説明

アスベスト溶融処理装置

【課題】未溶融のアスベストが飛散することを防止して、アスベストを含む廃棄物を効率的に処理するアスベスト溶融処理装置を提供する。
【解決手段】アスベストを含む廃棄物と該アスベストの融点降下剤と水とを混合した混合物Xを加熱溶融する水平方向に延びる円筒状の反応炉11と、反応炉11の外周側に設けられて混合物Xを間接的に加熱する加熱手段12と、反応炉11の上流側から下流側に混合物Xを連続搬送するスクリューコンベア13とを備え、反応炉11には、上流側に混合物Xを供給する供給口14と、下流側にスクリューコンベア13により混合物Xの溶融処理物を排出する排出口15と、供給口14と排出口15との間の反応炉11を加熱する前記加熱手段12と、供給口14と加熱手段12による加熱領域との間に、反応炉11内の気体を排気する排気口16とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば石綿スレート、アスベスト吹付材等の建築材料等を廃棄することにより生じる廃アスベストを溶融して処理するアスベスト溶融処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アスベストの溶融処理方法としては、アスベストと該アスベストの融点降下剤であるフロン分解物とを混合して、該混合物を反応炉内において約600℃で約2時間、加熱して処理する方法が知られている(特許文献1参照。)。アスベストには、クリソタイル、アモサイト、クロンドライト等の種類があり、その融点はクリソタイルが1521℃、アモサイトが1399℃、クロンドライトが1193℃と高温であるが、かかるアスベストの溶融処理方法は、フロン分解物をアスベストの融点降下剤として作用させることで、約600℃という低温でアスベストを溶融させて無害化処理するものである。
【0003】
かかるアスベストの溶融処理方法は、実験的に一定の成果を上げることが実証されているものの、処理量を増やして、アスベストを工業的に無害化処理することは難しい。
【0004】
処理量を増やすためには、アスベストを連続的に投入して処理する必要がある。そこで、アスベストを連続的に加熱処理するロータリーキルンを用いることが考えられる。しかし、ロータリーキルンは、反応炉を回転させるための回転部があるため、密閉構造とすることは困難である。そのため、反応炉の回転により未溶融のアスベストが反応炉内の空間に舞い上がり、かかる未溶融のアスベストを含む気体が炉外に飛散してしまうという不都合がある。
【0005】
また、アスベスト吹付材を処理するためには、アスベストとフロン分解物との混合物にバインダとして水を加えて扱い易くする必要があるが、かかる水を含む混合物をロータリーキルンで加熱すると反応炉内の雰囲気温度よりも低い温度の水蒸気が発生して炉内に充満し、反応炉の温度上昇を妨げるという不都合がある。
【特許文献1】特開2005−168632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる不都合を解消して、未溶融のアスベストが飛散することを防止して、アスベストを含む廃棄物を効率的に処理するアスベスト溶融処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、アスベストを含む廃棄物と該アスベストの融点降下剤と水とを混合した混合物を加熱溶融して処理するアスベスト溶融処理装置において、前記混合物を加熱溶融する水平方向に延びる円筒状の反応炉と、前記反応炉の外周側に設けられて、前記反応炉内の前記混合物を間接的に加熱する加熱手段と、前記反応炉内に設けられて、該反応炉の上流側から下流側に前記混合物を連続搬送するスクリューコンベアとを備え、前記反応炉には、上流側に前記混合物を供給する供給口と、下流側に前記スクリューコンベアにより該混合物の溶融処理物を排出する排出口と、該供給口と該排出口との間の反応炉を加熱する前記加熱手段と、該供給口と該加熱手段による加熱領域との間に、該反応炉内の気体を排気する排気口とが設けられていることを特徴とする。

本発明のアスベスト溶融処理装置では、まず、反応炉の上流側に設けられた供給口から、アスベストの融点降下剤と水分とを含有する前記混合物が反応炉内に供給される。供給された混合物は、スクリューコンベアによって攪拌されながら反応炉の下流側へ搬送される。このとき、混合物は、初めに加熱領域の上流側で該加熱領域の予熱によって加熱され、その含有する水分が蒸発する。そして、混合物から蒸発した水蒸気は、供給口と加熱領域との間に設けられた排気口から排気される。次に、水分が蒸発した状態となった混合物は、加熱領域に搬送されて所定温度(例えば550℃〜800℃)で所定時間(例えば1時間〜2時間)加熱されて溶融処理される。
【0008】
かかる本発明のアスベスト溶融処理装置によれば、アスベストを含む前記混合物は、反応炉の上流側から下流側へ搬送されながら間接加熱されて処理されるため、アスベストの連続処理が可能となる。
【0009】
また、本発明のアスベスト溶融処理装置によれば、前記混合物はスクリューコンベアによって攪拌されながら反応炉の下流側へ搬送されるため、未溶融のアスベストが反応炉内の空間に舞い上がることを防止することができる。さらに、前記排気口が設けられる供給口と加熱領域との間の区間は、混合物が未だ水分を含有していてアスベストが飛散し難い状態である区間に対応している。そのため、排気口から排気しても未溶融のアスベストが流出することを避けることができる。従って、本発明のアスベスト溶融処理装置では、未溶融のアスベストが反応炉から大気中に飛散することを抑制することができる。
【0010】
さらに、本発明のアスベスト溶融処理装置によれば、前記混合物から蒸発した水蒸気は、供給口と加熱領域との間に設けられた排気口から排気されるので、水蒸気を含む気体が加熱領域に流れ込んで反応炉内の温度を低下させることを防止することができる。これにより、加熱領域における熱効率を向上させることができる。
【0011】
また、本発明のアスベスト溶融処理装置は、前記排気口から前記反応炉内の気体をフィルタを介して吸引して排気する排気処理手段を備えることが好ましい。
【0012】
本発明のアスベスト溶融処理装置では、排気口からの吸引により、反応炉内には下流側から上流側へ向かう気体の流れが生じる。そのため、前記加熱領域において未溶融のアスベストが飛散した場合であっても、かかる未溶融のアスベストを含む気体は、排気口から吸引され、フィルタによって清浄化されて排気される。
従って、本発明のアスベスト溶融処理装置によれば、未溶融のアスベストを含む気体が下流側へ流されて排出口から前記溶融処理物とともに炉外に排出されることを確実に防止することができる。
【0013】
さらに、本発明のアスベスト溶融処理装置において、前記排気処理手段は、前記アスベストを含む廃棄物の混合物を調整するクリーンルーム内の気体を前記フィルタを介して吸引して排気することが好ましい。
【0014】
かかる本発明のアスベスト溶融処理装置によれば、反応炉内の気体を吸引すると同時に、未溶融のアスベストが飛散し得るクリーンルーム内の気体を吸引して清浄化する。これにより、装置構成を複雑にすることなく、未溶融のアスベストがクリーンルームから大気中に飛散することを防止することができる。
【0015】
また、本発明のアスベスト溶融処理装置において、前記スクリューコンベアは、前記反応炉の中心軸に対して下方に偏心させたスクリュー軸を有することが好ましい。
【0016】
かかる本発明のアスベスト溶融処理装置によれば、スクリューコンベアと反応炉の上部内壁との間に間隙が形成される。そのため、前記混合物から蒸発した水蒸気は、該間隙を介して前記排気口から円滑に排出することができる。また、前記混合物は、スクリューコンベアによって反応炉の下方位置で攪拌されながら下流側へ搬送される。これにより、混合物が攪拌および搬送される位置と反応炉内の気体が流れる位置とを分けることができ、気流が混合物に接触しない状態で流れるため、混合物に含まれる未溶融のアスベストが炉内に舞い上がることをより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1は本実施形態のアスベスト溶融装置の構成を示す概念図であり、図2は図1の概念図の詳細を示すシステム構成図であり、図3は反応炉内の温度分布と混合物の状態を示す説明図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のアスベスト溶融装置は、アスベストを含む廃棄物と該アスベストの融点降下剤と水と混合した混合物Xを加熱して溶融処理する溶融処理装置10と、アスベストを含む廃棄物と該アスベストの融点降下剤と水とを混合して混合物Xと調整し、溶融処理装置10に供給する混合装置20と、混合装置20にアスベストを含む廃棄物を供給するための投入口を内部に備えるクリーンルーム30と、溶融処理装置10とクリーンルーム30とから排気される気体を清浄化して排気する排気処理装置40とを備える。
【0019】
図2に示すように、溶融処理装置10は、ステンレス鋼(SUS304)製の反応炉11と、反応炉11内の該混合物を間接的に加熱する加熱装置12と、反応炉11に供給された混合物Xを反応炉11の上流側から下流側に搬送するスクリューコンベア13を備えている。
【0020】
反応炉11は円筒状体であって、該円筒状体の軸が水平となるように配置され、上流側に混合装置20から混合物Xを供給する供給口14と、下流側には反応炉11で得られた溶融処理物を排出する排出口15と、供給口14と加熱装置12による加熱領域との間に、加熱装置12によって加熱されることにより発生する水蒸気等の加熱気体を排気する排気口16とを備えている。
【0021】
加熱装置12は、反応炉11の中央から上流側および下流側に延びる領域(本発明における加熱領域)の外周側に、反応炉11を囲むように設けられ熱気を収容する加熱装置本体17と、加熱装置本体17の上流側の供給口17aに接続されたバーナコーン18aと、加熱装置本体17の中央部の供給口17a´に接続されたバーナコーン18a´と、バーナコーン18a,18a´に取付けられた燃焼バーナ18b,18b´とを備えている。供給口17a,17a´とバーナコーン18a,18a´とは、反応炉11の接線方向から上流側に所定角度傾けて設けられている。バーナコーン18a,18a´は円筒状部と、加熱装置本体17に向かって次第に縮径される円錐状の先端部とからなり、該円筒状部の外周面に、その接線方向に火炎を吹き込むように燃焼バーナ18b,18b´が配設されている。燃焼バーナ18b,18b´は、燃焼用空気導管18cを介して押し込みファン18dに接続されている。
【0022】
一方、加熱装置本体17の排出口17bには排気ダクト19aが接続されており、排気ダクト19aは、上向きに配設されたノズル19bを介して煙突19cに接続されている。ノズル19bにはエゼクトファン19dに接続された排気補助管19eが設けられており、排気補助管19eから供給される空気を上向きに噴出することにより上昇流を形成し、排気の排出を補助する。
【0023】
スクリューコンベア13は、反応炉11の外部に設けられた駆動装置13aと、反応炉11内に設けられたスクリュー軸13bおよびスクリュー13cとからなり、スクリュー軸13bを反応炉11の中心軸に対して下方に偏心させて設けられている。
【0024】
混合装置20は、アスベストの融点降下剤(例えば、フロン分解処理物)と水との混合液を供給するホッパ21と、アスベストを含む廃棄物が供給されるアスベスト供給スクリューコンベア22とを備えている。混合装置20は、ホッパ21とスクリューコンベア22から供給される材料を混合し、得られた混合物をロータリーバルブ23を介して反応炉11に供給する。
【0025】
クリーンルーム30には、アスベスト供給スクリューコンベア22に接続された箱型のアスベスト投入口31と、室内の気体を吸引する吸引口32が設けられている。
【0026】
排気処理装置40は、反応炉11の排気口16に接続された排気ダクト41と、クリーンルーム30の吸引口32に接続された排気ダクト42と、排気ダクト41に取り付けられた空冷装置43と、排気ダクト41,42に接続されたフィルタ装置44と、排気ダクト41,42を介して反応炉11およびクリーンルーム30内の気体をフィルタ装置44側に吸引する吸引ファン45とを備える。
【0027】
空冷装置43は、空冷式熱交換器を備え、排気ダクト41内の気体の温度をフィルタ装置44の耐熱温度まで低下させる。
【0028】
フィルタ装置44は、フィルタ筺体44aに、粒径0.3マイクロメートル以上の粒子の捕集が可能なヘパフィルタ装置44bが取り付けられており、反応炉11から吸引された気体およびクリーンルーム30内から吸引された気体に含まれ得る未溶融のアスベストをろ過する。
【0029】
次に、アスベスト溶融装置の作動について説明する。
【0030】
アスベスト溶融装置では、まず、防塵服および防塵マスク等を着用した作業者が、クリーンルーム30において、アスベストを含む廃棄物が梱包された二重袋を開封して、アスベストを含む廃棄物を投入口31に投入する。投入されたアスベストを含む廃棄物は、スクリューコンベア22によって混合装置20へ搬送され供給される。
【0031】
一方、混合装置20のホッパ21から、アスベストの融点降下剤であるフロン分解物と水とを混ぜた水分散液が混合装置20に供給される。
【0032】
そして、混合装置20では、アスベストを含む廃棄物と前記水分散液とが混合調整される。このとき、スクリューコンベア22から供給されるアスベストを含む材料と、バインダ供給ホッパ21から供給される水分散液中のフロン分解処理物とが、重量比で1:0.5〜1:3の範囲、好ましくは1:2の割合となるように混合調整される。そして、得られた混合物Xは水分が15〜40重量%の湿り気を有する状態となり、ロータリーバルブ23を介して所定の割合で反応炉11に連続的に供給される。
【0033】
本実施形態では、前記アスベストを含む材料として、ビル、住宅等の解体現場から排出されるアスベスト吹付材であって、セメント60重量%、ロックウール35〜37重量%、アスベスト3〜5重量%を含むものを用いる。
【0034】
また、前記フロン分解処理物は、廃棄された自動車、空調設備、大型冷蔵設備等から回収されたフロンを、プラズマまたは高温のガス炎で分解した後、石灰スラリーで中和したものを用いる。前記フロン分解処理物は、CaFを主成分とし、CaCO、CaCl等を含んでいる。
【0035】
また、前記バインダは、水のみを混合する場合に限らず、水を媒体とする水溶液等(例えば、塩素系水溶液等)を混合するようにしてもよい。
【0036】
次に、反応炉11に供給された混合物Xは、上流側の供給口14側から下流側の排出口15側に向かってスクリューコンベア13により、1〜2時間かけて攪拌されながら連続搬送される。スクリューコンベア13は、スクリュー軸13bを、円筒状の反応炉11の中心軸の下方に偏心させて設けられ、スクリューコンベア13と反応炉11の上部内壁との間には間隙が形成されている。そのため、混合物Xはスクリューコンベア13によって、反応炉11の下方位置で攪拌されながら徐々に下流側へ搬送され、混合部Xに含まれる未溶融のアスベストが前記間隙に舞い上がることを防止することができる。
【0037】
一方、燃焼バーナ18b、18b´は、押し込みファン18dから供給される燃焼用空気を用いて、図示しない燃料タンクから供給される軽油等の燃料を燃焼させ、火炎をバーナコーン18a,18a´に吹き込む。燃焼バーナ18b,18b´は、バーナコーン18a,18a´の円筒状部の外周側に接線方向に設けられているので、前記火炎は該円筒状部の内周面に沿って旋回して渦となり、円錐状部から高熱の燃焼排気を加熱装置本体17に供給する。
【0038】
加熱装置本体17に供給された高温の燃焼排気は、供給口17a,17a´とバーナコーン18a,18a´とが反応炉11の接線方向から上流側に所定角度傾けて設けられているため、加熱装置本体17の下流側の排出口17bに向かって反応炉11を包み込むように旋回しながら進行し、反応炉11を間接加熱する。ここで、一方のバーナコーン18a´および燃焼バーナ18b´を加熱装置本体17の中央部に設けることで、上流側に設けられた他方のバーナコーン18aおよび燃焼バーナ18bによる燃焼排気の温度が、加熱装置本体17の下流側で低下することを防止している。
【0039】
この結果、前記加熱領域における反応炉11は、反応炉11の外周側に設けられた加熱装置本体17により、反応炉11の外部から間接的に550〜800℃の範囲の温度で加熱され、加熱領域の上流側および下流側もその予熱により所定温度に加熱されている。そのため、混合物Xは、まず、加熱領域の予熱によって供給口14付近から加熱され、その含有する水分の蒸発が始まり、搬送されながら水分の蒸発が進んでいく。そして、混合物Xは、水分の蒸発がほぼ終了した状態で、加熱領域に搬送されて間接的に550〜800℃の範囲の温度で加熱されて溶融処理される。
【0040】
反応炉11内の様子を図3を用いて具体的に説明する。図3は、反応炉11の軸方向位置を横軸として、その位置での炉内温度を縦軸として示したものである。図3に実線で示すように、炉内温度は、上流側の供給口14が約100℃、排気口16が約300℃であり、加熱領域側へ行くにしたがって上昇して、加熱領域内は550〜800℃の範囲の温度になっている。そして、加熱領域の下流側では、加熱領域の温度が排出口15付近まで保たれ、下流側端部付近で急激に低下する。
【0041】
一方、図3に仮想線で示すように、反応炉11に供給された混合物Xは、供給口14付近から徐々に加熱されて、排気口16付近では水分を含有した状態で約100℃の温度が一定区間維持される。すなわち、排気口16が設けられている位置では、混合物Xが未だ水分を含有していてアスベストが飛散し難い状態にある。そして、混合物Xは、加熱領域側へ搬送されるにしたがってより高温で加熱され、水分を失って温度上昇をはじめる。混合物Xが加熱領域に搬送されるまでには炉内温度とほぼ同じ温度に達し、加熱領域では、炉内温度で溶融処理される。
【0042】
このとき、供給口14と加熱領域との間で発生した水蒸気は、吸引ファン45により排気口16から排気ダクト41へ吸引され、水蒸気を含む気体が加熱領域に流れ込むことはない。また、反応炉11内には下流側から上流側の排気口16へ気体の流れが生じるため、加熱領域において未溶融のアスベストが飛散した場合でも、該アスベストが下流側へ流されて排気口15から溶融処理物とともに排出されることもない。
【0043】
また、加熱領域に搬送された混合物Xに含まれるアスベストは、前記フロン分解処理物と混合されているので、前記範囲の温度に加熱されることにより容易に溶融し、繊維状の形態が粒状化されて無害化された溶融処理物が得られる。該溶融処理物は排出口15に設けられたロータリーバルブを介して炉外に排出される。
【0044】
排気口16から排気ダクト41へ吸引された反応炉11内に気体は、空冷装置44によって冷却されてフィルタ装置44へ送られる。同時に、クリーンルーム30に設けられたおよび吸引口32から排気ダクト42へ吸引された気体がフィルタ装置44へと送られる。フィルタ装置44では、これら反応炉11から吸引された気体およびクリーンルーム30内から吸引された気体をヘパフィルタ44bでろ過することにより、これらの気体に含まれ得る未溶融のアスベストを除去し、清浄化した気体のみを装置外に排気する。
【0045】
一方、加熱装置本体17内の燃焼排気は、前記混合物Xを加熱した後、加熱装置本体17の排出口17bに接続された排気ダクト19aからノズル19bを介して煙突19cに導かれて大気中に排出される。ノズル19bでは、エゼクトファン19dから排気補助管19eを介し供給される外部空気が上向きに噴出されることにより上昇流が形成されているので、前記燃焼排気は上昇流に伴われて煙突19cから円滑に排出される。
【0046】
尚、本実施形態では、アスベストを含む廃棄物としてアスベスト吹付材を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、スレート板等の硬質の材料を粉砕したものであってもよい。
【0047】
また、本実施形態では、アスベストの融点降下剤(フロン分解物)と水とを予め混合した水分散液をホッパ21から混合装置20に供給しているが、アスベストの融点降下剤と水とを独立のホッパから別々に混合装置20に供給するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のアスベスト溶融装置の一構成例を示す概念図。
【図2】・ 図1の概念図の詳細を示すシステム構成図。
【図3】反応炉内の温度分布と混合物の状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0049】
11…反応炉、 12…加熱手段、 13…スクリューコンベア、 14…供給口、 15…排出口、 16…排気口、 30…クリーンルーム、 40…排気処理手段、 44…フィルタ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスベストを含む廃棄物と該アスベストの融点降下剤と水とを混合した混合物を加熱溶融して処理するアスベスト溶融処理装置において、
前記混合物を加熱溶融する水平方向に延びる円筒状の反応炉と、
前記反応炉の外周側に設けられて、前記反応炉内の前記混合物を間接的に加熱する加熱手段と、
前記反応炉内に設けられて、該反応炉の上流側から下流側に前記混合物を連続搬送するスクリューコンベアとを備え、
前記反応炉には、上流側に前記混合物を供給する供給口と、下流側に前記スクリューコンベアにより該混合物の溶融処理物を排出する排出口と、該供給口と該排出口との間の反応炉を加熱する前記加熱手段と、該供給口と該加熱手段による加熱領域との間に、該反応炉内の気体を排気する排気口とが設けられていることを特徴とするアスベスト溶融処理装置。
【請求項2】
前記排気口から前記反応炉内の気体をフィルタを介して吸引して排気する排気処理手段を備えることを特徴とする請求項1記載のアスベスト溶融処理装置。
【請求項3】
前記排気処理手段は、前記アスベストを含む廃棄物の混合物を調整するクリーンルーム内の気体を前記フィルタを介して吸引して排気することを特徴とする請求項2記載のアスベスト溶融処理装置。
【請求項4】
前記スクリューコンベアは、前記反応炉の中心軸に対して下方に偏心させたスクリュー軸を有することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載のアスベスト溶融処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−105719(P2007−105719A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152741(P2006−152741)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【特許番号】特許第3847777号(P3847777)
【特許公報発行日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(391060281)株式会社キンセイ産業 (17)
【Fターム(参考)】