説明

アクティブマトリクス装置

【課題】アクティブマトリクス型の誘電体エレクトロウェッティング装置及び装置を操作する方法を提供する。
【解決手段】第1〜第N番目のアレイ素子(Nは、2以上の整数である)の順に空間的に配置されたN個のアレイ素子を備えており、上記N個のアレイ素子は、上記アレイ素子の動作を制御する、対応する書き込み入力信号の受信のための書き込み入力と、上記アレイ素子の特性を検知しているとともに、検知された上記特性に基づきセンサ出力を与える検知回路とを備えており、さらに、上記順の中の第n番目のアレイ素子からのセンサ出力を第(n+1)番目のアレイ素子の書き込み入力へ直接接続している論理回路を備えているとともに、上記第nのアレイ素子からの上記センサ出力に基づいて、上記書き込み入力信号を上記第(n+1)番目のアレイ素子の書き込み入力へ与えるように設定された操作回路をさらに備えているアクティブマトリクス装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルマイクロ流体工学の分野に適用されるものであり、より詳細には、アクティブマトリクス型の誘電体エレクトロウェッティング(AM−EWOD:active matrix electrowetting-on-dielectric)に適用されるものである。誘電体エレクトロウェッティング(EOD)とは、アレイ上の液滴を操作する公知の技術である。AM−EWODは、EWODを、アクティブマトリクスアレイにおいて、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を用いることによって実施することを指す。さらに、本発明は、このような装置を操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
誘電体エレクトロウェッティング(EWOD)は、電場を適用することにより流体の液滴を操作する広く公知の技術である。したがって、ラボオンチップ技術に用いられるディジタルマイクロフルイディクスの候補技術である。当該技術の基本的概念に係る序論は、“Digital microfluidics: is a true lab-on-a-chip possible?”, R.B. Fair, Microfluid Nanofluid(2007年)第3章245〜281ページに記載されている。
【0003】
米国特許公報第6565727号(A. Shenderov;2003年5月20日発行)には、アレイを介して液滴を移動させるパッシブ・マトリクスEWOD装置が、開示されている。
【0004】
米国特許公報第6911132号(Pamula et al;2005年6月28日発行)には、二次元における液滴の位置および移動を制御する二次元EWODアレイが開示されている。
【0005】
EWOD装置は、ラボ・オン・チップ(LoaC:Lab-on-a-chip)技術の有望なプラットフォームと位置づけられてきた。LoaC技術は、幾つかの化学または生化学実験室機能を単一の微細な装置上に統合しようとする装置に関する。この技術には、幅広い応用分野があり、健康医療、エネルギーおよび材料の合成など分野が挙げられる。具体例としては、ポイント・オブ・ケア診断における体液の解析、薬物合成、プロテオミクスなどが挙げられる。
【0006】
薄膜トランジスタ(TFTs)ベースの薄膜電子部品は、例えば、液晶(LC)ディスプレイの制御に用いることが可能である。
【0007】
最近の多くのディスプレイは、ディスプレイの各画素においてスイッチトランジスタを用いるアクティブマトリクス(AM)構成を利用している。このようなディスプレイは、複数の電圧パルスを複数の行および列ラインに(つまり、これによりアレイの中の複数のピクセルに複数のプログラム電圧を)与えるための集積された駆動回路も備えていることが多い。これらは、薄膜電子部品および集積されたTFT基板として実現される。
【0008】
米国特許公報第7163612号(J. Sterling et al.;2007年1月16日発行)には、TFTベースの電子部品を利用して、AMディスプレイ技術において用いられる回路配置に極めて類似した回路配置を用いることによって、どのようにEWODアレイへの電圧パルスのアドレスを制御すればよいかについて記載されている。このような手法は、「アクティブマトリクス型の誘電体エレクトロウェッティング」(AM−EWOD)と呼ばれることもある。
【0009】
一般的に、液滴操作は、液滴の位置、サイズおよび組成の検知に好適である。このような液滴操作を実現する方法は幾つか挙げられる。例えば、光学的手法として、顕微鏡を用いた液滴の位置観測方法を挙げることが可能である。EWOD基板に配したLEDおよびフォトセンサを用いた方法が、“Lab Chip”(2004年4月)の310〜315ページに記載されている。上述の米国特許公報第7163612号(J. Sterling et al.;2007年1月16日発行)には、例えば、液滴の位置を決定のためのAM−EWODにおける、TFTベースのセンサ回路の利用形態も記載されている。その構成においては、2つのTFT基板が存在し、下側のTFT基板はEWOD電圧の制御に用いられており、上側の基板はセンサ機能に用いられている。
【0010】
“Sensors and Actuators B”, Vol. 98(2004年)の319〜327ページには、外部PCB電子機器をEWODアレイの中の電極に接続することにより、液滴のインピーダンスを測定する方法が記載されている。しかしながら、この方法には欠点があり、それは、装置に供給することが可能である接続の数に、インピーダンスを測定することが可能であるアレイ素子の数が限定されてしまうことである。さらには、これは、要求されている外部センサ電子部品による統合的な解決策ではない。この論文は、液滴のサイズを測定するために、測定されたインピーダンスをどのように用いることが可能であるかについて記載しているとともに、EWOD装置を利用する化学的または生化学的な反応量を正確に制御するために、測定した液滴をどのように使用可能であるかについて記載している。1つまたはそれ以上の数の位置におけるインピーダンス測定も用いられ得る。この測定は、
・アレイ中の液滴の位置のモニタに用いられる。
・前述の液滴操作のいずれかが適切に実施されているかを検証する手段として、アレイ中の液滴の位置の決定に用いられる。
・例えば、導電性といった、液滴の組成に関する情報を決定するための液滴のインピーダンスの測定に用いられる。
・化学または生化学的反応の量を検出するための液滴のインピーダンス特性の測定に用いられる。
【0011】
光学的検知方法については、例えば、“A Continuous Grain Silicon System LCD with Optical Input Function”, Brown et al. IEEE Journal of Solid State Circuits, Vol. 42, (2007年12月12日発行)の2904〜2912ページに記載されているように、TFT基板上において実施することが可能であることも知られている。センサデータを読み取るためのセンサ駆動回路および出力増幅器が、同一のTFT基板上においてどのように集積され得るのかについても、当該文献に記載されている。
【0012】
TFT基板内に集積された検知手段の他の形態も知られている。例えば、国際公開第2008/117210号(D. Fish et al.;2008年10月2日発行)に、TFT基板上において温度センサを集積する方法が記載されている。
【0013】
デジタルマイクロ流体工学は、EWOD以外の技術を用いても実施することが可能である。例えば、“Lab Chip”, Thomas P Hunt et al(2008年8月)81〜87ページに記載されているように、誘電泳動は、利用可能な技術の一つである。当該文献には、デジタルマイクロ流体工学を実施するために誘電泳動アレイを駆動するシリコン集積回路(IC)バックプレーンが記載されている。
【0014】
上述した従来技術によるシステムにおいては、センサ機能と液滴制御機能との間でフィードバックを実施することが可能である。このようなシステムは、装置へ書き込まれる一連の制御データを決定するために、センサデータを処理する何らかの外部手段が必要となる。このような外部手段(例えば、追加の電気回路、コンピュータなど)が必要であることにより、システム全体のコストおよび複雑性が増して、その結果として、システム全体の電力消費量が増大し得る。また、更なる欠点として、センサデータの読み取りおよび処理を行い、後続の制御信号を決定および記述するのに時間がかかるために、フィードバックが遅延し得ることが挙げられる。
【発明の概要】
【0015】
[発明の目的]
本発明の目的は、1つのアレイ素子のセンサ機能から、1つまたはそれ以上の数の連結した素子の書き込み機能へ、局所的フィードバックを提供することである。
・フィードバックは、非常に高速に実行することが可能である。センサ機能を、隣接するアレイ素子の書き込み機能に対するトリガとして利用することにより、アレイにおける液滴の移動速度を最大化することが可能である。
・フィードバックは、非常に効率的に実行することが可能である。局所的にフィードバック手段を実施することにより、フィードバックを実行するために、センサデータをオフチップ処理する必要性を減らし、あるいは無くすことができる。
・本発明の一実施形態によれば、システムの消費電力を、非常に小さくすることが可能である。システムは、液滴の位置に直近したアレイ素子のみ「起動すること」が必要となり、相当の電力を消費するだけとなるように設定され得る。
・本発明の一実施形態によれば、より複雑な機能は、完全に集積された機能を利用することが可能である。例えば、
・センサにより決定された測定精度により、液滴が経由する一連の経路に関して決定することができる。
【0016】
・センサにより決定された測定精度により、エラーを検出し(例えば、所望の通りに液滴が移動しなかった場合)、局所的にエラーを訂正する。
【0017】
[発明の概要]
本発明の基本的な態様によると、第1〜第N番目のアレイ素子(Nは、2以上の整数である)の順に空間的に配置されたN個のアレイ素子を備えており、上記N個のアレイ素子は、上記アレイ素子の動作を制御する、対応する書き込み入力信号の受信のための書き込み入力と、上記アレイ素子の特性を検知し、検知された上記特性に基づきセンサ出力を与える検知回路とを備えており、さらに、上記順の中の第n番目のアレイ素子からのセンサ出力を第(n+1)番目のアレイ素子の書き込み入力へ直接接続している論理回路を備えているとともに、上記第n番目のアレイ素子からの上記センサ出力に基づいて、上記書き込み入力信号を上記第(n+1)番目のアレイ素子の書き込み入力へ与えるように設定された操作回路を備えていることを特徴とするアクティブマトリクス装置が提供される。
【0018】
本発明の他の一態様によれば、各アレイ素子は、その疎水性が上記対応する書き込み入力信号により制御される表面を備えている疎水性のセルであるとともに、上記検知回路により検知される上記特性は、各アレイ素子に存在する液滴に関連する特性である。
【0019】
他の一態様によれば、上記特性は、上記液滴のインピーダンスである。
【0020】
さらに他の一態様によれば、上記第n番目のアレイ素子の上記センサ出力は、上記液滴が上記第n番目のアレイ素子に存在していることを示しており、上記論理回路は、上記第(n+1)番目のアレイ素子の上記疎水性を変化させるために、上記第(n+1)番目のアレイ素子へ上記書き込み入力信号を与えるように構成される。
【0021】
他の一態様によれば、上記液滴が最初は上記アレイ素子の中の第1番目のアレイ素子に存在する場合、上記論理回路は、書き込み入力信号を上記順の中の残りのアレイ素子へ与えることで、上記液滴をアレイ素子からなる上記順の間で移動するようにさせる。
【0022】
本発明の他の一態様によれば、上記論理回路は、上記書き込み入力信号を上記順の中の上記残りのアレイ素子へ順番に与えるように設定されていることで、2個以上の隣接したアレイ素子が、常に上記液滴を受け取るまたは保持する状態である。
【0023】
他の一態様によれば、上記操作回路は、上記第n番目のアレイ素子の上記センサ出力における変化に従って、上記第n番目のアレイ素子を以前の状態に戻すために、上記第n番目のアレイ素子の上記センサ出力を上記第n番目のアレイ素子の上記書き込み入力へ直接的に接続する論理回路を備える。
【0024】
さらに他の一態様によれば、各アレイ素子と関連付けられた、ANDゲートおよびインバータを備え、第n番目のアレイ素子の上記センサ出力は、第(n+1)番目のアレイ素子と関連付けられた上記ANDゲートの第1の入力と、上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記インバータの入力とへ接続されるとともに、上記第(n+1)番目のアレイ素子と関連付けられた上記インバータの出力は、上記第(n+1)番目のアレイ素子と関連付けられた上記ANDゲートの第2の入力へ接続されている。
【0025】
他の一態様によれば、上記論理回路は、各アレイ素子と関連付けられた、ANDゲート、ORゲート、およびインバータを備え、第n番目のアレイ素子の上記センサ出力は、第(n+1)番目のアレイ素子と関連付けられたORゲートの第1の入力と、上記第n番目のアレイ素子と関連付けられたORゲートの第2の入力とへ接続されており、上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記ORゲートの出力は、上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記ANDゲートの第1の入力へ接続されており、上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記インバータの入力は、上記アレイ素子の中の第(n+2)番目のアレイ素子の上記センサ出力へ接続されており、上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記インバータの出力は、上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記ANDゲートの第2の入力へ接続されており、上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記ANDゲートの出力は、上記第n番目のアレイ素子の上記書き込み入力へ接続されている。
【0026】
他の一態様によれば、液滴を各アレイ素子の間で分離するべく、上記論理回路が、複数の書き込み入力信号を上記順の中の各アレイ素子へ与えるように設定されている。
【0027】
さらに他の一態様によれば、複数の液滴を上記複数のアレイ素子の中で結合または混合すべく、上記論理回路が、複数の書き込み入力信号を上記順の中の上記複数のアレイ素子へ与えるように設定されている。
【0028】
さらに他の一態様によれば、液滴をリザーバーから抽出すべく、上記論理回路が、複数の書き込み入力信号を上記順の中の各アレイ素子へ与えるように設定されている。
【0029】
さらに他の一態様によれば、各アレイ素子は、リセット操作を初期化するためのリセット入力を備える。
【0030】
他の一態様によれば、各アレイ素子は、低消費電力状態を初期化するためのパワーダウン入力を備える。
【0031】
さらに他の一態様によれば、上記順における前段のアレイ素子のセンサ出力は、上記順における後段のアレイ素子のパワーダウン入力へ接続されており、上記順における前段の上記アレイ素子の上記センサ出力が変化すると、上記順における後段のアレイ素子が低消費電力状態から復帰する。
【0032】
他の一態様によれば、上記順における第n番目のアレイ素子と空間的に隣接している付属的なアレイ素子をさらに備え、上記操作回路は、所定の分析機能に応じて、複数の書き込み入力信号を上記第(n+1)番目のアレイ素子および上記付属的なアレイ素子へ選択的に与えるように設定されている論理回路を備えている。
【0033】
他の一態様によれば、上記複数の書き込み入力信号を選択的に与えるように設定されている上記論理回路は、タイマ制御回路を備え、上記所定の分析機能は、タイムアウト条件を組み込んだものである。
【0034】
他の一態様によれば、少なくとも上記第1番目のアレイ素子は、上記第1番目のアレイ素子の上記書き込み入力を初期化するための初期化回路を備える。
【0035】
さらに他の一態様によれば、上記検知回路は、インピーダンス検知、光学的検知、または熱的検知のうちの少なくともいずれか一つを利用して上記アレイ素子の特性を検知する。
【0036】
他の一態様によれば、N個のアレイ素子からなる複数のセットのそれぞれが、対応する操作回路を備えている。
【0037】
さらに他の一態様によれば、上記N個のアレイ素子からなる複数のセットは、複数の液滴の制御に同時に影響するように構成される。
【0038】
他の一態様によれば、上記N個のアレイ素子からなる複数のセットは、複数のアレイ素子に亘って空間的に伸張されている液滴の制御に同時に影響するように配置される。
【0039】
さらに他の一態様によれば、上記N個のアレイ素子からなる複数のセットは、液滴の制御に順番に影響するように配置される。
【0040】
従って、上述および関連する目的を達成するために、本発明は、本明細書において十分に説明され、特に特許請求の範囲において指摘される特徴を含む。以下の説明および添付の図面は、本発明の特定の典型的な実施形態を詳細に示すものである。これらの実施形態は、説明のためのであるが、本発明の原理を用いることが可能である様々な方法のうちの幾つかに過ぎない。本発明の他の目的、利点、および新規の特徴は、以下の発明の詳細な説明を図面とともに考慮することによって、明らかとなろう。また、添付の図面では、同様の参照番号は、同様の部材または特徴を示すものである。
【0041】
[発明の効果]
個々のアレイ素子は、1つまたはそれ以上の数の隣接した素子へ接続されている。この接続においては、アレイ素子のセンサ出力が、隣接したアレイ素子の書き込み入力を(少なくとも部分的に)決定するように用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
添付の図面においては、同様の部材あるいは特徴点に同様の参照符号を付している。
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るAM−EWOD装置を示す図である。
【図2】図2は、AM−EWOD装置の複数のアレイ素子に亘る断面を示す図である。
【図3】AM−EWOD装置の薄膜電子部品の構成を示す図である。
【図4】図4は、液滴操作回路を示す図である。本発明の実施の形態1に係るAM−EWOD装置の内部の複数のアレイ素子回路の接続構成である。
【図4a】図4aは、本発明の実施の形態1に係るAM−EWOD装置の内部における初期化回路および液滴操作回路を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1に係る第1番目のアレイ素子回路の実施の一例を示す図である。
【図6】図6は、液滴が存在するときの、EWOD駆動電極と上部基板の導電性層との間におけるインピーダンスのモデルを示す図である。
【図7】図7は、液滴が存在しないときの、EWOD駆動電極と上部基板の導電性層との間におけるインピーダンスのモデルを示す図である。
【図8】図8は、液滴が存在する場合と存在しない場合とにおける、インピーダンスの虚数成分の周波数特性のグラフを示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態1に係る、第1番目のアレイ素子回路のEW書き込み・検知回路を示す図である。
【図9a】図9aは、本発明の実施の形態1に係る、第1番目のアレイ素子回路のEW書き込み・検知回路の他の態様を示す図である。
【図10】図10は、実施の形態1に係る、第1番目のアレイ素子回路のバイアス・サンプル回路を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態1に係る、複数のアレイ素子回路の複数の書き込み入力において生成された複数の電圧のタイミングシーケンスを示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態1に係る、供給される電圧および液滴の移動により生成される電圧のタイミングシーケンスを示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態2に係る、AM−EWOD装置の内部の複数のアレイ素子回路の接続構成を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態2に係る、複数のアレイ素子回路の複数の書き込み入力において生成された複数の電圧のタイミングシーケンスを示す図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態3に係る、AM−EWOD装置の内部の複数のアレイ素子回路の接続構成を示す図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態3に係る、複数のアレイ素子回路の複数の書き込み入力において生成された複数の電圧のタイミングシーケンスを示す図である。
【図17】図17は、本発明の実施の形態4に係る、AM−EWOD装置の内部の複数のアレイ素子回路の接続構成を示す図である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態4に係る、第1番目のアレイ素子回路の実施の一例を示す図である。
【図19】図19は、本発明の実施の形態5に係る、AM−EWOD装置の内部の複数のアレイ素子回路の接続構成を示す図である。
【図20】図20は、本発明の実施の形態5に係る、第1番目のアレイ素子回路の実施の一例を示す図である。
【図21】図21は、実施の形態5に係る、変更されたバイアス・サンプル回路の実施の一例を示す図である。
【図22】図22は、本発明の実施の形態6に係る、AM−EWOD装置の内部の複数のアレイ素子回路の接続構成を示す図である。
【図23】図23は、本発明の実施の形態6に係る、センサデータ処理回路の実施の一例を示す図である。
【図24】図24は、本発明の実施の形態6に係る、第1番目のアレイ素子回路の実施の一例を示す図である。
【図25】図25は、本発明の実施の形態6に係る、AM−EWOD装置の内部の複数のアレイ素子回路の接続構成を示す図である。
【図26】図26は、本発明の実施の形態7に係る、タイマ制御回路の可能な実施態様を示す図である。
【図27】図27は、本発明の実施の形態7に係る、一つのアレイ素子が完全に機能していない場合のアレイにおいて液滴が経るアレイ上の経路の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の基本的な態様は、AM−EWOD装置であって、少なくとも次に挙げる幾つかのアレイ素子を備える。
・少なくとも一つの書き込み入力信号により制御される、AM−EWOD電圧の書き込み手段。
・少なくとも一つのセンサ出力を生成している液滴の特性の検知(例えば、インピーダンスの検知)を行うための検知手段。
【0044】
まず、図1を参照する。図1は、本発明の実施の形態1を示す図である。AM−EWOD装置は、薄膜電子部品74とともに下部基板72を備えている。薄膜電子部品74は、下部基板72の上に配置されている。薄膜電子部品74は、例えば、38に示すアレイ素子電極を駆動するために配置されている。複数の電極38が電極アレイ42の中に配置されており、これにより、M×N個の素子が備えられている(MおよびNは任意の数字)。
【0045】
液滴4は基板72と上部基板36との間に封止されている。しかしながら、複数の液滴4が封止されていてもよいことは、本発明の範囲を逸脱しない範囲で理解されるであろう。図2は、複数のアレイ素子を示す断面図である。AM−EWOD装置は、下部基板72を含んでおり、当該下部基板72の上部には薄膜電子部品74が備えられている。下部基板72の最も上部の層(薄膜電子部品層74の一部と考えてもよい)は、複数の電極38(例えば、電極38Aおよび38B)が実現されるように、パターン形成されている。これらは、EW駆動素子と呼んでよい。「EW駆動素子」とは、特定のアレイ素子と関連づけられた電極38、および電極38へ直接接続された電子回路のノードを意味し得る。イオン材料を含む液滴4は、下部基板72と上部基板36とにより構成される平面に束縛されている。液滴4は、各種の材料であってもよく、例えば、血漿、その他の人の体液、牛血清アルブミン(BSA)溶液、緩衝液、例えば、血漿緩衝液(PBS)、酵素の溶液、細胞を含む食塩水、DNAまたはRNA断片、一般的な生化学における免疫学的検定を含む定量に用いられる試薬を含有する溶液などであってもよい。
【0046】
上記2つの基板の間には、スペーサ32を利用する方法により適切な間隙が設けることが可能であるとともに、当該間隙において液滴4に占められていない部分を占めるよう、非イオン液体34(例えば、油)を用いることが可能である。下部基板72の上に設けられた絶縁体層20は、導電性電極38A、38Bを、θで表される接触角6にて液滴4が乗せられた疎水性層16から分離している。上部基板36の上には、液滴4が接触することが可能である他の疎水性層26が存在している。上部基板電極28は、上部基板36と疎水性層26との間に挟まれている。薄膜電子部品74を適切に設計および操作することにより、差分電圧、いわゆるEW駆動電圧(例えば、V、VおよびV00)を、異なる電極(例えば、駆動電極28、38A、および38Bのそれぞれ)により与えてもよい。疎水性層16の疎水性を変更または制御することも可能であり、これにより、基板72と基板36との間の側面平面における液滴の移動を促進させることができる。
【0047】
基板上の薄膜電子部品74の構成を、図3に示す。電極アレイ42のそれぞれの素子は、対応する電極38の電極電位を制御するためのアレイ素子回路84を備えている。集積されたロウドライバ回路76およびカラムドライバ回路78は、薄膜電子部品として実装することが可能であるともに、アレイ素子回路84の一部または全てに対して制御信号を与えるために利用することが可能である。シリアルインターフェース80は、シリアル入力データストリームを処理するとともに、電極アレイ42へ所望の電圧を書き込むために設けられてもよい。電圧供給インターフェース83は、ここに記載しているような、対応する複数の供給電圧、複数の上部基板駆動電圧などを与える。アレイ基板72と外部駆動電子部品との間の複数の接続線82、パワーサプライなどの数は、大きなアレイサイズにおいても、比較的少なくすることが可能である。
【0048】
幾つかのアレイ素子を隣接するアレイ素子と直接接続することによって、N個のアレイ素子が連続して接続されるよう、薄膜電子部品74内において補助回路を実現してもよい。ここで、Nは2以上の任意の整数であってよい。例えば、本発明の一実施形態に係る液滴操作回路160は、図4に示すように、空間的に隣接したアレイ素子202、204、および206を備えている。これらのアレイ素子は、他のアレイ素子のように、ロウドライバ回路76およびカラムドライバ回路78と接続されている必要は必ずしもない。その替わりに、論理回路は、隣接するアレイ素子間における所望の操作を“ハードコードする”ように提供される。論理回路は、複数の外部制御信号を要求しないように、一つまたはそれ以上のN個のアレイ素子センサ出力を、他のN個のアレイ素子の複数の書き込み入力へ直接接続する。例えば、3個の隣接するアレイ素子202、204、および206(例えば、n番目、(n+1)番目、および(n+2)番目のアレイ素子のそれぞれ)の接続構成は、図4に示す実施の形態1のようになってもよい。
【0049】
アレイ素子202、204、および206に接続された液滴操作回路160は、次の構成要素を備えている。
・第1番目のアレイ素子202
・第2番目のアレイ素子204
・第3番目のアレイ素子206
・ANDゲート222
・ANDゲート224
・論理インバータ226、228、および230
回路は、次のように接続されている。
【0050】
第1番目のアレイ素子202のセンサ出力Sは、インバータ226の入力とANDゲート222の第1の入力とへ接続されている。インバータ226の出力は、ANDゲート225の第1の入力へ接続されている。ANDゲート225の出力は、第1番目のアレイ素子202の書き込み入力Wへ接続されている。外部入力INIは、第1番目のアレイ素子202の上書き入力Oへ接続されている。第2番目のアレイ素子204および第3番目のアレイ素子206の上書き入力は、接続されておらず、図面を明瞭なものとするため、図4からは省略されている。ANDゲート222の出力は、第2番目のアレイ素子204の書き込み入力Wへ接続されている。第2番目のアレイ素子204のセンサ出力Sは、インバータ228とANDゲート224の第1の入力とへ接続されている。インバータ228の出力は、ANDゲート222の第2の入力へ接続されている。ANDゲート224の出力は、第3番目のアレイ素子206の書き込み入力Wへ接続されている。第3番目のアレイ素子206のセンサ出力Sは、インバータ230の入力へ接続されており、インバータ230の出力は、ANDゲート224の第2の入力へ接続されている。インバータ230の入力は、ANDゲート225の第2の入力へも接続されている。第3番目のアレイ素子206のセンサ出力Sは、図4において3個の点220により示されるように、他の回路、または、さらに接続された複数のアレイ素子への出力として接続されていてもよい。付属的な複数の接続されたアレイ素子(図示しない)は、N番目のアレイ素子のセンサ出力Sが、インバータおよびANDゲートを介してN番目のアレイ素子の書き込み入力へフィードバックされるように、構成されている。
【0051】
図4aに示すように、補助回路は、一つまたはそれ以上のアレイ素子の書き込み入力を初期化するとともに、それによって液滴操作回路160のスタートアップシーケンスを制御するように、初期化回路166を備えていてもよい。
【0052】
初期化回路166は、次のように接続されている。
【0053】
アナログスイッチ(ASW)162は、液滴操作回路160のVDDパワーサプライと外部VDDサプライとの間に接続されている。第2のアナログスイッチ164は、液滴操作回路160のINI入力と外部サプライINITIALとの間に接続されている。制御パルスSTARTは、アナログスイッチ164のn型トランジスタのゲートと、アナログスイッチ162のp型トランジスタのゲートとへ接続されている。制御パルスSTARTBは、アナログスイッチ162のn型トランジスタのゲートとアナログスイッチ164のp型トランジスタのゲートとへ接続されている。
【0054】
アレイ素子202、204、および206のそれぞれは、A〜Eの制御入力と上書き入力Oとを備えている。上書き入力Oは、第1番目のアレイ素子202の場合においてのみ、外部と接続されている。外部接続されていない場合には、図面を明瞭なものとするために、この入力は省略されている。アレイ素子202、204、および206、の制御入力Aは、すべて一緒に接続されている。アレイ素子202、204、および206、の制御入力Bは、すべて一緒に接続されている。アレイ素子202、204、および206、の制御入力Cは、すべて一緒に接続されている。アレイ素子202、204、および206、の制御入力Dは、すべて一緒に接続されている。アレイ素子202、204、および206、の制御入力Eは、すべて一緒に接続されている。
【0055】
第1番目のアレイ素子202の設計例を、図5に示す。第2番目のアレイ素子204および第3番目のアレイ素子206は、202と同一のまたは類似している構造であってもよいとともに、類似のまたは同一の動作を行ってよい。
【0056】
第1番目のアレイ素子202は、上述の、書き込み入力W、センサ出力S、制御入力A〜E、およびOを備えるとともに、次の構成要素を備えていてもよい。
・入力INおよび出力OUTを有する一般的な設計のレベルシフタ234
・後述するEW書き込み・検知回路236
・後述する一般的な構成のバイアス・サンプル回路238
・デジタル化・ラッチ回路240。この回路は、例えば、一般的な構成のD型フリップフロップから成っていてもよい。
【0057】
加えて、液滴4の特性(例えば、インピーダンス)を検知するための第1番目のアレイ素子のセンサ機能は、公知の変換または検知メカニズムを用いることが可能であるとともに、本発明の範囲内で種々の方法により実施可能である。特に有益な検知方法の一つは、下部(パターン化された)基板72の電極38(例えば、38A、38Bなど)と上部基板36の電極28との間における電気的なインピーダンスを測定することである。図6は、液滴が存在する場合の、インピーダンスの近似回路表現52を示す図である。絶縁体層(疎水性層16および疎水性層26を有する)の静電容量Cにより表されるキャパシタ46は、液滴4のインピーダンスと直列に接続されており、当該インピーダンスは、キャパシタ48(静電容量Cdropを有する)と並列に接続されている抵抗体50(抵抗値Rdropを有する)としてモデル化可能である。図7は、液滴が存在しない場合に対応する近似回路表現53を示している。この例では、インピーダンスは、キャパシタ54(セルギャップの静電容量Cgapで表される)と直接に接続されている絶縁体層のキャパシタ46のインピーダンスとなる。
【0058】
説明を簡略化するために、所定のアレイ素子に設けられる電極28と電極38との間の上述の電気的インピーダンスは、静電容量Cを有している負荷キャパシタ154として表すことが可能である。
【0059】
図8は、液滴4が存在する場合52および液滴が存在しないの場合53に関する、負荷キャパシタ154の値Cの周波数特性の概略を示す図である。液滴が存在しない場合には、図7に示したインピーダンスは実部の(つまり、抵抗の)成分を有していないとともに、負荷キャパシタ154のインピーダンスは、周波数に依存していないインピーダンスとなる。図6に示したような抵抗としての要素および静電容量としての要素を有する液滴が存在する場合には、値Cは、周波数と相関を有している。つまり、インピーダンスを測定することによって、本発明は、所定の書き込みノードにおいて液滴4が存在するかしないかを検知可能であることが、容易に理解され得る。さらには、パラメータCdropおよびRdropの値は、液滴のサイズおよび液滴の導電性と相関を有している。つまり、インピーダンスを測定することによって、液滴のサイズや液滴の組成に関する情報を検知することが可能である。
【0060】
図5のEW書き込み・検知回路236およびバイアス・サンプル回路238は、図9のように示される。当該回路236は、電圧を書き込む機能を実行し、さらには、書き込みノードに存在するインピーダンスを検知する手段を導入するものである。
【0061】
EW書き込み・検知回路236は、次の部品を備えている。
・スイッチトランジスタ68
・キャパシタC58
・カップリングキャパシタC146
・ダイオード148
・ダイオード147
・トランジスタ94
複数のアレイ素子に提供される接続は、次のような要素から構成されている。
・ソース接続
・ゲート接続
・センサロウ選択ラインRWS
・リセットラインRST
・第2リセットラインRSTB
・パワーサプライ線VDD(アレイのすべての素子に共通であってもよい)
・センサ出力ラインCOL
・外部上書きO
EW書き込み・検知回路236は、電圧VWRITEをプログラム可能なEW駆動電極38から成っている。キャパシタCとして表される負荷素子154も示されている。特に、負荷キャパシタ154は、上述のように、EW駆動電極38と上部基板36の電極28との間のインピーダンスを表しており、従って、アレイ素子内に含まれる疎水性セルに起因して生じるインピーダンスを表している。負荷キャパシタ154の値Cは、アレイの中の特定のアレイ素子の中の疎水性セルに位置する液滴4の存在、サイズ、および組成に依存している。
【0062】
EW書き込み・検知回路236は、次のように接続されている。
【0063】
ソースアドレスラインSOURCEは、トランジスタ68のドレインへ接続されている。ゲートアドレスラインGATEは、トランジスタ68のゲートへ接続されている。トランジスタ68のソースは、EW駆動電極38と静電容量Cを有している容量キャパシタ58とへ接続されている。ソースアドレスラインSOURCE、トランジスタ68、ゲートアドレスラインGATE、および容量キャパシタ58は、後述するように、駆動電圧をEW駆動電極38へ書き込むための書き込み回路を形成している。容量キャパシタ58は、EW駆動電極38とセンサロウ選択ラインRWSとの間に接続されている。静電容量Cを有するカップリングキャパシタ146は、EW駆動電極38とトランジスタ94のゲートとの間に接続されている。ダイオード148のアノードは、リセットラインRSTへ接続されている。ダイオード148のカソードは、トランジスタ94のゲートとダイオード147のアノードとへ接続されている。ダイオード147のカソードは、リセットラインRSTBへ接続されている。トランジスタ94のドレインは、VDDパワーサプライラインへ接続されている。トランジスタ94のソースは、同じカラムの複数のアレイ素子の間で共有されているセンサ出力ラインCOLへ接続されている。外部上書きOは、EW駆動電極38へ接続されている。
【0064】
EW書き込み・検知回路236の操作は、以下のようになされている。
【0065】
EW書き込み・検知回路236は、2つの基本的な機能を実行する。すなわち、(i)アレイ素子の中の疎水性セルの疎水性を制御するためにEW駆動電極38を備えている駆動素子へ電圧を書き込むとともに、(ii)EW駆動電極38を備えている駆動素子における疎水性セルに起因して生じるインピーダンスの検知を行う。
【0066】
電圧を書き込むためには、ソースアドレスラインSOURCEにおいて、所望の書き込み電圧VWRITEがプログラムされている必要がある。図5に示すように、電圧VWRITEは、アレイ素子回路のレベルシフタ回路234の出力により決定され得る。
【0067】
その後、ゲートアドレスラインGATEが、高電圧になる(図5に示すように、アレイ素子の制御入力Bを介して)ことにより、トランジスタ68は、オンされる。電圧VWRITEは、その後、EW駆動電極38に書き込まれるとともに、この書き込みノードにおいて生じる静電容量、特にキャパシタ58に蓄積される。なお、キャパシタ58は、一般的に、カップリングキャパシタ146よりも静電容量値が相当大きい。その後、ゲートアドレスラインGATEは、トランジスタ68をオフにして書き込み操作を完了するために、制御入力Bを介して低レベルとされる。
【0068】
電圧VWRITEの書き込みによりEW駆動電極38に表れるインピーダンスを測定するために、EW書き込み・検知回路236の中の検知ノード102が、最初にリセット状態になる。
【0069】
特に、回路236の中に備えられている検知回路は、リセット操作を実行するリセット回路を備えている。リセット回路は、例えば、その間に検知ノード102を直接に接続されている、ダイオード148およびダイオード147を備えている。上述のように、ダイオード148およびダイオード147の、反対側の終端は、リセットラインRSTおよびリセットラインRSTBへそれぞれ接続されており、この順に、図5に示すように、制御入力CおよびDへそれぞれ接続されている。リセット動作が実行される場合は、リセットラインRSTを論理ハイレベルにして、リセットラインRSTBを論理ロウレベルにすることにより、リセット動作が発生する。リセットラインRSTおよびリセットラインRSTBの電圧レベルは、リセットラインRSTBの論理ロウレベルおよびリセットラインRSTの論理ハイレベルが同じ値(VRST)となるように定められる。値VRSTは、この電圧においてトランジスタ94が確実にオフされるのに十分なように選択される。リセット動作がなされるとき、ダイオード148またはダイオード147は、正にバイアスされ、検知ノード102は、電圧レベルVRSTまで充電/放電される。リセット動作の完了により、リセットラインRSTは論理ロウレベルになり、リセットラインRSTBは論理ハイレベルになる。リセットラインRSTのロウ論理レベルおよびリセットラインRSTBのハイ論理レベルに係る電圧レベルは、残りの検知動作を実行するために、ダイオード148およびダイオード147の両方が逆バイアス状態にて保持されるのに十分なよう定められる。
【0070】
図9の実施形態に係る検知回路は、センサロウ選択ラインRWS、カップリングキャパシタ146、トランジスタ94、およびセンサ出力ラインCOLを備えている。アレイ素子の中の疎水性セルにより駆動素子の位置に表れるインピーダンスを検知するために、振幅ΔVRWSの電圧パルスは、その後、制御入力Aを介してセンサロウ選択ラインRWSへ与えられる(図5)。パルスは、容量キャパシタ58を介してEW駆動電極38へ印加される。その後、トランジスタ68がオフにされることにより、EW駆動電極38における電圧VWRITEは、値(ΔVWRITE)だけ摂動が与えられる。なお、値(ΔVWRITE)は、ΔVRWSに比例するとともに、センサロウ選択ラインRWS上の電圧パルスの大きさと、カップリングキャパシタ146の容量C、容量キャパシタ58の容量C、および負荷キャパシタ154の容量Cとに依存している。さらに、値(ΔVWRITE)は、トランジスタ94、トランジスタ68、ダイオード148、および147の寄生静電容量とにも依存している。寄生成分は小さいと仮定すると、上記摂動は次のように与えられる。
【0071】
【数1】

【0072】
上記の式は、CTOTALが次の場合に成り立つ。
【0073】
【数2】

【0074】
一般的に、静電容量成分は、次のようにサイズが規定される。すなわち、容量キャパシタ58は、液滴4が存在する場合の負荷キャパシタ154として表される負荷インピーダンスと同様のオーダーの値となる。また、容量キャパシタ58は、カップリングキャパシタ146よりオーダーが1〜2桁大きな値となる。その後、センサロウ選択ラインRWS104上のパルスΔVRWSに起因したEW駆動電極38の電圧における摂動成分ΔVWRITEは、カップリングキャパシタ146の影響に起因した検知ノード102の位置における電位の摂動成分ΔVSENSEに帰結される。検知ノード102の位置における電位の摂動成分ΔVSENSEは、おおよそ次の式により与えられる。
【0075】
【数3】

【0076】
DIODEは、ダイオード148により表れる静電容量を表しており、Cは、トランジスタ94の寄生静電容量を表す。一般的に、回路は、カップリングキャパシタ146が寄生静電容量CDIODEおよびCより大きくなるように設計される。その結果、検知ノード102における電圧の摂動成分ΔVSENSEは、一般的に、EW駆動電極38における書き込みノード電圧の摂動成分ΔVWRITEと同様になるが、そのような場合が必須であるわけではない。容量キャパシタ58は、二重の機能を有している。容量キャパシタ58は、アレイ素子へ書き込まれたエレクトロウェッティング電圧を蓄積する容量キャパシタとして機能する。容量キャパシタ58は、インピーダンスを検知するときの参照キャパシタとしても機能する。上記インピーダンスは、値Cと液滴の静電容量Cdropとを比較することにより、本質的に測定される。
【0077】
センサロウ選択ラインRWSへパルスを印加したことによる全体的な結果として、検知ノード102における電圧電位は、量ΔVSENSEだけ摂動される。そして、量ΔVSENSEは、RWSパルス継続する時間に負荷キャパシタ154により表されるインピーダンスCに依存する。なお、インピーダンスCは、繰り返しの説明になるが、特定のアレイ素子に位置する任意の液滴4の、存在、サイズ、および組成に依存している。その結果、トランジスタ94は、RWSパルスがセンサロウ選択ラインRWSに付与されるRWS動作の過程において、ある程度までオン状態とされることが可能となる。センサ出力線COLは、後述ように、適切なバイアス・サンプル回路238(図5)によりロードされる。このように、トランジスタ94は、ソースフォロワとして働くとともに、ロウ選択動作中にセンサ出力ラインCOLにおいて発生する出力電圧は、負荷キャパシタ154によるインピーダンスCの関数となる。このように、図9のEW書き込み・検知回路236は、Cの値を検知および測定するように動作する。
【0078】
外部上書き入力Oは、外部接続信号をEW駆動電極38へ直接印加するために用いられてもよい。これは、例えば回路の残りがパワーダウンしているときに、回路の動作前に初期状態を提供するために利用することが可能である。
【0079】
図9に示すEW書き込み・検知回路236の構成により、EW書き込み機能は、事実上、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)セル(トランジスタ68およびキャパシタC58を備える)として実施される。代替的な構成としては、EW書き込み機能の実施のために、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)セルを利用することが可能である。
【0080】
図9aは、EW書き込み・検知回路236(図9参照)の変形例であるEW書き込み・検知回路236aを示している。EW書き込み・検知回路236aは、EW書き込み・検知回路236の替わりに用いられ得る。
【0081】
変形例に係るEW書き込み・検知回路236aにおいては、スイッチトランジスタ68は、標準的な構成のSRAMセル470により置換されている。SRAMセル470のビットライン(BL)は、入力SOURCEへ接続されている。SRAMセル470のワードライン(WL)は、入力GATEへ接続されている。SRAM470の出力OUTは、追加部品であるセンサイネーブルスイッチトランジスタ468のドレインへ接続されている。センサイネーブルスイッチトランジスタ468のソースは、EW駆動電極38へ接続されている。センサイネーブルスイッチトランジスタ468のゲートは、追加入力SENへ接続されている。入力SENは、通常は、センサイネーブルスイッチトランジスタ468がオンになるようにハイレベルに維持されている。このように、SRAMの出力は、このノードの電位を制御するように、EW駆動電極38へ接続されている。EW駆動電極38の電位は、入力GATEに高電圧を印加することにより上書きされる。これにより、SRAMセル470の出力は、公知の標準的なSRAM動作に従って、SRAMセル470のビットライン(BL)入力の論理状態を規定する。
【0082】
後述の説明において、図9のEW書き込み・検知回路236は、実施の形態を実現するために用いられることが想定されている。しかしながら、236aのような代替回路構成を替わりに用いることが可能であることは、当業者には理解されよう。また、236を特定の実施態様で用いることは、本発明の本質および範囲を限定することを意図したものではない。
【0083】
図10は、バイアス・サンプル回路238がとり得る構成を示す図である。EW書き込み・検知回路236(破線で示されている)の出力COLは、バイアス・サンプル回路238の入力INへ接続されている。バイアス・サンプル回路238の入力INは、トランジスタ408のドレインとトランジスタ306のドレインとへ接続されている。トランジスタ306のソースは、出力OUTへ接続されている。キャパシタ308は、出力OUTとグランドサプライVSSとの間に接続されている。サンプル入力信号SAMは、制御入力E(図5)を介してトランジスタ306のゲートへ接続されている。トランジスタ408のソースは、VSSへ接続されている。トランジスタ408のゲートは、バイアスサプライVB1へ接続されている。トランジスタ408は、アレイ素子回路のトランジスタ94と結合されることで、センサのソースフォロワ構成におけるバイアス装置として機能する。トランジスタ306は、キャパシタ308上のCOLに生じているセンサ出力電圧をサンプリングするための手段を提供するためのスイッチとして機能し、それにより出力OUTを提供する。
【0084】
ここで図5を再度参照すると、第1番目のアレイ素子202は、次のように接続されている。
【0085】
第1番目のアレイ素子202の書き込み入力Wは、レベルシフタ234の入力へ接続されている。レベルシフタ234の出力OUTは、EW書き込み・検知回路236の入力ラインSOURCEへ接続されている。回路236の出力COLは、バイアス・サンプル回路238の入力INへ接続されている。入力RWSは、制御信号Aへ接続されている。入力GATEは、制御信号Bへ接続されている。入力RSTは、制御信号Cへ接続されている。入力RSTBは、制御信号Dへ接続されている。
【0086】
バイアス・サンプル回路238の出力OUTは、デジタル化・ラッチ回路240の入力INへ接続されている。制御信号SAMは、入力信号Eへ接続されている。
【0087】
デジタル化・ラッチ回路240の出力OUTは、第1番目のアレイ素子202のセンサ出力Sへ接続されている。
【0088】
レベルシフタ234の目的は、電圧出力レベルが、エレクトロウェッティング駆動電圧になるように、書き込み電圧を遷移させることにある。上述のように、EW書き込み・検知回路236は、エレクトロウェッティング電圧をアレイ素子書き込みノードへ書き込むとともに、上記ノードのインピーダンスを検知する。
【0089】
バイアス・サンプル回路238は、EW書き込み・検知回路236のセンサ出力をバイアスするとともに、それが正常であるときのセンサ出力Sをサンプルする。デジタル化・ラッチ回路240は、その入力における電圧を適切な論理レベルへデジタル化するとともに、このレベルにおけるデジタル化した出力をラッチする。
【0090】
この回路構成は、AM−EWOD書き込み電圧を駆動素子へ書き込むとともに、そこに存在する液滴4の特性(例えば、インピーダンス)を検知する所望のアレイ素子機能を実現するために、多くの想到可能な回路の一例であることは、当業者には明らかであろう。
【0091】
アレイ素子202、204、および206は、上記アレイ素子のEW駆動電極38が、電気的な接続の意味でも空間的にも隣接するように配置されている。このようにして、隣接する複数の素子の複数の書き込み入力Wへ与えられる複数の書き込み入力信号が、それぞれ「1」および「0」である状況において、複数のEW駆動電極38は、それぞれハイおよびロウ電圧になるように書き込まれる。そして、ロウ電圧が書き込まれた電極38に配された液滴は、従来技術に開示されたようなエレクトロウェッティング力が作用して、ハイ電圧が書き込まれた隣接電極38に移動する。
【0092】
実施の形態1における基本的な動作は、以下に説明するとおりである。
【0093】
第1番目のアレイ素子202のEW駆動電極38の位置において、最初から液体の液滴4が存在している状況を想定されたい。
【0094】
操作の前に、液滴操作回路160は、パワーダウン状態になっている。これは、図4aに示す初期化回路166を用いることで実現され得る。入力信号STARTは、論理ロウレベルであるとともに、STARTBは、論理ハイレベルになっている。その結果、アナログスイッチ162はオフとなり、液滴操作回路160のパワーサプライ入力VDDが、外部VDDパワーサプライから切断されている。アナログスイッチ164をオンにすると、液滴操作回路160の入力INIは、外部入力INITIALへ接続される。INITIALを論理ハイレベルに設定することにより、ハイ電圧レベルが、第1番目のアレイ素子202の外部上書き入力Oへ与えられる。これにより、第1番目のアレイ素子202のEW駆動電極38をハイ電圧に設定され、これにより液体の液滴4が初期位置に保持される。
【0095】
操作を始めるために、入力信号STARTは、ハイにされるとともに、入力信号STARTBは、ロウにされる。これは、入力INITIALを第1番目のアレイ素子202の上書き入力Oから切断することに相当する。これは、また、外部パワーサプライVDDを液滴操作回路160へ接続したことに相当する。液滴操作回路160は、これにより、電源が供給される(powered up)とともに、動作を始めることが可能になる。
【0096】
図4を再度参照すると、論理ハイレベルである書き込み入力信号がその書き込み入力Wへ付与される場合は、ハイ電圧レベルがEW駆動電極38へ書き込まれるよう、各アレイ素子は構成されている。アレイ素子202、204、および206の回路の操作により、液滴の位置が検知される場合には、それぞれ、第1番目のアレイ素子202のセンサ出力に論理レベル「1」が表れるとともに、第2番目のアレイ素子204および第3番目のアレイ素子206のセンサ出力に論理レベル「0」が表れる。第1番目のアレイ素子202のセンサ出力Sにおいて「1」であると、インバータ226の出力は、そのあと、「0」になるとともに、これにより、論理信号「0」が第1番目のアレイ素子202の書き込み入力Wへ与えられ、これにより第1番目のアレイ素子202を前の状態に戻される。同時に、第1番目のアレイ素子202のセンサ出力Sにおいて、「1」であることにより、ANDゲート222の出力が、論理「1」が第2番目のアレイ素子204の書き込み入力へ与えられるように、ハイになっている。第2番目のアレイ素子204の入力Wがハイであるとともに、第1番目のアレイ素子202の入力Wがロウであることにより、複数のEW駆動電極38へ書き込まれる対応する複数の電圧は、液滴4を、第1番目のアレイ素子202から第2番目のアレイ素子204へ移動させる。液滴4の移動操作が完了すると、第2番目のアレイ素子204のセンサは、液滴4の新しい位置を検知する。上述と同様の理由により、第2番目のアレイ素子204の出力Sは「1」になると、第3番目のアレイ素子206の書き込み入力Wは「1」になるとともに、第2番目のアレイ素子204の書き込み入力Wは、「0」に戻る。その後、液滴4は、第2番目のアレイ素子204から第3番目のアレイ素子206へ移動する。
【0097】
図11は、上述のような操作により、第1、第2、および第3番目のアレイ素子のそれぞれの書き込み入力Wに生じる典型的な電圧レベルのシーケンスを示す図である。なお、第1番目のアレイ素子における電圧レベルはVにより示されており、第2番目のアレイ素子における電圧レベルはVにより示されており、第3番目のアレイ素子における電圧レベルはVにより示されている。また、液滴操作回路160の動作を初期化するために付与される信号STARTおよびSTARTBも図示されている。
【0098】
図12は、Vがロウになり、Vがハイに遷移する付近のタイミングを詳細に示している。図9に示される回路のように、Bへ与えられたパルスは、書き込み入力における電圧をAM−EWOD駆動電極38へ移送するように機能する。これにより、Bがハイになるとき、VがロウになるとともにVがハイになる遷移が発生する。信号A、C、Dは、上述のように、AM−EWODアレイ素子のセンサ機能の動作を制御する。E上のパルスにより、センサ出力がサンプリングされる。
【0099】
なお、液滴4が、第3番目のアレイ素子206のEW駆動電極38へ到達することにより、第3番目のアレイ素子のセンサ出力は、論理ハイになる。これにより、ANDゲート225の論理出力は、論理ハイになるとともに、第1番目のアレイ素子202の書き込み入力は、ハイになる。このことは、第1番目の素子の書き込み状態を、(STARTにおける遷移より前に)初期状態にリストアするように働く。しかしながら、現在第3番目のアレイ素子206の位置にある液滴であって、空間的に隣接していないことにより第1番目のアレイ素子202の位置へ戻ることができない液滴の動きには影響を与えない。
【0100】
典型的ではあっても必須というわけではないが、複数の電気的論理段階の動作と関連する複数の時間遅延は、液滴の移動に要求される時間と比較して、より少ないであろう。また、典型的ではあっても必須というわけではないが、制御・サンプルパルスA、B、C、D、およびEのタイミングは、複数のアレイを亘る液滴の移送に関連する周波数を大幅に超える周波数で、センサ出力が測定およびサンプルされるように取り決められてもよい。ここでは、ロウドライバ回路76およびカラムドライバ回路78は、制御・サンプルパルスA、B、C、D、およびEを複数のアレイ素子へ与えるように構成される。
【0101】
この実施形態は、アレイが3個のアレイ素子および関連した論理回路からなる場合について記載した。付属的な素子および論理部品を順に追加することで、アレイ素子の総数がどのような数になってもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0102】
本質的には、本実施形態は、隣接した素子の書き込み入力を制御するためにアレイ素子のセンサ出力を用いるといった、「インサイツ」で局所的なフィードバックのための手段を提供することにある。
【0103】
この動作のモードは、次の優位な点を備えている。
・フィードバックが非常に速く実行され得る点。近隣の複数のアレイ素子の書き込み機能のトリガとなるセンサ機能の利用により、一つのアレイを通過する液滴の移送速度を最大化することが可能である。
・フィードバックが非常に効率的に実施され得る点。局所フィードバック手段を実施することにより、センサデータのオフチップ処理の必要性が排除される。
【0104】
任意の個数のアレイ素子に亘って液滴を移動させる場合に本実施形態を拡張し得ることは、当業者には明らかであろう。さらには、近隣の複数のアレイ素子は、ここでは、線状に隣接しているように記載されてきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、非線状のパスに沿って隣接していてもよいことは、明らかであろう。
【0105】
また、例えば、“Digital microfluidics: is a true lab-on-a-chip possible?”, R.B. Fair, Micofluid Nanofluid(2007年3月)245〜281ページに記載されているように、上述のデバイスを1つの完全なシステムに組み込むことで、完全なLoaCシステムを実現し得る。そのようなシステムは、たとえば以下のような素子を含むことが可能である。
・上述の、一つまたはそれ以上のAM−EWODアレイ
・AM−EWODアレイに液体サンプルおよび試薬を提供するとともに前処理を実行するための水路マイクロフルイディクス機能(channel microfluidics capability)
・流体サンプルおよび試薬を入力する手段
・化学または生化学における試験、または、化学または生化学における分析のための手段
・制御電子部品、例えば、チップリーダーまたはPC
本発明の実施の形態2は、実施の形態1に記載のAM−EWODを備えている。実施の形態2が、実施の形態1と異なる点は、代替的な液滴操作回路160aが、複数のアレイ素子を接続するために利用されている点である。より詳細には、複数のアレイ素子と論理回路(インバータ、ANDゲート、およびORゲート)との間が、異なる態様で接続されている点である。本実施形態に係る液滴操作回路を、図13に示す。また、図13は、4個のアレイ素子を示している。説明を簡潔なものとするために、実施の形態1と本実施の形態との間で異なる部分のみを説明する。
【0106】
第1番目のアレイ素子202のセンサ出力Sは、ORゲート180の第2の入力へ接続されている。ORゲート180の出力は、ANDゲート222の第1の入力へ接続されている。ANDゲート222の出力は、第2番目のアレイ素子204の書き込み入力Wへ接続されている。第2番目のアレイ素子204のセンサ出力Sは、ORゲート180の第1の入力とORゲート182の第2の入力とへ接続されている。ORゲート182の出力は、ANDゲート224の第1の入力へ接続されている。ANDゲート224の出力は、第3番目のアレイ素子206の書き込み入力Wへ接続されている。第3番目のアレイ素子206のセンサ出力Sは、ORゲート184の第2の入力とORゲート182の第1の入力とへ接続されている。ORゲート184の出力は、ANDゲート225の第1の入力へ接続されている。ANDゲート225の出力は、第4番目のアレイ素子219の書き込み入力Wへ接続されている。第4番目のアレイ素子219のセンサ出力Sは、ORゲート184の第1の入力とインバータ230の入力へ接続されている。インバータ230の出力は、ANDゲート222の第2の入力へ接続されている。複数の付属的なアレイ素子および論理部品(図13に図示していない)は、第2〜第4番目のアレイ素子の接続構成を繰り返すために存在している。第5番目のアレイ素子のセンサ出力Sは、インバータ226の入力へ接続されている。インバータ226の出力は、ANDゲート224の第2の入力へ接続されている。第6番目のアレイ素子のセンサ出力Sは、インバータ231の入力へ接続されている。インバータ231の出力は、ANDゲート225の第2の入力に接続されており、インバータ228の入力にも接続されている。インバータ228の出力は、第1番目のアレイ素子202の書き込み入力Wへ接続されている。
【0107】
一般的に、N個の素子の連鎖におけるn番目の素子に関しては、当該n番目の素子は関連するORゲートを具備しており、当該ORゲートの出力は、関連するANDゲートの第1の入力へ接続されおり、当該ANDゲートの出力はn番目の素子の書き込み入力へ接続されている。n番目の素子のセンサ出力Sは、関連するORゲートの第1の入力へフィードバックされている。(n−1)番目の素子のセンサ出力は、N番目の素子と関連付けられているORゲートの第2の入力へ接続されている。(n+2)番目の素子のセンサ出力は、n番目の素子と関連付けられているANDゲートの第2の入力へインバータを介してフィードバックされている。
【0108】
本実施の形態および後掲する実施の形態の、図13に示すダイアグラムにおいて、アレイ素子A、B、C、D、E、およびOへの入力制御信号は、図面を明瞭にするために省略されているが、第1の実施の形態のように配置されていてもよい。
【0109】
実施の形態2の動作は、第1の実施の形態に類似している。ただし、書き込み電圧V、V、V、およびVが、図14に概略的に示すタイミングにより、それぞれのアレイ素子の書き込み入力Wにおいて生じている点が異なる。この制御ロジックの構成により、複数のEW駆動電極に与えられる複数の電位は、任意の時点で、2個の隣接するEW駆動電極38が、液滴の受け取りおよび/または保持が可能であるように、ハイ電位で維持させられるように、設定されている。
【0110】
本実施の形態の利点は、生成されたタイミングスキーム(図14に示される)により、実施の形態1の構成と比較して、液滴の変化過程(dynamics)および移動スピードをより向上させることができる点にある。更なる利点は、本構成を、より信頼性の高い液滴の移動に利用することができる点である。
【0111】
本実施の形態のさらなる利点は、2個のアレイ素子を占有する程度の空間的な広さを有する大きな液滴の移送に利用することができる点にある。
【0112】
実施の形態1および実施の形態2の変形例においては、異なる数の隣接したアレイ素子(例えば、2個またはそれ以上の数の)が、任意の時点においてハイレベルになるように構成可能であることは、当業者には明らかであろう。これは、回路における論理部品の接続態様を変更することによって実現可能である点については、当業者には明白である。
【0113】
図15に、本発明に係る実施の形態3を示す。この実施の形態は、液滴操作回路160bが導入されていることを除いて、実施の形態1と類似している。
【0114】
この実施の形態の液滴操作回路160bは、次のように接続されている。
【0115】
インバータ226の出力は、第1番目のアレイ素子202の書き込み入力Wへ接続されている。第1番目のアレイ素子202のセンサ出力Sは、ANDゲート222の第1の入力へ接続されている。ANDゲート222の出力は、第2番目のアレイ素子204の書き込み入力Wへ接続されている。第2番目のアレイ素子204のセンサ出力Sは、ANDゲート224の第1の入力に接続されており、インバータ228の入力にも接続されている。インバータ228の出力は、ANDゲート222の第2の入力へ接続されている。ANDゲート224の出力は、第3番目のアレイ素子206の書き込み入力Wへ接続されている。第3番目のアレイ素子206のセンサ出力Sは、第4番目のアレイ素子219の書き込み入力Wとインバータ230の入力とへも接続されている。インバータ230の出力は、ANDゲート224の第2の入力へ接続されている。第4番目のアレイ素子219のセンサ出力Sは、インバータ226の入力へ接続されている。それぞれのアレイ素子への制御信号A、B、C、D、E、およびOは、実施の形態1のように接続されているとともに、図面を明瞭にするために省略されている。
【0116】
回路の動作に関しては、図16に示されるように、第1〜第4番目のアレイ素子のそれぞれのアレイ素子の書き込み入力Wにおいて生じる論理信号電圧V、V、V、およびVが異なるシーケンスに従う点を除いて、実施の形態1に類似している。当該シーケンスは、1つの液滴を2つの独立した液滴に分割したり、あるいは大きな液滴の“リザーバー”から、小さな液滴を抽出するのに用いることができる。
【0117】
本実施の形態を変形させて、異なる論理回路の接続構成を構成可能であることは、当業者には明らかであろう。例えば、上記回路は、任意のハードコードされた書き込み電圧V、V、V、およびVのタイミングシーケンスを実施するように設定され得る。このように、分割したり、結合させたり、および混合させたりするような液滴の操作を実行するために、複数のタイミングシーケンスは、従来技術に記載されているような一般的な液滴プロトコルを実施するべく考案および設計されてもよい。
【0118】
本実施の形態の利点は、分離したり、結合したり、およびリザーバーから抽出するといった液滴の操作を、この操作を行う目的に特化したアレイ素子の所定順において「ハードコードさせる」ことができる点にある。これにより、必要とされるドライバインタフェースの複雑さを低減することができ、さらに、所望の液滴の操作を、全ての制御信号がアレイの外部で生成される場合よりも、より厳密、確実、かつ迅速に実行することができる。
【0119】
図17は、実施の形態4に係る液滴操作回路160cを示す図である。上述のように、制御信号A、B、C、D、E、およびOは、実施の形態1のように接続されており、図面を明瞭にするために省略されている。本実施の形態は、リセット機能を実行するために、付属的な入力Rが、それぞれのアレイ素子へ追加されていることを除いて、実施の形態1と類似している。したがって、第1番目のアレイ素子203、第2番目のアレイ素子205、および第3番目のアレイ素子207は、上述の実施の形態に係る202、204、および206とは、異なった設計のものであって、その違いは、付属的な複数のリセット入力Rが、グローバルリセット接続REへ接続されている点と関連する部分に存在する。
【0120】
図18は、改良された第1番目のアレイ素子203について想定可能な設計を示す図である。追加論理リセット回路243が、203の書き込み入力Wと、レベルシフタ234の入力INとの間に設けられている。この追加論理リセット回路243は、入力IN、出力OUT、およびリセット入力RESETを備えている。また、この論理リセット回路243は、以下の機能を実行するように構成されている。
・リセット入力Rが、論理ハイレベルであるとき、論理状態の出力が、W入力に係らず、デフォルトレベル(つまり、論理ロウ)に設定される。
・リセット入力Rが、論理ロウレベルであるとき、論理ステージの出力は、入力Wにおける値に従って設定されるとともに、操作は、実施の形態1と同様に行われる。
【0121】
上述の操作を実施するには、論理リセット回路243は、例えば、一つのANDゲートにより実装され得る。本実施の形態に係る操作により、複数のEW駆動電極38に書き込まれる複数の電圧は、リセットシグナルの適用によりあらかじめ定められた値へリセットされ得る。他の実施態様も可能であり、例えば、リセットステージは、一般的な構成のフリップフロップによって実装され得るとともに、付属的な外部サンプルクロック入力により制御され得る。
【0122】
本実施の形態の変形においては、論理リセット回路243の設計は、異なるアレイ素子において異なり得る。例えば、リセット操作を実行しているときに、異なるアレイ素子のEW駆動電極38は、異なる値に設定され得る。また、例えば、異なるアレイ素子の論理リセット回路243は、ANDゲートおよびインバータの異なる組合せにより実施され得る。
【0123】
これは、例えば、アレイにおける液滴の位置を固定することに利用し得る。より複雑な構成において、論理リセット回路243は、リセット起動パルスに係るあらかじめ定義されたタイムシーケンスを生成するように設計され得る。これは、例えば、アレイの中で固定された位置に液滴を巧みに配するために、または、“上書き”機能を提供するために利用されうる。なお、“上書き”機能においては、EW駆動電極38へ書き込まれる複数のパルスの入力波形が、外部から与えられた複数のパルスのシーケンスにより定義されている。
【0124】
本実施の形態の変形例において、第1番目のアレイ素子203は、複数のリセット入力の複数の値により複数の機能を実行するべく、複数のリセット入力を有し得る。
【0125】
本実施の形態の利点は、次に挙げる点にある。
・リセット機能の追加により、液滴の複数の位置をあらかじめ定義された複数の位置へリセット可能である点。
・リセット機能の追加により、試験シーケンスまたは液滴プロトコルを停止するための手段を提供可能である点。これば、たとえば手作業による上書きによって引き継がれることも可能であるし、アレイ素子のセンサ出力からの予期しない出力に応じて実行されることも可能である。
・リセットおよび手作業による上書き機能の追加により、操作のモードを、自動化された液滴操作(例えば上述のような本発明に係る最初の3個の実施の形態)と、通常のAM−EWOD操作に類似した操作の手動モードとの間で切り替えることが可能である点。
【0126】
図19は、本発明に係る実施の形態5における、液滴操作回路160dを示す図である。本実施の形態は、第1の実施形態の変形例であり、液滴操作回路160の複数のアレイ素子が、付属的なパワーダウン機能とともに提供されている。第1番目のアレイ素子244は、パワーサプライVDDへ接続されている付属的なパワーダウン入力(POW)を備えている。第2番目のアレイ素子246および第3番目のアレイ素子248も、ANDゲート222の第1の入力へ接続された入力POWを備えている。上述のように、制御信号A、B、C、D、E、およびOは、図面を明瞭にするために省略している。
【0127】
第2番目のアレイ素子246および第3番目のアレイ素子248は、同一の、または類似した設計を有している。
【0128】
図20は、付属的なパワーダウン機能を有している改良された第1番目のアレイ素子244について取り得る実装例を示す図である。アレイ素子回路は、改良されたバイアス・サンプル回路239が、パワーダウン機能を有効化するための付属的な入力POWを有するように利用されていることを除いて、実施の形態1と同様である。
【0129】
図21は、改良されたバイアス・サンプル回路239の設計例を示す図である。この回路は、付属的なトランジスタ209が追加されていることを除いて、上述した回路と同様である。トランジスタ408のソースは、VSSへ接続されていないが、その代わりに、トランジスタ209のドレインへ接続されている。トランジスタ209のソースは、VSSへ接続されている。トランジスタ209のゲートは、入力POWへ接続されている。入力POWが論理ハイレベルであるとき、トランジスタ209は、オンとなるとともに、回路は、上述のように動作する。入力POWがロウであるとき、回路は、パワーダウンとなるとともに、VDDとVSSとの間に最小の定電流が流れる。アレイ素子は、このように、実施の形態1において上述したような同様の機能を有している。さらに、論理信号POWがロウであるとき、センサ出力回路が操作を行わないとともにほぼ電力を消費しない低消費電力状態(例えば、スリープモード)に遷移するという付属的な機能を、アレイ素子は有する。アレイ素子回路の消費電力をより低減させるために、一般的な回路設計技術を利用して、アレイ素子(例えば、レベルシフタ234およびデジタル化・ラッチ回路240)の他の回路部品に付属的なパワーダウン機能を追加可能であることは、当業者には明らかであろう。同じ機能を奏するように代替回路を構成可能であることは当業者には明らかである。例えば、トランジスタ408を省略するとともに、ゲート408の入力接続を、バイアス電圧VB1と、408をオフにするとともに回路をパワーダウンするためのロウ電圧との間で切り替えることができるように構成してもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0130】
本実施の形態の実装では、第2番目のアレイ素子246および第3番目のアレイ素子248(つまり、連続した素子における、後のアレイ素子)は、入力POWを備えており、この入力POWは、第1番目のアレイ素子(つまり、連続した素子における、前のアレイ素子)のセンサ出力Sへ接続されている。
このように、第2番目のアレイ素子246および第3番目のアレイ素子248は、第1番目のアレイ素子244において液滴が検知される時点まで、パワーダウン状態のままである。ここで、液滴が検知されるような時点とは、第1番目のアレイ素子のセンサ出力Sが変化する(例えば、ハイになる)とともに、第2および第3番目のアレイ素子が、パワーアップされる(例えば、低消費電力状態から復帰させられる)状態である。
【0131】
複数の回路がパワーアップさせられるとともに操作可能になるポイントにおいて、液滴が近接に検知されるような時点まで、複数のアレイ素子をパワーダウン状態にしておく上述の基本的なアイデアを用いることにより、本実施形態については多くの変形例を取り得ることは、当業者には明らかあろう。
【0132】
本実施の形態の利点は、AM−EWODシステムの電力消費量を大きく低減できる点にある。なぜなら、駆動されたり検知されたりする必要があるアレイの一部(すなわち、液滴の位置または液滴の近傍の位置)のみが、多くの電力を消費するからである。
【0133】
本実施の形態を、任意の上述の実施の形態と組み合わせることが可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0134】
本発明に係る実施の形態6は、通常の手段により構成されたAM−EWODであるとともに、図22に示す液滴操作回路160eを備えているものである。
【0135】
液滴操作回路160eは、次の部品を備えている。
・第1番目のアレイ素子249
・第2番目のアレイ素子204
・第3番目のアレイ素子206
・ANDゲート222
・ANDゲート224
・ANDゲート252
・論理インバータ226、228、および230
・センサデータ処理回路242
複数の素子および論理部品の順は、次のように接続され得る。
【0136】
第1番目のアレイ素子249のセンサ出力Sは、インバータ226の入力と、センサデータ処理回路242の入力SEとに接続されている。インバータ226の出力は、ANDゲート252の第2の入力へ接続されている。ANDゲート252の出力は、第1番目のアレイ素子249の書き込み入力Wへ接続されている。センサデータ処理回路242の出力D1は、ANDゲート224の第1の入力へ接続されている。センサデータ処理回路242の出力D2は、ANDゲート222の第1の入力へ接続されている。ANDゲート222の出力は、第2番目のアレイ素子204の書き込み入力Wへ接続されている。第2番目のアレイ素子204のセンサ出力Sは、インバータ228の入力へ接続されている。インバータ228の出力は、ANDゲート222の第2の入力へ接続されている。ANDゲート224の出力は、第3番目のアレイ素子206の書き込み入力Wへ接続されている。第3番目のアレイ素子206のセンサ出力Sは、インバータ230の入力へ接続されている。インバータ230の出力は、ANDゲート224の第2の入力へ接続されている。
【0137】
上述のように、制御入力A、B、C、D、E、およびOは、図面を明瞭にするために省略されているとともに、実施の形態1に示されているように接続されていてもよい。
【0138】
本実施の形態によれば、初めに液滴4を第1番目のアレイ素子249の位置へ移動させる付属的な幾つかの手段が存在する。これは、例えば、1つまたはそれ以上の数の上述のアレイ素子により成され得る。例えば、上述の実施の形態に記載され、図22において3つの点220により示されているように、ANDゲート252の第1の入力への電気的接続を、本実施形態に係る操作を初期化するために用いることができる。
【0139】
図23は、センサデータ処理回路242について取り得る構成を示す図である。上記回路は、次の部品から構成されている。
・一般的な設計による比較器247
・参照電圧信号VREF
・論理回路245
センサデータ処理回路242は、次のように接続されていてもよい。
【0140】
入力SEは、比較器247の第1の入力へ接続されている。参照信号VREFは、比較器247の第2の入力へ接続されている。比較器の出力は、論理回路245の入力へ接続されている。第1の論理回路出力は出力D1であるとともに、第2の論理状態出力はD2である。この回路は、入力SEにおいて電圧を解析するとともに、測定された入力レベルに応じて、D1およびD2においてデジタル出力信号を生成する機能を実行する。例えば、回路は、SEにおける入力電圧がVREFを越えたとき、D1=“1”およびD2=“0”となり、それ以外の場合はD1=“0”およびD2=“1”となるように設定され得る。この場合、論理回路245は、D1への入力と、D2における入力の間に接続されたインバータとの間の短絡回路(short circuit)として実現される。他の論理部品の構成を利用して、入力の代替的な機能である出力D1およびD2を実現可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0141】
第1番目のアレイ素子249は、上述のように設計されたものであってよい。また、第1番目のアレイ素子249は、センサ出力Sがアナログ(デジタルではない)信号の形態をとるように、改良して設計してもよい。図24は、設計の一例を示す図である。この回路は、実施の形態1の第1番目のアレイ素子202に類似している。ただし、デジタル化・ラッチ回路240がアナログバッファ回路254により置換されている点が、実施の形態1とは異なる。この置換は、アナログ電圧入力INのバッファされた出力OUTを生成するために行われている。アナログバッファ回路253は、たとえば、単一ゲイン増幅器として実装される。その結果、249からのセンサ出力Sが、アナログ信号となる。
【0142】
本実施の形態においては、第2番目のアレイ素子204および第3番目のアレイ素子206は、双方が第1番目のアレイ素子249と空間的に近接するように配置されていてもよい。これにより、液滴を、第1番目のアレイ素子249から、第2番目のアレイ素子204または第3番目のアレイ素子206のどちらかへ移動する、つまり、どちらか一方に枝分かれさせることが可能となる。このような移動は、各アレイ素子に書き込み信号を入力することにより行われる。
【0143】
本実施の形態の動作においては、センサデータ処理回路242は、検知された液滴のインピーダンスについて所定の分析機能を実行する。当該インピーダンスは、液滴4が、第1番目のアレイ素子249に存在するときのインピーダンスである。その結果、得られたハイレベル電圧出力が、D1へまたはD2へ与えられる。これは、上記回路が、決定能力を有しているということである。例えば、第1番目のアレイ素子249のセンサ出力Sにより、液滴4は、第2番目のアレイ素子204に移送され得る(この場合、センサデータ処理回路242を操作した結果、D1がロウになっているとともにD2がハイになっている)、または第3番目のアレイ素子206に移送され得る(この場合、センサデータ処理回路242を操作した結果、D2がロウになっているとともにD1がハイになっている)。他に、センサデータ処理回路242は、次のように設定されてもよい。つまり、入力SEにおける電圧が所定の値であることにより、D1およびD2の両方がハイになるように設定されてもよい。これにより液滴4が2個のサブ液滴に分割される。
【0144】
この回路は、正確な検知機能に従って、液滴がアレイをたどるパスを決定するために利用されてもよい。更なる液滴操作を定めるために、検知操作の結果を利用することで、本実施の形態を化学または生化学の液滴に係る試験の全体または一部分の実施に利用することもできる。
【0145】
本実施の形態の利点は、決定機能を提供することにある。つまり、AM−EWOD装置を通過する液滴4の経路は、「インサイツの」検知、センサデータの処理、および決定機能により、局所的に定められてもよい。
【0146】
本発明に係る実施の形態7は、通常の手段により構成されたAM−EWODであるとともに、図25に示す液滴操作回路160fを備えているものである。
【0147】
液滴操作回路160fは、次の部品を備えていてもよい。
・第1番目のアレイ素子202
・第2番目のアレイ素子204
・第3番目のアレイ素子206
・ANDゲート222
・ANDゲート224
・ANDゲート252
・論理インバータ226、228、および230
・タイマ制御回路260
・ORゲート262
アレイ素子および論理部品の順は、次のように接続されていてもよい。
【0148】
第1番目のアレイ素子202のセンサ出力Sは、インバータ226の入力とANDゲート224の第1の入力に接続されているとともに、タイマ制御回路260のタイマ制御入力Tへ接続されている。インバータ226の出力は、ANDゲート252の第2の入力へ接続されている。ANDゲート252の出力は、第1番目のアレイ素子202の書き込み入力Wへ接続されている。ANDゲート222の出力は、第2番目のアレイ素子204の書き込み入力Wへ接続されている。第2番目のアレイ素子204のセンサ出力Sは、インバータ228の入力へ接続されている。インバータ228の出力は、ANDゲート222の第2の入力へ接続されている。ANDゲート224の出力は、第3番目のアレイ素子206の書き込み入力Wへ接続されている。第3番目のアレイ素子206のセンサ出力Sは、ORゲート262の第1の入力とタイマ制御回路260の入力INとへ接続されている。ORゲート262の出力は、インバータ230の入力へ接続されている。インバータ230の出力は、ANDゲート224の第2の入力へ接続されている。タイマ制御回路260の出力OUTは、ANDゲート222の第1の入力とORゲート262の第2の入力へ接続されている。上述のように、制御信号A、B、C、D、E、およびOは、図面を明瞭にするために省略されているとともに、実施の形態1のように接続されていてもよい。
【0149】
本実施の形態においては、さらに、初めに液滴4を第1番目のアレイ素子202の位置へ動かす種々の手段が存在する。上記の手段は、例えば、一つまたはそれ以上の数の前述のアレイ素子により実施できる。例えば、上述の実施の形態に記載された、図22において3つの点220により示されているように、ANDゲート252の第1の入力への電気的接続を、本実施形態に係る操作を初期化するために用いることができる。
【0150】
タイマ制御回路260は、標準的なデジタル回路素子(例えば、フリップフロップ、カウンタ、ラッチおよび論理状態)を用いて実装されてもよい。このタイマ制御回路260は、次の機能を実施する。
・入力Tがハイになるとき、タイマ機能がスタートされる機能。
・Tがハイになってから所定の時間T以内に入力INがハイになることができなかった場合、出力OUTがハイになる。全ての他の状況において、出力OUTは、ロウを維持する機能。
【0151】
図26は、タイマ制御回路260の可能な設計を示す図である。当該回路は、次の要素からなる。
・一般的な設計のフリップフロップ460
・アクティブハイリセットを備えている一般的な設計のカウンタ462
・ANDゲート464
・ORゲート466
入力TおよびIN、および出力OUTに加えて、上記回路は、クロック信号が与えられる入力MCKも備えている。
【0152】
入力INは、ORゲート466の第1の入力へ接続されている。入力Tは、フリップフロップ460の入力へ接続されている。フリップフロップ460のQ出力は、ANDゲート464の第1の入力へ接続されている。フリップフロップのQB(Q−bar)出力は、ORゲート466の第2の入力へ接続されている。ORゲート466の出力は、カウンタ462のリセット入力へ接続されている。MCK入力は、ANDゲート464の第2の入力へ接続されている。ANDゲート464の出力は、カウンタ462のクロック入力CKへ接続されている。カウンタの最上位ビット(MSB)出力は、OUTへ接続されている。
【0153】
この回路の操作により、入力Tがハイになるとき、フリップフロップ460の出力Qはハイになるとともにラッチされる。カウンタの出力リセット入力は、これによりロウになる(入力Nがロウである間)。ANDゲートの出力は、信号MCKになるとともに、カウンタ462は、これにより、MCKのクロックパルスの数のカウントを始める。カウンタのMSB出力が1になるために必要とされるMCKのサイクルの所定回数(時間Tと設定してよい)以内に、入力INがハイにならない場合には、タイムアウト条件に達するとともに、タイマ制御回路の出力は、1になる。時間T以内にINがハイになる場合には、ORゲート466の出力は1になるとともに、カウンタは初期値にリセットされる。この場合には、出力OUTがロウに維持される。タイマ制御回路260の形態には、実現し得る多くの他の実施例が存在することが、当業者には明らかであろう。
【0154】
本実施の形態においては、第2番目のアレイ素子204および第3番目のアレイ素子206は、その双方が、第1番目のアレイ素子202と空間的に近接するように構成され得る。これは、液滴を、第1番目のアレイ素子から、第2番目のアレイ素子204または第3番目のアレイ素子206のいずれにも移送することを可能にするためである。この移送は、それぞれのアレイ素子に選択的に与えられる書き込み信号に従って行われる。
【0155】
本実施の形態の操作により、液滴が、第1番目のアレイ素子202の位置に存在するときに、第1番目のアレイ素子202のセンサ出力Sはハイになる。その結果、第3番目のアレイ素子206の書き込み入力Wはオンとなり、第1番目のアレイ素子202の書き込み入力Wはオフになる。液滴は、その後、第1番目のアレイ素子202から第3番目のアレイ素子206へ移送される。液滴が、時間T以内に移送されない場合には、第3番目のアレイ素子206の出力Sはハイにならず、タイマ制御回路260の出力がハイになる。この結果、第3番目のアレイ素子206の書き込み入力Wはオフになるとともに、第2番目のアレイ素子204の書き込み入力Wはオンになる。これにより、液滴は、第1番目のアレイ素子から第2番目のアレイ素子204へ移送される。
【0156】
本実施の形態は、このように、インサイツのエラー訂正の実施方法を記載している。上述の操作では、液滴を、アレイ素子202からアレイ素子206へ移送しようとしていた。この移送が、“タイムアウト”時間T以内に起こらなかった場合、液滴は、代わりに、アレイ素子204へ移送される。この種の構成を用いて訂正され得ることが想定されるエラーとしては、電子回路におけるエラー(例えば、不完全な生産技術に起因するもの)または、液滴の移動を停止させるような物理構成における機械的なエラー(例えば、AM−EWODの疎水性層における欠陥)が挙げられる。
【0157】
図27は、本実施の形態を実施するために用いられ得るアレイ素子の構成を示す図である。アレイ素子は、液滴をアレイ素子A264からアレイ素子B266へ移送するように設定され得る。アレイ素子C268が機能していない場合、液滴は、アレイ素子D270およびアレイ素子E272を経由する代替的な経路により移送される。この経路は、矢印265で示されている。
【0158】
本実施の形態の利点としては、製造時の歩留まりを改善できる点にある。なぜなら、上述のように装置を内部的に再構成することで小さな部分欠陥であれば訂正され得るからである。
【0159】
同一のアレイ内において上述の実施の形態を任意に組み合わせて実施することにより、どのようにAM−EWODを実現可能であるかということは、当業者には明らかであろう。加えて、同一のアレイ素子内において複数の実施の形態をどのように組み合わせるかということは、当業者には理解されるであろう。例えば、実施の形態4のリセット機能は、アレイの全部または一部において、実施の形態5のパワーダウン機能と組み合わせ得る。同様に、液滴の操作の制御について記載している実施の形態は、直接または並列にお互いを組み合わせ得る。これにより、複数の液滴を同時に制御したり、あるいは幾つかのアレイ素子に亘って空間的に伸張した大きな液滴を同時に制御することに対応した操作回路を具備する、N個のアレイ素子からなる複数のセットを構成することができる。本発明は、そのような組合せの全てを考慮したものである。
【0160】
並列に構成されたときには、液滴操作は、複数のアレイ素子を取り囲む液滴について実行されるとともに、液滴が移動する方向と垂直に構成される。直列に配置する場合は、液滴は、1つの液滴操作(例えば、リザーバからの抽出)を実行するアレイの領域から、異なる操作(例えば、他の液滴との合体)を実行するアレイの領域へ移動し得る。
【0161】
このように、複数の液滴の操作からなる完全なシステムは、上述の実施の形態に記載された利点を実現するように、インサイツフィードバックのコンセプトを用いて実施し得る。
【0162】
本発明の実施の形態8では、上述の実施の形態のいずれかであって、液滴の位置および/または組成を決定するために代替的な検知手段が用いられる。代表的なセンサ手段は、光学検知、熱的検知、または従来技術において公知の他の検知方法を含んでいる。異なるタイプのセンサ(例えば、光学センサおよびインピーダンスセンサ)の組合せの出力を利用することで、隣接したアレイ素子(前述の実施形態のいずれかに係るアレイ素子)に局所的なフィードバックを与えることができる点は、当業者には明らかであろう。
【0163】
本発明の実施の形態9は、上述のいずれかの実施の形態において、例えば誘電泳動のようなEWODではない公知の方法により液滴の操作が実施されるものである。本実施の形態によれば、“書き込み”および/または“検知”操作と関連付けられた電子回路は、公知の手法により変更されてよい。その他、本実施形態は、前述の実施形態に記載の手段と同様の手段により機能するものであるとともに、本発明の基本的な思想によれば、センサ出力は、近隣のアレイ素子への書き込み入力を決定するために用いられる。
【0164】
前述のいずれかの実施形態に係る液滴マイクロ流体工学装置が、従来技術に記載されているような1個またはそれ以上の数の液滴の操作を実行するように構成され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0165】
本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、任意の個々の実施の形態に多くの変更をなし得るとともに、任意の個々の実施の形態を1個のAM−EWOD装置へと組み合わせる手法に多くの変更をなし得ることは、当業者には明らかであろう。
【0166】
任意の上述の実施の形態を、1つのLoaCシステムに組み込み得ることは、当業者には明らかであろう。このようなシステムにおいて、検知および/または液滴マイクロ流体工学により操作を行う対象となる液滴は、化学または生化学における流体、例えば、血液、唾液、尿などであってよい。さらに、化学または生化学試験を実施したり、化学または生化学化合物を合成できるように、全体配置を構成してもよい。
【0167】
本発明を、特定の1つのまたは複数の実施形態を参照しながら図示するとともに説明したが、当業者は、本明細書および添付の図面を読解することによって、同等の代替例および変形例に想到可能であろう。特に、上述の素子(構成部品、アセンブリ、装置、構造など)によって実行される様々な機能に関して、このような素子を説明するために用いられる用語(「手段」への言及を含む)は、他に記載がない限り、開示される、本発明の典型的な1つまたは複数の実施形態における機能を実行する構成と、構造的に同等でなくても、当該特定の機能を実行する任意の素子(すなわち、機能的に同等の素子)に対応することが意図される。さらに、本発明の特定の特徴を、1つまたは複数の実施形態だけを参照して説明してきたが、このような特徴は、他の実施形態の1つまたは複数の他の特徴と、所定のまたは特定の用途について必要とされかつ有利となるように、組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0168】
AM−EWOD装置は、LoaCの一部に適用することが可能である。このような装置は、化学、生化学、または物理学における材料の操作、反応、および検知に利用され得る。応用分野としては、健康管理診断、検査、化学または生化学における材料の合成、プロテオミクス、ライフサイエンスおよび科学捜査における研究ツールを含む。
【符号の説明】
【0169】
4 液滴
6 接触角θ
16 疎水性層
20 絶縁体層
26 疎水性層
28 電極
32 スペーサ
34 非イオン液体
36 上部基板
38 電極
42 電極アレイ
52 液滴が存在している
53 液滴が存在していない
54 キャパシタ
54 キャパシタC
60 対向基板
68 スイッチトランジスタ
72 下部基板
74 薄膜電子部品
76 ロウドライバ回路
78 カラムドライバ回路
80 シリアルインターフェース
82 接続線
84 アレイ素子回路
94 トランジスタ
102 検知ノード
146 キャパシタC
147 ダイオード
148 ダイオード
154 負荷素子C
160 液滴操作回路
162 アナログスイッチ
164 アナログスイッチ
166 初期化回路
180 ORゲート
182 ORゲート
184 ORゲート
202 第1番目のアレイ素子
203 第1番目のアレイ素子
204 第2番目のアレイ素子
205 第2番目のアレイ素子
206 第3番目のアレイ素子
207 第3番目のアレイ素子
208 第4番目のアレイ素子
209 トランジスタ
219 第4番目のアレイ素子
220 3個の点
222 ANDゲート
224 ANDゲート
225 ANDゲート
226 インバータ
228 インバータ
230 インバータ
231 インバータ
234 レベルシフタ
235 アレイ素子
236 EW書き込み・検知回路
238 バイアス・サンプル回路
239 改良されたバイアス・サンプル回路
240 デジタル化・ラッチ回路
242 センサデータ処理回路
243 論理リセット回路
244 第1番目のアレイ素子
245 論理回路
246 第2番目のアレイ素子
247 比較器
248 第3番目のアレイ素子
249 第1番目のアレイ素子
252 ANDゲート
253 アナログバッファ回路
260 タイマ制御回路
262 ORゲート
264 アレイ素子A
265 矢印
266 アレイ素子B
268 アレイ素子C
270 アレイ素子D
272 アレイ素子E
306 トランジスタ
308 キャパシタ
408 トランジスタ
460 フリップフロップ
462 カウンタ
464 ANDゲート
466 ORゲート
468 センサイネーブルスイッチトランジスタ
470 SRAMセル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1〜第N番目のアレイ素子(Nは、2以上の整数である)の順に空間的に配置されたN個のアレイ素子を備えており、
上記N個のアレイ素子は、上記アレイ素子の動作を制御する、対応する書き込み入力信号の受信のための書き込み入力と、上記アレイ素子の特性を検知し、検知された上記特性に基づきセンサ出力を与える検知回路とを備えており、さらに、
上記順の中の第n番目のアレイ素子からのセンサ出力を第(n+1)番目のアレイ素子の書き込み入力へ直接接続している論理回路を備えているとともに、上記第n番目のアレイ素子からの上記センサ出力に基づいて、上記書き込み入力信号を上記第(n+1)番目のアレイ素子の書き込み入力へ与えるように設定された操作回路を備えていることを特徴とするアクティブマトリクス装置。
【請求項2】
各アレイ素子は、その疎水性が上記対応する書き込み入力信号により制御される表面を備えている疎水性のセルであるとともに、上記検知回路により検知される上記特性は、各アレイ素子に存在する液滴に関連する特性であることを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項3】
上記特性は、上記液滴のインピーダンスであることを特徴とする請求項2に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項4】
上記第n番目のアレイ素子の上記センサ出力は、上記液滴が上記第n番目のアレイ素子に存在していることを示しており、上記論理回路は、上記第(n+1)番目のアレイ素子の上記疎水性を変化させるために、上記第(n+1)番目のアレイ素子へ上記書き込み入力信号を与えるように構成されることを特徴とする請求項2または3に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項5】
上記液滴が最初は上記アレイ素子の中の第1番目のアレイ素子に存在する場合、上記論理回路は、書き込み入力信号を上記順の中の残りのアレイ素子へ与えることで、上記液滴を上記アレイ素子の順の間で移動するようにさせることを特徴とする請求項4に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項6】
上記論理回路は、上記書き込み入力信号を上記順の中の上記残りのアレイ素子へ順番に与えるように設定されていることで、2個以上の隣接したアレイ素子が、常に上記液滴を受け取るまたは保持する状態であることを特徴とする請求項5に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項7】
上記操作回路は、上記第n番目のアレイ素子の上記センサ出力における変化に従って、上記第n番目のアレイ素子を以前の状態に戻すために、上記第n番目のアレイ素子の上記センサ出力を上記第n番目のアレイ素子の上記書き込み入力へ直接的に接続する論理回路を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項8】
各アレイ素子と関連付けられた、ANDゲートおよびインバータを備え、
第n番目のアレイ素子の上記センサ出力は、第(n+1)番目のアレイ素子と関連付けられた上記ANDゲートの第1の入力と、上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記インバータの入力とへ接続されるとともに、
上記第(n+1)番目のアレイ素子と関連付けられた上記インバータの出力は、上記第(n+1)番目のアレイ素子と関連付けられた上記ANDゲートの第2の入力へ接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項9】
上記論理回路は、各アレイ素子と関連付けられた、ANDゲート、ORゲート、およびインバータを備え、
第n番目のアレイ素子の上記センサ出力は、第(n+1)番目のアレイ素子と関連付けられたORゲートの第1の入力と、上記第n番目のアレイ素子と関連付けられたORゲートの第2の入力とへ接続されており、
上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記ORゲートの出力は、上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記ANDゲートの第1の入力へ接続されており、
上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記インバータの入力は、上記アレイ素子の中の第(n+2)番目のアレイ素子の上記センサ出力へ接続されており、
上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記インバータの出力は、上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記ANDゲートの第2の入力へ接続されており、
上記第n番目のアレイ素子と関連付けられた上記ANDゲートの出力は、上記第n番目のアレイ素子の上記書き込み入力へ接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項10】
液滴を各アレイ素子の間で分離するべく、上記論理回路が、複数の書き込み入力信号を上記順の中の各アレイ素子へ与えるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項11】
複数の液滴を上記複数のアレイ素子の中で結合または混合すべく、上記論理回路が、複数の書き込み入力信号を上記順の中の上記複数のアレイ素子へ与えるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項12】
液滴をリザーバーから抽出すべく、上記論理回路が、複数の書き込み入力信号を上記順の中の各アレイ素子へ与えるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項13】
各アレイ素子は、リセット操作を初期化するためのリセット入力を備えることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項14】
各アレイ素子は、低消費電力状態を初期化するためのパワーダウン入力を備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項15】
上記順における前段のアレイ素子のセンサ出力は、上記順における後段のアレイ素子のパワーダウン入力へ接続されており、
上記順における前段の上記アレイ素子の上記センサ出力が変化すると、上記順における後段のアレイ素子が低消費電力状態から復帰することを特徴とする請求項14に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項16】
上記順における第n番目のアレイ素子と空間的に隣接している付属的なアレイ素子をさらに備え、
上記操作回路は、所定の分析機能に応じて、複数の書き込み入力信号を上記第(n+1)番目のアレイ素子および上記付属的なアレイ素子へ選択的に与えるように設定されている論理回路を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項17】
上記複数の書き込み入力信号を選択的に与えるように設定されている上記論理回路は、タイマ制御回路を備え、
上記所定の分析機能は、タイムアウト条件を組み込んだものであることを特徴とする請求項16に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項18】
少なくとも上記第1番目のアレイ素子は、上記第1番目のアレイ素子の上記書き込み入力を初期化するための初期化回路を備えることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項19】
上記検知回路は、インピーダンス検知、光学的検知、または熱的検知のうちの少なくともいずれか一つを利用して上記アレイ素子の特性を検知することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項20】
N個のアレイ素子からなる複数のセットのそれぞれが、対応する操作回路を備えていることを特徴とする請求項2〜19のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項21】
上記N個のアレイ素子からなる複数のセットは、複数の液滴の制御に同時に影響するように構成されることを特徴とする請求項20に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項22】
上記N個のアレイ素子からなる複数のセットは、複数のアレイ素子に亘って空間的に伸張されている液滴の制御に同時に影響するように配置されることを特徴とする請求項20に記載のアクティブマトリクス装置。
【請求項23】
上記N個のアレイ素子からなる複数のセットは、液滴の制御に順番に影響するように配置されることを特徴とする請求項20に記載のアクティブマトリクス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9a】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−163956(P2012−163956A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−11552(P2012−11552)
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】