説明

アクロニキア種由来の植物抽出物およびその使用

本発明は、アクロニキア(Acronychia)属の植物に由来する生物活性分子、および植物抽出物に関し、ならびに医薬、栄養補助食品、食品、および化粧品中の抗酸化剤、抗菌薬、駆虫薬、抗炎症薬、癌化学予防薬、食品添加物、および芳香成分としてのこれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、アクロニキア(Acronychia)属の植物に由来する生物活性分子、および植物抽出物に関し、ならびに医薬、栄養補助食品、食品、および化粧品中の抗酸化剤、抗菌薬、駆虫薬、抗炎症薬、癌化学予防薬、食品添加物、および芳香成分としてのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
バイオディスカバリー(biodiscovery)とは植物、微生物、土壌および海洋生物等の自然環境に由来する生物活性天然物の調査およびスクリーニングを試みる分野である。バイオディスカバリーでは、ヒトまたは動物の治療での使用、化粧品組成物での使用、食品添加物または芳香成分としての使用において治療的に有用であり得る性質を有する分子を求めて生体物質をスクリーニングする。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、アクロニキア種の果実の抽出物が強力な抗菌活性、駆虫活性、抗酸化活性、抗炎症活性、および/または抗癌活性を有するという発見に部分的に基づく。
【0004】
本発明の第1の局面においては、対象に有効量のアクロニキア種由来の抽出物を投与する工程を含む、細菌感染症を治療または予防する方法が提供される。
【0005】
本発明の更なる局面においては、有効量のアクロニキア種由来の抽出物を投与する工程を含む、対象における蠕虫感染症を治療または予防する方法が提供される。
【0006】
本発明の別の局面においては、対象に有効量のアクロニキア種由来の抽出物を投与する工程を含む、細胞増殖障害を治療または予防する方法が提供される。
【0007】
本発明の別の局面においては、対象に有効量のアクロニキア種由来の抽出物を投与する工程を含む、炎症性疾患もしくは障害を治療または予防する方法が提供される。
【0008】
本発明の更なる局面においては、対象に有効量のアクロニキア種由来の抽出物を投与する工程を含む、酸化的ストレスに関連する疾患または障害を治療または予防する方法が提供される。
【0009】
本発明のさらにもう一つの局面においては、対象に有効量の下記式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む、細菌感染症を治療または予防する方法が提供される:

式中、
Aがアリール基またはヘテロアリール基であり;
Zが-O-、-S-、および-NR4-より選択され;
Yが共有結合および-(CH2)p-より選択され;
R1が-C5-C20アルキル、-C5-C20アルケニル、-C5-C20アルキニル、および-C3-C8シクロアルキルより選択され;
R2が水素、-C1-C6アルキル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、-OC3-C8シクロアルキル、チオール、-SC1-C6アルキル、-SC2-C6アルケニル、-SC2-C6アルキニル、-SC3-C8シクロアルキル、-NR4C1-C6アルキル、-NR4C2-C6アルケニル、-NR4C2-C6アルキニル、および-NR4C3-C8シクロアルキルより選択され;
R3が-CO2Hまたはカルボキシ基の同配体より選択され;
R4が水素および-C1-C6アルキルより選択され;ならびに
pが1〜10の整数である。
【0010】
本発明のさらにもう一つの局面においては、下記式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される:

式中、
Aがアリール基またはヘテロアリール基であり;
Zが-O-、-S-、および-NR4-より選択され;
Yが共有結合および-(CH2)p-より選択され;
R1が-C5-C20アルキル、-C5-C20アルケニル、-C5-C20アルキニル、および-C3-C8シクロアルキルより選択され;
R2が-C1-C6アルキル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、-OC3-C8シクロアルキル、チオール、-SC1-C6アルキル、-SC2-C6アルケニル、-SC2-C6アルキニル、-SC3-C8シクロアルキル、-NR4C1-C6アルキル、-NR4C2-C6アルケニル、-NR4C2-C6アルキニル、および-NR4C3-C8シクロアルキルより選択され;
R3が-CO2Hまたはカルボキシ基の同配体より選択され;
R4が水素および-C1-C6アルキルより選択され;ならびに
pが1〜10の整数である。
【0011】
本発明の更なる局面においては、アクロニキア種由来の抽出物、または式(I)もしくは式(II)の化合物、およびその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物が提供される。
【0012】
本発明の更にもう一つの局面においては、アクロニキア種由来の抽出物を含む香味または芳香組成物であって、該抽出物が
1-エテニル-1-メチル-2,4-ビス(1-メチルエテニル)シクロヘキサン、
2,6-ジ-tert-ブチルベンゾキノン、
2,5-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン、
テトラコンタン-1,40-ジオール、および
2,2,5,5-テトラメチル-ビシクロ[6.3.0]ウンデカ-1(8)-エノン
の少なくとも1つを含む、組成物が提供される。
【0013】
本発明の更にもう一つの局面においては、アクロニキア種由来の抽出物を含む化粧品組成物、食品組成物、または芳香組成物であって、該抽出物が、先ずは水またはアルコールによる抽出、次に酢酸エチルによる抽出を含む方法により得られる、組成物が提供される。
【0014】
本発明の更なる局面においては、食品またはその他の組成物中の芳香成分または香味成分としてのアクロニキア種由来の抽出物の使用が提供される。
【0015】
本発明の別の局面において、食品添加物、芳香成分または抗酸化剤、および化粧品組成物の抗炎症成分または抗菌成分としてのアクロニキア種由来の抽出物の使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】レモンアスペン(A. acidula)抽出物に存在する微量の揮発性化合物の質量分析トレースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
アクロニキア属植物は、柑橘類の一員(ミカン科)であり、オーストラリア、太平洋諸島、マレーシア、およびアジアに天然に存在する約50種から構成される。いずれの種に由来する抽出物も本発明において使用することができる。いくつかの態様において、抽出物は、アクロニキア・アベランス(A. aberrans)、レモンアスペン、アクロニキア・アクロニキオイデス(A. acronychioides)、アクロニキア・アキュミナーテ(A. acuminate)、アクロニキア・バウアレンニ(A. baeuerlenii)、アクロニキア・クーリーチラム(A. chooreechillum)、アクロニキア・クラシペタラ(A. crassipetala)、アクロニキア・ユーゲレンシス(A. eungellenisis)、アクロニキア・インペルフォラテ(A. imperforate)、アクロニキア・ラエヴィス(A. laevis)、アクロニキア・リトラリス(A. littoralis)、アクロニキア・オブロンジフォリア(A. oblongifolia)、アクロニキア・オクタナラ(A. octanara)、アクロニキア・パルウィフローラ(A. parviflora)、アクロニキア・パウシフローラ(A. pauciflora)、アクロニキア・プベッセンス(A. pubescens)、アクロニキア種(バタヴィア・ダウンス(Batavia Downs))、アクロニキア・スベロサ(A. suberosa)、アクロニキア・ヴェスティータ(A. vestita)、およびアクロニキア・ウィルコクシニア(A. wilcoxiana)を含むオーストラリア原産のアクロニキア種から得られる。特定の態様において、抽出物は、レモンアスペン、アクロニキア・アベランス、アクロニキア・アクロニキオイデス、またはアクロニキア・クラシペタラ、特にレモンアスペンより得られる。
【0018】
抽出物は、果実、種子、樹皮、葉、花、根、および木部等、植物の任意の部分から得てもよい。特定の態様において、抽出物は、植物の果実から得られる。
【0019】
例えば、植物の果実から得られたバイオマスを、例えば水またはメタノールもしくはエタノール等のアルコールを含む極性溶媒を用いて第一の溶媒抽出に供する。次に、第一の抽出物を濃縮し、水で希釈し、これを酢酸エチル等の第二の溶媒で抽出する。第二の抽出から得られた溶媒サンプルをプールし、これを調製用HPLC分画により分離する。分析用HPLCを用いて画分を分析し、サンプル中に存在する化合物の保持時間に応じてプールする。プールされた画分の重量を測定し、バイオアッセイを行い、分析用HPLCを用いて分析を行った。1つ以上の調製用HPLCを用いた更なる分画を実施することにより、特定の化合物を単離する。各化合物に対してバイオアッセイを行い、その構造をUV、NMR、および質量分析(LCおよびGC)の手法により特定した。
【0020】
本発明の一つの局面においては、対象に有効量のアクロニキア種由来の抽出物を投与する工程を含む、細菌感染症を治療または予防する方法が提供される。
【0021】
いくつかの態様において、抽出物はレモンアスペンより得られる。
【0022】
前記細菌感染症は、グラム陽性菌またはグラム陰性菌、特にバチルス属(Bacillus)(例えば、枯草菌(B. subtilis)、炭疽菌(B. anthracis)、セレウス菌(B. cereus)、バチルス・フィルミス(B. firmis)、バチルス・リケニフォルミス(B. licheniformis)、バチルス・メガテリウム(B. megaterium)、バチルス・プミルス(B. pumilus)、バチルス・コアギュランス(B. coagulans)、バチルス・パントセンティカス(B. pantothenticus)、バチルス・アルベイ(B. alvei)、バチルス・ブレビス(B. brevis)、バチルス・サーキュランス(B. circulans)、バチルス・ラテロスポルス(B. laterosporus)、バチルス・マセランス(B. macerans)、バチルス・ポリミキサ(B. polymyxa)、ステアロサーモフィルス(stearothermophilus)、バチルス・スリンギエンシス(B. thuringiensis)、バチルス・スファエリクス(B. sphaericus))、ブドウ球菌属(Staphylococcus)(例えば、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(S. haemolyticus)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(S. saprophyticus))、ストレプトコッカス属(Streptococcus)(例えば、化膿性ブドウ球菌(S. pyogenes)、肺炎球菌(S. pneumoniae)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(S. agalactiae)、化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(S. agalactiae)、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ(S. dysgalactiae)、ストレプトコッカス・エクイシミリス(S. equisimilis)、ストレプトコッカス・エクイ(S. equi)、ストレプトコッカス・ズーエピデミクス(S. zooepidemicus)、ストレプトコッカス・アンギノスス(S. anginosus)、ストレプトコッカス・サリバリウス(S. salivarius)、ストレプトコッカス・ミレリ(S. milleri)、ストレプトコッカス・サングイス(S. sanguis)、ストレプトコッカス・ミチオール(S. mitior)、ストレプトコッカス・ミュータンス(S. mutans)、ストレプトコッカス・フェカリス(S. faecalis)、ストレプトコッカス・フェシウム(S. faecium)、ストレプトコッカス・ボビス(S. bovis)、ストレプトコッカス・エクイヌス(S. equinus)、ストレプトコッカス・ウベラス(S. uberus)、およびストレプトコッカス・アヴィウム(S. avium))、アエロコッカス属(Aerococcus)、ゲメラ属(Gemella)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、リステリア属(Listeria)、クルチア属(Kurthia)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、エリシペロスリクス属(Erysipelothrix)、アラクニア属(Arachnia)、アクチノミセス属(Actinomyces)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、ロチア属(Rothia)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、ノカルジア属(Nocardia)、およびマイコバクテリウム属(Mycobacterium)の細菌を含むグラム陽性菌により引き起こされうる。
【0023】
いくつかの態様において、特定の化合物が、抽出物より得られて、細菌感染症を治療または予防するための方法に使用される。あるいは、該化合物の誘導体または類似体が使用される。例えば、抽出物から得られる適した化合物、該化合物の誘導体または類似体は、下記式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩である:

式中、
Aがアリール基またはヘテロアリール基であり;
Zが-O-、-S-、および-NR4-より選択され;
Yが共有結合および-(CH2)p-より選択され;
R1が-C5-C20アルキル、-C5-C20アルケニル、-C5-C20アルキニル、および-C3-C8シクロアルキルより選択され;
R2が水素、-C1-C6アルキル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、-OC3-C8シクロアルキル、チオール、-SC1-C6アルキル、-SC2-C6アルケニル、-SC2-C6アルキニル、-SC3-C8シクロアルキル、-NR4C1-C6アルキル、-NR4C2-C6アルケニル、-NR4C2-C6アルキニル、および-NR4C3-C8シクロアルキルより選択され;
R3が-CO2Hまたはカルボキシ基の同配体より選択され;
R4が水素および-C1-C6アルキルより選択され;ならびに
pが1〜10の整数である。
【0024】
式(I)の特定の化合物は、下記式(IA)の化合物またはその薬学的に許容される塩である:

式中、
Yが共有結合および-(CH2)p-より選択され;
R1が-C5-C20アルキル、-C5-C20アルケニル、および-C3-C8シクロアルキルより選択され;
R2が水素、-C1-C6アルキル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、および-OC3-C8シクロアルキルより選択され;
R3が-CO2Hまたはカルボキシ基の同配体より選択され;ならびに
pが1〜10の整数である。
【0025】
式(I)の特定の態様においては、以下のうちの1つ以上が適用される:
Aがアリール基であり、特にフェニルである;
Zが-O-または-S-であり、特に-O-である;
Yが-(CH2)p-であり、式中、pが1〜10、特に1〜6、特に1〜4、とりわけ2である;
R1が-C5-C20アルキルまたは-C5-C20アルケニルであり、特に-C5-C20アルケニル、例えば1〜3個の二重結合を有する-C5-C15アルケニル、特にファルネシル等の-C15アルケニルである;
R2が水素、ヒドロキシル、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、および-OC3-C8シクロアルキル、特に水素、ヒドロキシル、または-OC1-C6アルキル、特に水素または-OC1-C3アルキル、とりわけ水素または-OCH3である;
R3が-CO2Hである。
【0026】
特に有用な式(I)の化合物は:
3-(4-ファルネシルオキシフェニル)プロピオン酸

および
3-(4-ファルネシルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸

である。
【0027】
「アルキル」という用語は、1〜20個の炭素原子を有する置換されていてもよい直鎖状および分枝鎖状炭化水素基をいう。必要に応じて、アルキル基は指定された数の炭素原子、例えば、直鎖状または分枝鎖状に配置された1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有するアルキル基が含まれる-C1-C6アルキルを有してもよい。アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s-およびt-ブチル、ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、ヘキシル、ヘプチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル等が挙げられる。
【0028】
「アルケニル」という用語は、2〜20個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つの二重結合を有する置換されていてもよい不飽和の直鎖状および分枝鎖状炭化水素基をいう。必要に応じて、アルケニル基は指定された数の炭素原子、例えば、直鎖状または分枝鎖状に配置された2、3、4、5、または6個の炭素原子を有するアルケニル基が含まれる-C2-C6アルケニルを有してもよい。アルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、s-およびt-ブテニル、3-メチルブタ-2-エニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプタ-1,3-ジエニル、ヘキサ-1,3-ジエニル、ヘキサ-1,3,5-トリエニル、ヘプテニル、オクテニル、3,7-ジメチル-オクタ-2,6-ジエニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、およびファルネシル等が挙げられる。
【0029】
「アルキニル」という用語は、2〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1個の三重結合を有する、置換されていてもよい不飽和の直鎖または分枝鎖の炭化水素基を意味する。必要に応じて、アルキニル基は指定された数の炭素原子を有してよく、例えば直鎖または分枝鎖の配置で2、3、4、5または6個の炭素原子を有するC2-C6アルキニル基を含む。アルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニルが挙げられる。
【0030】
「シクロアルキル」という用語は、置換されていてもよい飽和または不飽和の単環式、二環式、または三環式炭素基をいう。必要に応じて、シクロアルキル基は指定された数の炭素原子を有してもよく、例えば、-C3-C6シクロアルキルは、3、4、5、または6個の炭素原子を有する炭素環式基である。非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチル等を挙げることができる。
【0031】
「アリール」とは、少なくとも1つの環が芳香族環である、各環に最大7個の原子を有するC6-C10員の単環式または二環式炭素環系を意味する。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、およびテトラヒドロナフチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アリールは、1〜2個のベンゼン環を含んでいてもよい。2つの芳香環が存在する場合には、それらの環は、隣接した環が共通の結合を共有するように融合されてもよい。
【0032】
本明細書において用いられる「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの環が芳香性であり、かつ少なくとも1つの環が、硫黄、酸素および窒素から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、各環に最大7個の原子を有する安定な単環式または二環式環を意味する。ヘテロアリールは、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フリル、1-イソベンゾフラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、プリニル、フタラジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,3,4-オキサトリアゾリル、1,2,3,5-オキサトリアゾリル、1,3,5-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、チオナフテニル、イソチオナフテニル、インドレニニル、2-イソベンザゾリル、1,5-ピリンジニル、ピラノ[3,4-b]ピロリル、イソインダゾリル、インドキサジニル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、ピリド[3,4-b]ピリジニル、ピリド[3,2-b]ピリジニル、ピリド[4,3-b]ピリジニル、アクリジニル、カルバゾリル、キナオキサリニル、ピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、チオフェニル、イソキノリニル、ピリジニル、テトラヒドロキノリニル、ベンズアゼピニル、ベンゾジオキサニル、ベンズオキセピニル、ベンゾジアゼピニル、ベンゾチアゼピニルおよびベンゾチエピニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0033】
「カルボキシ基の同配体」という用語は、カルボン酸基またはカルボキシレート基と物理化学的に、または形態的に類似する基をいう。適切なカルボン酸およびカルボキシレート同配体の例としては、これらに限定されないが、テトラゾール、テトラゾラート、-CONH-テトラゾール、オキシジアゾール、リン酸塩(-PO3H2)、N-(アリールまたはヘテロアリール)-スルホンアミド類、アシルスルホンアミド類、およびスルホン酸(-SO3H)(Patani and LaVoie, 1996 Chem Rev. 96:3147-3176を参照のこと)が挙げられる。
【0034】
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリール基は、-F、-Cl、-Br、-I、-CO2R、-CN、-OR、-SR、-N(R)2、-NO2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(=O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換することができ、ここでRは水素、-C1-C20アルキル、-C2-C20アルケニル、-C2-C20アルキニル、-C3-C8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、-C1-C10ハロアルキル、-C1-C10ジハロアルキル、および-C1-C10トリハロアルキル、より選択される。
【0035】
「ハロ」という用語は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)、およびヨウ素(ヨード)を意味する。
【0036】
「複素環(の)」または「ヘテロシクリル」とは、環の中に3〜8個の原子を有し、かつそれらの原子のうち1〜4個がヘテロ原子である非芳香環を意味し、該環は単独であるか、または0〜4個のヘテロ原子を含んだ3員〜7員の脂環式環から選択される第二の環に縮合されており、該ヘテロ原子がO、NおよびSから独立して選択される。複素環は部分的におよび完全に飽和した複素環式基を含む。複素環系は、遊離基の任意の数の炭素原子またはヘテロ原子を介して別の部分に付着されてもよく、飽和でも不飽和でもよく、これは全ての形態の糖質部分を含む。複素環の非限定的な例としては、ピロリジニル、ピロリニル、ピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピラゾリニル、ジチオリル、オキサチオリル、ジオキサニル、ジオキシニル、オキサジニル、アゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、オキセピニルおよびチアピニル、イミダゾリニル、チオモルホリニル等が挙げられる。
【0037】
本明細書において用いられる「塩」という用語は、薬学的に許容される塩、ならびにヒトおよび動物による摂取に適していると考えられる塩を含む。適した塩の例としては、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、アンモニウム、アルミニウム、鉄、アミン、グルコサミン、クロライド、硫酸塩、スルホン酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ナプシル酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、テレフタル酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチニン酸塩、ピペラジン、ならびにS-メチルメチオニン塩等が挙げられる。
【0038】
本発明の別の局面においては、下記式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される:

式中、
Aがアリール基またはヘテロアリール基であり;
Zが-O-、-S-、および-NR4-より選択され;
Yが共有結合および-(CH2)p-より選択され;
R1が-C5-C20アルキル、-C5-C20アルケニル、-C5-C20アルキニル、および-C3-C8シクロアルキルより選択され;
R2が-C1-C6アルキル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、-OC3-C8シクロアルキル、チオール、-SC1-C6アルキル、-SC2-C6アルケニル、-SC2-C6アルキニル、-SC3-C8シクロアルキル、-NR4C1-C6アルキル、-NR4C2-C6アルケニル、-NR4C2-C6アルキニル、および-NR4C3-C8シクロアルキルより選択され;
R3が-CO2Hまたはカルボキシ基の同配体より選択され;
R4が水素および-C1-C6アルキルより選択され;ならびに
pが1〜10の整数である。
【0039】
式(II)の特定の化合物は、下記式(IIA)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む:

式中、
Yが共有結合および-(CH2)p-より選択され;
R1が-C5-C20アルキル、-C5-C20アルケニル、および-C3-C8シクロアルキルより選択され;
R2が-C1-C6アルキル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、および-OC3-C8シクロアルキルより選択され;
R3が-CO2Hまたはカルボキシ基の同配体より選択され;
pが1〜10の整数である。
【0040】
式(II)の特定の態様においては、以下のうちの1つ以上が適用される:
Aがアリール基であり、特にフェニルである;
Zが-O-または-S-であり、特に-O-である;
Yが-(CH2)p-であり、式中、pが1〜10、特に1〜6、特に1〜4、とりわけ2である;
R1が-C5-C20アルキルまたは-C5-C20アルケニルであり、特に-C5-C20アルケニル、例えば1〜3個の二重結合を有する-C5-C15アルケニル、特にファルネシル等の-C15アルケニルである;
R2がヒドロキシル、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、および-OC3-C8シクロアルキル、特にヒドロキシルまたは-OC1-C6アルキル、特に-OC1-C3アルキル、とりわけ-OCH3である;
R3が-CO2Hである。
【0041】
式(II)の特定の化合物は、3-(4-ファルネシルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸である。

【0042】
式(I)または(II)の化合物のいくつかは抽出により得ることもできるが、その他は、単離された化合物の操作、または適切な出発物質からの合成により得ることもできる。
【0043】
例えば、Zが酸素でありR1がファルネシル以外のものである式(I)または(II)の化合物は、エーテルファルネシル基を加水分解し、別のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはシクロアルキル基に置き換えることにより得ることもできる。
【0044】
アルキレン鎖であるYは、保護されたカルボキシアルキル基をR3のカルボキシ基に求核付加し、続いて、その結果として得られるヒドロキシル基を還元および脱離することにより延長してもよく、続いて、保護されたカルボキシアルキル基を脱保護してもよい。
【0045】
当業者なら、例えば、合成方法論に関する文献を参照することで、単離された化合物の誘導体を得るのに適した条件を決定することができるものと思われ、そのような文献の例はSmith M.B. and March J., March's Advanced Organic Chemistry, Fifth Edition, John Wiley & Sons Inc., 2001およびLarock R.C., Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers Ltd., 1989である。さらに、官能基の選択的操作には他の官能基の保護が必要になることがある。望ましくない副反応の阻止に適した保護基は、Green and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons Inc., 3rd Edition, 1999に示されている。
【0046】
本発明の更なる局面においては、有効量のアクロニキア種由来の抽出物を投与する工程を含む、対象における蠕虫感染症を治療または予防する方法が提供される。
【0047】
好ましい態様において、蠕虫(虫)は線虫、吸虫、または条虫であり、特に、捻転胃虫(Haemonchus contortus)、旋毛虫(Trichinella spiralis)、消化管線虫(H. placei)、松材線虫(Bursaphelenchus xylophilus)、オステルタギア・サーカムシンクタ(Ostertagia circumcincta)、オステルターグ胃虫(O. ostertagi)、牛捻転胃虫(Mecistocirrus digitatus)、アクセイ毛様線虫(Trychostrongylus axei)、ヒト鞭虫(Trichuris trichiura)、イヌ鞭虫(T. vulpis)、ネコ鞭虫(T. campanula)、ブタ鞭虫(T. suis)、ヒツジ鞭虫(T. ovis)、羊十二指腸虫(Bunostomum trigonocephalum)、ウシ鉤虫(B. phleboyomum)、羊腸結節虫(Oesophagostomum columbianum)、牛腸結節虫(O. radiatum)、クーペリア・クルチセイ(Cooperia curticei)、クーペリア・パンクタータ(C. punctata)、クーペリア・オンコフォラ(C. oncophora)、クーペリア・ペクチナータ(C. pectinata)、乳頭糞線虫(Strongyloides papillosus)、大口腸線虫(Chabertia ovina)、十二指腸虫(Ancylostoma duodenale)、ブラジル鉤虫(A. braziliense)、ネコ鉤虫(A. tubaeforme)、イヌ鉤虫(A. caninum)、回虫(Ascaris lumbricoides)、蟯虫(Enterobius vermicularis)、グレゴリー蟯虫(E. gregorii)、回虫(Ascaris lumbricoides)、ウェステルマン肺吸虫(Paragonimus Westermani)、肝吸虫(Clonorchis sinensis)、肝蛭(Fasciola hepatica)、有鉤条虫(Taenia solium)、無鉤条虫(T. saginata)、肺毛頭虫(Capillaria aerophila)、アメリカ鉤虫(Necator americanus)、トリカリス属(Trichuris)、ベイリスアスカリス属(Baylisascaris)、アフェレンコイデス属(Aphelenchoides)、メリオドギン属(Meliodogyne)、ヘテロデラ属(Heterodera)、グロボデラ属(Globodera)、ナコブス属(Nacobbus)、プラチレンカス属(Pratylenchus)、ジチレンカス属(Ditylenchus)、キシフィネマ属(Xiphinema)、ロンギドラス属(Longidorus)、トリコドラス属(Trichodorus)、ネマトディルス属(Nematodirus)の種である。
【0048】
本発明の別の局面においては、対象に有効量のアクロニキア種由来の抽出物を投与する工程を含む、細胞増殖障害を治療または予防する方法が提供される。
【0049】
いくつかの態様において、細胞増殖障害は癌であり、特に、白血病、メラノーマ、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、線維肉腫、結腸癌、肺癌、新生物形成および他の固形腫瘍から選択される。他の態様において、細胞増殖障害は、非悪性、例えば、良性の前立腺肥大症である。
【0050】
本発明の更に別の局面においては、対象に有効量のアクロニキア種由来の抽出物を投与する工程を含む、炎症性障害を治療または予防する方法が提供される。
【0051】
本局面のいくつかの態様において、炎症性障害は、一般的な炎症、関節リウマチ、結腸炎、細菌性敗血症、または自己免疫障害などの、免疫系の機能不全と関連する障害である。いくつかの態様において、炎症性障害は細菌性敗血症である。いくつかの態様において、本発明の化合物は免疫調節、特に免疫抑制の能力を有する。本発明の化合物は、臓器移植における免疫抑制剤としても有用である。
【0052】
別の局面においては、対象に有効量のアクロニキア種由来の抽出物を投与する工程を含む、酸化的ストレスに関連する疾患または障害を治療または予防する方法が提供される。
【0053】
いくつかの態様において、酸化的ストレスに関連する疾患または障害は、対象が抗酸化剤を摂取することにより恩恵を得る可能性のある疾患または障害である。例えば、抗酸化剤は、心不全、心臓発作および脳卒中などの心血管疾患;HIV/AIDSおよび肝炎などの感染症;癌;関節炎、黄斑変性症、緑内障、白内障などの老齢疾患;肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および成人呼吸促迫症候群等の肺疾患;およびアルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、ハンチントン病、認知症および認知機能低下障害、特に、イヌ等の伴侶動物における認知機能低下などの神経変性障害または神経障害を治療または予防するために有利である。
【0054】
いくつかの態様において、アクロニキア種由来の抽出物は、抗炎症性抗酸化組成物である。これはアルツハイマー病等の神経障害の治療のために特に有用である。
【0055】
いくつかの態様において、抽出物は、対象の抗酸化防御を増強する栄養補助食品組成物の形状であってもよい。栄養補助食品組成物は、対象が疾患または障害に苦しんでいる時にサプリメントとして摂取されてもよく、酸化的ストレスに関連する疾患または障害の発症を予防または遅延させる予防的処置として摂取されてもよい。
【0056】
アクロニキア種由来の抽出物は、細菌感染症、細胞増殖障害、炎症性疾患、または酸化的ストレスに関連する疾患もしくは障害を治療する必要のある任意の対象、またはこれらの障害のいずれかを予防する必要のある対象に投与してもよい。本明細書において使用される「対象」という用語は、ヒト、霊長類、家畜(例えば、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ)、実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ)、鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、オウム、バタンインコ、ハト、フィンチ、猛禽類、走鳥類、ウズラ、カナリヤ)、捕獲野生動物(例えば、キツネ、カンガルー、シカ)、および爬虫類(例えば、トカゲおよびヘビ)を含む。いくつかの態様において、対象は、ヒト、伴侶動物、家畜、または実験動物である。特定の態様において、対象は、ヒト、伴侶動物、または家畜である。
【0057】
抽出物の有効量は、抽出手順および抽出物の原料、即ち使用されたアクロニキア種、および抽出物が主に1つの化合物を含むかまたは複数の化合物を含むかに依存している。「有効量」は、望ましい反応を少なくとも部分的に達成するため、または治療される特定の状態の発症を遅延するか進行を阻害する、もしくは発症もしくは進行を完全に停止するために必要な量を意味する。この量は、治療される個体の健康状態および生理的状態、治療される個体の分類群、望ましい防御の程度、組成物の製剤、医学的状況の評価、および他の関連因子に応じて変動する。この量は、日常的な試験により決定することができる比較的広い範囲に収まることが予想される。例えばヒト患者に対する有効量は、各投与量において体重1kg当たり約0.1ng〜1gの範囲内に収まり得る。この用量は、好ましくは各投与量において体重1kg当たり1μg〜1gの範囲内、例えば各投与量において体重1kg当たり1mg〜1gの範囲内である。一態様において、用量は、各投与量において体重1kg当たり1mg〜500mgの範囲内である。別の態様において、用量は、各投与量において体重1kg当たり1mg〜250mgの範囲内である。更に別の態様において、用量は、各投与量において体重1kg当たり1mg〜100mgの範囲内、例えば各投与量において体重1kg当たり最大50mgである。更に別の態様において、用量は、各投与量において体重1kg当たり1μg〜1mgの範囲である。用量用法は、最適な治療応答をもたらすように調節されうる。例えば数回の分割投与量が、毎日、毎週、毎月または他の適切な間隔で投与されるか、または投与量を、状況の緊急性により、示されたように比例的に低減してもよい。
【0058】
本明細書における「治療」および「予防」の言及は、その最も広範な文脈において考えられる。「治療」という用語は、対象が完全に回復するまで治療されることを必ずしも暗示しない。同様に「予防」は、対象が最終的に疾患状態に陥らないことを必ずしも暗示しない。従って治療および予防は、特定の状態の症状を改善すること、または特定の状態を発生させるリスクを予防もしくは低減することを含む。「予防」という用語は、特定の状態の重症度または発症を低減することと考えられてもよい。「治療」も、存在する状態の重症度を低減することができる。
【0059】
別の態様においては、細菌感染症、蠕虫感染症、細胞増殖障害、炎症性疾患もしくは障害、または酸化的ストレスに関連する障害を治療または予防するための医薬の製造におけるアクロニキア種由来の抽出物の使用が提供される。
【0060】
別の態様においては、細菌感染症を治療または予防するための医薬の製造における、下記式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される:

式中、
Aがアリール基またはヘテロアリール基であり;
Zが-O-、-S-、および-NR4-より選択され;
Yが共有結合および-(CH2)p-より選択され;
R1が-C5-C20アルキル、-C5-C20アルケニル、-C5-C20アルキニル、および-C3-C8シクロアルキルより選択され;
R2が水素、-C1-C6アルキル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、-OC3-C8シクロアルキル、チオール、-SC1-C6アルキル、-SC2-C6アルケニル、-SC2-C6アルキニル、-SC3-C8シクロアルキル、-NR4C1-C6アルキル、-NR4C2-C6アルケニル、-NR4C2-C6アルキニル、および-NR4C3-C8シクロアルキルより選択され;
R3が-CO2Hまたはカルボキシ基の同配体より選択される;
R4が水素および-C1-C6アルキルより選択され;ならびに
pが1〜10の整数である。
【0061】
いくつかの態様において、抽出物は、対象の健康および福祉を改善するための栄養補助食品組成物に組み込んでもよい。いくつかの態様において、栄養補助食品組成物は、抗酸化栄養補助食品組成物である。
【0062】
抽出物は、ある方法においてニートの状態で、例えば乾燥させた粉末として、使用することも可能であるが、薬学的に許容される担体、希釈剤、および/または賦形剤と共に医薬または栄養補助食品組成物として製剤化することも可能である。
【0063】
薬学的用途のための剤形および割合ならびに組成は、当業者によって容易に決定可能である。
【0064】
剤形には、錠剤、分散液、懸濁液、注射液、溶液、シロップ、トローチ、カプセル、座薬、エアロゾル、経皮パッチなどが含まれる。これらの剤形はまた、薬学的組成物の徐放のために専用に設計または改変された注射用または移植用装置を含むことができる。治療剤の徐放は、例えば、アクリル樹脂、ワックス、高級脂肪族アルコール、ポリ乳酸およびポリグリコール酸を含む疎水性ポリマーならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの特定のセルロース誘導体で治療剤を被覆することにより達成することができる。さらに、徐放は、他のポリマーマトリックス、リポソーム、および/またはミクロスフェアの使用によって作用することもできる。
【0065】
全身投与用の薬学的に許容される担体を、本発明の組成物に組み入れることもできる。
【0066】
薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含むことが適切である。「薬学的に許容される賦形剤」とは、全身投与において安全に使用できる固体もしくは液体の増量剤、希釈剤、または封入物質を意味する。特定の投与経路に応じ、当技術分野において周知のさまざまな担体を使用することができる。これらの担体または賦形剤は、糖、デンプン、セルロースおよびその誘導体、麦芽、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝溶液、乳化剤、等張生理食塩水、ならびに発熱物質を含まない水を含む群から選択することができる。
【0067】
本発明の薬学的組成物をヒトまたはヒト以外に供与するために、任意の適切な投与経路を利用することができる。例えば、経口、直腸、非経口、舌下、口腔、静脈内、関節内、筋肉内、皮内、皮下、吸入、眼内、腹腔内、脳室内、経皮などの経路を利用することができる。
【0068】
投与に適した本発明の薬学的組成物は、各々が、本発明の1つ以上の薬学的に活性な化合物の所定量を、粉末もしくは顆粒としてまたは水性液体、非水性液体、水中油乳濁液もしくは油中水乳濁液の溶液もしくは懸濁液として含有する、バイアル、カプセル、サシェまたは錠剤などの個別の単位で提示することができる。このような組成物は任意の調剤方法によって調製することができるが、全ての方法には、抽出物もしくは本発明の1つ以上の薬学的に活性な化合物を、1つ以上の必要な成分を構成する担体と組み合わせる段階が含まれる。一般的に、該組成物は、本発明の剤を液体担体もしくは細分された固体担体またはその両方と均質かつ十分に混合し、その後、必要に応じて、生成物を所望の体裁に成形することにより調製される。
【0069】
粉末において、担体は、細分された活性要素との混合物の中に存在する細分された固体である。
【0070】
錠剤において、活性要素は、必要な結合能を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。
【0071】
粉末および錠剤は、5%または10%から70%程度の抽出物または活性化合物を含有することが好ましい。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。「調製物」という用語は、カプセルをもたらす担体としての封入材料と活性化合物との製剤であって、カプセル中で活性要素または抽出物が、他の担体有りまたはなしで、担体によって取り囲まれており、したがって該活性要素が該担体と結び付いているものを含むことが意図される。同様に、カシェ剤および薬用ドロップも含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸剤、カシェ剤および薬用ドロップは、経口投与に適した固体形態として使用することができる。
【0072】
液体形態の調製物は、溶液、懸濁液、および乳濁液、例えば、水溶液または水性プロピレングリコール溶液を含む。例えば、非経口の注射液体調製物はポリエチレングリコール水溶液中の溶液として製剤化することができる。
【0073】
前記抽出物または化合物はこのように、非経口投与(例えば注射、例えばボーラス注射または連続注入による投与)用に配合されてもよく、アンプル、充填済み注射器、少量注入物中の単位用量形態で、または防腐剤を加えた多用量容器で提供されてもよい。この組成物は油性または水性媒体中の懸濁液、溶液または乳濁液などの形態をとってもよく、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散化剤などの配合剤を含有してもよい。あるいは、活性成分は使用の前に、適切な溶媒、例えば発熱物質を含まない無菌の水を用いて構成する目的で、無菌固体の無菌単離によりまたは溶液からの凍結乾燥により得られた粉末形態であってもよい。
【0074】
経口で用いるのに適した水溶液は、活性要素または抽出物を水に溶解し、必要に応じて、適切な着色料、香料、安定化剤および増粘化剤を添加することにより調製することができる。
【0075】
経口で用いるのに適した水性懸濁液は、細分された活性要素または抽出物を天然もしくは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはその他周知の懸濁剤などの粘稠性物質を用いて水中に分散させることにより作製することができる。
【0076】
また、使用の直前に、経口投与用の液体形態の調製物に転換されることを目的とする固体形態の調製物も含まれる。そのような液体形態は溶液、懸濁液、および乳濁液を含む。これらの調製物は活性要素または抽出物に加えて、着色料、香料、安定剤、緩衝剤、人工および天然の甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含んでもよい。
【0077】
表皮への局所投与の場合、前記抽出物または化合物は軟膏、クリームもしくはローションとして、または経皮パッチとして製剤化されてもよい。軟膏およびクリームは、例えば、適切な増粘化剤および/またはゲル化剤の添加して、水性または油性基剤を用いて製剤化されてもよい。ローションは水性または油性基剤を用いて製剤化されてもよく、概して、1つ以上の乳化剤、安定化剤、分散化剤、懸濁化剤、増粘化剤、または着色剤も含むと考えられる。
【0078】
口内での局所投与に適した製剤としては、香料基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントの中に活性剤または抽出物を含む薬用ドロップ;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤の中に活性成分を含むトローチ;ならびに適切な液体担体の中に活性成分を含むうがい薬が挙げられる。
【0079】
溶液または懸濁液は、従来の手段により、例えば点滴器、ピペットまたはスプレーを用いて鼻腔内に直接的に適用される。この製剤は単一または多用量形態で供与されてもよい。後者の形態で点滴器またはピペットを用いる場合、これは患者が適切な所定量の溶液または懸濁液を投与することで達成され得る。スプレーの場合、これは例えば計量噴霧スプレーポンプにより達成されうる。経鼻での送達および保持を改善するため、前記化合物もしくは抽出物はシクロデキストリンを用いて封入されてもよく、または鼻粘膜での送達および保持を促進することが予想されるそれらの物質とともに製剤化されてもよい。
【0080】
気道への投与を、活性成分もしくは抽出物がクロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、もしくはジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはその他の適したガスなどの適切な高圧ガスの入った加圧パック中で供与されるエアロゾル製剤によって達成することもできる。エアロゾルはまた、レシチンなどの界面活性剤を含有することが好都合な場合がある。薬物の用量は計量バルブの提供によって制御されてもよい。
【0081】
あるいは、活性成分は、乾燥粉末、例えばラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体およびポリビニルピロリドン(PVP)などの適切な粉末基剤中の化合物もしくは抽出物の粉末混合物の形態で供与されてもよい。
【0082】
好都合には、粉末担体は鼻腔中でゲルを形成する。粉末組成物は、単位用量形態で、例えば、ゼラチンのカプセルもしくはカートリッジで、または粉末を吸入器によって投与できるブリスターパックで提供されてもよい。
【0083】
鼻腔内製剤を含む、気道への投与を目的とする製剤では、化合物または抽出物は一般に、例えば、1〜10ミクロン以下の桁の小さな粒径を有する。そのような粒径は当技術分野において公知の手段により、例えば微粒子化により得てもよい。
【0084】
本発明の更に他の局面においては、細菌感染症、細胞増殖障害、炎症性疾患もしくは障害、または酸化的ストレスに関連する疾患または障害を治療または予防するための医薬の製造におけるアクロニキア種由来の抽出物の使用が提供される。
【0085】
本発明の別の局面において、アクロニキア種由来の抽出物は、その抗菌性、抗炎症性、および/または抗酸化性のために化粧品組成物中に組み込まれてもよい。
【0086】
適した化粧品組成物としては、フェイスクリーム、ボディーローション、ハンドクリーム、ファンデーション、抗老化および抗しわ製剤、洗顔料およびフェイスピール、化粧除去組成物、等が挙げられる。
【0087】
抗酸化剤、および/または抗菌性成分を含む化粧品組成物の調製は、本技術分野において公知である。
【0088】
本発明の更なる局面においては、アクロニキア種由来の抽出物を含む化粧品組成物であって、該抽出物が、先ずは水またはアルコールによる抽出、次に酢酸エチルによる抽出を含む方法により得られる組成物が提供される。
【0089】
本発明の別の局面において、アクロニキア種の抽出物は、食品添加物、芳香成分、または化粧品組成物の抗酸化剤もしくは抗菌性成分として使用される。
【0090】
アクロニキア種由来の抽出物は香味および芳香を提供する揮発性成分を含む。これらの揮発性成分はジャム、アイスクリーム、菓子類、およびソース等の食品において食品添加物として使用されてもよい。また、揮発性成分を含む抽出物は、香水、化粧品、または洗浄剤、脱臭剤もしくは柔軟剤等の家庭用品、またはタルク粉、デオドラント、石鹸、シャンプー、コンディショナー等のパーソナルケア製品として使用されてもよい。
【0091】
このような香料を含む家庭用品あるいはパーソナルケア製品の調製は、当技術分野において周知である。例えば、前記抽出物は、2〜5%の範囲内の量で家庭用品あるいはパーソナルケア製品に含まれていてもよい。
【0092】
図1に示すように、レモンアスペンの抽出物から複数の揮発性化合物が単離された。同定された化合物には、1-エテニル-1-メチル-2,4-ビス(1-メチルエテニル)シクロヘキサン、2,6-ジ-tert-ブチルベンゾキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン、テトラコンタン-1,40-ジオール、および2,2,5,5-テトラメチル-ビシクロ[6.3.0]ウンデカ-1(8)-エノンが含まれる。より少ない量の未同定の揮発性成分も質量分析により発見された。
【0093】
抽出物の揮発性成分は、蒸留、超臨界流体抽出法(SPE)、マイクロ波支援抽出(MAE)、溶媒抽出、高圧液体抽出(PLE)、超音波抽出、および固相抽出等の当技術分野において公知の方法により単離されうる。
【0094】
本発明の別の局面においては、以下に示す化合物の1つ以上を含む香味料もしくは芳香組成物が提供される:
1-エテニル-1-メチル-2,4-ビス(1-メチルエテニル)シクロヘキサン、
2,6-ジ-tert-ブチルベンゾキノン、
2,5-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン、
テトラコンタン-1,40-ジオール、および
2,2,5,5-テトラメチル-ビシクロ[6.3.0]ウンデカ-1(8)-エノン。
【0095】
いくつかの態様において、香味料または芳香組成物は上記の成分を少なくとも2つ含有する。いくつかの態様において、香味料または芳香組成物は上記の成分の全てを含有する。
【0096】
本発明を容易に理解し、実際に実施するために、以下の非限定的な例によって具体的な態様を下記に記載する。
【実施例】
【0097】
スクリーニング手順
抗酸化活性
ラジカル捕捉のためのDPPHアッセイ。
【0098】
背景
このアッセイは、濃い紫色の安定なフリーラジカルDPPHの利用に基づく。DPPHの溶液を、水素原子を供与できる物質(例えば、抗酸化剤)と混合すると、還元された形態のDPPHが生じ、それと共にこの紫色も失われる。
【0099】
材料
2,2-ジフェニル-1-ピクリル-ヒドラジル(DPPH);MW:394
エタノール
必要な希釈をした、アッセイされるサンプル
VERSAmax 調整可能マイクロプレートリーダー―Molecular Devices
【0100】
方法
1.0.1mMのDPPHエタノール溶液(100mLのエタノール中に3.94mgのDPPH)を調製した。あるいは、(プレートで段階希釈を行う場合には)DPPHの10×溶液(1mM、10mLのエタノール中3.94mg)を調製した。溶液は4℃で数週間保存したが、時間と共に色が失われた。
2.96穴プレートにおいて使用される各ウェルに90μLの1×DPPH溶液を加えた。
3.アッセイ対象のサンプル10μLを、DPPH(最終的に1/10に希釈)を含むウェルに添加するか、または希釈したサンプル10μLを加えた。各サンプルに対するアッセイは、三重測定した。サンプルと置き換えられる負の対照として10μLのエタノールを使用した。必要に応じて既知の濃度のカテキンを正の対照として使用した。サンプルが着色されている場合、対照ウェルのエタノールおよび10μLのサンプルを色ブランクとして使用した。
4.プレートでサンプルの段階希釈を行う場合、90μLのエタノールをウェルに加えた。10μLのサンプルを最上列のウェルに加え、各ウェルが確実に同量になるように、希釈された最後のウェルから10μLを抜き取り、プレートを下へ進むにつれ10μLを段階希釈した。10μLの10×DPPHを各ウェルに加えた。
5.サンプルとDPPHを合わせた後、プレートを室温で20分間静置させ、その後、波長517nmでプレートリーダーにより測定を行った。
【0101】
ヒト血漿における脂質過酸化
背景
脂質過酸化の抑制は抗酸化剤の主要な標的である。インビトロにおけるヒト血漿のフリーラジカルを介した酸化は、コレステリルエステルヒドロペルオキシド(CEOOH)を主要生成物として発生させ、それと比較して少量のコレステリルエステルヒドロキシド(CEOH)およびリン酸脂質ヒドロ(ペル)オキシドを発生させることがItoh et al. 2004, Biochemical Pharmacology, 68, 813-818(ならびにそれに引用されている参考文献)により示されている。その結果、血漿中の脂質過酸化の程度はコレステリルエステルヒドロペルオキシド(CEOOH)の形成から推定することができる。
【0102】
方法
透析されたヒト血漿中の脂質過酸化の減少におけるサンプルの効果は、Itoh et al. 2004の方法に従って実施された。簡潔に述べると、これは以下を含む:
1.一晩絶食した健康な志願者の血液を、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含むチューブに採取した。1580×gにて4℃で10分間遠心分離することにより血漿を得た。血漿をPBS中4℃で18時間透析膜を用いて透析することにより、アスコルビン酸および存在するその他の水溶性低分子抗酸化剤を除去した。
2.6.66容積%のサンプル溶液とともに10容積%の透析されたヒト血漿を含むPBS溶液、およびサンプル溶液を含まず10容積%の透析されたヒト血漿を含むPBS溶液に、親油性の2,2’-アゾビス-(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(MeO-AMVN)(最終濃度0.2mM)を加え、混合物を37℃で1時間インキュベートした。
3.脂質過酸化生成物をクロロホルム/メタノール(体積比2/1)を用いて抽出し、クロロホルム層を解析した。分光光度検出器を搭載しODSカラム(Wakosil-II 5C18RS、5um、250mm×4.6mm)を使用したHPLCでアセトニトリル/イソプロピルアルコール/水(体積比44/54/2)を用いて1mL/分の流速で溶出し、コレステリルエステルヒドロペルオキシド(CEOOH)およびコレステリルエステルヒドロキシド(CEOH)を234nmで測定した。
【0103】
抗菌アッセイ
概要
これらの試験に使用された細菌は以下のものである。
・ストレプトコッカス・サリバリウスK40
・枯草菌
【0104】
全ての抗菌アッセイは、下記の手順を用いた層流キャビネットにおいて実施された。増殖の有無は視覚的におよびELISAリーダーにより評価された。エンドポイントとは24時間の処理の間、増殖を完全に阻害するために必要な最小希釈率(より強力な画分についてはμg/mLでも計算される)であると報告されている。
【0105】
方法
1)チップで凍結した一定分量の細菌培養物を擦り取り、これをファルコンチューブ中の10mLのコロンビアブロスに加え、スターター培養液を作製した。次にこれを細菌シェーカーに入れ、210rpmにて37℃で一晩振とうした。
2)210μLのコロンビアブロスを用いて分光光度計にて600nmでブランクの測定を行った。次に200μLのスターター培養液の値を測定した。
3)計算においては、最終濃度として0.005が所望された。x mLのスターターの希釈に使用した式は次のものである:x * A600=0.005 * 所望の容積
4)96穴平底プレートの各ウェルに90uLのMeOHを加えた。10μLのサンプルを上のウェルに加え、プレートを下へ進むにつれ1:10の比率で希釈した。あるいは、上の列にはMeOHを加えず100μLのサンプルを加え、プレートの下へ進むにつれ1:10の比率で希釈した。
5)2〜3時間、またはプレートから全ての溶媒が蒸発するまで、プレートを生物学的安全キャビネット内に置き乾燥させた。
6)次に希釈した細菌培養液100μLをプレートの各ウェルに加えた。プレートを細菌インキュベーター内に37℃で一晩置いた。翌日、阻害(対照として用いた濁った溶液と比較して、透明な溶液は100%の阻害を示す)および凝集を観察するためにプレートを顕微鏡下でスコア化した。定量化のために、プレートを405nmで読み取った(ELISA)。
【0106】
殺線虫スクリーニング
自由生活性の生活環段階の全ての寄生線虫に適用可能な駆虫薬バイオアッセイ法を、寄生線虫に対するアクロニキア種由来の未精製抽出物の活性および効力を検出するためのスクリーニングとして使用した。このアッセイは、幼虫生育に及ぼす試験抽出物の効果を判定するものであり、Gill et al. (1995) Int. J. Parasitol. 25: 463-470が記述している方法に従うものである。
【0107】
手短に述べると、このアッセイ法では、試験試料を含有する寒天マトリックスの表面に線虫である捻転胃虫(Haemonchus contortus(McMaster系))の卵を適用し、感染性期L3まで生育させた(6日)。この時点で幼虫生育期に達しており、任意の異常な特徴(奇形、麻痺、毒性)を顕微鏡検査により観察した。抽出物の効力を決定するために、一連の親抽出物の倍数希釈を用い、本アッセイより読み取られた結果が希釈力価である。
【0108】
抗炎症および神経保護アッセイ
背景
一酸化窒素および炎症性サイトカインTNFの生成は、酸化ストレスおよび炎症性プロセスに一般的に付随しており、アルツハイマー病等の加齢性神経症状の発生にさらに一層結び付けられている。N-11マウスミクログリア細胞内におけるLPSまたはインターフェロン-γに誘発された一酸化窒素の生成を測定するためのアッセイ系を用いて抗炎症活性、神経保護活性、および抗酸化活性を有する画分および化合物を特定することができる。本アッセイにおける比較のための究極の判断基準は、バイオフラビノイド類、アピゲニンおよびジオスメチンである。
【0109】
方法
細胞の維持
N-11ミクログリアを、175cm2フラスコ内で、1%ストレプトマイシンおよびペニシリン抗生物質溶液(Invitrogen)、ならびに5%ウシ胎児血清(FBS)(Invitrogen)および2mMのL-グルタミン(Invitrogen)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(Invitrogen)中で増殖させた。全ての細胞株を5%CO2下37℃で維持した。
【0110】
細胞の濃度
培養フラスコ内で細胞がコンフルエントになるまで増殖したら、RAGE等の膜結合型レセプターの除去の原因となることが知られているトリプシン処理ではなく、ラバーポリスマンを用いて細胞を取り出した。次に、900×gで3分間遠心分離することにより細胞懸濁液を濃縮し、これを少量の0.1%FBS含有DMEMに再度懸濁した。
【0111】
細胞数
同量の再懸濁した細胞液およびトリパンブルー(0.1%)を総量が20μLとなるように混合した。混合物の半分をNeubauer血球計算盤に乗せた。16個の同じ大きさの四角を顕微鏡下で観察し、細胞数を数えた。次の式を用いて1マイクロリットルの細胞液あたりの細胞数を計算した:細胞数×2(トリパンブルーの希釈係数)×10(数えた全量の1/100)=1マイクロリットルあたりの細胞数
【0112】
プレートへの細胞の分注
細胞懸濁液の濃度が決定された時点で、培地の量を調節し所望の濃度とした。これは、必要な細胞の総数を1マイクロリットルあたりの細胞数で割ることにより実現された。100μLの細胞懸濁液を96穴プレートの各ウェルに加え、所望の細胞総数である1ウェルあたり5×104個の細胞とした。6穴プレートを使用する実験では、各ウェルに1ウェルあたり1.2×106個の細胞を分配し、1ウェルあたりの最終総量を2mLとした。24穴プレートを使用する実験では、各ウェルに1ウェルあたり3×105個の細胞を分配し、1ウェルあたりの最終総量を1mLとした。プレートを500×gで5分間遠心分離し、均一に分配させた。
【0113】
細胞の活性化
プレートに細胞を分注した後、プレートを37℃で一晩インキュベーションし、細胞をウェルの底に静置および付着させた。実験中の増殖の効果を最小にするために、活性化の前に馴化培地を新鮮な0.1%FBS含有DMEMに置き換えた。
【0114】
リポ多糖
無菌PBS中1000μg/mLの大腸菌(E. coli)LPS(血清型0127:B8)を含む原液を細胞希釈に使用した。用量依存的活性化曲線を作成するために、0.1μg/mLから100μg/mLの濃度のLPSを使用した。10μg/mLの濃度を用いて、抽出物を使用したアッセイ中の細胞を活性化した。
【0115】
インターフェロン-γ
1000U/mLのマウスIFN-γ(ロット#10098)の原液を0.1%FBS含有DMEMと共に使用した。0.1U/mLから500U/mLの範囲の濃度のIFN-γを使用して用量依存的活性化曲線を作成した。10U/mLの濃度を用いて抽出物を使用したアッセイ中の細胞を活性化した。
【0116】
抽出物を使用したアッセイにおける細胞の活性化
活性化細胞内のLPSの不定な性質のため、10μg/mLのLPSおよび10U/mLのIFN-γの組み合わせを使用し、抽出物を使用したアッセイのための細胞を活性化した。
【0117】
一酸化窒素の測定
一酸化窒素は、安定な反応生成物の1つである亜硝酸塩のGriess試薬による定量化を利用して測定された。Griess試薬は5%HCl中の同量の1%スルファニルアミドおよび0.1%ナフチエチレンジアミンから調製され、亜硝酸塩が存在した場合、紫色に発色する。既知の濃度の亜硝酸ナトリウムを用いて検量線を作成し、Wallac VICTOR3 Vマルチラベルカウンター(Perkin Elmer)を使用して各サンプルの吸光度を545nmで測定した。活性化された各ウェルの上清を75μLずつ新しい96穴プレートに移し、同量のGriess試薬と混合した。吸光度を測定し、これにより亜硝酸ナトリウム検量線からの亜硝酸塩濃度の計算が可能となった。
【0118】
アラマーブルー細胞生存率アッセイ
アラマーブルーは、細胞生存率を測定するために用いられる蛍光酸化還元指示薬である。これには細胞ミトコンドリア酵素によるレサズリンの細胞における還元が関わっており、細胞数と正比例する溶解性の生成物(レゾルフィン)が得られる。細胞を、1ウェルあたり100μLの1%レサズリンならびにDMEM(0.1%FBS)の溶液と共に37℃で2時間96穴プレート中でインキュベーションした。24穴プレートの場合には総量を調節し、各ウェル500μLでインキュベーションした。蛍光を545/595nmで観察し、バックグラウンド測定値を引き算した後、対照細胞に対するパーセントとして表した。
【0119】
抗癌活性のアッセイ
未精製抽出物の予備的細胞スクリーニング
概要
96穴プレートのフォーマットを用いてエタノールによる未精製抽出物の効力を5つの細胞株(4つの腫瘍株と1つの正常ヒト細胞株)に対して評価した。5つの細胞株に7段階の十倍希釈を行い、これによりIC50値を計算した。
【0120】
方法
正常細胞としては初代ヒト線維芽細胞(NFF)を使用した。腫瘍細胞株としてはMM418c5メラノーマ(脱色素剤を検出するための、色素性細胞株)、MCF-7乳癌、CI80-13S卵巣癌(シスプラチン抵抗性:ミトコンドリア薬に対して高い感受性を有する)、およびLnCAP前立腺癌株が使用された。
1.細胞を低密度に播き、5〜7日間組織培地(RPMI1640+10%FCS+pen/strep)中で増殖させることによりクローン原性タイプの細胞の生存率データが提供された。
2.100μLあたり4000個の細胞を得るために必要な細胞懸濁液の量を計算した。この必要とされる細胞懸濁液を組織培地(チロシン添加)と混合し、必要とされる体積となるよう調整した。
3.この細胞懸濁液を100μL/ウェルで平底96穴組織培養プレートに移し、その後37℃の5%CO2加湿インキュベーター中に一晩置いた。
4.次に、必要な画分2μLを、プレートの最上列(A列)のウェルに加え、ピペットを使用して混合した後、その下の列のウェルをG列まで1:10の比率で段階希釈した。
5.プレートを再度37℃で3〜4日インキュベーションした後、光学顕微鏡下で細胞生存率、形態変化、特に細胞の色素脱失および色素沈着過剰を評価した。
【0121】
S1/S2画分の予備的細胞スクリーニング
混合細胞プレートのための方法
1.組織培地(RPMI1640+10%FCS+pen/strep)に懸濁した4つの異なる細胞株[NFF、MCF7、MM96L(メラノーマ)、およびK562(白血病)]を数えた。
2.100μLあたり1000個のMM96L、2000個のK562、3000個のMCF7、および5000個のNFFを得るために必要な細胞懸濁液の量を計算した。各細胞株からのこの必要な細胞懸濁液を混合し、組織培地を加え、必要とされる体積となるよう調整した。
3.混合した細胞懸濁液を100μL/ウェルで平底96穴組織培養プレートに移し、その後37℃の5%CO2加湿インキュベーターに一晩置いた。
4.次に、必要なサンプル2μLを、プレートの最上列(A列)のウェルに加え、ピペットを使用して混合した後、その下の列のウェルをG列まで1:10の比率で段階希釈した。
5.プレートを再度37℃で3〜4日インキュベーションした後、光学顕微鏡下で細胞生存率および形態変化を評価した。
【0122】
MM418c5細胞プレートのための方法
6.組織培地(RPMI1640+10%FCS+pen/strep+250μg/mLチロシン)に懸濁したMM418c5メラノーマ細胞株の細胞数を数えた。
7.100μLあたり4000個の細胞を得るために必要な細胞懸濁液の量を計算した。この必要な細胞懸濁液を組織培地(チロシン添加)と混合し、必要とされる体積となるよう調整した。
8.この細胞懸濁液を100μL/ウェルで平底96穴組織培養プレートに移し、その後37℃の5%CO2加湿インキュベーターに一晩置いた。
9.次に、必要なサンプル2μLを、プレートの最上列(A列)のウェルに加え、ピペットを使用して混合した後、その下の列のウェルをG列まで1:10の比率で段階希釈した。
10.プレートを再度37℃で3〜4日インキュベーションした後、光学顕微鏡下で細胞生存率、形態変化、特に細胞の色素脱失および色素沈着過剰を評価した。
【0123】
香味成分および芳香成分の定義
背景
固相マイクロ抽出法(SPME)は、サンプルから分析物が分離され、典型的には長さ1cm、直径100μmのフューズドシリカロッドにコーティングされたポリマーに添加される、サンプル調製法ならびにサンプル導入法である。繊維は、注射器様の装置内に含まれる細いステンレススチール管の端に留められており、外側のステンレススチール製の針により保護されている。デバイスのプランジャーを押し、試料マトリクスに繊維を曝露し、サンプリング時間の終わりに引っ込め、続いて、GC-MSによる解析のために再度プランジャーを押して繊維を脱離インターフェースに曝露する。SPMEは、幅広い状況における揮発性物質の分析のためのヘッドスペースGCの代わりを提供する(Pawlisyzn J 1999: Applications of Solid Phase Microextraction, Royal Society of Chemistry)。
【0124】
方法
凍結したレモンアスペンの果実を約5mm角に刻み、乳鉢と乳棒で穏やかに傷つけることにより表面の細胞を破壊し、揮発性成分を放出させた。次に、刻んだ果実を直ちにセプタム付きのガラス容器に移した。市販のSPME繊維ホルダー(Supelco Analytical、米国)および繊維(ポリジメチルシロキサン、100μmフイルム57310-U)をセプタムに通し、プランジャーを使用して繊維を下ろし、ガラス容器内の揮発性混合物に繊維を15分間曝露した。続いて繊維を引っ込め、その後脱離させ、GC-MSによる分析を行った。
【0125】
実施例1:未精製抽出物の調製
凍結したレモンアスペンの果実を約5mm角にスライスし、十分なエタノール(約2L)に浸し、一晩振とうした。次に、この抽出物を濾過し、回転式蒸発により大部分の溶媒を除去し、水性の濃縮物(未精製抽出物)を得た。
【0126】
実施例2:シリカカラム(S1)を使用した最初の画分
S1カラム用の抽出物の調製
1.乾燥または濃縮させた未精製抽出物に200mLから1LのミリQ水を加えた(抽出物からは水以外の全ての溶媒が除去されているはずであり、使用される水の体積は抽出物の量に左右された)。
2.サンプルに同量の酢酸エチルを加え、混合した後、分液漏斗に移した。これを約30秒間振り、注意しながら頻繁に漏斗内の圧力を開放した。
3.2つの層を分離させ、別々に回収した。
4.水層を漏斗に戻し、ステップ2から3を繰り返した。
5.各層から1mLのサンプルを回収および保存し、それぞれの層を回転式蒸発装置で乾燥させ、重さを測定した。
6.酢酸エチル層を合わせて少量の酢酸エチル溶媒に溶解し、その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーのために必要となるまで、4℃または−20℃で保存した。
【0127】
試験的シリカゲルカラム(S1)のための方法
カラムの準備:
1.1gのメルクシリカゲル60(0.063〜0.2mm)を100mLビーカーに計り取った。
2.シリカを約10mLの石油スピリットに浸し、へらを使用して十分に混ぜた。
3.攪拌後、シリカを内径1cmのガラスカラムに直接流し込み、カラムの栓を開き、数分間シリカを流した。
4.栓を閉じ、少なくとも1時間(好ましくは一晩)シリカを静置した。カラムの上部を気密シールで覆い、溶媒の蒸発を防いだ。
5.静置後、カラムを軽く叩くことによりカラム内の気泡を取り除いた。大きな気泡が存在した場合には、ベッド全体を攪拌し、再度静置した。
6.カラムの高さを記録した(約3cm)。
【0128】
サンプルの調製
7.約150mgの適切な濃縮未精製抽出物を小さな丸底フラスコに計り入れた。
8.サンプルを回転式蒸発により乾燥させ、重量を記録した。
9.乾燥させたサンプルを、サンプルの2倍の質量と同等の量の酢酸エチルに再度溶解した。
10.次に、溶液からサンプルが沈殿し始めるまで石油スピリットを少量ずつ(20〜50μL)サンプルに加えた。少量の酢酸エチルを加えることにより沈殿物を再度溶解した。加えた石油スピリットの量を記録した。充填物の体積は、常に2mL未満である必要がある。
11.200μLのピペットを使用し、充填物の1/6を正確に測り取った(約20mg)。これを2mL96穴プレート(ポリプロピレン、化学的耐性を有する)の24個のウェルからなるセット(2列)の最後のウェルに入れた。
【0129】
サンプルの分取
12.以下の溶媒比率の混合物を、表1中に示すように4mLずつ調製した。
(表1)

13.溶媒のレベルがシリカの真上にくるまでカラム内の溶媒を溶出させた。
14.1mLパスツールピペットを使用し、充填物が確実に平らになるよう気を付けながら、カラムの壁面を穏やかに流れるように残りの充填物を加えた。次に少量の溶媒でカラムの壁面をすすぎ、壁面の充填物を取り除いた。
15.栓を開き、充填物をカラム上に移動させた。
16.先と同様にパスツールピペットを使用し、シリカを乱さないように気を付けながら、第一の溶媒混合物をカラムに加えた。
17.カラムに溶媒を通し、各溶媒に対して2つの2mL画分を2mL96穴プレートに順次回収した。
18.新しい溶媒を加える前に、前の溶媒がカラムの上部に溶出されていることを確認しながら上記の手順を各溶媒に対して繰返した。
19.96穴プレート中の画分は、窒素をそれらの上に流すことにより乾燥させた。
20.乾燥させた画分のそれぞれに400μLのエタノールを加え、ピペットで混ぜることによりサンプルを溶解した。各サンプルを100μLずつ3枚の丸底96穴プレートに移した。
【0130】
実施例3:未精製抽出物の分取のための方法2(S2)
抽出:
1.レモンアスペンの果実(5090g)をエタノール(5.0L)で24時間かけて1回抽出し、濾過することにより3025gの残渣を得た。この残渣をPhillips「Super blender」で粉砕することにより、十分に分割された材料を得、外界温度で24時間、EtOH(4.0Lおよび3.0L)で2回抽出した。
2.各抽出物から分注(2mL)したサンプルを保存した:EB1328-EtOH-1(6400mLより)、EB1328-EtOH-2(4250mLより)、EB1328-EtOH-3(2400mLより)。
3.抽出物を合わせ、回転式蒸発によりエタノールを除去した。残渣(約1600mL)をEtOAc(5×650mL)で抽出した。回転式蒸発によりEtOAcを除去することにより53gの濃い油状物質を得た。以下の分割された(2mL)サンプルを保存した:
・抽出後の水相(1630mLより)はEB1328-H2Oと表示した。
・酢酸エチル抽出物(3260mLより)はEB1328-EtOAcと表示した。
【0131】
シリカカラム:S2
最終抽出物(53g)をEtOAc(150mL)に溶解し、シリカ(約106g)を加えることにより均一な懸濁液を調製した。ヘキサン(100mL)を加え、溶媒を除去した。残留した混合物は、50℃/20 Torrで1時間乾燥させた。シリカをカラムに充填し、得られた乾燥充填物をカラムの最上部に加え(424gのシリカ、カラムは直径10cm×13.0cmであり、シリカ上の乾燥充填物は3.0cm、合計約1200mL)、真空吸引を使用して表2に記載した溶媒でそれを溶出し、表3に示した画分を回収した。
【0132】
(表2)S2用の溶媒混合物

PS=石油スピリット
【0133】
回収した画分を乾燥させ、適切な溶媒中の溶液として4.5mLバイアル中へ移した(表3を参照のこと)。画分の分析用サンプルは、45μLの画分溶液を1mLのMeOHで希釈することにより調製された。大きな画分(EB1328-S2-4)は分別再結晶のために残され、3つのサンプルが得られた(表3を参照のこと)。
【0134】
(表3)回収された画分EB1328-S2の一覧


【0135】
EB1328-S2-4(12.42g)、EB1328-S2-13、およびEB1328-S2-14の画分は、蒸発により凝固させ、EB1328-S2-4をヘキサン/アセトンより再結晶させ、3つの画分を得(固体:EB1328-S2-4固体、不純な固体:EB1328-S2-4不純固体、および油:EB1328-S2-4mL)、これらをGCMSにより分析した。GCMSによると、EB1328-S2-固体の画分は、保持時間が28.20分である単一の化合物である。EB1328-S2-4不純固体、およびEB1328-S2-4mLの画分は、揮発性の化合物を除き、保持時間(Rt)が7.06、27.96、28.20、および33.71分である4つの主成分からなる。EB1328-S2-4不純固体およびEB1328-S2-4mL画分の両方における主成分はRt 27.96分であり、それぞれの濃度は約77%および63%である。
【0136】
EB1328-S2-13およびEB1328-S2-14の画分を回収のために濾過し、形成された沈殿物をアセトンで洗浄した。1Hおよび13C NMRによると、両方の画分から回収された固体はクエン酸であった[Olennikov et al. Chem. Nat. Compounds, 2005, 41(4), p467-468]。
【0137】
GCMS解析
クロマトグラフ:島津GC-17A Ver.3、質量分析計:MS QP5050A、70eVでイオン化、カラム:DB-5ms-直径0.32mm×30m×0.25μm、搬送ガス:He、総流量32.2mL/分、カラム流量1.3mL/分、注射器温度:250℃。標準プログラム:140℃で1分間、次に5℃/分で温度を上昇させ290℃で30分間置いた。
【0138】
実施例4:未精製抽出物を使用した予備的研究から得られた結果
レモンアスペンならびにその他3つのアクロニキア種(アクロニキア・アベランス、アクロニキア・アクロニキオイデス、およびアクロニキア・クラシペタラ)の果実のエタノールによる未精製抽出物を、複数のアッセイにおいてスクリーニングし、それらの抗酸化活性、抗菌活性、抗炎症活性、および抗癌活性を特徴付けた(表4)。上述のようにラジカル捕捉をアッセイする方法としてDPPH法、脂質過酸化アッセイ、抗菌増殖アッセイ、および予備的な抗癌スクリーニングアッセイ法を用いて未精製抽出物をアッセイした。
【0139】
(表4)アクロニキア種の未精製抽出物の予備的スクリーニングから得られた結果の要約

1データは、ORACアッセイの場合はトロロクス等量で表され、DPPHアッセイの場合はカテキン等量で表された。
2N11ミクログリア細胞内におけるLPS誘発一酸化窒素生成の阻害。
3細胞株:CI80-13s=乳癌;LnCAP=前立腺癌;MCF7=乳癌;MM418c5=メラノーマ;NFF=正常
4連続的な倍数希釈において、活性が見られた最後の希釈として表される、捻転胃虫幼虫の成長の阻害。
【0140】
レモンアスペンは小規模商業栽培地から入手可能であることから、更なる研究は、次に、果実における特定の「活性」画分を同定するために、活性を指標とする単離のための種としてレモンアスペンに注目した。
【0141】
実施例5:生物活性画分の同定
レモンアスペンの酢酸エチル抽出物のシリカを用いたフラッシュクロマトグラフィー(上記の手順におけるS1の方法を参照のこと)を、未精製抽出物中の複雑な混合物をデコンボリューションして生物活性を有する画分を同定する工程の第一段階として利用した。中程度に強力な抗菌活性および抗癌活性を有する特定の画分が同定され(表5)、同時に、多くの画分において強力な抗炎症/抗酸化活性(<0.05mg mL-1)が存在した。
【0142】
(表5)S1分画されたレモンアスペン(EB1328)の抽出物のスクリーニング結果

124時間でストレプトコッカス・サリバリウスの増殖を完全に阻害するために必要な最小希釈。データは試験プレートの第1列のものである。
2N11ミクログリア細胞におけるLPS誘発一酸化窒素生成の阻害。
34つの細胞株(MM96Lメラノーマ;K562白血病;MCF7乳癌;正常)の混合物を含む。
【0143】
続いて、より大きいスケールの分画(S2)を実施し、レモンアスペン中の抗菌活性および抗癌活性をより正確に定量化した。
【0144】
(表6)S2分画されたレモンアスペン(EB1328)の抽出物の抗菌活性ならびに抗癌活性のエンドポイント

124時間でストレプトコッカス・サリバリウスの増殖を完全に阻害するために必要な最小希釈。データは画分のμg mL-1として記載されている。
2エンドポイントはウェル中の全ての細胞が死滅する最小濃度である。
【0145】
実施例6
抗菌活性を有する画分および化合物をより具体的に同定するために、10gの凍結乾燥されたレモンアスペン(EB1328)の粉末を石油スピリットで3回抽出した(3×50mL)。合わせた抽出物を、回転式蒸発装置で乾燥するまで濃縮させ、その結果得られた残渣(0.248g)をメタノール(HPLC用)に10mg/mLで溶解し、HPLCにより分離させた。HPLC精製は、Gracevydac C18逆相カラム(100×4.60mm、120A)を用いて流速0.5mL/分のメタノール/水(80/20 v/v、続いて、100%メタノールまでの勾配)により実施された。HPLC画分(0.5mL)はGilsonフラクションコレクターFC204を使用して回収し、ストレプトコッカス・サリバリウスに対する抗菌活性について試験した。抗菌試験において活性を有した画分を示す結果は表7に示されている。
【0146】
(表7)ストレプトコッカス・サリバリウスに対する阻害活性を示すレモンアスペン(EB1328)由来のHPLC画分

*Ag=凝集、±=部分的阻害
【0147】
レモンアスペン中の活性抗菌成分を更に特定するために、3つの主要なピーク(保持時間15.0〜18.0、18.1〜20.0、および20.1〜22.8)と相関する画分を別々にプールした。回収したHPLC画分の純度は、別のHPLC溶媒システム(メタノール/水 70/30を0.5mL/分)を用いてサンプルを流し、GC-MS解析を行うことにより確認した。HPLC解析によると、ピークの純度は85%〜95%であった。
【0148】
活性画分22(EB1328-QL02としてコードされている)は、M+ 370.5の純物質であることがGC-MSにより決定された。1Hおよび13C NMRスペクトルが測定され、それらは表8に示されている。1Hおよび13C NMRからこの構造が既知の化合物3-(4-ファルネシルオキシフェニル)プロピオン酸(CAS番号:126269-87-2)のものであることが証明され;この構造は識別名EBC111と名付けられた。

【0149】
(表8)CDCl3中125/500MHzにおけるNMRデータ

【0150】

分子量=370.54
分子式=C24H34O3
【0151】
活性画分20(表7)(3.3mg)はHPLCにより精製され、NMR解析に適した1.17mgの純粋な化合物を得た。この画分(EB1328-QL01とコードされる)は、m/z 423.5 M+Na+を有する純物質に近いことがLCMSにより決定された。

13C NMRにより、この単離物が、EBC111に関連するこれまで報告されていなかった構造であることが示され、この新しい構造はEBC125と名付けられた。

分子量=400,56
分子式=C25H36O4
【0152】
分離した画分およびレモンアスペンから単離された2つの化合物(EB1328)を更に試験し、ストレプトコッカス・サリバリウスに対する活性を評価した(表9)。
【0153】
(表9)レモンアスペン(EB1328)から単離された2種の純粋な化合物ならびにHPLC画分のストレプトコッカス・サリバリウスに対する阻害活性

*Ag=凝集、±=部分的阻害
【0154】
実施例7:香味および芳香成分の特定
レモンアスペンの果実の香味および芳香の特徴に関与している可能性がある揮発性の成分は、上記のとおり、GC-MSに連結した固相マイクロ抽出(SPME)により特定された。
【0155】
GC-MS解析から3つの主要な揮発性物質が存在することが確認され:
・1-エテニル-1-メチル-2,4-ビス(1-メチルエテニル)-シクロヘキサン
・2,6-ジ-tert-ブチルベンゾキノン
・テトラコンタン-1,40-ジオール、
更に6つの微量の揮発性物質が記録された(図1)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に有効量のアクロニキア(Acronychia)種由来の抽出物を投与する工程を含む、細菌感染症、蠕虫感染症、細胞増殖障害、炎症性疾患もしくは障害、または酸化的ストレスに関連する障害を治療または予防する方法。
【請求項2】
対象に有効量の下記式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む、細菌感染症を治療または予防する方法:

式中、
Aがアリール基またはヘテロアリール基であり;
Zが-O-、-S-、および-NR4-より選択され;
Yが共有結合および-(CH2)p-より選択され;
R1が-C5-C20アルキル、-C5-C20アルケニル、-C5-C20アルキニル、および-C3-C8シクロアルキルより選択され;
R2が水素、-C1-C6アルキル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、-OC3-C8シクロアルキル、チオール、-SC1-C6アルキル、-SC2-C6アルケニル、-SC2-C6アルキニル、-SC3-C8シクロアルキル、-NR4C1-C6アルキル、-NR4C2-C6アルケニル、-NR4C2-C6アルキニル、および-NR4C3-C8シクロアルキルより選択され;
R3が-CO2Hまたはカルボキシ基の同配体より選択され;
R4が水素および-C1-C6アルキルより選択され;ならびに
pが1〜10の整数である。
【請求項3】
前記化合物が、下記式(1A)の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項2に記載の方法:

式中、
Yが共有結合および-(CH2)p-より選択され;
R1が-C5-C20アルキル、-C5-C20アルケニル、および-C3-C8シクロアルキルより選択され;
R2が水素、-C1-C6アルキル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、および-OC3-C8シクロアルキルより選択され;
R3が-CO2Hまたはカルボキシ基の同配体より選択され;ならびに
pが1〜10の整数である。
【請求項4】
R1が、1〜3個の二重結合を有するC5-C15アルケニルである、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
R1がファルネシルである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
R2が水素または-OC1-C3アルキルである、請求項2〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
R3が-CO2Hである、請求項2〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
Yが-(CH2)p-である、請求項2〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
pが1から4である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
細菌感染症がグラム陽性菌またはグラム陰性菌により引き起こされる、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記細菌が、バチルス属(Bacillus)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、連鎖球菌属(Streptococcus)、アエロコッカス属(Aerococcus)、ゲメラ属(Gemella)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、リステリア属(Listeria)、クルチア属(Kurthia)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、エリシペロスリクス属(Erysipelothrix)、アラクニア属(Arachnia)、アクチノミセス属(Actinomyces)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、ロチア属(Rothia)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、ノカルジア属(Nocardia)、およびマイコバクテリウム属(Mycobacterium)より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記細菌が、枯草菌(B. subtilis)、炭疽菌(B. anthracis)、セレウス菌(B. cereus)、バチルス・フィルミス(B. firmis)、バチルス・リケニフォルミス(B. licheniformis)、バチルス・メガテリウム(B. megaterium)、バチルス・プミルス(B. pumilus)、バチルス・コアギュランス(B. coagulans)、バチルス・パントセンティカス(B. pantothenticus)、バチルス・アルベイ(B. alvei)、バチルス・ブレビス(B. brevis)、バチルス・サーキュランス(B. circulans)、バチルス・ラテロスポルス(B. laterosporus)、バチルス・マセランス(B. macerans)、バチルス・ポリミキサ(B. polymyxa)、ステアロサーモフィルス(stearothermophilus)、バチルス・スリンギエンシス(B. thuringiensis)、バチルス・スファエリクス(B. sphaericus)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(S. haemolyticus)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(S. saprophyticus)、化膿性ブドウ球菌(S. pyogenes)、肺炎球菌(S. pneumoniae)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(S. agalactiae)、化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(S. agalactiae)、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ(S. dysgalactiae)、ストレプトコッカス・エクイシミリス(S. equisimilis)、ストレプトコッカス・エクイ(S. equi)、ストレプトコッカス・ズーエピデミクス(S. zooepidemicus)、ストレプトコッカス・アンギノスス(S. anginosus)、ストレプトコッカス・サリバリウス(S. salivarius)、ストレプトコッカス・ミレリ(S. milleri)、ストレプトコッカス・サングイス(S. sanguis)、ストレプトコッカス・ミチオール(S. mitior)、ストレプトコッカス・ミュータンス(S. mutans)、ストレプトコッカス・フェカリス(S. faecalis)、ストレプトコッカス・フェシウム(S. faecium)、ストレプトコッカス・ボビス(S. bovis)、ストレプトコッカス・エクイヌス(S. equinus)、ストレプトコッカス・ウベラス(S. uberus)、およびストレプトコッカス・アヴィウム(S. avium)より選択される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
下記式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩:

式中、
Aがアリール基またはヘテロアリール基であり;
Zが-O-、-S-、および-NR4-より選択され;
Yが共有結合および-(CH2)p-より選択され;
R1が-C5-C20アルキル、-C5-C20アルケニル、-C5-C20アルキニル、および-C3-C8シクロアルキルより選択され;
R2が-C1-C6アルキル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、-OC3-C8シクロアルキル、チオール、-SC1-C6アルキル、-SC2-C6アルケニル、-SC2-C6アルキニル、-SC3-C8シクロアルキル、-NR4C1-C6アルキル、-NR4C2-C6アルケニル、-NR4C2-C6アルキニル、および-NR4C3-C8シクロアルキルより選択され;
R3が-CO2Hまたはカルボキシ基の同配体より選択され;
R4が水素および-C1-C6アルキルより選択され;ならびに
pが1〜10の整数である。
【請求項14】
前記化合物が下記式(IIA)の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項13記載の化合物:

式中、
Yが共有結合および-(CH2)p-より選択され;
R1が-C5-C20アルキル、-C5-C20アルケニル、および-C3-C8シクロアルキルより選択され;
R2が-C1-C6アルキル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、および-OC3-C8シクロアルキルより選択され;
R3が-CO2Hまたはカルボキシ基の同配体より選択され;
pが1〜10の整数である。
【請求項15】
R1が、1〜3個の二重結合を有するC5-C15アルケニルである、請求項13または14記載の化合物。
【請求項16】
R1がファルネシルである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
R2がヒドロキシ、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、または-OC3-C8シクロアルキルである、請求項13〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項18】
R2が-OC1-C3アルキルである、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
R3が-CO2Hである、請求項13〜18のいずれか一項記載の化合物。
【請求項20】
Yが-(CH2)p-である、請求項13〜19のいずれか一項記載の化合物。
【請求項21】
pが1から4である、請求項20記載の化合物。
【請求項22】
アクロニキア種由来の抽出物、または式(I)もしくは式(II)の化合物、およびその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物。
【請求項23】
アクロニキア種由来の抽出物を含む香味または芳香組成物であって、該抽出物が
1-エテニル-1-メチル-2,4-ビス(1-メチルエテニル)シクロヘキサン、
2,6-ジ-tert-ブチルベンゾキノン、
2,5-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン、
テトラコンタン-1,40-ジオール、および
2,2,5,5-テトラメチル-ビシクロ[6.3.0]ウンデカ-1(8)-エノン
の少なくとも1つを含む、組成物。
【請求項24】
アクロニキア種由来の抽出物を含む化粧品組成物、食品組成物、または芳香組成物であって、該抽出物が、先ずは水またはアルコールによる抽出、次に酢酸エチルによる抽出を含む方法により得られる、組成物。
【請求項25】
食品またはその他の組成物中の芳香成分または香味成分としてのアクロニキア種由来の抽出物の使用。
【請求項26】
細菌感染症、蠕虫感染症、細胞増殖障害、炎症性疾患もしくは障害、または酸化的ストレスに関連する障害を治療または予防するための医薬の製造における、アクロニキア種由来の抽出物の使用。
【請求項27】
細菌感染症を治療または予防するための医薬の製造における、下記式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用:

式中、
Aがアリール基またはヘテロアリール基であり;
Zが-O-、-S-、および-NR4-より選択され;
Yが共有結合および-(CH2)p-より選択され;
R1が-C5-C20アルキル、-C5-C20アルケニル、-C5-C20アルキニル、および-C3-C8シクロアルキルより選択され;
R2が水素、-C1-C6アルキル、-C2-C6アルケニル、-C2-C6アルキニル、-C3-C8シクロアルキル、ヒドロキシ、-OC1-C6アルキル、-OC2-C6アルケニル、-OC2-C6アルキニル、-OC3-C8シクロアルキル、チオール、-SC1-C6アルキル、-SC2-C6アルケニル、-SC2-C6アルキニル、-SC3-C8シクロアルキル、-NR4C1-C6アルキル、-NR4C2-C6アルケニル、-NR4C2-C6アルキニル、および-NR4C3-C8シクロアルキルより選択され;
R3が-CO2Hまたはカルボキシ基の同配体より選択され;
R4が水素および-C1-C6アルキルより選択され;ならびに
pが1〜10の整数である。
【請求項28】
食品添加物、芳香成分、または化粧品組成物の抗酸化剤、抗菌薬、駆虫薬、もしくは抗炎症成分としてのアクロニキア種由来の抽出物の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2012−513415(P2012−513415A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542629(P2011−542629)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001697
【国際公開番号】WO2010/071941
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(508186794)エコバイオティクス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】