説明

アジュバント組成物

【課題】種々のワクチン抗原の免疫原性を増強するための、安全かつ有効なアプローチとして、安全かつ無毒性のアジュバントを含む有効なワクチン組成物を提供する。
【解決手段】1以上の抗原送達系(例えば、サブミクロンの水中油型エマルジョン、カチオン性脂質、リポソーム、ISCOM、微小粒子など)および/または免疫刺激分子(例えば、免疫刺激核酸配列(ISS)(CpY、CpRおよび非メチル化CpGモチーフ(リン酸結合によって連結された、シトシン、続いてグアノシン)が挙げられる)と組み合わせた、1型インターフェロン誘導因子(例えば、2本鎖RNA(dsRNA))の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、アジュバント組成物に関する。特に、本発明は、抗原送達系および/または免疫刺激分子(例えば、免疫刺激核酸配列)と組み合わせた1型インターフェロン誘導因子(例えば、2本鎖RNA)を含むアジュバント組成物の使用であって、同時投与された抗原の免疫応答を増強するための使用に関する。このアジュバント組成物は、予防用組成物および治療組成物の両方において使用を見出す。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ワクチン組成物はしばしば、免疫応答を増強するための免疫学的アジュバントを含む。例えば、完全フロイントアジュバント(CFA)は、実験ベースで多くの抗原について首尾良く用いられている、強力な免疫刺激剤である。CFAは、以下の3つの成分を含む:鉱油、乳化剤、および死滅マイコバクテリア(例えば、Mycobacterium tuberculosis)。抗原水溶液は、これらの成分と混合されて、水中油型エマルジョンが作製される。アジュバントとして有効ではあるが、CFAは、マイコバクテリア成分の存在に主に起因して、疼痛、膿瘍形成および熱を含め、重篤な副作用を引き起こす。それゆえ、CFAは、ヒトおよび獣医学のワクチンにおいては用いられない。
【0003】
ムラミルジペプチド(MDP)は、CFAについて観察されるアジュバント活性を生じるマイコバクテリア細胞壁複合体の最小単位である。例えば、Ellouzら,Biochem.Biophys.Res.Commun.(1974)59:1317(非特許文献:1)を参照のこと。広範囲のアジュバント能力および副作用を示す、MDPのいくつかの合成アナログが作製されている。これらのアナログの概説について、Chedidら,Prog.Allergy(1978)25:63(非特許文献:2)を参照のこと。MDPの代表的アナログとしては、MDPのトレオニル誘導体(Byarsら,Vaccine(1987)5:223(非特許文献:3))、MDPのn−ブチル誘導体(Chedidら,Infect.Immun.35:417(非特許文献:4))、およびムラミルトリペプチドの親油性誘導体(Gislerら,Immunomodulations of Microbial Products and Related Synthetic Compounds(1981)Y.YamamuraおよびS.Kotani編,Excerpta Medica,Amsterdam,167頁(非特許文献:5))が挙げられる。
【0004】
MDPの1つの親油性誘導体は、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)である。このムラミルトリペプチドとしては、このムラミルペプチド部分が水性環境と会合しながら、分子の疎水性部分と脂質環境との会合を可能にするリン脂質テールが挙げられる。従って、MTP−PE自体は、乳化剤として作用して、安定な水中油型エマルジョンを作製し得る。MTP−PEは、MTP−PE−LO(低オイル)と称される、0.008% TWEEN 80TMを有する4%スクアレンのエマルジョンにおいて用いられて、有効な結果を伴って単純疱疹ウイルスgD抗原を送達する(Sanchez−Pescadorら,J.Immunol.(1988)141:1720−1727(非特許文献:6))とはいえ、物理的安定性が乏しい。近年、MF59が、ワクチン組成物における使用のために開発されている。MF59は、安全な、高度に免疫原性の、サブミクロンの水中油型エマルジョンであり、MF59は、4〜5% w/v スクアレン、0.5% w/v TWEEN 80TM、0.5% SPAN 85TM、および必要に応じて可変量のMTP−PEを含む。例えば、Ottら,「MF59−−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant for Human Vaccines」、Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.およびNewman,M.J.編)Plenum Press,New York,1995,277〜296頁(非特許文献:7)を参照のこと。
【0005】
インターフェロンおよび他のサイトカイン(例えば、IFN−1)は、通常、低レベルで発現されるが、多数の刺激(例えば、ウイルス感染および細菌感染)によって高レベルの発現まで誘導される。ここで、サイトカイン産生を担うウイルス産物が2本鎖RNA(dsRNA)であることが考えられる。例えば、Majde,J.A.,J.Interfer.Cytokine Res.(2000)20:259−272(非特許文献:8)を参照のこと。実際、ウイルスのdsRNAによって誘導される炎症促進性(proinflammatory)サイトカインは現在、細菌感染およびウイルス感染によって引き起こされるフルー様症状(例えば、発熱、疲労、嗜眠状態および筋肉痛)の主な原因であると考えられる。dsRNAの送達によって刺激されるIFN−1産生は、アジュバント活性を提示することが報告されている。例えば、Le Bonら,Immunity(2001)14:461−470(非特許文献:9)を参照のこと。
【非特許文献1】Ellouzら,Biochem.Biophys.Res.Commun.(1974)59:1317
【非特許文献2】Chedidら,Prog.Allergy(1978)25:63
【非特許文献3】Byarsら,Vaccine(1987)5:223
【非特許文献4】Chedidら,Infect.Immun.35:417
【非特許文献5】Gislerら,Immunomodulations of Microbial Products and Related Synthetic Compounds(1981)Y.YamamuraおよびS.Kotani編,Excerpta Medica,Amsterdam,167頁
【非特許文献6】Sanchez−Pescadorら,J.Immunol.(1988)141:1720−1727
【非特許文献7】Ottら,「MF59−−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant for Human Vaccines」、Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.およびNewman,M.J.編)Plenum Press,New York,1995,277〜296頁
【非特許文献8】Majde,J.A.,J.Interfer.Cytokine Res.(2000)20:259−272
【非特許文献9】Le Bonら,Immunity(2001)14:461−470
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アジュバントの存在にもかかわらず、従来のワクチンはしばしば、標的化された病原体に対する十分な保護を提供することができない。従って、安全かつ無毒性のアジュバントを含む有効なワクチン組成物についての必要性が、引き続いて存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、1以上の抗原送達系(例えば、サブミクロンの水中油型エマルジョン、カチオン性脂質、リポソーム、ISCOM、微小粒子など)および/または免疫刺激分子(例えば、免疫刺激核酸配列(ISS)(CpY、CpRおよび非メチル化CpGモチーフ(リン酸結合によって連結された、シトシン、続いてグアノシン)が挙げられる)との組み合わせた、1型インターフェロン誘導因子(例えば、2本鎖RNA(dsRNA))の使用が、同時投与された抗原に対する、このような送達系を用いないで観察される抗体力価よりも有意に高い抗体力価を提供するとの驚くべき知見に部分的に基づく。このような組み合わせの使用は、予防用組成物および治療用組成物の両方において使用するための種々のワクチン抗原の免疫原性を増強するための、安全かつ有効なアプローチを提供する。
【0008】
従って、1つの実施形態では、本発明は、以下を含む組成物に関する:(1)1型インターフェロン誘導因子;ならびに(2)抗原送達系および/または免疫刺激分子、ここで、この組成物は、この抗原送達系および/または免疫刺激分子なしでの抗原および1型インターフェロン誘導因子のみでの送達と比較した場合、同時投与された抗原に対する免疫応答を増大し得る。この同時投与された抗原は、アジュバント組成物中に存在してもよく、あるいは、別個の組成物中で送達されてもよい。別個に送達された場合、この抗原は、同じかまたは異なる部位に送達され得、そしてこの組成物の前に、この組成物に続いて、またはこの組成物と同時に、送達され得る。これらの実施形態は、以下でより詳細に考察される。
【0009】
なお別の実施形態では、本発明は、脊椎動物被験体において免疫応答を刺激する方法に関し、この方法は、治療有効量の選択された抗原、ならびに1型インターフェロン誘導因子および抗原送達系および/または免疫刺激分子を含むアジュバント組成物を被験体に対して投与する工程を包含し、ここで、このアジュバント組成物は、選択された抗原に対する免疫応答を増大させ得る。この抗原は、アジュバント組成物中に存在してもよく、または別個の組成物中で投与されてもよい。上記で説明するように、この抗原が別個で送達される場合、これは、同じ部位に送達されてもよく、異なる部位に送達されてもよく、そしてアジュバント組成物の前に、アジュバント組成物に続いて、またはアジュバント組成物と同時に、送達され得る。
【0010】
なおさらなる実施形態では、本発明は、組成物を作製する方法に関し、この方法は、1型インターフェロン誘導因子と抗原送達系および/または免疫刺激分子を合わせる工程を包含する。特定の実施形態では、この方法は、選択された抗原と、1型インターフェロン誘導因子ならびに抗原送達系および/または免疫刺激分子とを合わせる工程をさらに包含する。特定の実施形態では、この1型インターフェロン誘導因子はdsRNAであり、この抗原送達系は、サブミクロンの水中油型エマルジョンおよび/または微小粒子であり、この免疫刺激分子は、メチル化されていないCpGモチーフ(例えば、CpGl(5’−TCCATGACGTTCCTGACGTT−3’(配列番号3))であり、そしてこの抗原は、HCV抗原(例えば、HCV E1E2ポリペプチド)、HIV抗原(例えば、gp120もしくはp55gag)または髄膜炎菌抗原(例えば、ORF287および/またはORF961由来のMenBタンパク質)である。
【0011】
さらなる実施形態では、本発明は、HCV、HIVもしくは髄膜炎菌の抗原、dsRNAおよび抗原送達系ならびに/または免疫刺激分子を含む組成物に関する。特定の実施形態では、このHCV抗原は、HCV E1E2ポリペプチドであり、このHIV抗原は、gp120および/またはp55gagであり、そしてこの髄膜炎菌抗原は、ORF287および/またはORF961由来のMenBタンパク質である。特定の実施形態では、この抗原送達系は、サブミクロンの水中油型エマルジョンおよび/または微小粒子であり、 そしてこの免疫刺激分子は、メチル化されていないCpGモチーフである。
【0012】
なお別の実施形態では、本発明は、脊椎動物被験体中の免疫応答を刺激する方法に関し、この方法は、治療有効量のHCV、HIVまたは髄膜炎菌抗原、ならびにdsRNAおよびサブミクロンの水中油型エマルジョンを含むアジュバント組成物をこの被験体に投与する工程を包含する。この抗原は、アジュバント組成物中で投与されてもよく、あるいは、別個の組成物中で投与されてもよい。この抗原が別個に送達される場合、これは、同じかまたは異なる部位に送達され得、そしてこのアジュバント組成物の前に、このアジュバント組成物に続いて、またはこのアジュバント組成物と同時に、送達され得る。特定の実施形態では、このHCV抗原は、HCV E1E2ポリペプチドであり、このHIV抗原は、gp120またはp55gagであり、そしてこの髄膜炎菌抗原はORF287および/またはORF961由来のMenBタンパク質である。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、脊椎動物被験体における免疫応答を刺激する方法に関し、この方法は、治療有効量のHCV、HIVまたは髄膜炎菌の抗原、ならびにdsRNAおよび微小粒子を含むアジュバント組成物を被験体に投与する工程を包含する。この抗原は、このアジュバント組成物中で投与されてもよく、あるいは、別個の組成物中で投与されてもよい。この抗原が別個に送達される場合、これは、同じ部位に送達されてもよく、異なる部位に送達されてもよく、そしてアジュバント組成物の前に、アジュバント組成物に続いて、またはアジュバント組成物と同時に、送達され得る。特定の実施形態では、このHCV抗原は、HCV E1E2ポリペプチドであり、このHIV抗原はgp120またはp55gagであり、そしてこの髄膜炎菌抗原は、ORF287および/またはORF961由来のMenBタンパク質である。
【0014】
上記で詳述した実施形態のうちの特定のものでは、このdsRNAは、ウイルスdsRNAまたは合成dsRNA(例えば、ポリリボイノシン酸−ポリリボシチジル酸(ポリ[rI−rC])、ポリリボグアニル酸−ポリリボシチジル酸(ポリ[rG−rC])またはポリリボアデニル酸−ポリリボウリジル酸(ポリ[rA−rU])であるがこれらに限定されない)である。
【0015】
さらに、このサブミクロンの水中油型エマルジョンは、以下を含み得る:
(1)代謝可能な油であって、ここで、この油は、総容量の0.5%〜20%の量で存在する、油、および
(2)乳化剤であって、ここで、この乳化剤は、0.01重量(w/v)%〜2.5重量(w/v)%で存在し、そしてこの油およびこの乳化剤は、実質的に全ての直径が約100nmから1ミクロン未満である油小滴を有する、水中油型エマルジョンの形態で存在する、乳化剤。
【0016】
他の実施形態では、このサブミクロンの水中油型エマルジョンは、上記の通りであり、そしてあらゆるポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーならびにあらゆるムラミルペプチドを欠く。
【0017】
さらなる実施形態では、この乳化剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル、ポリオキシエチレンソルビタンジエステル、またはポリオキシエチレンソルビタントリエステル、ならびに/またはソルビタンモノエステル、ソルビタンジエステルもしくはソルビタントリエステルを含む。
【0018】
特定の実施形態では、この油は、総容量の1%〜12%(例えば、1%〜4%)の量で存在し、そしてこの乳化剤は、0.01重量(w/v)%〜1重量(w/v)%(例えば、0.01重量(w/v)%〜0.05重量(w/v)%)である。
【0019】
本明細書中に記載される他の実施形態では、このサブミクロンの水中油型エマルジョンは、4% w/v〜5% w/vのスクアレン、0.25% w/v 〜1.0% w/vのTWEEN 80TM(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)および/または0.25%〜1.0% SPAN 85TM(トリオレイン酸ソルビタン)、ならびに必要に応じてN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(l’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む。
【0020】
他の実施形態では、このサブミクロンの水中油型エマルジョンは、本質的に以下からなる:
(1)5容量%のスクアレン;および
(2)TWEEN 80TM(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)およびSPAN 85TM(トリオレイン酸ソルビタン)からなる群より選択される、1以上の乳化剤であって、ここで、乳化剤の総量は、1重量(w/v)%であり;ここで、このスクアレンおよびこの乳化剤は、実質的に全ての直径が約100nmから1ミクロン未満である油小滴を有する、水中油型エマルジョンの形態で存在し、そしてここで、この組成物は、あらゆるポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーを欠く。
【0021】
他の実施形態では、この1以上の乳化剤は、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンであり、そして存在するモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンの総量は、1重量(w/v)%である。
【0022】
特定の実施形態では、この組成物は、ムラミルペプチドを欠く。
【0023】
上記の本発明のなおさらなる実施形態では、この微小粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、およびポリ無水物)からなる群より選択されるポリマーを含む。
【0024】
特定の実施形態では、この微小粒子は、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)およびポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLG)からなる群より選択されるポリ(α−ヒドロキシ酸)を含む。
【0025】
さらなる実施形態では、この1型インターフェロン誘導因子および/またはこの抗原は、微小粒子と会合する。特定の実施形態では、この1型インターフェロン誘導因子は、PLG微小粒子に吸着され、ここで、この微小粒子の表面は、カチオン性界面活性剤(例えば、CTAB)で処理されて、微小粒子に対して増強された吸着特性が付与される。他の実施形態では、この抗原は、微小粒子(例えば、PLG微小粒子)に吸着され、ここで、この微小粒子の表面は、アニオン性界面活性剤(例えば、DSS)で処理されて、この微小粒子に対して増強された吸着特性が付与される。
【0026】
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照して明らかになる。さらに、特定の手順または組成物をより詳細に記載する種々の参考文献が本明細書中に示される。
【0027】
(発明の詳細な説明)
本発明の実施は、他に示さない限り、当該分野の技術範囲内である、化学、生化学、組換えDNA技術および免疫学の従来の方法を用いる。このような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、Fundamental Virology,第2版,第I版および第II版(B.N.FieldsおよびD.M.Knipe編);Handbook of Experimental Immunology,第I巻〜第IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編,Blackwell Scientific Publications);T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993);A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,最新版);Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版,1989);Methods In Enzymology(S.ColowickおよびN.Kaplan編,Academic Press,Inc.)。
【0028】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容がそうではないと明らかに示すのでない限り、複数形の参照を包含することに留意すべきである。従って、例えば、「抗原」に対する参照は、2以上の抗原の混合物などを包含する。
【0029】
以下のアミノ酸略号は、本文全体にわたって用いられる:
アラニン:Ala(A) アルギニン:Arg(R)
アスパラギン:Asn(N) アスパラギン酸:Asp(D)
システイン:Cys(C) グルタミン:Gln(Q)
グルタミン酸:Glu(E) グリシン:Gly(G)
ヒスチジン:His(H) イソロイシン:Ile(I)
ロイシン:Leu(L) リジン:Lys(K)
メチオニン:Met(M) フェニルアラニン:Phe(F)
プロリン:Pro(P) セリン:Ser(S)
トレオニン:Thr(T) トリプトファン:Trp(W)
チロシン:Tyr(Y) バリン:Val(V)。
【0030】
(I.定義)
本発明を記載する際に、以下の用語が用いられ、そして以下に示されるように定義されることが意図される。
【0031】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」とは、アミノ酸残基のポリマーをいい、そして最小の長さの産物に限定されない。従って、ペプチド、オリゴペプチド、ダイマー、マルチマーなどは、定義の中に含まれる。全長タンパク質およびそのフラグメントの両方は、定義によって包含される。この用語はまた、このポリペプチドの発現後修飾(例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など)を包含する。さらに、本発明の目的のために、「ポリペプチド」とは、このタンパク質が所望の活性を保持する限り、ネイティブな配列に対して(一般に、本質的に保存的な)改変(例えば、欠失、付加および置換)を含むタンパク質をいう。これらの改変は、部位特異的変異誘発による場合のように意図的であってもよく、または例えば、タンパク質を産生する宿主の変異もしくはPCR増幅に起因する誤りによる場合のように偶発的であってもよい。
【0032】
「抗原」とは、宿主の免疫系を刺激して、その抗原が提示された場合に細胞抗原特異的免疫応答または体液性抗体応答を行わせる1以上のエピトープ(以下に定義される)を含む分子を意味する。用語「抗原」とは、本明細書中で用いられる場合、サブユニット抗原(すなわち、抗原が天然で会合している生物全体とは分けられ、区別される、タンパク質)ならびに死滅、弱毒化または不活化された細菌、ウイルス、寄生生物または他の微生物の両方を示す。抗体(例えば、抗イディオタイプ抗体)またはそのフラグメント、および合成ペプチドミモトープは、抗原または抗原決定基を模倣し得、そしてまた、本明細書中で用いられるような抗原の定義の下で捕捉される。同様に、治療タンパク質もしくは免疫原性タンパク質または抗原決定基をインビボで(例えば、遺伝子治療および核酸免疫適用において)発現する、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドもまた、本明細書中の抗原の定義に含まれる。さらに、本発明の目的のために、抗原は、いくつかの既知のウイルス、細菌、寄生生物および真菌のうちのいずれか、ならびに種々の腫瘍抗原のうちのいずれかに由来し得る。
【0033】
「HCV抗原」は、HCVポリタンパク質に由来する、上記の通りの抗原である。このポリペプチドは、HCVに物理的に由来する必要はないが、合成または組換えによって産生され得る。さらに、このポリペプチドは、以下でさらに考察される種々のHCV株のうちのいずれかから誘導され得る。多数の保存された領域および可変領域が、これらの株の間で公知であり、そして一般に、これらの領域由来のエピトープのアミノ酸配列は、2つの配列が整列される場合、高い程度の配列相同性(例えば、30%より高い、好ましくは40%より高い、アミノ酸配列相同性)を有する。これらの株の多くの完全な遺伝子型は公知である。例えば、米国特許第6,150,087号、ならびにGenBank登録番号AJ238800およびAJ238799を参照のこと。
【0034】
「E1ポリペプチド」とは、HCV E1領域由来の分子を意味する。HCV−1領域の成熟E1領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号をつけられた、ポリタンパク質のアミノ酸およそ192から始まり、アミノ酸およそ383まで続く。(図1A〜1Cを参照のこと。図1A〜1Cのアミノ酸192〜383は、配列番号2のアミノ酸20〜211の位置に対応する)。173付近からおよそ191までのアミノ酸(配列番号2のアミノ酸1〜19)は、E1に対するシグナル配列として作用する。従って、「E1ポリペプチド」とは、シグナル配列を含む前駆体E1タンパク質か、またはこの配列を欠く成熟E1ポリペプチドか、また、さらには、異種シグナル配列を有するE1ポリペプチドのいずれかを意味する。E1ポリペプチドは、アミノ酸のおよそ360〜383位で生じるC末端膜アンカー配列を含む(1996年2月15日公開の国際公開番号WO96/04301を参照のこと)。本明細書に示されるように、E1ポリペプチドは、C末端アンカー配列またはその部分を含んでも含まなくてもよい。
【0035】
「E2ポリペプチド」とは、HCV E2領域由来の分子を意味する。HCV−1領域の成熟E2領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号をつけられた、アミノ酸およそ383〜385で始まる。(図1A〜1Cを参照のこと。図1A〜1Cのアミノ酸383〜385は、配列番号2のアミノ酸の211〜213位に対応する)。シグナルペプチドは、ポリタンパク質のアミノ酸およそ364で始まる。従って、「E2ポリペプチド」とは、シグナル配列を含む前駆体E2タンパク質か、またはこの配列を欠く成熟E2ポリペプチドか、また、さらには、異種シグナル配列を有するE2ポリペプチドのいずれかを意味する。E2ポリペプチドは、アミノ酸のおよそ715〜730位で生じるC末端膜アンカー配列を含み、アミノ酸残基およそ746まで延び得る(Linら、J.Virol.(1994)68:5063〜5073を参照のこと)。本明細書に示されるように、E2ポリペプチドは、C末端アンカー配列またはその部分を含んでも含まなくてもよい。さらに、E2ポリペプチドはまた、E2のC末端にまさに隣接して生じるp7領域の全部または一部を含み得る。図1A〜1Cに示されるように、p7領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けられた、747〜809の位置(配列番号2のアミノ酸575〜637位)で見出される。さらに、複数の種のHCV E2が存在することが知られている(Spaeteら、Virol.(1992)188:819〜830;Selbyら、J.Virol.(1996)70:5177〜5182;Grakouiら、J.Virol.(1993)67:1385〜1395;Tomeiら、J.Virol.(1993)67:4017〜4026)。従って、本発明の目的のために、用語「E2」は、E2のN末端からのアミノ酸の1〜20個以上の欠失(例えば、1個、2個、3個、4個、5個〜10個〜15個、16個、17個、18個、19個などのアミノ酸の欠失)を有する種を含むが、これらに限定されないE2の任意のこれらの種を包含する。このようなE2種は、これらのアミノ酸387で始まる種、アミノ酸402で始まる種、アミノ酸403で始まる種などを含む。
【0036】
HCV−1由来の代表的なE1領域およびE2領域が、図1A〜1Cおよび配列番号2に示される。本発明の目的のために、E1領域およびE2領域は、HCV−1のゲノムによってコードされるポリタンパク質のアミノ酸番号に対して規定され、そして、開始因子メチオニンは1の位置に指定される。例えば、Chooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451〜2455を参照のこと。しかし、本明細書で使用される用語「E1ポリペプチド」または「E2ポリペプチド」は、HCV−1配列に限定されないということに注意すべきである。この点に関して、他のHCV単離体における対応するE1領域またはE2領域は、配列を最大整列にする様式で、単離体由来の配列を整列させることによって容易に決定され得る。このことは、任意の多数のコンピューターソフトウェアパッケージ(例えば、University of Virgnia,Department of Biochemistryから入手可能なALIGN1.0(Attn:William R.Pearson博士))により実施され得る。Pearsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1988)85:2444〜2448を参照のこと。
【0037】
さらに、本明細書で規定されるように、「E1ポリペプチド」または「E2ポリペプチド」は、図面に示される正確な配列を有するポリペプチドに限定されない。実際に、HCVゲノムは、インビボで定常流動の状態にあり、そして、単離体間の比較的高い程度の変動性を示す幾つかの可変ドメインを含む。多数の保存領域および可変領域が、これらの株の間で公知であり、一般的に、2つの配列が整列される場合、これらの領域由来のエピトープのアミノ酸配列は、高い程度の配列相同性(例えば、30%より高い、好ましくは40%より高い、60%より高い、そしてさらに80〜90%より高い相同性のアミノ酸配列相同性)を有する。これらの用語が、任意の種々のHCV株およびHCV単離体由来のE1ポリペプチドおよびE2ポリペプチドを包含し、これらの単離体は、Simmondsら、J.Gen.Virol.(1993)74:2391〜2399(例えば、株1、株2、株3、株4など)に記載されるHCVの6個の遺伝子型のいずれか、ならびに新規に同定された遺伝子型、およびこれらの単離体のサブタイプ(例えば、HCV1a、HCV1bなど)を有する単離体を包含することは、容易に理解される。
【0038】
従って、例えば、用語「E1」または「E2」ポリペプチドは、任意の種々のHCV株由来のネイティブのE1配列またはE2配列、ならびに以下にさらに規定されるアナログ、ムテインおよび免疫原性フラグメントをいう。これらの株の多数の完全な遺伝子型が、公知である。例えば、米国特許第6,150,087号ならびにGenBank登録番号AJ238800およびAJ238799を参照のこと。
【0039】
さらに、用語「E1ポリペプチド」および「E2ポリペプチド」は、ネイティブ配列への改変(例えば、内部欠失、付加および置換(一般的には、本質的に保存的である))を含むタンパク質を包含する。これらの改変は、部位特異的変異誘発を介するように、意図的であり得るか、または、天然に存在する突然変異事象を介するように、偶発的であり得る。全てのこれらの改変は、改変されたE1ポリペプチドおよびE2ポリペプチドが、それらの意図された目的について機能する限りにおいて、本発明に包含される。従って、例えば、E1ポリペプチドおよび/またはE2ポリペプチドが、ワクチン組成物において使用されるべき場合、改変は、免疫学的活性(すなわち、ポリペプチドに対する体液性免疫応答または細胞性免疫応答を惹起するための能力)を損なわないようにしなければならない。
【0040】
「E1E2」複合体とは、上記のように、少なくとも1つのE1ポリペプチドおよび少なくとも1つのE2ポリペプチドを含むタンパク質を意味する。このような複合体はまた、E2のC末端にまさに隣接して生じるp7領域の全部または一部を含み得る。図1A〜1Cに示されるように、p7領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けられた、747〜809位(配列番号2のアミノ酸575〜637位)で見出される。p7タンパク質を含む代表的なE1E2複合体は、本明細書では、「E1E2809」と呼ばれる。
【0041】
E1E2複合体におけるE1およびE2の会合の様式は、重要ではない。E1ポリペプチドおよびE2ポリペプチドは、非共有結合的相互作用(例えば、静電力を介して)を介して会合され得るか、または共有結合によって会合され得る。例えば、本願のE1E2ポリペプチドは、上記で定義したように、免疫原性E1ポリペプチドおよび免疫原性E2ポリペプチドを含む融合タンパク質の形態であり得る。融合体は、E1E2キメラをコードするポリヌクレオチドから発現され得る。あるいは、E1E2複合体は、個々に産生されたE1タンパク質およびE2タンパク質を単に混合することによって、自発的に形成し得る。同様に、同時発現分泌された場合、E1タンパク質およびE2タンパク質は、自発的に複合体を形成し得る。従って、この用語は、E1および/またはE2の精製の際に自発的に形成するE1E2複合体(凝集体とも呼ばれる)を包含する。このような凝集体は、1以上のE2単量体に会合した1以上のE1単量体を含み得る。少なくとも1つのE1単量体および少なくとも1つのE2単量体が存在する限り、存在するE1単量体およびE2単量体の数は、等しくある必要はない。E1E2複合体の存在の検出は、標準的なタンパク質検出技術(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動および免疫学的技術(例えば、免疫沈降))をもちいて容易に決定される。
【0042】
「HIV抗原」は、上記で規定されるように、HIVポリタンパク質由来の抗原である。ポリペプチドは、物理的にHIV由来である必要はないが、合成的に、または組換えによって産生され得る。さらに、ポリペプチドは、任意の種々のHIV単離体由来であり得る。多数の保存領域および可変領域が、これらの鎖の間において既知であり、一般的に、2つの配列が整列される場合、これらの領域由来のエピトープのアミノ酸配列は、高い配列相同性(例えば、30%より多い、好ましくは40%より多いアミノ酸配列相同性)を有する。代表的なHIV単離体としては、SF162、SF2、AF110965、AF110967、AF110968、AF110975、8_5_TV1_C.ZA、8_2_TV1_C.ZA、または、12−5_1_TV2_C.ZAが挙げられる。HIVゲノムの種々の領域が、表2に示され、そして8_5_TV1_C.ZA(図5A〜5D;配列番号5)に対して番号付けされている。
【0043】
「gp120抗原」は、上記で規定されるように、HIVのEnvポリペプチドのgp120領域由来の抗原を意味する。gp120の主要なアミノ酸配列は、およそ511個のアミノ酸であり、そして、約60,000ダルトンのポリペプチドコアを有する。ポリペプチドは、N連結グリコシル化によって広範囲に改変され、分子の見かけの分子量を120,000ダルトンにまで増加させる。gp120のアミノ酸配列は、5つの超可変ドメインに散在する比較的保存された5つのドメインを含む。HIV−1HXB−2株のgp120主要配列における18システイン残基の位置、およびgp120配列におけるおよそ24個のN連結グリコシル化部位の13の位置は、全てではないが、gp120配列とほぼ共通している。超可変ドメインは、広範なアミノ酸の置換、挿入および欠失を含む。このバリエーションにもかかわらず、全てではないにしても、ほとんどのgp120配列は、ウイルスレセプターCD4に結合するウイルスの能力を保存する。「gp120抗原」は、単一のサブユニットまたは多量体の両方を含む。さらに、この用語は、ヒトコドンをシミュレートし、毒性を低減させるための最適コドン使用のために改変されたgp120配列を包含する。このような改変された配列は、当該分野で公知であり、同様のものを生成する配列および方法は、共有国際公開番号WO00/39302において詳細に記載されている。
【0044】
「p55gag抗原」は、上記で規定されるように、およそ1494のヌクレオチドに広がる領域によってコードされるHIVのGAG領域を示す抗原を意味する(表2を参照のこと)。この用語は、ヒトコドンをシミュレートし、毒性を低減させるための最適コドン使用のために改変された配列を包含する。このような改変された配列は、当該分野で公知であり、同様のものを生成する配列および方法は、共有国際公開番号WO00/39302において詳細に記載されている。
【0045】
用語「アナログ」および「ムテイン」は、所望の活性(例えば、本明細書に記載される免疫反応性)を保持する対象分子の生物学的に活性な誘導体、またはこのような誘導体のフラグメントをいう。一般的に、用語「アナログ」は、改変が免疫原性活性を損なわない限り、ネイティブのポリペプチド配列および、ネイティブの分子に対して1つ以上のアミノ酸の付加、置換(一般的に、本質的に保存的である)、および/または欠失をともなう構造を有する化合物をいう。用語「ムテイン」は、1以上のペプチド模擬体(「ペプトイド」)(例えば、国際公開番号WO91/04282に記載されるようなもの)を有するペプチドをいう。好ましくは、アナログまたはムテインは、そのネイティブ分子と少なくとも同じ免疫活性を有する。ポリペプチドアナログおよびポリペプチドムテインを作製する方法は、当該分野で公知であり、そして以下にさらに記載される。
【0046】
特に好ましいアナログは、本質的に保存的である置換(すなわち、側鎖において関連するアミノ酸のファミリー内において生じる置換)を含む。特に、一般的に、アミノ酸は、4つのファミリーに分類される:(1)酸性アミノ酸−−アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性アミノ酸−−リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性アミノ酸−−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性アミノ酸−−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、時には、芳香族アミノ酸として分類される。例えば、ロイシンとイソロイシンもしくはバリン、アスパラギン酸とグルタミン酸、トレオニンとセリンの単離された置換、またはアミノ酸と構造的に関連するアミノ酸の類似の保存的な置換は、生物学的活性において重要な効果を有さないということが、当然に予測可能である。例えば、分子の所望の機能が、インタクトなままである限り、目的のポリペプチドは、約5〜10個までの保存的または非保存的なアミノ酸置換、あるいはさらに約15〜25個もしくは50個までの保存的または非保存的なアミノ酸置換、あるいは5〜50の間の任意の整数個の置換を含み得る。当業者は、当該分野で周知のHopp/WoodsプロットおよびKyte−Doolittleプロットに対する参照によって、変化を許容し得る目的の分子の領域を容易に決定し得る。
【0047】
「フラグメント」は、インタクトな全長ポリペプチド配列および構造の一部のみからなるポリペプチドを意図する。このフラグメントは、C末端欠失、N末端欠失、および/またはネイティブのポリペプチドの内部欠失を含み得る。一般的に、特定のタンパク質の「免疫原性フラグメント」は、エピトープを規定する全長分子の少なくとも約5〜10個の隣接アミノ酸残基、好ましくは、全長分子の少なくとも約15〜25個の隣接アミノ酸残基、および最も好ましくは、全長分子の少なくとも約20〜50個の隣接アミノ酸残基、または5個のアミノ酸残基と全長分子との間の任意の整数個の隣接アミノ酸残基を含む。ただし、本明細書で規定されるように、議論されているフラグメントは、免疫学的応答を引き出す能力を保持する。HCVポリペプチドの公知の免疫原性フラグメントの説明については、例えば、Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011〜10015;Chienら、J.Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33〜39;Chienら、国際公開番号WO93/00365;Chien,D.Y.国際公開番号WO94/01778;米国特許第6,150,087号および同第6,121,020号を参照のこと。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「エピトープ」は、少なくとも約3〜5個のアミノ酸、好ましくは、約5個〜10個または15個のアミノ酸、そして約500個以下のアミノ酸(あるいは、それらの間の任意の整数個)の配列をいい、このエピトープは、それ自体によってか、または広範な配列の部分として、エピトープが投与される被験体における免疫学的応答を引き出す配列を規定する。しばしば、エピトープは、このような配列に応答して生成される抗体に結合する。このフラグメントの長さについては決定的な上限は存在せず、タンパク質配列のほぼ全長を含み得るか、または、目的の抗原由来の2つ以上のエピトープを含む融合タンパク質でさえ含み得る。本発明において使用されるエピトープは、それが由来する親タンパク質の部分の正確な配列を有するポリペプチドに限定されない。例えば、ウイルスゲノムは、定常流動の状態にあり、そして、単離体間で比較的高い変動性を示す幾つかの可変ドメインを含む。従って、用語「エピトープ」は、ネイティブの配列と同一な配列、ならびにネイティブの配列に対する改変(例えば、欠失、付加および置換(一般的に、本質的に保存的である))を包含する。
【0049】
エピトープを含む所定のポリペプチドの領域は、当該分野で周知の任意の数のエピトープマッピング技術を用いて同定され得る。例えば、Epitope Mapping Protocols,Methods in Molecular Biology,第66巻(Glenn E.Morris編、1996)Human Press,Totowa,New Jerseyを参照のこと。例えば、線状エピトープは、固体支持体上で多数のペプチド(このペプチドはこのタンパク質分子の一部分に対応する)を同時に合成し、そしてこのペプチドを支持体上に結合させた状態で、このペプチドを抗体と反応させることによって、決定され得る。このような技術は、当該分野で公知であり、そして例えば、米国特許第4,708,871号;Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998〜4002;Geysenら(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:178〜182;Geysenら(1986)Molec.Immunol.23:709〜715に記載されている。このような技術を用いて、HCVの多くのエピトープが同定されている。例えば、Chienら,Viral,Hepatitis and Liver Disease(1994),320〜324頁、およびさらに以下を参照のこと。同様に、コンフォメーションエピトープは、例えば、X線結晶学および2次元核磁気共鳴法などによって、アミノ酸の空間的コンフォメーションを決定することにより容易に同定される。例えば、前出のEpitope Mapping Protocolsを参照のこと。タンパク質の抗原性領域はまた、標準的抗原性プロットおよび疎水性親水性指標プロット(例えば、Oxford Molecular Groupから入手可能なOmigaバージョン1.0ソフトウェアプログラムを用いて算出されたプロットなど)を用いて同定され得る。このコンピュータープログラムは、抗原性プロフィールを決定するため、Hopp/Woods法(Hoppら、Proc.Natl.Acad.Sci USA(1981)78:3824〜3828)を、そして疎水性親水性指標プロットについては、Kyte−Doolittle技術(Kyteら、J.Mol.Biol.(1982)157:105〜132)を、使用する。
【0050】
選択された抗原または組成物に対する「免疫学的応答」は、目的の組成物に存在する分子に対する体液性および/または細胞性免疫応答の、被験体における発生である。本発明の目的のためには、「体液性免疫応答」とは、抗体分子によって媒介される免疫応答をいい 、一方、「細胞性免疫応答」は、Tリンパ球および/または他の白血球により媒介される応答である。細胞性免疫応答の1つの重要な局面は、細胞傷害性T細胞(「CTL」)による抗原特異的応答を含む。CTLは、主要組織適合性複合体(MHC)によりコードされるタンパク質と関連して提示され、そして細胞の表面に発現される、ペプチド抗原に対する特異性を有する。CTLは、細胞内微生物の細胞内破壊の誘導および促進、またはこのような微生物に感染した細胞の溶解を補助する。細胞性免疫の別の局面は、ヘルパーT細胞による抗原特異的応答を含む。ヘルパーT細胞は、細胞の表面上でMHC分子に関連するペプチド抗原を提示する細胞に対する非特異的エフェクター細胞の機能の刺激を補助し、そしてその活性に集中するのを補助するように働く。「細胞免疫応答」はまた、CD4+T細胞およびCD8+T細胞から誘導されるものを含む、サイトカイン、ケモカインおよび活性化T細胞および/または他の白血球細胞により産生される他のこのような分子の産生をいう。細胞性免疫応答を引き起こす組成物またはワクチンは、細胞表面においてMHC分子と会合する抗原の提示によって、脊椎動物被験体を感作するのに役立ち得る。細胞媒介性免疫応答は、その表面で抗原を提示する細胞に、またはその近くに指向される。さらに、抗原特異的Tリンパ球が生成され、免疫された宿主の将来の防御を可能にし得る。特定の抗原が細胞媒介性免疫応答を刺激する能力は、多数のアッセイによって、例えば、リンパ球増殖(リンパ球活性化)アッセイ、CTL細胞傷害性アッセイによって、または感作された被験体における抗原に特異的なTリンパ球をアッセイすることによって、決定され得る。このようなアッセイは、当該分野で周知である。例えば、Ericksonら,J.Immunol.(1993)151:4189〜4199;Doeら,Eur.J.Immunol.(1994)24:2369〜2376を参照のこと。
【0051】
従って、本明細書において用いる場合、免疫学的応答は、CTLの生成および/またはヘルパーT細胞の生成もしくは活性化を刺激する応答であり得る。目的の抗原はまた、抗体媒介性免疫応答(例えば、結合中和(NOB)抗体)を惹起し得る。NOB抗体応答の存在は、例えば、Rosaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1996)93:1759に記載される技術によって容易に決定される。従って、免疫学的応答は、以下の効果の1つ以上を含み得る:B細胞による抗体の生成;ならびに/または目的の組成物もしくはワクチンに存在する抗原(単数または複数)に対して特異的に指向されるサプレッサーT細胞および/もしくはγδT細胞の活性化。これらの応答は、感染性を中和し、そして/または抗体補体、または抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介して、免疫された宿主に防御を提供するように働き得る。このような応答は、当該分野で周知の標準的免疫アッセイおよび中和アッセイを用いて決定され得る。
【0052】
「1型インターフェロン誘導因子」は、基底レベルを超える1型インターフェロン(IFN−1)産生を誘導する分子を意味する。IFN−αおよびIFN−βは、1型インターフェロンの主要な種である。従って、IFN−1レベルは、IFN−αおよびIFN−βを測定するアッセイを用いて評価され得る。このようなアッセイは、当該分野で周知である。1つの代表的なアッセイは、単層培養における、L細胞に対する水疱性口内炎ウイルスの細胞病理効果を阻害するサンプルの能力を測定する。例えば、Le Bonら,Immunity(2001)14:461−470を参照のこと。別のアッセイは、試験ウイルスとして脳心筋炎ウイルス(EMCV)を用いた培養物における抗ウイルス活性を測定する。例えば、Tazulakhovaら,J.Interfer.Cytokine Res.(2001)21:65−73を参照のこと。
【0053】
用語「抗原送達系」は、天然で粒子状のアジュバント(例えば、カチオン性エマルジョン、マイクロ以下o/wエマルジョン、微小粒子、ISCOM、リポソームなど)を含む。このような送達系は、一般的に、抗原提示細胞(APC)に関連する抗原(例えば、捕捉されているか、吸着されているか、そうでなければ関連する)を標的化するよう機能する。このような抗原送達系は、以下に詳細に記載される。
【0054】
用語「免疫刺激分子」は、病原に由来し、病原関連分子パターン(PAMP)を示すアジュバント(例えば、LPSおよびMPL)を意図する。この用語はまた、以下に記載されるような、免疫刺激ヌクレオチド配列を含み、生来の免疫系の細胞を活性化する。一旦活性化されると、生体の免疫細胞は、獲得した免疫応答を駆動し、集中させる。
【0055】
本明細書中で使用する場合、「免疫刺激ヌクレオチド配列」または「ISS」は、少なくとも1つの免疫刺激オリゴヌクレオチド(ISS−ODN)部分を含むポリヌクレオチドを意味する。このISS部分は、改変されたオリゴヌクレオチドまたは改変されたヌクレオチシドの配列を含み得る少なくとも6つのヌクレオチド塩基を有する一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAオリゴヌクレオチドである。このISS部分は、CG含有ヌクレオチド配列またはp(lC)ヌクレオチド配列を含むかまたはそれに隣接し得、これらは回帰的である。システインは、メチル化され得るかまたは非メチル化であり得る。本発明において使用する特定のISS分子の例としては、以下でさらに議論されるCpG分子、ならびにCpY分子およびCpR分子などが挙げられる。
【0056】
「組換え」タンパク質は、本明細書中に記載のように、所望の活性を保持し、組換えDNA技術によって調製されたタンパク質をいう。一般に、目的の遺伝子は、クローニングされ、次いで、以下にさらに記載されるように、形質転換された生物において発現される。宿主生物は、発現条件下でタンパク質を生成するように、外来タンパク質を発現する。
【0057】
「単離された」とは、ポリペプチドをいう場合、その分子が天然に見出される生物全体から分離され、そして別々であるか、または同じ型の他の高分子の実質的な非存在下で存在することを意味する。ポリヌクレオチドに関して、用語「単離された」は、天然においてそのポリヌクレオチドと通常関連する配列の全てまたは一部を欠いた核酸分子;または天然で存在するが、その配列に関連する異種配列を有する配列;または染色体から解離した分子である。
【0058】
「等価な抗原決定基」とは、特定の病原体(例えば、HCV)の異なる亜種または株(例えば、HCVの株1、2または3など)由来の抗原決定基を意味する。この抗原決定基は、配列改変に起因して、必ずしも同一でなくてもよいが、問題のゲノム配列における等価な位置に存在する。一般的に、等価な抗原決定基のアミノ酸配列は、2つの配列が整列された場合、高い程度の配列相同性(例えば、30%の相同性より大きい、通常は40%の相同性より大きい(例えば、60%の相同性より大きい、および80〜90%の相同性よりさらに大きい)、アミノ酸配列相同性)を有する。
【0059】
「相同性」とは、2つのポリヌクレオチド部分または2つのポリペプチド部分の間の類似性の割合をいう。2つのDNAまたは2つのポリペプチド配列は、これらの配列が、規定された長さの分子にわたって、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%〜85%、好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%〜98%の配列類似性または同一性を示す場合、互いに「実質的に相同」である。本明細書中で使用される場合、実質的に相同はまた、特定のDNA配列またはポリペプチド配列に対して完全な同一性を示す配列をいう。
【0060】
一般的に、「同一性」とは、2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列それぞれの正確なヌクレオチド−ヌクレオチドの対応またはアミノ酸−アミノ酸の対応をいう。同一性の割合は、それらの配列を整列させ、2つの整列された配列の間の一致の正確な数を数え、短い方の配列の長さで割り、そして結果に100を掛けることによる、2つの分子間の配列情報の直接的な比較によって決定され得る。容易に入手可能なコンピュータプログラム(例えば、ALIGN,Dayhoff,M.O.、Atlas of Protein Sequence and Structure M.O.Dayhoff編、補遺5、3:353〜358,National biomedical Research Foundation,Washington,DC(これは、ペプチド分析のために、SmithおよびWaterman Advances in Appl.Math.2:482〜489,1981の局所的相同性アルゴリズムを適合させる))は、分析を助けるために使用され得る。ヌクレオチド配列同一性を決定するためのプログラム(例えば、BESTFIT、FASTAおよびGAPプログラム(これらもまた、SmithおよびWatermanのアルゴリズムに依存する))は、Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8(Genetics Computer Group,Madison,WIから入手可能)において入手可能である。これらのプログラムは、製造業者によって推奨され、そして上に参照されるWisconsin Sequence Analysis Packageに記載されるデフォルトパラメーターを用いて容易に使用される。例えば、参照配列に対する特定のヌクレオチド配列の同一性の割合は、6つのヌクレオチド位置のデフォルトスコアリングテーブルおよびギャップペナルティーを用いてSmithおよびWatermanの相同性アルゴリズムを使用して決定され得る。
【0061】
本発明の状況において同一性の割合を確立する別の方法は、University of Edinburghによる著作権があり、John F.CollinsおよびShane S.Sturrokによって開発され、IntelliGenetics,Inc.(Mountain View,CA)によって配給されるプログラムのMPSRCHパッケージを使用することである。この一そろいのパッケージから、Smith−Watermanアルゴリズムを使用し得、ここで、デフォルトパラメーターは、スコアリングテーブルのために使用される(例えば、12のギャップオープンペナルティー、1のギャップ伸長ペナルティー、および6のギャップ)。生成されるデータから、「一致」値が「配列同一性」を反映する。配列間の同一性の割合または類似性の割合を計算するための他の適切なプログラムは、当該分野において一般的に公知であり、例えば、別の整列プログラムは、デフォルトパラメーターとともに使用されるBLASTである。例えば、BLASTNおよびBLASTPは、以下のデフォルトパラメーターを使用して用いられ得る:遺伝コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;マトリクス(Matrix)=BLOSUM62;記載(Descriptions)=50配列;ソート=HIGH SCORE;データベース(Database)=縮重なし、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+Swiss protein +Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、以下のインターネットアドレスにおいて見出され得る:http://www.ncbi.nlm.gov/cgi−bin/BLAST。
【0062】
あるいは、相同性は、相同な領域間に安定な二重鎖を形成する条件下でのポリクレオチドのハイブリダイゼーション、続いて、一本鎖特異的ヌクレアーゼでの消化、および消化されたフラグメントのサイズの決定によって決定され得る。実質的に相同であるDNA配列は、その特定の系について規定されるように、例えばストリンジェントな条件下で、サザンハイブリダイゼーション実験で同定され得る。適切なハイブリダイゼーション条件を規定することは、当該分野の技術の範囲内である。例えば、Sambrookら、上記;DNA Cloning上記;Nucleic Acid Hybridization、上記を参照のこと。
【0063】
1型インターフェロン誘導因子(例えば、dsRNA)および抗原送達システムおよび/または免疫刺激性分子もしくはISSを含むアジュバント組成物は、抗原送達システムおよび/または免疫刺激分子なしで1型インターフェロン誘導因子とともに送達される場合に、等量の抗原によって誘導される免疫応答より大きな、免疫応答を誘発する能力を有する場合に、免疫応答を「増強」または「増大」するか、あるいは選択された抗原に対する「増強された」または「増大した」免疫原性を示す。このような増強された免疫原性は、抗原およびアジュバント組成物、ならびに抗原コントロールを動物に投与し、当該分野で周知のラジオイムノアッセイおよびELISAのような標準的アッセイを使用して、その2つに対して抗体力価を比較することによって決定され得る。
【0064】
本明細書中に提供される場合、用語アジュバント組成物および抗原の「有効(な)量」または「薬学的(に)有効(な)量」とは、以下に記載されるように、非毒性であるが、所望の応答(例えば、免疫学的応答)および必要に応じて対応する治療的効果(すなわち、治療的タンパク質の送達の場合、被験体の処置をもたらすために十分な組成物量)を提供するために十分な量をいう。以下で指摘するように、必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢、および一般的状態、処置される状態の重篤度、ならびに目的の特定の高分子、投与様式などに依存して、被験体から被験体へと変化する。任意の個々の場合における適切な「有効」量は、慣用的な技術を使用して、当業者により決定され得る。
【0065】
「脊椎動物被験体」によって、心臓型(cordata)亜門の任意のメンバーが意味され、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ヒトおよび他の霊長類(チンパンジーならびに他の無尾猿(ape)およびサル種のような非ヒト霊長類を含む);ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマのような家畜;イヌおよびネコのような家畜;マウス、ラットおよびモルモットのようなげっ歯類を含む実験動物;ニワトリ、シチメンチョウ、および他のキジ類のトリ、アヒル、ガチョウのような家禽、野生のトリおよび狩猟鳥を含むトリなど。この用語は、特定の年齢を意味しない。従って、成体および新生仔の両方の個体を網羅するように意図される。本明細書中に記載される本発明は、上記の脊椎動物種のいずれかにおける使用のために意図される。なぜなら、これらの脊椎動物の全ての免疫系は、同様に作用するためである。
【0066】
(II.本発明を実施する形態)
本発明の詳細に記載する前に、処方またはプロセスのパラメータは当然のことながら変化し得るので、本発明は特定の処方またはプロセスのパラメータに限定されないことが理解されるべきである。本明細書中で使用される用語法は、本発明の特定の実施形態のみを記載する目的であり、そして限定するように意図されないこともまた理解されるべきである。
【0067】
本明細書中に記載されるものと類似または等価な多くの組成物および方法が本発明の実施において使用され得るが、好ましい材料および方法は本明細書中に記載される。
【0068】
上記のように、1型インターフェロン誘導因子(例えば、dsRNA)を含むアジュバント組成物および抗原送達システムおよび/または免疫刺激性分子と組み合わせて送達される抗原は、このようなアジュバントなしで認められる抗体力価より有意に高い抗体力価を誘発するという発見に基づく。本発明の他のさらなる理解のために、より詳細な議論が、本発明の方法および組成物における使用のための抗原、ならびに1型インターフェロン誘導因子を含むアジュバント組成物の生成に関して以下に提供される。
【0069】
(抗原)
特に、本発明の組成物および方法は、増強された免疫応答(細胞媒介性免疫および/または体液性抗体応答を含む)を提供する。従って、本発明の組成物および方法は、細胞性免疫応答および/または体液性免疫応答が所望されるような、任意の抗原(抗体、 T細胞ヘルパーエピトープおよび T細胞傷害性エピトープを誘導し得る、ウイルス病原体、細菌性病原体、真菌性病原体および寄生生物性病原体に由来する抗原を含む)を用いた用途を見出す。このような抗原としては、ヒトウイルスおよび動物ウイルスによってコードされる抗原が挙げられるがこれらに限定されず、かつ、構造タンパク質または非構造タンパク質のいずれかに対応し得る。
【0070】
この技術は、細胞内ウイルスおよび腫瘍細胞抗原(これらは通常は乏しい免疫応答を誘起する)に対する免疫にとって特に有用である。さらに、本組成物および本方法は、免疫精製目的、診断目的、および他の目的のために、実験動物における抗体を産生するのに使用され得る。
【0071】
例えば、本発明は、以下に対する免疫応答を刺激するための用途を見出す:ヘルペスウイルスファミリーに由来する広範な多様性のタンパク質(単純ヘルペスウイルス(HSV)の1型および2型に由来するタンパク質(例えば、HSV−1およびHSV−2の糖タンパク質である、gB,gDおよびgH));水痘帯状疱疹ウイルス (VZV)に由来する抗原、エプスタイン−バーウイルスウイルス (EBV )に由来する抗原、サイトメガロウイルス(CMV)に由来する抗原(CMVのgBおよびgH);ならびに他のヒトヘルペスウイルス(例えば、HHV6およびHHV7)に由来する抗原(例えば、サイトメガロウイルスをタンパク質コード内容物に関する概要については、Cheeら,Cytomegaloviruses (J.K.McDougall編,Springer−Verlag 1990 )pp .125−169、様々なHSV−1コードタンパク質の議論については、McGeochら,J .Gen .Virol .(1988 )69 :1531−1574;HSV−1およびHSV−2のgBタンパク質およびgDタンパク質ならびにそれらをコードする遺伝子の議論については、米国特許第5,171,568号;EBVゲノムにおけるタンパク質コード配列の同定については、Baerら,Nature (1984 )310 :207−211 ;ならびにVZVの概説については、DavisonおよびScott,J.Gen .Virol .(1986 )67 :1759〜1816を参照のこと)。
【0072】
肝炎ウイルスのファミリー(A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、デルタ型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)およびG型肝炎ウイルス(HGV)を含む)に由来する抗原はまた、本明細書中に記載される技術において便利に使用され得る。例示によって、HCVのウイルスゲノム配列は、配列を得るための方法と同様に、公知である。例えば、国際公開番号WO89/04669;WO90/11089;およびWO90/14436を参照のこと。HCVゲノムは、さらに以下に記載されるいくつかのウイルスタンパク質をコードする。これらのタンパク質、ならびにその抗原性フラグメントは、本発明の方法における使用が見いだされる。同様に、HDVに由来するδ抗原の配列が公知であり (例えば、米国特許第5,378,814号を参照のこと )、この配列はまた、本発明の方法において便利に使用され得る。さらに、HBV由来の抗原(例えば、コア抗原、表面抗原(sAg)、ならびにプレ表面配列(pre−S1およびpre−S2(以前は、pre−Sといわれていた)))ならびに上記の組み合わせ(例えば、sAg/pre−S1、sAg/pre−S2、sAg/pre−S1/pre−S2、およびpre−S1/pre−S2)は、本明細書中における使用が見いだされる。例えば、HBV構造の議論については「HBV Vaccines−from the laboratory to license:a case study」(Mackett,M.およびWilliamson,J.D.,Human Vaccines and Vaccination,pp.159-176);および米国特許第4,722,840号、同第5,098,704号、同第5,324,513号;Beamesら,J.Virol.(1995)69:6833-6838,Birnbaumら,J.Virol.(1990)64:3319−3330;およびZhouら,J Virol.(1991)65:5457−5464を参照のこと。
【0073】
他のウイルス由来の抗原もまた、本願発明の方法における使用が見いだされ、例えば、制限なく、Picornaviridae科(例えば、ポリオウイルスなど);Caliciviridae科;Togaviridae科(例えば、風疹ウイルス、デング熱ウイルスなど);Flaviviridae科;Coronaviridae科;Reoviridae科;Birnaviridae科;Rhabodoviridae科(例えば、鏡検病ウイルスなど);Filoviridae科;Paramyxoviridae科(例えば、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルスなど);Orthomyxoviridae科(例えば、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、およびC型インフルエンザウイルスなど);Bunyaviridae科;Arenaviridae科;Retroviradae科(例えば、HTLV−I;HTLV−II;HIV−1(HTLV−III、LAV、ARV、hTLRなどとしても知られる))のメンバーに由来するタンパク質が挙げられる(特に、単離株HIVIIIb、HIVSF2、HIVLAV、HlVLAI、HIVMN);HIV−1CM235、HIV−1US4;HIV−2;シミアン免疫不全ウイルス(SIV)に由来する抗原が挙げられるが、これらに限定されない)。さらに、抗原はまた、ヒトパピローマウイルス(HPV)およびダニ媒介脳炎ウイルスに由来し得る。例えば、これらおよび他のウイルスの記載については、Virology,第3版(W.K.Joklik編.1988);Fundamental Virology,第2版(B.N.FieldsおよびD.M.Knipe編,1991)を参照のこと。
【0074】
より具体的には、上記のHIV単離株のいずれかに由来するgp120エンベロープタンパク質(HIVの種々の遺伝的亜型のメンバーを含む)が公知であり、報告されており(例えば、種々のHIV単離株のエンベロープ遺伝子配列の比較については、Myersら,Los Alamos Database,Los Alamos National Laboratory,Los Alamos,New Mexico(1992);Myersら,Human Retroviruses and Aids,1990,Los Alamos,New Mexico:Los Alamos National Laboratory;およびModrowら,J.Virol.(1987)61:570−578を参照のこと)、これらの単離株のいずれかに由来する配列は、本発明における使用が見いだされる。さらに、本発明は、種々のHIV単離株のいずれかに由来する他の免疫原性タンパク質(種々のエンベロープタンパク質(例えば、gp160、gp140およびgp41)、gag抗原(例えば、p24gagおよびp55gag)、ならびにpol領域由来のタンパク質のいずれかを含む)に等しく適用され得る。
【0075】
インフルエンザウイルスは、本発明が特に有用であるウイルスの別の例である。特に、インフルエンザAのエンベロープ糖タンパク質HAおよびNAは、免疫応答を生じさせるために特に興味深い。インフルエンザAの種々のHA亜型が同定されている(Kawaokaら,Virology(1990)179:759−767;Websterら,「Antigenic variation among type A influenza viruses」p.127−168 In:P.PaleseおよびD.W.Kingsbury(編)、Genetics of influenza viruses.Springer−Verlag,New York)。従って、これらの単離株のいずれかに由来するタンパク質はまた、本明細書中に記載の発明において使用され得る。
【0076】
本明細書中に記載の組成物および方法における使用のための抗原はまた、多くの細菌抗原(例えば、ジフテリア、コレラ、結核、破傷風、百日咳、髄膜炎、および他の病理的状態を引き起こす生物(Meningococcus A、BおよびC、Hemophilus influenza B型(HIB)、およびHelicobacter pyloriが挙げられるが、これらに限定されない)に由来する抗原)に由来し得る。寄生生物抗原の例としては、マラリアおよびライム病を引き起こす生物に由来する抗原が挙げられる。
【0077】
さらに、本明細書中に記載の方法は、種々の悪性癌を処置するための手段を提供する。例えば、本発明のシステムは、問題の癌に特異的な特定のタンパク質(例えば、活性化癌遺伝子、胎児抗原、または活性化マーカー)に対する体液性免疫応答および細胞媒介性免疫応答の両方を上昇させるために使用され得る。このような腫瘍抗原としては、任意の種々のMAGE(黒色腫関連抗原E)が挙げられ、とりわけ、MAGE1、2、3、4など(Boon,T.Scientific American(March 1993):82−89);任意の種々のチロシナーゼ;MART 1(T細胞により認識される黒色腫抗原)、変異ras;変異p53;p97黒色腫抗原;CEA(癌胎児抗原)が挙げられる。
【0078】
本発明は、診断および免疫精製目的のための多数の抗原に対する抗体を惹起するため、ならびに広範な種々の疾患を予防または処置するために使用され得ることが、容易に明らかである。
【0079】
上記のように、本発明の組成物および方法は、HCV抗原を使用し得る。C型肝炎ウイルスのゲノムは、代表的に、約9,600ヌクレオチドの単一のオープンリーディングフレームを含み、これは、ポリタンパク質へと転写される。ポリタンパク質の全長配列は、欧州公開番号388,232および米国特許第6,150,087号に開示される。表1に示されるように、HCVポリタンパク質は、切断すると、NH−コア−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4a−NS4b−NS5a−NS5b−COOHの順で、少なくとも10個の別個の生成物を生じる。コアポリペプチドは、HCV−1に対して番号付けして、位置1〜191に存在する(HCV−1ゲノムについて、Chooら、(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 2451−2455を参照のこと)。このポリペプチドは、さらにプロセシングされて、アミノ酸約1〜173を有するHCVポリペプチドを生じる。エンベロープポリペプチドであるE1およびE2は、それぞれ、ほぼ192〜383位および384〜746位に存在する。P7ドメインは、ほぼ747〜809位で見出される。NS2は、タンパク質溶解活性を有する内在性膜タンパク質であり、そしてポリタンパク質のほぼ810〜1026位に見出される。NS2は、単独でかまたはNS3(ほぼ1027〜1657位にて見出される)と組み合わせてかのいずれかで、NS2−NS3シスル(sissle)結合を切断し、これは次いで、NS3のN末端を生成し、そしてセリンプロテアーゼ活性およびRNAヘリカーゼ活性の両方を有する大きいポリタンパク質を放出する。NS3プロテアーゼ(ほぼ1027〜1207位に見出される)は、残りのポリタンパク質をプロセシングするように働く。ヘリカーゼ活性は、ほぼ1193〜1657位にて見出される。ポリタンパク質成熟の完了は、NS3セリンプロテアーゼによって触媒される、NS3−NS4a連結部での自己触媒的切断によって開始される。引き続くNS3媒介性のHCVポリタンパク質の切断は、別のポリペプチドのNS3分子による、ポリタンパク質切断結合部の認識を包含するようである。これらの反応において、NS3は、NS3補因子(1658位〜1711位あたりに見いだされるNS4a)、2つのタンパク質(約1712位〜1972位に見いだされるNS4b、および約1973位〜2420位に見いだされるNS5a)、およびRNA依存性RNAポリメラーゼ(約2421位〜3011位に見いだされるNS5b)を遊離する。
【0080】
【表1】

*HCV−1に対して番号付けした。Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照のこと。
【0081】
上記のHCVポリタンパク質産物およびこれに由来する免疫原性ポリペプチドの配列は、公知である(例えば、米国特許第5,350,671号を参照のこと)。例えば、HCVポリタンパク質に由来する、多くの一般的および特定の免疫原性ポリペプチドが記載される。例えば、Houghtonら,欧州公開番号318,216および388,232;Chooら、Science(1989)244:359−362;Kuoら,Science(1989)244:362−364;Houghtonら,Hepatology(1991)14:381−388;Chienら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chienら,J.Gastroent.Hepatol(1993)8:S33−39;Chienら,国際公開番号WO93/00365;Chien,D.Y.,国際公開番号WO94/01778を参照のこと。これらの刊行物は、一般に、HCVに対する広範な背景、ならびにHCVポリペプチド免疫学的試薬の製造および使用に対する広範な背景を提供する。
【0082】
任意の所望の抗原性HCVポリペプチドは、本発明とともに利用され得る(例えば、HCVのE1および/またはE2エンベロープ糖タンパク質、ならびに非共有結合または共有結合相互作用のいずれかを介して結合するE1E2複合体を含む)。このような複合体は、エピトープを含む、E1およびE2の免疫原性フラグメントから作成され得る。例えば、E1ポリペプチドのフラグメントは、E1ポリペプチドの約5〜ほぼ全長の分子(例えば、E1ポリペプチドの6、10、25、50、75、100、125、150、175、185またはより多くのアミノ酸、または示された数の間の任意の整数のアミノ酸)を含み得る。同様に、E2ポリペプチドのフラグメントは、E2ポリペプチドの6、10、25、50、75、100、150、200、250、300、または350、または示された数の間の任意の整数のアミノ酸を含み得る。E1ポリペプチドおよびE2ポリペプチドは、同じHCV株または異なるHCV株に由来し得る。例えば、例えば、E2の超可変領域(例えば、アミノ酸384〜410または390〜410にまたがる領域)に由来するエピトープは、E2ポリペプチドに含まれ得る。E2配列またはE1E2複合体に組み込むための特に有効なE2エピトープは、この領域に由来するコンセンサス配列(例えば、コンセンサス配列Gly−Ser−Ala−Ala−Arg−Thr−Thr−Ser−Gly−Phe−Val−Ser−Leu−Phe−Ala−Pro−Gly−Ala−Lys−Gln−Asn(配列番号4))を含むものであり、このコンセンサス配列は、HCV1型ゲノムのアミノ酸390〜410のコンセンサス配列を示す。E1およびE2のさらなるエピトープは公知であり、例えば、Chienら,国際公開番号WO 93/00365に記載される。
【0083】
さらに、E1ポリペプチドおよびE2ポリペプチドは、膜貫通ドメインの全てまたは一部を欠き得る。膜アンカー配列は、このポリペプチドを小胞体に会合させるように機能する。通常、このようなポリペプチドは、このタンパク質を発現する生物が培養される増殖培地中に分泌され得る。しかし、国際公開番号WO98/50556に記載されるように、このようなポリペプチドはまた、細胞内で収集され得る。増殖培地中への分泌は、多数の検出技術(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動などが挙げられる)および免疫学的技術(例えば、免疫沈降アッセイ(例えば、1996年2月15日に公開された国際公開番号WO96/04301に記載されるような))を使用して容易に決定される。E1を用いると、一般に、アミノ酸約731位以上(HCV1 E1の番号付けに基づく)で終結するポリペプチドは、ERによって維持され、従って、増殖培地中に分泌されない。E2を用いると、アミノ酸約371位以上(これもまた、HCV1 E2の番号付けに基づく)で終結するポリペプチドは、ERによって維持され、そして分泌されない(例えば、1996年2月15日に公開された、国際公開番号WO96/04301を参照のこと)。これらのアミノ酸位置は絶対的ではなく、そしていくらか変動し得ることが注目されるべきである。従って、本発明は、膜貫通結合ドメインを維持するE1ポリペプチドおよびE2ポリペプチドの使用を企図し、そして膜貫通結合ドメインのすべてまたは一部を欠くポリペプチド(アミノ酸約369以下で終結するE1ポリペプチドおよびアミノ酸約730以下で終結するE2ポリペプチドを含む)は、本発明によって獲得されることが意図される。さらに、C末端短縮は、膜貫通ドメインを越えてN末端のほうへと伸長し得る。従って、例えば360以下の位置で起こるE1短縮および例えば715以下の位置で起こるE2短縮はまた、本発明によって包含される。必要な全てのことは、短縮されたE1ポリペプチドおよびE2ポリペプチドが、それらの意図される目的のための機能を維持することである。しかし、特に好ましい短縮E1構築物は、アミノ酸約300を超えて伸長しない構築物である。最も好ましいものは、360位で終結するものである。好ましい短縮E2構築物は、アミノ酸約715位を超えて伸長しない、C末端短縮を有する構築物である。特に好ましいE2短縮物は、アミノ酸715〜730のいずれか(例えば、725)の後で短縮された分子である。短縮された分子が使用される場合、両方が短縮されたE1分子およびE2分子を使用することが好ましい。
【0084】
E2は、多数の種として存在し(Spaeteら,Virol.(1992)188:819−830;Selbyら,J.Virol.(1996)70:5177−5182;Grakouiら,J.Virol.(1993)67:1385−1395;Tomeiら,J.Virol.(1993)67:4017−4026)、そして切断(clipping)およびタンパク質分解が、E1ポリペプチドおよびE2ポリペプチドのN末端およびC末端において起こり得る。従って、本明細書中で使用するためのE2ポリペプチドは、HCVポリタンパク質の、少なくともアミノ酸405〜661(例えば、400、401、402・・・〜661(例えば、384〜661、384〜715、384〜746、384〜749、384〜809、または384から、661〜809の間の任意のC末端))(全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされた)を含み得る。同様に、本明細書における使用のために好ましいE1ポリペプチドは、HCVポリタンパク質のアミノ酸192〜326、192〜330、192〜333、192〜360、192〜363、192〜383、または192から、326〜383の間の任意のC末端を含み得る。
【0085】
E1ポリペプチドおよびE2ポリペプチドならびにそれらの複合体はまた、アシアロ糖タンパク質として存在し得る。このようなアシアロ糖タンパク質は、当該分野において公知の方法によって(例えば、末端グリコシル化がブロックされた細胞を使用することによって)生成される。これらのタンパク質がこのような細胞において発現され、そしてGNAレクチンアフィニティークロマトグラフィーによって単離される場合、E1タンパク質およびE2タンパク質は、自発的に凝集する。これらのE1E2凝集体を生成するための詳細な方法は、例えば、米国特許第6,074,852号に記載されている。例えば、E1E2複合体は、融合タンパク質としてか、または例えば、宿主細胞を目的のE1ポリペプチドおよびE2ポリペプチドをコードする構築物で同時トランスフェクトすることによってかのいずれかで、組換え的に容易に生成される。同時トランスフェクションは、トランスまたはシスのいずれかで、すなわち、別個のベクターを使用することによってかまたはE1遺伝子とE2遺伝子との両方を保有する単一のベクターを使用することによって、達成され得る。単一のベクターを使用してなされる場合、両方の遺伝子は、制御エレメントの単一のセットに由来し得るか、あるいは、これらの遺伝子は、個々の制御エレメントによって駆動される個々の発現カセット中のベクターに存在し得る。発現後、E1タンパク質およびE2タンパク質は、自発的に会合する。あるいは、この複合体は、別々に生成された個々のタンパク質を、精製された形態または半精製された形態のいずれかで一緒に混合すること、あるいはなお、これらのタンパク質が分泌される場合、これらのタンパク質を発現する宿主細胞が培養された培養培地を混合することによって、形成され得る。最後に、本発明のE1E2複合体は、融合タンパク質として発現され得、ここで、E1の所望の部分が、E2の所望の部分に融合する。
【0086】
さらに、E1E1複合体は、上記のように、切断およびタンパク質分解切断に起因して、分子の不均一な混合物として存在し得る。従って、E1E2複合体を含む組成物は、複数の種のE1E2(例えば、アミノ酸746で終結するE1E2(E1E2746)、アミノ酸809で終結するE1E2(E1E2809)、または上記の任意の他の種々のE1分子およびE2分子(例えば、1〜20アミノ酸のN末端短縮を有するE2分子(例えば、アミノ酸387、アミノ酸402、アミノ酸403などで開始するE2種)))を含有し得る。
【0087】
E1E2複合体は、融合タンパク質としてか、または目的のE1ポリペプチドおよびE2ポリペプチドをコードする構築物で宿主細胞を同時トランスフェクトすることによってかのいずれかで、組換え的に容易に生成される。同時トランスフェクションは、トランスまたはシスのいずれかで、すなわち、別個のベクターを使用することによってかまたはE1遺伝子とE2遺伝子との両方を保有する単一のベクターを使用することによって、達成され得る。単一のベクターを使用してなされる場合、両方の遺伝子は、制御エレメントの単一のセットに由来し得るか、あるいは、これらの遺伝子は、個々の制御エレメントによって駆動される個々の発現カセット中のベクターに存在し得る。発現後、E1タンパク質およびE2タンパク質は、自発的に会合する。あるいは、この複合体は、別々に生成された個々のタンパク質を、精製された形態または半精製された形態のいずれかで一緒に混合すること、あるいはなお、これらのタンパク質が分泌される場合、これらのタンパク質を発現する宿主細胞が培養された培養培地を混合することによって、形成され得る。最後に、本発明のE1E2複合体は、融合タンパク質として発現され得、ここで、E1の所望の部分が、E2の所望の部分に融合する。
【0088】
培地中に分泌される全長E1タンパク質および全長E2タンパク質、短縮E1タンパク質および短縮E2タンパク質、ならびに細胞内で産生された短縮タンパク質から、E1E2複合体を生成するための方法は、当該分野において公知である。例えば、このような複合体は、米国特許第6,121,020号;Ralstonら,J.Virol.(1993)67:6753−6761,Grakouiら,J.Virol.(1993)67:1385−1395;およびLanfordら,Virology(1993)197:225−235に記載されるように、組換え的に産生され得る。
【0089】
他のHCVポリペプチドもまた、本発明において使用され得る。例えば、コア領域由来のHCVポリペプチド(例えば、アミノ酸1〜191;アミノ酸10〜53;アミノ酸10〜45;アミノ酸67〜88;アミノ酸86〜100;アミノ酸81〜130;アミノ酸121〜135;アミノ酸120〜130;アミノ酸121〜170の間に見出される領域由来のポリペプチド;および例えば、Houghtonら,米国特許第5,350,671号;Chienら.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chienら.J.Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chienら,国際公開番号WO93/00365;Chien,D.Y.,国際公開番号WO94/01778;および米国特許第6,150,087号において同定される任意のコアエピトープ)は、本組成物および本方法と共に用途を見出す。
【0090】
さらに、ウイルスの非構造領域由来のポリペプチドもまた、本明細書中において用途を見出す。HCVポリタンパク質のNS3/4a領域は、記載されており、そしてこのタンパク質のアミノ酸配列および全体の構造が、Yaoら.Structure(1999年11月)7:1353−1363に開示されている。Dasmahapatraら,米国特許第5,843,752号もまた参照のこと。上で説明されたように、ネイティブ配列または免疫原性アナログのいずれかが、本処方物において使用され得る。Dasmahapatraら,米国特許第5,843,752号およびZhangら,米国特許第5,990,276号の両方が、NS3/4aのアナログおよびこれらを作製するための方法を記載する。
【0091】
さらに、本組成物および本方法において使用するためのポリペプチドは、HCVポリタンパク質のNS3領域に由来し得る。多数のこのようなポリペプチドが公知であり、これには、c33c領域およびc100領域由来のポリペプチド、ならびにNS3エピトープを含む融合タンパク質(例えば、c25)が挙げられるが、これらに限定されない。これらおよび他のNS3ポリペプチドが、本組成物において有用であり、そして当該分野において公知であり、そして例えば、Houghtonら,米国特許第5,350,671号;Chienら.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chienら.J.Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chienら,国際公開番号WO93/00365;Chien,D.Y.,国際公開番号WO94/01778;および米国特許第6,150,087号に記載されている。
【0092】
さらに、国際公開番号WO97/44469に記載されるような、複数のエピトープ融合抗原(「MEFA」と称される)が、本組成物において使用され得る。このようなMEFAは、2つ以上の種々のウイルス領域由来の複数のエピトープを含む。これらのエピトープは、好ましくは、1つより多いHCV株由来であり、従って、単一のワクチンにおける複数の株のHCVに対して保護する能力を付加する。
【0093】
好都合なために、種々のHCV領域は、一般に、Chooら(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:2451に記載されるように、HCV−1aのゲノムによってコードされるポリタンパク質に対するアミノ酸数に関して規定され、開始メチオニンが、1位に指定される。しかし、本発明と共に使用するためのポリペプチドは、HCV−1a配列由来のものに限定されない。HCVの任意の株または単離体が、本発明と共に使用するための抗原性配列を提供するための基礎として働き得る。この点に関して、別のHCV単離体における対応する領域は、2つの単離体由来の配列を、配列を最大の整列にするような様式で整列させることによって、容易に決定され得る。
【0094】
HCVの種々の株および単離体が、当該分野において公知であり、これらは、ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列の変化によって、互いに異なる。例えば、単離体HCV J1.1は、Kuboら(1989)Japan.Nucl.Acids Res.17:10367−10372;Takeuchiら(1990)Gene 91:287−291;Takeuchiら(1990)J.Gen.Virol.71:3027−3033;およびTakeuchiら(1990)Nucl.Acids Res.18:4626に記載されている。2つの独立した単離体(HCV−JおよびBK)の完全コード配列は、それぞれ、Katoら,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9524−9528およびTakamizawaら,(1991)J.Virol.65:1105−1113によって記載されている。HCV−1単離体は、Chooら(1990)Brit.Med.Bull.46:423−441;Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci USA 88:2451−2455およびHanら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1711−1715によって記載されている。HCV単離体HC−J1およびHC−J4は、Okamotoら(1991)Japan J.Exp.Med.60:167−177に記載されている。HCV単離体HCT 18〜、HCT 23、Th、HCT 27、EC1およびEC10は、Weinerら(1991)Virol.180:842-848に記載されている。HCV単離体Pt−1、HCV−K1およびHCV−K2は、Enomotoら(1990)Biochem.Biophys.Res.Commun.170:1021−1025に記載されている。HCV単離体A、C、DおよびEは、Tsukiyama−Koharaら(1991)Virus Genes 5:243−254に記載されている。本発明の組成物および方法において使用するためのHCVポリペプチドは、上記の引用したHCVの株のいずれかから、あるいは感染した患者の組織または流体から単離された新たに発見された単離体から得られ得る。
【0095】
本組成物および本方法における使用のための、他の好ましい抗原は、HIV由来のものである。HIVゲノムとしては、Gag(p55gag)、Pol、Vif、Vpr、Tat、Rev、Vpu、Envおよび/またはNefとして公知の領域が挙げられる。これらの領域のいずれかに由来するHIV抗原、種々のサブタイプのいずれかに由来するHIV抗原(例えば、HIVサブタイプBおよびHIVサブタイプC)、ならびに種々の単離体のいずれか(SF162、SF2、AF110965、AF110967、AF110968、AF110975、8_5_TV1_C.ZA、8_2_TV1_C.ZAまたは12−5_1_TV2_C.ZAなど)は、本方法と共に用途を見出す。HIVゲノムの種々の領域は、表2に示され、番号は、8_5_TV1_C.ZAに関する(図5A〜5D;配列番号5)。しかし、他のHIV株またはHIV改変体における対応する領域(例えば、単離体HIVIIIb、HIVSF2、HIV−1SF162、HIV−1SF170、HIVLAV、HIVLAI、HIVMN、HIV−1CM235、HIV−1US4、様々なサブタイプ(例えば、サブタイプA〜G、およびO)由来の他のHIV-1株、HIV−2株および様々なサブタイプ(例えば、HIV−2UC1およびHIV-2UC2)ならびにサル免疫不全ウイルス(SIV))をどのように決定するかは、本開示の教示を考慮して、当業者に容易に明らかである。(これらおよび他の関連するウイルスの記載については、例えば、Virology,第3版(W.K.Joklik編.1988);Fundamental Virology,第2版(B.N.FieldsおよびD.M.Knipe編.1991);Virology,第3版(Fields,BN,DM Knipe,PM Howley編,1996,Lippincott−Raven,Philadelphia,PAを参照のこと)例えば、配列比較プログラム(例えば、BLASTおよび本明細書中に記載される他のもの)または構造フラグメントの同定および整列(例えば、種々の領域を同定し得る、本明細書中に記載される「ALB」プログラムのようなプログラム)を使用する。
【0096】
HIVのエンベロープタンパク質は、約160kdの糖タンパク質(gp160)である。宿主細胞のウイルス感染の間、gp160は、宿主細胞のプロテアーゼによって切断されて、gp120および内在性膜タンパク質gp41を形成する。gp41部分は、ビリオンの膜二重層に係留され、一方でgp120セグメントは、周囲の環境に突出する。gp120およびgp41は、より強く共有結合し、そして遊離gp120は、ビリオンの表面および感染した細胞から放出され得る。gp120ポリペプチドは、宿主細胞への進入を媒介する際の手段である。最近の研究は、CD4のgp120への結合が、Envのコンホメーション変化を誘導し、これが、コレセプター(co−receptor)(例10 えば、ケモカインレセプター)への結合、および引き続く、細胞内へのウイルスの侵入を可能にすることを示した(Wyatt,R.ら(1998)Nature 393:705−711;Kwong,Pら(1998)Nature 393:648−659)。CD4は、gp120の外側ドメイン、内側ドメイン、および架橋シートの界面で形成される凹部に結合する。
【0097】
【表2】



当業者が、任意の配列を表2に示される配列と容易に整列させて、上記のように任意の特定のHIV遺伝子の相対位置を決定し得ることが、明らかである。例えば、本明細書中に記載される整列プログラムの1つ(例えば、BLAST)を使用して、他のHIVゲノム配列が、8_5_TV1_C.ZA(表2)と整列され得、そして遺伝子の位置が決定され得る。ポリペプチド配列は、同様に整列され得る。
【0098】
所望の領域が一旦同定された、種々のHIV抗原を得るための組換え方法は、当該分野において周知であり、そして以下にさらに記載される。米国特許第5,614,612号もまた参照のこと。
【0099】
さらに、これらのHIV領域のいずれかの改変された配列(例えば、改変されたgp120およびp55gag)が、本方法において使用され得る。配列は、最適コドン利用について改変され、ヒトコドンをシミュレートし得、そして毒性を低下させ得る。このような改変された配列は、当該分野において公知であり、そしてこれらを産生するための配列および方法は、共有にかかる国際公開番号WO00/39304およびWO00/39302、ならびに国際公開番号WO98/34640に詳細に記載されている。
【0100】
本方法はまた、Neisseria spp.(例えば、N.meningitidis)由来の抗原(細菌性髄膜炎および敗血症の原因となる要因)のために特に有用である。髄膜炎菌は、莢膜抗原および細胞壁抗原の免疫学的特徴に基づいて、血清学的群に分割される。現在認識されている血清型としては、A、B、C、W−135、X、Y、Zおよび29Eが挙げられる。本発明の目的で、髄膜炎菌抗原は、種々の公知の血清型のいずれかに由来し得る。血清型特異性の原因である多糖は、いくつかのこれらの群(A、B、C、W−135およびYを含む)から精製された。有効な多糖に基づく莢膜ワクチンは、血清群A、C、YおよびW135によって引き起こされる髄膜炎菌疾患に対して開発され、そしてこれらのワクチン抗原のいずれかは、本組成物および本方法において用途を見出す。本明細書中で用途を見出す種々の髄膜炎菌タンパク質抗原の記載については、例えば、国際公開番号WO96/29412、WO96/14086、WO99/57280、WO00/22430、WO99/24578、WO99/36544、ならびにTettelinら(2000)Science 287:1809−1815およびPizzaら(2000)Science 287:1816−1820を参照のこと。さらに、糖抗原(例えば、Costantinoら(1992)Vaccine 10:691−698およびCostantinoら(1999)Vaccine 17:1251−1263に記載されるような、例えば、N.meningitidis血清群A、C、W135および/またはY由来のもの)は、本明細書中において用途を見出す。他の有用なNeisseria抗原としては、国際公開番号WO99/57280、WO99/24578およびWO99/36544に記載される、N.gonorrhorea由来のものが挙げられる。
【0101】
例えば、N.meningitidis血清群B(本明細書中で「MenB」と称される)は、米国および欧州に在住する乳児および小児における細菌性髄膜炎の大部分を占める。従って、MenB由来の抗原は、本組成物および本方法(例えば、MenBゲノムの種々のオープンリーディングフレーム(ORF)によって発現される抗原)において特に有用である。例えば、国際公開番号WO99/57280を参照のこと。このような抗原の例としては、MenBタンパク質961およびMenBタンパク質287が挙げられる。本明細書における使用のための他の髄膜炎菌抗原としては、莢膜MenB多糖の誘導体(本明細書中で「MenB PS誘導体」と称される)が挙げられる。MenB PSは、N−アセチル(α2→8)ノイラミン酸のホモポリマーである。MenB PS誘導体の例としては、欧州特許第504,202Bに記載されるような、C〜CN−アシル置換MenB PS誘導体が挙げられる。同様に、米国特許第4,727,136号は、「NPr−MenB PS」と称される、N−プロピオニル化MenB PS分子を記載する。米国特許第6,030,619号に記載されるようなMenB PSの独特のエピトープの分子模倣物もまた、有用である。さらに、MenB由来の外側膜小胞調製物(例えば、国際特許出願番号PCT/IB01/00166、Bjuneら(1991)Lancet 338:1093−1096,Fukasawaら (1999)Vaccine 17:2951−2958およびRosenquistら(1998)Dev.Biol.Stand.92:323−333)に記載されるものなど。
【0102】
MenB、株MC58の完全なゲノム配列が記載されている。Tettelinら,Science(2000)287:1809。血清殺菌性抗体応答を引き起こすいくつかのタンパク質は、全ゲノム配列決定によって同定されている。これらのタンパク質の多くは、Neisseria meningitidisの間で高度に保存されている配列を有する。Pizzaら,Science(2000)287:1816。従って、このような抗原は、本明細書中で用途を見出す。
【0103】
上で説明されたように、選択された抗原は、その全体またはその免疫原性フラグメントにおいて使用され得、そして免疫原性改変体が使用され得る。従って、選択された抗原は、欠失、挿入、または保存的もしくは非保存的なアミノ酸置換によって改変され得るが、但し、免疫原性は維持される。
【0104】
本明細書中での使用のための抗原は、分子生物学の標準的な技術を使用して産生され得る。例えば、上記分子をコードするポリヌクレオチド配列は、組換え方法を使用して(例えば、この遺伝子を発現する細胞由来のcDNAライブラリーおよびゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって、あるいはこれらを含むことが既知であるベクターから遺伝子を誘導することによって)得られ得る。さらに、所望の遺伝子は、ウイルス核酸分子から、当該分野において記載される技術を使用して、直接単離され得る。HCVについては、このような技術は、例えば、Houghtonら,米国特許第5,350,671号に記載されている。目的の遺伝子はまた、クローニングよりむしろ、合成的に産生され得る。分子は、特定の配列について適切なコドンを用いて設計され得る。次いで、標準的な技術によって調製された重複オリゴヌクレオチドから、完全配列が構築され、そして完全なコード配列に構築される。例えば、Edge(1981)Nature 292:756;Nambairら(1984)Science 223:1299;およびJayら(1984)J.Biol.Chem.259:6311を参照のこと。
【0105】
従って、特定のヌクレオチド配列は、所望の配列を保有するベクターから得られ得るか、または当該分野で公知の様々なオリゴヌクレオチド合成技術(例えば、適切な場合、部位特異的変異誘発およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術)を使用して、完全にもしくは部分的に合成され得る。例えば、Sambrook、(前出)を参照のこと。特に、所望の配列をコードするヌクレオチド配列を得る1つの方法は、従来の自動化ポリヌクレオチド合成機で生成される重複合成オリゴヌクレオチドの相補的なセットをアニーリングし、続いて適切なDNAリガーゼで連結し、そしてPCRによりこの連結したヌクレオチド配列を増幅することによるものである。例えば、Jayaramanら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4084〜4088を参照のこと。さらに、オリゴヌクレオチド指向型合成(Jonesら(1986)Nature 54:75〜82)、既存のヌクレオチド領域のオリゴヌクレオチド指向型変異誘発(Riechmannら(1988)Nature 332:323〜327、およびVerhoeyenら(1988)Science 239:1534〜1536)、およびTDNAポリメラーゼを使用するギャップオリゴヌクレオチド(gapped oligonucleotide)の酵素充填(enzymatic filling−in)(Queenら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029〜10033)を使用して、改変されたかもしくは増大された抗原結合能力、および免疫原性を有する分子を提供し得る。
【0106】
一旦、コード配列が調製または単離されると、このような配列は、任意の適切なベクターまたはレプリコンにクローン化され得る。多数のクローニングベクターが当業者に公知であり、そして適切なクローニングベクターの選択が可能である。適切なベクターとしては、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体または適切な制御エレメントと会合した場合に複製し得るウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
次いで、コード配列は、発現のために使用される系に依存して、適切な制御エレメントの制御下に置かれる。従って、このコード配列は、プロモータ、リボソーム結合部位(細菌での発現のため)、および必要に応じて、オペレーターの制御下に置かれ得、その結果、目的のDNA配列は、適切な形質転換体によってRNAに転写される。このコード配列は、シグナルペプチドまたはリーダー配列(これは後に、翻訳後プロセシングにおいて、宿主によって除去され得る)を含んでも含まなくても良い。例えば、米国特許第4,431,739号;同第4,425,437号;同第4,338,397号を参照のこと。
【0108】
制御配列に加えて、宿主細胞の増殖に関して配列の発現の調節を可能にする調節配列を付加することが所望であり得る。調節配列は、当業者に公知であり、そして例としては、調節化合物の存在を含む、化学的刺激または物理的刺激に対してオンまたはオフにされる遺伝子の発現を引き起こすものが挙げられる。他の型の調節エレメントもまた、ベクター中に存在し得る。例えば、エンハンサーエレメントは、構築物の発現レベルを増加するために本明細書中で使用され得る。例としては、SV40初期遺伝子エンハンサー(Dijkemaら(1985)EMBO J.4:761)、ラウス肉腫ウイルスの長末端反復(LTR)に由来するエンハンサー/プロモーター(Gormanら(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6777)およびヒトCMVに由来するエレメント(Boshartら(1985)Cell 41:521)(例えば、CMVイントロンA配列に含まれるエレメント(米国特許第5,688,688号))が挙げられる。発現カセットはさらに、適切な宿主細胞において自律的に複製するための複製起点、1つ以上の選択マーカー、1つ以上の制限部位、高いコピー数についての可能性および強力なプロモーターを含み得る。
【0109】
発現ベクターは、特定のコード配列が適切な制御配列と共にベクター中に位置するように構築され、制御配列に対するコード配列の位置および配向は、コード配列が制御配列の「制御」下で転写されるように存在する(すなわち、制御配列にてDNA分子に結合するRNAポリメラーゼは、コード配列を転写する)。目的の分子をコードする配列の改変は、この目的を達成するために所望であり得る。例えば、いくつかの場合において、適切な配向で配列が制御配列に結合され得るように(すなわち、リーディングフレームを維持するように)配列を改変することが必要であり得る。制御配列および他の調節配列は、ベクターへの挿入の前にコード配列に連結され得る。あるいは、コード配列は、制御配列および適切な制限部位をすでに含む発現ベクターに直接クローニングされ得る。
【0110】
上に説明されるように、目的のポリペプチドの変異体またはアナログを生成することが所望であり得る。目的の組成物における使用のためのこの抗原の変異体またはアナログは、目的のポリペプチドをコードする配列の一部を欠失することによって、配列の挿入によって、そして/または配列内での1つ以上のヌクレオチドの置換によって調製され得る。ヌクレオチド配列を改変するための技術(例えば、部位特異的変異誘発など)は、当業者に周知である。例えば、Sambrookら、前出;Kunkel,T.A.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1985)82:448;Geisselsoderら(1987)BioTechniques 5:786;ZollerおよびSmith(1983)Methods Enzymol.100:468;Dalbie−McFarlandら(1982)Proc.Natl.Acad.Sci USA 79:6409を参照のこと。
【0111】
分子は、昆虫発現系、哺乳動物発現系、細菌発現系、ウイルス発現系および酵母発現系を含む広範な種々の系において発現され得、これらは全て当該分野で周知である。
【0112】
例えば、昆虫細胞発現系(例えば、バキュロウイルス系)は、当業者に公知であり、そして例えば、SummersおよびSmith,Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987)において記載されている。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系のための材料および方法は、特に、Invitorogen,San Diego CA(「MaxBac」キット)から市販されている。同様に、細菌発現系および哺乳動物細胞発現系は、当該分野で周知であり、そして例えば、Sambrookら、前出、において記載されている。酵母発現系もまた、当該分野で公知であり、そして例えば、Yeast Genetic Engineering(Barrら編、1989)Butterworths,Londonにおいて記載されている。
【0113】
上の系を用いる使用のための多数の適切な宿主細胞がまた公知である。例えば、哺乳動物細胞株は、当該分野で公知であり、そして例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、乳児ハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト胚腎細胞、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、Madin−Darbyウシ腎(「MDBK」)細胞、およびその他を含むがこれらに限定されない、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株を含む。同様に、E.coli、Bacillus subtilis、およびStreptococcus spp.のような細菌宿主において、本発明の構築物を用いる用途を見出す。本発明において有用な酵母宿主としては特に、Saccharomyces cerevisiae、Candida albicans、Candida maltosa、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces fragilis、Kluyveromyces lactis、Pichia guillerimondii、Pichia pastoris、Schizosaccharomyces pombeおよびYarrowia lipolyticaが挙げられる。バキュロウイルス発現ベクターを用いる使用のための昆虫細胞としては特に、Aedes aegypti、Autographa californica、Bombyx mori、Drosophila melanogaster、Spodoptera frugiperdaおよびTrichoplusia niが挙げられる。
【0114】
目的のヌクレオチド配列を含む核酸分子は、当該分野で周知の種々の遺伝子送達技術を使用して、宿主細胞ゲノムに安定に組み込まれ得るか、または適切な宿主細胞中の安定なエピソームエレメント上に維持され得る。例えば、米国特許第5,399,346号を参照のこと。
【0115】
選択される発現系および宿主に依存して、これらの分子は、タンパク質が発現される条件下で、上記の発現ベクターによって形質転換された宿主細胞を増殖させることによって生成される。次いで、発現されたタンパク質は、宿主細胞から単離され、そして精製される。発現系が、タンパク質を増殖培地中に分泌する場合、生成物は、培地から直接精製され得る。生成物が分泌されない場合、生成物は細胞溶解物から単離され得る。適切な増殖条件および回収方法の選択は、当業者の範囲内である。
【0116】
(1型インターフェロンアジュバント組成物)
1つ以上の抗原(上記のように作製された)は、1型インターフェロン誘導因子、抗原送達システムおよび/または免疫刺激分子を含むアジュバント組成物とともに投与される。抗原は、アジュバント組成物の送達の前、同時または後のいずれかで投与され得る。別々に投与される場合、抗原は、さらに以下に記載されるような組成物中に提供される。あるいは、抗原は、アジュバント組成物で提供され得る。
【0117】
1型インターフェロン誘導因子は、基底レベルより上の1型インターフェロン(IFN-1)の産生を誘発する。IFN−αおよびIFN−βは、1型インターフェロンの主要な種である。従って、IFN−1レベルは、IFN−αおよびIFN−βを測定するアッセイを使用して評価され得る。このようなアッセイは、当該分野において周知である。1つの代表的なアッセイは、単層培養物中のL細胞に対する水疱性口内炎ウイルスの細胞病理学的影響を阻害するサンプルの能力を測定する。例えば、Le Bonら、Immunity(2001)14:461〜470を参照のこと。別のアッセイは、試験ウイルスとして脳心筋炎ウイルス(EMCV)を使用して培養物中の抗ウイルス活性を測定する。例えば、Tazulakhovaら、J.Interfer.Cytokine Res.(2001)21:65〜73を参照のこと。
【0118】
1型インターフェロン誘導因子としては、Megasin、Kagocel (「NIARnedicplus」,Moscow,Russia)、Savrats、Ragosin(N.F.Gamaleya Institute,Moscow,Russia)およびGosalidonを含むゴシポールの誘導体である芳香族炭化水素(これに限定されない)のような天然起源の低分子量フェノールのような天然化合物;二本鎖RNAを含むポリマー(さらに以下を参照のこと);Amixin(OOO「Lancepharm」、Moscow、Russia)のようなフルオレノン(これに限定されない)のような合成化合物、およびアクリダノンNeovirおよびCycloferon(NTFF「Polysan」、St.Petersburg、Russia)のような硝酸塩基;およびAmpligen(ポリ[I−C12U]、Poludanおよびポリグアシルのようなポリヌクレオチドが挙げられる。
【0119】
本発明の組成物および方法とともに使用するための1つの特定の好ましい1型インターフェロン誘導因子は、二本鎖RNA(dsRNA)である。アジュバント組成物における使用のための二本鎖RNAは、種々の供給源由来であり得る。多くの生物(酵母およびウイルスを含む)が、天然にdsRNAを産生する。このような供給源由来のdsRNAは、間欠的なリボグアニル酸−リボシチジル酸([rG−rC])塩基対およびリボアデニル酸−ポリリボウリジル酸([rA−rU))塩基対から構成される。一本鎖DNAウイルスを除いて全てのウイルスが、dsRNAを産生するようである。ウイルスdsRNAは、相補鎖の二重鎖の形態で、または一本鎖RNA内の分子内二次構造の形態のいずれかで存在する。dsRNAウイルス(ゲノム)、ssRNAウイルス(転写中間体)、dsDNAウイルス(対称転写、続く、RNA−RNAアニーリング)、およびレトロウイルス(ウイルスmRNA内の二次構造)についてのdsRNAのウイルス供給源は、公知であり、例えば、Majde,J.A.,J.Interfer.Cytokine Res.(2000)20:259−272およびJacobs and Langland,Virology(1996)219:339−349に記載される。
【0120】
ウイルスdsRNAの特定の供給源としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Mengoウイルス感染細胞由来のdsRNA(Falcoffら,Antimicrob.Agents Chemother.(1973)3:590−598);レオウイルスおよび真菌ウイルス由来のdsRNA(Fieldら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1967)58:1004−1010、De Benedettiら,J.Vitol.(1985)54:408−413);レトロウイルスdsRNA(Jacobs and Langland,Virology(1996)219:339−349)、例えば、HIV−1由来(Maitraら,Virology(1994)204:823−827);ピコルナウイルス感染細胞から抽出されたdsRNA(Falcoffら,Antimicrob.Agents Chemother.(1973)3:590−598);インフルエンザ感染肺からのdsRNA(Majdeら,Microb.Pathogen.(1991)10:105−l15);感染植物細胞からのdsRNA(Lin and Langenberg,Virology(1985)142:291−298);トガウイルスからのdsRNA(Stollar,B.D.,Crit.Rev.Biochem.(1975)3:45−69);ルベラウイルス感染細胞からのdsRNA(Leeら,Virology(1994)200:307−312);Semliki Forestウイルス感染細胞からのdsRNA(Lee ら,Virology(1994)200:307−312);デング熱ウイルス感染細胞からのdsRNA(MacKenzieら,Virology(1996)220:232−240);Larifan(Riga、Latvia)およびRidostin(「Diapharam」NOP「VECTOR」、Berdsk、Russia)として公知のdsRNA。これらの種々のdsRNAのいずれか、および他の供給源由来のdsRNAは、本発明の組成物および方法との用途を見出す。
【0121】
感染細胞からのdsRNAは、核酸抽出の標準的な方法(例えば、フェノール抽出技術)を使用して容易に得られ、これらは、上記の刊行物のいくつかに記載される。例えば、Falcoffら,Antimicrob.Agents Chemother.(1973)3:590−598;Fayetら,Prog.Immunobiol.Standard.(1972)5:267−273;Majdeら,Microb.Pathogen.(1991)10:l05−115)を参照のこと。
【0122】
多くの合成dsRNAもまた公知であり、本明細書中で用途を見出され、そして当該分野で周知であり記載される技術を使用して合成される。このような合成dsRNAとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ポリリボイノシン酸−ポリリボシチジル酸(ポリ[rI−rC])およびポリリボグアニル酸−ポリリボシチジル酸(ポリ[rG−rC])(例えば、Michelsonら,Prog.Nuc.Acid Res.Mol.Biol.(1967)6:83−141を参照のこと);ポリリボアデニル酸−ポリリボウリジル酸(ポリ[rA−rU]);混合塩基組成の低分子量dsRNA(例えば、限定しないが、309bpを有する合成dsRNA)(Hainesら.J.Biol.Chem.(1992)267:183l5−18319)ならびに、例えば、米国特許第5,906,980号および同第5,258,369号に記載される合成ミスマッチdsRNA。さらに、改変骨格を有するdsRNAは、当該分野で周知の技術を使用して作製され得る。合成dsRNAは、種々の長さを有し得、そして一般的に、50〜250bpの長さ、例えば、75〜150、85〜100または50〜250bpの長さの間の任意の整数の範囲である。リボイノシン酸の90マー鎖およびそれにアニールされるリボシチジル酸の90マー鎖を含む代表的な合成90マーdsRNAは、以下に実施例において記載される。
【0123】
上に説明されるように、1型インターフェロン誘導因子とともに抗原送達システム(すなわち、特定の送達システム)を使用することは、1型インターフェロン誘導因子単独の使用と比較して、有意に増強した免疫応答を提供する。従って、本発明に従って、1型インターフェロン誘導因子は、抗原送達システムと組み合わされ、そして/または送達の前に免疫刺激分子と組み合わされる。本明細書中での使用のための特定の抗原送達システムとしては、サブミクロンのo/wエマルジョン、カチオン性エマルジョン、微小粒子、ISCOM、リポソームなどが挙げられる。
【0124】
特に、本明細書中での使用のためのサブミクロンのo/wエマルジョンは、非毒性の代謝可能な油および市販の乳化剤を含む。非毒性の代謝可能な油の例としては、植物油、魚油、動物油または合成調製油が挙げられるが、これらに限定されない。魚油(例えば、タラ肝油、鮫肝油および鯨油)が好ましく、スクアレン、2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエン(鮫肝油において見出される)が特に好ましい。油成分は、約0.5容量%〜約20容量%、好ましくは、約15容量%までの量、より好ましくは、約1容量%〜約12容量%、最も好ましくは、1容量%〜約4容量%の油で存在する。
【0125】
アジュバントの水性部分は、緩衝化生理食塩水または純水であり得る。この組成物が非経口投与を意図するので、組成物と生理学的流体との間の異なるイオン濃度に起因する組成物の投与後膨潤または迅速な吸収を妨げるために、張性(すなわち、重量オスモル濃度)が、正常な生理学的流体と本質的に同じであるように、最終溶液を構成することが好ましい。水ではなく生理食塩水が使用される場合、正常な生理学的状態と適合性のpHを維持するために生理食塩水を緩衝化することが好ましい。また、特定の例において、特定の組成物の成分の安定性を確実にするために、特定のレベルでpHを維持することが必要であり得る。従って、組成物のpHは、一般的にpH6〜8であり、pHは、任意の生理学的に受容可能な緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、tris、重炭酸緩衝液または炭酸緩衝液など)を使用して維持され得る。存在する水性剤の量は、一般的に、組成物を所望の最終容量にするのに必要な量である。
【0126】
o/w処方物中での使用のために適切な乳化剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ソルビタンベースの非イオン性界面活性剤(例えば、ソルビタンモノエステル、ソルビタンジエステル、ソルビタントリエステル、例えば、SPANTMまたはARLACELTMの名称で、市販されるもの(例えば、SPANTM85(ソルビタントリオレート)));ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル、ポリオキシエチレンソルビタンジエステル、ポリオキシエチレンソルビタントリエステル(例えば、TWEEN80TM(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)のような名称TWEENTMによって市販されることが公知);名称MYRJTMの下で入手可能なポリオキシエチレン脂肪酸エーテル;ラウリルアルコール、アセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびオレイルアルコール由来のポリオキシエチレン脂肪酸(例えば、BRIJTMの名称によって公知なもの)。これらの物質は、多くの業者(Sigma、St.Louis、MO、およびICI America’s Inc.、Willmington、DEを含む)から容易に入周可能である。これらの乳化剤は、単独でまたは組み合わせで使用され得る。乳化剤は、通常、0.02重量%〜約2.5重量%(w/v)、好ましくは、0.05重量%〜約1重量%、そして最も好ましくは、0.01重量%〜約0.5重量%の量で存在する。存在量は、一般的に、使用されるオイルの約20〜30重量%である。
【0127】
エマルジョンはまた、他の免疫刺激剤(例えば、ムラミルペプチド)を含み得、これには、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタム(nor−MDP)、-アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニンー2−(1’,2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)などが挙げられ得るが、これらに限定されない。免疫刺激細菌細胞壁成分(例えば、モノホスホリピド A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)もまた、存在し得る。あるいは、エマルジョンは、これらの薬剤を含まなくてもよい。しかし、本発明のサブミクロンo/wエマルジョンは、任意のポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン(POP−POE)ブロックコポリマーを欠き得る。本発明との使用のための種々の適切なサブミクロンo/wエマルジョン処方物、ならびに免疫刺激剤の説明については、例えば、国際公開番号WO 90/14837;Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania,19th edition,1995;Van Nestら,「Advanced adjuvant formulations for use with recombinant subunit vaccines」,Vaccines 92,Modern Approaches to New Vaccines(Brownら,編)Cold Spring Harbor Laboratory Press,pp.57−62(1992);Ottら,「MF59−−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant for Human Vaccines」、Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach (Powell,M.F.and Newman,M.J.編)Plenum Press,New York(1995)pp.277−296;および米国特許第6,299,884号を参照のこと。サブミクロン粒子(すなわち、1ミクロン未満の直径の粒子およびナノメーターサイズの範囲の粒子)を作製するために、多くの技術が使用され得る。例えば、高圧力下において、流体を小さな開口部を通すことによって発生する高剪断力の原理によって作動する市販の乳化機が、使用され得る。市販の乳化機の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Model 110Y microfluidizer(Microfluidics,Newton,MA),Gaulin Model 30CD(Gaulin,Inc.,Everett,MA)、およびRainnie Minilab Type 8.30H(Miro Atomizer Food and Dairy,Inc.,Hudson,WI)。個々の乳化機とともに使用するための適切な圧力は、当業者によって容易に決定される。例えば、Model 110Yマイクロフルイダイザーが使用される場合、5000〜30,000psiでの操作は、約100〜750nmの直径を有する油滴を生成する。
【0128】
油滴のサイズは、油に対する界面活性剤の比率(比率が増加すると、液滴サイズが減少する)、作動圧力(作動圧力が増加すると、液滴サイズが減少する)、温度(温度が上昇すると、液滴サイズが減少する)を変化させること、および両親媒性免疫刺激剤を添加すること(このような薬剤の添加は、液滴サイズを減少させる)によって変更され得る。実際の液滴サイズは、特定の界面活性剤、オイルおよび免疫刺激剤(存在する場合)、ならびに選択された特定の作動条件とともに変化する。液滴サイズは、サイジング機器(例えば、Coulter Corporationによって製造される市販のSub−Micron Particle Analyzer(Model N4MD)の使用によって変更され得、パラメーターは、実質的に全ての液滴が1ミクロン未満の直径、好ましくは、約0.8ミクロン未満の直径、そして最も好ましくは、約0.5ミクロン未満の直径であるまで、上記ガイドラインを使用して変更され得る。実質的に全てによって、少なくとも80%(数による)、好ましくは、少なくとも約90%、より好ましくは、少なくとも約95%、および最も好ましくは、少なくとも約98%を意味する。粒子サイズ分布は、代表的に、ガウス分布であり、その結果、平均直径は、示された限界よりも小さい。
【0129】
本明細書中で使用するための特に好ましいサブミクロンの水中油エマルジョンは、必要に応じて変動量のMTP−PEを含むスクアレン/水エマルジョン(例えば、4〜5% w/vのスクアレン、0.25〜1.0% w/vのTWEEN 80TM(ポリオキシエチレンソルビタン(polyoxyelthylenesorbitan)モノオレエート)および/または0.25〜1.0%のSPAN 85TM(ソルビタントリオレエート)、ならびに必要に応じてN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ(huydroxyphosphoryloxy))−エチルアミン(MTP−PE)を含むサブミクロンの水中油エマルジョン(例えば、「MF59」として公知のサブミクロンの水中油エマルジョン(国際公開番号WO 90/14837;米国特許第6,299,884号;およびOttら、「MF59−−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant for Human Vaccines」、Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.およびNewman,M.J.編)Plenum Press、New York、1995、277−296頁)))である。MF59は、4〜5% w/vスクアレン(例えば、4.3%)、0.25〜0.5% w/v TWEEN 80TM、および0.5% w/v SPAN 85TMを含み、そして必要に応じて種々の量のMTP−PEを含み、Model 110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics、Newton、MA)のようなマイクロフルイダイザーを用いてサブミクロンの粒子に処方される。例えば、MTP−PEは、約0〜500μg/用量、より好ましくは約0〜250μg/用量、そして最も好ましくは0〜100μg/用量の量で、存在し得る。本明細書中で使用する場合、用語「MF59−0」は、MTP−PEを欠く上記のサブミクロンの水中油エマルジョンをいい、一方で「MF59−100」は、1用量当たり100μgのMTP−PEを含む、など。本明細書中での使用のための別のサブミクロンの水中油エマルジョンであるMF69は、4.3% w/v スクアレン、0.25% w/v TWEEN 80TM、および0.75% w/v SPAN 85TMおよび必要に応じてMTP−PEを含む。なお別のサブミクロンの水中油エマルジョンは、10%スクアレン、0.4% TWEEN 80TM、5% プルロニックブロックされたポリマーL121、およびthr−MDPを含み、サブミクロンのエマルジョンに微小流体化された、MF75(SAFとしても公知)である。MF75−100は、1用量当たり100μgのMTP−PEを含む。
【0130】
サブミクロンの水中油エマルジョン、このエマルジョンを作製する方法、および組成物中で使用するための免疫刺激剤(例えば、ムラミルペプチド)は、国際公開番号WO 90/14837および米国特許第6,299,884号において詳細に記載されている。
【0131】
一般に、本発明の目的のために、約10μg〜10mgのdsRNA、より好ましくは500μg〜5mg、なおより好ましくは100μg〜1mg(例えば、50...40...30...20...10μgなど〜0.5mgのdsRNA)、およびこれらの範囲内の任意の整数が、本明細書中に記載されるサブミクロンの水中油エマルジョン中に存在する。
【0132】
微小粒子もまた、抗原送達システムとしての用途を見出す。用語「微小粒子」は、本明細書中で使用する場合、直径約100nm〜約150μm、より好ましくは直径約200nm〜30μm、そして最も好ましくは直径約500nm〜約10μmの粒子をいう。好ましくは、この微小粒子は、針およびキャピラリーを閉塞せずに非経口投与を可能にする直径の粒子である。微小粒子のサイズは、当該分野で周知の技術(例えば、光子補正分光法、レーザー回折および/または走査型電子顕微鏡)によって容易に決定される。
【0133】
本明細書での使用のための微小粒子は、滅菌可能で非毒性でありかつ生体分解性の物質から形成される。このような物質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリビニルアルコールおよび酢酸エチレンビニル。好ましくは、本発明での使用のための微小粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)に由来し、そして特に、ポリ(ラクチド)(「PLA」)(例えば、米国特許第3,773,919号を参照のこと)またはD,L−ラクチドとグリコリドもしくはグリコール酸とのコポリマー(例えば、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド(「PLG」または「PLGA」))(例えば、米国特許第4,767,628号を参照のこと))またはD,L−ラクチドとカプロラクトンとのコポリマーに由来する。この微小粒子は、種々の分子量を有し、そしてコポリマー(例えば、PLG)の場合には種々のラクチド:グリコリド比を有する種々のポリマー性出発物質のいずれかに由来し得、その選択は、ほぼ、ポリペプチドの所望の用量および処置される疾患に一部依存する、選択事項である。これらのパラメータは、以下により詳細に議論する。本発明において有用な微小粒子を製造するための生体分解性ポリマーは、例えば、Boehringer Ingelheim、GermanyおよびBirmingham Polymers,Inc.、Birmingham、ALから市販され、容易に入手可能である。
【0134】
本明細書中での使用のために特に好ましいポリマーは、PLAポリマーおよびPLGポリマーである。これらのポリマーは、種々の分子量で利用可能であり、そして問題のポリペプチドについての所望の放出速度を提供するのに適切な分子量は、当業者によって容易に決定される。従って、例えば、PLAについて、適切な分子量は、約2000〜約250,000の範囲である。PLGについて、適切な分子量は、一般に、約10,000〜約200,000の範囲、好ましくは約15,000〜約150,000の範囲、そして最も好ましくは約50,000〜約100,000の範囲である。
【0135】
PLGのようなポリマーが微小粒子の形態で使用される場合、種々のラクチド:グリコリド比が、本明細書中にて用途を見出し、そしてこの比は、ほぼ、所望の分解速度に一部依存する、選択事項である。例えば、50:50のPLGポリマー(50%のD,L−ラクチドおよび50%のグリコリドを含む)は、速吸収性コポリマーを提供するが、一方、ラクチド成分の増加に起因して、75:25のPLGは、よりゆっくりと分解し、そして85:15および90:10は、さらによりゆっくりと分解する。ラクチド:グリコリドの適切な比は、処置される障害の性質に基づいて、当業者によって容易に決定されることが、容易に明らかである。さらに、種々のラクチド:グリコリド比を有する微小粒子の混合物は、所望の放出反応速度論を達成するために、処方物中での用途を見出す。種々のラクチド:グリコリド比および分子量を有するPLGコポリマーは、Boehringer Ingelheim、GermanyおよびBirmingham Polymers,Inc.、Birmingham、ALを含む多数の供給源から市販され、容易に入手可能である。これらのポリマーはまた、例えば、Tabataら、J.Biomed.Mater.Res(1988)22:837−858に記載されるような、当該分野で周知の技術を使用して、乳酸成分の単純な重縮合によって、合成され得る。
【0136】
所望の分子(例えば、dsRNAおよび/または抗原)を含む微小粒子、またはその表面に吸着された分子を有する微小粒子のいずれかが、調製される。このような微小粒子を調製するためのいくつかの技術が、当該分野で公知である。例えば、二重エマルジョン/溶媒エバポレーション技術(例えば、米国特許第3,523,907号およびOgawaら、Chem.Pharm.Bull.(1988)36:1095−1103に記載される)は、これらの微小粒子を作製するために、本明細書中で使用される。これらの技術は、ポリマー溶液の液滴からなる一次エマルジョンの形成を含み、これは、引き続いて、粒子安定剤/界面活性剤を含む連続水相と混合される。
【0137】
より具体的には、O’Haganら、Vaccine(1993)11:965−969およびJefferyら、Pharm.Res.(1993)10:362によって記載されるような、水中油中水(w/o/w)溶媒エバポレーションシステムは、これらの微小粒子を形成するために使用され得る。この技術において、粒子状ポリマーは、有機溶媒(例えば、酢酸エチル、ジメチルクロライド(塩化メチレンおよびジクロロメタンとも称される)、アセトニトリル、アセトン、クロロホルムなど)と合わせられる。このポリマーは、有機溶媒中の、約2〜15%、より好ましくは約4〜10%、そして最も好ましくは6%の溶液で提供される。このポリマー溶液は、例えば、ホモジナイザーを使用して、乳化される。次いで、このエマルジョンは、多量のエマルジョン安定剤(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)またはポリビニルピロリドン)水溶液と合わせられる。このエマルジョン安定剤は、代表的には約2〜15%溶液で、より好ましくは約4〜10%溶液で、提供される。次いで、この混合物は、ホモジェナイズされて、安定なw/o/w二重エマルジョンを生成する。次いで、有機溶媒がエバポレートされる。
【0138】
処方物パラメータは、小さい(<5μm)微小粒子および大きい(>30μm)微小粒子の調製を可能にするように、操作され得る。例えば、Jefferyら、Pharm.Res.(1993)10:362−368;およびMcGeeら、J.Microencap.(1996)を参照のこと。例えば、攪拌を減少させることによって、大きい微小粒子が生じ、内相容量を増加させても、大きい微小粒子が生じる。小さい粒子は、高濃度のPVAを用いて低水相容量によって提供される。
【0139】
微小粒子はまた、例えば、Thomasinら、J.Controlled Release(1996)41:131;米国特許第2,800,457号;Masters,K.(1976)Spray Drying 第二版、Wiley、New Yorkに記載されるような、噴霧乾燥およびコアセルベーション;Hallら、(1980)The "Wurster Process"、Controlled Release Technologies:Methods,Theory and Applications(A.F.Kydonieus編)、Vol.2、133−154頁 CRC Press、Boca Raton、FloridaおよびDeasy,P.B.、Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.(1988)S(2):99−139に記載されるようなエアサスペンジョンコーティング技術(例えば、パンコーティングおよびWursterコーティング);ならびにLimら、Science(1980)210:908−910に記載されるようなイオン性ゲル化を使用して形成され得る。
【0140】
粒子サイズは、例えば、レーザー光散乱によって、例えば、ヘリウム−ネオンレーザーを組み込む分光光度計を使用して、決定され得る。一般に、粒子サイズは、室温で決定され、そして粒子の直径についての平均値を得るために、問題のサンプルの複数回(例えば、5〜10回)の分析を含む。粒子サイズはまた、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して容易に決定され得る。
【0141】
微小粒子を使用する前に、タンパク質含量(例えば、微小粒子が、この微小粒子に吸着した目的の抗原を含むかまたは有する場合)が決定され得、その結果、適切な免疫応答を誘発するために適切な量の微小粒子が、この被験体に送達され得る。微小粒子のタンパク質含量は、当該分野で公知の方法に従って、例えば、微小粒子を破壊し、そして捕捉されたポリペプチドを抽出することによって、決定され得る。例えば、微小粒子は、例えば、Cohenら、Pharm.Res.(1991)8:713;Eldridgeら、Infect.Immun.(1991)59:2978;およびEldridgeら、J.Controlled Release(1990)11:205に記載されるように、ジメチルクロライドおよび蒸留水中に抽出されたタンパク質中に、溶解され得る。あるいは、微小粒子は、5%(w/v)SDSを含む0.1M NaOH中に分散され得る。このサンプルは、攪拌され、遠心分離され、そしてその上清が、適切なアッセイを使用して特定のポリペプチドについてアッセイされる。例えば、O’Haganら、Int.J.Pharm.(1994)103:37−45を参照のこと。
【0142】
抗原が微小粒子に会合している場合、これらの粒子は、好ましくは、約0.1%〜約40%(w/w)のポリペプチド、より好ましくは約2%〜約25%(w/w)のポリペプチド、そしてなおより好ましくは約3%〜4%から約18%〜20%(w/w)のポリペプチドまでを含み得る。微小粒子におけるポリペプチドのロードは、以下により詳細に議論されるように、所望の用量および処置される状態に依存する。
【0143】
調製後、微小粒子は、さらなる使用のために、そのまま保存され得るか、または凍結乾燥され得る。この微小粒子にdsRNAおよび/または抗原を吸着するために、この微小粒子調製物は、目的のdsRNAおよび/または抗原と単に混合され、そして得られた処方物は、使用前に、再び凍結乾燥され得る。一般に、本発明の目的のために、約10μg〜約10mgのdsRNA、より好ましくは500μg〜5mg、なおより好ましくは100μg〜1mg(例えば、50...40...30...20...10μgなど〜0.5mgのdsRNA)、およびこれらの範囲内の任意の整数が、本明細書中に記載される微小粒子に吸着または捕捉される。
【0144】
調製された微小粒子上に高分子を吸着するための1つの好ましい方法は、国際公開番号WO 00/050006に記載される。簡潔には、微小粒子は、再水和され、そして透析可能なアニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤を使用して、微小粒子の実質的にモノマーの懸濁物へと分散される。有用な界面活性剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:種々のN−メチルグルカミド(MEGAとして公知)(例えば、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−7として公知)、オクタノイル−N-メチルグルカミド(MEGA−8)、ノナノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−9)、およびデカノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−10));コール酸;コール酸ナトリウム;デオキシコール酸;デオキシコール酸ナトリウム;タウロコール酸;タウロコール酸ナトリウム;タウロデオキシコール酸;タウロデオキシコール酸ナトリウム;3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパン−スルホネート(CHAPS);3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパン−スルホネート(CHAPSO);−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパン−スルホネート(ZWITTERGENT 3−12);N,N−ビス−(3−D−グルコンアミドプロピル)−デオキシコールアミド(DEOXY−BIGCHAP);−オクチルグルコシド;スクロースモノラウレート;グリココール酸/グリココール酸ナトリウム;ラウロサルコシン(ナトリウム塩);グリコデオキシコール酸/グリコデオキシコール酸ナトリウム;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);3−(トリメチルシリル)−1−プロパンスルホン酸(DSS);セトリミド(CTAB、その主成分は、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドである);ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド;ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド;ヘキサデシルトリメチル−アンモニウムブロマイド;テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド;ベンジルジメチルドデシルアンモニウムブロマイド;ベンジルジメチル-ヘキサデシルアンモニウムクロライドおよびベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムブロマイド。上記の界面活性剤は、例えば、Sigma Chemical Co.、St.Louis、MOから市販される。当該分野で公知の種々のカチオン性脂質もまた、界面活性剤として使用され得る。Balasubramaniamら、1996、Gene Ther.,3:163−72ならびにGao,X.およびL.Huang.1995,Gene Ther.,2:7110−722を参照のこと。
【0145】
次いで、この微小粒子/界面活性剤混合物は、例えば、セラミックモータおよび乳鉢を使用して、滑らかなスラリーが形成されるまで、物理的に粉末化される。次いで、適切な水性緩衝液(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)またはTris緩衝化生理食塩水)が添加され、そして得られた混合物を、微小粒子が完全に懸濁されるまで、超音波処理またはホモジナイズする。次いで、目的の高分子(例えば、dsRNAまたは抗原)がこの微小粒子懸濁物に添加され、そしてこのシステムを透析して界面活性剤を除去する。ポリマー微小粒子および界面活性剤システムは、好ましくは、目的の高分子が、その高分子の活性を維持したままで、微小粒子表面に吸着されるように、選択される。表面吸着した高分子を含む、得られた微小粒子は、未結合の高分子を含まないように洗浄され得、そして以下にさらに記載されるように、適切な緩衝液処方物中の懸濁物として保存されるか、または適切な賦形剤と共に凍結乾燥され得る具体的には、荷電した界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤)の存在下で作製される微小粒子は、正味の負の電荷または正味の正の電荷を有する荷電表面を有する微小粒子を生じる。これらの微小粒子は、より多様な分子を吸着し得る。例えば、アニオン性界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)または3−(トリメチルシリル)−1−プロパンスルホン酸(DSS))を用いて作製される微小粒子(すなわち、PLG/SDS微小粒子またはPLG/DSS微小粒子)は、正に荷電した抗原(例えば、タンパク質)を吸着する。同様に、カチオン性界面活性剤(例えば、CTAB)用いて作製される微小粒子(すなわち、PLG/CTAB微小粒子)は、負に荷電した高分子(例えば、dsRNA)を吸着する。
【0146】
微小粒子およびサブミクロンの水中油エマルジョンが一緒に使用される場合、これら2つは、当該分野で周知の技術を使用して合わせられる。例えば、米国特許第6,086,901号を参照のこと。一般に、これらの微小粒子およびサブミクロンの水中油エマルジョンは、単に混合すること、攪拌すること、または振とうすることによって、合わせられ得る。他の技術(例えば、2つの成分の混合物を、小さい開口部(例えば、皮下針)を迅速に通過させること)もまた、アジュバント成分を提供するために使用され得る。合わされる場合、組成物の種々の成分は、広範な比率で存在し得る。例えば、微小粒子およびエマルジョン成分は、代表的に、1:50〜50:1の容量比、好ましくは1:10〜10:1の容量比、より好ましくは約1:3〜3:1の容量比、そして最も好ましくは約1:1の容量比で使用される、しかし、他の比率が、特定の目的のためにはより適切であり得る。
【0147】
本発明の方法および組成物と共に使用するための他の特定の抗原送達システムとしては、カチオン性脂質およびリポソームが挙げられる。種々のカチオン性脂質が当該分野で公知であり、そして本明細書中にて用途を見出す。Balasubramaniamら、(1996)Gene Ther.,3:163−172ならびにGaoおよびHuang(1995)Gene Ther.,2:7110−7122を参照のこと。
【0148】
リポソームによる脂質カプセル化は、一般に、目的の核酸(dsRNAの場合)および/または抗原を安定に結合または捕捉および保持することができるリポソームを使用して、達成される。濃縮dsRNA:脂質調製物の比は、変動し得るが、一般に、約1:10〜1:0.25(例えば、1:5または1:1)またはこれらの範囲内の任意の整数である(dsRNA mg:脂質 μモル)。核酸の送達のためのキャリアとしてのリポソームの使用の概説について、HugおよびSleight,Biochim.Biophys.Acta.(1991)1097:1−17;Straubingerら、Methods of Enzymology(1983),Vol.101,pp.512−527を参照のこと。
【0149】
本発明における使用のためのリポソーム調製物は、一般に、カチオン性の(正に荷電した)調製物である。カチオン性リポソームは、プラスミドDNA(Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1987)84:7413−7416);mRNA(Maloneら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1989)86:6077−6081);および精製された転写因子(Debsら、J.Biol.Chem.(1990)265:10189−10192)の、機能的な形態での細胞内送達を媒介することが示されている。
【0150】
カチオン性リポソームは、容易に入手可能である。例えば、N−[1−2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTMA)リポソームは、GIBCO BRL,Grand Island,NYから、Lipofectinの商標の下で入手可能である(Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1987)84:7413−7416もまた参照のこと)。他の市販の脂質としては、transfectace(DDAB/DOPE)およびDOTAP/DOPE(Boerhinger)が挙げられる。他のカチオン性リポソームは、当該分野で周知の技術を使用して、容易に入手可能な物質から調製され得る。例えば、DOTAP(1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の記載については、Szokaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)75:4194−4198;PCT公開番号WO 90/11092を参照のこと。
【0151】
リポソームは、多層ビヒクル(MLV)、小さい単層ビヒクル(SUV)または大きい単層ビヒクル(LUV)を含み得る。種々のリポソーム−核酸複合体は、当該分野で公知の方法を使用して調製される。例えば、Straubingerら、METHODS OF IMMUNOLOGY(1983),Vol.101,pp.512−527;Szokaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)75:4194-4198;Papahadjopoulosら、Biochim.Biophys.Acta(1975)394:483;Wilsonら、Cell(1979)17:77);DeamerおよびBangham,Biochim.Biophys.Acta (1976)443:629;Ostroら、Biochem.Biophys.Res.Commun.(1977)76:836;Fraleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)76:3348);EnochおよびStrittmatter,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)76:145);Fraleyら、J.Biol.Chem.(1980)255:10431;SzokaおよびPapahadjopoulos,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)75:145;ならびにSchaefer−Ridderら、Science(1982)215:166を参照のこと。
【0152】
さらに、他の特定のシステムおよびポリマーが、抗原送達システムとして使用され得る。例えば、ポリマー(例えば、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、スペルミン、ならびにこれらの分子の結合体)は、目的のdsRNAおよび抗原を送達するために有用である。例えば、遺伝子移入に有用な送達系の概説については、Felgner,P.L.、Advanced Drug Delivery Reviews(1990)5:163−187を参照のこと。
【0153】
上記のように、ISCOMは、本発明の方法および組成物において有用な別の抗原送達系である。本発明での使用のためのISCOMは、当該分野で周知の標準的な技術を使用して生成され、そして例えば、米国特許第4,981,684号、同第5,178,860号、同第5,679,354号および同第6,027,732号;欧州公開番号EPA 109,942;同180,564および同231,039号;Coulterら、(1998)Vaccine 16:1243に記載される。代表的には、用語「ISCOM」は、グリコシド(例えば、トリテルペノイドサポニン(特にQuil A)と疎水性領域を含む抗原との間で形成される免疫原性複合体をいう。例えば、欧州公開番号EPA 109,942および同180,564を参照のこと。この実施形態において、抗原(通常は疎水性領域を有する)または1型インターフェロン誘導因子は、界面活性剤中で可溶化され、そしてこの反応混合物に添加され、それによって、ISCOMは、その中に分子を取り込んで形成される。しかし、所望の疎水性特性を欠く分子は、疎水性アミノ酸、脂肪酸ラジカル、アルキルラジカルなどを有するペプチドとの結合後に、免疫原性複合体中に取り込まれ得る。
【0154】
欧州公開番号EPA 231,039中で説明されるように、所望の分子の存在は、基本的なISCOM構造(マトリックスまたはISCOMATRIXという)を形成するために必須ではない。この構造は、ステロール(例えば、コレステロール)、リン脂質(例えば、ホスファチジルエタノールアミン)およびグリコシド(例えば、Quil A)から形成され得る。従って、目的の分子は、マトリックス中に取り込まれるのではなく、マトリックスの外側に存在し、例えば、静電相互作用によって、マトリックスに吸着される。例えば、高い正の電荷を有するタンパク質は、疎水性力を介してではなく、ISCOM粒子に静電的に結合され得る。サポニンおよびISCOMのより詳細な一般議論、ならびにISCOMを処方する方法について、Barrら、(1998)Adv.Drug Delivery Reviews 32:247−271(1998)を参照のこと。同じ概念が、所望の場合にISCOMを使用してdsRNAを送達するために適用される。
【0155】
より詳細には、古典的ISCOMは、コレステロール、サポニン、リン脂質、および免疫源の組み合わせにより形成される。古典的ISCOM処方物は、代表的に、直径約40nmの粒子であり、所望の分子が、サポニン、コレステロールおよびリン脂質から構成される負に荷電したケージ様の五角形12面体(docdecahedral)構造内に包含されている粒子である(Moreinら、(1984)Nature 308:457)。ISCOMマトリクス組成物は、同様であるが、所望の分子を含まずに形成される。高い正電荷を有する分子は、水素結合ではなく、静電的にISCOM粒子に結合し得る。サポニンおよびISCOMのより詳細な一般的議論、およびISCOMを処方する方法については、Barrら(1998)Adv.Drug Delivery Reviews 32:247〜271(1998)を参照のこと。
【0156】
ISCOMマトリクスは、例えば、可溶化ステロール、グリコシドおよび(必要に応じて)リン脂質を一緒に混合することにより調製され得る。リン脂質が、用いられない場合、二次元構造が形成される。例えば、欧州公報番号EPA231,039を参照のこと。用語「ISCOMマトリクス」とは、三次元構造および二次元構造の両方を言及するために用いられる。用いられるグリコシドは、一般的に、両親媒性特性を示し、かつ分子中に疎水性領域および親水性領域を含むグリコシドである。好ましくは、サポニン(例えば、Quillaja saponaria Molina and Quil A製のサポニン抽出物)が用いられる。他の好ましいサポニンは、Aesculus hippocastanum由来のエーシン(aescine)(Pattら(1960)Arzneimittelforschung 10:273〜275)およびGypsophilla struthium由来のサポアルビン(sapoalbin)(Vochtenら(1968)J.Pharm.Belg.42:213〜226)である。
【0157】
ISCOMを調製するために、グリコシドが、少なくとも必須のミセル形成濃度で用いられる。Quil Aの場合、この濃度は、約0.03重量%である。ISCOMを生成するために用いられるステロールは、動物起源または植物起源のステロール(例えば、コレステロール、ラノステロール、ルミステロール、スティグマステロールおよびシトステロール)として公知であり得る。適切なリン脂質としては、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミンが挙げられる。一般的に、グリコシド(特に、それが、Quil Aである場合):ステロール(特に、それが、コレステロールである場合):リン脂質のモル分率は、1:1:0〜1(それぞれの数字について±20%(好ましくは±10%を超えない))である。これは、Quil A:コレステロールについて約5:1の重量比と等価である。
【0158】
溶解剤がまた、存在し得、そしてそれは、例えば、界面活性剤、尿素、またはグアニジンであり得る。一般的に、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤もしくは両性イオン性界面活性剤またはコール酸ベースの界面活性剤(例えば、デソキシコール酸ナトリウム、コレート、およびCTAB)がこの目的のために用いられ得る。適切な界面活性剤の例としては、オクチルグルコシド、ノニルN−メチルグルカミドまたはデカノイルN−メチルグルカミド、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(例えば、9〜10個のオキシエチレン基を有するポリエチレングリコールp−イソオクチル−フェニルエーテル(商品名TRITON X−100RTMで市販されている)、アシルポリオキシエチレンエステル(例えば、アシルポリオキシエチレンソルビタンエステル(商品名TWEEN20TM、TWEEN80TMなどで市販されている))が挙げられるが、これらに限定されない。溶解剤は、一般的に、限外ろ過、透析、超遠心またはクロマトグラフィーなどによって、ISCOMの形成のために除去されるが、しかし、特定の方法において、この工程は必要ではない(例えば、米国特許第4,981,684号を参照のこと)。
【0159】
一般的に、グリコシド(例えば、QuilA):抗原の重量比は、5:1〜0.5:1の範囲内である。好ましくは、この重量比は、約3:1〜1:1であり、より好ましくは、この比率は、2:1である。
【0160】
上で説明されるように、アジュバント組成物はまた、抗原送達系に加えて、または抗原送達系の替わりのいずれかで免疫刺激分子を含み得る。本発明における使用のための免疫刺激因子は、以下が挙げられるが、これらに限定されない:モノリン脂質A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)(好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM))。MPLは、乳濁液に処方されて、その免疫刺激の影響を増強させ得る。例えば、Ulrichら、Vaccine Adjuvantsにおける「MPLr immunostimulat:adjuvant formulations」:Preparation Methods and Research Protocols(O’Hagan DT編)Human Press Inc.、NJ(2000)pp.273〜282を参照のこと。MPLは、サイトカイン(特に、IL−2およびIFN−γ)の合成および放出を誘導することが示されている。他の有用な免疫刺激分子としては、LPSおよび免疫刺激核酸配列(ISS)(非メチル化CpGモチーフ(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。
【0161】
非メチル化CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドは、B細胞、NK細胞、および抗原提示細胞(APC)(単球およびマクロファージ)の活性化を誘導することが示されている。例えば、米国特許第6,207,646号を参照のこと。従って、CpGファミリーの分子由来のアジュバント、CpGジヌクレオチドおよびCpGモチーフを含む合成オリゴヌクレオチド(例えば、Kriegら、Nature(1995)374:546およびDavisら、J.Immunol.(1998)160:870〜876を参照のこと)(例えば、米国特許第6,207,646号に開示される種々の免疫刺激CpGオリゴヌクレオチドのいずれか)は、目的の方法および組成物において用いられ得る。そのようなCpGオリゴヌクレオチドは、一般的に、少なくとも8〜約100までの塩基対、好ましくは8〜40塩基対、より好ましくは、15〜35塩基対、好ましくは15〜25塩基対、そしてこれらの値の間の任意の数の塩基対を含む。例えば、例えば、式5’−XCGX−3’(ここでXおよびXは、ヌクレオチドであり、そしてCは、メチル化されていない)により示されるコンセンサスCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドは、免疫刺激CpG分子としての使用が見出される。一般的に、Xは、A、GまたはTであり、そしてXは、CまたはTである。他の有用なCpG分子としては、式5’−XCGX(ここで、XおよびXは、GpT、GpG、GpA、ApA、ApT、ApG、CpT、CpA、CpG、TpA、TpTまたはTpGのような配列であり、XおよびXは、TpT、CpT、ApT、ApG、CpG、TpC、ApC、CpC、TpA、ApA、GpT、CpA、またはTpGであり、ここで「p」は、リン酸結合を示す)により表現される分子が挙げられる。好ましくは、これらのオリゴヌクレオチドは、5’末端および/または3’末端にかまたはそれらの近傍にGCG配列を含まない。さらに、CpGは、好ましくは、その5’末端で2つのプリン(好ましくは、GpAジヌクレオチド)と、または1つのプリンおよび1つのピリミジン(好ましくはGpT)と隣接し、そしてその3’末端で、2つのピリミジン(好ましくはTpTまたはTpCジヌクレオチド)と隣接する。従って、好ましい分子は、配列GACGTT、GACGTC、GTCGTTまたはGTCGCTを含み、そしてこれらの配列は、複数の追加のヌクレオチドに隣接する。この中央の核領域の外側のヌクレオチドは、非常に修正され易く、変化するように見える。
【0162】
さらに、本明細書中で使用するためのCpGオリゴヌクレオチドは、二本鎖でも一本鎖でもよい。二本鎖分子は、インビボで、より安定であり、一方で、一本鎖分子は、増強された免疫活性を示す。さらに、ホスフェート骨格が、改変(例えば、ホスホロジチオエート改変)されて、CpG分子の免疫刺激活性を増強し得る。米国特許第6,207,646号に記載されるように、ホスホロチオエート骨格を有するCpG分子は、B細胞を優先的に活性化し、一方で、ホスホジエステル骨格を有するCpG分子は、単球類(マクロファージ、樹状細胞および単球)およびNK細胞を優先的に活性化する。
【0163】
本発明の組成物において使用するための1つの例示的なCpGオリゴヌクレオチドは、配列5’−TCCATGACGTTCCTGACGTT−3’(配列番号3)を有する。
【0164】
CpG分子は、当該分野において周知の標準的な技術を用いて、それらが免疫応答を刺激する能力について容易に試験され得る。例えば、この分子が、体液性免疫応答および/細胞性免疫応答を刺激する能力は、上記のイムノアッセイを用いて容易に決定される。さらに、抗原およびアジュバントの組成物は、CpG分子を伴い、そしてCpGを伴わずに投与されて、免疫応答が増強されたか否かを決定し得る。
【0165】
使用される場合、CpGオリゴヌクレオチドは、抗原および/またはアジュバントの組成物の送達の前にか、同時にか、またはその後のいずれかに投与され得る。抗原および/またはアジュバントの組成物での免疫の前に投与される場合、CpGオリゴヌクレオチドは、免疫の5〜10日程度前、好ましくは、免疫の3〜5日前、最も好ましくは、免疫の1〜3または2日前に投与され得る。別個に投与される場合、CpGオリゴヌクレオチドは、抗原およびアジュバントの組成物と同じ送達部位または異なる送達部位のいずれかに送達され得る。刺激送達が所望される場合、CpGオリゴヌクレオチドが、抗原および/またはアジュバントの組成物に含まれ得る。一般的に、1用量あたり、約0.5μg〜1000μgのCpGアジュバント組成物が用いられ、より一般的には、0.5μgから約500μg、好ましくは、1〜約100μg、好ましくは、約5〜約50μg、好ましくは、約5〜約30μg、またはこれらの範囲内の任意の量のCpGオリゴヌクレオチドが、本発明の方法において使用されることが見出される。
【0166】
上で説明されるように、一旦、アジュバント組成物が処方されると、それは、抗原の送達の前にか、同時にか、またはその後のいずれかに、脊椎動物被験体に投与され得る。抗原での免疫の前に投与される場合、アジュバント組成物は、免疫の5〜10日程度前、好ましくは、免疫の3〜5日前、最も好ましくは、免疫の1〜3または2日前に目的の抗原とともに投与され得る。別個に投与される場合、アジュバント処方物は、抗原組成物と同じ送達部位または異なる送達部位のいずれかに送達され得る。さらに、抗原が、別個に投与される場合、それは、一般的に、1つ以上の「薬学的に受容可能な賦形剤またはビヒクル」(例えば、水、生理食塩水、グリセロール、エタノールなど)を含むワクチン組成物中で投与される。さらに、補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質など)がそのようなビヒクル内に存在し得る。さらに、このワクチン組成物は、下記のような、キャリア、追加のアジュバント、追加の免疫刺激因子などを含み得る。送達はまた、下記の通りである。
【0167】
同時送達が、所望される場合、抗原が、アジュバント組成物とともに含まれ得る。一般的に、これらの抗原およびアジュバントは、単純な混合、撹拌、または振盪によって混合され得る。他の技術(例えば、2つの成分の混合物を小さな開口部を通過させること(例えば、皮下注射針))もまた、ワクチン組成物を提供するために用いられ得る。
【0168】
混合される場合、この組成物の種々の成分が、広範な範囲の比率で存在し得る。例えば、抗原および乳濁液の組成物は、代表的に、1:50〜50:1、好ましくは、1:10〜10:1、より好ましくは、約1:3〜3:1、最も好ましくは約1:1の容量比で用いられる。しかし、他の比率が、特定の目的(例えば、特定の抗原が低い免疫原性を有する場合であり、この場合、より高い相対的量の抗原成分が必要とされる)のためにより適切であり得る。
【0169】
さらに、これらの組成物は、1つ以上の抗原(例えば、1より多いウイルス単離物由来の抗原、および追加のウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、寄生生物抗原など)の混合物を含み得る。これらの組成物はまた、他の抗原および免疫調節因子(例えば、免疫グロブリン、サイトカイン、リンホカイン、およびケモカイン)と共に投与され得、その免疫調節因子としては、IL−2、改変IL−2(cys125→ser125)、GM−CSF、IL−12、γ−インターフェロン、IP−10、MIP1β、リバビリン、およびRANTESのようなサイトカインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
これらの組成物は、1つ以上の「薬学的に受容可能な賦形剤またはビヒクル」(例えば、水、生理食塩水、グリセロール、エタノールなど)を含み得る。さらに、補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質など)が、そのようなビヒクル中に存在し得る。
【0171】
キャリアが、必要に応じて存在し、このキャリアは、それ自体、その組成物を受容した個体に有害な抗体の産生を誘導しない分子である。適切なキャリアは、代表的には、大きく、徐々に代謝される高分子(例えば、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集物(例えば、油滴またはリポソーム)、および不活性ウイルス粒子)である。このようなキャリアは、当業者に周知である。さらに、この抗原は、細菌毒素(例えば、ジフテリア、破傷風、コレラなどに由来する毒素)に結合体化され得る。
【0172】
さらなるアジュバントがまた存在し得る(例えば、以下であるが、これらに限定されない:(1)アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなど);(2)水中油乳濁液処方物(ムラミルペプチド(以下を参照のこと)または細菌細胞壁成分のような他の特異的免疫刺激因子を有するかまたは有さない)(例えば、(a)マイクロフルイダイザー(例えば、Model 110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics、Newton、MA))を用いてサブミクロン粒子へと処方される5%のSqualene、0.5%TWEEN80TM、および0.5%SPAN85TMを含む(必須ではないが、必要に応じて種々の量のMTP−PE(以下を参照のこと)を含む)、MF59(国際公開番号WO90/14837;Vaccin design:the subunit and adjuvant approach(PowellおよびNewman編、Plenum Press 1995)の第10章、(b)10%Squalane、0.4%TWEEN80TM、5%プルロニック(pluronic)ブロックポリマーL121、およびサブミクロン乳濁液にマイクロフルイダイズされるかまたはより大きな粒子サイズの乳濁液を作製するようにボルテックスされたかのいずれかのthr−MDPを含む、SAF、ならびに(c)2%Squalene、0.2%TWEEN80TM、および以下:モノリン脂質A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)(好ましくは、MPL+CWS(DETOXTM))からなる群、からの細菌細胞壁成分の1つ以上を含む、RIBITMアジュバント系(RAS))(Ribi Immunochem、Hamilton、MT);(3)QS21またはSTIMULONTM(Cambridge Bioscience、Worcester、MA)のようなサポニンアジュバント、あるいはこれらから生成された粒子(例えば、ISCOM(免疫刺激複合体))がまた用いられ得、このISCOMは、さらなる界面活性剤を欠き得る(例えば、国際公開番号WO 00/07621を参照のこと);(4)フロイント完全アジュバント(CFA)およびフロイント不完全アジュバント(IFA);(5)インターロイキン(IL-1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12(国際公開番号WO99/44636)など)、インターフェロン(例えば、γインターフェロン)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、などのようなサイトカイン;(6)コレラトキシン(CT)、百日咳毒素(PT)、またはE.coli熱不安定性トキシン(LT)のような細菌ADPリボシル化トキシンの弱毒化変異体、特に、LT−K63(ここで、リジンが、63位で、野生型アミノ酸と置換されている)、LT−R72(ここで、アルギニンが、72位で、野生型アミノ酸と置換されている)、CT−S109(ここで、セリンが、109位で、野生型アミノ酸と置換されている)、およびPT−K9/G129(ここで、リジンが、9位で、野生型アミノ酸と置換され、グリシンが、129位で野生型アミノ酸と置換されている)(例えば、国際公開番号WO93/13202およびWO92/19265を参照のこと);(7)肺炎球菌糖と共に用いる場合、必要に応じて実質的にミョウバンの非存在下での(例えば、国際公開番号WO00/56358を参照のこと)、MPLまたは3−O−デアシル化MPL(3dMPL)(例えば、英国特許第2220221号を参照のこと)、欧州特許出願番号0689454;(8)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油乳濁液との組み合わせ(例えば、欧州特許出願番号0835318、欧州特許出願番号0735898、欧州特許出願番号0761231を参照のこと);(9)CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド(例えば、Romanら、(1997)Nat.Med.3:849〜854;Weinerら、(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:10833〜10837;Davisら(1998)J.Immunol.160:870〜876;Chuら、(1997)J.Exp.Med.186:1623〜1631;Lipfordら、(1997)Eur.J.Immunol.27:2340〜2344;Moldoveanuら、(1988)Vaccine 16:1216〜1224;Kriegら、(1995)Nature 374:546〜549;Klinmanら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:2879〜2883;Ballasら、(1996)J.Immunol.157:1840〜1845;Cowderyら、(1996)J.Immunol.156:4570〜4575;Halpernら、(1996)Cell Immunol.167:72〜78;Yamamotoら、(1988)Jpn.J.Cancer Res.79:866〜873;Staceyら、(1996)J.Immunol.157:2116〜2122;Messinaら、(1991)J.Immunol.147:1759〜1764;Yiら、(1996)J.Immunol.157:4918〜4925;Yiら、(1996)J.Immunol.157:5394〜5402;Yiら、(1998)J.Immunol.160:4755〜4761;Yiら、(1998)J.Immunol.160:5898〜5906;国際公開番号WO96/02555、WO98/16247、WO98/18810、WO98/40100、WO98/55495、WO98/37919およびWO98/52581を参照のこと)(例えば、少なくともCGジヌクレオチド上で、シトシンが、必要に応じて5−メチルシトシンと置換されている、オリゴヌクレオチド);(10)ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル(例えば、国際公開番号WO99/52549を参照のこと);(11)オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(例えば、国際公開番号WO01/21207を参照のこと)または少なくとも1つの追加の非イオン性界面活性剤(例えば、オクトキシノール)と組み合わせたポリオキエチレンアルキルエーテル界面活性剤またはポリオキエチレンアルキルエステル界面活性剤(例えば、国際公開番号WO01/21152);(12)サポニンおよび免疫刺激オリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)(例えば、国際公開番号WO00/62800を参照のこと);(13)免疫刺激剤および金属塩の粒子(例えば、国際公開番号WO00/23105を参照のこと);ならびに(14)組成物の効果を増強するような免疫刺激因子として作用する他の物質)。
【0173】
ムラミルペプチドとしては、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(isoglutme)(nor−MDP)、−アセチルムラミル−L−アラニル-D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0174】
代表的には、これらの組成物は、注射可能物質として、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製され;注射前に液体ビヒクル中に溶解、または懸濁するのに適する固体形態もまた、調製され得る。
【0175】
これらの組成物は、治療有効量の抗原、および必要とされる場合、上記の任意の他の成分を含む。「治療有効量」により、免疫学的応答を誘導する抗原の量が意味される。予防が所望される場合、好ましくは、それが投与される個体における保護免疫応答が誘発される。そのような応答は、一般的に、被験体における、ワクチンに対する分泌性免疫応答、細胞性免疫応答および/または抗体媒介免疫応答の発生を生じる。通常、そのような応答はとしては、以下の効果のうち1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない;任意の免疫学的クラス由来の抗体(例えば、免疫グロブリンA、免疫グロブリンD、免疫グロブリンE、免疫グロブリンG、または免疫グロブリンM)の産生;Bリンパ球およびTリンパ球の増殖;免疫学的細胞に対する活性化シグナル、増殖シグナル、および分化シグナルの供給;ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、および/または細胞傷害性T細胞および/またはγδT細胞の集団の拡張。
【0176】
一旦、処方されると、これらの組成物は、慣用的に、非経口的に(例えば、静脈内、皮下または筋内のいずれかの注射により)投与される。他の投与様式に適するさらなる処方物としては、経口処方物および肺処方物、坐剤、および経皮適用が挙げられる。投薬処置は、単回用量スケジュールでも複数回用量スケジュールでもよい。好ましくは、有効量は、疾患の症状の処置または予防を生じるのに十分である。正確な必要量は、数ある要素の中でも、処置される被験体;処置される個体の年齢および一般的な条件;個体の免疫系が抗体を合成する能力;所望される保護の程度;処置される状態の重篤度;選択される特定の抗原およびその投与様式に依存して変化する。適切な有効量は、当業者により容易に決定され得る。「治療有効量」は、当該分野において公知のインビトロおよびインビボでのモデルを用いる通常の試験を介して決定され得る相対的に広い範囲となる。以下の実施例において用いられるHCV抗原およびHIV抗原の量は、特定の抗原に対して指向される抗体の誘発を最適化するために用いられ得る一般的な指針を提供する。
【0177】
例えば、好ましくは、抗原は、霊長類(例えば、ヒヒ、チンパンジーまたはヒト)のような大型哺乳動物に対して、単回用量あたり約0.1μg〜約5.0mgの用量でか、または示された範囲内の任意の量(例えば、単回用量あたり、0.5μg〜約1.0mg、1μg〜約500μg、2.5μg〜約250μg、4μg〜約200μg(例えば、2、4、5、6、7、8、10...20...30...40...50...60...70...80...90...100μgなど))で筋内に注射される。
【0178】
抗原の投与は、哺乳動物において抗体力価を誘発し得、この抗体力価は、少なくとも1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、1年間、またはそれより長くにわたり残る。必要に応じて、抗体力価は、最初の注射の、2週間後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、1年後、またはそれより後に、1回以上の抗原のブースター注射を提供することにより、哺乳動物において維持され得る。
【0179】
好ましくは、抗原は、標準的なイムノアッセイ(例えば、以下の実施例において記載されるイムノアッセイ)を用いて決定される際の、少なくとも100、150、175、200、300、400、500、750、1,000、1,500、2,000、3,000、4,000、5,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000(ゲノム平均力価)もしくはそれより高いか、または示した力価の間の任意の数の抗体力価を誘発する。
【0180】
(発明の実施に有用な株の寄託)
以下の株の生物学的純粋な培養物の寄託を、the American Type Culture Collection(10801 University Boulevard、Manassas、VA)に行った。示される登録番号が、好首尾な生存力試験の後、割り当てられ、そして必須の料金が支払われ、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約(ブタペスト条約)の規定の下でなされた。これは、寄託の日から30年間の期間にわたる、生存可能な培養物の保持を保障する。これらの生物は、Butapest条約の合意の下で、ATCCにより利用可能になり、このことは、米国特許庁長官により、米国特許法122条およびそれに準ずる長官規則(886OG638を特に援用する37C.F.R.§1.12を含む)に従い権利を与えられたと決定されたものに対する子孫の恒久的かつ無制限の利用可能性を保障する。特許化の際、寄託された培養物の公共に対する入手可能性の全ての制限が撤回不能に取り除かれる。
【0181】
これらの寄託物は、単に当業者の簡便のために提供され、寄託が米国特許法122条の下で必要とされている認可ではない。これらの遺伝子の核酸配列、およびそれによりコードされる分子のアミノ酸配列は、本明細書中の記載と矛盾する場合、これを支配する。寄託された物質を作製、使用または譲渡するために、ライセンスが必要とされ得、そのようなライセンスは、ここでは、許可されない。
プラスミド 寄託の日 ATCC番号
E1E2−809 2001年8月16日 PTA−3643
(III.実験)
以下は、本発明を実施するための特定の実施形態の例である。本実施例は、例示目的のみのために提供され、そして本発明の範囲をいずれにも限定することは意図されない。
【0182】
使用した数値(例えば、量、温度など)に関して精度を確実にするための努力がなされたが、いくらかの実験誤差および偏差は、当然許容されるべきである。
【実施例】
【0183】
(実施例1)
(HCV E1E2の産生)
本発明のワクチン組成物における使用のためのHCV E1E2複合体を、以下のように融合タンパク質として調製した。特に、哺乳動物発現プラスミドpMH−E1E2−809(図2、ATCC寄託番号PTA−3643)は、HCV1aのアミノ酸192〜809を含むE1E2融合タンパク質をコードする(Chooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451−2455を参照のこと)。
【0184】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、pMH−E1E2−809由来のHCV E1E2配列の発現のために使用した。特に、CHO DG44細胞を、使用した。Uraubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1980)77:4216−4220によって記載されるこれらの細胞は、CHO K−1由来であり、そしてジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子における二重欠失によってdhfr欠損にされた。
【0185】
DG44細胞を、pMH−E1E2−809でトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、dhfr遺伝子を発現する細胞のみが増殖し得るように選択培地中で増殖した(Sambrookら、上述)。単離されたCHOコロニーを、96ウェルプレートの各ウェルに拾って(約800コロニー)入れた。元々の96ウェルプレートから、複製を発現実験を実施するために作製した。複製プレートを、細胞がコンフルエントな1つの層を作るまで増殖させた。細胞を、プレートのウェルに固定し、冷メタノールを使用して透過性にした。抗E1抗体および抗E2抗体(それぞれ、3D5C3および3E5−1)を、固定された細胞をプローブするために使用した。抗マウスHRP結合体、続く基質の添加後、最大の発現を有する細胞株を、決定した。次いで、最大に発現する細胞株を、24ウェルクラスタープレートへと増殖した。発現についてのアッセイを、繰り返し、再び、最大発現の細胞株を、より大きな容量のウェルに増殖した。これを、最大発現の細胞株が、6ウェルプレートから組織培養フラスコで増殖されるまで繰り返した。この時点で、細胞の正確な計数および回収を可能にするのに十分な細胞の量が存在し、そして定量的発現アッセイを実施した。ELISAを、細胞抽出物に対して実施し、高い発現体を決定した。
【0186】
(実施例2)
(HCV E1E2の精製)
発現の後、CHO細胞を溶解し、細胞内で産生されたE1E2809を、GNAレクチンアフィニティークロマトグラフィー(GNA工程)、その後の、ヒドロキシアパタイト(HAP)カラムクロマトグラフィー(HAP工程)、DV50膜濾過(DV50工程)、SP Sepharose HPカラムクロマトグラフィー(SP工程)、Q膜濾過(Q工程)およびG25 Sephadexカラムクロマトグラフィー(G25工程)によって精製した。処理工程の各終了時に、生成物プールを、0.2μmで濾過し、2〜8℃で保存するかまたは次の精製工程によって即座に処理するかのいずれかであった。精製処理の完了時に、抗原を、0.2μm濾過し、処方物に対して濾過するまで−60℃以下で凍結して維持した。
【0187】
具体的には、細胞を溶解するために、2容量の冷蔵溶解緩衝液(100mM Tris(pH8)中の1% Triton X−100、および1mM EDTA)を2〜8℃で、CHO細胞に添加した。混合物を、2〜8℃、5000rpmで45分間遠心分離し、破片を除去した。上清を回収し、Sartorias 0.65μm Sertopureプレフィルター(Sartorius)、次いで、Sartoriaの0.65μm Sertofineプレフィルター、続いて、Sertorious 0.45μm Sartobranフィルター、0.2μm Sartobranフィルターを通して濾過した。濾過された溶解物を、GNAカラムにロードする前に氷上に維持した。
【0188】
GNAアガロースカラム(1885ml、200×600、Vector Labs,Burlingame,CA)を、ロードの前に8カラム容量の平衡化緩衝液(25mM NaPO、1.0M NaCl、12% Triton X−100、pH6.8)で前平衡化した。溶解物を、31.4ml/分(6cm/時間)で一晩、カラムにアプライした。カラムを、4ベッド容量の平衡化緩衝液で洗浄し、次いで、5ベッド容量の10mM NaPO、80mM NaCl、0.1% Triton X−100、pH6.8で再度洗浄した。生成物を、1M メチルα−D−マンノシルピラノシド(MMP)、10mM NaPO、80mM NaCl、0.1% Triton X−100、pH6.8で溶出した。約1カラム容量の溶出ピークを回収し、0.2μmのフィルターで濾過し、そしてHAPクロマトグラフィーのために−60℃以下で保存した。
【0189】
HAPクロマトグラフィーを室温で実施した。1200ml(100×150mm)のI型セラミックヒドロキシアパタイトカラムを、1カラム容量の0.4M NaPO、pH6.8でコンディショニングし、次いで、10カラム容積以下の10mM NaPO、80mM NaCl、0.1% Triton X−100、pH6.8で平衡化した。4つのロットのGNA溶出プールを、30℃未満の循環水浴で解凍し、0.2μm濾過し、そして平衡化されたカラム上に131ml/分(100cm/時間)でロードした。HAP平衡化緩衝液を、ロード後の追跡緩衝液としてアプライした。フロースルーは、UVがこれらのベースラインを上昇する場合、収集された。生成物回収を、生成物プール体積がロード体積およびカラム容量の75%の体積に到達した場合、停止した。HAPフロースループールを、さらにDV50ウイルス減少濾過によってさらに処理した。
【0190】
DV50濾過を、室温で実施した。DV50ロードを、HAPプールを2倍に希釈し、そして0.15% Triton X−100、1mM EDTA、pH5.3に調節することによって調製した。希釈および調節を、希釈緩衝液−1(3mMクエン酸、2mM EDTA、0.2% Triton X−100)を添加し、生成物プールのpHを5.3に調節し、続いて、希釈緩衝液−2(2mM EDTA、0.2% Triton X−100、pH5.3)の添加によって、最終体積を元のHAPプール容量の2倍にした。
【0191】
希釈かつ調節されたHAPプール(DV50ロード)を、10インチのPall Ultipor VF DV50膜カートリッジ(Pall)を通して濾過した。フィルターハウジングを、フィルターカートリッジを用いて組み立て、水で予備湿潤化し、そして使用前に123℃で60分間オートクレーブすることによって滅菌し、ゆっくりと排気した。次いで、フィルターを、SP平衡化緩衝液(10mM クエン酸ナトリウム、1mM EDTA、0.15% Triton X−100、pH5.3)で予備湿潤化し、排水し、その後、45psi以下の圧力でDV50ロードを適用した。DV50ロードを、約800ml/分の流速で、約30psiの膜内外圧で適用した。濾液を回収し、2〜8℃で一晩保存し、そしてSP工程で使用した。
【0192】
SPクロマトグラフィーを、室内で室温で実施した。88ml(50×45mm)のSP Sepharose HPカラム(Pharmacia,Peapack,NJ)を、15カラム容量の平衡化緩衝液(10mM クエン酸ナトリウム、1mM EDTA、0.15% Triton X−100、pH5.3)で平衡化した。DV50濾液を、カラムにアプライした。カラムを、まず、5カラム容量の平衡化緩衝液、続いて20カラム容量の洗浄緩衝液(10mM クエン酸ナトリウム、15mM NaCl、1mM EDTA、0.1% TWEEN 80TM、pH6.0を含む)で洗浄した。生成物を、10mM クエン酸ナトリウム、180mM NaCl、1mM EDTA、0.1% TWEEN 80TM、pH6.0を用いてカラムから溶出した。全280nm吸収ピークを、生成物ピークとして回収した。生成物プールを、2〜8℃で一晩保存し、Q膜濾過工程において使用した。
【0193】
Q膜濾過工程を、室温で実施した。2つの滅菌Sartorious Q100X円板膜を、直列に連結した。膜を、300ml以上のQ平衡化緩衝液(10mM クエン酸ナトリウム、180mM NaCl、1mM EDTA、0.1% TWEEN 80TM、pH6.0)で平衡化した。全SP溶出プールを、30〜100ml/分の流速で平衡化Q膜を通して濾過し、その後、40mlのQ平衡化緩衝液でフラッシュした。濾液およびフラッシュ液を、回収し、そして生成物プールとしてあわせ、そしてG25工程において使用した。
【0194】
G25工程を、室温で実施した。1115−ml(100×142mm)Parmacia Sephadex G−25カラム(Pharmacia,Peapack,NJ)を5カラム容量以上の処方緩衝液(10mM クエン酸ナトリウム、270mM NaCl、1mM EDTA、0.1% TWEEN 80TM、pH6.0)で平衡化した。Q濾液プールを、カラムにアプライし、カラムフロースルーを回収し、0.22μmフィルター(Millipore)を通して濾過し、使用まで−60℃以下で凍結保存した。
【0195】
(実施例3)
(dsRNAアジュバント組成物およびHCV抗原の使用)
上記のように産生かつ精製されたHCV E1E2809の免疫原性を、代表的な送達系と組み合わせてdsRNAが増強する能力を、以下のように決定した。
【0196】
本研究において使用される処方物を、表3に要約する。MF59(4〜5%w/vスクアレン、0.5%w/v TWEEN 80TM、0.5% SPAN85TMを含む、代表的なサブミクロン水中油エマルジョン)を以前に記載されるように生成した。国際公開番号WO90/14837;米国特許第6,299,884号;およびVaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.およびNewman,M.J.編)Plenum Press,New York,1995,277頁−296頁のOttら、「MF59−−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant for Human Vaccines」を参照のこと。
【0197】
これらの研究において使用されるdsRNAは、ポリ[rI−rC]であり、Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO)から入手可能である。dsRNAは、RNaseを含まない蒸留水中で再構成され、室温で上記成分に添加される。
【0198】
使用されるCpG分子は、5’−TCCATGACGTTCCTGACGTT−3’(配列番号3)であった。
【0199】
全ての群において使用される処方物は、上記されるように産生される、1用量当たり2.0μgのHCV E1E2809抗原を含んだ。
【0200】
Balb/Cマウスを、5つの群(1群当たり10匹のマウス)に分割し、表3に特定される成分を含むワクチン組成物を筋内的に投与される。動物を、最初の注射の30日後および90日後にブーストした。血清を、最後の注射の14日後に回収し、抗E1E2抗体力価および抗E2抗体力価を、Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011に記載されるように酵素免疫アッセイによって決定した。
【0201】
結果を、表3および図3に示す。理解され得るように、アジュバントとしてのMF59と合わせたdsRNAを使用して、HCV E1E2で免疫されたマウスは、dsRNAのみ、CpG1のみ、またはMF59のみをアジュバントとして使用してE1E2で免疫したマウスよりも有意により高い(P<0.05)レベルのE1E2抗体を産生した。さらに、抗体力価は、dsRNA+MF59群において、dsRNAを含まないCpG+MF59を投与された動物の群においてより高かった。
【0202】
(表3.アジュバントとしてdsRNAおよびMF59を使用するHCV E1E2809の免疫原性)
【0203】
【表3】

(実施例4)
(dsRNAアジュバント組成物およびHIV抗原の使用)
HIV抗原の免疫原性を、代表的な送達系と組み合わせてdsRNAが増強する能力を、以下のように決定した。
【0204】
4A.HIVgp120の免疫原性を、種々の送達系と組み合わせてdsRNAが増強する能力を試験するために、以下の実験を実施した。
【0205】
本研究において使用される処方物を、表4に要約する。MF59、CpG1およびdsRNAは、上記される通りである。
【0206】
HIVgp120を、以前に記載される技術を使用して産生した。例えば、改変されたgp120配列を産生するための方法を記載する、国際公開番号WO00/39302を参照のこと。
【0207】
PLG/CTAB(別の代表的な送達系)は、セトリミド(cetrimide)(CTAB)で処理され、dsRNAの吸収を増大されたポリ(d,l−ラクチド−co−グリコリド)(PLG)微小粒子である。PLGポリマーは、Boehringer Ingelheimから得られた。使用されるPLGポリマーは、RG505であり、これは、50/50のコポリマー比および65kDaの分子量を有する。PLG/CTAB微小粒子を、Singhら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)97:811−816に記載されるように生成した。簡潔には、カチオン性微小粒子を、改変された溶媒蒸発処理を使用して生成した。10mlの5%(wt/vol)のポリマー溶液を、Ikaホモジナイザー(Ika−Werk Instruments,Cincinnati,OH)を使用して高速で1ml PBSを含む塩化メチレン中で乳化した。次いで、一次エマルジョンを、CTABを含む50mlの蒸留水(0.5%wt/vol)に添加した。これは、室温で6000rpmで12時間攪拌された水/油/水エマルジョンを形成し、塩化メチレンが蒸発することを可能にする。得られた微小粒子を、10,000gで遠心分離することによって、蒸留水で2回洗浄しそして凍結乾燥した。使用の 前に、4℃で6時間、dsRNAの0.2mg/ml溶液(5ml)中で100mgの微小粒子をインキュベートすることによって、dsRNAを、微小粒子に吸着させた。
【0208】
PLG/DSSは、抗原の吸着を増強するために3−(トリメチルシリル)−1−プロパ ンスルホン酸(DSS)で処理されたPLG微小粒子である。吸着されたgp120抗原 を有するPLG/DSS微小粒子を、CTABの代わりにDSSを用いて上記のように生 成した。DSSは、例えば、Sigma Chemical Co.,St.Louis,MOから市販されている。
【0209】
全ての群について使用される処方物は、1回用量当たり10μgのHIV gp120抗原を含んだ。PLG/DSS/gp120微小粒子を、示されたアジュバントを含むかまたは含まないdsRNS/PLG/CTAB微小粒子と混合し、そして免疫の前にボルテックスした。
【0210】
Balb/Cマウスを、6つの群(1群当たり10匹のマウス)に分割し、これらのマウスに、表4に特定される成分を含むワクチン組成物を筋内的に投与した。動物を、最初の注射の30日後および90日後にブーストした。血清を、最後の投与の14日後に回収し、抗gp120抗体の力価を、O’Haganら、J.Virol.(2001)75:9037−9043に記載される酵素免疫アッセイによって決定した。
【0211】
結果を、表4に示す。理解され得るように、アジュバントとしてのMF59と合わせたdsRNAを使用して、HIV gp120で免疫したマウスは、dsRNAのみ、CpG1のみ、またはMF59のみをアジュバントとして使用してgp120で免疫したマウスよりも有意により高い(P<0.05)レベルのgp120抗体を産生した。さらに、抗体力価は、PLG/CTAB微小粒子に吸着されたdsRNAを投与されたマウスの群において、dsRNAのみを投与された動物の群においてより高かった。
【0212】
(表4.アジュバントとしてdsRNAおよびMF59またはPLG/CTABを使用するHIV gp120の免疫原性)
【0213】
【表4】

4B.HIVp55gagの免疫原性を、種々の送達系と組み合わせてdsRNAが増強する能力を試験するために、以下の実験を実施した。
【0214】
本研究において使用される処方物を、表5に要約する。MF59、CpG1、PLG/DSSおよびdsRNAは、上記される通りである。
【0215】
HIVp55gagを、以前に記載されるように産生した。例えば、改変されたp55gag配列を産生するための方法を記載する、国際公開番号WO00/39302を参照のこと。PLG/DSS/p55gag微小粒子を、gp20の代わりにp55gagを用いて上記されるように生成した。
【0216】
全ての群について使用される処方物は、1回用量当たり10μgのHIV p55gag抗原を含んだ。
【0217】
Balb/Cマウスを、5つの群(1群当たり10匹のマウス)に分割し、これらのマウスに、表5に特定される成分を含むワクチン組成物を筋内的に投与した。動物を、最初の注射の30日後および90日後にブーストした。血清を、最後の投与の14日後に回収し、抗p55gag抗体の力価を、Kazzazら、J.Cont.Del.(2000)67:347−356に記載される酵素免疫アッセイによって決定した。
【0218】
結果を、表5および図4に示す。理解され得るように、MF59を含むかまたは含まないCpG1と合わせたdsRNAを使用して、HIV p55gagで免疫したマウスおよびMF59と合わせたdsRNAで免疫したマウスは、dsRNAのみを使用してp55gagで免疫したマウスよりも有意により高い(P<0.05)レベルのP55gag抗体を産生した。
【0219】
(表5.アジュバントとしてdsRNAおよびMF59を使用するHIV p55gagの免疫原性)
【0220】
【表5】

(実施例5)
(dsRNAアジュバント組成物およびMeningococcal抗原の使用)
Meningococcal抗原の免疫原性を、代表的な送達系と組み合わせてdsRNAが増強する能力を、以下のように決定した。
【0221】
5A.本研究において使用される処方物を、表6および7に要約する。PLG/CTAB、PLG/DSS、CpG1、MF59、およびdsRNAは、上記される通りである。さらに、いくつかの群(表に示されるように)について、CpG1を、微小粒子に吸着した。
【0222】
使用されるMeningococcal抗原は、Meningococcal B(Men B)タンパク質287および961であった。これらのタンパク質は、国際公開番号WO99/57280に記載される。所定の各抗原の用量は、1免疫当たり20μgであった。これらの抗原はまた、上記のプロトコルを使用して、PLG/DSS微小粒子に吸着された。
【0223】
Balb/Cマウスを、10個の群(1群当たり10匹のマウス)に分割し、これらのマウスに、表6および7に特定される成分を含むワクチン組成物を筋内的に投与した。動物を、最初の注射の21日後および35日後にブーストした。血清を、第2の投与の14日後(第2のブーストと同時に)、および最後のブーストの14日後に回収し、抗287抗体および抗961抗体の力価を、酵素免疫アッセイによって決定した。明記された力価は、所定の逆数血清希釈および450nmでのO.D.0.5を示す。
【0224】
結果を、表6および7に示す。理解され得るように、PLG/dsRNAを使用してPLG/MenB961で免疫したマウスは、PLG/MenB961のみで免疫したマウスよりも有意により高いレベルの抗961抗体を産生した。さらに、抗961抗体力価は、PLG/dsRNAおよびPLG/287およびPLG/961を投与されたマウスの群において、dsRNAを含まないPLG/287およびPLG/961のみを投与された動物の群においてより有意に高かった。
【0225】
(表6.種々のアジュバントを使用するMenB961の免疫原性)
【0226】
【表6】

(表7.種々のアジュバントを使用するMenB961+MenB287の免疫原性)
【0227】
【表7】

5B。この研究で使用する処方物を、表8にまとめる。MenB 961および287タンパク質、MF59およびdsRNAは、上記の通りである。さらに、この群のいくつか(表に示されるような)について、ミョウバンおよび完全フロイントアジュバント(CFA)を、この処方物に使用した。これらの処方物のいずれも、PLGを含まなかった。
【0228】
Balb/Cマウスを、5つの群に分け、そして上記のように、表8に記載される成分を含むワクチン組成物を投与しそしてブーストした。血清を収集し、そして上記のようにして、抗961抗体を使用してアッセイした。
【0229】
結果を、表8に示す。理解できるように、ミョウバンおよびdsRNAと組み合わせたMenB 961+287で免疫したマウスは、dsRNAなしで、ミョウバンおよびMenB 961+287で免疫したマウスよりも有意に高いレベルの抗961抗体を産生した。MF59およびdsRNAと組み合わせたMenB 961+287で免疫したマウスにおける抗体力価は、同様に、dsRNAの非存在下で、MF59と共にMenB 961+287で免疫したマウスより高い力価を示した。
【0230】
表8.種々のアジュバントを使用するMenB 961の免疫原性
【0231】
【表8】

(実施例6)
(ポリ[rI−rC]の活性)
合成ポリリボイノシン酸−ポリリボシチジル酸(ポリ[rI−rC])dsRNAの90マーを、合成した。このdsRNAは、リボイノシン酸の90マー鎖およびこれにアニーリングされたリボシチジル酸の90マー鎖を含んだ。この合成dsRNAを、ヒト末梢血単核細胞によるインビトロでTNFおよびIL−12 p40の産生を刺激する能力について試験した。示された結果は、4つのドナーからのものであり、そして化合物を、100μg/mlの最終濃度で試験した。活性は、異種ポリ[rI−rC]サンプルの20%と70%との間であった。従って、この合成dsRNA誘導体は、インビトロで活性を示した。
【0232】
【表9】

従って、新規のアジュバント組成物およびこれを使用する方法が開示される。上記から、本発明の特定の実施形態が、例示の目的のために本明細書中に記載されてきたが、添付の特許請求の範囲により規定されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の改変がなされ得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1A】図1A〜図1C(配列番号1および2)は、HCV−1 E1/E2/p7領域についてのヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列を示す。この図に示す番号は、全長HCV−1ポリタンパク質と比較したものである。E1領域、E2領域およびp7領域を示す。
【図1B】図1A〜図1C(配列番号1および2)は、HCV−1 E1/E2/p7領域についてのヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列を示す。この図に示す番号は、全長HCV−1ポリペプチドと比較してである。E1領域、E2領域およびp7領域を示す。
【図1C】図1A〜図1C(配列番号1および2)は、HCV−1 E1/E2/p7領域についてのヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列を示す。この図に示す番号は、全長HCV−1ポリペプチドと比較してである。E1領域、E2領域およびp7領域を示す。
【図2】図2は、本発明について用いられる代表的E1E2タンパク質であるE1E2809をコードするプラスミドpMHElE2−809の図である。
【図3】図3は、実施例に記載のように、E1E2809+dsRNA;E1E2809+CpG1;E1E2809+MF59;E1E2809+MF59およびCpG1;ならびにE1E2809+dsRNAおよびMF59で免疫したマウス由来のE1E2809抗E2 IgG抗体力価を示す。バーは、10匹のマウスの群の相乗平均抗体力価(GMT)を示す。エラーバーは、平均の標準誤差を表す。
【図4】図4は、実施例に記載されるように、p55gag+MF59およびCpG1(10μg);p55gag+MF59およびdsRNA(10μg);p55+CpG1(10μg);ならびにdsRNA(10μg)(単独)で免疫したマウス由来の抗p55gag IgG抗体力価を示す。バーは、10匹のマウスの群の相乗平均抗体力価(GMT)を示す。エラーバーは、平均の標準誤差を表す。
【図5A】図5A〜図5D(配列番号5)は、HIV C 8_5_TV1_C.ZA(TV1とも呼ばれる)型のヌクレオチド配列を示す。種々の領域を表2に示す。
【図5B】図5A〜図5D(配列番号5)は、HIV C 8_5_TV1_C.ZA(TV1とも呼ばれる)型のヌクレオチド配列を示す。種々の領域を表2に示す。
【図5C】図5A〜図5D(配列番号5)は、HIV C 8_5_TV1_C.ZA(TV1とも呼ばれる)型のヌクレオチド配列を示す。種々の領域を表2に示す。
【図5D】図5A〜図5D(配列番号5)は、HIV C 8_5_TV1_C.ZA(TV1とも呼ばれる)型のヌクレオチド配列を示す。種々の領域を表2に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、該組成物は、以下:
(1)1型インターフェロン誘導因子;ならびに
(2)抗原送達系および/または免疫刺激分子、
を含み、
該組成物は、該抗原送達系および/または該免疫刺激分子なしの、該抗原および1型インターフェロン誘導因子のみの送達と比較して、同時投与された抗原に対する免疫応答を増大し得、該同時投与された抗原は、該組成物中に必要に応じて存在する、
組成物。
【請求項2】
前記組成物が、1型インターフェロン誘導因子、抗原送達系および免疫刺激分子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、1型インターフェロン誘導因子および抗原送達系を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記1型インターフェロン誘導因子が、dsRNAである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記dsRNAが、ウイルスdsRNAまたは合成dsRNAである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記dsRNAが、ポリリボイノシン酸−ポリリボシチジル酸(ポリ[rI−rC])、ポリリボグアニル酸−ポリリボシチジル酸(ポリ[rG−rC])、またはポリリボアデニル酸−ポリリボウリジル酸(ポリ[rA−rU])である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記dsRNAが、ポリ[rI−rC]である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記抗原送達系が、サブミクロンの水中油型エマルジョンおよび/または微小粒子を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記抗原および/または前記1型インターフェロン誘導因子が、前記微小粒子と会合している、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記微小粒子が、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酢酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステルおよびポリ無水物からなる群から選択されるポリマーを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記微小粒子が、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLG)を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記抗原および/または前記1型インターフェロン誘導因子が、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLG)を含む微小粒子に吸着されている、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物であって、前記サブミクロンの水中油型エマルジョンが、以下:
(1)代謝可能な油であって、全容量の0.5%〜20%の量で存在する、油;および
(2)乳化剤であって、0.01重量%(w/v)〜2.5重量%(w/v)である、乳化剤、
を含み、
該油および該乳化剤が、油滴を有する水中油型エマルジョンの形態で存在し、該油滴の実質的に全ての直径が、約100nm〜1ミクロン未満である、組成物。
【請求項14】
前記油が、全容量の1%〜12%の量で存在し、そして前記乳化剤が、0.01重量%(w/v)〜1重量%(w/v)の量で存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記乳化剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル、ポリオキシエチレンソルビタンジエステルもしくはポリオキシエチレンソルビタントリエステル、および/またはソルビタンモノエステル、ソルビタンジエステルもしくはソルビタントリエステルを含む、請求項13または14に記載の組成物。
【請求項16】
前記乳化剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル、ポリオキシエチレンソルビタンジエステルもしくはポリオキシエチレントリエステル、および/またはソルビタンモノエステル、ソルビタンジエステルもしくはソルビタントリエステルを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
1つ以上の前記乳化剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートおよびソルビタントリオレエートであり、存在する該ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートおよびソルビタントリオレエートの量が、1重量%(w/v)である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記サブミクロンの水中油型エマルジョンが、4〜5%w/vのスクアレン、0.25〜1.0%w/vのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、および/または0.25〜1.0%のソルビタントリオレエートを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記サブミクロンの水中油型エマルジョンが、本質的に、5容量%のスクアレンを含み;そして1つ以上の前記乳化剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートおよびソルビタントリオレエートからなる群から選択され、存在する該乳化剤の総量が、1重量%(w/v)である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記免疫刺激分子が、免疫刺激核酸配列(ISS)である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記ISSが、CpGオリゴヌクレオチドである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
請求項21に記載の組成物であって、前記CpGオリゴヌクレオチドが、配列5’−XCGXを含み、ここで、XおよびXは、GpT、GpG、GpA、ApA、ApT、ApG、CpT、CpA、CpG、TpA、TpTおよびTpGからなる群から選択される配列であり;そしてXおよびXは、TpT、CpT、ApT、ApG、CpG、TpC、ApC、CpC、TpA、ApA、GpT、CpAおよびTpGからなる群から選択され、ここで、pは、ホスフェート結合を表す、組成物。
【請求項23】
前記CpGオリゴヌクレオチドが、配列GACGTT、GACGTC、GTCGTTまたはGTCGCTを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
前記CpGモチーフが、5’−TCCATGACGTTCCTGACGTT−3’(配列番号3)である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記抗原が、HCV抗原、HIV抗原または髄膜炎菌タンパク質である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
前記抗原が、HCV抗原であり、該HCV抗原が、E1E2ポリペプチドである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記HCV E1E2ポリペプチドが、図1A〜1Cの192〜809位に示されるアミノ酸の連続した配列に少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記HCV E1E2ポリペプチドが、図1A〜1Cの192〜809位に示されるアミノ酸の配列を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記抗原が、HIV抗原であり、該HIV抗原が、gp120またはp55gagである、請求項1〜24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
前記抗原が、髄膜炎菌抗原であり、該髄膜炎菌抗原が、ORF287および/または961由来のMenBタンパク質である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
脊椎動物被験体における免疫応答を刺激する方法における、請求項1〜30のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項32】
1型インターフェロン誘導因子と抗原送達系および/または免疫刺激分子とを合わせる工程を包含する、組成物を作製する方法。
【請求項33】
前記方法が、抗原と、前記1型インターフェロン誘導因子ならびに前記抗原送達系および/または前記免疫刺激分子とを合わせる工程をさらに包含する、請求項32に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【公開番号】特開2009−143914(P2009−143914A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315486(P2008−315486)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【分割の表示】特願2003−531992(P2003−531992)の分割
【原出願日】平成14年10月3日(2002.10.3)
【出願人】(591076811)ノバルティス バクシンズ アンド ダイアグノスティックス,インコーポレーテッド (265)
【Fターム(参考)】