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アクリルブレンド
説明

アクリルブレンド

【課題】熱可塑性高分子量アクリル材料(HMWA)および熱可塑性低分子量アクリル材料(LMWA)の溶融ブレンドを含有するアクリルポリマー組成物を提供する。
【解決手段】HMWAの全重量を基準にして、HMWAの70重量%以上はアルキル(アルク)アクリレート(コ)ポリマーからなる。(コ)ポリマーは、80重量%以上のC〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートモノマー単位から誘導される第1ポリマーを含む。HMWAは、40キロダルトン〜1000キロダルトンの重量平均分子量を有する。(コ)ポリマーは、80重量%以上のC〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートモノマー単位から誘導される第2ポリマーを含む。LMWAは、からみ合い分子量(M)〜250キロダルトンの重量平均分子量を有する。HMWAはLMWAよりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクリルブレンドに関し、より詳細には、低分子量アクリルポリマーと高分子量アクリルポリマーとのブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の用途のためにアクリルポリマーの加工性を改善することは多くの商業的利益を伴う研究の重要な研究分野である。ポリマーの加工性は、一般的に、メルトフローインデックス(MFI)を増加することにより改善することができ、アクリル工業においては、これは、アルキルアクリレートまたはメタクリル酸等の種々のコポリマーを高分子量のPMMAポリマーに添加することにより達成されている。MFIの増加はこの方法で達成することができるが、これらは、また、PMMAポリマーのガラス転移温度の著しい減少をもたらし、その結果として、例えば、中程度から高い温度抵抗を必要とする適用などその適用範囲を制限する。
【0003】
EP0588147は、主にポリオレフィンとの使用のための2段階ブレンド方法を記載している。2段階ブレンド方法の使用は、最終製品におけるフィッシュアイ問題を除去するためである。特定の分子量は規定されていない。
【0004】
ウオンおよびチョー(Hwang and Cho)、浦項工科大学校、化学工学科(Department of Chemical Engineering、Pohang University)は、「Effect of chain entanglement on the bulk strength of glass polymer」の題名のインターネットの開示において、破壊靭性の推定を使用して臨界的な鎖のからみ合い密度の決定を報告している。彼らは、低分子量のPMMAの使用は、ポリマーの破壊エネルギーに悪影響を及ぼしたと結論付けている。
【0005】
WO086/05503は、同じモノマーから製造される、高分子量および低分子量アルキルアクリレートの混合物を記載している。アルキル(アルク)アクリレートは、高分子量または低分子量コポリマーのコモノマー成分として記載されているに過ぎない。この文献は、感圧接着剤のためのこれらのブレンドの使用に関するものである。
【0006】
JP56−008476は、(A)PMMA等の低分子量アクリルおよび(B)アクリルポリマーを混合することにより作製された感圧接着剤組成物を記載している。この組成物は、粗面に対して改善された接着性を与えるものとされている。
【0007】
JP07−174133は、高分子量成分としてアルキル(アルク)アクリレートを含む、低分子量および高分子量ブレンドを開示している。高分子量の含有量は低分子量の含有量よりも少ない。このブレンドの有用性は低硬度ロールとの関係にある。低分子量添加剤は、
軟化剤
可塑剤
粘着剤
オリゴマー
または潤滑剤
から選択することができる。
【0008】
JP07−174189は、JP07−174133と同様の系を開示しているが、そ
れを、振動減衰性能を改善するために適用するものである。
JP54−23539は、着色剤、アクリルコポリマーおよび任意選択でビニルポリマーを有するトナーを記載している。コポリマーは、好ましくは、(a)メタクリレート、例えばメチルメタクリレート、(b)ビニルモノマーおよび(c)グリシジルメタクリレート(2,3−エポキシプロピルメタクリレート)からなる。
【0009】
EP0144140は、ボーリング泥水としてベントナイトと混合するためのブレンドを開示している。このブレンドは、低分子量水溶性非イオンまたはアニオンポリマーおよび高分子量アニオンポリマーからなる。低分子量成分は約50Kより下であり(第2頁31行)、高分子量成分は約500Kより上である。アクリル酸ポリマーは、40Kまでの分子量を有する低分子量成分の例(第2頁18行)として与えられる。低級アルキル(C1〜4)アクリレートは一般的な例として与えられ、アクリル酸およびメタクリル酸が特に与えられる。酸基の存在は溶解性を助けてもよい。アルキル(アルク)アクリレートブレンドは開示されていない。
【0010】
EP1189987B1は、望ましいビカー軟化点を含む特定の一組の性質が、低分子量アクリルポリマーとブレンドされた衝撃改良高分子量アクリルポリマーをベースとした架橋ポリ(メタ)アクリレートを使用して達成できることを記載している。
【0011】
US6388017は、>100万の分子量を有する分子が0.1重量%〜10重量%存在するような高分子量と狭い分子量分布のエチレンベースポリマーとを接触させる方法に関する。共重合が好ましいが、可能な方法としてブレンドすることが記載されている。
【0012】
US5306775、US5319029およびUS5380803は、ひび割れ抵抗、透明性等を改善するための高分子量および低分子量ポリオレフィンブレンドを開示している。
【0013】
FR2749591は、プラスチック加工装置のためのクリーニング組成物を開示している。そこには2つのPMMA成分が存在する:
(a)95%〜25%重量/重量の高分子量非熱可塑性PMMA成分、および
(b)5〜75%重量/重量の熱可塑性PMMA。
【0014】
本明細書においては、高分子量という用語は、「500[K]ダルトンを超え、好ましくは1,000[K]ダルトンを超える平均分子量」として定義される。
同様に、本明細書は、熱可塑性[PMMA]という用語は、50[K]〜200[K]の平均分子量を有する[PMMA]を意味するものとして定義している。非熱可塑性PMMAは、クリーニング工程中に固体として残る可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】0.01〜100Hzおよび140〜250℃で測定された試験試料に対するねじれレオロジー・データ。
【図2】230℃に重ね合わせた、試験試料に対する「マスタ・カーブ」の形態でのねじれレオロジー・データ。
【図3】図2のデータセットを使用して、最小tanδ(=G”(ω)/G’(ω))でのG’(ω)から計算されたプラトー弾性率G
【図4】実施例のMFIおよびTg値を測定
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、熱可塑性高分子量アクリル材料(HMWA)および熱可塑性低分子量アクリル材料(LMWA)の溶融ブレンドを含有するアクリルポリマー組成
物であって、前記HMWAの全重量を基準にして、前記HMWAの少なくとも70%重量/重量はアルキル(アルク)アクリレート(コ)ポリマーからなり、前記(コ)ポリマーは、少なくとも80%重量/重量の、C〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートモノマー単位から誘導される第1ポリマーと、任意選択で、前記アルキル(アルク)アクリレート(コ)ポリマーを基準にして20%重量/重量までの、C〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートおよび/または(C〜Cアルク)アクリル酸モノマー単位から誘導される第1コポリマーとからなり、前記HMWAは、40キロダルトン〜1000キロダルトンの重量平均分子量を有し、前記LMWAの全重量を基準にして前記LMWAの少なくとも70%重量/重量はアルキル(アルク)アクリレート(コ)ポリマーからなり、前記(コ)ポリマーは、少なくとも80%重量/重量の、C〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートモノマー単位から誘導される第2ポリマーと、任意選択で、前記アルキル(アルク)アクリレート(コ)ポリマーを基準にして20%重量/重量までの、C〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートおよび/または(C〜Cアルク)アクリル酸モノマー単位から誘導される第2コポリマーとからなり、前記LMWAは、からみ合い分子量(M)(キロダルトンで表される)〜250キロダルトンの重量平均分子量を有し、前記HMWAは前記LMWAよりも高いMwを有するアクリルポリマー組成物が提供される。
【0017】
好ましくは、HMWAの第1ポリマーおよびLMWAの第2ポリマーは同じである、即ち、第1ポリマーがメチル(メタ)アクリレートであれば、第2ポリマーはメチル(メタ)アクリレート等である。同様に、好ましくは、第1コポリマーおよび第2コポリマーは同じである、即ち、第1コポリマーがエチルアクリレートであれば、第2コポリマーはエチルアクリレート等である。好ましくは、第1ポリマー:第1コポリマーの比は、第2ポリマー:第2コポリマーの比の±30%以内であり、更に好ましくは±20%以内であり、最も好ましくは±10%以内である。
【0018】
好ましくは、組成物におけるHMWA:LMWAの重量比は、1:1を超え、更に好ましくは、少なくとも6:5であり、最も好ましくは、少なくとも7:3である。
好ましくは、アクリルポリマー組成物は、アクリルポリマー組成物の重量を基準にして、55%重量/重量までのLMWAおよび少なくとも40%重量/重量のHMWA、更に好ましくは、15%重量/重量までのLMWAおよび少なくとも50%重量/重量のHMWA、最も好ましくは、10%重量/重量までのLMWAおよび少なくとも60%重量/重量のHMWA材料からなる。
【0019】
溶融ブレンドとは、溶融ブレンド方法により製造される組成物を意味する。溶融ブレンドとは、異なるポリマー(その分子量に関して互いに唯一異なるポリマーを含む)の2成分(またはそれより多い)組成物の不均一性を低減する溶融混合の方法を意味する。混合のメカニズムは、高温(好ましくは、全てのポリマー成分に対して、T>ガラス転移、Tg)において成分の物理的運動を誘発することである。これは、ブレンドの構成成分が均質なものとみなされるのを可能にするために十分な分布および分散混合を確実にすることを含む。これは、したがって、混合工程におけるポリマーの滞留時間がその方法による均質化を達成するための時間を越えるような十分に長い十分な時間の層流による対流混合を受けることをポリマーに要求する。(好ましくは、上手な方法は、混合されるポリマー成分のサイズおよび形状が広範囲に類似し、したがって、分散混合の助けとなることを確実にする)。適当な混合方法としては、単一もしくは二軸スクリュー押出し、または射出成形におけるスクリュー供給方法による方法が挙げられる。
【0020】
そのような定義は、圧力だけによるブレンド(温度がガラス転移よりもはるかに上昇したとしても)または溶液混合および最終の蒸発によるブレンドの使用を除外する(シー ラウベンダール(C Rauwendaal) Polymer Extrusion
Hanser Publishers、 Munich(1994年)ISBN 3−446−17960−7;322頁 & ジェイエム ディーリーおよびケイエフ ウイスブルン(JM Deely and KF Wissbrun)Melt Rheology and its role in plastics processing、 Theory and Applications Van Nostran Reinhold、 New York (1990年)ISBN 0−442−22099−5;480頁)。
【0021】
本明細書におけるMへの言及は、ねじれ溶融レオロジーの特徴付けにより決定されるとものとする。
そのような特徴付けは、米国試験材料協会(ASTM) D4440により行われる。具体的には、Mは、次の通りに、ポリマーの試料のために決定される:
ねじれレオメーターに載せる前に、固体の予備成形円盤を調製し、残留水分を除去するために、70℃で、一晩中真空オーブンで乾燥する。次いで、これらを、レオメトリックス社(Rheometrics)のRDAII回転レオメーターの直径25mmの平行板の間に載せる。
【0022】
上部試験治具を下げ、試験中にそれが経験するのとほぼ同じ正常な力で底部治具に触れる。次いで、隙間指示器をゼロに合わせる。次いで、上部試験治具を引き上げ、試料円盤を底部試験治具の上に置く。
【0023】
板を円盤の表面上に向けて徐々に下げ降ろし、次いで、2mm厚の試料円盤に対して設けられた隙間を維持しながら大体140℃の温度に加熱する。ポリマー円盤が目に見えて溶融したら、コーンおよび板の側面からはみ出てきた過剰のポリマー試料を鋭利なナイフを使用して切り取る。次いで、5%の固定歪振幅で0.01〜100ラド/秒のねじれ周波数を、この固定温度でレオメーターにより試料に適用する。この周波数の掃引中に、貯蔵(弾性)弾性率G’(ω)および損失(粘性)弾性率G”(ω)が、各周波数で決定される。
【0024】
次いで、溶融体の温度を、以前よりも大体20〜30℃高い値まで増加し、実験手順を繰り返す。測定は、大体250℃の最大温度までで、通常230℃で行った。
貯蔵および損失弾性率の測定により、標準の関係式(エルエー ウトラキ(LA Utraki) Polymer Alloys and Blends、134頁 Hanser Publishers(1990年)を参照されたい):
【0025】
【数1】

【0026】
を使用した複合粘度η(ω)の計算が可能となる。
次いで、貯蔵および損失弾性率を、ジーブイ ゴードンおよびエムティー ショウ(GV Gordon and MT Shaw) Computer Programs for Rheologists、Hanser Publishers(1994年)により概念的に記載されかつ列挙されるソース・コードを有するShiftt.exeのコンピュータ・プログラムを使用して、230℃の参照温度に対して温度時間重ね合わせに掛けた。
【0027】
得られた「マスタ・カーブ(master curve)」を230℃の参照温度に移
動して、重ね合わされる参照スペクトルとしてtanδ(G”(ω)/G’(ω))または貯蔵弾性率G’(ω)を使用して約100℃のガラス転移温度を仮定した。
【0028】
以下の図[1〜3]は、マスタ・カーブへの重ね合わせ前および後の試験試料に対する基準のレオロジー・データの1例を示す。
図[1]:0.01〜100Hzおよび140〜250℃で測定された試験試料に対するねじれレオロジー・データ。
【0029】
図[2]:230℃に重ね合わせた、試験試料に対する「マスタ・カーブ」の形態でのねじれレオロジー・データ。これは、10−2〜10ラド/秒の周波数間でのこのポリマーに対する完全なレオロジー・スペクトルを示す。
マスタ・カーブから、からみ合い分子量の決定
からみ合い分子量は、関係式
【0030】
【数2】

【0031】
により、図(2)で示されるようなデータから決定されるプラトー剪断弾性率に関連する。
ここで、ρは、温度Tでのポリマーの密度である。特定の温度でのPMMAポリマーに対するこの値は、エフエヌ コグスウエル(FN Cogswell) Polymer
Melt Rheology Appendix 9 156頁、Woodhead Publishing Ltd 1997年において見出され、Gはプラトー弾性率であり、Rは気体定数(8.3144 J mol−1−1)であり、kは定数で、その値は4/5である(アールジー ラルソンら(RG Larson et al.) Journal of Rheology 47 809頁(2003年)の管モデルにおけるからみ合い空間および時間定数の定義)。
【0032】
プラトー弾性率は、そのtanδが極小に達する貯蔵弾性率G’(ω)の値、
【0033】
【数3】

【0034】
としてマスタ・カーブから得ることができる(エス ウー(S Wu) ‘Chain Structure and entanglements’ Journal of Polymer Science:ピーティー ビー(Pt B) Polymer Physics 27 723頁(1989年)を参照されたい)。
【0035】
この様に、図(2)のデータを使用して、tanδ関数をプロットすることにより、Gの同定が可能である。
図[3]:図(2)のデータセットを使用して、最小tanδ(=G”(ω)/G’(ω))でのG’(ω)から計算されたプラトー弾性率G。この定義によるGは、0.46MPaである。
【0036】
好ましくは、本発明の組成物は熱可塑性であって、熱硬化性組成物ではない。好ましくは、溶融ブレンドは均質溶融ブレンドである。
組成物は、LMWAよりも大きいが、その他のHMWA成分より小さいかまたは大きく
てもよい重量平均分子量を有する第2または更なるHMWA成分(上記の第1HMWAと同じ方法で定義される)を任意選択で含んでもよい。この第2または更なる成分は、アクリルポリマー組成物を基準にして、少なくとも5%重量/重量、更に好ましくは、少なくとも10%重量/重量、最も好ましくは、少なくとも15%重量/重量の水準で存在する。好ましくは、前記第2または更なるHMWAは、第1HMWA成分よりも小さい重量平均分子量を有する。さもなければ、第2または更なるHMWAは、LMWAとの任意の相対的関係、例えば、LMWAの第2ポリマーおよびコポリマーに関する第3ポリマーおよびコポリマーの性質および比率の関係等を含めて、第1HMWAの任意の好ましい特徴を含んでもよい。
【0037】
更に、好ましくは、HMWAの第1ポリマーと第2または更なるHMWAの第3または更なるポリマーとは同じである。好ましくは、第1コポリマーと第3コポリマーは同じである。好ましくは、第1ポリマー:第1コポリマーの比は、第3ポリマー:第3コポリマーの比の±30%以内、更に好ましくは、±20%以内、最も好ましくは、±10%以内である。
【0038】
HMWA(存在する場合、第2または更なるHMWA成分を含む)は、アクリルポリマー組成物の全重量を基準にして、99%重量/重量まで、更に好ましくは、96%重量/重量まで、最も好ましくは、94%重量/重量までの水準で存在する。
【0039】
LMWAは、アクリルポリマー組成物の全重量を基準にして、少なくとも1%重量/重量、更に好ましくは、少なくとも2%重量/重量、最も好ましくは、少なくとも4%重量/重量の水準で存在する。
【0040】
LMWAは、アクリルポリマー組成物の全重量を基準にして、1〜60%重量/重量、更に好ましくは、2〜55%重量/重量、最も好ましくは、4〜51%重量/重量、特に4〜40%重量/重量、より特に4〜30%重量/重量の範囲で存在する。
【0041】
HMWA(存在する場合、第2または更なるHMWA成分を含む)は、アクリルポリマー組成物の全重量を基準にして、99〜40%重量/重量、更に好ましくは、98〜49%重量/重量、最も好ましくは、98〜70%重量/重量、特に98〜45%重量/重量、より特に96〜49%重量/重量、最も特に96〜60%重量/重量または96〜70%重量/重量の範囲で存在する。
【0042】
HMWAおよびLMWAは、一緒になって、90%重量/重量、更に好ましくは、95%重量/重量、最も好ましくは、99%重量/重量、特に、実質的に100%重量/重量の、アクリルポリマー組成物のアクリルモノマー誘導成分を形成してもよい。
【0043】
好ましくは、LMWAは、11キロダルトンを超え、更に好ましくは、15キロダルトンを超え、最も好ましくは、20キロダルトンを超える重量平均分子量(Mw)を有する。
【0044】
幾つかの実施形態においては、LMWAは50キロダルトンまたは70キロダルトンさえ超える重量平均分子量であってもよい。
好ましくは、LMWAは、150キロ未満、更に好ましくは、70キロ未満、最も好ましくは、65キロ未満のMwを有する。LMWAにとって特に好ましいMwは40キロ未満であり、25キロ未満は特に好ましい。
【0045】
LMWAのMwおよびHMWAのMwに対する本明細書で定義される上限および下限は、任意のそれぞれの組合せで組み合わされてもよい。
好ましくは、HMWAは、50キロダルトンを超え、更に好ましくは70キロダルトンを超え、最も好ましくは85キロダルトンを超えるMwを有する。
【0046】
HMWAの第1成分は、100キロを超え、更に好ましくは、120キロ、最も好ましくは、140キロのMwを有してもよく、これに対して、HMWAの第2または更なる成分は、50キロを超え、更に好ましくは、60キロを超え、最も好ましくは、70キロを超えるMwを有してもよい。
【0047】
好ましくは、C〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートおよび/または(C〜Cアルク)アクリル酸の第1または第2コポリマー(存在する場合)は、15%重量/重量までのアルキル(アルク)アクリレートコポリマー、更に好ましくは、10%重量/重量まで、最も好ましくは、8%重量/重量までのアルキル(アルク)アクリレートコポリマーからなる。第1または第2コポリマーは、C〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートポリマーまたは(C〜Cアルク)アクリル酸またはこれらの組合せであってもよく、LMWAまたはHMWAにおいて独立の水準で存在する。好ましくは、HMWAまたはLMWAの80%重量/重量より上が、該当するアルキル(アルク)アクリレート(コ)ポリマーであり、更に好ましくは、HMWAまたはLMWAの90%重量/重量より上、最も好ましくは、95%重量/重量より上が前記の該当する(コ)ポリマーである。
【0048】
好ましくは、HMWAおよびLMWAは、一緒になって、アクリルポリマー組成物の80%重量/重量より上、更に好ましくは、アクリルポリマー組成物の少なくとも90%重量/重量、最も好ましくは、アクリルポリマー組成物の少なくとも95%重量/重量、特に99%または100%重量/重量を形成する。
【0049】
アクリルポリマー組成物および/またはHMWAおよび/またはLMWAの残部は、適当な添加剤、好ましくは、非アクリル系添加剤からなっていてもよい。好ましくは、添加剤は、前記組成物および/またはHMWAおよび/またはLMWAの30%重量/重量未満、更に好ましくは、20%重量/重量未満、最も好ましくは、10%重量/重量未満、特に5%未満を形成する。
【0050】
添加剤は、熱安定剤、UV安定剤、着色剤、光沢調節剤、分散剤、難燃剤および潤滑剤を含んでもよい。好ましくは、添加剤は架橋剤を含まない。好ましくは、本発明で使用されるアクリレートは、組成物またはこの組成物からなる更なる組成物において実質的な架橋を行うことのできる官能基を含まない。好ましくは、組成物に存在する遊離ヒドロキシル基を有する任意のアクリル酸単位は架橋剤として作用しないか、実質的な架橋を行うのに十分な量で存在しない。特に、本発明の組成物は、好ましくは、ポリマー鎖における非アクリルまたはビニルモノマー単位(アクリルモノマーから誘導されるビニルモノマー以外の)の実質的な水準を含まない。好ましくは、本明細書で使用される「アクリルモノマー」等は、任意のまたは実質的な(例えば、1%を超える)水準のアクリロニトリルモノマーを含まずに、置換または非置換C〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートモノマーおよび(C〜Cアルク)アクリル酸モノマーを含む。好ましくは、置換アクリルモノマー等は、隣のまたは同じポリマー鎖のアクリルモノマー単位上の同じまたは異なる置換基との架橋を行うことのできる任意の(または、もしそうであれば、モノマーにおいて実質的な水準を有しない)置換基を含まない。特に、本発明のポリマーおよびコポリマーのアクリルモノマー単位は、グリシジルまたはヒドロキシル((アルク)アクリル酸以外の)基置換体を有する任意の実質的な水準のモノマー単位を含まない。上記で使用される「実質的な」とは、HMWAまたはLMWAにおいて5%重量/重量未満、更に好ましくは、1%重量/重量未満、最も好ましくは、0.1%未満、特に、0.01%重量/重量未満、より特に0.001%重量/重量を意味する。
【0051】
アクリルポリマー組成物は、また、衝撃改良ポリマーまたは溶剤に溶解されたかもしくは分散された樹脂等のベースポリマーを必要とする更なる系のベースポリマーを形成してもよい。
【0052】
したがって、本発明は、第2の態様において、
(a)本発明の第1の態様によるアクリルポリマー組成物と、
(b)適当な溶剤と
を含有するアクリル組成物に及ぶ。
【0053】
好ましくは、前記第2の態様における溶剤(b):ポリマー(a)の比(重量/重量)は、10:90〜60:40、更に好ましくは、20:80〜50:50、最も好ましくは、30:70〜45:55である。
【0054】
適当な溶剤はn−ブチルアセテートである。
架橋ポリ(メタ)アクリレート衝撃改良ブレンドの低分子量成分での変性は、低水準の架橋ポリ(メタ)クリレートで知られている。しかしながら、驚くべきことに、本発明者らは、有益な性質、例えば、衝撃改良剤の高い水準での高いTgを見出した。
【0055】
したがって、第3の態様においては、本発明は、
(a)本発明の第1の態様のアクリルポリマー組成物に関するベースポリマーと、
(b)コア−シェル衝撃改良剤、好ましくは、これらと一緒にブレンドされている衝撃改良剤と
を含有する衝撃改良アクリルポリマー組成物に及ぶ。
【0056】
好ましくは、第3の態様における(a):(b)の重量/重量比は、30:70〜90:10、更に好ましくは、40:60〜80:20、最も好ましくは、50:50〜70:30である。
【0057】
衝撃改良アクリルポリマー組成物における成分(b)の特に好ましい水準は、7〜50%重量/重量、更に好ましくは、30〜50%重量/重量、最も好ましくは、32〜40%重量/重量の範囲である。
【0058】
適当なコア−シェル粒子は、エマルション重合方法により普通に多段階グラフト共重合により作製される別々の粒子であり、それぞれは複数層構造を有し、アクリル材料等のポリマーの耐衝撃性を改善するために一般的に使用される。粒子が作製されるコポリマーのタイプおよびコアの周りに存在するシェルの数および量において異なる広範囲のこれらの粒子が利用可能である。一般的に、コアはメタクリレートのホモまたはコポリマーで作製され、第1シェルは低Tgを有するゴム材料を提供し、一般的にアルキルアクリレート/スチレンコポリマーで作製される。このシェルは、多くの場合、シェルがその中に導入されるアクリル基体に屈折率を一致させながら衝撃改良のためのゴム特性を提供するように配合される。シェルを形成するのに好ましいタイプのコポリマーは、n−ブチルアクリレートおよび芳香族コモノマー、例えば、スチレンまたはこの誘導体を基とする。第2またはその後のシェルもまた存在する。多数の適当なコア−シェル粒子は市販されており、例えば、三菱レーヨン社(Mitsubishi Rayon Co.)から市販されているIR441があり、アクリル成形材料の幾つかの市販品種としては、ポリマー中に予備配合された類似の材料が挙げられる。1つの適当なコア−シェル粒子は、その内容を本明細書に援用するWO96/37531に記載されており、(メタ)アクリルポリマーコアからなり、第1シェルは0〜25重量%のスチレンモノマーおよび75〜100重量%のアクリルモノマーからなる低Tgポリマーからなり、(メタ)アクリルモノマーは、−7
5〜−5℃の範囲のTgを有するホモポリマーを形成することができ、第1シェルは、少なくとも65容量%の、コアおよび第1シェルを一緒にした容量を表し(染色によりシェルを同定するための透過型電子顕微鏡により、そして粒子の球形度を仮定することにより、ならびにコアおよびコア/シェルの容量を決定するために、4/3πxを使用することにより決定された)、任意選択で第1(メタ)アクリルポリマーと同じか異なっていてもよい第2(メタ)アクリルポリマーからなる第2シェルならびにコアおよび第1シェルは、一緒に、0.5〜1.0重量%のグラフト架橋剤を含む。
【0059】
適当な透過型電子顕微鏡方法および装置は、フィリップス社(Philips)のCM12 TEMである。
本発明は、任意選択で、高分子量成分に予備ブレンドされたか別の方法で高分子量成分と結合された架橋ポリ(メタ)アクリレートから誘導される衝撃強度改良剤の実質的にない、および任意選択で、任意の成分に予備ブレンドされたそのような衝撃強度改良剤のない、アクリルポリマー組成物に関する。事実、1つの実施形態においては、実質的に衝撃改良剤のないアクリルポリマー組成物が示される。実質的にないとは、衝撃強度改良剤がアクリルポリマー組成物の1%重量/重量未満、更に好ましくは、0.5%重量/重量未満、最も好ましくは、0.1%重量/重量未満を意味する。
【0060】
しかしながら、都合のよいことに、本発明で使用される場合、衝撃改良成分の添加は、1工程方法で行うことができる。即ち、HMWA、LMWAおよび衝撃改良成分は、これらが別々の成分として溶融ブレンド工程に導入される単一溶融ブレンド工程において適当な量で一緒にブレンドすることができる。
【0061】
しかしながら、1つの代替方法として、衝撃改良成分は、衝撃改良LMWAとHMWAとを溶融ブレンドする前にLMWAと予備ブレンドすることができる。この方法の利点は、衝撃改良LMWAの性質がHMWAと更に共通性を有し、これによってこれらと一緒に加工処理し、溶融ブレンドすることが容易である点である。この方法により、各成分に対する温度等の最適なブレンド条件は恐らく近づくはずである。
【0062】
したがって、本発明の更なる態様によれば:
単一溶融ブレンド工程で、以下の別々の成分:
本発明の第1の態様によるHMWA、
本発明の第1の態様によるLMWA、および
コア−シェル衝撃改良剤、
を溶融ブレンドする工程
からなる、本発明の第3の態様による衝撃改良アクリルポリマー組成物を溶融ブレンドする方法が提供される。
【0063】
なお更なる代替方法として、衝撃改良剤は、本発明の第1または任意の態様の予備ブレンドしたアクリルポリマー組成物とブレンドすることができる。都合のよいことに、この方法により、本発明のアクリルポリマー組成物は、製造後に衝撃改良することができる。
【0064】
疑念の回避のために、本明細書におけるブレンドまたは溶融ブレンドへの言及は、溶融相以前の回転ブレンド相を任意選択で導入する。
HMWAおよびLMWAは、好ましくは、同じ重合方法により一般的に製造される単純な単一相ポリマーである。ブレンド前は、これらは、ビーズ、ペレットまたは顆粒等の、ブレンドにとって任意の適当な形態であってもよい。
【0065】
HMWAまたはLMWAの製造のための適当な方法としては、バルク重合および懸濁重合が挙げられる。HMWAおよび/またはLMWAはエマルション重合で製造することが
できるが、好ましくは、この方法の中に更なる不必要な工程を導入したり、非単一相ポリマーを導入可能としたり、非エマルション重合されたHMWA/LMWAと一致したビーズまたは顆粒サイズが簡単に得られないような製造はしない。
【0066】
驚くべきことに、本発明の任意の態様に関するポリマー溶融ブレンドは、単離の状態にあるHMWAと比較した場合に更に高いメルトフローインデックス(MFI)および匹敵するTgを有する。
【0067】
Tgは、HMWAに匹敵する水準で維持されるので、組成物は、高いMFIによる改善された加工性を備え、種々の類似の用途で使用することができる。例えば、匹敵する加工性は、サイクル時間を減少し、したがって、製造コストの減少を伴って維持することができる。都合のよいことに、本発明は、また、高Tgブレンドが少ない加工処理時間、即ち、加工処理中の冷却時間を必要とするので加工処理の有利性を提供する。したがって、金型における速い部品冷却速度を本発明で達成できる。更に、構造の完全性が、高い最終部品温度で達成することができ、冷却サイクル時間を有効に減少することができる。これが利点である場合の1つの用途は、高溶融流動ポリマーを必要とする厚肉成形用途である。そのような高溶融流動ポリマーは、ポリマーのTgが高い場合、より素早く脱型することができる。
【0068】
したがって、本発明は、その他の態様において、厚肉成形および脱型方法における本発明のポリマーの使用ならびに本発明の組成物の厚肉成形物に及ぶ。厚肉成形物とは、3mm〜100mm、更に好ましくは、5mm〜50mm、最も好ましくは、5mm〜20mmの平均厚さの成形品を意味する。5〜10mmの範囲の厚肉が特に好ましい。厚肉は、また、任意の部分の厚肉が製品の最も近い表面から3mmを超え、更に好ましくは4mmを超え、最も好ましくは、5mmを超え、特に6mmを超える製品にまで広げてもよい。本発明は、また、本発明の第1、第2および第3の態様のいずれかによる組成物から製造される厚肉成形ポリマー製品に及ぶ。
【0069】
MFIを増加するための能力のその他の利点は、独特の性質を有する新たなポリマーが製造できることを意味する。高Tg/高MFIポリマーは、熱暴露用途、例えば、照明器具等で特に有用である。熱暴露用途は、最終成形品を、50℃を超え、更に一般的には70℃を超える温度に暴露してもよい用途である。したがって、そのようなポリマーブレンドは、照明用途またはポリマーが近くの熱源に暴露されるその他の用途においてより一層の設計の柔軟性を与える点で有用である。
【0070】
したがって、本発明の第4の態様によれば、本発明の第1、第2または第3の態様によるアクリルポリマー組成物からなる成形ポリマー製品が提供される。前記成形品は射出成形または押出し成形されてもよい。
【0071】
MFIの増加は、また、より多くのポリマーが粘度を増加することなしに使用できるか、減少された粘度が同じ量のポリマーで見出すことができることを意味するコーティング用途において減少された粘度を与えるはずである。
【0072】
したがって、本発明の第5の態様においては、LMWAとブレンドされていないHMWAと比較して、より高いMFI溶融ブレンド組成物または成形ポリマー製品を提供するための、本発明の態様のいずれかによるアクリル組成物の使用が提供される。
【0073】
好ましくは、本発明は、また、高Tg溶融ブレンド組成物または成形ポリマー製品を提供する。
高Tgおよび/またはより高いMFIは、次の方法により試験することができる。通常
のポリマーに対するTgおよびMFIは従来の方法により定められる。疑念の回避のために、本明細書におけるMFIへの言及は、ASTM D1238−98、手順Aに従い、230℃、3.8kgの重量で決定される、g/10分でのMFIへの言及である。
【0074】
低分子量添加剤は、好ましくは、例えば、15g/10分の、通常のポリマーのメルトフローインデックスの増加を引き起すような水準で通常のポリマー中にブレンドされる。Tgが、15g/10分のMFI増加に対して測定された場合、Tgは、この方法により、一般的には、1〜15℃、更に一般的には、2〜12℃、最も一般的には、4〜10℃の範囲の減少を被るに過ぎないことが実験的に分かる。25g/10分のMFIの増加でも、Tgは、一般的には、1〜20℃、更に一般的には、2〜15℃、最も一般的には、4〜12℃で減少するに過ぎない。好ましくは、5g/10分のそれぞれのMFI増加に対しては、Tgの減少は5℃未満であり、一般的には、これは、非常に高いMFI、例えば、35g/10分、40または45g/10分までのMFIの場合である。
【0075】
この改善は、同じ量によるメルトフローインデックス(例えば、15g/10分)を増加させるための代替方法から本発明を区別する。これは、分子量を一定に保持しながらコポリマーで使用されるアクリレートコモノマーの水準を増加することにより行われる。この代替方法は、15℃を超える程のガラス転移における抑制の負担において15g/10分のMFIにおける増加を引き起す。
【0076】
したがって、高Tgは、同じタイプおよび等量のC〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートモノマーであって多量のC〜C12アルキルアクリレートモノマーから誘導され、これによって必要なMFIの増加を与える、本発明による溶融ブレンドHMWAおよびLMWAではない同じMFIを有する比較コポリマーのTgよりも高い、本発明の試験(コ)ポリマーのTgと考えてもよく、ここでの「等量」のC〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートは、比較コポリマーにおいてC〜C12アルキルアクリレートの量の比例的増加により減少されるのと同じ量であり、例えば、比較コポリマーが、試験ポリマーよりも5%重量/重量多いC〜C12アルキルアクリレートを含む場合、比較コポリマーにおけるC〜C12アルキルC〜Cアルクアクリレートは5%重量/重量減少される。
【0077】
好ましくは、30〜50g/10分のポリマーブレンドのMFIでは、Tgは、好ましくは、80℃〜110℃、更に好ましくは、85℃〜110℃、最も好ましくは、90℃〜110℃である。
【0078】
本明細書のTgへの言及は、別段の記載がない限り、ASTM E1356−98のDSC手順を使用して決定され、第2の再加熱について外挿された初期温度とする。
本発明の第6の態様によれば、
a)熱可塑性高分子量アクリル材料(HMWA)と熱可塑性低分子量アクリル材料(LMWA)とを接触させる工程と、
b)前記HMWAおよびLMWAを、溶融ブレンドが生成されるまで高温で混合する工程とからなり、前記高温がHMWAおよびLMWAの両方のガラス転移温度よりも高い、アクリルポリマー組成物の製造方法が提供される。
【0079】
工程a)およびb)は、順番にまたは同時に起こってもよい。好ましくは、アクリルポリマー組成物は、本発明の任意のその他の態様によって定義されているものである。
溶融ブレンドは、押出しまたは射出成形方法により行われてもよい。
【0080】
本発明は、添付の実施例により例示される。図1は、等量のアルキルアクリレートおよびメタクリル酸添加剤の比較結果を示す。これらの結果は、また、表1でも示される。
実験
重合
ポリマー試料を通常の遊離基懸濁重合によって作製し、所定の化学組成および分子量分布のビーズポリマーを得た。このビーズポリマーを、70℃で、一晩中真空オーブンで乾燥し、全ての残留水分を除去した。
溶融ブレンド
初めに、天秤を使用して既知量の各ポリマーを計量し、異なる均質な分子量ビーズポリマーのブレンドを作製した。ブレンド組成物を構成する各ポリマーの正確な量を約5分間プラスチック袋の中で回転混合し、成分を完全に分散させた。次いで、回転ブレンドした混合物を新たな金属容器に入れ、70℃で、一晩中真空オーブンで乾燥し、全ての残留水分を除去した。
【0081】
乾燥した回転ブレンドした混合物を、少なくとも60rpmのスクリュー速度で、全ての帯域を230℃(約100℃のガラス転移よりもかなり高い)に加熱した、DSMマイクロ押出機の2軸スクリューミキサー(15cm容量)を使用して、押し出される連続溶融流中に練り込んだ。押出機における滞留時間は、溶融流の均質化を確実にするために選択した。ポリマーの「紐」を引張り、通常のポリマー加工処理破砕装置を使用して約5mmの長さのチップに機械的に破砕した。
MFI試験方法の説明
メルトフローインデックスは、指定温度および一定荷重で円形ダイによる熱可塑性物質の押出し速度の測定である。設定時間で押し出されるポリマーの量が試料採取され、冷却した押出し物の重量が決定される。これから、メルトフローインデックスが決定される。それは、溶融ポリマーの流動、したがって、一定温度でのポリマーの加工性を測定するための簡単な方法である。
【0082】
約5〜8gのポリマーを、特定の温度に加熱されたメルトフロー装置(ダベンポート(Davenport)730A/77CR)のバレル中に入れる。次いで、円形ダイを通して溶融ポリマーを押し出すプランジャーに重量を掛ける。試験は、適用荷重がプランジャーを動かして、プランジャーが書き付けられた印を通過するとすぐに開始し、試験は、一定時間の間隔後に終了する。この試験時間の間にダイから押し出されたポリマーは冷却され、計量される。
【0083】
この試験で使用される試験方法および装置は、ASTM D1238−手順Aで更に詳しく説明されている。この試験でPMMAおよびブレンド試料に対して使用された値は、
温度(ダイより上10mm)=230℃
適用荷重=3.8kg
円形ダイ直径=2.0955±0.0051mm
試験期間=10分
重量=g
流量=g/10分
であった。
【0084】
分子量の決定
分子量(Mw)を、サイズ排除クロマトグラフィー(また、ゲル透過クロマトグラフィー、GPCとも称する)を使用し、ポリマー・ラボラトリー・キャリバー・システム(Polymer Laboratory Caliber system)を使用して、PMMA標準で特徴付けた。
【0085】
GPCの校正は、次の手順を必要とした。PMMA標準溶液を、5〜10μlのMMAマーカーを含む10mlのクロロホルムに溶解させた15mgのMp 10.3kまたは
Mp 107kを使用して作製した。約5mgの各標準をガラスビンに入れ、5〜8μlのMMAフロー・マーカーを含む10mlのクロロホルムに溶解し、ろ過し、評価のために1〜2mlを自動試料採取ガラスビンに移した。
【0086】
試験ポリマーを次の通り分析した。25〜30mgのポリマーをガラスビンの中に計量して入れ、10mlのクロロホルムを添加した。混合物を溶解するまで撹拌した。試料を、分析前に過剰の圧力を使用せずに0.2μmのPTFE/シリンジ・フィルターによりろ過した。
【0087】
ポリマー試料を30℃でクロロホルムに溶解した。GPC中への注入容量は1〜5マイクロリットルであった。1ml/分の流量を使用した。分子量(Mw)の決定は、この装置で使用される分析ソフトウエアを使用して自動的に行った。
【0088】
分子量は、5.90ミクロンでのカルボニル吸収に調整された赤外検出器を取り付けたGPC装置を使用してPMMA標準に関連してクロロホルムにおいて測定した。残留モノマー水準は、LG/GCソフトウエアを使用して、生データを再処理することにより決定した。GPC装置およびソフトウエアは、ポリマーラボラトリー社(Polymer Laboratories Limited)により提供された。
【0089】
溶剤 クロロホルム
流量 1ml/分
試料濃度 25mg/10ml
温度 30℃
PC IBM互換性
コア・シェルの容量計算
試料片(衝撃改良ポリマーの)を、後の区分化のためのブロック面を生成するために切り取った。次いで、これらを水性次亜塩素酸ナトリウムにおける三塩化ルテニウムの新たな溶液に入れた。生じた反応は四酸化ルテニウムを生成し、系に存在する任意の不飽和の優先的染色を起こす。染色は、透過型電子顕微鏡(TEM)においてより一層のコントラストを与え、これによって観察を助ける。ブロックを、除去する前に1時間、染色媒体に浸し、蒸留水で洗浄し、室温で乾燥させた。ライヘルト・ウルトラカット・イー(Reichert Ultracut E)超ミクロトームで一直線に配置した後、約50nmの部分を採取し、フィリップス社(Philips)のCM12 TEMで検査した。
【0090】
ガラス転移の特徴付け
各ポリマーのガラス転移Tgを、示差走査熱量計(DSC)を使用する、ASTM E1356−98で概要が説明されている手順を使用して特徴付けた。使用されたTgの特徴付け方法は、第2の再加熱についての外挿初期温度である。
【0091】
使用された装置は、15μmの公称厚さを有する、アルミニウムで作製された、深さが1mmで約5mmの直径の円形パン構造を有するメトラー・トレド(Mettler Toledo)TC15 TAコントローラーであった。試料を20℃/分の走査速度で加熱した。測定は、純度>99.9%の窒素および50ml/分の流量を使用して行った。このガラス転移の測定中に副反応の兆候は全く存在しなかった。最初の加熱後に、パンを、先に記載した条件を使用して再加熱する前に、液体窒素を使用して冷却した。
【0092】
幾つかの試料(指示通りの)を、ASTM D648を使用して1.82MPaの変形下での加熱撓み温度(HDT)を使用してTgに対して分析した。
【0093】
【表1】

【0094】
ベースポリマーの1〜3は、以下のブレンド試料で使用される。
比較ベースポリマーの実施例4〜8
【0095】
【表2】

【0096】
【表3】

【0097】
【表4】

【0098】
【表5】

【0099】
【表6】

【0100】
実施例の複合ポリマー(compound polymer)9〜17は、ベースポリマー1〜3の2成分または3成分ブレンドであり、ガラス転移(DSCで測定)を著しく減少させることなしにメルトフローの増大を達成する。
【0101】
【表7】

【0102】
実施例の複合ポリマー19は、ベースポリマー1および3の衝撃改良2成分ブレンドであり、実施例18と比較して、ガラス転移(DSCで測定)を著しく減少させることなしにメルトフローの増大を達成する。
【0103】
これらの実施例のMFIおよびTg値を測定し、その結果を図4で示す。見て分かる通り、高/低分子量ブレンドポリマーのTg水準は、相当するMFI改善のためのコポリマ
ーよりも著しく高い。
【0104】
図4:上記実施例で列挙されたポリマーに対するMFI対Tgのプロット。Tg値はDSCまたはHDTで測定した(詳細については実施例における情報を参照されたい)。
本出願と関連して本明細書と同時にまたは先に提出され、本明細書と一緒に公開される全ての論文および文献に対して注意が向けられ、全てのそのような論文および文献は本明細書に援用される。
【0105】
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲および図面を含む)に開示された特徴の全て、および/または開示されている任意の方法または手順の工程の全ては、そのような特徴および/または工程の少なくとも幾つかが相互に排除する組合せを除いて、任意の組合せで組み合わされてもよい。
【0106】
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲および図面を含む)に開示された各特徴は、別途明示的に記載されていない限り、同じ、同等のまたは類似の目的に寄与する代替の特徴によって置き換えられてもよい。したがって、別途明示的に記載されていない限り、開示されている各特徴は、一般的な一連の同等または類似の特徴の1例に過ぎない。
【0107】
本発明は、詳細な先の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規な1つもしくは任意の新規な組合せ、または開示されている任意の方法または手順の工程の任意の新規な1つもしくは任意の新規な組合せにまで及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性高分子量アクリル材料(HMWA)および熱可塑性低分子量アクリル材料(LMWA)の溶融ブレンドを含有するアクリルポリマー組成物であって、前記HMWAの全重量を基準にして、前記HMWAの少なくとも70%重量/重量はアルキル(アルク)アクリレート(コ)ポリマーからなり、前記(コ)ポリマーは、少なくとも80%重量/重量の、C〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートモノマー単位から誘導される第1ポリマーと、任意選択で、前記アルキル(アルク)アクリレート(コ)ポリマーを基準にして20%重量/重量までの、C〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートおよび/または(C〜Cアルク)アクリル酸モノマー単位から誘導される第1コポリマーとからなり、前記HMWAは、40キロダルトン〜1000キロダルトンの重量平均分子量を有し、前記LMWAの全重量を基準にして前記LMWAの少なくとも70%重量/重量はアルキル(アルク)アクリレート(コ)ポリマーからなり、前記(コ)ポリマーは、少なくとも80%重量/重量の、C〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートモノマー単位から誘導される第2ポリマーと、任意選択で、前記アルキル(アルク)アクリレート(コ)ポリマーを基準にして20%重量/重量までの、C〜C12アルキル(C〜Cアルク)アクリレートおよび/または(C〜Cアルク)アクリル酸モノマー単位から誘導される第2コポリマーとからなり、前記LMWAは、からみ合い分子量(M)(キロダルトンで表される)〜250キロダルトンの重量平均分子量を有し、前記HMWAは前記LMWAよりも高いMwを有するアクリルポリマー組成物。
【請求項2】
a.請求項1に記載のアクリルポリマー組成物と、
b.適当な溶剤と
を含有するアクリル組成物。
【請求項3】
a)熱可塑性高分子量アクリル材料(HMWA)と熱可塑性低分子量アクリル材料(LMWA)とを接触させる工程と、
b)前記HMWAおよびLMWAを、溶融ブレンドが生成されるまで高温で混合する工程と
からなり、前記高温が前記HMWAおよびLMWAの両方のガラス転移温度よりも高い、アクリルポリマー組成物の製造方法。
【請求項4】
前記LMWAとブレンドされていない前記HMWAと比較して、より高いMFI溶融ブレンド組成物または成形ポリマー製品を得るための、請求項1乃至3のいずれかに記載のアクリルポリマー組成物の使用方法。
【請求項5】
前記HMWAの前記第1ポリマーと前記LMWAの前記第2ポリマーが同じである、請求項1乃至4のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項6】
前記第1コポリマーと前記第2コポリマーが同じである、請求項1乃至5のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項7】
前記第1ポリマー:第1コポリマーの重量比が、第2ポリマー:第2コポリマーの前記比の±30%以内である、請求項1乃至6のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項8】
前記組成物におけるHMWA:LMWAの重量比が1:1を超える、請求項1乃至7のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項9】
前記アクリルポリマー組成物が、前記アクリルポリマー組成物の重量を基準にして、55%重量/重量までのLMWAおよび少なくとも40%重量/重量のHMWAを含む、請求項1乃至8のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項10】
前記溶融ブレンドが均質な溶融ブレンドである、請求項1乃至9のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項11】
前記組成物が、前記LMWAより大きいが前記その他のHMWA成分より小さいかまたは大きい重量平均分子量を有する第2または更なるHMWA成分(前記第1HMWAと同じ方法で定義される)を任意選択で含む、請求項1乃至10のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項12】
前記第2または更なる成分が、前記アクリルポリマー組成物を基準にして、少なくとも5%重量/重量の水準で存在する、請求項11に記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項13】
前記第2または更なるHMWAが、前記第1HMWA成分よりも小さい重量平均分子量(Mw)を有する、請求項11または12に記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項14】
前記HMWAの前記第1ポリマーと前記第2または更なるHMWAの第3または更なるポリマーとが同じである、請求項11乃至13のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項15】
前記第1コポリマーと第3コポリマーが同じである、請求項11乃至14のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項16】
前記第1ポリマー:第1コポリマーの比が、前記第3ポリマー:第3コポリマーの比の±30%以内である、請求項11乃至15のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項17】
存在する場合、前記第2または更なるHMWA成分を含む前記HMWAが、前記アクリルポリマー組成物の全重量を基準にして、99%重量/重量までの水準で存在する、請求項1乃至16のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項18】
前記LMWAが、前記アクリルポリマー組成物の全重量を基準にして、少なくとも1%重量/重量の水準で存在する、請求項1乃至17のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項19】
前記LMWAが、11キロダルトンを超える重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1乃至18のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項20】
前記溶剤(b):ポリマー(a)比(重量/重量)が、10:90〜60:40である、請求項2乃至19のいずれかに記載のアクリル組成物。
【請求項21】
高Tg溶融ブレンド組成物または成形ポリマー製品を得るための、請求項1乃至20のいずれかに記載のアクリル組成物の使用方法。
【請求項22】
a.請求項1乃至21に記載の前記アクリルポリマー組成物に基づくベースポリマーと、
b.コア−シェル衝撃改良剤と
を含有する衝撃改良アクリルポリマー組成物。
【請求項23】
(a):(b)の重量/重量比が、30:70〜90:10である、請求項22に記載の衝撃改良アクリルポリマー組成物。
【請求項24】
厚肉成形および脱型方法における、請求項1、2または5乃至23のいずれかに記載の組成物の使用方法。
【請求項25】
請求項1、2または5乃至23のいずれかに記載の前記組成物の厚肉成形物。
【請求項26】
請求項1、2または5乃至23のいずれかに記載のアクリルポリマー組成物からなる成形ポリマー製品。
【請求項27】
前記HMWA:LMWA比が少なくとも6:5である、請求項8乃至26のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項28】
前記HMWAおよびLMWAが、一緒になって、前記アクリルポリマー組成物のアクリルモノマー誘導成分の実質的に100%重量/重量を形成する、請求項1乃至27のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項29】
前記HMWAおよびLMWAが、一緒になって、前記アクリルポリマー組成物の実質的に100%重量/重量を形成する、請求項1乃至28のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項30】
前記アクリルポリマー組成物の残部が適当な添加剤からなる、請求項1乃至28のいずれかに記載の組成物、方法または使用方法。
【請求項31】
次の別々の成分、
1.a)請求項1に記載のHMWA、
b)請求項1に記載のLMWA、および
c)コア−シェル衝撃改良剤、または
2.a)請求項3に記載のHMWA、および
b)コア−シェル衝撃改良剤と予備ブレンドされた請求項1に記載のLMWA、または
3.a)請求項1によりブレンドされたHMWAおよびLMWA、および
b)コア−シェル衝撃改良剤、
を単一溶融ブレンド工程で溶融ブレンドする工程
からなる、請求項22または23に記載の衝撃改良アクリルポリマー組成物の溶融ブレンド方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−100548(P2013−100548A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−35178(P2013−35178)
【出願日】平成25年2月25日(2013.2.25)
【分割の表示】特願2008−508279(P2008−508279)の分割
【原出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(500460209)ルーサイト インターナショナル ユーケー リミテッド (30)
【Fターム(参考)】