アクチュエータ素子及び該アクチュエータ素子を用いる把持具
【課題】電歪材料からなるフィルムを積層した後に巻き回して円筒状の筒体に形成され、長手方向の中心軸を回転中心として捩り加工をしてあるアクチュエータ素子及び該アクチュエータ素子を用いる把持具を提供する。
【解決手段】電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルム１１を積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成してあるアクチュエータ素子１０を用いる。アクチュエータ素子１０は、筒体に、該筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてある。電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層したユニモルフ型アクチュエータで形成した複数の把持部材は、アクチュエータ素子１０の一端に配置してある。
【解決手段】電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルム１１を積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成してあるアクチュエータ素子１０を用いる。アクチュエータ素子１０は、筒体に、該筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてある。電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層したユニモルフ型アクチュエータで形成した複数の把持部材は、アクチュエータ素子１０の一端に配置してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電歪材料で形成されたフィルムを積層し、巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子及び該アクチュエータ素子を捩り加工をして用いる把持具に関する。
【背景技術】
【０００２】
医療機器、産業用ロボット等は、精緻な動きを要求される機会が多い。したがって、小型、軽量であり、しかも柔軟性に富むアクチュエータ素子の開発が急務となっている。例えば電歪材料で形成された二枚のシートを張り合わせて撓み部材として用いるアクチュエータ素子等も多々開発されている。
【０００３】
電歪材料で形成された二枚のシートを張り合わせて撓み部材として用いている、いわゆるユニモルフ型アクチュエータでは、把持力の調整が難しく、あるいは対象物を把持するのに十分な把持力を確保することが困難であるので、例えば片面又は両面に内部電極を形成した複数の電歪フィルムを積層し、巻き回して円筒状の筒体に形成したアクチュエータ素子を用い、先端に設けてある把持部材で対象物を把持するマニピュレータ等の把持具も多々開発されている。
【０００４】
斯かる把持具では、把持部材で対象物を把持する場合、対象物の姿勢に合わせて把持部材をアクチュエータ素子の中心軸周りに回転させ、把持する位置を調整する必要がある。従来は、例えば特許文献１では、処置具を任意方向に首振りさせることができるマイクロデバイスが開示されているが、対象物を把持するアーム部は首振り方向と平行な方向に固定されているので、対象物を把持するべくアーム部を案内部材の長手方向を中心として回転させる必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平１１−１９８０６９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかし、片面又は両面に内部電極を形成した複数の電歪フィルムを積層し、巻き回して円筒状の筒体に形成したアクチュエータ素子を用い、先端に設けてある把持部材で対象物を把持するマニピュレータ等の把持具は、アクチュエータ素子の長手方向を中心軸として回転させることは困難であり、例えばアーム部近傍で回転させようとすると構造が複雑になり、持ち手近傍で回転トルクを与えようとすると、精緻な動作制御を行うことが困難であり、操作性を向上させることが難しいという問題点があった。
【０００７】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、電歪材料からなるフィルムを積層した後に巻き回して円筒状の筒体に形成され、長手方向の中心軸を回転中心として捩り加工をしてあるアクチュエータ素子及び該アクチュエータ素子を用いる把持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するために第１発明に係るアクチュエータ素子は、電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子であって、前記筒体に、該筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてあることを特徴とする。
【０００９】
第１発明では、アクチュエータ素子は、電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されている。該アクチュエータ素子の筒体に、該筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてある。これにより、アクチュエータ素子の巻き回してある中心軸周りの剛性を低下させることができ、中心軸方向に伸びる変形を中心軸を回転中心として回転する方向の変形へと容易に変換することができる。したがって、アクチュエータ素子の一端に把持部材を配置する場合には、把持部材を容易に回転させることが可能となる。
【００１０】
次に、上記目的を達成するために第２発明に係る把持具は、第１発明のアクチュエータ素子を用いる把持具であって、前記アクチュエータ素子の一端に複数の把持部材が配置してあることを特徴とする。
【００１１】
第２発明では、上述の円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子を用い、該アクチュエータ素子の一端に複数の把持部材が配置してあるので、アクチュエータ素子の巻き回してある中心軸周りの剛性を低下させることができ、中心軸方向に伸びる変形を中心軸を回転中心として回転する方向の変形へと容易に変換することができる。したがって、アクチュエータ素子の一端に配置してある把持部材を容易に回転させることが可能となる。
【００１２】
また、第３発明に係る把持具は、第２発明において、前記複数の把持部材は、電歪材料からなるユニモルフ型アクチュエータで形成してあることを特徴とする。
【００１３】
第３発明では、複数の把持部材は電歪材料からなるユニモルフ型アクチュエータで形成してあるので、電界を印加することにより対象物を把持するように容易に変形させることができる。
【発明の効果】
【００１４】
上記構成により、電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されている。該アクチュエータ素子の筒体に、該筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてある。これにより、アクチュエータ素子の巻き回してある中心軸周りの剛性を低下させることができ、中心軸方向に伸びる変形を中心軸を回転中心として回転する方向の変形へと容易に変換することができる。したがって、アクチュエータ素子の一端に把持部材を配置する場合には、把持部材を容易に回転させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子の構成を模式的に示す斜視図である。
【図２】本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子の製造工程を模式的に示す斜視図である。
【図３】本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子の製造工程を模式的に示す斜視図である。
【図４】本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子の構成を示す模式図である。
【図５】本発明の実施の形態に係る把持具の把持部材の構成を示す模式図である。
【図６】本発明の実施の形態に係る把持具の構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態では、高分子電歪材料からなる二枚（複数）の電歪フィルム（フィルム）を巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子を用い、アクチュエータ素子の筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてある把持具について説明する。
【００１７】
図１は、本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子の構成を模式的に示す斜視図である。本実施の形態に係るアクチュエータ素子１０は、高分子電歪材料からなる二枚の電歪フィルム１１を積層した後に巻き回して円筒状の筒体に形成してある。円筒状の筒体の両端部には、複数の切り込み部１２を設けてある。切り込み部１２は、円筒状の筒体の両端部の端面側から側面に向かって、積層された電歪フィルム１１に形成された内部電極に到達する位置まで切り込むように設けてある。
【００１８】
切り込み部１２には導電性インクを含浸してあり、導電性インクを加熱硬化させることにより、内部電極と電気的に接続される。
【００１９】
また、円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子１０を、アクチュエータ素子１０の筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をすることにより、周面にらせん状に山部１４、谷部１３が交互に存在する形状としてある。アクチュエータ素子１０は剛性が弱い方向へ変形しやすいという特性を有しており、巻き回してある中心軸周りの剛性を低下させることにより、アクチュエータ素子１０に電界を印加した場合、中心軸方向に生じる変形よりも中心軸を回転中心として回転する方向の変形の方が生じやすく、複雑な機構を用いることなくアクチュエータ素子１０の一端に配置してある把持部材を容易に回転させることができる。
【００２０】
図２及び図３は、本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子１０の製造工程を模式的に示す斜視図である。まず図２（ａ）に示すように、高分子電歪材料からなる二枚の電歪フィルム（フィルム）３１、３２を準備し、二枚の電歪フィルム３１、３２の表裏両面に、電極パターン（内部電極）４１、４２を形成する。
【００２１】
電歪フィルム３１、３２を形成する高分子電歪材料は、強誘電性を有し、永久双極子を有する高分子圧電材料であれば、特に限定されるものではない。例えばＰＶＤＦ（ポリビニリデンフルオロイド）、ＰＶＤＦ（ポリビニリデンフルオロイド）系の共重合体、すなわちコーポリマであるＰ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＨＦＰ）、あるいはＰＶＤＦ系のターポリマであるＰ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＣＦＥ）、Ｐ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＣＴＦＥ）、Ｐ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＣＤＦＥ）、Ｐ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＨＦＡ）、Ｐ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＨＦＰ）、Ｐ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＶＣ）、Ｐ（ＶＤＦ−ＶＦ）等が好ましい。なお、Ｐはポリを、ＶＤＦはビニリデンフルオロイドを、ＴｒＦＥはトリフルオロエチレンを、ＣＦＥはクロロフルオロエチレンを、ＣＴＦＥはクロロトリフルオロエチレンを、ＣＤＦＥはクロロディフルオロエチレンを、ＨＦＡはヘキサフルオロアセトンを、ＨＦＰはヘキサフルオロプロピレンを、ＶＣはビニルクロライドを、ＶＦはビニルフルオロイドを、それぞれ示している。
【００２２】
特に、Ｐ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＣＦＥ）が好ましい。大きな歪を得ることができるからである。また、電歪フィルム３１、３２の厚みも適宜設定することが可能であるが、例えば数μｍ〜１００μｍ程度が好ましい。
【００２３】
電歪フィルム３１、３２を、厚みが数μｍ〜１００μｍ程度のフィルムとして成形し、図２（ｂ）に示すように、電歪フィルム３１、３２の表裏両面に、マスク越しに導電性インクを噴霧することにより、電極パターン（内部電極）４１、４２を形成する。導電性インクの粘度にもよるが、インクジェット方式、はけ塗り、スクリーン印刷方式等、適宜形成方法を変更しても良い。
【００２４】
導電性インクとしては、ＰＥＤＯＴ（ポリエチレンジオキシチオフェン）、ＰＰｙ（ポリピロール）、ＰＡＮI（ポリアニリン）等の有機導電性材料を用い、有機バインダーとともに、溶剤に溶解させて使用する。有機バインダーとしては、例えばゼラチン系バインダー、アクリル系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー等を用いることができる。溶剤としては、メタノール、エタノール等の有機導電性材料のような、有機バインダーを溶解することが可能な溶剤から選択すればよい。
【００２５】
なお、電極パターン４１、４２は、二枚の電歪フィルム３１、３２それぞれの表裏両面で、対向する反対側の一辺に片寄るように形成することが好ましい。このようにすることで、電極パターン４１、４２を表裏両面に形成してある二枚の電歪フィルム３１、３２を積層する場合、二枚の電歪フィルム３１、３２が接する面側である内側と、接していない反対側である外側とで、電極パターン４１、４２が反対側へと露出する。図２（ｃ）の例では、二枚の電歪フィルム３１、３２が接する面側である内側に形成してある電極パターン４２を電歪フィルム３１、３２の左側の一辺に、接していない反対側である外側に形成してある電極パターン４１を電歪フィルム３１、３２の右側の一辺に、それぞれ露出させることができる。したがって、異なる極性を有する電極パターン４１と電極パターン４２とを、それぞれ反対側の端部へ露出させることができ、電極同士の短絡を未然に回避することが可能となる。
【００２６】
そして、二枚の電歪フィルム３１、３２を積層した状態で、電極パターン４１、４２がそれぞれ片寄っている一辺に直交する方向、すなわち電極パターン４１、４２の一部が重なり合う方向（一の方向）を軸として、電歪フィルム３１、３２を図２（ｃ）の矢印の方向に巻き回して円筒状の筒体３３に形成する。
【００２７】
図３（ａ）は、電歪フィルム３１、３２を図２（ｃ）の矢印の方向に巻き回して円筒状の筒体３３になった状態を示す斜視図である。積層した電歪フィルム３１、３２を巻き回した円筒状の筒体３３は、両端部に電極パターン４１又は電極パターン４２が露出している。なお、電歪フィルム３１、３２のサイズは自由であるが、巻き回して円筒状の筒体３３になった場合の筒体３３の長さは１０ｍｍ以上、巻き回される電歪フィルム３１、３２の長さは筒体３３の円周の長さの数倍が好ましい。筒体３３の直径は１ｍｍ以上とする。
【００２８】
そして、図３（ｂ）に示すように、円筒状の筒体３３の両端部に複数の切り込み部１２を設ける。切り込み部１２は、筒体３３の両端部の端面側から半径方向に側面に向かって切り込み、端面の中心線方向に一定の深さまで切り込む。切り込み部１２は、電極パターン４１と電極パターン４２とが重なり合っている部分にまでは切り込まない。これにより、切り込み部１２を介して侵入してくる導電性インクにより、電極パターン４１と電極パターン４２とが短絡することがない。
【００２９】
そして、円筒状の筒体３３に形成されたアクチュエータ素子１０を、中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をする。図４は、本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子１０の構成を示す模式図である。図４（ａ）に示すように、円筒状の筒体３３に形成されたアクチュエータ素子１０に対して、中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をし、図４（ｂ）に示すような形状とする。図４（ｂ）において、太線は山部１４を、細線は谷部１３を、それぞれ示している。このようにらせん状に山部１４と谷部１３とが交互に存在する形状とすることにより、アクチュエータ素子１０の巻き回してある中心軸周りの剛性を低下させることができる。
【００３０】
そして、アクチュエータ素子１０に電界を印加した場合、図４（ｃ）に示すように、アクチュエータ素子１０の中心軸方向に生じる変形よりも中心軸を回転中心として回転する方向の変形の方が大きく、アクチュエータ素子１０の一端に把持部材を配置する場合には、把持部材を容易に回転させることが可能となる。したがって、対象物を把持する位置を調整することができ、操作性を向上させることができる。
【００３１】
アクチュエータ素子１０の一端に配置する把持部材は、対象物を把持することができる機構であれば特に限定されるものではない。しかし、本実施の形態に係るアクチュエータ素子１０が、簡易な構造で精緻な回転（動作）を制御するアクチュエータ素子であることから、把持部材の動作制御も簡易な構造であることが好ましい。
【００３２】
図５は、本発明の実施の形態に係る把持具の把持部材の構成を示す模式図である。図５（ａ）に示すように、高分子電歪材料からなる電歪フィルム５１を準備し、電歪フィルム５１の表裏両面に、電極パターン（内部電極）５２、５３を形成する。電歪フィルム５１を形成する高分子電歪材料は、上述した材料と同様である。
【００３３】
また、図５（ｂ）に示すように、電歪フィルム５１を支持するフィルム状の基材５４を準備する。基材５４を形成する材料は、曲げ、湾曲等を行うことができれば、特に限定されるものではない。例えばＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）、セロファン、塩化ビニル、ポリイミド、ポリエステル等である。また、上述した高分子電歪材料から選定しても良い。さらに、基材５４の厚みは、適宜設定することが可能である。例えば数μｍ〜１００μｍ程度が好ましい。
【００３４】
そして、図５（ｃ）に示すように、互いに対向するように二本の把持部材６１として表裏両面に電極パターン５２、５３が形成された電歪フィルム５１と基材５４とを張り合わせ、支持台６０に一端を固着することで、ユニモルフ型アクチュエータを形成することができる。図５の例では、電極パターン５２、５３を保護するべく基材５４を互いに対向する側に配置しているが、特にこれに限定されるものではない。このように構成することで、電界を印加する電極パターン５２、５３を選択することにより、把持部材６１の曲げ変形の度合い、方向を制御することができ、二本の把持部材６１で対象物を把持することが可能となる。
【００３５】
支持台６０は、アクチュエータ素子１０の一端に装着される。図６は、本発明の実施の形態に係る把持具の構成を模式的に示す斜視図である。図６に示すように、アクチュエータ素子１０に電界が印加された場合、アクチュエータ素子１０の筒体３３の中心軸を回転中心として回転する方向に捩れ加工をしてあるので、アクチュエータ素子１０の把持部材６１が配置してある一端とは反対側の固定端１０２から離れるほど、捩り加工による回転の変形量が大きくなる。したがって、アクチュエータ素子１０の支持台６０が固着してある側（把持部材６１が配置してある側）の端部では回転の変形量が大きくなり、支持台６０も回転する。
【００３６】
支持台６０が回転することにより、支持台６０に設けてある二本の把持部材６１も回転するので、対象物の位置に合わせて、二本の把持部材６１の回転角度を調整することができる。そして、対象物を二本の把持部材６１で挟んだ状態で、二本の把持部材６１を形成するユニモルフ型アクチュエータに電界を印加することにより、二本の把持部材６１の曲げ変形の度合い、方向を制御することができ、二本の把持部材６１で対象物を把持することが可能となる。例えば直径２ｍｍ、長さ４０ｍｍ（電極部３０ｍｍ）のアクチュエータ素子１０を用いた場合、８０Ｖ／μｍの電界を印加したときには、二本の把持部材６１は１０度回転した。
【００３７】
以上のように本実施の形態によれば、高分子電歪材料からなる二枚の電歪フィルム３１、３２の表裏両面に内部電極として電極パターン４１、４２を形成し、電歪フィルム３１、３２を積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子１０を用い、該アクチュエータ素子１０の筒体３３に、筒体３３の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてある。これにより、アクチュエータ素子１０の巻き回してある中心軸周りの剛性を低下させることができ、中心軸方向に伸びる変形を中心軸を回転中心として回転する方向の変形へと容易に変換することができる。したがって、アクチュエータ素子１０の一端に把持部材６１を配置する場合には、把持部材６１を容易に回転させることが可能となる。
【００３８】
その他、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。例えば、電歪フィルム３１、３２の両面に導電性インクにより電極パターン４１、４２を形成しているが、例えば従来と同様、蒸着、スパッタ等により、Ｎｉ（ニッケル）、Ｐｔ（白金）、Ｐｔ−Ｐｄ（白金−パラジウム合金）、Ａｌ（アルミニウム）、Ａｕ（金）、Ａｕ−Ｐｄ（金パラジウム合金）等の金属膜を形成しても良い。
【００３９】
また、上述した実施の形態１及び２では、電極パターン４１、４２は、二枚の電歪フィルム３１、３２それぞれの表裏両面に形成しているが、いずれか一方の面、例えば表面だけに電極パターン４１、４２をそれぞれ形成して、二枚の電歪フィルム３１、３２を積層しても良い。
【００４０】
さらに、把持部材６１は二本設けることに限定されるものではなく、把持する対象物に応じて、三本、四本、六本、八本等複数設けてあれば良い。また、ユニモルフ型アクチュエータに限定されるものでもない。
【符号の説明】
【００４１】
１０ アクチュエータ素子
１１、３１、３２ 電歪フィルム
３３ 筒体
４１、４２ 電極パターン（内部電極）
６１ 把持部材
１０２ 固定端
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電歪材料で形成されたフィルムを積層し、巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子及び該アクチュエータ素子を捩り加工をして用いる把持具に関する。
【背景技術】
【０００２】
医療機器、産業用ロボット等は、精緻な動きを要求される機会が多い。したがって、小型、軽量であり、しかも柔軟性に富むアクチュエータ素子の開発が急務となっている。例えば電歪材料で形成された二枚のシートを張り合わせて撓み部材として用いるアクチュエータ素子等も多々開発されている。
【０００３】
電歪材料で形成された二枚のシートを張り合わせて撓み部材として用いている、いわゆるユニモルフ型アクチュエータでは、把持力の調整が難しく、あるいは対象物を把持するのに十分な把持力を確保することが困難であるので、例えば片面又は両面に内部電極を形成した複数の電歪フィルムを積層し、巻き回して円筒状の筒体に形成したアクチュエータ素子を用い、先端に設けてある把持部材で対象物を把持するマニピュレータ等の把持具も多々開発されている。
【０００４】
斯かる把持具では、把持部材で対象物を把持する場合、対象物の姿勢に合わせて把持部材をアクチュエータ素子の中心軸周りに回転させ、把持する位置を調整する必要がある。従来は、例えば特許文献１では、処置具を任意方向に首振りさせることができるマイクロデバイスが開示されているが、対象物を把持するアーム部は首振り方向と平行な方向に固定されているので、対象物を把持するべくアーム部を案内部材の長手方向を中心として回転させる必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平１１−１９８０６９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかし、片面又は両面に内部電極を形成した複数の電歪フィルムを積層し、巻き回して円筒状の筒体に形成したアクチュエータ素子を用い、先端に設けてある把持部材で対象物を把持するマニピュレータ等の把持具は、アクチュエータ素子の長手方向を中心軸として回転させることは困難であり、例えばアーム部近傍で回転させようとすると構造が複雑になり、持ち手近傍で回転トルクを与えようとすると、精緻な動作制御を行うことが困難であり、操作性を向上させることが難しいという問題点があった。
【０００７】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、電歪材料からなるフィルムを積層した後に巻き回して円筒状の筒体に形成され、長手方向の中心軸を回転中心として捩り加工をしてあるアクチュエータ素子及び該アクチュエータ素子を用いる把持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するために第１発明に係るアクチュエータ素子は、電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子であって、前記筒体に、該筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてあることを特徴とする。
【０００９】
第１発明では、アクチュエータ素子は、電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されている。該アクチュエータ素子の筒体に、該筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてある。これにより、アクチュエータ素子の巻き回してある中心軸周りの剛性を低下させることができ、中心軸方向に伸びる変形を中心軸を回転中心として回転する方向の変形へと容易に変換することができる。したがって、アクチュエータ素子の一端に把持部材を配置する場合には、把持部材を容易に回転させることが可能となる。
【００１０】
次に、上記目的を達成するために第２発明に係る把持具は、第１発明のアクチュエータ素子を用いる把持具であって、前記アクチュエータ素子の一端に複数の把持部材が配置してあることを特徴とする。
【００１１】
第２発明では、上述の円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子を用い、該アクチュエータ素子の一端に複数の把持部材が配置してあるので、アクチュエータ素子の巻き回してある中心軸周りの剛性を低下させることができ、中心軸方向に伸びる変形を中心軸を回転中心として回転する方向の変形へと容易に変換することができる。したがって、アクチュエータ素子の一端に配置してある把持部材を容易に回転させることが可能となる。
【００１２】
また、第３発明に係る把持具は、第２発明において、前記複数の把持部材は、電歪材料からなるユニモルフ型アクチュエータで形成してあることを特徴とする。
【００１３】
第３発明では、複数の把持部材は電歪材料からなるユニモルフ型アクチュエータで形成してあるので、電界を印加することにより対象物を把持するように容易に変形させることができる。
【発明の効果】
【００１４】
上記構成により、電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されている。該アクチュエータ素子の筒体に、該筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてある。これにより、アクチュエータ素子の巻き回してある中心軸周りの剛性を低下させることができ、中心軸方向に伸びる変形を中心軸を回転中心として回転する方向の変形へと容易に変換することができる。したがって、アクチュエータ素子の一端に把持部材を配置する場合には、把持部材を容易に回転させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子の構成を模式的に示す斜視図である。
【図２】本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子の製造工程を模式的に示す斜視図である。
【図３】本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子の製造工程を模式的に示す斜視図である。
【図４】本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子の構成を示す模式図である。
【図５】本発明の実施の形態に係る把持具の把持部材の構成を示す模式図である。
【図６】本発明の実施の形態に係る把持具の構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態では、高分子電歪材料からなる二枚（複数）の電歪フィルム（フィルム）を巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子を用い、アクチュエータ素子の筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてある把持具について説明する。
【００１７】
図１は、本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子の構成を模式的に示す斜視図である。本実施の形態に係るアクチュエータ素子１０は、高分子電歪材料からなる二枚の電歪フィルム１１を積層した後に巻き回して円筒状の筒体に形成してある。円筒状の筒体の両端部には、複数の切り込み部１２を設けてある。切り込み部１２は、円筒状の筒体の両端部の端面側から側面に向かって、積層された電歪フィルム１１に形成された内部電極に到達する位置まで切り込むように設けてある。
【００１８】
切り込み部１２には導電性インクを含浸してあり、導電性インクを加熱硬化させることにより、内部電極と電気的に接続される。
【００１９】
また、円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子１０を、アクチュエータ素子１０の筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をすることにより、周面にらせん状に山部１４、谷部１３が交互に存在する形状としてある。アクチュエータ素子１０は剛性が弱い方向へ変形しやすいという特性を有しており、巻き回してある中心軸周りの剛性を低下させることにより、アクチュエータ素子１０に電界を印加した場合、中心軸方向に生じる変形よりも中心軸を回転中心として回転する方向の変形の方が生じやすく、複雑な機構を用いることなくアクチュエータ素子１０の一端に配置してある把持部材を容易に回転させることができる。
【００２０】
図２及び図３は、本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子１０の製造工程を模式的に示す斜視図である。まず図２（ａ）に示すように、高分子電歪材料からなる二枚の電歪フィルム（フィルム）３１、３２を準備し、二枚の電歪フィルム３１、３２の表裏両面に、電極パターン（内部電極）４１、４２を形成する。
【００２１】
電歪フィルム３１、３２を形成する高分子電歪材料は、強誘電性を有し、永久双極子を有する高分子圧電材料であれば、特に限定されるものではない。例えばＰＶＤＦ（ポリビニリデンフルオロイド）、ＰＶＤＦ（ポリビニリデンフルオロイド）系の共重合体、すなわちコーポリマであるＰ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＨＦＰ）、あるいはＰＶＤＦ系のターポリマであるＰ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＣＦＥ）、Ｐ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＣＴＦＥ）、Ｐ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＣＤＦＥ）、Ｐ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＨＦＡ）、Ｐ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＨＦＰ）、Ｐ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＶＣ）、Ｐ（ＶＤＦ−ＶＦ）等が好ましい。なお、Ｐはポリを、ＶＤＦはビニリデンフルオロイドを、ＴｒＦＥはトリフルオロエチレンを、ＣＦＥはクロロフルオロエチレンを、ＣＴＦＥはクロロトリフルオロエチレンを、ＣＤＦＥはクロロディフルオロエチレンを、ＨＦＡはヘキサフルオロアセトンを、ＨＦＰはヘキサフルオロプロピレンを、ＶＣはビニルクロライドを、ＶＦはビニルフルオロイドを、それぞれ示している。
【００２２】
特に、Ｐ（ＶＤＦ−ＴｒＦＥ−ＣＦＥ）が好ましい。大きな歪を得ることができるからである。また、電歪フィルム３１、３２の厚みも適宜設定することが可能であるが、例えば数μｍ〜１００μｍ程度が好ましい。
【００２３】
電歪フィルム３１、３２を、厚みが数μｍ〜１００μｍ程度のフィルムとして成形し、図２（ｂ）に示すように、電歪フィルム３１、３２の表裏両面に、マスク越しに導電性インクを噴霧することにより、電極パターン（内部電極）４１、４２を形成する。導電性インクの粘度にもよるが、インクジェット方式、はけ塗り、スクリーン印刷方式等、適宜形成方法を変更しても良い。
【００２４】
導電性インクとしては、ＰＥＤＯＴ（ポリエチレンジオキシチオフェン）、ＰＰｙ（ポリピロール）、ＰＡＮI（ポリアニリン）等の有機導電性材料を用い、有機バインダーとともに、溶剤に溶解させて使用する。有機バインダーとしては、例えばゼラチン系バインダー、アクリル系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー等を用いることができる。溶剤としては、メタノール、エタノール等の有機導電性材料のような、有機バインダーを溶解することが可能な溶剤から選択すればよい。
【００２５】
なお、電極パターン４１、４２は、二枚の電歪フィルム３１、３２それぞれの表裏両面で、対向する反対側の一辺に片寄るように形成することが好ましい。このようにすることで、電極パターン４１、４２を表裏両面に形成してある二枚の電歪フィルム３１、３２を積層する場合、二枚の電歪フィルム３１、３２が接する面側である内側と、接していない反対側である外側とで、電極パターン４１、４２が反対側へと露出する。図２（ｃ）の例では、二枚の電歪フィルム３１、３２が接する面側である内側に形成してある電極パターン４２を電歪フィルム３１、３２の左側の一辺に、接していない反対側である外側に形成してある電極パターン４１を電歪フィルム３１、３２の右側の一辺に、それぞれ露出させることができる。したがって、異なる極性を有する電極パターン４１と電極パターン４２とを、それぞれ反対側の端部へ露出させることができ、電極同士の短絡を未然に回避することが可能となる。
【００２６】
そして、二枚の電歪フィルム３１、３２を積層した状態で、電極パターン４１、４２がそれぞれ片寄っている一辺に直交する方向、すなわち電極パターン４１、４２の一部が重なり合う方向（一の方向）を軸として、電歪フィルム３１、３２を図２（ｃ）の矢印の方向に巻き回して円筒状の筒体３３に形成する。
【００２７】
図３（ａ）は、電歪フィルム３１、３２を図２（ｃ）の矢印の方向に巻き回して円筒状の筒体３３になった状態を示す斜視図である。積層した電歪フィルム３１、３２を巻き回した円筒状の筒体３３は、両端部に電極パターン４１又は電極パターン４２が露出している。なお、電歪フィルム３１、３２のサイズは自由であるが、巻き回して円筒状の筒体３３になった場合の筒体３３の長さは１０ｍｍ以上、巻き回される電歪フィルム３１、３２の長さは筒体３３の円周の長さの数倍が好ましい。筒体３３の直径は１ｍｍ以上とする。
【００２８】
そして、図３（ｂ）に示すように、円筒状の筒体３３の両端部に複数の切り込み部１２を設ける。切り込み部１２は、筒体３３の両端部の端面側から半径方向に側面に向かって切り込み、端面の中心線方向に一定の深さまで切り込む。切り込み部１２は、電極パターン４１と電極パターン４２とが重なり合っている部分にまでは切り込まない。これにより、切り込み部１２を介して侵入してくる導電性インクにより、電極パターン４１と電極パターン４２とが短絡することがない。
【００２９】
そして、円筒状の筒体３３に形成されたアクチュエータ素子１０を、中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をする。図４は、本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子１０の構成を示す模式図である。図４（ａ）に示すように、円筒状の筒体３３に形成されたアクチュエータ素子１０に対して、中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をし、図４（ｂ）に示すような形状とする。図４（ｂ）において、太線は山部１４を、細線は谷部１３を、それぞれ示している。このようにらせん状に山部１４と谷部１３とが交互に存在する形状とすることにより、アクチュエータ素子１０の巻き回してある中心軸周りの剛性を低下させることができる。
【００３０】
そして、アクチュエータ素子１０に電界を印加した場合、図４（ｃ）に示すように、アクチュエータ素子１０の中心軸方向に生じる変形よりも中心軸を回転中心として回転する方向の変形の方が大きく、アクチュエータ素子１０の一端に把持部材を配置する場合には、把持部材を容易に回転させることが可能となる。したがって、対象物を把持する位置を調整することができ、操作性を向上させることができる。
【００３１】
アクチュエータ素子１０の一端に配置する把持部材は、対象物を把持することができる機構であれば特に限定されるものではない。しかし、本実施の形態に係るアクチュエータ素子１０が、簡易な構造で精緻な回転（動作）を制御するアクチュエータ素子であることから、把持部材の動作制御も簡易な構造であることが好ましい。
【００３２】
図５は、本発明の実施の形態に係る把持具の把持部材の構成を示す模式図である。図５（ａ）に示すように、高分子電歪材料からなる電歪フィルム５１を準備し、電歪フィルム５１の表裏両面に、電極パターン（内部電極）５２、５３を形成する。電歪フィルム５１を形成する高分子電歪材料は、上述した材料と同様である。
【００３３】
また、図５（ｂ）に示すように、電歪フィルム５１を支持するフィルム状の基材５４を準備する。基材５４を形成する材料は、曲げ、湾曲等を行うことができれば、特に限定されるものではない。例えばＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）、セロファン、塩化ビニル、ポリイミド、ポリエステル等である。また、上述した高分子電歪材料から選定しても良い。さらに、基材５４の厚みは、適宜設定することが可能である。例えば数μｍ〜１００μｍ程度が好ましい。
【００３４】
そして、図５（ｃ）に示すように、互いに対向するように二本の把持部材６１として表裏両面に電極パターン５２、５３が形成された電歪フィルム５１と基材５４とを張り合わせ、支持台６０に一端を固着することで、ユニモルフ型アクチュエータを形成することができる。図５の例では、電極パターン５２、５３を保護するべく基材５４を互いに対向する側に配置しているが、特にこれに限定されるものではない。このように構成することで、電界を印加する電極パターン５２、５３を選択することにより、把持部材６１の曲げ変形の度合い、方向を制御することができ、二本の把持部材６１で対象物を把持することが可能となる。
【００３５】
支持台６０は、アクチュエータ素子１０の一端に装着される。図６は、本発明の実施の形態に係る把持具の構成を模式的に示す斜視図である。図６に示すように、アクチュエータ素子１０に電界が印加された場合、アクチュエータ素子１０の筒体３３の中心軸を回転中心として回転する方向に捩れ加工をしてあるので、アクチュエータ素子１０の把持部材６１が配置してある一端とは反対側の固定端１０２から離れるほど、捩り加工による回転の変形量が大きくなる。したがって、アクチュエータ素子１０の支持台６０が固着してある側（把持部材６１が配置してある側）の端部では回転の変形量が大きくなり、支持台６０も回転する。
【００３６】
支持台６０が回転することにより、支持台６０に設けてある二本の把持部材６１も回転するので、対象物の位置に合わせて、二本の把持部材６１の回転角度を調整することができる。そして、対象物を二本の把持部材６１で挟んだ状態で、二本の把持部材６１を形成するユニモルフ型アクチュエータに電界を印加することにより、二本の把持部材６１の曲げ変形の度合い、方向を制御することができ、二本の把持部材６１で対象物を把持することが可能となる。例えば直径２ｍｍ、長さ４０ｍｍ（電極部３０ｍｍ）のアクチュエータ素子１０を用いた場合、８０Ｖ／μｍの電界を印加したときには、二本の把持部材６１は１０度回転した。
【００３７】
以上のように本実施の形態によれば、高分子電歪材料からなる二枚の電歪フィルム３１、３２の表裏両面に内部電極として電極パターン４１、４２を形成し、電歪フィルム３１、３２を積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子１０を用い、該アクチュエータ素子１０の筒体３３に、筒体３３の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてある。これにより、アクチュエータ素子１０の巻き回してある中心軸周りの剛性を低下させることができ、中心軸方向に伸びる変形を中心軸を回転中心として回転する方向の変形へと容易に変換することができる。したがって、アクチュエータ素子１０の一端に把持部材６１を配置する場合には、把持部材６１を容易に回転させることが可能となる。
【００３８】
その他、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。例えば、電歪フィルム３１、３２の両面に導電性インクにより電極パターン４１、４２を形成しているが、例えば従来と同様、蒸着、スパッタ等により、Ｎｉ（ニッケル）、Ｐｔ（白金）、Ｐｔ−Ｐｄ（白金−パラジウム合金）、Ａｌ（アルミニウム）、Ａｕ（金）、Ａｕ−Ｐｄ（金パラジウム合金）等の金属膜を形成しても良い。
【００３９】
また、上述した実施の形態１及び２では、電極パターン４１、４２は、二枚の電歪フィルム３１、３２それぞれの表裏両面に形成しているが、いずれか一方の面、例えば表面だけに電極パターン４１、４２をそれぞれ形成して、二枚の電歪フィルム３１、３２を積層しても良い。
【００４０】
さらに、把持部材６１は二本設けることに限定されるものではなく、把持する対象物に応じて、三本、四本、六本、八本等複数設けてあれば良い。また、ユニモルフ型アクチュエータに限定されるものでもない。
【符号の説明】
【００４１】
１０ アクチュエータ素子
１１、３１、３２ 電歪フィルム
３３ 筒体
４１、４２ 電極パターン（内部電極）
６１ 把持部材
１０２ 固定端
【特許請求の範囲】
【請求項１】
電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子であって、
前記筒体に、該筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてあることを特徴とするアクチュエータ素子。
【請求項２】
請求項１に記載のアクチュエータ素子を用いる把持具であって、
前記アクチュエータ素子の一端に複数の把持部材が配置してあることを特徴とする把持具。
【請求項３】
前記複数の把持部材は、電歪材料からなるユニモルフ型アクチュエータで形成してあることを特徴とする請求項２に記載の把持具。
【請求項１】
電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子であって、
前記筒体に、該筒体の中心軸を回転中心として回転する方向に捩り加工をしてあることを特徴とするアクチュエータ素子。
【請求項２】
請求項１に記載のアクチュエータ素子を用いる把持具であって、
前記アクチュエータ素子の一端に複数の把持部材が配置してあることを特徴とする把持具。
【請求項３】
前記複数の把持部材は、電歪材料からなるユニモルフ型アクチュエータで形成してあることを特徴とする請求項２に記載の把持具。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１３−８１２６５（Ｐ２０１３−８１２６５Ａ）
【公開日】平成２５年５月２日（２０１３．５．２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２１８６６８（Ｐ２０１１−２１８６６８）
【出願日】平成２３年９月３０日（２０１１．９．３０）
【出願人】（０００００６２３１）株式会社村田製作所 (3,635)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年５月２日（２０１３．５．２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年９月３０日（２０１１．９．３０）
【出願人】（０００００６２３１）株式会社村田製作所 (3,635)
【Ｆターム（参考）】
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