説明

アクティブなスイッチング周波数変調

【課題】アクティブなスイッチング周波数変調を提供する。
【解決手段】車両に配置された可変周波数電力コンバータ112を制御する方法、およびそのような可変周波数電力コンバータ112を備えた機械が開示される。方法は、車両に配置された電力制御器、可変周波数電力コンバータ112、および電気エネルギー蓄電装置110を提供するステップを含み得る。方法はさらに、電力制御器114によって、所望の電力基準値を受け取るステップ、および、所望の基準値に基づいて可変周波数電力コンバータ112のスイッチング周波数を第1スイッチング周波数から第2スイッチング周波数へ調整するステップを含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して高効率な電力コンバータに関し、詳細にはハイブリッド式土工車両、建設車両、材料運搬車両、採掘車両などで使用されるかかるコンバータから得られる電流および電力リップルを低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
機械の駆動系は一般に、機械を推進するように作動するホイールまたは他の牽引装置に連結されるモータを含む。駆動系はさらに、発電機を駆動する原動機、例えばエンジンを含む。発電機はモータを駆動するために使用される電力を生成する。エンジンによって生成される機械的動力は発電機によって電力に変換される。次にこの電力は、モータおよび/または機械補助装置に供給される前に処理および/または調節される。モータは電力を変換して機械的動力に戻し、牽引装置を駆動するおよび車両を推進する。
【0003】
一般的な機械はまた、ブレーキおよび機械を遅らせるまたは減速する他の機構を含み得る。機械が減速すると、機械の運動量が牽引装置を介してモータに移行され得る。モータは、機械の運動エネルギーを、機械の駆動系またはエネルギー蓄電装置に供給され得る電気的エネルギーに変換するために発電機として作動し得る。
【0004】
ハイブリッド式機械などの特定の機械は、運転の減速モードの間エンジンによって提供される電気的エネルギーまたはモータによって提供される電気的エネルギーをあとで使用するため蓄電するように構成される。かかるエネルギーは電力コンバータによって調節され、その後、バッテリーなどの電気的エネルギー蓄電装置に蓄電され得る。蓄電されたエネルギーは、エンジン使用を最小化するためおよび燃料消費を低減するために、機械の補助装置に電力を供給するためにおよび/またはモータを駆動するために使用され得る。
【0005】
2010年12月23日に公開された(特許文献1)(「Brinleeら」)は、スイッチング周波数の制御に関連する先行技術の例である。Brinleeらは、電力スイッチを含む電力コンバータ、スイッチング周波数を制御する制御器、および不均一なギャップを有する磁気装置を開示する。Brinleeらにおいて、インダクタンス値にフィードバックを提供するために実際のシステムピーク電流が使用される。次にスイッチング周波数が、システムのキャパシタを最小化するためにフィードバックに基づいて調整される。この設計は電力変換効果を増大し得る一方で、必要なフィードバックを提供するために実際のシステムピーク電流の使用を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0321958号明細書
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様に従って、車両に配置される可変周波数電力コンバータを制御する方法が開示される。方法は車両に配置される電力制御器、可変周波数電力コンバータ、および電気的エネルギー蓄電装置を提供するステップを含み得る。電力制御器は可変周波数電力コンバータと電気的エネルギー蓄電装置に連結され得る。方法はさらに、電力制御器によって所望の電力基準値を受け取るステップと、所望の電力基準値に基づいて可変周波数電力コンバータのスイッチング周波数を第1スイッチング周波数から第2スイッチング周波数へ調整するステップとを含み得る。
【0008】
本開示の別の態様に従って、ハイブリッド式車両に配置される可変周波数電力コンバータを制御する方法が開示される。方法はハイブリッド式車両に配置される電力制御器、可変周波数電力コンバータ、および電気的エネルギー蓄電装置を提供するステップを含み得る。電力制御器は可変周波数電力コンバータと電気的エネルギー蓄電装置に連結され得る。方法はさらに、電力制御器によって所望の電流基準値を得るステップと、所望の電流基準値に基づいて可変周波数電力コンバータのスイッチング周波数を第1スイッチング周波数から第2スイッチング周波数へ調整するステップとを含み得る。
【0009】
本開示の別の態様に従って、電気式駆動機械が開示される。機械はエンジンと、エンジンに動作可能に連結される発電機と、1つ以上の牽引装置に動作可能に連結されるモータと、電気エネルギー蓄電装置と、電気エネルギー蓄電装置に連結される閉ループ可変周波数電力コンバータと、可変周波数電力コンバータに連結される電力制御器とを含み得る。可変周波数電力コンバータは第1および第2位置の間を移動可能なスイッチを含み得る。電力制御器は可変周波数電力コンバータのスイッチング周波数を所望の基準値に応じて増減するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の教示に従う電気式駆動機械に適用されるような駆動系の例示的実施形態の概略図である。
【図2】本開示に従う電力コンバータを制御する方法の例示的なステップを示すフローチャートである。
【図3】本開示に従う電力コンバータを制御する方法の例示的なステップを示すフローチャートである。
【図4】本開示に従う、スイッチング周波数および電力負荷と、電力および電流リップルに対する効果との例示的な関係を示す。
【図5】本開示に従う、スイッチング周波数および電流と、電力および電流リップルに対する効果との例示的な関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで特定の実施形態又は特徴への言及が詳細になされる。その例は添付図面に示される。概して、同一または一致した部品に言及するために、一致した参照番号が図面を通して使用される。
【0012】
図1は例示的な電気駆動機械100を概略的に示す。かかる機械は、掘削機、ホイールローダ、路上および路上外走行トラック、または建設、採掘、農業、または他の産業的用途で使用される車両であり得るがこれらに限定されない。電気駆動機械100は、エンジンなどの機械的動力源102、エンジン102に連結される発電機104、1つ以上の牽引モータ106、1つ以上の最終駆動牽引装置108、主制御器109、電気エネルギー蓄電装置110、可変周波数電力コンバータ112、および電力制御器114を含み得る。牽引装置108は機械100の移動を推進しかつ促進し、掘削機および履帯式機械にみられるものなどの下部走行体、ホイールなどであり得るがこれらに限定されない。機械100はさらに、図1に示される第1電力コンバータ116および第2電力コンバータ118などの追加的な電力コンバータを含み得る。
【0013】
機械100の全体的な制御は、機械100の埋設されたまたは一体化された主制御器109によって行われ得る。制御器は1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、電子制御モジュール(ECM)、電子制御ユニット(ECU)または機械100の機能を電子的に制御する任意の他の適切な手段の形態をとってもよい。
【0014】
主制御器109は機械100の様々な運転状態に基づいて機械100を制御するための予め定められたアルゴリズムまたは指示セットに従い作動するように構成され得る。かかるアルゴリズムまたは指示セットは、主制御器109の車載メモリに読み出され得るか、例えば、フロッピーディスク、ハードドライブ、光学媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、または当技術分野で一般に使用される任意の他の適切なコンピュータ可読記憶媒体の形態にある、制御器109によってアクセス可能な記憶媒体またはメモリに予めプログラムされ得る。主制御器109はエンジン102、発電機106、第1および第2コンバータ116、118、可変周波数電力コンバータ112、電気エネルギー蓄電装置110などと電気的に通信状態にあり得る。主制御器109はまた、機械100の様々な他の構成要素、システムまたはサブシステム(図示せず)に連結され得る。かかる接続により、制御器109は、センサなどから機械100の電流動作パラメータに関するデータを受け取り得る。かかる入力に応じて、主制御器109は様々な決定を実行しかつかかる決定の結果に対応するまたは実行される必要のある動作に対応する出力信号を送信し得る。
【0015】
一実施形態において、電気エネルギー蓄電装置110はバッテリーであり得る。さらにもう1つの実施形態において、電気エネルギー蓄電装置110は1つ以上のウルトラキャパシタであり得る。可変周波数電力コンバータ112は、電気エネルギー蓄電装置110によって機械100に供給される電力を調節し得る。可変周波数電力コンバータ112はまた、蓄電のためエンジン102から電気エネルギー蓄電装置110に供給される電力を調節し得る。さらに可変周波数電力コンバータ112は、機械100から電気エネルギー蓄電装置110へ供給される回生的電力、例えば制動から生成される電力を調節し得る。
【0016】
運転の推進モードの間、すなわち機械100が加速されている時、機械100を移動させるため、動力はエンジン102から牽引装置108へ伝達され得る。具体的には、エンジン102は発電機104に対する出力トルクを生成し得る。発電機104は次に機械的トルクを電力へ変換し得る。電力は、交流(AC)電力の形態で生成され得る。AC電力はその後第1コンバータ116によって直流(DC)に変換され得る。そしてモータ106に供給される前に、第2電力コンバータ118によってDC電力から適量のAC電力へ再び変換され得る。得られたAC電力はその後、当業者に公知のように、1つ以上のモータ106および牽引装置108を駆動するために使用され得る。
【0017】
運転の動的制動モードの間、すなわち機械100の動きが減速されている時、電力は牽引装置108の機械的な運動によって生成され得る。具体的には、移動機械100の運動エネルギーが牽引装置108で回転動力に転換され得る。牽引装置108のかかる回転動力はさらに、例えばAC電力の形態にある電力を生成するようにモータ106を回転させ得る。生成されたかかる回生的なAC電力は、第2コンバータ118によってDC電力へ変換され、少なくとも部分的にエンジン102を駆動するために発電機104に向けられ得るおよび/または電気エネルギー蓄電装置110に蓄電する前に調節するため可変周波数電力コンバータ112へ向けられ得る。
【0018】
実施形態において、可変周波数電力コンバータ112は、電圧、電流および/または電力のいずれかまたはそれらの組み合わせを調整する閉ループスイッチング調整器を含み得る。調整器は、当技術分野で公知のように、第1および第2位置の間で移動可能なスイッチング要素を含み得る。可変周波数電力コンバータ112は、閉ループスイッチング調整器のスイッチング要素が当業者に公知のように開閉するデューティーサイクルのスイッチング周波数を制御するためにパルス幅変調(PWM)プロセスを利用し得る。
【0019】
実施形態において、電力制御器114が可変周波数電力コンバータ112に連結され得る。電力制御器114は、主制御器109から分離し得るか、(図1に示されるように)主制御器109に連結され得るか、または主制御器109の一部であり得る。電力制御器は1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、電子制御モジュール(ECM)、電子制御ユニット(ECU)またはコンバータ112の機能を電子的に制御するための任意の他の適切な手段の形態をとり得る。電力制御器114は、可変周波数電力コンバータ112を制御するための予め決定されたアルゴリズムまたは指示セットに従い動作するように構成され得る。かかるアルゴリズムまたは指示セットは、電力制御器114の車載メモリに読み出され得るか、または例えばフロッピーディスク、ハードドライブ、光学媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンメモリ(ROM)または当業界で一般に使用される任意の他の適切なコンピュータ可読記憶媒体の形態の電力制御器114によってアクセス可能な記憶媒体またはメモリに予めプログラムされ得る。
【0020】
電力制御器114は、一実施形態において、電力基準に基づいて可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数をある周波数から別の周波数へ調整するように構成され得る。電力基準は、機械100によって望まれる電気エネルギー蓄電装置110からの放電量か、あるいは機械100によって望まれる電気エネルギー蓄電装置110を充電するための電力量のどちらかであり得る。電気エネルギー蓄電装置110からの放電は、例えば、機械100が電気エネルギー蓄電装置110に機械100に推進力を提供するように要求した時に発生し得、機械100の補助的付属装置等に電力を提供する。
【0021】
所望の電力基準値(電気エネルギー蓄電装置110へのまたはそこからの所望される電力)が低下すると、電力制御器114は可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を増加し得る。例えば、既存の電力基準(電気エネルギー蓄電装置110に/から現在提供されている電力量)が所望の電力基準を超えている場合、電力制御器114は可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を第1スイッチング周波数(既存電力基準値に対応)から第2スイッチング周波数(所望の電力基準値に対応)へ増加し得る。同様に、既存の電力基準が所望の電力基準未満である場合、電力制御器114は可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を第1スイッチング周波数(既存電力基準値に対応)から第2スイッチング周波数(所望の電力基準値に対応)へ減少させ得る。
【0022】
一例示的実施形態において、機械100は電気エネルギー蓄電装置110を充電することを望み得る。主制御器109または他の制御器は、電気エネルギー蓄電装置110が実質的に完全に充電されている時に電気エネルギー蓄電装置110から利用できる電力量(初期量)を表す値をデータベース120からまたは制御器がアクセス可能なメモリから読み出し得る。主制御器109はまた、現在の充電レベルにおいて電気エネルギー蓄電装置110に残っている残留電力(現在量)の測定を表すデータを受け取り得る。かかるデータは、電気エネルギー蓄電装置110に結合されたセンサから取得し得るが、必ずしもそうである必要はない。電力基準は、この実施形態において、実質的に完全に充電されている時に電気エネルギー蓄電装置110から利用できる電力量(初期量)と、現在の充電レベルにおいて電気エネルギー蓄電装置110から利用できる残留電力(現在量)との差であり得る。他の実施形態において、例えば、機械100を促進するために電気エネルギー蓄電装置110が電力を供給している時、電力基準は機械100によって電気エネルギー蓄電装置110から所望される電力であり得る。
【0023】
ある実施形態において、電力制御器114は、所望の基準電力があらかじめ決定された範囲内に達した場合のみ可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を調整し得る。一実施形態において、所望の電力基準が可変周波数電力コンバータ112の電力定格の約80パーセント未満の範囲内に低下した場合、電力制御器114は、可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を増加する。別の実施形態において、可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数のこの調整は、低電力状態の間のみ発生し得る。低電力状態の一例は、電気エネルギー蓄電装置110への/からの電力/エネルギーの所望量が、可変周波数電力コンバータ112の電力定格の約10パーセント未満の範囲内にある時である。
【0024】
第2スイッチング周波数は、電力制御器114によって実行される機能またはアルゴリズムを使用して電力制御器114によって決定され得るか、またはデータベース120に記憶されたルックアップテーブルから電力制御器114によって読み出され得る。電力制御器114は次に、本明細書で第1スイッチング周波数と呼ばれる、可変周波数電力コンバータ112のスイッチング要素の既存スイッチング周波数を、第2周波数へ調整し得る。
【0025】
別の実施形態において、電力制御器114は、所望の電流基準に基づいて可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数をある周波数から別の周波数へ調整するように構成され得る。所望の電流基準は電力制御器114、主制御器109または別の制御器によって計算され得る。かかる所望の電流基準は、所望の電力基準に対応するまたはそれに関連する電流を表し得る。
【0026】
上で考察した例を使用して、電力制御器114は、一実施形態において、所望の電流基準に基づいて可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数をある周波数から別の周波数へ調整するように構成され得る。所望の電流基準の値が低下すると、電力制御器114は可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を増加し得る。例えば、既存の電流基準(電気エネルギー蓄電装置110へ/から要求される既存電流)が所望の電流基準を超えている場合、電力制御器114は可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を第1スイッチング周波数(既存電流基準に対応)から第2スイッチング周波数(所望の電流基準に対応)へ増加し得る。同様に、既存の電流基準が所望の電流基準未満の場合、電力制御器114は可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を第1スイッチング周波数(既存電流基準に対応)から第2スイッチング周波数(所望の電流基準に対応)へ減少させ得る。
【0027】
ある実施形態において、電力制御器114は、所望の電流基準があらかじめ決定された範囲内に達した場合のみ可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を調整し得る。一実施形態において、所望の電流基準が可変周波数電力コンバータ112の電流定格の約80パーセント未満の範囲内に低下した場合、電力制御器114は、可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を増加する。別の実施形態において、可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数のこの調整は、低電流状態の間のみ発生し得る。低電流状態の一例は、電気エネルギー蓄電装置110への/からの電流の所望量が、可変周波数電力コンバータ112の電流定格の約10パーセント未満の範囲内にある時である。
【0028】
図2は例示的実施形態に従う車両に連結される電力コンバータを制御するための例示的な方法200である。この方法は図示されたステップ数よりも多いまたは少ないステップ数で実行されてもよく、また示された順番に限定されない。
【0029】
ステップ210において、電力制御器114は所望の電力基準を受け取り得る。一例示的実施形態において、所望の電力基準値は、主制御器109からまたは機械の別の制御器から電力制御器114へ伝達され得る。
【0030】
方法のステップ220において、電力制御器114は、所望の電力基準があらかじめ決定された範囲内にあるかどうかを決定し得る(該当する場合)。所望の電力基準があらかじめ決定された範囲内にある場合、方法はステップ230に進む。所望の電力基準があらかじめ決定された範囲外にある場合、プロセスは終了する。あらかじめ決定された範囲がない実施形態では、プロセスはステップ210からステップ230へ続く。
【0031】
ステップ230において、電力制御器114は所望の電力基準を既存の電力基準と比較する。所望の電力基準が既存の電力基準と異なる場合、プロセスはステップ240へ続き、そうでない場合プロセスは終了する。
【0032】
ステップ240において、電力制御器114は所望の電力基準に基づいて第2スイッチング周波数を決定する。第2スイッチング周波数は、電力制御器114による機能またはアルゴリズムの実行から計算され得るか、またはデータベース120に記憶されているルックアップテーブルから電力制御器114によって読み出され得る。
【0033】
ステップ250で電力制御器114は可変周波数電力コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を第1スイッチング周波数から第2スイッチング周波数へ調整する。
【0034】
ハイブリッド機械において、所望の電力基準が可変周波数電力コンバータの電力定格の特定範囲内にある時、電力(および電流)リップルが発生し得る。かかる電力(または電流)リップルは電気エネルギー蓄電装置110によって蓄電または提供可能なエネルギー量を制限し得る。可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を調整することによって、リップル量は低減され得る。より詳細には、電力(または電流)リップルは、所望の電力(または電流)基準が低下した時、可変周波数電力コンバータ112のスイッチング周波数を増加することによって低減され得る。図4A〜Cは本出願の教示に従うこの概念を示す。
【0035】
図4Aにおいて、電力基準とスイッチング周波数との関係を示す2つの例示的なグラフが描かれる。第1グラフ400において、電力基準402は経時的に低下していることが確認される。第2グラフ410において、電力コンバータ112の関連するスイッチング周波数412は、本開示の教示に従い、電力基準402が低下するにつれ増加しているように示される。2つのグラフ400、410を一緒に読むと、電力基準402が低下するにつれスイッチング周波数412は増加する。
【0036】
図4Bは、電力コンバータ112のスイッチング周波数の増加前の図4Aに示される例示的電力基準点404における例示的な電力リップル422と電流リップル424を描くグラフ420を示す。図4Cは、図4Aに示された例示的な所望電力基準点406における例示的な電力リップル432と例示的な電流リップル434を描くグラフ430を示す。グラフ420とグラフ430との比較で確認できる電力リップルおよび電流リップルの低減は、電力基準402が低下するにつれ電力コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数が増加した時の電力リップル422と電流リップル424における効果を示す。
【0037】
図3は例示的な実施形態に従う車両に連結された電力コンバータを制御するための別の例示的な方法300である。この方法は図示されるステップ数よりも多いまたは少ないステップ数で実行されてもよく、また図示される順番に限定されない。
【0038】
ステップ310において、電力制御器114は所望の電流基準を取得し得る。一例示的実施形態において、所望の電流基準値は主制御器109からまたは機械の別の制御器から電力制御器114へ伝達され得る。別の実施形態において、電力制御器114は、電力制御器114によって受け取られた所望の電力基準に基づいて、当技術分野で方法を知られているように、所望の電流基準を計算し得る。
【0039】
方法のステップ320において、電力制御器114は、所望の電流基準があらかじめ決定された範囲内にあるかどうかを決定し得る(該当する場合)。所望の電流基準があらかじめ決定された範囲内にある場合、方法はステップ330に進む。所望の電流基準があらかじめ決定された範囲外にある場合、プロセスは終了する。あらかじめ決定された範囲がない実施形態では、プロセスはステップ310からステップ330へ続く。
【0040】
ステップ330において、電力制御器114は所望の電流基準を既存の電流基準と比較する。所望の電流基準が既存の電流基準と異なる場合、プロセスはステップ340へ続き、そうでない場合プロセスは終了する。
【0041】
ステップ340において、電力制御器114は所望の電流基準に基づいて第2スイッチング周波数を決定する。第2スイッチング周波数は、電力制御器114による機能またはアルゴリズムの実行から計算され得るか、またはデータベース120に記憶されているルックアップテーブルから電力制御器114によって読み出され得る。
【0042】
ステップ350で電力制御器114は可変周波数電力コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を第1スイッチング周波数から第2スイッチング周波数へ調整する。
【0043】
図4A〜Cと同様、図5A〜Cは可変周波数コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数を調整することによって、リップル量が低減され得ることを示す。より詳細には、電力(または電流)リップルは、所望の電流基準が低下するにつれ可変周波数電力コンバータ112のスイッチング周波数を増加することによって低減され得る。
【0044】
図5Aにおいて、電流基準とスイッチング周波数との関係を示す2つの例示的なグラフが描かれる。第1グラフ500において、電流基準502は経時的に低下していることが確認される。第2グラフ510において、電力コンバータ112の関連するスイッチング周波数512は、本開示の教示に従い、電流基準502が低下するにつれ増加しているように示される。2つのグラフ500、510を一緒に読むと、電流基準502が低下するにつれスイッチング周波数512は増加する。
【0045】
図5Bは、電力コンバータ112のスイッチング周波数の増加前の図5Aに示される例示的電流基準点504における例示的な電力リップル522と電流リップル524を描くグラフ520を示す。図5Cは、図5Aに示された例示的な所望電流基準点506における例示的な電力リップル532と例示的な電流リップル534を描くグラフ530を示す。グラフ520とグラフ530との比較で確認できる電力リップルおよび電流リップルの低減は、電流基準502が低下するにつれ電力コンバータ112のスイッチング要素のスイッチング周波数が増加した時の電力リップル522と電流リップル524における効果を示す。
【産業上の利用可能性】
【0046】
エンジンからあるいは他の回生的源から電気エネルギー蓄電装置に電力/エネルギーを蓄電する、または電気エネルギー蓄電装置から電力/エネルギーを得るハイブリッド機械には、電気エネルギー蓄電装置に連結された電力コンバータが一般に存在する。特定の状況下、電力リップルおよび電流リップルは、電気エネルギー蓄電装置の充電中および放電中に発現され得る。当技術分野で公知のように、このリップルは、電気エネルギー蓄電装置に蓄電可能なまたは電気エネルギー蓄電装置から取得可能なエネルギーを制限する。本開示は、所望の電力または電流基準が低下するにつれスイッチング周波数を増加することによってリップルを低減することにおいて利用可能性を見出し得る。
【0047】
一実施形態において、電力制御器が所望の電力基準を受け取る。電力制御器は次に、所望の電力基準が、あらかじめ決定された範囲内にあるかどうか決定し得る。電力制御器は次に、所望の電力基準値が既存の電力基準値と異なるかどうかを決定し得る。異なる場合、電力制御器は所望の電力基準値に基づいて可変周波数電力コンバータのスイッチング要素のスイッチング周波数を変化させる。電力基準が低下するにつれスイッチング周波数は増加し、その逆もある。スイッチング周波数のそのような変化により電力リップルが低減し、かつ電気エネルギー蓄電装置はより速く充電/放電するようになる。
【0048】
別の実施形態において、電力制御器が所望の電流基準を受け取る。電力制御器は次に、所望の電流基準が、あらかじめ決定された範囲内にあるかどうか決定し得る。電力制御器は次に、所望の電流基準値が既存の電流基準値と異なるかどうかを決定し得る。異なる場合、電力制御器は所望の電流基準値に基づいて可変周波数電力コンバータのスイッチング要素のスイッチング周波数を変化させる。電流基準が低下するにつれスイッチング周波数は増加し、その逆もある。スイッチング周波数のそのような変化により電流リップルが低減し、かつ電気エネルギー蓄電装置はより速く充電/放電するようになる。
【0049】
本明細書に開示された特徴はハイブリッド式掘削機、ホイールローダ、および他の土工車両、建設車両、採掘車両または材料運搬車両に特に有益であり得る。
【符号の説明】
【0050】
100 電気駆動機械
102 機械的動力源
104 発電機
106 モータ
108 牽引装置
109 主制御器
110 電気エネルギー蓄電装置
112 可変周波数電力コンバータ
114 電力制御器
116 第1電力コンバータ
118 第2電力コンバータ
120 データベース
400 第1グラフ
402 電力基準
404 電力基準点
406 所望電力基準点
410 第2グラフ
412 スイッチング周波数
420 グラフ
422 電力リップル
424 電流リップル
430 グラフ
432 電力リップル
434 電流リップル
500 第1グラフ
502 電流基準
504 電流基準点
506 所望電流基準点
510 第2グラフ
512 スイッチング周波数
520 グラフ
522 電力リップル
524 電流リップル
530 グラフ
532 電力リップル
534 電流リップル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配置された可変周波数電力コンバータを制御する方法であって、
車両に配置された電力制御器、可変周波数電力コンバータ、および電気エネルギー蓄電装置を提供するステップであって、電力制御器が可変周波数電力コンバータおよび電気エネルギー蓄電装置に連結されているステップと、
電力制御器によって、所望の電力基準値を受け取るステップと、
所望の電力基準値に基づいて可変周波数電力コンバータのスイッチング周波数を第1スイッチング周波数から第2スイッチング周波数へ調整するステップと
を含む方法。
【請求項2】
電気エネルギー蓄電装置がバッテリーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電気エネルギー蓄電装置がウルトラキャパシタを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
所望の電力基準値が、可変周波数電力コンバータの電力定格の約80パーセント未満の範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
所望の電力基準値が、可変周波数電力コンバータの電力定格の約10パーセント未満の範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
電力制御器に連結されたデータベースに記憶されたルックアップテーブルから第2スイッチング周波数を選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
所望の電力基準値が、実質的に充電されている時に電気エネルギー蓄電装置から利用できる初期の電力量と、現在の充電レベルにおいて電気エネルギー蓄電装置から利用できる現在の電力量との差を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
電気駆動機械であって、
エンジンと、
エンジンに動作可能に連結された発電機と、
1つ以上の牽引装置に動作可能に連結されたモータと、
電気エネルギー蓄電装置と、
第1および第2位置の間で移動可能なスイッチを含む、電気エネルギー蓄電装置に連結された閉ループ可変周波数電力コンバータと、
可変周波数電力コンバータに連結された電力制御器であって、所望の基準値に応じて可変周波数電力コンバータのスイッチング周波数を増減するように構成された電力制御器と
を含む電気駆動機械。
【請求項9】
所望の基準値が所望の電力基準値である、請求項8に記載の機械。
【請求項10】
所望の基準値が所望の電流基準値である、請求項8に記載の機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−74793(P2013−74793A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−212417(P2012−212417)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【Fターム(参考)】