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アクリル−フッ素複合重合体粒子
説明

アクリル−フッ素複合重合体粒子

【課題】強制乾燥法によっても耐水性が確保でき、しかも、耐候性や耐薬品性を維持したままフッ素樹脂量を低減化できるアクリル−フッ素複合重合体粒子、および該粒子を用いた水性塗料組成物を提供する。
【解決手段】(A)構造単位としてテトラフルオロエチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位およびクロロトリフルオロエチレン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種のフルオロオレフィン単位ならびにフッ化ビニリデン単位を含むフッ化ビニリデン系重合体と、(B)該フッ化ビニリデン系重合体(A)と相溶性の(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)、該フッ化ビニリデン系重合体(A)と非相溶性の(メタ)アクリル酸エステル単位(b2)および加熱により架橋可能な架橋性基を有する(メタ)アクリル系単量体単位(b3)を含む架橋性アクリル系重合体(B)とからなるアクリル−フッ素複合重合体粒子であって、フッ化ビニリデン系重合体(A)/架橋性アクリル系重合体(B)が質量比で10/90〜90/10であるアクリル−フッ素複合重合体粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の基材の塗装用の塗料用組成物のバインダーに適した新規な含フッ素共重合体粒子、該含フッ素共重合体粒子を含む水性分散体、および該水性分散体を含む水性塗料用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
塗装用の塗料組成物として、有機溶剤系の塗料のほか、自然環境への配慮や塗装作業環境の改善の点から水を分散媒とする水性塗料が知られている。また、建材、特に屋根材、外壁などの建材の塗装という面からは、耐候性に優れることが要求され、特に耐候性、耐水性、耐薬品性、造膜性などに優れたフッ素樹脂をバインダーとする水性塗料組成物が開発されている。
【0003】
しかし、フッ素樹脂は本質的に他材との密着性に劣るため、基材との密着性の改良が種々行われてきている。たとえば、特許文献1では、フッ化ビニリデン(VDF)系のフッ素樹脂をシード粒子の存在下に、(メタ)アクリル酸エステルとエチレン性不飽和単量体とからなる単量体混合物をシード重合させる際に、単量体混合物中にシクロヘキシル基を有する単量体を0.5〜45質量%含ませると共に、単量体混合物をフッ素樹脂に対して50質量%以下にすることにより、得られる含フッ素系重合体水性分散液が密着性に優れた塗膜を提供することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−259773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水性塗料組成物は溶剤系の塗料組成物に比して乾燥に時間を要するため、通常、強制的に乾燥させている。強制乾燥は、一般的に60〜200℃(基材の温度)で3秒間〜10分間行われており、その結果、樹脂組成によっては、造膜が不充分になるため、塗膜の強度が低下するほか、耐水性が低下し、基材との界面接着が損なわれてしまうことがある。
【0006】
また別の観点、特に高価なフッ素樹脂の低減の観点から、フッ素樹脂の割合を減らす検討も行われているが、フッ素樹脂の特性を発揮させるためには限度があり、フッ素樹脂の割合を少なくとも50質量%以上、実用上は60〜70質量%にする必要があった。
【0007】
これらの観点から、特許文献1に記載の含フッ素系重合体水性分散液は、強制乾燥による密着性の低下に改善の余地があり、また、アクリル樹脂の割合も多くする必要がある。
【0008】
本発明者らはかかる課題を解決するべく鋭意検討した結果、含フッ素重合体とアクリル系単量体とのアクリル−フッ素複合重合体粒子において、粒子を構成する架橋性アクリル系重合体の組成を工夫することにより、強制乾燥法によっても耐水性が確保でき、しかも、耐候性や耐薬品性を維持したままフッ素樹脂量を低減化できることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、
(A)構造単位としてテトラフルオロエチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位およびクロロトリフルオロエチレン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種のフルオロオレフィン単位ならびにフッ化ビニリデン単位を含むフッ化ビニリデン系重合体と、
(B)該フッ化ビニリデン系重合体(A)と相溶性の(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)、該フッ化ビニリデン系重合体(A)と非相溶性の(メタ)アクリル酸エステル単位(b2)および加熱により架橋可能な架橋性基を有する(メタ)アクリル系単量体単位(b3)を含む架橋性アクリル系重合体(B)とからなるアクリル−フッ素複合重合体粒子であって、フッ化ビニリデン系重合体(A)/架橋性アクリル系重合体(B)が質量比で10/90〜90/10であるアクリル−フッ素複合重合体粒子に関する。
【0010】
本発明はまた、本発明のアクリル−フッ素複合重合体粒子を含む水性分散体、さらには、該水性分散体を含む水性塗料用組成物にも関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、強制乾燥法によっても耐水性が確保でき、しかも、耐候性や耐薬品性を維持したままフッ素樹脂量を低減化できるアクリル−フッ素複合重合体粒子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のアクリル−フッ素複合重合体粒子は、
(A)構造単位としてテトラフルオロエチレン(TFE)単位、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位およびクロロトリフルオロエチレン(CTFE)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種のフルオロオレフィン単位ならびにフッ化ビニリデン(VDF)単位を含むVDF系重合体と、
(B)該VDF系重合体(A)と相溶性の(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)、該VDF系重合体(A)と非相溶性の(メタ)アクリル酸エステル単位(b2)および加熱により架橋可能な架橋性基を有する(メタ)アクリル系単量体単位(b3)を含む架橋性アクリル系重合体(B)とからなるアクリル−フッ素複合重合体粒子であって、VDF系重合体(A)/架橋性アクリル系重合体(B)が質量比で10/90〜90/10であるアクリル−フッ素複合重合体粒子である。
VDF系重合体(A)及び架橋性アクリル系重合体(B)は単一粒子中に存在する。VDF系重合体(A)及び架橋性アクリル系重合体(B)は化学的に結合していてもよいし、結合していなくてもよい。VDF系重合体(A)及び架橋性アクリル系重合体(B)の質量比は、単一粒子を構成するVDF系重合体(A)及び架橋性アクリル系重合体(B)の単一粒子中の質量比である。
【0013】
以下、各成分について説明する。
【0014】
本発明におけるVDF系重合体(A)としては、VDFのほか、構造単位としてテトラフルオロエチレン(TFE)単位、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位およびクロロトリフルオロエチレン(CTFE)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種のフルオロオレフィン単位を含む。本発明におけるVDF系重合体(A)としては、テトラフルオロエチレン単位およびクロロトリフルオロエチレン単位を含むことが好ましい。
【0015】
VDF系重合体(A)として特に好ましいVDF系重合体は、VDF/TFE共重合体、VDF/TFE/CTFE共重合体、VDF/HFP共重合体、VDF/TFE/HFP共重合体、VDF/CTFE共重合体などがあげられる。
【0016】
要すれば、他のフルオロオレフィン、フルオロオレフィンと共重合可能な非フッ素系単量体に由来する構造単位を含んでいてもよい。
【0017】
他のフルオロオレフィンとしては、たとえばパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、
【化1】

などのパーフルオロオレフィン;フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペンなどの非パーフルオロオレフィンがあげられる。パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としてはパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)などがあげられる。
【0018】
また、官能基含有フルオロオレフィンも使用できる。官能基含有フルオロオレフィンとしては、たとえば式(1):
CX=CX−(Rf)−Y (1)
(式中、Yは−OH、−COOH、−SOF、−SO(Mは水素原子、NH基またはアルカリ金属)、カルボン酸塩、カルボキシエステル基、エポキシ基またはシアノ基;XおよびXは同じかまたは異なりいずれも水素原子またはフッ素原子;Rfは炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基または炭素数2〜40のエーテル結合を含有する2価の含フッ素アルキレン基;mは0または1)で示される化合物があげられる。
【0019】
具体例としては、たとえば
【化2】

【化3】

などがあげられる。
【0020】
重合体(A)は、ヨウ素含有モノマーに基づく繰り返し単位を含んでいてもよい。ヨウ素含有モノマーとしては、たとえば特公平5−63482号公報や特開昭62−12734号公報に記載されているパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)、パーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのパーフルオロビニルエーテルのヨウ素化物も使用できる。
【0021】
重合体(A)は、フルオロオレフィンと共重合可能な非フッ素系単量体に基づく繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0022】
VDF系重合体のフッ素元素含有量は、50〜76質量%、さらには60〜70質量%が好ましい。
【0023】
VDF系重合体(A)の製造方法は特に限定されず、従来公知の乳化重合法で行うことができる。
【0024】
本発明における架橋性アクリル系重合体(B)は、VDF系重合体(A)と相溶性の(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)、VDF系重合体(A)と非相溶性の(メタ)アクリル酸エステル単位(b2)、および加熱により架橋可能な架橋性基を有する(メタ)アクリル系単量体単位(b3)を含む。
【0025】
(b1)VDF系重合体(A)と相溶性の(メタ)アクリル酸エステル(以下、「相溶性(メタ)アクリル酸エステル」ということもある)
【0026】
相溶性(メタ)アクリル酸エステル(b1)は、VDF系重合体(A)と架橋性アクリル系重合体(B)との相溶性を高め、アクリル−フッ素複合重合体の一体性を高める働きをすると共に、常温乾燥時の造膜性を良好にする。
【0027】
相溶性(メタ)アクリル酸エステル(b1)の具体例としては、炭素数1〜4の鎖状のアルキルエステル、たとえばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレートなどの1種または2種以上が例示できる。なかでも、VDF系重合体への溶解性が良好な点から、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、n−ブチルメタクリレート(n−MBA)、n−ブチルアクリレート(n−BA)、エチルアクリレート(EA)、メチルアクリレートなどの1種または2種以上が好ましい。
【0028】
相溶性(メタ)アクリル酸エステル(b1)の含有量は、塗膜の透明性が良好な点から架橋性アクリル系重合体(B)の10〜90質量%、さらには20〜75質量%が好ましい。
【0029】
(b2)VDF系重合体(A)と非相溶性の(メタ)アクリル酸エステル(以下、「非相溶性(メタ)アクリル酸エステル」ということもある)
【0030】
非相溶性(メタ)アクリル酸エステル(b2)は、強制乾燥時のアクリル−フッ素複合重合体の造膜性を改善し、基材との密着性を高める働きをすると共に、塗膜の耐水性を良好にする。
【0031】
なお、「VDF系重合体(A)と相溶性」および「VDF系重合体(A)と非相溶性」とは、VDF系重合体(A)を単量体と混合したとき、透明である場合を「VDF系重合体(A)と相溶性」といい、また、混合時、白く濁る場合を「VDF系重合体(A)と非相溶性」という。
【0032】
非相溶性(メタ)アクリル酸エステル(b2)の具体例としては、炭素数6〜20の鎖状アルキルエステル、炭素数6〜20の脂環構造を有するアルキルエステル、または炭素数6〜20のアリールエステルがあげられる。たとえばヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、ターシャリーブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレートなど鎖状アルキルエステル;シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどの脂環式アルキルエステル;ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどのアリールエステルの1種または2種以上が例示できる。なかでも、塗膜の耐候性が良好な点から、炭素数6〜20の鎖状アルキルエステルおよび/または炭素数6〜20の脂環構造を有するアルキルエステル、特に2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)および/またはシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)が好ましい。
【0033】
非相溶性(メタ)アクリル酸エステル(b2)の含有量は、造膜性、密着性が良好な点から架橋性アクリル系重合体(B)の5〜85質量%、さらには15〜70質量%が好ましい。
【0034】
(b3)加熱により架橋可能な架橋性基を有する(メタ)アクリル系単量体(以下、「架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体」ということもある)
【0035】
架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体(b3)は、強制乾燥時のアクリル−フッ素複合重合体の造膜時に、アクリル系重合体(B)中の非相溶性(メタ)アクリル酸エステル単位(b2)とVDF系重合体(A)との分離や膜の白濁などを抑える働きをすると共に、基材への密着性を良好にする。
【0036】
架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体(b3)が有する架橋性基は、加熱により架橋可能な官能基である。したがって、常温架橋する非ブロック型イソシアネート基などの架橋性基は本発明における架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体(b3)の架橋性基ではない。
【0037】
加熱により架橋可能な架橋性基としては、たとえばエポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、メチロールアミド基、シリル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、ブロックイソシアネート基、エチレンイミン基などがあげられ、エマルションの安定性が良好な点から、エポキシ基、カルボキシル基が好ましい。
【0038】
エポキシ基を有する架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体としては、たとえばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)などのグリシジル化合物があげられ、重合時の安定性が良好な点から、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートの1種または2種以上が好ましい。架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体がエポキシ基を含有する場合、塗装時の粒子間の造膜性や基材との密着性がさらに良好になる。
【0039】
カルボキシル基を有する架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体としては、たとえばアクリル酸、フタル酸2−アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−アクリロイルオキシエチル、メタクリル酸、フタル酸2−メタクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエチルなどの1種または2種以上があげられ、エマルションの安定性が良好な点から、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)の1種または2種以上が好ましい。架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体がカルボキシル基を含有する場合、塗装時の粒子間の造膜性や基材との密着性がさらに良好になる。
【0040】
水酸基を有する架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体としては、たとえば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどの1種または2種以上があげられる。
【0041】
アミノ基を有する架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体としては、たとえば、アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−(O−〔1’−メチルプロピリデンアミノ〕カルボキシアミノ)エチルメタクリレートなどの1種または2種以上があげられる。
【0042】
メチロールアミド基を有する架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体としては、たとえば、メチロール化アクリルアミド、アルコキシメチルアクリルアミドなどの1種または2種以上があげられる。
【0043】
シリル基を有する架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体としては、たとえば、
CH=CHCOO(CHSi(OCH
CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
CH=CHCOO(CHSi(OC
CH=CHCOO(CHSi(CH)(OC
CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
CH=C(CH)COO(CHSi(OC
CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OC
CH=C(CH)COO(CHO(CHSi(OCH
CH=C(CH)COO(CH(CHSi(CH)(OCH
CH=C(CH)COO(CH11Si(OCH
CH=C(CH)COO(CH11Si(CH)(OCH
などの1種または2種以上があげられる。
【0044】
これらの架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体(b3)は、架橋性基の種類に限らず、2種以上を併用してもよい。たとえば、エポキシ基含有アクリル系単量体とカルボキシル基含有アクリル系単量体、エポキシ基含有アクリル系単量体と水酸基含有アクリル系単量体、エポキシ基含有アクリル系単量体とアミノ基含有アクリル系単量体、エポキシ基含有アクリル系単量体とメチロールアミド基含有アクリル系単量体、カルボキシル基含有アクリル系単量体とカルボジイミド基含有アクリル系単量体、カルボキシル基含有アクリル系単量体とオキサゾリン基含有アクリル系単量体、水酸基含有アクリル系単量体とブロックイソシアネート基含有アクリル系単量体、水酸基含有アクリル系単量体とエチレンイミン基含有アクリル系単量体、水酸基含有アクリル系単量体とカルボキシル基含有アクリル系単量体、水酸基含有アクリル系単量体とメチロールアミド基含有アクリル系単量体、メチロールアミド基含有アクリル系単量体とエチレンイミン基含有アクリル系単量体、メチロールアミド基含有アクリル系単量体とカルボキシル基含有アクリル系単量体、アミノ基含有アクリル系単量体とエチレンイミン基含有アクリル系単量体との併用などがあげられ、なかでも、エポキシ基含有アクリル系単量体とカルボキシル基含有アクリル系単量体とを併用するときは、エマルションの安定性が特に優れたものになる。
【0045】
架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体(b3)の含有量は、エマルションの安定性が良好な点から架橋性アクリル系重合体(B)の1〜20質量%、さらには1〜5質量%が好ましい。また、架橋性基含有(メタ)アクリル系単量体単位(b3)を2種以上含有する場合、合計量が上記の範囲において、適宜選定すればよい。たとえば、エポキシ基含有アクリル系単量体とカルボキシル基含有アクリル系単量体を併用する場合、質量比で70/30〜30/70の範囲が好ましい。
【0046】
架橋性アクリル系重合体(B)は、上記(b1)〜(b3)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、上記(b1)〜(b3)以外の他の構造単位を含んでいてもよい。他の構造単位としては、たとえば芳香族ビニル単量体単位、上記(b3)以外のエポキシ基含有単量体単位、上記(b3)以外の不飽和カルボン酸系単量体単位、ビニルエーテル系単量体、オレフィン系単量体、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体、ビニルエステル系単量体などがあげられる。
【0047】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類が例示できる。エポキシ基含有単量体としては、アリルグリシジルエーテルなどが例示できる。
【0048】
不飽和カルボン酸系単量体としては、たとえばビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニル、ウンデシレン酸などがあげられる。
【0049】
ビニルエーテル系単量体としては、アルキルビニルエーテル類、水酸基含有ビニルエーテル類などが、水酸基含有ビニルエーテルとしては、たとえば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどがあげられる。
【0050】
オレフィン系単量体としては、たとえばエチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン、スチレンなどがあげられる。
【0051】
加水分解性シリル基含有ビニル系単量体としては、たとえば
CH=CHSi(OCH
CH=CHSi(CH)(OCH
CH=C(CH)Si(OCH
CH=C(CH)Si(CH)(OCH
CH=CHSi(OC
CH=CHSi(OC
CH=CHSi(OC
CH=CHSi(OC13
CH=CHSi(OC17
CH=CHSi(OC1021
CH=CHSi(OC1225
CH=CHCHOCO(o−C)COO(CHSi(OCH
CH=CHCHOCO(o−C)COO(CHSi(CH)(OCH
CH=CH(CHSi(OCH
CH=CH(CHSi(OCH
CH=CHO(CHSi(OCH
CH=CHCHO(CHSi(OCH
CH=CHCHOCO(CH10Si(OCH
などがあげられる。
【0052】
ビニルエステル系単量体としては、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類などがあげられる。
【0053】
上記(b1)〜(b3)以外の他の単量体の架橋性アクリル系重合体(B)中の含有量は、単量体の種類にもよるが10質量%以下が好ましい。
【0054】
本発明において、架橋性アクリル系重合体(B)の好ましい具体的な組成としては、たとえばMMA/2−EHA/MAA/GMA(60〜80/10〜30/0.5〜5/0.5〜10質量比)、n−BA/CHMA/MAA/GMA(10〜30/55〜80/0.5〜10/0.5〜5質量比)、MMA/n−BA/CHMA/MAA/GMA(1〜50/5〜40/1〜70/0.5〜5/0.5〜10質量比)などがあげられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0055】
本発明のアクリル−フッ素複合重合体におけるVDF系重合体(A)と架橋性アクリル系重合体(B)の割合は、VDF系重合体(A)/架橋性アクリル系重合体(B)が質量比で10/90〜90/10であり、10/90〜70/30であることが好ましい。たとえば(A)/(B)が70/30より大きくなる、すなわちVDF系重合体(A)が70質量%を超えると塗装時の造膜性、基材への密着性という利点が損なわれる。より好ましくは、(A)/(B)が20/80〜50/50である。更に好ましくは、(A)/(B)が30/70〜40/60である。
【0056】
本発明のアクリル−フッ素複合重合体粒子の製造に用いる重合法は、従来公知の重合法、特に乳化重合法が採用でき、たとえばシード重合法が特に好ましく採用できる。シード重合法は特に限定されず、従来公知の方法と条件で行うことができる。
【0057】
たとえば、アクリル系単量体混合物のシード重合は、VDF系重合体粒子の存在下に、反応系にアクリル系単量体混合物の全量を一括して仕込む方法、アクリル系単量体混合物の一部を仕込み反応させた後、残りを連続または分割して仕込む方法、アクリル系単量体混合物の全量を連続して仕込む方法などによって行うことができる。
【0058】
また、このシード重合の重合条件は、通常の乳化重合と同様である。たとえば、VDF系重合体粒子を含む水性媒体中に、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤、場合によってはキレート化剤、pH調整剤などを添加し、10〜90℃の温度で0.5〜6時間反応を行うことにより重合することができる。
【0059】
乳化剤としては、反応性乳化剤でも非反応性乳化剤でも、またはそれらの併用でもよい。非反応性乳化剤としては、従来公知のアニオン性乳化剤、非イオン性乳化剤を単独またはこれらの併用があげられる。場合によっては両性乳化剤を用いることもできる。
【0060】
シード重合の際に用いる重合開始剤としては、水性媒体中でフリーラジカル反応に供し得るものであれば特に限定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用いることも可能である。使用可能な水溶性の重合開始剤としては、たとえば過硫酸塩、過酸化水素、還元剤としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ロンガリットなどをあげることができる。油溶性の重合開始剤としては、たとえばジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などをあげることができる。重合開始剤の使用量は、通常、アクリル系単量体混合物100質量部あたり、0.05〜2.0質量部である。
【0061】
シード重合の際に用いてもよい連鎖移動剤としては、たとえばクロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどのメルカプタン類などをあげることができる。連鎖移動剤の使用量は、通常、アクリル系単量体混合物100質量部あたり、0〜5.0質量部である。
【0062】
本発明のアクリル−フッ素複合重合体粒子の製造において、VDF系重合体粒子と上記(b1)〜(b3)を含むアクリル系単量体混合物との比率は、VDF系重合体粒子100質量部に対してアクリル系単量体混合物は100質量部以上である。さらには、塗装時の造膜性が良好な点から、VDF系重合体粒子100質量部に対してアクリル系単量体混合物を110質量部以上、特に150質量部以上である。
【0063】
本発明は、上述のアクリル−フッ素複合重合体粒子を含む水性分散体でもある。本発明において水性分散体中でのアクリル−フッ素複合重合体粒子の粒子径は、50〜300nmが好ましい。より好ましくは、50〜250nmである。粒子径が50nm未満であると、水性分散体のアクリル−フッ素複合重合体粒子の濃度が実用的範囲である30質量%以上において水性分散体の粘度が著しく増大し、塗料化の作業に支障を来すことがある。一方300nmを超えると、得られる水性分散体の沈降安定性が低下する傾向があり、また、アクリル−フッ素複合重合体粒子の最低成膜温度の上昇を招くことがある。
【0064】
本発明のアクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散体の固形分濃度は、塗料用途の観点からは30〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは35〜50質量%である。
【0065】
本発明のアクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散体は、種々の形態で各種の用途に利用できる。
【0066】
たとえば、各種の塗料用組成物の塗膜形成成分、フィルムやシートの成形材料のほか、接着剤組成物、インキ用組成物などが例示できるが、これらに限定されるものではない。水性塗料用組成物として用いる場合は、強制乾燥で造膜した場合でも基材との接着性が向上する。
【0067】
本発明のアクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散体は、上述したシード重合法により製造することができる。
本発明のアクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散体は、VDF系重合体(A)からなる粒子を含む水性分散液に、VDF系重合体(A)と相溶性の(メタ)アクリル酸エステル(b1)、VDF系重合体(A)と非相溶性の(メタ)アクリル酸エステル(b2)、加熱により架橋可能な架橋性基を有する(メタ)アクリル系単量体(b3)、及び、重合開始剤を添加する工程、並びに、
(メタ)アクリル酸エステル(b1)、(メタ)アクリル酸エステル(b2)、及び、(メタ)アクリル系単量体(b3)を反応させる工程、
を含む製造方法により好適に製造することができる。
【0068】
本発明は、上述の水性分散体を含む水性塗料用組成物でもある。本発明の水性塗料用組成物は、膜形成材として前記のアクリル−フッ素複合重合体粒子を用いるほかは、従来公知の添加剤や配合割合が採用できる。たとえば、アクリル−フッ素複合重合体粒子の濃度としては、たとえば10〜60質量%程度の範囲から選定すればよい。
【0069】
また、顔料入りの水性塗料用組成物を調製する場合は、アクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散液に、あらかじめサンドミル等の顔料分散機で水、酸化チタンなどの顔料、消泡剤、顔料分散剤、pH調整剤等を分散した顔料分散体の所定量と造膜補助剤の所定量を撹拌混合したのち、増粘剤を所定量加えて混合し、その他必要な添加剤を適宜加えればよい。顔料を加えない水性塗料用組成物を調製する場合は、アクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散液に、必要に応じ、水、造膜補助剤、消泡剤、増粘剤、pH調整剤、その他所要の添加剤を加えて公知方法で撹拌混合すればよい。
【0070】
塗料用途の添加剤としては、必要に応じ、造膜補助剤、凍結防止剤、顔料、充填剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、つや消し剤、潤滑剤、加硫剤等を添加することもできる。
【0071】
本発明の水性塗料用組成物を適用する基材としては特に限定されず、溶融めっき鋼板、ステンレススチール板、アルミニウム鋼板、などの金属系基材;スレート、窯業系サイジング材、発泡コンクリート、ガラスなどのセラミック系基材;塩ビシート、PETフィルム、ポリカーボネート、アクリルフィルムなどのプラスチック基材に適用できる。溶融めっき鋼板としては、たとえば溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛―アルミニウム―マグネシウム合金めっき鋼板、溶融アルミニウム−亜鉛めっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板などがあげられる。
【0072】
本発明の水性塗料用組成物を各種の基材に塗装する方法としては従来公知の方法と条件が採用できる。たとえば、基材にスプレーコーティングやロールコーティング、フローコーティング、ローラー、刷毛による塗装などの塗装方法が採用できる。
【0073】
塗装後の乾燥方法は特に制限されず、周囲温度での自然乾燥でもよいし、乾燥時間を掛けての低温(5〜60℃)での乾燥でもよいが、本発明の塗料用組成物は、常温〜200℃、特に60〜200℃(基材温度)での強制乾燥においても、耐候性、耐水性、強度、基材密着性、造膜性に優れた塗膜を形成することができる。強制乾燥に要する時間は、通常3秒間〜10分間である。
【0074】
塗料用組成物としては、耐候性塗料用組成物、特に建築・建材用の耐候性塗料用組成物、自動車の内・外装用塗料用組成物、電気製品の内・外装塗料用組成物、事務機器あるいは厨房器具類の塗料用組成物などが例示でき、特に耐候性・耐久性が良好な点から建材用の耐候性塗料用組成物に有利に適用できる。
【実施例】
【0075】
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0076】
実施例1
(VDF系重合体(A)の水性分散液の製造)
VDF系重合体粒子としてVdF/TFE/CTFE共重合体(=72.1/14.9/13(モル%))(VTC)の粒子の水性分散液(固形分濃度45.5質量%)659.3gを2.0L容のガラス製セパラブルフラスコに入れ、そこに乳化剤としてニューコール707SF(日本乳化剤(株)製)37.1gと、水56.8gを加えて充分に混合して水性分散液を調製した。
【0077】
つぎに1.0L容のガラス製フラスコに、メチルメタクリルレート(MMA)185.2g(71.2質量%)、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)49.9g(19.2質量%)、グリシジルメタクリレート(GMA)14.3g(5.5質量%)、メタクリル酸(MAA)10.7g(4.1質量%)を加え、モノマー溶液を調製した。
【0078】
セパラブルフラスコの内温を80℃にまで昇温し、モノマー溶液の全量を前記VDF/TFE/CTFE共重合体粒子の水性分散液に3時間かけて添加した。また、モノマー溶液滴下と同時に過硫酸アンモニウム(APS)(1質量%水溶液)41.1gを30分ごとに7回に分けて添加しながら重合を進めた。重合開始から5時間後に反応溶液を室温まで冷却して反応を終了し、アクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散体を得た(固形分濃度52.0質量%)。得られたアクリル−フッ素複合重合体中のアクリル系重合体部分の組成は、MMA/2EHA/MAA/GMA=71.2/19.2/4.1/5.5(質量%比)であった。また、得られたアクリル−フッ素複合重合体粒子におけるVDF系重合体部分とアクリル系重合体部分との質量比(VDF/アクリル)は、50/50であった。
【0079】
(水性塗料の調製)
得られたアクリル−フッ素複合重合体の水性分散液を用い、トリエチルアミンでpH7.5まで中和した。水性分散液に成膜助剤(アジピン酸ジエチル)を5質量%/固形分添加し、スリーワンモーターで30分撹拌して、クリア塗料用の水性塗料用組成物を調製した。
【0080】
(ワンコート塗装および試験片の作製)
得られた水性塗料用組成物をガルバリウム鋼板(日本テストパネル(株)製)にバーコーターにより塗装し、140℃にて7秒間の条件で乾燥して厚さ4μmのクリア塗膜を有する試験片を作製した。
【0081】
得られた試験片を用いて、つぎの特性を評価した。結果を表1に示す。
【0082】
(造膜性)
(評価基準)
10質量%の水酸化ナトリウム水溶液20μLを試験片に滴下した。滴下後、気泡発生までの時間をつぎの5段階で評価した。1:滴下後2分以内に発生、2:滴下後2〜5分の間に発生、3:滴下後5〜10分の間に発生、4:滴下後10〜15分の間に発生、5:滴下後15分後以上に発生または発生せず。
【0083】
(外観)
(評価基準)
作製した試験片に凝集物、ふくれ、割れ等があるか否かを目視により判断する。○はふくれ、割れ等が全くないもの、△はふくれ、割れ等が1つ以上で5つ以内のもの、×はふくれ、割れ等が5つより多いものである。
【0084】
(初期密着性)
塗膜の乾燥後24時間放置した後、試験片に対してJIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行う。セロハンテープ(「CT24」、ニチバン(株)製)を用い、指の腹でフィルムに密着させた後剥離する。判定は25マスの内、剥離しないマス目の数で表す。
【0085】
(耐候性)
(試験方法)
作製した試験片を促進耐候性試験機に入れ、322時間後の赤外分光スペクトルをATR法(減衰全反射法)を用い測定する。アクリレート由来のC−H伸縮振動(1700cm−1付近)の吸収の減衰率によって、耐侯性を評価する。
【0086】
促進耐候性試験機(SUV):スーパーUVテスター、岩崎電気(株)製
試験サイクル:純水スプレー(10秒毎)1時間→露光11時間(ブラックパネル温度63℃、相対湿度70%)→結露11時間(ブラックパネル温度30℃、相対湿度100%)。このサイクルを1サイクル(23時間)とする。
試験時間:322時間(14サイクル)
【0087】
(評価基準)
試験後の試験片表面部をATR法(減衰全反射法)を用い、赤外分光スペクトルを測定する。促進耐候性試験前の試験片と試験後(322時間後)の試験片を比較する。1150cm−1付近のC−F伸縮振動の吸収を規格化し、1700cm−1付近のアクリレート由来のC−H伸縮振動の吸収が試験前後で減衰していないかを確認する。○は試験前と比較し、1700cm−1付近のアクリレート由来のC−H伸縮振動の吸収の減衰が10%以内のもの、△は減衰が10%より大きく、25%以内のもの、×は減衰が25%より大きいものである。
ATR測定:Perkin Elmer社製 FT−IR Spectrometer Spectorum100を使用
【0088】
(トップクリア塗装および試験片の作製)
得られた水性塗料用組成物をガルバリウム鋼板(日本テストパネル社製)に下塗り:ダイキン社製(ゼッフル遮熱塗料下塗り)、中塗り:ダイキン社製(ゼッフル遮熱塗料下塗り)を塗布した塗板に、バーコーターを用いて塗布し、1日乾燥して厚さ10μmのクリア塗膜を有する試験片を作製した。
【0089】
(初期密着試験)
試験片に対してJIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行う。セロハンテープ(「CT24」、ニチバン(株)製)を用い、指の腹でフィルムに密着させた後剥離する。判定は25マスの内、剥離しないマス目の数で表す。
【0090】
(初期耐水試験)
得られた試験片を23℃で1日没水処理し、取り出した直後の膨れ(JIS K5600−8−2)、割れ(JIS K5600−8−4)、はがれ(JIS K5600−8−5)の等級を評価する。
【0091】
(2次密着性試験)
また、没水処理後取り出し、23℃で1日乾燥した後、JIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行う。セロハンテープ(「CT24」、ニチバン(株)製)を用い、指の腹でフィルムに密着させた後剥離する。判定は25マスの内、剥離しないマス目の数で表す。
【0092】
(膨れ)
膨れの等級(JIS K5600−8−2)の評価基準
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS1〜S5の等級(S1の方が小さい)に分け、たとえば2(S1)のように記載する。
(割れ)
割れの等級(JIS K5600−8−4)の評価基準
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS0〜S5の等級(S0の方が小さい)に、深さをa〜cの等級(aの方が浅い)に分け、たとえば2(S1)bのように記載する。
(はがれ)
はがれの等級(JIS K5600−8−5)の評価基準
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS1〜S5の等級(S1の方が小さい)に、深さをa〜bの等級(aの方が浅い)に分け、たとえば2(S1)aのように記載する。
【0093】
(一般耐水試験)
試験片を23℃で6日没水処理し、取り出した直後の膨れ(JIS K5600−8−2)、割れ(JIS K5600−8−4)、はがれ(JIS K5600−8−5)の等級を評価する。
【0094】
(2次密着性試験)
また、没水処理後取り出し、23℃で1週間乾燥した後、JIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行う。セロハンテープ(「CT24」、ニチバン(株)製)を用い、指の腹でフィルムに密着させた後剥離する。判定は25マスの内、剥離しないマス目の数で表す。
【0095】
(耐候性)
作製した試験片を促進耐候性試験機に入れ、一定サイクルごとに光沢値、L値、a値、b値を測定する。その結果から光沢保持率を算出し、塗膜の耐侯性を評価する。
【0096】
促進耐候性試験機(SUV):スーパーUVテスター、岩崎電気(株)製
試験サイクル:純水スプレー(10秒毎)1時間→露光11時間(ブラックパネル温度63℃、相対湿度70%)→結露11時間(ブラックパネル温度30℃、相対湿度100%)。このサイクルを1サイクル(23時間)とする。
試験時間:966時間(42サイクル)〜1610時間(70サイクル)
【0097】
実施例2〜4
アクリル系重合体用のアクリル系単量体混合物として、表1に示す単量体混合物を用いたほかは実施例1と同様にしてシード重合を行い、それぞれアクリル−フッ素複合重合体を得た。
【0098】
得られたアクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散液を用い、実施例1と同様にしてクリア塗料用の水性塗料用組成物を調製し、実施例1と同様にして塗膜を形成し試験片を作製し、各種の特性を調べた。結果を表1に示す。
【0099】
比較例1
アクリル系重合体用のアクリル系単量体混合物として、MMA/n−BA/AA=98.0/1.0/1.0(質量%比)の比較用単量体混合物を用いたほかは実施例1と同様にしてシード重合を行い、比較用のアクリル−フッ素複合重合体を得た。アクリル系重合体部分の組成は、MMA/n−BA/AA=98.0/1.0/1.0(質量%比)であった。また、得られたアクリル−フッ素複合重合体粒子におけるVDF系重合体部分とアクリル系重合体部分との質量比(VDF/アクリル)は、70/30であった。
【0100】
得られたアクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散液を用い、実施例1と同様にしてクリア塗料用の水性塗料用組成物を調製し、実施例1と同様にして塗膜を形成し試験片を作製し、各種の特性を調べた。結果を表1に示す。
【0101】
表1における単量体の略号は、以下の化合物を示す。
MMA:メチルメタクリレート
n−BA:n−ブチルアクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
2−EHA:2−エチルへキシルアクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
MPTES:3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
【0102】
【表1】

【0103】
表1から、成分(b1)、成分(b2)、成分(b3)を含むアクリル−フッ素複合重合体が、基材との密着性を向上させていることが分かる。
【0104】
実施例5
VDF系重合体粒子としてVdF/TFE共重合体(=80/20(モル%))(VT)の粒子の水性分散液(固形分濃度10.0質量%)を用いたほかは実施例3と同様にしてシード重合を行い、アクリル−フッ素複合重合体を得た。
【0105】
得られたアクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散液を用い、実施例1と同様にしてクリア塗料用の水性塗料用組成物を調製し、実施例1と同様にして塗膜を形成し試験片を作製し、各種の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0106】
実施例6
VDF系重合体粒子としてVdF/HFP共重合体(=91/9(モル%))(VH)の粒子の水性分散液(固形分濃度10.0質量%)を用いたほかは実施例3と同様にしてシード重合を行い、アクリル−フッ素複合重合体を得た。
【0107】
得られたアクリル−フッ素複合重合体粒子の水性分散液を用い、実施例1と同様にしてクリア塗料用の水性塗料用組成物を調製し、実施例1と同様にして塗膜を形成し試験片を作製し、各種の特性を調べた。結果を表2に示す。
【0108】
【表2】

【0109】
表2から、成分(b1)、成分(b2)、成分(b3)を含むアクリル−VDF系フッ素複合重合体が、基材との密着性を向上させていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)構造単位としてテトラフルオロエチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位およびクロロトリフルオロエチレン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種のフルオロオレフィン単位ならびにフッ化ビニリデン単位を含むフッ化ビニリデン系重合体と、
(B)該フッ化ビニリデン系重合体(A)と相溶性の(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)、該フッ化ビニリデン系重合体(A)と非相溶性の(メタ)アクリル酸エステル単位(b2)および加熱により架橋可能な架橋性基を有する(メタ)アクリル系単量体単位(b3)を含む架橋性アクリル系重合体(B)と、
からなるアクリル−フッ素複合重合体粒子であって、フッ化ビニリデン系重合体(A)/架橋性アクリル系重合体(B)が質量比で10/90〜90/10であるアクリル−フッ素複合重合体粒子。
【請求項2】
フッ化ビニリデン系重合体(A)が、テトラフルオロエチレン単位およびクロロトリフルオロエチレン単位を含む請求項1記載のアクリル−フッ素複合重合体粒子。
【請求項3】
フッ化ビニリデン系重合体(A)が、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体である請求項1記載のアクリル−フッ素複合重合体粒子。
【請求項4】
フッ化ビニリデン系重合体(A)が、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体である請求項1記載のアクリル−フッ素複合重合体粒子。
【請求項5】
フッ化ビニリデン系重合体(A)が、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体である請求項1記載のアクリル−フッ素複合重合体粒子。
【請求項6】
相溶性(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)が、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4の鎖状のアルキルエステル単位である請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクリル−フッ素複合重合体粒子。
【請求項7】
非相溶性(メタ)アクリル酸エステル単位(b2)が、(メタ)アクリル酸の脂環構造を有していてもよい炭素数6〜20のアルキルエステル単位である請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクリル−フッ素複合重合体粒子。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のアクリル−フッ素複合重合体粒子を含む水性分散体。
【請求項9】
請求項8記載の水性分散体を含む水性塗料用組成物。

【公開番号】特開2012−92316(P2012−92316A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211428(P2011−211428)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】