説明

アシストグリップ

【課題】部品点数を削減することができるとともに、製造作業に手間がかからず、低コストのアシストグリップを提供すること。
車室内に設けられるアシストグリップを安価に提供する。
【解決手段】グリップ本体12の両端に取付基台14を回動自在に連結し、車体に揺動可能に取り付けるアシストグリップ10であり、グリップ本体12は、湾曲したグリップ部20とカバー体22とを備え、グリップ部20の握り部25を、一面に開放面30を設けた断面ほぼU字状に形成する。またグリップ本体12は、ピン40により取付基台14と回動自在に連結し、かつカバー体22に形成した固定片46にピン40を通してカバー体22をグリップ部20に固定させることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車の室内に設けられ、乗員が握ることができるアシストグリップに関する。
【背景技術】
【0002】
アシストグリップは、概ねC字状に形成されたグリップ本体の両端を車両の座席の上部側面に取り付け、グリップ本体の中央部分に手を差し入れ握るようになっている。アシストグリップは、握り部分の外表面に適度な弾性力を有する表皮材を配して、握りの感じを良好にしたり、握り部分の内部を中空に形成して、樹脂の使用量を低減させたり、アシストグリップの軽量化を図ることがあった。
【0003】
従来例えばアシストグリップは、グリップ本体を、組み合わせたとき内部に空洞が形成される2部品から構成し、それらを組み合わせた後インサート成形を行い、組み合わせた部材の外表面に弾性を有する樹脂を設けていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
またアシストグリップは、グリップ本体を車体にねじ止めして固定させる他、グリップ本体の基部を車体に回動自在に取り付け、使用時に引き下ろして握るようにしたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3837603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来のアシストグリップは、アシストグリップを構成する部品の点数が多く、部品の製造や部品の組み付け作業に手間がかかり、コストが大きくなっていた。
【0007】
本発明は、部品点数を削減することができるとともに、製造作業に手間がかからず、低コストのアシストグリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、アシストグリップを次のように構成した。
【0009】
グリップ本体の両端に取付基台を揺動自在に組み付け、取付基台を介してグリップ本体を車体に回動自在に取り付けるアシストグリップにおいて、グリップ本体を、グリップ部にカバー体を組み付けて構成し、更にグリップ本体を取付基台に揺動自在に取り付ける軸体によりカバー体をグリップ部に連結させた。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、部品点数を削減することができるとともに、製造作業に手間がかからず、コストを低下できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態にかかるアシストグリップを示す断面図である。
【図2】同アシストグリップを取り付けた車両室内を示す斜視図である。
【図3】同アシストグリップのグリップ本体を示す断面図である。
【図4】同アシストグリップのカバー体を示す斜視図である。
【図5】同アシストグリップのグリップ部を示す側面図である。
【図6】同アシストグリップを示す分解斜視図である。
【図7】同アシストグリップのカバー体の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態であるアシストグリップについて説明する。図1〜図6は、本発明の一実施形態を示す図である。
【0013】
図1に、アシストグリップ10を示す。アシストグリップ10は、グリップ本体12と、取付基台14などから構成され、例えば図2に示すように車体室内の上部の天井パネル108付近に取り付けられている。図2において、102はハンドル、104はフロントウィンドガラス、106はサイドウィンドガラス、108は天井パネルである。
【0014】
グリップ本体12は、図3に示すようにグリップ部20とグリップ部20に組み付けられるカバー体22とを備え、概ねC字状に湾曲されている。以下都合上、C字状に湾曲した湾曲外方をグリップ本体12の外側、湾曲内方をグリップ本体12の内側として説明する。
【0015】
グリップ部20は、射出成形で形成された合成樹脂製の部材で、両端部にそれぞれ基部24を備え、基部24間に握り部25が形成されている。握り部25は、グリップ本体12の内面に位置する内壁26と内壁26の両側面に対称に設けられた側壁28からなり、ほぼ断面U字状に構成されている。
【0016】
内壁26は、グリップ本体12を握ったとき手になじみ易い形状に適度に湾曲している。両側壁28は、内壁26からなだらかに連続して互いにほぼ平行に延び、両側壁28間に開口面30が形成されている。内壁26及び側壁28は適度な板厚をもって形成され、握り部25の内側には、側壁28間に渡された複数のリブ(補強用リブ)32が、図5に示すようにグリップ部20の長手方向に対して概ね垂直に形成されている。
【0017】
基部24には、内部に矩形の台座部34が設けてある。台座部34には、ピン取付孔36が図3や図6に示すように設けてあり、ピン取付孔36に通したピン(軸体)40が取り付けられる。また台座部34と内壁26の間には、間隙44が設けられている。間隙44は、後述するカバー体22の固定片46が差し入れ可能な幅に形成されている。
【0018】
カバー体22は、グリップ部20と同様射出成形で形成された合成樹脂製の部材で、グリップ部20の外方に形成された開口面30に対応して形成してあり、カバー体22をグリップ部20に組み付けると開口面30を覆い、グリップ本体12の外周の一部を構成する。
【0019】
カバー体22には内側に、固定片46が一対カバー体22の内側に突出するように平行に設けてある。固定片46は、上述したように台座部34と内壁26の間に形成された間隙44に対応して形成してあり、カバー体22をグリップ部20に組み付けると、間隙44に適度な保持力をもって差し入れられる。
【0020】
固定片46は、先端が先細に形成してあり、かつ先方にピン孔(固定孔)48が形成してある。ピン孔48は、カバー体22をグリップ部20に組み付け固定片46を間隙44内に差し入れると、ピン取付孔36に位置が一致する。
【0021】
またカバー体22の内側にはリブ52が、カバー体22の長手方向に概ね直角に複数設けられている。更にカバー体22の内側中央には、係合部54が形成されている。係合部54は、リブ32の厚み幅に合った隙間55を有し、カバー体22をグリップ部20に組み付けるとグリップ部20の中央に形成されたリブ32に隙間55が嵌り合う。
【0022】
取付基台14は、基台本体56と蓋体58とクリップ60などを備えている。取付基台14は、左右に一対設けられており、後述するダンパー78とばね80、及びそれらの取付箇所を除き、基本的に同一の構造を有している。基台本体56は、台座部62と台座部62上に設けられた支持部64を備えている。以下、図6に示す矢印aの上下方向を便宜上取付基台14の上下方向として説明する。
【0023】
台座部62には、組付孔66が形成してあり、台座部62の下部には係合片68が形成されている。組付孔66は、蓋体58に対応して形成してあり、組付孔66の対向した端縁に係合片68が設けられている。
【0024】
支持部64には、ピン40に対応したピン孔70が設けられている。クリップ60は、上部に屈曲部72を有し、屈曲部72が組付孔66の内面に係合するようになっている。蓋体58は、上部に、支持部64の上面と連続する上部壁74を有し、下部に取付脚76を有している。
【0025】
取付脚76は、組付孔66に嵌入可能に形成してあり、組付孔66に嵌入するとクリップ60に係り抜け止めされるとともに係合片68の内側に収まり、アシストグリップ10の取付部を形成する。
【0026】
更に支持部64には、一方の基台本体56にダンパー78が、他方の基台本体56にばね80が組み付けられる。ダンパー78は、中央にピン40を通す通し孔79を備え、ピン40を通し孔79に通して組み付けるとグリップ本体12と取付基台14との回動動作に適度な摺動抵抗を加える。ばね80は、コイルばねで、中心部分にピン40を通して組み付けると、グリップ本体12をグリップ本体12が収納される方向に付勢する。
【0027】
次に、アシストグリップ10の作用、効果について説明する。
グリップ部20とカバー体22は、共に射出成形で形成する。グリップ部20は、開口面30を型抜き面として射出成形される。グリップ部20及びカバー体22には、適宜リブ32とリブ52が設けられており、各リブによりそれぞれの部材の強度が向上される。
【0028】
カバー体22の固定片46をグリップ部20の間隙44に挿し入れるように、カバー体22をグリップ部20に組み付ける。すると、カバー体22は開口面30に嵌合してグリップ部20の所定位置に組み付けられ、かつ、ピン孔48がピン取付孔36に一致した状態で、中空のグリップ本体12が形成される。
【0029】
固定片46は、先端が先細に形成されているので間隙44に挿し入れ易く、カバー体22をグリップ部20に容易に、かつ確実に組み付けることができる。またカバー体22をグリップ部20に組み付けると、係合部54が中央のリブ32に係合するので、固定片46での支持に加え、グリップ本体12の長手方向、及び径方向のいずれの方向へも両者が強固に係合される。
【0030】
また、取付基台14の基台本体56にクリップ60を組み付け、蓋体58を嵌め合わせる。そして一方の基台本体56にダンパー78を組み入れ、他方の基台本体56にばね80を組み入れ、グリップ部20の台座部34内に収納する。そして、双方の基台本体56のピン孔70をピン取付孔36に一致させて、それぞれにピン40をピン取付孔36に組み付ける。
【0031】
これにより、グリップ本体12と取付基台14がピン40により回動自在に連結されるとともに、グリップ部20とカバー体22がピン40により一体に組み付けられる。したがって、アシストグリップ10を容易に組み立てることができる。グリップ本体12と取付基台14が連結されたアシストグリップ10は、クリップ60と係合片68などからなる取付部を車体のパネルなどに組み付け、図2に示すように車体に固定させる。
【0032】
アシストグリップ10は、アシストグリップ10を構成する部品点数が少なく、かつ各部品を射出成形で成形し、更に射出成形の金型を単純化でき安価に製造し、部品の製造コストを低減できる。また組み付けの工程数を少なくでき、組み立て作業が容易になり、製造コストを低減できる。
【0033】
尚、上記例ではカバー体22に固定片46を一対設けたが、本発明は一対でなく図7に示すように固定片46を複数対設けてもよい。固定片46を基部24に対して複数対設けることにより、カバー体22とグリップ部20とをより強固に組み付けることができる。また、係合部54をカバー体22に設けたが、本発明はグリップ部20に設けてもよい。また係合部54を、グリップ部20とカバー体22の双方に設けてもよく、するとカバー体22とグリップ部20とをより強固に組み付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、部品点数を削減することができるとともに、製造作業に手間がかからず、低コストのアシストグリップを提供できる。
【符号の説明】
【0035】
10…アシストグリップ、12…グリップ本体、14…取付基台、20…グリップ部、22…カバー体、24…基部、32…リブ、34…台座部、36…ピン取付孔、40…ピン、44…間隙、46…固定片、48…ピン孔、52…リブ、54…係合部、56…基台本体、70…ピン孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ本体の両端に取付基台を回動自在に連結し、前記取付基台を介して前記グリップ本体が車体内に揺動可能に取り付けられるアシストグリップにおいて、
前記グリップ本体は、グリップ部と、前記グリップ部に形成された開放面に取り付けるカバー体とを備え、
前記グリップ部は、一面に前記開放面を有する断面ほぼU字状に形成された握り部と、該握り部の両端に前記取付基台に連結される基部を備え、
前記カバー体は、固定孔を有する少なくとも一対の固定片を備え、
前記カバー体を前記グリップ部に組み付けると、前記基部と前記取付基台とを連結する軸体が前記固定孔を貫通して、前記カバー体が前記グリップ部と固定されることを特徴としたアシストグリップ。
【請求項2】
1つの前記基部に対して、複数の前記固定片を前記カバー体に設けたことを特徴とする請求項1に記載のアシストグリップ。
【請求項3】
前記固定片は、先端部の厚み幅を先端に行くにしたがい細く形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のアシストグリップ。
【請求項4】
前記グリップ部と前記カバー体の少なくとも一方に、前記グリップ部もしくは前記カバー体の長さ方向に垂直な補強用リブを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアシストグリップ。
【請求項5】
前記グリップ部と前記カバー体の少なくともいずれかに、前記補強用リブに係合する係合部を設けたことを特徴とする請求項4に記載のアシストグリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−240657(P2012−240657A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116114(P2011−116114)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】