説明

アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル誘導体、その調製方法、及びそれを含有する医薬組成物

本発明は、式(I)[式中、ALKは、アルキレン鎖を表し、そしてWは、式(II)の基又は式(III)の基(式中、R及びR’は、本明細書に定義したとおりである)である]で示される化合物に関する。本発明は、薬剤として使用することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル化合物、それらの調製方法及びそれらを含む医薬組成物に関する。
【0002】
本発明の化合物は、それらのインビボでの中枢性ヒスタミン作動性系との相互作用に関する薬理学的な視点から、とりわけ有益である。
【0003】
出生時の平均余命の延長による人口の高齢化は、それに伴って加齢関連神経病態の、そして特にアルツハイマー病の発病率の非常な増加をもたらしている。脳の加齢の、そして特に加齢関連神経病態の主な臨床的徴候は、記憶及び認知機能の欠乏であって、それらは、認知症を導くことがある。
【0004】
神経薬理学の研究から、中枢神経系では、ヒスタミンが、中枢性ヒスタミン作動性系を介して、神経伝達物質又は神経修飾物質の役割を生理学的又は生理病理学的状況で果たすことが示された(Pell and Green, Annu. Rev. Neurosci., 1986, 9, 209-254; Schwartz et al., Physiol. Rev., 1991, 71, 1-51)。そのため、ヒスタミンは、様々な生理学的及び行動学的過程、たとえば体温調節、神経内分泌調節、痛覚、概日リズム、強硬状態、運動性、攻撃性、摂食行動、学習及び記憶ならびにシナプス可塑性に関与することが示された(Hass et al., Histaminergic neurones : morphology and function, Boca Raton, FL : CRC Press, 1991, pp. 196-208; Brown et al., Prog. Neurobiology, 2001, 63, 637-672; Smith et al., Neuroimmunomodulation 2007, 14, pp. 317-325)。
【0005】
動物で実施された研究からは、ヒスタミンの内在性シナプス外レベルの上昇は、覚醒の状態、学習及び記憶の過程を促進し、食物摂取を調節するのを可能にすることが示された(Brown et al., Prog. Neurobiology, 2000, 63:637-672;Passani et al., Neurosci. Biobehav. Rev., 2000, 24:107-113)。その結果、中枢レベルでのヒスタミンの代謝回転又は放出を増大させることができる化合物に対する潜在的な治療適応症は、脳加齢、急性及び慢性神経変性疾患ならびに統合失調症に付随する認知欠乏症の処置はもとより、気分障害、トゥレット症候群(Gulhan Ercan-Sencicek et al., New England Journal of Medicine, May 20, 2010:1901-1908)、統合失調症、睡眠障害、睡眠覚醒リズム障害及び注意欠陥多動症候群の処置である。更に、研究からは、満腹の調節に関与する中枢視床下部核へのヒスタミンの注入は、摂食行動を低下させることがラットにおいて示された。その上、遺伝的肥満ラットでは、ヒスタミン作動性伝達の機能低下が立証された(Machidori et al., Brain Research, 1992, 590:180-186)。その結果、摂食行動障害及び肥満症も、本発明の化合物に対する潜在的な治療適応症である。
【0006】
本発明は、2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン環系の存在によって国際出願第2005/089747号に列挙された化合物から区別される、新規なアザ二環式化合物に関するものである。
【0007】
神経学のレベルでは、これらの新規な化合物は、脳加齢、神経変性疾患又は頭蓋外傷に付随する認知障害の新規な処置ばかりでなく、睡眠障害、無気力症及び/又は抑鬱状態のような病態に付随する精神−行動性障害の処置にも道を開く。その上、本発明の化合物の薬理学的特徴は、精神医学分野では、たとえばトゥレット症候群、統合失調症、気分障害又は睡眠障害に対する、新規な処置を想定することも可能にする。
【0008】
より具体的には、本発明は、式(I):
【化1】


[式中、
・ALKは、アルキレン鎖を表し、
・Wは、下記基:
【化2】


(式中、R及びR’は、それぞれ互いに独立して、水素原子、又はハロゲン、ヒドロキシ及びアルコキシから選択される1つ以上の基によって場合により置換されている、直鎖もしくは分岐鎖の(C−C)アルキル基を表す)を表し、
− 用語「アルキレン」は、2〜6個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖の二価の基を意味し、
− 用語「アルコキシ」は、アルキル−オキシ基(ここで、アルキル鎖は、直鎖もしくは分岐鎖であり、1〜6個の炭素原子を含有する)を意味すると理解される]で示される化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、そしてさらに、薬学的に許容される酸又は塩基とのその付加塩に関する。
【0009】
薬学的に許容され得る酸のうちでも、塩酸、臭化水素酸、硫酸、ホスホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ショウノウ酸等を、いかなる限定も意味せずに列挙し得る。
【0010】
薬学的に許容され得る塩基のうちでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、tert-ブチルアミン等を、いかなる限定も意味せずに列挙し得る。
【0011】
好適である式(I)の化合物は、W基がパラ位に存在するものである。
【0012】
ALKは、好ましくは、たとえばエチレン又はプロピレン基のような、2〜6個の炭素原子を含有する直鎖状の2価の基、より好ましくはプロピレン基を表す。
【0013】
本発明の特定の実施態様は、Wが下記の基:
【化3】


を表す式(I)の化合物に関するものである。
【0014】
本発明のもう一つの特定の実施態様は、Wが下記の基:
【化4】


を表す式(I)の化合物に関するものである。
【0015】
R及びR’は、それぞれ互いに独立して、水素原子、メチル基又はエチル基か、メトキシ基によって場合により置換されているこれらの基を表すのが好都合である。
【0016】
さらに特に、Wは、基−CO−NH−CH、−CO−N(CH、−CO−NH、−CO−N(CHCH、−NH−CO−CH、−N(CH)−CO−CH、又は、−NH−CO−CH−OCHを表す。
【0017】
さらにより特に、本発明は、
− 4−{3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}−N,N−ジメチルベンズアミド、
− 4−{3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}−N,N−ジエチルベンズアミド、
− N−(4−{3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}フェニル)−N−メチルアセトアミド、
− 4−[3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]ベンズアミド、
− N−(4−{3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}フェニル)アセトアミド、
− 4−{3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}−N−メチルベンズアミド、
− N−(4−{3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}フェニル)−2−メトキシアセトアミド、
− N−(4−{2−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)エトキシ}フェニル)アセトアミド
である式(I)の化合物、及びそれらの鏡像異性体、そしてさらに、薬学的に許容される酸又は塩基とのその付加塩に関する。
【0018】
薬学的に許容される酸との付加塩のうちでも、特により好ましいのは、塩酸塩、シュウ酸塩及びクエン酸塩である。
【0019】
本発明は、式(II):
【化5】


(式中、Wは、式(I)で定義されたとおりである)
で示される化合物を出発原料として使用し、
この式(II)の化合物と、式(III):
【化6】


(式中、ALKは、式(I)で定義されたとおりである)
で示される化合物とを、塩基性媒体中で縮合させて、式(IV):
【化7】


(式中、W及びALKは、先に定義されたとおりである)
で示される化合物を得て、これと、式(V):
【化8】


で示される化合物とを縮合させて、先に定義されたとおりである式(I):
【化9】


で示される化合物を得て、
これを、従来の分離手法に従って精製してもよく、所望ならば、薬学的に許容される酸又は塩基を用いてその付加塩に変換し、そして、適切な場合、従来の分離手法に従って、その光学異性体に分離すること
を特徴とする、式(I)の化合物の調製方法にも関するものである。
【0020】
式(II)、(III)及び(V)の化合物は、商業的に入手可能であるか、又は文献中に記載された慣用の化学反応を用いて、当業者が得ることもできる。
【0021】
あるいは、式(VI):
【化10】


(式中、ALK基は、先に定義されたとおりである)、
で示される化合物を、式NHRR’(式中、R及びR’は、式(I)で定義されたとおりである)で示されるアミンとカップリングさせることによって、Wが−CONRR’基を表す、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/a)の化合物の合成中間体として用いることができる。
【0022】
同様に、式(VII):
【化11】


(式中、ALK基は、先に定義されたとおりである)、
で示される化合物を、式NHRR’(式中、R及びR’は、式(I)について定義されたとおりである)で示されるアミンとカップリングさせることによって、Wが−CONRR’基を表す、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/a)の化合物の合成中間体として用いることができる。
【0023】
さらに、Wが−CONRR’基を表す、式(I)の化合物の特定の場合である式(I/a)の化合物は、式(VIII):
【化12】


(式中、ALK基は、先に定義されたとおりであり、R”は、直鎖又は分枝鎖状の(C−C)アルキル基又はベンジル基を表す)
で示される化合物を用いて、アミンNHRR’(式中、R及びR’は、式(I)で定義されたとおりである)の縮合によって得ることもでき、式(VIII)の化合物は、先に示した対応するカルボン酸(VI)又はアシルクロリド(VII)を経由して製造される。
【0024】
最後に、式(IX):
【化13】


(式中、ALK基は、先に定義されたとおりである)
で示される化合物を加水分解することによって、式(I/a)の化合物を得ることも可能である。
【0025】
神経学のレベルでは、本発明の化合物は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、レビー小体認知症、前頭及び皮質下認知症、前頭側頭認知症、血管性認知症、ハンチントン病及び多発性硬化症のような、脳加齢又は神経変性疾患に付随する認知障害の処置、頭蓋外傷に付随する認知障害の新規な処置はもとより、睡眠障害、感情鈍麻及び不安抑鬱状態のような病態に付随する精神−行動性障害の処置にも役立ち得る。アルツハイマー病及びパーキンソン病に付随する睡眠障害、たとえば昼間睡眠過剰症は特に標的となる。
【0026】
精神医学のレベルでは、これらの化合物は、気分障害の処置、さらに特に不安抑鬱状態、トゥレット症候群、統合失調症、及びそれらに付随する認知障害、ならびに疼痛の処置、また睡眠障害、睡眠覚醒リズム障害及び注意力欠陥多動症候群(ADHD)の処置にも役立ち得る。睡眠障害のうちでも、さらに特に、ナルコレプシー及び睡眠時無呼吸症を列挙し得る。閉塞型睡眠時無呼吸症候群又は注意力欠陥多動症候群の際に生じる睡眠過剰症、及び昼間傾眠のような睡眠障害も標的となる。
【0027】
本発明は、式(I)の一つの化合物を、薬学的に許容される一種以上の賦形剤と併せて含む医薬組成物にも関するものである。
【0028】
本発明の医薬組成物においては、活性成分の重量比率(組成物の全重量に対する活性成分の重量)は、1〜50%である。
【0029】
本発明の医薬組成物のうちでも、さらに特に、経口、非経口、経鼻、経皮もしくは貫皮、直腸、経舌、眼内又は呼吸器投与に適切であるもの、特に、錠剤又は糖衣錠、舌下錠、サシェ剤、パケット剤、カプセル剤、グロセット剤(glossettes)、トローチ剤、坐剤、クリーム剤、軟膏、経皮ゲル、及び飲用又は注射可能アンプルを列挙し得る。
【0030】
有用な投与量は、患者の性別、年齢及び体重、投与経路、治療適応症の性質、ならびに関連するいかなる処置にも応じて変動し、1日につき1〜3回の投与での処置のために24時間あたり0.05〜500mgの範囲にわたる。
【0031】
式(I)の化合物のアセチルコリンエステラーゼインヒビターとの組合せ、さらにより特に、式(I)の化合物のドネペジル、リバスチグミン、又はガランタミンとの組合せは、本発明の不可欠な部分を成す。この種の組合せは、アルツハイマー病の認知障害の処置に用い得る。
【0032】
以下の実施例は、本発明を例示するが、いかなる方法でもそれを限定しない。実施例に記載された化合物の構造は、通常の分光光学的手法(赤外、NMR、質量分析等)に従って決定した。
【0033】
情報のために、以下の化合物は、cis 立体配置のラセミ体に相当する;換言するならば、これらの化合物は、(1R,5S)−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル骨格及び(1S,5R)−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル骨格のラセミ混合物に相当する。
【0034】
以下の実施例に示すように、純粋な鏡像異性体を得るために、HPLC カラム、例えば、CHIRALCEL OF、CHIRALPACK AS−H、CHIRALPACK T304又はCHIRALPACK AD−H型のカラムでのキラル分離手法により、ラセミ混合物を分離することができる。
【0035】
実施例1、合成経路A:4−[3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]ベンズアミド塩酸塩
工程1:4−(3−クロロプロポキシ)ベンズアミド
アセトニトリル10ml中の、4−ヒドロキシベンズアミド0.004mol、1−ブロモ−3−クロロプロパン0.004mol及び炭酸セシウム0.006molからなる混合物を、5時間加熱還流した。
【0036】
工程2:4−[3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]ベンズアミド
工程1の反応混合物に、周囲温度で、cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン0.004mol(この合成は、J. Org. Chem. 1994, 59, 276-277に記載されている)及びヨウ化ナトリウム0.002molを加えた。次いで、加熱還流を16時間再開した。沈殿を濾取し、アセトニトリルですすいだ。ろ液を濃縮乾固した。残留物をジクロロメタンに溶解した。得られた溶液を、水酸化ナトリウム溶液、次いで水で抽出してから、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮乾固した。残留物を、Lichroprep RP-18相上での分取クロマトグラフィーの手法によって精製した。
【0037】
工程3:4−[3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]ベンズアミド塩酸塩
工程2で得た生成物を、エタノール10mlに溶解し、これに、2N エーテル性HCl 2mlを加えた。これによって得られた生成物を濾取し、エタノールですすぎ、次いで減圧下で乾燥した。
元素微量分析:
%C %H %N %Cl %Cl−
計算値 60.70 7.13 9.44 11.95 11.95
実測値 60.44 7.28 9.47 12.30 11.75
【0038】
実施例1、経路B:4−[3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]ベンズアミド塩酸塩
工程1:4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}ベンゾニトリル
試験手順は、実施例1、合成経路Aの工程1及び2のそれと同じであるが、工程1での4−ヒドロキシベンズアミドを、4−ヒドロキシベンゾニトリルで置き換えた。
【0039】
工程2:4−[3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]ベンズアミド塩酸塩
上記工程で得た化合物(2.2g)を、エタノール90mlに溶解し、KOH5.1gの存在下、18時間加熱還流した。混合物を、水90mlに注ぎ込み、次いで減圧下で半量まで濃縮した。得られた固体を濾取し、イソプロピルエーテルですすぎ、次いでエタノール10mlに溶解し、これに2N エーテル性HCl 2mlを加えた。これによって得られた生成物を濾取し、エタノールですすぎ、減圧下で乾燥させた。
元素微量分析:
%C %H %N %Cl %Cl−
計算値 60.70 7.13 9.44 11.95 11.95
実測値 60.50 7.20 9.50 12.45 12.35
【0040】
実施例1、経路C:4−[3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]ベンズアミド塩酸塩
工程1:4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}安息香酸メチル
試験手順は、実施例1、合成経路Aの工程1及び2のそれと同じであるが、工程1での4−ヒドロキシベンズアミドを、4−ヒドロキシ安息香酸メチルで置き換えた。
【0041】
工程2:4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}安息香酸
工程1の化合物3.5g、2N水酸化ナトリウム溶液12.7ml及びメタノール8mlの混合物を1時間加熱還流した。氷浴で冷却した反応混合物に、2N HCl 12.7mlを加えた。沈殿物を水で洗浄し、減圧下で乾燥させた。
【0042】
工程3:4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}ベンゾイルクロリド塩酸塩
工程2に記載の生成物1.8gと塩化チオニル20mlとの混合物を、2時間加熱還流した。反応混合物を、減圧下で濃縮し、トルエンと2回共蒸発させた。固体残留物を、エチルエーテル中にホモジナイズし、濾過し、減圧下で乾燥させた。
【0043】
工程4:4−[3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]ベンズアミド塩酸塩
ジクロロメタン中の工程3に記載の生成物1gの溶液に、0℃で、2N アンモニア性メタノール4mlを滴下した。次いで、混合物を周囲温度で1時間撹拌し、2N 水酸化ナトリウム溶液、次いで水で洗浄した。有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。得られた固体を濾取し、イソプロピルエーテルですすぎ、次いでエタノール10mlに溶解し、これに、2N エーテル性HCl 2mlを加えた。これによって得られた生成物を濾取し、エタノールですすぎ、減圧下で乾燥させた。
元素微量分析:
%C %H %N %Cl %Cl−
計算値 60.70 7.13 9.44 11.95 11.95
実測値 60.44 7.28 9.47 12.30 11.75
【0044】
実施例2:4−{2−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)エトキシ}ベンズアミド塩酸塩
試験手順は、実施例1、合成経路Aのそれと同じであるが、工程1の1−ブロモ−3−クロロプロパンを1−ブロモ−2−クロロエタンで置き換えた。
元素微量分析:
%C %H %N %Cl %Cl−
計算値 59.47 6.77 9.91 12.54 12.54
実測値 59.60 6.99 9.97 12.30 12.16
【0045】
実施例3:N−(4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}フェニル)アセトアミド塩酸塩
試験手順は、実施例1、合成経路Aのそれと同じであるが、工程1の4−ヒドロキシベンズアミドを、N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミドで置き換えた。
元素微量分析
%C %H %N %Cl %Cl−
計算値 61.83 7.46 9.01 11.41 11.41
実測値 61.62 7.38 9.01 11.55 11.38
【0046】
実施例4:N−(4−{2−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)エトキシ}フェニル)アセトアミド塩酸塩
試験手順は、実施例2のそれと同じであるが、工程1での4−ヒドロキシベンズアミドを、N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミドで置き換えた。
元素微量分析:
%C %H %N %Cl %Cl−
計算値 60.70 7.13 9.44 11.95 11.95
実測値 60.25 7.01 9.59 11.95 11.84
【0047】
実施例5:4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}−N,N−ジメチルベンズアミド塩酸塩
工程1:4−[3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]−N,N−ジメチルベンズアミド
試験手順は、実施例1、合成経路Aの工程1及び2のそれと同じであるが、工程1での4−ヒドロキシベンズアミドを、4−ヒドロキシ−N,N−ジメチルベンズアミドで置き換えた。
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 70.80 8.39 9.71
実測値 69.33 8.47 9.52
【0048】
工程2:4−[3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]−N,N−ジメチルベンズアミド塩酸塩
試験手順は、実施例1、合成経路A、工程3のそれと同じである。
【0049】
実施例6:4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}−N,N−ジエチルベンズアミド塩酸塩
工程1:4−[3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]−N,N−ジエチルベンズアミド
試験手順は、実施例1、合成経路Aの工程1及び2のそれと同じであるが、工程1での4−ヒドロキシベンズアミドを、4−ヒドロキシ−N,N−ジエチルベンズアミドで置き換えた。
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 72.12 8.92 8.85
実測値 71.69 8.72 8.64
【0050】
工程2:4−[3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]−N,N−ジエチルベンズアミド塩酸塩
試験手順は、実施例1、合成経路A、工程3のそれと同じである。
【0051】
実施例6a:4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}−N,N−ジエチルベンズアミド塩酸塩(鏡像異性体1)
鏡像異性体1を、キラルカラム(CHIRALPACK T304、1g/kgでロード、溶離剤混合物:アセトニトリル/ジエチルアミン(100/0.1)、流速100ml/分、270nmでのUV検出)での分取分離により得た。
旋光度:[α589nm20° = − 53.79°(c = 0.98;MeOH)
【0052】
実施例6b:4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}−N,N−ジエチルベンズアミド塩酸塩(鏡像異性体2)
鏡像異性体2を、キラルカラム(CHIRALPACK T304、1g/kgでロード、溶離剤混合物:アセトニトリル/ジエチルアミン(100/0.1)、流速100ml/分、270nmでのUV検出)での分取分離により得た。
旋光度:[α589nm20° = + 54.02°(c = 1.02;MeOH)
【0053】
実施例7:4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}−N−メチルベンズアミド塩酸塩
工程1:4−[3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]−N−メチルベンズアミド
試験手順は、実施例1、合成経路Aの工程1及び2のそれと同じであるが、工程1での4−ヒドロキシベンズアミドを、4−ヒドロキシ−N−メチルベンズアミドで置き換えた。
元素微量分析:
%C %H %N
計算値 70.04 8.08 10.21
実測値 69.57 8.04 10.17
【0054】
工程2:4−[3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]−N−メチルベンズアミド塩酸塩
試験手順は、実施例1、合成経路A、工程3のそれと同じである。
【0055】
実施例7a:4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}−N−メチルベンズアミド塩酸塩(鏡像異性体1)
鏡像異性体1を、キラルカラム(CHIRALPACK IA 20μm、0.3g/650gでロード、溶離剤混合物:アセトニトリル/ジエチルアミン(100/0.1)、流速100ml/分、280nmでのUV検出)での分取分離により得た。
旋光度:[α589nm22° = − 58.06°(c = 1.0;MeOH)
【0056】
実施例7b:4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}−N−メチルベンズアミド塩酸塩(鏡像異性体2)
鏡像異性体2を、キラルカラム(CHIRALPACK IA 20μm、0.3g/650gでロード、溶離剤混合物:アセトニトリル/ジエチルアミン(100/0.1)、流速100ml/分、280nmでのUV検出)での分取分離により得た。
旋光度:[α589nm22° = + 58.81°(c = 1.0;MeOH)
【0057】
実施例8:N−(4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}フェニル)−N−メチルアセトアミド塩酸塩
試験手順は、実施例1、合成経路Aのそれと同じであるが、工程1での4−ヒドロキシベンズアミドを、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N−メチルアセトアミドで置き換えた。
元素微量分析:
%C %H %N %Cl−
計算値 62.86 7.76 8.62 10.91
実測値 62.08 7.12 8.48 11.02
【0058】
実施例8a:N−(4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}フェニル)−N−メチルアセトアミド塩酸塩
鏡像異性体1を、キラルカラム(CHIRALPACK IA 20μm、0.5g/650gでロード、溶離剤混合物:アセトニトリル/ジエチルアミン(100/0.1)、流速100ml/分、295nmでのUV検出)での分取分離により得た。
旋光度:[α589nm22° = − 23.52°(c = 1.02;MeOH)
【0059】
実施例8b:N−(4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}フェニル)−N−メチルアセトアミド塩酸塩
鏡像異性体2を、キラルカラム(CHIRALPACK IA 20μm、0.5g/650gでロード、溶離剤混合物:アセトニトリル/ジエチルアミン(100/0.1)、流速100ml/分、295nmでのUV検出)での分取分離により得た。
旋光度:[α589nm22° = + 24.17°(c = 1.0;MeOH)
【0060】
実施例9:N−(4−{3−(cis-2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}フェニル)−2−メトキシアセトアミド塩酸塩
試験手順は、実施例1、合成経路Aのそれと同じであるが、工程1での4−ヒドロキシベンズアミドを、N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メトキシアセトアミドで置き換えた。
元素微量分析:
%C %H %N %Cl−
計算値 60.92 7.67 7.89 9.99
実測値 59.91 7.63 7.76 9.65
【0061】
薬理学的研究
実施例A:NMRIマウスにおけるNτ−メチルヒスタミンの脳内レベル
Taylor et al.の方法(Biochem. Pharm., 1992, 44, 1261-1267)に従って実施したこの研究の目的は、H3型中枢ヒスタミンレセプターのアンタゴニストとしての、本発明の化合物の生体外(ex vivo)活性を評価することである。この活性は、経口経路による試験化合物での処置後に、ヒスタミンの主要な代謝産物であるNτ−メチルヒスタミンの中枢レベルを測定することによって明らかにされる。Nτ−メチルヒスタミンの脳内濃度の上昇は、H3型中枢ヒスタミンレセプターの遮断によるヒスタミンの代謝回転の増大を示す。
【0062】
NMRIマウス(18〜20g)に、本発明の化合物又はその担体(20ml/kg)を経口経路によって処置した。この薬理学的処置の1時間後、動物を殺処分し、脳を取り出し、液体窒素中で凍結させ、秤量し、4℃の0.1N HClO中でホモジナイズした。ホモジナイズした生成物を遠心分離した(15000g、17分、4℃)。上清を回収し、アリコートに分割した。アリコートを液体窒素中で凍結させ、分析するまで−80℃で保管した。
【0063】
τ−メチルヒスタミンの脳内レベルの測定を、毛細管電気泳動によって実施した。Nτ−メチルヒスタミンの組織レベルを、新鮮な脳のμg/gとして表した。担体で処置した動物(対照)と本発明の化合物で処置した動物との間のNτ−メチルヒスタミン脳内レベルの比較を、一因子分散分析、次いで必要ならば、補足分析(ダネット検定)によって実施した。
【0064】
結果から、経口3mg/kgの用量では、本発明の化合物は、Nτ−メチルヒスタミンの内在性脳内濃度を有意に200%を超える幅で上昇させることができることが示された。
【0065】
例として、実施例4、9、8、7、6及び3の化合物は、経口3mg/kgで投与された場合、Nτ−メチルヒスタミンの内在性脳内濃度を、それぞれ以下の幅で増大させた:
実施例4の化合物:+221%
実施例9の化合物:+250%
実施例8の化合物:+276%
実施例7の化合物:+377%
実施例6の化合物:+225%
実施例3の化合物:+272%
【0066】
これらの結果は、本発明の化合物が、H型中枢ヒスタミン受容体の強力なアンタゴニストであることを実証している。
【0067】
実施例B:マウスH受容体に対する親和性
目的は、CHO細胞にトランスフェクトした、H型マウスヒスタミン受容体に対する本発明の化合物の親和性を測定することである。
【0068】
化合物を、トランスフェクトしたCHO細胞、H受容体に対して特異的な放射性標識リガンドとしてのヨードプロキシファン、及びシンチレーションビーズの存在下、室温で24時間、異なる濃度でインキュベートした。
【0069】
インキュベーションの最後に、被試験化合物によるリガンドの特異的な結合の置き換えを測定し、これら化合物のマウスH受容体に対する親和性定数を求めた。
【0070】
結果から、本発明の化合物は、H型ヒスタミン受容体に親和性を有することが示された。例えば:
実施例1の化合物:Ki = 2.4μM
実施例3の化合物:Ki = 0.75μM
実施例5の化合物:Ki = 0.18μM
実施例9の化合物:Ki = 0.39μM
【0071】
実施例C:医薬組成物
それぞれ活性成分100mgを含有する1000錠の製造処方:
実施例4の化合物 100g
ヒドロキシプロピルセルロース 20g
ポリビニルピロリドン 20g
コムギでん粉 150g
乳糖 900g
ステアリン酸マグネシウム 30g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化14】


[式中、
・ALKは、アルキレン鎖を表し、
・Wは、下記基:
【化15】


(式中、R及びR’は、それぞれ互いに独立して、水素原子、又はハロゲン、ヒドロキシ及びアルコキシから選択される1つ以上の基によって場合により置換されている、直鎖もしくは分岐鎖の(C−C)アルキル基を表す)を表し、
−用語「アルキレン」は、2〜6個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖の二価の基を意味し、
−用語「アルコキシ」は、アルキル−オキシ基(ここで、アルキル鎖は、直鎖もしくは分岐鎖であり、1〜6個の炭素原子を含有する)を意味すると理解される]で示される化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、そしてさらに、薬学的に許容される酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項2】
W基がパラ位に位置する、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
ALKがエチレン又はプロピレン基を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、そしてさらに、薬学的に許容される酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項4】
ALKがプロピレン基を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、そしてさらに、薬学的に許容される酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項5】
Wが、下記基:
【化16】


を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、そしてさらに、薬学的に許容される酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項6】
Wが、下記基:
【化17】


を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、そしてさらに、薬学的に許容される酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項7】
R及びR’が、それぞれ互いに独立して、水素原子、メチル基又はエチル基か、メトキシ基によって場合により置換されているこれらの基を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、そしてさらに、薬学的に許容される酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項8】
Wが、基−CO−NH、−CO−NH−CH、−CO−N(CH、−CO−N(CHCH、−NH−CO−CH、−N(CH)−CO−CH、又は、−NH−CO−CH−OCHを表す、請求項1記載の式(I)の化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、そしてさらに、薬学的に許容される酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項9】
以下:
− 4−{3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}−N,N−ジメチルベンズアミド、
− 4−{3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}−N,N−ジエチルベンズアミド、
− N−(4−{3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}フェニル)−N−メチルアセトアミド、
− 4−[3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ]ベンズアミド、
− N−(4−{3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}フェニル)アセトアミド、
− 4−{3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}−N−メチルベンズアミド、
− N−(4−{3−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)プロポキシ}フェニル)−2−メトキシアセトアミド、
− N−(4−{2−(cis−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル)エトキシ}フェニル)アセトアミド
である、請求項1記載の式(I)の化合物及びそれらの鏡像異性体、そしてさらに、薬学的に許容される酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項10】
式(II):
【化18】


(式中、Wは、請求項1で定義されたとおりである)
で示される化合物を出発原料として使用し、
この式(II)の化合物と、式(III):
【化19】


(式中、ALKは、式(I)で定義されたとおりである)
で示される化合物とを、塩基性媒体中で縮合させて、式(IV):
【化20】


(式中、W及びALKは、先に定義されたとおりである)
で示される化合物を得て、これと、式(V):
【化21】


で示される化合物とを縮合させて、先に定義されたとおりである式(I):
【化22】


で示される化合物を得て、
これを、従来の分離手法に従って精製してもよく、所望ならば、薬学的に許容される酸又は塩基を用いてその付加塩に変換し、そして、適切な場合、従来の分離手法に従って、その光学異性体に分離すること
を特徴とする、請求項1記載の式(I)の化合物の調製方法。
【請求項11】
Wが基−CONRR’を表し、W、R及びR’は、請求項1で定義されたとおりであると理解される、請求項1記載の式(I)の化合物の特定の場合である、式(I/a)の化合物の合成中間体としての使用のための、下記式(VI):
【化23】


(式中、ALK基は、請求項1で定義されたとおりである)
で示される化合物。
【請求項12】
Wが基−CONRR’を表し、W、R及びR’は、請求項1で定義されたとおりであると理解される、請求項1記載の式(I)の化合物の特定の場合である、式(I/a)の化合物の合成中間体としての使用のための、下記式(VII):
【化24】


(式中、ALK基は、請求項1で定義したとおりである)で示される化合物。
【請求項13】
Wが基−CONRR’を表し、W、R及びR’は、請求項1で定義されたとおりであると理解される、請求項1記載の式(I)の化合物の特定の場合である、式(I/a)の化合物の合成中間体としての使用のための、下記式(VIII):
【化25】


(式中、ALK基は、請求項1で定義されたとおりであり、そしてR”は、直鎖もしくは分岐鎖の(C−C)アルキル基又はベンジル基である)で示される化合物。
【請求項14】
Wが基−CONRR’を表し、W、R及びR’は、請求項1で定義されたとおりであると理解される、請求項1記載の式(I)の化合物の特定の場合である、式(I/a)の化合物の合成中間体としての使用のための、下記式(IX):
【化26】


(式中、ALK基は、請求項1で定義されたとおりである)で示される化合物。
【請求項15】
活性成分としての、請求項1〜9のいずれか一項記載の式(I)の一つの化合物又は薬学的に許容される酸もしくは塩基とのその付加塩を、一種以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項16】
脳加齢、神経変性疾患、又は頭蓋外傷に付随する認知及び精神−行動性障害の処置における使用のための請求項15記載の医薬組成物。
【請求項17】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、レヴィ小体認知症、前頭及び皮質下認知症、前頭側頭認知症、血管性認知症、ハンチントン病及び多発性硬化症に付随する認知及び精神−行動性障害の処置における使用のための請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
睡眠障害、感情鈍麻及び不安抑鬱状態のような精神−行動性障害の処置における使用のための、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項19】
アルツハイマー病及びパーキンソン病に付随する睡眠障害の処置における使用のための、請求項18記載の医薬組成物。
【請求項20】
気分障害、不安抑鬱状態、トゥレット症候群、統合失調症及びそれらに付随する認知障害、ならびに疼痛の処置における使用のための、そしてさらに睡眠障害、睡眠覚醒リズム障害及び注意力欠陥多動症候群の処置における使用のための、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項21】
ナルコレプシー、閉塞型睡眠時無呼吸症候群又は注意欠陥多動性症侯群において生じる睡眠過剰症、そしてさらに昼間傾眠のような睡眠障害の処置における使用のための、請求項20記載の医薬組成物。
【請求項22】
請求項1〜9のいずれか一項記載の式(I)の化合物とアセチルコリンエステラーゼインヒビターとの組合せ。
【請求項23】
請求項1〜9のいずれか一項記載の式(I)の化合物とドネペジル、ガランタミン、又はリバスチグミンとの組合せ。
【請求項24】
アルツハイマー病に付随する認知障害の処置における使用のための請求項22又は23に記載の組合せ。

【公表番号】特表2013−513589(P2013−513589A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542591(P2012−542591)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/FR2010/000823
【国際公開番号】WO2011/070253
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】