説明

アクリレート系共重合体、およびそれを含む樹脂組成物、ならびにそれをコーティングした受容層付き基板

【課題】印刷特性に優れた受容層を形成するためのアクリレート系共重合体を提供する。
【解決手段】アクリレート系共重合体は、式(1)のモノマー単位を1〜30mol%と、式(2)または式(3)のいずれか一方もしくは両方のモノマー単位を5〜40mol%とを含み、式(1)中のXは、N(CH32またはN+(CH33Cl-であり、式(1)および式(3)中のRは、HまたはCH3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリレート系共重合体、およびそれを含む樹脂組成物、ならびにそれをコーティングした受容層付き基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子デバイスの構成部材の製造において、汎用の印刷技術を適用する試みが盛んになっている。このように印刷技術を用いて、電子デバイスの部材を作製する技術をプリンテッド・エレクトロニクスと呼んでいる。プリンテッド・エレクトロニクスは、設備投資のコストが比較的安く、しかも大面積の大量生産に適するというメリットがある。
【0003】
このことから、現在では、タッチパネルやEL電極等の透明導電性フィルムがプリンテッド・エレクトロニクスを利用して製造されている。今後は、上記分野のみならず、大型ディスプレイや太陽電池、電子ペーパー等にもプリンテッド・エレクトロニクスを適用したいというニーズがあり、さらなる用途展開が期待されている。
【0004】
ところで、プリンテッド・エレクトロニクスを適用するときの問題として、印刷時のインクの解像度がある。すなわち、電子デバイスの部材を作製するためには、通常50μm程度の太さの配線を緻密に印刷する必要があるが、プリンテッド・エレクトロニクスによってその印刷をすると、インクがかすれてしまったり、インクが滲んでしまったりして、導電性ペーストが均一に塗布されず、電子デバイスの動作に支障をきたすことがある。
【0005】
そこで、プリンテッド・エレクトロニクスにおける解像度を向上させるための試みとして、印刷対象物の表面に無機系の材料からなる受容層を形成することが行なわれている。無機系の材料からなる受容層は、インクが付着しやすく、かつ広がりにくいという性質を有するため、緻密な配線を高解像度で印刷することができる。しかも、無機系の材料は、シリコンやチタンを原料として作製されるため、耐熱性や耐溶剤性に優れるというメリットを有し、電子デバイスの要求性能を満たしている。
【0006】
このようなプリンテッド・エレクトロニクスの先行技術として、たとえば特許文献1には、平均粒子径が100nm以下のアルミナ微粒子やシリカ微粒子を含む溶液を被印刷面に塗布してスクリーン印刷用受容層を形成する技術が開示されている。また、特許文献2には、SiやTiのアルコキシドを基板に塗布し、ゾルゲル法にてスクリーン印刷用受容層を形成する技術が開示されている。さらに、特許文献3には、カチオン系水溶性アクリルポリマーとエポキシ樹脂との混合物からなるインキ受容層を備えた基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−038095号公報
【特許文献2】特開2010−147209号公報
【特許文献3】特開平06−340163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示されるように無機系の材料からなる受容層は、受容層の形成に高温のプロセスが必要であるという問題があった。特許文献2に示されるような無機系のゾルゲル法により形成される受容層は、低温プロセスが可能であり、電子デバイスの要求性能を満たすものの、その原料コストが高く、受容層が割れやすいことが問題とされていた。また、特許文献3に示されるアクリルポリマーとエポキシ樹脂との混合物からなる受容層は、紙用であるため、水や溶剤で容易に膨張・剥離することが問題とされていた。
【0009】
本発明は、上記のような現状に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、印刷特性に優れた受容層を形成するためのアクリレート系共重合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアクリレート系共重合体は、下記式(1)のモノマー単位を1〜30mol%と、下記式(2)または下記式(3)のいずれか一方もしくは両方のモノマー単位を5〜40mol%とを含み、式(1)中のXは、N(CH32またはN+(CH33Cl-であり、式(1)および式(3)のRは、HまたはCH3であることを特徴とする。
【0011】
【化1】

【0012】
【化2】

【0013】
【化3】

【0014】
本発明は樹脂組成物に関し、該樹脂組成物は、上記のアクリレート系共重合体と、該アクリレート系共重合体と加熱することにより架橋反応を起こす樹脂とを含むことを特徴とする。
【0015】
上記の架橋反応を起こす樹脂は、エポキシ系樹脂であることが好ましい。上記樹脂組成物は、エポキシ系樹脂を10〜90質量%以下含むことが好ましい。エポキシ系樹脂は、下記式(4)または下記式(5)のモノマー単位を1〜60mol%含み、式(4)および式(5)のRは、HまたはCH3であることが好ましい。
【0016】
【化4】

【0017】
【化5】

【0018】
本発明は、受容層付き基板に関するものでもあり、該受容層付き基板は、基板と、該基板の表面に形成された受容層とを有し、該受容層は、基板上に上記アクリレート系共重合体をコーティングすることによって形成されることを特徴とする。
【0019】
本発明は、受容層付き基板に関するものでもあり、該受容層付き基板は、基板と、該基板の表面に形成された受容層とを有し、該受容層は、基板に上記樹脂組成物をコーティングすることによって形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のアクリレート系共重合体および樹脂組成物は、上記の構成を有することにより、印刷特性に優れた受容層を形成し得るという効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の受容層付き基板の表面に導電性ペーストを塗布したときの状態を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<受容層付き基板>
図1は、本発明の受容層付き基板の表面に導電性ペーストを塗布したときの状態を示す模式的な断面図である。本発明の受容層付き基板は、図1に示されるように、基板10と、該基板10の表面に形成された受容層11とを有するものである。このように受容層11が表面に形成された基板10は、その上に導電性ペースト12を塗布しても、導電性ペーストがかすれにくく、かつ滲みにくいため、印刷特性が良好である。
【0023】
ここで、「印刷特性が良好」とは、スクリーン印刷版の開口部パターンが直線状のものを用いて導電性ペーストを印刷したときに、導電性ペーストのパターンが断線したり、滲んだりせずに、導電性ペーストを直線上に印刷できることを意味する。以下において、受容層付き基板を構成する基板10、受容層11、および導電性ペースト12を説明する。
【0024】
<基板>
本発明のアクリレート系共重合体を塗布する基板10としては、アクリレート系共重合体をはじくことなくコーティングできる材料であれば、特に限定することなくいかなるものをも用いることができる。このような基板10を構成する材料としては、たとえばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルムや、ポリイミドフィルム、カラスエポキシ基板、紙フェノール基板などを挙げることができる。
【0025】
<受容層>
本発明において、受容層11は、基板10に、後述するアクリレート系共重合体または樹脂組成物をコーティングすることによって形成されるものであり、0.1μm以上20μm以下の厚みを有するものである。このような受容層11は、導電性ペーストに含まれる溶剤以外の成分を固着させるため、導電性ペーストを滲ませずに印刷することができるという優れた効果を示す。しかも、受容層11は、基板10の厚さに対し、十分薄い塗布で効果を発揮するため、基板の特性を著しく低下させないことが可能である。
【0026】
ここで、上記の受容層11を形成するためのコーティング方法は、特に限定することなくいかなるものを用いることができ、たとえばバーコーター法、ロールコーター法、スクリーン印刷法等をその代表例として挙げることができる。また、受容層を形成する前に、放電処理や紫外線照射によって基板を表面処理してもよいし、基材の表面にシランカップリング剤を塗布することによってプライマーを形成して表面処理を行なってもよい。
【0027】
<アクリレート系共重合体>
本発明のアクリレート系共重合体は、基板10表面に形成される受容層11を形成するためのコーティング材料である。このようなアクリレート系共重合体は、下記式(1)のモノマー単位を1〜30mol%と、下記式(2)または下記式(3)のいずれか一方もしくは両方のモノマー単位を5〜40mol%とを含み、式(1)中のXは、N(CH32またはN+(CH33Cl-であり、式(1)および式(3)のRは、HまたはCH3であることを特徴とする。下記式(1)のモノマー単位を含むことにより、受容層11の上に形成される導電性ペースト12の印刷特性を向上させることができる。また、下記式(2)または下記式(3)のいずれか一方もしくは両方のモノマー単位を含むことにより、活性水素の保護基が脱離し、エポキシ系樹脂との付加反応による熱硬化性を向上し、受容層の耐溶剤性や密着性を向上させることができる。なお、本発明のアクリレート系共重合体は、式(1)で示されるモノマー単位、式(2)または式(3)で示されるモノマー単位に加え、第3のモノマー単位を含むことを特徴とする。以下において、アクリレート系共重合体を構成するモノマー単位を説明する。なお、構造式中の炭素鎖末端は、ラジカル開始剤由来の構造となる。
【0028】
【化6】

【0029】
【化7】

【0030】
【化8】

【0031】
(式(1)のモノマー単位)
式(1)のモノマー単位は、組成中にジメチルアミノ基またはトリメチルアミン基を有するため、塩基性を示す。このモノマー単位によりアクリレート系共重合体が導電性ペーストに含まれる酸性成分と相互作用を示し、導電性ペースト中の溶剤以外の成分を基板上に固着させることができる。このように導電性ペースト中の溶剤以外の成分を基板上に固着することにより、導電性ペーストの溶剤成分が分離し、導電性ペーストの溶剤以外の成分が滲みにくくなり、もって導電性ペーストの印刷特性を向上させることができる。
【0032】
上記の式(1)のモノマー単位は、2〜15mol%であることが好ましい。式(1)で表されるモノマー単位が1mol%未満であると、アクリレート系共重合体の塩基性が弱くなるため、導電性ペーストの酸性成分との相互作用が弱くなる。一方、30mol%を超えると、導電性ペーストの酸性成分との酸塩基間の相互作用が必要以上に強くなり、スクリーン印刷特有の不均一な印刷となったり、導電性ペーストのパターンに断線が生じやすくなったりする。
【0033】
上記式(1)のモノマー単位は、1級アミノ基、2級アミノ基、カルボキシル基、フェノール性水酸基等のような、エポキシ系樹脂と架橋反応を起こす官能基を有しないため、これらの反応性の官能基を有するモノマー単位を導入する必要がある。そのために、上記式(2)または式(3)のモノマー単位がアクリレート系共重合体に導入される。上記式(1)のモノマー単位は、重合度n1が1以上1000以下で導入されていることが好ましい。
【0034】
(式(2)または式(3)のモノマー単位)
上記式(2)または式(3)のモノマー単位は、架橋反応を起こす樹脂がアクリレート系共重合体に付加するために導入されるものである。すなわち、架橋反応を起こす樹脂をアクリレート系共重合体に混合した上で加熱すると、架橋反応を起こす樹脂が式(2)または式(3)の脱保護反応により生成した活性水素に付加して樹脂組成物となる。かかる樹脂組成物は、熱硬化性を有することになるため、耐溶剤性および基材との密着性を向上させることができる。なお、樹脂組成物に関しては後述する。
【0035】
このような架橋反応を起こす樹脂としては、エポキシ系樹脂を用いることが好ましい。
このようにエポキシ系樹脂と架橋反応を起こすことにより、受容層に耐溶剤性および密着性を付与することができる。このために、本発明では、エポキシ系樹脂と架橋反応を起こし、かつ脱保護反応により生成する活性水素を有する式(2)または式(3)のモノマー単位を導入している。式(2)または式(3)のモノマー単位は、式(1)のモノマー単位との共重合により脱保護反応の活性を下げている。これによりアクリレート系共重合物を含む溶液の保存安定性を向上させることができる。このような活性水素の保護基は、アクリレート系共重合体を加熱したときに外れ、式(2)または式(3)のモノマーから生成したフェノール基またはカルボキシル基とエポキシ系樹脂のエポキシ基と架橋反応する。
【0036】
上記式(2)または式(3)のモノマー単位は、7〜35mol%であることが好ましく、より好ましくは10〜30mol%である。式(2)または式(3)のモノマー単位が5mol%未満であると、アクリレート系共重合体に十分な熱硬化性を付与することができず、受容層の耐溶剤性および密着性が低下したり、導電性ペーストの印刷パターンに割れが発生したりする。一方、40mol%を超えると、基板10への塗布・乾燥後、コーティングにタックが残りスクリーン印刷ができない。上記式(2)または式(3)のモノマー単位は、重合度n1が1以上1000以下で導入されていることが好ましい。
【0037】
(第3のモノマー単位)
本発明のアクリレート系共重合体は、上記の式(1)のモノマー単位、および式(2)または式(3)のモノマー単位に加え、第3のモノマー単位を含むものである。第3のモノマー単位は、硬度制御、柔軟性付与、透明性付与、屈折率制御、基材との密着性制御、耐候性付与、配合物との相溶性向上、金属配線の腐食防止、導電性制御のために導入されるものであり、アクリレート系共重合体に30〜94mol%含まれる。このような第3のモノマー単位としては、たとえばアクリル酸2−テトラヒドロピラニル、メタクリル酸2−テトラヒドロピラニル、スチレン、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール、メタクリル酸フェノキシポリエチレングリコール、アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、メタクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、アクリル酸ノニルフェノキシポリプロピレン、メタクリル酸ノニルフェノキシポリプロピレン、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、2−アクリロイロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−ヒドロキシブチル、メタクリル酸3−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸グリセロール、メタクリル酸グリセロール、アクリル酸グリセリン、メタクリル酸グリセリン、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリルアミドやメタクリルアミドやアクリロイルモルホリンなどのアミド類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等を挙げることができる。
【0038】
さらに、第3のモノマー単位は、ヘミアセタールエステル基を有するモノマーなどを構成単位に含んでもよい。ここで、ヘミアセタールエステル基を有するモノマーは、たとえば環状ビニルエーテルまたはアルキルビニルエーテルと、カルボキシル基またはフェノール基との反応等によって得ることができる。式(2)または式(3)に使用するエチルビニルエーテル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン以外のビニルエーテルとしては、たとえば環状ビニルエーテルの2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン等を挙げることができる。
【0039】
また、上記の他に、アルキルビニルエーテル等を使用してもよく、たとえばメチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等を挙げることができる。アルキルビニルエーテルや環状ビニルエーテルとカルボキシル基から得られるヘミアセタールエステル基を有するモノマーなどを含むことによって、式(2)または式(3)のモノマー単位と同等の効果を得ることができる。なお、上述のモノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0040】
(アクリレート系共重合体の製造方法)
本発明のアクリレート系共重合体は、式(1)で示されるモノマー単位と式(2)または式(3)で示されるモノマー単位と、上記の第3のモノマー単位とを混合して、溶液重合法を用いて有機溶媒中で調整することによって得ることができる。
【0041】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、上記のアクリレート系共重合体と、該アクリレート系共重合体と加熱することにより架橋反応を起こす樹脂とを含むことを特徴とする。このようにアクリレート系共重合体と架橋反応を起こす樹脂を加熱して架橋させることにより、これらが共重合して樹脂組成物となる。かかる樹脂組成物をコーティングして受容層としたときに、受容層が耐溶剤性および耐熱性に優れたものとなる。しかも、このような樹脂組成物は、基板へ印刷した導電性ペーストを加熱乾燥するときにも、熱硬化するため、導電性ペーストの割れを回避することができる。このような樹脂組成物は、上記のようなアクリレート系共重合体の他、さらにシリカなどの無機物や、カップリング剤などの密着性向上成分を含んでいても差し支えないことは言うまでもない。
【0042】
(架橋反応を起こす樹脂)
上記の架橋反応を起こす樹脂としては、アミド系樹脂、アルコール系樹脂、イソシアネート系樹脂、エポキシ系樹脂等を挙げることができる。これらの中でもエポキシ系樹脂を用いることが好ましい。エポキシ系樹脂は、アクリレート系共重合体と混合して加熱することにより、エポキシ基がアクリレート系共重合体の式(2)または式(3)のモノマー単位の保護されているフェノール基またはカルボキシル基と反応しやすいという性質を示すためである。
【0043】
(エポキシ系樹脂)
上記の樹脂組成物は、エポキシ系樹脂を10〜90質量%含むことが好ましく、より好ましくは20〜80質量%である。エポキシ系樹脂の含有量が10質量%未満であると、アクリレート系共重合体と十分に熱硬化しないため、受容層の耐溶剤性および耐熱性を向上させることができない。一方、90質量%を超えると、スクリーン印刷特有の不均一な印刷状態が残るため好ましくない。
【0044】
また、エポキシ系樹脂の硬化を促進させるために、硬化剤を添加してもよい。硬化剤としては、特に限定されるものでないが、アミン系硬化剤、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂を挙げることができる。これらの中でも、アミン系硬化剤を用いることが好ましく、このようなアミン系硬化剤としては、イミダゾール類、有機酸ヒドラジン、ジシアンジアミド等を用いることが好ましい。
【0045】
このようなイミダゾール類は、たとえばメチルイミダゾール、メチルイミダゾリン、ドデシルイミダゾール、ドデシルイミダゾリン、ヘプタデシルイミダゾール、ヘプタデシルイミダゾリン、フェニルイミダゾール、フェニルイミダゾリン、それらの1−シアノエチル化物、イソシアヌル酸付加物、トリメリット酸付加物、イミダゾール、イミダゾリン類とビスフェノール類との反応物等を挙げることができる。
【0046】
イミダゾール類を硬化剤として使用する場合、本発明のエポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100重量部に対し、0.1〜20重量部の範囲でイミダゾール類を含むことが好ましい。熱でカチオンを生成する熱酸発生剤(熱潜在性触媒)を式(2)または式(3)の脱保護反応に使用することができる他、式(4)または式(5)のエポキシ基のカチオン重合に使用してもよい。このような熱酸発生剤として、スルホニウム塩、アンモニウム塩、オニウム塩等が知られており、カウンターアニオンも公知のものを特に限定することなく、適宜選択して使用することができる。
【0047】
上記のエポキシ系樹脂は、特に限定されるものではなく、種々の汎用エポキシ樹脂を使用することができる。かかる汎用エポキシ樹脂としては、たとえば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ樹脂;ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノールとエピハロヒドリン類とから誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、およびこれをさらにノボラック樹脂で変性した変性エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、およびこれをさらにノボラック樹脂で変性した変性エポキシ樹脂;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ビフェニルノボラック樹脂等のノボラック樹脂のエポキシ化物等;水素化ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体等の二価アルコールとエピハロヒドリン類とから誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ハイドロキノン、カテコール等の多価フェノールとエピハロヒドリン類とから誘導されるエポキシ樹脂等を挙げることができ、これらを単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。このような汎用エポキシ樹脂の中でも、ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることが特に好ましい。また、下記式(4)または式(5)のいずれかのモノマー単位を1〜60mol%含むものを用いてもよい。式(4)または式(5)のいずれかのモノマー単位を導入する場合は、そのモノマー単位が4〜50mol%であることがより好ましい。このようなモノマー単位を有するエポキシ系樹脂は、導電性ペーストに含まれる溶剤のうちの極性の低いものを吸収しやすい性質を示すため、導電性ペーストを滲みにくくすることができる。上記の式(4)または式(5)のモノマー単位が1mol%未満であると、アクリレート系共重合体との熱硬化が生じにくいため、受容層の耐熱性および耐溶剤性を向上させることができず、一方、60mol%を超えると、導電性ペーストの極性の低い溶剤を吸収しにくくなるため好ましくない。なお、下記式(4)および式(5)のモノマー単位は、重合度n3が1以上5000以下で導入されていることが好ましい。
【0048】
【化9】

【0049】
【化10】

【0050】
(第2のモノマー単位)
上記のエポキシ系樹脂は、上記の式(4)または式(5)のモノマー単位に加えて、第2のモノマー単位を含むことが好ましい。このようなエポキシ系樹脂のモノマー単位は、エポキシ系樹脂中に40〜99mol%を含むものである。このような第2のモノマー単位としては、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール、メタクリル酸フェノキシポリエチレングリコール、アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、メタクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、アクリル酸ノニルフェノキシポリプロピレン、メタクリル酸ノニルフェノキシポリプロピレン、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、2−アクリロイロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−ヒドロキシブチル、メタクリル酸3−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸グリセロール、メタクリル酸グリセロール、アクリル酸グリセリン、メタクリル酸グリセリン、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等を挙げることができる。
【0051】
さらに、上記のモノマー単位に加えて、ヘミアセタールエステル基を有するモノマーなどを構成単位として含んでいてもよい。ヘミアセタールエステル基を有するモノマーとしては、たとえば環状ビニルエーテルやアルキルビニルエーテルと、カルボキシル基またはフェノール基との反応等によって得ることができる。式(2)または式(3)に使用するエチルビニルエーテルまたは3,4−ジヒドロ−2H−ピラン以外のビニルエーテルとしては、環状ビニルエーテルの2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン等を挙げることができる。
【0052】
また、第2のモノマー単位として、アルキルビニルエーテル等を使用してもよい。かかるアルキルビニルエーテルとしては、たとえばメチルビニルテーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル等を挙げることができる。アルキルビニルエーテルや環状ビニルエーテルとカルボキシル基から得られるヘミアセタールエステル基を有するモノマーなどを含むことにより、式(2)または式(3)と同等の効果が得られる。なお、上述のモノマーは、必要に応じて単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0053】
(エポキシ系樹脂の製造方法)
本発明の樹脂組成物に含まれるエポキシ系樹脂は、式(4)または式(5)で示されるモノマー単位と、上記の第2のモノマーとを混合して、溶液重合法を用いて有機溶媒中で調整することによって得ることができる。
【0054】
<導電性ペースト>
本発明の受容層付き基板に塗布される導電性ペースト12は、金属成分等の導電性成分を有機成分に分散させたものであることが好ましい。このような導電性成分としては、Ag、Cu、Pd、Au、およびPtからなる群より選択される1種以上の金属、もしくはCの粉末、または該金属の酸化物もしくは有機金属化合物を用いることができる。一方、有機成分としては、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることが好ましく、このような樹脂の末端にカルボキシル基またはフェノール性水酸基のような酸性の官能基を有するものを用いることが好ましい。
【0055】
かかる導電性ペースト12に含まれる溶剤としては、極性の低い溶剤を主に含むものであることが好ましい。極性の低い溶剤とは、エステル基、エーテル基、ケトン基等の官能基を有する溶剤であり、たとえばトルエン、キシレン、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
【0056】
ここで、カルボキシル基を含む有機成分として、酸無水物、脂肪酸、(メタ)アクリル酸、末端にカルボキシル基を有するポリエステル樹脂、アクリル樹脂等を挙げることができる。一方、フェノール性水酸基を含む有機成分として、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂、レゾルシノール誘導体、ナフトール誘導体等を挙げることができる。なお、本発明の受容層付き基板は、上記の導電性ペーストのみに適用されるものではなく、たとえばインクジェットプリンタによって塗布されるインク等の他、従来公知のインクに対しても有効に効果を発揮する。
【実施例】
【0057】
<製造例1:アクリレート系共重合体の製造>
本製造例では、以下のようにして、アクリレート系共重合体を合成した。
【0058】
還流冷却器を備えたフラスコに、攪拌器および滴下ロートをセットし、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン、アクリル酸ブチル、スチレンを0.15:0.10:0.28:0.47のモル比で仕込んだ。次に、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルとn−プロピルアルコールの混合溶液を用いて、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを入れた。そして、これらの原料溶液に温度計が浸かるようにセットし、窒素雰囲気下において90℃で7時間攪拌することにより、本製造例のアクリル系共重合体を得た。
【0059】
<製造例2〜5:アクリレート系共重合体の製造>
上記の製造例1に対し、モノマー単位が以下の表1に示すように異なる他は同一の方法によって、製造例2〜5のアクリレート系共重合体を得た。
【0060】
【表1】

【0061】
<製造例6:アクリレート系共重合体の製造>
製造例1〜5に対し、モノマー単位として、p−(1−エトキシエトキシ)スチレンの代わりにメタクリル酸2−テトラヒドロピラニルを用いたことが異なる他は、製造例1〜5と同一の方法によって、製造例6のアクリレート系共重合体を得た。
【0062】
<製造例7:アクリレート系共重合体の製造>
製造例6に対し、モノマー単位として、メタクリル酸ジメチルアミノエチルの代わりにメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩を用いたこと、および溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルとメタノールの混合溶液を用いたことが異なる他は、製造例6と同一の方法によって、製造例7のアクリレート系共重合体を得た。
【0063】
<比較製造例1〜2:アクリレート系共重合体の製造>
製造例1〜5に対し、モノマー単位が上記表1に示すように異なる他は同一の方法によって、比較製造例1〜2のアクリレート系共重合体を得た。
【0064】
<製造例A:エポキシ系樹脂の製造>
本製造例では、以下のようにして、エポキシ系樹脂を合成した。
【0065】
まず、還流冷却器を備えたフラスコに、攪拌器および滴下ロートをセットし、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルを0.04:0.32:0.64のモル比で仕込んだ。次に、溶媒として酢酸エチルおよびトルエンの混合溶液を用いて、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを入れた。そして、これらの原料溶液に温度計が浸かるようにセットし、窒素雰囲気下において80℃で12時間攪拌することにより、本製造例のエポキシ系樹脂を得た。
【0066】
<製造例B〜F、比較製造例A〜B:エポキシ系樹脂の製造>
上記の製造例Aに対し、モノマー単位が以下の表2に示すように異なる他は同一の方法によって、製造例B〜Fおよび比較製造例A〜Bのエポキシ系樹脂を合成した。
【0067】
【表2】

【0068】
上記のようにして合成した製造例A〜Fおよび比較製造例A〜Bのエポキシ系樹脂の重量平均分子量を、高速液体クロマトグラフィー(製品名:ポンプPU−2080plus(JASCO製))により測定した。なお、高速液体クロマトグラフィーのカラムとしては、Shodex(登録商標)のKF−805L(昭和電工株式会社製)またはShodex(登録商標)のSB−806M(昭和電工株式会社製)を用いた。その結果を表2の「分子量」の欄に示す。
【0069】
<実施例1〜26、比較例1〜3:樹脂組成物の製造>
上記の製造例1〜7で製造したアクリレート系共重合体と、製造例A〜Fで製造したエポキシ系樹脂または市販のエポキシ系樹脂とを混合することによって、各実施例および各比較例の樹脂組成物を作製した。
【0070】
<性能評価>
各実施例および各比較例のアクリレート系共重合体または樹脂組成物を、PETフィルムからなる基板上に塗布して45℃で30分間放置し、基板上に受容層を形成した。そして次に、スクリーン印刷版として、SUS304製、線径23μm、平織りでカレンダー加工ありで、黒染め有りの40μmの厚みの400番メッシュに13μmの厚みの樹脂を塗布したものを準備した。
【0071】
このスクリーン印刷版を用いて、スクリーン印刷機(製品名:LS−100(ニューロング精密工業株式会社製))によって、スキージ幅170mm、スキージ速度30mm/s、スキージ角度70°、印圧0.15MPa、背圧0.1MPa、クリアランス1.5mmというスキージ条件で導電性ペーストを塗布することにより、幅約50μmの導電パターンを基準として作製した。この導電性ペーストは、溶剤としてブチルカルビトールアセテートを含み、金属成分としてAgを含み、有機成分としてフェノール樹脂とアクリル樹脂とを含むもの(製品名:CA−2503−4(大研化学工業株式会社製))を用いた。以下の評価基準に基づいて、各実施例および各比較例のアクリレート系共重合体または樹脂組成物の印刷特性および熱硬化性を評価した。
【0072】
(印刷特性)
上記のようにして印刷した導電性ペーストの線幅を観察し、線幅が広がっている箇所と線幅が狭くなっている箇所をそれぞれ5箇所ずつ選択し、線幅の広がっている箇所の線幅および線幅が狭くなっている箇所の線幅をそれぞれ測定した。そして、これらの差に基づいて印刷特性を評価した。その評価基準を以下に示し、評価結果を以下の表3の「印刷特性」の欄に示す。
◎:導電パターンの線幅の最大と最小との差が10μm未満。
○:導電パターンの線幅の最大と最小との差が10μm以上15μm未満。
△:導電パターンの線幅の最大と最小との差が15μm以上30μm未満。
×:導電パターンの線幅の最大と最小との差が30μm以上または導電パターンが断線している。
【0073】
ちなみに、受容層を形成せずに、PETフィルムからなる基板に導電性ペーストを直接塗布したときの導電パターンの線幅の最大平均と最小平均との差は30.1μmであった。
【0074】
(熱硬化性)
レオメーターを用いて、加熱時の粘弾性を測定したときに位相角が減少し始める温度を熱硬化の温度と定義した。
◎:熱硬化の温度が130℃未満
○:熱硬化の温度が130℃以上150℃未満
△:熱硬化の温度が150℃以上
×:熱硬化しない
【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
<評価結果>
実施例1〜26のアクリレート系共重合体および樹脂組成物は、印刷特性および熱硬化性のいずれか一方もしくは両方が優れた性質を示すものであった。これに対し、比較例1〜3のアクリレート系共重合体は、印刷特性および熱硬化性のいずれもの性能が悪かった。
【0078】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
10 基板、11 受容層、12 導電性ペースト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)のモノマー単位を1〜30mol%と、下記式(2)または下記式(3)のいずれか一方もしくは両方のモノマー単位を5〜40mol%とを含み、
前記式(1)中のXは、N(CH32またはN+(CH33Cl-であり、前記式(1)および前記式(3)中のRは、HまたはCH3である、アクリレート系共重合体。
【化1】

【化2】

【化3】

【請求項2】
請求項1に記載のアクリレート系共重合体と、該アクリレート系共重合体と加熱することにより架橋反応を起こす樹脂とを含む、樹脂組成物。
【請求項3】
前記架橋反応を起こす樹脂は、エポキシ系樹脂である、請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記樹脂組成物は、前記エポキシ系樹脂を10〜90質量%以下含む、請求項3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記エポキシ系樹脂は、下記式(4)または下記式(5)のモノマー単位を1〜60mol%含み、前記式(4)および前記式(5)中のRは、HまたはCH3である、請求項3または4に記載の樹脂組成物。
【化4】

【化5】

【請求項6】
基板と、該基板の表面に形成された受容層とを有し、
前記受容層は、前記基板上に請求項1に記載のアクリレート系共重合をコーティングすることによって形成される、受容層付き基板。
【請求項7】
基板と、該基板の表面に形成された受容層とを有し、
前記受容層は、前記基板上に請求項2〜5のいずれかに記載の樹脂組成物をコーティングすることによって形成される、受容層付き基板。

【図1】
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【公開番号】特開2012−184384(P2012−184384A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50205(P2011−50205)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、経済産業省、地域イノベーション創出研究開発事業「プリンテッド・エレクトロニクス用受容層の開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591023594)和歌山県 (62)
【出願人】(000190895)新中村化学工業株式会社 (19)
【Fターム(参考)】