説明

アクリル電着組成物及びリン酸塩前処理の代替法

電着可能な電着プライマーコーティング組成物などのコーティング組成物は、リン酸化アクリルポリマーを含む。このコーティングは、従来のリン酸塩前処理をしないでも優れた腐食保護を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本発明は、電着コーティング組成物、該組成物の製造方法、導電性基材上へのコーティングの電着方法、及び電着されたコーティングに関する。
【0002】
開示の背景
この節での記載は、単に本開示に関する背景情報を提供しているにすぎず且つ先行技術を構成するものではない。
【0003】
腐食環境で使用される金属物品の工業コーティングは、1つ以上の無機及び有機処理及びコーティングの適用を含み得る。自動車組立工場の塗装システム(「塗装工場」)は大規模で、複雑で、且つコストがかかる。金属製の自動車の車体(「何も塗ってない車体」)及び部品は、例えば、1つ以上の洗浄漕又は散布タンク中で多くの洗浄処理工程が施され、リン酸処理槽中で金属前処理工程として水性リン酸コーティング材料が塗装され、次いで種々のすすぎ及び追加の最終処理が行われ、これは例えば、Claffey、米国特許第5,868,820号に記載されている。リン酸処理の前処理工程によって、確実に金属の耐食性及びその後の金属へのコーティングの付着が改善される。洗浄及びリン酸処理工程は、吹付装置又は浸漬タンクの10個又は12個の個別の処理ステーションを有してよい。
【0004】
電着コーティング(「電着」)は、金属の自動車車体への前処理工程後に塗装される。電着槽は通常、主要な塗膜形成樹脂(「ポリマー」及び「樹脂」は本開示において同義で用いられる)の水性分散液又はエマルションを含み、これは水又は水の混合液及び有機共溶媒においてイオン安定性を有する。耐久性のある電着塗膜が要求される自動車用途又は工業用途において、電着組成物は硬化性(熱硬化性)組成物にするために配合される。これは通常、主要な塗膜形成樹脂による分散によって達成されており、架橋剤は、加熱などの適切な条件下で主要な樹脂上の官能基と反応し、そしてコーティングを硬化することができる。電着の間、比較的低い分子量のイオン荷電樹脂を含有するコーティング材料は、電着槽中で基材を水に浸し、次いで基材と、反対荷電の極、例えば、ステンレス鋼電極との間に、電位を印加することによって導電性基材上に堆積される。荷電したコーティング材料は、導電性基材へ移動し且つその上に堆積する。塗装された基材は、次いで加熱されてコーティングを硬化するか又は架橋する。
【0005】
電着組成物及び方法の利点の1つは、塗装されたコーティング組成物が、形状又は構成に関係なく種々の金属基材の上に均一な接触層を形成することである。これは、コーティングが、自動車の車体などの不規則な表面を有する基材の上に防食コーティングとして塗装される時に特に有利である。金属基材の全部分上の均一な連続コーティング層は最大の防食効果を与える。しかしながら、リン酸塩前処理は、今まで自動車の車体の腐食に対して保護する際に不可欠な工程であった。McMurdieら、米国特許第6,110,341号は、ポリエポキシド架橋基を含み得る、ヒドロカルビルホスフェート及びホスホン酸エステルを、腐食保護の改善のために全浴槽質量に対して500ppmまでの量で電着槽中に導入できることを教示している。フェニルホスホン酸を含む例は、未処理の鋼パネル上での腐食保護をわずかに向上させることが報告された。
【0006】
開示の要約
本発明者らは、非リン酸金属基材(即ち、リン酸塩前処理を受けない金属基材)上へ電着コーティングを電着させるための組成物及び方法を開示し、その際、電着コーティングは優れた腐食保護を与える。リン酸処理の前処理方法のための工程及び装置の削減は、新たな塗装工場の建設における主要なコストの削減を可能にし、並びに現在の自動車の製造プラントで塗装工場を稼働させる際に、単純化とコストの削減を可能にする。
【0007】
本方法は、水性電着コーティング組成物を使用し、また電着槽とも呼ばれ、その際、バインダーは、ビニル、例えば、アクリル、少なくとも1つのリン含有基
【化1】

(式中、Xは水素、一価の炭化水素基(即ち、ヒドロカルビル基)、アルキル基、例えば、アミノアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、又はリン原子への単一の共有結合を有する酸素原子であり、且つ各酸素原子は水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、又はアクリルポリマーへの共有結合を有するが、但し、少なくとも1つの酸素原子はアクリルポリマーへの共有結合を有することを条件とする)
を有するポリマーを含む、陰極電着可能なコーティングを含む。アルキル基はシクロアルキル基であってよい。アルキル及びアリール基はヒドロカルビル基であってよく又はヘテロ原子を含んでよい。便宜上、「ポリマー」及び「樹脂」は、この開示において樹脂、オリゴマー、及びポリマーを包含するために同義で用いられており、リン含有基を有するアクリルポリマーはリン酸化アクリルポリマーを指す。「バインダー」は、コーティング組成物の塗膜形成成分を指す。典型的にはバインダーは熱硬化性又は硬化性である。リン酸化アクリルポリマーは、それ自体が電着可能であり、即ち、陰極電着のためにアミン官能性であるか又は陽極電着のために酸官能性であってよく、又はバインダーは電着可能な更なるポリマーを含んでよい。アクリルポリマーは、少なくとも1つのアクリレート又はメタクリレートモノマーの、場合により他のビニルモノマーと一緒に、追加の重合によって製造されるビニルポリマーである。便宜のために、典型的には少なくとも1つのアクリレート又はメタクリレートモノマーが共重合されるので、「アクリル」及び「ビニル」はビニルモノマーのポリマー(例えば、アクリレート及びメタクリレートモノマー)を意味するために同義で用いられる。
【0008】
一実施態様において、リン酸化アクリルポリマーは、アクリルポリマーのモノリン酸エステル又はモノホスホン酸エステルを含む(即ち、1つの酸素はリン原子及びアクリルポリマーの両方に共有結合される)。別の実施態様において、リン酸化アクリルポリマーは、二リン酸エステル、三リン酸エステル、又はアクリルポリマーの二リン酸エステルを含む。他の実施態様において、リン酸化アクリルポリマーはこれらのエステルの組み合わせを含む。ポリマーとリン原子との間で共有結合されてない、リン原子上の残りの酸素は、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、又はアリールアルキル基でエステル化してもよい。ある実施態様において、少なくとも1つのP−OH基はエステル化されないままであり;即ち、これらの実施態様において、リン含有基は少なくとも1つのP−OH基を有する。
【0009】
様々な実施態様において、リン酸化アクリルポリマーは1つのリン含有基又は複数のリン含有基を有する。リン酸化アクリルポリマーは、少なくとも1つのエポキシド基又はヒドロキシル基、又は複数のかかる基を有するアクリルポリマーを用いて製造してよく、これはリン含有化合物のP−OH基と反応する。
【0010】
ある実施態様において、リン酸化アクリルポリマーはアミン官能性であり且つ電着コーティング組成物中の全バインダーの約0.01〜約99質量%であってよい。これらの実施態様の中には、リン酸化アクリルポリマーが電着コーティング組成物中の全バインダーの約1〜約90質量%であるものや、リン酸化アクリルポリマーが電着コーティング組成物中の全バインダーの約5〜約80質量%であるものが存在する。ある実施態様において、バインダーは、リン酸化アクリルポリマーによる硬化中に反応する架橋剤を含む。ある実施態様において、バインダーは、リン酸化アクリルポリマーではない第2のアミン官能性樹脂を含む。これらの実施態様のいずれかにおいて、バインダーは、リン酸化アクリルポリマー、第2のアミン官能性樹脂、又はその両方を有する電着コーティング層の硬化中に反応する架橋剤も含んでよい。
【0011】
本発明者らはまた、導電性基材、例えば、金属の自動車の車体又は部品のコーティング方法を開示しており、該方法は、導電性基材を、リン酸化アクリルポリマーを含む電着可能なバインダーを有する水性の電着コーティング組成物中に配置すること、及び1つの電極として導電性基材を使用すること、電流を水性の電着コーティング組成物に通してバインダーを含むコーティング層を導電性基材上に堆積させることを含む。本方法のある実施態様において、バインダーは陰極電着可能であり、基材は陰極である。堆積したコーティング層は次に硬化コーティング層に硬化してよい。その後のコーティング層は、(場合により硬化された)電着コーティング層の上に塗装してよい。例えば、電着コーティング層は、プライマー層及び他の層、例えば、任意の吹付け塗装プライマーサーフェーサーであってよく、1つ又は複数のトップコート層(例えば、着色されたベースコート層及びクリアコート層)を電着コーティング層の上に塗装してよい。全てのコーティング層を硬化してよい。
【0012】
本方法の一実施態様において、導電性基材は、リン酸化アクリル樹脂を含む電着コーティングでコーティングする前に、リン酸化されていない;即ち、基材はリン酸塩前処理がされていない。
【0013】
本方法の一実施態様において、金属の自動車の車体を洗浄し、且つ洗浄された金属の自動車の車体は、リン酸化アクリルポリマーを含む電着可能なバインダーを含む水性コーティング組成物で電着される。従って、リン酸塩前処理は全く使用されていない。電着コーティング組成物のバインダーは、リン含有基を有していない、第2のアミン官能性樹脂を含んでよい。リン酸化アクリルポリマー及びアミン官能性樹脂のうち1つ又はその両方と反応する架橋剤は、一般的に電着コーティング層が硬化されるようにコーティング組成物中に含まれる。
【0014】
被覆された導電性基材は、電着コーティング層を基材上に含み、電着コーティング層は、リン酸化アクリルポリマーを含むバインダーから形成される硬化されたコーティングを含む。種々の実施態様において、バインダーは更に、リン酸化アクリル樹脂、バインダー中の第2の樹脂、又はその両方と反応する架橋剤を含み、これは硬化中に反応して硬化されたコーティングを形成する。
【0015】
コーティング組成物中に導入されるリン含有基は、未処理の、特にリン酸化されていない、金属基材、例えば、冷間圧延鋼の上での腐食保護で有意な改善を示すが、アクリル含有バインダーは、コーティングがほとんどのエポキシ樹脂が黄色であるためにエポキシベースのバインダーシステムでは不可能な色の範囲で作られることを可能にする。更に、アクリルポリマーは、コーティングが野外曝露を受ける時の耐久性がより高い。更に、リン含有基は、容易にアクリルポリマーのモノマー単位のフラクションに含まれ得る。
【0016】
「A」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」は、少なくとも1つの項目が存在することを表すために同義で用いられ;複数のかかる項目が存在してよい。実施例以外は、詳細な説明の最後に提供し、本明細書中のパラメータの全ての数値(例えば、量又は条件)は、添付の特許請求の範囲を含み、「約」が実際に数値の前に現れるかどうか全ての場合に用語「約」によって変更されることが理解されるべきである。「約」は記載された数値がわずかな不正確性を許容することを示す(その際、数値中の正確度に幾らか近づく;近似的に又は相当にこの値に近い;ほぼ)。「約」によって提供される不正確性が当該技術分野においてこの通常の意味とは別に理解されない限り、本明細書において使用される「約」は、少なくとも、かかるパラメータの通常の測定方法及び使用から生じ得る変動を示す。更に、開示範囲は、開示の全ての値を含み且つ全範囲内で更に分割された範囲を含む。
【0017】
適用可能性の更なる範囲は、本明細書に与えられた説明から明らかになる。この説明及び特定の例は、例示のみを目的として意図し、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。
【0018】
発明の詳細な説明
以下の説明は、その性質において単に例示的なものであり、本開示、本出願、又はその使用を限定することを意図していない。
【0019】
リン酸化されていない金属の基材は、リン酸化アクリルポリマーを含むバインダーを有する水性電着コーティング組成物で電着されている。リン酸化アクリルポリマーは、いずれにしてもそれ自体が電着可能であり−即ち、これはアミン又は酸官能性を有する−又はバインダーはアミン又は酸官能性を有する第2のポリマーを含有するので電着可能である。電着したコーティング層は、硬化され且つ1つ以上の追加のコーティング層で上塗りされてよい。リン酸化アクリルポリマーは、以下の構造
【化2】

(式中、Xは水素、一価の炭化水素基(即ち、ヒドロカルビル基)、アルキル基、例えば、アミノアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、又はリン原子への単一の共有結合を有する酸素原子であり、且つ各酸素原子は水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、又はアクリルポリマーへの共有結合を有するが、但し、少なくとも1つの酸素原子はアクリルポリマーへの共有結合を有することを条件とする)
を有する、少なくとも1つの共有結合したリン含有基を有する。それぞれの場合、アルキル基はシクロアルキル基であってよく、アルキル又はアリール基は1つ以上のヘテロ原子を含んでよい。
【0020】
リン酸化ビニル又はアクリルポリマーは、エポキシド又はヒドロキシル官能性又はその両方を有するビニル又はアクリルポリマーを、リン含有酸又はエステル化可能な誘導体でエステル化することによって製造するか、又はリン含有基を有する又はリン含有酸又は酸誘導体でエステル化されたエチレン性不飽和モノマーの追加の重合によって製造してよい。リン含有酸又はエステル化可能な誘導体とヒドロキシル基との反応によってエステル結合が生じる一方で、エポキシド基との反応によってベータ炭素上でヒドロキシル基とのエステル結合が生じる。
【0021】
リン含有酸又は誘導体と反応され得る又はリン含有酸又は誘導体との反応のために、共重合されてヒドロキシル又はエポキシド基をアクリルポリマーの上に提供することができる、追加の重合可能なモノマーの非限定の好適な例として、限定することなしに、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアルコール、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、及びアリルグリシジルエーテルが挙げられ;これらは組み合わせて使用してよい。ヒドロキシル基又はエポキシド基がコーティングの硬化中に架橋可能な官能性基としても使用される場合、組み込まれたヒドロキシル基又はエポキシド基の量は、リン含有酸又はエステル化可能な誘導体との反応のために必要とされる量を超えて増大し、硬化中の架橋のために望ましい残基量のヒドロキシル基又はエポキシド基を提供する。
【0022】
ヒドロキシル、エポキシド、又はリン含有基を有する追加の重合可能なモノマーは、アクリルポリマーを形成する際に、他の追加の重合可能なモノマーと共重合してよい。好適なコモノマーの非限定例として、炭素数3〜5のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸及びエチレン性不飽和ジカルボン酸及び酸無水物;炭素数3〜5のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸及びエチレン性不飽和ジカルボン酸及び酸無水物のエステル、ニトリル、又はアミド;ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド、及び芳香族及び複素環式のビニル化合物が挙げられる。代表的な例として、アクリル酸及びメタクリル酸、アミド、及びアミノアルキルアミド;アクリロニトリル及びメタクリロニトリル;アクリル酸及びメタクリル酸のエステル、例えば、炭素数1〜20の飽和脂肪族及び脂環式アルコールのエステル、例えば、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、アミルアクリレート、アミルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、置換シクロヘキシルアクリレート及びメタクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシルアクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシルメタクリレート;ジメチルアミノエチル、tert−ブチルアミノ、テトラヒドロフルフリル、及びイソボルニルアクリレート及びメタクリレート:マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、及びイタコン酸などの対応するエステル;例えば、マレイン酸ジメチルエステル及びマレイン酸モノヘキシルエステル;;ビニルモノマー、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルエチルエーテル、及びビニルエチルケトン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2−ビニルピロリドン、t−ブチルスチレンなどが挙げられる。他の有用な重合可能なコモノマーとして、例えば、アルコキシエチルアクリレート及びメタクリレート、アクリロキシアクリレート及びメタクリレート、及び化合物、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン、及びメタクロレインが挙げられる。これらの組み合わせが通常利用されている。
【0023】
アクリルポリマーは、例えば、バッチ、セミバッチ、又は連続供給プロセスにおけるフリーラジカル重合、カチオン重合、又はアニオン重合などの慣用技術を用いて製造してよい。例えば、重合は、バッチ又は連続供給反応器において、有機過酸化物又はアゾ化合物、及び、場合により、連鎖移動剤などのフリーラジカル源の存在下で、塊状の又は溶液のエチレン性不飽和モノマーを加熱することによって実施してよい。あるいは、モノマー及び開始剤を、セミバッチ式プロセスで制御された速度で加熱された反応器中に供給してよい。
【0024】
典型的なフリーラジカル源は、有機ペルオキシド、例えば、ジアルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネート、ジアシルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、及びペルオキシケタール;及びアゾ化合物、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)及び1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)である。典型的な連鎖移動剤は、メルカプタン類、例えば、オクチルメルカプタン、n−又はtert−ドデシルメルカプタン、チオサリチル酸、メルカプト酢酸、及びメルカプトエタノール;ハロゲン化化合物、及びダイマーのα−メチルスチレンである。フリーラジカル重合は、通常、約20℃〜約250℃、有利には90℃〜170℃の温度で実施される。この反応は、ビニルコポリマーを製造するために慣用の方法によって実施される。
【0025】
エポキシド又はヒドロキシル官能性アクリルポリマー又はモノマーと反応し得る好適なリン含有酸誘導体として、エステル化可能なエステル及びリン含有酸の酸無水物が挙げられる。好適な実施例の中には、エステル交換できる以上の、水素原子又は低級アルキル基(炭素数4個以下、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びtert−ブチル)である、少なくとも1つのRを有する−P(OR)=O基含有酸又は酸誘導体、例えば、リン酸、リン酸のモノ−又はジエステル、次リン酸、次リン酸のモノエステル、アルキル−又はアリールホスホン酸、アルキル−又はアリールホスホン酸のモノエステル、及びこれらの組み合わせがある。この反応に使用されるリン酸又はリン酸の源は、非水性リン酸、85%水溶液中の、より希釈された水性リン酸、ピロリン酸、又はポリリン酸であってよい。他の好適なリン酸源は、本明細書に援用された、Campbellら、米国特許第4,397,970号に記載されている。アクリルポリマーは、リン含有酸又は酸誘導体との反応のために少なくとも1つのエポキシド又はヒドロキシル基を有する。
【0026】
リン含有酸又は酸誘導体は、アクリルポリマーの重合前に重合可能なモノマーと反応するか又は重合の間又はその後にアクリルポリマーと反応してよい。酸又は酸誘導体とポリマー又はモノマーとの反応は、既に記載された中の任意の溶媒中で又は溶媒なしで、約50℃〜約150℃の温度で実施してよい。重合(即ち、重合可能な、エチレン性不飽和モノマーを付加させる)前に行われる場合、少量の重合防止剤(例えば、ヒドロキノン又はメチルヒドロキノン)を使用することが、重合可能な不飽和基の付加を維持するために望ましい。好適な溶媒として、限定することなしに、不活性な有機溶媒、例えば、ケトン、例えば、メチルイソブチルケトン及びメチルアミルケトン、芳香族溶媒、例えば、トルエン、キシレン、Aromatic 100及びAromatic 150、及びエステル、例えば、ブチルアセテート、n−プロピルアセテート、ヘキシルアセテートが挙げられる。
【0027】
リン酸化アクリルポリマーとして、アクリルポリマーのモノホスホン酸エステル、ジホスホン酸エステル、一リン酸エステル、二リン酸エステル、及び三リン酸エステル、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。更に、リン酸化アクリルポリマーは、1つ又は複数のリン含有エステル基を有してよい。リン含有酸又は酸誘導体によるエステル化の程度及び樹脂中に導入されたリン含有エステル基の数は、とりわけ、比較的等価の反応物によって制御してよい。一例では、約1〜約3当量のビニル又はアクリルポリマー(エポキシド及び/又はヒドロキシル基をベースとする)は、それぞれ等量のリン酸又はリン酸誘導体と反応する。別の例では、約1〜約2当量のアクリルポリマー(エポキシド及びヒドロキシル基をベースとする)は、それぞれ等量のリン酸又はリン酸誘導体と反応する。ポリマー反応性基の当量は、酸又は酸誘導体の当量を上回ってもよい。ポリマーとリン酸又はホスホン酸又は酸誘導体とを一緒に混合し、望ましい程度の反応が得られるまで反応させてよい。一部の実施態様において、アクリル又はビニルポリマーはグラム当たり約0.01〜約1ミリ当量のリン含有基を有し;更に一部の実施態様において、アクリル又はビニルポリマーはグラム当たり約0.01〜約0.1ミリ当量のリン含有基を有する。
【0028】
アクリルポリマー及びリン含有酸又は酸誘導体に加えてリン酸化反応に使用してよい他の反応物として、アルキル又は芳香族アルコール、例えば、n−ブタノール、イソプロパノール、及びn−プロパノール;グリコールエーテル、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びプロピレングリコールモノプロピルエーテル;アルキル又は芳香族アミン、例えば、ジメチルエタノールアミン;ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジブタノールアミン、ジイソブタノールアミン、ジグリコールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン;水;及びこれらの組み合わせが挙げられる。かかる反応物は、アクリルポリマーと酸又は酸誘導体との反応後に過剰のオキシラン又はヒドロキシル基と反応させるために使用することもできる。同様に、かかる他の反応物は、エポキシド又はヒドロキシル基を有する重合可能なモノマーが、アクリルポリマーの重合前にリン含有酸又は酸誘導体と反応する時に、含まれて良い。
【0029】
アクリル樹脂は、酸官能基の導入によって、例えば、酸含有モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、不飽和ジカルボン酸又はこれらの環状酸無水物の重合によって、陽極電着可能にされ得る。アクリル樹脂は、アミン官能基の導入によって、例えば、アミノ含有モノマー、例えば、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート、tert−ブチルアミノエチルアクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ビニルピロリドン又は他のかかるアミノモノマーの重合によって、陰極電着可能にされ得る。あるいは、エポキシド基は、重合反応においてエポキシド官能性モノマーを含むことによって導入され(即ち、リン含有酸又は反応性誘導体との反応に要求される量を上回る)、次いで第2級アミンなどのアミンと反応され得る。リン含有基をアクリルポリマーの上に導入するためにエポキシド基の領域も使用される場合、十分な量のエポキシド基が両方の目的のために導入される。アミン官能性は、2つのうちどちらかの方法でエポキシド官能性を有するアクリルポリマーに付与されてよい。第1の方法では、エポキシド基と反応する少なくとも1つの活性水素を有するアミンは、エポキシド官能性樹脂及びリン含有酸又はリン含有酸の源の反応において反応物として含まれる。第2の方法では、リン酸化アクリルポリマーがエポキシド官能性生成物として形成され、これが次にエポキシド基と反応する少なくとも1つの活性水素を有するアミンと更に反応される。好適なアミン化合物の例として、限定することなしに、ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、N−アミノエチルピペラジン、アミノプロピルモルホリン、テトラメチルジプロピレントリアミン、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノブチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノブチルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミン、アルカノールアミン、例えば、メチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミノプロピルモノメチルエタノールアミン、及びジエタノールアミン、ジケチミン(1モルのジエチレントリアミン及び2モルのメチルイソブチルケトンの反応生成物)、及びポリオキシアルキレンアミンが挙げられる。
【0030】
エポキシド基、ヒドロキシル基、及び/又はリン含有基を有するモノマー及び塩形成基を有するモノマー(カチオン基のアミン又はアニオン基の酸又は酸無水物)は、既に記載されたものなどの1種又は複数種の他のエチレン性不飽和モノマーと重合され得る。
【0031】
リン酸化アクリルポリマーを使用して電着コーティング組成物(電着槽としても公知)を製造する。一般に、バインダーは、リン酸化アクリルポリマーを含んで製造され、次いで該バインダーは、陰極で堆積可能な電着組成物を得るためにバインダー中に存在するアミン基を酸で塩形成するか又は陽極で堆積可能な電着組成物を得るためにバインダー中に存在する酸基をアミンで塩形成し且つ該塩形成したバインダーを水性媒体と組み合わせることによって、水性媒体中に分散される。
【0032】
ある実施態様において、電着コーティング組成物中のバインダーは、約0.01〜約99質量%のリン酸化アクリルポリマーを含む。電着コーティング組成物中のバインダーは、約0.01〜約99質量%のリン酸化アクリルポリマー、1〜約90質量%のリン酸化アクリルポリマー、又は約5〜約80質量%のリン酸化アクリルポリマーを含んでよい。
【0033】
リン酸化アクリルポリマーがアミン又は酸官能性を有していない場合、バインダーはアミン官能性又は酸官能性以上の第2のポリマーを含み、これはバインダーを電着可能にする。第2の樹脂はアクリル樹脂にされてよく、これはアミノ含有モノマー、例えば、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート、tert−ブチルアミノエチルアクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ビニルピロリドン又は他のかかるアミノモノマーの導入によって又は前述のようなエポキシド基とアミンとの反応によって上述のようなアミン官能性にされるか、又は既に記載されたような重合可能な酸の導入によって酸官能性にされる。重合は架橋可能な官能性基を提供するヒドロキシル官能性モノマーも含んでよい。有用なヒドロキシル官能性エチレン性不飽和モノマーとして、限定することなしに、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、メタクリル酸とスチレンオキシドとの反応生成物などが挙げられる。有利なヒドロキシルモノマーは、化合物のヒドロキシルを有するアルコール部分が炭素数1〜8の直鎖状又は分枝鎖状のヒドロキシアルキル部分である、メタクリル酸又はアクリル酸エステルである。
【0034】
ヒドロキシル基を有するモノマー及びアミン又はエポキシド基又は酸基を有するモノマーは、リン酸化アクリルポリマーに関して既に述べられた他のエチレン性不飽和モノマーのいずれかと重合してよい。コモノマーの組み合わせが通常利用されている。
【0035】
バインダーは、基材上で形成されたコーティング層の硬化中にリン酸化樹脂以外のアミン官能性樹脂と反応する架橋剤を含んでもよく、又は該バインダーは、基材上で形成されたコーティング層の硬化中にリン酸化樹脂以外のアミン官能性樹脂及びリン酸化樹脂の両方と反応する架橋剤を含んでもよい。架橋剤の好適な例として、限定することなしに、ブロックトポリイソシアネート及びアミノプラスト樹脂が挙げられる。芳香族、脂肪族又は脂環式のポリイソシアネートの例として、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、2,4−又は2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、p−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、混合物のフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2−イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン2,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソ−シアナトメチル)シクロヘキサン、ダイマー脂肪酸から誘導されたジイソシアネート(ヘンケル社よりDDI1410の商品名で市販されている)、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,7−ジイソシアナト−4−イソシアナト−メチルヘプタン又は1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトプロピル)−シクロヘキサン、及び高級ポリイソシアネート、例えば、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、又はこれらのポリイソシアネートの混合物が挙げられる。好適なポリイソシアネートとして、イソシアヌレート、ビウレット、アロファネート、イミノオキサジアジンジオン、ウレタン、尿素、又はウレトジオン基を含有するものから誘導されたポリイソシアネートも挙げられる。ウレタン基を含有するポリイソシアネートは、例えば、一部のイソシアネート基とポリオール、例えば、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、及びグリセロールとの反応によって得られる。イソシアネート基はブロック剤と反応する。好適なブロック剤の例として、フェノール、クレゾール、キシレノール、イプシロン−カプロラクタム、デルタ−バレロラクタム、ガンマ−ブチロラクタム、ジエチルマロネート、ジメチルマロネート、エチルアセトアセテート、メチルアセトアセテート、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、イソブタノール、tert−ブタノール、ブタノール、グリコールモノエーテル、例えば、エチレン又はプロピレングリコールモノエーテル、酸アミド(例えば、アセトアニリド)、イミド(例えば、スクシンイミド)、アミン(例えば、ジフェニルアミン)、イミダゾール、尿素、エチレン尿素、2−オキサゾリドン、エチレンイミン、オキシム(例えば、メチルエチルケトキシム)などが挙げられる。
【0036】
当業者に理解されるように、アミノプラスト樹脂は、ホルムアルデヒドとアミン(ここで有利なアミンは尿素又はメラミンである)との反応生成物によって形成される。尿素及びメラミンが有利なアミンであるが、他のアミン、例えば、トリアジン、トリアゾール、ジアジン、グアニジン、又はグアナミンもアミノプラスト樹脂を製造するために使用してよい。更に、ホルムアルデヒドがアミノプラスト樹脂を形成するために有利であるが、他のアルデヒド、例えば、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、及びベンズアルデヒドも使用してよい。好適なアミノプラスト樹脂の非限定例として、モノマーの又はポリマーのメラミンホルムアルデヒド樹脂、例えば、有利には炭素数1〜6、更に有利には炭素数1〜4のアルコールを使用して部分的に又は完全にアルキル化したメラミン樹脂、例えば、ヘキサメトキシメチル化メラミン;尿素ホルムアルデヒド樹脂、例えば、メチロール尿素及びシロキシ尿素、例えば、ブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂、アルキル化ベンゾグアナミン、グアニル尿素、グアニジン、ビグアニジン、ポリグアニジンなどが挙げられる。
【0037】
場合により、可塑剤又は溶媒又はその両方を電着コーティング組成物に添加することができる。凝集溶剤の非限定例としてアルコール、グリコールエーテル、ポリオール、及びケトンが挙げられる。具体的な凝集溶剤として、エチレングリコールのモノブチル及びモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールのフェニルエーテル、エチレングリコールのモノアルキルエーテル、例えば、エチレングリコール又はプロピレングリコールのモノメチル、モノエチル、モノプロピル、及びモノブチルエーテル;エチレングリコール又はプロピレングリコールのジアルキルエーテル、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル及びプロピレングリコールジメチルエーテル;ブチルカルビトール;ジアセトンアルコールが挙げられる。可塑剤の非限定例としてノニルフェノール、ビスフェノールA、クレゾールなどのエチレン又はプロピレンオキシド付加物、又はエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドをベースとしたポリグリコールが挙げられる。凝集溶剤の量は重要ではなく、一般的に樹脂固形物の全質量を基準として約0〜15質量%、有利には約0.5〜5質量%である。可塑剤は樹脂固形物の15質量%以下の濃度で使用できる。
【0038】
アミン官能性バインダーが酸の存在下で水に分散されるか又は酸官能性バインダーが塩基の存在下で水に分散される。好適な酸の非限定例として、リン酸、ホスホン酸、プロピオン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、又はクエン酸が挙げられる。好適な塩基の非限定例としてアンモニア及びアミンが挙げられる。塩形成酸又は塩基は、バインダーを水に添加する前に、バインダーと一緒にブレンドし、水と混合し、又はその両方を行ってよい。酸又は塩基は、水分散性をバインダーに付与するために必要なだけのアミン又は酸基を中和するのに十分な量で使用される。アミン又は酸基は完全に中和されるが、通常、要求される水分散性を付与するのに部分的な中和で十分である。樹脂が少なくとも部分的に中和されることに言及することによって、バインダーの塩形成可能な基の少なくとも1つが中和され、さらにかかる基の全てまで中和され得ることが示される。特定のバインダーに対して必須の水分散性をもたらすために要求される中和の程度は、その組成、樹脂の分子量、バインダー中の塩形成可能な樹脂の質量パーセント、及び他のこのような要因に依存し、且つ直接の実験を通して当業者の一人によって容易に決定することができる。
【0039】
バインダーエマルションを次いで電着コーティング組成物(又は浴槽)の製造に使用する。電着槽は、無色の又は透明の電着コーティング層を生成するように顔料を全く含有しなくてよいが、電着槽は、通常、一般的に顔料ペーストの一部として添加される、1種又は複数種の顔料を含み、且つ更に望ましい材料、例えば、凝集助剤、消泡剤、及びバインダーの分散前又は後に添加してよい他の添加剤を含有してよい。使用される顔料は、無機顔料、例えば、金属酸化物、クロマート、モリブダート、ホスファート、及びシリケートであってよい。使用されてよい無機顔料及び充填剤の例は、二酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック、オーカー、シェンナ、アンバー、ヘマタイト、褐鉄鉱、赤色酸化鉄、透明赤色酸化鉄(transparent red iron oxide)、黒色酸化鉄、褐色酸化鉄、酸化クロムグリーン、クロム酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、バライト、フェロシアン化第二鉄アンモニウム(プルシアンブルー)、ウルトラマリン、クロム酸鉛、モリブデン酸鉛、ケイ酸アルミニウム、沈降硫酸バリウム、リンモリブデン酸アルミニウム、及びマイカフレーク顔料である。有機顔料も使用されてよい。有用な有機顔料の例は、金属化及び非金属化アゾレッド、キナクリドンレッド及びバイオレット、ペリレンレッド、銅フタロシアニンブルー及びグリーン、カルバゾールバイオレット、モノアリーリド及びジアリーリドイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、トリルオレンジ(tolyl orange)、ナフトールオレンジ、及びこの類似物である。顔料をグラインド樹脂又は顔料分散剤を使用して分散してよい。電着槽中の顔料対樹脂の質量比が重要であり、有利には50:100未満、更に有利には40:100未満であり、通常約10〜30:100であるべきである。高い顔料対樹脂の固体質量比は、凝集及び流れに悪影響を及ぼすことが見出された。通常、顔料は浴槽中の不揮発性物質の10〜40質量パーセントである。有利には、顔料は浴槽中の不揮発性物質の15〜30質量パーセントである。電着プライマーに一般に使用される顔料及び充填材のいずれかが含まれてよい。
【0040】
電着コーティング組成物は、任意の成分、染料、流量制御剤、可塑剤、触媒、湿潤剤、界面活性剤、UV吸収剤、HALS化合物、酸化防止剤、脱泡剤などを含有することができる。界面活性剤及び湿潤剤の例として、アルキルイミダゾリン、例えば、AMINE C(登録商標)アセチレンアルコールとしてCiba-Geigy Industrial Chemicals社から入手可能なもの、例えば、商品名SURFYNOL(登録商標)の下でAir Products and Chemicals社から入手可能なものが挙げられる。界面活性剤及び湿潤剤は、存在する場合、典型的には樹脂固形分の2質量パーセント以下の量になる。
【0041】
錫触媒などの硬化触媒はコーティング組成物中で使用することができる。典型的な例は、限定することなしに、錫及びビスマス化合物、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキシド、及びオクタン酸ビスマスである。使用する際、触媒は典型的には全樹脂固形分の質量を基準として約0.05〜2質量パーセントの錫の量で存在する。
【0042】
電着コーティング組成物は金属基材の上に電着し、次いで硬化されて被覆物品を形成する。本発明によるコーティング配合物の電着は、当業者に公知の方法によって実施してよい。電着コーティング組成物は、導電性基材、例えば、鋼、銅、アルミニウム、又は他の材料又は金属合金の上に塗装してよく、有利には10〜35μmの乾燥膜厚さにする。本方法の一実施態様において、導電性基材はリン酸化されていない;即ち、基材はリン酸塩前処理がされていない。本発明の組成物で被覆した物品は、金属の自動車部品又は車体であってよい。金属の自動車車体又は部品などの導電性基材のコーティング方法は、洗浄したが有利にはリン酸塩前処理をしていない導電性基材を、電着コーティング組成物中に配置し、陰極として該導電性基材を使用し、電流を電着コーティング組成物に通してコーティング層を導電性基材の上に堆積させることを含む。塗装後に、被覆した物品を浴槽から取出して脱イオン水ですすぐ。コーティングは、適切な条件下で、例えば、約275゜F〜約375゜Fで約15〜約60分の間焼き付けることによって硬化してよい。
【0043】
自動車車体を電着してよい。自動車車体を洗浄し、該洗浄した金属の自動車車体を、リン酸化樹脂を含む水性電着コーティング組成物で電着する。
【0044】
1つ以上の追加のコーティング層、例えば、吹付け塗装されたプライマーサーフェーサー、単一のトップコート層、又は複合の色塗り(ベースコート)及びクリアコート層を、電着層の上に施してよい。単一層のトップコートは、トップコートエナメルとも呼ばれる。自動車工業において、トップコートは典型的にはクリアコート層で上塗りされたベースコートである。プライマーサーフェーサー及びトップコートエナメル又はベースコート及びクリアコート複合トップコートは、水性の、溶媒性の、又は粉末のコーティングであってよく、これは乾燥粉末又は水性粉末スラリーであってよい。
【0045】
本発明の複合コーティングは、層の1つとして、プライマーコーティング層を有してよく、これはプライマーサーフェーサー又はフィラーコーティング層とも呼ばれる。プライマーコーティング層は、溶媒性組成物、水性組成物、又は粉末組成物、例えば、粉末スラリー組成物から形成することができる。プライマー組成物は、有利には、熱硬化性のバインダーを有するが、熱可塑性バインダーも公知である。好適な熱硬化性バインダーは自己架橋ポリマー又は樹脂を有するか、又はバインダー中でポリマー又は樹脂と反応する架橋剤を含んでよい。好適なバインダーポリマー又は樹脂の非限定例としてアクリル、ポリエステル、及びポリウレタンが挙げられる。かかるポリマー又は樹脂として、官能基としてのヒドロキシル基、カルボキシル基、無水物基、エポキシド基、カルバメート基、アミン基などが挙げられる。かかる基と反応する好適な架橋剤の中には、アミノプラスト樹脂(これらはヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバメート基、及びアミン基と反応する)、ポリイソシアネート、例えば、ブロックトポリイソシアネート(これらはヒドロキシル基及びアミン基と反応する)、ポリエポキシド(これらはカルボキシル基、無水物基、ヒドロキシル基、及びアミン基と反応する)、及びポリ酸及びポリアミン(これらはエポキシド基と反応する)がある。好適なプライマー組成物の例は、例えば、米国特許第7,338,989号;第7,297,742号;第6,916,877号;第6,887,526号;第6,727,316号;第6,437,036号;第6,413,642号;第6,210,758号;第6,099,899号;第5,888,655号;第5,866,259号;第5,552,487号;第5,536,785号;第4,882,003号;及び第4,190,569号に開示されており、それぞれBASF社に譲渡され且つそれぞれ本明細書に援用されている。
【0046】
電着プライマーの上に塗装されたプライマーコーティング組成物を、次いで硬化してプライマーコーティング層を形成する。電着プライマーを、「ウェットオンウェット」塗装として知られたプロセスでプライマーコーティング層と同じ時間で硬化してよい。
【0047】
トップコート組成物を電着層又はプライマーコーティング層の上に塗装し、有利には、硬化してトップコート層を形成してよい。有利な実施態様において、電着層又はプライマー層を、カラープラスクリア(ベースコート−クリアコート)トップコートとして塗装されるトップコートで被覆する。ベースコート−クリアコートトップコートでは、下層の着色コーティング、ベースコートは、外層の透明コーティング、クリアコートで被覆されている。ベースコート−クリアコートトップコートは、魅力的で滑らかな光沢仕上げと全般的に改善された性能を提供する。
【0048】
1つ以上のトップコート層として架橋性組成物が好ましい。この種のコーティングは当該技術分野で公知であり、該コーティングとして水性組成物、溶媒性組成物、並びに粉末及び粉末スラリー組成物が挙げられる。ベースコート及びクリアコート組成物において有用な当該技術分野で公知のポリマーとして、限定することなしに、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキド及びポリシロキサンが挙げられる。トップコートバインダー用の有利なポリマーの中にアクリル樹脂及びポリウレタンがある。熱硬化性ベースコート及びクリアコート組成物も有利であり、その目的のために、有利なポリマーは1種又は複数種の架橋可能な官能性基、例えば、カルバメート、ヒドロキシ、イソシアネート、アミン、エポキシ、アクリレート、ビニル、シラン、アセトアセテートなどを含む。ポリマーは自己架橋であってよく、又は有利には、該組成物として架橋剤、例えば、ポリイソシアネート又はアミノプラスト樹脂が挙げられる。好適なトップコート組成物の例は、例えば、米国特許第7,375,174号、第7,342,071号、第7,297,749号、第7,261,926号、第7,226,971号、第7,160,973号、第7,151,133号、第7,060,357号、第7,045,588号、第7,041,729号、第6,995,208号、第6,927,271号、第6,914,096号、第6,900,270号、第6,818,303号、第6,812,300号、第6,780,909号、第6,737,468号、第6,652,919号、第6,583,212号、第6,462,144号、第6,337,139号、第6,165,618号、第6,129,989号、第6,001,424号、第5,981,080号;5,855,964号、第5,629,374号、第5,601,879号、第5,508,349号、第5,502,101号、第5,494,970号、第5,281,443号に開示されており、それぞれBASF社に譲渡され且つそれぞれ本明細書に援用されている。
【0049】
更なるコーティング層は、当該技術分野で公知の多くの技法のいずれかによって電着コーティング層に塗装することができる。これら技法として、例えば、スプレーコーティング、浸せきコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティングなどが挙げられる。自動車塗装の場合、1つ以上の更なるコーティング層を、有利にはスプレーコーティング、特に静電スプレー法によって塗装してよい。1ミル以上のコーティング層は、通常、2以上の塗膜に塗装され(通す)、これらは幾らかの溶媒又は水性媒体を揮発させるか、又は塗装された層から「フラッシュめっき」させるだけの十分な時間によって分離される。フラッシュめっきは周囲温度又は昇温であってよく、例えば、フラッシュめっきは放射熱を使用してよい。塗装された塗膜は0.5ミルから3ミル乾燥以下であってよく、十分な数の塗膜が望ましい最終コーティング厚さを得るように塗装される。
【0050】
プライマー層は、トップコートが塗装される前に硬化されてよい。硬化したプライマー層は約0.5ミル〜約2ミル厚さ、有利には約0.8ミル〜約1.2ミル厚さであってよい。
【0051】
カラープラスクリアトップコートは通常、ウェットオンウェットで塗装される。これらの組成物は、上述のように、フラッシュめっきによって分離される塗膜に適用され、その際、着色組成物の最終塗膜と透明の最初の塗膜との間でもフラッシュめっきする。次に2つのコーティング層が同時に硬化される。有利には、硬化したベースコート層は0.5〜1.5ミルの厚さであり、硬化したクリアコート層は1〜3ミル、更に有利には1.6〜2.2ミルの厚さである。
【0052】
あるいは、プライマー層及びトップコートは「ウェットオンウェット」で塗装することができる。例えば、プライマー組成物を塗装し、次いで塗装した層をフラッシュめっきする;さらにトップコートを塗装してフラッシュめっきする;さらにプライマー及びトップコートを同時に硬化することができる。なおその上に、トップコートは、ウェットオンウェットで塗装されたベースコート層及びクリアコート層を含んでもよい。プライマー層は硬化されていない電着コーティング層に塗装することもでき、全ての層が一緒に硬化される。
【0053】
記載されたコーティング組成物は有利には熱で硬化される。硬化温度は、ブロック化していない酸触媒を含むトップコート又はプライマー組成物の場合、有利には約70℃〜約180℃、特に有利には約170゜F〜約200゜F、又はブロック化酸触媒を含むトップコート又はプライマー組成物の場合、約240゜F〜約275゜Fである。これらの温度での典型的な硬化時間は15〜60分の範囲であり、有利には、該温度は約15〜約30分の硬化時間を可能にするように選択される。有利な実施態様において、被覆物品は自動車車体又は部品である。
【0054】
本発明は以下の実施例に更に説明されている。実施例は単に例証するものであって、決して説明及び請求した本発明の範囲を限定するものではない。全ての部は特に記載がない限りは質量部である。
【0055】
実施例
配合物A:リン酸化アクリルポリマー
還流冷却器及びモノマーを備えた反応器及び開始剤供給ラインに、5.52質量部のトルエンを装入する。トルエンを加熱還流する。次に同時に且つ均一に、モノマー混合物(2.10質量部のグリシジルメタクリレート、5.32質量部の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3.28質量部のメチルメタクリレート、0.10質量部のトルエン、5.72質量部のスチレン、及び4.77質量部のブチルメタクリレート)及び開始剤混合物(1.045質量部のVazo(登録商標)67及び1.369質量部のトルエン)を3時間にわたり反応器に添加する。温度は、添加が完了した後、更に45分間還流下で維持する。次に、開始剤混合物(0.211質量部のVazo(登録商標)67及び0.276質量部のトルエン)を30分にわたり添加し、次いで還流を更に1.5時間にわたり維持する。反応混合物を約50℃に冷却し、次いでリン酸(75%水性)(0.42質量部)、ブタノール(0.18質量部)を添加し、反応混合物を更に4時間にわたり還流下で保持する。次いで、脱イオン水を添加し(0.23質量部)、反応温度を更に3時間にわたり保持する。次に、0.75質量部のメチルエタノールアミン及び0.7質量部のプロピレングリコールフェニルエーテルを反応混合物に添加し、これを発熱量にする。温度を次いで約95℃で2時間にわたり保持し、その後、0.74質量部のTetronic(登録商標)901(BASF社から入手可能)及び9.33質量部のイソシアヌレートのメチルエチルケトキシムでブロックされたイソホロンジイソシアネート(メチルイソブチルケトン中で70%不揮発性)を反応生成物に添加する。最終的に、0.7質量部の乳酸及び1.0質量部の脱イオン水を添加して十分に撹拌し、その後、追加の65.7質量部の脱イオン水を2時間にわたり少量ずつ添加する。
【0056】
配合物B:第3級アンモニウム基を有するグラインド樹脂溶液
EP0505445B1に従って、水性の有機グラインド樹脂溶液を、最初の段階で、2598部のビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量(EEW)188g/eq)、787部のビスフェノールA、603部のドデシルフェノール、及び206部のブチルグリコールを、ステンレス鋼反応容器中で、4部のトリフェニルホスフィンの存在下で130℃で、865g/eqのEEW(エポキシ当量)に到達するまで、反応させることによって製造する。冷却の間に、バッチを849部のブチルグリコール及び1534部のD.E.R(登録商標)732(ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ダウケミカル、USA)で希釈し、90℃で266部の2,2’−アミノエトキシエタノール及び212部のN,N−ジメチルアミノプロピルアミンと更に反応させる。2時間後、樹脂溶液の粘度は一定である(5.3dPas;SOLVENON(登録商標)PM(メトキシプロパノール、BASF/独国)中で40%;23℃での円錐平板粘度計)。これを1512部のブチルグリコールで希釈し、塩基基を201部の氷酢酸で部分的に中和し、生成物を1228部の脱イオン水で更に希釈して排出させる。これによって60%強度の水性有機樹脂溶液が得られ、その10%希釈液のpHは6.0である。この樹脂溶液は、ペーストの製造のために直接成形で使用される。
【0057】
配合物C:顔料ペースト
プレミックスは最初に配合物Bの125部の水及び594部のグラインド樹脂から形成される。次いで7部の酢酸、9部のTetronic(登録商標)901、8部のカーボンブラック、547部の二酸化チタンTI−PURE(登録商標)R900(デュポン社、USA)、44部のジ−n−ブチル錫酸化物、47部のサリチル酸ビスマス、及び120部のASP200クレー(Langer & Co.社/独国)を添加する。この混合物を高速の溶解撹拌機の下で30分間予備分散する。混合物はその後、12μm以下のHegman粉末度を測定し且つ追加の水で加熱残分まで調整されるまで、小型の実験室用ミル(Motor Mini Mill, Eiger Engineering Ltd, 英国)中に分散させる。得られた顔料ペーストは加熱残分:67質量%(110℃で1時間)を有する。
【0058】
実施例1
浴槽は1096.1部の配合物A、147.3部の配合物C、及び1256.6部の脱イオン水を組み合わせることによって製造した。水と配合物A樹脂エマルションを一定に撹拌しながら容器中で組み合わせ、配合物Cを撹拌しながら添加する。浴槽の加熱残分は約19質量%である。
【0059】
実施例1を、約225ボルトで実施例1の浴槽において88〜98゜F(31〜36.7℃)の浴槽温度で2.2分間リン酸化の及び無塗装の両方の冷間圧延鋼4インチ×6インチの試験パネル上に被覆し、被覆したパネルを28分間350゜F(177℃)で焼付ける。堆積して硬化したコーティング層は約0.8ミル(20μm)の膜構成を有する。
【0060】
この説明は本質的に単なる例示にすぎず、従って本開示の要点から外れていない変法は本発明の一部である。変法は本開示の趣旨及び範囲から逸脱していないとみなすべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸化アクリルポリマーを含むバインダーを含むコーティング組成物。
【請求項2】
リン酸化アクリルポリマーが、少なくとも1つのリン含有基
【化1】

(式中、Xは水素、一価の炭化水素基、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、又はリン原子への単一の共有結合を有する酸素原子であり、且つ各酸素原子は水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、又はアクリルポリマーへの共有結合を有するが、但し、少なくとも1つの酸素原子はアクリルポリマーへの共有結合を有することを条件とする)
を含む、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項3】
コーティング組成物が水性であり且つアクリルポリマーがアミン官能性である、請求項1又は2記載のコーティング組成物。
【請求項4】
コーティング組成物がリン酸化アクリルポリマー以外のアミン官能性ポリマーを含まない、請求項4記載のコーティング組成物。
【請求項5】
リン酸化アクリルポリマーが一リン酸エステル基、モノホスホン酸エステル基、二リン酸エステル基、ジホスホン酸エステル基、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1から4までのいずれか1項記載のコーティング組成物。
【請求項6】
バインダーが約0.01〜約99質量%のリン酸化アクリルポリマーを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載のコーティング組成物。
【請求項7】
コーティング組成物が水性であり且つバインダーがアミン官能性である第2の樹脂を含む、請求項1から6までのいずれか1項記載のコーティング組成物。
【請求項8】
第2の、アミン官能性樹脂がアクリルポリマーである、請求項7記載のコーティング組成物。
【請求項9】
リン酸化アクリルポリマーが三リン酸エステル基を含む、請求項1から8までのいずれか1項記載のコーティング組成物。
【請求項10】
リン酸化アクリルポリマーがグラム当たり約0.01〜約1ミリ当量のリン含有基を含む、請求項1から9までのいずれか1項記載のコーティング組成物。
【請求項11】
リン酸化アクリルポリマーと反応する架橋剤を更に含む、請求項1から10までのいずれか1項記載のコーティング組成物。
【請求項12】
架橋剤と反応する第2のアミン官能性アクリルポリマーを更に含み、前記第2のアミン官能性アクリルポリマーがリン含有基を含まない、請求項11記載のコーティング組成物。
【請求項13】
金属の自動車車体のコーティング方法であって、
(a)金属の自動車車体を洗浄する工程;
(b)洗浄した金属の自動車車体を、請求項1から12までのいずれか1項記載の水性のコーティング組成物中に配置する工程;
(c)金属の自動車車体を電気回路の陰極として接続し且つ電流を水性の電着コーティング組成物に通して金属の自動車車体の上にコーティング層を堆積させる工程
を含む、コーティング方法。
【請求項14】
金属の自動車車体がリン酸塩前処理されていない、請求項13記載の導電性基材のコーティング方法。
【請求項15】
請求項13又は14記載の方法によって製造された被覆基材。

【公表番号】特表2012−514097(P2012−514097A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544427(P2011−544427)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/050120
【国際公開番号】WO2010/077385
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】