説明

アスファルトベースのコーティング組成物および塩界面活性剤

【課題】屋根の建築および修理、舗装道路の建設および修理での使用、および建物、表面、および機械的、電気的器具の建造への適用のための耐久性のある保護コーティングを提供する。
【解決手段】アスファルトカットバック50〜98重量%、クレイ43〜1.7重量%及びプロポキシル化アルコールベースエーテルアミン塩界面活性剤からなるコーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、コーティング、および特に塩界面活性剤を含有する、アスファルトベースのコーティング組成物である。
【背景技術】
【0002】
アスファルトベースのコーティング組成物は、物件および物の建設、コート、あて、接合、充填、および修理することが望まれる、広範な範囲の適用で使用される。例示的なアスファルトベースのコーティング組成物の適用は、屋根の建築および修理、舗装道路の建設および修理での使用、および建物、表面、および機械的、電気的器具の建造への適用のための耐久性のある保護コーティングとしての使用を含む。
【0003】
アスファルトベースのコーティング組成物は、産業および消費者市場の両方へ供給される。これらの別々の市場での使用のためのコーティング組成物は、典型的には異なるベース成分を使用して処方される。消費者市場のコーティング組成物は、通常ベース成分としてアスファルトカットバック、クレイおよび界面活性剤の混合物を含む。アスファルトカットバック成分は、バインダーとして与えられる。クレイ成分は、組成物を厚くしゲル特性を与える。界面活性剤成分は、界面の張力を減らすことによって、クレイおよびアスファルトカットバック成分を湿らせ分散させるために与えられる。
【0004】
産業市場のコーティング組成物は、アスファルトカットバック、クレイおよび界面活性剤の混合物か、アスファルトカットバックおよびアスベストを含む処方の、いずれかを含むベース処方を共通して利用している。そうしたアスベスト含有組成物は、50重量%ものアスベストを含有可能である。アスベストはコーティング組成物にかさを与え、アスファルト成分内で優れた接着を与える。
【0005】
しかし、アスベストの使用に伴う不利益がある。アスベストは、本材料の取り扱いおよび廃棄と関連した潜在的毒性問題から、注意深く取り扱われなければならない。アスベストに関連する環境および法令順守のコストは、法外に高くなりえる。アスベストは、いくつかのコミュニティーでは禁止されており、それによって異なる地理的地域および市場のための異なるコーティング組成物を製造する処方者を必要とする、消費者コーティング市場では使用されず、増加したコストに帰着する。
【0006】
コーティング産業は、極度にコスト競争的である。コストが低く改善された性能を与えるアスファルトベースのコーティング組成物開発のための継続的な努力がある。当業者が認識しているため、コーティングのユニット体積当たりの小さな価格差が、製品販売に大きな影響を有することが可能で、市場での成功と失敗の間の大きな差を意味する。
【0007】
コスト管理の一つの方法は、アスベストの無いアスファルトベースのコーティング組成物を処方することである。しかし、アスベストが使用されないと、界面活性剤がコーティング成分を分散および湿潤可能でなければならず、それによって組成物に所望の粘度を与えなければならない。界面活性剤のコストは、他のコーティング成分のコストに比較して通常高い。
【0008】
コスト管理の別の方法は、必要となる界面活性剤の量を減らすことである。利用される界面活性剤の量は、通常、界面活性剤に対するクレイの比率(clay to surfactant:"C/Sレシオ")の言葉で表現される。C/Sレシオは、組成物全体の中の界面活性剤の重量%に対するクレイの重量%の比率である。アスファルトカットバックは、コーティング処方の主成分であり、アスファルトカットバックは、使用されるクレイおよび界面活性剤の量に対して、通常大きく変わらないため、C/Sレシオは、界面活性剤量の有用な指標である。C/Sレシオが高ければ高いほど、使用される界面活性剤組成物の量が少なく、結果として生じるコーティングのコストが安い。
【0009】
アスベストを含まないアスファルトベースの屋根コーティング組成物は、通常約7:1〜約10:1の範囲のC/Sレシオを有している。高いC/Sレシオで、既知のコーティング組成物と同一または類似の結果を製造可能な界面活性剤は、潜在的にコスト管理への好機を与える。
【0010】
アスファルトベースのコーティング組成物は、さらにコストを管理するために、製造および処方も容易でなければならない。例として、古いアスベストの無い屋根コーティング組成物は、第四級塩化アンモニウム塩界面活性剤(特にジアルキル第四級塩化アンモニウム)ベースであって、これらの界面活性剤は使用が難しく、それによってコストを処方者に押し付けていた。第四級塩化アンモニウム塩は、通常、室温で固体またはペースト状の形態であるため、それによって界面活性剤を他のコーティング成分と混合して、均質な混合物を得ることを困難にしており、使用が難しかった。これらのタイプの界面活性剤を利用するためには、溶媒との混合または界面活性剤を熱することのいずれかによって、それらは最初に液体化されなければならない。溶媒の使用は、コストのため、および最終製品が100%より少ない界面活性剤を含むため、不利である。界面活性剤の加熱は、さらにプロセス段階を追加し、界面活性剤の分解および不活性化を与える。そして、界面活性剤の加熱は、特にもし可燃性溶媒が界面活性剤中に存在すると、潜在的な火事の危険の心配を生ずる。
【0011】
第四級塩化アンモニウム塩は、包装と貯蔵を困難にする腐食性であることも判明している。そうした腐食性が、自動車のボディー底面等の腐食しがちな金属との、アスファルトベースのコーティング組成物の使用を制限した。
【0012】
堅牢で、広範なアスファルト、クレイおよび他の成分を含むアスファルトベースの組成物に、適当な粘度を与えることが可能な、界面活性剤を提供することによって、さらにコストが管理され、コーティングの質が改善されえる。アスファルトカットバックの製造に使用されるアスファルトは、統一性を欠き、成分中で大きく変化する。コーティング製造産業で良く知られている様に、アスファルトは、所望のグレードおよびアスファルト製造業者の熟練度に依存して、酸化または非酸化である可能性がある。アスファルトの酸化は、その特性に大きく影響可能である。他のアスファルトカットバック組成物は、大きく変化することが可能である。外見的には類似のコーティング材料成分は、そうした材料が精製され、発掘され、さもなければ得られる地理的な領域に依存する材料特性の中で、広く変化することが可能である。界面活性剤が広範な成分を湿潤および分散できないと、粘度の損失および組成物の未熟な欠陥を起こす結果となるであろう。逆に言えば、広範なコーティング組成物で効能を有する界面活性剤は、処方者にコストを削減させ、改善された製品を与えるであろう。
【0013】
特許文献においては、コーティング組成物成分を湿潤し分散するための、アスファルトベースのコーティング組成物および界面活性剤に、かなりの興味があった。例は、米国特許番号第4,759,799号(ヴィセンジ(Vicenzi)ら)、第5,61 8,340号(クロフ(Krogh)ら)、第5,622,554号(クロフら)、第5,730,791号(クロフら)、第6,169,064号(クロフら)、第5,693,133号(ラーゲント(Largent)ら)、第5,529,621号(ハドソン(Hudson)ら)および第5,662,733号(ハドソンら)を含む。
【0014】
そして、多くのアスファルトベースのコーティング組成物が、商業的に入手可能である。代表的な組成物は、カリフォルニア州ハンティントンパークのヘンリー社(Henry Company of Huntington Park, California)のNo.100エラストエマルジョン(Elastomulsion:登録商標)およびNo.107アスファルトエマルジョン、イリノイ州ウィローブルックのアクゾーノーベルケミカル社(Akzo Nobel Chemicals, Inc. of Willowbrook, Illinois)から入手可能なレディコーテ(Redicote:登録商標)ブランドのエマルジョン、および No.71AFファイバーアスファルトコーティング、No.229ARエラストメリック(Elastomeric)、No.100AFファイバーなしエマルジョンコーティング、ニュージャージー州、クラークのカーナク社(Karnak Corporation of Clark, New Jersey)から入手可能なNo.107 ヴェルヴェット屋根コーティング(Velvet Roof Coating)および No.112AFファウンデーション&屋根コーティングを含む。
【0015】
多くの商業的に入手可能なアスファルトベースのコーティング組成物で使用されている産業標準の界面活性剤は、ウィスコンシン州ミルトンのトマープロダクツ社(Tomah Products, Inc. of Milton, Wisconsin)から入手可能なPA−14アセテート(商標)界面活性剤である。PA−14アセテートは、イソデシロキシプロピルアミンアセテート塩界面活性剤である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
それでも、製造および適用が容易で、アスベストのどんな必要性もなく、堅牢で広範なコーティング成分と使用可能で、コーティング組成物の先行技術の不利益を避けた、改善された粘度およびゲル安定性を有する、コスト効果があるアスファルトベースのコーティング組成物への継続的な要求がある。そしてそうした組成物で使用可能な改善された界面活性剤への継続的な要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、アスファルトベースの組成物、およびそこに使用される界面活性剤を含む。例示的なコーティング組成物は、例えば屋根および屋根メンブレン、めばり、建物、機械、舗装道路等のコーティング、あて、接合、充填、表面の修理とシーリングでの使用を含む、広範な適用での使用に適している可能性がある。例示的なアスファルトベースのコーティング組成物は、例えば流動性のあるスプレーで適用されるコーティングと同様に高粘性の屋根コーティング組成物を与えるために、広範な範囲の粘度にわたって処方されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
一般的には、アスファルトベースのコーティング組成物は、約50〜約98重量%のアスファルトカットバック、約43〜約1.7重量%のクレイ、および(式I)の一般構造式を有するプロポキシ化アルコールベースのエーテルアミン塩界面活性剤を含む:
【0019】
【化1】

【0020】
ここで、R1は、約8〜約24炭素原子の直鎖、分枝鎖または環状、飽和または不飽和の、脂肪族またはアルキルアリール基であり、mは1〜約4の整数であり、R2はn−プロピルまたはイソプロピル基であり、およびX-はアニオンである。塩界面活性剤は、組成物に所望の粘度を与えるのに充分な量存在する。
【0021】
アニオンX-は、好ましくは、プロポキシ化アルコールベースエーテル塩を調製するために使用される、有機または無機酸の負にチャージしたイオンである。好ましくは、酸はアミンを中和するのに充分な量存在する。しかし、該酸は、例えばアミン1モル当たり約1.5〜約2.5モル当量と、アミンを中和するために必要な量より過剰に存在してもよい。
【0022】
界面活性剤成分は、好ましくはアスファルトベースのコーティング組成物の約0.1〜約7重量%の量で与えられる。屋根コーティング組成物のために、界面活性剤は、アスファルトベースのコーティング組成物に、安定なゲル構造またはゲル安定性を付与するために充分な量与えられる。
【0023】
アスファルトベースのコーティング組成物は、界面活性剤に対するクレイの比率(C/Sレシオ)の広範な範囲にわたって処方されても良い。屋根コーティング組成物のための、好ましいC/Sレシオの範囲は、約6:1〜18:1である。ここに記載された組成物は、界面活性剤の効能のために、本C/Sレシオ範囲の上限で処方されてもよい。
【0024】
追加物が、コーティング組成物に所望の特性を与えるために、含まれてもよい。フィラーおよび溶剤が例である。
【0025】
ここに記載されたアスファルトベースのコーティング組成物は、優れた粘度および屋根コーティング組成物およびその同類のもののために、安定したゲル構造を有する様に、処方されることが可能である。これらの結果は、以前必要とされた量よりも少ない界面活性剤の量で達成可能であり、それによって、削減されたコストで同様または改善された性能を潜在的に与える。ここに記載されたもの等のアスファルトベースのコーティング組成物の製造は、界面活性剤の優秀な流動特性によって容易にされる。ここに記載されたように、アスファルトベースのコーティング組成物は、アスベスト無しで製造されていてもよい。
【0026】
本発明に従ったアスファルトベースのコーティング組成物は、3つのベース成分を含む:アスファルトカットバック成分、クレイ成分および界面活性剤成分。界面活性剤成分は、1以上のプロポキシ化アルコールベースエーテルアミン塩である。ベースで成分および追加成分は、混合されてコーティング組成物を与える。プロポキシ化アルコールベースエーテルアミン塩界面活性剤は、優れたコーティング組成物を与えるために、多くの異なるアスファルト、クレイおよび他の成分と使用可能である点で堅牢である。
【0027】
定義
”約”は、約または、ほぼを意味し、およびここで説明された数値の値又は範囲の関連では、引用または記載された数値の値または範囲の±10%を意味する。
【0028】
"アルコール"は、少なくとも一つのヒドロキシ基で置換された、直鎖または分枝脂肪族炭化水素またはアルキルアリール炭化水素をいう。
"脂肪族"は、鎖に結合された炭素原子をいう。
"アリール"は、5〜約14の環原子を有する、置換または非置換芳香族炭素環式ラジカル、および置換および非置換の複素環式化合物を意味する。
"アルキルアリール"は、酸素原子を通じて親部分に結合した置換アリール基を意味する。
【0029】
"アスファルト"は、石油の精製で原油の非破壊蒸留の生成物を意味する;それは、暗茶から黒色で、セメント状の半固体または固体である。供給原料として使用される原油によって、蒸留残渣は、独立した適用のための性能特性に見合うように、通常(時に触媒とともに)エアーブローまたは溶媒沈殿によって、さらに処理される。アスファルトは、通常パラフィンおよび芳香族炭化水素および硫黄、窒素および酸素を含む複素環式化合物の混合物である。
【0030】
"アスファルトベース"は、成分としてのアスファルトを含む組成物を意味又はいう。
"アスファルトカットバック"は、石油溶媒(希釈剤)と混ぜることによって液化されたアスファルトを言う。大気条件にさらすと、希釈剤を蒸発して、その機能を果たすアスファルトを残す。
【0031】
"クレイ"の語はやわらかい地球の材料を意味または示し、熱可塑性、または手でモールドできる可能性があり、通常アルミニウムの水和シリケートからなる。クレイは、アルミニウムの材料を花崗岩として含む岩の、部分的な消耗および分解の結果である。石灰、マグネシア、鉄の酸化物、および成分が、しばしば不純物として存在する。
【0032】
"クレイの界面活性剤に対する比率(Clay to sufactant ratio)" または"C/Sレシオ"は、クレイの重量%が分子で、界面活性剤の重量%が分母である比を意味またはいう。
【0033】
"Cx"または"Cx〜Cy"は、値x、またはxおよびyが、存在する炭素原子の第一の分配を表す。例えば、C12〜C15は、種々の同族の異性体構造を含む約12〜約15の炭素原子の第一の炭素原子配分を有する炭素原子基をいう。製造された製品は、例えば天然に存在する脂肪部分がアルコールの原料として使用される時に、記載された数字または範囲のほかに、炭素原子を有する炭素原子基を含む可能性がある。
【0034】
"ゲル安定性(gel stability)"または"安定ゲル構造(stable gel structure)"は、時間とともに一般的に一定から少し上昇した粘度、および時間が経っても組成物が一般的に分散したまま、または均質である組成物の成分を有する組成物をいう。言い方を変えると、組成物は一般的に安定なままである。屋根コーティング組成物のためには、ゲル安定性または安定ゲル構造の決定が、製造後4週間後になされることが、受け入れられており、勧められる。
【0035】
"酸化されたアスファルト"は、最終製品の産業的使用のために必要な物理的特性を実現するために、高温で吹き込み空気によって処理されたアスファルトを意味、またはいう。 "酸化されていないアスファルト"は、酸化されなかったアスファルト製品である。
【0036】
”急速硬化アスファルト”は、アスファルトおよびナフサまたはガソリンタイプの高揮発性希釈剤からなるアスファルトカットバックを意味、またはいう。 "低速および中速硬化アスファルト"は、それぞれ、アスファルト、ケロシンおよび低又は中揮発性ガスオイルからなるアスファルトカットバックである。
【0037】
"プロポキシ基"は、酸素原子を通して親分子に結合した3炭素原子のアルコキシ基をいう。
【0038】
"界面活性剤"(界面活性薬剤) は、低濃度で他の材料に加えられた時に、表面または界面で材料の特性を変化させる1または複数の分子を意味、またはいう。ここに記載された界面活性剤は、湿潤、拡散の改善、エマルジョン化および分散、処方組成物をあわせまたは適合させること、および粘度の改変または安定に有用である。
【0039】
アスファルトベースのコーティング組成物で有用な界面活性剤は、ポリプロポキシ化アルコールベースエーテルアミン成分、および酸から生成されたアニオン、を含む塩である。アスファルトベースコーティング組成物の処方に使用される界面活性剤は、通常(式I)で表される構造を有する:
【0040】
【化2】

【0041】
ここで、R1は、約8〜約24炭素原子の直鎖、分枝鎖または環状、飽和または不飽和の、脂肪族またはアルキルアリール基であり、mは1〜約4の整数であり、R2はn−プロピルまたはイソプロピル基であり、およびX-はアニオンである。界面活性剤成分は、(式I)に従ったプロポキシ化アルコールベースエーテルアミン塩、または組み合わせ、または混合物、またはプロポキシ化アルコールベースエーテルアミンおよび塩である。
【0042】
アニオンX-は、好ましくはプロポキシ化アルコールベースエーテルアミン塩を調製するために使用される有機又は無機酸の負にチャージしたイオンである。好ましい酸は、分枝鎖、直鎖および環状構造を有する有機酸である。アニオンの形成において適した代表的な有機酸は、安息香酸、イソオクタン酸、ギ酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、イソフタル酸、フタル酸、酪酸、ダイマー酸、オイル誘導酸を含む。ネオデカン酸(neodecanoic acid)、ネオオクタン酸(neooctanoic acid)およびネオトリデカン酸(neotridecanoic acid)等のネオ酸(Neo acids)が利用されても良い。生成された有機酸の蒸留残渣から生じた他の高価でない”底流(bottom stream)"有機酸も利用可能である。酢酸およびギ酸は、それらのコスト競争力および広範な入手可能性から、特に好ましい。有機酸の混合物が利用されても良い。代表的な有機酸は、塩酸、リン酸、ポリリン酸、硫酸および他の無機酸を含む。混合物を利用しても良い。
【0043】
1は、約8〜約24炭素原子の分枝鎖、直鎖または環状、飽和または不飽和の、脂肪族またはアルキルアリール基であることは、好ましい。R1が約10〜約18の炭素原子を有する脂肪族であることは、非常に好ましい、R1が約12〜約15の炭素原子を有する脂肪族であることは、さらに好ましい。プロポキシ化アルコールベースエーテルアミンは、R1で炭素原子の分配がある可能性があり、種々の同族の異性体構造を含む可能性がある。
【0044】
好ましくは、R1は脂肪族アルコールから誘導されている。例としては、C12〜C16ココナツベースのアルコール、C16〜C18獣脂ベースのアルコールC18〜C22の菜種ベースのアルコール、およびC18オレイルベースのアルコールおよびC18〜C22の大豆ベースのアルコール等の不飽和アルコールを含む。天然脂肪およびオイルから誘導された脂肪酸アルコールが、低コストおよびそうした材料の入手しやすさから、望ましい。
【0045】
石油製品から誘導された脂肪酸アルコールも有用である。例としては、テキサス州ヒューストンのシェルケミカルLP社から入手可能なネオドールブランドのC9〜C11、C11、C12〜C13、C12〜C15、C14〜C15およびC16〜C17の高直鎖アルコールおよび、テキサス州ヒューストンのエクソンモービル(登録商標)ケミカル社から入手可能なエクサル(Exxal:登録商標)ブランドのC10〜C12およびC13分枝鎖アルコールを含む。
【0046】
1で使用のための代表的なアルキルアリールアルコールは、置換フェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノールが例である。
【0047】
1が直鎖基よりも分枝鎖または環状基を含む時は、界面活性剤の流動性は、改善される可能性がある。流動性はまたR1が不飽和性を有する場合も高められる。
【0048】
"m"の文字は、プロポキシ化アルコールベースのエーテルアミンと協働する、プロポキシ基の数を表す整数である。さらに好ましくは、そうしたプロポキシ基の付加は、下に詳細が記載されるようなアミンの合成の間のモル等量のアルコール当りの1〜4モル等量のプロピレンオキサイドの付加の結果から生ずる。界面活性剤は、プロポキシ基の分配を含んでもよい。。
【0049】
とりわけ、界面活性剤の流動性は、プロピレンオキサイドのモル数、およびm値の増加につれて改善する。R1の炭素原子数が増加、およびR1の枝が減少してその結果R1でさらに直線コンホーメーションになっても、m値の増加は、処方を行う者に界面活性剤の流動性維持を可能にするであろう。これは、処方を行うものに、試薬としてより高くない天然由来の直鎖脂肪アルコールの利用を許容する。プロポキシ部分の利用の結果として生ずる流動特性は、処方の選択枝およびコスト管理を、容易にし広げる利点を示す。
【0050】
特に好ましい具体的な実施例では、R1は約12〜約15炭素原子の間であり、mは1〜4のプロポキシ基を表す1〜4であり、R2は直鎖脂肪族プロピル基であり、X-は、(式I)に関係して記載される酸誘導アニオンである。そうした好ましい態様は、(式II)によって表される一般式を有する:
【0051】
【化3】

【0052】
ここで、aは11〜14の整数であり、bは1〜約4の整数であり、X-は(式I)で定義される。
【0053】
さらに好ましい具体的に実施例では、R1は12〜14炭素原子の間であり、mは一つのプロポキシ基を表す1であり、R2は分枝脂肪族イソプロピル基であり、X-は(式I)と関係して記載される酸誘導アニオンである。そうした好ましい態様は、(式III)で表される一般式を有する:
【0054】
【化4】

【0055】
ここで、cは11〜約13の整数であり、X-は(式I)で定義されている。(式II)および(式III)の界面活性剤の組み合わせが利用されても良い。
【0056】
-によって表されるアニオンを与える酸がアミンを中和するために、ほぼ充分な量存在することが、好ましいが必須ではない。界面活性剤は、より少ない酸の量でも有効であろうが、過剰量のアミンの結果として生じる顕著な臭い等の望まれない特性を有する可能性があるであろう。
【0057】
コーティング組成物は、アミンの中和のために必要な、過剰量存在する酸成分を含む態様において、改善された効能を有することが見出された。比較的大量の酸を使用する界面活性剤成分を処方することも、通常酸はアミンより高くないため、有利である。好ましくは、これは、絶対的または必須の範囲ではないが、酸は、(例えば酸の約1〜約2.50モル当量の)アミンを中和するために必要な約1〜約2.50倍量存在する。過剰量の酸の使用は、希釈効果を有することは観察されなかったし、界面活性剤の効能を減少させず、またはここに記載されたコーティング組成物の粘度の増加を起こさなかった。不快なにおい等の有害な副作用は、過剰量の酸の存在によって指摘されなかった。共通の所有である米国特許番号第5,618,340号は、酸の3モル当量まで存在する時に、エーテルアミン酸錯体によって拘束されることによって、エーテルアミン酸錯体が形成され、および結合していない酸から結果として生じることが可能な望まれない臭いを避けるながら、該複合物が改善された効能に貢献する可能性があることを説明する。米国特許番号第5,618,340号の内容は、参照することによってここに取り込まれる。
【0058】
界面活性剤で使用されるプロポキシ化アルコールベースエーテルアミンは、通常室温で液体であり、製造および使用の間取り扱われることおよび容易に混合されることが可能である。界面活性剤の処方で使用されるプロポキシ化アルコールベースエーテルアミンは、使用に先立って熱せられる必要が無く、この様に火事の危険を避けている。R1に直鎖の12〜22炭素原子を有するプロポキシ化されていないアルコールベースエーテルアミンは、室温で固体であろうため、プロポキシ化アルコールベースのエーテルアミンが、mが1位小さい時に流動性を有することは驚きであった。この予期していなかった結果は、プロポキシ基の存在またはR1での分枝鎖は、分子に流動性の付与において特に効果的であることを示すであろう。加えて、プロポキシ化されたアルコールベースエーテルは、腐食性でない。非腐食性酸で処方された時、アスファルトベースのコーティング組成物は、金属容器に貯蔵されてもよく、腐食作用なしに金属を含有する表面に適用されてもよい。
【0059】
アスファルトカットバックは組成物の主な処方成分であり、そうしたアスファルトカットバックの量は、そうした組成物のクレイおよび界面活性剤の量に対して大きく変わらない。本発明に最も適するアスファルトカットバックは、中速硬化(medium-cure:MC)、高速硬化(rapid-cure:RC)、または低速硬化(slow-cure:SC)カットバックでさえ可能性がある。アスファルトカットバックは酸化され、または酸化されていなくても良い。アスファルトカットバックの混合物が使用可能である。クレイ材料種類は異なる範囲が使用されても良い。
【0060】
異なる範囲のクレイの材料タイプが、使用されても良い。アタパルジャイトクレイは、屋根コーティング組成物での使用のために特に好ましい。アタパルジャイトクレイは、特にアスファルトベースの組成物を厚くするために適すように、特別にサイズ化され、ゲル状のクレイ製品に加工されている。知られているように、(時々フラークレイと呼ばれる)アタパルジャイトクレイは、主として鉱物パリゴルスカイト、水酸化マグネシウムアルミニウムケイ酸塩水和物((Mg,Al)2Si410(OH)-4H2O)からなる。ベントナイト、ボール(ball)、海泡石、またはカオリンタイプクレイ等のほかのクレイが使用されても良い。好ましいアタパルジャイトクレイは、改善された粘度を与えるようにそれらの効能を最大化させる、広い表面範囲を有する小さな均一サイズを与えるために、採掘工程の後で特にサイズを合わせられる。クレイの混合物が使用されても良い。
【0061】
処方者および/又は最終ユーザーに希望される特性で、アスファルトベースのコーティング組成物を処方するために、広範な成分重量%の範囲で、アスファルトカットバック、クレイおよび界面活性剤ベース成分が、利用可能である。アスファルトカットバックが、コーティング組成物の約50〜約98重量%を構成することは望ましい。アスファルトカットバックが、この範囲で与えられる時、クレイがコーティング組成物の約1.7〜約47.4重量%を構成し、界面活性剤が、コーティング組成物の約0.1〜約7.1重量%を構成することが望ましい。
【0062】
比較的少ないアスファルトカットバックおよび多いクレイを有する組成物は、ワニス等の高粘度の組成物である傾向があるであろう。比較的多いアスファルトカットバックおよび少ないクレイを有する組成物は、比較的多量の溶媒を含有するアスファルトカットバックの存在のために、低粘度の傾向があるであろう。
【0063】
さらに好ましい実施態様では、屋根コーティング組成物に特有であるアスファルトカットバックは、コーティング組成物の約80〜約98重量%を構成する。アスファルトカットバックが、このレンジで与えられた時は、クレイはコーティング組成物の約1.7〜約19.0重量%を構成し、界面活性剤はコーティング組成物の約0.1〜約3.0重量%を構成することが好ましい。これらの好ましい範囲内のベース成分を有するアスファルトベースのコーティング組成物は、安定したゲル構造を有するために、容易に処方されることが可能である。
【0064】
さらにより好ましい態様では、屋根コーティング組成物での使用に特によく適したアスファルトカットバックは、コーティング組成物の約83〜約88重量%を構成する。アスファルトカットバックが、この範囲で与えられると、クレイはコーティング組成物の約10.3〜約16.1重量%を構成し、界面活性剤は、コーティング組成物の約0.6〜約2.4重量%を構成することが好ましい。
【0065】
上記の重量%の範囲は、約6:1〜約18:1の範囲のC/Sレシオを有するアスファルトベースのコーティング組成物を表す。特別なコーティング組成物で使用される界面活性剤の量は、所望のC/Sレシオを達成するように調整されてもよい。もし、コスト削減が所望であれば、そうしたレシオの使用は、より高い界面活性剤成分の比較的少ない量の使用、およびより安いクレイ成分の比較的多い使用を意味するため、10:1または12:1より多いC/Sレシオが好ましい。下に記載され、図に示される様に、ここで記載される界面活性剤は、より低い8:1のオーダーのC/Sレシオの既知の界面活性剤と同じ性能を達成するために、12:1〜16:1のC/Sレシオで使用することが可能である。そうした界面活性剤の効能は、顕著な性能および処方者へのコスト上の利点を示す。
【0066】
アスファルトベースのコーティング組成物は、処方者および最終ユーザーの好みおよび必要によって、6:1より下および約18:1より上のC/Sレシオで処方できる。アスファルトベースの組成物は、4:1より小さいC/Sレシオの効能を有するとはいえ、そうした組成物は、比較的より多い量の界面活性剤の使用と関連して増加するコストによって、好まれない。
【0067】
フィラーおよび他の添加物が、所望によりコーティング組成物に、コーティングの固有および機械的特性を変更する手段として、取り込まれても良い。フィラーも、適用後の組成物に、かさおよび補強および収縮制御を与えるために有用である。有用なフィラーは、砂、マイカ、グラウンドスレート、珪藻クレイ、石灰クレイ、珪灰石、真珠岩、セルロース系繊維、タルクおよびポリオレフィン系繊維を含む。
【0068】
もし与えられれば、そうしたフィラーは全組成物の約2〜約50重量%を構成するだろう。前記の範囲は、非常に一般的な範囲である。フィラーは、組成物に所望の特性を与えるために必要な量加えられる。個別のコーティングで使用されるフィラーの具体的な正確な量は、使用される具体的なフィラーのタイプおよび達成されようとする性能の利益に依存して、大きく変化するであろう。
【0069】
他の添加物は、共炭化水素(co-hydrocarbons)、ミネラルスピリット、ナフサ、ケロシンおよびナンバー2燃料オイル等の溶媒を含んでもよい。もし与えられれば、全組成物の約5〜約30重量%を構成してもよい。フィラー成分と一緒のため、どんな個別のコーティングで使用される溶媒の具体的な量は、具体的な溶媒タイプおよび達成されようとする性能の利益に依存して大きく変化するであろう。
【0070】
ここで明らかにされた重量%は、有用な組成物の範囲を確立するために与えられる。一般的に好まれないとはいえ、ここに記載されたようなアスファルトベースのコーティング組成物は、記載された重量%の範囲外の量で与えられると効能を有する。別の表現をすれば、アスファルトベースのコーティング組成物は、成分が記載された範囲のわずか外側であるため、実施不能(inoperable)ではない。
【0071】
ここで記載されたアスファルトベースのコーティング組成物は、なんらアスベストなしで、素晴しいゲル安定特性を有し、アスベストなしで製造してもよい。好ましくないものの、アスベストは処方者または最終ユーザーによって必要および所望に応じ追加物として含められることが可能である。
【0072】
アスベストカットバックの代表的な調達先は以下の様である:テキサス州ヒューストンのエクソン(Exxon)社から入手可能なMCカットバックであるエクソン7057、フロリダ州ターンビルのガードナーギブソン社から入手可能なMCカットバックであるガードナーカットバック、イリノイ州サミットのトランブルアスファルト社から入手可能なトランブル(Trumbull)6009および6089(酸化)および 6032および6052(非酸化)、およびメリーランド州バルティモアのアスファルトプロダクツカンパニー社からのアスファルトカットバック。適したアスファルトカットバックは、多くのほかの調達先から入手可能である。
【0073】
代表的なクレイの入手先は、マサチューセッツ州ハントバレーのフロリディン(Floridin)社から入手可能なアタパルジャイトである、ミニュゲル(Min-U-Gei)G-35を含む。他の有用なアタパルジャイトクレイは、ニュージャージー州エディソンのエンゲルハート社によって、アタゲル(ATTAGEL)20、30、36、17および19の商品名で販売されている。さらに他の使用される可能性のあるアタパルジャイトクレイは、ペンシルバニア州ハードレイのミンテック(MinTech)インターナショナル社からのプレイゲル(PlayGel) JT-NAおよびMT、およびテキサス州ゴンザレスのサザンクレイプロダクツ社からのベントライトWHを含む。そうしたクレイは、様々な粒子サイズを商業的に入手可能である。他のクレイが使用されても良いが、アタパルジャイトが非常に好ましい。
【0074】
ウィンスコンシン州ミルトンのトマープロダクツ社は、(式I)〜(式II)の界面活性剤塩を製造するために有用である可能性があるプロポキシ化アルコールベースエーテルアミン成分の調達先である。代表的なトマープロダクツ社のアミンは、以下のネオドール(Neodol)ブランドまたはエクサルブランドのアルコールベース製品を含む:ネオドール11アルコールベース1-P1-PA(ネオドール1-P1-PAとも呼ばれる)、エクサル10アルコールベース10-P1-PA(エクサル10-P1-PAとも呼ばれる)、エクサル13アルコールベース13-P1-PA(エクサル13-P1-PAとも呼ばれる)、ネオドール25-Pl−PA、ネオドール25-P2-PA、ネオドール45アルコールベース45-P1-PA(ネオドール45-P1-PAとも呼ばれる)およびネオドール45アルコールベース45-P3-PA(ネオドール45-P3-PAとも呼ばれる)。(式III)のプロポキシ化アルコールベースエーテルアミン成分は、テキサス州ヒューストンのハンツマン(Huntsman)社から、サーフォアミン(Surfonamine)ML-300(登録商標)の商品名で入手可能である。記載したようにトマープロダクツ社は、商品名PA-14)アセテート(商標)で販売されている業界標準のデシロキシプロピルアミンアセテートの調達先である。
【0075】
界面活性剤の処方での使用に適した酸前駆体は、商業的調達先から容易に入手可能である。代表的な酸は、ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.ベーカー(Baker)社から、入手可能なギ酸、塩酸およびリン酸を制約無く含む。さらに代表的な酸は、イリノイ州ローズモントのヴェルシコール(Velsicol)ケミカル社からの安息香酸、およびJ.T.ベーカー社からの酢酸およびプロピオン酸である。さらに代表的な酸は、ヒドロキシ酢酸(アルドリッチケミカル社、ウィンスコンシン州ミルウォーキー)およびニュージャージー州ピスキャタウェイのハルズ(Huls)アメリカ社からのブチル酸およびイソブチル酸である。エクソンモービル社からは酸は入手可能でない。
【0076】
多くのダイマー酸が本発明では有用である。有用なトール油ベースのダイマー酸、オレイン酸ダイマーおよびリノール酸ダイマーの商業的な調達先は、オハイオ州シンシナチのコグリス(Cogrris)社である。
【0077】
界面活性剤処方のために有用な天然オイル誘導アルコールは、技術的に周知のように、代表的な前駆体に存在するポリグリセリドエステルの酸化によって得られる。実例となるアルコールは、フロリダ州パナマシティーのアリゾナケミカル社コーン油、ウィトコ(Witco)社、テネシー州メンフィスのハムコ(Humko)化学部からの綿実油、オハイオ州シンシナチのプロクターアンドギャンブル社から入手可能な亜麻仁油および大豆油、南カルフォルニア州チャールストンヘイツのウェストヴァコ(Westvaco)社から販売されているトール油ベースである可能性がある。コグニス社は、天然オイル誘導アルコールの調達先である。
【0078】
ベース成分で処方された屋根コーティング組成物態様の粘度は、擬似塑性およびチキソトロピックと記載されてもよい、そうした特性は、以下のものによって示される:組成物のゲル安定性;低せん断速度で比較的高い粘度;高せん断速度で比較的低い粘度;ある期間にわたって適用された一定のせん断に対応する粘度減少における良い一定性;および良い回復性、すなわちせん断が終了した後の初期特性の回復。
【0079】
ここで記載された界面活性剤は、屋根コーティング組成物の態様では、安定したゲル構造を与える上で有効である。ゲル安定性は、最終コーティング組成物を長期間の貯蔵で沈降および分離に対して安定させることに寄与する。コーティング組成物は、低せん断速度で高粘度を、高せん断速度で低粘度を有する。低せん断速度での高粘度は、プロセス、パッケージング、適用の間、混合非均質性を保つ。高せん断速度での低粘度は、適用を容易にする。
【0080】
ここで記載される屋根コーティングの態様は、適用の後、粘度の良い回復性を有する。そうした粘度の良い回復性は、適用後の溶媒の蒸発が起こっている間、たれおよび流れを最小化する。
【0081】
屋根コーティングの適用での使用のために処方された、ここで記載される例示的なアスファルトベースのコーティングの粘度は、好ましくは、約60,000〜約300,000センチポイズ(cP)である。これは好ましい範囲であり;この範囲の外、特に範囲より下で、素晴しい屋根コーティング組成物が処方可能である。安定なゲル構造が達成されるほかの特別な粘度はない。粘度が高ければ高いほど、処方者は少ない界面活性剤を使用し、優れた粘度の組成物を与える一方で、それによってC/Sレシオを増加させコストを下げる良い好機である。安定したゲル構造は、もし粘度が基本的にほとんど変わらない所から4週間以上の間隔で少し高くなる所にとどまれば、安定したゲル構造が推察される。
7番スピンドルのついた10回転/分のブルックフィールド粘度計モデルRVT(ブルックフィールド工学研究所(Brook field Engineering Laboratories)、マサチューセッツ州ミドルボロ)が粘度を決定するために使用されても良い。
【0082】
他のアスファルトベースのコーティング組成物は、かなりさらに低い粘度で処方可能である。そうした組成物は、疑似塑性およびチキソトロピー性または回復可能性を有する必要は無い。例は車道シーラーおよびスプレーで適用されるコーティングである。
【0083】
実施例に伴う図およびデータに示されているように、ここに記載されたコーティング組成物は、デシロキシプロピルアミンアセテート塩に基づく界面活性剤を含む現在の産業の標準製品と、肩を並べるまたはそれ以上の粘度特性を有するが、ずっと低いC/Sレシオである。すでに記載したように、12:1〜16:1の範囲のC/Sレシオを有するコーティング組成物を製造する能力を有することは、さらにコストの高い界面活性剤をより少なくすることによって同じ性能が達成可能で、それによってコストをコントロールすることを意味する。
【0084】
何か特別な理論によって縛られることを望んでいない一方、プロポキシ化アルコールベースエーテルアミン塩を含むコーティング組成物は、少なくともいくつかの理由で有効であると信じられている。R1基の炭素原子が炭素を含有するアスファルトカットバックとよく結合し、プロトン化された窒素頭部基がクレイの中の水と効果的に結合するため、界面活性剤はコーティング成分の分散では非常に効果がある。
【0085】
1または複数のプロポキシ基の分枝は、界面活性剤に素晴しい流動性を与えると信じられている。これまではそうした流動性は、実施例101に示したように、R1での直鎖脂肪族基は室温では固体であるため、界面活性剤R1での分枝脂肪族基の利用によってのみ達成された。
【0086】
しかし、現在の界面活性剤は、1または複数のプロポキシ基から流動性を得ている。有利なことに、より高くない天然に存在する直鎖脂肪アルコール部分は、試薬として利用可能である。予期しなかった結果は、これまで達成可能であったよりも少ない界面活性剤濃度で有効であるコーティング組成物であり、素晴しい流動特性を有し、さらなるコスト管理を処方者に許容する。
【0087】
ここに記載される様に塩界面活性剤は、アスファルトベースのコーティング組成物の成分として有用性を有する一方、ある塩界面活性剤はアスファルトベースのコーティング組成物以外の適用のための有用性を有する可能性があることが想像される。
【0088】
例示組成物の調製
本発明のコーティング組成物の調製は、組成物で使用される特定成分、成分のプロセスのために有用な混合器具のタイプ、および利用目的によって幾分か変化するであろう。これらのプロセスの段階は、決定的ではなく、考えられる変化が可能である一方、ここで記載されたある混合手順が好まれる。
【0089】
(式II)に示されている塩への代表的なプロポキシ化アルコールベースエーテルアミン前駆体は、C12〜C15アルコールの酸化プロピレン付加物から得られたモノアミンである。当業者に良く知られているプロセスでは、単一または混合物のC12〜C15アルコールは、(水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等の)触媒の存在下でプロピレンオキサイドと反応する。アルコールのヒドロキシル基はプロピレンオキサイドと反応して、ポリプロピレンオキサイドのモノマーを生成する。アルコール1モル当たり、2〜4モルのプロピレンオキサイドの付加は、ジ、トリおよびポリ(プロピレングリコール)エーテルを与える。続くシアノエチル化工程では、アクリロニトリル(2−プロペンニトリル)と反応する前段階反応生成物がエーテルニトリル(ethernitrile)を与える。エーテルニトリルの還元は、対応する合成プロポキシ化アルコールベースエーテルアミンを与える。
【0090】
(式III)の塩への代表的なプロポキシベースのエーテルアミン前駆体の合成は、プロポキシ化アルコールが水と置換する一方、過剰のアンモニアと反応する点のみ、(式II)の組成物のそれと異なる。水および過剰アンモニアの除去のための真空の適用は、(式III)のような対応する合成エーテルアミンを与える。
【0091】
塩界面活性剤は、プロポキシ化アルコールベースエーテルアミン前駆体と選択された酸の混合によって調製される。酸は適した量存在しても良いが、最も好ましくは、アミンを中和するために必要な量存在する。そして、酸はアミンの中和に必要な過剰量だけ存在しても良い。過剰量の酸は性能の利点を生み出すことが出来ることが見出された。例えば、酸は(例えば酸の約1〜2.5モル等量)のアミンを中和するために、約1〜約2.5倍存在しても良い。酸はプロポキシ化アルコールベースエーテルアミンよりずっとコストが低いため、コスト削減の観点からは、最適化された界面活性剤は、プロポキシ化アルコールベースエーテルアミンに対する酸の可能なもっとも大きい比率を含む。
【0092】
好ましくは、アスファルトカットバック、クレイおよび界面活性剤はともに混合される。混合段階は重大ではなく、考えられる変化が可能である一方、ある手順が好まれる。アスファルト、クレイおよび界面活性剤の混合は、使用されるプロセス設備に基づいて変化する傾向がある。一般的に高せん断ミキサーが使用されると、好ましい追加の順番は、最初にゲル化されるまで、アスファルトカットバック、界面活性剤およびクレイの混合を含む。そしてゲル化した組成物にフィラーが加えられ混合される。もしパドルまたはリボンミキサー等の低せん断設備が使用される(または高せん断ミキサーバッチでのクレイの濃度が低い)のであれば、ゲル化を高め分散を最適化するために、前ゲル化テクニックの使用が勧められる。
【0093】
好ましい前ゲル化プロセスは、全ての界面活性剤をすべてのクレイおよび一部(好ましくは約3分の2)のアスファルトカットバックと、厚いゲルが形成されるまで、充分に混合することからなる。そしてカットバックの残渣および1または複数のフィラーの全てが加えられ、充分に混合される。追加溶媒が必要であれば、混合物が均質になった後で追加可能である。
【0094】
混合物に加えられるフィラーの選択と量は、製品の最終用途に部分的に依存する。例えば、組成物が、ブラシ可能な屋根コーティング、スプレー可能なコーティングまたは屋根のセメントになるかどうかである。所望の最終粘度およびアスファルトベースのコーティング組成物は、存在するカットバックおよびクレイの量の加減によって、C/Sレシオまたは加えられるフィラーの加減によって調整可能である。
【0095】
コーティング中の界面活性剤塩の最適な量の決定は、性能とコストに対して有用である。屋根コーティング組成物のための最適条件は、所望のゲル特性および安定性を与える、考えられる最小量の界面活性剤(すなわち最も高いC/Sレシオ)であると考えられている。最適条件のレシオは、主に具体的なプロポキシ化アルコールベースエーテルアミンおよび選択される酸前駆体、アスファルトの酸化の度合いおよび使用されるクレイによる。したがって、各組み合わせのために、最適な割合が決定されなければならない。
【0096】
最適なC/Sレシオを決定するための一つの方法は、界面活性剤および選択されたアスファルトカットバックの組み合わせに対する特定割合の選択されたクレイの混合物中のC/Sレシオのラダーをかける(run a ladder of)ことであり;例えば、約88重量%(または部)のアスファルトカットバックおよび界面活性剤に約12重量%(または部)のクレイが合わせられる。そうするとC/Sレシオは、許容される範囲と考えられる中で変化する可能性がある。テストされるレシオ増大の範囲は、広い必要は無いが、例えば約8:1から始まり、16:1まで達してもよい。本実験の間、粘度および結果となる組成物ゲル安定特性の読取りが混合の後、周期的な間隔で読み取られる。これらの読み取りは、24時間後および混合後1〜4週間の期間取られてもよい。温度および圧力条件は、好ましくは、そうしたテストの間コントロールされるべきである。そこで、最適なC/Sレシオは、アスファルトベースのコーティング組成物のスケールアップした生産のためのよりどころとして使用されても良い。
【0097】
ゲルの特徴の測定装置および方法は、当該技術分野で周知である。記載したように、ブルックフィールドRVT粘度計が、粘度を決定するために使用されても良いが、(良い針入度計等の)いかなる敏感なテスト装置が使用されても良い。ASTM D21 96−81で説明されるテスト手段が、粘度を決定するために使用されることは、好ましいが必要ではなく、いかなる信頼性のある手順も容認できる。
【0098】
屋根コーティング組成物のための、テスト期間にわたるゲル特性の読み取りでの大きな変化は、ゲル安定性の欠如を示す。これは、容認しがたいC/Sレシオまたは処方中の他の容認しがたい特性を示す傾向がある。延長された期間で充分なゲル安定性を示すという条件で、着実なまたは少しの読み取り値の増加は、望まれるものである。
【0099】
本発明に従った組成物は、既知のコーティング組成物と同様に異なる表面に適用される。それらは、屋根コーティング、屋根セメント、乗り物の下塗り、パイプコーティング、マスチック、および他の多くの目的のために使用可能である。
【実施例】
【0100】
実施例およびデータ
以下の各実施例では、アスファルトベースのコーティング組成物は、低せん断混合技術を使用し、上に記載の方法で挙げられた成分を追加および混合して作られた。個々の実施例のために、処方が記載され、処方に関するコメントまたは結果として得られた組成物が示される。
【0101】
実施例1〜6 ベースの処方
実施例1〜6は、例示的なアスファルトベースのコーティング組成物を示す。実施例1〜6の個々は、非酸化アスファルト、アタパルジャイトクレイおよびプロポキシ化アルコールベースエーテルアミン塩界面活性剤を含む。他の成分は含まれなかった。
【0102】
実施例1〜4は、トマープロダクツ社のPA−14アセテート界面活性剤に基づく産業の標準屋根コーティング比較組成物を含む。産業標準の屋根コーティング組成物は、ヘンリー社の非酸化アスファルトカットバックミニュゲル(Minugel)G−35、アタパルジャイトクレイおよびトマープロダクツ社のPA−14アセテート界面活性剤(イソデシロキシプロピルアミンアセテート塩界面活性剤)を含む。産業標準組成物は、実施例1〜4に示されるように、8:1および12: 1のC/Sレシオで与えられた。
【0103】
前記の低せん断混合テクニックが、個々のアスファルトベースのコーティング組成物、および標準を調製するために使用された。個々の例では、表1に示されたように、界面活性剤に対するクレイが8:1、12:1および16:1の350グラムのサンプルが調製された。標準は350グラムで調製されたが、8:1および12:1のC/Sレシオであった。
【0104】
【表1】

【0105】
表2は、実施例1〜6の例を作るために使用されたアスファルトカットバックおよびクレイの調達先を示す。利用された界面活性剤は、個々の例に記載される。個々の組成物のために利用された界面活性剤は、個々の実施例に示されるように、プロポキシ化アルコールベースエーテルアミンに対し、約1〜約2モル当量の酢酸を含んでいた。
【0106】
【表2】

【0107】
個々の実施例の粘度データ、および産業標準の界面活性剤に基づく屋根コーティング組成物が、下にセンチポイズ単位(cP)で表される。粘度測定は、4週間の間1日間隔、そして1週間隔で、10回転/分で#7のスピンドルのブルックフィールド社のRVT粘度計を使用して、ASTMD2196−81に従って行われた。
【0108】
図1〜6は、実施例1〜6のデータを表す。図1〜6に示されたように、粘度測定を表すデータ点での小さな変動が予想される。粘度測定は、粘度測定が行われるときの環境の温度、粘度測定を行う作業者および高粘度組成物の正確な粘度決定における固有の困難性等の要素に基づいて、かすかに変化することが予想される。ゲルの安定性は、4週間以上の期間にわたって高止まりする粘度によって、一番良く示される。
【0109】
60,000〜130,000cPの範囲にある4週間後の粘度は、屋根コーティング組成物のための素晴しい粘度を示す。4週間後60,000cPの好ましい粘度を有するアスファルトベースのコーティング組成物は、安定なゲル構造のコーティング組成物を表し、部分に分離せず、安定で使用可能な組成物として有効であるだろう。安定なゲル構造は、60,000cPより小さい粘度で達成可能である。そうした組成物は、厚く粘性のあるコーティングの外観を有する。
【0110】
実施例1
実施例1は、アスファルトベースの屋根コーティング組成物を含む。実施例1の屋根コーティング組成物は、非酸化アスファルト、アタパルジャイトクレイおよびネオドール25アルコールベース25-P1-PAアセテート界面活性剤成分を含んだ。ネオドール25-P1-PAは、(式II)に従ったプロポキシ化アルコールベースエーテルアミンである。ネオドール25-P1-PAは、R1位で分配または炭素原子を含む、ここでR1は、約12〜15の炭素原子を有する脂肪族基、mは1およびR2は、n−プロピル基である。ネオドール25-P1-PAは、約1モル当量の酢酸(すなわち、約100%の中和)で充分に中和された。産業標準のPA-14アセテート界面活性剤を含む屋根コーティング組成物は、比較の基準を与えるために含まれる。
【0111】
表3は、製造後4週間での粘度を与える。図1は、グラフの形で個々のサンプルの4週間の間の粘度データを示す。データはセンチポイズ(cP)単位で示されている。
【0112】
【表3】

【0113】
データは、8:1のC/Sレシオの例示的および産業標準の組成物は、好ましい60,000〜130,000cPの範囲をはるかに超えていることを示す。予想外なことに、12:1および16:1のC/Sレシオのコーティングの例示的組成物も所望の好ましい粘度範囲を超えており、比較的少ない界面活性剤で素晴しい粘度を示す12:1のC/Sレシオの産業標準を超えた。実施例1の組成物(および標準)は、4週間後に全て均質であった。これらの組成物のすべて(8:1および12:1のC/Sレシオの標準を含む)は、安定したゲル構造を有する素晴しいアスファルトベースの屋根コーティング組成物を表す。
【0114】
実施例2
実施例2は、再びネオドール25アルコールベース25-P1-PAアセテートプロポキシ化アルコールベースエーテルアミンに基づく4つのアスファルトベースの屋根コーティング組成物を含む。アミンは1.5または2モル当量の酢酸(それぞれ150%および200%中和された)いずれかで、過中和され、組成物は8:1または12:1のいずれかのC/Sレシオで処方された。8:1のC/Sレシオである産業標準PA-14アセテート界面活性剤を含むアスファルトベースのコーティング組成物が、比較の基準を与えるために含まれた。
【0115】
表4は、各サンプルの4週間後の粘度データを示す。図2はグラフ的に、4週間にわたって示された時間で取られた、例示的および標準組成物の粘度データを示す。
【0116】
【表4】

【0117】
データは、1.5および2モル当量の酢酸を有する8:1のC/Sレシオの組成物は、対応する8:1のC/Sレシオの標準組成物よりも良い粘度を有したことを示す。粘度は8:1のC/Sレシオの標準よりも小さいにもかかわらず、1.5および2モル当量の酢酸を有する12:1のC/Sレシオの組成物は、素晴しい粘度を有した。組成物の実施例2(および標準)は、4週間後すべて均質であった。より高くない、酢酸成分の比較的増加した量を利用するものの、実施例2の個々の例示的な組成物は、優れた粘度および安定なゲル構造を有する。
【0118】
実施例3
実施例3は、4つの例示的なアスファルトベースの屋根コーティング組成物、および2つの標準を含む。実施例3の屋根コーティング組成物は、非酸化アスファルト、アタパルジャイトクレイおよびネオドール25アルコールベース25-P2-PAアセテート界面活性剤成分を含む。ネオドール25-P2-PA界面活性剤は、R1が約12〜15の炭素原子であり、mが2であり、R2がn−プロピル基である分配である。25-P2-PAは、約1モル当量の酢酸(たとえば、ほぼ100%中和された)で、充分に中和された。
【0119】
表5は、4週間の粘度データを示す。図3は、4週間にわたる示された間隔での、個々の組成物の粘度データをグラフの形で示す。データは、センチポイズ(cP)単位で与えられている。2つのアスファルトベースのコーティング組成物は、8:1および12:1のC/SレシオであるPA-14アセテート界面活性剤が、比較のために図3に含まれる。
【0120】
【表5】

【0121】
全ての例示的および産業標準の屋根コーティング組成物は、素晴しい粘度を有し、4週間後に均質であり、組成物が安定したゲル構造を有することを示す。データは、また8:1および12:1のC/Sレシオを有する例示的な組成物が8:1の標準を上回り、16:1のC/Sレシオの例示的な組成物が12:1のC/Sの産業標準を上回ることも示す。データは、優れた粘度が比較的少ない界面活性剤で達成されることを示す。
【0122】
実施例4
実施例4は、4つの例示的なアスファルトベースの屋根コーティング組成物およびひとつの標準を含む。実施例4のサンプルは、個々が1.5または2モル当量の酢酸(それぞれ約150%および200 %中和された)のいずれかで過中和された、ネオドール25アルコールベース25-P2-PA プロポキシ化アルコールベースエーテルアミンを含む。サンプル組成物は、8: 1または12:1のいずれかのC/Sレシオで処方された。実施例1の8:1のC/Sレシオの産業標準の屋根コーティングが、比較の基準を与えるために含まれる。
【0123】
表6は4週間の粘度データを与え、図4は、4週間にわたって示された時間間隔で取られた粘度データをグラフの形で表す。
【0124】
【表6】

【0125】
実施例2と一致して、データは、1.5および2モル当量の酢酸を有する8:1のC/Sレシオの例示的な組成物が、対応する実施例の8:1のC/Sレシオの組成物より、良い粘度を有することを示す。1.5モル当量の酢酸を有する12:1のC/Sレシオの組成物は、2〜4週間の間、8:1のC/Sレシオの標準組成物と同程度の粘度を有する。2モル当量の酢酸を有する12:1のC/Sレシオ組成物は、素晴しい粘度を有した。実施例4の個々の例示的な組成物は、より高くない酢酸成分の比較的増加した量を使用するものの、優れた粘度を有する。個々の実施例(および標準)は、均質で安定なゲル構造を有した。
【0126】
実施例5
実施例5は、(式III)によって表されたプロポキシ化アルコールベースエーテルアミン塩界面活性剤とともに、表1および2に従った、3つの例示的なアスファルトベースの屋根コーティング組成物を含む。ハンツマンサーフォアミンML-300プロポキシ化エーテルアミンおよび1モル当量の酢酸が、塩を処方するために混合された。3つの350グラムサンプルが、表1に示されたように、8:1、12:1および16:1の界面活性剤に対するクレイの比率で調製された
【0127】
表7は、示された4週間の期間でのサンプルの粘度を与える。図5は、記載された間隔で取られた4週間のデータをグラフ的に示す。
【0128】
【表7】

【0129】
データは、8:1、12:1および16:1のC/Sレシオのサンプル組成物の個々が、優れた粘度を有することを示す。組成物は、4週間後均質で、安定なゲル構造を有した。これらの組成物は、素晴しいアスファルトベースの屋根コーティング組成物を示す。
【0130】
実施例6
実施例6は、個々が同じ界面活性剤であるが、異なるクレイを含む、5つの例示的な屋根コーティング組成物を含む。5つのアスファルトベースの屋根コーティング組成物は、表1および2の基本処方に従って調製された。個々の組成物は、8:1のC/Sレシオで調製された。表2に示されているように、アスファルトカットバックは、ヘンリー社のアスファルトカットバックであった。界面活性剤は、1モル当量の酢酸で中和されたネオドール25アルコールベース25-P1-PAであった。
【0131】
個々の組成物は、表8に示された異なる商業的に入手可能なクレイで調製された。組成物が調製され、ベース処方と関係して記載されたように、粘度が測定された。表8は、4週間での粘度データを与える。図6は、グラフ形の中に記載された間隔で4週間にわたって取られた粘度データを示す。
【0132】
【表8】

【0133】
5つの組成物個々の4週間の粘度は、60,000〜130,000cPの範囲を超えた。個々の組成物は、受け入れられる屋根コーティング組成物である。データは、界面活性剤が異なるクレイ材料の範囲で有効であるため、界面活性剤が堅牢であることを示す。実施例6の組成物は、すべて4週間後均質で、ゲル安定性を示した。
【0134】
実施例7〜60
例示的なアスファルトベースの屋根コーティング組成物は、低せん断混合法を使用して、8:1および12: 1のC/Sレシオで調製された。個々の実施例は、350グラムコーティング組成物は、表1の8:1または12:1のC/Sレシオの重量%/量にしたがって作られた、ヘンリー社のアスファルトカットバック、フロリディン社ミニュゲルG−35アタパルジャイトクレイおよび界面活性剤からなる。表9は、個々の実施例で使用されたプロポキシ化アルコールベースエーテルアミン、および(式I)に従ったアミン構造を示す。
【0135】
【表9】

【0136】
表10は、具体的なプロポキシ化アルコールベースエーテルアミンおよび個々の界面活性剤を処方するために使用された酸,C/Sレシオ、(中和の約%として)アミンを中和するために使用された酸のモル比およびセンチポイズ単位での4週間後の粘度を示す。粘度測定は、10回転/分の#7スピンドルを有するフルックフィールド社のRVT粘度計を使用して、ASTMD2196-81にしたがって行われた。
【0137】
【表10】

【0138】
表10は、例示的な組成物が、高粘度で、アルコール、酸、パーセント中和、C/Sレシオおよびプロポキシ化(m値)度の広範な範囲を含む、広範な範囲にわたる界面活性剤の安定した処方であることを示す。実施例7〜60の界面活性剤は、全て液体であり、それによってプロセスを容易にする。すべての組成物は、4週間後に均質で安定なゲル構造を有していた。
【0139】
実施例61〜99
例示的なアスファルトベースの屋根コーティング組成物が、 ネオドールのアルコールベース25-P1-PAアセテート塩界面活性剤(1モル当量の酢酸、約100%中和された)アスファルトカットバックおよびクレイをベースに調製された。個々の実施例は、表1の8:1または12: 1のC/Sレシオ重量%/量に従って作られた350グラムのコーティング組成物からなる。
【0140】
表11は、具体的なアスファルトカットバック、クレイ、C/Sレシオおよび4週間後の粘度(cP)を表す。実施例92〜95のトランブルアスファルトカットバックは酸化されている。他の全てのアスファルトカットバックは、非酸化である。粘度測定は、10回転/分で#7スピンドルを有するブルックフィールドRVT粘度計でASTMD2196−81に従って行われた。
【0141】
【表11】

【0142】
表11は、本発明の屋根コーティング組成物は、広範なアスファルトカットバック、アタパルジャイトクレイおよびC/Sレシオにわたって処方された時は、4週間後に安定なゲル構造を有する高粘度混合物であることを示す。データは、界面活性剤が有効なコーティング組成物を作るために、広範な他の成分を使用可能であるため、堅牢であることを示す。
【0143】
実施例100
実施例100は、実際には調製されなかった仮想のアスファルトベースの屋根コーティング組成物の処方に向けたものである。仮想の実施例は、アスファルトカットバック、クレイおよびアルコールのモルあたり4モル当量のプロピレンオキサイドを含む、プロポキシ化アルコールベースエーテルアミンを含む、屋根コーティング組成物に向けられている。仮想の実施例では、R1はC22であり、mは4であり、R2はn−プロピルである。プロポキシ化アルコールベースエーテルアミンを合成するために使用されたエルシル(Erucyl)アルコールは、ウィンスコンシン州ミルウォーキーのオルドリッチケミカル社から入手可能である。表12は提唱された成分のリストである。
【0144】
【表12】

【0145】
表12の処方に従ったアスファルトベースのコーティング組成物は、有効な粘度を有し、均質性およびゲル安定性を有し、アスファルトベースの屋根コーティング組成物として用途を有することが期待される。
【0146】
実施例101
実施例101は、非プロポキシ化ネオドール25アルコール(例えばネオドールベースの25−PO−PA)をベースとした第一エーテルアミンアセテート塩の調製を調べた。本製品は、プロピレンオキサイドが、アミン合成の前にアルコールに加えられなかった以外は、アミン前駆体のベース処方に関して記載された合成に従って調製された。したがって、前駆体アミンは、mがゼロ(0)であることを除けば(式I)に従った。非プロポキシ化エーテルアミンは、酢酸の追加によって(式I)のような100%中和された塩に転換された。
【0147】
結果として生じた塩界面活性剤は、室温で固体であった。本物質は、実施例の直鎖アルコールへのプロピレンオキサイドの挿入は、流動性を誘導することの実証である。したがって、プロピレンオキサイド基の存在は、ここに記載されたように、塩界面活性剤の有意義な利点を表す。
【0148】
実施例101の屋根コーティング組成物が、固体塩界面活性剤および表13に記載された成分を利用して、8:1のC/Sレシオで調製された。
【0149】
【表13】

【0150】
塩界面活性剤は固体であったため、実施例101の組成物は、クレイ、アスファルトカットバックおよび界面活性剤成分を分散するために、かなり激しく混合する必要があった。4週間後、屋根コーティング組成物は、(表3の実施例1のネオドール25-P1-PA Acの粘度:276,000cPおよび表5、実施例3、ネオドール25-P2-PA Acの粘度316,000 cPと比較すると)154,000cPの粘度を有した。
アルコールへのプロピレンオキサイドの付加が無い結果から生じるより低い粘度は、ここに記載された界面活性剤の高められた流動性が、処方がさらに易しい、さらに有効なコーティング組成物を生み出すことの更なる証拠である。
【0151】
本発明の本質が特に示され、具体的な実施例に関係して記載されてきた一方で、これらの記載は、実施例によってのみなされ、本発明の範囲に限定されることを意図していないことを、明確に理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】図1は、8:1、12:1および16:1のC/Sレシオである中和されたプロポキシ化(1モル当量)C12〜C15アルコールベースエーテルアミンアセテート塩(ネオドール25-P1-PA Acとも呼ばれるネオドール(登録商標)25アルコールベース25−P1-PA Ac)からなる界面活性剤を含む、例示的なアスファルトベースの屋根コーティング組成物の粘度を示すグラフである。8:1および12: 1のC/Sレシオの産業標準のデシロキシプロピルアミンアセテート塩界面活性剤(PA−14Acとも呼ばれるトマープロダクツ社のPA−14アセテート)を含む、例示的なアスファルトベースのコーティング組成物が、比較のために含まれた。
【0153】
【図2】図2は、過中和された8:1、12:1および16:1のC/Sレシオのネオドール25アルコールベースの25−P1−PA Acエーテルアミンアセテート塩からなる界面活性剤を含む、例示的なアスファルトベースの屋根コーティング組成物の粘度を示すグラフである。8:1および12:1のC/SレシオのPA−14アセテート塩界面活性剤を含む例示的なアスファルトベースのコーティング組成物が、比較のために含まれた。
【0154】
【図3】図3は、8:1、12:1および16:1のC/Sレシオの中和されたプロポキシ化(2モル当量)C12〜C15のアルコールベースエーテルアミンアセテート塩(ネオドール25-P2-PA Acとも呼ばれるネオドール25アルコールベースの25−P2−PA Ac)からなる界面活性剤を含む、例示的なアスファルトベースの屋根コーティング組成物の粘度を示すグラフである。8:1および12:1のC/SレシオのPA−14アセテート塩界面活性剤を含む例示的なアスファルトベースのコーティング組成物が比較のために含まれた。
【0155】
【図4】図4は、過中和された8:1、12:1および16:1のC/Sレシオのネオドール25アルコールベースの25−P2−PA Acエーテルアミンアセテート塩からなる界面活性剤を含む、例示的なアスファルトベースの屋根コーティング組成物の粘度を示すグラフである。8:1および12:1のC/SレシオのPA−14アセテート塩界面活性剤を含む例示的なアスファルトベースのコーティング組成物が比較のために含まれた。
【0156】
【図5】図5は、スルフォアミンML−300(登録商標)アセテート塩界面活性剤を含む、例示的なアスファルトベースの屋根コーティング組成物の粘度を示すグラフである。8:1、12: 1および16:1のC/Sレシオの組成物のためのデータが与えられる。
【0157】
【図6】図6は、8:1のC/Sレシオの中和されたネオドール25アルコールベース25-P1-PA Ac(ネオドール25-P1-PA Ac)エーテルアミンアセテート塩を含む、例示的なアスファルトベースの屋根コーティング組成物の粘度を示すグラフである。5つの代表的なクレイ成分を含む組成物のためのデータが与えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(式I)を含む組成物:
約50〜約98重量%のアスファルトカットバック;
約1.7〜約47.4重量%のクレイ;および、
次の一般構造式を有する塩界面活性剤:
【化1】

ここで、該塩界面活性剤は、組成物に所望の粘度を与えるために充分な量存在し、R1は、約8〜約24の間の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖、または環状、飽和または不飽和の、脂肪族またはアルキルアリール基であり、mは1〜約4の整数であり,R2はn−プロピルまたはイソプロピル基であり、X-はアニオンである。
【請求項2】
約0.1〜約7.1重量%の塩界面活性剤を含む、請求項1の組成物。
【請求項3】
以下を含む請求項1の組成物:
約80〜約98重量%のアスファルトカットバック;
約1.7〜約19.0重量%のクレイ;および、
約0.1〜約3.0重量%の塩界面活性剤。
【請求項4】
以下を含む請求項3の組成物:
約83〜約88重量%のアスファルトカットバック;
約10.3〜約16.1重量%のクレイ;および、
約0.6〜約2.4重量%の塩界面活性剤。
【請求項5】
当該R1が約10〜約18の炭素原子を有する脂肪族基を含む、請求項1の組成物。
【請求項6】
当該R1が約12〜約15の炭素原子を有する脂肪族基を含む、請求項5の組成物。
【請求項7】
当該mが約1〜約3である請求項1の組成物。
【請求項8】
当該R2がn−プロピル基である請求項1の組成物。
【請求項9】
当該R2がイソプロピル基である請求項1の組成物。
【請求項10】
当該塩界面活性剤が、1以上の(式II)〜(式III)の界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1の組成物:
【化2】

【化3】

ここで、aは11〜14の整数であり、bは1〜約4の整数であり、cは11〜約13の整数であり、X-は(式I)によって定義される。
【請求項11】
当該X-が1以上の有機酸、無機酸およびそれらの混合物を含む、酸のアニオンである請求項1の組成物。
【請求項12】
該酸が1以上の塩酸、リン酸、ポリリン酸、硫酸およびそれらの混合物を含む、請求項11の組成物。
【請求項13】
該酸が、1以上の安息香酸、イソオクタン酸、ギ酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、イソフタル酸、フタル酸、酪酸、ダイマー酸、オイル誘導(oil-derived)酸、ネオ酸およびそれらの混合物を含む、請求項11の組成物。
【請求項14】
該酸が酢酸である請求項13の組成物。
【請求項15】
該酸がギ酸である請求項13の組成物。
【請求項16】
当該酸が、アミンを中和するために必要な量の約1〜約2.50倍存在する、請求項11の組成物。
【請求項17】
当該クレイが1以上のアタパルジャイトクレイ、ベントナイトクレイ、ボールクレイ、海泡石クレイ、カオリンタイプのクレイおよびこれらの混合物を含む、請求項1の組成物。
【請求項18】
当該クレイがアタパルジャイトクレイである請求項17の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、少なくとも約6:1の界面活性剤に対するクレイの比率を有する請求項1の組成物。
【請求項20】
さらに、1以上の砂、マイカ、グラウンドスレート、珪藻クレイ、石灰クレイ、珪灰石、真珠岩、セルロース系繊維、タルクおよびポリオレフィン系繊維およびそれらの混合物を含む、請求項1の組成物。
【請求項21】
組成物であって:
以下の(式I)の一般的構造式を有する塩界面活性剤と:
【化4】

ここで、R1は、約8〜約24の間の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖、または環状、飽和または不飽和の、脂肪族またはアルキルアリール基であり、mは1〜約4の整数であり,R2はn−プロピルまたはイソプロピル基であり、X-はアニオンである。
約6:1〜約18:1の界面活性剤に対する比率のクレイを与えるために、充分な量のクレイ;および、
アスファルトカットバックと、
を含む組成物。
【請求項22】
以下を含む請求項21の組成物:
約50〜約98重量%のアスファルトカットバック;
約1.7〜約47.4重量%のクレイ;および、
約0.1〜約7.1重量%の塩界面活性剤。
【請求項23】
以下を含む請求項22の組成物:
約80〜約98重量%のアスファルトカットバック;
約1.7〜約19.0重量%のクレイ;および、
約0.1〜約3,0重量%の塩界面活性剤。
【請求項24】
以下を含む請求項23の組成物:
約83〜約88重量%のアスファルトカットバック;
約10.3〜約16.1重量%のクレイ;および、
約0.6〜約2.4重量%の塩界面活性剤。
【請求項25】
当該R1が、約10〜約18の炭素原子を有する脂肪族基を含む請求項21の組成物。
【請求項26】
当該R1が、約12〜約15の炭素原子を有する脂肪族基を含む請求項25の組成物。
【請求項27】
当該mが約1〜約3である請求項21の組成物。
【請求項28】
当該R2がn−プロピル基である請求項21の組成物。
【請求項29】
当該R2がイソプロピル基である請求項21の組成物。
【請求項30】
前記塩界面活性剤が、1以上の(式II)〜(式III)の界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含む、請求項21の組成物:
【化5】

【化6】

ここで、aは11〜14の整数であり、bは1〜約4の整数であり、cは11〜約13の整数であり、X-は(式I)によって定義される。
【請求項31】
前記X-が1以上の有機酸、無機酸およびそれらの混合物を含む、酸のアニオンである請求項21の組成物。
【請求項32】
該酸が、1以上の塩酸、リン酸、ポリリン 酸、硫酸およびそれらの混合物を含む請求項31の組成物。
【請求項33】
該酸が、1以上の安息香酸、イソオクタン酸、ギ酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、イソフタル酸、フタル酸、酪酸、ダイマー酸、オイル誘導酸、ネオ酸およびそれらの混合物を含む、請求項31の組成物。
【請求項34】
該酸が酢酸である請求項33の組成物。
【請求項35】
該酸がギ酸である請求項33の組成物。
【請求項36】
該酸が、アミンを中和するために必要な量の約1〜約2.50倍の量存在する請求項31の組成物。
【請求項37】
前記クレイが、1以上のアタパルジャイトクレイ、ベントナイトクレイ、ボールクレイ、海泡石クレイ、カオリンタイプのクレイおよびそれらの混合物を含む請求項21の組成物。
【請求項38】
該クレイがアタパルジャイトクレイである請求項37の組成物。
【請求項39】
以下の一般構造式を有する塩界面活性剤:
【化7】

ここで、約8〜約24の間の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖、または環状、飽和または不飽和の、脂肪族またはアルキルアリール基であり、mは1〜約4の整数であり、X-はアニオンである。
【請求項40】
当該R1が約10〜約18の炭素原子を有する脂肪族基を含む、請求項39の塩界面活性剤。
【請求項41】
当該R1が約12〜約15の炭素原子を有する脂肪族基を含む、請求項40の塩界面活性剤。
【請求項42】
当該mが約1〜約3である請求項39の塩界面活性剤。
【請求項43】
当該X-が、1以上の有機酸、無機酸およびそれらの混合物を含む、酸のアニオンである請求項39の塩界面活性剤。
【請求項44】
該酸が、1以上の塩酸、リン酸、ポリリン酸、硫酸およびそれらの混合物を含む、請求項43の塩界面活性剤。
【請求項45】
該酸が、1以上の安息香酸、イソオクタン酸、ギ酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、イソフタル酸、フタル酸、酪酸、ダイマー酸、オイル誘導酸、ネオ酸およびそれらの混合物を含む、請求項43の塩界面活性剤。
【請求項46】
該酸が酢酸である請求項45の塩界面活性剤。
【請求項47】
該酸がギ酸である請求項45の塩界面活性剤。
【請求項48】
当該酸が、アミンの中和のために必要な量の約1〜約2.50倍の量存在する請求項43の塩界面活性剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−217682(P2007−217682A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−10315(P2007−10315)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(507020129)トマー プロダクツ,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】