。
<実施形態3>
図14は、本発明のアクチュエータの第3実施形態を示す一部分解斜視図である。尚、図14において、図10と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付す。
【0061】
本実施形態のアクチュエータ40では、図1における各伸縮駆動素子32と弾性部材33間に、周知のタッチパネル等と同等の座標センサ41を挿入している。この座標センサ41は、タッチパネルの様に透明である必要がなく、感圧ゴム等を用いた可撓性もしくは弾性を有するものであり、対象物が弾性部材33に接触したときに、対象物が接触した位置を弾性部材33を介して検出する。制御駆動部35Aは、座標センサ41の検出出力に基づいて、弾性部材33が対象物の表面に沿う形状に変形する様に各伸縮駆動素子32を伸縮させる。
【0062】
例えば、図15(a)に示す様に各伸縮駆動素子32が縮小した状態で、対象物42が弾性部材33に接触すると、制御駆動部35Aは、座標センサ41の検出出力に基づいて、対象物42の接触位置の少なくとも1つの伸縮駆動素子32を判定し、この接触位置の伸縮駆動素子32周りの他の各伸縮駆動素子32を徐々に伸長させる。そして、制御駆動部35Aは、他の各伸縮駆動素子32の伸長に伴い、対象物42の表面に弾性部材33の他の位置が接触すると、座標センサ41の検出出力に基づいて、この接触した他の位置の伸縮駆動素子32を判定し、この接触位置の伸縮駆動素子32の伸長を停止させて、このときの伸縮駆動素子32の長さを維持する。以降同様に、対象物42の表面に弾性部材33のいずれかの位置が接触する度に、座標センサ41の検出出力に基づいて、この接触した位置の伸縮駆動素子32を判定し、この接触位置の伸縮駆動素子32の伸長を停止させて、その長さを維持する。
【0063】
これにより、図15(b)に示す様に各伸縮駆動素子32が伸長し、弾性部材33が対象物の表面に沿う形状に変形して、弾性部材33が対象物の表面に広い範囲で接触する。
【0064】
この後、制御駆動部35は、各伸縮駆動素子32を選択的に順次伸縮させ、弾性部材33に進行波を生じさせて、駆動部材33上の対象物を搬送もしくは回転させる。また、この対象物の搬送もしくは回転に際しても、座標センサ41の検出出力に基づいて、弾性部材33が対象物42の表面に沿う形状に変形する様に各伸縮駆動素子32を伸縮させた上で、弾性部材33に進行波を生じさせる。
【0065】
この結果、弾性部材33が対象物42の表面に広い範囲で接触した状態が維持されつつ、弾性部材33の進行波により対象物42が搬送もしくは回転されることになり、対象物42の表面に広い範囲で搬送力が作用して、対象物42が安定的に搬送もしくは回転される。
【0066】
尚、座標センサ41として、タッチパネルだけではなく、他の種類のものを適用しても良い。例えば、図16に示す様に伸縮駆動素子32毎に、伸縮駆動素子32先端に電極51を設けると共に、弾性部材33の裏面における該伸縮駆動素子32先端の対向位置に電極52を設け、各電極51、52間にバネ53を介在させたものを適用しても構わない。対象物が弾性部材33に接触したときには、この接触位置の伸縮駆動素子32に力が作用して、該伸縮駆動素子32の各電極51、52が接近し、各電極51、52間の静電容量が変化するので、伸縮駆動素子32毎に、各電極51、52間の静電容量の変化を検出すれば、対象物の表面が弾性部材33のいずれの位置に接触したかを検出して、この位置の伸縮駆動素子32を判定することができる。
【0067】
図16に示す様な構造のセンサは、MEMS(Microelectoromechanical System)センサとして実現すれば、小型なものを得ることができる。
【0068】
また、伸縮駆動素子そのものを、センサとしても用いることができる。高分子アクチュエータである伸縮駆動素子は、対象物に接触すると多少の座屈を起こす。この座屈により高分子アクチュエータの伸張が非対称になる。その非対称な伸張を読み取れば、対象物に接触したかどうかを知ることができる。その他にも、高分子アクチュエータそのものを用いたセンシング方法はいろいろと考えられるが、高分子アクチュエータの設置場所や搬送物体に応じて適当な方法を選んでやればよい。
【0069】
尚、本発明のアクチュエータは、上記各実施形態に限定されるものではなく、多様に変形することができる。例えば、伸縮駆動素子として、図2(a)に示す高分子材料21を一対の電極22、23間に挟み込んだ高分子アクチュエータに限らず、他の種類のものを適用しても良い。この他の種類の伸縮駆動素子としては、高分子材料に電極を設け電圧を加えるとイオンを取り込んで膨張するという性質を利用したものもあり、それを用いても構わない。
【0070】
あるいは、電気的に制御することができ、高分子アクチュエータと同様な性質を有するアクチュエータであれば、どのような駆動素子でも用いることができる。
【0071】
また、伸縮駆動素子として、超音波を弾性部材の表面に発生させて、対象物を搬送するというものもある。この場合は、進行波の振幅が小さいので、駆動力を得るために対象物が弾性部材の表面にある程度の力で押さえ付けられるか、弾性部材の表面に対する弾性部材の接触面積が広くなければ、十分な駆動力が得られない。このため、複雑な形状の対象物の搬送には向いていない。搬送速度は、超音波のものが速くなる。ただし、高い搬送速度を要求されない場合は、上記の理由から超音波で進行波を形成するより、高分子アクチュエータで進行波を形成した方が良い。
【0072】
更に、搬送される対象物は、特に限定されない。
<実施形態4>
図17(a)及び(b)は、本発明のアクチュエータを適用したロボットハンドの実施形態を概略的に示す側面図及び平面図である。このロボットハンド51は、複数の関節を有する5本の指52と、各指52を支持する手の平部53と、手の平部53の内側に設けられたアクチュエータ30と、手の平部13の甲側に設けられたハンド制御回路55とを備えている。
【0073】
各指52の駆動機構としては、プーリとワイヤーを組み合わせたものやギヤを組み合わせたもの等、多種多様なものが既に提案されており、いずれの駆動機構を適用しても構わない。また、各指52の駆動機構は、図示しない信号線を通じてハンド制御回路55により駆動制御される。
【0074】
アクチュエータ30は、図10に示すものと同様の構成である。
【0075】
ハンド制御回路55は、各指52の駆動機構を駆動制御し、各指52による対象物の把持等を適確に行わせる。また、ハンド制御回路55は、アクチュエータ30を制御する制御駆動部35を含み、アクチュエータ30の制御駆動も行って、アクチュエータ30の弾性部材33に進行波を生じさせる。
【0076】
この様な構成のロボットハンドにおいては、各指52により対象物を把持すると、対象物がアクチュエータ30の弾性部材33の表面に接触する。この状態で、ハンド制御回路55の制御駆動部35によりアクチュエータ30の弾性部材33に進行波を生じさせると、弾性部材33の進行波により対象物を搬送もしくは回転させることができる。これにより、ロボットハンドの各指52だけでは到底不可能であった対象物の微妙な扱いが可能になる。
【0077】
尚、アクチュエータ30に限定されるものではなく、本発明のアクチュエータであれば、これを適用することができる。また、アクチュエータを設ける箇所を変更したり、複数のアクチュエータを設けても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明のアクチュエータの第1実施形態を示す一部分解斜視図である。
【図2】(a)は高分子アクチュエータの構造を示す斜視図であり、(b)は高分子アクチュエータの動作を示す斜視図である。
【図3】高分子アクチュエータをロール状に巻回して角棒状に成型してなる伸縮駆動素子を示す斜視図である。
【図4】図1のアクチュエータにおけるフレキシブル基板等を示す平面図である。
【図5】(a)及び(b)は、図1のアクチュエータにおける各伸縮駆動素子の動作を示す図である。
【図6】図1のアクチュエータにおける弾性部材の進行波を示す図である。
【図7】(a)〜(e)は、図1のアクチュエータにおける各伸縮駆動素子の動作の変形例を示す図である。
【図8】図1のアクチュエータにおける各伸縮駆動素子の動作の他の変形例を示す図である。
【図9】図1のアクチュエータにおける弾性部材の変形例を示す図である。
【図10】本発明のアクチュエータの第2実施形態を示す一部分解斜視図である。
【図11】図10のアクチュエータによる対象物の搬送状態を示す図である。
【図12】図10のアクチュエータにおける弾性部材の変形例を示す図である。
【図13】図10のアクチュエータの変形例を示す図である。
【図14】本発明のアクチュエータの第3実施形態を示す一部分解斜視図である。
【図15】(a)及び(b)は、図14のアクチュエータにおける各伸縮駆動素子の動作を示す図である。
【図16】図14のアクチュエータにおける座標センサの変形例を示す図である。
【図17】(a)及び(b)は、本発明のアクチュエータを適用したロボットハンドの実施形態を概略的に示す側面図及び平面図である。
【図18】従来のアクチュエータを示す斜視図である。
【図19】従来の他のアクチュエータを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
10、30、40 アクチュエータ
11、31 アクチュエータ基板
12、32 伸縮駆動素子
13、33 弾性部材
14、34 フレキシブル基板
15、35、35A 制御駆動部
21 高分子材料
22、23 電極
24、25 配線パターン
41 座標センサ
51 ロボットハンド
52 指
53 手の平部
55 ハンド制御回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列された複数の伸縮駆動素子と、
各伸縮駆動素子に載せられて係止された弾性部材と、
各伸縮駆動素子の伸縮に追従して弾性部材が変形し、この弾性部材に進行波が形成される様に、各伸縮駆動素子にそれぞれの電圧を印加して、各伸縮駆動素子を伸縮させる制御手段と
を備えることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
各伸縮駆動素子は、弾性を有する高分子材料を各電極間に挟み込んだ高分子アクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
各伸縮駆動素子は、行列方向に配列されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
対象物と弾性部材との接触状態を検出する接触状態検出手段を備え、
制御手段は、接触状態検出手段の検出出力に基づいて、各伸縮駆動素子を伸縮させて、弾性部材を対象物の表面に沿う様に変形させ、この状態で各伸縮駆動素子を伸縮させて、弾性部材に進行波を形成させることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
弾性部材の表面に複数の突起を形成したことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
各伸縮駆動素子にそれぞれ接続された複数の電極パターンを備え、
各伸縮駆動素子を複数組に分けて、組毎に、相互に異なる電位に設定される各電極パターンを各伸縮駆動素子に対応させて順次配列し、各組の同一順序に、相互に等しい電位に設定される電極パターンを伸縮駆動素子に対応させて配置したことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
1組における各電極パターンの電位の位相が異なることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
組毎に、各電極パターンに接続されたそれぞれの伸縮駆動素子により1波長分の進行波が形成されることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
各伸縮駆動素子は、曲面上に配列されたことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
対象物の把持等を行うロボットハンドにおいて、
請求項1乃至9のいずれかに記載のアクチュエータを、対象物に接触する該ロボットハンドの部位に設けたことを特徴とするロボットハンド。
【請求項1】
配列された複数の伸縮駆動素子と、
各伸縮駆動素子に載せられて係止された弾性部材と、
各伸縮駆動素子の伸縮に追従して弾性部材が変形し、この弾性部材に進行波が形成される様に、各伸縮駆動素子にそれぞれの電圧を印加して、各伸縮駆動素子を伸縮させる制御手段と
を備えることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
各伸縮駆動素子は、弾性を有する高分子材料を各電極間に挟み込んだ高分子アクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
各伸縮駆動素子は、行列方向に配列されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
対象物と弾性部材との接触状態を検出する接触状態検出手段を備え、
制御手段は、接触状態検出手段の検出出力に基づいて、各伸縮駆動素子を伸縮させて、弾性部材を対象物の表面に沿う様に変形させ、この状態で各伸縮駆動素子を伸縮させて、弾性部材に進行波を形成させることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
弾性部材の表面に複数の突起を形成したことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
各伸縮駆動素子にそれぞれ接続された複数の電極パターンを備え、
各伸縮駆動素子を複数組に分けて、組毎に、相互に異なる電位に設定される各電極パターンを各伸縮駆動素子に対応させて順次配列し、各組の同一順序に、相互に等しい電位に設定される電極パターンを伸縮駆動素子に対応させて配置したことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
1組における各電極パターンの電位の位相が異なることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
組毎に、各電極パターンに接続されたそれぞれの伸縮駆動素子により1波長分の進行波が形成されることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
各伸縮駆動素子は、曲面上に配列されたことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
対象物の把持等を行うロボットハンドにおいて、
請求項1乃至9のいずれかに記載のアクチュエータを、対象物に接触する該ロボットハンドの部位に設けたことを特徴とするロボットハンド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−159319(P2006−159319A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351480(P2004−351480)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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