説明

アクティブタグ

【課題】長期間使用しない場合において電池の浪費を低減することのできるアクティブタグを提供する。
【解決手段】アクティブタグ10は、電池150と、LF受信回路120、UHF送信回路140及び制御回路110とが非接続状態である場合において、熱電対で構成された熱電力変換回路170が2極間の温度差にて生じる電位差により電力を発生し、スイッチ制御回路160が発生された電力で作動してスイッチ180を閉じることで電池150と、LF受信回路120、UHF送信回路140及び制御回路110とを接続状態にし、接続状態となった以降は電池から供給される電力でLF受信回路120、UHF送信回路140及び制御回路110とが動作するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブタグに関し、特に、内蔵電池の長寿命化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、部屋への入退出管理を行う個人認証システムとして、アクティブタグと、当該アクティブタグから送信される信号を受信して所有者の認証を行うリーダとから構成されているものがある。
【0003】
この個人認証システムを構成するアクティブタグは、常時、内蔵電池(以下、電池という。)からの電力供給を受けている。この電池は、タグ内に埋設されていて容易に交換することができないので、電池の寿命がタグの寿命に直結する。そのため、電池の長寿命化が強く要望されている。
【0004】
電池の長寿命化を図るための技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1では、アクティブタグがリーダと通信を行わない場合には、リーダとの通信の開始、終了を制御するための制御信号を受信する受信回路だけを駆動させ、他の回路を停止させておくことで電池の消費電力の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−72706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、通常、アクティブタグは、製造が完了した状態において、送受信回路が電池に電気的に接続されている。そのため、製造直後から電池から送受信回路に電力供給が継続されている。
【0007】
つまり、製造後出荷までの間のように長時間使用しない状態であっても、電池の電力を消費してしまうこととなる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、長期間使用しない場合において電池の浪費を抑制することのできるアクティブタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、アクティブタグであって、温度差により発電する発電回路と、電池と無線回路との間の配線路に挿入されたスイッチと、前記発電部で発生した電力によって前記スイッチの開閉を制御する制御回路とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記に示す構成によると、アクティブタグは、発電回路が発生した電力によりスイッチの開閉が制御されるので、長時間使用しない場合にはスイッチを開いておけば、発電回路において温度差が生じない限り、スイッチが閉じないので、長期間使用しないで放置しても電池の浪費を抑制することができる。
【0010】
ここで、前記発電回路は、2極の異なる金属の接続点間に温度差を設けて発電するゼーベック効果を利用した発電体であるとしてもよい。
この構成によると、アクティブタグは、2極間の電位差により電力を発生させることができる。
【0011】
ここで、前記制御回路は、前記発電回路が発生した電力でスイッチを閉じ、以後その状態を保持する自己保持回路であるとしてもよい。
この構成によると、アクティブタグは、スイッチを閉じた状態を保持することができる。
【0012】
ここで、前記無線回路は、LF周波数帯で信号を受信する受信回路を含み、前記受信回路は、前記スイッチが開いた状態である場合には前記発電回路で発生した電力で作動し、前記制御回路は、前記受信回路が外部装置からスイッチを閉じる旨の命令を受信すると、前記スイッチを閉じるとしてもよい。
【0013】
この構成によると、アクティブタグの受信回路は、スイッチが開いた状態である場合には発電部で発生した電力で動作する。また、受信回路が発電回路の電力で作動した際に外部装置からのスイッチを閉じる旨の命令を受信することで、スイッチを閉じる。これにより、アクティブタグは、発電部で電力が発生した場合であっても、外部装置から命令を受信しない限りはスイッチを閉じないので、誤って熱エネルギーを与えてしまってもスイッチが閉じることはない。つまり、アクティブタグは、誤操作による電池の浪費をも防ぐことができる。
【0014】
ここで、前記スイッチが閉じた状態では、前記制御部は前記電池からの電力で作動しており、前記スイッチが閉じた状態において、前記受信回路が前記外部装置からスイッチを開く旨の命令を受信すると、前記制御回路は、前記スイッチを開いて、前記電池と前記無線回路とを非接続の状態とするとしてもよい。
【0015】
この構成によると、アクティブタグの制御回路は、外部装置からスイッチを開く旨の命令を受信すると、スイッチを開く。これにより、アクティブタグを再度長時間使用しない場合には、電池と無線回路とを非接続の状態とするので、さらなる電池の浪費を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】アクティブタグ10とリーダ20とを含む個人認証システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】アクティブタグ10の概略斜視図である。
【図3】熱電力変換回路170の構成を示す図である。
【図4】スイッチ制御回路160及びスイッチ180の構成を示す図である。
【図5】起動信号300、識別信号310及びスイッチオフ信号320のデータ構造の一例を示す図である。
【図6】アクティブタグ10の動作を示す流れ図である。
【図7】個人認証システム1の動作を示す流れ図である。
【図8】アクティブタグ1100とリーダ1200とを含む個人認証システム2の構成を示すブロック図である。
【図9】スイッチオン信号1300のデータ構造の一例を示す図である。
【図10】アクティブタグ1100の動作を示す流れ図である。
【図11】個人認証システム2の動作を示す流れ図である。
【図12】アクティブタグ2100とリーダ2200とを含む個人認証システム3の構成を示すブロック図である。
【図13】アクティブタグ2100の動作を示す流れ図である。
【図14】個人認証システム3の動作を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.第1の実施の形態
1.1 概要
本実施の形態に係るアクティブタグ10は、リーダ20とともに、部屋への入退出管理を行う個人認証システム1の一部を構成する。このアクティブタグ10は、リーダ20に対して自装置のID番号に関する情報を含む識別信号を送信する機能を有している。一方、リーダ20は、アクティブタグ10から送信された識別信号を受信してアクティブタグ10の所有者の認証を行う機能を有している。
【0018】
アクティブタグ10は、電池150とLF受信回路220との間に外部から熱が加わると接続状態となるスイッチ180が設けられている。
このスイッチ180を製造終了時点で、非接続としておくことで、実際に使用されるまでの間における電池の消耗を抑制できるという特徴がある。スイッチ180は、光MOSリレーにより構成されており、製造後、外部から熱を加えて光MOSリレーの一部を構成する発行ダイオードを点灯させない限りオンすることがない。
【0019】
1.2 構成
以下、本実施の形態に係るアクティブタグ10を含んで構成される個人認証システム1の概略を図1に示す。
【0020】
個人認証システム1は、図1に示すように、アクティブタグ10とリーダ20とから構成される。
(1)アクティブタグ10
アクティブタグ10は、図1に示すように、制御回路110と、LF受信回路120と、UHF送信回路140と、電池150と、スイッチ制御回路160と、熱電力変換回路170と、スイッチ180とを含んで構成される。
【0021】
また、アクティブタグ10は、図2に示すように、外観が矩形状をしている。そして、その内部には、各回路が配置された回路基板100と電池150とが収納されている。また、回路基板100からは、後述する熱電力変換回路170の一部を構成する測温端子171aが延出している。
【0022】
なお、アクティブタグ10は、リーダ20からのLF信号を受信するアンテナA11として、3つの独立したコイル(図示せず)を互いに直交する形で配置してなる3軸構成のアンテナを備えている。これは、アクティブタグ10のリーダ20に対する向きによって受信感度が大きく変動するのを抑制するためである。
【0023】
また、リーダ20にUHF信号を送信するためのアンテナA12として、近くに人体があっても送信特性への影響が少ない微小ループアンテナを使用している。
(1−1)LF受信回路120
LF受信回路120は、リーダ20から受信したLF信号に対して誤り検出を行った後、当該LF信号に起動信号を示す起動パターンWAKEやスイッチオフ信号を示すスイッチオフパターンDOFFが存在するか否かを確認する起動制御部121を有する。
【0024】
起動制御部121は、LF信号の中に起動パターンWAKE(図5(a)参照)が存在すると認識すると、受信したLF信号が起動信号であると認識し、制御回路110及びUHF送信回路140を起動する。そして、起動制御部121は、更に、起動信号の中からリーダ20のID番号の情報を抽出して制御回路110に出力する。そして、起動制御部121は、UHF送信回路140による識別信号の送信が完了すると、再び、制御回路110及びUHF送信回路140を停止する。これにより、アクティブタグ10全体の消費電力の低減を図っている。
【0025】
また、起動制御部121は、LF信号の中にスイッチオフパターンDOFF(図5(b)参照)が存在すると認識すると、LF信号がスイッチオフ信号であると認識し、スイッチ制御回路160に対して配線Loffを介して電圧を入力する。
【0026】
(1−2)UHF送信回路140
UHF送信回路140は、UHF帯の識別信号をアンテナA12を介してリーダ20へUHF信号を送信する。UHF送信回路140は従来技術と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0027】
(1−3)制御回路110
制御回路110は、CPU及びメモリ(図示せず)を備え、LF受信回路120及びUHF送信回路140の制御を行う。
【0028】
制御回路110は、アクティブタグ10のID番号等の識別情報を示す信号を生成してUHF送信回路140へ出力する機能をも有する。
(1−4)熱電力変換回路170
熱電力変換回路170は、熱電対171とコンデンサ172とで構成され、2極間の温度差により起電力を発生するものである。
【0029】
熱電力変換回路170の熱電対171は、図3に示すように、異なる材質の2本の金属線173、174と、温度を測定する測温端子171aとを有している。金属線173、174それぞれの一の端部は測温端子171aと接続されており、金属線173、174それぞれの他の端部は、開放端173a、174aであり、熱電対における基準接点171bを構成している。
【0030】
基準接点171bを構成する開放端173a、174aは、コンデンサ172及びスイッチ制御回路160と接続されている。
測温端子171aが指等で温められると、測温端子171aの温度が上昇し、基準接点171bの各開放端173a、174aとの温度差が生じる。そうすると、ゼーベック効果により熱電対171に起電力が生じて、コンデンサ172に蓄電され、蓄電された電力がスイッチ制御回路160に供給される。
【0031】
(1−5)スイッチ180
スイッチ180について、図1及び図4を用いて説明する。
スイッチ180は、光MOSリレーにより構成され、電池150と制御回路110、LF受信回路120及びUHF送信回路140とを接続する配線路L1に挿入され、電池150から制御回路110等への電力供給をオンオフする。このスイッチ180は、製造完了時点では開いた状態となっている。
【0032】
スイッチ180は、図4に示すように、入力端子Te21、Te22間に接続された発光ダイオードLEDと、発光ダイオードLEDの光を受光すると起電力を発生するフォトダイオードを複数個直列に接続してなる光電変換素子PDと、光電変換素子PDの高電位側にゲートが接続され且つ低電位側にソースが接続されたMOSFETからなるトランジスタTr2と、トランジスタTr2のゲートとドレインとの間に接続されたコンデンサC2と抵抗R2との直列回路とから構成される。そして、トランジスタTr2のドレインとソースそれぞれが、スイッチ180の出力端子Te23、Te24に接続されている。このスイッチ180は、スイッチ制御回路160から発光ダイオードLEDに電圧が入力されると、トランジスタTr2がターンオンすることにより出力端子Te23、Te24間が導通状態となる(スイッチ180がオン状態)。また、スイッチ180は、スイッチ制御回路160からの電圧入力がなくなるとオフ状態で維持される。
【0033】
(1−6)スイッチ制御回路160
スイッチ制御回路160は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されている。具体的には、スイッチ制御回路160は、図4に示すように、熱電力変換回路170に接続される入力端子Te11、Te12それぞれがゲート及びソースに接続されたMOSFETからなるトランジスタTr1と、トランジスタTr1のゲート−ソース間に接続されたコンデンサC1と抵抗R1とからなる直列回路と、スイッチ制御回路160の高電位側の入力端子と直列回路の高電位側との間に介挿されたダイオードDとを備える。そして、トランジスタTr1のゲート及びドレインそれぞれが、出力端子Te14、Te15に接続されている。また、スイッチ180の一部を構成するトランジスタTr2のソースとトランジスタTr1のゲートとがゲートターンオフ型サイリスタGTOを介して電気的に接続されている。このゲートターンオフ型サイリスタGTOのゲートは、入力端子Te13に接続されている。
【0034】
スイッチ制御回路160は、熱電力変換回路170から入力される電圧により一旦スイッチ180をオンさせると、電池150から入力される電圧をスイッチ180に印加し続ける。つまり、スイッチ制御回路160は、熱電力変換回路170が発生した電力でスイッチ180を閉じ、以後その状態を保持する自己保持回路を形成している。
【0035】
一方、スイッチ180がオン状態において、LF受信回路120がスイッチオフ信号を受信すると、LF受信回路120から、信号線Loffを介して入力端子Te13に負電圧が入力される。このとき、ゲートターンオフ型サイリスタGTOは、ターンオフし、スイッチ180への電圧入力が停止してスイッチ180がオフ状態となる。ここで、上述した配線Loffは、端子Te12と接続される接続線と、端子Te13と接続される接続線とからなる。
【0036】
(2)リーダ20
リーダ20は、入室が制限された部屋の出入り口等に設置され、アクティブタグ10から当該アクティブタグ10自身のID番号に関する情報を含むUHF周波数帯(UHF帯、例えば、426MHz帯)の識別信号を受信すると、受信したID番号を照合して、アクティブタグ10の所有者の入室を許可できるかどうかを判別する認証処理を行う。
【0037】
また、リーダ20は、アクティブタグ10に対してUHF送信回路140及び制御回路110を起動させるために、LF周波数帯(LF帯、例えば、135MHz帯)の起動信号を送信する機能や、接続状態にあるスイッチ180を非接続状態にするためのLF帯のスイッチオフ信号を送信する機能をも有する。
【0038】
リーダ20は、図1に示すように、制御回路210と、LF送信回路220と、UHF受信回路230とを含んでいる。
(2−1)LF送信回路220
LF送信回路220は、アンテナA11を介してアクティブタグ10に起動信号を送信する。
【0039】
また、LF送信回路220は、アンテナA11を介してアクティブタグ10にスイッチオフ信号を送信する。
(2−2)UHF受信回路230
UHF受信回路230は、アクティブタグ10から発信され、アンテナA22を介してアクティブタグ10から受信したUHF信号を復調して得られたID番号を含む識別信号を制御回路210に入力する。
【0040】
(2−3)制御回路210
制御回路210は、CPU及びメモリ(図示せず)を備え、LF送信回路220及びUHF受信回路230を制御する。
【0041】
制御回路210は、アクティブタグ10を起動させるための起動信号を生成し、LF送信回路220に入力する。また、制御回路210は、UHF受信回路230からアクティブタグ10のID番号に関する情報を含む識別信号が入力されると、認証処理を行った後、認証処理で得られたデータを、リーダ20に接続された上位装置(例えば、ID番号を管理するサーバ等)に送信する。
【0042】
また、リーダ20には、アクティブタグ10にスイッチオフ信号を送信するときにユーザが操作する操作ボタン(図示せず)が設けられている。そして、ユーザがこの操作ボタンを押下すると、LF送信回路220がスイッチ180を開く旨の命令を内容とするスイッチオフ信号を送信する。
【0043】
1.3 信号のデータ構造
以下、本実施の形態に係る個人認証システム1で用いられる起動信号300、識別信号310及びスイッチオフ信号320のデータ構造について、図5を用いて説明する。
【0044】
(1)起動信号300
起動信号300は、図5(a)に示すように、プリアンブル(PR)301と、ユニークワード(UW)302と、起動パターン(WAKE)303と、リーダ20のID番号からなる識別情報(ID1)304と、誤り検出符号(CRC)305とから構成される。
【0045】
ここで、プリアンブル301は、起動信号の始まりを示すビット列(同期符号)であり、ユニークワード302は、いわゆるフレーム同期信号である。また、誤り検出符号305は、アクティブタグ10側で受信した起動信号に誤りが発生しているか否かを検出するためのビット列である。そして、起動パターン(WAKE)303は、LF信号が起動信号であることを識別するためのビット列のパターンある。なお、リーダ20の識別情報(ID1)304は、リーダ20の制御回路210に含まれるメモリ(図示せず)に予め記憶されている。
【0046】
(2)識別信号
識別信号310は、図5(b)に示すように、プリアンブル(PR)311と、ユニークワード(UW)312と、リーダ20のID番号からなる識別情報(ID1)313と、アクティブタグ10のID番号からなる識別情報(ID2)314と、誤り検出符号(CRC)315とから構成される。
【0047】
識別情報(ID1)313は、アクティブタグ10から発信された識別信号を受信したリーダ20が、受信した識別信号が自装置宛ての信号か否かを判別するために用いられる。また、識別情報(ID2)314は、リーダ20が自装置宛てに送信された識別信号がどのアクティブタグ10から送信されたものかを識別するために用いられる。
【0048】
ここで、プリアンブル(PR)311は、識別信号の始まりを示すビット列(同期符号)であり、ユニークワード(UW)312は、いわゆるフレーム同期信号である。また、誤り検出符号(CRC)315は、リーダ20側で受信した識別信号に誤りが発生しているか否かを検出するためのビット列である。なお、識別情報(ID2)314は、アクティブタグ10の制御回路110に含まれるメモリ(図示せず)に予め記憶されている。
【0049】
(3)スイッチオフ信号
スイッチオフ信号320は、図5(c)に示すように、図5(a)と略同じ構成であり、起動パターン303の代わりに電源オフパターン(DOFF)323を含んで構成される点のみが相違する。電源オフパターン(DOFF)323は、LF信号がスイッチ制御回路160にスイッチ180をオフさせるためのスイッチオフ信号であることを識別するためのものである。
【0050】
1.4 動作
本実施の形態に係るアクティブタグ10の動作について図6及び図7に基づいて説明する。
【0051】
まず、アクティブタグ10は、製造が完了した時点ではスイッチ180はオフ状態となっている。
(1)アクティブタグ10の動作
以下、図6に示す流れ図を用いて、アクティブタグ10の動作について説明する。
【0052】
熱電力変換回路170からスイッチ制御回路160に電圧が入力されると、スイッチ制御回路160のトランジスタTrがターンオンし、スイッチ制御回路160からスイッチ180へ電圧が入力され(ステップS1)、スイッチ180がオンする(ステップS2)。このとき、電池150から供給される電力によりLF受信回路120だけが起動する(ステップS3)。
【0053】
そして、LF受信回路120は、リーダ20からアンテナA11を介してLF信号をいつでも受信できる状態で待機する(ステップS4)。
LF信号を受信した場合(ステップS4における「Yes」)、LF受信回路120の起動制御部121は、受信したLF信号が起動信号である否かを判断する(ステップS5)。具体的には、起動制御部121は、受信したLF信号に起動パターンWAKEが存在するか否かを判断する。
【0054】
LF信号が起動信号であると判断する場合(ステップS5における「Yes」)、起動制御部121は、制御回路110及びUHF送信回路140を起動する(ステップS6)。
【0055】
続いて、制御回路110は、アクティブタグ10の識別情報をUHF送信回路140に入力する。UHF送信回路140は、入力された識別情報を用いて変調したUHF帯の識別信号をリーダ20に送信する(ステップS7)。
【0056】
UHF送信回路140は、UHF信号の送信が完了すると、送信完了信号を起動制御部121に入力する。そして、起動制御部121は、送信完了信号が入力されると、制御回路110及びUHF送信回路140を再び停止させる(ステップS8)。その後、処理は、ステップS4に移行する。
【0057】
一方、LF信号が起動信号でないと判断する場合(ステップS5における「No」)、起動制御部121は、受信したLF信号がスイッチオフ信号であるか否かを判断する(ステップS9)。具体的には、起動制御部121は、受信したLF信号にスイッチオフパターンDOFFが存在するか否かを判断する。
【0058】
LF信号がスイッチオフ信号でないと判断する場合(ステップS9における「No」)、処理は、ステップS4に移行する。
一方、LF信号がスイッチオフ信号であると判断する場合(ステップS9における「Yes」)、起動制御部121は、スイッチ制御回路160に電圧を入力する。そして、スイッチ制御回路160は、スイッチ180への電圧入力を停止することによりスイッチ180をオフにする(ステップS10)。
【0059】
(2)個人認証システム1の動作
ここでは、個人認証システム1の動作概要について、図7に示す流れ図を用いて説明する。
【0060】
アクティブタグ10は、製造完了時から熱が加えられるまでの間、スイッチ180はオフの状態となっている。
アクティブタグ10に熱が加えられると、図6に示すステップS1、S2の動作により、スイッチ180はオンとなる(T1)。
【0061】
そして、図6に示すステップS3の動作により、LF受信回路120が起動する(T2)。
ここで、リーダ20は、LF帯の起動信号を生成するとともに、常にアンテナA21を介して外部に当該起動信号を送出している(T21)。このとき、アクティブタグ10の所持者が、リーダ20からのLF信号の到達範囲内に侵入すると、LF受信回路120が、起動信号を受信する。
【0062】
アクティブタグ10のLF受信回路120が起動信号を受信すると、図6に示すステップS4からS6の動作により、制御回路110及びUHF送信回路140が起動される(T3)。
【0063】
アクティブタグ10は、図6に示すステップS7の動作により、識別信号をアンテナA11を介して外部(リーダ20)に送信する。そして、送信が完了すると、図6に示すステップS8の動作により、制御回路110及びUHF送信回路140が停止される(T4)。
【0064】
また、リーダ20では、識別信号を受信すると、認証処理を行う(T22)。そして、認証に成功すると、アクティブタグ10の所持者が入室を許可できる者であると特定して、ドアを開ける。認証に失敗すると、アクティブタグ10の所持者が入室を許可できる者ではないと特定して、ドアを閉めたままの状態にする。
【0065】
その後、ユーザ操作により、リーダ20は、スイッチオフ信号を生成し、アンテナA21を介して外部に送信する(T23)。
アクティブタグ10は、スイッチオフ信号を受信すると、図6に示すステップS9、S10の動作により、スイッチ180がオフの状態になる(T5)。
【0066】
1.5 まとめ
以上によると、本実施の形態に係るアクティブタグ10は、製造終了の段階で、スイッチ180をオフ状態としておけば、製造が完了してからアクティブタグ10に熱が加えられるまでの間、スイッチ180をオフ状態で維持することができる。
【0067】
例えば、アクティブタグ10の製造後、倉庫に保管しておき、アクティブタグ10を実際に使用するときにアクティブタグ10に熱を印加することで、スイッチ180をオンさせることが可能となる。これにより、アクティブタグ10を長期間放置しても電池の消耗を抑制できるという利点がある。
【0068】
また、本実施の形態に係るアクティブタグ10は、LF受信回路120でスイッチ180をオフにする指示を内容とするスイッチオフ信号を受信すると、スイッチ制御回路160がスイッチ180をオフする。これにより、スイッチ180をオンにした後においても、アクティブタグ10を使用しない場合にスイッチ180をオフにしておくことができるので、電池150の消耗を更に抑制することができる。
【0069】
2.第2の実施の形態
2.1 概要
本実施の形態に係るアクティブタグ1100では、当該アクティブタグ1100に熱が加わっても、外部(リーダ1200)からスイッチ180をオンにする指示を内容とするスイッチオン信号を受信するまでの間はスイッチ180をオフ状態で維持する。これにより、意図しない熱がアクティブタグ1100に加わってしまって場合であっても、電池の消耗を抑制することができる。
【0070】
2.2 構成
以下、本実施の形態に係るアクティブタグ1100を含んで構成される個人認証システム2の概略を図8に示す。以下の説明において、第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0071】
個人認証システム2は、図8に示すように、アクティブタグ1100とリーダ1200とから構成される。ここで、リーダ1200は、第1の実施の形態と同様に、起動信号及びスイッチオフ信号を発信する。さらに、リーダ1200は、上述したスイッチオン信号をLF帯で発信する。また、アクティブタグ1100は、第1の実施の形態で示すアクティブタグ10と同様に、起動信号を受信すると識別信号を送信し、スイッチオフ信号を受信するとスイッチ180をオフの状態にする。さらに、アクティブタグ1100は、スイッチがオフの状態であって熱により電圧が発生しているときに、スイッチオン信号を受信するとスイッチをオンの状態にする。
【0072】
なお、リーダ1200は、第1の実施の形態に示すリーダ20と同様に、壁などに設置され電力は外部電源(図示せず)から供給されている。また、アクティブタグ1100は、内蔵する電池150を電源とする。
【0073】
(1)アクティブタグ1100
アクティブタグ1100は、図8に示すように、制御回路1110と、LF受信回路1120と、UHF送信回路140と、電池150と、熱電力変換回路1170と、スイッチ180とを含んでいる。
【0074】
以下、第1の実施の形態とは異なる制御回路1110と、LF受信回路1120と、熱電力変換回路1170とについて説明する。
(1−1)熱電力変換回路1170
熱電力変換回路1170は、第1の実施の形態で示す熱電力変換回路170と同様に、熱電対とコンデンサとで構成されている。
【0075】
第1の実施の形態と異なる点は、電圧の入力先、つまり電力の供給先であり、熱電力変換回路1170により発生した起電力は、LF受信回路1120及び制御回路1110に供給される。
【0076】
したがって、アクティブタグ1100に熱が加えられることによりLF受信回路1120及び制御回路1110が起動されることとなる。
(1−2)LF受信回路1120
LF受信回路1120は、リーダ1200から送信されるLF信号を受信する。ここで、LF受信回路1120は、アンテナA11を介してリーダ1200から受信したLF信号を復調して起動信号やスイッチオフ信号やスイッチオン信号を取得する。
【0077】
LF受信回路1120は、図8に示すように、起動制御部1121を含んで構成されている。
起動制御部1121は、取得したLF信号に対して誤まり検出処理が行われた後に、当該LF信号の中に起動信号を示す起動パターンWAKEやスイッチオフ信号を示すスイッチオフパターンDOFFやスイッチオン信号を示すスイッチオンパターンDONが存在するか否かを確認するものである。
【0078】
ここで、起動制御部1121は、LF信号の中に起動パターンWAKEが存在すると認識した場合には、第1の実施の形態と同様の動作を行う。
また、起動制御部1121は、LF信号の中にスイッチオフパターンDOFFが存在すると認識すると、LF信号がスイッチオフ信号であると認識し、制御回路1110に対してスイッチオフコマンドを通知する。
【0079】
起動制御部1121は、アクティブタグ1100に熱が加わり、LF受信回路1120及び制御回路1110が起動した後、スイッチオン信号を受信すると、スイッチオンコマンドを制御回路1110へ通知する。
【0080】
(1−3)制御回路1110
制御回路1110は、第1の実施の形態で示す制御回路110と、スイッチ制御回路160とを備えたものである。
【0081】
具体的には、制御回路1110は、以下の機能を有する。
制御回路1110は、CPU及びメモリ(図示せず)を備え、LF受信回路1120及びUHF送信回路140の制御を行う。
【0082】
制御回路1110は、起動制御部1121で抽出されたリーダ20のID番号の情報を受け取ると、アクティブタグ1100のID番号等の識別情報を示す信号を生成してUHF送信回路140へ出力する。
【0083】
制御回路1110は、識別信号の送信を完了すると、送信完了信号を起動制御部1121に通知する。
また、制御回路1110は、熱電力変換回路1170から出力される電圧をそのままスイッチ180に入力する。また、制御回路1110は、スイッチ180がオンすると電池150からの電圧が入力されるように構成されており、電池150から電圧が入力されると降圧してからスイッチ180に入力する降圧回路(図示せず)を備えている。そして、制御回路1110は、熱電力変換回路1170から入力される電圧により一旦スイッチ180をオンにすると、電池150から入力される電圧を降圧してスイッチ180に入力し続ける。
【0084】
また、制御回路1110は、LF受信回路1120の起動制御部1121からスイッチオフコマンドが通知されると、スイッチ180への電圧入力を停止してスイッチ180をオフ状態にする。
【0085】
さらに、制御回路1110は、起動制御部1121からスイッチオンコマンドが通知されると、熱電力変換回路1170から出力される電圧をスイッチ180に入力する。
(2)リーダ1200
リーダ20は、図8に示すように、制御回路1210と、LF送信回路1220と、UHF受信回路230とを含んで構成される。
【0086】
以下、第1の実施の形態とは異なる制御回路1210と、LF送信回路1220について説明する。
(2−1)LF送信回路1220
LF送信回路1220は、第1の実施の形態で示すLF送信回路220が有する機能に加えて、以下の機能をも有する。
【0087】
LF送信回路1220は、制御回路1210から入力されるスイッチオン信号を用いて変調したLF信号をアンテナA11を介してアクティブタグ1100に送信する。
(2−2)制御回路1210
制御回路1210は、CPU及びメモリ(図示せず)を備え、LF送信回路1220及びUHF受信回路230を制御する。
【0088】
制御回路1210は、第1の実施の形態で示す制御回路210が有する機能に加えて、以下の機能をも有する。
制御回路1210は、アクティブタグ1100が備えるスイッチ180をオンにするためのLF帯のスイッチオン信号を送信する機能を有する。ここにおいて、ユーザがリーダ1200に対して所定の操作を行うと、LF送信回路1220を介して、スイッチオン信号を送信する。
【0089】
2.3 信号のデータ構造
以下、本実施の形態で用いられるスイッチをオンにする指示を内容とするスイッチオン信号のデータ構造について、図9を用いて説明する。なお、本実施の形態に係る個人認証システム2においても起動信号300、識別信号310及びスイッチオフ信号320を使用するが、これらの信号は第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0090】
スイッチオン信号1300は、図9に示すように、プリアンブル(PR)1301と、ユニークワード(UW)1302と、スイッチオンパターン(DON)1303と、リーダ1200のID番号からなる識別情報(ID1)1304と、誤り検出符号(CRC)1305とから構成される。
【0091】
識別情報(ID1)1304は、スイッチ180をオンしようとするアクティブタグ1100を特定するために用いられる。
ここで、プリアンブル(PR)1301は、スイッチオン信号の始まりを示すビット列(同期符号)であり、ユニークワード(UW)1302は、いわゆるフレーム同期信号である。また、誤り検出符号(CRC)1305は、アクティブタグ1100側で受信した起動信号に誤りが発生しているか否かを検出するためのビット列である。そして、スイッチオンパターン(DON)1303は、LF信号が制御回路1110にスイッチ180をオンさせるためのスイッチオン信号であることを識別するためのビット列である。なお、リーダ1200の識別情報(ID1)1304は、第1の実施の形態と同様に、リーダ1200の制御回路1110に含まれるメモリ(図示せず)に予め記憶されている。
【0092】
2.4 動作
本実施の形態に係るアクティブタグ1100の動作について、図10及び図11に基づいて説明する。
【0093】
本実施の形態に係るアクティブタグ1100の動作は、第1の実施の形態で示すアクティブタグ10と略同様であり、図10及び図11における破線で囲んだ部分のみが第1の実施の形態と相違する。
【0094】
以下において、アクティブタグ1100の動作と個人認証システム2の動作とに分けて説明する。
(1)アクティブタグ1100の動作
ここでは、アクティブタグ1100の動作について、図10に示す流れ図を用いて説明する。
【0095】
アクティブタグ1100に熱が加わると、熱電力変換回路1170からLF受信回路1120及び制御回路1110に電力が供給され、LF受信回路1120及び制御回路1110が起動する(ステップS51)。
【0096】
その後、LF受信回路1120は、リーダ1200からアンテナA11を介してLF信号をいつでも受信できる状態で待機する(ステップS52)。ここで、スイッチ180は、オフ状態で維持されている。
【0097】
リーダ1200からLF信号を受信すると(ステップS52における「Yes」)、LF受信回路1120の起動制御部1121は、LF信号がスイッチオン信号であるか否かを判断する(ステップS53)。具体的には、起動制御部1121は、受信したLF信号にスイッチオンパターンDONが含まれるか否かを判断する。
【0098】
受信したLF信号がスイッチオン信号でないと判断すると(ステップS53における「No」)、処理はステップS52に移行し、再び、LF信号の受信待ち状態となる。
一方、受信したLF信号がスイッチオン信号であると判断すると(ステップS53における「Yes」)、起動制御部1121は、スイッチオンコマンドを制御回路1110に通知し、制御回路1110がスイッチ180をオンする(ステップS54)。
【0099】
そして、LF受信回路1120は、リーダ1200からアンテナA11を介してLF信号をいつでも受信できる状態で待機する(ステップS55)。
LF信号を受信した場合(ステップS55における「Yes」)、起動制御部1121は、受信したLF信号が起動信号である否かを判断する(ステップS56)。具体的には、起動制御部1121は、受信したLF信号に起動パターンWAKEが存在するか否かを判断する。
【0100】
LF信号が起動信号であると判断する場合(ステップS56における「Yes」)、起動制御部1121は、UHF送信回路140を起動する(ステップS57)。制御回路210は既に起動しているので、当該ステップで起動させる必要はない。
【0101】
続いて、制御回路1110は、アクティブタグ1100の識別情報をUHF送信回路140に入力する。UHF送信回路140は、入力された識別情報を用いて変調したUHF帯の識別信号をリーダ1200に送信する(ステップS58)。
【0102】
UHF送信回路140は、UHF信号の送信が完了すると、送信完了信号を起動制御部1121に入力する。そして、起動制御部1121は、送信完了信号が入力されると、UHF送信回路140を再び停止させる(ステップS59)。その後、処理は、ステップS55に移行する。ここで、制御回路1110は、スイッチ180をオン状態に維持しておくために起動させておく必要があるので、当該ステップにおいて停止はさせない。
【0103】
一方、LF信号が起動信号でないと判断する場合(ステップS56における「No」)、起動制御部1121は、受信したLF信号がスイッチオフ信号であるか否かを判断する(ステップS60)。具体的には、起動制御部1121は、受信したLF信号にスイッチオフパターンDOFFが存在するか否かを判断する。
【0104】
LF信号がスイッチオフ信号でないと判断する場合(ステップS60における「No」)、処理は、ステップS55に移行する。
一方、LF信号がスイッチオフ信号であると判断する場合(ステップS60における「Yes」)、起動制御部1121は、制御回路1110にスイッチオフコマンドを入力する。そして、制御回路1110は、スイッチ180への電圧入力を停止することによりスイッチ180をオフにする(ステップS61)。
【0105】
(2)個人認証システム2の動作
ここでは、個人認証システム2の動作概要について、図11に示す流れ図を用いて説明する。
【0106】
アクティブタグ1100は、製造完了時においてはスイッチ180はオフの状態となっている。アクティブタグ1100は、あるタイミングで熱が加えられると、図10で示すステップS51の動作により、LF受信回路1120及び制御回路1110が起動する(T51)。
【0107】
また、リーダ1200は、LF帯のスイッチオン信号を生成するとともに、常にアンテナA21を介して外部に当該スイッチオン信号を送出している(T151)。
アクティブタグ1100の所持者が、リーダ1200からのLF信号(スイッチオン信号)の到達範囲内に侵入することにより、LF受信回路1120がスイッチオン信号を受信すると、図10に示すステップS52からS54の動作により、スイッチ180はオンとなる(T52)。
【0108】
また、リーダ1200は、LF帯の起動信号を生成するとともに、常にアンテナA21を介して外部に当該起動信号を送出している(T152)。このとき、アクティブタグ1100の所持者が、リーダ1200からのLF信号(起動信号)の到達範囲内に侵入すると、LF受信回路1120が、起動信号を受信する。
【0109】
アクティブタグ1100のLF受信回路1120が起動信号受信すると、図10に示すステップS55からS57の動作により、UHF送信回路140が起動される(T53)。
【0110】
アクティブタグ1100は、図10に示すステップS58の動作により、識別信号をアンテナA11を介して外部(リーダ1200)に送信する。そして、送信が完了すると、図10に示すステップS59の動作により、UHF送信回路140が停止される(T54)。
【0111】
また、リーダ1200では、識別信号を受信すると、認証処理を行う(T153)。そして、認証に成功すると、アクティブタグ1100の所持者が入室を許可できる者であると特定して、ドアを開ける。認証に失敗すると、アクティブタグ1100の所持者が入室を許可できる者ではないと特定して、ドアを閉めたままの状態にする。
【0112】
その後、ユーザ操作により、リーダ1200は、スイッチオフ信号を生成し、アンテナA21を介して外部に送信する(T154)。
アクティブタグ1100は、スイッチオフ信号を受信すると、図10に示すステップS60、S61の動作により、スイッチ180がオフの状態になる(T55)。
【0113】
2.5 まとめ
以上により、本実施の形態に係るアクティブタグ1100は、製造が完了してからアクティブタグ1100に熱が加わっただけでは、LF受信回路1120及び制御回路1110を起動させるだけで、スイッチ180はオンしない。
【0114】
従って、アクティブタグ1100の製造後、意図しない熱がアクティブタグ1100に加わってしまった場合であっても、直ちにはスイッチ180がオンしないので、電池150の消耗を防ぐことができる。
【0115】
3.第3の実施の形態
3.1 概要
本実施の形態に係るアクティブタグ2100では、熱が加わると、まず、LF受信回路2120だけを起動し、LF受信回路2120がスイッチオン信号を受信するまでスイッチ180をオフ状態で維持する。これにより、意図しない熱がアクティブタグ2100に加わってしまって場合であっても、電池の消耗を抑制することができる。
【0116】
3.2 構成
以下、本実施の形態に係るアクティブタグ2100を含んで構成される個人認証システム3の概略を図12に示す。以下の説明において、第1及び第2の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0117】
個人認証システム3は、図12に示すように、アクティブタグ2100とリーダ2200とから構成される。ここで、リーダ2200は、第2の実施の形態と同様に、起動信号、スイッチオフ信号及びスイッチオン信号を発信する。また、アクティブタグ1100は、第2の実施の形態で示すアクティブタグ1100と同様に、起動信号を受信すると識別信号を送信し、スイッチオフ信号を受信するとスイッチ180をオフの状態にし、スイッチがオフの状態であって熱により電圧が発生しているときにスイッチオン信号を受信するとスイッチをオンの状態にする。
【0118】
なお、リーダ2200は、第1及び第2の実施の形態と同様に、壁などに設置され、電力は外部電源(図示せず)から供給されている。また、アクティブタグ2100は、内蔵する電池150を電源とする。
【0119】
なお、本実施の形態で扱う起動信号、識別信号、スイッチオフ信号及びスイッチオン信号の構成は、第1及び第2の実施の形態と同様なので説明を省略する。
(1)アクティブタグ2100
アクティブタグ2100は、図12に示すように、制御回路110と、LF受信回路2120と、UHF送信回路140と、電池150と、スイッチ制御回路2160と、熱電力変換回路2170と、スイッチ180とを含んで構成される。
【0120】
以下、第1及び第2の実施の形態とは異なるLF受信回路1120と、スイッチ制御回路2160と、熱電力変換回路2170とについて説明する。
(1−1)熱電力変換回路2170
熱電力変換回路2170は、第1及び第2の実施の形態で示す熱電力変換回路170、1170と同様に、熱電対とコンデンサとで構成されている。
【0121】
第1及び第2の実施の形態と異なる点は、電圧の入力先、つまり電力の供給先であり、熱電力変換回路2170により発生した起電力は、LF受信回路2120に供給される。
したがって、アクティブタグ2100に熱が加えられることによりLF受信回路2120が起動されることとなる。
【0122】
(1−2)LF受信回路2120
LF受信回路2120は、リーダ2200から送信されるLF信号を受信する。ここで、LF受信回路2120は、アンテナA11を介してリーダ2200から受信したLF信号を復調して起動信号やスイッチオフ信号やスイッチオン信号を取得する。
【0123】
LF受信回路2120は、図12に示すように、起動制御部2121を含んで構成されている。
第1の実施の形態と異なる点は、配線Loffに加えて、配線Lonがスイッチ制御回路に接続されていることである。ここで、配線Lonは、図4に示す端子Te11、Te12と接続されている。なお、配線Loffは、第1の実施の形態と同様に、図4に示す端子Te12、Te13と接続されている。
【0124】
起動制御部2121は、取得したLF信号に対して誤まり検出処理が行われた後に、当該LF信号の中に起動信号を示す起動パターンWAKEやスイッチオフ信号を示すスイッチオフパターンDOFFやスイッチオン信号を示すスイッチオンパターンDONが存在するか否かを確認するものである。
【0125】
ここで、起動制御部2121は、LF信号の中に起動パターンWAKEが存在すると認識した場合には、第1の及び第2の実施の形態と同様の動作を行う。
また、起動制御部2121は、LF信号の中にスイッチオフパターンDOFFが存在すると認識すると、LF信号がスイッチオフ信号であると認識し、スイッチ制御回路2160に対して配線Loffを介して電圧を入力する。
【0126】
起動制御部2121は、アクティブタグ2100に熱が加わり、LF受信回路2120が起動した後、スイッチオン信号を受信すると、スイッチ制御回路2160に対して配線Lonを介して電圧を入力する。
【0127】
(1−3)スイッチ制御回路2160
スイッチ制御回路2160は、第1の実施の形態で示すスイッチ制御回路160と同様に、ASICにより構成されている。
【0128】
スイッチ制御回路2160は、LF受信回路2120の起動制御部2121から配線Lonを介して電圧が入力されると、LF受信回路2120から出力される電圧をそのままスイッチ180に入力し、スイッチ180をオンにする。また、スイッチ制御回路2160は、スイッチ180がオンすると電池150からの電圧が入力されるように構成されており、その機能は第1の実施の形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0129】
また、スイッチ制御回路2160は、起動制御部2121から配線Loffを介して電圧が入力されると、スイッチ180への電圧入力を停止してスイッチ180をオフ状態にする。
【0130】
3.3 動作
本実施の形態に係るアクティブタグ2100の動作について、図13及び図14に基づいて説明する。
【0131】
本実施の形態に係るアクティブタグ2100の動作は、第1の実施の形態と略同様であり、図13及び図14における破線で囲んだ部分のみが第1の実施の形態と相違する。
以下において、アクティブタグ2100の動作と個人認証システム3の動作とに分けて説明する。
【0132】
(1)アクティブタグ2100の動作
ここでは、アクティブタグ2100の動作について、図13に示す流れ図を用いて説明する。
【0133】
アクティブタグ2100に熱が加わると、熱電力変換回路2170からLF受信回路2120に電力が供給され、LF受信回路2120が起動する(ステップS251)。
その後、LF受信回路2120は、リーダ2200からアンテナA11を介してLF信号をいつでも受信できる状態で待機する(ステップS252)。ここで、スイッチ180は、オフ状態で維持されている。
【0134】
リーダ2200からLF信号を受信すると(ステップS252における「Yes」)、LF受信回路2120の起動制御部1121は、LF信号がスイッチオン信号であるか否かを判断する(ステップS253)。具体的には、起動制御部2121は、受信したLF信号にスイッチオンパターンDONが含まれるか否かを判断する。
【0135】
受信したLF信号がスイッチオン信号でないと判断すると(ステップS253における「No」)、処理はステップS252に移行し、再び、LF信号の受信待ち状態となる。
一方、受信したLF信号がスイッチオン信号であると判断すると(ステップS253における「Yes」)、起動制御部2121は、配線Lonを介してスイッチ制御回路2160に電圧を入力する。そして、スイッチ制御回路2160のトランジスタTr1がターンオンし、スイッチ制御回路2160からスイッチ180に電圧が入力され(ステップS254)、スイッチ180がオン状態になる(ステップS255)。
【0136】
LF受信回路2120は、リーダ2200からアンテナA11を介してLF信号をいつでも受信できる状態で待機する(ステップS256)。
LF信号を受信した場合(ステップS256における「Yes」)、起動制御部2121は、受信したLF信号が起動信号である否かを判断する(ステップS257)。具体的には、起動制御部2121は、受信したLF信号に起動パターンWAKEが存在するか否かを判断する。
【0137】
LF信号が起動信号であると判断する場合(ステップS257における「Yes」)、起動制御部2121は、制御回路110及びUHF送信回路140を起動する(ステップS258)。
【0138】
続いて、制御回路110は、アクティブタグ2100の識別情報をUHF送信回路140に入力する。UHF送信回路140は、入力された識別情報を用いて変調したUHF帯の識別信号をリーダ2200に送信する(ステップS259)。
【0139】
UHF送信回路140は、UHF信号の送信が完了すると、送信完了信号を起動制御部2121に入力する。そして、起動制御部2121は、送信完了信号が入力されると、制御回路110及びUHF送信回路140を再び停止させる(ステップS260)。その後、処理は、ステップS256に移行する。
【0140】
一方、LF信号が起動信号でないと判断する場合(ステップS257における「No」)、起動制御部2121は、受信したLF信号がスイッチオフ信号であるか否かを判断する(ステップS261)。具体的には、起動制御部2121は、受信したLF信号にスイッチオフパターンDOFFが存在するか否かを判断する。
【0141】
LF信号がスイッチオフ信号でないと判断する場合(ステップS261における「No」)、処理は、ステップS256に移行する。
一方、LF信号がスイッチオフ信号であると判断する場合(ステップS261における「Yes」)、起動制御部2121は、スイッチ制御回路2160にスイッチオフコマンドを入力する。そして、スイッチ制御回路2160は、スイッチ180への電圧入力を停止することによりスイッチ180をオフにする(ステップS262)。
【0142】
(2)個人認証システム3の動作
ここでは、個人認証システム3の動作概要について、図14に示す流れ図を用いて説明する。
【0143】
アクティブタグ2100は、製造完了時においてはスイッチ180はオフの状態となっている。アクティブタグ2100は、あるタイミングで熱が加えられると、図13で示すステップS251の動作により、LF受信回路2120が起動する(T251)。
【0144】
また、リーダ2200は、LF帯のスイッチオン信号を生成するとともに、常にアンテナA21を介して外部に当該スイッチオン信号を送出している(T2151)。
アクティブタグ2100の所持者が、リーダ2200からのLF信号(スイッチオン信号)の到達範囲内に侵入することにより、LF受信回路2120がスイッチオン信号を受信すると、図13に示すステップS252からS255の動作により、スイッチ180はオンとなる(T252)。
【0145】
また、リーダ2200は、LF帯の起動信号を生成するとともに、常にアンテナA21を介して外部に当該起動信号を送出している(T2152)。このとき、アクティブタグ2100の所持者が、リーダ2200からのLF信号(起動信号)の到達範囲内に侵入すると、LF受信回路2120が、起動信号を受信する。
【0146】
アクティブタグ2100のLF受信回路2120が起動信号受信すると、図13に示すステップS256からS258の動作により、制御回路110及びUHF送信回路140が起動される(T253)。
【0147】
アクティブタグ2100は、図13に示すステップS259の動作により、識別信号をアンテナA11を介して外部(リーダ2200)に送信する。そして、送信が完了すると、図13に示すステップS260の動作により、制御回路110及びUHF送信回路140が停止される(T254)。
【0148】
また、リーダ2200では、識別信号を受信すると、認証処理を行う(T2153)。そして、認証に成功すると、アクティブタグ2100の所持者が入室を許可できる者であると特定して、ドアを開ける。認証に失敗すると、アクティブタグ2100の所持者が入室を許可できる者ではないと特定して、ドアを閉めたままの状態にする。
【0149】
その後、ユーザ操作により、リーダ2200は、スイッチオフ信号を生成し、アンテナA21を介して外部に送信する(T2154)。
アクティブタグ2100は、スイッチオフ信号を受信すると、図13に示すステップS261、S262の動作により、スイッチ180がオフの状態になる(T255)。
【0150】
3.4 まとめ
以上により、本実施の形態に係るアクティブタグ2100は、製造が完了してからアクティブタグ2100に熱が加わっただけでは、LF受信回路2120を駆動させるだけで、スイッチ180はオンしない。
【0151】
従って、アクティブタグ2100の製造後、意図しない熱がアクティブタグ2100に加わってしまった場合であっても、直ちにはスイッチ180がオンしないので、電池150の消耗を防ぐことができる。
【0152】
また、スイッチ制御回路1160は、多用途の制御回路1110に比べて消費電力を低減させることができる。従って、スイッチ180をオンさせる際、制御回路110を起動させず、スイッチ制御回路1160のみを起動させればよいので、消費電力の低減を図ることができる。
【0153】
4.変形例
以上、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施に限られない。例えば、以下のような変形例が考えられる。
【0154】
(1)上記各実施の形態に係るアクティブタグの熱電力変換回路は、熱電対の構成をなしているとしたが、これに限定されない。
熱電力変換回路は、温度差を起電力とする回路であればよい。
【0155】
(2)上記各実施の形態に係るアクティブタグでは、制御回路及びUHF送信回路が、電池から供給される電力により駆動する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、熱電力変換回路から出力される電力を蓄電しておく蓄電部(図示せず)と、制御回路及びUHF送信回路への電力の供給元を電池と蓄電部とで切り替える切替スイッチ(図示せず)とを備えるものであってもよい。
【0156】
本変形例によれば、切替スイッチにより電力の供給元を電池150から蓄電部に適宜切り替えることにより、電池150の消費を低減することができる。
なお、本変形例では、制御回路及びUHF送信回路への電力の供給元を切り替えを、リーダから送信される制御信号により行うようにしてもよい。これにより、アクティブタグ本体に、切替スイッチを設ける必要がなくなるので、装置構成の簡素化を図ることができる。
【0157】
(3)上記各実施の形態では、起動信号に起動パターンのみが含まれる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、起動信号を送信する期間や回数などを含むものであってもよい。
【0158】
この場合、起動制御部が、起動信号から送信時間等を取り出し、制御回路に指示することになる。
(4)上記各実施の形態では、スイッチ180は光MOSリレーにより構成されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。光MOSリレー以外のソリッドステートリレーにより構成されてもよい。
【0159】
(5)上記各実施の形態では、アクティブタグの各構成が別個の回路で構成される例について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、アクティブタグの複数の構成の全部又は一部を、1チップ又は複数チップの集積回路で実現してもよい。
【0160】
これにより、アクティブタグの小型化を図ることができる。
(6)上記各実施の形態で説明した制御回路、LF受信回路及びUHF送信回路を含む各回路の機能を実現するための処理をCPUに実行させる為のプログラムは、記録媒体に記録して頒布することもできる。この記録媒体としては、ICカード、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。頒布されたプログラムは、機器におけるCPUで読み取り可能なメモリ等に格納され、その機器のCPUがそのプログラムを実行することにより各実施の形態で示した各機能を実現できる。
【0161】
(7)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【符号の説明】
【0162】
1、2、3 個人認証システム
10、1100、2100 アクティブタグ
20、1200、2200 リーダ
100、1110、 回路基板
110 制御回路
120、1120、2120 LF受信回路
121、1121、2121 起動制御部
140 UHF送信回路
150 電池
160、1160、2160 スイッチ制御回路
170、1170、2170 熱電力変換回路
180 スイッチ
210、1210 制御回路
220、1220 LF送信回路
230 UHF受信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度差により発電する発電回路と、
電池と無線回路との間の配線路に挿入されたスイッチと、
前記発電部で発生した電力によって前記スイッチの開閉を制御する制御回路とを備える
ことを特徴とするアクティブタグ。
【請求項2】
前記発電回路は、
2極の異なる金属の接続点間に温度差を設けて発電するゼーベック効果を利用した発電体である
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブタグ。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記発電回路が発生した電力でスイッチを閉じ、以後その状態を保持する自己保持回路である
ことを特徴とする請求項2の記載のアクティブタグ。
【請求項4】
前記無線回路は、LF周波数帯で信号を受信する受信回路を含み、
前記受信回路は、前記スイッチが開いた状態である場合には前記発電回路で発生した電力で作動し、
前記制御回路は、前記受信回路が外部装置からスイッチを閉じる旨の命令を受信すると、前記スイッチを閉じる
ことを特徴とする請求項3に記載のアクティブタグ。
【請求項5】
前記スイッチが閉じた状態では、前記制御部は前記電池からの電力で作動しており、
前記スイッチが閉じた状態において、前記受信回路が前記外部装置からスイッチを開く旨の命令を受信すると、
前記制御回路は、前記スイッチを開いて、前記電池と前記無線回路とを非接続の状態とする
ことを特徴とする請求項4に記載のアクティブタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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