説明

アクティブ受信機検出及びレンジング

遠く離れて位置付けられる無線受信機(100)を能動的に検出して、そのレンジを決定する方法(500)及びシステム(402)が提供される。本発明は、また、遠隔の受信機(100)が送信信号を受信しているかどうかと、受信機(100)への通信リンクを確立するのに必要とされる最小必要送信電力とを決定する方法及びシステムを提供する。最後に、本発明は、また、マルチパスによる方向あいまい性を解消する方法及びシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の配置は、無線受信機装置の検出に関し、より具体的には、無線受信機装置のレンジを決定するためにアクティブな手法を使用することができるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線受信装置の存在を特定するのに有用である多数の環境が存在する。例えば、無線受信機の存在を特定することは、多数の軍隊、法執行機関及び国家防衛用途にとって有用でありうる。このような機能を実現するための従来の手法は、通常、受信装置からのRF放射を検出する様々な手段に依存していた。ほとんどの場合に、RFエネルギの発生源は、局部発振器として知られている無線受信機の一部へ直接に又は間接に遡ることができる。
【0003】
局部発振器は、一般的に、ダウンコンバージョンシステムの部分としてスーパーへテロダイン型無線受信機に含まれ得る。スーパーへテロダイン無線システムで、関心のある周波数は、検出前に、一定のより低い周波数へと変換される。この一定周波数は中間周波数、すなわちIFと呼ばれる。この点において、あるIF周波数は、一般的に、あるタイプの無線受信機の設計者によって選択されることがよく知られている。
【0004】
受信されるRF信号からIFへの周波数変換処理を実行するために、スーパーへテロダイン受信機は、一般に、2つの信号を伴う混合動作を実行する。これらの信号は、局部発振器によって生成される信号と、入来するRF信号とを含む。この処理は、受信機のミキサ又は混合段で実行される。ミキサ内で、局部発振器信号は、2つの入力される周波数の和及び2つの周波数の差に等しい周波数で混合生成信号(mixing products)として知られている出力を生成するよう、受信されたRF信号と相互に作用する。他の混合生成信号が更に生成され、一般に和及び差の生成信号より振幅が低い。受信機は、IFとしてこれらの周波数の中から最も高いもの又は最も低いもののいずれか一方を選択するよう、ミキサの後に続くフィルタリング回路を有する。受信機は、所望のIFを生成するために1又はそれ以上の混合段を使用することができる。IFは、通常、受信機にある他の回路によって増幅され、最後に復調される。
【0005】
検出される無線受信機のタイプに関するある情報を鑑みて、受信機でのIF信号の起こり得る周波数及びかかるIF信号を生成するために必要な1又は複数の局部発振器周波数に関して幾つかの道理に基づいた推定を行うことが可能である。注目に値すべきなのは、受信機の局部発振器及びIF段からの信号はしばしば受信装置から発せられる点である。従って、従来のシステムは、通常、このようなIF信号及び/又は局部発振器信号の存在にあたってある周波数を走査するために狭帯域受信器を使用することによって、領域内の無線受信機の存在を確認してきた。かかる放射が存在する場合に、特定のタイプの無線受信機が直ぐ近くであると推測され得る。また、RF指向性決定装備が、このような受信機が配置されている方向を見つけるために、幾つかの場合に、使用されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前出のシステムによって提供される利点に関わらず、それらは幾つかの重要な制限を有する。例えば、既存のシステムは、無線受信機までのレンジ又は距離を決定するための如何なる手段も提供しない。既存のシステムは、山、水域、建物、飛行機等の環境及び人工の構造物からの信号の反射によって引き起こされる方向あいまい性を解消する能力を欠く。また、既存のシステムは、目的の受信機が実際に発信源から送信信号を受信しているかどうかを判断する能力を欠く。最後に、既存のシステムは、また、一般に、目的の受信機によって受信される送信信号に必要な最小必要電力を決定するための如何なる手段も提供しない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、RF受信機に関する情報を得るための方法及びシステムに関する。具体的に、本発明は、遠く離れて位置付けられている無線受信機を能動的に検出し、そのレンジを決定するための方法及びシステムを提供する。本発明は、また、遠隔の受信機が送信信号を受信しているかどうかと、受信機への通信リンクを確立するのに必要とされる最小必要送信電力とを決定する方法及びシステムを提供する。最後に、本発明は、マルチパスに起因する方向あいまい性を解消する方法及びシステムを提供する。
【0008】
当該方法は3つの基本ステップを有する。これらのステップは、RF受信機の1又はそれ以上のRF放射をモニタするステップと、前記RF受信機によって受信され得るRF周波数でRF信号を生成するステップと、前記RF信号に応答する前記受信機のRF放射での変動を検出するステップとを有する。本発明の態様に従って、前記RF放射の変動は、1又はそれ以上の局部発振器信号、それらの高調波、又は受信器での混合生成信号の振幅、位相又は周波数のうちの1又はそれ以上での小さな変化を含む。このような変化は、送信されるRF信号によって引き起こされる。実際に、送信されるRF信号は、受信器でのある信号の位相、周波数、振幅、又は位相、周波数若しくは振幅の組み合わせに変調を生じさせるために使用され得る。かかる変調は、例えば、局部発振器と受信機の他の構成要素との間に存在する結合のような、受信機設計の様々な態様によって引き起こされ得る。これらの軽微な未だ検出可能な変動は、アクティブ受信機検出及びレンジングのために検出され、使用され得る。
【0009】
前出の方法で、前記モニタするステップは、前記RF受信機における局部発振器から発せられるRFエネルギを有するRF放射を受信するステップを有する。任意に、前記モニタするステップは、前記局部発振器以外に又はそれに加えて前記RF受信機からの1又はそれ以上の放射を含むようモニタされるRF放射を選択するステップを有する。例えば、放射は、前記局部発振器の基本周波数の高調波関連の混合生成信号又はRFエネルギを含むよう選択され得る。
【0010】
上述されるように、送信されるRF信号は、有利に、RF放射の変調を引き起こすことができる。例えば、かかる変調は、前記RF放射の位相、周波数又は振幅変調のうちの1又はそれ以上の組み合わせでありうる。前記検出するステップは、有利に、前記RF放射で所定の変調パターンを検出するステップを更に有する。例えば、この所定の変調パターンには、既知の所定ビットシーケンスが含まれ得る。
【0011】
明らかなように、前記生成するステップは、有利に、前記RF信号を選択的に変調するステップを有する。前記受信機の局部発振器の変調を生成するために、送信されるRF信号は、振幅変調、周波数変調、若しくは位相変調又はこれらの1若しくはそれ以上の組合せをなされ得る。例えば、振幅変調は、既知の又は所定の変調パターンに従って送信出力のオン及びオフを切り換えるステップを有することができる。結果として、前記検出するステップは、前記RF放射で前記変調パターンの存在を検出するステップを更に有する。本発明の1つの態様に従って、変調パターンは有利にビットシーケンスを有する。
【0012】
当該方法は、また、受信機のレンジを決定するのに有用である。レンジが決定されるべき場合に、当該方法は、送信されるRF信号での1又はそれ以上のタイミングマーカの送信と、前記RF放射での前記タイミングマーカのその後の検出との間の時間遅延を決定するステップを有する。この時間遅延は、送信されるRF信号が送信機から受信機へ伝わって、RF放射が受信機からモニタリング装置へ伝わるのに必要な時間量に対応する。受信機のレンジは、この時間遅延に基づいて決定される。
【0013】
当該方法は、また、前記受信機へ送信するために必要な最小送信電力を決定することができる処理を提供する。この処理には、前記変動を引き起こすために必要な最小の電力レベルを決定するよう前記RF信号の電力レベルを選択的に変更するステップが含まれる。
【0014】
当該方法は、有利に、検出、レンジ、方向、及びリンク状態に関してユーザに通知するための何らかの手段を有する。例えば、ユーザ通知は、受信機が検出されたこと、該受信機が前記RF信号を受信していること、該受信機が前記RF信号を失ったこと、及び該受信機と通信するために必要とされる最小電力レベル、を示すために生成され得る。
【0015】
前出の処理は、無線受信装置のアクティブなレンジング及び検出のためのシステムで実施され得る。当該システムは、前記RF受信機の1又はそれ以上のRF放射をモニタするモニタリング装置と、該モニタリング装置へ動作上結合され、前記RF受信機によって受信され得るRF周波数でRF信号を生成するよう構成されるRF送信器とを有する。前記モニタリング装置は、前記RF信号に応答する前記RF放射での変動を検出するよう構成される1又はそれ以上のRF信号処理手段を有する。
【0016】
前記モニタリング装置の受信周波数は、前記RF受信機における局部発振器から発せられるRFエネルギを受信するようチューニングされる。代替的に、又はそれに加えて、前記モニタリング装置の受信周波数は、上述されるように前記RF受信機の1又はそれ以上の他の放射を受信するようチューニングされる。モニタリング周波数が未知である場合に、かかる周波数の検索は、受信される放射の可能な範囲をカバーする帯域幅での変調パターンを探すことによって可能である。これは、所定の変調パターン(特に、有利にビットシーケンスを有するパターン)の検出に特有の信号処理利得が、関心のない他の無線周波数発生源と所望のモニタリング周波数を区別する助けとなりうる点で、周波数ごとの検索に対して利点を有する。
【0017】
本発明の態様に従って、前記変動には、例えば、振幅、位相若しくは周波数変調又はこれらの組み合わせのような、RF放射の変調が含まれる。RF信号処理回路は、前記RF放射で所定の変調パターンを検出するよう構成される。例えば、この所定の変調パターンは、有利に、ビットシーケンスを含む。
【0018】
上記と一致して、前記RF送信器は、前記RF信号を選択的に変調する手段を有する。例えば、前記送信器は、有利に、変調制御回路に応答して、振幅、位相、若しくは周波数変調、又はこれらの組み合わせを有する。それによって、前記送信器は、変調パターンに従って前記RF信号を変調するよう構成され得る。前記モニタリング装置に設けられているRF信号処理回路は、有利に、前記RF放射で前記変調パターンの存在を検出するよう構成される。留意すべきは、検出されるのは、変調パターン、すなわち、特定の受信機設計及び特定の送信されるRF信号の変調タイプに依存して変調パターンを異ならせうる前記RF放射の変調の正確なタイプである点である。送信されるRF信号の変調タイプ及び受信される放射の変調タイプは、必ずしも同じ又は類似であるとは言えない。
【0019】
前記モニタリング装置は、前記RF信号でのタイミングマーカの送信から当該モニタリング装置による前記RF放射での前記タイミングマーカのその後の検出までの間に起こる時間遅延を測定するよう構成される1又はそれ以上のタイマ、あるいは他の方法を有することができる。結果として得られる時間遅延又はリンク遅延は、それが受信機までの距離を測定するために使用され得るので有用である。従って、前記モニタリング装置は、前記時間遅延に基づいて前記受信機のレンジを決定するよう配置される1又はそれ以上の処理回路を更に有する。前記時間遅延の測定は、環境構造からの反射により異なる経路によって到達する多数の受信される方法によって引き起こされる方向検出のあいまい性を解消するために使用され得る。
【0020】
当該システムは、また、送信電力制御システムを有する。この送信電力制御システムは、前記RF信号の電力レベルを選択的に変化させるよう配置される。例えば、送信電力制御システムは、前記RF信号が前記RF放射での変動を引き起こすために必要な最小電力レベルとなるまで、前記RF信号の電力レベルを選択的に低減させるために使用され得る。
【0021】
実施形態は、以下の図面を参照して記載される。図面において、同じ参照番号は全ての図を通して同じ事項を表す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を理解するのに有用なスーパーへテロダイン型の無線受信機のブロック図である。
【図2】どのように無線受信機の存在が検出され得るかを示すシステム図である。
【図3】図1及び図2の受信機に関連する様々な信号を理解するのに有用な周波数対大きさのプロットである。
【図4】アクティブ受信機検出及びレンジングのためのシステムのブロック図である。
【図5A】アクティブ受信機検出及びレンジングのための方法を理解するのに有用なフローチャートである。
【図5B】アクティブ受信機検出及びレンジングのための方法を理解するのに有用なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明は、添付の図面を参照して、より完全に記載される。図面には、本発明の例となる実施形態が示されている。しかし、本発明は、多数の異なる形態で具現され得、ここに挙げられている実施形態に限定されるよう解釈されるべきではない。例えば、本発明は、方法、データ処理システム、又はコンピュータプログラムプロダクトとして具現され得る。従って、本発明は、完全なるハードウェア実施形態、完全なるソフトウェア実施形態、又はハードウェア/ソフトウェア実施形態という形を取ることができる。
【0024】
本発明に関連する信号処理及び制御の機能は、1つのコンピュータシステムで実現され得る。代替的に、本発明は、幾つかの相互接続されているコンピュータシステムで実現され得る。ここに記載される方法を実行するよう適合されるどんな種類のコンピュータシステム又は他の装置も適している。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組み合わせは、無線受信装備、送信装備、デジタル信号処理装備、及び汎用のコンピュータシステムでありうる。汎用のコンピュータシステムは、ここに記載される方法を実行するように当該コンピュータシステムを制御することができるコンピュータプログラムを有することができる。
【0025】
本発明は、コンピュータが使用可能な記憶媒体(例えば、ハードディスク又はCD−ROM。)でコンピュータプログラムプロダクトの形を取ることができる。コンピュータが使用可能な記憶媒体は、当該媒体に具現されるコンピュータが使用可能なプログラムコードを有することができる。ここで使用される語「コンピュータプログラムプロダクト」は、ここに記載される方法の実行を可能にする全ての特徴を備える装置を表す。コンピュータプログラム、ソフトウェアアプリケーション、コンピュータソフトウェアルーチン、及び/又はこれらの語の変形は、本文脈中、情報処理機能を有するシステムに、直接に、あるいは、以下:a)他の言語、コード若しくは表記への変換;又はb)異なる材料形態での再生のうちの一方又は両方の後に、特定の機能を実行させることを目的とする命令の組の、いずれかの言語、コード、又は表記での如何なる表現も意味する。
【0026】
この場合に、本発明の実施形態は、図1から図6に関して記載される。本発明の幾つかの実施形態は、遠隔の無線受信機に関連する情報の取得に関する方法、システム、及び装置を提供する。かかる情報には、(1)無線受信機の存在の検出、(2)遠く離れて位置付けられている受信機のレンジの決定、(3)遠く離れて位置付けられている無線受信機の方向の決定、(4)遠隔の受信機が送信信号を受信しているかどうかの決定、及び(5)受信機への通信リンクを確立するのに必要とされる最小必要送信電力、が含まれる。
【0027】
ここで図1を参照すると、本発明の理解に有用である従来の無線受信機100のブロック図が示されている。無線受信機100は、当該技術で一般的に使用されているスーパーへテロダイン型設計である。無線受信機100は、電磁波をRF電子信号へ変換するアンテナ102を有する。RF信号は、通常、アンテナ102から受信機RF段104へ送られる。RF段104は、通常、例えばRF帯域通過フィルタ(BPF)106のような受信機フロントエンド・フィルタリングシステムを有する。BPF106は、受信機のその後の構成要素へ送られるRF信号のレンジを制限する。RF段104は、また、通常、例えば増幅器108のような1又はそれ以上のRF増幅装置を有する。
【0028】
増幅されたRF信号は、一般に、増幅器108からミキサ又は混合装置110へ送られる。局部発振器(LO)112は、ここではLO信号と称される第2のRF信号を発生させるために使用される。LO信号及び増幅器108からのRF信号は、一般に和周波数及び差分周波数を含む様々な混合生成信号を生成するよう混合装置110で混合される。和周波数は、受信されるRF信号及びLO信号の周波数の和である。差分周波数は、受信されるRF信号及びLO信号の周波数の間の差である。和周波数又は差分周波数のいずれか一方(最も一般的には差分周波数)は、更なる受信機処理のための中間周波数(IF)として選択される。かかる様々な信号の間の関係は図3に示されている。図3には、RF信号306、LO信号304、IF信号302、和信号(SUM)308、及びLO高調波信号(LOHARM)309が示されている。この例で、IF信号は、混合装置110の差分周波数出力である。SUM信号は、混合装置110の和周波数出力であり、LO高調波は、局部発振器周波数の2次高調波2×LOである。
【0029】
再び図1を参照すると、前出の様々な信号は1又はそれ以上のIF段114へ送られる。IF段114で、IF帯域通過フィルタ(BPF)116は、IF信号302のみがその後の受信機処理段へ送られることを可能にするために使用される。IFフィルタは、一般に、IF信号の帯域幅を、受信機設計により期待される変調信号の帯域幅に制限する。1又はそれ以上の増幅段及び更なるIFフィルタリング(図示せず。)が、また、設けられても良い。最終的に、IF信号は復調器118へ送られる。復調器118は、IF信号によって搬送されるアナログ又はデジタルのデータを復調し、かかる情報を出力ドライバ回路120へ送る。出力ドライバ回路120は受信機出力122を生成する。
【0030】
RF受信機100は、もっぱらRF信号の受信を目的として設計されている。LO112は、この受信処理を容易にするためにのみ設計されている。しかし、LO112によって生成されるRFエネルギの一部は、RF受信機100から発せられ得る。同様に、RF受信機100は、通常、例えば混合生成信号及びLO高調波のような他の放射を生成する。これは図1に表されている。図1には、受信機100からのRF放射126が示されている。かかる放射は、受信機設計における様々な設計及び製造上の特徴から生じうる。当然に、ここで使用される語「RF放射」は、LOからのRFエネルギ、LO高調波、及び混合生成信号のそのような放射を表す。更に、当然に、ここで使用される語「RF放射」は、もっぱら、受信機機能にとって絶対的に必要であるわけではないRF受信装置から放射されるRFエネルギを表す。従って、かかるRF放射は、例えば、受信機が出力として生成するよう設計されるオーディオ、ビデオ、又はデータ信号のような、受信機100の目的とする機能のいずれかと混同されるべきではない。
【0031】
ここで図2を参照すると、従来型の受信機検出装備は、通例、無線受信機の存在を検出するために、このようなRFエネルギの存在を使用してきた。例えば、図2で、モニタリング装置202は、RF放射を狭帯域受信器206へ送るためのアンテナ204を有することができる。受信器206は、スペクトラムアナライザ208へ結合され得る。スペクトラムアナライザ208は、RF放射126の存在を検出するようある周波数範囲210を走査する手段を提供する。
【0032】
本発明は、前出の検出処理に進む。具体的に、送信RF信号は、受信機のRF放射126での摂動又は変動の解析を行うために使用される。この変動は、特定の受信機からの放射を特定するために検出されて使用され、次いで、更に、その受信機に関する有用な情報を提供するよう解析され得る。
【0033】
ここで図4を参照すると、本発明の理解に有用であるアクティブ受信機検出及びレンジングシステム(ARDRS(Active Receiver Detection and Ranging System))402のブロック図が示されている。システム402は、無線受信機100からのRF放射126に関連するRFエネルギの取得のためのアンテナ404を有する。例えば、アンテナ404は、選択される方向でアンテナ利得を合わせることができる指向性アンテナシステムを有することができる。アンテナ404からのRFエネルギは、モニタリング装置405へ送られる。モニタリング装置405は、RF受信器406と、信号処理/復調器408とを有する。
【0034】
RF受信器406は、RF放射126を受信可能な従来設計でありうる。当業者には明らかなように、1又はそれ以上の異なるタイプのRF受信機100に関する情報を得ることが望ましい。従って、RF受信器406は、多種多様なタイプのRF受信機100に関連付けられるよう知られているRF放射をカバーするチューニングレンジを有することができる。
【0035】
本発明の実施形態に従って、RF受信器406は、既知のRF放射126に関連する1又はそれ以上の周波数にチューニングされ得る比較的狭い受信帯域を有する。代替的に、受信器406は、相当により大きい帯域幅を提供する設計であっても良い。より幅広い帯域幅設計により、受信器406は、様々な異なるRF周波数で1又はそれ以上のRF放射126を同時に受信する能力を提供することができる。かかるRF放射126は、LO信号及び/又は、例えばLO及び/又は混合生成信号の高調波のような、他のRF放射でありうる。それらの全てが共通の受信機100から発せられる。
【0036】
RF受信器406の設計に依存して、信号処理/復調器回路408は、単一のRF周波数でのRF放射を処理し、又は複数のRF周波数に存在する複数のRF放射を同時に処理するよう設計され得る。信号処理/復調器回路408は、また、少なくとも1つの復調器を有する。復調器は、有利に、RF放射126に関連する変動の現れである信号の形で復調出力を提供することが可能なタイプが選択され得る。例えば、周波数変調(FM)弁別器回路は、この目的のために使用され得る。FM弁別器回路は、当該技術でよく知られており、従って、ここでは詳細に論じられない。同様に、AM復調器は、RF放射126の振幅での変動を検出するために使用され得る。同様に、位相変調(PM)復調器は、RF放射126の位相での変動を検出するために使用され得る。同様に、復調器は、有利に、これらの変調フォーマットのうちの1若しくはそれ以上、又はいずれかの組み合わせを同時に復調するよう考案され得る。
【0037】
ARDRS402は、また、RF送信器414へ結合されている送信器アンテナ412を有する。当業者には明らかなように、RF送信器414は、幾つかの場合に、共通アンテナをRF受信器406と共有することができる。例えば、単一アンテナは、かかるアンテナが、以降で記載されるように信号を受信し及び送信するための許容可能な性能を提供する場合に使用され得る。その場合に、単一アンテナは、RF送信器414により発せられる高出力信号からRF受信器406を分離するために適切なアイソレーション及びダイプレキシング(diplexing)又はスイッチング回路が設けられることを条件として、アンテナ404及び412の代わりに使用され得る。更に、受信機100の場所は未知であるから、幾つかの例で、受信アンテナ404が、送信アンテナ412のアンテナ利得パターンと比較して異なるアンテナ利得パターンを有することが望ましい。このような場合に、別個のアンテナ404、412を使用することが、より有利でありうる。
【0038】
RF送信器414は、RF受信機100によって受信され得る1又はそれ以上の周波数でRF信号を送信することが可能な従来設計である。当然に、RF受信機100は、1又はそれ以上の異なるタイプでありうる。そのようなものとして、異なるRF受信機100は、異なる動作周波数範囲を有することができる。従って、送信器414は、有利に、1又はそれ以上のRF受信機100が信号を受信することができる周波数を含む送信周波数範囲を提供するよう設計される。RF送信器414は、励磁器(exciter)/変調回路416によって起動される。励磁器/変調回路416は、RF信号発生器を有することができる。信号発生器は、RF送信器のための安定したRFエネルギ源を提供するよう位相ロックループ(PLL)方式のRF発生器を有することができる。望ましくは、PLLは、RF送信器414のレンジ内の選択可能な周波数でRFエネルギを生成するよう設計される。
【0039】
励磁器/変調回路416は、また、変調回路を有することができる。この変調回路は、位相変調器、周波数変調器、振幅変調器、受信機100によって正常に受信される信号のタイプに合う変調器、及び1又は複数の放射での変動を最大にするよう有利に設計される変調器のうちの1又はそれ以上を有することができる。多数のタイプの変調器が使用される場合に、適切な制御回路が1又はそれ以上の変調器を選択的に動作させるために提供され得る。当業者には明らかなように、信号の振幅変調及び位相変調を同時に別々に行う能力は、ありとあらゆるタイプの変調を再現することができる。ここで記載される励磁器/変調回路416、RF送信器414及びアンテナ412は、当該技術では一般的に知られており、従って、極めて詳細には記載されない。
【0040】
ARDRS402は、また、制御プロセッサ410を有することができる。制御プロセッサ410は、ここに記載される方法を実行するための適切な命令の組によりプログラムされているASIC、マイクロプロセッサ、状態機械、又は汎用コンピュータでありうる。制御プロセッサ410は、プログラム命令及び/又はデータの組を記憶するのに適した1又はそれ以上のデバイスを有することができる。例えば、データ記憶部411がこの目的のために設けられ得る。データ記憶部411は、RAM、ROM、及び、例えば磁気ディスクドライブのようなバルクデータ記憶装置を有することができる。データ記憶部411は、例えばデータバス及び/又は制御回路(図示せず。)のような従来手段によって制御プロセッサ410へ動作上接続されている。留意すべきは、本発明の好ましい実施形態は制御プロセッサを組み込むが、制御プロセッサの使用は、受信機の検出という本発明の基本機能を実施するために必須でない点である。特別の目的で作られた又は汎用の構成要素が、明白でない制御処理を基本的な検出メカニズムに提供するよう組み立てられ得る。
【0041】
制御プロセッサ410は、適切なデータバス又は制御ラインを用いてARDRS402の構成要素のうちの1又はそれ以上と通信する。例えば、制御プロセッサ410は、信号処理/復調器回路408から復調された信号を受信することができる。それは、また、モニタリング装置405を制御するようコマンド及び制御信号を送信することができる。かかる信号は、RF受信器406及び信号処理/復調器回路408によって実行される如何なる機能も制御するよう使用され得る。制御プロセッサ410は、また、有利に、RF送信器414を制御するよう励磁器/変調回路416へ制御信号を供給する。概して、制御プロセッサ410は、モニタリング装置405、RF送信器414、及び励磁器/変調回路416の動作を制御する。複数のモニタリング装置405は、異なる周波数若しくは周波数の異なるサブバンド、異なる変調タイプ、又はこれらのいずれかの組み合わせで信号を検出するために使用され得る。
【0042】
制御プロセッサ410は、また、ユーザインターフェース418と通信する。ユーザインターフェース418は、ARDRS402によって検出されるいずれかのRF受信機100に関するユーザへの情報を伝えることができる。例えば、ユーザインターフェース418は、受信機100までの距離若しくは範囲、受信機100がARDRS402からの信号を受信しているか否か、及び信号がRF受信機100によって受信されるのに必要な最小送信電力を特定するために使用され得る。ユーザインターフェース418は、また、以降で記載されるようにユーザがARDRS402の動作を制御する入力コマンドを伝えるための手段を提供することができる。
【0043】
図4に記載されるシステムは、本発明に従うアクティブ受信機検出及びレンジングシステムを実施するのに有用でありうる。ここで図5A及び図5Bを参照して、RF受信機100に関する情報を得るための情報を理解するのに有用な工程500が示されている。かかる方法は、RF受信機100のRF放射126をモニタするステップ502で始まる。例えば、このステップは、制御プロセッサ410とともに動作するモニタリング装置405によって行われ得る。このステップを実行するために、RF放射126の起こり得る周波数に関して幾つかの事前知識を有することが好ましい。かかる情報は、産業上の知識、法医学的検査、又は機密情報収集活動の結果として得られる。RF放射126が検出される場合は、所定タイプのRF受信機100が存在すると推測され得る。その後に、検出されたRF受信機100のタイプに関する情報はステップ504で使用され得る。代替的に、RF放射126が検出されない場合は、RF受信機100が領域内に存在しうるという想定の下で、以下に記載されるように処理は続く。
【0044】
ステップ504で、制御プロセッサ410は、励磁器/変調回路416、RF送信器414及びアンテナ412に、RF受信機100によって検出され得るRF周波数でRF信号418を発生させることができる。このRF信号の詳細は、以下でより詳細に論じられる。しかし、当然に、RF信号418は、受信機100によって受信される場合に、RF放射126での摂動又は変動を引き起こしうる。例えば、RF信号418が受信機100によって受信されるたびに、RF信号418は、LO112及びこのようなLOの高調波の周波数、位相及び/又は振幅で僅かなシフトを引き起こしうる。この挙動は、局部発振器変調、すなわちLOM(Local Oscillator Modulation)と呼ばれる。
【0045】
特に、方形波によって変調される振幅変調されたRF信号418は、受信機100の回路で電源電圧変動を引き起こしうる。かかる変動は、RF回路及びIF回路のオーバドライブ、変調入力に対応する受信機100の復調回路118からの正常な電流引き込みの変動、波形再現時における出力ドライバ回路120での正常な電流引き込みの変動に起因しうる。また、受信機の特定の設計に依存して振幅、位相及び/又は周波数変調を引き起こす他のメカニズムが存在しうる。更に、ミキサ及び発振器は本質的に2倍、3倍・・・での非線形な放射であるから、局部発振器の周波数(その二次、三次等の高調波)は、RF信号418の変調と全て同期して生成されて発せられ得る。図3には、LOの2次高調波LOHARM309が表されている。当然、本発明は、方形波振幅変調方式に限定されない。受信機の局部発振器、その高調波、及び混合生成信号の変調を引き起こしうる如何なる他の波形も使用され得る。広帯域幅変調信号(例えば、周波数チャープ(chirp)、方形波、又はランダム若しくは疑似ランダム変調。)の使用は、より広い帯域幅放射をもたらしうるので望ましい。かかる放射は、変調パターンに適合したフィルタを用いる場合に、所与の検出時間に、特有の処理利得アドバンテージにより、より容易に検出され得る。
【0046】
同様の効果は、例えば、混合生成信号等の他の放射に関連して現れる。RF信号418がミキサ110で処理される場合に、ミキサ110は、SUM信号308を含む様々な混合生成信号を生成する。SUM信号308の振幅及び他の混合生成信号は、RF信号418の振幅の変動に応答して、ある所定範囲内で変化しうる。実際に、受信機100の受信帯域幅内の如何なるRF信号418も、受信機100へ送信され得、SUM周波数308で再放射され得る。このような振幅変動における制限は、受信機100のフロントエンド回路が飽和状態に達する点に対応する。RF信号418が特定の波形である場合は、波形はSUM信号308及びSUM信号のその他高調波で検出可能である。如何なる場合にも、このようにしてRF信号418がRF放射126の振幅、位相及び/又は周波数を変調するために使用され得ることが理解される。
【0047】
SUM信号308はRF放射126として特に有用であることが分かっている。この特定の信号の有用性は、この信号が、LO信号304の周波数と比較して、しばしばRF信号306から周波数が更に離されるという事実に起因する。周波数がRF信号418とは極めて異なる受信信号126を有することは、RF送信器414の高電力出力からモニタリング装置405を分離するのに必要な回路の設計を簡単にすることができる。例えば、RF受信器406に対するフィルタリング条件は、SUM信号308又はLOHARM信号309が、一般にRF周波数306に対応するRF信号418から周波数がより離れていることから、より易しくなりうる。
【0048】
RF放射126での振幅、位相及び/又は周波数シフトが検出され得る。当然に、ここで使用されているように、語「RF放射」には、LO信号304、LO高調波(例えば309)、SUM308を含む混合生成信号、及びRF受信機100から発せられるこれらの信号の様々な高調波のうちの1又はそれ以上が含まれる。更に、「RF放射」には、受信信号を送信し又は再放射する設計配慮を用いてRF受信機から発生する信号が含まれ得る。
【0049】
ステップ506で、変動又は摂動がRF信号418に応答してRF放射で検出されたかどうかが判断される。この判断は、制御プロセッサ410によって行われ得る。例えば、信号処理/復調回路408は、変動がRF放射126の周波数で生じたことを示す信号を制御プロセッサ410へ送ることができる。制御プロセッサ410が、このような変動が送信したRF信号418に応答して生じたと判断する場合に、この判断は、RF受信機100がARDRS402から送信されたRF信号418を受信していることを表す。結果として、処理はステップ507へ続く。
【0050】
ステップ507で、制御プロセッサ410は、RF信号418がステップ504で発生する時間と、RF信号418に対応するRF放射126での変動がモニタリング装置405によって検出された時間との間に経過した時間量を決定することができる。この計時データは、例えばデータ記憶部411のような記憶場所に記憶される。その後に、処理はステップ508へ続く。計時データの目的は、以下でより詳細に記載される。
【0051】
ステップ508で、受信機100がARDRS402からの信号を受信するのに必要な最小送信器RF出力電力の決定が受信機100の解析に含まれるかどうかが、制御プロセッサ410によって判断される。最低限必要とされる送信器RF出力電力の決定が解析に含まれる場合は、処理はステップ602に進む。ステップ602で、制御プロセッサ410は、RF送信器414に対する現在のRF出力電力設定を表す値を記憶する。例えば、最初に記憶される値は最大送信器RF出力電力でありうる。ステップ604で、制御プロセッサ410は、ある所定量だけRF送信器414からのRF出力電力を低減する。例えば、RF出力電力は、1dB、2dB、又は3dBだけ低減され得る。RF出力電力のこのような低減は、何通りかの方法の中のいずれか1つによって達成され得る。例えば、励磁器/変調回路416からのRF出力電力は、RF送信器414からのRF出力電力を低減するよう、ある所定の量だけ低減され得る。
【0052】
ステップ604でのRF出力電力を低減する調整に続いて、方法はステップ606に続く。ステップ606で、制御プロセッサ410は、励磁器/変調回路416及び/又はRF送信器414を制御して、それらに、RF受信機100によって受信され得るRF周波数でRF信号418を送信させることができる。RF信号は、ステップ604で確立された電力レベルで送信される。次いで、制御プロセッサ410は、ステップ610で、RF信号418がRF放射126での変動を引き起こしたかどうかを判断することができる。変動は、RF信号418の存在と同時に起こる。かかる変動が検出される場合は、このことは、受信機100にRF信号418を受信させるほど十分な電力をRF信号418が有していたことを表すと理解され得る。従って、処理はステップ602へ戻り、現在のRF出力電力値を記録する。その後に、ステップ604から608は、ステップ610でRF放射126での変動がほとんど又は全く検出されなくなるまで、漸次より低いRF出力電力レベルで繰り返される。
【0053】
ステップ610で変動が検出されない場合は、このことは、現在のRF出力電力レベルが受信機100によって受信されないほど低いことを意味すると理解され得る。次いで、処理はステップ612に続く。ステップ612で、システムは、ステップ602でデータ記憶部に記憶されたRF出力電力値が、ARDRS402から受信機100への通信リンクを確立するために使用され得る最低RF出力電力レベルを計算するよう使用されることを記録する。この値が決定されると、処理はステップ614に続く。ステップ614で、RF出力電力レベルはリセットされる。このステップには、ステップ602から612で決定された、受信機100と通信するための最小必要RF電力レベルへとRF出力電力レベルを設定することが含まれ得る。代替的に、このステップには、最大電力出力へとRF出力電力レベルを再設定することが含まれ得る。当然、これら2つの極値の間のある中間値が選択されても良く、あるいは、制御ループが、必要とされる電力レベルの連続的な決定を可能にするよう実施され得る。
【0054】
ステップ614に続いて、処理はステップ510に続く。同様に、ステップ508で最小必要電力を決定する必要性がないと判断される場合は、処理はステップ602から614を実行することなくステップ510へ直接に進むことができる。ステップ510で、受信機100の解析にレンジ決定が含まれるべきかどうかが判断される。レンジ決定は、ARDRS402から受信機100までの距離を決定する処理である。このような解析が実行されるべき場合に、処理はステップ516へ続く。ステップ516で、制御プロセッサ410は、データ記憶部411から(ステップ507で論じられた)計時データを取り出すことができる。その後、処理はステップ518に続く。ステップ518で、制御プロセッサ410は、ARDRS402と受信機100との間の距離を計算する。計時データは、RF信号418がARDRS402からRF受信機100へ伝わって、RF放射126での変動を引き起こし、RF放射126が受信機100からARDRS402へと伝わるために必要とされる時間を表す。当業者には明らかなように、この計時データは、自由空間での無線波のよく知られている速度並びにモニタリング装置405に関連する如何なる既知の信号処理遅延及びRF受信機による伝播遅延と組み合わさって、ARDRS402と受信機100との間の距離を計算するための有意な情報である。
【0055】
このようなレンジ又は距離がステップ518で計算されると、処理はステップ512へ続く。ステップ512で、制御プロセッサ410は、有利に、受信機100が検出されたことを示すユーザへの出力通知を発生させる。出力通知は、任意に、受信機100へRF信号を送るために必要とされる最低RF電力と、受信機100までのレンジとを含みうる。更に、ここに記載されるシステムが指向性アンテナアレイあるいは2又はそれ以上のアンテナと組み合わされる場合は、ユーザへの出力通知は、更に、受信機100に対する相対的位置を含みうる。
【0056】
ステップ514で、制御プロセッサ410は、アクティブ受信機検出処理が完了したかどうかを判断することができる。処理の完了は、例えば、処理を終了するユーザインターフェース418からのユーザ入力に依存することができる。アクティブ受信機検出処理が完了する場合に処理は終了する。さもなければ、処理はステップ502へ戻る。処理の繰り返しは、前出のレンジ測定の精度を高めるために有利でありうる。例えば、レンジ測定処理の繰り返しは、信号の補間(ディザリング)のための追加のデータを収集するために使用され得る。モニタ405の(特定される周波数のリスト又はレンジから)周波数を増分し、送信器414はこの点で周波数をチューニングし、ステップ502から再開することによって、1又は複数の周波数帯域の走査は、受信機100がチューニングされる正確なチャネル又は周波数が未知である場合に達成され得る。
【0057】
当然に、RF信号418は多種多様な形態を取ることができる。これらの形態の全てが、本発明の適用範囲内に含まれるよう意図される。例えば、RF信号418は、ビットシーケンスに従う振幅、位相、又は周波数変調のいずれかの組み合わせを有することができる。このビットシーケンスは、所定の変調パターンを定義することができる。この所定の変調パターンは、RF放射126での変動を変調パターンに従って発生させうる。例えば、RF信号418が、データビットのシーケンスに従ってオン及びオフをされるように振幅変調される場合に、RF放射126は、RF信号418がオン又はオフをされるたびに、位相、周波数又は振幅が変わると期待され得る。従って、RF放射126の周波数は、周波数偏移キーイング(FSK(Frequency Shift Keying))、位相偏移キーイング(PSK(Phase Shift Keying))、振幅偏移キーイング(ASK(Amplitude Shift Keying))、又は振幅及び位相変調のいずれかの組み合わせと同様の方法でビットパターンに従って変調される。
【0058】
所定の変調パターンはデータビットの如何なるシーケンスであっても良い。本発明の一実施形態に従って、制御プロセッサ410は、アルゴリズムによって提供される疑似ランダム数に直接に又は間接に基づくデータビットの疑似ランダムシーケンスを発生させることができる。疑似ランダム数を発生させる手法は、当該技術でよく知られている。
【0059】
代替的に、又はこのような疑似ランダム手法に加えて、RF信号418は、RF信号418が送信される時間の間に周波数を幾らか変更することができる。例えば、信号は、ある時間期間に亘って周波数が増大又は低減するチャープの形で送信され得る。例えば、送信されるRFエネルギの各パルスは、このようにしてチャープされる。RF信号418の周波数の変動は、RF放射126の周波数の更なる変動を引き起こしうる。当然、本発明はこの点において限定されず、如何なる適切な信号フォーマットもRF信号418に使用され得る。
【0060】
データビットのシーケンスを含むよう変調パターンを選択することは、RF放射126の変動が他の予期しない効果でなくてRF信号418の結果であることを制御プロセッサ410が決定することを可能にするのに都合が良い。しかし、このようにしてデータビットのシーケンスを用いることには、更に、他の利点がある。例えば、データビットのシーケンスは、ノイジーなRF環境から弱いRF放射126を回復するのに有用である追加の処理利得を提供するために使用され得る。例えば畳み込み処理又は相関関係等の従来の技術は、このような処理を実行して、RF放射126で起こる如何なる変動も検出するのに役立つよう使用され得る。このような処理技術は、当該技術でよく知られており、従って、ここでは詳細に記載されない。しかし、当然、如何なる適切な信号処理技術も、当業者によって理解されうるように、追加の信号処理利得を提供するために使用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF受信機に関する情報を得る方法であって、
前記RF受信機の少なくとも1つのRF放射をモニタするステップと、
前記RF受信機によって受信され得るRF周波数でRF信号を生成するステップと、
前記RF信号に応答する前記RF放射での変動を検出するステップと
を有する方法。
【請求項2】
前記モニタするステップは、前記RF受信機における局部発振器から発せられるRFエネルギを含むよう前記RF放射を選択するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記モニタするステップは、局部発振器の基本周波数の高調波関連の混合生成信号及びRFエネルギを含むグループから選択される前記RF受信機の放射を含むよう前記RF放射を選択するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記RF放射の変調を含むよう前記変動を選択するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記生成するステップは、前記RF信号を選択的に変調するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記受信機から離れた場所で送信される場合に、前記RF信号でのタイミングマーカの送信から前記RF放射での前記タイミングマーカのその後の検出までの間の時間遅延を決定するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記変動を引き起こすために必要な最小の電力レベルを決定するよう前記RF信号の電力レベルを選択的に変更するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
遠く離れて位置付けられるRF受信機に関する情報を得るシステムであって、
前記RF受信機の少なくとも1つのRF放射をモニタするモニタリング装置と、
前記モニタリング装置へ動作上結合され、前記RF受信機によって受信され得るRF周波数でRF信号を生成するよう構成されるRF送信器と
を有し、
前記モニタリング装置は、前記RF信号に応答する前記RF放射での変動を検出するよう構成される少なくとも1つのRF信号処理手段を有する、システム。
【請求項9】
前記モニタリング装置の受信周波数は、前記RF受信機における局部発振器から発せられるRFエネルギを受信するようチューニングされる、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記モニタリング装置の受信周波数は、局部発振器の基本周波数の高調波関連の混合生成信号及びRFエネルギを含むグループから選択される前記RF受信機の少なくとも1つの放射を受信するようチューニングされる、請求項8記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2010−503867(P2010−503867A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528521(P2009−528521)
【出願日】平成19年9月17日(2007.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/078609
【国際公開番号】WO2008/036582
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(594071675)ハリス コーポレイション (287)
【氏名又は名称原語表記】Harris Corporation
【Fターム(参考)】