説明

アスタキサンチン含有組成物

【課題】水性液体への分散性が改善された安定なアスタキサンチン含有組成物、およびアスタキサンチンが水性液体に良好に分散した水中油型乳化物を提供する。さらに、アスタキサンチンの吸収性が改善された食品、化粧料、飼料および医薬組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、アスタキサンチンおよびポリグリセリンオレイン酸エステルを含有することを特徴とするアスタキサンチン含有組成物、該組成物を水性液体に分散してなる水中油型乳化物およびこれらを含有する食品、化粧料、飼料および医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスタキサンチンの安定性および吸収性が改善されたアスタキサンチン含有組成物、該組成物を水性液体に分散してなる水中油型乳化物、ならびに該組成物および/または水中油型乳化物を含有してなる食品、化粧料、飼料および医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アスタキサンチンは、赤燈色の天然色素であるカロチノイドの一種である。アスタキサンチンは、オキアミ、ファフィア酵母、藻類の一部に含まれており、食物連鎖の流れの中で魚介類の中に蓄えられ、サケ、イクラ、エビ、カニなどにも含まれている。アスタキサンチンは強力な抗酸化作用を有し、その活性は、β-カロチンの10倍、ビタミンEの1000倍とも言われている。生体内の抗酸化成分は、活性酸素の消去、過酸化脂質の合成抑制などに役立っており、抗酸化成分の欠乏は、心血管障害、各部の炎症、脳梗塞などの疾患の原因ともなる。したがってアスタキサンチンの高い抗酸化力は、生体にとって極めて有用である。
【0003】
強い抗酸化力を持ったアスタキサンチンは、血液脳関門、さらに網膜関門を通過できる物質で、活性酸素による疾患の予防・治療・改善や、紫外線に強い肌を作り日焼けを防止するとともに、メラニンの生成を抑制し、シミを防止することが期待される成分である。
【0004】
しかしながら、アスタキサンチンは脂溶性の物質であり水に溶けにくい性質を有している。アスタキサンチンはエーテルなどには高い溶解性を示すが、水には難溶性である。このため、アスタキサンチンは経口投与において消化管からの吸収性が非常に低いという問題がある。また、アスタキサンチンは不安定であり、光などによって分解するという問題がある。
【0005】
アスタキサンチンの吸収性、安定性を改善するため、これまでいくつかの提案がなされている。例えば特許文献1には、アスタキサンチンを含有する藻体の破砕物、界面活性剤、抗酸化剤、賦形剤および水の懸濁液を乾燥してなるアスタキサンチン粉体組成物が開示されている。また、特許文献2には、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルの溶液にアスタキサンチン含有オイルを添加し、さらに水を添加するアスタキサンチンエマルジョンが開示されている。特許文献3には、カロチノイド類を油脂と界面活性剤、多価アルコールの系からなる成分中に溶解もしくは懸濁させた後、ソフトカプセルに封入する自己乳化型ソフトカプセルが開示されている。
【0006】
一方、ビタミンB1誘導体は、脚気、神経痛、筋肉痛、中枢神経障害、末梢神経炎、末梢神経麻痺、心筋代謝障害、胃腸運動機能障害などの症状の治療や、激しい肉体疲労の回復に対して有効であることが知られている。また、ビタミンCとして知られるアスコルビン酸は、抗酸化作用、コラーゲン合成促進作用の他に、免疫機能の増強作用、ストレスや疲労などの症状軽減や予防作用、コレステロールの胆汁酸への変換作用を有していることが知られており、医薬やサプリメント、化粧料などに用いられている。
【0007】
【特許文献1】国際公開WO2002/077105号
【特許文献2】特開2001−316601号
【特許文献3】特開昭58-128141号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、水性液体への分散性が改善された安定なアスタキサンチン含有組成物、およびアスタキサンチンが水性液体に良好に分散した水中油型乳化物を提供することである。さらに、アスタキサンチンの吸収性が改善された食品、化粧料、飼料および医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、アスタキサンチンに乳化剤としてポリグリセリンオレイン酸エステルを配合すると、乳化処理に通常用いられるような高圧処理を用いなくても、アスタキサンチンが良好に分散する組成物が得られること、さらに、この組成物を水性液体と混合するとアスタキサンチンが均一な微粒子として分散し、安定な水中油型乳化物を形成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
(1)アスタキサンチンおよびポリグリセリンオレイン酸エステルを含有することを特徴とするアスタキサンチン含有組成物。
(2)ポリグリセリンオレイン酸エステルを4〜80質量%含有する(1)に記載の組成物。
(3)さらに、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを含有する(1)または(2)に記載の組成物。
(4)さらに、ポリグリセリンモノミリステートを含有する(3)に記載の組成物。
(5)さらに、脂溶性ビタミンおよび/またはコエンザイムQ10を含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。
(6)さらに、ビタミンB群およびビタミンCから選択される水溶性ビタミンを1種以上含有する(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物を水性液体に分散してなる水中油型乳化物。
(8)(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物および/または(7)に記載の水中油型乳化物を含有する食品、化粧料または飼料。
(9)(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物および/または(7)に記載の水中油型乳化物を含有する医薬組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアスタキサンチン含有組成物は、水性液体に溶解または分散させると、均一な微粒子として水性液体中に分散し、安定な水中油型乳化物を提供することができる。したがって、本発明のアスタキサンチン含有組成物およびその水中油型乳化物は、食品、化粧料、飼料および医薬組成物などにも容易に適用することができ、アスタキサンチンの吸収性が改善された食品、化粧料、飼料および医薬組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のアスタキサンチン含有組成物(以下、本発明の組成物と称する場合もある)は、アスタキサンチンを水性液体に分散させるための乳化剤として、ポリグリセリンオレイン酸エステルを用いることを特徴とする。また、本発明のアスタキサンチン含有組成物は、好ましくは、それ自体が乳化物の形態である乳化組成物である。
【0013】
本発明のアスタキサンチン含有組成物において用いられるアスタキサンチンは、天然のアスタキサンチンおよび合成されたアスタキサンチンのいずれでもよい。天然のアスタキサンチンとしては、例えば、ヘマトコッカス藻などのアスタキサンチンを含有する生物から抽出したものなどが挙げられ、合成されたアスタキサンチンとしては、例えば市販の合成アスタキサンチン(SIGMA社)などが挙げられる。本発明において、アスタキサンチンには、遊離型のアスタキサンチンだけでなく、エステル体も包含される。アスタキサンチンは分子内に2つの水酸基を有し、モノエステルまたはジエステルを形成できる。アスタキサンチンのエステルとしては、特に制限されないが、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、EPA、DHAなどの脂肪酸とのエステルが挙げられる。
【0014】
本発明のアスタキサンチン含有組成物には、アスタキサンチンが、組成物中、通常0.05〜50質量%、好ましくは1〜20質量%の量で含まれる。
【0015】
本発明のアスタキサンチン含有組成物において用いられるポリグリセリンオレイン酸エステル(ポリグリセリンオレート)は、ポリグリセリンとオレイン酸とのエステルをさす。ポリグリセリンオレイン酸エステルとしては、好ましくは、ポリグリセリンとオレイン酸のモノ〜ヘキサエステル、具体的には、ポリグリセリンモノオレート、ポリグリセリンジオレート、ポリグリセリントリオレート、ポリグリセリンテトラオレート、ポリグリセリンペンタオレート、ポリグリセリンヘキサオレート、より好ましくはポリグリセリンモノオレートを用いる。ポリグリセリンは特に限定されないが、水酸基価から算出される平均重合度が、通常2〜15、好ましくは4〜10のポリグリセリンを使用するとよい。水酸基から算出される平均重合度(n)とは、末端分析法によって算出される値であり、次の(式1)および(式2)から算出される。
(式1)分子量=74n+18
(式2)水酸基価=56110(n+2)/分子量
【0016】
前記水酸基価とは、エステル化物中に含まれる水酸基数の大小の指標となる値であり、1gのエステル化物に含まれる遊離の水酸基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいい、水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編纂「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法(I)、1996年度版」に準じて算出される。
【0017】
ポリグリセリンオレイン酸エステルの製造法としては、一般的なポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法を使用できる。例えば、オレイン酸とポリグリセリンのアルカリ触媒等を使用した直接エステル化法が、工業的に実施されている。酵素法では、酵素としてリパーゼを用い、ポリグリセリンのエステル化に際してオレイン酸を用いる。ポリグリセリンオレイン酸エステルとしては、一般に市販されている製品、例えば、テトラグリセリンモノオレート(SYグリスターMO−3S;阪本薬品工業、Tetraglyn 1−O;第一工業)、ペンタグリセリンモノオレート(サンソフトA−171A;太陽化学)、デカグリセリンペンタオレート(Decaglyn 5−O;第一工業)などが利用できる。
【0018】
本発明のアスタキサンチン含有組成物には、ポリグリセリンオレイン酸エステルが、組成物中、通常4〜80質量%、好ましくは6〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%の量で含まれる。ポリグリセリンオレイン酸エステルを4質量%以上とすることにより、アスタキサンチン含有組成物を水性液体に分散させたときの安定性および分散性を高めることができる。
【0019】
本発明のアスタキサンチン含有組成物に、さらにポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを配合すると、さらに水性液体への分散性および得られる水中油型乳化物の安定性を高めることができる。また、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルに加えてさらにポリグリセリンモノミリステートを配合すると、よりいっそう水性液体への分散性および得られる水中油型乳化物の安定性を高めることができる。
【0020】
本発明のアスタキサンチン含有組成物において用いられるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは、リシノール酸分子中の水酸基とカルボキシル基をあらかじめリシノール酸同士で一部分縮合させた縮合物(縮合リシノール酸)とポリグリセリンとのエステルをさす。ここで、ポリグリセリンとしては、上記でポリグリセリンオレイン酸エステルについて記載したのと同様のものを使用でき、具体的には、水酸基価から算出される平均重合度が、通常2〜15、好ましくは4〜10のポリグリセリンを使用できる。縮合リシノール酸は、リシノール酸を加熱して重縮合反応させることにより得られる混合物であり、平均重合度が2〜10のもの、好ましくは平均重合度が3〜6のものを用いるとよい。
【0021】
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは、例えば、ヒマシ油から分解・精製したヒマシ油脂肪酸(リシノール酸約90%を含有)に少量のアルカリを添加して窒素ガス気流下に180〜210℃で加熱し、1つの脂肪酸分子のアルキル基中の水酸基を他の脂肪酸分子のカルボキシル基とエステル化させ、さらに同様に他の脂肪酸分子と反応させて高分子の脂肪酸とし、これに精製ポリグリセリンを仕込み、窒素ガス気流下に180〜210℃でエステル化することにより製造することもできる。こうしたポリグリセリン縮合リシノール酸エステルとしては、例えば、市販製品である、テトラグリセリン縮合リシノレート(ポエムPR−100;理研ビタミン)、ポリグリセリン縮合リシノレート(SYグリスターCRS−75、SYグリスターCR−310、SYグリスターCR−500;阪本薬品工業)などが挙げられる。
【0022】
本発明のアスタキサンチン含有組成物にポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを配合する場合は、組成物中、通常0.05〜50質量%、好ましくは0.5〜20質量%の量で配合する。
【0023】
ポリグリセリンモノミリステートとは、ポリグリセリンとミリスチン酸とのモノエステルをさす。ポリグリセリンとしては、上記でポリグリセリンオレイン酸エステルについて記載したのと同様のものを使用でき、具体的には、水酸基価から算出される平均重合度が、通常2〜15、好ましくは4〜10のポリグリセリンを使用できる。こうしたポリグリセリンモノミリステートとしては、例えば、市販製品である、ペンタグリセリンモノミリステート(サンソフトA−141E;太陽化学)、ヘキサグリセリンモノミリステート(SYグリスターMM−500:阪本薬品工業)などが挙げられる。
【0024】
本発明のアスタキサンチン含有組成物にポリグリセリンモノミリステートを配合する場合は、組成物中、通常0.05〜50質量%、好ましくは0.5〜20質量%の量で配合する。
【0025】
本発明のアスタキサンチン含有組成物では、粘性の高いポリグリセリンオレイン酸エステル、さらに場合により、ポリグリセリンモノミリステートおよび/またはポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを用いるため、適宜油脂を配合して、流動性を増してもよい。そのような油脂としては、合成油脂、植物性油脂、動物性油脂およびこれらの混合物などいずれも使用できるが、食用油、特に天然動植物性油を使用するのが好ましい。植物性油脂としては、例えば、大豆油、サフラワー油、オリーブ油、胚芽油、ごま油、コーン油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油などが挙げられる。動物性油脂としては、例えば、EPA、DHA、牛脂、鶏脂、豚脂、羊脂、さば油、たら油などが挙げられる。あるいは、中鎖脂肪酸トリグリセリド、炭素数4〜22の脂肪酸のモノ、ジおよびトリエステルも使用できる。これらの油脂は、安全性の観点から好ましく、単独で用いても、複数種を組み合わせて用いてもよい。流動性の程度は、目的とする処方物、例えば、ソフトカプセル内容液や、入浴液などの形態に応じて適宜調整することができる。本発明の組成物に油脂を配合する場合は、組成物中、通常5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%の量で配合する。
【0026】
本発明のアスタキサンチン含有組成物には、本発明の効果を妨げない範囲において、さらに界面活性剤などのその他の乳化剤を含有させることができる。そのような乳化剤としては、その他のポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびプロピレングリコール脂肪酸エステルなどの界面活性剤、ならびに澱粉、デキストリンおよびシクロデキストリンなどの多価アルコールなどが挙げられる。
【0027】
また、本発明のアスタキサンチン含有組成物は、水性液体への分散性に優れ、安定な水中油型乳化物を形成することができるため、さらに脂溶性ビタミンおよび水溶性ビタミンなどを配合してもよい。また、脂溶性であるコエンザイムQ10を配合することもできる。
【0028】
水溶性ビタミンとしては、例えば、ビタミンB群およびビタミンCから選択される1種以上を配合できる。ビタミンB群には、ビタミンB1、ビタミンB1誘導体、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB13、さらにナイアシン、ビオチン、パントテン酸、ニコチン酸、葉酸などの各種ビタミンB複合体が包含される。
【0029】
ビタミンB1誘導体には、チアミンまたはその塩、チアミンジスルフィド、フルスルチアミンまたはその塩、ジセチアミン、ビスブチチアミン、ビスベンチアミン、ベンフォチアミン、チアミンモノフォスフェートジスルフィド、シコチアミン、オクトチアミン、プロスルチアミンなどのビタミンB1の生理活性を有する全ての化合物が包含される。
【0030】
脂溶性ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンDおよびその誘導体、ビタミンE、ビタミンKならびにβカロチンから選択される1種以上を配合できる。
【0031】
水溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミンの量は、一般的には組成物中、それぞれ0.001〜35質量%の範囲であり、好ましくは0.01〜12質量%である。
【0032】
本発明のアスタキサンチン含有組成物の形態や製造方法は特に制限されないが、例えば、脂溶性であるアスタキサンチンをそのまま、または油脂に配合した状態で、これを、ポリグリセリンオレイン酸エステルと油脂を含む混合物(必要に応じて、さらにポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび/またはポリグリセリンモノミリステートを含む)に溶融し、撹拌、分散して、液状の形態の乳化物(以下、アスタキサンチン乳化組成物と称する)を形成することができる。溶融物の撹拌・分散においては、例えば高圧ホモジナイザーを使用して、より微細に分散させてもよく、これにより均一で、かつ微細なエマルジョンを形成させることができる。これらの工程は、例えば、約35〜90℃、好ましくは50〜80℃で実施する。ビタミンなどを添加する場合は、上記混合物を30℃以下に冷却し、ビタミンを添加した後、室温以下で均一に分散させればよい。
【0033】
本発明のアスタキサンチン含有組成物を、カプセルの形態とする場合、例えば、上記アスタキサンチン乳化組成物を用い、常法に従ってカプセルを製造することができる。カプセルの基材は特定のものに限定されない。一般的に使用されているアルカリ処理ゼラチンや酸処理ゼラチン等を用いることが好ましいが、プルラン、カラギナン、デンプンなどの植物性原料皮膜を用いてもよい。
【0034】
本発明のアスタキサンチン含有組成物は、水性液体に添加し、撹拌することで、容易に水性液体中に分散・乳化することができ、安定性および吸収性の高い、優れたアスタキサンチンを含有する水中油型乳化物とすることができる。水性液体は、水を主成分とする液体であれば、特に制限されないが、好ましくは水を40質量%以上、より好ましくは75質量%以上含む。本発明のアスタキサンチン含有組成物を水性液体中に分散・乳化することには、例えば飲料に分散して飲用する形態や、湯に分散・乳化してそこにつかる、入浴剤としての使用形態なども包含される。本明細書において、上記水中油型乳化物を水性液体に分散する前のアスタキサンチン含有組成物と区別してまたは併記して記載する場合もあるが、アスタキサンチンおよびポリグリセリンオレイン酸エステルを含むことから、本発明のアスタキサンチン含有組成物に包含される。
【0035】
本発明のアスタキサンチン含有組成物を、水性液体に分散する場合には、水溶性物質などをさらに添加してもよい。水溶性物質としては、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、アラビアガム、カゼイン、デキストリン、カルメロースナトリウム(CMCナトリウム)、D−マンニット、プルラン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ならびにコーンファイバー、デンプン、グアーガムおよびペクチン等の植物由来の水溶性多糖類等が挙げられ、これらの中から選択される少なくとも1種類の水溶性物質を用いるのが好ましい。
【0036】
本発明のアスタキサンチン含有組成物および水中油型乳化物には、アスタキサンチンの安定性を高める目的で有機酸を添加してもよい。有機酸としては、例えば、クエン酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸および酒石酸などが挙げられ、好ましくはリンゴ酸、酒石酸またはこれらの混合物を添加する。有機酸の添加量は、アスタキサンチン含有組成物の質量に基づき、0.05〜30質量%の範囲であり、好ましくは1〜20質量%である。
【0037】
本発明のアスタキサンチンの水中油型乳化物においては、アスタキサンチンが水性液体中に良好かつ安定に分散している。アスタキサンチンの分散性は、目視で分散を評価することにより、または分散液に含まれる粒子の平均粒径を、例えば、レーザー回折・散乱法式粒度分布測定装置などを用いて測定することにより評価できる。本発明の水中油型乳化物に含まれる粒子の平均粒径は、通常3.5μm以下、好ましくは0.001〜3μm、より好ましくは0.01〜2μmである。
【0038】
本発明のアスタキサンチン含有組成物には、固体状の形態の組成物も包含される。固体状の形態とする場合、その調製方法は特に制限されないが、例えば、上記のように調製された液状の形態のアスタキサンチン乳化組成物を一旦水性液体に分散させ、得られた水中油型乳化物を乾燥等の工程に付すことより水分を除去し、固体状の形態のアスタキサンチン含有組成物とすることができる。上記アスタキサンチン乳化組成物を水性液体に分散させることで、安定性および吸収性の高い、優れたアスタキサンチンの水中油型乳化物が提供されるが、これを乾燥して固体状の形態とすることで、取り扱いが簡便な組成物を提供することができる。また、この固体状の形態の組成物を水性液体と混合すると、速やかに溶解または分散することから、安定なアスタキサンチンを含有する水中油型乳化物を容易に再生することができる。
【0039】
あるいは、上記アスタキサンチン乳化組成物を必要に応じて水性液体に分散させ、賦形剤に吸着または担持させることにより、固体状の形態、例えば粉末状の形態とすることもできる。ここで賦形剤は、アスタキサンチン含有組成物を吸着または担持しうる賦形剤であれば、いずれのものも使用可能であるが、例えば粉末乳糖、微結晶セルロース、β−サイクロデキストリン、糖(単糖類、少糖類、多糖類等、具体的には、デンプン、デキストリン、酵素分解デキストリンなど)、微粒二酸化珪素、糖アルコール等が挙げられる。これらの賦形剤は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
賦形剤を適宜選択することにより、固体状の形態のアスタキサンチン含有組成物の機能性・特性を変化させることができる。例えば、賦形剤としてソルビトール、デキストリンまたはマンニトールを用いると、水性液体への溶解性を高めることができる。乳糖、コーンスターチ、ソルビトールまたは結晶セルロースを用いると、塑性変形能を有した直接打錠可能な固体状の形態のアスタキサンチン含有組成物が得られる。また、チュアブル錠、錠剤、時溶解型の錠剤、発泡錠等も適宜調製することができる。
【0041】
固体化、例えば粉末化する方法としては、例えば、必要に応じ加熱した上昇気流により賦形剤の少なくとも一部を流動化した流動層中に、水性液体に分散させたアスタキサンチン乳化組成物(すなわち、アスタキサンチンの水中油型乳化物)を噴霧して、次いで乾燥させることからなる流動層造粒法を使用できる。あるいは、賦形剤の少なくとも一部が撹拌翼等により撹拌された層に、水性液体に分散させたアスタキサンチン乳化組成物を、滴下または噴霧等により添加することからなる撹拌造粒法等も使用できる。
【0042】
また、アスタキサンチン乳化組成物を水性液体に分散させ、噴霧乾燥法により水分を除去し、得られた乾燥粉末を上述の賦形剤と物理的に混合し、所望により造粒して、固体状、特に粉末または顆粒状の形態のアスタキサンチン含有組成物を調製してもよい。
【0043】
本発明のアスタキサンチン含有組成物は、水性液体に溶解または分散させると、均一な微粒子として水性液体中に分散し、安定な水中油型乳化物を提供することができる。アスタキサンチンを水性液体に効率的に分散できることから、アスタキサンチンを高含量で配合できる。本発明のアスタキサンチン含有組成物は、アスタキサンチンの良好な吸収を助け、効率よくアスタキサンチンを摂取することを可能にする。また、安全性が高いという点でも優れている。そのため、本発明のアスタキサンチン含有組成物およびその水中油型乳化物は、食品、化粧料および飼料などにも容易かつ有利に適用することができる。従って、本発明はまた、上記アスタキサンチン含有組成物および/または水中油型乳化物を含有する食品、化粧料および飼料に関する。
【0044】
本発明の食品には、健康食品や機能性食品も包含される。具体的には、粉剤、タブレット、細粒、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、流動食等の各種形態の食品が挙げられる。このような形態の食品は、上記のように製造されたアスタキサンチン含有組成物および/または水中油型乳化物に適当な賦形剤(例えば、でん粉、加工でん粉、乳糖、ブドウ糖、水等)を加えた後、慣用の手段を用いて製造することができる。さらに、本発明の食品は、スープ類、ジュース類、乳飲料、ココア飲料、茶飲料、ゼリー状飲料などの液状食品;プリン、ヨーグルト、ならびにバターおよびジャムなどのスプレッド類などの半固形食品;パン、菓子;うどんなどの麺類;クッキー、チョコレート、キャンディおよびせんべいなどの菓子;ふりかけ;ならびに水性液体に分散させて飲料とするための粉末状飲料等の形態もとりうる。本発明の飼料としては、上記アスタキサンチン含有組成物および/または水中油型乳化物を、飼料添加物として、特に粒状の飼料の上に適用または噴霧したものなどが挙げられる。
【0045】
本発明の食品は、安全性が高く呈味性にも優れているため、健常者のみならず、高齢者や嚥下困難者でも容易に継続して摂取することが可能である。また、本発明の食品および飼料を摂取することにより、アスタキサンチンを効率よく吸収することができる。また、アスタキサンチンは、赤橙色を有することから、本発明のアスタキサンチン含有組成物は、食品色素や飼料用色素としても使用することができる。
【0046】
本発明の化粧料の形態としては、シャンプー、洗顔剤、歯磨き、ボディシャンプーなどの洗浄を目的とするもの;コールドクリーム、バニシングクリームなどのクリーム状化粧料;乳液、化粧水などの基礎化粧料;仕上げ化粧料;パーマネントウエーブ、整髪料、ヘアーリッキド、ヘアーリンスなどの頭髪用化粧料などが挙げられる。本発明の化粧料には、入浴剤も包含される。本発明のアスタキサンチン含有組成物を入浴剤として湯に分散させると、湯中に速やかに分散し、アスタキサンチンの黄色〜赤色の色素が湯を着色するとともに、皮膚からアスタキサンチンが吸収されて効果を発揮する。
【0047】
本発明の食品、化粧料および飼料におけるアスタキサンチン含有組成物および/または水中油型乳化物の含量は、その形態や所望すべき摂取量に応じて適宜決められるが、アスタキサンチンの量を基準として、粉剤や顆粒剤などの固体または半固体形態の場合には、一般的には0.05〜50質量%の範囲であり、好ましくは1〜20質量%程度であり、液剤や飲料などの液体形態の場合には、一般的には0.00001〜8質量%の範囲であり、好ましくは0.001〜1質量%程度である。なお、アスタキサンチンの1日当たりの摂取量は、年齢、体重、健康状態等により異なるが通常、成人で0.1〜20mg、好ましくは0.5〜12mg程度である。
【0048】
アスタキサンチンは、強力な抗酸化作用を有し、その活性は、β-カロチンの10倍、ビタミンEの1000倍とも言われている。従って、生体内の抗酸化成分の欠乏によって生じる心血管障害、各部の炎症、脳梗塞などの疾患に有効であることが知られている。例えば、アスタキサンチンが血清中LDL(低比重リポタンパク質)の酸化を抑制または防止する効果を有し、動脈硬化、虚血性心疾患または虚血性脳障害の予防または抑制に有効であることが報告されている(例えば、特開平10−155459号公報)。また、アスタキサンチンが血中中性脂肪抑制効果を有し、血中中性脂肪が関与する疾患または症状、例えば、高脂血症、動脈硬化症、高血圧量、心筋梗塞、脳血管障害、脳梗塞、狭心症、膵臓炎、糖尿病、脂肪肝、代謝異常などの疾患または症状の治療および/または予防に有効であることも報告されている(例えば、特開2006−16408号公報)。
【0049】
本発明のアスタキサンチン含有組成物およびその水中油型乳化物は、アスタキサンチンの良好な吸収を助け、効率よくアスタキサンチンを摂取することを可能にすることから、上記のような疾患または症状を治療および/または予防するための医薬組成物にも容易かつ有利に適用することができる。従って、本発明はまた、上記アスタキサンチン含有組成物および/またはその水中油型乳化物を含有する医薬組成物に関する。
【0050】
本発明の医薬組成物の剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、液剤、懸濁剤などの経口剤、吸入剤、坐剤などの経腸製剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤などの皮膚外用剤、点滴剤、注射剤などの局所投与剤が挙げられる。これらのうちでは、経口剤、特に本発明の水中油型乳化物が封入されたカプセル剤が好ましい。
【0051】
このような剤型の医薬組成物は、有効成分であるアスタキサンチン含有組成物および/または水中油型乳化物に、慣用される添加剤、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料などを剤型に応じて配合し、常法に従って製造することができる。なお、液剤、懸濁剤などの液体製剤は、服用直前に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁する形であってもよく、また錠剤、顆粒剤の場合には周知の方法でその表面をコーティングしてもよい。
【0052】
医薬組成物におけるアスタキサンチン含有組成物および/または水中油型乳化物の含量は、その形態や所望すべき摂取量に応じて適宜決められるが、アスタキサンチンの量を基準として、粉剤や顆粒剤などの固体または半固体形態の場合には、一般的には0.05〜50質量%の範囲であり、好ましくは1〜20質量%程度であり、液剤や飲料などの液体形態の場合には、一般的には0.00001〜8質量%の範囲であり、好ましくは0.001〜1質量%程度である。なお、アスタキサンチンの1日当たりの摂取量は、年齢、体重、健康状態等により異なるが通常、成人で0.1〜20mg、好ましくは0.5〜12mg程度である。
【0053】
本発明の食品、医薬組成物および飼料には、さらにビタミンA、ビタミンEおよびβカロチンなどの脂溶性ビタミン、ビタミンB群およびビタミンCなどの水溶性ビタミン、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛および酵母などのミネラル含有物、L−カルニチン、クレアチン、α−リポ酸、グルタチオン、青汁、コラーゲン、にんじん、大豆イソフラボン、ペプチド、アミノ酸、にんにく、レシチン、ロイヤルゼリー、プロポリス、アントシアニン、グルコサミン、食物繊維、グルタチオン、セラミド、植物ステロール、EPA、DHA、ヒアルロン酸、α−リノレイン酸、リコピン、ルテイン、多価不飽和脂肪酸、各種タンパク質ならびに糖質などあらゆる栄養素または栄養食品素材を添加・配合してもよい。その他に適宜、糖質やタンパク質などを添加してもよい。また、風味をよくするための種々の添加剤(例えば、呈味成分、フレーバーおよび甘味料等)、ならびに分散剤および乳化剤等の安定剤を配合してもよい。本発明の食品は、健康食品や機能性食品として、上述の一日当たりの摂取量が管理できる形とするのが望ましい。
【0054】
本発明の化粧料にも同様に、さらにビタミンA、ビタミンEおよびβカロチンなどの脂溶性ビタミン、ビタミンB群およびビタミンCなどの水溶性ビタミン、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛および酵母などのミネラル含有物等のあらゆる栄養素を添加・配合しうる。
【0055】
本発明の食品、医薬組成物、化粧料および飼料において、水溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミンを配合する場合、その量はその形態、配合するビタミンの種類および所望すべき摂取量に応じて適宜決められるが、粉剤や顆粒剤などの固体または半固体形態の場合には、一般的にはそれぞれ0.0001〜30質量%の範囲であり、好ましくは0.01〜15質量%程度であり、液剤や飲料などの液体形態の場合には、一般的にはそれぞれ0.0001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.001〜1質量%程度である。
【0056】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0057】
(実施例1)アスタキサンチン含有組成物の製造
以下の表1の組成でアスタキサンチンを含有する乳化組成物を製造した。
【0058】
【表1】

【0059】
製造方法:アスタキサンチンオイル75g、テトラグリセリンモノオレート(SYグリスターMO−3S:阪本薬品工業製)85g、ヘキサグリセリンモノミリステート(SYグリスターMM−500:阪本薬品工業製)25g、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(SYグリスターCRS−75:阪本薬品工業製)20g、ビタミンE(コビトールF−1000−2:コグニスジャパン製)10g、中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王製)85gをとり、約70℃に加熱して、均一になるように撹拌溶解し、その後室温まで温度を下げ、均一な乳化組成物300gを得た。この乳化組成物を用い、通常の軟カプセル剤の製法によりオーバル6番を用い、1カプセル内容量300mg、皮膜質量約160mgの条件でソフトカプセルを製造した。
(実施例2)
表2の配合で実施例1と同様にして、1カプセル内容量300mgのソフトカプセルを製造した。
【0060】
【表2】

【0061】
(実施例3)
実施例1において、テトラグリセリンモノオレートに代えてデカグリセリンペンタオレート(Decaglyn 5-O;第一工業)、ヘキサグリセリンモノミリステートに代えてデカグリセリンモノミリステート(SYグリスターMM−750:阪本薬品工業製)を用いる以外は実施例1と同様にして表3の配合でソフトカプセルを製造した。
【0062】
【表3】

【0063】
(実施例4)
表4の配合で実施例1と同様にして、1カプセル内容量300mgのソフトカプセルを製造した。
【0064】
【表4】

【0065】
(実施例5)
表5の配合で実施例1と同様にして、1カプセル内容量300mgのソフトカプセルを製造した。
【0066】
【表5】

【0067】
(実施例6)
表6の配合で実施例1と同様にして、1カプセル内容量300mgのソフトカプセルを製造した。
【0068】
【表6】

【0069】
(実施例7)
表7の配合で、実施例1と同様の方法にて1カプセル内容量300mgのソフトカプセルを製造した。ただし、ビタミンB1、B2、B6は、混合物の温度を30℃以下にしてから投入し、均一分散した。
【0070】
【表7】

【0071】
(比較例1)
表8の配合で実施例1と同様にして、1カプセル内容量300mgのソフトカプセルを製造した。
【0072】
【表8】

【0073】
(比較例2)
表9の配合で実施例1と同様にして、1カプセル内容量300mgのソフトカプセルを製造した。
【0074】
【表9】

【0075】
(比較例3)
乳化剤として、モノラウリン酸ソルビタンエステル(SL−10;日光ケミカルズ)を用いて、表10の配合で、実施例1と同様の方法にて、1カプセル内容量300mgのソフトカプセルを製造した。
【0076】
【表10】

【0077】
(実施例10)分散性試験
実施例1〜5および比較例1〜3で調製したカプセル化する前の各乳化組成物1gを、水100mlと混合し、1分間軽くスターラーで撹拌分散させ、分散液に含まれる粒子の平均粒径をレーザー回折・散乱法式粒度分布測定装置(MICROTRAC FRA;日機装社製)を用いて測定した。また、水への分散しやすさを目視で観察し評価した。得られた結果を下記の表11に示す。分散しやすさは、下記の基準により評価した。
(−:良好に分散する、+:分散に時間を要する、++:分散にかなりの時間を要する)
【0078】
【表11】

【0079】
表11の結果から、比較例の組成物に比べ、実施例の組成物は水に対する分散性が非常によく、粒子の平均粒子径も小さいことがわかる。
【0080】
以上の結果から、本発明のアスタキサンチン含有組成物は、水への分散性が極めて高い組成物であることが示された。
【0081】
(実施例11)吸収性試験
ラット(Wistar/ST、雄性)を絶食条件下に、実施例4で調製したカプセル化する前の各乳化組成物を、アスタキサンチンとして30mg/kgになるように経口投与した。投与後3、6、9、12時間後に、あらかじめカニュレーションしておいた大腿動脈から採血した。血漿中のアスタキサンチン濃度を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて下記条件で測定し、アスタキサンチン吸収量とした。対照として、アスタキサンチンオイル(75g中アスタキサンチンを6g含有するものを、実施例4と同じアスタキサンチン濃度になるように大豆油で4倍に希釈したもの)を、アスタキサンチンとして同用量になるように経口投与し、同様に測定した。結果は、投与3時間後(Cmax)の血中濃度、および24時間のAUCとして算出し、表12に示す。
HPLC条件
カラム:Nucleosil 100C−5C18
移動相:メタノール:水:酢酸エチル 82:8:10
流速 :1mL/min
検出器:紫外分光光度計 478nm
温度 :30℃
【0082】
【表12】

表12の結果から、本発明のアスタキサンチン含有組成物は、アスタキサンチンを単に油に分散させたアスタキサンチンオイルに比べて、極めて高い吸収性を示した。
【0083】
(実施例12)錠剤の製造
実施例1で調製したカプセルのカプセル化する前の乳化組成物50gを、水1000mlと混合し、得られた水中油型乳化物をスプレードライにより乾燥させて、アスタキサンチン含有乾燥粉末を調製した。
【0084】
得られた乾燥粉末20g、結晶セルロース(旭化成)73.8gおよびポリビニルピロリドン(BASF)5gを混合し、これにエタノール30mLを添加して、湿式法により常法にしたがって顆粒を製造した。この顆粒を乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて打錠用顆粒末とし、打錠機を用いて打錠し、1錠が1gの錠剤100個を製造した(1錠あたり、アスタキサンチン含有乾燥粉末0.2gを含む)。
【0085】
(実施例13)顆粒剤の製造
実施例12で調製したアスタキサンチン含有乾燥粉末10g、乳糖(DMV)170gおよび結晶セルロース(旭化成)60gを混合し、これにエタノール130mLを添加し、練合機を用いて通常の方法で5分間練合した。練合終了後、10メッシュで篩過し、乾燥機中にて50℃で乾燥した。乾燥後、整粒し、顆粒剤240gを得た。これを1包4gとなるように個別包装した(1包あたり、アスタキサンチン含有乾燥粉末0.167gを含む)。
【0086】
(実施例14)シロップ剤の製造
精製水400gを煮沸し、これをかき混ぜながら、白糖750gおよび実施例12で調製したアスタキサンチン含有乾燥粉末1gを加えて溶解し、熱時に布ごしし、これに精製水を加えて全量1000mLとし、シロップ剤を製造した(20mLあたり、アスタキサンチン含有乾燥粉末0.02gを含む)。
【0087】
(実施例15)クリーム剤の製造
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスタキサンチンおよびポリグリセリンオレイン酸エステルを含有することを特徴とするアスタキサンチン含有組成物。
【請求項2】
ポリグリセリンオレイン酸エステルを4〜80質量%含有する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを含有する請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
さらに、ポリグリセリンモノミリステートを含有する請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
さらに、脂溶性ビタミンおよび/またはコエンザイムQ10を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
さらに、ビタミンB群およびビタミンCから選択される水溶性ビタミンを1種以上含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を水性液体に分散してなる水中油型乳化物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物および/または請求項7に記載の水中油型乳化物を含有する食品、化粧料または飼料。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物および/または請求項7に記載の水中油型乳化物を含有する医薬組成物。

【公開番号】特開2008−179619(P2008−179619A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330573(P2007−330573)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(301049744)日清ファルマ株式会社 (61)
【Fターム(参考)】