アスベスト処理用液体注入装置およびアスベスト処理用液体注入方法
【課題】アスベスト層及びその被覆層の厚みが一定でなくても、アスベスト層を処理する液体をアスベスト層内に確実に短時間で注入して浸透させることができるアスベスト処理用液体注入装置およびアスベスト処理用液体注入方法を提供する。
【解決手段】表面に被覆層がコーティングされたアスベスト層100内にアスベスト処理用液体34を浸透させるアスベスト処理用液体注入装置10は、アスベスト処理用液体34が導入される本体部13と、本体部か13から突出して設けられてアスベスト層100内に挿入され本体部13内からのアスベスト処理用液体34をアスベスト層100内に注入するための挿入ノズル部14を有する。
【解決手段】表面に被覆層がコーティングされたアスベスト層100内にアスベスト処理用液体34を浸透させるアスベスト処理用液体注入装置10は、アスベスト処理用液体34が導入される本体部13と、本体部か13から突出して設けられてアスベスト層100内に挿入され本体部13内からのアスベスト処理用液体34をアスベスト層100内に注入するための挿入ノズル部14を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面部や天井面に施工されているアスベスト層内にアスベスト処理用液体を注入して浸透させるためのアスベスト処理用液体注入装置およびアスベスト処理用液体注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アスベストは、建築材料、耐火・断熱材、電気絶縁材料として利用されてきたが、アスベストを吹き付けて施工を行った後に、アスベストの針状結晶がじん肺や中皮腫の原因となるとされ、アスベスト施工が法律で禁止されている。このため、既に壁面部や天井面に施工されているアスベスト層の解体処理は、アスベスト層の針状結晶が衝撃により飛散しないようにして行わなければならない。
【0003】
アスベスト層の解体処理方法としては、壁面部や天井面に吹き付け施工されているアスベスト層の表面に対して、無機質・水溶性セラミックコーティング剤を噴霧装置により吹き付けして固化させる。このコーティング剤がアスベスト層の表面をコーティングすることにより、アスベスト層の針状結晶が衝撃により飛散しないようにしている。その後、空吸塵装置により集荷・集塵したアスベスト塊を粉砕装置により粉砕する。次に、アスベスト塊を無機質・水溶性セラミックコーティング剤とで混練し、混練されたアスベストを成型プレス装置によりブロック等に圧縮・成型する。そして、このアスベストの成型物を乾燥して、アスベストの成型物の表面全体に無機質セラミック液を吹き付けて全周に被覆層を固化形成して、アスベストの封じ込め施工をする噴霧器を使用してアスベストの表面全体に無機質セラミック液による被覆層を固化形成してアスベストを封じ込めることにより、表面硬度を上げてアスベストの衝撃飛散を防止する (特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−283242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このように封じ込められたアスベスト層及びその被覆層を解体処理する場合、アスベスト層及びその被覆層の解体によりアスベストが衝撃飛散するおそれがあるので、アスベスト処理液等をアスベスト層及びその被覆層に添加する解体処理方法等が考えられている。
しかし、アスベスト層及びその被覆層の厚みは、通常3cm〜5cmといわれてはいるが、現場によってはアスベスト層及びその被覆層の厚みが実際には10cm〜12cmになっていることもあり、アスベスト解体現場によってはアスベスト層及びその被覆層の厚みが必ずしも一定ではない。
【0006】
このため、このアスベスト処理液がアスベスト層及びその被覆層に深く浸透するのに非常に時間がかかり、アスベスト層及びその被覆層の厚みが大きいほどアスベスト処理液の使用量が増加してしまい、現場でのアスベスト層及びその被覆層の解体処理が大変困難となる。
【0007】
そこで、本発明は、アスベスト層及びその被覆層の厚みが一定でなくても、アスベスト層を処理する液体をアスベスト層内に確実に短時間で注入して浸透させることができるアスベスト処理用液体注入装置およびアスベスト処理用液体注入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のアスベスト処理用液体注入装置は、表面に被覆層が形成されたアスベスト層内にアスベスト処理用液体を注入させるアスベスト用液体注入装置であって、前記アスベスト処理用液体が導入される本体部と、前記本体部から突出して設けられて前記被覆層を通して前記アスベスト層内に挿入され前記本体部内からの前記アスベスト処理用液体を前記アスベスト層内に注入する挿入ノズル部と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、アスベスト層及びその被覆層の厚みが一定でなくても、アスベスト層を処理するアスベスト処理用液体をアスベスト層内に確実に短時間で注入して浸透させることができる。
【0010】
好ましくは、前記挿入ノズル部は、複数のノズル開口部を有する複数本の挿入パイプにより構成され、前記ノズル開口部は、前記挿入パイプの軸方向に沿って間隔をおいて形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、各挿入パイプは、ノズル開口部を通じて、アスベスト層及びその被覆層の厚み方向の何れの部位においても液体を注入することができる。
【0012】
好ましくは、前記挿入ノズル部は、前記本体部からの突出長さが異なる複数本の前記挿入パイプを有することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、突出長さが異なる複数本の挿入パイプは、アスベスト層の厚み方向の何れの部位においても液体を確実に注入することができる。
【0014】
好ましくは、前記挿入ノズル部は、複数の挿入パイプ群を前記本体部において互いに離して配置することで構成され、各前記挿入パイプ群は、突出長さが異なる複数本の前記挿入パイプを有することを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、アスベスト層のある区画部分において、突出長さが異なる複数本の挿入パイプは、アスベスト層の厚み方向の何れの部位においても液体を確実に注入することができる。
【0016】
好ましくは、前記挿入パイプの先端部は、閉鎖されて先細りになっていることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、挿入パイプは、例えば、硬い被覆層を通してアスベスト層内に確実に差し込んで液体を注入することができる。
【0018】
好ましくは、前記挿入パイプの先端部とは反対の端部は、前記本体部に対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、現場において、アスベスト層の厚みに応じて必要となる長さの挿入パイプに簡単に交換することができる。
【0020】
本発明のアスベスト処理用液体注入方法は、表面に被覆層が形成されたアスベスト層内にアスベスト処理用液体を注入させるアスベスト処理用液体注入方法であって、前記アスベスト処理用液体が導入される本体部から突出して設けられた挿入ノズル部を、前記被覆層を通して前記アスベスト層内に挿入して、前記本体部内からの前記アスベスト処理用液体を、前記挿入ノズル部を通じて前記アスベスト層内に注入させることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、アスベスト層及びその被覆層の厚みが一定でなくても、アスベスト層を処理するアスベスト処理用液体をアスベスト層内に確実に短時間で注入して浸透させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、アスベスト層及びその被覆層の厚みが一定でなくても、アスベスト層を処理する液体をアスベスト層内に確実に短時間で注入して浸透させることができるアスベスト処理用液体注入装置およびアスベスト処理用液体注入方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のアスベスト用の液体注入装置の好ましい実施形態を示す斜視図。
【図2】図1のアスベスト用の液体注入装置を図1のT方向から見た側面図。
【図3】図1のアスベスト用の液体注入装置を図1のS方向から見た正面図。
【図4】図3におけるアスベスト用の液体注入装置のJ−J線における断面図。
【図5】挿入パイプの断面形状例を示す図。
【図6】挿入パイプの先端形状の例を示す斜視図。
【図7】アスベスト層とコーティング層に対して液体注入装置の挿入部を挿入して、液体をアスベスト層内に浸透させる様子を示す断面図。
【図8】図7に示すコーティング層を矢印Z方向から見た図。
【図9】実施の形態の第1の変形例を示す概略図。
【図10】実施の形態の第2の変形例を示す概略図。
【図11】実施の形態の第3の変形例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0025】
図1は、本発明のアスベスト処理用液体注入装置の好ましい実施形態を示す斜視図である。図2は、図1のアスベスト処理用液体注入装置を図1のT方向から見た側面図である。図3は、図1のアスベスト用の液体注入装置を図1のS方向から見た正面図である。図4は、図3におけるアスベスト用の液体注入装置のJ−J線における断面図である。
【0026】
図1に示す本発明の実施形態のアスベスト用の液体注入装置10は、アスベスト層100を処理するアスベスト処理用液体34(以下「処理用液体34」とする。)を、アスベスト層100の吹き付け厚みMが一定でなくても、被覆層である例えば、コーティング層101を通して、アスベスト層100内に浸透させることができる装置である。
図1に示すように、アスベスト層100は天井面あるいは壁面部等の吹き付け対象部位190に対して吹き付けにより既に形成されており、アスベスト層100の表面には、針状結晶が飛散するのを防止するためにコーティング層101が既に形成されている。
【0027】
図1に示すように、アスベスト処理用液体注入装置10は、液体噴霧部11と、エアレスガン12を有している。液体噴霧部11は、機械的な強度が高くアルコール等の薬品に対して耐久性の高い金属材料、例えばステンレス(一例としてSUS304)により作られている。図1に示す液体噴霧部11は、本体部13と、この本体部13からR方向に突出して設けられた挿入ノズル部14と、接続部15を有している。
【0028】
まず、アスベスト処理用液体注入装置10の本体部13の構造例を説明する。
図1から図3を参照すると、本体部13は、ほぼ三角形状の側面部13A,13B,13C,13Dと、長方形状の側面部13E,13F,13G,13Hにより形成されており、本体部13の内部は、エアレスガン12により噴霧された処理用液体の案内流路17である。
【0029】
図1と図2に示すように、側面部13E,13F,13G,13Hは、正方形の開口部16を形成しており、側面部13E,13Gは平行であり、側面部13F,13Hは平行である。
側面部13Aは、側面部13Eから接続部15に向かって傾斜して形成され、側面部13Bは、側面部13Fから接続部15に向かって傾斜して形成されている。側面部13Cは、側面部13Gから接続部15に向かって傾斜して形成され、側面部13Dは、側面部13Hから接続部15に向かって傾斜して形成されている。
これにより、図2と図4に示すように、側面部13A,13B,13C,13Dは、接続部15からX方向とY方向に広がった液体の案内流路17を形成している。
【0030】
図1に示すように、正方形の開口部16には、閉鎖板18が配置されており、この閉鎖板18の4つの縁部は、図3と図4に示すように、側面部13E,13F,13G,13Hの内側部分に固定されており、液体の案内流路17はこの閉鎖板18により閉じている。
閉鎖板18は、図3に示すように、正方形の中央部分19と、4つの周辺部分19A,19B,19C,19Dを有している。正方形の中央部分19は、X方向とY方向により形成される平面と並行であり、すなわちR方向に対して垂直面になるように形成されている。
【0031】
これに対して、4つの周辺部分19A,19B,19C,19Dは、図4に示すように中央部分19から接続部15側に向けて図4に示すように対応する側面部13E,13F,13G,13Hの内面側に対して角度θだけ傾斜して形成されている。
図4に示すように、接続部15のオネジ部15Bとエアレスガン12のオネジ部15Cとは、ナット部15Aに対してねじ込むことで着脱可能に接続されており、エアレスガン12から噴霧された液体34はこれらのオネジ部15B、15C内を通って本体13の液体の案内流路17内に入るようになっている。
【0032】
次に、図1乃至図4を参照して、アスベスト処理用液体注入装置10の挿入ノズル部14の構造例を説明する。
図3と図1に示すように、挿入ノズル部14は、1つの中央挿入パイプ群20と、4つの周辺挿入パイプ群21と、4つの周辺挿入パイプ群22から構成されている。1つの中央挿入パイプ群20は、中央部分19の中央においてR方向に突出して設けられている。
【0033】
4つの周辺挿入パイプ群21は、側面部13A〜13Dの内側の中間位置であって、周辺部分19A,19B,19C,19DにおいてR方向に突出して設けられている。4つの周辺挿入パイプ群22は、側面部13A〜13Dの内側の角部位置においてR方向に突出して設けられている。
すなわち、1つの中央挿入パイプ群20と、4つの周辺挿入パイプ群21と、4つの周辺挿入パイプ群22は、互いに間隔をおいてR方向に平行に配列されている。
【0034】
図3に示すように、中央挿入パイプ群20は、例えば3種類の異なる長さの1本の挿入パイプ23と2本の挿入パイプ24と2本の挿入パイプ25からなる。
4つの周辺挿入パイプ群21は、例えば3種類の異なる長さの1本の挿入パイプ23と2本の挿入パイプ24と1本の挿入パイプ25からなる。同様にして、4つの周辺挿入パイプ群22は、例えば3種類の異なる長さの1本の挿入パイプ23と2本の挿入パイプ24と1本の挿入パイプ25からなる。
図2に示す挿入パイプ23の全長L1は例えば120mmであり、挿入パイプ24の全長L2は例えば80mmであり、挿入パイプ25の全長L3は例えば40mmである。
【0035】
このように、各挿入パイプ群20,21,22は、正方形の開口部16内において互いに間隔をおいて分散して配置することで、アスベスト層100の吹き付け領域に分散して処理用液体を注入して浸透させることができる。しかも、各挿入パイプ群20,21,22は、異なる突出長さの挿入パイプを組み合わせて構成することで、アスベスト層100の挿入方向(厚み方向)における各領域に液体を分散して注入して浸透させることができるようになっている。つまり、アスベスト層100内の平面内の領域と厚さ方向の領域の何れにおいても処理用液体を確実に注入して浸透させることができる。
【0036】
図5(A)は、中央挿入パイプ群20を示す断面図であり、図5(B)は、周辺挿入パイプ群22を示す断面図であり、図5(C)は、周辺挿入パイプ群21を示す断面図である。
各挿入パイプ23,24,25は、例えば外径が7mmの断面円形のパイプであり、各挿入パイプ23,24,25には、それぞれ長手方向(R方向、軸方向)に沿って複数のノズル開口部26が例えば一定間隔ごとに形成されている。
各ノズル開口部26の直径は例えば2mmである。各挿入パイプ23,24,25はアスベスト層100内に挿入して、これらのノズル開口部26からは処理用液体34をアスベスト層100内に注入して浸透させる役割を果たす。
【0037】
図6(A)に示すように、各挿入パイプ23,24,25の先端部27は、図1に示すコーティング層101を突き通してアスベスト層100に挿入し易くするために、閉じておりしかも先細りになるように尖っているのが望ましい。
このように、各挿入パイプ23,24,25の先端部27が閉じて先細りになるように尖っていることで、各挿入パイプ23,24,25は、アスベスト層の表面に形成されている硬いコーティング層101を突き通してアスベスト層100内に簡単に挿入することができるとともに、各挿入パイプ23,24,25の先端部27にコーティング層101の一部やアスベスト層100の一部が入り込んで目詰まりを起こすことがない。
しかし、図6(B)に示すように、各挿入パイプ23,24,25の先端部27には、先端孔28が形成されていても良い。このようにすることで、先端孔28からも処理用液体34をアスベスト層100内に注入して浸透させることができる。
【0038】
図1と図2に戻ると、本体部13の接続端部13Rは、接続部15を介してエアレスガン12に接続されており、エアレスガン12は、配管30とポンプ31を介して液体貯留部32に接続されている。液体貯留部33は処理用液体34を密閉した状態で収容している。
ポンプ31がモータ33の作動により動作すると、液体貯留部33内の液体34は、配管30を通じてエアレスガン12に送り、エアレスガン12は処理用液体34を噴霧状態にして本体部13の液体の案内流路17内に供給することで、噴霧状態の液体34は各挿入パイプ23,24,25内に圧送して導入され、処理用液体34は各ノズル開口部26からアスベスト層内に注入して浸透させることができるようになっている。
【0039】
次に、図7と図8を参照しながら、上述したアスベスト処理用液体注入装置10を用いて、アスベスト層100内に処理用液体34を注入して浸透させるアスベスト処理用液体注入方法について説明する。
図7は、吹き付けにより施工されたアスベスト層100の断面を示しており、アスベスト層100の表面には、上塗液を塗布することでコーティング層101が予め施工され、アスベスト層100の針状結晶が飛散しないように封じ込め処理が施されている。アスベスト用の液体注入装置10は、このようにコーティング層101が積層されたアスベスト層100に対して液体34を注入して浸透させるために用いる。
【0040】
作業者は、図7に示すようにアスベスト処理用液体注入装置10の挿入ノズル部14をR方向に沿って、すなわちコーティング層101に対して垂直方向に差し込むことで、図1の中央挿入パイプ群20と周辺挿入パイプ群21と周辺挿入パイプ群22の各挿入パイプ23,24,25を、コーティング層101を突き通してアスベスト層100に対して圧入する。
この圧入作業の際に、図6に示すように各挿入パイプ23,24,25の先端部27が尖っているので、たとえ硬いコーティング層101であっても確実にコーティング層101に突き通して各挿入パイプ23,24,25をアスベスト層100内に挿入することができる。
【0041】
各挿入パイプ群20,21,22は、正方形の開口部16内において互いに間隔をおいて分散して配置することで、アスベスト層100の吹き付け領域に分散して液体を注入して浸透させることができる。
しかも、各挿入パイプ群20,21,22は、異なる突出長さの挿入パイプ23,24,25を組み合わせて構成することで、アスベスト層100の挿入方向(厚み方向)における各領域に液体を分散して注入して浸透させることができるようになっている。
つまり、アスベスト層100内の平面内の領域と厚さ方向の領域の何れにおいても処理用液体を確実に注入して浸透させることができる。アスベスト層100の厚みMが仮に一定でなく、例えば3cm〜5cmではなく10cm〜12cm程度のあっても、処理用液体34をアスベスト層100内に均等に浸透させることができる。
【0042】
図8は、アスベスト層100とコーティング層101が壁面部に形成されている場合に、コーティング層101を図7の矢印Z方向から見た図であり、大きな正方形は、コーティング層101のある面積区画200,201,202を示し、例えば縦横がそれぞれ1mの区画である。小さな正方形は、本体部13を示す。楕円のような領域300,301,302は、液体がアスベスト層100に浸透する範囲の例を示している。
【0043】
作業者が、本体部13を面積区画200に対してやや上部位置に配置して、液体をアスベスト層100内に浸透させた場合には、処理用液体は領域300で例示するように重力により面積区画200のほぼ全域に浸透する。
次に、作業者が、本体部13を下の面積区画201に対してやや上部位置に配置して、液体をアスベスト層100内に浸透させた場合には、液体は領域301で例示するように重力により面積区画201のほぼ全域に浸透する。
このような要領で作業者が本体部13をコーティング層101に当てて、アスベスト層100に液体を注入して浸透させることで、アスベスト層100の全域にわたって液体34を注入して浸透させることができる。
【0044】
ところで、使用される処理用液体34としては、例えばアスベストの飛散を回避するための水、あるいはアスベストを無害化する液剤等を使用することができる。
例えば、処理用液体34として水を使用することで、アスベスト層内に水を注入して浸透させることができるので、アスベスト層を解体処理する際の針状結晶の飛散を抑制することができる。
【0045】
また、使用される処理用液体34として、アスベストの毒性を無害化する液剤を使用することにより、針状結晶を無くすことができるが、このアスベストを無害化する液剤は、たとえば精製水を主成分として、アルコール成分、燐酸の成分を含むものを採用することができる。
このようなアスベスト層の毒性の無害化のための液剤が、アスベスト層の全域にわたって浸透できることにより、針状結晶が存在しなくなり、その後アスベスト層とコーティング層を、針状結晶の飛散を心配することなく簡単に解体して破砕することができる。
【0046】
本発明のアスベスト処理用液体注入装置の実施形態は、吹き付け施工され表面に上塗液がコーティング層100として形成されたアスベスト層100内に液体を注入させるアスベスト処理用液体注入装置10であって、処理用液体が導入される本体部13と、本体部13から突出して設けられてコーティング層101を通してアスベスト層100内に挿入され本体部13内からの処理用液体をアスベスト層100内に注入させる挿入ノズル部14と、を有する。これにより、アスベスト層100及びコーティング層101の吹き付け厚みが一定でなくても、アスベスト層100を処理する処理用液体をアスベスト層100内に確実に短時間で注入して浸透させることができる。
【0047】
挿入ノズル部14は、複数のノズル開口部26を有する複数本の挿入パイプ23等により構成され、ノズル開口部26は、挿入パイプ23等の軸方向に沿って間隔をおいて形成されている。これにより、各挿入パイプ23等は、ノズル開口部26を通じて、アスベスト層100の厚み方向の何れの部位においても液体を注入することができる。
また、挿入ノズル部23は、本体部13からの突出長さが異なる複数本の挿入パイプ23等を有する。これにより、突出長さが異なる複数本の挿入パイプ23等は、アスベスト層100の厚み方向の何れの部位においても液体を確実に注入することができる。
【0048】
挿入ノズル部14は、複数の挿入パイプ群21等を本体部13において互いに離して配置することで構成され、各挿入パイプ群21等は、突出長さが異なる複数本の挿入パイプ23等を有する。これにより、アスベスト層100のある区画部分において、突出長さが異なる複数本の挿入パイプ23等は、アスベスト層100の厚み方向の何れの部位においても液体を確実に注入することができる。
【0049】
挿入パイプ23等の先端部27は、閉鎖されて先細りになっている。これにより、挿入パイプ23等は硬いコーティング層101を通してアスベスト層100内に確実に差し込んで液体を注入することができる。
【0050】
挿入パイプ23等の先端部27とは反対の端部は、本体部13に対して着脱可能に取り付けられる。これにより、現場において、アスベスト層100の厚みに応じて必要となる長さの挿入パイプ23等に簡単に交換することができる。つまり、アスベスト層100の厚みの大小に応じて、任意の長さを有する挿入パイプ23等に容易に交換することができる。
【0051】
本発明のアスベスト処理用液体注入方法の実施形態は、吹き付け施工され表面に上塗液がコーティング層101として形成されたアスベスト層100内に処理用液体を注入させるアスベスト処理用液体注入方法であって、処理用液体が導入される本体部13から突出して設けられた挿入ノズル部14を、コーティング層101を通してアスベスト層100内に挿入して、本体部13内からの処理用液体を、挿入ノズル部14を通じてアスベスト層100内に注入させる。
これにより、アスベスト層100及びコーティング層101の吹き付け厚みが一定でなくても、アスベスト層100を処理する処理用液体をアスベスト層100内に確実に短時間で注入して浸透させることができる。
【0052】
図9(A)(B)は、上述の実施の形態の第1の変形例を示す概略図である。
図9(A)と図9(B)に示す変形例は、図3に示す実施形態と異なり、閉鎖板18の正方形の中央部分19と4つの周辺部分19A,19B,19C,19Dには、複数の開口部150が追加して形成されている。
これらの開口部150は、本体部13内の液体の案内流路17から処理用液体をコーティング層に噴霧することができる。これにより、コーティング層を解体する際の飛散を抑制できる。
【0053】
図10(A)(B)は、上述の実施の形態の第2の変形例を示す概略図である。
図10(A)と図10(B)に示す変形例では、各挿入パイプ23,24,25の端部170が、閉鎖板18に対して着脱可能に固定されている。
図10(A)の例では、各挿入パイプ23,24,25の端部170はオネジ部171を有しており、このオネジ部171は、閉鎖板18のメネジ部172にねじ込むことで交換可能に固定できる。
図10(B)の例では、各挿入パイプ23,24,25の端部173はオネジ部174を有しており、このオネジ部174は、閉鎖板18側の穴176に通してナット175にねじ込むことで交換可能に固定できる。
これにより、作業者は、アスベスト層の厚みの大小に応じて、任意の長さを有する挿入パイプに容易に交換することができる。
【0054】
図11は、上述の実施の形態の第3の変形例を示す概略図である。
図11の変形例では、図3の実施形態に比べて、本体部13の形状が異なり、本体部13の開口部16Hが例えば半円形状に形成されている。
なお、本発明の実施形態のアスベスト用の液体注入装置は、アスベスト層とコーティング層が壁面部に形成されている場合であっても、天井面に形成されている場合にあっても使用することができる。
【0055】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
上述した本発明の実施形態では、図1に示すように、1つの中央挿入パイプ群20と、4つの周辺挿入パイプ群21と、4つの周辺挿入パイプ群22が、設けられているが、これは一例であり、各パイプ群の配置数は特に限定されず任意に選択できる。また、各パイプ群を構成するための異なる長さの挿入パイプの種類は、3種類に限らず、2種類あるいは4種類以上であっても良い。
図示の各挿入パイプの断面形状は円形であるが、これに限らず、三角形、楕円形、正方形等の他の形状であっても良い。各挿入パイプに形成されるノズル開口部の数と大きさは、任意に選択できる。
【符号の説明】
【0056】
10・・・アスベスト処理用液体注入装置、11・・・液体噴霧部、12・・・エアレスガン、13・・・本体部、14・・・挿入ノズル部、15・・・接続部、16・・・開口部、17・・・液体の案内流路、18・・・閉鎖板、20・・・中央挿入パイプ群、21・・・周辺挿入パイプ群、22・・・周辺挿入パイプ群、23,24,25・・・挿入パイプ、27・・・挿入パイプ、100・・・アスベスト層、101・・・コーティング層
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面部や天井面に施工されているアスベスト層内にアスベスト処理用液体を注入して浸透させるためのアスベスト処理用液体注入装置およびアスベスト処理用液体注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アスベストは、建築材料、耐火・断熱材、電気絶縁材料として利用されてきたが、アスベストを吹き付けて施工を行った後に、アスベストの針状結晶がじん肺や中皮腫の原因となるとされ、アスベスト施工が法律で禁止されている。このため、既に壁面部や天井面に施工されているアスベスト層の解体処理は、アスベスト層の針状結晶が衝撃により飛散しないようにして行わなければならない。
【0003】
アスベスト層の解体処理方法としては、壁面部や天井面に吹き付け施工されているアスベスト層の表面に対して、無機質・水溶性セラミックコーティング剤を噴霧装置により吹き付けして固化させる。このコーティング剤がアスベスト層の表面をコーティングすることにより、アスベスト層の針状結晶が衝撃により飛散しないようにしている。その後、空吸塵装置により集荷・集塵したアスベスト塊を粉砕装置により粉砕する。次に、アスベスト塊を無機質・水溶性セラミックコーティング剤とで混練し、混練されたアスベストを成型プレス装置によりブロック等に圧縮・成型する。そして、このアスベストの成型物を乾燥して、アスベストの成型物の表面全体に無機質セラミック液を吹き付けて全周に被覆層を固化形成して、アスベストの封じ込め施工をする噴霧器を使用してアスベストの表面全体に無機質セラミック液による被覆層を固化形成してアスベストを封じ込めることにより、表面硬度を上げてアスベストの衝撃飛散を防止する (特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−283242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このように封じ込められたアスベスト層及びその被覆層を解体処理する場合、アスベスト層及びその被覆層の解体によりアスベストが衝撃飛散するおそれがあるので、アスベスト処理液等をアスベスト層及びその被覆層に添加する解体処理方法等が考えられている。
しかし、アスベスト層及びその被覆層の厚みは、通常3cm〜5cmといわれてはいるが、現場によってはアスベスト層及びその被覆層の厚みが実際には10cm〜12cmになっていることもあり、アスベスト解体現場によってはアスベスト層及びその被覆層の厚みが必ずしも一定ではない。
【0006】
このため、このアスベスト処理液がアスベスト層及びその被覆層に深く浸透するのに非常に時間がかかり、アスベスト層及びその被覆層の厚みが大きいほどアスベスト処理液の使用量が増加してしまい、現場でのアスベスト層及びその被覆層の解体処理が大変困難となる。
【0007】
そこで、本発明は、アスベスト層及びその被覆層の厚みが一定でなくても、アスベスト層を処理する液体をアスベスト層内に確実に短時間で注入して浸透させることができるアスベスト処理用液体注入装置およびアスベスト処理用液体注入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のアスベスト処理用液体注入装置は、表面に被覆層が形成されたアスベスト層内にアスベスト処理用液体を注入させるアスベスト用液体注入装置であって、前記アスベスト処理用液体が導入される本体部と、前記本体部から突出して設けられて前記被覆層を通して前記アスベスト層内に挿入され前記本体部内からの前記アスベスト処理用液体を前記アスベスト層内に注入する挿入ノズル部と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、アスベスト層及びその被覆層の厚みが一定でなくても、アスベスト層を処理するアスベスト処理用液体をアスベスト層内に確実に短時間で注入して浸透させることができる。
【0010】
好ましくは、前記挿入ノズル部は、複数のノズル開口部を有する複数本の挿入パイプにより構成され、前記ノズル開口部は、前記挿入パイプの軸方向に沿って間隔をおいて形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、各挿入パイプは、ノズル開口部を通じて、アスベスト層及びその被覆層の厚み方向の何れの部位においても液体を注入することができる。
【0012】
好ましくは、前記挿入ノズル部は、前記本体部からの突出長さが異なる複数本の前記挿入パイプを有することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、突出長さが異なる複数本の挿入パイプは、アスベスト層の厚み方向の何れの部位においても液体を確実に注入することができる。
【0014】
好ましくは、前記挿入ノズル部は、複数の挿入パイプ群を前記本体部において互いに離して配置することで構成され、各前記挿入パイプ群は、突出長さが異なる複数本の前記挿入パイプを有することを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、アスベスト層のある区画部分において、突出長さが異なる複数本の挿入パイプは、アスベスト層の厚み方向の何れの部位においても液体を確実に注入することができる。
【0016】
好ましくは、前記挿入パイプの先端部は、閉鎖されて先細りになっていることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、挿入パイプは、例えば、硬い被覆層を通してアスベスト層内に確実に差し込んで液体を注入することができる。
【0018】
好ましくは、前記挿入パイプの先端部とは反対の端部は、前記本体部に対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、現場において、アスベスト層の厚みに応じて必要となる長さの挿入パイプに簡単に交換することができる。
【0020】
本発明のアスベスト処理用液体注入方法は、表面に被覆層が形成されたアスベスト層内にアスベスト処理用液体を注入させるアスベスト処理用液体注入方法であって、前記アスベスト処理用液体が導入される本体部から突出して設けられた挿入ノズル部を、前記被覆層を通して前記アスベスト層内に挿入して、前記本体部内からの前記アスベスト処理用液体を、前記挿入ノズル部を通じて前記アスベスト層内に注入させることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、アスベスト層及びその被覆層の厚みが一定でなくても、アスベスト層を処理するアスベスト処理用液体をアスベスト層内に確実に短時間で注入して浸透させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、アスベスト層及びその被覆層の厚みが一定でなくても、アスベスト層を処理する液体をアスベスト層内に確実に短時間で注入して浸透させることができるアスベスト処理用液体注入装置およびアスベスト処理用液体注入方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のアスベスト用の液体注入装置の好ましい実施形態を示す斜視図。
【図2】図1のアスベスト用の液体注入装置を図1のT方向から見た側面図。
【図3】図1のアスベスト用の液体注入装置を図1のS方向から見た正面図。
【図4】図3におけるアスベスト用の液体注入装置のJ−J線における断面図。
【図5】挿入パイプの断面形状例を示す図。
【図6】挿入パイプの先端形状の例を示す斜視図。
【図7】アスベスト層とコーティング層に対して液体注入装置の挿入部を挿入して、液体をアスベスト層内に浸透させる様子を示す断面図。
【図8】図7に示すコーティング層を矢印Z方向から見た図。
【図9】実施の形態の第1の変形例を示す概略図。
【図10】実施の形態の第2の変形例を示す概略図。
【図11】実施の形態の第3の変形例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0025】
図1は、本発明のアスベスト処理用液体注入装置の好ましい実施形態を示す斜視図である。図2は、図1のアスベスト処理用液体注入装置を図1のT方向から見た側面図である。図3は、図1のアスベスト用の液体注入装置を図1のS方向から見た正面図である。図4は、図3におけるアスベスト用の液体注入装置のJ−J線における断面図である。
【0026】
図1に示す本発明の実施形態のアスベスト用の液体注入装置10は、アスベスト層100を処理するアスベスト処理用液体34(以下「処理用液体34」とする。)を、アスベスト層100の吹き付け厚みMが一定でなくても、被覆層である例えば、コーティング層101を通して、アスベスト層100内に浸透させることができる装置である。
図1に示すように、アスベスト層100は天井面あるいは壁面部等の吹き付け対象部位190に対して吹き付けにより既に形成されており、アスベスト層100の表面には、針状結晶が飛散するのを防止するためにコーティング層101が既に形成されている。
【0027】
図1に示すように、アスベスト処理用液体注入装置10は、液体噴霧部11と、エアレスガン12を有している。液体噴霧部11は、機械的な強度が高くアルコール等の薬品に対して耐久性の高い金属材料、例えばステンレス(一例としてSUS304)により作られている。図1に示す液体噴霧部11は、本体部13と、この本体部13からR方向に突出して設けられた挿入ノズル部14と、接続部15を有している。
【0028】
まず、アスベスト処理用液体注入装置10の本体部13の構造例を説明する。
図1から図3を参照すると、本体部13は、ほぼ三角形状の側面部13A,13B,13C,13Dと、長方形状の側面部13E,13F,13G,13Hにより形成されており、本体部13の内部は、エアレスガン12により噴霧された処理用液体の案内流路17である。
【0029】
図1と図2に示すように、側面部13E,13F,13G,13Hは、正方形の開口部16を形成しており、側面部13E,13Gは平行であり、側面部13F,13Hは平行である。
側面部13Aは、側面部13Eから接続部15に向かって傾斜して形成され、側面部13Bは、側面部13Fから接続部15に向かって傾斜して形成されている。側面部13Cは、側面部13Gから接続部15に向かって傾斜して形成され、側面部13Dは、側面部13Hから接続部15に向かって傾斜して形成されている。
これにより、図2と図4に示すように、側面部13A,13B,13C,13Dは、接続部15からX方向とY方向に広がった液体の案内流路17を形成している。
【0030】
図1に示すように、正方形の開口部16には、閉鎖板18が配置されており、この閉鎖板18の4つの縁部は、図3と図4に示すように、側面部13E,13F,13G,13Hの内側部分に固定されており、液体の案内流路17はこの閉鎖板18により閉じている。
閉鎖板18は、図3に示すように、正方形の中央部分19と、4つの周辺部分19A,19B,19C,19Dを有している。正方形の中央部分19は、X方向とY方向により形成される平面と並行であり、すなわちR方向に対して垂直面になるように形成されている。
【0031】
これに対して、4つの周辺部分19A,19B,19C,19Dは、図4に示すように中央部分19から接続部15側に向けて図4に示すように対応する側面部13E,13F,13G,13Hの内面側に対して角度θだけ傾斜して形成されている。
図4に示すように、接続部15のオネジ部15Bとエアレスガン12のオネジ部15Cとは、ナット部15Aに対してねじ込むことで着脱可能に接続されており、エアレスガン12から噴霧された液体34はこれらのオネジ部15B、15C内を通って本体13の液体の案内流路17内に入るようになっている。
【0032】
次に、図1乃至図4を参照して、アスベスト処理用液体注入装置10の挿入ノズル部14の構造例を説明する。
図3と図1に示すように、挿入ノズル部14は、1つの中央挿入パイプ群20と、4つの周辺挿入パイプ群21と、4つの周辺挿入パイプ群22から構成されている。1つの中央挿入パイプ群20は、中央部分19の中央においてR方向に突出して設けられている。
【0033】
4つの周辺挿入パイプ群21は、側面部13A〜13Dの内側の中間位置であって、周辺部分19A,19B,19C,19DにおいてR方向に突出して設けられている。4つの周辺挿入パイプ群22は、側面部13A〜13Dの内側の角部位置においてR方向に突出して設けられている。
すなわち、1つの中央挿入パイプ群20と、4つの周辺挿入パイプ群21と、4つの周辺挿入パイプ群22は、互いに間隔をおいてR方向に平行に配列されている。
【0034】
図3に示すように、中央挿入パイプ群20は、例えば3種類の異なる長さの1本の挿入パイプ23と2本の挿入パイプ24と2本の挿入パイプ25からなる。
4つの周辺挿入パイプ群21は、例えば3種類の異なる長さの1本の挿入パイプ23と2本の挿入パイプ24と1本の挿入パイプ25からなる。同様にして、4つの周辺挿入パイプ群22は、例えば3種類の異なる長さの1本の挿入パイプ23と2本の挿入パイプ24と1本の挿入パイプ25からなる。
図2に示す挿入パイプ23の全長L1は例えば120mmであり、挿入パイプ24の全長L2は例えば80mmであり、挿入パイプ25の全長L3は例えば40mmである。
【0035】
このように、各挿入パイプ群20,21,22は、正方形の開口部16内において互いに間隔をおいて分散して配置することで、アスベスト層100の吹き付け領域に分散して処理用液体を注入して浸透させることができる。しかも、各挿入パイプ群20,21,22は、異なる突出長さの挿入パイプを組み合わせて構成することで、アスベスト層100の挿入方向(厚み方向)における各領域に液体を分散して注入して浸透させることができるようになっている。つまり、アスベスト層100内の平面内の領域と厚さ方向の領域の何れにおいても処理用液体を確実に注入して浸透させることができる。
【0036】
図5(A)は、中央挿入パイプ群20を示す断面図であり、図5(B)は、周辺挿入パイプ群22を示す断面図であり、図5(C)は、周辺挿入パイプ群21を示す断面図である。
各挿入パイプ23,24,25は、例えば外径が7mmの断面円形のパイプであり、各挿入パイプ23,24,25には、それぞれ長手方向(R方向、軸方向)に沿って複数のノズル開口部26が例えば一定間隔ごとに形成されている。
各ノズル開口部26の直径は例えば2mmである。各挿入パイプ23,24,25はアスベスト層100内に挿入して、これらのノズル開口部26からは処理用液体34をアスベスト層100内に注入して浸透させる役割を果たす。
【0037】
図6(A)に示すように、各挿入パイプ23,24,25の先端部27は、図1に示すコーティング層101を突き通してアスベスト層100に挿入し易くするために、閉じておりしかも先細りになるように尖っているのが望ましい。
このように、各挿入パイプ23,24,25の先端部27が閉じて先細りになるように尖っていることで、各挿入パイプ23,24,25は、アスベスト層の表面に形成されている硬いコーティング層101を突き通してアスベスト層100内に簡単に挿入することができるとともに、各挿入パイプ23,24,25の先端部27にコーティング層101の一部やアスベスト層100の一部が入り込んで目詰まりを起こすことがない。
しかし、図6(B)に示すように、各挿入パイプ23,24,25の先端部27には、先端孔28が形成されていても良い。このようにすることで、先端孔28からも処理用液体34をアスベスト層100内に注入して浸透させることができる。
【0038】
図1と図2に戻ると、本体部13の接続端部13Rは、接続部15を介してエアレスガン12に接続されており、エアレスガン12は、配管30とポンプ31を介して液体貯留部32に接続されている。液体貯留部33は処理用液体34を密閉した状態で収容している。
ポンプ31がモータ33の作動により動作すると、液体貯留部33内の液体34は、配管30を通じてエアレスガン12に送り、エアレスガン12は処理用液体34を噴霧状態にして本体部13の液体の案内流路17内に供給することで、噴霧状態の液体34は各挿入パイプ23,24,25内に圧送して導入され、処理用液体34は各ノズル開口部26からアスベスト層内に注入して浸透させることができるようになっている。
【0039】
次に、図7と図8を参照しながら、上述したアスベスト処理用液体注入装置10を用いて、アスベスト層100内に処理用液体34を注入して浸透させるアスベスト処理用液体注入方法について説明する。
図7は、吹き付けにより施工されたアスベスト層100の断面を示しており、アスベスト層100の表面には、上塗液を塗布することでコーティング層101が予め施工され、アスベスト層100の針状結晶が飛散しないように封じ込め処理が施されている。アスベスト用の液体注入装置10は、このようにコーティング層101が積層されたアスベスト層100に対して液体34を注入して浸透させるために用いる。
【0040】
作業者は、図7に示すようにアスベスト処理用液体注入装置10の挿入ノズル部14をR方向に沿って、すなわちコーティング層101に対して垂直方向に差し込むことで、図1の中央挿入パイプ群20と周辺挿入パイプ群21と周辺挿入パイプ群22の各挿入パイプ23,24,25を、コーティング層101を突き通してアスベスト層100に対して圧入する。
この圧入作業の際に、図6に示すように各挿入パイプ23,24,25の先端部27が尖っているので、たとえ硬いコーティング層101であっても確実にコーティング層101に突き通して各挿入パイプ23,24,25をアスベスト層100内に挿入することができる。
【0041】
各挿入パイプ群20,21,22は、正方形の開口部16内において互いに間隔をおいて分散して配置することで、アスベスト層100の吹き付け領域に分散して液体を注入して浸透させることができる。
しかも、各挿入パイプ群20,21,22は、異なる突出長さの挿入パイプ23,24,25を組み合わせて構成することで、アスベスト層100の挿入方向(厚み方向)における各領域に液体を分散して注入して浸透させることができるようになっている。
つまり、アスベスト層100内の平面内の領域と厚さ方向の領域の何れにおいても処理用液体を確実に注入して浸透させることができる。アスベスト層100の厚みMが仮に一定でなく、例えば3cm〜5cmではなく10cm〜12cm程度のあっても、処理用液体34をアスベスト層100内に均等に浸透させることができる。
【0042】
図8は、アスベスト層100とコーティング層101が壁面部に形成されている場合に、コーティング層101を図7の矢印Z方向から見た図であり、大きな正方形は、コーティング層101のある面積区画200,201,202を示し、例えば縦横がそれぞれ1mの区画である。小さな正方形は、本体部13を示す。楕円のような領域300,301,302は、液体がアスベスト層100に浸透する範囲の例を示している。
【0043】
作業者が、本体部13を面積区画200に対してやや上部位置に配置して、液体をアスベスト層100内に浸透させた場合には、処理用液体は領域300で例示するように重力により面積区画200のほぼ全域に浸透する。
次に、作業者が、本体部13を下の面積区画201に対してやや上部位置に配置して、液体をアスベスト層100内に浸透させた場合には、液体は領域301で例示するように重力により面積区画201のほぼ全域に浸透する。
このような要領で作業者が本体部13をコーティング層101に当てて、アスベスト層100に液体を注入して浸透させることで、アスベスト層100の全域にわたって液体34を注入して浸透させることができる。
【0044】
ところで、使用される処理用液体34としては、例えばアスベストの飛散を回避するための水、あるいはアスベストを無害化する液剤等を使用することができる。
例えば、処理用液体34として水を使用することで、アスベスト層内に水を注入して浸透させることができるので、アスベスト層を解体処理する際の針状結晶の飛散を抑制することができる。
【0045】
また、使用される処理用液体34として、アスベストの毒性を無害化する液剤を使用することにより、針状結晶を無くすことができるが、このアスベストを無害化する液剤は、たとえば精製水を主成分として、アルコール成分、燐酸の成分を含むものを採用することができる。
このようなアスベスト層の毒性の無害化のための液剤が、アスベスト層の全域にわたって浸透できることにより、針状結晶が存在しなくなり、その後アスベスト層とコーティング層を、針状結晶の飛散を心配することなく簡単に解体して破砕することができる。
【0046】
本発明のアスベスト処理用液体注入装置の実施形態は、吹き付け施工され表面に上塗液がコーティング層100として形成されたアスベスト層100内に液体を注入させるアスベスト処理用液体注入装置10であって、処理用液体が導入される本体部13と、本体部13から突出して設けられてコーティング層101を通してアスベスト層100内に挿入され本体部13内からの処理用液体をアスベスト層100内に注入させる挿入ノズル部14と、を有する。これにより、アスベスト層100及びコーティング層101の吹き付け厚みが一定でなくても、アスベスト層100を処理する処理用液体をアスベスト層100内に確実に短時間で注入して浸透させることができる。
【0047】
挿入ノズル部14は、複数のノズル開口部26を有する複数本の挿入パイプ23等により構成され、ノズル開口部26は、挿入パイプ23等の軸方向に沿って間隔をおいて形成されている。これにより、各挿入パイプ23等は、ノズル開口部26を通じて、アスベスト層100の厚み方向の何れの部位においても液体を注入することができる。
また、挿入ノズル部23は、本体部13からの突出長さが異なる複数本の挿入パイプ23等を有する。これにより、突出長さが異なる複数本の挿入パイプ23等は、アスベスト層100の厚み方向の何れの部位においても液体を確実に注入することができる。
【0048】
挿入ノズル部14は、複数の挿入パイプ群21等を本体部13において互いに離して配置することで構成され、各挿入パイプ群21等は、突出長さが異なる複数本の挿入パイプ23等を有する。これにより、アスベスト層100のある区画部分において、突出長さが異なる複数本の挿入パイプ23等は、アスベスト層100の厚み方向の何れの部位においても液体を確実に注入することができる。
【0049】
挿入パイプ23等の先端部27は、閉鎖されて先細りになっている。これにより、挿入パイプ23等は硬いコーティング層101を通してアスベスト層100内に確実に差し込んで液体を注入することができる。
【0050】
挿入パイプ23等の先端部27とは反対の端部は、本体部13に対して着脱可能に取り付けられる。これにより、現場において、アスベスト層100の厚みに応じて必要となる長さの挿入パイプ23等に簡単に交換することができる。つまり、アスベスト層100の厚みの大小に応じて、任意の長さを有する挿入パイプ23等に容易に交換することができる。
【0051】
本発明のアスベスト処理用液体注入方法の実施形態は、吹き付け施工され表面に上塗液がコーティング層101として形成されたアスベスト層100内に処理用液体を注入させるアスベスト処理用液体注入方法であって、処理用液体が導入される本体部13から突出して設けられた挿入ノズル部14を、コーティング層101を通してアスベスト層100内に挿入して、本体部13内からの処理用液体を、挿入ノズル部14を通じてアスベスト層100内に注入させる。
これにより、アスベスト層100及びコーティング層101の吹き付け厚みが一定でなくても、アスベスト層100を処理する処理用液体をアスベスト層100内に確実に短時間で注入して浸透させることができる。
【0052】
図9(A)(B)は、上述の実施の形態の第1の変形例を示す概略図である。
図9(A)と図9(B)に示す変形例は、図3に示す実施形態と異なり、閉鎖板18の正方形の中央部分19と4つの周辺部分19A,19B,19C,19Dには、複数の開口部150が追加して形成されている。
これらの開口部150は、本体部13内の液体の案内流路17から処理用液体をコーティング層に噴霧することができる。これにより、コーティング層を解体する際の飛散を抑制できる。
【0053】
図10(A)(B)は、上述の実施の形態の第2の変形例を示す概略図である。
図10(A)と図10(B)に示す変形例では、各挿入パイプ23,24,25の端部170が、閉鎖板18に対して着脱可能に固定されている。
図10(A)の例では、各挿入パイプ23,24,25の端部170はオネジ部171を有しており、このオネジ部171は、閉鎖板18のメネジ部172にねじ込むことで交換可能に固定できる。
図10(B)の例では、各挿入パイプ23,24,25の端部173はオネジ部174を有しており、このオネジ部174は、閉鎖板18側の穴176に通してナット175にねじ込むことで交換可能に固定できる。
これにより、作業者は、アスベスト層の厚みの大小に応じて、任意の長さを有する挿入パイプに容易に交換することができる。
【0054】
図11は、上述の実施の形態の第3の変形例を示す概略図である。
図11の変形例では、図3の実施形態に比べて、本体部13の形状が異なり、本体部13の開口部16Hが例えば半円形状に形成されている。
なお、本発明の実施形態のアスベスト用の液体注入装置は、アスベスト層とコーティング層が壁面部に形成されている場合であっても、天井面に形成されている場合にあっても使用することができる。
【0055】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
上述した本発明の実施形態では、図1に示すように、1つの中央挿入パイプ群20と、4つの周辺挿入パイプ群21と、4つの周辺挿入パイプ群22が、設けられているが、これは一例であり、各パイプ群の配置数は特に限定されず任意に選択できる。また、各パイプ群を構成するための異なる長さの挿入パイプの種類は、3種類に限らず、2種類あるいは4種類以上であっても良い。
図示の各挿入パイプの断面形状は円形であるが、これに限らず、三角形、楕円形、正方形等の他の形状であっても良い。各挿入パイプに形成されるノズル開口部の数と大きさは、任意に選択できる。
【符号の説明】
【0056】
10・・・アスベスト処理用液体注入装置、11・・・液体噴霧部、12・・・エアレスガン、13・・・本体部、14・・・挿入ノズル部、15・・・接続部、16・・・開口部、17・・・液体の案内流路、18・・・閉鎖板、20・・・中央挿入パイプ群、21・・・周辺挿入パイプ群、22・・・周辺挿入パイプ群、23,24,25・・・挿入パイプ、27・・・挿入パイプ、100・・・アスベスト層、101・・・コーティング層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に被覆層が形成されたアスベスト層内にアスベスト処理用液体を注入させるアスベスト処理用液体注入装置であって、
前記アスベスト処理用液体が導入される本体部と、
前記本体部から突出して設けられて前記被覆層を通して前記アスベスト層内に挿入され前記本体部内からの前記アスベスト処理用液体を前記アスベスト層内に注入する挿入ノズル部と、
を有することを特徴とするアスベスト処理用液体注入装置。
【請求項2】
前記挿入ノズル部は、複数のノズル開口部を有する複数本の挿入パイプにより構成され、前記ノズル開口部は、前記挿入パイプの軸方向に沿って間隔をおいて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアスベスト処理用液体注入装置。
【請求項3】
前記挿入ノズル部は、前記本体部からの突出長さが異なる複数本の前記挿入パイプを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアスベスト処理用液体注入装置。
【請求項4】
前記挿入ノズル部は、複数の挿入パイプ群を前記本体部において互いに離して配置することで構成され、各前記挿入パイプ群は、突出長さが異なる複数本の前記挿入パイプを有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のアスベスト処理用液体注入装置。
【請求項5】
前記挿入パイプの先端部は、閉鎖されて先細りになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のアスベスト処理用液体注入装置。
【請求項6】
前記挿入パイプの先端部とは反対の端部は、前記本体部に対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のアスベスト処理用液体注入装置。
【請求項7】
表面に被覆層が形成されたアスベスト層内にアスベスト処理用液体を注入させるアスベスト処理用液体注入方法であって、
前記アスベスト処理用液体が導入される本体部から突出して設けられた挿入ノズル部を、前記被覆層を通して前記アスベスト層内に挿入して、
前記本体部内からの前記アスベスト処理用液体を、前記挿入ノズル部を通じて前記アスベスト層内に注入させることを特徴とするアスベスト処理用液体注入方法。
【請求項1】
表面に被覆層が形成されたアスベスト層内にアスベスト処理用液体を注入させるアスベスト処理用液体注入装置であって、
前記アスベスト処理用液体が導入される本体部と、
前記本体部から突出して設けられて前記被覆層を通して前記アスベスト層内に挿入され前記本体部内からの前記アスベスト処理用液体を前記アスベスト層内に注入する挿入ノズル部と、
を有することを特徴とするアスベスト処理用液体注入装置。
【請求項2】
前記挿入ノズル部は、複数のノズル開口部を有する複数本の挿入パイプにより構成され、前記ノズル開口部は、前記挿入パイプの軸方向に沿って間隔をおいて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアスベスト処理用液体注入装置。
【請求項3】
前記挿入ノズル部は、前記本体部からの突出長さが異なる複数本の前記挿入パイプを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアスベスト処理用液体注入装置。
【請求項4】
前記挿入ノズル部は、複数の挿入パイプ群を前記本体部において互いに離して配置することで構成され、各前記挿入パイプ群は、突出長さが異なる複数本の前記挿入パイプを有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のアスベスト処理用液体注入装置。
【請求項5】
前記挿入パイプの先端部は、閉鎖されて先細りになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のアスベスト処理用液体注入装置。
【請求項6】
前記挿入パイプの先端部とは反対の端部は、前記本体部に対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のアスベスト処理用液体注入装置。
【請求項7】
表面に被覆層が形成されたアスベスト層内にアスベスト処理用液体を注入させるアスベスト処理用液体注入方法であって、
前記アスベスト処理用液体が導入される本体部から突出して設けられた挿入ノズル部を、前記被覆層を通して前記アスベスト層内に挿入して、
前記本体部内からの前記アスベスト処理用液体を、前記挿入ノズル部を通じて前記アスベスト層内に注入させることを特徴とするアスベスト処理用液体注入方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−12828(P2012−12828A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149989(P2010−149989)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(510182179)オーピーシー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(510182179)オーピーシー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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