説明

アシルホスフィンオキシドの製造方法

芳香族カルボキシホスフィン(I)をアシルホスフィンオキシド(II)へ変換することによる芳香族アシルホスフィンオキシド(II)の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシルホスフィンオキシドの新規製造方法に関する。この物質クラスは、例えば放射線硬化性の塗料系において光開始剤もしくはそれらの合成のための出発物質として使用される。
【0002】
モノアシルホスフィンオキシドは、例えばEP-A 7508から、光開始剤として公知である。ビスアシルホスフィンオキシド及び光開始剤としてのそれらの使用は例えばEP-A 184 085から公知である。
【0003】
アルコキシホスフィン及び酸塩化物の反応によるArbusov−転位におけるアシルホスフィンオキシドの合成はEP-B 7 508から公知である:
【0004】
【化1】

ここで、p−Tol=4−メチルフェニル及びPh=フェニルを意味する。
【0005】
アルコキシホスフィンとのカルボン酸塩化物の反応によるアシルホスフィンオキシドのこの製造方法の場合に、望ましくない副成分として化学量論的な量で塩化アルキルが生じ、これらは相応する廃棄費用を必要にする。カルボン酸塩化物は、塩素化剤、例えば塩化チオニルとの反応により相応するカルボン酸から費用がかかって得られる。アルコキシホスフィンは、補助塩基の化学量論的使用下に相応するハロゲンホスフィンから入手可能である。通例、中和された補助塩基の分離が依然として必要である。
【0006】
US 5 472 992からは、ホスフィンを塩基の存在でジアシル化し、引き続いて酸化させることによるビスアシルホスフィンの合成が公知である。
【0007】
しかしながら、これらの合成方法にとって不利であるのは、揮発性で、有毒でかつ悪臭を放つホスフィンが使用されなければならないことである。
【0008】
WO 00/32612からはさらに、有機ハロゲン化ホスホリルをアルカリ金属又はマグネシウム/リチウムと接触させ、その際に生じる金属化されたホスフィンをついで酸塩化物と反応させることによるアシル−及びビスアシルホスフィンの合成が公知である:
【0009】
【化2】

ここでPh=フェニル及びAr=アリールを表す。
【0010】
この際に、クロロホスフィンは、例えば金属ナトリウム又はリチウムとの反応によりまず最初に金属化され、引き続いてカルボン酸塩化物と反応される。引き続いてアシルホスファンはさらにアシルホスフィンオキシドへ酸化されなければならない。
【0011】
アシルホスフィンオキシドの物質クラスへのより単純な接近法が望ましいであろう。この際にハロゲン化アルキルは、費用がかかって廃棄される事態となる副産物(Koppelprodukte)として生じるべきではない。そのうえ、最初に腐食性の酸塩化物を、付加的な処理工程を経て製造する必要なく、直接にカルボン酸を合成へ使用することが望ましいであろう。さらに、まず最初にクロロホスフィンからArbusov−反応に必要なアルコキシホスフィンもしくは金属化されたリン化物を製造する必要なく、直接にクロロホスフィンを合成へ使用することは助けになるであろう。
【0012】
カルボン酸のナトリウム塩とクロロホスフィンとの反応によるカルボキシホスフィンの形成は、Chemiker-Zeitung, 107巻, No.4, 1983, 121-126頁 (H. Bollmacher, P. Sartori, "Ueber Di- und Tricarboxyphosphine")に記載されている。
【0013】
カルボン酸のナトリウム塩とのこの反応の代わりに、遊離酸も補助塩基の化学量論的な量の存在でクロロホスフィンと反応されることができる:Chemiker-Zeitung, 106巻, No.11, 1982, 391-395頁 (H. Bollmacher, P. Sartori, "Ueber Diphenylcarboxyphosphine")。Bollmacher及びSartoriはさらにアミン、例えばジエチルアミン又はピリジンに対するカルボキシジフェニルホスフィンの反応性について報告しており、それによればカルボキシジフェニルホスフィンは反応してジフェニル亜ホスフィン酸−ジエチルアミドへ変換されるかもしくはそれらの無水物へ崩壊する。
【0014】
J. Brierley, J.I. Dickstein及びS. Trippettは、Phosphorus and Sulfur, 7巻, 1979, 167-169頁において2,4,6−トリメチルベンゾイルオキシ基を有するホスホランを製造するという成功しなかった試みについて報告し(168頁、左欄)、かつ2,4,6−トリメチルベンゾイルオキシジフェニルホスフィンの製造を記載している。
【0015】
E. Lindner, J.C. Wuhrmann, Z. Naturforsch. 36b, 1981, 297-300頁からは、ペルフルオロアシルオキシジフェニルホスファンが室温で相応するペルフルオロアシルジフェニルホスフィンオキシドへ転位するのに対し、アロイルオキシジフェニルホスフィンはこれをせず、かつ熱的に並びに求核試薬に対して安定であることが公知である。
【0016】
単にペルフルオロアシルオキシジフェニルホスファンの場合にのみアシルホスフィンオキシドへの転位が観察されることができた。
【0017】
P. Sartori, R.H. Hochleitner及びG. Haegeleはそれに反して、Z. Naturforsch. 31b, 1976, 76-80頁において、ジフェニルクロロホスフィンをトリフルオロ酢酸と170℃までの温度で反応させてジフェニルホスフィン酸−1−ジフェニルホスホリル−2,2,2−トリフルオロエチルエステルに変換することを記載している:
【0018】
【化3】

【0019】
本発明の課題は、化学量論的な量の塩化アルキルが遊離されず、費用のかかる金属化が実施される必要がなく、かつ遊離カルボン酸又はそれらの塩から出発することができる、芳香族ホスフィンオキシドのための新規の合成経路を開発することであった。
【0020】
前記課題は、芳香族カルボキシホスフィン(I)がアシルホスフィンオキシド(II)へ変換されることによる芳香族アシルホスフィンオキシド(II)の製造方法により解決され、
【0021】
【化4】

ここで、
はC〜C12−アリール又は酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する5〜6員の芳香族複素環を表し、その際に前記の基はその都度アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、へテロ原子及び/又は複素環により置換されていてよく、かつ
及びRは互いに独立してC〜C18−アルキル、C〜C18−アルコキシ、場合により1つ又はそれ以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1つ又はそれ以上の置換又は非置換のイミノ基により中断されたC〜C18−アルキル、C〜C18−アルケニル、C〜C12−シクロアルキル、C〜C12−アリール、C〜C18−アルキロイル、C〜C12−アリーロイル又は酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する5〜6員の複素環を表し、その際に前記の基はその都度アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、へテロ原子及び/又は複素環により置換されていてよく、さらに金属、基:−Oカチオン又はハロゲンを表す。
【0022】
ここで、
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、へテロ原子及び/又は複素環により置換されたC〜C18−アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)−エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)−エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、クロロメチル、2−クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル又は6−エトキシヘキシルを表し、
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、へテロ原子及び/又は複素環により置換されたC〜C18−アルコキシは、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、6−ヒドロキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−ヒドロキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−ヒドロキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、6−メトキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−メトキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−メトキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、6−エトキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−エトキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−エトキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、8−ヒドロキシ−1,5−ジオキソオクチル、12−ヒドロキシ−1,5,9−トリオキソオクチル、16−ヒドロキシ−1,5,9,13−テトラオキソヘキサデシル、8−メトキシ−1,5−ジオキソオクチル、12−メトキシ−1,5,9−トリオキソオクチル、16−メトキシ−1,5,9,13−テトラオキソヘキサデシル、8−エトキシ−1,5−ジオキソオクチル、12−エトキシ−1,5,9−トリオキソオクチル、16−エトキシ−1,5,9,13−テトラオキソヘキサデシル、10−ヒドロキシ−1,6−ジオキソデシル、15−ヒドロキシ−1,6,11−トリオキソペンタデシル、10−メトキシ−1,6−ジオキソデシル、15−メトキシ−1,6,11−トリオキソペンタデシル、10−エトキシ−1,6−ジオキソデシル又は15−エトキシ−1,6,11−トリオキソペンタデシルを表し、
場合により1つ又はそれ以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1つ又はそれ以上の置換又は非置換のイミノ基により中断されたC〜C18−アルキルは、例えば5−ヒドロキシ−3−オキサ−ペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサ−オクチル、11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサ−ウンデシル、7−ヒドロキシ−4−オキサ−ヘプチル、11−ヒドロキシ−4,8−ジオキサ−ウンデシル、15−ヒドロキシ−4,8,12−トリオキサ−ペンタデシル、9−ヒドロキシ−5−オキサ−ノニル、14−ヒドロキシ−5,10−オキサ−テトラデシル、5−メトキシ−3−オキサ−ペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサ−オクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサ−ウンデシル、7−メトキシ−4−オキサ−ヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサ−ウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサ−ペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサ−ノニル、14−メトキシ−5,10−オキサ−テトラデシル、5−エトキシ−3−オキサ−ペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサ−オクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサ−ウンデシル、7−エトキシ−4−オキサ−ヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサ−ウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサ−ペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサ−ノニル又は14−エトキシ−5,10−オキサ−テトラデシルを表す。
【0023】
酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又はイミノ基の数は制限されていない。通例、この数は基中で5以下、好ましくは4以下及び極めて特に好ましくは3以下である。
【0024】
さらに、2つのへテロ原子の間に、通例少なくとも1個の炭素原子、好ましくは少なくとも2個の炭素原子がある。
【0025】
置換及び非置換のイミノ基は例えばイミノ、ジメチルイミノ、イソプロピルイミノ、n−ブチルイミノ又はt−ブチルイミノであってよい。
【0026】
さらに、
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、へテロ原子及び/又は複素環により置換されたC〜C18−アルケニルは、例えばビニル、1−プロペニル、アリル、メタリル、1,1−ジメチルアリル、2−ブテニル、2−ヘキセニル、オクテニル、ウンデセニル、ドデセニル、オクタデセニル、2−フェニルビニル、2−メトキシビニル、2−エトキシビニル、2−メトキシアリル、3−メトキシアリル、2−エトキシアリル、3−エトキシアリル又は1−又は2−クロロビニルを表し、
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、へテロ原子及び/又は複素環により置換されたC〜C12−アリールは、例えばフェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4−又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシメチルフェニルを表し、
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、へテロ原子及び/又は複素環により置換されたC〜C12−シクロアルキルは、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル並びに飽和又は不飽和の二環系、例えばノルボルニル又はノルボルネニルを表し、
酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する5〜6員の複素環は、例えばフリル、チオフェニル、ピリル(Pyrryl)、ピリジル、インドリル、ベンズオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はt−ブチルチオフェニルを表し、
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、へテロ原子及び/又は複素環により置換されたC〜C18−アルキロイルは、アセチル、プロピオニル、n−ブチリル、イソブチリル、s−ブチリル、t−ブチリル、ステアリル、トリフルオロアセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、ペンタフルオロプロピオニル又はフェニルアセチルを表し、
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、へテロ原子及び/又は複素環により置換されたC〜C12−アリーロイルは、ベンゾイル、2−、3−又は4−(C〜C−アルキル)ベンゾイル、2−、3−又は4−クロロベンゾイル、2−、3−又は4−(C〜C−アルキルオキシ)ベンゾイル、2,3−、2,4−、2,5−又は2,6−ジ(C〜C−アルキル)ベンゾイル、2,3−、2,4−、2,5−又は2,6−ジクロロベンゾイル、2,3−、2,4−、2,5−又は2,6−ジ(C〜C−アルキルオキシ)ベンゾイル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−又は2,4,6−トリ(C〜C−アルキル)ベンゾイル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−又は2,4,6−トリクロロベンゾイル又は2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−又は2,4,6−トリ(C〜C−アルキルオキシ)ベンゾイルを表し、
金属は、例えばLi、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Ba、Ti、Zr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al又はSnの群から選択される金属の等量(Aequivalent)を表し、かつ
ハロゲンは、例えばF、Cl、Br又はIを表す。
【0027】
さらに、基:−Oカチオン中でカチオンという用語は前記の金属のカチオン又はアンモニウムイオンの等量を表し、例えばこれらはEP-A1 62 839、第3頁第26行〜第4頁第3行に記載され、基R〜Rについてそこに定義された意味を有する。
【0028】
与えられた基中の置換基の数は制限されていない。通例、これは1〜3個の炭素原子を有する基の場合に3個までの置換基、好ましくは2個まで及び特に好ましくは1個までである。4〜6個の炭素原子を有する基の場合に、これは通例4個までの置換基、好ましくは3個まで及び特に好ましくは1個までである。7個を上回る炭素原子を有する基の場合に、これは通例6個までの置換基、好ましくは4個まで及び特に好ましくは2個までである。
【0029】
〜C−アルキルは本明細書の範囲内で、他に挙げられない場合にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチル、好ましくはメチル又はエチル及び特に好ましくはメチルを表す。
【0030】
は好ましくはフェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、2−、3−又は4−クロロフェニル、2,6−又は2,4−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2,6−又は2,4−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−又は4−エチルフェニル、2,6−又は2,4−ジエチルフェニル、2−、3−又は4−イソプロピルフェニル、2−、3−又は4−t−ブチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2,6−又は2,4−ジメトキシフェニル、2,6−又は2,4−ジエトキシフェニル、メチルナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4−又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、2−又は3−フリル、2−又は3−チオフェニル、2−又は3−ピリル又はジメチルピリルである。
【0031】
は特に好ましくはフェニル、トリル、α−ナフチル、β−ナフチル、2,6−又は2,4−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2,6−又は2,4−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−又は2,4−ジエチルフェニル、2−イソプロピルフェニル、2−t−ブチルフェニル、2,6−又は2,4−ジメトキシフェニル、2,6−又は2,4−ジエトキシフェニル、メチルナフチル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,6−ジニトロフェニル又はo−置換フェニル類、例えば2−メチルフェニル、2−メトキシフェニル又は2−クロロフェニルである。
【0032】
は極めて特に好ましくはフェニル、2−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、α−ナフチル、2,6−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジエトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル又は2,6−ジニトロフェニルである。
【0033】
は特に2,6−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル又は2,6−ジメトキシフェニル及び殊に2,4,6−トリメチルフェニルである。
【0034】
及びRは互いに独立して好ましくは2,4,4−トリメチルペンチル、ベンジル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、6−ヒドロキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−ヒドロキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−ヒドロキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、6−メトキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−メトキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−メトキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、6−エトキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−エトキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−エトキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、8−ヒドロキシ−1,5−ジオキソオクチル、12−ヒドロキシ−1,5,9−トリオキソオクチル、16−ヒドロキシ−1,5,9,13−テトラオキソヘキサデシル、10−ヒドロキシ−1,6−ジオキソデシル、15−ヒドロキシ−1,6,11−トリオキソペンタデシル、ビニル、1−プロペニル、アリル、メタリル、1,1−ジメチルアリル、2−ブテニル、2−ヘキセニル、2−フェニルビニル、2−メトキシビニル、2−エトキシビニル、2−クロロビニル、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、2−、3−又は4−クロロフェニル、2,4−又は2,6−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2,4−又は2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−又は4−エチルフェニル、2,4−又は2,6−ジエチルフェニル、2−、3−又は4−イソプロピルフェニル、2−、3−又は4−t−ブチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2,4−又は2,6−ジメトキシフェニル、2−、3−又は4−エトキシフェニル、メチルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,4−又は2,6−ジメトキシフェニル、2,4−又は2,6−ジクロロフェニル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4−又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、2,4,6−トリメチルベンゾイル、2,6−ジメトキシベンゾイル又は2,6−ジクロロベンゾイルである。
【0035】
及びRは互いに独立して特に好ましくはベンジル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、6−ヒドロキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−ヒドロキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−ヒドロキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、6−メトキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−メトキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−メトキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、6−エトキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−エトキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−エトキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、8−ヒドロキシ−1,5−ジオキソオクチル、12−ヒドロキシ−1,5,9−トリオキソオクチル、16−ヒドロキシ−1,5,9,13−テトラオキソヘキサデシル、10−ヒドロキシ−1,6−ジオキソデシル、15−ヒドロキシ−1,6,11−トリオキソペンタデシル、ビニル、2−ブテニル、2−フェニルビニル、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、2−、3−又は4−クロロフェニル、2,4−又は2,6−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2,4−又は2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−又は4−エチルフェニル、2−、3−又は4−イソプロピルフェニル、2−、3−又は4−t−ブチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2,4−又は2,6−ジメトキシフェニル、2−、3−又は4−エトキシフェニル、メチルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4−又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、2,4,6−トリメチルベンゾイル、2,6−ジメトキシベンゾイル又は2,6−ジクロロベンゾイルである。
【0036】
及びRは互いに独立して極めて特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、t−ブチルオキシ、フェニル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、2−、3−又は4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2−、3−又は4−エチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2−、3−又は4−エトキシフェニル、メチルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4,6−トリメチルベンゾイル、2,6−ジメトキシベンゾイル又は2,6−ジクロロベンゾイルである。
【0037】
及びRは互いに独立して特にメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、t−ブチルオキシ、フェニル、4−ジフェニリル、2−、3−又は4−クロロフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2−、3−又は4−エトキシフェニル、2,4,6−トリメチルベンゾイル、2,6−ジメトキシベンゾイル又は2,6−ジクロロベンゾイルである。
【0038】
及びRは互いに独立して殊にフェニル又は4−メチルフェニルである。
【0039】
本発明の別の対象は芳香族カルボキシホスフィン(Ia)であり、ここで、式(I)中で挙げられた基R、R及びRは次の意味を有する:
は好ましくはフェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、2− 3−又は4−クロロフェニル、2,6−又は2,4−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2,6−又は2,4−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−又は4−エチルフェニル、2,6−又は2,4−ジエチルフェニル、2−、3−又は4−イソプロピルフェニル、2−、3−又は4−t−ブチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2,6−又は2,4−ジメトキシフェニル、2,6−又は2,4−ジエトキシフェニル、メチルナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4−又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、2−又は3−フリル、2−又は3−チオフェニル、2−又は3−ピリル又はジメチルピリルである。
【0040】
は特に好ましくはフェニル、トリル、α−ナフチル、β−ナフチル、2,6−又は2,4−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2,6−又は2,4−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−又は2,4−ジエチルフェニル、2−イソプロピルフェニル、2−t−ブチルフェニル、2,6−又は2,4−ジメトキシフェニル、2,6−又は2,4−ジエトキシフェニル、メチルナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,6−ジニトロフェニル又はo−置換フェニル類、例えば2−メチルフェニル、2−メトキシフェニル又は2−クロロフェニルである。
【0041】
は極めて特に好ましくはフェニル、2−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、α−ナフチル、2,6−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジエトキシフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル又は2,6−ジニトロフェニルである。
【0042】
は特にフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル又は2,6−ジメトキシフェニルである。
【0043】
及びRは互いに独立して前記の意味を有することができる。
【0044】
及びRは互いに独立して好ましくは2,4,4−トリメチルペンチル、ベンジル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、6−ヒドロキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−ヒドロキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−ヒドロキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、6−メトキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−メトキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−メトキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、6−エトキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−エトキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−エトキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、8−ヒドロキシ−1,5−ジオキソオクチル、12−ヒドロキシ−1,5,9−トリオキソオクチル、16−ヒドロキシ−1,5,9,13−テトラオキソヘキサデシル、10−ヒドロキシ−1,6−ジオキソデシル、15−ヒドロキシ−1,6,11−トリオキソペンタデシル、ビニル、1−プロペニル、アリル、メタリル、1,1−ジメチルアリル、2−ブテニル、2−ヘキセニル、2−フェニルビニル、2−メトキシビニル、2−エトキシビニル、2−クロロビニル、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、2−、3−又は4−クロロフェニル、2,4−又は2,6−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2,4−又は2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−又は4−エチルフェニル、2,4−又は2,6−ジエチルフェニル、2−、3−又は4−イソプロピルフェニル、2−、3−又は4−t−ブチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2,4−又は2,6−ジメトキシフェニル、2−、3−又は4−エトキシフェニル、メチルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,4−又は2,6−ジメトキシフェニル、2,4−又は2,6−ジクロロフェニル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4−又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、2,4,6−トリメチルベンゾイル又はクロロである。
【0045】
及びRは互いに独立して特に好ましくはベンジル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、6−ヒドロキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−ヒドロキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−ヒドロキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、6−メトキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−メトキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−メトキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、6−エトキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−エトキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−エトキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、8−ヒドロキシ−1,5−ジオキソオクチル、12−ヒドロキシ−1,5,9−トリオキソオクチル、16−ヒドロキシ−1,5,9,13−テトラオキソヘキサデシル、10−ヒドロキシ−1,6−ジオキソデシル、15−ヒドロキシ−1,6,11−トリオキソペンタデシル、ビニル、2−ブテニル、2−フェニルビニル、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、2−、3−又は4−クロロフェニル、2,4−又は2,6−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2,4−又は2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−又は4−エチルフェニル、2−、3−又は4−イソプロピルフェニル、2−、3−又は4−t−ブチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2,4−又は2,6−ジメトキシフェニル、2−、3−又は4−エトキシフェニル、メチルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4−又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、2,4,6−トリメチルベンゾイル又はクロロである。
【0046】
及びRは互いに独立して極めて特に好ましくはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、t−ブチルオキシ、6−ヒドロキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−ヒドロキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−ヒドロキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、8−ヒドロキシ−1,5−ジオキソオクチル、12−ヒドロキシ−1,5,9−トリオキソオクチル、16−ヒドロキシ−1,5,9,13−テトラオキソヘキサデシル、10−ヒドロキシ−1,6−ジオキソデシル、15−ヒドロキシ−1,6,11−トリオキソペンタデシル、フェニル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、2−、3−又は4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2−、3−又は4−エチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2−、3−又は4−エトキシフェニル、メチルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4,6−トリメチルベンゾイル又はクロロである。
【0047】
及びRは互いに独立して特にメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、t−ブチルオキシ、フェニル、4−ジフェニリル、2−、3−又は4−クロロフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2−、3−又は4−エトキシフェニル又は2,4,6−トリメチルベンゾイルである。
【0048】
及びRは互いに独立して殊にフェニル、4−メチルフェニル又は2,4,6−トリメチルベンゾイルである。
【0049】
及びRは同じか又は異なってよく、好ましくはこれらは、基R及びRの一方が2,4,6−トリメチルベンゾイルであり、この場合に他方が好ましくはフェニルである場合以外には、同じである。
【0050】
次のカルボキシホスフィンが極めて特に好ましく、ここで
がカルボニル基に対して少なくとも1つのo位で水素以外の基で置換されている前記の芳香族基の中から選択されており、かつ
及びRが互いに独立して、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、フェニル、4−メチルフェニル、4−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、2,4,4−トリメチルペンチル、2,6−ジメトキシベンゾイル及び2,4,6−トリメチルベンゾイルの群から選択されている。
【0051】
極めて特に、挙げられたカルボキシホスフィン(Ia)の次のものが好ましく、ここで
が2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2−メチルフェニル、2−クロロフェニル及び2−メトキシフェニルの群から選択されており、かつ
及びRが互いに独立して、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、フェニル、4−メチルフェニル、4−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、2,4,4−トリメチルペンチル、2,6−ジメトキシベンゾイル及び2,4,6−トリメチルベンゾイルの群から選択されている。
【0052】
殊に、挙げられたカルボキシホスフィン(Ia)の次のものが好ましく、ここでR及びRが同じである。
【0053】
これらのカルボキシホスフィン(Ia)は本発明による方法による相応するアシルホスフィンの合成における有益な中間生成物である。
【0054】
カルボキシホスフィン(I)の合成は技術水準から、例えば冒頭に引用された参照文献から公知である。
【0055】
技術水準によれば、例えばカルボン酸のナトリウム塩はジエチルエーテル中で低温(0℃)でクロロホスフィンと反応され、その際にNaClは沈殿し、かつカルボキシホスフィンは溶液中に残留する。沈殿したNaClはろ別される。溶剤が除去される場合には、カルボキシホスフィンは油状物又は固体として取り残される。
【0056】
カルボン酸のナトリウム塩の代わりに、遊離カルボン酸も第三アミンの存在で反応されることができ、その際にH. Bollmacher, P. Sartori, Chemiker-Zeitung, 106巻, No. 11, 1982, 392頁によればカルボキシホスフィンは補助塩基により部分的に無水物へ分解され、このことはこの合成法の場合に劣悪な収率をまねく。前記文献に記載された製造方法は費用がかかる、特に、それというのも補助塩基の塩は固体として生じるからであり、かつ反応は低温で実施されなければならないからである。
【0057】
カルボキシホスフィンは、本発明によれば例えば次の反応方程式により得られることができる:
【0058】
【化5】

ここで、R、R及びRは前記の意味を有する。
【0059】
さらに、
Xはハロゲン、プソイドハロゲン、非置換、一置換又は二置換の窒素又はスルフリルオキシ、好ましくはハロゲンを表し、
Yは酸素、硫黄、非置換又は一置換の窒素、好ましくは酸素を表し、かつ
Zは水素、又はカチオンの等量を表す。
【0060】
ここで、
ハロゲンは、例えばF、Cl、Br又はI、好ましくはClを表し、
プソイドハロゲンは、例えばCN、OCN又はSCNを表し、
非置換、一置換又は二置換の窒素は、−NH、−NHR又は−NRもしくは−NH−又は−NR−を表し、その際にR及びRは前記のような同じ意味を有するが、しかしながら化合物(III)中のR及びRとは異なっていてよく、好ましくは水素又はC〜C−アルキルで一置換、二置換又は三置換された窒素原子であり、かつ
スルフリルオキシは、例えばトシレート、ブロシレート、メシレート又はトリフレートを表す。
【0061】
カチオンはその際に例えばプロトン化された補助塩基(下記参照)又はEP-A 62 839に記載されたもの、すなわち138未満のモル質量を有する周期表の第1〜第3主族のカチオンの等量、第四アンモニウムイオン又はトリエチレンジアンモニウムイオンから誘導されるアンモニウムイオン、又はホスホニウムイオン、好ましくはプロトン化された補助塩基、Na、K、Li、Cs、Mg2+、Ca2+、Al3+、又はC〜C−アルキルで置換された第一、第二、第三又は第四アンモニウム及び特に好ましくはプロトン化された補助塩基であってよい。
【0062】
成分(IV)及び(III)相互の反応は本発明によればバルクでか又は適している溶剤中の分散液又は溶液として例えば−20℃〜160℃、好ましくは0〜140℃、特に好ましくは50〜120℃及び特に60〜100℃の温度で、好ましくは補助塩基の存在で行われることができる。
【0063】
反応の期間は、通例数分ないし数時間、好ましくは10分〜10時間、特に好ましくは10〜300分間、極めて特に好ましくは30〜200分間である。
【0064】
好ましい実施態様において、カルボキシホスフィンへの成分(IV)及び(III)の変換はアシルホスフィンオキシドへの生じたカルボキシホスフィンの転位と結合されることができ、その際に成分(IV)及び(III)は、場合により生じる中間生成物が単離されることなく240℃までの温度で互いに反応される。反応温度は、そのような反応の間に同じままであってよく、又はその過程で上昇されてもよい。
【0065】
補助塩基として、プロトン化されて(IV)R(CO)Y又は(III)Xのアニオン性化合物との塩として160℃を下回る、特に好ましくは100℃を下回る及び極めて特に好ましくは80℃を下回る融点を有する塩を形成するものが適している。
【0066】
好ましい補助塩基は、整理番号10202838.9を有する2002年1月24日付のドイツ連邦共和国特許出願に記載され、そこで特に提出文の第6頁37行ないし第14頁第42行に記載されているようなものである。
【0067】
特に好ましくは3−クロロピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−エチル−4−アミノピリジン、2−メチルピリジン(α−ピコリン)、3−メチルピリジン(β−ピコリン)、4−メチルピリジン(γ−ピコリン)、2−エチルピリジン、2−エチル−6−メチルピリジン、キノリン、イソキノリン、ピリジン、1−C〜C−アルキルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−n−ブチルイミダゾール、1,4,5−トリメチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−ブチル−2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−n−ペンチルイミダゾール、1−n−ヘキシルイミダゾール、1−n−オクチルイミダゾール、1−(2′−アミノエチル)−イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、1−(2′−シアノエチル)−イミダゾール及びベンゾトリアゾールである。
【0068】
極めて特に好ましくは1−n−ブチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルピリジン及び2−エチルピリジンであり、1−メチルイミダゾールが殊に好ましい。
【0069】
溶剤として、例えばベンゼン、トルエン、o−、m−又はp−キシレン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、アセトン、イソブチルメチルケトン、ジエチルケトン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エステル、酢酸メチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル又はこれらの混合物が使用されることができる。好ましくは、補助塩基の前記の塩と非混和性である溶剤が使用される。
【0070】
合成において液体の塩を形成する補助塩基が使用されない場合には、カルボキシホスフィン(I)は、技術水準に記載されたように、反応混合物から、例えばろ過、結晶化、抽出、蒸留又は精留により除去される。
【0071】
それに反して反応において液体の塩が形成されている場合には、これは好ましくは液−液−相分離を用いて液体の塩の融点を上回る温度で、好ましくは融点を上回り5〜30℃で、例えば相分離器又はミキサー−セトラー−装置中で分離される。
【0072】
意外にも、文献から公知の無水物への生成物の崩壊が補助塩基の本発明による存在で観察されないことが見出された。
【0073】
カルボキシホスフィンは引き続いて、所望の場合には、例えば洗浄又は再結晶によりさらになお精製されることができる。通例、80質量%又はそれ以上、好ましくは90%又はそれ以上、特に好ましくは95%又はそれ以上及び極めて特に好ましくは98質量%又はそれ以上の純度で十分である。
【0074】
記載された方法は式(Ia)のカルボキシホスフィンの製造に有利には適している。
【0075】
カルボキシホスフィンは引き続いて本発明によればアシルホスフィンオキシド(II)へ変換されることができる。
【0076】
アシルホスフィンオキシド(II)への転位は熱的に及び/又は触媒作用により行われることができる。
【0077】
転位は、熱的にバルクでか又は溶剤、例えば前記の溶剤、好ましくは極性溶剤中の溶液又は分散液として、100℃を上回り、好ましくは120℃を上回り、特に好ましくは140℃を上回り及び極めて特に好ましくは160℃を上回り実施されることができる。
【0078】
触媒が添加される場合には、転位はより迅速にかつより低い温度で既に、例えば80℃を上回り、好ましくは100℃を上回り及び極めて特に好ましくは120℃を上回り行われる。
【0079】
反応の期間は、数分ないし数時間、例えば5分〜5時間、好ましくは10分〜3時間及び特に好ましくは15分〜2時間であってよい。
【0080】
カルボキシホスフィンの形成及び転位は、不連続にか、半連続的にか又は連続的に2つの別個の反応器中で、しかしまたワンポット合成としても実施されることができる。
【0081】
反応は有利には、反応条件下で不活性なガス、例えば窒素、空気、窒素−酸素−混合物、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素又は一酸化炭素、好ましくは窒素又はアルゴンの存在で実施されることができる。
【0082】
本発明による反応が実施される圧力は決定的ではなく、反応は、減圧、超過圧又は常圧で、好ましくは場合により使用される溶剤の沸点未満に保持するために常圧又は例えば5barまでの超過圧で実施されることができる。
【0083】
反応を部分転化率までのみ、例えば75%まで、好ましくは50%まで、特に好ましくは30%まで及び極めて特に好ましくは20%まで実施し、出発物質及び生成物を分離し、かつ出発物質を反応へ返送することが可能である。出発物質及び生成物の分離は、例えば前記のように、好ましくは蒸留、分別結晶化によるか又は液−液−抽出により行われることができる。
【0084】
液−液−抽出は、例えば、完全反応又は部分反応される反応混合物の少なくとも一部が多様な極性の少なくとも2つの互いに非混和性の溶剤からなる混合物中で分離されることによって行われることができる。
【0085】
プロセス工学的にはこのために原則的に本来公知の全ての抽出方法及び−装置、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 6th ed, 1999 Electronic Release, 章: Liquid - Liquid Extraction - Apparatusに記載されているものが使用されることができる。例えば、これらは一段又は多段の、好ましくは多段の抽出、並びに並流−又は向流運転方式、好ましくは向流運転方式でのそのようなものであってよい。
【0086】
好ましくは多孔板塔、規則充填塔もしくは不規則充填塔、撹拌容器又はミキサー−セトラー−装置、並びに回転する内部構造物を有する塔又は脈動塔が使用される。
【0087】
より高い極性の溶剤は、例えばアルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ケトン、例えばアセトン、イソブチルメチルケトン、ジエチルケトン、エーテル、例えばジエチルエーテル、イソブチルメチルエーテル、イソブチルエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート又はテトラブチル尿素である。
【0088】
より低い極性の溶剤は、例えば脂環式又は脂肪族の炭化水素、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、石油エーテル混合物、軽ベンジン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン又はシクロペンタン、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン又はキシレン−異性体混合物又はハロゲン化炭化水素、例えば四塩化炭素、クロロホルム、メチルクロロホルム又は塩化メチレンである。
【0089】
反応生成物(アシルホスフィンオキシド)は通例、より極性の相中で豊富化される。
【0090】
好ましい溶剤系はスルホラン/テトラブチル尿素、スルホラン/ヘキサン及びメタノール/n−ヘプタンである。
【0091】
触媒は、化学量論的不足量、化学量論的量又は化学量論的過剰量で、好ましくは出発物質に対して5〜100mol%の量で、特に好ましくは5〜50及び極めて特に好ましくは10〜30mol%の量で使用されることができる。
【0092】
触媒として例えば次のものが適している:
・フリーデル−クラフツ−触媒、例えばGeorge A. Olah, "Friedel-Crafts and Related Reactions", Vol. I, 201及び284-290 (1963)に記載されているようなもの。
・ルイス酸性のイオン性液体
・求核性触媒、例えばBender、"Mechanismus of Homogeneous Catalysis from Protons to Proteins", Wiley 1971, 147-179頁又はJerry March "Advanced Organic Chemistry", 3rd ed. Wiley, 1985, 294頁及び次の頁, 334, 347頁に記載されているようなもの。
・ 酸塩化物、好ましくは使用されるカルボン酸の酸塩化物
・ 酸無水物、好ましくは使用されるカルボン酸の酸無水物又はトリフルオロ酢酸無水物。
・ ハロゲン化アルキル
・ ハロゲン
・ Arbusov−触媒、例えばAlok, K. Bhattacharya及びG. Thyagarajan, Chem. Rev. 1981, 81, 415-430に記載されているようなもの。
・ 光子(光量子)
・ 同時にルイス酸性及びルイス塩基性の性質を有する触媒、例えばトリメチルシリルシアニド又はLiI
・ ルイス酸性の性質を有する不均一系触媒
・ リンに対する高い親和性を有する遷移金属、例えばFe(CO)
三塩化アルミニウム(AlCl)、塩化鉄(III)(FeCl)、三臭化アルミニウム(AlBr)、塩化亜鉛(ZnCl)、トリフルオロ酢酸無水物、使用される化合物(IV)の酸塩化物RCOCl又は酸無水物(RCO)O、KI、NaI、LiI又はトリメチルシリルシアニドが好ましく、AlCl、トリフルオロ酢酸無水物、RCOCl、(RCO)O又はKIが特に好ましい。
【0093】
意外にも、転位が本発明によれば過フッ素化されていないアシルオキシホスファンを用いても実施されることができることが見出された。
【0094】
さらに、Bollmacher及びSartoriにより報告されたカルボキシホスフィンの崩壊が本発明による方法においてアミンの存在で行われないことは意外である。
【0095】
本発明により得られることができるアシルホスフィンオキシドは、例えば光開始剤として放射線硬化において使用されることができる。
【0096】
本明細書において、使用されるppm及び百分率の記載は、他に記載されない限り、質量百分率及び−ppmに基づいている。
【実施例】
【0097】
例1
トリメチルベンゾイルオキシジフェニルホスフィン(TBOP)の製造
窒素で不活性化されたガラスフラスコ中で、1−メチルイミダゾール43.1g、ジ−n−ブチルエーテル300ml及びトリメチル安息香酸82.1gを組み合わせた。80℃で目下撹拌しながらジフェニルクロロホスフィン110.3gを62minかけて反応混合物中へ滴加し、その際に混合物はまず最初に混濁し、少し後で2つの液相が形成された。80℃でさらに3時間後撹拌し、80℃で相分離を実施した。
【0098】
上相を冷却し、その際にTBOP 151.8gは無色の結晶の形で沈殿析出した。TBOPをろ別し、70℃で真空中で乾燥させた。収率は87%であった。
【0099】
例2
トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TPO)へのトリメチルベンゾイルオキシジフェニルホスフィンの転位
TBOP 5gを、アルゴンで不活性化されたガラスフラスコ中に装入し、加熱した。約80℃でTBOPは溶融した。220℃で45min後、反応混合物は強く黄色に着色していた。
【0100】
TPOは、黄色の油状物として生じ、かつIR、UV、31P−NMRを用いて特性決定した。
【0101】
例3
TBOP 5gを、アルゴンで不活性化されたガラスフラスコ中に装入し、180℃に加熱した。253min後、試料を取り出し、31P NMRを用いて調べた。TBOP転化率は31P−NMRによれば93.9%であった。
【0102】
例4
TBOP 5g及びトリメチルベンゾイルクロリド(TMBC)0.26gを、アルゴンで不活性化されたガラスフラスコ中に装入し、158℃に加熱し、その際にバッチは強く黄色に変色した。170min後、試料を調べた。TPOは黄色の油状物として生じた。
【0103】
例5
TBOP 5g及びAlCl 0.2gを、アルゴンで不活性化されたガラスフラスコ中に装入し、180℃に加熱し、その際にバッチは強く黄色に変色した。TPOは36min後に黄色の油状物として生じた。
【0104】
例6
TBOP 5g及びヨウ化カリウム0.2gを、アルゴンで不活性化されたガラスフラスコ中に装入し、180℃に加熱し、その際にバッチは強く黄色に変色した。TPOは39min後に黄色の油状物として生じた。
【0105】
例7
TBOP 5g及びヨウ化カリウム0.2gをジメチルアセトアミド中のトリフルオロ酢酸無水物10mol%と共に、アルゴンで不活性化されたガラスフラスコ中に装入し、165℃に加熱し、その際にバッチは強く黄色に変色した。TPOは15min後に黄色の油状物として生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族アシルホスフィンオキシド(II)の製造方法において、
芳香族カルボキシホスフィン(I)をアシルホスフィンオキシド(II)へ変換し、
【化1】

ここで、
はC〜C12−アリール又は酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する5〜6員の芳香族複素環を表し、その際に前記の基はその都度アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、へテロ原子及び/又は複素環により置換されていてよく、かつ
及びRは互いに独立してC〜C18−アルキル、場合により1つ又はそれ以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1つ又はそれ以上の置換又は非置換のイミノ基により中断されたC〜C18−アルキル、C〜C18−アルケニル、C〜C12−アリール、C〜C12−シクロアルキル、C〜C18−アルコキシ又は酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する5〜6員の複素環を表し、その際に前記の基はその都度アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、へテロ原子及び/又は複素環により置換されていてよく、さらに金属、基:−Oカチオン又はハロゲンを表す
ことを特徴とする、芳香族アシルホスフィンオキシド(II)の製造方法。
【請求項2】
触媒の存在で100℃を上回る温度で又は触媒の存在で80℃を上回り実施する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
出発物質(I)に対して触媒5〜100mol%を使用する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
触媒が、フリーデル−クラフツ−触媒、ルイス酸性のイオン性液体、求核性触媒、酸塩化物、酸無水物、ハロゲン化アルキル、ハロゲン、Arbusov−触媒、同時にルイス酸及びルイス塩基の性質を有する触媒及びリンに対する高い親和性を有する遷移金属の群から選択されている、請求項3記載の方法。
【請求項5】
が、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、2−、3−又は4−クロロフェニル、2,6−又は2,4−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2,6−又は2,4−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−又は4−エチルフェニル、2,6−又は2,4−ジエチルフェニル、2−、3−又は4−イソプロピルフェニル、2−、3−又は4−t−ブチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2,6−又は2,4−ジメトキシフェニル、2,6−又は2,4−ジエトキシフェニル、メチルナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4−又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、2−又は3−フリル、2−又は3−チオフェニル、2−又は3−ピリル及びジメチルピリルを含む群から選択されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
及びRが互いに独立して、2,4,4−トリメチルペンチル、ベンジル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、6−ヒドロキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−ヒドロキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−ヒドロキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、6−メトキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−メトキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−メトキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、6−エトキシ−1,4−ジオキソヘキシル、9−エトキシ−1,4,7−トリオキソノニル、12−エトキシ−1,4,7,10−テトラオキソドデシル、8−ヒドロキシ−1,5−ジオキソオクチル、12−ヒドロキシ−1,5,9−トリオキソオクチル、16−ヒドロキシ−1,5,9,13−テトラオキソヘキサデシル、10−ヒドロキシ−1,6−ジオキソデシル、15−ヒドロキシ−1,6,11−トリオキソペンタデシル、ビニル、1−プロペニル、アリル、メタリル、1,1−ジメチルアリル、2−ブテニル、2−ヘキセニル、2−フェニルビニル、2−メトキシビニル、2−エトキシビニル、2−クロロビニル、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、2−、3−又は4−クロロフェニル、2,4−又は2,6−ジクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2,4−又は2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−又は4−エチルフェニル、2,4−又は2,6−ジエチルフェニル、2−、3−又は4−イソプロピルフェニル、2−、3−又は4−t−ブチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2,4−又は2,6−ジメトキシフェニル、2−、3−又は4−エトキシフェニル、メチルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,4−又は2,6−ジメトキシフェニル、2,4−又は2,6−ジクロロフェニル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4−又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、2,4,6−トリメチルベンゾイル、2,6−ジメトキシベンゾイル及び2,6−ジクロロベンゾイルを含む群から選択されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
カルボキシホスフィンの製造方法において、
下記の式による変換を50〜100℃の温度で実施し、
【化2】

ここで、
、R及びRは請求項1に記載された意味を表し、
Xはハロゲン、プソイドハロゲン、非置換、一置換又は二置換の窒素又はスルフリルオキシを表し、
Yは酸素、硫黄、非置換又は一置換の窒素を表し、かつ
Zは水素、又はカチオンの等量を表す
ことを特徴とする、カルボキシホスフィンの製造方法。
【請求項8】
反応を、プロトン化されて(IV)R(CO)Y又は(III)Xのアニオン性化合物との塩として160℃を下回る融点を有する塩を形成する補助塩基の存在で実施する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
補助塩基が、3−クロロピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−エチル−4−アミノピリジン、2−メチルピリジン(α−ピコリン)、3−メチルピリジン(β−ピコリン)、4−メチルピリジン(γ−ピコリン)、2−エチルピリジン、2−エチル−6−メチルピリジン、キノリン、イソキノリン、ピリジン、1−C〜C−アルキルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−n−ブチルイミダゾール、1,4,5−トリメチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−ブチル−2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−n−ペンチルイミダゾール、1−n−ヘキシルイミダゾール、1−n−オクチルイミダゾール、1−(2′−アミノエチル)−イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、1−(2′−シアノエチル)−イミダゾール及びベンゾトリアゾールの群から選択されている、請求項8記載の方法。
【請求項10】
請求項1記載のアシルホスフィンオキシド(II)を製造するための、請求項7から8までのいずれか1項記載の方法により得ることができるカルボキシホスフィンの使用。
【請求項11】
放射線硬化における光開始剤としての請求項1から6までのいずれか1項記載により得ることができる、請求項1に記載されたような式(II)のアシルホスフィンオキシドの使用。

【公表番号】特表2006−500410(P2006−500410A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−538891(P2004−538891)
【出願日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010150
【国際公開番号】WO2004/029063
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【Fターム(参考)】