説明

アシロキシアルキルカルバメートプロドラッグの合成に使用されるアシロキシアルキルチオカーボネートの鏡像異性的な分解

アシロキシアルキルカルバメートの合成に有用なアシロキシアルキルチオカーボネートを酵素的に溶解する方法を開示する。これらのカルバメートは、R−バクロフェンまたはS−プレガバリン等のアミンを含有する薬剤に結合させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法119条(e)の下、2008年1月25日に出願の米国仮出願第61/023,808号、2008年1月25日に出願の米国仮出願第61/023,813号、及び2008年12月11日に出願の米国仮出願第61/121,859号の利益を主張するものであり、これらの各々はその全体において参照により組み込まれている。
【0002】
本開示によって供される方法は、アシロキシアルキルカルバメートのプロドラッグの合成において有効なアシロキシアルキルチオカーボネートの酵素による分解に関連する。
【背景技術】
【0003】
一定の薬剤の経口による生体利用効率(バイオアベイラビリティ)は、プロドラッグへの転換により改善することができる。一定のプロドラッグは、官能基がプロモイエティ(promoiety)によって「覆われ」ている親薬剤の誘導体である。患者への投与に追随して、プロドラッグは親薬剤を放出するために代謝される。1-(アシルオキシ)-アルキル基は、プレガバリン及びバクロフェン等のアミン含有薬剤を機能的にするために使用されるプロモイエティの例である。
【0004】
プレガバリン((3S)-(アミノメチル)-5-メチル-ヘキサン酸)は、FDAに認可された薬剤であり、例えば、ヘルペス後神経痛、糖尿病性末梢神経障害、線維筋痛、及びてんかんの治療用に市販される。プレガバリンは、下部消化管から吸収されずそしてインビボ(in vivo)で短半減期を示し、従って経口で投与される時に体内で治療レベルを維持するためには頻回投与が必要である。(3S)−{[1−イソブタノイルオキシエトキシ]カルボニルアミノメチル}−5-メチル−ヘキサン酸、(3S)−{[1−イソブタノイルオキシイソブトキシ]カルボニルアミノメチル}−5-メチル−ヘキサン酸、及び(3S)−{[1−ベンゾイルオキシエトキシ]カルボニルアミノメチル}−5-メチル-ヘキサン酸は、プレガバリンの1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメートのプロドラッグの例であり、これらは経口的にかあるいは哺乳類の結腸中に直接的に投薬される場合、プレガバリンと同様に高生体利用効率を示す(Gallop等の米国特許第6,972,341号及び第7,186,855号、そしてYao及びGallopの2008年1月25日出願の米国仮出願第61/023,808号及び第61/023,813号、の各々はその全体において参照により組み込まれている)。
【0005】
1-(アシルオキシ)-アルキルプロモイエティはまた、バクロフェンのプロドラッグ、(±)−4−アミノ−3−(4−クロロフェニル)ブタン酸を供するために使用されてきた。Gallop等の、米国特許第7,109,239号及び第7,300,956号(これら各々はその全体において参照により組み込まれている)は、(3R)-4-{[(1S)-2-メチル-1-(2-メチルプロパノイルオキシ)プロポキシ]カルボニルアミノ}-3-(4-クロロフェニル)ブタン酸等のR-バクロフェンの1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメートプロドラッグを開示する。バクロフェンは、GABABレセプターを選択的に活性化するγ−アミノ酪酸(GABA)の類似物であり、その結果ニューロンの過分極となる。バクロフェンは、FDAに認可された、痙性及び筋肉の弛緩の治療用に市販される薬剤である。より最近の研究では、バクロフェンのR-異性体は胃食道逆流症(GERD)の治療に効果的であることが示されている。プレガバリンのようなバクロフェン及びR-バクロフェンは、インビボで弱い結腸吸収及び短半減期を有し、そして経口で投与される場合、体内で治療レベルを維持するために頻回の投与が必要である。
【0006】
(アシルオキシ)アルキルカルバメートの機能性(functionality)は、アミン基を含有する治療を目的とするプロドラッグの調製のために広く使用されている(Gogate et al., International Journal of Pharmaceutics 1987, 40, 235-248; Alexander et al., J. Med. Chem. 1988, 31, 318-322; Sun et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2001, 11, 1875-1879; Alexander et al., J. Med. Chem. 1991, 34, 78-81; 及び Gallop et al., US 6,972,341)。1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメートプロドラッグの合成方法は、Gallop等の、米国特許第6,818,787号、第6,927,036号、第6,972,341号、第7,186,855号、第7,026,351号、第7,109,239号及び第7,227,028号に、Raillard等の、米国特許第7,232,924号に、Gallop及びBhatの、国際公開第2005/010011号に、Raillard等の、2008年8月7日出願の米国仮出願第61/087,056号及び第61/087,038号に(これらの各々はその全体において参照により組み込まれている)、さらにAlexanderの、米国特許第4,760,057号、第4,916,230号及び第5,684,018号に開示される。図1のように、1つの方法は、アシロキシアルキルチオカーボネート中間体を含む(Sun et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2001, 11, 1875-1879; 並びに Gallop et al., US 7,026, 351 及び US 7,227,028)。
【0007】
アシロキシアルキル誘導体を合成するこのような方法に共通する欠点は、置換基R2が水素である時を除いて、ラセミ体もしくはジアステレオマーの混合物としてプロドラッグは産生されることである。プロモイエティ中のさらなるキラル中心の存在は、プロドラッグの物理的性質及び薬剤動態の差異につながるかもしれない。アシロキシアルキルのプロモイエティへの、制御されていない立体中心の導入に関連する複雑性は、他をアキラルのアシルオキシメチル部分(R2は水素)周辺のプロドラッグの設計努力に集中させることにつながっている。さらに、多くの(アシルオキシ)アルキルカルバメートのプロドラッグは、インビボでの加水分解中に毒性代謝物としてホルムアルデヒドを産生する。アセトアルデヒドと比較すると、ホルムアルデヒドはより急性の哺乳類毒性および変異原性を示し、さらにその酸化代謝物のギ酸塩は、ヒトにおける特定の眼毒性と関係がある。さらに、チオカーボネートは酸性または塩基性の官能基を持たないので、標準的な化学的方法によって容易に溶解されない。
【0008】
したがって、鏡像異性的に富化されたアシロキシアルキルチオカーボネートを合成する改良された方法が望まれる。
【発明の概要】
【0009】
本発明では、鏡像異性的に及びジアステレオマー的に富化されたアシロキシアルキルカルバメートのプロドラッグの合成において有効なラセミアシロキシアルキルチオカーボネート中間体を酵素的に溶解する方法を開示する。かかる方法は、プレガバリン及びバクロフェン、例えば、(3S)−{[(1R)−イソブタノイルオキシエトキシ]カルボニルアミノメチル}−5−メチル−ヘキサン酸及び(3R)-4-{[(1S)-2-メチル-1-(2-メチルプロパノイルオキシ)プロポキシ]カルボニルアミノ}-3-(4-クロロフェニル)ブタン酸であり、これらは各々、高い化学収率を有しそしてジアステレオマーを過剰に有するものであるが、これらのプレガバリン及びバクロフェンのアシロキシアルキルカルバメートのプロドラッグの合成に適用される。
【0010】
第一の態様では、式(I)
【化1】

の化合物の鏡像異性体の混合物を酵素的に富化する方法が開示され、
式(I)の化合物の1つの鏡像異性体が少なくとも90%の鏡像体過剰率を有する鏡像異性的に富化された混合物を供するために、前記鏡像異性体の混合物を酵素と反応させることを含んでなる方法であり、式中、
R1は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され、
R2は、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され、そして
R3は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択される方法である。
【0011】
第二の態様では、鏡像異性的に富化された式(I)の化合物の混合物が開示され、式(I)
【化2】

(式中、
R1は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され、
R2は、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され、そして
R3は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択される。)
の化合物の1つの鏡像異性体の少なくとも90%の鏡像体過剰率を有する混合物が開示される。かかる鏡像異性的に富化された混合物は、鏡像異性的に富化された混合物を供するために、式(I)の化合物の鏡像異性体の混合物を酵素と反応させることを含んでなる工程によって調製される。
【0012】
第三の態様では、式(II)のNHS-アシロキシアルキルカーボネート化合物の鏡像異性的に富化された混合物の合成の方法が開示され、これらの方法は、式(I)
【化3】

(式中、R1は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され; R2は、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され; そしてR3は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択される)
の化合物の1つの異性体の少なくとも90%の鏡像体過剰率を有する鏡像異性的に富化された混合物を供するために、式(I)の化合物の鏡像異性体の混合物を酵素と反応させること;及び
式(II)の対応する化合物の鏡像異性的に富化された混合物を供するために、式(I)の化合物の1つの鏡像異性体の少なくとも90%の鏡像体過剰率を有する鏡像異性的に富化された混合物を、N-ヒドロキシスクシンイミドと反応させること、を含んでなる方法である。
【0013】
第四の態様では、式(III)のアシロキシアルキルカルバメートプロドラッグを合成する方法が開示され、これらの方法は、:
式(I)
【化4】

(式中、R1は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され;
R2は、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され; そして
R3は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択される)
の化合物の1つの異性体の少なくとも90%の鏡像体過剰率を有する鏡像異性的に富化された混合物を供するために、式(I)の化合物の鏡像異性体の混合物を酵素と反応させること;
式(II)の対応する化合物の鏡像異性的に富化された混合物を供するために、鏡像異性的に富化された混合物をN-ヒドロキシスクシンイミドと反応させること; 及び
式(III)の化合物を供するために、式(II)の鏡像異性的に富化されたの化合物を、少なくとも1つの第一または第二アミン基を含んでなる薬剤D-NHR4(式中、-Dは、少なくとも1つの第一または第二アミン基を含まない薬剤であり、そしてR4は、水素及び第二アミン基から選択される。)と反応させること、を含んでなる方法である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、ラセミアシロキシアルキルチオカーボネートの中間体を経由したアシロキシアルキルカルバメートプロドラッグの合成の一連の反応を示す。
【図2】図2は、鏡像異性的にまたはジアステレオマー的に富化されたアシロキシアルキルカルバメートプロドラッグを供するための、アシロキシアルキルチオカーボネートプロドラッグ前駆体の酵素による分解を用いた一連の反応を示す。
【0015】
【図3】図3は、所定のラセミアシロキシアルキルチオカーボネートの構造を示す。
【図4】図4は、アシロキシアルキルチオカーボネートへ向けた所定の酵素の鏡像異性体選択性の概要を示す。
【図5】図5は、プレガバリンプロドラッグの3-({[(1R)-1-(2-メチルプロパノイルオキシ)エトキシ]カルボニルアミノ}メチル)(3S)-5-メチルヘキサン酸の合成の例を示す。
【0016】
2つの文字または記号の間にあるものではないダッシュ記号(「-」)は、一部分または置換基への結合の点を示すために使用される。例えば、-CONH2は炭素原子を介して結合される。
【0017】
2つの文字または記号の間にある波形のダッシュ記号(「
【化5】

」)は、一部分または置換基と2つの鏡像異性体が形成されることができるキラル中心との結合の点を示すために使用される。この2つの鏡像異性体は、等モル量とすることができる(「ラセミ化合物」を形成している)か、或いは第一鏡像異性体が第二鏡像異性体の量を超えるものとすることができる(「鏡像体過剰」または「鏡像異性体の混合物」を形成している)。
【0018】
単独のまたはその他の置換基の一部としての「アルキル」は、飽和または不飽和、分岐状の、または直鎖の、親アルカン、アルケン、またはアルキンの単一の炭素原子から1つの水素原子の除去に由来する一価の炭化水素ラジカルを示す。アルキル基の例としては、メチル;エタニル、エテニル、及びエチニル等のエチル;プロパン1−イル、プロパン2−イル、プロパ-1−エン−1−イル、プロパ-1−エン−2−イル、プロパ-2−エン−1−イル(アリル)、プロパ-1−イン−1−イル、プロパ-2−イン−1−イル等のプロピル;ブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン1−イル、2−メチル−プロパン2−イル、ブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロパ-1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−1−イル等のブチル;等が含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
用語「アルキル」は、特に全ての飽和の程度あるいはレベルを有する基、すなわち、もっぱら炭素−炭素単結合を有する基、1または複数の炭素−炭素二重結合を有する基、1または複数の炭素−炭素三重結合を有する基、及び炭素−炭素単結合、二重結合、三重結合の組み合わせを有する基を含むことを意図するものである。飽和の特定のレベルが意図される場合、用語アルキル、アルケニル、及びアルキニルが使用される。一定の実施形態では、アルキル基は、1〜20個の炭素原子(C1-20)を、一定の実施形態では1〜10個の炭素原子(C1-10)を、一定の実施形態では1〜6個の炭素原子(C1-6)を、一定の実施形態では1〜4個の炭素原子(C1-4)を、そして一定の実施形態では1〜3個の炭素原子(C1-3)を有することができる。
【0020】
単独のまたはその他の置換基の一部としての「アルコキシカルボニル」は、ラジカル-C(O)OR31を示し、R31はここに定義するアルキルまたはシクロアルキル基を表す。アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル等を含む。
【0021】
単独のまたはその他の置換基の一部としての「アリール」は、親芳香族環系の単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去に由来する一価の芳香族炭化水素ラジカルを示す。アリールは、例えば、ベンゼンである、5-及び6-員の炭素環式芳香環、例えば、ナフタレン、インダン及びテトラリンである、少なくとも1つの環が炭素環式及び芳香族の二重環系、並びに例えば、フルオレンである、少なくとも1つの環が炭素環式及び芳香族の三重環系を包含する。アリールは、少なくとも1つの炭素環式芳香環、シクロアルキル環、またはヘテロシクロアルキル環と融合する少なくとも1つの炭素環式の芳香環を有する多重環系を包含する。例えば、アリールは、N、O、及びSから選択される1または複数のヘテロ原子を含む5〜7員環のヘテロシクロアルキル環と融合するフェニル環を含む。複数の環のうち1つだけが炭素環式芳香環である、このように融合された二重環系のため、ラジカル炭素原子は炭素環式芳香環またはヘテロシクロアルキル環上にあるかもしれない。アリール基の例としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレン等に由来する基が含まれるが、これらに限定されない。一定の実施形態では、アリール基は6〜20個の炭素原子(C6-20)を、6〜12個の炭素原子(C6-12)を、そして一定の実施形態では6〜10個の炭素原子(C6-10)を含むことができる。しかしながら、単独でここに定義するが、アリールは、決してヘテロアリールを包含しないまたはヘテロアリールと重ならない。
【0022】
単独のまたはその他の置換基の一部としての「アリールアルキル」は、炭素原子に結合する、一般的に末端のまたはsp3の炭素原子に結合する水素原子の1つがアリール基で置換される非環式のアルキルラジカルを示す。アリールアルキル基の例としては、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イル等が含まれるが、これらに限定されない。特定のアルキル部分が意図される場合には、命名法に従ってアリールアルカニル、アリールアルケニル、もしくはアリールアルキニルが使用される。一定の実施形態では、アリールアルキル基は、C7-30アリールアルキルであり、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニルの部分はC1-10であり、そしてアリール部分はC6-20であり、一定の実施形態では、アリールアルキル基はC6-18アリールアルキルであり、例えばアリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分は、C1-8でありそしてアリール部分はC6-10である。
【0023】
本発明が開示する「化合物」は、これらの化学式の範囲内でいずれかの特定の化合物を含む。化合物は、これらの化学構造及び/または化学名によって識別されてよい。化学構造及び化学名が矛盾する場合には、化学構造が化合物のアイデンティティを決定する。ここで記載する化合物は、1または複数のキラル中心及び/または二重結合を含んでいてもよく、従って二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)等の立体異性体、鏡像異性体、またはジアステレオマーとして存在してもよい。従って、特に意図されない限り、本明細書の範囲内の、全部または一部において表される、相対配置を有する、いずれかの化学構造は、あらゆる潜在的な鏡像異性体、並びに立体異性体的に純粋な(例えば、幾何学的に純粋な、鏡像異性的に純粋な、またはジアステレオマー的に純粋な)系を含んだ説明される化合物の立体異性体、並びに鏡像異性的な及び立体異性的な混合物を包含する。鏡像異性の及び立体異性の混合物は、当業者に周知の分離技術あるいはキラル合成技術を用いてそれらの構成鏡像異性体または立体異性体に分解されるかもしれない。例えば、分解剤の存在下での結晶化、または、例えばキラル高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)カラムを使用したクロマトグラフィ、等の従来の方法によって、鏡像異性体またはジアステレオマーの分解は達成されるかもしれない。
【0024】
本発明が開示する化合物はまた、エノール型、ケト型、及びそれらの混合物を含む互変異性型の中にも存在するであろう。従って、ここで表される化学構造は、説明される化合物のあらゆる潜在的な互変異性型を包含する。本発明が開示する化合物はまた、1または複数の原子が通常自然界に見られる原子質量とは異なる原子質量を有する同位体的で標識された化合物を含む。ここに開示される化合物に包含されることができる同位体の例としては、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O等が含まれるが、これらに限定されない。化合物は、水和物の形を含む、或いはN−酸化物として、非溶媒和の形態及び溶媒和の形態で存在するかもしれない。一般的に、化合物は水和したもの、溶媒和されたもの、またはN−酸化物とすることができる。特定の化合物は、多数の結晶の、共結晶の、または非結晶の形態で存在するかもしれない。従って、本発明が開示する化合物は、前述のもののいずれかの遊離酸の形態、及び前述のもののいずれかの結晶の形態の、医薬として許容される塩、または医薬として許容される溶媒和物を含む。
【0025】
さらに、化合物の部分構造が説明される時は、アステリスク(*)は部分構造の他の分子への付着点を示す。
【0026】
単独のまたはその他の置換基の一部としての「シクロアルコキシカルボニル」は、ここに定義されるようにR32がシクロアルキル基を表すラジカル-C(O)OR32を示す。シクロアルコキシカルボニル基の例には、シクロブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、等が含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
単独のまたはその他の置換基の一部としての「シクロアルキル」は、飽和のまたは部分的に不飽和の環状アルキルラジカルを示す。飽和の特定のレベルが意図される場合には、命名法に従ってシクロアルカニルまたはシクロアルケニルが使用される。シクロアルキル基の例には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、等由来の基が含まれるが、これらに限定されない。一定の実施形態では、シクロアルキル基はC3-15シクロアルキル、C3-12シクロアルキル、C3-8シクロアルキルであり、そして一定の実施形態では、C3-6シクロアルキルである。
【0028】
「ジアステレオマー」は、鏡像異性体以外の立体異性体を示す。ジアステレオ異性体(またはアステレオマー)は、鏡像として関係しない立体異性体である。ジアステレオ異性体は、物理的性質の違い、及びアキラル剤及びキラル剤に対する化学的挙動の違いを特徴とする。
【0029】
「薬剤」は、米国連邦食品医薬化粧品法(g)(1)で定義されるように、「(A)公定米国薬局方、公定米国ホメオパシー薬局方、もしくは公定国民医薬品集で認められる品目、もしくはそれらのいずれかに対する補足において認められる品目;及び(B)ヒトまたは他の動物での疾患の診断、治癒、緩和、治療、または予防での使用が意図される品目;並びに(C)ヒトまたは他の動物の身体の構造またはいずれかの機能に影響を与えることを意図する品目(食品以外) . . .」を意味する。
【0030】
「少なくとも1つの第一または第二アミン基を含んでなる薬剤」は、-NH2が第一アミン基でありそしてD-が第一アミン基を含まずその薬剤の残存部分であるD-NH2構造の第一アミン基を有する薬剤; 及び/又はR’が水素以外の基であり、そして-NHR’が第二アミン基でありそしてD-が第二アミン基を含まずその薬剤の残存部分であるD-NHR’構造の第二アミン基を有する薬剤を意味する。従って、少なくとも1つの第一または第二アミン基を含んでなる薬剤は、-Dが少なくとも1つの第一または第二アミン基を含まない薬剤であり、そしてR4が水素及び第二アミン基から選択されるD-NHR4構造を有する。
【0031】
「鏡像異性体」は、それぞれの鏡像でありそして上に重ねて置けない、分子的実体の1対のうちの1つを示す。
【0032】
「鏡像体過剰率」は、2つの鏡像異性体の混合物中の(+)と(-)の鏡像異性体間のモル分率または重量分率の違いの絶対値を示す。パーセント鏡像体過剰率は、100を乗じた鏡像体過剰率である。鏡像体過剰率は、e.e.と短縮される。
【0033】
「鏡像異性体の混合物」は、50:50以上100:0未満の鏡像異性体の割合を有する化合物の混合物を示す。
【0034】
「鏡像異性体の割合」は、混合物中の他の鏡像異性体に対する1つの鏡像異性体のパーセンテージの割合を示す。
【0035】
「鏡像異性的に富化された」は、鏡像異性体の割合が50:50以上100:0未満であるキラル物質のサンプルを示す。鏡像異性的に富化されたサンプルは、ゼロ以外の鏡像体過剰率を有するであろう。
【0036】
「GABA類似物」は、構造:
【化6】

(式中:
R10及びR13は、水素、C1-6アルキル、置換C1-6アルキル、C6-10アリール、置換C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、置換C7-16アリールアルキル、C3-10シクロアルキル、及び置換C3-10シクロアルキルから独立して選択され;
R11及びR12は、水素、C1-6アルキル、置換C1-6アルキル、C6-10アリール、置換C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、置換C7-16アリールアルキル、C3-10シクロアルキル、及び置換C3-10シクロアルキルから独立して選択され; あるいはR11及びR12は結合する炭素原子と共に、C3-10シクロアルキル、置換C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、または置換C3-10ヘテロシクロアルキル環を形成する。)
を有する化合物を示す。
【0037】
GABA類似物の一定の実施形態では、各置換基は、ハロゲン、-NH2、-OH、-CN、-COOH、-C(O)NH2、-C(O)OR14、及び-NR143+から独立して選択され、式中、各R14は独立してC1-3アルキルである。
【0038】
GABA類似物の一定の実施形態では、R10及びR13は各々水素である。GABA類似物の一定の実施形態では、R11はC1-4アルキル、置換C1-4アルキル、C1-4アルコキシカルボニル、C3-5シクロアルキル、C3-6シクロアルコキシカルボニル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され;そしてR12は水素である。GABA類似物の一定の実施形態では、R10及びR13は各々水素であり;R11はC1-4アルキル、置換C1-4アルキル、C1-4アルコキシカルボニル、C3-5シクロアルキル、C3-6シクロアルコキシカルボニル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され;そしてR12は水素である。
【0039】
GABA類似物の一定の実施形態では、R10、R12、及びR13は各々、水素であり;そしてR11はイソブチル及び4-クロロフェニルから選択される。
【0040】
一定の実施形態では、GABA類似物は、プレガバリン及びバクロフェンから選択される。さらに、著しい医薬活性を有する多数のGABA類似物は、合成されそしてGABA類似物の範囲内に含まれる(Satzinger et al., US 4,024,175; Silverman et al., US 5,563,175; Horwell et al., US 6,020,370; Silverman et al., US 6,028,214; Horwell et al., US 6,103,932; Silverman et al., US 6,117,906; Silverman, WO 92/09560; Silverman et al., WO 93/23383; Horwell et al., WO 97/29101, Horwell et al., US WO 97/33858; Horwell et al., WO 97/33859; Bryans et al., WO 98/17627; Guglietta et al., WO 99/08671; Bryans et al., WO 99/21824; Bryans et al., 99/31057; Belliotti et al., WO 99/31074; Bryans et al., WO 99/31075; Bryans et al., WO 99/61424; Bryans et al., 00/15611; Bryans, WO 00/31020; Bryans et al., WO 00/50027; Bryans et al., WO 02/00209; Bryans et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 1838-1845; Bryans et al., Med. Res. Rev. 1999, 19, 149-177, Guglietta et al., WO 99/08670; Bryans et al., WO 99/21824; Bryans et al., GB 2 374 595, Barta et al., US 2003/0195251; 及び Donevan et al., 2005/0070483)。医薬として重要なGABA類似物は、例えば、ガバペンチン、プレガバリン、ビガバトリン及びバクロフェンを含む。
【0041】
単独のまたはその他の置換基の一部としての「ヘテロシクロアルキル」は、1または複数の炭素原子(及び特定の関連した水素原子)が、同一のまたは異なるヘテロ原子と独立して置換される、飽和または不飽和の環状アルキルラジカルを示すか、或いは、1または複数の炭素原子(及び特定の関連した水素原子)が、同一のまたは異なるヘテロ原子と独立して置換され環系がもはや少なくとも1つの芳香環を含むものではない親芳香族環系を示す。炭素原子と置き換えるためのヘテロ原子の例には、N、P、O、S、Si、等が含まれるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキル基には、エポキシド、アジリン、チイラン、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロリジン、キヌクリジン等由来の基が含まれるが、これらに限定されない。一定の実施形態では、ヘテロ原子はO及びNから選択される。
【0042】
「親芳香族環系」は、共役π電子系を有する不飽和の環系または多環系を示す。「親芳香族環系」の定義内には、1または複数の環が芳香族でありそして1または複数の環が飽和または不飽和である、例えばフルオレン、インダン、インデン、フェナレン等の縮合環系が含まれる。親芳香族環系の例には、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレン、等が含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
「医薬として許容される」は、米国薬局方又は動物及び特にヒトでの使用に関する他の一般的に承認されている薬局方で、連邦政府の又は州政府の監督官庁によって認可されている又は承認されている、或いはリストに記載されていることを示す。
【0044】
「医薬として許容される塩」は、親化合物の目的とする薬理活性を有する化合物の塩を示す。かかる塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、等の無機酸で形成される酸付加塩;または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、等の有機酸で形成される酸付加塩、; 及び親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はアルミニウムイオンによって置換された場合に形成される塩; 又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン、等の有機塩基を有する同程度のものを含む。一定の実施形態では、医薬として許容される塩は水和物または他の溶媒和物の形態とすることができる。一定の実施形態では、医薬として許容される付加塩は、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛の塩、及びイソプロピルアミン、ジエチルアミン、及びジエタノールアミン塩等のアンモニウム塩等の金属塩を含む。一定の実施形態では、医薬として許容される塩は、塩酸塩である。一定の実施形態では、医薬として許容される塩は、ナトリウム塩である。医薬として許容される塩は、熟練した化学者によって、適当な溶媒中で、適当な塩基を用いて式(III)の化合物を処理することによって、続いて結晶化及び濾過によって、調製されることができる。
【0045】
「医薬として許容されるビヒクル(vehicle)」は、化合物の治療効果のある量を供給するために十分な用量で投与される場合に、治療薬と共に患者へ投与されることができそしてこの薬理活性を損なわずさらに無毒である、医薬として許容される希釈剤、医薬として許容されるアジュバント、医薬として許容される賦形剤、医薬として許容される担体、又は前述のもののいずれかの組み合わせを示す。
【0046】
「フェニルアルキル」は、炭素原子、典型的には末端の又はsp3の炭素原子が結合する水素原子の1つが、フェニル基で置換される非環式のアルキルラジカルを示す。一定の実施形態では、フェニルアルキル基は、アルキル基がC1-3アルキルであるC7-9フェニルアルキルである。
【0047】
「プロドラッグ」は、かかる活性薬剤の放出のために体内等の条件下で変換(transformation)を受ける医薬として活性のある化合物(薬剤)の誘導体を示す。プロドラッグは、活性薬剤に変換されるまで、頻繁に薬理的に不活性であるが、しかしながら必ずしも薬理的に不活性ではない。プロドラッグは、(ここに定義する)プロモイエティを、典型的には官能基を用いて薬剤へ結合させることによって得られることができる。例えば、プレガバリンプロドラッグ(18)は、親薬剤プレガバリンを形成するために、患者の体内で代謝される。
【0048】
「プロモイエティ」は、使用の特定の条件下で開裂可能な結合を介して、薬剤へ、典型的には薬剤の官能基へ結合された基を示す。薬剤およびプロモイエティの間のかかる結合は、酵素によるまたは非酵素の手段によって開裂することができる。使用条件下で、例えば患者への投与に続いて、かかる薬剤およびプロモイエティの間の結合は、親薬剤を放出するために開裂することができる。プロモイエティの開裂は、加水分解反応を介して等、自発的に開始することができるか、或いはその他の作用因子(agent)によって、例えば酵素、光、酸によって、または物理的または環境的パラメーターの変化若しくはこれらへさらすことによって、例えば温度、pH等の変化によって、触媒作用を受けるかまたは誘導されることができる。かかる作用因子は、使用の条件によって内因的であってよく、例えば、プロドラッグが投与される全身循環中の酵素の存在または胃の酸性条件であり、或いは外因的に供給されてもよい。
【0049】
「ラセミ化合物」は、一対の鏡像異性体の等モル混合物を示す。
【0050】
「溶媒和物」は、化学量論量または非化学量論量において1または複数の溶媒分子を含む化合物の分子複合体を示す。このような溶媒分子は、医薬的技術において一般的に使用される、例えば、水、エタノール、等の患者に無害であると知られるものである。化合物または化合物の一部分及び溶媒の分子複合体は、例えば、静電気力、分子間力等の、非共有の分子内力、または水素結合によって安静させることができる。用語「水和物」は、1または複数の溶媒分子が水である溶媒和物を示す。一定の実施形態では、本発明が開示する化合物及びそれらの塩は、溶媒和物を形成することができる。
【0051】
「置換」は、1または複数の水素原子が同一のまたは相違する置換基と独立して置換される基を示す。一定の実施形態では、各置換基は、ハロゲン、-OH、-CN、-CF3、=O、-NO2、C1-3アルコキシ、C1-3アルキル、-COOR15(式中、R15は、水素及びC1-3アルキルから選択される)、及び-N(R15)2(式中、各R15は、水素及びC1-3アルキルから独立して選択される)から独立して選択される。一定の実施形態では、各置換基は、ハロゲン、-OH、-CN、-CF3、-OCF3、=O、-NO2、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、-COOR15、-N(R15)2、及び-CON(R15)2; (式中、各R15は、水素及びC1-6アルキルから独立して選択される)から独立して選択される。一定の実施形態では、各置換基はC1-4アルキル、-OH、及び-NH2から選択される。
【0052】
「持続的な放出」は、かかる薬剤の従来の製剤よりも長時間にわたる、薬剤またはその活性代謝物の治療のまたは予防的な量の放出を示す。経口製剤に関しては、用語「持続的な放出」は、例えば、約2〜30時間の長時間にわたる、そして一定の実施形態では、約4〜24時間の長時間にわたる、薬剤の消化管内での放出を通常意味する。薬剤の従来の製剤の経口投与によって達成されるものと比較して、長時間にわたる全身の循環での持続的な放出製剤は、治療効果がある薬剤濃度を達成する。
【0053】
いずれかの疾患または障害の「治療すること」または「治療」は、疾患、障害、或いは疾患または障害の少なくとも1つの臨床症状を抑止または改善すること、疾患、障害、或いは疾患または障害の少なくとも1つの臨床症状となるリスクを低減すること、疾患、障害、或いは疾患または障害の少なくとも1つの臨床症状の進行を抑制すること、または疾患、障害、或いは疾患または障害の少なくとも1つの臨床症状の進行のリスクを抑制することを示す。「治療すること」または「治療」はまた、疾患または障害を、身体的に抑制する、(例えば、識別可能な症状の安定化)か、または生理的に抑制する、(例えば、物理的パラメーターの安定化)、或いは両方共に抑制すること、及び患者が認識できるまたはできない少なくとも1つの物理的パラメーターを抑制することを示す。一定の実施形態では、「治療すること」または「治療」は、たとえ患者がまだ疾患または障害の症状を経験していないまたは示さなくても、疾患または障害、或いは疾患または障害にさらされるまたは罹りやすくなるかもしれない少なくとも1または複数の入院患者のそれらの症状の発症を遅らせることを示す。
【0054】
「治療効果がある量」は、疾患、障害、或いは疾患または障害の少なくとも1つの臨床症状を治療するという課題のために投与する場合に、疾患、障害、または症状のかかる治療に十分に作用する化合物の量を示す。「治療効果がある量」は、例えば、化合物、疾患、障害、及び/或いは疾患または障害の症状、疾患、障害、及び/或いは疾患または障害の重症度、年齢、体重、及び/或いは治療を受ける患者の健康、並びに処方医師の判断に応じて変えることができる。任意の例における適当な量は、当業者によって容易に確定されることができる、または日常の実験によって決定することができる。
【0055】
化合物、組成物、及び方法の一定の実施形態について詳細に述べる。開示される実施形態は、請求項に限定することを意図するものではない。むしろ逆に、請求項はあらゆる代替、変更、及び等価なるものを包含することを意図する。
【0056】
鏡像異性体の富化(Enantiomeric Enrichment)の方法
本発明の開示によって供される方法は、式(I):
【化7】

の化合物のアシロキシアルキルチオカーボネートの鏡像異性体の混合物を酵素的に富化する方法を含む。かかる方法は、少なくとも式(I)の化合物の1つの鏡像異性体の90%の鏡像体過剰率を有する、鏡像異性的に分解された混合物を供するために、鏡像異性体の混合物を酵素と反応させる工程を含んでなり、式中:
R1は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され;
R2は、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され;そして
R3は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択される。
【0057】
式(I)の化合物の一定の実施形態では、R1はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,1−ジエトキシエチル、フェニル、及びシクロヘキシルから選択される。式(I)の化合物の一定の実施形態では、R1はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、フェニル、及びシクロヘキシルから選択される。式(I)の化合物の一定の実施形態では、R1はメチル、n−プロピル、イソプロピル、及びフェニルから選択される。
【0058】
式(I)の化合物の一定の実施形態では、R2はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、フェニル、及びシクロヘキシルから選択される。式(I)の化合物の一定の実施形態では、R2はメチル、エチル、n−プロピル、及びイソプロピルから選択される。式(I)の化合物の一定の実施形態では、R2はメチル、n−プロピル、及びイソプロピルから選択される。
【0059】
式(I)の化合物の一定の実施形態では、R3はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、フェニル、及びシクロヘキシルから選択される。式(I)の化合物の一定の実施形態では、R3はメチル、エチル、n−プロピル、及びイソプロピルから選択される。式(I)の化合物の一定の実施形態では、R3はメチルである。
【0060】
式(I)の化合物の一定の実施形態では、R1はメチル、イソプロピル、n-プロピル、及びフェニルから選択され; R2はメチル、イソプロピル、及びn-プロピルから選択され; そしてR3はメチルである。
【0061】
式(I)の化合物の一定の実施形態では、各置換基はハロゲン、-OH、-CN、-CF3、=O、-NO2、C1-3アルコキシ、C1-3アルキル、R15が水素及びC1-3アルキルから選択される-COOR15、及び各R15が水素及びC1-3アルキルから独立して選択される-N(R15)2、から独立して選択される。
【0062】
一定の実施形態では、鏡像異性的に分解された混合物は、R−鏡像異性体の鏡像体過剰率を有しそして酵素はカンジダルゴサ(Candida rugosa)、カンジダシリンドラセア(Candida cylindracea)、及びカンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパ−ゼBから選択されるリパ−ゼである。
【0063】
一定の実施形態では、鏡像異性的に分解された混合物は、S−鏡像異性体の鏡像体過剰率を有し、そして酵素はブタ肝臓エステラーゼ、カンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパ−ゼA、及びカンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパ−ゼBから選択されるリパーゼである。
【0064】
一定の実施形態では、酵素はカンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパ−ゼAであり、R1はイソプロピルであり、R2はイソプロピルであり、R3はメチルであり、そして鏡像異性的に分解された混合物は式(I)の化合物のS−鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する。
【0065】
一定の実施形態では、酵素はカンジダアンタークティカ(Candida antarctica) リパ−ゼBであり、R1はイソプロピルであり、R2はメチルであり、R3はメチルであり、そして鏡像異性的に分解された混合物は式(I)の化合物のR−鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する。
【0066】
一定の実施形態では、鏡像異性的に分解された混合物は、式(I)の化合物のR−鏡像異性体かまたは式(I)の化合物のS−鏡像異性体の鏡像体過剰率を有し、少なくとも約90% e.e.、少なくとも約92% e.e.、少なくとも約94% e.e.、少なくとも約96% e.e.、少なくとも約98% e.e.、さらに一定の実施形態では少なくとも約99% e.e.を示す。
【0067】
式(I)のラセミ化合物の鏡像異性的な分解は、エステラーゼ、プロテアーゼ、またはリパ−ゼ等の酵素を使用して達成されることができる。有用なエステラーゼの例は、ブタ肝臓エステラーゼである。有用なリパ−ゼの例は、カンジダルゴサ(Candida rugosa)、カンジダシリンドラセア(Candida cylindracea)、カンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパ−ゼA、及びカンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパ−ゼBを含む。他の潜在的に有用な酵素は、当技術分野で知られそして通常のスクリーニング方法を使用して識別されることができる。酵素による分解は、約5℃〜約60℃等の適当な温度で、そして一定の実施形態では約20℃〜約27℃の適当な温度で、適当な溶媒または共溶媒中で実行されることができる。酵素は、溶媒中で懸濁されるかまたは支持体上で固定されることができる。有用な溶媒の例には、イソプロピルエーテル及びメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)が含まれ、そして約1%の水が共溶媒として有用とすることができる。反応は、目的とする鏡像異性体の富化及び/又は収率が得られるまで約数時間〜約数日間継続することができる。反応条件は、周知の方法を使用して選択または最適化することができる。
【0068】
一定のラセミのアシロキシアルキルチオカーボネートの化学構造及び一定の酵素の鏡像異性的にアシロキシアルキルチオカーボネートを分解する能力が、図3及び図4にそれぞれ示される。
【0069】
本発明の開示によって供される方法は、鏡像異性的に富化された式(II)のNHS-アシロキシアルキルカーボネートを合成する方法を含み、これらの方法は:
式(I)
【化8】

(式中、R1は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され; R2は、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され; そしてR3は、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択される)、の化合物の1つの異性体の少なくとも90%の鏡像体過剰率を有する鏡像異性的に富化された混合物を供するために、式(I)の化合物の鏡像異性体の混合物を酵素と反応させること; 及び、鏡像異性的に富化された式(II)の化合物の混合物を供するために、式(I)の化合物の1つの異性体の少なくとも90%の鏡像体過剰率を有する鏡像異性的に富化された混合物をN-ヒドロキシスクシンイミドと反応させること、を含んでなる。
【0070】
鏡像異性的に富化された式(I)のアシロキシアルキルチオカーボネートをN-ヒドロキシスクシンイミドと結合させることは、Gallop等の、米国特許第7,227,028号に記載の手順に従って達成されるかもしれない。例えば、式(II)の化合物は、N−ヒドロキシスクシンイミドの存在下で、式(I)のチオカーボネート化合物を酸化剤と接触させることによって得られるかもしれない。
【0071】
一定の実施形態では、この酸化剤はペルオキシ酸、過酸化物、オゾンまたは酸素である。一定の実施形態では、酸化剤は遷移金属化合物の化学量論量のまたは触媒量である。一定の実施形態では、酸化剤は遷移金属化合物の触媒量を有するペルオキシ酸、過酸化物、オゾンまたは酸素である。式(II)のNHS-アシロキシアルキルカーボネートの合成で有用なペルオキシ酸の例には、ペルオキシ酢酸、m−クロロペルオキシ安息香酸、ペルオキシトリフルオロ酢酸、ペルオキシジフルオロ酢酸、ペルオキシフルオロ酢酸、ペルオキシトリクロロ酢酸、ペルオキシジクロロ酢酸、ペルオキシクロロ酢酸、ペルオキシトリブロモ酢酸、ペルオキシジブロモ酢酸、ペルオキシブロモ酢酸、ペルオキシクロロジフルオロ酢酸、ペルオキシペンタフルオロプロピオン酸、ペルオキシ安息香酸、p−フルオロペルオキシ安息香酸、ペンタフルオロペルオキシ安息香酸、p−トリフルオロペルオキシ安息香酸、o−ニトロペルオキシ安息香酸、m−ニトロペルオキシ安息香酸、p−ニトロペルオキシ安息香酸、3,5−ジニトロペルオキシ安息香酸、モノペルオキシコハク酸、モノペルオキシマレイン酸、モノペルオキシ−o−フタル酸、ペルオキシトリフルオロメタンスルホン酸、ペルオキシメタンスルホン酸、p−トルエンペルオキシスルホン酸、ペルオキシベンゼン スルホン酸及びこれらの塩が含まれる。一定の実施形態では、ペルオキシ酸は、ペルオキシ酢酸、m−クロロペルオキシ安息香酸、モノペルオキシ−o−フタル酸、モノペルオキシマレイン酸、ペルオキシトリフルオロ酢酸またはこれらの塩から選択される。他の実施形態では、ペルオキシ酸は、ペルオキシ酢酸、m−クロロペルオキシ安息香酸、マグネシウムモノペルオキシ−o−フタレート、及びこれらの塩である。一定の実施形態では、ペルオキシ酸は、ウレア−水素過酸化物複合体を酸無水物と接触させることにより合成することができる。一定の実施形態では、ペルオキシ酸は、ウレア−水素過酸化物複合体を無水マレイン酸と接触させることにより合成することができる。
【0072】
一定の実施形態では、式(I)のアシロキシアルキルチオカーボネートに対する酸化剤のモル比は、約10:1〜約1:1である。一定の実施形態では、式(I)のチオカーボネートに対する酸化剤のモル比は、約3:1〜約1:1である。
【0073】
一定の実施形態では、溶媒が式(II)のNHS-アシロキシアルキルカーボネートの合成で使用される。この反応に関して有用な溶媒には、酢酸、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸エチル、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、アセトニトリル、メチルtert−ブチルエーテル、シクロヘキサン、及び前述のもののいずれかの混合物が含まれる。一定の実施形態では、溶媒は、酢酸、ジクロロメタン、ジクロロエタン、及び前述のもののいずれかの混合物から選択される。
【0074】
一定の実施形態では、式(II)のNHS-アシロキシアルキルカーボネートの合成は、温度が約−20℃〜約80℃で、約−20℃〜約25℃で、そして一定の実施形態では、約25℃〜約60℃で実行されることができる。
【0075】
一定の実施形態では、式(II)のNHS-アシロキシアルキルカーボネートの合成は、アルカリ金属炭酸水素塩またはアルカリ金属カーボネート塩等の無機塩基の存在下で、そして一定の実施形態では、ナトリウム炭酸水素塩の存在下で遂行されることができる。一定の実施形態では、式(II)のNHS-アシロキシアルキルカーボネートの合成は、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、ピリジン、2−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ウンデカ−7−エン等の有機塩基の存在下で遂行される。他の実施形態では、有機塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、及びピリジンから選択される。一定の実施形態では、式(II)のNHS-アシロキシアルキルカーボネートの合成は、塩基なしに遂行することができる。
【0076】
一定の実施形態では、鏡像異性的に分解された混合物は、式(II)の化合物のR−鏡像異性体かまたは式(II)の化合物のS−鏡像異性体の鏡像体過剰率を有し、少なくとも約90% e.e.、少なくとも約92% e.e.、少なくとも約94% e.e.、少なくとも約96% e.e.、少なくとも約98% e.e.、そして一定の実施形態では少なくとも約99% e.e.を示す。
【0077】
本発明の開示によって供される方法は、式(III)の化合物の合成を含み、これらの方法は:
式(I)
【化9】

の化合物の1つの異性体の少なくとも90%の鏡像体過剰率を有する鏡像異性的に富化された混合物を供するために、式(I)(式中、R1は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され; R2は、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され; R3は、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択される)の化合物の鏡像異性体の混合物を酵素と反応させること;
及び、対応する式(II)の化合物の鏡像異性的に富化された混合物を供するために、式(I)の化合物の1つの異性体の少なくとも90%の鏡像体過剰率を有する鏡像異性的に富化された混合物をN-ヒドロキシスクシンイミドと反応させること;
及び、式(III)の化合物を供するために、式(II)の化合物の鏡像異性的に富化された混合物を、少なくとも1つの第一または第二アミン基を含んでなる薬剤D-NHR4(式中、-Dは、少なくとも1つの第一または第二アミン基を含まない薬剤であり、そしてR4は、水素または第二アミン基から選択される。)と反応させること、を含んでなる。
【0078】
一定の実施形態では、鏡像異性的に分解される混合物は、式(III)の化合物のR−鏡像異性体かまたは式(III)の化合物のS−鏡像異性体の鏡像体過剰率を有し、少なくとも約90% e.e.、少なくとも約92% e.e.、少なくとも約94% e.e.、少なくとも約96% e.e.、少なくとも約98% e.e.、そして一定の実施形態では少なくとも約99% e.e.を示す。
【0079】
式(III)の化合物を合成する方法の一定の実施形態では、薬剤はR-バクロフェン及びプレガバリンから選択される。一定の実施形態では、本発明の開示によって供される方法は、(3R)-4-{[(1S)-2-メチル-1-(2-メチルプロパノイルオキシ)プロポキシ]カルボニルアミノ}-3-(4-クロロフェニル)ブタン酸; 1-(R)-3-({[1-(2-メチルプロパノイルオキシ)エトキシ]カルボニルアミノ}メチル)(3S)-5-メチルヘキサン酸; または前述のものの医薬として許容されるいずれかの塩、の調製のために使用されることができる。
【0080】
一定の実施形態では、本発明の開示によって供される方法は、式(a):
【化10】

のR-バクロフェンの1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメートプロドラッグの調製のために使用することができ、
式中:
R1は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,1-ジエトキシエチル、フェニル、及びシクロヘキシルから選択され; そして
R2及びR3は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、フェニル、及びシクロヘキシルから独立して選択される。
【0081】
式(a)の化合物の一定の実施形態では、R1はイソプロピルであり、そしてR2はイソプロピルである。
【0082】
式(a)の化合物の一定の実施形態では、R2が結合する炭素は、S-立体配置のものである。
【0083】
式(a)の化合物の一定の実施形態では、R2が結合する炭素は、R-立体配置のものである。
【0084】
式(a)の化合物の一定の実施形態では、化合物は(3R)-4-{[(1S)-2-メチル-1-(2-メチルプロパノイルオキシ)プロポキシ]カルボニルアミノ}-3-(4-クロロフェニル)ブタン酸または医薬として許容されるこの塩、または医薬として許容される前述のもののいずれかの溶媒和物である。
【0085】
式(III)の化合物を合成する方法の一定の実施形態では、薬剤はR-バクロフェンであり、R1はイソプロピルであり、R2はイソプロピルであり、酵素はカンジダアンタークティカ(Candida antarctica) リパ−ゼAであり、そして式(III)の化合物は(3R)-4-{[(1S)-2-メチル-1-(2-メチルプロパノイルオキシ)プロポキシ]カルボニルアミノ}-3-(4-クロロフェニル)ブタン酸:
【化11】

である。
【0086】
一定の実施形態では、本発明の開示によって供される方法は、式(b):
【化12】

のプレガバリンの1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメートプロドラッグの調製のために使用することができ、
式中、
R1は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,1-ジエトキシエチル、フェニル、及びシクロヘキシルから選択され; そして
R2は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、フェニル及びシクロヘキシルから選択される。
【0087】
式(b)の化合物の一定の実施形態では、R1はイソプロピルであり、そしてR2はメチルである。
【0088】
式(b)の化合物の一定の実施形態では、R2が結合する炭素はS-立体配置のものである。
【0089】
式(b)の化合物の一定の実施形態では、R2が結合する炭素はR-立体配置のものである。
【0090】
式(b)の化合物の一定の実施形態では、化合物は1-(R)-3-({[1-(2-メチルプロパノイルオキシ)エトキシ]カルボニルアミノ}メチル) (3S)-5-メチルヘキサン酸または医薬として許容されるその塩、または医薬として許容される前述のもののいずれかの溶媒和物である。
【0091】
式(III)の化合物の合成の方法の一定の実施形態では、薬剤はプレガバリンであり、R1はイソプロピルであり、R2はメチルであり、酵素はカンジダアンタークティカ(Candida antarctica) リパ−ゼBであり、そして式(III)の化合物は3-({[(1R)-1-(2-メチルプロパノイルオキシ)エトキシ]カルボニルアミノ}メチル)(3S)-5-メチルヘキサン酸:
【化13】

である。
【0092】
式(I)の化合物の、対応する式(II)のNHS-アシロキシアルキルカーボネートへの転換及び薬剤との結合は、例えば、Gallop等の、米国特許第7,227,028号に記載の、式(III)の対応するプロドラッグの遊離酸の形態を供する手順に従って達成することができる。例えば、式(II)のNHS-アシロキシアルキルカーボネートまたはその塩は、スキーム1に示すように、式(III)の化合物を供するために第一または第二アミンを含有する式D-NHR4の薬剤またはその塩と反応させることができ、
スキーム1
【化14】

スキーム中、R1及びR2はこの中で定義される通りであり、そしてR4は水素及び第二アミンを含有する薬剤D-NHR4の一部分から選択される。1-(アシルオキシ)アルキル N-ヒドロキシスクシニミジル カーボネートの中間体から1-(アシルオキシ)-アルキル カルバメート プロドラッグを合成する方法は、Gallop等の、米国特許第6,818,787号、米国特許第6,927,036号、米国特許第6,972,341号、米国特許第7,186,855号、米国特許第7,227,028号、Raillard等の、米国特許第7,232,924号、並びにGallop及びBhatの、国際公開第2005/010011号に開示され、これらの各々はその全体において参照により組み込まれている。
【0093】
一定の実施形態では、スキーム1で表される反応は、例えば、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、酢酸エチル、メチルtert−ブチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、水、または前述のもののいずれかの組み合わせ等の適当な溶媒中で、実行することができる。一定の実施形態では、溶媒は、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、ピリジン、メチルtert−ブチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水、及び前述のもののいずれかの組み合わせから選択される。一定の実施形態では、溶媒は、アセトニトリル及び水の混合物である。一定の実施形態では、溶媒は、アセトニトリル及び水の混合物であり、約1:5〜約5:1のアセトニトリルの水に対する体積比を有する。一定の実施形態では、溶媒は、メチルtert−ブチルエーテル及び水の混合物である。一定の実施形態では、溶媒は、メチルtert−ブチルエーテル及び水の混合物であり、約20:1〜約2:1のメチルtert−ブチルエーテルの水に対する体積比を有する。一定の実施形態では、溶媒は、メチルtert−ブチルエーテル及び水の混合物であり、メチルtert−ブチルエーテルは容量で約10%〜約50%のアセトンを含む。一定の実施形態では、溶媒は、ジクロロメタン、水、及びこれらの組み合わせから選択される。一定の実施形態では、溶媒は、ジクロロメタン及び水の二相混合物である。一定の実施形態では、溶媒は、相間移動触媒の約0.001当量〜約0.1当量を含む、ジクロロメタン及び水の二相混合物である。一定の実施形態では、相間移動触媒はテトラアルキルアンモニウム塩である。一定の実施形態では、相間移動触媒はテトラブチルアンモニウム塩である。
【0094】
一定の実施形態では、スキーム1で表される反応は、約−20℃〜約40℃、約−20℃〜約25℃、約0℃〜約25℃、そして一定の実施形態では、約25℃〜約40℃の温度で実行することができる。
【0095】
一定の実施形態では、スキーム1で表される反応は、塩基なしに遂行することができる。一定の実施形態では、スキーム1で表される反応は、アルカリ金属炭酸水素塩またはアルカリ金属カーボネート塩等の無機塩基の存在下で遂行することができ、そして一定の実施形態では、この無機塩基はナトリウム炭酸水素塩である。一定の実施形態では、スキーム1で表される反応は、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、ピリジン、2−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンまたは1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ウンデカ−7−エン等の有機塩基の存在下で遂行することができ、そして一定の実施形態では、この有機塩基はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、及びピリジンから選択される。
【0096】
本発明の開示によって供される一般的な合成方法は、図2に示される。3-({[(1R)-1-(2-メチルプロパノイルオキシ)エトキシ]カルボニルアミノ}メチル)(3S)-5-メチルヘキサン酸の一般的な合成スキームは図5に示される。
【0097】
中間体
本発明が開示する化合物は、式(I)の化合物の1つの鏡像異性体の少なくとも90%の鏡像体過剰率を有する式(I)の化合物の鏡像異性的に富化された混合物を供するために、式(I)の化合物の鏡像異性体の混合物を酵素と反応させることを含んでなる工程によって調製される、式(I)のアシロキシアルキルチオカーボネートを含み、式中、R1は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され; R2は、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され; そしてR3は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択される。
【0098】
1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメートプロドラッグ
本発明の開示によって供される化合物は、式(III)の化合物または医薬として許容されるその塩、または医薬として許容される前述のもののいずれかの溶媒和物を含み、開示される方法によって調製される。開示される方法に従って調製される式(III)の化合物は、医薬組成物に含まれることができ、さらに少なくとも1つの医薬として許容されるビヒクルを含んでなる。
【0099】
式(III)の化合物、または医薬として許容されるその塩、またはここに開示される方法によって得られる医薬として許容される前述のもののいずれかの溶媒和物、またはその医薬組成物は、適する疾患の治療への応用に使用されることができる。
【0100】
D-NHR4がプレガバリン及びその医薬組成物である式(III)の化合物は、運動性疾患、消化器疾患、精神障害、気分障害、不安障害、睡眠障害、肺疾患、神経変性疾患、炎症性疾患、神経因性痛、筋骨格痛、偏頭痛、ほてり、失神型めまい発作、尿失禁、エタノール離脱症候群、及び早漏の治療に使用されることができる。プレガバリンはまた、様々な原因の神経因性痛、及び鬱病、不安症、精神障害、失神型めまい発作、運動低下、脳障害、神経変性疾患、パニック障害、炎症性疾患、不眠症、消化器疾患、尿失禁及びエタノール離脱症候群を治療するための対照試験において効果を示してきた(Magnus, Epilepsia 1999, 40, S66-72)。(3S)-アミノメチル-5-ヘキサン酸の薬理活性は、電位依存性のカルシウムチャネルのα2δ サブユニットへの結合、及びノルアドレナリン、グルタマート、及び物質P等の神経伝達物質のシナプス放出におけるその付随(concomitant)の減少を通じてもたらされると考えられている(Taylor et al., Epilepsy Res 2007, 73, 137-50)。従って、プレガバリンの1-(アシルオキシ)-アルキル カルバメート プロドラッグを投与することは、電位依存性のカルシウムチャネルのα2δ サブユニットと関連する疾患及び障害を治療することにおいて有用であることを期待することができる。臨床試験において、(3S)-アミノメチル-5-ヘキサン酸は、例えば、手術中の及び手術後痛み(Dahl et al., Acta Anaesthesiol Scand 2004, 48, 1130-1136); 筋骨格の及び神経因性の痛み(Gallop et al., WO 02/100347; Zareba, Drugs Today 2005, 41(8), 509-16; 及び Blommel and Blommel, Am J Health Syst Pharm 2007, 64(14), 1475-82); 化学療法誘発性の痛み(Rao et al., Cancer 2007, 110(9), 2110-8; 及びSaif and Hashmi, Cancer Chemother Pharmacol 2008, 61, 349-354); 一般的な不安障害(Rickels et al., Arch Gen Psychiatry 2005, 62, 1022-1030); 不安症(Pohl et al., J Clin Psychopharmacol 2005, 25, 151-8); ヘルペス後神経痛及び有痛性の糖尿病性末梢神経障害(Freynhagen et al., Pain 2005, 115, 254-63); 睡眠障害(Sabatowski et al., Pain 2004, 109, 26-35; 及びHindmarch et al., Sleep 2005, 28(2), 187-93); エタノール離脱症候群(Becker et al., Alcohol & Alcoholism 2006, 41(4), 399-406); 線維筋痛(Crofford et al., Arthritis and Rheumatism 2005, 52, 1264-73); 下肢静止不能症候群(Sommer et al., Acta Neruol Scand 2007, 115(5), 347-50); 脊髄損傷に関連する痛み(Siddall et al., Neurology 2006, 67(10), 1792-800); 社会不安障害(Pande et al., J Clin Psychopharmacol 2004, 24(2), 141-149); 尿失禁(Barrett US 2005/0090550; 及びSegal et al., WO 00/61135); ほてり(Guttuso, Neurology 2000, 54, 2161-2163; Loprinzi et al., Mayo Clin. Proc. 2002, 77, 1159-1163; Jeffery et al., Ann. Pharmacother. 2002, 36, 433-435; 及びGuttuso et al., Obstet. Gynecol. 2003, 101, 337-345); 早漏(Taylor et al., US 2004/0176456)、外陰部痛(Ben-David et al., Anesth, Analg. 1999, 89, 1459-60);等を含む疾患及び障害の治療において効果的であることが示されてきた。
【0101】
Cundyは、2008年6月13日に出願の米国特許出願第12/139,057号(これはその全体において参照により組み込まれている)で、痙性の治療のためのプレガバリン等のGABA類似物の1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメートプロドラッグの使用を開示し; Tranの、国際公開第2007/027477号及び国際公開第2007/027476号(これらの各々はその全体において参照により組み込まれている)では、外陰部痛及び早漏の治療用のGABA類似物の1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメートプロドラッグの使用が各々で開示され; Barrett及びCundyは、米国特許公開第2008/0161393号(これは、その全体において参照により組み込まれている)で、偏頭痛、線維筋痛、筋萎縮性側索硬化症、過敏性腸症候群、社会不安障害、パーキンソン病、喘息、咳、または慢性閉塞性肺疾患を治療するためのGABA類似物の1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメートプロドラッグの使用; 及び下肢静止不能症候群、ほてりを治療するためのGABA類似物の1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメートプロドラッグの使用を開示し、そして尿失禁はBarrett及びCanafaxの、米国特許公開第2005/0192353号で、Barrett及びGallopの、米国特許公開第2004/0254246号で、そしてBarrettの、米国特許公開第2005/0090550号(これらの各々はその全体において参照により組み込まれている)で、それぞれ開示される。
【0102】
D-NHR4がR-バクロフェン及びその医薬組成物である式(III)の化合物は、痙性、胃食道逆流症、嘔吐症、咳、麻薬依存または乱用、アルコール依存または乱用、ニコチン依存または乱用、尿失禁、神経因性痛、及び有痛性の腰部の痙攣等の筋骨格痛の治療に使用することができる。
【0103】
哺乳類でのバクロフェンの主たる薬理効果は、筋緊張の低下でありそしてこの薬剤は痙性の治療で頻繁に使用される(Price et al., Nature 1984, 307, 71-4)。痙性は、皮質脊髄路への損傷と関連し、そして神経疾患でよく見られる合併症である。痙性が顕著な症状とすることができる疾患及び病気には、脳性麻痺、多数の硬化症、脳卒中、頭部及び脊髄損傷、脳外傷、無酸素症、及び神経変性疾患が含まれる。痙性を有する患者は、凝り、不随意痙攣、及び痛みを訴える。これらの有痛性の痙攣は、特発性かもしれずまたは患者に接触すること等の小さな感覚刺激によって誘発され得る。バクロフェンはまた、胃食道逆流疾患を制御することにおいて(van Herwaarden et al., Aliment. Pharmacol. Ther. 2002, 16, 1655−62; Ciccaglione et al., Gut 2003, 52, 464−70; Andrews et al., US 6,117,908; 及びFara et al., WO 02/096404); アルコール依存患者の中で禁酒を促進することにおいて(Gessa et al., WO 01/26638); 禁煙を促進することにおいて(Gessa et al., WO 01/08675); 麻薬の嗜癖傾向を減少することにおいて(Robson et al., US-4,126,684); 嘔吐症の治療において(Bountra et al., US 5,719,185); 咳の治療に対する鎮咳として(Kreutner et al., US 5,006,560); 三叉神経痛等の神経因性痛を治療することにおいて(Bowsher, Br. Med. Bull. 1991, 47(3), 655-66; Fromm et al., Neurology 1981, 31, 683-7; 及びRingel and Roy, Ann Neurol 1987, 21(5), 514-5); 並びに有痛性の腰部の痙攣等の筋骨格痛(Dapas et al., Spine 1985, 10(4), 345-9; 及びRaphael et al., BMC Musculoskeletal Disorders 2002, 3(17), Epub 2002 June 20); 緊張型頭痛(Freitag, CNS Drugs 2003, 17(6), 373-81); 及び神経根症(Zuniga et al., Anesthesiology 2000, 92(3), 876-880)を治療することにおいて有用である。Cundyは、2008年6月13日に出願の米国特許出願第12/139,057号(ここにその全体において参照により組み込まれている)で、痙性を治療するための、GABA類似物プロドラッグとの組み合わせでR-バクロフェンの1-(アシルオキシ)-アルキル カルバメート プロドラッグの使用を開示し、そしてBenson等は、2008年11月6日に出願の米国特許出願第10/266,169号(これはその全体において参照により組み込まれている)で、神経因性の並びに腰部の、胸部の及び/又は頚部における背中の痙攣等の筋骨格の状態が原因の筋痙攣を含む筋骨格の痛みを治療するための、R-バクロフェンの1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメートプロドラッグの使用を開示する。
【0104】
式(III)の化合物の一定の実施形態では、1つの第一または第二アミン含有の薬剤、D-NHR4は、アセブトロール、アダプロロール、アドレナロン、アドロゴリド、アラダプシン(aladapcin)、アラトロフロキサシン、アルベンダゾール、アルブテロール、アルブトイン、アレンドロネート、アレストラムスチン、アレタミン、アリニジン、アリスキレン、アリザプリド、アルニジタン、アルプラフェノン、アルプレノロール、アルプレノキシム、アルトロマイシンA、アルトロマイシンC、アマンタジン、アミデフリン、アミホスチン、アミカシン、アミロリド、アミノレブリン酸、アミノレクス、アムロジピン、アモスラロール、アモキサピン、アンフェタミン、アムホテリシンB、アムルビシン、アムセラミン、アムタミン、アナバシン、アンギオペプチン、アニスペリムス、アプリノシド、アルベカシン、アルブタミン、アルギオピン、アロチノロール、アスパルテーム、アスポキシシリン、アテノロール、アビザホン、アゾキシバシリン、バクロフェン、バクトボリン、バラノール、バロフロキサシン、バンブテロール、バメタン、バオゴンテンA、バルシバン、バトプラジン、ベカンパネル、ベフノロール、ベラクトシンA、ベラクトシンC、ベナノマイシンB、ベナゼプリル、ベルラフェノン、ベタヒスチン、ベタキソロール、ベバントロール、ビエムナジン、ビノスピロン、ビソプロロール、ボホルマイシン(boholmycin)、ボピンドロール、ブラシリカルジンA、ブリンゾラミド、ブノロール、ブプロピオン、ブタビンジド、ブテラノール(buteranol)、ブトフィロロール、ブトパミン、ブトキサミン、カルダレト、カンベンダゾール、カンブレシジン(cambrescidins)、カプラザマイシン、カプロモレリン、カプサバニル(capsavanil)、カルビドパ、カルブテロール、カルテオロール、カルベジロール、セファクロール、セフカネル、セフカネルダロキサート、セフミノックス、セフプロジル、セフチゾキシム、セリプロロール、セラナプリル、セテフロキサシン、クロロテタイン、クロルテルミン、シラザプリル、シマテロール、シメチジン、シナカルセト、シプロフロキサシン、シルシナミド、シサプリド、シスペンタシン、クロニジン、クロラノロール、クロルプレナリン、コルテロール、シクロベンダゾール、シクロチアリジン、シスタミン、シストシン、シタラマイシン(cytaramycin)、ダベロチン、ダクチミシン、ダラルギン、ダルババンシン、ダウノルビシン、D-シクロセリン、デカプラニン、デフェロキサミン、デラプリル、デラビルジン、デルファプラジン(delfaprazine)、デルセミン、デメキシプチリン、デノパミン、デオキシメチルスペルグアリン、デオキシネガマイシン、デオキシノジリマイシン、デオキシスペルグアリン、デシプラミン、デスロラタジン、デテレノール、デクスプロプラノロール、ジアセトロール、ジヒドレキシジン、ジレバロール、ジメトキシフェネチルアミン、ジナプソリン、ジリスロマイシン、ドブタミン、ドニトリプタン、ドーパミン、ドペキサミン、ドリペネム、ドラゾラミド、ドキソルビシン、ドロキシドーパ、ドロキシナビル、デュロキセチン、ズラマイシン、エセノフロキサシン、エクテイナスシジン、エフェガトラン、エフロルニチン、エグルメガド、エラロフィバン、エナラプリル、エナルキレン、エンカスチン(enkastins)、エノキサシン、エンビロキシム、エフリネフリン(ephrinephrine)、エピバチジン、エピルビシン、エピサロン、エレモマイシン、エルセンチリド、エルタペネム、エサフロキサシン(esafloxacin)、エスモロール、エスペラミシンA1、エチンチジン、エトリプタミン、エキサモレリン、エキサプロロール、エクサテカン、エズロピタント、ファスジル、フェンベンダゾール、フェンフルラミン、フェンメタゾール、フェノルドパム、フェノテロール、フェニリポール、フェプラジノール、フェルリノロール、フレカイニド、フルベンダゾール、フルドレックス、フルオキセチン、フルパロキサン、フルビルシンB2、フルボキサミン、ホルモテロール、ホルチミシンA、ホソパミン、フロバトリプタン、フドステイン、ガボキサドール、ガラルビシン、ガトノン、ガレノキサシン、ガロメフリン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、ギラチド(gilatide)、ギラコダゾール、グルドーパ、ハロフギノン、ヘルベカルジンA、ヘルベカルジンB、ヒスピドスペルミジン、ヒスタプロジフェン、ヒドロスタチンA、イボパミン、イブタモレン、イカドロネート(icadronate)、イカチバント、イコフンギペン、イダルビシン、イミダプリル、インメピップ、インメピル、インムシリン-H、イムペンタミン、インデロキサジン、イノガトラン、イソドキソルビシン、イソファゴミン、ジャンチノマイシン(janthinomycin)、カハラリドF、カイトセファリン、カナマイシン、ケタミン、L-4-オキサリシン、ラベタロール、ラドスチギル、ラガチド、ランジオロール、ラニセミン、ラノマイシン、ラパチニブ、ラザベミド、L−ドーパ、レナペネム、レリセトロン、ロイルビシン、ロイストロズクシンA、ロイストロズクシンB、ロイストロズクシンC、ロイストロズクシンH、レボブノロール、L-ヒスチジノール、L-ホモチオシトルリン、リシノプリル、リトキセチン、ロベンダゾール、ロボホリンA、ロラカルベフ、ロトラフィバン、L-チオシトルリン、ルバゾドン、リソバクチン、マブテロール、マンザミン、マプロチリン、マロピタント、メベンダゾール、メカミラミン、メフロキン、メラガトラン、メルアドリン、メマンチン、メピンドロール、メロペネム、メルサシジン、メタプロテレノール、メタラミノール、メタゾリン、メトクトラミン、メチルドーパ、メチルフェニデート、メトクロプラミド、メトロール、メトプロロール、メチロシン、メキシレチン、ミケラミンB、ミクロノミシン、ミダホテル、ミダキシフィリン(midaxifylline)、ミデプラニン、ミラカイニド、ミルナシプラン、ミトキサントロン、モエキシプリル、モフェギリン、モキシフロキサシン、ムレイドマイシン、ミセステリシンE、n−[3(R)−[2−ピペリジン−4−イル)エチル]−2-ピペリドン−l−イル]アセチル−3(R)−メチル−β−アラニン、ナドロール、ナプサマイシン、ナルデテロール、N-デスメチルミラメリン、ネビボロール、ネボグラミン、ネブラセタム、ネピカスタット、ネラメキサン、ネリドロナート、ネミフィチド、ニフェジピン、ニモジピン、ニプラジロール、ノベラスチン、ノコダゾール、ノロミロール、ノルエピネフリン、ノルフロキサシン、ノルニコチン、ノルトピキサントロン、ノルトリプチリン、ヌバニル、オベラジロール、オクトレオチド、オラムフロキサシン、オルセゲパント、オルラジピン、オルビフロキサシン、オリエンチシン、オリタバンシン、オセルタミビル、オスチジン、オボチオールA、オボチオールB、オクスフェンダゾール、オキシベンダゾール、オクスメチジン、オキソリド、オクスプレノロール、パフェノロール、パラウアミン、パリンドール、パマトロール、パミドロナート、パプアミドA、パプアミドB、パーベンダゾール、パロジロール、パロモマイシン、パロキセチン、パシレオチド、パズフロキサシン、ペラギオミシンC、ペンブトロール、ペリンドプリル、フェンジオキサン、ホスホリン、ピクメテロール、ピンドロール、p-ヨードルビダゾン、ピペジミック酸(pipedimic acid)、ピルブテロール、ピキサントロン、プルラフラビンA、プルラフラビンB、ポストスタチン、プラクトロール、プラディマイシン、プラディマイシンB、プラディマイシンD、プラディマイシンE、プラディマイシンFA-2、プラドフロキサシン、プラミペキソール、プラニジピン、プラゾシン、プレガバリン、プレマフロキサシン、プレナルテロール、プリミドロール、プリソチノール、プリジジロール、プロカインアミド、プロカテロール、プロパフェノン、プロパノロール、プロトリプチリン、プロキソドロール(proxodolol)、プソイドエフェドリン、ピロリシジンB、ピリダゾマイシン、キナプリル、キンテレノール、R-(+)-アミノインダン、ラルフィナミド、ラミプリル、ラモプラニン、ラニチジン、ラサギリン、ラビドマイシン、レボキセチン、レマセミド、レピノタン、レプロテロール、レストリクチシン、ロドペプチン、リルマザホン、リミテロール、リソチリド、リトドリン、ルボキシル、サバルビシン(sabarubicin)、サフィナミド、サフィンゴール、サルボスタチン、サルブタモール、サルメテロール、サンパトリラット、サリゾタン、セグリチド、セプロキセチン、セラスペニド(seraspenide)、セルトラリン、セタジンドール、セゾラミド、シバノミシン、シベナデト、シロドシン、シタフロキサシン、サコロマイシン(sacoromycin)、ソラベグロン、ソルペカイノール、ソテレノール、スパルフロキサシン、スペラビリン、スピノルフィン、スピスロシン、スクアラミン、スチログアニジン、スルフィナロール、スルホンテロール、スロクチジル、スルファゾシン(sulphazocine)、スルホスチン、スマニロール、タビラウチド、タビモレリン、タフェノキン、タゲフラー(tageflar)、トラモロール、タリベグロン、タムスロシン、タルギニン(targinine)、タゾロール、テカルセット、テラバンシン、テモカプリル、テルブタリン、テルタトロール、テトラフィブリシン、テトラヒドラゾリン、テトリンドール、テプルビシン、チアベンダゾール、チオフェドリン(thiofedrine)、トラザリン、チアムジピン、チアメニジン、チアネプチン、チエノキソロール、チゲシクリン、チリソロール、チモロール、チナゾリン、チオチジン、チピファルニブ、チプレノロール、チプロピジル、チロフィバン、トカイニド、トラゾリン、トモキセチン、トピキサントロン、トスフロキサシン、トラマゾリン、トランドラプリル、トラネキサム酸、トラニルシプロミン、トリアムテレン、トロバフロキサシン、トロキシピド、ツフトシン、ツラスロマイシンB、ツロブテロール、ウビスタチン、ウリフロキサシン、ウチバプリル、ベスチピタント、ビセニスタチン、ビガバトリン、ビルダグリプチン、ビロキサジン、ボホピタント、ボグリボース、キサモテロール、キシメラガトラン、キシロメタゾリン、ザビシプリラト、ゼランドパム、ジコノチド、ジルパテロール、ゾルビシン、α-メチルトリプトファン、α-メチルエピネフリン、(-)-シクロプロロール、(-)-ネビボロール、(+)-イサモルタン、(+)-ソタロール、(R)-(+)-アムロジピン、(S)-ノルエモパミル、1−エチル−6−フルオロ−1,21-アミノエポチロンB、4−ジヒドロ−4−オキソ−7−(1−ピペラジニル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−7−(ピペラジニル)−3−キノリンカルボン酸、7-オキソスタウロスポリン、8−ナフチリジン(napthyridine)−3−カルボン酸、及び1−シクロプロピル−6−フルオロ−1から選択される。他の第二または第一アミン含有の薬剤D-NHR4は、例えば、2006年に出版のthe Merck Indexの第14版、または2007年に出版のthe Physicians Desk Referenceの第62版等の、熟練した化学者が利用できる様々な概論に記載される。従って、このような参考文献に記載の第二または第一アミン含有の薬剤D-NHR4は、本発明の開示によって包含される。従って、本発明の開示によって供される方法に従って合成される、対応する1-(アシルオキシ)-アルキルカルバメートプロドラッグ及びこの医薬組成物は、本第二または第一アミン含有薬剤が治療効果のある疾患を治療するために使用することができる。
【0105】
一定の実施形態では、D-NHR4は、アレンドロナート、アミフォスチン、rac−バクロフェン、R−バクロフェン、カルビドパ、クロニジン、cシプロフロキサシン、シサプリド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フェノルドパム、フェノテロール、ガバペンチン、ゲンタマイシン、カナマイシン、レボドーパ、メロペネム、メタゾリン、ネオマイシン、パミドロナート、プレガバリン、トブラマイシン、トラネキサム酸、トロバフロキサシン、及びビガバトリンから選択される。一定の実施形態では、D-NHR4は、R-バクロフェン及びプレガバリンから選択される。一定の実施形態では、D-NHR4は、ここに定義されるようなGABA類似物である。
【実施例】
【0106】
以下の実施例は、アシロキシアルキルチオカーボネートの酵素による分解、開示される方法を使用して合成される鏡像異性体またはジアステレオマーが豊富な化合物、及びアシロキシアルキルカルバメートプロドラッグの合成における、酵素的に分解されるアシロキシアルキルチオカーボネートの使用、を詳細に記載する。開示の範囲から逸脱することなく、材料及び方法両方の、多くの変更を実行することができることは、それらの当業者にとって明らかであろう。
【0107】
一般的な実験的手順
全ての試薬及び溶媒は、市販業者から購入しそしてさらに精製または処置することなく使用した。
プトンNMRのスペクトル(400 MHz)は、自動回収装置及びデータ処理計算が備えられたバリアン AS 400 NMR スペクトロメータ上で記録された。CDCl3 (99.8% D)、DMSO-d6 (99.9% D)、またはMeOH-d4 (99.8+% D)は、特に断りのない限り溶媒として使用された。CHCl3、DMSO-d5、またはMeOH-d3の溶媒シグナルは、各スペクトルの較正のために使用された。中間体の鏡像体過剰率(e.e.)の測定は、反磁性の鏡像異性的に純粋なキラル共溶媒(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノール(Pirkle-アルコール)の存在下及び対応するラセミサンプルの1H NMRスペクトルとの比較下で、1H NMR分光法によって達成される。
【0108】
全てのチオカーボネートは、2段階の反応順序に従って合成される。酵素による反応は、攪拌または振動させながら室温で水に約5 wt%〜約10wt%の酵素を用いて実行された。反応及び酵素選択性の進行は、キラル溶媒和剤(chiral solvating agent)として(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノール(例えば、PirkleまたはHoover試薬)を用いた1H-NMRを使用して測定された。
【0109】
鏡像体過剰率は、逆相カラムを用いるキラルHPLCを使用して測定された。例えば、鏡像体過剰率を測定するために、chiral Technologies ChiralCel OJ-RH 4.6×150 mmのカラムを用いるWaters 2795 HPLCが使用された。カラム温度は35℃で、そして移動相は(A) 20 mM カリウムリン酸一塩基緩衝液(pH 2.5)及び(B)2%の緩衝液/8%の水/90%のアセトニトリル(ACN)であった。10μLのサンプル(1.0 mg/mL)は、カラムの中へ注入され、そして210nmでWaters 996 PDAを用いて測定された。
【0110】
酵素的に分解されるチオカーボネートの絶対配置は、チオカーボネートを既知の立体化学を有する化合物へ誘導体化し、そしてキラルHPLCカラムでの保持時間を比較することによって決定された。例えば、既知の立体化学を有する化合物は、以下のスキームに従って、バイヤービリガー酸化を用いて調製された。
【化15】

【0111】
例えば、1-(S)-3-({[1-(2-メチルプロパノイルオキシ)エトキシ]カルボニルアミノ}メチル)(3S)-5-メチルヘキサン酸(d)は、(1S)-1,3-ジメチル-2-オキソブチル(4-ニトロフェノキシ)ギ酸塩(b)を供給するために、ジクロロメタン(DCM)中のトリエチルアミン(TEA)の存在下で、(2S)-2-ヒドロキシ-4-メチルペンタン-3-オン(a)及び4-ニトロフェニル クロロギ酸塩を反応させることによって調製される。そして、(1S)-1,3-ジメチル-2-オキソブチル(4-ニトロフェノキシ)ギ酸塩は、(3S)-3-{[((S)-1,3-ジメチル-2-オキソブトキシ)カルボニルアミノ]メチル}-5-メチルヘキサン酸(c)を供給するために、テトラヒドロフラン(THF)及び水の混合物内でプレガバリンと反応させられる。そして、中間体(c)は、1-(S)-3-({[1-(2-メチルプロパノイルオキシ)エトキシ]カルボニルアミノ}メチル)(3S)-5-メチルヘキサン酸(d)を供するために、室温でジクロロメタン(DCM)中でメタ-クロロペルオキシ安息香酸(mCPBA)(2.5当量)及びナトリウム炭酸水素塩(NaHCO3)(1当量)とオーバーナイトで反応させた。
【0112】
他の鏡像異性的にまたはジアステレオマー的に純粋な化合物は、同様の方法を使用して、そして(2S)-2-ヒドロキシ-4-メチルペンタン-3-オンを既知のそして特定の立体化学を有する適当な化合物と交換し、そしてプレガバリンをガバペンチン、バクロフェン等の適当な薬剤と交換して調製された。
【0113】
実施例1
クロロアルキルメタンチオカーボネート(1a-1c)
ジクロロメタン(DCM)中のクロロアルキル-クロロギ酸塩の攪拌された溶液へ、0℃の水中のナトリウムメタンエチオラート(CH3-SNa)(1.0 当量)溶液及び0.02当量のテトラブチルアンモニウムブロミドが添加された。反応物は、0℃で30分間攪拌され、そしてジクロロメタン(DCM)で希釈された。ジクロロメタン層は、分離することができ、そして水及びブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥した。溶媒を除去するための回転蒸発の後、対応するクロロアルキルメタンチオカーボネート(1)が得られた。
【0114】
1-クロロ-2-メチルプロピルメチルチオギ酸塩(1a): 1H-NMR (CDCl3): δ 1.05 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、1.07 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、2.18 (m, 1H)、2.38 (s, 3H)、6.34 (d, J = 5.6 Hz, 1H) ppm。
【0115】
クロロブチルメチルチオギ酸塩(1b): 1H-NMR (CDCl3): δ 0.97 (t, J = 7.6 Hz, 3H)、1.51 (sextet, J = 7.6 Hz, 2H)、2.02 (m, 2H)、2.40 (s, 3H)、6.48 (t, J = 6.0 Hz, 1H) ppm。
【0116】
クロロエチルメチルチオギ酸塩(1c): 1H-NMR (CDCl3): δ 1.80 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、2.37 (s, 3H)、6.57 (q, J = 5.6 Hz, 1H) ppm。
【0117】
実施例2
ラセミアシロキシアルキルメタンチオカーボネート(2a-2h)
実施例1に従って調製されるクロロアルキルメタンチオカーボネートを、カルボン酸(4当量)及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(2当量)の混合物へ添加した。かかる混合物は、75℃で24時間攪拌した。そして、混合物を水及びメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)の間で分配した。MTBE層は、水、水性の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、水、及びブラインで3回洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)により乾燥した。溶媒を回転蒸発により除去した後、対応するラセミアシロキシアルキルメタンチオカーボネート(2)が60〜80%の収率で得られた。
【0118】
1-メチルチオカルボニルオキシエチル 2-メチルプロパノアート(2a): 1H-NMR (CDCl3): δ 1.18 (d, J = 7.0 Hz, 3H)、1.16 (d, J = 7.6 Hz, 3H)、1.50 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、2.34 (s, 3H)、2.55 (septet, J = 7.2 Hz, 1H)、6.92 (q, J = 5.6 Hz, 1H) ppm。キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル )エタノールを使用した1H-NMR : δ 1.18 (m, 6H)、1.495 (d, J = 5.2 Hz, 1.5H)、1.50 (d, J = 5.6 Hz, 1.5H)、2.33 (s, 1.5H)、2.34 (s, 1.5H)、2.56 (septet, J = 7.2 Hz, 0.5H)、2.56 (septet, J = 7.2 Hz, 0.5H)、6.92 (q, J = 5.6 Hz, 0.5H)、6.92 (q, J = 5.6 Hz, 0.5H) ppm。
【0119】
2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピル 2-メチルプロパノアート (2b): 1H-NMR (CDCl3): δ 0.96 (d, J = 6.8 Hz, 6H)、1.16 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.17 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.98-2.07 (m, 1H)、2.32 (s, 3H)、2.56 (septet, J = 7.2 Hz, 1H)、6.67 (d, J = 5.6 Hz, 1H) ppm。キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル )エタノールを使用した1H-NMR : δ 0.98 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、0.99 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.19 (d, J = 7.2 Hz, 1.5H)、1.19 (d, J = 6.8 Hz, 1.5H)、1.20 (d, J = 6.8 Hz, 1.5H)、1.20 (d, J = 7.2 Hz, 1.5H)、2.01-2.09 (m, 1H)、2.34 (s, 1.5H)、2.44 (s, 1.5H)、2.59 (septet, J = 7.2 Hz, 0.5H)、2.594 (septet, J = 6.8 Hz, 0.5H)、6.70 (d, J = 5.6 Hz, 0.5H)、6.70 (d, J = 5.2 Hz, 0.5H) ppm。
【0120】
メチルチオカルボニルオキシブチル 2-メチルプロパノアート (2c): 1H-NMR (CDCl3): δ 0.96 (t, J = 7.2 Hz, 3H)、1.17 (m, 6H)、1.41 (sextet, J = 7.2 Hz, 2H)、1.76 (m, 2H)、2.34 (s, 3H)、2.56 (m, 1H)、6.85 (t, J = 6.0 Hz, 1H) ppm。キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル )エタノールを使用した1H-NMR : δ 0.96 (t, J = 7.2 Hz, 3H)、1.18 (m, 6H)、1.42 (m, 2H)、1.78 (m, 2H)、2.34 (s, 1.5H)、2.34 (s, 1.5H)、2.57 (septet, J = 7.2 Hz, 0.5H)、2.57 (septet, J = 7.2 Hz, 0.5H)、6.86 (t, J = 5.6 Hz, 0.5H)、6.86 (t, J = 5.6 Hz, 0.5H) ppm。
【0121】
2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピル ブタノアート(2d): 1H-NMR (CDCl3): δ 0.96 (t, J = 7.2 Hz, 3H)、0.97 (d, J = 7.2 Hz, 3H)、0.98 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.68 (sextet, J = 7.2 Hz, 2H)、2.04 (m, 1H)、2.3 (t, J = 7.2 Hz, 2H)、2.34 (s, 3H)、6.70 (d, J = 5.2 Hz, 1H) ppm。キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル )エタノールを使用した1H-NMR : δ 0.95 (t, J = 7.2 Hz, 1.5H)、0.96 (t, J = 7.2 Hz, 1.5H)、0.98 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、0.98 (d, J = 7.2 Hz, 3H)、1.66 (sextet, J = 7.2 Hz, 1H)、1.66 (sextet, J = 7.2 Hz, 1H)、2.03 (m, 1H)、2.32 (m, 2H)、2.34 (s, 1.5H)、2.34 (s, 1.5H)、6.70 (d, J = 5.2 Hz, 0.5H)、6.70 (d, J = 5.2 Hz, 0.5H) ppm。
【0122】
1-メチルチオカルボニルオキシブチル ブタノアート(2e): 1H-NMR (CDCl3): δ 0.95 (m, 6H)、1.41 (sextet, J = 7.2 Hz, 2H)、1.66 (m, 2H)、1.75 (m, 2H)、2.29 (m, 2H)、2.34 (s, 3H)、6.87 (t, J = 5.6 Hz, 1H) ppm。キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル )エタノールを使用した1H-NMR : δ 0.95 (t, J = 7.2 Hz, 1.5H)、0.95 (t, J = 7.2 Hz, 1.5H)、0.96 (t, J = 7.4 Hz, 3H)、1.40 (m, 2H)、1.65 (sextet, J = 7.2 Hz, 1H)、1.66 (sextet, J = 7.2 Hz, 1H)、1.77 (m, 2H)、2.31 (m, 2H)、2.34 (s, 1.5H)、2.34 (s, 1.5H)、6.87 (t, J = 5.6 Hz, 1H) ppm。
【0123】
2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピル アセテート (2f): 1H-NMR (CDCl3): δ 0.96 (d, J = 7.0 Hz, 3H)、0.98 (d, J = 7.0 Hz, 3H)、2.10 (s, 3H)、2.34 (s, 3H)、6.68 (d = 5.2 Hz, 1H) ppm。キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル )エタノールを使用した1H-NMR : δ 0.98 (m, 6H)、2.04 (m, 1H)、2.08 (s, 1.5H)、2.09 (s, 1.5H)、2.34 (s, 1.5H)、2.34 (s, 1.5H)、6.69 (d, J = 5.6 Hz, 0.5H)、6.69 (d, J = 5.6 Hz, 0.5H) ppm。
【0124】
メチルチオカルボニルオキシエチルベンゾアート(2g): 1H-NMR (CDCl3): δ 1.65 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、2.35 (s, 3H)、7.20 (q, J = 5.6 Hz, 1H)、7.45 (m, 2H)、7.58 (m, 1H)、8.06 (m, 2H) ppm。
【0125】
2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシエチルベンゾアート (2h) 1H-NMR (CDCl3): 1.07 (3H, d, J = 6.8 Hz)、1.08 (3H, d, J = 6.8 HZ)、2.18-2.23 (1H, m)、2.35 (3H, s)、6.97 (1H, d, J = 5.2 Hz)、7.44 (2H, m)、7.58 (1H, m)、8.05 (2H, m)。
【0126】
水相での酵素による加水分解の一般的な手順
50mM pH 7.2のリン酸緩衝液(45mL)中の酵素の懸濁(5〜10重量%)及びイソプロピルエーテル(5mL)中のラセミアシロキシアルキルメタンチオカーボネート(実施例2)(10mmol)を、室温(25℃)でオービタルシェーカー(orbital shaker)上で振とうした。反応は、キラル溶媒和剤を使用した1H-NMRによって測定された。反応が完了した後、反応混合物をセライト(商標登録)545のパッドを通して濾過し、続いてメチル-tert-ブチル エーテル(MTBE)で抽出し、水及びブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。溶媒を除去するための回転蒸発の後に、対応する酵素的に分解されたアシロキシアルキルメチルチオカーボネートが得られた。
【0127】
実施例3
(1R)-メチルチオカルボニルオキシエチル2-メチルプロパノアート(3)
pH 7.2リン酸緩衝生理食塩水(1.6L)中のメチルチオカルボニルオキシエチル-2-メチルプロパノアート(2a)(180g)及びカンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパ−ゼBを取り込んだリパ−ゼアクリル樹脂(Novozyme 435, Sigma-Aldrich)(8.0g)の混合物を室温で攪拌した。反応は、キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノール使用した1H-NMRによって測定した。反応は、16時間で完了した。反応混合物をエーテルで希釈し、そしてエーテル層を分離し酵素を除去するためにセライト(商標登録)545のパッドを通して濾過した。エーテルの上澄みは、水(5回)及びブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。回転蒸発の後、90gの表題の化合物(3)が得られた。キラル溶媒和剤を使用した1H-NMRによって、単一異性体の存在が確認された。既知の立体化学を有する化合物への誘導体化によって、絶対配置が確定された。1H-NMR (CDCl3): δ 1.18 (d, J = 7.0 Hz, 3H)、1.16 (d, J = 7.6 Hz, 3H)、1.50 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、2.34 (s, 3H)、2.55 (septet, J = 7.2 Hz, 1H)、6.92 (q, J = 5.6 Hz, 1H) ppm。キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノールを使用した1H-NMR: δ 1.18 (m, 6H)、1.49 (d, J = 5.2 Hz, 1.5H)、1.5 (d, J = 5.6 Hz, 1.5H)、2.33 (s, 1.5H)、2.34 (s, 1.5H)、2.55 (septet, J = 7.2 Hz, 0.5H)、2.56 (septet, J = 7.2 Hz, 0.5H)、6.92 (q, J = 5.6 Hz, 0.5H)、6.921 (q, J = 5.6 Hz, 0.5H) ppm。
【0128】
実施例4
(1R)-2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピル 2-メチルプロパノアート(4)
pH 7.2のリン酸緩衝生理食塩水(1L)中の2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピル 2-メチルプロパノアート(2b)(125g)及びカンジダルゴサ(Candida rugosa)由来のリパ−ゼ(Sigma-Aldrich)(12.5g)の混合物を室温で攪拌した。反応は、キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノールを使用した1H-NMRによって測定された。反応はオーバーナイトで攪拌が行われた。そして反応混合物は、エーテルで希釈し、そしてエーテル層は分離し酵素を除去するためにセライト(商標登録)545のパッドを通して濾過した。エーテル層は、水性の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)(5回)、ブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。溶媒を除去するための回転蒸発の後、30.4gの表題の化合物(4)が得られた。キラル溶媒和剤を使用した1H-NMRによって、単一異性体の存在が確認された。絶対配置は、既知の立体化学を有する化合物への誘導体化によって決定された。1H-NMR (CDCl3): δ 0.96 (d, J = 6.8 Hz, 6H)、1.16 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.17 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.98-2.07 (m, 1H)、2.32 (s, 3H)、2.56 (septet, J = 7.2 Hz, 1H)、6.67 (d, J = 5.6 Hz, 1H) ppm。
【0129】
実施例5
(1R)-1-メチルチオカルボニルオキシエチルベンゾアート (5)
pH 7.2のリン酸緩衝生理食塩水(500mL)中の1-メチルチオカルボニルオキシエチル ベンゾアート(2g)(50g)及びカンジダルゴサ(Candida rugosa)由来のリパ−ゼ(2.50g)の混合物を室温で攪拌した。反応は、キラル溶媒和剤 (R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノールを使用した1H-NMRによって測定した。反応は、約12時間後に完了した。反応混合物を、エーテルで希釈し、そしてエーテル層を分離し酵素を除去するためにセライト(商標登録)545のパッドを通して濾過した。エーテル層は、水性の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)(5回)及びブラインを用いて洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した溶媒を回転蒸発によって除去した後、22gの表題の化合物(5)が得られた。キラル溶媒和剤を使用した1H-NMRによって、単一異性体が示され、そして既知の立体化学を有する化合物への誘導体化によって絶対配置が確定された。1H-NMR (CDCl3): δ 1.65 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、2.35 (s, 3H)、7.20 (q, J = 5.6 Hz, 1H)、7.45 (m, 2H)、7.58 (m, 1H)、8.06 (m, 2H) ppm。
【0130】
実施例6
(1S)-メチルチオカルボニルオキシエチルベンゾアート (6)
pH 7.2のリン酸緩衝生理食塩水(1.6L)中の1-メチルチオカルボニルオキシエチル ベンゾアート(2g)(38g)及びカンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパ−ゼBを含有するリパ−ゼ アクリル樹脂(Novozyme 435, Sigma-Aldrich)(3.8g)の混合物を、室温で攪拌した。反応は、キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノールを使用した1H-NMRによって測定した。反応は、約10日で完了した。そして反応混合物を、エーテルで希釈し、そしてエーテル層を分離し酵素を除去するためにセライト(商標登録)545のパッドを通して濾過した。エーテルの上澄みは水(5回)及びブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。溶媒が回転蒸発によって除去された後、15.1gの表題の化合物(6)が得られた。キラル溶媒和剤を使用した1H-NMRによって単一異性体が示され、そして既知の立体化学を有する化合物への誘導体化によって絶対配置が確定された。
【0131】
実施例7
(1R)-2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピルブタノアート (7)
2mLのジイソプロピル エーテル中の2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピル ブタノアート溶液(2d)(0.5g)へ、カンジダルゴサ(Candida rugosa)由来の0.025gのリパ−ゼを添加し、続いて10mLのリン酸緩衝液を添加した。混合物を室温で約24時間攪拌した。反応混合物をエーテルで希釈し、そして有機溶液をセライト(商標登録)545のパッドを通して濾過した。エーテル溶液は水(2回)及びブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発し、0.16g(64%の収率)の表題の化合物(7)が供された。キラル溶媒和剤を使用した1H-NMRによって単一異性体が示され、そして既知の立体化学を有する化合物への誘導体化によって絶対配置が確定された。
【0132】
実施例8
(1R)-1-メチルチオカルボニルオキシブチル 2-メチルプロパノアート (8)
2mLのジイソプロピルエーテル及び10mLのpH 7.2のリン酸緩衝液中のメチルチオカルボニルオキシブチル 2-メチルプロパノアート (2c)(0.5g)及びカンジダシリンドラセア(Candida cylindracea)(Sigma-Aldrich)(0.025g)の混合物を室温で約24時間振とうした。反応混合物をジイソプロピルエーテルで希釈し、そしてセライト(商標登録)545のパッドを通して濾過した。有機溶液は水(2回)及びブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。回転蒸発による溶媒の除去の後、0.147gの表題の化合物(8)が得られた。キラル溶媒和剤を使用する1H-NMRによって単一異性体が示され、そして既知の立体化学を有する化合物への誘導体化によって絶対配置が確定された。
【0133】
実施例9
(1R)-メチルチオカルボニルオキシブチルブタノアート (9)
2mLのイソプロピル エーテル及び20mLのpH 7.2のリン酸緩衝液中の1-メチルチオカルボニルオキシブチル ブタノアート (2e) (0.5g)及びカンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパ−ゼB(Novozyme 435)(75mg)の混合物を室温でオービタルシェーカー上で振とうした。反応は、キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノールを使用した1H-NMRによって測定された。24時間後、反応物をジイソプロピルエーテルで希釈し、そしてセライト(商標登録)545のパッドを通して濾過した。エーテル層は水及びブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)を用いて乾燥した。溶媒を除去するための回転蒸発の後、0.21gの表題の化合物(9)が得られた。キラルHPLCによって鏡像体過剰率99% e.e.が示された。既知の立体化学を有する化合物への誘導体化によって絶対配置が確定された。
【0134】
実施例10
(1R or 1S)-2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピルベンゾアート (10)
溶媒(10mLのイソプロピルエーテル及び80mLのpH 7.2リン酸緩衝生理食塩水)中の2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピルベンゾアート(2h)(7g)及びカンジダルゴサ(Candida rugosa)(0.7g)の混合物を、室温でオービタルシェーカー上で振とうした。反応はキラル溶媒和剤を使用した1H-NMRによって測定された。約7日後、1つの異性体のみ残存することが1H-NMRによって示された。反応混合物をエーテルで希釈し、そしてエーテル層を分離した。エーテル層をセライト(商標登録)545のパッドを通して濾過し、水及びブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)を用いて乾燥した。回転蒸発によって1.48gの表題の化合物が無色油として得られた。この化合物の立体化学は確定されなかった。
【0135】
実施例11
(1R)-2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピルアセテート (11)
実施例9の手順に従い、そして1-メチルチオカルボニルオキシブチルブタノアート(2e)の代わりに2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピルアセテート(2f)を使用して、表題の化合物(11)が鏡像体過剰率94% e.e.(54%の収率)で得られた。
【0136】
PLE/MPEGの調製
水2,000mL中のブタ肝臓エステラーゼ(PLE)(Sigma-Aldrich, 7.5g)溶液へポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル(MPEG)(Scientific Polymer Products, Inc., 5000 Mw)を添加した。透明な溶液となるまで得られた混合物を攪拌した。凍結乾燥中のガラス製品の破損を防ぐために、100mLのアセトニトリルを溶液へ添加した。混合物をさらに30分間攪拌し透明な溶液が形成された。そしてかかる溶液は、凍結乾燥され、ふわふわした白粉としてPLE/MPEG(50mg/1g)が得られた。
【0137】
実施例12
(1S)-2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピル 2-メチルプロパノアート (12)
透明な溶液が得られるまで(約5時間)、990mLメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)及び10mLの水の混合物を攪拌した。この溶液へ2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピル 2-メチルプロパノアート(2b)(50g)及びPLE/MPEG(50mg/1g, 7.5g)を添加した。得られた懸濁液を室温で攪拌した。反応は、キラル溶媒和剤を使用する1H-NMRによって測定した。反応混合物中に1つの鏡像異性体のみ残存することが1H-NMRによって示された後(約48時間)、反応をセライト(商標登録)545のパッドを通した濾過によって停止した。上澄みを水、水性の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)及びブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。回転蒸発の後、表題の化合物(12)が70%の収率で得られた。キラルHPLCによって測定されたS-鏡像異性体の鏡像体過剰率は100% e.e.であった。1H-NMR(CDCl3): δ 0.96 (d, J = 6.8 Hz, 6H)、1.16 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.17 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.98-2.07 (m, 1H)、2.32 (s, 3H)、2.56 (septet, J = 7.2 Hz, 1H)、6.67 (d, J = 5.6 Hz, 1H) ppm。キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノールを使用する1H-NMR: δ 0.98 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、0.99 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.19 (d, J = 7.2 Hz, 1.5H)、1.19 (d, J = 6.8 Hz, 1.5H)、1.20 (d, J = 6.8 Hz, 1.5H)、1.20 (d, J = 7.2 Hz, 1.5H)、2.01-2.09 (m, 1H)、2.34 1(s, 1.5H)、2.44 (s, 1.5H)、2.59 (septet, J = 7.2 Hz, 0.5H)、2.59 (septet, J = 6.8 Hz, 0.5H)、6.70 (d, J = 5.6 Hz, 0.5H)、6.70 (d, J = 5. 2 Hz, 0.5H) ppm。
【0138】
実施例13
(1S)-2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピル-2-メチルプロパノアートの代替合成(13)
100μL 0.4Mのリン酸緩衝液(pH 7.5)中の2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピル 2-メチルプロパノアート(2b)(119mg)及びカンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパ−ゼA(4-6μL, Novozyme 735, 6 units/mg)を500μLのリン酸緩衝液(0.4〜0.8M, pH7.5)へ添加し、そしてエッペンドルフサーモミキサー(Eppendorf thermomixer)上で29℃で1,000rpmで振とうした。約43時間後、キラルHPLC分析によって、表題の化合物(13)の99% e.e.の鏡像体過剰率が示された。
【0139】
実施例14
(1S)-2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピルブタノアート(14)
2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピルブタノアート(2d)(1g)を、20mLのMTBE中に溶解し、1%の水で飽和させ、1.3gのPLE/MPEG(7.5% , 60 mg/1 g)を添加し、そして混合物を室温で24時間振とうした。ヘキサンを反応混合物へ添加し、そしてセライト(商標登録)545のパッドを通した濾過の後、有機溶液を水、水性の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)及びブラインを使用して洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。減圧下での溶媒の蒸発の後、表題の化合物(14)が得られた(0.29g,58%の収率)。既知の立体化学を有する化合物への誘導体化によって絶対配置が決定された。
【0140】
実施例15
(1S)-1-メチルチオカルボニルオキシブチル 2-メチルプロパノアート (15)
22mLのメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)及び0.22mLの水の混合物を、透明な溶液が得られるまで(約5時間)攪拌した。この溶液に対して、メチルチオカルボニルオキシブチル 2-メチルプロパノアート (2c)(1.11g)及びPLE/MPEG(50mg/1g, 1.5g)を添加した。得られた懸濁液を室温で攪拌した。反応は、キラル溶媒和剤を使用する1H-NMRによって測定された。約5日後、セライト(商標登録)545のパッドを通した濾過によって反応は停止された。上澄みを水、水性の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)及びブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。溶媒の回転蒸発によって、表題の化合物(15)が0.22g得られた(40%の収率)。キラルHPLCによって測定されるように、鏡像体過剰率は88% e.e.であった。
【0141】
実施例16
(1S)-1-メチルチオカルボニルオキシブチルブタノアート (16)
33mLのメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)及び0.33mLの水の混合物を、透明な溶液が得られるまで(約5時間)攪拌した。この溶液にメチルチオカルボニルオキシブチル ブタノアート(2e)(2.0g)及びPLE/MPEG(60mg/1g; 12.65g)を添加した。得られた懸濁液を室温で攪拌した。反応は、キラル溶媒和剤を使用する1H-NMRによって測定された。約5日後、セライト(商標登録)545のパッドを通した濾過によって反応は停止された。上澄みを水、水性の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)及びブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。溶媒の蒸発によって、表題の化合物(16)が0.20g得られた(20%の収率)。キラルHPLCによって測定されるように、鏡像体過剰率は90% e.e.であった。
【0142】
実施例17
(1S)-2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピルアセテート (17)
20mLのメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)及び0.2mLの水を溶液が透明になるまで4時間振とうし、そして透明になったその時1gの2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピルアセテート(2f)を、続いて1.32gのPLE/MPEG(60mg/1g)を添加した。混合物をオービタルシェーカー上で7時間振とうした。ヘキサンを添加し、そして混合物を、セライト(商標登録)545のパッドを通して濾過した。かかる有機溶液を水、水性の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)及びブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。溶媒の蒸発後、64% e.e.の鏡像体過剰率を有する0.32g(64%の収率)の表題の化合物(17)が得られた。独立した立体特異的な合成及び既知の立体化学を有する化合物への誘導体化によって絶対配置が決定された。
【0143】
実施例18
(3S)-{[(1R)-イソブタノイルオキシエトキシ]カルボニルアミノメチル}-5-メチル-ヘキサン酸 (18)
ステップA: (1R)-1-メチルチオカルボニルオキシエチル-2-メチルプロパノアート (3)
【化16】

メカニカルスターラー(mechanical stirrer)、遊離型の(librated)メタンチオール及びアセトアルデヒドを酸化するための酸化槽(oxidation bath)及びブリーチ槽(bleach bath)(14%のNaOCl)へ接続された窒素の入口及び出口を有する、20-Lの多口の(multi-necked)円筒型反応器に、ラセミ 1-メチルチオカルボニルオキシエチル-2-メチルプロパノアート (2a) (5.32 kg, 25.8mol)及び0.8 M リン酸緩衝液(10 L, pH 7.0)を入れた。溶液を攪拌する間、固体支持されたカンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパ−ゼB(125 g, Novozyme 435)をゆっくりと添加した。反応混合物を室温で(22〜24℃)約18時間攪拌した。
【0144】
そして、反応混合物をメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)(8 L)で希釈し、そして有機相を分離した。有機相をリン酸緩衝液(0.57 M, 2×5 L)、水(10 L)及びブライン(7 L)で洗浄した。固体支持された酵素を濾過によって除去し、そして有機相を硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥し、濾過しそして回転蒸発によって濃縮し表題の化合物(3)を単黄色油として得た。さらに生成物を65℃の減圧下で濃縮し、2.45 kgの表題の化合物(3)(92%の収率)が供された。1H-NMR (CDCl3): δ 1.17 (d, J = 7.0 Hz, 3H)、1.18 (d, J = 7.6 Hz, 3H)、1.59 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、2.34 (s, 3H)、2.55 (septet, J = 7.2 Hz, 1H)、6.92 (q, J = 5.6 Hz, 1H) ppm。キラル溶媒和剤として(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノールの存在下での1H-NMR(CDCl3): δ 1.17 (d, J = 7.2 Hz, 3H)、1.18 (d, J = 7.2 Hz, 3H)、1.48 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、2.33 (s, 3H)、2.56 (septet, J = 7.2 Hz, 1H)、6.92 (q, J = 5.6 Hz, 1H) ppm。
【0145】
比較のための、ラセミ 1-メチルチオカルボニルオキシエチル-2-メチルプロパノアート: キラル溶媒和剤としての(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノールの存在下での1H-NMR(CDCl3): δ 1.18 (m, 6H)、1.49 (d, J = 5.2 Hz, 1.5H)、1.50 (d, J = 5.6 Hz, 1.5H)、2.33 (s, 1.5H)、2.34 (s, 1.5H)、2.55 (septet, J = 7.2 Hz, 0.5H)、2.56 (septet, J = 7.2 Hz, 0.5H)、6.92 (q, J = 5.6 Hz, 0.5H)、6.92 (q, J = 5.6 Hz, 0.5H) ppm。
【0146】
ステップ B: {[(1R)−イソブタノイルオキシエトキシ]カルボニルオキシ}スクシンイミド(18b)
【化17】

メカニカルスターラー、内部温度計及び窒素入口を有する、20-Lの被覆された反応容器に、(1R)-1-メチルチオカルボニルオキシエチル-2-メチルプロパノアート(3)(1.44 kg, 7 mol)、及びジクロロメタン(DCM)(8L)中のN-ヒドロキシスクシンイミド(1.61 kg, 14 mol)を添加した。得られた懸濁液を9℃まで冷却した。反応温度を9℃〜15℃の間で維持する間、酢酸中の過酢酸溶液(32%, 4.98 kg, 4.4 L; 21mol)をゆっくりと添加した。そして、反応混合物を9℃で約23時間攪拌した。
【0147】
そして、反応混合物を水(3 L)で希釈し、そして有機相を分離した。有機相を水(2×2 L)、飽和炭酸水素カリウム溶液(4 L)及びチオ硫酸ナトリウム溶液(水4L中に350g)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥し、そして揮発性物質を真空下で除去し、結果として粗生成物が白色の固体として生じた。この固体へ2-プロパノール(3 L) 及びヘキサン (3 L)を添加した。得られたスラリー(slurry)を30分間で30℃に暖めた。得られたスラリーを氷浴を使用して2時間冷却した。生成物は濾過によって回収された。濾過ケーキは、ヘキサン(4 L)で洗浄されそして真空下で乾燥され、表題の化合物(18b)が白色固体として供された(1 kg, 50%の収率)。1H-NMR(CDCl3): 1.17 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.18 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.60 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、2.58 (m, 1H)、2.83 (s, 4H)、6.80 (q, J = 5.2 Hz, 1H) ppm。
【0148】
ステップ C: (3S)−{[(1R)−イソブタノイルオキシエトキシ]カルボニルアミノメチル}−5−メチル−ヘキサン酸(18)
【化18】

メカニカルスターラー及び窒素入口を有する20-Lのパイロットプラントに、NHS-カーボネート、(1R)-1-(5-メチレン-2-オキサゾリジニルオキシカルボニルオキシ)エチル-2-メチルプロパノアート(18b)(1.31 kg, 4.7 mol)、並びにメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)及び水の混合物(3:1; 10 L)中の(S)-プレガバリン(431 g; 全体で1.2当量のプレガバリン)を入れた。得られた懸濁液は、室温で24時間攪拌した。
【0149】
そして反応混合物を、水(3 L)で希釈した。有機相を分離し、そして水(3×3 L)、水性の硫酸(5%, 4 L)、及び水(4 L)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥し、そして揮発性物質を真空下で除去し表題の化合物(18)が透明の粘性油として供された(1.33 kg, 89%の収率)。
【0150】
実施例19
(3S)−{[(1R)−イソブタノイルオキシエトキシ]カルボニルアミノメチル}−5−メチル−ヘキサン酸の代替合成 (18)
ステップ A: (1R)-メチルチオカルボニルオキシエチル 2-メチルプロパノアート (3)
Gallop等の、米国特許第7,227,028号で記載のように調製されたメチルチオカルボニルオキシエチル-2-メチルプロパノアート(180 g)、及びアクリル樹脂上に固定された、カンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパ−ゼB(Novozyme 435)由来のリパ−ゼ(8.0 g)を、pH 7.2のリン酸緩衝生理食塩水(1.6 L)中で室温で攪拌した。反応の進行をキラル溶媒和剤(R)-(+)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル )エタノールを使用する1H-NMRによって測定し、そして約16時間内に終了した。反応混合物をエーテルで希釈し、そしてエーテル層を分離し、そして酵素を除去するためにセライト(商標登録)のパッドを通して濾過した。エーテル相を水そしてブラインで繰り返し洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。真空内での溶媒の除去によって、定量的収率(90g)の表題の化合物(3)が単一の鏡像異性体として得られた。絶対配置は、: (I) 化合物(18b)への転換(ステップB参照); (II) 1-{[(α-(R)-イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル}-1-シクロヘキサン酢酸を得るための、(18b)のガバペンチンとの反応; そして(iii)Gallop等の、米国特許第6,927,036号に記載のような1-{[(α-(R)-イソブタノイルエトキシ)カルボニル]アミノメチル}-1-シクロヘキサン酢酸の立体選択的なバイヤービリガー酸化によって形成された生成物との相関、によって確定された。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.16 (d, J = 7.6 Hz, 3H)、1.18 (d, J = 7.0 Hz, 3H)、1.50 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、2.34 (s, 3H)、2.55 (hept, J = 7.2 Hz, 1H)、6.92 (q, J = 5.6 Hz, 1H) ppm。キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノールの存在下での1H NMR: δ 1.18 (m, 6H)、1.50 (d, J = 5.2 Hz, 1.5H)、1.50 (d, J = 5.6 Hz, 1.5H)、2.33 (s, 1.5H)、2.34 (s, 1.5H)、2.55 (septet, J = 7.2 Hz, 0.5H)、2.56 (septet, J = 7.2 Hz, 0.5H)、6.92 (q, J = 5.6 Hz, 0.5H)、6.92 (q, J = 5.6 Hz, 0.5H) ppm。
【0151】
ステップ B: {[(1R)−イソブタノイルオキシエトキシ]カルボニルオキシ}スクシンイミド (18b)
表題の化合物(18b)は、Gallop等の、米国特許第7,227,028号の実施例10に開示の方法に従って、化合物(1R)-メチルチオカルボニルオキシエチル 2-メチルプロパノアート(3)から調製された。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.17 (d, J = 6.8 Hz, 6H)、1.56 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、2.55 (m, 1H)、2.82 (s, 4H)、6.80 (q, J = 5.2 Hz, 1H) ppm。
【0152】
ステップ C: (3S)−{[(1R)−イソブタノイルオキシエトキシ]カルボニルアミノメチル}−5-メチル-ヘキサン酸 (18)
化合物(18b)(52.8 g, 0.193 mol)及びプレガバリン(31.7 g, 0.199 mol)をアセトニトリル及び水の混合物(200 mL, 4:1)中で室温で16時間攪拌し、そしてアセトニトリルを真空内で除去した。残留物をMTBE及び水の間で分配し、そしてMTBE層を水、そしてブラインで洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。真空内での溶媒の除去によって、表題の化合物(18)が無色油として得られた(61.3 g, 100%の収率)。1H NMR(CDCl3, 400 MHz): δ 0.90 (d, J = 6.4 Hz, 3H)、0.92 (d, J = 6.4 Hz, 3H)、1.17 (m, 8H)、1.47 (d, J = 5.6 Hz, 2.7H)、1.50 (d, J = 5.6 Hz, 0.3H)、1.66 (hept, J = 6.8 Hz, 1H)、2.19 (m, 1H)、2.27 (dd, J = 15.2, 7.6 Hz, 1H)、2.37 (dd, J = 15.2, 5.2 Hz, 1H)、2.54 (hept, J = 6.8 Hz, 1H)、3.08 (m, 1H)、3.32 (m, 1H)、5.00 (br, t, J = 6.2 Hz, 0.9H)、5.91 (br, t, J = 6.2 Hz, 0.1H)、6.76 (q, J = 5.6 Hz, 1H) ppm。
【0153】
実施例20
(3S)−{[(1S)−イソブタノイルオキシイソブトキシ]カルボニルアミノメチル}−5−メチル-ヘキサン酸 (20)
ステップ A: (1S)-2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピル 2-メチルプロパノアート (12)
MTBE(990mL)及び水(10 mL)の混合物を、透明な溶液が得られるまで5時間攪拌した。この溶液に、Gallop等の、米国特許第7,227,028号に記載のように調製された2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピル 2-メチルプロパノアート(2b)(50 g)、並びにHeiss及びGaisの、Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3833-3836; 並びにRupport及びGaisの、Tetrahedron Asymmetry, 1997, 8(21), 3657-3664で記載の方法に従って調製されたメトキシポリエチレングリコール(mPEG)(5 wt%, 75 g)とのブタ肝臓エステラーゼ(PLE)の非共有結合複合体を添加した。得られた懸濁液を室温で攪拌し、そして反応を、キラル溶媒和剤(R)-(+)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノールを使用した1H-NMRによって周期的に測定した。約48時間後、1H-NMRによって、1つの鏡像異性体のみが反応混合物中に残存することが示され、そしてその時、反応はセライト(商標登録)のパッドを通した濾過によって停止された。上澄みを水、水性の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)そしてブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。真空内での溶媒の除去後に、表題の化合物(12)が(キラルカラムを使用したHPLCによって測定されるように)単一のS-鏡像異性体として70%の収率で分離された。絶対配置が、: (I)化合物(20b)への転換(ステップB参照); (II)4−{[(1S)−イソブタノイルオキシイソブトキシ]カルボニルアミノ}−(3R)−(4−クロロフェニル)−ブタン酸を得るための、R-バクロフェンとの(20b)の反応; 及び(iii)Gallop等の、米国特許第7,227,028号の実施例18において形成される生成物との相関、によって確定された。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 0.96 (d, J = 6.8 Hz, 6H)、1.16 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.17 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.98-2.07 (m, 1H)、2.32 (s, 3H)、2.56 (hept, J = 7.2 Hz, 1H)、6.67 (d, J = 5.6 Hz, 1H)。キラル溶媒和剤(R)-(-)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル)エタノールを使用する1H NMR: δ 0.98 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、0.99 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.19 (d, J = 7.2 Hz, 1.5H)、1.19 (d, J = 6.8 Hz, 1.5H)、1.20 (d, J = 6.8 Hz, 1.5H)、1.20 (d, J = 7.2 Hz, 1.5H)、2.01-2.09 (m, 1H)、2.34 (s, 1.5H)、2.444 (s, 1.5H)、2.591 (hept, J = 7.2 Hz, 0.5H)、2.59 (hept, J = 6.8 Hz, 0.5H)、6.70 (d, J = 5.6 Hz, 0.5H)、6.70 (d, J = 5.2 Hz, 0.5H)。
【0154】
ステップ B: {[(1S)−イソブタノイルオキシイソブトキシ]カルボニルオキシ}スクシンイミド(20b)
表題の化合物(20b)を、Gallop等の、米国特許第7,227,028号の実施例10に開示の方法に従って化合物(12)から調製した。
ステップ C: (3S)−{[(1S)−イソブタノイルオキシイソブトキシ]カルボニルアミノメチル}−5-メチル−ヘキサン酸(20)
化合物(20b)(10.21 g, 33.9 mmol)及びプレガバリン(5.5 g, 34.6 mmol)をアセトニトリル及び水の混合物(60 mL, 4:1)中で6時間、室温で攪拌し、そしてアセトニトリルを真空内で除去した。残留物をMTBE及び水の間で分配し、MTBE層を水で次にブラインで繰り返し洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。真空内で溶媒を除去することにより、表題の化合物(20)が無色油として得られた(11.65 g, 100%の収率)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 0.90 (t, J = 6.8 Hz, 6H)、0.97 (J = 6.8 Hz, 6H)、1.18 (d, J = 6.8 Hz, 3H)、1.18 (d, J = 7.2 Hz, 3H)、1.19 (m, 2H)、1.67 (hept, J = 6.8 Hz, 1H)、2.03 (m, 1H)、2.12 (m, 1H)、2.07 (m, 2H)、2.56 (hept, J = 7.2 Hz, 1H)、3.17 (m, 1H)、3.29 (m, 1H)、4.95 (br.t, J = 6.0 Hz, 0.83H)、5.74 (br. t, J = 6.0 Hz, 0.17H)、6.55 (d, J = 5.2 Hz, 0.83H)、6.61 (br.d, J = 4.4 Hz, 0.17H)。
【0155】
実施例21
(3S)−{[(1R)−ベンゾイルオキシエトキシ]カルボニルアミノメチル}−5−メチル−ヘキサン酸(21)
ステップ A: (1R)-1-メチルチオカルボニルオキシエチルベンゾアート (5)
Gallop等の、米国特許第7,227,028号に記載するように調製された1-メチルチオカルボニルオキシエチルベンゾアート(2g)(50 g)、及びカンジダルゴサ(Candida rugosa)由来のリパ−ゼ(2.5 g)をpH 7.2のリン酸緩衝生理食塩水(0.5 L)中で室温で攪拌した。反応の進行は、キラル溶媒和剤[(R)-(+)-2,2,2-トリフルオロ-1-(9-アントリル )エタノール]を使用した1H-NMRによって測定され、そして16時間内に完了した。反応混合物をエーテルで希釈し、そしてエーテル層を分離し、さらにセライト(商標登録)のパッドを通して濾過し、酵素を除去した。エーテル相を水性の炭酸水素ナトリウムで次にブラインで繰り返し洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥した。真空内での溶媒の除去によって、22gの表題の化合物(5)が単一の鏡像異性体として得られた。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.65 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、2.35 (s, 3H)、7.20 (q, J = 5.6 Hz, 1H)、7.45 (m, 2H)、7.58 (m, 1H)、8.06 (m, 2H) ppm。
【0156】
ステップ B: {[(1R)−ベンゾイルオキシエトキシ]カルボニルオキシ}スクシンイミド(21b)
表題の化合物(21b)をGallop等の、米国特許第7,227,028号の実施例10に開示の方法に従って化合物(5)から調製した。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 1.75 (d, J = 5.6 Hz, 3H)、2.82 (s, 4H)、7.07 (q, J = 5.4 Hz, 1H)、7.45 (m, 2H)、7.59 (m, 1H)、8.05 (m, 2H) ppm。
【0157】
ステップ C: (3S)−{[(1R)−ベンゾイルオキシエトキシ]カルボニルアミノメチル}−5−メチル−ヘキサン酸(21)
化合物(21b)(25.5 g, 83.1 mmol)及びプレガバリン(13.6 g, 85.4 mmol)を、アセトニトリル及び水(100 mL, 4:1)の混合物中で16時間、室温で攪拌し、そしてアセトニトリルを真空内で除去した。残留物をMTBE及び水の間で分配し、MTBE層を水で次にブラインで繰り返し洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)中で乾燥した。真空内での溶媒の除去によって、表題の化合物(21)が無色油として得られた(29.09 g, 100% 収率)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 6H)、1.17 (m, 2H)、1.60 (d, J = 5.2 Hz, 3H)、1.64 (m, 1H)、2.17 (m, 1H)、2.27 (dd, J = 7.6, 15.2 Hz, 1H)、2.35 (dd, J = 15.2, 5.6 Hz, 1H)、3.11 (m, 1H)、3.28 (m, 1H)、5.06 (br, t, J = 6.4 Hz, 0.83H)、5.97 (br, t, J = 6.4 Hz, 0.13H)、7.03 (m, 1H)、7.41 (m, 2H)、7.54 (m, 1H)、8.03 (m, 2H) ppm。
【0158】
実施例22
(3R)-4-{[(1S)-2-メチル-1-(2-メチルプロパノイルオキシ)プロポキシ]カルボニルアミノ}-3-(4-クロロフェニル)ブタン酸 (22)
表題の化合物(22)を、実施例17に記載の手順を適応させることによって合成することができる。
ステップ A: (1S)-1-メチルチオカルボニルオキシエチル-2-メチルプロパノアート(12)
【化19】

メカニカルスターラー、遊離型のメタンチオール及びアセトアルデヒドを酸化するための酸化槽及びブリーチ槽(14%のNaOCl)へ接続された窒素の入口及び出口を有する、20-Lの多口の円筒型反応器に、ラセミ 2-メチル-1-メチルチオカルボニルオキシプロピル 2-メチルプロパノアート(2b)(5.32 kg, 25.8 mol)及び0.8 Mリン酸緩衝液(10 L, pH 7.0)を入れた。溶液を攪拌する間、固体支持されたカンジダアンタークティカ(Candida antarctica)リパ−ゼA(125 g, Novozyme 735, Novozyme; Chirazyme L-5, Roche Diagnostics; または他の仕入先)をゆっくりと添加した。反応混合物を室温で(22〜24℃)約18時間攪拌した。
【0159】
反応混合物をメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)または代わりにジクロロメタン(DCM)(8 L)で希釈し、有機相を分離した。有機相をリン酸緩衝液(0.57 M, 2×5 L)、水(10 L)さらにブライン(7 L)で洗浄した。固体支持された酵素を濾過によって除去し、そして有機相を硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥し、濾過し、さらに回転蒸発によって濃縮し、表題の化合物(12)を得た。
【0160】
ステップB: {[(1S)−イソブタノイルオキシイソブトキシ]カルボニルオキシ}スクシンイミド(20b)
【化20】

メカニカルスターラー、内部温度計及び窒素入口を有する、20-Lの被覆された反応容器に、(1S)-1-メチルチオカルボニルオキシエチル-2-メチルプロパノアート(12)(1.442 kg, 7 mol)、及びジクロロメタン(DCM)(8 L)中のN-ヒドロキシスクシンイミド(1.610 kg, 14 mol)を添加した。得られた懸濁液を9℃に冷却した。反応温度を9℃〜15℃の間で維持する間、酢酸中の過酢酸溶液(32%, 4.98 kg, 4.4 L, 21 mol)をゆっくりと添加した。そして、反応混合物を9℃で約23時間攪拌した。
【0161】
そして反応混合物を、水(3 L)で希釈し、そして有機相を分離した。有機相を水(2×2 L)、飽和炭酸水素カリウム溶液(4 L)及びチオ硫酸ナトリウム溶液(水4L中に350g)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥し、そして揮発性物質を真空下で除去し、結果として粗生成物が白色の固体として生じた。この固体へ2-プロパノール(3 L) 及びヘキサン (3 L)を添加した。得られたスラリーを30分間で30℃に暖めた。得られたスラリーを氷浴を使用して2時間冷却した。生成物は濾過によって回収された。濾過ケーキは、ヘキサン(4 L)で洗浄されそして真空下で乾燥され、表題の化合物(20b)が供された。
【0162】
ステップC: (3R)-4-{[(1S)-2-メチル-1-(2-メチルプロパノイルオキシ)プロポキシ]カルボニルアミノ}-3-(4-クロロフェニル)ブタン酸 (22)
【化21】

メカニカルスターラー及び窒素入口を有する20-Lのパイロットプラントに、NHS-カーボネート、1-S-[[[(イソブチリルオキシ)イソブチルオキシ]カルボニル]オキシ]-2,5-ピロリジンジオン(20b)(1.31 kg, 4.7 mol)、並びにメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)及び水の混合物(3:1; 10 L)中の(R)-バクロフェン(431 g; 全体で1.2当量のR-バクロフェン)を入れた。得られた懸濁液は、室温で24時間攪拌した。
【0163】
そして反応混合物を、水(3 L)で希釈した。有機相を分離し、そして水(3×3 L)、水性の硫酸(5%, 4 L)、及び水(4 L)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム(Na2SO4)によって乾燥し、そして揮発性物質を真空下で除去し表題の化合物(22)が供された。
【0164】
最後に、ここに開示する実施形態を実施する代替法が存在することに留意されたい。従って、本実施形態は実例であって限定するものではないとみなすことができる。さらに、請求項はここに規定された詳細へ限定することはできず、そしてそれらの全範囲及びそれらの均等のものが権利とされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物の鏡像異性体の混合物を鏡像異性的に富化する方法であり、
式(I)の化合物の1つの鏡像異性体が少なくとも90%の鏡像体過剰率を有する鏡像異性的に富化された混合物を供するために、前記鏡像異性体の混合物を酵素と反応させることを含んでなる方法であり、式中、
R1は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され、
R2は、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択され、そして
R3は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、及びC7-9フェニルアルキルから選択される方法。
【請求項2】
前記鏡像異性的に富化された混合物が、R異性体の鏡像体過剰率を有し、そして前記酵素が、カンジダルゴサ(Candida rugosa)、カンジダシリンドラセア(Candida cylindracea)及びカンジダアンタークティカ(Candida antarctica)のリパ−ゼBから選択されるリパ−ゼである請求項1の方法。
【請求項3】
前記鏡像異性的に富化された混合物がS異性体の鏡像体過剰率を有し、前記酵素がブタ肝臓エステラーゼ、カンジダアンタークティカ(Candida antarctica)のリパ−ゼA、及びカンジダアンタークティカ(Candida antarctica)のリパ−ゼBから選択されるリパ−ゼである請求項1の方法。
【請求項4】
前記酵素が、カンジダアンタークティカ(Candida antarctica)のリパ−ゼBであり、前記式中のR1がイソプロピルであり、R2がメチルであり、R3がメチルであり、そして前記鏡像異性的に富化された混合物が式(I)の化合物のR−鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する請求項1の方法。
【請求項5】
前記酵素が、カンジダアンタークティカ(Candida antarctica)のリパ−ゼAであり、前記式中のR1がイソプロピルであり、R2がイソプロピルであり、R3がメチルであり、そして前記鏡像異性的に富化された混合物が式(I)の化合物のS−鏡像異性体の鏡像体過剰率を有する請求項1の方法。
【請求項6】
前記式中のR1が、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,1−ジエトキシエチル、フェニル,及びシクロヘキシルから選択される請求項1の方法。
【請求項7】
前記式中のR2が、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、フェニル、及びシクロヘキシルから選択される請求項1の方法。
【請求項8】
前記式中のR3がメチルである請求項1の方法。
【請求項9】
前記式中のR1が、メチル、イソプロピル、n−プロピル、及びフェニルから選択され、
R2が、メチル、イソプロピル、及びn-プロピルから選択され、そして
R3が、メチルである請求項1の方法。
【請求項10】
各置換基が、ハロゲン、-OH、-CN、-CF3、=O、-NO2、C1-3アルコキシ、C1-3アルキル、-COOR15(式中R15が、水素及びC1-3アルキルから選択される)、及び-N(R15)2(式中各R15が、水素及びC1-3アルキルから独立して選択される)から独立して選択される請求項1の方法。
【請求項11】
請求項1の方法によって調製される、式(I)の化合物の鏡像異性的に富化された混合物。
【請求項12】
式(II):
【化2】

のNHS-アシロキシアルキルカーボネート化合物の対応する鏡像異性的に富化された混合物を供するために、式(I)の化合物の1つの鏡像異性体が少なくとも90%の鏡像体過剰率である鏡像異性的に富化された混合物を、N-ヒドロキシスクシンイミドと反応させることを含んでなる請求項1の方法。
【請求項13】
式(III):
【化3】

の化合物を供するために、式(II)の化合物の鏡像異性的に富化された混合物を、第一または第二アミン基を含んでなる薬剤と反応させることを含んでなる請求項12の方法。
【請求項14】
前記薬剤が、R-バクロフェン及びプレガバリンから選択される請求項13の方法。
【請求項15】
前記薬剤が、R-バクロフェンであり、
前記式中のR1が、イソプロピルであり、R2がイソプロピルであり、R3がメチルであり、
前記酵素が、カンジダアンタークティカ(Candida antarctica)のリパ−ゼAであり、そして式(III)の化合物が、(3R)-4-{[(1S)-2-メチル-1-(2-メチルプロパノイルオキシ)プロポキシ]カルボニルアミノ}-3-(4-クロロフェニル)ブタン酸:
【化4】

である請求項13の方法。
【請求項16】
前記薬剤が、S-プレガバリンであり、
前記式中R1が、イソプロピルであり、R2が、メチルであり、R3が、メチルであり、
前記酵素が、カンジダアンタークティカ(Candida antarctica)のリパ−ゼBであり、そして式(III)の化合物が、3-({[(1R)-1-(2-メチルプロパノイルオキシ)エトキシ]カルボニルアミノ}メチル)(3S)-5-メチルヘキサン酸:
【化5】

である請求項13の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−509692(P2011−509692A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544450(P2010−544450)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/031873
【国際公開番号】WO2009/094569
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(503455503)ゼノポート,インコーポレイティド (22)
【Fターム(参考)】