説明

アスコルビン酸を配合した溶液及びその溶液の製造方法

【課題】15重量%を超えても安定した状態でアスコルビン酸(アスコルビン酸誘導体を含む)を含有し、さらに皮膚に塗布しても安全な溶液を提供する。
【解決手段】10〜20重量%の水、45〜55重量%のエトキシジグリコール及び20〜30重量%のプロピレングリコールをそれぞれ含む混合液中を60〜80℃(好ましくは70℃)に保持した状態で、アスコルビン酸15重量%以上と必要に応じ添加物(ビタミンBやアスコルビン酸誘導体など)を加えて撹拌し、アスコルビン酸及び添加物が溶解したのち冷却して所望の溶液を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスコルビン酸を高濃度で配合した溶液とその溶液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アスコルビン酸は、ビタミンCとして知られるL−アスコルビン酸のみならずD−アスコルビン酸も皮膚に塗布しても安全な抗酸化剤であり、皮膚の美白効果を得るために溶液状の化粧料などに配合されている。
しかし、アスコルビン酸は水溶性ではあるが、水溶液中での安定性に欠ける。よって、特許文献1では、所定の溶剤中にアスコルビン酸を数工程に分けて添加しつつ高速撹拌することで、5〜15重量%の配合を可能としている。
しかし、特許文献1の方法では、15重量%を超えてアスコルビン酸(アスコルビン酸誘導体を含む)を溶液中に安定した状態で配合することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4043942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、15重量%を超えたアスコルビン酸(アスコルビン酸誘導体を含む)を安定した状態で含有し、さらに皮膚に塗布しても安全な溶液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、10〜20重量%の水、45〜55重量%のエトキシジグリコール及び20〜30重量%のプロピレングリコールを含む混合液を60〜80℃に保持した状態で、アスコルビン酸15重量%以上を加えて撹拌することを特徴とする。
請求項2の発明は、前記アスコルビン酸とともにアスコルビン酸誘導体を加えることを特徴とする。
請求項3の発明は、10〜20重量%の水、45〜55重量%のエトキシジグリコール、20〜30重量%のプロピレングリコールを含む混合液を60〜80℃に加温し、この温度を保持したまま、この混合液中に15重量%以上のアスコルビン酸を加えながら撹拌した後、冷却することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明の溶液は、15重量%を超えたアスコルビン酸を安定した状態で含有し、さらに皮膚に塗布しても安全であるという効果を奏する。
請求項2の発明の溶液は、アスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体のもつ抗酸化作用が期待できる。
請求項3の発明では、高濃度(15重量%以上)のアスコルビン酸を安定した状態で含有する溶液を製造できる。また、アスコルビン酸を数工程に分け溶解する必要がなく、製造が簡便である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る溶液の平成22年8月24日におけるアスコルビン酸と3−O−エチルアスコルビン酸の定量分析の結果を示すクロマトグラムである。
【図2】図1の溶液を40℃で平成22年12月3日まで保管し続けた場合のアスコルビン酸と3−O−エチルアスコルビン酸の定量分析の結果を示すクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るアスコルビン酸を配合した溶液について説明する。
先ず、10〜20重量%の水、45〜55重量%のエトキシジグリコール、20〜30重量%のプロピレングリコールを含む混合液を、60〜80℃(好ましくは約70℃)に加温する。温度を保持したまま、この混合液中にアスコルビン酸を15重量%以上(最大で約18重量%)、必要に応じてアスコルビン酸誘導体やビタミンBなどの添加物を加えながら撹拌する。
アスコルビン酸や添加物がすべて溶解したら、常温になるまで冷却し、所望の溶液を得る。
【0009】
加熱する温度を60〜80℃としたのは、80℃より高い温度にするとアスコルビン酸が酸化すること、60℃より低い温度にするとアスコルビン酸が一部溶けないで残るからである。
アスコルビン酸は、好ましくはL−アスコルビン酸であるが、D−アスコルビン酸であっても、また両者の混合物であってもよい。
以上のようにしてなる溶液は、そのまま化粧水として使用することも可能であるが、各種化粧品基材に添加して使用する。
【実施例1】
【0010】
水を10重量%、エトキシジグリコールを47重量%、プロピレングリコールを23重量%の割合で容器に入れ撹拌しながら70℃に加温する。
上記溶媒が均一に混合されたら、温度を70℃に保持しながら、L−アスコルビン酸14.7重量%及び3−O−エチルアスコルビン酸5重量%を徐々に加えながら撹拌する。
L−アスコルビン酸15重量%及び3−O−エチルアスコルビン酸5重量%が溶解したら放冷し、室温まで下げ、検査用溶液を得た。
この検査用溶液を得た平成22年8月24日と、この検査用溶液を40℃で保管し続け平成22年12月3日にそれぞれL−アスコルビン酸と3−O−エチルアスコルビン酸の定量分析した結果を図1,2に示す。L−アスコルビン酸は、14.7重量%から14.3重量%になり0.4重量%減少した。3−O−エチルアスコルビン酸の量は、いずれも5.0重量%で変化がなかった。
これにより、アスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体の含有量が15重量%を超えた状態でも安定して溶解されていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10〜20重量%の水、45〜55重量%のエトキシジグリコール及び20〜30重量%のプロピレングリコールを含む混合液を60〜80℃に保持した状態で、アスコルビン酸15重量%以上を加えて撹拌してなるアスコルビン酸を配合した溶液。
【請求項2】
前記アスコルビン酸とともにアスコルビン酸誘導体を加えることを特徴とする請求項1に記載のアスコルビン酸を配合した溶液。
【請求項3】
10〜15重量%の水、45〜55重量%のエトキシジグリコール、20〜30重量%のプロピレングリコールを含む混合液を60〜80℃に加温し、この温度を保持したまま、この混合液中に15重量%以上のアスコルビン酸を加えながら撹拌し、アスコルビン酸が溶解した後冷却してなるアスコルビン酸を配合した溶液の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−162468(P2012−162468A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22281(P2011−22281)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(503207625)MTコスメティクス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】