説明

アスベスト試料作成容器及びアスベスト試料作成装置

【課題】アスベスト含有率などの分析用の試料を作成する際のアスベストの飛散を防止可能なアスベスト試料作成容器及びアスベスト試料作成装置を提供する。
【解決手段】試料と鋼球7とを密閉して収容できるボールミル2と、その粉砕した試料35と鋼球7とを収容した第2の凹部材6の第2の開口9と蓋体12の供給口19とを合わせて接続し、内部空間24に粉砕した試料35と鋼球7とを収容し、更に網状部材14によりふるい分けして、その網状部材14を通過した粉砕した試料35を排出口25から排出できるアスベスト試料作成容器3と、当該排出口25に密閉して連通できる第3の開口30を備えた捕集容器4とを具備することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスベストの定性及び定量分析などに用いられるアスベスト試料作成容器及びアスベスト試料作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建材中のアスベスト含有率の測定などは、例えば分析対象の建材から適切な量の試料を採取し、当該建材などの状況に応じて粉砕、ふるい分けや加熱などの処理を行った後、分析用の試料を調整する。
【0003】
次に、その分析用の試料にアスベストが含まれるか否かについて位相差顕微鏡による分散染色分析法やエックス線回折分析などによる定性分析を行い、アスベストが含有されるかを判定する。そして、アスベストの含有が確認された試料は、所定の処理をしてエックス線回折分析法により定量分析を行い、アスベスト含有量を求め、アスベスト含有率を算出する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述したようなアスベスト含有率の測定には、例えば試料の粉砕をする際や粉砕した試料をふるい分けする際などにおいてアスベストが飛散してしまい測定実施者自身がアスベストを吸い込むなどの虞があるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされるもので、アスベスト含有率などの分析用の試料を作成する際のアスベストの飛散を防止可能なアスベスト試料作成容器及びアスベスト試料作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の主たる観点に係るアスベスト試料作成容器は、第1及び第2の凹部材の開口同士を重ね合わせて形成される密閉された空間で粉砕された試料と前記試料を粉砕した鋼球とを収容する前記第1及び第2の凹部材のうち分離された第2の凹部材の前記開口に密閉して連通可能であり、前記粉砕された試料及び鋼球を内部に供給可能な供給口を有する蓋体と、前記蓋体に密閉可能に接続されると共に、前記供給口から供給された前記粉砕された試料及び鋼球を収容可能な筒状部と、前記筒状部に一体的に接続され内径が前記蓋体側と反対側の方向に小さくなるように形成され、その先端に前記粉砕された試料を外部に排出可能な排出口が設けられた排出部とを有する容器本体と、前記筒状部の内部空間を前記蓋体側と前記排出部側とに分断するように当該筒状部に着脱可能に配置され、前記蓋体側と反対側に略半球状に窪む網状部材とを具備することを特徴とする。
【0007】
ここで、「アスベスト」とは、岩石を形成する鉱物のうち、蛇紋石の群に属する繊維状のけい酸塩鉱物(クリソタイル)、及び角せん石の群に属する繊維状のけい酸塩鉱物(アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アクチノライト、アンソフィライト)で、アスペクト比3以上のもののことである。
【0008】
本発明は、第1及び第2の凹部材により密閉された空間で粉砕された試料とその試料を粉砕した鋼球を収容する第2の凹部の開口に、そのまま密閉して、すなわち外気と遮断して連通し、粉砕された試料及び鋼球を当該アスベスト試料作成容器内部に供給可能な供給口を有する蓋体を備える。従って、例えば粉砕された試料及び鋼球が入っている当該第2の凹部材の開口を上向きにして、その開口に蓋体の供給口を合わせて接続させ外気と遮断して連通させることができる。
【0009】
また、当該蓋体に密閉可能に接続されると共に、供給口から供給された試料及び鋼球を収容可能な筒状部と、その筒状部に一体的に接続され内径が蓋体側と反対側の方向に小さくなるように形成され、その先端に試料を外部に排出可能な排出口が設けられた排出部とを有する容器本体を備える。これにより、例えば排出口に試料が漏れないように密閉して捕集容器を取付ければ、第2の凹部材、蓋体、容器本体及び捕集容器の全体が外気に遮断された密閉状態となり、完全にアスベストの飛散を防ぐことができ、作業者の安全を確保しながら粉砕された試料であるアスベスト試料を作成することが可能となる。
【0010】
更に筒状部の内部空間を蓋体側と排出部側とに分断するように当該筒状部に着脱可能に配置され、蓋体側と反対側に略半球状に窪む網状部材を備えることとしたので、一旦密閉した空間で粉砕された試料をふるいに移し変える手間を省くことができると共に、その際のアスベストの飛散を極力抑えることが可能となる。また、網状部材を略半球状に排出口側に窪ませているので、試料が網状部材の周縁に寄ってしまうこともなく、より完全にふるい分けが可能となると共に試料作成後の清掃をより容易にすることができる。
【0011】
本発明の他の観点に係るアスベスト試料作成装置は、第1の開口を有する第1の凹部材と、前記第1の開口と重ね合わせて空間を形成可能な第2の開口と、前記第2の開口付近の内壁から当該第2の開口側と反対側の端部に前記空間で粉砕された試料を流通させる流路と、前記流路の前記端部側に連通され前記粉砕された試料を外部に排出可能な排出口とを有し、前記第1の凹部材とで前記空間に前記粉砕された試料とその試料を粉砕した鋼球とを密閉して収容可能な第2の凹部材と、前記流路の前記第2の開口側端面を覆うように前記内壁に設けられた網状部材と、前記排出口を外側から密閉して覆い、内部に前記排出口から排出された前記粉砕された試料を溜める円盤状の空間を有するX線分析用ホルダーとを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明は、第1及び第2の凹部材により形成される密閉可能な空間で試料を粉砕し、そのまま粉砕された試料を内壁に設けられた網状部材によりふるい分けし、当該ふるい分けされた試料を流路により排出口からX線分析用ホルダーに収集することとした。従って、試料の粉砕からふるい分け、更にX線分析用ホルダーへの収集と同じ第1及び第2の凹部材からなる容器により完全密閉した状態で作業ができるのでアスベスト試料をより安全に作成できる。
【0013】
本発明の他の観点に係るアスベスト試料作成装置は、第1の開口を有する第1の凹部材と、前記第1の開口と重ね合わせて第1の空間を形成可能な第2の開口と、前記第2の開口付近の内壁から当該第2の開口側と反対側の端部まで設けられ、前記第1の空間で粉砕された試料を流通させる流路と、前記流路に外部から水または空気を注入する注入口と、前記流路の前記端部側に連通され前記粉砕された試料を前記注入された水または空気と一緒に前記第1の空間の外に排出可能な第1の排出口とを有し、前記第1の凹部材とで前記第1の空間に前記粉砕された試料とその試料を粉砕した鋼球とを密閉して収容可能な第2の凹部材と、前記流路の前記第2の開口側端面を覆うように前記内壁に設けられた網状部材と、前記第1の排出口の外側に第2の空間を形成するように密閉可能に覆い、前記第1の排出口の外側に配置された濾紙を介して前記第2の空間に排出された水または空気を前記第2の空間からその外に排出可能な第2の排出口を有する第3の凹部材とを具備することを特徴とする。
【0014】
本発明は、第1及び第2の凹部材により形成される密閉可能な空間で試料を粉砕し、そのまま粉砕された試料を内壁に設けられた網状部材によりふるい分けし、当該ふるい分けされた試料を注入口から注入された空気や水と一緒に流路により排出口から濾紙を介して第3の凹部材の第2の空間に排出させることとした。従って、当該濾紙の流路側に試料を堆積させることができ、アスベストの試料を外気と隔離した状態で作成できる。
【0015】
すなわち、試料の粉砕からふるい分け、更に濾紙への収集と同じ第1、第2及び第3の凹部材からなる容器により完全密閉した状態で作業ができるのでアスベスト試料をより安全に作成できる。
【0016】
また、第3の凹部材の第2の排出口より第2の空間に排出された水または空気を外部に排出できるので、より確実に試料の流路からの流れが形成され濾紙に試料を収集できる。
【0017】
本発明の他の観点に係るアスベスト試料作成装置は、第1の開口と、当該第1の開口側と反対側の第1の端部から前記第1の開口付近の内壁まで設けられた第1の流路と、前記第1の端部に設けられ前記第1の流路に外部から水または空気を注入する注入口とを有する第1の凹部材と、前記第1の開口と重ね合わせて第1の空間を形成可能な第2の開口と、前記第1の流路に連通し前記第2の開口付近の内壁から当該第2の開口側と反対側の第2の端部まで設けられ、前記第1の空間で粉砕された試料を前記注入された水または空気と一緒に流通させる第2の流路と、前記第2の流路の前記第2の端部側に連通され前記粉砕された試料を前記注入された水または空気と一緒に前記第1の空間の外に排出可能な第1の排出口とを有し、前記第1の凹部材とで前記第1の空間に前記粉砕された試料とその試料を粉砕した鋼球とを密閉して収容可能な第2の凹部材と、前記第1の流路の前記第1の開口側端面を覆うように前記第1の開口付近の内壁に設けられた第1の網状部材と、前記第2の流路の前記第2の開口側端面を覆うように前記第2の開口付近の内壁に設けられた第2の網状部材と、前記第1の排出口の外側に第2の空間を形成するように密閉可能に覆い、前記第1の排出口の外側に配置された濾紙を介して前記第2の空間に排出された水または空気を前記第2の空間からその外に排出可能で前記注入口と前記第1の排出口とを結ぶ直線上に第2の排出口を有する第3の凹部材とを具備することを特徴とする。
【0018】
本発明は、粉砕された試料を第1及び第2の凹部材の各内壁に設けられた第1及び第2の網状部材によりふるい分けすることとしたので、よりふるい分けの効率を向上できる。
【0019】
また、注入口と第1の排出口と第2の排出口とを一直線上に配置することで第1及び第2の流路中の水や空気の流れがよりスムーズとなり、それに伴って第1の空間の試料が寄りスムーズに第1及び第2の網状部材を通過して第1及び第2の流路内に引き込まれる。
【0020】
更に第1及び第2の凹部材により形成される密閉可能な空間で試料を粉砕し、そのまま粉砕された試料を内壁に設けられた網状部材によりふるい分けし、当該ふるい分けされた試料を第1の凹部側の端部に設けられた注入口から注入された空気や水と一緒に流路により排出口から濾紙を介して第3の凹部材の第2の空間に排出させることとした。従って、当該濾紙の流路側に試料を堆積させることができ、アスベストの試料を外気と隔離した状態で作成できる。
【0021】
すなわち、試料の粉砕からふるい分け、更に濾紙への収集と同じ第1、第2及び第3の凹部材からなる容器により完全密閉した状態で作業ができるのでアスベスト試料をより安全に作成できる。
【0022】
本発明の他の観点に係るアスベスト試料作成装置は、第1の開口と、外部から前記第1の開口内に水または空気を注入可能な注入口と、前記注入口の前記第1の開口内の内壁側に設けられ前記水または空気を注入するときにのみ開く第1の栓とを有する第1の凹部材と、前記第1の開口と重ね合わせて空間を形成可能な第2の開口と、前記空間で粉砕された試料を前記注入された水または空気と一緒に前記空間の外に排出可能な排出口と、前記排出口の前記空間側に設けられ前記水または空気を排出するときにのみ開く第2の栓と有し、前記第1の凹部材とで前記空間に前記粉砕された試料とその試料を粉砕した鋼球とを密閉して収容可能な第2の凹部材と、を具備することを特徴とする。
【0023】
本発明は、第1及び第2の凹部材により形成される空間に空気または水を注入するときのみに開通する第1の栓と当該空間の外に水または空気を排出するときにのみ開通する第2の栓とを設けた。従って、例えば第1及び第2の開口を重ね合わせることにより形成される空間により試料を粉砕するときは第1及び第2の栓を閉じて当該空間を完全に密閉することができる。そして、試料を粉砕した後で第1及び第2の栓を開通させて水または空気を注入排出して試料を排出させることができる。
【0024】
本発明の他の観点に係るアスベスト試料作成装置は、第1の開口を有する第1の凹部材と、前記第1の開口と重ね合わせて空間を形成可能な第2の開口と、外部から前記空間内に水または空気を注入可能な注入口と、前記空間で粉砕された試料を前記注入された水または空気と一緒に前記空間の外に排出可能な排出口とを有し、前記第1の凹部材とで前記空間に前記粉砕された試料とその試料を粉砕した鋼球とを密閉して収容可能な第2の凹部材と、前記注入口及び前記排出口に着脱可能であると共に、当該注入口及び排出口内を塞ぐことにより前記空間を密閉可能な栓とを具備することを特徴とする。
【0025】
本発明は、注入口及び排出口に着脱可能であると共に、当該注入口及び排出口内を塞ぐことにより第1及び第2の開口と重ねて形成される空間を密閉することができる栓とを具備したので、空間内に注入し、または、空間内から排出する際に簡単に栓を外し注入排出できる。
【0026】
本発明の他の観点に係るアスベスト試料作成装置は、第1の開口を有する第1の凹部材と、前記第1の開口と重ね合わせて空間を形成可能な第2の開口を有し、前記第1の凹部材とで前記空間に粉砕された試料とその試料を粉砕した鋼球とを密閉して収容可能な第2の凹部材とを有する粉砕器と、前記粉砕器のうち、前記第1の凹部材から分離された第2の凹部材の前記第2の開口に密閉して連通可能で、前記粉砕された試料及び鋼球を内部に供給可能な供給口を有する蓋体と、前記蓋体に密閉可能に接続されると共に、前記供給口から供給された前記粉砕された試料及び鋼球を収容可能な筒状部と、前記筒状部に一体的に接続され内径が前記蓋体側と反対側の方向に小さくなるように形成され、その先端に前記粉砕された試料を外部に排出可能な排出口が設けられた排出部とを有する容器本体と、前記筒状部の内部空間を前記蓋体側とその反対側に分断するように当該筒状部に着脱可能に配置され、前記蓋体側と反対側に略半球状に窪む網状部材とを有するアスベスト試料作成容器と、前記アスベスト試料作成容器の前記排出口に密閉して連通可能な第3の開口を有し、前記アスベスト試料作成容器の前記網状部材を通り前記排出口から排出される前記粉砕された試料を前記第3の開口から収容する捕集容器とを具備することを特徴とする。
【0027】
本発明は、試料と鋼球とを密閉して収容できる粉砕器と、その粉砕した試料と鋼球とを収容した第2の凹部の第2の開口と蓋体の供給口とを合わせて接続し、内部空間に試料と鋼球とを収容し、更に網状部材によりふるい分けして、その網状部材を通過した試料を排出部の排出口から排出できるアスベスト試料作成容器と、当該排出口に密閉して連通できる第3の開口を備えた捕集容器とを備えた。従って、第2の凹部材内の粉砕された試料を排出口に密閉連通させた捕集容器内に収集するまでの一貫した作業を完全に外気と隔離した状態でできる。これにより、作業者がアスベストを作業中に吸引することもなくなり、安全にアスベスト試料を作成できることは勿論、作業の効率化が可能であり経費の削減を図ることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、アスベスト含有率などの分析用の試料を作成する際のアスベストの飛散を防止すると共に、コストを軽減しながら作業の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づきアスベスト試料作成容器及びアスベスト試料作成装置について説明する。尚、以下の図面においては各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0030】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の全体図、図2は、図1のボールミルのA−A線断面図(鋼球は切断していない。)、図3は、図1のアスベスト試料作成容器のB−B線断面図、図4は、アスベスト試料作成容器の分解斜視図である。
【0031】
図1に示すようにアスベスト試料作成装置1は、例えば粉砕器としてのボールミル2、そのボールミル2の一方と接続可能なアスベスト試料作成容器3及びそのアスベスト試料作成容器3により作成された試料を密閉して収集可能な捕集容器4などから構成されている。
【0032】
ここで、ボールミル2は、例えば図2に示すようにそれぞれ内側に窪みを有する第1の凹部材5、第2の凹部材6及び鋼球7とからなり、その窪みのそれぞれの第1及び第2の開口8,9側に螺子10が形成されている。
【0033】
また、ボールミル2は、例えば図1及び図2に示すように第1及び第2の凹部材5,6の第1及び第2の開口8,9を重ね合わせるように螺子10で結合すると、円柱の両端にその円柱の円断面と一致する半球を連結したような密閉された空間11が内部に形成される。ここで、第1及び第2の凹部材5,6は、例えばステンレス鋼で形成されている。勿論、第1及び第2の凹部材5,6の接合方法は、螺子による螺着に限られるものではなく、また第1及び第2の凹部材5,6は空間11の形状が例えば断面楕円形状となるように形成してもよい。
【0034】
更に鋼球7は、例えば図2に示すように空間11の半球直径以下の直径となっており、その材料はステンレス鋼であるが、第1及び第2の凹部材5,6と同様これに限られるものではなく、錆び難く硬質な材料であればよい。
【0035】
次に、アスベスト試料作成容器3は、例えば図4に示すように蓋体12、その蓋体12に接続可能な容器本体13及び容器本体内に配置される網状部材14を有する。
【0036】
ここで、蓋体12は、例えば図3に示すようにボールミル取付け部15、そのボールミル取付け部15に一体的に形成された平板部16及び当該平板部16に一体的に形成された容器本体取付け部17を有する。
【0037】
ボールミル取付け部15は、例えば図4に示すように略円筒形の外形を有しその内壁には螺子18が形成されている。
【0038】
平板部16は、例えば図3に示すようにその中央に表面から裏面に貫通する供給口19が形成されており、その供給口の内径は螺子18の内径より小さく、かつ、ボールミル2により粉砕された試料と鋼球7とが通過可能の径となっている。例えば、第2の凹部材6の第2の開口9の内径と略同じ径となるよう形成されている。これにより、ボールミル2で粉砕された試料のアスベスト試料作成容器3内への供給がスムーズに行われ、第2の凹部材6内に粉砕された試料や鋼球7が残ることを防ぐことができる。
【0039】
また、容器本体取付け部17は、例えば図3に示すように外形が筒状であり平板部16の周縁に設けられている。そしてその内壁には螺子20が形成されており、その内径は平板部16の供給口19の内径より大きくなっている。
【0040】
更に容器本体13は、例えば図3及び図4に示すように筒状部21及び当該筒状部21に一体的に形成された排出部22を有する。
【0041】
筒状部21は、例えば図3に示すように外径が蓋体12の容器本体取付け部の内径と略一致するように形成されており、その排出部22と反対側の外周に螺子23が形成されている。また、筒状部21の内径は例えば図3に示すように供給口19の内径より大きくなるように形成されている。これにより、供給口19から供給された粉砕された試料及び鋼球7とも当該筒状部21内の内部空間24に収容可能となる。
【0042】
排出部22は、例えば図3に示すように螺子23と反対側に粉砕された試料を外部に排出可能な排出口25を有し、その排出口25に向かって内径が小さくなるように形成されている。そして、当該排出口25は、例えば図3に示すように筒状端部26を有しており、当該筒状端部26の外周にはシリコンからなる弾性部材27が設けられている。その弾性部材27の外径は、後述する捕集容器4の開口の内径より多少大きめに形成されている。
【0043】
また、網状部材14は例えば図4に示すようにドーナツ状の枠部28及び当該枠部28の内周に連結された網部29を有し、図3に示すように当該枠部28が筒状部21の上端面に載りながら当該筒状部21の内部空間24に網部29が挿入されている。この状態で、蓋体12が筒状部21に螺着され固定されると図3に示すように枠部28は蓋体12の平板部16と筒状部21の上端面とに挟まれて固定されることとなる。これにより、網状部材14は、筒状部21の内部空間24を蓋体12側とその反対側である排出口25側に分断するように当該筒状部21に設置することができると共に、蓋体12を容器本体13から取り外すことで、容易に筒状部21から取り外すことができる。
【0044】
尚、網状部材14は例えば図3に示すように排出口側に向かって半球状に窪んでいる。また、網状部材14は図3及び図4に示すような網に限るものではなく、目開き425〜500μmであればよい。
【0045】
次に、捕集容器4は例えば図1に示すように一方に第3の開口30を有する瓶の形状をしており、当該第3の開口の内径は上述するようにアスベスト試料作成容器3の筒状端部26の弾性部材27の外径より多少小さめになっている。これにより、筒状端部26を第3の開口30に挿入することで当該第3の開口30と筒状端部26の外部とは、弾性部材27により密閉され、かつ、筒状部21の内部空間24と捕集容器4の内部とは当該排出口25を介して連通することとなる。
【0046】
次に、以上のように構成されたアスベスト試料作成装置1の動作についてアスベスト試料の作成を中心に説明する。
【0047】
図5は、アスベスト試料作成を中心に説明するフローチャート、図6は、第2の凹部材をアスベスト試料作成容器に接続する説明図及び図7は、捕集容器に粉砕された試料が収集される状態の説明図である。
【0048】
まず、例えば図2に示すようなボールミル2を第1及び第2の凹部材5,6のそれぞれに螺子10を緩めて分離し、その一方に事前に採取した試料用塊例えばロックウールなどを一部切り取り、鋼球7と共に入れる。その後に第1及び第2の凹部材5,6を第1及び第2の開口8,9同士を重ね合わせて螺着して連結し、形成される密閉された空間11に粉砕する試料と鋼球7とを収容する。
【0049】
そして、連結された第1及び第2の凹部材5,6を振動機などにセットして約30秒から40秒振動させて内部の試料を粉砕する(ST101)。
【0050】
一方、アスベスト試料作成容器3の網状部材14を図3に示すように容器本体13の筒状部21に取付けて、蓋体12の螺子20を容器本体13の螺子23に螺着してアスベスト試料作成容器3をセットする。更に、容器本体13の筒状端部26に捕集容器4の第3の開口30を挿入して取付ける(ST102)。
【0051】
次に、約30秒から40秒振動させたボールミル2を第1及び第2の凹部材5,6のそれぞれに螺子10を緩めて例えば第2の凹部材6内に粉砕された試料35及び鋼球7を収容するように分離する。そして、例えば図6に示すようにST102で捕集容器4を取付けたアスベスト試料作成容器3を逆さにして、ボールミル取付け部15の螺子18に当該第2の凹部材6の螺子10を螺着し、第2の凹部材6を供給口19に接続する(ST103)。これにより、第2の凹部材6、アスベスト試料作成容器3及び捕集容器4とを連結し、それぞれの内部の空間を連通させると共に、外気から完全に密閉することができる。
【0052】
尚、螺子18に第2の凹部材6の螺子10を螺着すると第2の凹部材6の第2の開口9の内径が供給口19の内径と略一致するために、第2の凹部材6の内部に収容されていた粉砕された試料35及び鋼球7は容易にアスベスト試料作成容器内に供給口19を介して提供されることとなる。
【0053】
ST103により、第2の凹部材6、アスベスト試料作成容器3及び捕集容器4の内部が完全に外部から密閉されたら、例えば図7に示すように連結された第2の凹部材6、アスベスト試料作成容器3及び捕集容器4を180度回転させる。そして、図7に示すように上から互いに連結された第2の開口8が下向きとなった第2の凹部材6、排出口25が下向きとなったアスベスト試料作成容器3及び第3の開口30が上向きとなった捕集容器4という配置にし、この状態で例えばハンマーなどによりアスベスト試料作成容器3の筒状部21を叩き、振動を与える。
【0054】
これにより、筒状部21の内部空間24に配置された網状部材14により粉砕された試料35は、ふるい分けされ当該網状部材14を粉砕された試料35は通過し、排出部22の排出口25から捕集容器4に図7の矢印Cのように収容される(ST104)。
【0055】
完全に粉砕された試料35が収容されたら、捕集容器4をアスベスト試料作成容器3から取り外し、捕集容器4に蓋をして密閉する(ST105)。
【0056】
その後、捕集容器4を取り外したアスベスト試料作成容器3から第2の凹部材6を取り外さず、そのままの状態で排出口25から温水などを注入しアスベスト試料作成容器3及び第2の凹部材6の内部を一緒に洗浄する(ST106)。
【0057】
次に、作成された粉砕された試料35を用いてアスベスト含有率の分析を簡単に説明する。
【0058】
まず、ST105で捕集容器4に収容した粉砕された試料35と例えば所定量無じん水と混ぜたものをスライドガラスに滴下して乾燥させたものに浸液を滴下し、混合分散させた上にカバーグラスを載せ標本とする。そして、当該標本を位相差顕微鏡を使用して分散染色分析法により定性分析をする(ST107)。また、粉砕された試料35を一定量X線分析用ホルダーに充填しX線回折分析装置にセットし、X線回折パターンを測定し定性分析をする(ST108)。
【0059】
それらの結果に基づき、所定の方法でアスベストが含有されるか判断し(ST109)、アスベストが含有すると判断されたときは、捕集容器4に収容した粉砕された試料35をギ酸処理などして吸引ろ過したものを乾燥させX線回折分析装置の試料台に固定して、X線回折強度を計測し定量分析する(ST110)。
【0060】
以上でアスベスト試料作成装置1の動作の説明を終了する。
【0061】
このように本実施形態によれば、試料と鋼球7とを密閉して収容できるボールミル2と、その粉砕した試料35と鋼球7とを収容した第2の凹部材6の第2の開口9と蓋体12の供給口19とを合わせて接続し、内部空間24に粉砕した試料35と鋼球7とを収容し、更に網状部材14によりふるい分けして、その網状部材14を通過した粉砕した試料35を排出口25から排出できるアスベスト試料作成容器3と、当該排出口25に密閉して連通できる第3の開口30を備えた捕集容器4とを備えた。従って、第2の凹部材内の粉砕された試料35を排出口25に密閉連通させた捕集容器内に収集するまでの一貫した作業を完全に外気と遮断した状態でできる。これにより、作業者がアスベストを作業中に吸引することもなくなり、安全にアスベスト試料を作成できることは勿論、作業の効率化が可能であり経費の削減を図ることができる。
【0062】
また、アスベスト試料作成容器3は、第1及び第2の凹部材5,6により密閉された空間で粉砕された試料35とその試料を粉砕した鋼球7を収容する第2の凹部材6の第2の開口9に、そのまま密閉してすなわち外気と遮断して連通し、粉砕された試料35及び鋼球7を当該アスベスト試料作成容器内部に供給可能な供給口19を有する蓋体12を備える。従って、例えば粉砕された試料35及び鋼球7が入っている当該第2の凹部材6の第2の開口9を上向きにして、その第2の開口9に蓋体12の供給口19を合わせて接続させ外気と遮断して連通させることができる。
【0063】
更にアスベスト試料作成容器3は、当該蓋体12に密閉可能に接続されると共に、供給口19から供給された試料及び鋼球7を収容可能な筒状部21と、その筒状部21に一体的に接続され内径が蓋体側と反対側の方向に小さくなるように形成され、その先端に試料を外部に排出可能な排出口25が設けられた排出部22とを有する容器本体13を備える。これにより、例えば排出口25に試料が漏れないように密閉して捕集容器4を取り付ければ、第2の凹部材6、蓋体12、容器本体13及び捕集容器4の全体が外気に遮断された密閉状態となり、完全にアスベストの飛散を防ぐことができ、作業者の安全を確保しながらアスベスト試料を作成することが可能となる。
【0064】
また、アスベスト試料作成容器3は、筒状部21の内部空間24を蓋体側と排出部側とに分断するように当該筒状部21に着脱可能に配置され、蓋体側と反対側に略半球状に窪む網状部材14を備えることとした。従って、一旦密閉した空間で粉砕された試料35をふるいに移し変える手間を省くことができると共に、その際のアスベストの飛散を極力抑えることが可能となる。また、網状部材14を略半球状に排出口側に窪ませているので、粉砕された試料35が網状部材14の周縁に寄ってしまうこともなく、より完全にふるい分けが可能となると共に粉砕された試料作成後の清掃をより容易にすることができる。
【0065】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の概略断面図(鋼球は切断されていない。)、図9は、図8のD−D線断面図及び図10は、第2の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の粉砕された試料の流れを説明する図である。尚、これ以降の発明の説明では、上述した実施形態に係るアスベスト試料作成装置の部材や機能等について同様なものは説明を簡略または省略して、異なる点を中心に説明する。
【0066】
図8に示すようにアスベスト試料作成装置101は、第1の凹部材105、その第1の凹部材105に接続可能な第2の凹部材106、その第2の凹部材106に設けられた網状部材114及び粉砕された試料を収納するX線分析用ホルダー140を有する。
【0067】
第1の凹部材105は、例えば図8に示すように第1の開口108を有し、第2の凹部材106は、第2の開口109を有しており、その付近に設けられた螺子10により、当該第1及び第2の開口108,109を重ね合わせて螺着して連結することができる。この際、第1及び第2の開口108,109を重ね合わせることで内部に例えば図8に示すように断面(図8のYZ平面)が略楕円形の空間111が形成可能である。勿論、内部の空間111の形状はこれに限られるものではないが、Y軸方向断面が試料を粉砕する鋼球7より大きい形状となっていることが好ましい。これにより、確実に第1及び第2の凹部材の内壁141と鋼球7との間で試料が粉砕されることとなる。尚、第1及び第2の凹部材の材料は、第1の実施形態と同様に例えばステンレス鋼である。
【0068】
また、第2の凹部材106は、粉砕された試料35を流通させる流路142及び当該流路142に連通し粉砕された試料35をX線分析用ホルダー140に排出する排出口125を有する。
【0069】
ここで、流路142は例えば図8に示すように第2の凹部材106の側壁内を当該第2の開口109付近の内壁141から第2の開口109と反対側の端部143に設けられた排出口125に連通するように形成されている。すなわち、流路142は、網状部材114で覆われている部分と排出口125に連通する部分とを除き内壁141により空間111から分離されていることとなる。
【0070】
また、流路142は断面が例えば図9に示すように内壁141から中心軸E(図8及び図9に示すE)を中心とする放射状に形成された複数の溝形状からなっており、当該溝形状内を粉砕された試料35が排出口125に向かって流通するものである。
【0071】
更に排出口125は、例えば図8に示すように後述するX線分析用ホルダー140の空間の内径と略同様となるように形成されており、中心軸Eを中心とする円柱状の貫通孔となっている。これにより、流路142を流れてきた粉砕された試料35がスムーズに当該空間に収容されることとなる。
【0072】
また、網状部材114は、例えば図8に示すように流路142の第2の開口側の端面144を覆うように内壁141に設けられている。更に網状部材114は、例えば図8及び図9に示すように中心軸Eを中心とする円周に帯状に形成されており、第2の凹部材106から取り外し可能であり、網状部材114の清掃が容易である。勿論、網状部材114を取り外しできないものとすることも可能である。尚、当該網状部材114が見開き425〜500μm程度である点は第1の実施形態と同様である。
【0073】
次に、X線分析用ホルダー140は、例えば図8に示すようにホルダー本体145及び上蓋146を有する。
【0074】
ここで、ホルダー本体145は例えばドーナツ状の円盤からなり、その中央部に排出口125の内径と略一致する径の貫通した円盤状の空間147が設けられている。この空間147に排出口125から排出された粉砕された試料35が収容されることとなる。
【0075】
また、上蓋146は例えば図8に示すように丁度ホルダー本体145が収まるキャップ状の形状を有しその内周縁に螺子148が設けられている。例えば、ホルダー本体145をその空間147と排出口125とが一致するように配置した状態で、その上から上蓋146の螺子148を第2の凹部材106の端部143に外周に設けられた螺子に螺着する。すると、第1及び第2の凹部材105,106及びX線分析用ホルダー140が連結され夫々の空間111、147が外気から遮断された状態で連通することとなる。
【0076】
次に、以上のように構成されたアスベスト試料作成装置101の動作についてアスベスト試料の作成を中心に簡単に説明する。
【0077】
図10は、流路を流通する粉砕された試料の流れを説明する図である。
【0078】
まず、第1及び第2の凹部材105,106の夫々の螺子10を緩めて分離し、その一方に事前に採取した試料用塊例えばロックウールなどを一部切り取り、鋼球7と共に入れる。その後に第2の凹部材106の端部143にX線分析用ホルダー140の上蓋146を内部にホルダー本体145を装着して螺着する。そして、連結された第1及び第2の凹部材105,106及びX線分析用ホルダー140を振動機等にセットして約30秒から40秒図8のY軸方向に横振動させて内部の試料を粉砕する。
【0079】
すると、粉砕された試料35は例えば図10に示す矢印Fのように、第1及び第2の凹部材105,106の第1及び第2の開口108,109が重ねあわされて形成された空間111から網状部材114を介して流路142に流入する。この際、粉砕された試料35は網状部材114によりふるい分けがされることとなる。
【0080】
更に流路142を流通した粉砕された試料35は、第2の凹部材106の排出口125に到達し、そのままX線分析用ホルダー140の空間147に集積されることとなる。
【0081】
第1及び第2の凹部材105,106の空間111の粉砕された試料35が全て網状部材114を介してX線分析用ホルダー140の空間147に集積されたら、X線分析用ホルダー140の上蓋146を第2の凹部材106から取り外し、ホルダー本体145を取り出す。
【0082】
以降は、当該取り出したホルダー本体145をX線回折分析装置にセットし、定性分析などを行うこととなる。
【0083】
以上でアスベスト試料作成装置101の動作の説明を終了する。
【0084】
このように本実施形態によれば、第1及び第2の凹部材105,106により形成される密閉可能な空間111で試料を粉砕し、そのまま粉砕された試料35を内壁141に設けられた網状部材114によりふるい分けし、当該ふるい分けされた試料を流路142により排出口125からX線分析用ホルダー140に収集することとした。従って、試料の粉砕からふるい分け、更にX線分析用ホルダー140への収集と同じ第1及び第2の凹部材105,106及びX線分析用ホルダー140により完全密閉した状態で作業ができるので粉砕された試料であるアスベスト試料をより安全かつ、少ない部品点数で効率的に作成できる。
【0085】
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の概略断面図(鋼球は切断していない。)、図12は、図11のF−F線断面図及び図13は、第3の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の水等の流れを説明する図である。
【0086】
図11に示すようにアスベスト試料作成装置201は、第1の凹部材105、その第1の凹部材105に接続可能な第2の凹部材206、その第2の凹部材206に設けられた網状部材114及び粉砕された試料を濾過する第3の凹部材250を有する。
【0087】
第2の凹部材206は、第2の開口209を有し、その付近に設けられた螺子10により、第1及び第2の開口108,209を重ね合わせて螺着して連結することができる。この際、第1及び第2の開口108,209を重ね合わせることで内部に例えば図11に示すように断面(図11のYZ平面)が略楕円形の第1の空間としての空間111が形成可能である。
【0088】
また、第2の凹部材206は、粉砕された試料35などを流通させる流路242、当該流路242に水または空気を注入する注入口251及び当該流路242に連通し粉砕された試料35を空間111の外に排出する第1の排出口としての排出口125を有する。
【0089】
ここで、流路242は例えば図11及び図12に示すように第2の開口側円周端面に円周状に形成された円周溝242aと当該円周溝242aに連通し、第2の凹部材206の側壁内を第2の開口209と反対側の端部143に設けられた排出口125に連通する流通溝242bとにより構成されている。
【0090】
また、流通溝242bは、断面が例えば図12に示すように内壁141から中心軸E(図12に示すE)を中心とする放射状に形成された複数の溝形状からなっており、当該溝形状内を粉砕された試料35や水または空気が排出口125に向かって流通するものである。
【0091】
注入口251は、第2の凹部材206の外壁から流路242の円周溝242aに連通するように貫通孔を形成している。これにより、注入口251から注入された水や空気は、円周溝242aを介して放射状に形成された各流通溝242bに流入し、更に排出口125に向かって流れることとなる。
【0092】
次に、第3の凹部材250は、例えば図11に示すように略キャップ状に形成されており、その周縁内壁には螺子148が形成されている。これにより、第2の凹部材206の端部143外周に形成された螺子に螺着することで、第3の凹部材250は第2の凹部材206に連結することができる。
【0093】
また、第3の凹部材250は、例えば内側に第3の空間としての空間252及び第2の排出口としての排出口253を有する。その空間252は、例えば図11に示すように排出口125の内径と同じかそれより大きくかつ、第3の凹部材250と第2の凹部材206の端部143とに挟まれる濾紙の直径より小さくなるように内径が形成されている。
【0094】
更に排出口253は、空間252と外部とを連通する第3の凹部材250に形成された貫通孔である。尚、排出口253に例えば吸引装置を接続させ、積極的に水又は空気を排出させてもよい。
【0095】
次に、以上のように構成されたアスベスト試料作成装置201の動作についてアスベスト試料の作成を中心に簡単に説明する。
【0096】
図13は、流路を流通する粉砕された試料や水または空気の流れを説明する図である。
【0097】
まず、第1及び第2の凹部材105,206の夫々の螺子10を緩めて分離し、その一方に事前に採取した試料用塊例えばロックウールなどを一部切り取り、鋼球7と共に入れる。そして、当該第1及び第2の凹部材105,206を夫々の開口を重ね合わせて内部に空間111が形成されるように螺着して連結する。その際、例えば図12に示すような栓255を必要に応じて注入口251に挿入し、注入口251を完全に塞ぐ。その後、第2の凹部材206の排出口125に外側から濾紙254をかぶせ、当該濾紙254を挟み込むように第3の凹部材250を第2の凹部材206の螺子に装着して螺着する。そして、連結された第1及び第2の凹部材105,206及び第3の凹部材250を振動機等にセットして約30秒から40秒図11のY軸方向に横振動させて内部の試料を鋼球7により粉砕する。
【0098】
30秒から40秒経ったら、横振動を止め、連結された第1及び第2の凹部材105,206及び第3の凹部材250を振動機等から取り外して、栓255を注入口251から外し、当該注入口251から空気または水を内部に注入する。
【0099】
すると、注入された空気または水による流路としての円周溝242aや流通溝242bから排出口125への流れが形成される。そして、これに引き起こされるように粉砕された試料35は例えば図13に示す矢印Gのように、第1及び第2の凹部材105,106の第1及び第2の開口108,109が重ねあわされて形成された空間111から網状部材114を介して流通溝242bに流入する。この際、粉砕された試料35は網状部材114によりふるい分けがされることとなる。
【0100】
更に流通溝242bを流通した粉砕された試料35は、空気また水と一緒に第2の凹部材206の排出口125に到達し、当該排出口125から露出する濾紙表面に注入されることとなる。これにより、粉砕された試料35は濾紙254の表面に堆積され、空気や水は図13に示す矢印Hのように当該濾紙254を通過して第2の空間である空間252に通過して、更に排出口253により第3の凹部材250の外部に排出されることとなる。
【0101】
第1及び第2の凹部材105,206の空間111の粉砕された試料35が全て網状部材114を介して濾紙254に集積されたら、第3の凹部材250を第2の凹部材206から取り外し、濾紙254を取り出す。
【0102】
以降は、当該取り出した濾紙254に堆積した粉砕された試料35を、所定の処理をして定量分析などを行うこととなる。
【0103】
尚、上述の説明では、空間111で試料が粉砕されてから注入口251から水または空気を注入することとしたが、これに限られるものではなく例えば空気を注入するときは、振動機などにより横振動させ試料を粉砕している最中でも、当該空気を注入してもよい。これにより、工程を少なくさせ作業の迅速化を図ることができる。
【0104】
以上でアスベスト試料作成装置201の動作の説明を終了する。
【0105】
このように本実施形態によれば、第1及び第2の凹部材105,206により形成される密閉可能な空間111で試料を粉砕し、そのまま粉砕された試料35を内壁141に設けられた網状部材114によりふるい分けし、当該ふるい分けされた試料を注入口251から注入された空気や水と一緒に流路により排出口125から濾紙254に注入することとした。そして、濾紙254を通過した空気や水は第3の凹部材250の空間252に排出させることとした。従って、当該濾紙254の流路側に粉砕された試料35を堆積させることができ、アスベストの試料を外気と隔離した状態で作成できる。
【0106】
すなわち、試料の粉砕からふるい分け、更に濾紙254への収集と同じ第1、第2及び第3の凹部材からなる容器により完全密閉した状態で作業ができるのでアスベスト試料をより安全に作成できる。
【0107】
(第4の実施形態)
図14は、本発明の第4の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の概略断面図及び図15は、アスベスト試料作成装置の水等の流れを説明する図である。
【0108】
図14に示すようにアスベスト試料作成装置301は、例えば第1の凹部材305、その第1の凹部材305に接続可能な第2の凹部材306、その第1及び第2の凹部材305,306に設けられた第1及び第2の網状部材としての網状部材114及び粉砕された試料を濾過する第3の凹部材360を有する。
【0109】
第1の凹部材305は、例えば図14に示すように第1の開口308を有し、第2の凹部材306は、第2の開口309を有しており、その付近に設けられた螺子10により、当該第1及び第2の開口308,309を重ね合わせて螺着して連結することができる。この際、第1及び第2の開口308,309を重ね合わせることで内部に例えば図14に示すように断面(図14のYZ平面)が略楕円形の空間111が形成可能である。尚、第1及び第2の凹部材の材料は、上述と同様に例えばステンレス鋼である。
【0110】
また、第1の凹部材305は、水や空気等が流通する第1の流路361及びその第1の流路361に水や空気を注入する注入口362を有する。
【0111】
ここで、第1の流路361は上述した流路142と同様な構造であり、第1の凹部材305の側壁内を当該第1の開口308付近の内壁365から第1の開口308と反対側の第1の端部363に設けられた注入口362に連通するように形成されている。更に当該第1の流路361は、例えば図14に示すように第2の流路としての流路142とそれぞれの溝が連通するように形成されている。
【0112】
また、注入口362は例えば図14に示すように第1の端部363の略中央に外部から第1の流路361に空気または水を注入可能なように円柱状の穴が形成されており、その円柱の側面で第1の流路361である複数の溝に連通している。
【0113】
更に網状部材114は、例えば図14に示すように一つは第1の流路361の第1の開口側の端面364を覆うように第1の開口付近の内壁365に設けられており、もう一つは第2の流路としての流路142の第2の開口側端面366を覆うように第2の開口付近の内壁367に設けられている。尚、網状部材114は上述のように二つに分けずに二つを一体化させても良いことは勿論である。
【0114】
次に、第2の凹部材306は前述した第2の凹部材106と同様な構成であるので簡単に説明する。第2の凹部材306は、第1の流路361に連通し第2の開口309付近の内壁367から当該第2の開口側と反対側の第2の端部としての端部143まで設けられ、第1の空間としての空間111で粉砕された試料35を注入された水または空気と一緒に流通させる第2の流路としての流路142を有する。また、第2の凹部材306は当該流路142の第2の端部側に連通され粉砕された試料35を注入された水または空気と一緒に空間111の外に排出可能な第1の排出口としての排出口125を有する。
【0115】
次に、第3の凹部材360は、前述した第3の凹部材250とその第2の排出口としての排出口369の位置が異なる点を除けば略同様であるので排出口369についてのみ説明する。
【0116】
排出口369は、例えば図14に示すように第1の凹部材305の注入口362と排出口125とを結ぶ直線上に、排出口125から濾紙を介して空間252に排出された水または空気を排出可能に貫通孔として形成されている。
【0117】
以上のように構成されたアスベスト試料作成装置301の動作についてアスベスト試料の作成を中心に簡単に説明する。
【0118】
図15は、流路を流通する粉砕された試料や水または空気の流れを説明する図である。
【0119】
まず、試料を粉砕するがその点は第3の実施形態と略同様であるので説明を省略する。尚、その際例えば図15に示すような栓370を必要に応じて注入口362に挿入し、注入口362を完全に塞ぐ。
【0120】
次に、連結された第1及び第2の凹部材305,306及び第3の凹部材360を振動機等から取り外して、栓370をしている場合は当該栓370を注入口362から外し、当該注入口362から空気または水を内部に注入する。
【0121】
すると、注入された空気または水は例えば図15に示す矢印Iのように、第1の流路361を第2の流路方向に流れ、これに引っ張られるように粉砕された試料35は空間111から第1の網状部材としての網状部材114を介して第1の流路361に流入する。この際、粉砕された試料35は網状部材114によりふるい分けがされることとなる。
【0122】
更に第1の流路361からの粉砕された試料35と水または空気とが一緒の流れが、第2の流路としての流路142に流れ込み、例えば図15に示す矢印Jのように排出口125への流れとなる。そして、これに引き起こされるように粉砕された試料35は、空間111から第2の網状部材としての網状部材114を介して流路142に流入する。この際、粉砕された試料35は網状部材114によりふるい分けがされることとなる。
【0123】
以降は、第3の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0124】
尚、上述の説明では、空間111で試料が粉砕されてから注入口362から水または空気を注入することとしたが、これに限られるものではなく例えば空気を注入するときは、振動機などにより横振動させ試料を粉砕している最中でも、当該空気を注入してもよい。これにより、工程を少なくさせ作業の迅速化を図ることができる。
【0125】
以上でアスベスト試料作成装置301の動作の説明を終了する。
【0126】
このように本実施形態によれば、粉砕された試料35を第1及び第2の凹部材305,306の各内壁365,367に設けられた第1及び第2の網状部材としての網状部材114によりふるい分けすることとしたので、よりふるい分けの効率を向上できる。
【0127】
また、注入口362と第1の排出口としての排出口125と第2の排出口としての排出口369とを一直線上に配置することで第1及び第2の流路中の水や空気の流れがよりスムーズとなり、それに伴って空間111の試料がよりスムーズに網状部材114を通過して第1及び第2の流路内に引き込まれる。
【0128】
更に第1及び第2の凹部材305,306により形成される密閉可能な空間111で試料を粉砕し、そのまま粉砕された試料35を内壁365,367に設けられた網状部材114によりふるい分けし、当該ふるい分けされた試料を第1の凹部側の第1の端部363に設けられた注入口362から注入された空気や水と一緒に流路により排出口125から濾紙254を介して第3の凹部材360の空間252に排出させることとした。従って、当該濾紙254の流路側に試料を堆積させることができ、粉砕された試料であるアスベストの試料を外気と隔離した状態で作成できる。
【0129】
すなわち、試料の粉砕からふるい分け、更に濾紙254への収集と同じ第1、第2及び第3の凹部材305,306,360からなる容器により完全密閉した状態で作業ができるのでアスベスト試料をより安全に作成できる。
【0130】
(第5の実施形態)
図16は、本発明の第5の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の概略断面図である。
【0131】
図16に示すようにアスベスト試料作成装置401は、第1の凹部材405及び第2の凹部材406を有する。
【0132】
第1の凹部材405は、例えば図16に示すように第1の開口408を有し、第2の凹部材406は、第2の開口409を有しており、その付近に設けられた螺子10により、当該第1及び第2の開口408,409を重ね合わせて螺着して連結することができる。この際、第1及び第2の開口408,409を重ね合わせることで内部に例えば図16に示すように断面(図16のYZ平面)が略楕円形の空間111が形成可能である。尚、第1及び第2の凹部材の材料は、上述と同様に例えばステンレス鋼である。
【0133】
ここで、第1の凹部材405は例えば注入口480及び当該注入口480の内壁481側に設けられた第1の栓482を有する。
【0134】
注入口480は、例えば図16に示すように第1の開口408付近に設けられ、外壁から内壁481に貫通する円柱形の貫通孔であり、外部から第1の開口内である空間111に水または空気を注入可能に形成されている。
【0135】
また、第1の栓482は、例えば図16に示すように注入口480の第1の開口内の内壁481側に設けられており、注入口480から水または空気を空間111に注入するときにのみ開くように構成されている。例えば、注入口480を塞ぐように弁を設け、その注入圧力により弁が内側に開き、注入されていないときは弾性力で弁が閉じるようにしてもよいが、勿論この開閉方法に限られるものではない。
【0136】
次に、第2の凹部材406は例えば排出口483及び当該排出口483の空間111側に設けられた第2の栓484を有する。
【0137】
排出口483は、例えば図16に示すように第2の開口409付近に設けられ、外壁から内壁485に貫通する円柱形の貫通孔であり、空間111で粉砕された試料35を注入口480から注入された水または空気と一緒に外部に排出可能に形成されている。
【0138】
また、第2の栓484は、例えば図16に示すように排出口483の空間111側に設けられており、注入された水または空気を排出するときにのみ開くように構成されている。例えば、排出口483を塞ぐように弁を設け、水または空気の注入圧力により弁が開き、注入されていないときは弾性力で弁が閉じるようにしてもよいが、勿論この開閉方法に限られるものではない。
【0139】
以上のように構成されたアスベスト試料作成装置401の動作についてアスベスト試料の作成を中心として簡単に説明する。
【0140】
まず、第1及び第2の凹部材405,406の夫々を螺子10を緩めて分離し、その一方に事前に採取した試料用塊例えばロックウールなどを一部切り取り、鋼球7と共に入れて第1及び第2の凹部材405,406を螺着して連結する。そして振動機等にセットして約30秒から40秒図16のY軸方向に横振動させて内部の試料を粉砕する。このとき、注入口480の第1の栓482及び排出口483の第2の栓484はいずれも閉じており、空間111は完全に密閉されている。
【0141】
そして、約30秒から40秒経過したら注入口480から水または空気を注入する。そうすると、第1の栓482は自動的に開き空間111に水または空気が入り込むこととなり、その注入圧力により第2の栓484も開くこととなる。
【0142】
これにより、注入口480から粉砕された試料35が存在する空間111を介して排出口483に流路が形成され、当該粉砕された試料35は排出口483から水や空気と一緒に排出される。これを捕集容器などに収容し或は濾紙等でろ過してアスベスト試料を作成することができることとなる。
【0143】
以上でアスベスト試料作成装置401の動作の説明を終了する。
【0144】
このように本実施形態によれば、第1及び第2の凹部材405,406により形成される空間111に空気または水を注入するときのみに開通する第1の栓482と当該空間の外に水または空気を排出するときにのみ開通する第2の栓484とを設けた。従って、例えば第1及び第2の開口408,409を重ね合わせることにより形成される空間により試料を粉砕するときは第1及び第2の栓482,484を閉じて当該空間111を完全に密閉することができる。そして、試料を粉砕した後で第1及び第2の栓482,484を開通させて水または空気を注入排出して試料を排出させることができる。
【0145】
(第6の実施形態)
図17は、本発明の第6の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の概略断面図である。
【0146】
図17に示すようにアスベスト試料作成装置501は、第1及び第2の凹部材105,506及び当該第1及び第2の凹部材105,506に脱着可能な栓590を有する。
【0147】
第1の凹部材105は、例えば図17に示すように第1の開口108を有し、第2の凹部材506は、第2の開口509を有しており、その付近に設けられた螺子10により、当該第1及び第2の開口108,509を重ね合わせて螺着して連結することができる。この際、第1及び第2の開口108,509を重ね合わせることで内部に例えば図17に示すように断面(図17のYZ平面)が略楕円形の空間111が形成可能である。尚、第1及び第2の凹部材の材料は、上述と同様に例えばステンレス鋼である。
【0148】
ここで、第2の凹部材506は例えば注入口591及び排出口592を有する。
【0149】
注入口591は、例えば図17に示すように第2の開口509付近に設けられ、外壁から内壁593に貫通する円柱形の貫通孔であり、外部から空間111に水または空気を注入可能に形成されている。
【0150】
また、排出口592は、例えば図17に示すように第2の開口509付近に注入口591と対向するように設けられ、外壁から内壁593に貫通する円柱形の貫通孔であり、空間111で粉砕された試料35を注入口591から注入された水または空気と一緒に外部に排出可能に形成されている。
【0151】
次に、栓590は、例えば図17に示すように半円状に形成された弾性部材594とその両端に設けられた空間111を密閉可能な密閉部材595を有する。
【0152】
ここで、弾性部材594は例えば板ばねからなり、その一端に略注入口591と同形状或は少し大きめの形状の密閉部材595が設けられ、他端には略排出口592の形状或は少し大きめの形状の密閉部材595が設けられている。
【0153】
尚、上述の説明では注入口591及び排出口592をいずれも第2の凹部材506に形成したが、これに限られるものではなく例えば第1の凹部材105と第2の凹部材506とに分けて注入口591及び排出口592を設けてもよい。また、第1及び第2の凹部材105,506の各端部、例えば端部中央付近に一直線上に配置されるように注入口591及び排出口592を形成してもよい。勿論その場合は、栓590をそれらに合うように形成することとなる。
【0154】
更に栓590も上述の構造に限られるものではないことは勿論である。
【0155】
以上のように構成されたアスベスト試料作成装置501の動作についてアスベスト試料の作成を中心として簡単に説明する。
【0156】
まず、第1及び第2の凹部材105,506の夫々を螺子10を緩めて分離し、その一方に事前に採取した試料用塊例えばロックウールなどを一部切り取り、鋼球7と共に入れて第1及び第2の凹部材105,506を螺着して連結する。
【0157】
そして、注入口591及び排出口592に栓590の弾性部材594を図17の矢印Lの方向に広げて第2の凹部材にセットして、密閉部材595を夫々注入口591と排出口592に挿入し、注入口591と排出口592との内部を塞ぐ。この後、第1及び第2の凹部材105,506を振動機等にセットして約30秒から40秒図17のY軸方向に横振動させて内部の試料を粉砕する。このとき、注入口591及び排出口592はいずれも閉じており、空間111は完全に密閉されている。
【0158】
そして、約30秒から40秒経過したら密閉部材595を注入口591及び排出口592から外して、注入口591から水または空気を注入する。そうすると、注入口591から粉砕された試料35が存在する空間111を介して排出口592に流路が形成され、当該粉砕された試料35は排出口592から水や空気と一緒に排出される。これを捕集容器などに収容し或は濾紙等でろ過してアスベスト試料を作成することができることとなる。
【0159】
以上でアスベスト試料作成装置501の動作の説明を終了する。
【0160】
このように本実施形態によれば、注入口591及び排出口592に着脱可能であると共に、当該注入口591及び排出口592内を塞ぐことにより空間111を密閉することができる栓590を具備することとした。従って、空間内に空気や水を注入しまたは、空間内から排出する際に簡単に栓590を外し注入排出できる。
【0161】
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述したいずれの実施形態にも限定されず、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更し或は上述した各実施形態を組み合わせて実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】第1の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の全体図である。
【図2】図1のボールミルのA−A線断面図(鋼球は切断していない。)である。
【図3】図1のアスベスト試料作成容器のB−B線断面図である。
【図4】第1の実施形態に係るアスベスト試料作成容器の分解斜視図である。
【図5】アスベスト試料作成を中心に説明するフローチャートである。
【図6】第2の凹部材をアスベスト試料作成容器に接続する説明図である。
【図7】捕集容器に粉砕された試料が収集される状態の説明図である。
【図8】第2の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の概略断面図(鋼球は切断していない。)である。
【図9】図8のD−D線断面図である。
【図10】アスベスト試料作成装置の粉砕された試料の流れを説明する図である。
【図11】第3の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の概略断面図(鋼球は切断していない。)である。
【図12】図11のF−F線断面図である。
【図13】第3の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の水等の流れを説明する図である。
【図14】第4の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の概略断面図(鋼球は切断していない。)である。
【図15】第4の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の水等の流れを説明する図である。
【図16】第5の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の概略断面図(鋼球は切断していない。)である。
【図17】第6の実施形態に係るアスベスト試料作成装置の概略断面図(鋼球は切断していない。)である。
【符号の説明】
【0163】
1,101,201,301,401,501 アスベスト試料作成装置
3 アスベスト試料作成容器
4 捕集容器
5,105,305,405 第1の凹部材
6,106,206,306,406,506 第2の凹部材
7 鋼球
8,108,308,408 第1の開口
9,109,209,309,409,509 第2の開口
11,111,147,252 空間
12 蓋体
13 容器本体
14,114 網状部材
19 供給口
21 筒状部
22 排出部
24 内部空間
25,125,253,369,483,592 排出口
30 第3の開口、
35 粉砕された試料、
140 X線分析用ホルダー
141,365,367,481,485,593 内壁
142,242 流路
143 端部
144,364,366 端面
250,360 第3の凹部材
251,362,480,591 注入口
253,369,483,592 排出口
254 濾紙
482 第1の栓
484 第2の栓
590 栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の凹部材の開口同士を重ね合わせて形成される密閉された空間で粉砕された試料と前記試料を粉砕した鋼球とを収容する前記第1及び第2の凹部材のうち分離された第2の凹部材の前記開口に密閉して連通可能であり、前記粉砕された試料及び鋼球を内部に供給可能な供給口を有する蓋体と、
前記蓋体に密閉可能に接続されると共に、前記供給口から供給された前記粉砕された試料及び鋼球を収容可能な筒状部と、前記筒状部に一体的に接続され内径が前記蓋体側と反対側の方向に小さくなるように形成され、その先端に前記粉砕された試料を外部に排出可能な排出口が設けられた排出部とを有する容器本体と、
前記筒状部の内部空間を前記蓋体側と前記排出部側とに分断するように当該筒状部に着脱可能に配置され、前記蓋体側と反対側に略半球状に窪む網状部材と
を具備することを特徴とするアスベスト試料作成容器。
【請求項2】
第1の開口を有する第1の凹部材と、
前記第1の開口と重ね合わせて空間を形成可能な第2の開口と、前記第2の開口付近の内壁から当該第2の開口側と反対側の端部に前記空間で粉砕された試料を流通させる流路と、前記流路の前記端部側に連通され前記粉砕された試料を外部に排出可能な排出口とを有し、前記第1の凹部材とで前記空間に前記粉砕された試料とその試料を粉砕した鋼球とを密閉して収容可能な第2の凹部材と、
前記流路の前記第2の開口側端面を覆うように前記内壁に設けられた網状部材と、
前記排出口を外側から密閉して覆い、内部に前記排出口から排出された前記粉砕された試料を溜める円盤状の空間を有するX線分析用ホルダーと
を具備することを特徴とするアスベスト試料作成装置。
【請求項3】
第1の開口を有する第1の凹部材と、
前記第1の開口と重ね合わせて第1の空間を形成可能な第2の開口と、前記第2の開口付近の内壁から当該第2の開口側と反対側の端部まで設けられ、前記第1の空間で粉砕された試料を流通させる流路と、前記流路に外部から水または空気を注入する注入口と、前記流路の前記端部側に連通され前記粉砕された試料を前記注入された水または空気と一緒に前記第1の空間の外に排出可能な第1の排出口とを有し、前記第1の凹部材とで前記第1の空間に前記粉砕された試料とその試料を粉砕した鋼球とを密閉して収容可能な第2の凹部材と、
前記流路の前記第2の開口側端面を覆うように前記内壁に設けられた網状部材と、
前記第1の排出口の外側に第2の空間を形成するように密閉可能に覆い、前記第1の排出口の外側に配置された濾紙を介して前記第2の空間に排出された水または空気を前記第2の空間からその外に排出可能な第2の排出口を有する第3の凹部材と
を具備することを特徴とするアスベスト試料作成装置。
【請求項4】
第1の開口と、当該第1の開口側と反対側の第1の端部から前記第1の開口付近の内壁まで設けられた第1の流路と、前記第1の端部に設けられ前記第1の流路に外部から水または空気を注入する注入口とを有する第1の凹部材と、
前記第1の開口と重ね合わせて第1の空間を形成可能な第2の開口と、前記第1の流路に連通し前記第2の開口付近の内壁から当該第2の開口側と反対側の第2の端部まで設けられ、前記第1の空間で粉砕された試料を前記注入された水または空気と一緒に流通させる第2の流路と、前記第2の流路の前記第2の端部側に連通され前記粉砕された試料を前記注入された水または空気と一緒に前記第1の空間の外に排出可能な第1の排出口とを有し、前記第1の凹部材とで前記第1の空間に前記粉砕された試料とその試料を粉砕した鋼球とを密閉して収容可能な第2の凹部材と、
前記第1の流路の前記第1の開口側端面を覆うように前記第1の開口付近の内壁に設けられた第1の網状部材と、
前記第2の流路の前記第2の開口側端面を覆うように前記第2の開口付近の内壁に設けられた第2の網状部材と、
前記第1の排出口の外側に第2の空間を形成するように密閉可能に覆い、前記第1の排出口の外側に配置された濾紙を介して前記第2の空間に排出された水または空気を前記第2の空間からその外に排出可能で前記注入口と前記第1の排出口とを結ぶ直線上に第2の排出口を有する第3の凹部材と
を具備することを特徴とするアスベスト試料作成装置。
【請求項5】
第1の開口と、外部から前記第1の開口内に水または空気を注入可能な注入口と、前記注入口の前記第1の開口内の内壁側に設けられ前記水または空気を注入するときにのみ開く第1の栓とを有する第1の凹部材と、
前記第1の開口と重ね合わせて空間を形成可能な第2の開口と、前記空間で粉砕された試料を前記注入された水または空気と一緒に前記空間の外に排出可能な排出口と、前記排出口の前記空間側に設けられ前記水または空気を排出するときにのみ開く第2の栓と有し、前記第1の凹部材とで前記空間に前記粉砕された試料とその試料を粉砕した鋼球とを密閉して収容可能な第2の凹部材と、
を具備することを特徴とするアスベスト試料作成装置。
【請求項6】
第1の開口を有する第1の凹部材と、
前記第1の開口と重ね合わせて空間を形成可能な第2の開口と、外部から前記空間内に水または空気を注入可能な注入口と、前記空間で粉砕された試料を前記注入された水または空気と一緒に前記空間の外に排出可能な排出口とを有し、前記第1の凹部材とで前記空間に前記粉砕された試料とその試料を粉砕した鋼球とを密閉して収容可能な第2の凹部材と、
前記注入口及び前記排出口に着脱可能であると共に、当該注入口及び排出口内を塞ぐことにより前記空間を密閉可能な栓と
を具備することを特徴とするアスベスト試料作成装置。
【請求項7】
第1の開口を有する第1の凹部材と、
前記第1の開口と重ね合わせて空間を形成可能な第2の開口を有し、前記第1の凹部材とで前記空間に粉砕された試料とその試料を粉砕した鋼球とを密閉して収容可能な第2の凹部材と
を有する粉砕器と、
前記粉砕器のうち、前記第1の凹部材から分離された第2の凹部材の前記第2の開口に密閉して連通可能で、前記粉砕された試料及び鋼球を内部に供給可能な供給口を有する蓋体と、
前記蓋体に密閉可能に接続されると共に、前記供給口から供給された前記粉砕された試料及び鋼球を収容可能な筒状部と、前記筒状部に一体的に接続され内径が前記蓋体側と反対側の方向に小さくなるように形成され、その先端に前記粉砕された試料を外部に排出可能な排出口が設けられた排出部とを有する容器本体と、
前記筒状部の内部空間を前記蓋体側とその反対側に分断するように当該筒状部に着脱可能に配置され、前記蓋体側と反対側に略半球状に窪む網状部材と
を有するアスベスト試料作成容器と、
前記アスベスト試料作成容器の前記排出口に密閉して連通可能な第3の開口を有し、前記アスベスト試料作成容器の前記網状部材を通り前記排出口から排出される前記粉砕された試料を前記第3の開口から収容する捕集容器と
を具備することを特徴とするアスベスト試料作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−304023(P2007−304023A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134440(P2006−134440)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000223104)東和科学株式会社 (9)
【Fターム(参考)】