説明

アジュバント添加した髄膜炎菌H因子結合タンパク質

血清群B髄膜炎菌(「MenB」)に対する免疫化において用いるためのH因子結合タンパク質(fHBP)が提案される。この抗原は、(i)吸着が、アジュバントのゼロ電荷点(PZC)以下のpHで生じることを確実にし、かつ/または(ii)5.0〜7の範囲内の等電点/PZCを有するfHBPおよびアジュバントを選択し、かつ/または(iii)アジュバントのPZCより高い等電点を有するfHBPを選択し、pHをPZCの1.2pH単位以内にする緩衝剤を用いることにより、ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに効率的に吸着させることができる。吸着は、複数のfHBPバリアントを含む組成物のために、そして水酸化アルミニウムアジュバントを回避すべき状況において特に有用である。緩衝医薬組成物は、共にヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに少なくとも85%吸着された少なくとも2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、米国仮出願第61/162,999号(2009年3月24日出願)からの優先権を主張する。この出願の完全な内容は、参考として本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、髄膜炎菌ワクチン、特にfHBP抗原を含有するものの分野にある。
【背景技術】
【0003】
Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)は、グラム陰性の球状細菌である。現在の髄膜炎菌ワクチンも、莢膜糖に基づく。これらは、1価血清群C結合体ワクチン(MENJUGATE(商標)、MENINGITEC(商標)、NEISVAC−C(商標))と、血清群A、血清群C、血清群W135および血清群Yについての4価結合体混合物(MENACTRA(商標))とを含む。血清群B(「MenB」)に対する一般的な使用のために承認された有用なワクチンは、現在のところ存在しない。
【0004】
MenBに対する免疫化における使用が提案されているある抗原は、H因子結合タンパク質(fHBP)である。この抗原は、タンパク質「741」(参考文献34(特許文献1)中の配列番号2535および2536)、「NMB1870」、「GNA1870」[参考文献1〜3(非特許文献1〜3)]、「P2086」、「LP2086」または「ORF2086」[4〜6]とも呼ばれている。このタンパク質は、よく研究されている。これは、天然ではリポタンパク質であり、すべての髄膜炎菌血清群にわたって発現されている。fHbpのC末端免疫優性ドメイン(「fHbpC」)の構造は、NMRにより決定されている[7]。タンパク質のこの部分は、8本鎖のβバレルを形成し、その鎖は、種々の長さのループで連結されている。バレルの前には、短いαヘリックスとフレキシブルN末端テイルがある。
【0005】
fHBP抗原は、3つの別々のバリアントに当てはまり[8]、ある所定のファミリーに対して産生された血清が、同じファミリー内で殺菌性であるが、その他の2つのファミリーの1つを発現する株に対しては活性でない、すなわちファミリー内交差防御が存在するが、ファミリー間交差防御は存在しないことが見出されている。よって、参考文献8は、fHBPの異なるバリアントを単一のワクチン組成物に組み合わせることにより、別々のタンパク質の混合物としてまたは異なるバリアントの融合タンパク質として(後者は「タンデムタンパク質」である)、株の適用範囲(coverage)を増加させることを提案している。
【0006】
参考文献9も、fHBPタンデムタンパク質について報告している(参考文献9の第18〜19頁)。このタンデムタンパク質は、精製され、アジュバントとしてのリン酸アルミニウムと混合されたが、アジュバントに良好に吸着されないことが報告されている。抗原の良好な吸着が望ましく、このような混合されたfHBPタンパク質は、代わりにアジュバントとして水酸化アルミニウムを用いると容易に吸着することが見出されている。
【0007】
しかし、アジュバントとして水酸化アルミニウムを用いる場合の問題は、これがあるいくつかの抗原を分解できることである。例えば、参考文献10は、これがH.influenzae B型結合体ワクチンを低温であっても加水分解し、よって、効力の低減を導くことができることを報告している。同様に、水酸化アルミニウムの存在下でのS.typhi Vi莢膜糖の加水分解が、参考文献11において報告されている。よって、アジュバント添加した(adjuvanted)ワクチンを(製造中または使用時のいずれかに)、水酸化アルミニウムにより損傷されやすいと考えられる抗原、例えば結合体化細菌莢膜糖と混合する場合には特に、リン酸アルミニウムに基づくアジュバントを用いて抗原を処方することが望ましくあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第03/063766号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Masignaniら、J Exp Med(2003)197:789〜799
【非特許文献2】Welschら、J Immunol(2004)172:5605〜15
【非特許文献3】Houら、J Infect Dis(2005)192(4):580〜90
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって、fHBP(複数可)がアジュバントに吸着されているが、水酸化アルミニウムを必要としないfHBP、特に複数のfHBPバリアントの処方物を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、ヒドロキシリン酸アルミニウム(aluminium hydroxyphosphate)アジュバントへのfHBPタンパク質の効率的な吸着を達成するための一般的な技術を同定した。ヒドロキシリン酸アルミニウムの使用は、水酸化アルミニウムの使用の必要性を回避でき、本発明者らの技術は、参考文献9に記載される非効率的な吸着を回避する。吸着技術は、特に、複数のfHBPバリアントを含む組成物について有用である。
【0012】
本発明の第1の態様において、fHBP吸着は、ヒドロキシリン酸アルミニウムのゼロ電荷点(PZC)以下のpHにて生じる。ある所定のヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントについて、よって、アジュバントのPZC以下のpHを有する水性媒体(例えば緩衝液)が選択される。逆に、ある所定のpHについて、同じまたはより高いPZCを有するヒドロキシリン酸アルミニウムが選択される。pHおよびPZCのこの選択により、fHBPがヒドロキシリン酸アルミニウムに安定的に吸着された免疫原性組成物を得ることができる。
【0013】
第2の態様において、fHBPおよびヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントは、fHBPが、5.0〜7.0(両端を含む)の範囲内の等電点(pI)を有し、アジュバントのPZCが、同じ範囲内で選択されるように選択される。抗原およびアジュバントの特徴をこのように近接して確実に一致させることにより、吸着pHがアジュバントのPZCを超えたとしても、安定した吸着組成物を得ることが可能になる。安定な吸着は、pHをこれもまた5.0〜7.0の範囲に維持できる緩衝剤の存在により促進される。
【0014】
第3の態様において、fHBPがヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントのPZCよりも高い等電点を有する場合、緩衝剤を加えて、pHをPZCの1.2pH単位以内にする。
【0015】
よって、第1の態様について、本発明は、髄膜炎菌fHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着させるための方法であって、吸着が、ヒドロキシリン酸アルミニウムのゼロ電荷点以下のpHにて生じる方法を提供する。吸着されたfHBP抗原は、免疫原として用いることができる。吸着は、種々の様式で行うことができる。fHBP抗原とヒドロキシリン酸アルミニウムと緩衝剤との混合は、3つすべての成分を別々に組み合わせることによるか、または2つの成分を予め混合し、次いで予備混合物を第3成分と混合することのいずれかによる任意の適切な順序で行うことができる。
【0016】
本発明は、髄膜炎菌fHBP抗原とヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントとを含む免疫原性組成物であって、前記ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントが、前記免疫原性組成物のpHよりも高いゼロ電荷点を有する組成物も提供する。
【0017】
第2の態様について、本発明は、髄膜炎菌fHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着させるための方法であって、(i)前記髄膜炎菌fHBP抗原が、5.0から7.0の間の等電点を有し、(ii)前記ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントが、5.0から7.0の間のゼロ電荷点を有し、(iii)fHBP抗原の吸着が、5.0から7.0の間のpHで生じる方法を提供する。
【0018】
本発明は、ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着された髄膜炎菌fHBP抗原を含む免疫原性組成物であって、(i)前記髄膜炎菌fHBP抗原が、5.0から7.0の間の等電点を有し、(ii)前記ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントが、5.0から7.0の間のゼロ電荷点を有する組成物も提供する。組成物は、典型的には、pHを5.0〜7.0の範囲に維持する緩衝剤を含む。
【0019】
第3の態様について、本発明は、髄膜炎菌fHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着させるための方法であって、(i)前記髄膜炎菌fHBP抗原が、前記アジュバントのゼロ電荷点より高い等電点を有し、(ii)吸着が、前記アジュバントのゼロ電荷点の1.2pH単位以内のpHで生じる方法を提供する。吸着中のpHは、好ましくは、pHをアジュバントのゼロ電荷点の1.2pH単位以内に維持する緩衝剤を含めることにより達成される。
【0020】
本発明は、ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着された髄膜炎菌fHBP抗原を含む免疫原性組成物であって、(i)前記髄膜炎菌fHBP抗原が、前記アジュバントのゼロ電荷点より高い等電点を有し、(ii)前記組成物が、前記アジュバントのゼロ電荷点の1.2pH単位以内のpHを有する組成物も提供する。組成物は、pHをアジュバントのPZCの1.2pH単位以内に維持する緩衝剤を含んでよい。
【0021】
本発明は、1より多いfHBPのバリアントを含む組成物に関して特に有用である。上記のように、このような組成物は、ホスフェート基を有するアルミニウムアジュバントに良好に吸着しないことが以前に報告されていた。
【0022】
よって、本発明は、2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着させるための方法であって、fHBP抗原の両方の吸着が、ヒドロキシリン酸アルミニウムのゼロ電荷点以下のpHで生じる方法を提供する。吸着されたfHBP抗原は、広いスペクトルの髄膜炎菌免疫化のために用いることができる。fHBP抗原およびヒドロキシリン酸アルミニウム(および緩衝剤)の混合は、任意の適切な順序で行うことができる。
【0023】
本発明は、共にヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着された2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む免疫原性組成物も提供する。組成物は、典型的には、吸着中および/または吸着の後のpHを制御するための緩衝剤を含む。
【0024】
本発明は、2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原とヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントとを含む免疫原性組成物であって、前記ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントが、免疫原性組成物のpHよりも高いゼロ電荷点を有する組成物も提供する。
【0025】
本発明は、2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着させるための方法であって、(i)前記髄膜炎菌fHBP抗原の両方が、5.0から7.0の間の等電点を有し、(ii)前記ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントが、5.0から7.0の間のゼロ電荷点を有し、(iii)fHBP抗原の両方の吸着が、5.0から7.0の間のpHで生じる方法も提供する。吸着は、緩衝剤の存在下で生じ得る。
【0026】
本発明は、共にヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着された2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む免疫原性組成物であって、(i)前記髄膜炎菌fHBP抗原の両方が、5.0から7.0の間の等電点を有し、(ii)前記ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントが、5.0から7.0の間のゼロ電荷点を有する組成物も提供する。組成物は、典型的には、pHを5.0〜7.0の範囲に維持する緩衝剤を含む。
【0027】
本発明は、2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着させるための方法であって、(i)前記髄膜炎菌fHBP抗原が共に前記アジュバントのゼロ電荷点よりも高い等電点を有し、(ii)それぞれの抗原の吸着が、前記アジュバントのゼロ電荷点の1.2pH単位以内のpHで生じる方法も提供する。吸着中のpHは、好ましくは、pHをアジュバントのゼロ電荷点の1.2pH単位以内に維持する緩衝剤を含めることにより達成される。
【0028】
本発明は、共にヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着された2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む免疫原性組成物であって、(i)それぞれの髄膜炎菌fHBP抗原が、前記アジュバントのゼロ電荷点より高い等電点を有し、(ii)前記組成物が、前記アジュバントのゼロ電荷点の1.2pH単位以内のpHを有する組成物も提供する。
【0029】
本発明は、上記の方法のいずれかにより調製される免疫原性組成物も提供する。
【0030】
本発明の組成物において、そのまたはそれぞれのfHBP抗原は、以下により詳細に記載されるように、好ましくは少なくとも85%吸着される。
【0031】
H因子結合タンパク質(複数可)
本発明の組成物は、少なくとも1つの髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)を含む。組成物が2つの異なるfHBPを含む場合、これらは、参考文献8に開示されるように、好ましくは異なるバリアントである。異なるfHBPは、完全には交差反応性でなく、髄膜炎菌に対する株の適用範囲のより広いスペクトルを提供する異なる免疫応答を生じる。
【0032】
組成物が単一fHBPバリアントを含む場合、これは、以下のものの1つを含み得る:
(a)(i)配列番号1と少なくともa%の配列同一性を有し、かつ/または(ii)配列番号1からの少なくともx個隣接するアミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第1アミノ酸配列を含む第1ポリペプチド;
(b)(i)配列番号2と少なくともb%の配列同一性を有し、かつ/または(ii)配列番号2からの少なくともy個隣接するアミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第2アミノ酸配列を含む第2ポリペプチド;
(c)(i)配列番号3と少なくともc%の配列同一性を有し、かつ/または(ii)配列番号3からの少なくともz個隣接するアミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第3アミノ酸配列を含む第3ポリペプチド。
【0033】
組成物が2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む場合、これは、(i)上で規定される第1および第2ポリペプチド、(ii)上で規定される第1および第3ポリペプチド、または(iii)上で規定される第2および第3ポリペプチドの組み合わせを含み得る。第1および第3ポリペプチドの組み合わせが好ましい。2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原のそれぞれが5.0から7.0の間のpIを有する組合せ、特に、これらが共に5.0〜6.0の範囲または5.2〜6.2の範囲のpIを有する場合が好ましい。
【0034】
組成物が2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む場合、これらは、いくらかの共通の配列を有し得るが、第1、第2および第3ポリペプチドは、異なるfHBPアミノ酸配列を有する。
【0035】
第1アミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与された場合に、配列番号20の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質(MC58)と結合する抗体を含む抗体応答を惹起する。いくつかの実施形態において、これらの抗体のいくつかまたは全ては、配列番号21の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質にも配列番号22の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質にも結合しない。
【0036】
第2アミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与された場合に、配列番号21の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質(2996)と結合する抗体を含む抗体応答を惹起する。いくつかの実施形態において、これらの抗体のいくつかまたは全ては、配列番号20の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質にも配列番号22の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質にも結合しない。
【0037】
第3アミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与された場合に、配列番号22の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質(M1239)と結合する抗体を含む抗体応答を惹起する。いくつかの実施形態において、これらの抗体のいくつかまたは全ては、配列番号20の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質にも配列番号21の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質にも結合しない。
【0038】
いくつかの実施形態において、配列番号1からの少なくともx個隣接するアミノ酸のフラグメントは、配列番号2中にも配列番号3中にも存在しない。同様に、配列番号2からの少なくともy個隣接するアミノ酸のフラグメントは、配列番号1中にも配列番号3中にも存在しない可能性がある。同様に、配列番号3からの少なくともz個隣接するアミノ酸のフラグメントも、配列番号1中または配列番号2中に存在しない可能性がある。いくつかの実施形態において、配列番号1〜3の1つからの上記のフラグメントを、その他の2つの配列番号に対して隣接配列として整列させた場合に、そのフラグメントとその他の2つの配列番号のそれぞれとの間の同一性は、75%未満、例えば70%未満、65%未満、60%未満などである。
【0039】
aの値は、少なくとも80、例えば82、84、86、88、90、92、94、95、96、97、98、99またはそれより大きい値である。bの値は、少なくとも80、例えば82、84、86、88、90、92、94、95、96、97、98、99またはそれより大きい値である。cの値は、少なくとも80、例えば82、84、86、88、90、92、94、95、96、97、98、99またはそれより大きい値である。a、bおよびcの値は同じまたは異なってよい。いくつかの実施形態において、a、bおよびcは同一である。
【0040】
xの値は、少なくとも7、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250)である。yの値は、少なくとも7、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250)である。zの値は、少なくとも7、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250)である。x、yおよびzの値は同じまたは異なってよい。いくつかの実施形態において、x、yおよびzは同一である。
【0041】
フラグメントは、好ましくはそれぞれの配列番号の配列からのエピトープを含む。その他の有用なフラグメントは、それぞれの配列番号のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、その少なくとも1つのエピトープを保持している。
【0042】
本発明で用いられるアミノ酸配列は、配列番号1、2または3と比較して、1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の保存的アミノ酸置換、すなわち関連する側鎖を有する別のものであるアミノ酸の置換を含み得る。遺伝子によりコードされるアミノ酸は、一般的に4つのファミリーに分配される:(1)酸性、すなわちアスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわちリジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわちアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性、すなわちグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、時折、一緒に芳香族アミノ酸として分類される。一般的に、これらのファミリー内での単一アミノ酸の置換は、生物活性に対して大きな影響を有さない。ポリペプチドは、参照配列に対して1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の単一アミノ酸欠失を有してよい。ポリペプチドは、参照配列に対して1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の挿入(例えば1、2、3、4または5アミノ酸のそれぞれ)を有してもよい。
【0043】
有用な第1アミノ酸配列は、配列番号1と少なくとも85%の同一性(例えば>95%または100%)を有する。別の有用な第1アミノ酸配列は、配列番号4と少なくとも95%の同一性(例えば>98%または100%)を有する。別の有用な第1アミノ酸配列は、配列番号5と少なくとも95%の同一性(例えば>98%または100%)を有する。
【0044】
有用な第3アミノ酸配列は、配列番号3と少なくとも85%の同一性(例えば>95%または100%)を有する。別の有用な第3アミノ酸配列は、配列番号6と少なくとも95%の同一性(例えば>98%または100%)を有する。
【0045】
配列番号4および6付近(またはそれらの近縁バリアント)に基づく第1および第3配列の混合物を含む組み合わせが、特に有用である。別の有用な組み合わせは、配列番号5および6(またはそれらの近縁バリアント)の混合物付近に基づく第1および第3配列の混合物を含む。よって、組成物は、配列番号23のアミノ酸配列を含むポリペプチドと、配列番号25のアミノ酸配列を含むポリペプチドとを含み得る。
【0046】
組成物が2つの髄膜炎菌fHBP抗原を含む場合、これは、2価fHBP組成物であり得るか、または2より多い異なるfHBP抗原が、例えば3価もしくは4価fHBP組成物中に存在し得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、fHBPポリペプチド(複数可)は、例えばN末端システインにて脂質付加される。別の実施形態において、しかし、fHBPポリペプチド(複数可)は、脂質付加されない。脂質付加fHBPについて、システインに付加される脂質は、通常、例えばトリパルミトイル−S−グリセリル−システイン(Pam3Cys)、ジパルミトイル−S−グリセリルシステイン(Pam2Cys)、N−アセチル(ジパルミトイル−S−グリセリルシステイン)などとしてのパルミトイル残基を含む。成熟脂質付加fHBP配列の例は、配列番号23(配列番号4を含む)、配列番号24(配列番号5を含む)および配列番号25(配列番号6を含む)である。
【0048】
fHBPの投与は、好ましくは、配列番号1、2または3のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起する。本発明で用いるために有利なfHBP抗原は、被験体への投与の後に殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0049】
fHBPポリペプチドの全量は、通常、1〜500μg/用量、例えば60〜200μg/用量または120〜500μg/mlである。それぞれのfHBPポリペプチドについて20、40、50、60、80、100または200μgの量が、ヒトワクチン用量中において典型的である。よって、ワクチンは、この量のそれぞれのfHBP(複数可)を含むように処方され得る。
【0050】
組成物が異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む場合、これらは、上記のように分離したポリペプチド(例えば第1および第2ポリペプチド)として存在してよいか、またはこれらは、参考文献12において髄膜炎菌抗原について開示されるように、少なくとも2(例えば2、3、4、5またはそれより多く)のfHBP抗原が単一ポリペプチド鎖として発現される単一「ハイブリッド」ポリペプチドの部分として存在してよい。
【0051】
ハイブリッドポリペプチドは、以下の2または3つを含んでよい:上記で定義される第1アミノ酸配列;上記で定義される第2アミノ酸配列;および/または上記で定義される第3アミノ酸配列。
【0052】
ハイブリッドポリペプチドは、式NH−A−{−X−L−}−B−COOH(式中、Xは、上記で定義される第1、第2または第3アミノ酸配列であり、Lは、任意選択のリンカーアミノ酸配列であり、Aは、任意選択のN末端アミノ酸配列であり、Bは、任意選択のC末端アミノ酸配列であり、nは、2以上の整数である(例えば2、3、4、5、6など))で表すことができる。通常、nは、2または3であり、第1、第2および第3アミノ酸配列の少なくとも2つが存在する。
【0053】
−X−部分が、その野生型形のリーダーペプチド配列を有する場合、これは、ハイブリッドタンパク質に含めてよいか、またはハイブリッドタンパク質から省いてよい。いくつかの実施形態において、リーダーペプチドは、ハイブリッドタンパク質のN末端にある−X−部分のもの以外は削除され、すなわち、Xのリーダーペプチドが保持されるが、X・・・Xのリーダーペプチドは省かれる。このことは、すべてのリーダーペプチドを削除し、Xのリーダーペプチドを−A−部分として用いることと等しい。
【0054】
{−X−L−}のnの場合のそれぞれについて、リンカーアミノ酸配列−L−は、存在してよいかまたは存在しなくてよい。例えば、n=2である場合、ハイブリッドは、NH−X−L−X−L−COOH、NH−X−X−COOH、NH−X−L−X−COOH、NH−X−X−L−COOHなどであってよい。リンカーアミノ酸配列(複数可)−L−は、典型的には短い(例えば20以下のアミノ酸、すなわち20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、クローニングを容易にする短いペプチド配列、ポリグリシンリンカー(すなわちGly(n=2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)を含む)およびヒスチジンタグ(すなわちHis(n=3、4、5、6、7、8、9、10以上))が含まれる。その他の適切なリンカーアミノ酸配列は、当業者に明らかである。有用なリンカーは、GSGGGG(配列番号15)またはGSGSGGGG(配列番号16)であり、Gly−SerジペプチドがBamHI制限部位から形成されるので、クローニングおよび操作の助けとなり、(Gly)テトラペプチドが、典型的なポリグリシンリンカーである。特に最後のLとして用いるための別の適切なリンカーは、Leu−Gluジペプチドである。
【0055】
−A−は、任意選択のN末端アミノ酸配列である。これは、典型的には短い(例えば40以下のアミノ酸、すなわち40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、タンパク質輸送を指示するリーダー配列、またはクローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えばヒスチジンタグ、すなわちHis(n=3、4、5、6、7、8、9、10以上))が含まれる。その他の適切なN末端アミノ酸配列は、当業者に明らかである。Xがそれ自体のN末端メチオニンを欠く場合、−A−は、好ましくは、N末端メチオニンを提供するオリゴペプチド(例えば1、2、3、4、5、6、7または8アミノ酸を有する)、例えばMet−Ala−Ser、または単一Met残基である。
【0056】
−B−は、任意選択のC末端アミノ酸配列である。これは、典型的には短い(例えば40以下のアミノ酸、すなわち39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、タンパク質輸送を指示する配列、クローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えばヒスチジンタグ、すなわちHis(n=3、4、5、6、7、8、9、10以上)を含む、例えば配列番号17)、またはタンパク質安定性を増進する配列が含まれる。その他の適切なC末端アミノ酸配列は、当業者に明らかである。
【0057】
ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントおよび吸着
本発明の組成物は、ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントを含む。ヒドロキシリン酸塩は、厳密なAlPOからはヒドロキシル基の存在により区別できるが、このようなアジュバントは、簡便のためにしばしば「リン酸アルミニウム」とよばれる[13]。例えば、3164cm−1(例えば200℃に加熱時)でのIRスペクトルのバンドは、構造上のヒドロキシルの存在を示す。ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントは、少量の硫酸塩も含有することがあり(すなわち、アルミニウムヒドロキシホスフェートサルフェート)、ナトリウムおよび/または塩化物イオンも含むことがある[14]。アジュバントは、沈殿により得ることができる。
【0058】
ヒドロキシリン酸アルミニウムは、化学量論的な化合物ではなく、そのヒドロキシルおよびホスフェート組成は、沈殿反応物および条件に依存する。このヒドロキシル/ホスフェート組成は、アジュバントのゼロ電荷点(PZC;表面がゼロ正味電荷を有するpH)に影響する。PZCは、ホスフェートによるヒドロキシルの置換の程度(P/Alモル比)と反比例する。ホスフェートアニオンによるヒドロキシルアニオンの置換は、PZCを低下させる。よって、PZCは、溶液中の遊離ホスフェートイオンの濃度を変化させること(より多いホスフェート=より酸性側のPZC)、またはヒスチジン緩衝剤のような緩衝剤を加えること(PZCをより塩基性にする)によって変更できる。本発明で用いられるヒドロキシリン酸アルミニウムは、通常、5.0から6.6の間、例えば5.4から6.2の間のPZCを有する。
【0059】
ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントのP/Alモル比は、通常、0.3から1.2の間、好ましくは0.8から1.2の間または0.85から1.0の間、より好ましくは約0.9である。少なくとも0.5のP/Alモル比が、より良好な熟成特性を有するアジュバントを提供できる。
【0060】
ヒドロキシリン酸アルミニウムは、通常、非晶質である(すなわち、X線に対して非晶質)。これは、通常、粒子状である(例えば、透過型電子顕微鏡写真により観察されるような板状の形態)。板(plate)の典型的な直径は、10〜100nmであり、これらは、0.5〜20μmのサイズ(例えば約1〜10μm)の凝集体を形成する。pH7.4にてAl+++1mgあたり0.7から1.5mgの間のタンパク質の吸着能力が、ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントについて報告されている。
【0061】
典型的なアジュバントは、0.84から0.92の間のP/Alモル比を有する非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムであり、このアジュバントは、0.6mg Al3+/mlで含まれることができる。
【0062】
患者に投与するための組成物中のAl+++の濃度は、好ましくは5mg/ml未満、例えば≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどである。好ましい範囲は、0.2から1mg/mlの間である。0.85mg/用量の最大Al+++濃度が好ましい。
【0063】
本発明の組成物中のfHBPの少なくとも85%(重量で)、例えば≧90%、≧95%または100%さえが、ヒドロキシリン酸アルミニウムに吸着される。吸着されたfHBPの割合は、処方中の塩濃度および/またはpHを変更することにより制御でき、例えば一般的には、より高いNaCl濃度は、fHBPの吸着を低減できる。任意の処方物についての吸着の量は、アジュバントのPZC、処方中の塩濃度およびpH、アジュバント濃度、抗原濃度ならびに抗原のpIを含むパラメーターの組合せに依存する。吸着に対するこれらのパラメーターのそれぞれの影響は、容易に評価できる。吸着の程度は、組成物中のfHBP抗原の全量(例えば吸着が生じる前に測定されるか、または吸着された抗原を脱離することにより測定される)を、遠心分離後の上清中に残った量と比較することにより決定できる(例えば参考文献15の第4章を参照されたい)。遠心分離後の上清中に検出可能な抗原が存在しないことは、完全吸着が生じたこと、すなわちすべてのfHBPが、不溶性アジュバントとその吸着された内容物とを含有するペレット中にあることを示す。
【0064】
単一ワクチン中で異なるアルミニウム塩の混合物を用いることが知られている。例えば参考文献16を参照されたい。ヒドロキシリン酸アルミニウムと水酸化物との両方を含むアジュバントをfHBPと共に用いることができるが、組成物は、いかなる水酸化アルミニウムアジュバントも含まないことが好ましい。なぜなら、上記のように、これは、fHBPと混合され得る特定の抗原(特に結合体化細菌莢膜糖)を分解できるからである。
【0065】
第1の態様について、本発明者らは、吸着がアジュバントのPZC以下のpHで生じることを確実にすることにより、fHBPタンパク質をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに効率的に吸着させることができることを見出した。よって、所望の処方pHと等しいかもしくはそれより高いPZCを有するアジュバントを選択できるか、または所望のアジュバントのPZC以下のpHを選択できる。アジュバントおよび抗原をこれらの条件下で組み合わせて、吸着が行われることを可能にする。pHは、吸着を妨げるかまたはfHBPを不可逆的に変性させるほど低くあるべきではない。よって、理想的には吸着は、PZCの2pH単位以内(理想的には1.2pH単位以内)で行われる。
【0066】
第2の態様について、本発明者らは、5.0から7.0の間の等電点を有する髄膜炎菌fHBP抗原と、これもまた5.0から7.0の間のゼロ電荷点を有するヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントとを用いることにより、fHBPタンパク質をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに効率的に吸着させることができることを見出した。吸着は5.0から7.0の間のpHで生じ、pHは、pHを5.0〜7.0の範囲に維持する緩衝剤を含めることにより維持し得る(吸着の前、吸着中および/または吸着の後)。5.0および7.0のpH範囲内で、好ましい部分範囲は、5.0〜6.0である。第2の態様は、すべてのfHBPに適切ではない。なぜなら、いくつか(例えば配列番号20)は、要求される範囲外のpIを有するが、適切なfHBPを容易に選択できるからである。
【0067】
fHBPの等電点は、等電点電気泳動のような技術により実験により決定できる。しかし、より簡便には、等電点は、理論的等電点である。これは、参考文献17に記載されるアミノ酸のpKa値を用いて、例えば適切なExPASyツール[18]を用いて算出し得る。例えば、配列番号20の新生アミノ酸配列は、予測pIが7.72であり、配列番号21および22は、予測pIが5.87および6.15である。配列番号23、24および25の成熟配列(それぞれ配列番号4、5および6を含む)はすべて、適切な範囲内の予測pI、すなわちそれぞれ5.46、5.72および5.86を有する。ブロックされたN末端アミン(例えば脂質付加されている場合)の修正は、pIを約0.1低減させるが、配列番号23、24および25はそれでもまだ、5.0〜6.0の範囲内の予測pIを有する。それぞれの異なる髄膜炎菌fHBP抗原が5.0から7.0の間のpIを有する組合せ、特にこれらが共に5.0〜6.0の範囲または5.2〜6.2の範囲のpIを有する場合が好ましい。
【0068】
適切な範囲内のpIを有するfHBP抗原の有用な組合せは、配列番号4および6付近(またはそれらの近縁バリアント)に基づく第1および第3配列の混合物、または配列番号5および6(またはそれらの近縁バリアント)の混合物付近に基づく第1および第3配列の混合物を含み得る。このような抗原を対にすることについてのさらなる詳細は、上に記載している。例えば、配列番号23と25の組合せは特に有用であり、これらの2つのタンパク質は、脂質付加されてよい(上で論じたように)。
【0069】
第3の態様について、本発明者らは、吸着がPZCの1.2pH単位以内のpHで生じることを確実にすることにより、ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントのPZCより高いpIを有する髄膜炎菌fHBP抗原を効率的に吸着できることを見出した。吸着は、アジュバントのPZCより高いかまたは低いpHで生じ得るが、pHは、fHBPを不可逆的に変性させるほど極端であるべきではない。吸着中のpHは、好ましくは、pHをアジュバントのPZCの1.2pH単位以内に維持する緩衝剤を含めることにより達成される。pHが1.2pH単位以内である場合、これは、1pH単位以下、例えば0.8pH単位以内、0.6pH単位以内または0.5pH単位以内であってよい。
【0070】
混合の順序
上記のように、本発明は、髄膜炎菌fHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着させるための方法を提供する。fHBP抗原(複数可)とヒドロキシリン酸アルミニウムと任意の緩衝剤との混合は、すべての成分を別々に組み合わせることによるか、または2つの成分を予め混合し、次いで予備混合物を第3成分と混合することによる任意の適切な順序で行うことができる。
【0071】
よって、例えば、ある実施形態において、本発明は、髄膜炎菌fHBP抗原を含む免疫原性組成物を調製するためのプロセスであって、髄膜炎菌fHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントと組み合わせるステップを含み、(i)前記ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントがゼロ電荷点を有し、(ii)組み合わせるステップが、前記fHBP抗原が前記アジュバントに吸着するように前記ゼロ電荷点未満のpHで行われるプロセスを提供する。
【0072】
別の実施形態において、本発明は、髄膜炎菌fHBP抗原を含む免疫原性組成物を調製するためのプロセスであって、髄膜炎菌fHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントと組み合わせるステップを含み、(i)前記ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントがゼロ電荷点を有し、(ii)前記組成物が、前記ゼロ電荷点未満のpHを有することにより、前記fHBP抗原が前記アジュバントに吸着するプロセスを提供する。
【0073】
別の実施形態において、本発明は、髄膜炎菌fHBP抗原を含む免疫原性組成物を調製するためのプロセスであって、(i)髄膜炎菌fHBP抗原を含みpHを有する水性組成物を提供するステップと、(ii)前記pHより高いゼロ電荷点を有するヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントを提供するステップと、(iii)前記水性組成物を前記ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントと組み合わせて、前記免疫原性組成物を得るステップとを含むプロセスを提供する。
【0074】
別の実施形態において、本発明は、髄膜炎菌fHBP抗原を含む免疫原性組成物を調製するためのプロセスであって、(i)ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントを含みpHを有する水性組成物を提供するステップであって、前記ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントが、前記pHより高いゼロ電荷点を有するステップと、(ii)前記水性組成物を髄膜炎菌fHBP抗原と組み合わせて、前記免疫原性組成物を得るステップとを含むプロセスを提供する。
【0075】
別の実施形態において、本発明は、髄膜炎菌fHBP抗原を含む免疫原性組成物を調製するためのプロセスであって、(i)pHを有する第1水性組成物を提供するステップと、(ii)髄膜炎菌fHBP抗原と、前記pHより高いゼロ電荷点を有するヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントとを含む第2水性組成物を提供するステップと、(iii)前記第1水性組成物と前記第2水性組成物とを組み合わせて、前記免疫原性組成物を得るステップとを含むプロセスを提供する。
【0076】
別の実施形態において、本発明は、髄膜炎菌fHBP抗原を含む免疫原性組成物を調製するためのプロセスであって、(i)pHを有する第1水性組成物を提供するステップと、(ii)髄膜炎菌fHBP抗原を含む第2水性組成物を提供するステップと、(iii)前記pHより高いゼロ電荷点を有するヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントを提供するステップと、(iv)前記第1水性組成物と前記第2水性組成物と前記ヒドロキシリン酸アルミニウムとを任意の順序で組み合わせて、前記免疫原性組成物を得るステップとを含むプロセスを提供する。
【0077】
本発明は、2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着させるための方法であって、fHBP抗原の両方の吸着が、前記ヒドロキシリン酸アルミニウムのゼロ電荷点以下のpHで生じる方法も提供する。ここでもまた、fHBP抗原とヒドロキシリン酸アルミニウムと緩衝剤との混合は、任意の適切な順序で行うことができる。
【0078】
よって、ある実施形態において、2つの異なるfHBP抗原は、適切なpHにてヒドロキシリン酸アルミニウムに別々に吸着され、2つの吸着された抗原を、次いで、混合できる。
【0079】
別の実施形態において、2つの異なるfHBP抗原を互いに混合し、混合物を、次いで、ヒドロキシリン酸アルミニウムに加え、ここで、ヒドロキシリン酸アルミニウムは、吸着のために適切なpHにあるか、またはpHは、混合物を加えた後に調整される。
【0080】
別の実施形態において、2つの異なるfHBP抗原を逐次的にヒドロキシリン酸アルミニウムに加え、ここで、ヒドロキシリン酸アルミニウムは、吸着のために適切なpHにあるか、またはpHは、一方もしくは両方のfHBP抗原を加えた後に調整される。
【0081】
別の実施形態において、一方のfHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムと混合し、次いで、他方のfHBP抗原を混合物に加え、ここで、ヒドロキシリン酸アルミニウムは、第1fHBP抗原を加える前に吸着のために適切なpHにあるか、またはpHは、第1fHBP抗原を加えた後に調整されるか、またはpHは、第2fHBP抗原を加える前に調整されるか、またはpHは、第2fHBP抗原を加えた後に調整される。
【0082】
これらのおよびその他の可能性は、本発明のすべての実施形態について、当業者に利用可能である。
【0083】
代替アジュバント
ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントを用いる代わりに、本発明は、「IC31」のような免疫賦活性オリゴヌクレオチドとポリカチオンポリマーとの粒子状複合体を用いることができる。上記の定義は、これに従って補正することができる。例えば、本発明は、髄膜炎菌fHBP抗原、および免疫賦活性オリゴヌクレオチドとポリカチオンポリマーとの粒子状複合体を含む免疫原性組成物を提供する。本発明は、または、2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原、および免疫賦活性オリゴヌクレオチドとポリカチオンポリマーとの粒子状複合体を含む免疫原性組成物も提供する。
【0084】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、有用なアジュバントとして公知である。これらはしばしば、CpGモチーフ(グアノシンと連結された非メチル化シトシンを含有するジヌクレオチド配列)を含有し、それらのアジュバント効果は、参考文献19〜24で論じられている。TpGモチーフ、パリンドローム配列、複数の連続チミジンヌクレオチド(例えばTTTT)、複数の連続シトシンヌクレオチド(例えばCCCC)またはポリ(dG)配列を含有するオリゴヌクレオチドも、2本鎖RNAがそうであるのと同様に、公知の免疫賦活化剤である。これらの種々の免疫賦活性オリゴヌクレオチドのいずれも本発明で用いることができるが、デオキシイノシンおよび/またはデオキシウリジンを含有するオリゴデオキシヌクレオチド、理想的にはデオキシイノシンとデオキシシトシンとを含有するオリゴデオキシヌクレオチドを用いることが好ましい。イノシン含有オリゴデオキシヌクレオチドは、CpIモチーフ(イノシンと連結されたシトシンを含有するジヌクレオチド配列)を含み得る。オリゴデオキシヌクレオチドは、1より多い(例えば2、3、4、5、6以上)CpIモチーフを含んでよく、これらは直接反復であり得る(例えば、配列(CI)(ここで、xは、2、3、4、5、6以上である)を含む)か、または互いに分離していてよい(例えば、配列(CIN)(ここで、xは、2、3、4、5、6以上であり、それぞれのNは、独立して1または複数のヌクレオチドを表す)を含む)。シトシン残基は、理想的にはメチル化されていない。
【0085】
オリゴヌクレオチドは、典型的には、10から100の間のヌクレオチド、例えば15〜50ヌクレオチド、20〜30ヌクレオチドまたは25〜28ヌクレオチドを有する。これは、典型的には、1本鎖である。
【0086】
オリゴヌクレオチドは、天然ヌクレオチドだけ、非天然ヌクレオチドだけ、またはこれら両方の混合を含み得る。例えば、これは、1もしくは複数のホスホロチオエート結合(複数可)を含んでよく、かつ/または1もしくは複数のヌクレオチドは、2’−O−メチル修飾を有してよい。
【0087】
好ましいオリゴヌクレオチドは、26merの配列5’−(IC)13−3’(配列番号18)を含む1本鎖デオキシヌクレオチドである。このオリゴデオキシヌクレオチドは、ポリカチオンポリマーと安定な複合体を形成して、良好なアジュバントが得られる。
【0088】
ポリカチオンポリマーは、理想的には、ポリカチオンペプチドである。ポリマーは、1もしくは複数のロイシンアミノ酸残基(複数可)および/または1もしくは複数のリジンアミノ酸残基(複数可)を含んでよい。ポリマーは、1または複数のアルギニンアミノ酸残基(複数可)を含んでよい。これは、これらのアミノ酸の1つの少なくとも1回の直接反復、例えば1もしくは複数のLeu−Leuジペプチド配列(複数可)、1もしくは複数のLys−Lysジペプチド配列(複数可)、または1もしくは複数のArg−Argジペプチド配列(複数可)を含んでよい。これは、少なくとも1(好ましくは複数、例えば2または3)のLys−Leuジペプチド配列(複数可)および/または少なくとも1(好ましくは複数、例えば2または3)のLys−Leu−Lysトリペプチド配列(複数可)を含んでよい。
【0089】
ペプチドは、配列R−XZXZXZX−R(ここで、xは、3、4、5、6または7であり、それぞれのXは、独立して、正に荷電された天然および/または非天然のアミノ酸残基であり、それぞれのZは、独立して、アミノ酸残基L、V、I、FまたはWであり、RおよびRは、独立して、−H、−NH、−COCHまたは−COHからなる群より選択される)を含んでよい。いくつかの実施形態において、X−Rは、ペプチドのC末端アミノ酸残基のアミド、エステルまたはチオエステルであってよい。
【0090】
ポリカチオンペプチドは、典型的には、5から50の間のアミノ酸、例えば6〜20アミノ酸、7〜15アミノ酸または9〜12アミノ酸を有する。
【0091】
ペプチドは、天然アミノ酸だけ、非天然アミノ酸だけ、またはこれらの両方の混合を含み得る。これは、L−アミノ酸および/またはD−アミノ酸を含んでよい。L−アミノ酸が典型的である。
【0092】
ペプチドは、天然N末端(NH−)または改変N末端、例えばヒドロキシル、アセチルなどを有し得る。ペプチドは、天然C末端(−COOH)または改変C末端、例えばヒドロキシル、アセチルなどを有し得る。このような改変は、ペプチドの安定性を改善し得る。
【0093】
本発明で用いるために好ましいペプチドは、11merのKLKLLLLLKLK(配列番号19)(すべてL−アミノ酸)である。N末端は、脱アミノ化されてよく、C末端はヒドロキシル化されてよい。好ましいペプチドは、H−KLKLKLK−OH(すべてL−アミノ酸)である。このオリゴペプチドは、免疫賦活性オリゴヌクレオチドと安定な複合体を形成して、良好なアジュバントが得られる。
【0094】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドとポリカチオンポリマーとの最も好ましい混合物は、IC31(商標)[25〜27]として公知のTLR9アゴニストであり、これは、配列番号18のオリゴデオキシヌクレオチドと配列番号19のポリカチオンオリゴペプチドとの吸着性複合体である。
【0095】
オリゴヌクレオチドとオリゴペプチドとは、種々の比率で一緒に混合できるが、これらは、通常、モル過剰のペプチドを用いて混合される。モル過剰は、少なくとも5:1、例えば10:1、15:1、20:1、25:1、30;1、35:1、40:1などであってよい。約25:1のモル比が理想的である[28、29]。この過剰比率での混合は、オリゴヌクレオチドとオリゴペプチドとの間での不溶性粒子状複合体の形成をもたらすことができる。複合体は、水中油型エマルジョンと組み合わせることができる。
【0096】
オリゴヌクレオチドとオリゴペプチドとは、典型的には、水性条件下で混合され、例えば、オリゴヌクレオチドの溶液を、オリゴペプチドの溶液と所望の比率で混合できる。2つの溶液は、水または緩衝液中に乾燥(例えば凍結乾燥)された材料を溶解して、次に混合できるストック溶液を形成することにより調製してよい。複合体は、参考文献30に開示される方法を用いて分析できる。
【0097】
ポリアルギニンおよびCpGオリゴデオキシヌクレオチドは、用い得る複合体を同様に形成する[31]。
【0098】
複合体は、水性懸濁物、例えば水または緩衝液中で維持できる。複合体と用いるための典型的な緩衝剤は、リン酸塩緩衝剤(例えばリン酸緩衝食塩水)、Tris緩衝剤、Tris/ソルビトール緩衝剤、ホウ酸塩緩衝剤、コハク酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤などである。代替として、複合体は、時に、凍結乾燥してよい。
【0099】
種々の濃度、例えば参考文献25、28または29で用いられる任意の濃度のオリゴヌクレオチドとポリカチオンポリマーを用いることができる。例えば、ポリカチオンオリゴペプチドは、1100μM、1000μM、350μM、220μM、200μM、110μM、100μM、11μM、10μMなどで存在できる。オリゴヌクレオチドは、44nM、40nM、14nM、4.4nM、4nMなどで存在できる。2000nM未満のポリカチオンオリゴペプチド濃度が典型的である。1:25のモル比で混合された配列番号18および19について、本発明の3つの実施形態におけるmg/mLでの濃度は、よって、0.311と1.322、または0.109と0.463、または0.031と0.132であってよい。
【0100】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドとポリカチオンポリマーとの粒子状複合体を含む本発明の実施形態において、複合体が唯一のアジュバントである場合、例えば組成物が、アルミニウム塩を含まず、水中油型エマルジョンを含まない場合が有用である。
【0101】
ある具体的な実施形態において、本発明は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドとポリカチオンポリマーとの粒子状複合体(例えばIC31)と、髄膜炎菌fHBP抗原と、髄膜炎菌血清群A、C、W135および/またはYの1、2、3または4つからの結合体化莢膜糖とを含む免疫原性組成物を提供する。適切な結合体化糖のさらなる詳細は、以下に記載する。
【0102】
さらなる抗原(複数可)
fHBP抗原(複数可)に加えて、本発明の組成物は、髄膜炎菌またはその他の病原体、例えば肺炎球菌のようなその他の細菌からのさらなる抗原を含むことができる。
【0103】
さらなる髄膜炎菌ポリペプチド抗原
髄膜炎菌fHBPポリペプチド抗原(複数可)を含むことに加えて、組成物は、1または複数のさらなる髄膜炎菌ポリペプチド抗原(複数可)を含んでよい。よって、組成物は、287、NadA、NspA、HmbR、NhhA、Appおよび/またはOmp85からなる群より選択されるポリペプチド抗原を含んでよい。これらの抗原は、精製ポリペプチド、例えば組換えポリペプチドとして有用に存在する。抗原は、好ましくは、対象に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起する。組成物がPorA抗原を含む場合、いくつかの実施形態において、1つだけの髄膜炎菌PorA血清サブタイプが含まれる。いくつかの実施形態において、髄膜炎菌PorA外膜タンパク質は、組成物に含まれない。
【0104】
本発明の組成物は、287抗原を含んでよい。287抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[32]中に、遺伝子NMB2132(GenBank受理番号GI:7227388;本明細書において配列番号9)として含まれた。多くの株からの287抗原の配列が、それ以降公開されている。例えば、287の対立遺伝子型は、参考文献33の図5および15、参考文献34の実施例13および図21(その中の配列番号3179〜3184)で見ることができる。287抗原の種々の免疫原性フラグメントも報告されている。本発明で用いるために好ましい287抗原は、(a)配列番号9と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号9の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号9からのエピトープを含む。本発明の最も有用な287抗原は、被験体に投与した後に、配列番号9のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利な287抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0105】
本発明の組成物は、NadA抗原を含んでよい。NadA抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[32]中に、遺伝子NMB1994(GenBank受理番号GI:7227256;本明細書において配列番号10)として含まれた。多くの株からのNadA抗原の配列がそれ以降公開され、ナイセリアの付着因子としてのタンパク質活性は、詳細に文書化されている。NadAの種々の免疫原性フラグメントも報告されている。本発明で用いるために好ましいNadA抗原は、(a)配列番号10と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号10の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号10からのエピトープを含む。本発明の最も有用なNadA抗原は、被験体に投与した後に、配列番号10のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なNadA抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。配列番号6は、あるそのようなフラグメントである。
【0106】
本発明の組成物は、NspA抗原を含んでよい。NspA抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[32]中に、遺伝子NMB0663(GenBank受理番号GI:7225888;本明細書において配列番号11)として含まれた。抗原は、参考文献35および36から、以前に公知であった。多くの株からのNspA抗原の配列が、それ以降公開されている。NspAの種々の免疫原性フラグメントも報告されている。本発明で用いるために好ましいNspA抗原は、(a)配列番号11と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号11の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号11からのエピトープを含む。本発明の最も有用なNspA抗原は、被験体に投与した後に、配列番号11のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なNspA抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0107】
本発明の組成物は、髄膜炎菌HmbR抗原を含んでよい。全長HmbR配列は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[32]中に、遺伝子NMB1668(本明細書において配列番号7)として含まれた。参考文献37は、異なる株からのHmbR配列(本明細書において配列番号8)を報告している。配列番号7と8は、1アミノ酸長異なり、94.2%の同一性を有する。本発明は、全長HmbR配列を含むポリペプチドを用いることができるが、部分的なHmbR配列を含むポリペプチドを頻繁に用いる。よって、いくつかの実施形態において、本発明に従って用いられるHmbR配列は、配列番号7と少なくともi%(ここで、iの値は、50、60、70、80、90、95、99またはそれより多い)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでよい。別の実施形態において、本発明に従って用いられるHmbR配列は、配列番号7からの少なくともj連続アミノ酸のフラグメント(ここで、jの値は、7、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い)のフラグメントを含んでよい。別の実施形態において、本発明に従って用いられるHmbR配列は、(i)配列番号7と少なくともi%の配列同一性を有し、かつ/または(ii)配列番号7からの少なくともj連続アミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列を含んでよい。jアミノ酸の好ましいフラグメントは、配列番号7からのエピトープを含む。このようなエピトープは、通常、HmbRの表面上にあるアミノ酸を含む。有用なエピトープは、ヘモグロビンとのHmbRの結合に関与するアミノ酸を有するものを含む。なぜなら、これらのエピトープと結合する抗体は、宿主のヘモグロビンと結合する細菌の能力を遮断できるからである。HmbRの位相幾何学およびその重要な機能的残基は、参考文献38において調べられた。本発明の最も有用なHmbR抗原は、被験体に投与した後に、配列番号7のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なHmbR抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0108】
本発明の組成物は、NhhA抗原を含んでよい。NhhA抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[32]中に、遺伝子NMB0992(GenBank受理番号GI:7226232;本明細書において配列番号12)として含まれた。多くの株からのNhhA抗原の配列がそれ以降公開され、例えば参考文献33および39であり、NhhAの種々の免疫原性フラグメントが報告されている。これは、Hsfとしても公知である。本発明で用いるために好ましいNhhA抗原は、(a)配列番号12と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号12の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号12からのエピトープを含む。本発明の最も有用なNhhA抗原は、被験体に投与した後に、配列番号12のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なNhhA抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0109】
本発明の組成物は、App抗原を含んでよい。App抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[32]中に、遺伝子NMB1985(GenBank受理番号GI:7227246;本明細書において配列番号13)として含まれた。多くの株からのApp抗原の配列がそれ以降公開されている。Appの種々の免疫原性フラグメントが報告されている。本発明で用いるために好ましいApp抗原は、(a)配列番号13と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号13の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号13からのエピトープを含む。本発明の最も有用なApp抗原は、被験体に投与した後に、配列番号13のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なApp抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0110】
本発明の組成物は、Omp85抗原を含んでよい。Omp85抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[32]中に、遺伝子NMB0182(GenBank受理番号GI:7225401;本明細書において配列番号14)として含まれた。多くの株からのOmp85抗原の配列がそれ以降公開されている。Omp85についてのさらなる情報は、参考文献40および41で見出すことができる。Omp85の種々の免疫原性フラグメントも報告されている。本発明で用いるために好ましいOmp85抗原は、(a)配列番号14と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号14の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号14からのエピトープを含む。本発明の最も有用なOmp85抗原は、被験体に投与した後に、配列番号14のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なOmp85抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0111】
髄膜炎菌リポオリゴ糖
髄膜炎菌fHBPポリペプチド抗原(複数可)を含むことに加えて、組成物は、1または複数の髄膜炎菌リポオリゴ糖(LOS)抗原(複数可)を含んでよい。髄膜炎菌LOSは、細菌の外膜の外側の単層で見出されるグルコサミンベースのリン脂質である。これは、リピドA部分とコアオリゴ糖領域とを含み、リピドA部分は、膜において疎水性アンカーとして作用する。オリゴ糖コア中の不均質性が、異なる髄膜炎菌株の間での構造的および抗原的多様性を生じ、これは、株を12のイムノタイプ(L1〜L12)に細分するために用いられている。本発明は、任意のイムノタイプ、例えばL1、L2、L3、L4、L5、L6、L7および/またはL8からのLOSを用いてよい。
【0112】
L2およびL3のα鎖は、天然に、ラクトN−ネオテトラオース(LNnT)を含む。本発明がL2またはL3イムノタイプからのLOSを用いる場合、このLNnTは存在しないことがある。この非存在は、α鎖内でLNnT四糖を合成する能力が破壊されるように操作された変異体株を用いることにより、簡便に達成できる。関連する生合成付加を担う酵素のノックアウトによりこの目的が達成されることが公知である[42、43]。例えば、LgtB酵素のノックアウトは、LNnTの末端ガラクトースの付加を妨げるとともに、α鎖の末端シアル酸の下流の付加も妨げる。LgtA酵素のノックアウトは、LNnTのN−アセチル−グルコサミンの付加と、下流の付加とを妨げる。LgtAノックアウトは、LgtCノックアウトを伴い得る。同様に、LgtEおよび/またはGalE酵素のノックアウトは、内部ガラクトースの付加を妨げ、LgtFのノックアウトは、Hep残基へのグルコースの付加を妨げる。これらのノックアウトのいずれも、L2、L3、L4、L7またはL9イムノタイプ株におけるLNnT四糖の破壊のために、単独または組み合わせて用いることができる。有用な免疫原性を保持しながらLNnTエピトープが除去されたLOSを提供するので、少なくともLgtBのノックアウトが好ましい。
【0113】
LNnTエピトープを破壊する変異に加えて、またはその代わりに、galE遺伝子のノックアウトも、有用な改変LOSを提供し、リピドA脂肪トランスフェラーゼ(fatty transferase)遺伝子も同様にノックアウトされ得る[44]。少なくとも1つの第一級O結合脂肪酸を、LOSから除去してよい[45]。1LOS分子あたりの第二級アシル鎖の数が低減されたLOSを用いることもできる[46]。LOSは、典型的に、少なくともGlcNAc−Hepホスホエタノールアミン−KDO−リピドA構造を有する[47]。LOSは、GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc三糖を含むが、LNnT四糖を欠くことがある。
【0114】
LOSは、本発明の組成物中に種々の形態で含まれ得る。これは、精製された形態にてそれ自体で用いてよい。これは、担体タンパク質と結合体化してよい。LOSが結合体化されている場合、結合体化は、LOS中のリピドA部分を介するか、または任意のその他の適切な部分、例えばそのKDO残基によるものであってよい。LOSのリピドA部分が存在しない場合、このような代替の連結が必要となる。LOSについての結合体化技術は、参考文献45、47、48、49などから公知である。これらの結合体に有用な担体タンパク質は、ジフテリアもしくは破傷風毒素またはそのトキソイドもしくは変異体のような下記で論じる例えば細菌毒素である。
【0115】
LOSは、参考文献50に記載されるような固定(すなわち相変動性(phase variable)でない)LOSイムノタイプを有する株(例えば遺伝子操作された髄膜炎菌株)からであってよい。例えば、L2およびL3 LOSイムノタイプを固定してよい。このような株は、イムノタイプ間のスイッチング率が、元の野生型株に対して1/2未満(>1/50にさえ)に低減されてよい。参考文献50は、lgtAおよび/またはlgtG遺伝子生成物の改変によりこの結果をどのようにして達成できるかについて開示している。
【0116】
LOSは、例えばL3について、そのヘプトースII残基に付加されたGlcNac残基上でO−アセチル化されてよい[51]。
【0117】
免疫原性組成物は、1より多い型のLOS、例えば髄膜炎菌イムノタイプL2およびL3からのLOSを含むことができる。例えば、参考文献52に開示されるLOSの組み合わせを用いてよい。
【0118】
LOS抗原は、好ましくは、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0119】
しかし、本発明の好ましい組成物は、髄膜炎菌リポオリゴ糖を含まない。
【0120】
髄膜炎菌莢膜糖抗原(複数可)
髄膜炎菌fHBPポリペプチド抗原(複数可)を含むことに加えて、組成物は、1または複数の髄膜炎菌莢膜糖結合体を含んでよい。本発明の組成物は、髄膜炎菌血清群A、血清群C、血清群W135および血清群Yの1、2、3または4つ、例えばA+C、A+W135、A+Y、C+W135、C+Y、W135+Y、A+C+W135、A+C+Y、A+W135+Y、A+C+W135+Yなどからの莢膜糖の1または複数の結合体を含んでよい。結合体化血清群Cの莢膜糖を含む組成物は有用であり、そして血清群A、血清群C、血清群W135および血清群Yの4つ全てからの糖を含む組成物が理想的である。
【0121】
血清群A髄膜炎菌の莢膜糖は、C3位およびC4位に部分的O−アセチル化を有する(α1→6)結合N−アセチル−D−マンノースアミン−1−ホスフェートのホモポリマーである。C3位でのアセチル化は、70〜95%であり得る。糖を精製するために用いる条件は、脱O−アセチル化をもたらし得る(例えば塩基性条件下で)が、このC3位にてOAcを保持することが有用である。いくつかの実施形態において、血清群Aの糖中のマンノースアミン残基の少なくとも50%(例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、95%またはそれより多い)が、C3位にてO−アセチル化される。アセチル基は、加水分解を防ぐために、ブロック基で置き換えることができ[53]、このような改変糖は、本発明の意味において、まだ血清群Aの糖である。
【0122】
血清群Cの莢膜糖は、(α2→9)結合シアル酸(N−アセチルノイラミン酸または「NeuNAc」)のホモポリマーである。糖の構造は、→9)−NeupNAc7/8OAc−(α2→と記載される。ほとんどの血清群C株は、シアル酸残基のC7および/またはC8にてO−アセチル基を有するが、臨床単離株の約15%は、これらのO−アセチル基を欠く[54、55]。OAc基の存在または非存在は、ユニークエピトープを生じ、糖と結合する抗体の特異性は、O−アセチル化された株(OAc+)および脱O−アセチル化された株(OAc−)に対するその殺菌活性に影響し得る[56〜58]。本発明で用いられる血清群Cの糖は、OAc+またはOAc−株のいずれかから調製してよい。許諾されたMenC結合体ワクチンは、OAc−(NEISVAC−C(商標))およびOAc+(MENJUGATE(商標)およびMENINGITEC(商標))糖の両方を含む。いくつかの実施形態において、血清群Cの結合体の生成のための株は、例えば、血清型16、血清サブタイプP1.7a,1などのOAc+株である。よって、C:16:P1.7a,1 OAc+株を用いてよい。C11株のような血清サブタイプP1.1中のOAc+株も有用である。
【0123】
血清群W135の糖は、シアル酸−ガラクトース二糖単位のポリマーである。血清群Cの糖と同様に、これは、変動性のO−アセチル化を有するが、シアル酸7位および9位においてである[59]。この構造は、→4)−D−Neup5Ac(7/9OAc)−α−(2→6)−D−Gal−α−(1→と記載される。
【0124】
血清群Yの糖は、二糖反復単位がガラクトースの代わりにグルコースを含む以外は、血清群W135の糖と同様である。血清群W135と同様に、これは、シアル酸7位および9位において変動性のO−アセチル化を有する[59]。血清群Yの構造は、→4)−D−Neup5Ac(7/9OAc)−α−(2→6)−D−Glc−α−(1→と記載される。
【0125】
本発明に従って用いられる糖は、上記のようにO−アセチル化されてよい(例えば、天然の莢膜糖で見られるのと同じO−アセチル化パターンで)か、またはこれらは、糖の環の1または複数の位置にて部分的もしくは完全に脱O−アセチル化されてよいか、またはこれらは、天然の莢膜糖に比べて過剰にO−アセチル化されてよい。
【0126】
結合体中の糖部分は、髄膜炎菌から調製される全長の糖を含んでよく、かつ/または全長の糖のフラグメントを含んでよく、すなわち、糖は、細菌で見られる天然の莢膜糖より短くてよい。糖は、よって、解重合されてよく、この解重合は、糖の精製の間もしくは後であるが、結合体化の前に生じる。解重合は、糖の鎖長を低減する。ある解重合法は、過酸化水素の使用を伴う。過酸化水素を糖に加え(例えば1%の最終H濃度まで)、混合物を、次いで、所望の鎖長の減少が達成されるまでインキュベートする(例えば約55℃にて)。別の解重合法は、酸加水分解を伴う。その他の解重合法は、当該技術において公知である。本発明に従って用いるための結合体を調製するために用いる糖は、これらの解重合法のいずれによっても得ることができる。解重合は、免疫原性のために最適な鎖長を提供し、かつ/または糖の物理的な管理のしやすさのために鎖長を低減するために用いることができる。いくつかの実施形態において、糖は、以下の範囲の平均重合度(Dp)を有する:A=10〜20;C=12〜22;W135=15〜25;Y=15〜25。Dpよりもむしろ分子量の点において、有用な範囲は、全ての血清群について<100kDa;5kDa〜75kDa;7kDa〜50kDa;8kDa〜35kDa;12kDa〜25kDa;15kDa〜22kDaである。
【0127】
いくつかの実施形態において、髄膜炎菌血清群A、血清群C、血清群W135および血清群Yのそれぞれからの糖についての平均分子量は、特にMALLSにより決定して、50kDaより高く、例えば≧75kDa、≧100kDa、≧110kDa、≧120kDa、≧130kDaなどであってよく[60]、1500kDaまででさえあってよい。例えば、MenAの糖は、50〜500kDa、例えば60〜80kDaの範囲であってよく、MenCの糖は、100〜210kDaの範囲であってよく、MenW135の糖は、60〜190kDa、例えば120〜140kDaの範囲であってよく、かつ/またはMenYの糖は、60〜190kDa、例えば150〜160kDaの範囲であってよい。
【0128】
組成物中の1血清群あたりの髄膜炎菌の糖の質量は、通常、1μg〜20μg、例えば1血清群あたり2〜10μg、または約4μgもしくは約5μgもしくは約10μgである。1より多い血清群からの結合体が含まれる場合、これらは、実質的に等しい質量で存在してよく、例えば、各血清群の糖の質量が、互いの+10%以内である。等しい比率の代替として、2倍の質量の血清群Aの糖を用いてよい。つまり、ワクチンは、MenAの糖を10μgと、MenC、W135およびYの糖をそれぞれ5μgで含んでよい。
【0129】
髄膜炎菌結合体のために有用な担体タンパク質は、ジフテリアもしくは破傷風毒素のような細菌毒素、またはそのトキソイドもしくは変異体を含む。これらは、結合体ワクチンにおいて通常用いられる。例えば、CRM197ジフテリア毒素変異体が有用である[61]。その他の適切な担体タンパク質は、合成ペプチド[62、63]、熱ショックタンパク質[64、65]、百日咳タンパク質[66、67]、サイトカイン[68]、リンホカイン[68]、ホルモン[68]、成長因子[68]、N19[70]のような種々の病原体由来抗原からの複数のヒトCD4T細胞エピトープを含む人工タンパク質[69]、H.influenzaeからのタンパク質D[71〜73]、ニューモリシン[74]またはその非毒性誘導体[75]、肺炎球菌表面タンパク質PspA[76]、鉄取込みタンパク質[77]、C.difficileからの毒素AまたはB[78]、組換えPseudomonas aeruginosaエキソタンパク質A(rEPA)[79]などを含む。CRM197が好ましい。
【0130】
組成物が1より多い髄膜炎菌血清群からの結合体を含む場合、それぞれの別個の結合体について同じ担体タンパク質を用いることができるか、または異なる担体タンパク質を用いることができる。しかし、両方の場合において、異なる結合体の混合物は、通常、それぞれの血清型結合体を別々に調製し、それからそれらを混合して別個の結合体の混合物を形成することにより形成される。
【0131】
1:5(すなわち過剰のタンパク質)〜5:1(すなわち過剰の糖)の糖:タンパク質比率(w/w)、例えば1:2〜5:1の比率および1:1.25〜1:2.5の比率の結合体を用いてよい。参考文献80に記載されるように、混合物中の異なる髄膜炎菌血清群結合体は、異なる糖:タンパク質の比率を有することができ、例えば、あるものは1:2〜1:5の比率を有し、別のものは5:1〜1:1.99の比率を有してよい。
【0132】
担体タンパク質は、髄膜炎菌糖に、直接またはリンカーを介して共有的に結合体化してよい。種々のリンカーが公知である。例えば、結合は、修飾糖の遊離のヒドロキシル基とCDIとの反応[81、82]と、その後のタンパク質との反応によりカルバメート結合を形成することにより形成され得るカルボニルによるものであってよい。カルボジイミド縮合を用いることができる[83]。アジピン酸リンカーを用いることができ、これは、遊離の−NH基(例えばアミノ化により糖に導入される)とアジピン酸(例えばジイミド活性化を用いて)とのカップリングと、次いで得られた糖−アジピン酸中間体へのタンパク質のカップリングにより形成し得る[84、85]。その他のリンカーは、β−プロピオンアミド[86]、ニトロフェニル−エチルアミン[87]、ハロアシルハロゲン化物[88]、グリコシド結合[89]、6−アミノカプロン酸[90]、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオネート(SPDP)[91]、アジピン酸ジヒドラジドADH[92]、C〜C12部分[93]などを含む。
【0133】
還元的アミノ化による結合体化を用いることができる。糖は、過ヨウ素酸塩を用いてまず酸化してアルデヒド基を導入し、これが、次いで、担体タンパク質との直接的共有結合を、還元的アミノ化により例えばリジンのε−アミノ基に形成できる。糖が分子あたりに複数のアルデヒド基を含む場合、この結合技術は、複数のアルデヒドが複数の担体アミンと反応した架橋生成物を導くことができる。
【0134】
参考文献94に記載されるように、混合物は、直接の糖/タンパク質結合を有するある結合体と、リンカーを介する結合を有する別の結合体とを含むことができる。この取り合わせは、異なる髄膜炎菌血清群からの糖結合体を用いる場合に特に当てはまり、例えばMenAおよびMenCの糖はリンカーを介して結合体化してよく、MenW135およびMenYの糖は、担体タンパク質と直接結合体化してよい。
【0135】
髄膜炎菌糖は、髄膜炎菌から調製される全長のインタクトな糖を含んでよく、かつ/または全長の糖のフラグメントを含んでよく、すなわち、糖は、細菌において見られる天然の莢膜糖よりも短くてよい。糖は、よって、解重合されてよく、この解重合は、糖の精製の間もしくは後であるが、結合体化の前に生じる。解重合は、糖の鎖長を低減する。解重合は、免疫原性のために最適な鎖長を提供し、かつ/または糖の物理的管理しやすさのために鎖長を低減するために用いることができる。
【0136】
結合体化肺炎球菌莢膜糖(複数可)
本発明の組成物は、担体タンパク質と結合体化した肺炎球菌莢膜糖を含んでよい。
【0137】
本発明は、1または複数の異なる肺炎球菌血清型からの莢膜糖を含むことができる。組成物が1より多い血清型からの糖抗原を含む場合、これらは、好ましくは、別々に調製され、別々に結合体化され、それから組み合わされる。肺炎球菌莢膜糖を精製するための方法は、当該技術において公知であり(例えば参考文献95を参照されたい)、23の異なる血清型からの精製された糖に基づくワクチンが、長年、公知である。これらの方法の改良も、例えば血清型3について参考文献96に、血清型1、4、5、6A、6B、7Fおよび19Aについて参考文献97に記載されている。
【0138】
肺炎球菌莢膜糖(複数可)は、以下の血清型から典型的に選択される:1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび/または33F。よって、合計では、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23またはそれより多くの異なる血清型からの莢膜糖を含んでよい。
【0139】
血清型の有用な組合せは、例えば血清型4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fのそれぞれからの莢膜糖を含む7価の組合せである。別の有用な組合せは、例えば血清型1、4、5、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fのそれぞれからの莢膜糖を含む9価の組合せである。別の有用な組合せは、例えば血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fのそれぞれからの莢膜糖を含む10価の組合せである。11価の組合せは、血清型3からの糖をさらに含み得る。12価の組合せは、10価混合物に、血清型6Aおよび19A;6Aおよび22F;19Aおよび22F;6Aおよび15B;19Aおよび15B;または22Fおよび15Bを加えてよい。13価の組合せは、11価混合物に、血清型19Aおよび22F;8および12F;8および15B;8および19A;8および22F;12Fおよび15B;12Fおよび19A;12Fおよび22F;15Bおよび19A;15Bおよび22F;6Aおよび19Aなどを加えてよい。
【0140】
よって、有用な13価の組合せは、例えば参考文献98〜101に開示されるようにして調製された、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19、19Fおよび23Fからの莢膜糖を含む。あるこのような組合せは、血清型6Bの糖を約8μg/mlで、およびその他の12の糖をそれぞれ約4μg/mlの濃度で含む。別のこのような組合せは、血清型6Aおよび6Bの糖をそれぞれ約8μg/mlで、およびその他の11の糖をそれぞれ約4μg/mlで含む。
【0141】
結合体のための適切な担体タンパク質は、髄膜炎菌結合体に関して上で論じている。肺炎球菌結合体ワクチンについて特に有用な担体タンパク質は、CRM197、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイドおよびH.influenzaeタンパク質Dである。CRM197は、PREVNAR(商標)において用いられている。13価混合物は、13の結合体のそれぞれについての担体タンパク質としてCRM197を用いてよく、CRM197は、約55〜60μg/mlで存在してよい。
【0142】
組成物が1より多い肺炎球菌血清型からの結合体を含む場合、それぞれの別個の結合体について同じ担体タンパク質を用いることができるか、または異なる担体タンパク質を用いることができる。しかし、両方の場合において、異なる結合体の混合物は、通常、それぞれの血清型結合体を別々に調製し、それからそれらを混合して別個の結合体の混合物を形成することにより形成される。参考文献102は、多価肺炎球菌結合体ワクチン中に異なる担体タンパク質を用いる場合の潜在的な利点について記載しているが、PREVNAR(商標)製品は、7つの異なる血清型のそれぞれについて同じ担体を用いて成功している。
【0143】
担体タンパク質は、髄膜炎菌結合体について上で論じたように、肺炎球菌糖に、直接またはリンカーを介して共有結合的に結合体化してよい。架橋結合体化技術は、少なくとも肺炎球菌血清型4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fのために特に有用である。
【0144】
髄膜炎菌糖について上で論じたように、肺炎球菌糖は、肺炎球菌から調製される全長のインタクトな糖を含んでよく、かつ/または全長の糖のフラグメントを含んでよい。1より多い肺炎球菌血清型を用いる場合、それぞれの血清型についてインタクトな糖を、それぞれの血清型についてフラグメントを、またはいくつかの血清型についてインタクトな糖、およびその他の血清型についてフラグメントを用いることが可能である。組成物が、血清型4、6B、9V、14、19Fおよび23Fのいずれかからの糖を含む場合、これらの糖は、好ましくはインタクトである。対照的に、組成物が、血清型18Cの糖を含む場合、この糖は、解重合されていることが好ましい。
【0145】
血清型3の糖も解重合されてよい。例えば、血清型3の糖は、例えば酢酸を用いる、解重合のための酸加水分解[98]に供することができる。得られるフラグメントを、次いで、活性化のために酸化し(例えば過ヨウ素酸塩酸化、おそらく2価カチオンの存在下、例えばMgClを用いる)、担体(例えばCRM197)に還元条件下(例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いて)で結合体化させてよく、次いで(所望により)、糖中のあらゆる未反応のアルデヒドもキャップできる(例えば水素化ホウ素ナトリウムを用いて)[98]。結合体化は、例えば活性化された糖と担体とを同時凍結乾燥させた後の凍結乾燥材料上で行ってよい。
【0146】
血清型1の糖は、重炭酸塩/炭酸塩緩衝液を用いるような例えばアルカリpH緩衝液処理[99]により達成して、少なくとも部分的に脱O−アセチル化してよい。このような(部分的)脱O−アセチル化糖は、活性化のために酸化し(例えば過ヨウ素酸塩酸化)、担体(例えばCRM197)に還元条件下(例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いて)で結合体化させることができ、次いで(所望により)、糖中のあらゆる未反応のアルデヒドもキャップできる(例えば水素化ホウ素ナトリウムを用いて)[99]。結合体化は、例えば活性化された糖と担体とを同時凍結乾燥させた後の凍結乾燥材料上で行ってよい。
【0147】
血清型19Aの糖は、活性化のために酸化し(例えば過ヨウ素酸塩酸化)、担体(例えばCRM197)にDMSO中で還元条件下に結合体化させてよく、次いで(所望により)、糖中のあらゆる未反応のアルデヒドもキャップできる(例えば水素化ホウ素ナトリウムを用いて)[103]。結合体化は、例えば活性化された糖と担体とを同時凍結乾燥させた後の凍結乾燥材料上で行ってよい。
【0148】
肺炎球菌結合体は、適切な糖と結合する抗莢膜抗体を理想的に惹起でき、例えば≧0.20μg/mLの抗糖抗体レベルを惹起できる[104]。抗体は、酵素イムノアッセイ(EIA)および/またはオプソニン作用活性(OPA)の測定により評価してよい。EIA法は、詳細に確認されており、抗体濃度とワクチン効力との間に関連が存在する。
【0149】
その他の病原体(複数可)からのさらなる抗原
本発明の組成物は、さらなる病原体(複数可)からの抗原(複数可)を含むことができる。このような組合せの状況において、ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントの使用と水酸化アルミニウムアジュバントの回避とが有利である。なぜなら、上記のように、追加の抗原(特に細菌莢膜糖)は、水酸化物塩に感受性であり得るからである。
【0150】
例えば、組成物は、以下のさらなる抗原(複数可)の1または複数を含んでよい:
−表面抗原HBsAgのようなB型肝炎ウイルスからの抗原。
−所望によりペルタクチンおよび/または凝集原2および3とも組み合わせた、Bordetella pertussisからの百日咳ホロ毒素(PT)および繊維状ヘマグルチニン(FHA)のようなB.pertussisからの抗原。
−ジフテリアトキソイドのようなジフテリア抗原。
−破傷風トキソイドのような破傷風抗原。
−Haemophilus influenzae B(Hib)からの、典型的には結合体化された糖抗原。
−不活化ポリオウイルス抗原(複数可)。
【0151】
ジフテリア抗原が組成物に含まれる場合、破傷風抗原と百日咳抗原も含むことが好ましい。同様に、破傷風抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原と百日咳抗原も含むことが好ましい。同様に、百日咳抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原と破傷風抗原も含むことが好ましい。DTPの組み合わせが、よって、好ましい。
【0152】
即席調製物
本発明は、(i)上記のようにヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着された少なくとも1つのfHBP抗原を含む第1成分と、(ii)非髄膜炎菌免疫原を含む第2成分とを含むキットも提供する。キットの成分は、混合して、複数の病原体に対して防御するために患者に投与するための免疫原組成物を得ることができる。
【0153】
本発明は、(i)上記のようにヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着された少なくとも1つのfHBP抗原を含む第1成分と、(ii)非髄膜炎菌免疫原を含む第2成分とを混合するステップを含む混合ワクチンを調製するための方法も提供する。混合された物質は、次いで、患者に投与してよい。第2成分は、凍結乾燥して、水性第1成分がそれを再構成するようにしてよい。
【0154】
医薬組成物
本発明は、患者に投与するための免疫原性組成物に関する。これらの組成物は、医薬的に許容可能であり、典型的には、適切な担体を含む。医薬的に許容される担体の詳細な考察は、参考文献105で入手可能である。
【0155】
有効投薬容量は、日常的に確立できるが、組成物の典型的なヒト用量は、約0.5mlの容量である。
【0156】
本発明の組成物のpHは、通常、6から8の間、より好ましくは6.5から7.5の間(例えば約7)である。既に上で論じたように、組成物は、緩衝剤、例えばTris緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、コハク酸塩緩衝剤(例えばコハク酸ナトリウム緩衝剤)またはヒスチジン緩衝剤を含んでよい。
【0157】
本発明の第1の態様において、上で説明したように、吸着の前および/または吸着中に特定のpHを用いる。しかし、吸着が安定である場合は、吸着の後にpHを維持する必要はなく、例えば中性近くまで上昇することを許容できる。よって、吸着の後に、このような組成物は、アジュバントのPZCより高いpHで緩衝してよい。
【0158】
同様に、第2の態様による組成物のpHは、吸着の前および/または吸着中に5.0〜7.0の範囲であるべきであるが、吸着の後にこの範囲外(例えば7.0〜8.0の範囲)であってよい。理想的には、しかし、第2の態様の組成物は、緩衝剤を用いることにより、5.0〜7.0の範囲の吸着後pHに維持される。
【0159】
吸着がアジュバントのPZCより高いpHで生じる場合、吸着が安定であれば、pHを維持する必要はなく、例えば中性近くまで降下することを許容できる。よって、吸着の後に、このような組成物は、アジュバントのPZC未満のpHで緩衝してよい。
【0160】
第3の態様による組成物のpHは、吸着の前および/または吸着中にアジュバントのPZCの1.2pH単位以内であるが、吸着後にこの範囲外であってよい。理想的には、しかし、第3の態様の組成物は、アジュバントのPZCの1.2pH単位以内の吸着後pHに維持される。
【0161】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、特に生理食塩水と組み合わせて用いる場合には、3.5から6.5の間のpKaを有する緩衝剤を含む。この処方物は、参考文献106においてfHBPについて有用であると言われている。pHが5.8から6.0の間で1〜10mMコハク酸塩(例えば5mM)を含むコハク酸塩緩衝液が有用である。組成物は、MgCl、KClおよび/またはNaClを含んでよい。
【0162】
組成物は、滅菌され、かつ/または発熱物質を含まなくてもよい。本発明の組成物は、ヒトに関して等張であってよい。
【0163】
本発明の組成物は、張度を得るためにナトリウム塩(例えば塩化ナトリウム)を含んでよい。10±2mg/ml NaClの濃度、例えば約9mg/mlが典型的である。
【0164】
患者に投与するための本発明の組成物は、免疫原性であり、より好ましくはワクチン組成物である。本発明によるワクチンは、予防的(すなわち感染を防止する)または治療的(すなわち感染を処置する)のいずれかであってよいが、典型的には予防的である。ワクチンとして用いられる免疫原性組成物は、免疫学的有効量の抗原(複数可)と、必要に応じて任意のその他の成分とを含む。「免疫学的有効量」により、単回用量または連続するものの一部のいずれかとしてその量を個体に投与することが、処置または予防のために有効であることを意味する。この量は、処置される個体の健康および体調、年齢、処置される個体の分類群(例えば非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体を合成する個体の免疫系の能力、望まれる防御の程度、ワクチンの処方、医療状態についての処置医の評価およびその他の関連する因子に依存して変動する。この量は、日常的な試験により決定できる比較的広い範囲にあると予測される。本発明の組成物の抗原含量は、通常、1用量あたりのタンパク質の量で表される。
【0165】
髄膜炎菌は、身体の種々の領域に影響し、よって、本発明の組成物は、種々の液体の形態で調製してよい。例えば、組成物は、溶液または懸濁液のいずれかとしての注射用剤として調製してよい。組成物は、例えば吸入器により、微細な噴霧(spray)を用いての肺投与のために調製してよい。組成物は、例えばスプレー剤またはドロップ剤として鼻、耳または眼投与のために調製してよい。筋肉内投与のための注射用剤が最も典型的である。
【0166】
本発明の組成物は、多回用量フォーマットで包装される場合は特に、抗菌剤を含んでよい。チオメルサールおよび2−フェノキシエタノールのような抗菌剤が、ワクチン中で通常見られるが、水銀を含まない防腐剤を用いるか、または防腐剤を全く用いないことが好ましい。
【0167】
本発明の組成物は、洗浄剤、例えばTween80のようなTween(ポリソルベート)を含んでよい。洗浄剤は、通常、低いレベル、例えば<0.01%で存在するが、抗原処方物を安定化するためにより高いレベル、例えば10%までが示唆されている[106]。組成物の例は、0.01〜0.05%のポリソルベートを含んでよく、これは、脂質付加fHBP抗原(複数可)を用いる場合に特に有用である。
【0168】
処置方法
本発明は、本発明の組成物を哺乳類に投与するステップを含む、哺乳類における免疫応答を惹起するための方法も提供する。免疫応答は、好ましくは、髄膜炎菌に対して防御的であり、好ましくは抗体を含む。方法は、既に初回刺激(prime)された患者における追加免疫応答を惹起し得る。
【0169】
哺乳類は、好ましくはヒトである。ワクチンが予防用である場合、ヒトは、好ましくは、小児(例えば、よちよち歩きの幼児または幼児)または10代の若者であり、ワクチンが治療用である場合、ヒトは好ましくは成人である。小児用を意図するワクチンは、例えば安全性、投薬量、免疫原性などを評価するために、成人に投与してもよい。
【0170】
本発明は、医薬品として用いるための本発明の組成物も提供する。医薬品は、好ましくは、上記のように、哺乳類における免疫応答を惹起するために用いられ(すなわちこれは免疫原性組成物である)、より好ましくはワクチンである。
【0171】
本発明は、哺乳類における上記のような免疫応答を惹起するための医薬品の製造における、少なくとも1つのfHBP抗原と、ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントとの使用も提供する。
【0172】
これらの使用および方法は、N.meningitidisを原因とする疾患、例えば細菌性(またはより具体的には髄膜炎菌)髄膜炎もしくは敗血症の予防および/または処置のためであることが好ましい。
【0173】
治療処置の効力を確認するある方法は、本発明の組成物の投与後の髄膜炎菌への感染を監視することを含む。予防的処置の効力を確認するある方法は、組成物の投与後の抗原に対する免疫応答を監視することを含む。本発明の組成物の免疫原性は、それらを試験被験体(例えば12〜16ヶ月齢の小児、または動物モデル)に投与し、次いで、髄膜炎菌についての血清殺菌性抗体(SBA)およびELISA力価(GMT)を含む標準的なパラメータを決定することにより決定できる。これらの免疫応答は、通常、組成物の投与の4週間後付近に決定され、組成物の投与前に決定された値と比較される。少なくとも4倍または8倍のSBAの増加が好ましい。組成物の1回より多い用量を投与する場合、1回より多い投与後測定を行ってよい。
【0174】
本発明の組成物は、通常、患者に直接投与される。直接送達は、非経口注射(例えば皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内または組織の間隙の空間へ)または任意のその他の適切な経路により達成してよい。本発明は、全身および/または粘膜免疫を惹起するために用いてよい。大腿または上腕への筋肉内投与が好ましい。注射は、針を介して(例えば皮下針)であってよいが、無針注射を代わりに用いてよい。典型的な筋肉内用量は、0.5mlである。
【0175】
投薬処置は、単回用量計画または多回用量計画であり得る。多回用量は、一次免疫化計画および/または追加免疫化計画で用い得る。一次用量計画の後に、追加用量計画を行い得る。初回刺激用量間(例えば4〜16週間)、および初回刺激と追加刺激との間の適切なタイミングは、日常的に決定できる。
【0176】
全般
本発明の実施は、そうでないと記載しない限り、当該技術の技量内の化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の従来の方法を用いる。このような技術は、文献に詳細に説明されている。例えば参考文献107〜113などを参照されたい。
【0177】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」および「からなる」を包含し、例えばXを「含む(comprising)」組成物は、Xのみからなり得るか、または何か追加のもの、例えばX+Yを含み得る。
【0178】
数値xに関する「約」との用語は、任意選択であり、例えばx±10%を意味する。
【0179】
本発明が「エピトープ」に関する場合、このエピトープは、B細胞エピトープおよび/またはT細胞エピトープであってよいが、通常、B細胞エピトープである。このようなエピトープは、経験的に同定できる(例えばPEPSCAN[114、115]または類似の方法を用いて)か、またはこれは予想できる(例えばJameson−Wolf抗原インデックス(antigenic index)[116]、行列に基づくアプローチ[117]、MAPITOPE[118]、TEPITOPE[119、120]、ニューラルネットワーク(neural network)[121]、OptiMer&EpiMer[122、123]、ADEPT[124]、Tsites[125]、親水性[126]、抗原インデックス[127]または参考文献128〜132に開示される方法などを用いて)。エピトープは、抗体またはT細胞受容体の抗原結合部位により認識され、それと結合する抗原の部分であり、これらは、「抗原決定基」とよぶこともできる。
【0180】
本発明が、「精製された」抗原を用いる場合、この抗原は、それが天然に存在する環境から分離されている。例えば、抗原は、存在する任意のその他の精製された抗原に由来するもの以外のその他の髄膜炎菌成分を実質的に有さない。精製された抗原の混合物は、2つの抗原が天然に混合されて存在していても、それぞれの抗原を別々に精製し、次いでそれらを再び組み合わせることにより典型的に調製される。
【0181】
2つのアミノ酸配列間のパーセンテージ配列同一性についての言及は、整列させたときに、アミノ酸のそのパーセンテージが、2つの配列の比較において同じであることを意味する。このアラインメントおよびパーセント相同性または配列同一性は、当該技術において公知のソフトウェアプログラム、例えば参考文献133の7.7.18節に記載されるものを用いて決定できる。好ましいアラインメントは、12のギャップ開始ペナルティおよび2のギャップ伸長ペナルティでのアフィンギャップ検索、62のBLOSUMマトリクスを用いるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、参考文献134に開示されている。
【0182】
「実質的に」との語句は、「完全に」を除外せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まないことがある。必要であれば、「実質的に」との語句を、本発明の定義から省くことができる。
【発明を実施するための形態】
【0183】
アルミニウムアジュバント
異なる条件下での異なるアルミニウムアジュバントへのfHBPの吸着を研究した。単一fHBP(予測pI7.4)または2もしくは3のfHBPのハイブリッド混合物を含む種々のfHBP抗原を用いた。いくつかの実験は、追加の非fHBP髄膜炎菌抗原を含んだ。
【0184】
pH6.5±0.5にて水酸化アルミニウムアジュバントを用いて、fHBPの100%の吸着が、すべての単一および混合抗原について観察された。完全な吸着は、わずかにより高いpHにて10mMヒスチジン緩衝剤の存在下でも観察された。追加の髄膜炎菌ポリペプチドアジュバントの存在は、fHBP吸着の程度を低減しなかった。
【0185】
対照的に、pH7.0にてヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントを用いて、fHBP抗原は、50%だけが吸着されたことが観察された。このpHは、抗原の予測pIより低く、アジュバントのPZCより高い。
【0186】
水酸化アルミニウムアジュバントは、通常、約11.4のPZCを有する。よって、中性pHは、アジュバントのPZC未満である。対照的に、中性pHは、ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントのPZCより高い。
【0187】
ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントへのfHBPの吸着を、種々のpHにて研究した。以下のデータは、処方の24時間後に得られたpHおよび吸着のデータを示す。これらの3つの処方物は、同じタンパク質濃度(50μg/ml)およびアジュバント濃度(0.5mg/ml)であるが、異なるpHでの10mMリン酸ナトリウム緩衝剤を用いている。
【0188】
【表1】

よって、約95%の吸着が、pH5.8組成物において達成された。このpHは、アジュバントのPZCとほぼ等しい(わずかにより高い)が、抗原のpIよりかなり低い。対照的に、より高いpH(1.2pH単位高い)またはより低いpH(2.3pH単位低い)にて、吸着は乏しかった。
【0189】
高いレベルの吸着が、アジュバントの量を4.5倍に増加させることによっても達成できた。
【0190】
緩衝剤およびpHの影響を、1mg/mlアジュバントおよび100μg/ml抗原を用いるさらなる実験で研究した。結果は、以下の通りであった。
【0191】
【表2】

よって、ヒドロキシリン酸アルミニウムへの高い吸着(≧95%)が、適切なpHを選択することにより達成できた。85%より高い吸着レベルは、ここでは、pHがアジュバントのPZCの1.2pH単位以内であった場合にのみ観察された(適切な緩衝剤において)。
【0192】
上記のように、これらの研究は、7.4のpIを有するfHBPを用いて行った。このfHBPは、以下、fHBP−v1と称する。さらなる研究は、さらに2つの髄膜炎菌株からのfHBPを用いて行った。fHBP−v2についての予測pIは5.8であり、fHBP−v3についてこれは6.1である。さらに、v1、v2およびv3の3つすべてを組み合わせる融合物を研究した。これらの4つのタンパク質のそれぞれは、100μg/mlにて0.222mg/mlのアジュバントおよび9mg/mlのNaClと共に処方した。3つの異なる処方物のpH、すなわちpH5、pH6およびpH7を調べた。ヒドロキシリン酸アルミニウムへのfHBPタンパク質の吸着の程度を、次いで、決定した。結果は、以下の通りであった。
【0193】
【表3】

これらの結果から、5.8のpIの1つのfHBPと6.1のpIの別のfHBP(すなわち、共に5.0から7.0の間)を含むv1/v2/v3の組合せが、≧85%の吸着レベルを、5.0から7.0の間のPZCを有するヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントを用いて達成できたことが確認される。さらに、この組合せについての吸着の最高レベルは、pHがアジュバントのゼロ電荷点の1.2pH単位以内(すなわちpH7よりもむしろpH5またはpH6)であった場合に観察された。
【0194】
高い吸着は、(i)pHがアジュバントのPZCより1.2単位を超えて高い場合のv1およびv2、(ii)pHがアジュバントのPZCより低く、fHBPのpIが5.0〜7.0の範囲外である場合のv1以外について観察された。pH7でのv2 fHBPの比較的低い吸着は、5.0〜7.0の範囲内のpIを有する第2fHBPを加えることにより克服できた。
【0195】
よって、異なるpI値を有する複数のfHBPバリアントの混合物は、水酸化アルミニウムを必要とすることなく、高い吸着レベルでうまく処方できる。
【0196】
免疫賦活性オリゴヌクレオチド+ポリカチオンポリマーアジュバント
アルミニウムベースのアジュバントを用いる代わりに、本発明は、IC31のような免疫賦活性オリゴヌクレオチドとポリカチオンポリマーとの粒子状複合体を用いることができる。
【0197】
参考文献12(参考文献135も参照されたい)に開示される「5CVMB」ワクチンを構成する3つのポリペプチドに、水酸化アルミニウムおよび/またはIC31をアジュバント添加した。これらの3つのポリペプチドのうちの1つは、fHBP抗原を含む。
【0198】
第1組の実験において、9群のマウスに10μgの抗原、3mg/mlの水酸化アルミニウムおよび変動する用量のIC31を与えた。群に以下の9つの組成物を与え、群7〜9には、1〜6と同じ抗原であるが異なる処方のものを与えた。
【0199】
【表4】

標準IC31懸濁物を用いた。100μlのこの懸濁物は、最大強度を示した。より低い容量は、より低い強度を示した。より低い強度の組成物の容量を維持するために、緩衝液を100μlまで加えた。
【0200】
マウスからの血清を、殺菌活性について髄膜炎菌株のパネルに対して試験した。
【0201】
実験MP03からの殺菌力価は、6つの異なる株A〜Fに対して以下の通りであった。
【0202】
【表5】

よって、IC31を用いて得られた力価は、通常、Al−Hを用いて得られたものよりも良好であった。
【0203】
「5CVMB」ワクチンを、血清群A、C、W135およびYに対する髄膜炎菌結合体の4価混合物と組み合わせた。混合物に、Al−HまたはIC31(高濃度または低濃度にて)でアジュバント添加した。殺菌力価は、血清群A、C、W135およびYのぞれぞれからの1つの株のパネルに対して以下の通りであった。
【0204】
【表6】

よって、最良の力価は、IC31を用いて観察された。
【0205】
別の実験において、II−III−Iの順序でfHBPの3つのバリアントを含有する3重融合ポリペプチド(参考文献27に開示される通り)に、水酸化アルミニウムまたはIC31でアジュバント添加した。
【0206】
第1組の実験において、6群のマウスに20μgの抗原(精製タグを有するかまたは有さない)、3mg/mlの水酸化アルミニウムおよび100μlのIC31を与えた。群に、以下の通りに与えた。
【0207】
【表7】

マウスからの血清を、殺菌活性について髄膜炎菌株のパネルに対して試験した。
【0208】
実験MP05からの血清を、株のパネル(合計25)に対して再度試験した。群1(IC31、タグなし)の株の56%が、≧1:1024の力価を有したのに対し、群5(Al−H、タグなし)では株の36%だけであった。同様に、群1の株の76%は≧1:128の力価を有したのに対し、この力価は、群5では株の64%でしか観察されなかった。タグ付加していない抗原をみると、群2(IC31)の株の84%が≧1:128の力価を有したのに対し、群6(Al−H)では76%であった。よって、より高い殺菌力価が、IC31を用いて達成された。
【0209】
さらなる免疫原性実験は、同じ群分けおよび株のパネルを用いる実験MP04において、fHBPII−III−I抗原をNadAおよび287−953抗原と組み合わせて用いた。群1は、群5において84%だけであったのと比較して、株の100%で≧1:128の殺菌力価を示した。≧1:1024のより厳しい閾値について、群1からの血清は、群5において56%だけであったのと比較して、株の88%に対して殺菌性であった。同様の結果が、タグ付加した抗原を用いて観察され、ここでは、群6の80%と比較して、群2の88%が≧1:128の殺菌力価を有した。よって、ここでもまた、より良好な抗髄膜炎菌免疫応答が、IC31を用いて得られた。
【0210】
同様の実験において、fHBPII−III−IとNadAと287−953との組合せに、Al−HまたはIC31でアジュバント添加した。これらの組成物を、Al−Hでアジュバント添加した外膜小胞を含む5CVMBワクチンを含む組成物と比較した。IC31でアジュバント添加したワクチンは、いずれのその他の組成物よりも、試験した12の株のすべてにわたってより高い%適用範囲を示した。
【0211】
よって、IC31は、fHBPのための有効なアジュバントである。
【0212】
本発明は、例によってのみ記載され、本発明の範囲および精神内に留まったまま改変を行うことができることが理解される。
【0213】
参考文献
【0214】
【化1】

【0215】
【化2】

【0216】
【化3】

【0217】
【化4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む緩衝免疫原性組成物であって、前記髄膜炎菌fHBP抗原の両方は、ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに少なくとも85%吸着されている、組成物。
【請求項2】
(i)前記2つの異なるfHBP抗原のそれぞれが、5.0から7.0の間の等電点を有し、(ii)前記ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントが、5.0から7.0の間のゼロ電荷点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記緩衝組成物のpHが、5.0〜7.0の範囲である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む免疫原性組成物であって、前記髄膜炎菌fHBP抗原の両方は、ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着され、ここで、(i)前記髄膜炎菌fHBP抗原の両方は、5.0〜7.0の等電点を有し、(ii)前記ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントは、5.0〜7.0のゼロ電荷点を有する、組成物。
【請求項5】
2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着させて免疫原性組成物を得るための方法であって、(i)前記髄膜炎菌fHBP抗原の両方が、5.0から7.0の間の等電点を有し、(ii)前記ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントが、5.0から7.0の間のゼロ電荷点を有し、(iii)前記fHBP抗原の両方の吸着が、5.0から7.0の間のpHで生じる、方法。
【請求項6】
共にヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着された2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む緩衝免疫原性組成物であって、(i)それぞれの髄膜炎菌fHBP抗原が、前記アジュバントのゼロ電荷点より高い等電点を有し、(ii)前記組成物が、前記アジュバントのゼロ電荷点の1.2pH単位以内のpHを有する、組成物。
【請求項7】
2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着させるための方法であって、(i)前記髄膜炎菌fHBP抗原が共に前記アジュバントのゼロ電荷点よりも高い等電点を有し、(ii)それぞれの抗原の吸着が、前記アジュバントのゼロ電荷点の1.2pH単位以内の緩衝されたpHで生じる、方法。
【請求項8】
2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原をヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントに吸着させるための方法であって、前記fHBP抗原の両方の吸着が、前記ヒドロキシリン酸アルミニウムのゼロ電荷点以下のpHで生じる、方法。
【請求項9】
pHを5.0〜7.0の範囲に維持する緩衝剤を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
前記髄膜炎菌fHBP抗原の両方が5.0から6.0の間の等電点を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法または組成物。
【請求項11】
前記ヒドロキシリン酸アルミニウムが、5.0から6.0の間の等電点を有する、請求項5に記載の方法または請求項4に記載の組成物。
【請求項12】
(i)前記髄膜炎菌fHBP抗原の両方が5.0から6.0の間の等電点を有し、(ii)前記ヒドロキシリン酸アルミニウムが、5.0から6.0の間の等電点を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法または組成物。
【請求項13】
前記免疫原性組成物が、pHを5.0〜7.0の範囲に維持する緩衝剤を含む、請求項12に記載の方法または組成物。
【請求項14】
前記免疫原性組成物が、pHを5.0〜6.0の範囲に維持する緩衝剤を含む、請求項13に記載の方法または組成物。
【請求項15】
前記pHを前記アジュバントのゼロ電荷点の1.2pH単位以内に維持する緩衝剤を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項16】
前記アジュバントのゼロ電荷点の0.5pH単位以内のpHを有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項17】
前記pHを前記アジュバントのゼロ電荷点の0.5pH単位以内に維持する緩衝剤を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記2つの異なるfHBP抗原が、
(a)(i)配列番号1と少なくとも84%の配列同一性を有し、かつ/または(ii)配列番号1からの少なくとも20隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第1ポリペプチド、
(b)(i)配列番号2と少なくとも84%の配列同一性を有し、かつ/または(ii)配列番号2からの少なくとも20隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第2ポリペプチド、
(c)(i)配列番号3と少なくとも84%の配列同一性を有し、かつ/または(ii)配列番号3からの少なくとも20隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第3ポリペプチド
から選択される(i)第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチド、(ii)第1ポリペプチドおよび第3ポリペプチド、または(iii)第2ポリペプチドおよび第3ポリペプチドである、前記請求項のいずれかに記載の組成物または方法。
【請求項19】
前記2つの異なるfHBP抗原が、
(a)配列番号4と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1ポリペプチド、
(b)配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2ポリペプチド、
(c)配列番号5と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第3ポリペプチド
から選択される(i)第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチド、(ii)第2ポリペプチドおよび第3ポリペプチドである、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物または方法。
【請求項20】
前記2つの異なるfHBP抗原が、(a)配列番号4と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1ポリペプチドと、(b)配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2ポリペプチドである、請求項4に記載の組成物または請求項5に記載の方法または請求項4もしくは5に従属する場合の請求項9から14のいずれか一項に記載の方法もしくは組成物。
【請求項21】
前記第1ポリペプチドが、配列番号23のアミノ酸配列を有するリポタンパク質であり、前記第2ポリペプチドが、配列番号25のアミノ酸配列を有するリポタンパク質である、請求項20に記載の組成物または方法。
【請求項22】
水酸化アルミニウムアジュバントを含まない、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
結合体化細菌莢膜糖を含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記fHBPポリペプチドが、N末端システインにて脂質付加されており、前記脂質がパルミトイルを含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物または方法。
【請求項25】
前記ヒドロキシリン酸アルミニウムが、5.4から6.2の間のPZCを有する、前記請求項のいずれかに記載の組成物または方法。
【請求項26】
前記ヒドロキシリン酸アルミニウムが、0.85から1.0の間のP/Alモル比を有する、前記請求項のいずれかに記載の組成物または方法。
【請求項27】
前記ヒドロキシリン酸アルミニウムが、非晶質であり、直径10〜100nmの板を含む粒子状である、前記請求項のいずれかに記載の組成物または方法。
【請求項28】
Al+++濃度が、<2mg/mlである、前記請求項のいずれかに記載の組成物または方法。

【公表番号】特表2012−521402(P2012−521402A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501408(P2012−501408)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000733
【国際公開番号】WO2010/109323
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】