説明

アクリルポリオールコーティング組成物

本発明は、架橋性組成物および架橋組成物を含むコーティング組成物に関する。架橋性組成物は、少なくとも40重量パーセントの少なくとも1つの線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーと少なくとも1つのポリエステル延長アクリレートモノマーとを含むアクリルポリオールを含む。本コーティング組成物は、ベースコートとしての使用に好適であり、プライマー硬化ブースを排除する3−ウェット塗装方法で使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物と自動車車体またはその部品のコーティング方法とに関する。特に、本発明は、組成物と多層コーティングを形成するのに有用な方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のコーティングシステムは、基材、典型的には、防錆リン酸塩層で処理され、次に追加の防食のための陰極エレクトロコートプライマーが塗布されているスチール基材に塗布された多数のコーティングを通常は含む。プライマー(耐チップ性プライマー、プライマーサーフェーサー、またはプライマーフィラーとしてもまた知られる)が次に、トップコーティング用の表面を平滑にするために、かつまた、耐石チップ性をコーティングシステムに与えるために使用される。次にトップコートシステムが、環境または風化作用への長期暴露時でさえ車両上の仕上げの魅力的な美的品質を保護し保つために、時々単一の光沢のあるトップコートとして、現在ではさらに多くの場合にソリッドカラーまたはフレーク顔料入りベースコートとして塗布され、引き続き透明な保護クリアコートが塗布される。
【0003】
ベースコートおよびクリアコート組成物は、硬化し乾燥したプライマーの層にウェット−オン−ウェット塗布として通常は塗布される。ベースコート層が先ず塗布され、次に場合により溶剤の少なくとも一部を除去するために短期間フラッシュされる。クリアコートが次に未硬化ベースコートに塗布され、次にベースコートおよびクリアコート層がその後に同時に硬化させられて乾燥し硬化した仕上げを形成する。しかしながら、多層コーティングフィルムを形成するための従来の方法では、下にあるプライマーサーフェーサー層は、ベースコートおよびクリアコートで上塗りされる前に硬化させられる。従来、硬化プライマーは、トップコートを塗布するための平滑面を提供するためのみならず、界面ブリーディングまたは被覆ベースコートとの混合を防ぐためにも、そして全体トップコート仕上げの外観を損なわないようにするためにも使用されてきた。「ストライク−イン」抵抗と呼ばれることもある、混合への抵抗は、自動車およびトラックで最近人気がある魅力的なメタリック仕上げの外観にとって特に重要である。プライマーサーフェーサー上への塗布後のメタリックベースコートでのメタリック顔料フレーク配向のいかなる乱れも、仕上げのメタリック効果を損なうであろう。それ故、金属顔料フレークが塗装後に乱されないことを確実にするように注意しなければならない。
【0004】
基材に塗布された塗料がメタリック効果顔料を含有するとき、乾燥し硬化した塗料のフロップインデックスは品質の重要な尺度である。メタリック効果顔料がフロップを最大限にするために下にある表面に平行に配向することが重要である。一般に、ベースコートは、下にある表面に平行なメタリックフレークの配向を容易にするのを助ける2つの薄い層で塗布される。メタリックフレークの大半が下にある表面に平行に配向しているときに、フロップ、または視角での輝度変化は最大にされ、極めて望ましい効果をもたらす。2つの薄い層を塗布するために、自動車塗装施設は典型的には、直続きに配置された一連の2つの別個のスプレーステーションを用いる。各スプレーステーションは幾つかのスプレーガンを用いることがあるので、ベースコートスプレーブースのための資本投資はかなりのものである。
【0005】
ここ数年、塗装ブースおよびベーキングオーブンの運転から発生するVOC(揮発性有機化合物)排出量およびCO2(二酸化炭素)排出量を低減することによって自動車組立工場の環境負荷または影響を低減することも強く望まれてきた。これは、塗料中のより低い溶剤含有率の使用ならびにプライマー、ベースコートおよびクリアコートを、それらが単一ベークで一度に硬化させられる前に連続的にウェット−オン−ウェット塗布することを可能にする3層湿式塗装システムの開発につながった。この簡略化塗布方法で、別個のプライマー塗装ブースおよびプライマーオーブンをなくすことが可能であり、それはまた、自動車製造業者に大幅なコスト削減をもたらす。しかしながら、このプロセス簡略化の技術的障害は大きかった。例えば、耐チップ性などのフィルム特性だけでなく、界面ブリーディングおよび美的外観が依然として重大な懸念である。
【0006】
前述の問題に取り組むための試みは、プライマーコーティング材料の調合を修正することによって行われてきた。Watanabeらの米国特許第6,863,929号明細書は、3層湿式塗装方法(「3−ウェット」または「3−コート−1−ベーク」方法とも呼ばれる)を用いる多層自動車コーティングフィルムの形成方法であって、標準ポリエステル−メラミンプライマーコーティングがアクリルポリマー粒子を、すなわち内部架橋した非水性分散系(NAD)ポリマーまたは内部架橋したミクロゲル粒子の形態でまた含有するように調合される方法を記載している。これらの粒子は、粘度およびプライマーサーフェーサーとベースコーティングとの間の溶解性パラメーターを上げてコートされた層間の界面での混合を防ぐことを意図されている。しかしながら、かかる粒子充填システムの使用には、幾つかの欠点もある。
【0007】
例えば、ミクロ粒子はまた、ウェットプライマーの表面に隙間を生じさせる傾向があり、その隙間にベースコートがさらに流れ込み、そして混合することができ、平滑さ、光沢、正面輝度、および/またはメタリック効果の損失などの美的外観に欠陥をもたらす。ドア、フェンダー、ロッカー・パネルなどのような、特に垂直パネル上での、これらのコーティングの垂れ下りもまた問題である。これらの粒子充填システムはまた、乾燥フィルム塗り厚を通常の商業レベルに維持することができない。それ故、フィルム塗り厚は、NADまたはミクロゲル粒子を界面に移行させるために下げられなければならない。それにもかかわらず、薄いフィルムは、それらが下にある防食性電着塗装プライマー層を過度のUV光透過および劣化にさらす傾向があるので障害である。薄いフィルムまたは薄いフィルム領域はまた、全体仕上げの機械的特性および外観にとっても不適切である。
【0008】
それ故、フィルム塗り厚、高い光沢および画像の明確さなどの全体外観ならびにコーティングシステムのフィルム特性をまた維持しながら、ウェット−オン−ウェット−オン−ウェット(すなわち、3−ウェット)方法で塗布されたときにプライマーサーフェーサーとベースコートとクリアコート層との混合を防ぐための、かつ、プライマーベーキングプロセスをなくし、そしてコーティングシステムの環境影響を低減することを可能にするためのより有効な方法を見いだすことが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本発明は、架橋性成分および架橋成分を含むコーティング組成物であって、
(a)架橋性成分が、少なくとも1つの線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーと少なくとも1つのポリエステル−延長アクリレートモノマーとを含むアクリルポリオールを含み、そして
(b)架橋成分が、メラミン、アミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネート、またはそれらの組み合わせから選択される群の少なくとも1つを含み、かつ、
線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーとポリエステル−延長アクリレートモノマーとの総重量百分率が少なくとも40である組成物である。
【0010】
本開示はまた、プライマー組成物の層、ベースコート組成物の層およびクリアコート組成物の層を基材上に順次塗布する工程と、加熱することによって塗布層を同時に硬化させる工程とを含むコーティング組成物の使用方法であって、
ベースコート組成物が架橋性成分、架橋成分、有機液体キャリア、および場合により顔料を含み、
a)架橋性成分が、少なくとも1つの線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーと、少なくとも1つのポリエステル−延長アクリレートモノマーとを含むアクリルポリオールを含み、そして
b)架橋成分が、メラミン、アミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネート、またはそれらの組み合わせから選択される群の少なくとも1つを含み、かつ、
線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーとポリエステル−延長アクリレートモノマーとの総重量百分率が少なくとも40である方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示では、多数の用語および省略形が用いられる。以下の定義が提供される。
【0012】
「ウェット−オン−ウェット」は、ベースコート層およびクリアコート層がベースコート層とクリアコート層との間に硬化工程なしに硬化プライマー層に引き続いて塗布されることを意味する。
【0013】
本明細書では「3層ウェット」、「3−ウェット」および「3−コート−1−ベーク」と同じ意味でも用いられる、「ウェット−オン−ウェット−オン−ウェット」は、プライマー層、ベースコート層、およびクリアコート層がウェット−オン−ウェット法で引き続いて塗布されることを意味する。
【0014】
コーティング組成物に関して「実質的に含まない」は、コーティング組成物が、組成物の総重量を基準として、1重量パーセント未満、好ましくはゼロ重量パーセントの指定成分を含有することを意味するものとする。
【0015】
「高固形分組成物」は、コーティング組成物の総重量を基準として、少なくとも40重量パーセントの、好ましくは40重量パーセント〜90重量パーセントの範囲での総固形分含有率を塗布の時点で有する溶剤希釈型液体コーティング組成物を意味する。
【0016】
「総固形分」は、成分の一部は室温で固形分よりむしろ非揮発性液体であるかもしれないが、組成物中の非揮発性成分の総量に関する。
【0017】
本開示では、用語「バインダー」または「バインダー固形分」は、架橋性成分および架橋成分、ならびに全ての他の任意のフィルム形成成分に関する。バインダーには一般に、硬化組成物の固体有機部分に寄与するフィルム形成成分が全て含まれる。一般に、触媒、顔料、および本明細書で以下に記載される安定剤などの非ポリマー化学添加剤は、バインダー固形分の一部とは見なされない。顔料以外の非バインダー固形分は通常、合計して組成物の約5超〜15重量%に達しない。
【0018】
「アクリレート」は、アクリレートだけでなくメタクリレートも示す。
【0019】
「アクリルポリオール」は、50重量パーセント超のアクリレートモノマーを含有するモノマー混合物から生成されるポリマーを意味し、アクリルポリオールは、1分子当たり平均して1.0個より多いヒドロキシ基を有する。
【0020】
ポリエステル−延長アクリレートは、式:
【化1】

(式中、各Xは独立して、基C(O)OおよびOC(O)から選択され、RはHまたはCH3であり、R1は、アルキル、アリール、アルキル芳香族、または芳香族アルキルであり、R2は、ヒドロキシ末端のアルキル、アリール、アルキル芳香族、または芳香族アルキルであり、nは1〜20の範囲の整数である)
のモノマーを意味する。好ましくは、ポリエステル−延長アクリルモノマーは2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレートとカプロラクトンとの反応生成物である。かかる一生成物は、TONE M−100(登録商標)としてDow Carbideから商業的に入手可能である。
【0021】
「ポリエステル−延長ポリマー」は、ポリマー鎖当たり平均して少なくとも1つのポリエステル−延長モノマーを有するポリマーを意味する。
【0022】
本明細書で用いるところでは、用語「基材」は、金属、木材、樹脂、アスファルト、または任意の他の表面などの、任意の表面を意味する。基材は、電着プライマー、プライマー、プライマー/シーラー、または顔料入りコーティングなどの、しかしそれらに限定されない材料で予めコートされてもよい。
【0023】
「フロップ」または「フロップインデックス」は、それが視角の範囲中を回転させられるときのメタリックカラーの反射率の変化に関する測定値である。
【0024】
「架橋性成分」は、架橋成分と反応して架橋網状構造を形成することができる官能基が結合された成分を意味する。架橋性成分は、架橋成分と反応性である少なくとも1つの官能基を有する、化合物、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。好ましくは、架橋性成分はアクリルポリオールを含む。架橋性成分中の官能基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシシラン、アルコシキシラン、エポキシ、カーバメート、カルボキシ、酸無水物、またはそれらの組み合わせから選択することができる。好ましい官能基はヒドロキシである。
【0025】
「架橋成分」は、架橋性成分上の官能基と反応して架橋網状構造を形成することができる成分を意味する。架橋成分は、メラミン、アミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネート、またはそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0026】
本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読むことによって、当業者に、より容易に理解されるであろう。明確にするために、別個の実施態様との関連で上におよび下に記載される、本発明のある種の特徴はまた単一の実施態様の組み合わせで提供されてもよいことを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施態様との関連で記載される本発明の様々な特徴はまた、別個にまたは任意の副次的な組み合わせで提供されてもよい。加えて、単数形での言及はまた、文脈が特に具体的に明記しない限り、複数形を含んでもよい(例えば、単数形(「a」および「an」)は、1つ、または1つ以上を意味してもよい)。
【0027】
本出願に明記される様々な範囲での数値の使用は、特に明記しない限り、あたかも記述される範囲内の最小値および最大値の前に「約」という用語があるかのように近似値として記述される。このように、記述される範囲の上下のわずかな変動は、範囲内の値と同じ結果を実質的に達成するために用いることができる。また、これらの範囲の開示は、最小値と最大値との間のあらゆる値を含む連続範囲として意図される。
【0028】
本発明は、架橋性成分および架橋成分を含むコーティング組成物であって、
(a)架橋性成分が、少なくとも1つの線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーと少なくとも1つのポリエステル−延長アクリレートモノマーとを含むアクリルポリオールを含み、そして
(b)架橋成分が、メラミン、アミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネート、またはそれらの組み合わせから選択される群の少なくとも1つを含み、かつ、
線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーとポリエステル−延長アクリレートモノマーとの総重量百分率が少なくとも40である組成物に関する。本明細書に開示される組成物は、ベースコートまたは光沢のあるトップコートとして有用である。
【0029】
本明細書に開示されるアクリルポリオールは、コーティング組成物の架橋性成分として使用される。アクリルポリオールは、少なくとも1つのC8以上アルキルアクリレートモノマーと少なくとも1つのポリエステル−延長アクリレートモノマーとを含む混合物から重合させられるコポリマーである。アクリルポリオールは、少なくとも40重量パーセントのこれら2つのタイプのモノマーの組み合わせを含有する。アクリルポリオールは、2,000〜150,000の範囲の、より好ましくは3,000〜100,000の範囲の重量平均分子量を有する。
【0030】
アクリルポリオールが3−ウェット塗布方法でのベースコート組成物の成分として使用されるとき、3,000〜約45,000の範囲の重量平均分子量のアクリルポリオールを使用することが好ましい。3,000より低い分子量では、コーティングは幾らかのストライク−インを示し始めることが分かった。ストライク−インは、塗料の2つのウェット層の混合を意味する。ストライク−インは、硬化し乾燥した塗料層の外観の悪化を引き起こす。45,000を超えると、表面外観は悪化し始め、フロップ測定値は下がる。
【0031】
好適なC8以上アルキルアクリレートモノマーには、式:
【化2】

(式中、RはHまたはCH3であり、R3は、8個以上の炭素を有する線状または分岐アルキルである)のモノマーが含まれる。好ましくは、R3は10個より多い炭素を有し、より好ましくは、R3は12個より多い炭素を有する。R3は、炭素原子の上限に関して特に限定されない。しかしながら、30個より多い炭素では、モノマーは、製造において取り扱うのがより難しい固体である傾向があり、これらのモノマーを使用して製造されるポリマーのTgは、好適なコーティングを製造するには低すぎる傾向がある。
【0032】
好適な線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーの例には、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ウンデシルアクリレート、ウンデシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソトリデシルアクリレート、イソトリデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、およびステアリルメタクリレートが挙げられる。それらの組み合わせもまた有用である。
【0033】
好ましくは、C8以上アルキルアクリレートモノマーは、アクリルポリオール中のモノマーの10重量パーセント〜60重量パーセントの範囲を占め、より好ましくは、C8以上アルキルアクリレートモノマーは、アクリルポリオール中のモノマーの26重量パーセント〜55重量パーセントの範囲を占め、最も好ましくは、C8以上アルキルアクリレートモノマーは、アクリルポリオール中のモノマーの39重量パーセント〜50重量パーセントの範囲を占める。例えば、10重量パーセントのC8以上アルキルアクリレートモノマーを使用する場合、ポリエステル延長アクリレートモノマーは、アクリルポリオールの少なくとも30重量パーセントを占めなければならない。
【0034】
アクリルポリオールはまた、式;
【化3】

(式中、各Xは独立して、基C(O)OおよびOC(O)から選択され、RはHまたはCH3であり、R1は、アルキル、アリール、アルキル芳香族、または芳香族アルキルであり、R2はヒドロキシ末端のアルキル、アリール、アルキル芳香族、または芳香族アルキルであり、nは1〜20の整数である)の少なくとも1つのポリエステル−延長アクリレートモノマーを含む。好ましくは、ポリエステル−延長アクリルモノマーは、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレートとカプロラクトンとの反応生成物である。かかる一生成物は、TONE M−100(登録商標)としてDow Carbideから商業的に入手可能である。
【0035】
アクリルポリオールは、少なくとも40重量パーセントの少なくとも1つの線状または分岐C8以上アルキルアクリレートと少なくとも1つのポリエステル−延長アクリレートモノマーとを含む。アクリルポリオールの残りの部分は、架橋性官能基を全く有さないモノマーおよび/またはポリマーに追加の架橋官能基を与えそして硬化コーティングの完全性を高めるための、アミノ基、カーバメート、トリメトキシシランなどのアルコキシシラン、エポキシ、カルボキシ基、酸無水物基、またはそれらの好適な組み合わせなどの架橋性官能基を有するモノマーをさらに含んでもよい。官能基の数は、所望の最終特性に依存して、変わってもよい。これらの官能基は、所望の基を含む官能性モノマーを重合プロセスに用いることによって、または当業者に明らかであろうように、所望の追加の官能基を導入するためのアクリルポリオールの後反応によって導入することができる。
【0036】
有用なアミン含有モノマーの例は、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−t−ブチルアミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレートである。
【0037】
有用なカーバメート含有モノマーの例には、脂肪族アルコールとイソシアネート含有アクリレートまたはメタクリレートとの付加体が挙げられる。カーバメート官能化アクリルの製造方法は当該技術分野でよく知られており、例えば、欧州特許第0 594 142 B1号明細書および欧州特許第0 719 795 B1号明細書に記載されており、それらの開示は本明細書に参照により本明細書によって援用される。
【0038】
かかる官能性モノマーの例は、シラン含有モノマー、特に、ガンマ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Crompton製のSILQUEST(登録商標)A−174)、およびガンマ−メタクリルオキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどのアルコキシシランである。
【0039】
有用なエポキシ含有モノマーの例は、グリシジルメタクリレートおよびグリシジルアクリレートならびにエピクロロヒドリンと反応してエポキシ基含有モノマーを生み出すことができるヒドロキシ基を有する任意のアクリルモノマーである。
【0040】
カルボキシまたは酸無水物含有モノマーの例は、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、およびフマル酸無水物である。
【0041】
架橋性官能基を全く有さないモノマーの例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、プロピルアクリレート、フェニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、プロピルメタクリレート、フェニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどのアルキルアクリレート;4−メチルスチレン、アルファ−メチルスチレンなどの、スチレンまたは置換スチレン;アクリロニトリル、およびメタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
好ましい一アクリルポリオールは、スチレン、ブチルメタクリレート、TONE M−100(登録商標)、イソトリデシルメタクリレート、およびアクリル酸を含む。別の好ましいアクリルポリオールは、スチレン、イソデシルメタクリレート、TONE M−100(登録商標)、イソトリデシルメタクリレート、およびアクリル酸を含む。
【0043】
アクリルポリオールを製造するために使用されるモノマーは、当業者に知られる方法を用いて重合させることができる。好ましくは、アクリルポリオールは、モノマーが液体反応媒体、フリーラジカル重合開始剤、場合によりカプロラクトン変性モノマー、場合によりカプロラクトン用の重合触媒、および場合により連鎖移動剤とブレンドされ、ポリマーを形成するために75℃〜165℃に十分な時間、典型的には2〜8時間加熱される溶液重合法によって製造される。
【0044】
上に示されたように、アクリルポリオール骨格を形成するために本明細書で用いられる方法のフリーラジカル重合部分は好ましくは、フリーラジカル重合開始剤の存在下にモノマーを加熱することによるなど、従来の技法を用いて実施され、典型的には、過安息香酸第三ブチル、過オクタン酸第三ブチル、クメンヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、ジ第三ブチルペルオキシド、ジ−クメンペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、もしくは類似のペルオキシ化合物、またはアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物が用いられる。フリーラジカル重合開始剤の量は、所望の分子量に依存して変わり得るが、全重合性モノマーの重量を基準として0.05〜8重量パーセントが典型的である。好ましい範囲は、0.05〜4重量パーセントである、2つ以上の開始剤の混合物が使用されてもよい。
【0045】
溶媒が好ましくは液体反応媒体として使用される。溶媒は、全反応混合物の0パーセント〜約95パーセントで使用することができる。アクリルポリオールを製造するために使用される典型的な溶媒は、次のもの:酢酸アミル、トルエン、酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ミネラルスピリット、エチレングリコールモノエーテルアセテートおよびキシレンなどの他の脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素であり、エステル、エーテル、ケトン、そして他の相溶性溶媒が便利に使用される。
【0046】
場合により、連鎖移動剤がアクリルポリオールの長さを調節するために使用される。最も典型的な連鎖移動剤は、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどのような硫黄化合物である。連鎖移動剤は、全重合性モノマーを基準として約0.5〜6重量パーセントで使用される。
【0047】
上記の方法のいずれでも、重合は好ましくは、生じたアクリルポリオールが所望の混合およびストライク−イン抵抗を、しかし本発明のコーティング組成物での使用のためにさらに十分に低い粘度を与えるための所望の分子量を有するまで続行される。
【0048】
上記のフィルム形成アクリルポリオールに加えて、本コーティング組成物はまた、フィルム形成バインダーの一部として、架橋剤を含む架橋成分を含む。本コーティング組成物に使用される架橋剤は、アミノプラスト樹脂、メラミン、ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネートまたはそれらの組み合わせである。メラミンホルムアルデヒド縮合物などのアミノプラスト樹脂が一般に好ましい。一般に、アミノプラスト樹脂は、メラミン、ウレア、ベンゾグアナミン、または類似の化合物のアルデヒド縮合生成物である。通常、用いられるアルデヒドはホルムアルデヒドであるが、有用な生成物は、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、フルフラールなどのような、他のアルデヒドから製造することができる。メラミンまたはウレアの縮合生成物が最も一般的であり好ましいが、少なくとも1つのアミン基が存在する他のアミンおよびアミドの生成物もまた用いることができる。
【0049】
メラミン縮合物のうちで、部分または完全アルキル化されている低分子量のまたは高分子量のメラミンホルムアルデヒド縮合物樹脂が一般に好ましい。これらの好ましい樹脂は有機溶媒可溶性であり、Cytec Industries,Inc.,West Patterson,New Jerseyから商品名CYMEL(登録商標)で商業的に入手可能である。好ましい一架橋剤は、約1〜3の重合度を有するメチル化およびブチル化またはイソブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂である。一般に、このメラミンホルムアルデヒド樹脂は、約50パーセントのブチル化基またはイソブチル化基と50パーセントのメチル化基とを含有する。特性の良好なバランスのための、別の好ましいメラミンは、CYMEL303(登録商標)として知られる完全メチル化樹脂である。
【0050】
上記のアミノプラスト樹脂架橋剤は、高められたフィルム特性のために通常のブロックトポリイソシアネート架橋剤のいずれかと置き換えるかまたは場合により組み合わせることができる。典型的なブロッキング剤は、アルコール、ケチミン、オキシム、ピラゾールなどである。
【0051】
ウレアホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒドおよびブロックトもしくは非ブロックトポリイソシアネートまたは前述の架橋剤のいずれかの相溶性混合物などの、他の架橋剤もまた使用することができる。本出願の目的のためには、非ブロックトポリイソシアネートは、ブロッキング基を実質的に含まないポリイソシアネート、すなわち、「遊離ポリイソシアネート」である。
【0052】
ポリイソシアネートの典型的な例は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシリデンジイソシアネートなどのような、1分子当たり2〜4個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物である。ポリイソシアネート縮合生成物もまた使用することができる。イソシアヌレート、ビウレット、イミノオキザジアジン、および/またはウレチジオン構造単位を有するポリイソシアネートは好適である。幾つかの例には、Pittsburgh,PennsylvaniaのBayer Corporation製のDESMODUR N−3300(登録商標)およびBayer Corporationから商品名DESMODUR Z−4470(登録商標)で入手可能であるイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート(イソシアヌレート)などが挙げられる。
【0053】
前述の有機ポリイソシアネートのいずれかとポリオールとから形成されるポリイソシアネート官能性付加体もまた使用することができる。トリメチロールプロパンまたはエタンのようなトリメチロールアルカンなどのポリオールを使用することができる。有用な一付加体は、テトラメチルキシリデンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応生成物であり、CYTHANE3160(登録商標)の商品名で入手可能である。本発明の架橋性樹脂が外部コーティングに使用されるとき、脂肪族または脂環式イソシアネートの使用が、耐候性および耐黄変性の観点から、芳香族イソシアネートの使用よりも好ましい。本発明のシステムに使用することができる好適なブロックトイソシアネートの例は、Bayer Corporationから入手可能である1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのピラゾールブロックトポリイソシアネートである。
【0054】
硬化時の組成物の架橋速度を上げるために、触媒を組成物に添加することができる。一般に、バインダーの重量を基準として、約0.1〜8重量パーセントの触媒が使用される。ブロックト酸触媒がかかる触媒の典型的なものである。有用なブロックト酸触媒は、アミノメチルプロパノールまたはジメチルオキサゾリンでブロックされた芳香族スルホン酸である。典型的に有用な芳香族スルホン酸は、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸である。好ましい一触媒は、アミノメチルプロパノールでブロックされたドデシルベンゼンスルホン酸である。
【0055】
本組成物は典型的には、石油ナフサまたはキシレンなどの、芳香族炭化水素;メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンまたはアセトンなどのケトン;酢酸ブチルまたは酢酸ヘキシルなどの、エステル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの、グリコールエーテルエステル;およびそれらの組み合わせから選択される有機溶媒などの1つ以上の溶媒を含む。本コーティング組成物は一般に、百分率が全てコーティング組成物の総重量を基準とする重量パーセント単位である、10パーセント〜60パーセント、好ましくは20パーセント〜50パーセント、より好ましくは30パーセント〜40パーセントの範囲で前記溶媒を含む。
【0056】
本コーティング組成物に使用することができる典型的な顔料は、タルク、陶土、バライト、炭酸塩、ケイ酸塩などのフィラー顔料と、二酸化チタン、酸化亜鉛および酸化鉄などの金属酸化物ならびにカーボンブラックなどのカラー顔料と有機着色顔料および染料とである。本組成物に添加することができる顔料としてまた有用であるものには、次のものが含まれる:二酸化チタン、酸化亜鉛、様々な色の酸化鉄などの金属酸化物、カーボンブラック;タルク、陶土、バライト、炭酸塩、ケイ酸塩などのフィラー顔料;およびキナクリドン、銅フタロシアニン、ペリレン、アゾ顔料、インダンスロンブルー、カルバゾールバイオレットなどのカルバゾール、イソインドリノン、イソインドロン、チオインジゴレッド、ベンゾイミダゾリノンなどの、多種多様な有機着色顔料;アルミニウムフレーク、雲母フレーク、真珠光沢フレークなどのメタリックフレーク顔料、またはそれらの組み合わせ。生じたコーティング組成物は、約1:100〜150:100の顔料対バインダー重量比を有する。
【0057】
本組成物の屋外耐候性を向上させ、そしてコートされた基材を早期の劣化から守るために、本組成物は典型的には、バインダーの重量を基準として、約0.01〜2重量パーセントの紫外線安定剤を含有し、その用語には、紫外線吸収剤、スクリーナーおよび消光剤が含まれる。典型的な紫外線安定剤には、ベンゾフェノン類、トリアジン、トリアゾール、ベンゾエート、ヒンダードアミンおよびそれらのブレンドが含まれる。
【0058】
本発明のコーティング組成物は、ベースコート/クリアコート・ウェット−オン−ウェット法で、ベースコートとして使用することができる。この方法では、本発明のコーティング組成物の層は、予めコートされたかまたは未コートの基材に吹き付け、静電気吹き付け、ローラーコーティング、浸漬、または刷毛塗りによってベースコートとして塗布される。本コーティング組成物は場合により、溶剤の一部を除去するためにフラッシュされる。場合により、ベースコート組成物の別の層が塗布され、それに任意のフラッシュ工程が続く。ベースコート組成物の層は次にクリアコート組成物の層で上塗りされる。場合により、クリアコート層はフラッシュされる。場合により、クリアコートの2つ以上の層がベースコートに塗布されてもよく、各塗布に任意のフラッシュ工程が続く。組み合わせられたベースコート層とクリアコート層とは、塗布層を乾燥させ、硬化させるために約60℃〜200℃に60秒〜60分間加熱される。「乾燥させ、硬化させられる」または「硬化させられる」とは、溶剤の大部分(50パーセント超)が除去されてしまうこと、かつ、架橋性および架橋成分が実質的に架橋させられることを意味するが、幾らかの追加の架橋が硬化プロセス後に起こることがあることは理解される。
【0059】
好ましい実施態様では、本発明のコーティング組成物は、3−ウェット塗布方法に使用される。この方法では、プライマー組成物の層が、予めコートされたまたは未コートの基材に吹き付け、静電気吹き付け、ローラーコーティング、浸漬、または刷毛塗りによって塗布され、それに任意のフラッシュ工程が続く。本発明コーティング組成物の層は、プライマー組成物の層上にベースコートとして塗布され、ここで、ベースコートの架橋性成分は開示されるアクリルポリオールを含む。塗布されたベースコートは場合によりフラッシュされる。場合により、ベースコート組成物の多層をベースコートの第1層に塗布することができ、それぞれに場合によりフラッシュ工程が続く。クリアコート組成物の単層または多層が基材に塗布され、場合により層の間にフラッシングが続く。多重被覆基材の塗布層は次に乾燥させ、硬化させられる。乾燥および硬化工程は、基材を60℃〜200℃の範囲の温度に60秒〜60分間加熱することによって行われる。
【0060】
本開示のコーティング組成物を使用して、車両製造業者が非常に高いフロップインデックスを依然として達成しながら従来の2つの薄いコートではなく単一の厚いコート(1.5ミル以下)を塗布することを可能にすることができる。2つの比較的薄いコーティングではなく単一コーティングの塗布は、半分量のベースコート塗装装置が必要とされるにすぎないので、基材を塗装するコストを著しく削減することができる。
【0061】
ウェットプライマー組成物および被覆ベースコート組成物は十分なストライク−イン抵抗を有することが重要である。3−ウェット法で、特に有用な3−ウェットプライマー組成物は下に記載される。
【0062】
一有用な3−ウェットプライマー組成物は、架橋性成分および架橋成分を含み、ここで、架橋性成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約40〜95重量パーセントの、その全てまたは一部が環状ラクトンと反応させられた、約1〜65重量パーセントのヒドロキシルおよび/またはカルボキシルモノマー含有率と約10,000〜150,000の重量平均分子量とを有するポリエステル−延長分岐アクリルポリマーを含み、そしてここで、架橋成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約5〜60重量パーセントのアミノプラスト樹脂、ブロックトポリイソシアネート樹脂、またはそれらの組み合わせを含む。
【0063】
別の有用な3−ウェットプライマー組成物は、架橋性成分および架橋成分を含み、ここで、架橋性成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約40〜95重量パーセントの、約1〜65重量パーセントのヒドロキシル、カルボキシル、および/または他の架橋性官能基モノマー含有率と約10,000〜150,000の重量平均分子量とを有する分岐アクリルポリマーを含み、そしてここで、架橋成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約5〜60重量パーセントのアミノプラスト樹脂、ブロックトポリイソシアネート樹脂、またはそれらの組み合わせを含む。
【0064】
別の有用な3−ウェットプライマー組成物は、架橋性成分および架橋成分を含み、ここで、架橋性成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約40〜95重量パーセントの、その全てまたは一部が環状ラクトンと反応させられた、約1〜90重量パーセントのヒドロキシルおよび/またはカルボキシルモノマー含有率と約10,000〜150,000の重量平均分子量とを有するポリエステル−延長線状アクリルポリマーを含み、そしてここで、架橋成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約5〜60重量パーセントのアミノプラスト樹脂、ブロックトポリイソシアネート樹脂、またはそれらの組み合わせを含む。
【0065】
別の有用な3−ウェットプライマー組成物は、架橋性成分および架橋成分を含み、ここで、架橋性成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約40〜95重量パーセントの2つのアクリルポリマーを含むフィルム形成アクリルポリマーを含み、その第1はポリエステル−延長分岐アクリルポリマーであり、その第2はポリエステル−延長線状アクリルポリマーであり、これらのポリマーは約5:95〜95:5の重量比で提供され、そしてここで、架橋成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約5〜60重量パーセントのアミノプラスト樹脂、ブロックトポリイソシアネート樹脂、またはそれらの組み合わせを含む。
【0066】
上述の3−ウェットプライマー組成物において、分岐アクリルポリマーおよびポリエステル−延長分岐アクリルポリマーは、高温重合法によって形成される。この方法は、
(a)(i)少なくとも1つのモノアクリルモノマーと、
(ii)少なくとも1つのジアクリルまたはジメタクリルモノマーと、
(iii)モノメタクリルモノマーが全モノマー混合物の40重量パーセント以下を占めるという条件で、場合により少なくとも1つのモノメタクリルモノマーと、
(iv)少なくとも1つのフリーラジカル重合開始剤と、
(v)場合により、少なくとも1つの溶媒と
の反応混合物を形成する工程、および
(b)反応混合物を、重合条件下に、少なくとも130℃の高められた反応温度に、分岐アクリルポリマーが形成されるまで維持する工程
を含む。
【0067】
ポリエステル−延長分岐アクリルポリマーは、フリーラジカル開始重合中か重合後かのどちらかに、またはそれらの組み合わせで、分岐アクリルポリマーを環状ラクトンかまたは環状ラクトン延長モノマーで鎖延長することによって形成される。
【0068】
3−ウェット塗布方法では、クリアコート組成物の選択は特に重要であるわけではなく、商業的に入手可能なクリアコートのいずれが選択されてもよい。好ましいクリアコート組成物は、全てDuPont,Wilmington,DEから入手可能な、GEN IV ES(登録商標)クリアコート、IMRON(登録商標)クリアコート、CHROMACLEAR(登録商標)クリアコート、およびCHROMAPREMIER(登録商標)クリアコートである。
【0069】
好ましい基材は自動車車体、自動車下請供給業者によって製造され、塗装される任意のおよび全ての品目、フレームレール、飲料本体、多目的乗用車車体(utility body)、レディミックスコンクリート配送車両車体、廃棄物運搬車両車体、および消防車および救急車車体を含むがそれらに限定されない、商用トラックおよびトラック車体、ならびにかかるトラック車体の任意の潜在的な付属品または部品、バス、農場および建設用機器、トラックキャップおよびカバー、商業トレーラー、消費者トレーラー、トレーラーハウス、キャンピングカー、コンバージョンバン、バン、娯楽クラフトスノーモービル、全地形万能車、個人用水上バイク、オートバイ、ボートを含むがそれらに限定されない娯楽用車両、および航空機である。基材には、工業的および商業的新規構成物およびそのメンテナンス用品;セメントおよび木材床;オフィスビルおよび家などの、商業および居住構造物の壁;遊園地設備;駐車場およびドライブウェイなどのコンクリート表面;アスファルトおよびコンクリート道路表面、木材基材、海洋面;橋、塔などの、屋外構造物;コイルコーティング;鉄道車;プリント回路基板;機械;OEMツール;看板;ファイバーガラス構造物;スポーツ用品;およびスポーツ用具がさらに含まれる。
【実施例】
【0070】
本発明は、以下の実施例でさらに明確にされる。これらの実施例はあくまで例示として示されることが理解されるべきである。上記説明およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特性を確認することができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、それを様々な用途および条件に適合させるために本発明の様々な変更および修正を行うことができる。
【0071】
特に明記しない限り、全ての化学薬品は、Aldrich Company,Milwaukee,WIから入手可能である。
【0072】
CYMEL(登録商標)1168、完全にアルキル化された(50%メチル、50%イソブチル)低分子量のメラミンホルムアルデヒド樹脂は、Cytec Industries Inc.,West Patterson,New Jerseyから入手可能である。
【0073】
TINUVIN(登録商標)079L(キシレン中41%)は、Ciba Specialty Chemicals Corp,Tarrytown,New Yorkから入手可能である。
【0074】
NACURE(登録商標)XP−221(芳香族スルホン酸)は、King Industries,Norwalk,Connecticutから入手可能である。
【0075】
GARAMITE(登録商標)2578(アクリルポリマー中7%)は、Southern Clay Products,Gonzales,Texasから入手可能である。
【0076】
Silberline TUFFLAKE(登録商標)4615(アクリル樹脂中33%のアルミニウムペースト)は、Silberline MFG CO INC,Tamaqua,Pennsylvaniaから入手可能である。
【0077】
ATA TCR2040Aアルミニウムペーストは、Toyal America,Inc.,Naperville,ILから入手可能である。
【0078】
CF数は、外観が自動車品質のものであったかどうか、すなわち、コーティングが自動車仕上げの標準を満たす美的外観を有したかどうかの判定であり、BYK Gardner製のWaveScan DOI機器で採取された測定値によって判定された。この機器は、オレンジピールとして一般に知られる状態を示すより長い波長でだけでなく、「画像の明確さ」、またはDOIを定量化するのを助けるより低い波長でも仕上げの外観を測定する。組み合わせて採取されたパラメーター(WaveScan CF読みによる)は、車両仕上げの全体外観を定量化するために用いることができる。水平表面上で60の最小値および垂直表面上で50の最小値が自動車用途向けに望ましい。
【0079】
アクリルポリマー#1
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、701.8グラムの酢酸第一アミルおよび82.6グラムのキシレンを加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。バッチを還流に維持しながら、232.4グラムのスチレン、232.4グラムのイソブチルメタクリレート、907グラムのイソデシルアクリレート、930.2グラムのTONE(登録商標)M100モノマー、23.2グラムのアクリル酸、62.9グラムのVAZO(登録商標)67、60.3グラムのキシレンおよび567.5グラムの酢酸第一アミルの混合物を、270分間にわたって加えた。この添加が完了した後、追加の112.9グラムの酢酸第一アミルを加えた。生じたポリマー溶液の重量固形分は59.0%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ(Gardner−Holdt)粘度はB+1/2であった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は11190であり、多分散性は2.91であった。
【0080】
アクリルポリマー#2
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、627.7グラムの酢酸第一アミルおよび73.9グラムのキシレンを加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。バッチを還流に維持しながら、207.9グラムのスチレン、478.4グラムのn−ブチルメタクリレート、540.7グラムのトリデシルメタクリレート、832.0グラムのTONE(登録商標)M100モノマー、20.8グラムのアクリル酸、56.3グラムのVAZO(登録商標)67、53.9グラムのキシレンおよび507.6グラムの酢酸第一アミルの混合物を、270分間にわたって加えた。この添加が完了した後、追加の101.0グラムの酢酸第一アミルを加えた。生じたポリマー溶液の重量固形分は59.3%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度はB+1/2であった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は9228であり、多分散性は3.07であった。
【0081】
アクリルポリマー#3
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、627.7グラムの酢酸第一アミルおよび73.9グラムのキシレンを加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。バッチを還流に維持しながら、207.9グラムのスチレン、207.9グラムのn−ブチルメタクリレート、811.2グラムのトリデシルメタクリレート、832.0グラムのTONE(登録商標)M100モノマー、20.8グラムのアクリル酸、56.3グラムのVAZO(登録商標)67、53.9グラムのキシレンおよび507.6グラムの酢酸第一アミルの混合物を、270分間にわたって加えた。この添加が完了した後、追加の101.0グラムの酢酸第一アミルを加えた。生じたポリマー溶液の重量固形分は59.5%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度はB−1/4であった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は7506であり、多分散性は2.75であった。
【0082】
アクリルポリマー#4
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、627.7グラムの酢酸第一アミルおよび73.9グラムのキシレンを加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。バッチを還流に維持しながら、207.9グラムのスチレン、207.9グラムのn−ブチルメタクリレート、811.2グラムのイソデシルメタクリレート、832.0グラムのTONE(登録商標)M100モノマー、20.8グラムのアクリル酸、56.3グラムのVAZO(登録商標)67、53.9グラムのキシレンおよび507.6グラムの酢酸第一アミルの混合物を、270分間にわたって加えた。この添加が完了した後、追加の101.0グラムの酢酸第一アミルを加えた。生じたポリマー溶液の重量固形分は59.0%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度はBであった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は7026であり、多分散性は2.21であった。
【0083】
アクリルポリマー#5
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、627.7グラムの酢酸第一アミルおよび73.9グラムのキシレンを加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。バッチを還流に維持しながら、207.9グラムのスチレン、478.4グラムのn−ブチルメタクリレート、540.7グラムのイソデシルメタクリレート、832.0グラムのTONE(登録商標)M100モノマー、20.8グラムのアクリル酸、56.3グラムのVAZO(登録商標)67、53.9グラムのキシレンおよび507.6グラムの酢酸第一アミルの混合物を、270分間にわたって加えた。この添加が完了した後、追加の101.0グラムの酢酸第一アミルを加えた。生じたポリマー溶液の重量固形分は58.9%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度はBであった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は7155であり、多分散性は2.28であった。
【0084】
アクリルポリマー#6
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、627.7グラムの酢酸第一アミルおよび73.9グラムのキシレンを加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。バッチを還流に維持しながら、207.9グラムのスチレン、478.4グラムのn−ブチルメタクリレート、540.7グラムのイソオクチルアクリレート、832.0グラムのTONE(登録商標)M100モノマー、20.8グラムのアクリル酸、56.3グラムのVAZO(登録商標)67、53.9グラムのキシレンおよび507.6グラムの酢酸第一アミルの混合物を、270分間にわたって加えた。この添加が完了した後、追加の101.0グラムの酢酸第一アミルを加えた。生じたポリマー溶液の重量固形分は57.5%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度はBであった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は10209であり、多分散性は2.77であった。
【0085】
アクリルポリマー#7
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、627.7グラムの酢酸第一アミルおよび73.9グラムのキシレンを加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。バッチを還流に維持しながら、207.9グラムのスチレン、207.9グラムのn−ブチルメタクリレート、811.2グラムのイソオクチルアクリレート、832.0グラムのTONE(登録商標)M100モノマー、20.8グラムのアクリル酸、56.3グラムのVAZO(登録商標)67、53.9グラムのキシレンおよび507.6グラムの酢酸第一アミルの混合物を、270分間にわたって加えた。この添加が完了した後、追加の101.0グラムの酢酸第一アミルを加えた。生じたポリマー溶液の重量固形分は59.1%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度はBであった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は10119であり、多分散性は2.79であった。
【0086】
アクリルポリマー#8
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、627.7グラムの酢酸第一アミルおよび73.9グラムのキシレンを加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。バッチを還流に維持しながら、207.9グラムのスチレン、207.9グラムのn−ブチルメタクリレート、811.2グラムのオクチル/デシルアクリレート、832.0グラムのTONE(登録商標)M100モノマー、20.8グラムのアクリル酸、56.3グラムのVAZO(登録商標)67、53.9グラムのキシレンおよび507.6グラムの酢酸第一アミルの混合物を、270分間にわたって加えた。この添加が完了した後、追加の101.0グラムの酢酸第一アミルを加えた。生じたポリマー溶液の重量固形分は58.8%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度はB−1/3であった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は10473であり、多分散性は2.81であった。
【0087】
アクリルポリマー#9
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、627.7グラムの酢酸第一アミルおよび73.9グラムのキシレンを加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。バッチを還流に維持しながら、207.9グラムのスチレン、478.4グラムのn−ブチルメタクリレート、540.7グラムのオクチル/デシルアクリレート、832.0グラムのTONE(登録商標)M100モノマー、20.8グラムのアクリル酸、56.3グラムのVAZO(登録商標)67、53.9グラムのキシレンおよび507.6グラムの酢酸第一アミルの混合物を、270分間にわたって加えた。この添加が完了した後、追加の101.0グラムの酢酸第一アミルを加えた。生じたポリマー溶液の重量固形分は59.3%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度はB+1/4であった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は9108であり、多分散性は2.60であった。
【0088】
アクリルポリマー#10
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、627.7グラムの酢酸第一アミルおよび73.9グラムのキシレンを加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。バッチを還流に維持しながら、207.9グラムのスチレン、478.4グラムのn−ブチルメタクリレート、540.7グラムのイソデシルアクリレート、832.0グラムのTONE(登録商標)M100モノマー、20.8グラムのアクリル酸、56.3グラムのVAZO(登録商標)67、53.9グラムのキシレンおよび507.6グラムの酢酸第一アミルの混合物を、270分間にわたって加えた。この添加が完了した後、追加の101.0グラムの酢酸第一アミルを加えた。生じたポリマー溶液の重量固形分は59.5%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度はB+1/2であった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は9106であり、多分散性は2.57であった。
【0089】
アクリルポリマー#11
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えたガラスフラスコに、1347グラムの酢酸アミルおよび147.5グラムのキシレンを加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。240グラムのスチレン、240グラムのブチルメタクリレート、960グラムのTONE(登録商標)M−100、936グラムのイソトリデシルメタクリレート、24グラムのアクリル酸、および36グラムのVAZO(登録商標)の混合物を4時間にわたって加えた。この添加が完了した後、次に混合物を30分間撹拌し、96グラムの酢酸アミル中12グラムのVAZO(登録商標)67の混合物を20分間にわたって加えた。反応物を還流にさらに2時間保持し、次に室温に冷却した。
【0090】
分子量は13,854であるとGPCによって測定され、粘度は26℃で126センチポアズであり、全体固形分は60%であった。
【0091】
アクリルポリマー#12
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えたフラスコに、1758.6グラムのSOLVESSO(登録商標)100を加えた。溶媒を加熱還流した。703.4グラムのSOLVESSO(登録商標)100中の703.4グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、3033.6グラムのイソボルニルアクリレート、659.5グラムの2−ヒドロキシエチルメタクリレート、および44グラムの過酢酸第三ブチルの混合物を、300分間にわたって加えた。添加が完了したとき、反応物を還流にさらに30分間保持し、次に885.3グラムのエプシロン−カプロラクトン、412.2グラムのSOLVESSO(登録商標)100、および3.0グラムのジブチルスズジラウレートの混合物を30分間にわたって加えた。反応物を次に還流にさらに3時間保持した。混合物を次に室温に冷却し、取り出した。生じたポリマー溶液の重量固形分は65.8%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度(ASTM D1545−98)はXであった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は37,690であり、多分散性は11であった。
【0092】
アクリルポリマー#13
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えたフラスコに、2963グラムの酢酸アミルおよび324.5グラムのキシレンを加えた。この混合物を加熱還流した。792グラムのスチレン、528グラムのブチルメタクリレート、2640グラムのTONE(登録商標)M−100、1214.4グラムのブチルアクリレート、105.6グラムのアクリル酸、および55グラムのVAZO(登録商標)67の混合物を、4時間にわたって加えた。添加が完了したとき、反応物を還流にさらに30分間保持した。211.12グラムの酢酸アミル中17.6グラムのVAZO(登録商標)67の混合物を20分間にわたって加えた。添加が完了したとき、反応物を還流にさらに2時間保持した。混合物を室温に冷却し、取り出した。生じたポリマー溶液は無色透明のポリマー溶液であり、60%の固形分含有率および25℃で454センチポアズのブルックフィールド粘度を有した。ポリマーは、49,173Mw(重量平均分子量)および5,866Mn(数平均分子量)を有した。
【0093】
アクリルポリマー#14
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、666グラムのSOLVESSO(登録商標)100を加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。バッチを還流に維持しながら、31グラムのSOLVESSO(登録商標)100中1473.8グラムのn−ブチルメタクリレート、982.5グラムのヒドロキシプロピルアクリレートの混合物を、180分間にわたって加えた。89.5グラムのSOLVESSO(登録商標)100中15.9グラムの過酢酸t−ブチルの別の添加を、195分間にわたって同時に加えた。添加が完了した後、220.5グラムのSOLVESSO(登録商標)100を反応混合物に加えた。次に反応混合物を還流にさらに40分間保持した。生じたポリマー溶液の重量固形分は69.4%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度はZであった。ポリスチレン標準を使用するGPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は6,485であり、多分散性は1.99であった。
【0094】
表1

【0095】
ジウレア分散系#1の製造
53グラムのベンジルアミンを3000グラムのアクリルポリマー#11に加えた、混合物を5分間撹拌した。41.7グラムのヘキサメチレンジイソシアネートを一度にこの混合物に加えた。添加が完了したとき、混合物を8分間撹拌し、そのまま使用した。
【0096】
ジウレア分散系#2の製造
53グラムのベンジルアミンを3000グラムのアクリルポリマー#1に加えた、混合物を5分間撹拌した。41.7グラムのヘキサメチレンジイソシアネートを一度にこの混合物に加えた。添加が完了したとき、混合物を8分間撹拌し、そのまま使用した。
【0097】
GARAMITE(登録商標)分散系
プロピオン酸n−ブチル、54.40部を、窒素雰囲気下に混合ミルに加えた。7.60部のGARAMITE(登録商標)を撹拌しながら加えた。20分間撹拌した後、38.0部のアクリルポリマー#14を加えた。60分間撹拌した後、混合物を、ジルコニア媒体(0.8〜1.0mm)を用いてミルに3回通した。
【0098】
3−ウェットプライマー組成物
以下の原料を、示される順番に好適な混合容器に加えた。全ての量は重量部単位である。
【0099】

【0100】
ベースコート組成物1〜11
シルバーメタリックベースコート組成物は、表2の原料を、示される順番に好適な混合容器中で一緒に混合することによって製造した。全ての量は重量部単位である。
【0101】

【0102】
(表続き)

【0103】
コーティング実施例1〜10
ベースコート組成物1〜10でコートするためのパネルを準備するために、リン酸塩処理スチールパネルを、陰極エポキシ樹脂ベースエレクトロコート(DuPont Company,Wilmington,DE製のCORMAX(登録商標)6ED)でコートした。生じたエレクトロコートを硬化させて23ミクロンのフィルム塗り厚を達成した。各パネルを次に3−ウェットプライマー組成物でコートし、溶剤の一部を除去するために周囲温度で90秒間フラッシュした。
【0104】
ベースコート組成物1〜10を2つのパネルに、各コートの間に1分周囲温度フラッシュありで2層に塗布した。ベースコート組成物でコートした後、パネルを周囲温度で3分間フラッシュした。クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能な(GEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、各コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルのそれぞれに塗布した。各ベースコートについて、1パネルは、周囲温度で5分間フラッシュし、乾燥オーブン中水平位置で140℃で30分間硬化させた。他のパネルは、周囲温度で5分間フラッシュ乾燥させ、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で30分間硬化させた。
【0105】
コーティング実施例11
リン酸塩処理スチールパネルを、陰極エポキシ樹脂ベースエレクトロコート(DuPont Company,Wilmington,DE製のCORMAX(登録商標)6ED)でコートした。生じたエレクトロコートを硬化させて23ミクロンのフィルム塗り厚を達成した。各パネルを次に3−ウェットプライマー組成物でコートし、溶剤の一部を除去するために周囲温度で3分間フラッシュした。
【0106】
ベースコート組成物11をパネルに、各コートの間に1分周囲温度フラッシュありで2層に塗布した。ベースコート組成物でコートした後、パネルを周囲温度で3分間フラッシュした。クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、各コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルに塗布した。パネルを周囲温度で5分間フラッシュし、乾燥オーブン中水平位置で140℃で30分間硬化させた。
【0107】
表3

1.「V」は垂直位置でのベーキングを示す。「H」は水平位置でのベーキングを示す。
【0108】
ベースコート組成物12
シルバーメタリックベースコート組成物は、原料を、示される順番に好適な混合容器中で一緒に混合することによって製造した。全ての量は重量部単位である。
【0109】

【0110】
コーティング実施例12〜15
市販のベーキングプライマーを使用する下塗パネルの準備
リン酸塩処理スチールパネルを、陰極エポキシ樹脂ベースエレクトロコート(DuPont Company,Wilmington,DE製のCORMAX(登録商標)6ED)でコートした。生じたエレクトロコートを硬化させて23ミクロンのフィルム塗り厚を達成した。
【0111】
これらのパネルを次にプライマー組成物、DuPont,Wilmington,DEから入手可能な、Titanium Primer708A01244の層でコートした。各下塗パネルを次に周囲温度で10分間フラッシュし、乾燥オーブン中140℃で30分間硬化させた。パネルを次に周囲温度に冷却した。
【0112】
コーティング12(比較)
Silver Birchベースコート(647A0111としてDuPontから入手可能なポリエステルベースベースコート組成物)の単層を、予め下塗したスチールパネル(上で準備した)上にスプレー塗布した。コーティング後に、パネルを周囲温度で3分間フラッシュした。クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルに塗布した。パネルを周囲温度で10分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で20分間硬化させた。
【0113】
コーティング13(対照)
Silver Birchベースコート組成物を、予め下塗したスチールパネル(上で準備した)上に塗布した。パネルを周囲温度で3分間フラッシュし、Silver Birchベースコートの第2コートを塗布した。周囲温度での3分フラッシュ後に、クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルに塗布した。パネルを周囲温度で10分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で20分間硬化させた。
【0114】
コーティング14
ベースコート組成物12を、予め下塗したスチールパネル(上で準備した)上に塗布した。パネルを周囲温度で3分間フラッシュした。クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルに塗布した。パネルを周囲温度で10分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で20分間硬化させた。
【0115】
コーティング15
ベースコート組成物12を、予め下塗したスチールパネル(上で準備した)上に塗布した。パネルを周囲温度で3分間フラッシュし、ベースコート組成物12の第2コートを塗布した。周囲温度での3分フラッシュ後に、クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルに塗布した。パネルを周囲温度で10分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で20分間硬化させた。
【0116】
3−ウェット下塗パネルの準備
リン酸塩処理スチールパネルを、陰極エポキシ樹脂ベースエレクトロコート(DuPont Company,Wilmington,DE製のCORMAX(登録商標)6ED)でコートした。生じたエレクトロコートを硬化させて23ミクロンのフィルム塗り厚を達成した。各パネルを次に3−ウェットプライマー組成物でコートし、溶剤の一部を除去するために周囲温度で3分間フラッシュした。
【0117】
コーティング16
3−ウェット下塗パネル(上で準備した)を、ベースコート組成物12の1コーティングでコートし、周囲温度で3分間フラッシュした。クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルに塗布した。パネルを周囲温度で2分間フラッシュし、93℃の乾燥オーブン中に垂直位置に置いた。乾燥オーブン中の温度を、8分間にわたって140℃に上げた。パネルを次に140℃に12分間保った。
【0118】
コーティング17
3−ウェット下塗パネル(上で準備した)を、塗布の間に周囲温度での3分フラッシュありでベースコート組成物12の2つのコートでコートした。パネルを次に3分間フラッシュし、クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルに塗布した。パネルを周囲温度で2分間フラッシュし、93℃の乾燥オーブン中に垂直位置に置いた。乾燥オーブン中の温度を、8分間にわたって140℃に上げた。パネルを次に140℃に12分間保った。
【0119】
これらのパネルの結果を表4にまとめる。
【0120】
表4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性成分および架橋成分を含むコーティング組成物であって、
(a)前記架橋性成分が、少なくとも1つの線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーと少なくとも1つのポリエステル−延長アクリレートモノマーとを含むアクリルポリオールを含み、そして
(b)前記架橋成分が、メラミン、アミノプラスト樹脂、ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネート、またはそれらの組み合わせから選択される群の少なくとも1つを含み、かつ、
前記線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーとポリエステル−延長アクリレートモノマーとの総重量百分率が少なくとも40であるコーティング組成物。
【請求項2】
前記アクリルポリオールが少なくとも1つのC8以上アルキルアクリレートモノマーを前記アクリルポリオールの10重量パーセント〜60重量パーセントの量で含む請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの線状または分岐C8以上アクリレートモノマーがオクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ウンデシルアクリレート、ウンデシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソトリデシルアクリレート、イソトリデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、およびステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記架橋成分がメラミンを含む請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記アクリルポリオールがスチレン、アルファ−メチルスチレン、C1〜C10(シクロ)アルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、またはそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つのモノマーをさらに含む請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのポリエステル延長アクリレートモノマーがヒドロキシアルキルアクリレートとカプロラクトンとの反応の生成物である請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
ベースコートまたは光沢のあるトップコートである請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
請求項1に記載のコーティング組成物によってコートされた物品。
【請求項9】
プライマー組成物の層、ベースコート組成物の層およびクリアコート組成物の層を基材上に順次塗布する工程と、加熱することによって塗布層を同時に硬化させる工程とを含む多層コーティングの形成方法であって、
前記ベースコート組成物が架橋性成分、架橋成分、有機液体キャリア、および場合により顔料を含み、
a)前記架橋性成分が、少なくとも1つの線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーと、少なくとも1つのポリエステル−延長アクリレートモノマーとを含むアクリルポリオールを含み、そして
b)前記架橋成分が、メラミン、アミノプラスト樹脂、アミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネート、またはそれらの組み合わせから選択される群の少なくとも1つを含み、かつ、
前記線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーとポリエステル−延長アクリレートモノマーとの総重量百分率が少なくとも40である方法。
【請求項10】
ベースコート組成物の層の塗布とクリアコート組成物の層の塗布との間にフラッシュ工程をさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
プライマー組成物の層の塗布とベースコート組成物の層の塗布との間にフラッシュ工程をさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記硬化が塗布されたプライマー、ベースコート、およびクリアコート層のそれぞれについて一次硬化である請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの線状または分岐C8以上アクリレートモノマーが前記アクリルポリオールの10重量パーセント〜60重量パーセントの範囲を占める請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの線状または分岐C8以上アクリレートモノマーがオクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ウンデシルアクリレート、ウンデシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソトリデシルアクリレート、イソトリデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、およびステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記架橋性成分がメラミンを含む請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのポリエステル延長アクリレートモノマーがヒドロキシアルキルアクリレートとカプロラクトンとの反応の生成物である請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2010−511775(P2010−511775A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540258(P2009−540258)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/024832
【国際公開番号】WO2008/070076
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】