説明

アセチレンカルバミド−ポリウレアポリマーを有するマイクロカプセルおよび制御放出のためのその製剤

本発明は、アセチレンカルバミド誘導体がマイクロカプセル壁の最終構造の構成要素となっているマイクロカプセルと出発物質による、マイクロカプセル化の代替の界面重合方法、それによって製造されるマイクロカプセル、マイクロカプセル化された農薬、医薬品、触媒、相転移物質、およびこれらの製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通例のマイクロカプセル化物質よりも毒性がずっと低く且つアセチレンカルバミド誘導体がマイクロカプセル壁の最終構造の構成要素となっているマイクロカプセルと出発物質による、マイクロカプセル化の代替の界面重合方法、それによって製造されたマイクロカプセル、マイクロカプセル化された農薬、医薬品、触媒、および相転移物質、およびその製剤に関する。
【0002】
本発明は、活性成分を制御放出するためのポリマーマイクロカプセル化およびマイクロカプセルを含有する製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
農薬を送達するためのマイクロカプセル化法は、40年代後期以来知られている。物理的方法、相分離および界面反応は、マイクロカプセル化の3つの主な手順である。農薬のマイクロカプセル化の最も成功した界面重合は、シェール(Scher)ら(シュタウファーケミカル社(Stauffer Chemical Company))によって70年代初期に開発され、同じ初期概念、即ち、化学物質を封入するためのポリウレアマイクロカプセル壁の形成の変更に基づいて、シュタウファーのグループ(後のゼネカ(Zeneca)、その後ICI、および現在のシンジェンタ(Syngenta))から多くの特許が認可された。
【特許文献1】米国特許第4,285,720号明細書
【特許文献2】米国特許第4,874,832号明細書
【特許文献3】米国特許第4,417,916号明細書
【特許文献4】米国特許第4,874,832号明細書
【特許文献5】米国特許第5,925,595号明細
【特許文献6】国際公開第92/13448号パンフレット
【特許文献7】欧州特許第571396B1号明細書
【特許文献8】米国特許第5,332,584号明細書
【特許文献9】米国特許第5,563,224号明細書
【特許文献10】DD108760号明細書
【特許文献11】国際公開第92/13450号パンフレット
【特許文献12】米国特許第4889719号明細書
【特許文献13】米国特許第4,458,036号明細書
【特許文献14】米国特許第3,766,204号明細書
【特許文献15】米国特許第6,485,736号明細書
【特許文献16】DE2849442号明細書
【特許文献17】EP12216号明細書
【非特許文献1】ピーターA.ロベルおよびモハメドS.エルアーサー、乳化重合および乳化重合体、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ、ISBN 0−471−96746−7、1997年、ウエスト・サセックス(Peter A.Lovell and Mohamed S. El−Aasser, Emulsion Polymerization and emulsion polymers, John Wiley and Sons, ISBN 0−471−96746−7, 1997, West Sussex)の222〜230頁
【非特許文献2】オンライン有害生物防除剤ハンドブック、英国作物保護協議会(e−Pesticide Handbook, British Crop Protection Council)
【非特許文献3】近藤朝士、マイクロカプセル(1970年)日刊工業新聞社(Asaji Kondo. Microcapsules.(1970)Nikkan Kogyo Shinbun Ltd.)
【非特許文献4】近藤ら、マイクロカプセル(1977年)三共出版社(Kondo et al. Microcapsules(1977)Sankyo Publishing Co.,Ltd)
【非特許文献5】近藤朝士、マイクロカプセル処理および技術(1979年)マーセルデッカー社(Asaji Kondo.Microcapsule processing and technology(1979)Marcel Dekker Inc.)
【非特許文献6】N.カルダレッリ、制御放出有害生物防除製剤、CRC出版(1976年)(N.Cardarelli. Controlled release pesticide formulations.CRC Press(1976))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、(現在の工業方法と比較して毒性が低い壁形成物質を使用することによって)製造および製品自体に関するリスクが低減すると同時に、それによって製造されたマイクロカプセル(および配合されたマイクロカプセル)が適切に機能するように好適な方法で放出速度を制御するように、代替のマイクロカプセル化方法、および、農薬(または、任意の好適な方法のための全ての様々なタイプの農薬の構造に関連する構造を有する他の化合物、また相変化物質−PCM−、インキ、熱硬化性物質および触媒)を制御送達するためのそのマイクロカプセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、幾つかの態様を含む。この場合、当該分野は、適切な最終的機能性が得られるように、反応物質、カプセル化される物質を始めとして、最終的に産業的に(とりわけ農業に)使用可能な製剤とするための最終的な変更まで、多くのパラメータの相乗的なまたは組み合わせられた効果を必要とする。
i)これまでに教示されていないマイクロカプセル化の工業的方法を開示し、本方法は、壁形成物質として、少なくとも1種類の芳香族イソシアネート、および少なくとも1種類の脂肪族イソシアネート、および式(I)の少なくとも1種類のアセチレンカルバミド誘導体(ACD)の使用を含む。
ii)本発明のマイクロカプセルに封入された物質は特定の放出速度を有し、幾つかの実施形態では現在市販されている製品より有益であり、幾つかの実施形態では現在の方法の代替となり(毒性がより低く)、速放(例えば、λ−シハロトリン)、徐放(例えば、フルロクロリドン、クロマゾン)および実質的に無放出(例えば、相変化ワックス)の範囲にわたる。
iii)本明細書に記載の農薬製剤は新規で機能的に許容される、即ち、現在のマイクロカプセル化された製剤が農地で現在使用されているように、農業者が慣れている同じ機械類、注意事項および手順を用いて、または、PCM(相変化物質)では布帛およびコーティングに同じ用途に、またはマイクロカプセル化された触媒として反応に現在のマイクロカプセル化された触媒と同じ用途に使用できる。
iv)0〜50℃の範囲の融点を有する油相ワックスまたは油(油溶媒だけを構成してもよい)に組み込むことによって、または適切な油相中に固体物質を分散させることによってPCMをマイクロカプセル化するために、また、触媒および熱硬化性物質のためにマイクロカプセルの乾燥製剤を使用することができる。
【0006】
アセチレンカルバミド誘導体を頭字語ACDで示すことに留意されたい。一般的な「カプセル懸濁」(CS)製剤だけでなく、マイクロカプセルを含有するあらゆる種類の農薬製剤を、農業ではマイクロカプセル製剤と称する。「マイクロカプセル製剤」の用語で称される非限定例には、サスポエマルション、並びに、マイクロカプセルを含有する水分散性粒剤、油中に農薬の混合物(少なくとも1種類がマイクロカプセルされている)がある油懸濁液などがある。また、本発明では、同じ製剤中に1種類以上の活性成分を封入するマイクロカプセルとマイクロカプセル化されていない他の活性成分との組み合わせが可能であることが明らかである。
【0007】
本発明は、以下の点で従来技術と異なる:
マイクロカプセルに特有の性質を付与する追加の重要な架橋重合剤(cross−polymerization agent)、即ち、アセチレンカルバミド誘導体(ACD)がある。
ACDは低濃度(全製剤の0.05〜5%)でカプセル壁の透過性に劇的な変化をもたらす。
ポリマー壁は、ポリウレア壁(既に多くの異なる特許で権利請求されている)ではなく、ポリウレア−アセチレンカルバミド誘導体壁(以前に開示されたことがない)である。
この壁には、マイクロカプセル壁の透過性を制御するための追加のパラメータ−従来技術に関して−、即ち、実験的に決定されるACD/イソシアネート比がある。
マイクロカプセルは脂肪族イソシアネートと芳香族イソシアネート(反応性がより低い)の使用に制限されるため、ポリウレア結合が形成されるように第1の触媒、好ましくはジアルキルスズ脂肪酸エステルを添加する必要がある(任意選択ではない)。
ポリウレア壁を形成できる毒性の低いイソシアネート、ACDの架橋剤、および本方法に適応される触媒の新規な組み合わせ、並びに未反応のイソシアネート官能基を停止させることができることにより、従来の特許に記載されているもののような(TDIのような)毒性の高いイソシアネートの回避が可能である。
カプセル化される、異なる物質、反応生成物、触媒、および関与する化学、時間および反応温度は全部特有の特徴である。
本方法で、壁物質の官能基と本質的に反応性がない任意の化学物質をカプセル化することができ、それらが壁形成物質と反応せず、分子サイズ、溶解される、分散される、または純粋に使用される能力が好適である限り、これは任意の構造化学物質タイプに属する。
【0008】
多くの農業用製剤用の通例の世界的に使用されているマイクロカプセル化物質(例えば、カレート(Karate)(登録商標)ゼオン(Zeon)−シンジェンタ(Syngenta)などの、世界中で多量に販売されているもの)は、壁の一部として、ヒトに非常に有毒で発癌性のある化合物、2,4−トルエンジイソシアネート(TDI)、CAS#[584−84−9]を使用する。好ましい実施形態では、前述のTDIより毒性が非常に低いイソシアネート、例えば、サイテック(Cytec)によりTMXDI(登録商標)として販売されているm−TMXDI、CAS#[2778−42−9]を使用する。TMXDIが、液体または農薬のマイクロカプセル化の分野で、また他のマイクロカプセル化でも、たとえあったとしても、そのかなりの産業用途にかつて反映されていないことは注目に値する。サイテック(CYTEC)のウェブページに見られるように、「TMXDI樹脂は、工具産業に、および、電子部品をカプセル化および保護し、プリント回路基板をコーティングし、フィルタを封止するために一般的に使用されている」。このため、イソシアネートとACDの組み合わせは全く新規であり、自明ではない。
【0009】
下記にTMXDIとTDIの毒性の差(シグマアルドリッチ(Sigma−Aldrich)とサイテック(CYTEC)のMSDSによる)の比較表を示す。
【0010】
【表1】

【0011】
従って、化学物質の目的に合った放出速度を可能にするマイクロカプセルを作り出すという課題を解決することの他に、本発明ではマイクロカプセル(およびその製剤)の毒性が改善される。重要なことには、従来技術のマイクロカプセル化方法は、通常、全部は完了せず、残りの未反応のイソシアネートは最終使用者の健康に有害である。ACDの使用は、未反応のイソシアネートの含有量を低減するだけでない。同時に、マイクロカプセル製剤の使用時に存在するどのような未反応のイソシアネートも、−壁の中にあってもまたは製剤自体に分散/溶解していても−毒性がずっと低い(例えば、TMXDI対TDI)。
【0012】
特許文献1(最初は、シュタウファー(Stauffer)、シェール(Scher)らによって1973年に出願された)は、参照により内容全体が本明細書に援用され、界面マイクロカプセル化の基本的方法を示す。他のより新しい特許は、本発明に関して、この文献より多くのことを教示していない。特許文献1では、第2の反応物質を添加することなく、マイクロカプセル化される水非混和性物質と有機ポリイソシアネートを有する有機相を、水、界面活性剤、および保護コロイドの溶液を含有する水相中に入れる工程と、加熱する工程とを含み、前記水非混和性物質が別個のポリウレアカプセル壁膜(enclosure)内にカプセル化されるポリウレアのカプセルを有するマイクロカプセル化方法が権利請求されている。ACDには言及していない。更に、反応速度を増すため、任意に触媒を添加することができ、前記触媒は、アルキルスズアセテートである。本発明では、アルキルスズエステル(好ましくはジブチルエステル)のタイプの触媒が必要である。
【0013】
特許文献2は、脂肪族イソシアネートを用いるが、ポリエーテルポリオールと組み合わせてポリウレタンを形成するマイクロカプセル化方法を記載している。特許文献3および特許文献4は、脂肪族イソシアネートを用いるが、アセチレンカルバミド誘導体と組み合わされていないマイクロカプセル化を詳細に説明している。特許文献5は、TMDおよびPAPIの使用、並びに、イソシアネートの混合物にTMXDIが含まれているときの放出速度におけるTMXDIの影響を開示している。しかし、特許文献5では、実質的に、壁形成物質がポリアミンの使用を必要とし(説明および実施形態でも示されており、そこで常にアミンが使用されている):本発明では、ポリウレア壁を形成するためにポリアミンの使用を全く必要としないため、化学的方法とマイクロカプセルの最終構造および特性の両方に関して本発明と極めて大きな差がある。更に、特許文献5はACDの使用を記載していない。
【0014】
本発明の1つの重要な新規な態様は、マイクロカプセル壁を合成するためのACDの使用である。ACD(例えば、パウダーリンク(Powderlink)(登録商標)1174、サイテック(CYTEC)製)のパンフレットの存在は、低い反応性、および特殊な開始剤の必要性と温度要件、および、反応のための追加のヒドロキシル基の必要性に基づいてそれらをマイクロカプセル化方法に使用することとは異なる教示をしている。
【0015】
特許文献6(特許文献7および特許文献8に対応する)には、マイクロカプセル化に使用されるアミノプラストポリマーを異なるタイプの化合物、即ち、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、およびアセチレンカルバミド(グリコールウリル)ホルムアルデヒドを用いて製造し得ることが記載されている。しかし、その文献では、本発明におけるような、任意の尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリルホルムアルデヒドと組み合わせてマイクロカプセル壁の成分にイソシアネート化合物を使用することは記載されておらず、暗示的に提案されてもいない(特許文献7の独立請求項1および従属請求項4は、アミノ樹脂化合物だけを使用することに関し、イソシアネートを用いていない)。
【0016】
研究中、従来技術で開示されたことに関してかなり異なって、および極めて抑制的に(surpressively)、ポリウレア壁にACDを導入でき、それと同時に、従来の混合物PAPIとTDIよりも毒性が少ないイソシアネートの組み合わせ(好ましい実施形態ではPAPIとTMXDI)を使用できることが分かった。
【0017】
本発明の解決とは異なる教示をしている文献がある。別の従来技術は特許文献9によって例示され得る。そこでは、プラスチックの製造用のUV保護剤を固定するための化合物(ACDを含む)の使用が開示されており、(これらのUV保護剤を固定するために反応性となるのに)ACDは硫酸の使用を必要とする。同特許中、反応性であるためにアセチレンカルバミドモノマーは、強酸性条件にあり熱を受けなければならないことが明確に記載されている。おそらく、本方法では、ACDの活性化に必要な化学ポテンシャルは、自己イソシアネート励起状態および/または発熱性イソシアネート反応の局在化した温度上昇によって提供される。特許文献9は、どの場合も、特定の非常に特殊なマイクロカプセル化の分野に使用するポリマーに言及していないことを記載しなければならない。本発明では、(カプセル化する活性成分を破壊し得る)強酸も強加熱も使用しない。
【0018】
次の文献は、拡張欧州調査報告(Extended European Search Report)に引用されたものであり、本発明の前の新案および発明段階に関して記載されている。特許文献10(マコワー(Makower)ら、1974年)は、非常に限定的に(エトキシレート)本発明の化合物(I)の幾つかを表し得、更に、大きいプラスチック材料片のようなマイクロカプセル化からかなり離れた分野のACDを開示している。ポリウレアマイクロカプセルを形成する組み合わせには言及していない。特許文献11(ICI、1992年)は、請求項1で、第2の反応物質を添加することなく、イソシアネートを反応させてポリウレア壁を形成するプロセスで形成されるポリウレア化合物だけを開示しており、従ってACDの包含とは異なる教示をしている。特許文献12(大坪(Ohtsubo)ら、1989年)は、ポリウレアで形成された壁内にカプセル化された有機リン系殺虫剤を含むマイクロカプセル化された殺虫組成物を開示しているが、ACDと組み合わせたポリマーを形成することに関して示唆していない。更に、特許文献12は、本発明のような芳香族イソシアネートと脂肪族イソシアネートの組み合わせとは異なる教示をしている(1欄、38〜40行目:反応速度の差により容易に均質な壁が作り出されないため、芳香族イソシアネートと脂肪族イソシアネートの混合物は好ましくない)。本発明では非常に均質な壁、および、更には非常に均質な粒度のマイクロカプセルが得られるため、それが本発明とは全く異なる事例であることを本発明者らは見出した。特許文献13(フェスマン(Fesman)ら、1984年)は、フォームの形態で、マイクロカプセルのような微視的な構造ではない難燃剤のような離れた分野のACDが組み込まれたポリウレタンに関する。プラスチックまたはフォーム(特許文献13では、マットレス、室内装飾品、クッション)を形成するために実施され得る何千もの反応の中で、その文献はACDをポリウレアと組み合わせてマイクロカプセルを形成できることを全く示していない。特許文献13に開示されているポリマーの巨視的な構造は、ポリウレア−ACDポリマーの均質な球に繋がらず、記載されたポリマーのマイクロカプセル化の分野での応用も考えられていない。特許文献14(マシューC,US(MathewC,US)ら、1973年)はまた、ポリエステル、アルキド樹脂およびポリウレタン、潤滑剤および界面活性剤のような離れた分野に関する。更に、そこに開示されているACDは、本発明で権利請求されているものとは全く異なる。特許文献14に開示されている化合物からエトキシ化された鎖を無視して(disregarded)、権利請求されたACDに到達すべき、ましてそれらをマイクロカプセル化のためのポリウレア−ACD壁の構成要素として選択すべき理由は示唆されていない。マイクロカプセル化のような関心が高まりつつある分野で、ACDはマイクロカプセルに使用されることが(単なる可能性としても)開示されなかったことは注目に値する。
【0019】
マイクロカプセル化方法(本発明を含む)に必要とされる加熱が、カプセル化する化学物質の安定性の最大限より高くなり得ることは、注目に値する。これは、例えば、特定のピレスロイドで起こり、幾つかの望ましくない鏡像異性体またはジアステレオ異性体または異性体の形態が温度により増加する。それらの場合、酸化防止剤の添加によってこの異性化が防止され得ることが分かった。まず第1に、酸化防止剤が異性化を防止し得ることは明らかではなく(分子が異性化され得る化学経路は多数ある)、第2に、ピレスロイドの異性化の場合に酸化防止剤を油相に組み込む考えは開示されていない。本発明の方法により、油溶性酸化防止剤(例えば、BHT−ブチルヒドロキシトルエン−、BHA−ブチルヒドロキシアニソール−、またはこれらの混合物)を油相に直接添加することができる。特定の例では、BHT0.05%およびBHA0.01%(油相全体の全重量パーセントに対して)を、同時にスーパーシハロトリン(supercyhalothrin)(BHT、BHAまたは他の酸化防止剤の量は各製造業者の推奨に従って使用されるものとする)のマイクロカプセル化の好ましい実施形態の溶媒であるソルベッソ(Solvesso)200に添加してもよい。これは、40℃、暗所で既に起こり始めるスーパーシハロトリンの異性化を防止する。
【0020】
ACDのような低反応性(その反応性を、例えば、イソシアネートまたはアミノプラスト樹脂だけなどの従来技術のマイクロカプセル壁の構成要素と比較したとき)の追加の架橋物質をポリウレア壁に添加するという考えは自明ではない。低いパーセンテージのACDがマイクロカプセルの放出速度特性を農業用途に必要な範囲内で変更できるということも、触媒、熱硬化性物質またはPCMをマイクロカプセル化するのに有用であるということも期待されていない(後者の場合は、放出速度が各所望の目的に好適になるまで、壁形成物質の含有量を高くする必要がある)。更に、界面マイクロカプセル化(油相に組み込まれる)では壁形成物質として液体物質を使用することがより好都合である(および従来技術がそれを示している)ため、幾つかのACD(例えば、パウダーリンク(Powderlink)1174)が固体であるということは、まず無視される。固体ACDを分散された形態で油相に組み込むことは可能である(例えば、アトロックス(Atlox)(登録商標)LP−1またはLP−5またはLP−6による)が、これは過剰量の未反応ACDに繋がることがあることが分かった。
【0021】
架橋剤をポリウレア壁に添加して従来技術の壁を変更することを希望しても、当業者はACDより反応性の高い架橋剤を選択したであろう。少数の科学論文が架橋剤としてのACDの化学的性質および特性について記載したが、マイクロカプセル化法に言及したことはなく、むしろマイクロカプセル化方法のものと考えるにはかなり離れた分野(例えば、布帛処理、自動車塗料のコーティングなど)のものであった。読者は、ほとんど記載されていないACDの特性を、それらの特定の新規な本発明のマイクロカプセル化における用途と混同すべきではなく、2つのタイプのイソシアネートとACDの油相と水相の界面におけるin situ架橋反応に伴う複雑さ−プラスチックフィルム形成またはラッカー反応と比較するには離れている−を理解しなければならない。ACDが関与するそれらの離れた技術分野の前述の重合プロセスでも、残りの重合していないモノマーは最終製品からストリッピングされるかまたは除去されなければならず、本発明ではそのような状況は起こらない。特に、アセチレンカルバミド−ホルムアルデヒドで比較大きいサイズの孔を有するポリマー(しかし閉鎖された容積としてのマイクロカプセルではない)を形成することができるが、常にこれらのプロセスはアセチレンカルバミドホルムアルデヒドが最初に水相中で乳化されなければならないことを示す。それらのプロセスの後にある化学的性質は本発明のものとかなり異なる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
溶液(有機相)中の1種類以上の活性成分のマイクロカプセル化は、イソシアネートと式(I)のアセチレンカルバミド誘導体との反応に基づく界面重合方法を使用して行われる。
【0023】
本発明のマイクロカプセル壁を構成するポリマーは、特にマイクロカプセル化の分野では新規であるため、一連の請求項はポリマー自体に関する。
【0024】
特に、前述のポリマーは、水非混和性物質をマイクロカプセル化するためのポリマーとして、マイクロカプセル化する「主」物質(または水非混和性物質の混合物)として記載され得る。マイクロカプセル化する「副」物質は、技術的理由で(界面活性剤)または保護のために(例えば、酸化防止剤)、水非混和性物質および/または製剤助剤(coformulants)と一緒にマイクロカプセル化される油相中に分散された固体物質であってもよい。マイクロカプセル化される物質は適合性がなければならず、マイクロカプセルを最終的に使用する前に不要な反応をしないことが明らかである。マイクロカプセル化する「主」物質は水非混和性である、即ち、これは、この場合、20℃の水に対する溶解度が750mg/L未満である。前記権利請求されるポリマーは、界面重合反応および1種類以上の水非混和性物質の封入によって形成され、
このようなポリマーが:
脂肪族イソシアネートモノマー、
芳香族イソシアネートプレポリマー
N’,N’’,N’’’,N’’’−アルコキシ−アルキルおよび/またはヒドロキシ−アルキルアセチレンカルバミド誘導体またはこのような化合物の混合物(ここで、アルコキシは:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ter−ブトキシを意味し、アルキルはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチルを意味し、互いに独立して置換された窒素)
の反応によって形成され、
従来のレーザー回折粒度分析装置を用いて、攪拌下に水で従来の通例の希釈をして測定したとき、マイクロカプセルは、0.3〜25μm、好ましくは0.8〜15μmの平均直径を有し、マイクロカプセルの90%は100μm未満、好ましくは30μm未満の直径を有する、
ことを特徴とする。
【0025】
ACD中に存在するヒドロキシル基が多いほど、反応性は高くなる。置換されたACD1分子当たりのヒドロキシル基の数が過剰であると、その結果、反応が速くなり−適切な場合もあるが−、制御が困難になることが分かった。特定の目的に適切なACDを選択する唯一の方法は、反応の結果を実験的に調べ、反応時間を適応させる(例えば、油滴の乳化が起こる速度を増加/減少させること、および/またはポリウレア結合の形成を引き起こす触媒と架橋ACDを組み込むための触媒の量を増加/減少させることによって)ことである。アルコキシ基またはアルキル基は炭素数4の鎖より大きいことが可能である。このような場合、カプセルの壁は、架橋剤のサイズが大きいため、透過性が大きい。アルコキシ基およびアルキル基の炭素数が6までの化合物を使用することは、過剰に速い放出を回避するために、壁形成物質の混合物では低減されなければならない。また、ACD中のヒドロキシル基が多いと反応性が増大し、それは、例えば、相変化物質(PCM)の場合など、より緻密な壁構造が所望されるある一定の用途に適切になり得る。本発明は、立体化学的配置に関して提案された置換基の範囲の全ての種類のACDに関する。通常、これらの化合物の使用は市販のものに限定されるが、ACD前駆体(future ACD)中のある一定の立体化学構造を精製した場合でも、本発明におけるように使用されるこのような化合物の使用が可能である。このようなポリマーの構成要素となるACD(I)のより明確な構造は、次(図13)の通りである:
【0026】
【化1】

【0027】
式中、
a)R、R、R、Rは、互いに独立して、メチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、sec−ブチレン、tert−ブチレンであり、
b)R、R、R、Rは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルであり、
c)R、R10は、水素またはヒドロキシメチルであり、より好ましくは置換基は両方とも水素であり、
化合物(I)は、記載される基に応じて存在し得る、全ての異性体および立体異性体の配置を含み、このようなACDが本発明に記載のようにイソシアネートの混合物と反応するとき、ポリウレア−アセチレンカルバミド誘導体(ACD)ポリマーを形成できない全ての基の組み合わせが化合物(I)から除外される。
【0028】
ACDは、本発明の最終的なマイクロカプセル壁の基本的な部分である。典型的な方法では、油相と水相の2相があり、油相は45〜70℃の水相中に乳化され、ポリウレア反応が起こり始め、温度は60〜90℃に上昇し、−ポリウレア反応が起こり始めた後に−ACDを反応性にする触媒が連続水相に入れられる。50〜90℃で約1〜4時間の硬化時間が設定される。次いで、マイクロカプセル壁を構成する特有のポリマーが油滴の水−油界面相に形成される。
【0029】
本発明による典型的な油相は:
脂肪族イソシアネートモノマー(例えば、TMXDI)
芳香族イソシアネートプレポリマー(例えば、PAPI)
アセチレンカルバミドモノマー(例えば、テトラ−ブトキシメチルアセチレンカルバミド)(モノマー中の含有量が市販のアセチレンカルバミド製品全体の50%より多いとき、「アセチレンカルバミドモノマー」と称する:工業条件では純粋なアセチレンカルバミドモノマー製品を有することは困難である)
溶媒(例えば、テトラ−ブトキシメチルアセチレンカルバミドを溶解させるシクロヘキサノン)
1種類以上の活性成分(例えば、スーパーシハロトリン)
任意に、分散された固体活性成分(例えば、結晶サイズ<5μmの粉砕されたα−シペルメトリンおよびアトロックス(Atlox)(登録商標)LP−1)
任意に、分散されたおよび/または溶解された酸化防止剤および/またはUV保護剤
任意に(マイクロカプセルのサイズを小さくするため)、低HLBを有する界面活性剤(例えば、アトロックス(Atlox)(登録商標)4912)
で構成される。
【0030】
組成物の比は、典型的には以下のとおりであり:
脂肪族イソシアネートモノマー:芳香族イソシアネートプレポリマー 1:3〜1:1
芳香族イソシアネートプレポリマー:アセチレンカルバミドモノマー 9:1〜4:1
脂肪族イソシアネートモノマー:アセチレンカルバミドモノマー 2:1〜5:1
脂肪族イソシアネートモノマー:芳香族イソシアネートプレポリマー:アセチレンカルバミドモノマーの最も好ましい比は3:6:1である。
【0031】
常に、油相は乳化まで無水雰囲気中で保存される(乾燥または吸着または単離のような化学的または物理的手段で、およびまた、気体、好ましくはCO、N、Heを有する不活性雰囲気で操作する、または単に反応部位の相対湿度を調整することが可能である)。
【0032】
水相は、典型的には以下を含有する:

主界面活性剤(例えば、シンペロニック(Symperonic)(登録商標)のタイプのアルキルエトキシ化/プロポキシ化共重合体)
1種類以上の水溶性または水分散性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドンPVP−30)
1種類以上の親水コロイド(例えば、グアーガム)
1種類以上のリグノスルホネート(例えば、クラフトスパース(Kraftsperse)(登録商標)のタイプ)
この段階で、分散プロセス中、有機相は約45〜70℃の温度の水相中に乳化される。分散相の主な粒度は1〜25μmの範囲でなければならない。目標の粒度に到達すると、高剪断攪拌機を停止し、主攪拌機(アンカー)を最も低い設定に調節し、硬化時間は加熱中の剪断応力を減少させる。
【0033】
有機相に存在する触媒は壁形成反応を開始させ、それは、約60〜90℃に加熱することによって更に増加される。次いで、ACDをポリウレア壁に組み込むための触媒を添加する(例えば、炭素数8以下の鎖を有するアルコールに溶解されたp−トルエンスルホン酸;置換されたスルホンイミドを使用する場合、反応温度はより高くなければならない)。マイクロカプセルは50〜90℃で1〜約2時間放置され、イソシアネート残基の停止反応を完了させる。次いで、混合物を通常は室温に冷却する。
【0034】
硬化したマイクロカプセル懸濁液のpH値を50%水酸化ナトリウム水溶液で、安定性および所望の農薬特性のためにより適切なpHに調節する。
【0035】
最終的に、粘土(例えば、不活性ゼオライト)および親水コロイド(例えば、キサンタンガム)、硫酸アルミニウム、およびトリポリリン酸ナトリウムのタイプの粘土調整剤を添加して、長期の貯蔵中、密度の差によりマイクロカプセルが水から分離することを防止する。バッファ系(好ましくは経済的な理由で炭酸ナトリウムまたはクエン酸をベースにするもの)を適用し、製剤を所望のpHに維持する。貯蔵中、残留イソシアネートと水との反応から発生する二酸化炭素を吸着し、従って、最終製品の容器中の圧力の増加を防止するため、炭酸ナトリウム(または他の任意の炭酸イオン源)を使用して溶液をアルカリ性状態にすることも有利であるが、状況は、バッチが適切に停止されなかった例外的な場合にしか期待されない。
【0036】
製品の貯蔵寿命中、製剤を生物学的攻撃から保護するため、任意の殺生剤が添加される(好ましくは、イミダゾリジニル尿素または他の従来の静菌剤、殺菌剤、または殺微生物剤のタイプのもの)。
【0037】
前述のように本方法は、水非混和性溶媒中に脂肪族および芳香族イソシアネート並びに活性成分−場合によっては界面活性剤またはUV保護剤または酸化防止剤−を溶解させることによって開始する。溶媒は、1種類以上の活性成分−a.i.−を溶解させるために(a.i.が固体である場合)、または単に、a.i.が存在する油相を提供するために存在する。ある一定の場合、a.i.の量が全ての壁形成材料を溶解するのに十分多く、溶解できる場合、「溶媒」の代わりに、a.i.と溶媒の両方の役割をするa.i.自体が実利的に使用される(この状況は例外的である)。ACDは、必要に応じて第2の溶媒を補助として用いて油相に組み込まれる。更に、油相は、壁形成反応を開始する(水が存在するとき)触媒を含有する。また、固体の活性成分は油相中に分散されてもよい。水相は、1種類以上の活性成分を含有するマイクロカプセルの分散媒(連続相)の役割をするが、水相は分散または溶解された活性成分(例えば、農業用途ではグリホサートまたはジクワット)を含有してもよい。水相は、乳化剤、保護コロイド、および、最終的なマイクロカプセルの芯となる油滴を乳化させる機能を有し、任意に、完成した製剤の適切な機能性に必要な最終的な製剤助剤の役割もする他の製剤助剤を添加することによって調製される。
【0038】
好ましい壁形成物質
ACDに関して、パウダーリンク(Powderlink)(登録商標)1174およびサイメル(Cymel)(登録商標)タイプの市販の製品、より好ましくはサイメル(Cymel)(登録商標)1711およびサイメル(Cymel)(登録商標)1170の使用が好ましい。サイメル(Cymel)タイプのプレポリマーを使用すると、実施した特定の試験にパウダーリンク(Powderlink)(登録商標)1174を使用した場合と比較したとき、より不規則な反応経路が生じる。従って、最も好ましいACDは、パウダーリンク(Powderlink)(登録商標)1174である。市販の製品は、ラベルに記載されたモノマー以外の幾つかの化合物を有する可能性がある(例えば、パウダーリンク(Powderlink)(登録商標)1174はオリゴマーを含有する可能性がある)ことに留意しなければならない。
【0039】
多官能性イソシアネート系では、1種類の脂肪族イソシアネートと1種類の芳香族イソシアネートが好ましい(脂肪族は−NCO基が芳香環に直接結合していないことを指す)。ポリマー密度は、多官能性(例えば、脂肪族PAPIプレポリマー)と多官能性脂肪族イソシアネート(サイタン(Cythane)(登録商標)3174、TMXDI、後者は本発明による好ましい脂肪族イソシアネートである)の比を変えることによって様々になり得る。比が大きいほど、架橋が多くなる、従って拡散係数が小さくなり、従って透過性が小さくなる。ACDを組み込むとき、架橋反応の複雑さは、形成されたマイクロカプセルでの実験的試験によって測定できる最終的な放出速度の予測を困難にする。
【0040】
本発明による好ましい芳香族イソシアネートは、ダウ(Dow)(登録商標)製のPAPI(登録商標)およびそのシリーズである。好ましい化合物のタイプを下記に示す:
【0041】
【化2】

【0042】
式中、n=0からn=6である。
n=1の場合、PAPI、CAS#[009016−87−9]、表品名スペックフレクッス(Specflex)(登録商標)NE138である。
【0043】
好ましい脂肪族イソシアネートは、下式で表されるTMXDIおよびサイタン(Cythane)(登録商標)3174である。
【0044】
【化3】

【0045】
アセチレンカルバミド誘導体をTDIおよびPAPIで形成された壁の中に組み込むことの利点が可能であるが、その場合、製造方法およびカプセル自体がTDIの固有の毒性の問題を有する、換言すれば、アセチレンカルバミド誘導体およびTDIおよびPAPIの使用は、ポリウレア壁を形成するためのイソシアネートの任意の通例の組み合わせであると共に、本発明の主題の明白な範囲であることが明らかである。経験的に、多くのタイプのポリウレアにACDを組み込むことができ、その結果、ポリウレア−ACDポリマーが得られる。
【0046】
また、本発明者らは、上記の式に対応するもの以外の他の芳香族イソシアネートを含むと、完全に機能できるマイクロカプセル壁が得られることが分かった。
【0047】
脂肪族イソシアネート(NCO基は芳香環に直接結合していない)の使用は、その反応性が低いため、反応を開始するのに触媒を使用することを含意する。この黙示された反応性の欠如のため、それらは商業的に成功したマイクロカプセル化製剤の産業用途に使用されていない。
【0048】
オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、ジブチルスズメルカプチド、ジブチルスズチオカルボキシレート、プロピオン酸フェニル水銀、オクタン酸鉛、アルカリ金属塩(KCO、NaHCO、およびNaCO)、アセチルアセトナト鉄のような触媒が使用される。
【0049】
第三級アミン触媒の組み合わせを長い間使用しているが、意外にも、ACDを使用し且つアミンが存在しない場合、反応が起こるだけでなく、非常に好都合に起こることが分かった。経験から、より詳細には、グループ4またはグループ14の脂肪酸エステルのアルキル要素のモノ−(ジ−、トリ−、テトラ−)脂肪酸エステルのタイプであり、アルキル基として:メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル(およびそれらの全ての鎖形異性の形態)が好ましく、好ましい金属は遷移金属Sn、Ti、In、Sb、Pb、Ge、Pd、Pt、Au、Zn、Fe、Cuである。農薬市場で現在求められているタイプのマイクロカプセル化に最も好ましい触媒は、コスト、特定のプロセスの要求および環境毒物学的理由で、ジブチルスズラウレートである。ジブチルスズジラウレートと共にトリエチレンジアミンを使用した場合と、ジブチルスズジラウレート触媒だけの場合を比較したが、ジブチルスズジラウレートだけを使用したときの方が反応の制御がより改善され、壁の特性が改良された。しかし、壁形成物質と反応するある一定の傾向があり、特定の用途に、とりわけ農薬に好適な前述の他の触媒にプロセスを適応させる(特に、反応時間と温度)ことができる。
【0050】
ACDを壁に組み込むため、水相に入れられた第2の触媒、最も好ましくはp−トルエンスルホン酸またはスルホンイミドのタイプ(例えば、メチルトルイルスルホンイミド)、またはサイキャット(Cycat)(商標)600若しくはサイキャット(Cycat)(商標)500のタイプの第2の触媒が使用される。
【0051】
本発明の好ましい重合系は、脂肪族イソシアネート(m−TMXDIをモノマーとして)を芳香族イソシアネートPAPIと組み合わせて使用するが、それは、例えば、PAPI/TDIなどの2種類の芳香族イソシアネートを適用するより反応性が小さい。更に、脂肪族イソシアネートはホスゲンなしで製造され、ニトロソアミンを含まない。これらのタイプのイソシアネートは毒性の点で有利であり、例えば、シンジェンタ(Syngenta)のマイクロカプセルのタイプの製品などの確立された他のイソシアネートを用いるよりも、より安全に作業することが容易になり、実際の産業用途にこのようにイソシアネートの対のタイプを選択することは、全く新規である(ACDとの組み合わせ、および有機金属触媒を1種類しか選択しないことは、より新規性が高い)。
【0052】
リグノスルホネートの最も好ましい機能性(クラフトスパース(Kraftsperse)の代わりに、リグノスルホネートではなく使用できる他の同等の市販の製品によって達成されてもよいが、第1の選択肢ではない)は、リグノGAT(LignoGAT)(商標)と称される70℃で10分間の熱処理による下記の化合物の混合物の独自の処理により達成される。
【0053】
【表2】

【0054】
他の適したリグノスルホネートおよび変性スルホネートは、リアックス(Reax)(登録商標)、ポリフォン(Polyfon)(登録商標)、クラフトスパース(Kraftsperse)(登録商標)、ボレスパース(Borresperse)(登録商標)、ウルトラジン(Ultrazine)(登録商標)、ユーフォキサン(Ufoxane)(登録商標)、マラスパース(Marasperse)(登録商標)、ジワテックス(Diwatex)(登録商標)、モルウェット(Morwet)(登録商標)のバリエーションのいずれかである。
【0055】
他の好適な親水コロイドは、寒天、アルギン酸塩、カラギーナン(carrageens)、ジェランガム、ペクチン、セルロース、滲出ガム(アラビアガム、トラガカント(tragacanth)、イナゴマメガム、および/またはカラヤガム)、トラガカント(tragacants)、サポニン、キサンタンガム、並びに前述の化合物の誘導体およびまたは混合物である。
【0056】
適した水溶性または水分散性ポリマーは、最も好ましいポリビニルピロリドン(モノマー100モルまで)およびポリ酢酸ビニルの他に、PVPとメチルメタクリレートの共重合体、PVPと酢酸ビニル(VA)の共重合体、ポリビニルアルコール(PVA)、PVAとクロトン酸の共重合体、PVAと無水マレイン酸の共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、PVP/エチルメタクリレート/メタクリル酸三元共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、オクチルアクリルアミド/アクリレート共重合体、ポリ(メチルビニルエーテル−マレイン酸)のモノエチルエステル、およびオクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレート共重合体、アクリル酸/t−ブチルアクリレート共重合体、ジメチルアミノエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシル−メタクリレート三元共重合体、t−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体、およびシリコーングラフト化三元共重合体、例えば、ブチルアクリレート/アクリル酸/PDMS、およびこれらの混合物である。
【0057】
水中油型のエマルションを形成する界面活性剤を広範囲の通例の界面活性剤から、親水性親油性バランスが12〜18であるという条件で選択することができる(例えば、エトキシ化および/またはプロポキシ化アルコール)。
【0058】
本方法に好適な典型的なポリイソシアネートは、第1の群から、および第2の群から選択される(壁形成物質−アセチレンカルバミドを除く−としての2種類のイソシアネートの混合物には、各群の1種類のイソシアネートを選択しなければならず、常に各群の少なくとも1種類のイソシアネートがなければならないが、この領域の分かりにくい用語法のため、「芳香族と脂肪族」という本発明の簡単な区分と異なる他の分類を示す):
1群[本発明では「芳香族」と称される]−(置換された)ベンゼン(bencene)環に直接結合したNCO基を有する:
1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗TDI、2,4’−、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗MDI、4,4’−ジイソシアネートビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、m−およびp−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、ポリアリールポリイソシアネート(PAPI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(PMDI)および1群のイソシアネートの誘導体およびプレポリマー。
2群[本発明ではそれらは全て「脂肪族」と称される]−(置換された)ベンゼン環に直接結合していないNCO基を有する:
脂肪族イソシアネート:エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサ−メチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、炭酸ビス(2−イソシアネートエチル)、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、
脂環式ポリイソシアネート:イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H−MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート(HTDI)、ビス(2−イソシアネートエチル)−4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネート、
炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート:m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)
脂環式ポリイソシアネート:エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、炭酸ビス(2−イソシアネートエチル)、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、
および2群のイソシアネートの誘導体およびプレポリマー。
【0059】
本発明による製剤の他の成分は、非特許文献1に見られる(前記頁は参照によりその内容全体が本明細書に援用される)。
【0060】
当業者は、1群のイソシアネートと2群のイソシアネートのどの組み合わせが好適であるか、および本発明を再現するにはどのような反応条件(ジアルキルスズ脂肪エステル触媒、温度、時間)が必要であるかを特定することができる。両方のタイプのイソシアネートの反応性が非常に低い、および/またはN−置換アセチレンカルバミド部分を攻撃する部位が適切でない場合を除いて、広範な組み合わせでACDは問題なく反応する。
【0061】
マイクロカプセルの放出速度は、主に:
マイクロカプセルサイズ
架橋度
ポリマータイプの選択
壁厚
油相の移動度
によって制御される。
【0062】
平均粒径(従って表面積)は、一般に、プロセスおよび物理的安定性の考慮事項を満足するように、狭い範囲に固定される。活性成分を含有する水非混和性液体の液滴の好ましい平均粒度は、目標に応じて、0.1〜200μm、好ましくは0.3〜50μm、より好ましくは0.5〜20μmである。粒度はまた0.1μm未満とすることができる。これらの粒子はナノ粒子と称され、これは、適切な乳化剤(特にそれを油相に組み込むこと)によって、および、乳化が起こるときの高い剪断応力速度で達成することができる。ナノカプセルに本発明のポリマー材料を使用することは、本発明の明らかな応用であることを理解しなければならない。
【0063】
攪拌速度と時間を調節することにより、および界面活性剤の選択と使用する界面活性剤の量によりマイクロカプセルの最終用途に従って粒度を調節することができる。
【0064】
マイクロカプセルが葉、水、または土環境に曝されるとき、壁の両側の濃度差は、一般に一定であると考えられる。葉または土は有害生物防除剤のシンクの役割をし、従って、有害生物防除剤は、マイクロカプセルの外面に非常に低濃度で存在する。湖または貯水池(water deposit)でマイクロカプセルを使用し、蚊に対する殺虫剤(例えば、ピリプロキシフェン、メトプレン、ヘキサフルムロン)を放出することは特に有利であり、その場合、水は前述の「シンク」である。
【0065】
マイクロカプセルからの放出速度を何桁も変える必要がある場合、この課題を達成する最も実際的な方法は、マイクロカプセル壁の透過性を変えることである。透過性は拡散係数の因子と溶解度係数の因子の積と定義される。所与の有害生物防除剤では、壁厚を変えることによって、および壁の架橋密度を変えることによって拡散係数を変えることができ;壁の化学組成を変えることによって溶解度係数を変えることができる。更に、活性成分のために使用される溶媒の化学構造は、透過性/移動度および放出速度に影響を与える。
【0066】
本方法に使用される有機ポリイソシアネートおよびACDの量は、形成されるマイクロカプセル壁重量を決定する。一般に、壁形成物質の量は、通常、マイクロカプセルの約2〜約75重量%を構成する。最も好ましくは、壁はマイクロカプセルの約4〜約15重量%を構成する。
【0067】
本発明の場合、壁形成物質の量は、油相の約2〜20%である。6%の好ましい量の壁物質について、平均直径10μmの微粒子の壁厚を計算することができ、100nmの範囲である。
【0068】
マイクロカプセルが特に小さいサイズ(例えば、平均粒度0.5μm〜10μm、最も好ましくは1μm〜5μm)を必要とする用途について、本発明者らは、乳化工程の前に油相に添加されたアトロックス(Atlox)(登録商標)4912のタイプの油溶性界面活性剤が、粒度を著しく減少させることを見出した。他のブロック共重合体、好ましくはポリグリコール(例えば、ポリプロピレングリコール)およびポリヒドロキシル化脂肪酸(poly fatty acids hydroxylated)で構成されるブロック共重合体を使用することができる。油相中での好ましい濃度は、壁形成物質の合計の約5〜25重量%である。
【0069】
本発明の方法を使用して製剤を製造し得る方法を特許の開示の限られたスペースで完全に説明することは不可能である。当業者は本発明を実施するために幾らかの実験的作業を必要とする。説明および実施例の開示は、受理された認可された特許文献に記載されており、権利請求される化合物の範囲のマイクロカプセルを得る方法をより詳細に記載している。マイクロカプセルの製剤に関して、このタイプの製剤(カプセル懸濁液−CS−およびサスポエマルション−SE−)は本質的に非常に複雑であることに留意されたい。当業者が過度な負担なく本発明を再現することを可能にする製剤技術の基本的なおよび高度な知識を提供する文献は:非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6である。
【0070】
マイクロカプセル化技術の複雑さ、マイクロカプセル製剤の分野の更なる複雑さを否定することはできない。重要な工程は乳化工程であり、使用者が使用する装置(ウルトラタラックス(ultraturrax)、アンカー攪拌機(anchor agitators)、ポンプ)を熟知していない場合、乳化工程は転相に繋がる可能性があり、また、実施例が再現される容器に適応した低い相対湿度、反応時間、および温度の管理等も重要である。例えば、実施例1では、2000Lの反応器が使用され、同じ実施例を実験室の反応器で繰り返すには、小さい反応器(例えば、500mL)で同様に反応を再現するための化学工学の知識の応用、このような2000Lの反応器で生じる熱伝達条件並びに乱流および剪断応力が必要である。
【0071】
本発明は、主に、農薬製剤に関するが、壁物質のタイプ(ポリウレア+アセチレンカルバミド)により、マイクロカプセルは室温から200℃までの範囲内のガラス転移温度を有し、そのように、得られたマイクロカプセルのカプセル壁の物質は熱応答を示し、それらは、感熱記録材料、およびそれに由来する全ての応用(インキ、布帛など)を形成するのに適している。本発明のマイクロカプセルを相変化物質の分野に使用するため、プロセスは前述のものと類似している。この場合、乾燥したマイクロカプセルを有する最終製品が好ましく、それは本発明のマイクロカプセルを従来のように噴霧乾燥することによって容易に達成される。この場合、後で水で希釈して使用される(ほとんどの農薬製剤の場合のように)マイクロカプセルの湿潤製剤を得るために、特定の乳化剤または親水コロイドの存在は重要ではない。本発明を相変化物質に応用する場合、主な違いは、油相が主に、熱を貯蔵し、放出できる(通常、0〜50℃の融点を有する)ワックスまたは油(例えば、硬化植物油)、並びに、壁形成物質、触媒(好ましくは、ジブチルスズラウレート)、および場合によっては、ワックスのマイクロカプセル化を容易にするために高沸点および低蒸気圧の追加の溶媒で構成されていることである。
【0072】
本発明のマイクロカプセルをこれらの用途(例えば、ブーツ、手袋、シート用のフォーム、設備全体、衣類のための乾燥マイクロカプセル)に適応させるため、それに対応して活性成分(例えば、融点37℃のワックス)の放出を回避しなければならないことに留意することは重要である。上記説明に記載した水相は、そのとき、単に、マイクロカプセルの好適な乾燥製剤を得るのに必要な、必要な分散剤、保護コロイドなどを含有する分散媒である(最終的な農業用途のための製剤助剤、または水を除去してマイクロカプセルの流体組成物を得るための他の手段を含有する水相ではなく、むしろ製剤助剤は噴霧乾燥用のものである)。当然ながら、乾燥状態の本発明のマイクロカプセルを含有する農業用製剤は、本発明のマイクロカプセルで非常に好適であるが、そのとき、農地で機能できるように水相に従来技術の分散剤、湿潤剤などを提供しなければならないが、それらは触媒またはPCMをマイクロカプセル化するときには必要ではない。
【0073】
乾燥マイクロカプセルを得る技術は当業者に周知であり、本発明はこの点で新規性を含まないため、この点について更に記載しない。しかし、本発明は、このようなPCM(または感熱記録材料、または触媒)を含有する新しいタイプのマイクロカプセルの新規性を提供する。この用途では、化合物の放出を制限するために、およびマイクロカプセルの寿命を延ばすために、壁形成物質は約5〜10倍多く(同じ比を維持して)存在しなければならない。これは、確かに、制御放出速度であるが、できるだけ遅い放出速度を目標とする。ACDを組み込む本発明によって提供される「4本指の」架橋(1本の「指」は、置換された各窒素に対する)によって、マイクロカプセルの柔軟性がより高くなり、PCMを用いるこのような用途で圧力に耐えることが可能になる(それはまた、製造中、製剤の包装中、および農業者が農地で最終的に使用するときの応力(例えば、スプレーノズルの圧力)に関して、農業用途にも有利である)。
【0074】
触媒のマイクロカプセル化の場合、油相中に分散された触媒(例えば、アトロックス(Atlox)LP−5または他の油分散剤を使用することによって)は、カプセル化する芯である液体分散体として使用され得ることが明らかである。本発明、即ち、ACD−ポリウレアで製造された本発明の壁の利点または違い(触媒の一般的なポリウレアマイクロカプセル化と比較した)を使用することの明らかな応用は、既存の従来技術の触媒(例えば、白金またはパラジウム触媒または四酸化オスミウム)である。ACD−ポリウレア壁、対、ポリウレア壁に関してこの文献に記載される全ての違いをこのような触媒に応用することができる。
【0075】
従って、実施例はより複雑な農薬製剤の分野に関し、粒度、放出速度に関するあらゆる要求に適合するように、適切な量のイソシアネート(TMXDIのような毒性と反応性が低いイソシアネートを使用する反応の実際の使用と良好な機能性がここで初めて開示される)、および本発明では新しい別のパラメータ、アセチレンカルバミドモノマーを選択できるため、化学的および物理化学的特性に関して、目標の農薬製剤が与えられると、本発明は(アセチレンカルバミドモノマー特性およびプロセス特性の特有性により)課題の達成に繋がるという明確な証拠が提供される;所望の密度および粘度および残りの化学的および物理化学的特性に適合するように選択される残りの製剤助剤は、慣例的な試行錯誤の試験でまたは従来のマイクロカプセル化技術の技法および方法で選択される。
【0076】
本発明の目的のために、当業者がその再現を希望する場合、どの物質のマイクロカプセル化を希望するかはほとんど無関係である。農薬の場合、唯一の制限条件は、それらが壁形成物質と反応しないということであり、化学者は壁形成物質および農薬の対応する官能基を見ただけでそれを評価することができる。どの組み合わせが適切であるかに関して、当業者は農薬の不適合性についての一般書、または農薬製造業者自体のパンフレットを参照しなければならない。油相中で物質を粉砕および分散する技術は、水に不溶性の固体農薬を水相に組み込む方法(例えば、微粉砕することによって)と同様に周知である。マイクロカプセル化される農薬が選択されると、壁形成物質を選択する必要がある。第1の選択肢として、説明および実施例に記載される化合物および割合、並びに表示された比の使用を推奨する。実施例に明示的に開示されていない壁形成物質の組み込みを希望するとき、以前行われたこれに関するコメントに十分注意して、類似の反応性についての第1の仮定がなされなければならない。イソシアネートの反応が起こっていない場合、温度の上昇、および/または触媒(第1の選択肢としてジブチルラウレート)の増加を行わなければならない。これでも十分でない場合、各イソシアネートの反応性を考慮しなければならず、反応性が低いため(製造業者から入手可能なデータ)反応することが期待されないイソシアネートの組み合わせを除外しなければならない。原則的に、権利請求される全てのACDは芳香族イソシアネートと脂肪族イソシアネートとの組み合わせと反応することができるが、また、これが起こらない場合は、反応温度および/またはACD触媒の量およびタイプ(例えば、p/エチルスルホンアミドをより強力なp−トルエンスルホン酸に変更する)を増加させなければならないか、または、記載された範囲で壁形成物質の比を試行錯誤で変更しなければならない(一般に入手可能な著書にはこれに関する理論が1つもない)。乳化は重要な工程であり、転相の場合、それに応じて、剪断応力を容器の容積および幾何学的形状に適応させなければならない。また、壁物質の含有量が少ないマイクロカプセルでは、油滴の形成中に剪断応力が大きくなり過ぎないように(ACDを組み込む前に、既に速く形成されたポリウレアプレポリマーの壁を破壊する可能性がある)注意しなければならない。
【0077】
放出速度に関して、制御放出製剤を専門にする化学者の通常の知識は、適切なイソシアネートとACDを選択するのに十分である。明らかに、ACDのアルコキシ基またはヒドロキシアルキル基が長いと、孔が大きくなるため、放出が速くなる。従って、粒度が小さいほど(剪断応力を大きくすること、および油相に界面活性剤を使用することによっても得られる)、放出速度は速くなる。また、充填されたマイクロカプセル全体の重量に対する壁物質の量(重量%)が多いほど、放出は遅くなる。
【0078】
PMCのマイクロカプセル化の場合、前記指示に従い、農業用途より多くの壁物質を使用する緻密な壁が望ましいことが明らかである。この目的には、中央がアルキル化されたACD鎖(例えば、N,N’−ジエトキシメチル,N’’,N’’’−ジメチロールアセチレンカルバミド)の使用が有利であるが、その理由は、それは一方では通例の従来技術のポリウレア壁に対して空孔サイズを増加させ得るが、それは他方ではマイクロカプセルの柔軟性および、PCMの通常の用途(特殊布帛またはプラスチックフォーム)では普通である耐圧性を増加させるからである。
【0079】
触媒のカプセル化の場合、ACDは、触媒の使用目的に適応されなければならない特有の放出速度を提供する:例えば、圧力下、マイクロカプセル化されたポリウレア−ACDパラジウムを用いた水素化では、壁により高いパーセンテージのACDが含まれることが好都合である。対照的に、四酸化オスミウム触媒反応の生物工学における用途には、より大きい孔が必要とされ、比較的大きいアルキル鎖を有するACD(例えば、テトラブトキシエチルアセチレンカルバミド)が適している。
【0080】
開示する壁形成物質についての具体的な詳細に関して、ACDは、幾つかの実施形態では、同じ特定の化合物(I)で水素の意味を有する置換基R、R、R、Rの数が、1つまたは2つに限定されることを特徴とし得る。
【0081】
芳香族イソシアネートは、芳香族イソシアネートモノマーまたは芳香族イソシアネートプレポリマーとすることができ、最も好ましくは芳香族イソシアネートプレポリマーである。
【0082】
脂肪族イソシアネートは、脂肪族イソシアネートモノマーまたは脂肪族イソシアネートプレポリマーとすることができ、より好ましくは脂肪族イソシアネートモノマーである。
【0083】
好ましい芳香族イソシアネートは、式(II)で表され、構造化学的に関連するモノ−、ジ−、およびトリ−イソシアネート置換トルエンのオリゴマー化された化合物である。
【0084】
【化4】

【0085】
式中、n=0からn=6、最も好ましくはn=1である。
【0086】
好ましい芳香族イソシアネートは、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、任意に、異性体および類似体の混合物である。
【0087】
好ましい脂肪族イソシアネートは、m−テトラメチルキシレンジイソシアネートおよび/または
脂肪族イソシアネート(単数形でも)は、任意に、異なる脂肪族イソシアネートの混合物と解釈されなければならず、従って、芳香族イソシアネートについても同じである。
【0088】
ポリマーが壁形成物質の反応によって形成され、ACDが請求項の式(I)による異なる置換基を有する、異なる化合物の混合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーを権利請求する。
【0089】
オリゴマー化されたACDに関して、1分子当たり10モルまでのオリゴマーの形態の化合物(I)の混合物を明示的に権利請求し、モノマー、ダイマー、トリマーおよびテトラマーの量の合計は、重量%で請求項3に記載される全ACD混合物の少なくとも75重量%である。
【0090】
使用されるACDは式(I)によって表される単一の化合物であってもよい。
【0091】
ACDは、置換されたアセチレンカルバミドのモノマーの、および/または低オリゴマー化された(1分子当たり2〜10個のモノマー)、および/または重合されていない化合物(I)で構成され得、高重合モノマー(1分子当たり100個超のモノマー)の含有量は、重量%でモノマーの含有量に対して10重量%未満、好ましくは0.5重量%未満である。
【0092】
混合されたACDの溶液が100%、置換されたアセチレンカルバミド誘導体(I)モノマーで構成されることも有利であり、ここで、R、R、R、R、R、R、R、Rの少なくとも1つの置換基は互いに異なっている。
【0093】
請求項1i)(c)の化合物が、ヒドロキシアルキル基による重合度が高過ぎず、請求項1のポリマーで形成されたマイクロカプセル壁が制御放出に好都合な多孔性となることを可能にするように、低いヒドロキシアルキル含有量(50%まで)を有するアセチレンカルバミド誘導体であることを特徴とする、任意の好適な前記請求項または前記請求項の組み合わせに記載のポリマーであって、制御放出の適性の用語は、農芸化学の専門家が商業的に適した製品の見地で解釈するように理解される。
【0094】
化合物(I)がモノマーおよび/またはダイマーおよび/またはトリマーの形態の単一のACD化合物として選択され、式(I)に含まれる、異なる化合物の混合物として選択されないことを特徴とする、請求項1または2に記載のポリマー。
【0095】
1種類以上の化合物(I)の混合物は、40%までのヒドロキシメチル含有量を有してもよく、特に、化合物i)(c)または化合物i)(c)の混合物の、水素を意味するR、R、R、R基の数の合計は、化合物または化合物の混合物中の全ての種類のR、R、R、R基の合計の40%以下である。
【0096】
溶液が主に−化合物(I)の工業的製造がそれを可能にする限り−モノマーの化合物(I)(式中、全ての置換基R、R、R、Rがそれらの中で等しく、R、R、R、Rがそれらの中で等しく、RおよびR10が水素原子である)で構成されることを特徴とする前述の任意のポリマーを使用することができる。
【0097】
好ましいACDは、N,N’,N’’,N’’’−テトラブトキシメチルアセチレンカルバミド、N,N’,N’’,N’’’−テトラメトキシメチルアセチレンカルバミド(パウダーリンク(Powderlink)1174)、N,N’,N’’,N’’’−テトラメトキシエチルアセチレンカルバミド、N,N’,N’’,N’’’−テトラエトキシエチルアセチレンカルバミド、N,N’,N’’,N’’’−テトラプロポキシメチルアセチレンカルバミドである。
【0098】
最も好ましい化合物(I)は、N,N’,N’’,N’’’−テトラメトキシメチルアセチレンカルバミドおよびN,N’,N’’,N’’’−テトラブトキシメチルアセチレンカルバミドであり、単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0099】
20℃以上で固体の化合物(I)または化合物(I)の混合物を油相中に溶解または分散させることによって使用してもよい。その場合、化合物(I)または化合物(I)の混合物は、固体をポリマー形成物質の液体混合物中に組み込むことを可能にする好適な有機溶媒に、例えば、γ−ブチロラクトンまたはナフサ溶媒(ソルベッソ(Solvesso)100、150ND、または200ND)に溶解および/または分散される。
【0100】
一連の請求項は前述の方法に関するが、より詳細に分かり易くするために、以下を記載する:
簡潔には、界面重合によるマイクロカプセル化方法を開示し、ここで連続相が水であり、不連続相がマイクロカプセルに封入される水非混和相であり、本方法は、通例の界面重合反応で実施され、マイクロカプセル壁が:
芳香族イソシアネート
脂肪族イソシアネート
式(I)の置換されたアセチレンカルバミド化合物または化合物の混合物
の反応で形成されることを特徴とする。
【0101】
より詳細に、このような製剤の製造後にマイクロカプセルの内部に残存する1種類以上の物質を含むマイクロカプセル化された製剤の製造方法を記載し、本方法は:
1)2つの相を調製すること:
a)1種類以上の活性物質を混合、溶解、および/または分散させること、および次の成分:
a.1.)前記請求項の好適な組み合わせに記載されているポリマー形成物質
a.2.)ポリウレア−置換アセチレンカルバミドポリマーの形成に好適な油溶性または油分散性触媒
a.3.)場合によっては、溶媒または分散剤
a.4.)場合によっては、油溶性界面活性剤
a.5.)農業用途の場合、活性な有害生物防除剤および関連する化学物質であり、他の分野では、対応して、相変化物質、インキ、熱硬化性物質、または各特定の用途に対して当業者が活性成分−マイクロカプセルの主な目的−とみなすものである、活性成分または活性成分の混合物
a.6.)場合によっては、油相に溶解または分散された追加の活性成分、水非混和性物質または水溶性物質の安定性、他の製剤助剤の安定性、マイクロカプセルの安定性、耐光性の任意の成分の安定性−有機化合物で−、耐熱性および/または耐圧性および/または耐微生物汚染性の任意の成分の安定性、または製剤全体の安定性のための製剤助剤
を混合、溶解、および/または分散させることによって油相を調製すること、
b)
b.1.)水
b.2.)1種類の乳化剤または乳化剤の混合物
b.3.)PVAまたはPVPのタイプのポリマーまたはこれらの任意の誘導体、または前記ポリマーの任意の混合物
b.4.)リグノスルホネートまたはリグノスルホネートの混合物
b.4.)任意に湿潤剤
b.6.)場合によっては、pH6〜7に調節するための、または水非混和性物質または水溶性物質の安定性、他の製剤助剤の安定性、マイクロカプセルの安定性、耐光性の任意の成分の安定性−特に1種類以上の活性成分−、耐熱性および/または耐圧性および/または耐微生物汚染性の任意の成分の安定性、または製剤全体の安定性を改善するための追加の製剤助剤
を混合、溶解、および/または分散させることによって水相を調製すること、
II)油相は約45〜70℃の水相に攪拌して組み込まれ、温度は反応性および油相中の触媒の選択に依存し、最後の高剪断応力の時間は、数分間であること、
III)これは、油相の水相中への乳化を引き起こし、同時にマイクロカプセル壁の形成は60〜90℃の範囲の温度で形成され始めること、
IV)次いで、混合されたポリウレア−置換アセチレンカルバミドポリマーのマイクロカプセル壁の形成を引き起こす触媒を添加すること、
V)非常に低い剪断応力−マイクロカプセルを破壊しないように十分低い−で、約1〜4時間、形成された反応溶液を攪拌すること、
VI)任意に、工程V)のために70〜90℃まで温度を上昇させること、
VII)任意に、pHの最終調節(3〜12)のための製剤助剤、粘度調整剤、湿潤剤、凍結防止剤、抗菌剤、耐光性の保護剤、およびマイクロカプセル化された製剤のために好適な他の任意の製剤助剤を添加することであって、これらの全ての化合物またはそれらの幾つかを前述の水相または油相に添加することが可能であり、任意選択的であること
を特徴とする。
【0102】
カプセル化された水非混和性物質または複数の水非混和性物質を含有するカプセル懸濁液のタイプの製剤を製造する方法として本発明の範囲と一体の方法も記載するが、本方法は、このような物質がポリウレア−アセチレンカルバミド共重合体の別個のマイクロカプセル内にマイクロカプセル化されることを特徴とし、
(a)45℃〜70℃、好ましくは40℃〜60℃、最も好ましくは40℃〜55℃の温度で、
(i)カプセル化される1種類または複数種類の水非混和性農業用活性物質、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネートおよびACD、場合によっては、固体であってもよい前述のいずれかの化合物を溶解させるのに好適な溶媒、場合によっては、活性化合物が固体であれば分散剤、および場合によっては界面活性剤も含む水非混和相、
(ii)水、界面活性剤またはその混合物、保護コロイドまたはその混合物、界面活性剤特性と保護コロイド特性の両方を有するポリマーからなる溶液を含む水相
の分散体を提供する工程;および
(b)60℃〜90℃の温度範囲で前記分散体を加熱および維持する工程であって、前記水非混和性物質が、別個のポリウレア−置換アセチレンカルバミド混合ポリマーマイクロカプセル壁膜内にカプセル化される工程;
(c)マイクロカプセルが形成され、カプセル化ポリマー形成物質が実質的に消費された後、任意に、粘度調整剤、粘土、または類似のメソ多孔質物質−好ましくはセピオライトまたはゼオライト−、親水コロイド、抗菌剤、UV保護剤、湿潤剤、追加の界面活性剤を含む、機能的に使用可能な農業用製剤に必要な製剤助剤を含有する水溶液を添加する工程
を含む。
【0103】
化合物a.4)またはb.2)は、(メタ)アクリルグラフト共重合体であってもよい、および/または、界面活性剤:エトキシ化アルコール、エトキシおよび/またはプロポキシブロック共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、および前記界面活性剤の任意の誘導体またはグラフト共重合体の群から選択され、また、エトキシ化アルコール、エトキシおよび/またはプロポキシブロック共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、および前記界面活性剤の任意の誘導体またはグラフト共重合体の群から選択され、好ましくは、分子量約100000〜200000ダルトンのポリビニル脂肪酸エステルまたはポリアルキル(メタ)アクリレートである。
【0104】
水相に添加された界面活性剤は、分子量約10000〜25000ダルトンのポリヒドロキシ脂肪酸のポリエチルグリコールエステルである。
【0105】
界面活性剤中の好ましい脂肪酸の1つはステアリン酸である。
【0106】
リグノスルホネートの自社開発の(proprietary)混合物に関して、溶液1)b)が重量パーセントで15〜25%のリグノスルホネート、5〜15%のポリビニルアルコール、および100%までの水の混合物からなる複合体を含有することを特徴とする、請求項22に記載のマイクロカプセルの製造方法を権利請求するが、前記化合物は、リグノスルホネートとポリビニルアルコールが水に完全に溶解するように選択され、この溶液は、マイクロカプセル化方法に使用する前に60〜90℃まで5〜20分間加熱される。
【0107】
本発明のマイクロカプセルの重要な用途として:
i)請求項31または32の工程(a)および(b)に従ってマイクロカプセルの水性懸濁液を調製すること、
ii)通例の方法で、粉砕することおよび必要な製剤助剤を提供すること、および任意に追加の水溶性活性成分または複数の追加の水溶性活性成分(全ての活性成分が化学的に適合性があり、それらが有益な農業用途を有する場合)、および必要な製剤助剤を更に提供することにより、所望の活性成分または複数の所望の活性成分(それらが水性媒体と化学的に適合性があり、それらが有益な農業用途を有する場合)を有する、水性媒体中の懸濁濃縮物(suspension concentrate)を調製すること、
iii)懸濁液i)およびii)を混合すること(活性成分の混合物が有益な農業用途を有する場合)、
iv)このような製剤助剤がこの工程までに形成された混合物中に既に存在していないかまたは所望の量で存在していない場合、またはそれらが既に前工程で最終製剤中に存在する所望の量、添加されている場合、場合によっては、製剤の安定性と機能性のため混合物に製剤助剤を添加すること、
v)場合によっては、懸濁濃縮物を農地で最終的に施用するとき、ノズルフィルタおよびフィルタのブロッキングを回避することに関して、懸濁濃縮物の適切な機能性に影響を与え得る望ましくない沈殿物が存在しないように、iii)またはiv)の混合物をろ過すること、
を特徴とする懸濁濃縮物のタイプの農業用製剤の製造方法を権利請求する。
【0108】
農業用の好ましいマイクロカプセル製剤(マイクロカプセルが存在する任意のタイプの製剤)は、次の活性成分またはその混合物のマイクロカプセル製剤である(しかし、油相中に溶解でき、分散でき、および油相中で安定である限り、実際上どの農薬もマイクロカプセル化され得る):フルロクロリドン、ピレスロイドおよび/または天然ピレトリンまたはこれらの混合物、λ−シハロトリン、γ−シハロトリン、スーパーシハロトリン、α−シペルメトリン、クロマゾン、フルロクロリドンおよび/またはλ−シハロトリンおよび/またはクロマゾンおよび/またはメタザクロールおよび/またはアラクロールと他の有害生物防除剤または農薬(解毒剤、毒性緩和剤、殺環形動物剤(annelicide)および/またはセミオケミカルを含む)の組み合わせ、トリフルトリン(trifluthrin)および/またはフェノトリン、アラクロールおよび/またはアセタクロール(acetachlor)、ペンディメタリン、トリフルラリン、有機リン酸系物質、クロルピリホス、エンドスルファン、フェノキサプロップ、トリアゾール殺真菌剤、プロピコナゾール、ケトコナゾール、トリアジメノール、エポキシコナゾール、テブコナゾール(任意に油相は、置換アルキルラクタムまたはN,N−ジメチルアルキルアミドのタイプの通例の農業用溶媒を含有する)、フルロキシピル。
【0109】
有毒なイソシアネートの除去により、またはそれらの量および毒性を少なくとも減少させることにより、医療に使用されるマイクロカプセル化された医薬品に本発明のマイクロカプセルを使用してもよい。
【0110】
本発明の複雑さを理解する最良の方法は、本発明を再現するために当業者が必要とするものを完全に示す後述の実施例による。
【実施例】
【0111】
実施例1
濃度25%(wt/wt)のフルロクロリドンのマイクロカプセル化された製剤の調製方法を開示する。
【0112】
【表3】

【0113】
リグノGAT(LignoGAT)(商標)は、水:セルボル(Celvol)(商標)205:クラフトスパース(Kraftsperse)(商標)25Mで構成された、本明細書に開示される自社開発の溶液であり、その中の比は、場合に応じて(それぞれ)変わり:60〜70%:5〜15%:5〜30%である。この特定の場合、比は65:5:30である。
【0114】
両方の相が別々の反応器中で十分混合されると[融点約71℃のcis−フルロクロリドンの固体結晶を組み込むために幾らかの加熱が必要であることに留意することは重要である]、油相は約50℃でゆっくりと水相(35℃、クエン酸でpH6.5に調節されている)に組み込まれ、15分間、(典型的な円筒状の2,000Lの反応器中で)約2500rpmの高剪断攪拌機を用いて有機相を連続水相中で小さい液滴になるように乳化させる。次いで、高剪断攪拌機を停止させ、アンカー攪拌機だけを50rpmに設定する。有機相中に存在する壁形成物質(イソシアネートおよびアセチレンカルバミドモノマー)は、油/水界面で水と反応し、活性成分フルロクロリドンを含有する油滴の周囲にカプセル壁前駆体(pre−wall capsule)を形成する。反応開始時に温度を50℃に上昇させる。次いで、0.15%(w/w)のp−トルエンスルホン酸(イソプロパノール中に溶解された)を添加し、水相側の重合および壁形成反応を停止させる。更に、混合物は、5時間、約48℃である。このようにして、イソシアネートおよび/または遊離アセチレンカルバミドモノマーの残留物が回避される。次いで、混合物を冷却する。pHを確認し、50%NaOH水溶液でpH=9.5〜10に調節する。最後に、安定化のための以下の溶液が添加される:
【0115】
【表4】

【0116】
完成した製剤を100rpmのアンカー攪拌機で均質化させた後、100μmのナイロン篩でろ過する。
【0117】
実施例2
実施例1のプロセスに従って得られるマイクロカプセルおよび市販のフルロクロリドン(Flurochloridone)CS250g/l(レイサー(Racer)(商標))との比較
実施例1のマイクロカプセルを図1に示す。
【0118】
実施例1により得られるマイクロカプセルは、次のパラメータを有する:
【0119】
【表5】

【0120】
【表6】

【0121】
フルロクロリドンは異なる融点を有する2つの異性体(cisおよびtrans)を有し、本発明は固体物質と液体物質の両方(更には、固体または液体担体中に吸着/吸収/可溶化された気体物質)のカプセル化を容易に可能にすることに留意されたい。
【0122】
レイサー(Racer)(商標)CSのIR分析は、カプセル壁がTDIとPAPIで構成されていることを示すが、本発明では、TDIの代わりに、毒性がずっと少なく、反応性が低いTMXDIを使用する。本発明の特殊なカプセル化条件は、全く異なるカプセル壁組成、保護コロイド(LC−MSによりレイサー(Racer)(商標)ではダクサッド(Daxad)(商標)のタイプと識別される)、主乳化剤(LC−MSおよび化学試料調製によりレイサー(Racer)(商標)ではプルロニック(Pluronic)(商標)L64のタイプと識別される)および他の製剤助剤で、レイサー(Racer)(商標)の物理化学的および化学的(農業用途に関して)特性に完全に匹敵することを可能にする。
【0123】
本方法によるマイクロカプセルは、球状の三次元構造を示すことが分かったが、球は、表面に窪み(DEP)−図1および図2に矢印で示す−(陥入した領域に対応する表面は全カプセル表面のほぼ半分となることがある)を有することがあり、それは他の市販のマイクロカプセル化された農薬や他の目的のマイクロカプセルには見られなかった。TMXDI+PAPI+アセチレンカルバミドモノマーの特殊な反応がこの効果の理由であると考えられる。
【0124】
カプセル化されていない活性成分の測定は次のように行う(この実施例および残りの実施例について):
水中に懸濁された製剤試料のろ過:
−水−ジプロピレングリコール混合物15ml中に懸濁されたCS試料100mg
−グラスファイバーフィルタでろ過
−水−ジプロピレングリコール混合物5ml×2で洗浄
−HPLC−UVまたはGC−FID分析による、ろ液中の活性成分の測定
使用したHPLC条件は通常リクロスフェア(LiChrospher)100CN−5μm、250×4mm;カラム温度調節器:32℃;注入量:10μl;移動相:97%(v/v)n−ヘキサン、3%(v/v)イソプロパノール;流量:1ml/分;検出器:240nm;分析時間:35.0分。
【0125】
実施例3
壁形成物質の代わりに予備重合されたエーテル化尿素ホルムアルデヒド樹脂、ビートル(Beetle)(商標)80を使用した実施例1に記載の製剤を製造したが、予備重合は特許文献15に提案されたプロセスに基づく。従って、壁形成物質からテトラメトキシメチルアセチレンカルバミドとイソシアネートの全量が置換され、製剤からγ−ブチロラクトンが除去された。プロセスを終了した直後、フルロクロリドンの製剤中に存在するマイクロカプセルの詳細をちょうど実施例1(前記の変更を有する)(図3の詳細)のように実施すると、粒度は不規則になり、マイクロカプセルは大きくなり、内容物を水相に直ぐに放出する。平均粒度は29.3μmであり、90パーセンタイル値は71.64μmであり、そのためマイクロカプセルは不適切に大きく、脆過ぎる。
実施例4
実験室で、実施例1と同じ重量%比を使用し、1Lの完成した製剤が得られるように、実施例3のような別の製剤を調製した。容積2Lの冷却および加熱システム(ウォータージャケット(water shirt))を有する14の反応器を直列に設置した。
【0126】
最終的な乳化、対応するpH調整、および最終的な安定溶液添加後、最終混合物を攪拌し、室温に到達させて、直ぐに粒度を測定したが、Perc.90は統計値「90パーセンタイル値」(マイクロカプセルの10%が所与の値より大きい平均直径を有する)を意味する。マイクロカプセルを遠心分離した後、有効な分析方法を用いてGC−FIDで上澄みを分析することにより、カプセル化されていない活性成分を測定する。λ−シハロトリンCS(同じタイプの製剤(カプセル懸濁液))のエマルションの安定性についてFAO/WHO規格に従ってエマルションの安定性を試験したが、この文献は参照により本明細書に援用される。「非常に優れたエマルション安定性」の評点を有する値だけが、油/クリーム分離および水中で乳化された製剤中での結晶の形成の要件を満足する。結晶化は、希釈されていない製剤の5つの試料を10倍および40倍の対物レンズの顕微鏡で観察して、主観的に(異なる試料の評価では一貫している)ランク付けされた。図4に、35℃で240時間貯蔵した後の実施例4−1の結晶を示す。
【0127】
結果は次の通りである:
【0128】
【表7】

【0129】
許容される製剤はACDを配合したものだけであり、これらのうち、相当量のモノマー(またはダイマーまたはトリマー)を含有する市販の化合物(実施例4−11、4−12、4−13および1)で最良の結果が得られることが分かる。しかし、モノマーの含有量が少ないアセチレンカルバミド架橋剤では、粒度が大きくなる。ベンゾグアナミン樹脂をベースにする実施例4−8は、マイクロカプセルの粒度が非常に適切であり、非常に優れた乳化特性を示すという意味で有利であるが、顕微鏡でカプセルを観察する操作だけでそのかなりの部分が破壊されることが分かる。メラミンと尿素化合物は全て性能が悪く、カプセル化されていないフルロクロリドンの量が多く、その後の結晶の形成の量が多い。実施例4−8では、図5に示すような可逆的凝集を観察することができた。
【0130】
実施例4
次の実施例では、異なる主乳化剤と保護コロイドの系を使用した。前記実施例のように、実施例1をモデルとして参照し、ここで幾つかの変更を実施する。リグノスルホネートを含有するポリマー反応生成物をベースにする溶液リグノGAT(LignoGAT)(商標)の代わりに、アグリマー(Agrimer)(商標)AL10およびPVP15(重量%の比1:1)を(同量)使用した。このプロセスで、ソルベッソ(Solvesso)100に50%(温かい)中に溶解したキザロホップエチル(Quizalofop−pethyl)をマイクロカプセル化した。
【0131】
粒度を減少させるため(リグノGAT(LignoGAT)(商標)をこの新しい混合物に変更するため、大きくなることが期待される)、高剪断応力攪拌機の速度を5分間、3500rpmに増加させた。得られるマイクロカプセルは平均粒度が5.1μm、90パーセンタイル値が8.3μmであった。乳化特性(100mLのメスシリンダーで、水中5%の製剤)は、2時間後に相分離がなく、結晶形成がないことを示す。湿潤篩分残留物−150μm−は0.03%であり、分散性と懸濁性はそれぞれ81%と89%であった。
【0132】
実施例5
この実施例では、実施例1に従い、以下を除いて、同じ成分と割合で(1Lの製剤を製造するため)マイクロカプセル化する:
実施例5−1:イソシアネート混合物TMXDIおよびPAPIおよびパウダーリンク(Powderlink)(商標)1174[実施例1とちょうど同じ]
実施例5−1:イソシアネート混合物TDIとPAPI。
両方の試験で、同様に炭化水素をベースにする溶媒(マーコル(Marcol)(商標))中に50%で溶解した−予め50℃に穏やかに加温し、混合した後、混合物を冷却して−フェンバレレートをカプセル化した。最終製剤は、エスフェンバレレート(Esfenvalerate)250g/lカプセル懸濁液(密度=1g/cmと仮定)である。
【0133】
結果を次の表に示す:
【0134】
【表8】

【0135】
TDAとPAPIの反応の結果、形成されたカプセルでは許容される粒度が得られたが、カプセル化されていない物質の量が多過ぎた(32%)ことが分かる−遠心分離および上澄みのHPLC−UVによる分析−。COの激しい発生と温度の急上昇(2Lの反応器は実施例5−2では75℃まで上昇し、実施例5−1では表示された最高温度は58℃であった)を伴って進行する反応が観察された。顕微鏡での観察により、多数の微視的な壁物質片が壁を形成することなく反応した(従ってマイクロカプセルされた物質がない)ことが分かった。これら全てから、より反応性の高いTDIを有するプロセスは制御されなかった(壁物質が形成されるのと同時に十分な乳化を可能にするのに十分な時間がなかった)、即ち、TDIを有するプロセスはTMXDI+PAPI+ACDを有するプロセスより予測しにくく、操作しにくいことが指摘された。
【0136】
実施例6
次の配合(500L)に従ってλ−シハロトリンの製剤を製造した。機能により成分を分割した。最初の表、実施例6.1は、乳化/カプセル化/までに必要な水相と油相の物質を示す。表、実施例6.2に、製剤を安定化させる化合物を記載する。製剤100%を達成するため、
【0137】
【表9】

【0138】
【表10】

【0139】
前述の成分のカプセル化条件は次の通りであった:
転相を回避するため、アンカー攪拌機100rpmおよびコーレス(cowless)攪拌機1500rpmで、乳化を非常にゆっくりと(全容積による)行う。
反応温度:50℃
カプセル化(MDH)中、高剪断応力攪拌機6000rpm、5分間。サイキャット(Cycat)4040の添加。55℃で4時間、マイクロカプセルの硬化。
【0140】
この製剤の特性は、次のとおりである(測定した全てのパラメータはFAO規格および/またはCIPAC方法により標準化した):
λシハロトリン:10.05g/L
懸濁性(CIPAC MT.161):99重量%
pH範囲(CIPAC MT.75.2):6.4+/−0.5
レーザー・マスターサイザー・マイクロ(Laser Mastersizer Micro)2.18による粒度:D[v,0.5]=1.05μm
D[v,0.9]=2.28μm
ハーケ・レオウィン・プロ(Haake Rheowin Pro)2.67による粘度:τ(1,0)でのη(粘度)[単位、Pas]=2.73
τ10(10,0)でのη(粘度)[単位、Pas]=0.08
γ=0での降伏点(τ)[単位、Pas]=7.41
20℃での密度(A.Paar DMA38): 1,0318+/−0.0012g/mL
【0141】
実施例7
本発明のマイクロカプセル化方法は、関与する基本的化学、壁の性質および構造、並びにマイクロカプセル自体の物理化学的特性において、世界中で農薬に関して工業規模で使用されている全ての公開特許と異なる。しかし、別の目的は、本発明を利用できるように、放出速度、および既に市場にある既に登録されている製品に対する不活性成分の化学的等価を達成できることである(販売認可目的のため)。本発明の基礎となる、意外にも、適切なアセチレンカルバミド化合物、界面活性剤および安定系および反応条件を適切に選択すると、本発明により、抑制的に(surpresively)、従来技術とかなり異なる方法で、全体としての市販の製剤の物理化学的特性(即ち、EEC 91/414、FAO/WHO規格などのような規則に関するパラメータ)を達成し得ることが分かった。目標の放出速度(速くてもまたは遅くても)および生物学的効力を有する目的に合った製剤の製造を可能にするのは、反応性の低いグリコールウリルの選択、穏やかな反応条件(従来技術の文献で教示されたものよりずっと低い温度)、触媒または壁形成物質としての他のアミンまたは硫化化合物の回避、および有機酸によって達成される停止反応である。
【0142】
これを実証するために、EEC 91/414に従って、λ−シハロトリンの市販の製剤を得るための本発明のマイクロカプセル化方法を比較した。対照物質は、カレート(Karate)(商標)ゼオン(Zeon)10CSの試料である。
【0143】
実施例6に記載のプロセスに従ってGATλ−シハロトリン10CS(GAT−lCy)のカプセル化を行った(プロセスの広範な説明に関して、これは上記実施例および/または説明に完全に開示された)。上記の値は常に、10個の異なる試料の平均であり、パーセンテージ値に対するアークサイン(平方根(x))でデータを正規化するために適切に変換して、スチューデントのt検定で統計的な差を評価する。
【0144】
図7で、本発明による製剤の粒度は、非常に類似した分布をしていることが分かるが、平均でもまたは90パーセンタイル値でも差は顕著ではなく、製品は両方ともFAO規格を満足する。
【0145】
懸濁性に関して、FAOは、CIPAC標準水D中で30分後に懸濁液中に最小限80%のλ−シハロトリンが見られることを規定する。製品は両方とも最小限を十分に上回っており、GAT−lCyとKZは等しく99.2%の懸濁性を示し、スチューデントのt検定で顕著な差はなかった。
【0146】
CIPAC MT 160に従って、分散の自発性(単位、[%])を決定した。FAOは、30±2℃のCIPAC標準水D中で5分後に懸濁液中に最小限90%のλ−シハロトリンが見られること規定する。GAT−lCyは92%の分散性を示し、KZは94%の分散性を示したが、スチューデントのt検定で顕著な差はなかった。
【0147】
CIPAC MT 148に従って、注入適性(pourability)(単位、[%])を決定した。実験室で定期的に粘度を測定し、注入適性がどのようになるかを予測する(粘度を測定する方が速く、安価で、且つ容易である)が、FAO規格はこの注入適性試験しか指摘しておらず、この理由は、それが、粘度がどのように製品に影響を与え得るか、即ち、取り扱い、または、特に、農薬の包装またはボトルから内容物を取り出すこと、および環境の理由でボトルを洗浄することを困難にし得るかに対する「実際の」影響であるためである。FAOは、「残留物」が最大限1.5%であることを規定する。GAT−lCyの注入適性はKZの注入適性に等しく、「洗浄後の残留物」に関するFAO規格463/CS(2003)を満足する。値(顕著な統計的差はない)は:
GAT−lCyについての残留物および洗浄後の残留物、それぞれ:2.6%と0.3%
KZについての残留物および洗浄後の残留物、それぞれ:2.1%と0.3%、顕著な統計的差はない。
【0148】
CIPAC MT 47.2に従って1分後の持続性気泡(単位、[mL])を測定したが、1分後、試料のどれも持続性発泡が現れなかった。
【0149】
包括して、試料は両方ともFAO規格を満足し、どの値においても統計的な差がない。
【0150】
実施例8
GAT−lCyおよびKZの放出速度
放出速度について、化学物質の試験のためのOECDガイドライン428番を使用した。試験した製剤は、(対で)GAT−lCy10g/LおよびGAT−lCy5g/L(実施例6に従って製造した)であり、同じ特性を有するシンジェンタ(Syngenta)製品(KZ10g/LおよびKZ5g/L)と比較した。各試料について1つの実験的試験を実施した。
【0151】
結果を図8および図9に示す。両方のタイプの試料でGAT−lCyの方が、最初は、速い放出を有する(使用した4本指のアセチレンカルバミドによって生じるマイクロカプセル中の部分的に広い孔のため)ことが分かる。しかし、分析の条件で、KZ(5CSと10CSの両方で)の場合の受容器細胞(receptor cells)中のλシハロトリンの含有量の方が低い。
【0152】
実施例9
250g/Lのメタザクロール(Metazachlor)および33.3g/Lのクロマゾン(Clomazone)を含有するサスポエマルションを製造した。サスポエマルション中、固体の微粉砕されたまたは分散されたまたは乳化された活性成分が連続水相中にあり、不連続相がマイクロカプセルによって構成されている。この実施例に、サスポエマルションのマイクロカプセル化された部分、即ち、クロマゾンのマイクロカプセルの調製方法を記載する。製剤の一部を形成する懸濁濃縮物は、期限切れの特許である特許文献16に従って、より正確には、単斜晶メタザクロール懸濁液を開示する実施例に従って製造された、メタザクロール、工業用(Metazachlor(technical))の粉砕され分散された懸濁濃縮物である。メタザクロール(Metazachlor)はまた、特許文献17に従って、実施例2(a)若しくは(b)、または実施例4(a)若しくは(b)または(c)に従って製造することができる。
【0153】
クロマゾンのカプセル懸濁液の配合は、次の成分を含み、プロセスはλ−シクロトリンのマイクロカプセル化に使用したものと同様である:
【0154】
【表11】

【0155】
メタザクロール(Metazachlor)単独の懸濁濃縮物は次の処方に従って調製される:
【0156】
【表12】

【0157】
次いで、懸濁されたメタザクロール(Metazachlor)を次のようにクロマゾンのカプセル懸濁液と混合する。
【0158】
【表13】

【0159】
この製剤は、図11(粒度)および図12(粘度)に示す特性を有する。マイクロカプセルの写真を図6に示す。
【0160】
実施例10
本発明に開示される方法に従って、難燃性物質(酸化アンチモン)を、本発明に従って相変化物質(PCM)パーフルオロデカンと一緒にマイクロカプセル化した。マイクロカプセルの流体製剤を得るために後で水相を噴霧乾燥した。
【0161】
実施例11
実施例9のクロマゾンカプセル懸濁液と実施例6の水相の配合に従って、次のフルロキシピルのマイクロカプセル化を行った。比較試験として、TDIとPAPIを使用し、従来技術によりマイクロカプセル化を実施したが、その平均粒度は2.73μm、90パーセンタイル値は15.79μmであった。
【0162】
各実施例の測定を図10に示しており、従ってマイクロカプセル自体について行った。
【0163】
次で構成されたときの壁形成物質を試験した。
スペックフレックス(Specflex)NE138:2.25部
TMXDI:1.12部
ACDは次の通りである。
実施例11−1トリメトキシメチルモノメチロールアセチレンカルバミド:0.80部
実施例11−2テトラメトキシメチルアセチレンカルバミド:0.80部
実施例11−3テトラメトキシメチルアセチレンカルバミド:0.90部
実施例11−4テトラブトキシメチルアセチレンカルバミド:0.50部
実施例11−5テトラペントキシブトキシアセチレンカルバミド:1.00部
図12に結果を示すが、アセチレンカルバミド誘導体のタイプと量による差が分かる。
【0164】
実施例12
2つの製剤:実施例6によるもの(実施例12−1)と、壁形成物質TMXDIの代わりにTXDIを使用し、3%のテトラメトキシメチルアセチレンカルバミドの存在を除去したこと以外はそれと同じ製剤(実施例12−2)を製造した。
【0165】
1−(9−アントラセニルメチル)ピペラジンで試料を誘導体化し、HPLC−UVで254nmで検出することにより、残留イソシアネートの含有量を試験した。分析の目的は比較であるため、重量パーセントでの定量化は行わなかった。しかし、UV吸収のAU単位は、残留TDI、TMXDI、およびPAPI(同時に共溶出する限り)の量を比較する明確な基準である(アセトニトリル中の試料溶液50mg/mLから等しく注入された10μLについて)。結果から、実施例12−1のAU値は641mV(検出限界を上回る)であり、一方、実施例12−2のAU値は11mV(検出限界未満)であることが分かった。従って、ACDの使用により、農薬製剤中に残留イソシアネートが存在することを防止した。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】図1は、実施例1のマイクロカプセルを示す。
【図2】図2は、表面に窪みを有するマイクロカプセルを示す。
【図3】図3は、マイクロカプセルの詳細を示す。
【図4】図4は、35℃で240時間貯蔵した後の実施例4−1の結晶を示す。
【図5】図5は、可逆的凝集を示す。
【図6】図6は、マイクロカプセルの写真を示す。
【図7】図7は、本発明による製剤の粒度を示す。
【図8】図8は、GAT−lCyおよびKZの放出速度に関する試験結果を示す。
【図9】図9は、GAT−lCyおよびKZの放出速度に関する試験結果を示す。
【図10】図10は、各実施例の粒度に関する測定を示す。
【図11】図11は、各実施例の粒度に関する測定を示す。
【図12】図12は、マイクロカプセルの粘度を示す。
【図13】図13は、アセチレンカルバミド誘導体を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20℃の水に対する溶解度が750mg/L未満の物質を封入するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセルの壁が、壁形成物質:
(a)1種類以上の脂肪族イソシアネート、および
(b)1種類以上の芳香族イソシアネート、および
(c)式(I)
【化1】

で表される1種類以上の化合物−アセチレンカルバミド誘導体−
(式中、
、R、R、Rは、互いに独立して、メチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、sec−ブチレン、tert−ブチレンであり、
、R、R、Rは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルであり、
、R10は、水素またはヒドロキシメチルであり、より好ましくは、両方の置換基が水素であり、
化合物(I)は、存在し得る全ての異性体の、および立体化学の配置を含む)
の界面重合反応によって形成される、
前記マイクロカプセル。
【請求項2】
攪拌下に水で従来の通例の希釈をして、従来のレーザー回折粒度分析器で測定した場合に、0.3〜25μm、好ましくは0.8〜15μmの平均直径を有し、マイクロカプセルの90%が100μm未満、好ましくは30μmの直径を有することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項3】
前記壁形成物質の比は、脂肪族イソシアネート:芳香族イソシアネートが1:3〜1:1であり、芳香族イソシアネート:化合物(I)が9:1〜4:1であり、脂肪族イソシアネート:化合物(I)が2:1〜5:1であり、イソシアネートの最も好ましい比および質は、モノマーの脂肪族イソシアネート:プレポリマーの芳香族イソシアネート:モノマーの化合物(I)が3:6:1であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
前記化合物(I)において、同じ特定の化合物(I)中で水素の意味を有するR、R、R、Rが1つまたは2つに限定されていることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
前記芳香族イソシアネートが、モノマーの芳香族イソシアネートまたはプレポリマーの芳香族イソシアネートであり、最も好ましくはプレポリマーの芳香族イソシアネートである、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
前記脂肪族イソシアネートが、モノマーの脂肪族イソシアネートまたはプレポリマーの脂肪族イソシアネートであり、最も好ましくはモノマーの脂肪族イソシアネートである、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項7】
請求項1(a)の前記芳香族イソシアネートが、式(II):
【化2】

(式中、n=0からn=6、最も好ましくはn=1である)
で表される、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項8】
前記芳香族イソシアネートが、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートであり、任意に、その位置異性体または立体化学異性体の混合物を有する、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項9】
前記脂肪族イソシアネートが、m−テトラメチルキシレンジイソシアネートである、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項10】
請求項1の(a)の前記化合物が、異なる脂肪族イソシアネートの混合物で作製される、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項11】
請求項1の(b)の前記化合物が、異なる芳香族イソシアネートの混合物で作製される、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項12】
前記マイクロカプセル壁を構成する前記ポリマーが、請求項1の(a)、請求項1の(b)、および請求項1(c)に記載の化合物の反応によって形成され、1の(c)の化合物が、一般式(I)中に異なる置換基を有する、異なる化合物(I)の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項13】
請求項1の(c)の前記化合物が、1分子当たり10モルまでのオリゴマーの形態の化合物(I)の混合物であり、モノマー、ダイマー、トリマー、およびテトラマーの量の合計が、化合物(I)の全含有量の少なくとも75重量%であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項14】
請求項1の(c)に記載の前記化合物が、所定の意味の(I)の様々な置換基を有する、式(I)によって表される単一の化合物であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項15】
請求項1の(c)に記載の前記化合物が、化合物(I)の混合物であり、このような混合物が、主に、モノマーの形態および/または1分子当たり2〜10個のモノマーからなるオリゴマー化された形態の化合物(I)および/またはポリマー化された化合物(I)で構成され、重量パーセントにおけるモノマー含有量に関して1分子当たり100個を超えるモノマーを有する重合したモノマーが10重量%未満、好ましくは0.5重量%未満であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項16】
1種類以上の化合物(I)が、R、R、R、R、R、R、R、Rの少なくとも1つの置換基が他のものと異なる1種類以上のモノマーである、請求項1〜15のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項17】
前記1種類以上の化合物(I)は、ヒドロキシアルキル基の含有量が50%までであることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項18】
記載された化合物(I)の1種類だけが、モノマーおよび/またはダイマーおよび/またはトリマーの形態で使用され、前記式(I)に含まれる、異なる化合物の混合物として使用されないことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項19】
前記1種類以上の化合物(I)が40%までのヒドロキシメチル含有量を有し、特に、1種類以上の化合物(I)の、水素を意味するR、R、R、R基の数の合計が、全ての種類のR、R、R、R基の合計の40%以下であることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項20】
前記1種類以上の化合物(I)が、1種類以上のモノマーの化合物(I)で構成され、式中、前記置換基R、R、R、Rはその中で等しく、R、R、R、Rはその中で等しく、RとR10は水素原子であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項21】
前記化合物(I)が、N,N’,N’’,N’’’−テトラブトキシメチルアセチレンカルバミドであることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項22】
前記化合物(I)が、N,N’,N’’,N’’’−テトラメトキシメチルアセチレンカルバミドであることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項23】
前記化合物(I)が、N,N’,N’’,N’’’−テトラメトキシエチルアセチレンカルバミドであることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項24】
前記化合物(I)が、N,N’,N’’,N’’’−テトラエトキシエチルアセチレンカルバミドであることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項25】
前記化合物(I)が、N,N’,N’’,N’’’−テトラプロポキシメチルアセチレンカルバミドであることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項26】
前記1種類以上の化合物(I)が20℃で固体であることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項27】
固体のポリマーを壁形成物質へ組み込むために、前記化合物(I)または化合物(I)の混合物が、適当な有機溶剤に溶解および/または分散していることを特徴とする、請求項17に記載のマイクロカプセル。
【請求項28】
前記1種類以上の化合物(I)が、重合反応の前に、ガンマ-ブチロラクトンに溶解していることを特徴とする、請求項18に記載のマイクロカプセル。
【請求項29】
前記化合物(I)が、N,N’,N’’,N’’’−テトラメトキシメチルアセチレンカルバミドまたはN,N’,N’’,N’’’−テトラブトキシメチルアセチレンカルバミドであることを特徴とする、請求項19に記載のマイクロカプセル。
【請求項30】
マイクロカプセル化の方法であって、
水非混和相がマイクロカプセル内に封入され、
この方法が界面重合反応によって実施されることを特徴とし、マイクロカプセルの壁が:
(a)1種類以上の芳香族イソシアネート、
(b)1種類以上の脂肪族イソシアネート、
(c)式(I)の1種類以上の化合物
の反応によって形成され;
前記方法の工程が:
I)2相を調製する工程:
a)1種類以上の活性物質を混合、溶解および/または分散させること、および次の成分:
a.1)請求項1〜29のいずれか一項に記載のポリマー形成物質(a)、(b)および(c)
a.2)ポリウレア−置換アセチレンカルバミドポリマーの形成に好適な油溶性または油分散性触媒
a.3)場合によっては溶媒または分散剤
a.4)場合によっては油溶性界面活性剤
a.5)農業用途の場合は活性な農薬および関連物質であり、他の分野ではそれに対応して相変化物質、インキ、熱硬化性物質である活性成分または活性成分の混合物、
a.6)場合によっては、前記油相中に溶解または分散される追加の活性成分、水非混和性物質または水溶性物質の安定性のための、他の製剤助剤の安定性のための、前記マイクロカプセルの安定性のための、耐光性の任意の成分の安定性−有機化合物で−、耐熱性および/または耐圧性および/または耐微生物汚染性の任意の成分の安定性、または製剤全体の安定性のための製剤助剤、
を混合、溶解および/または分散させることによって油相を調製する工程、
b)
b.1.)水
b.2.)1種類の乳化剤または乳化剤の混合物
b.3.)PVAまたはPVPのタイプのポリマーまたはこれらの任意の誘導体、または前記ポリマーの任意の混合物
b.4.)リグノスルホネートまたはリグノスルホネートの混合物
b.5.)任意に湿潤剤
b.6.)場合によっては、pH6〜7に調節するための、または前記水非混和性物質または水溶性物質の安定性、他の製剤助剤の安定性、前記マイクロカプセルの安定性、耐光性の任意の成分の安定性−特に1種類以上の活性成分−、耐熱性および/または耐圧性および/または耐微生物汚染性の任意の成分の安定性、または製剤全体の安定性を改善するための追加の製剤助剤、
を混合、溶解および/または分散させることによって水相を調製する工程
II)前記油相を約45〜70℃の水相に攪拌して組み込む工程であって、前記温度は反応性および油相中の触媒の選択に依存し、最後の高剪断応力の時間は、数分間である工程、
III)これが、前記油相の前記水相中への乳化を引き起こし、同時に前記マイクロカプセル壁の形成が60〜90℃の範囲の温度で形成され始める工程、
IV)次いで、混合されたポリウレア−置換アセチレンカルバミドポリマーのマイクロカプセル壁の形成を引き起こす触媒が添加される工程、
V)非常に低い剪断応力−前記マイクロカプセルを破壊しないように十分低い−で、約1〜4時間、前記形成された反応溶液を攪拌する工程
VI)任意に、工程V)のために前記温度を70〜90℃まで上昇させる工程
VII)任意に、pHの最終調節(3〜12)のための製剤助剤、粘度調整剤、湿潤剤、凍結防止剤、抗菌剤、耐光性の保護剤、およびマイクロカプセル化された製剤のために好適な他の任意の製剤助剤を添加する工程であって、これらの全ての化合物またはそれらの幾つかを前述の水相または油相に添加することが可能であり、任意選択的である工程、
であることを特徴とする、方法。
【請求項31】
カプセル化される水非混和性物質または複数の水混和性物質を含有するカプセル懸濁液のタイプの農薬製剤の調製のための、請求項1〜31のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの使用であって、この製剤が、次の工程:
(a)45℃〜70℃、好ましくは40℃〜60℃、最も好ましくは40℃〜55℃の温度で、
(i)カプセル化される前記1種類または複数種類の水非混和性農業用活性物質、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、および化合物(I)、場合によっては、固体であってもよい前記の任意の化合物を溶解するのに好適な溶媒、場合によっては、前記活性化合物が固体である場合は分散剤、場合によってはまた界面活性剤を含む水非混和相、
(ii)水、界面活性剤またはその混合物、保護コロイドまたはその混合物、界面活性剤特性と保護コロイド特性の両方を有するポリマーからなる溶液を含む水相;
の分散体を提供する工程、および
(b)20℃〜90℃、好ましくは40℃〜70℃、最も好ましくは45℃〜60℃の温度範囲で前記分散体を加熱し、維持する工程であって、前記水非混和性物質が別個のポリウレア−置換アセチレンカルバミド混合ポリマーマイクロカプセル壁膜内にカプセル化される工程、
(c)前記マイクロカプセルが形成され、前記壁形成物質が実質的に消費された後、任意に、粘度調整剤、粘土、または類似のメソ多孔質物質(好ましくはセピオライトまたはゼオライト)、親水コロイド、抗菌剤、UV保護剤、湿潤剤、追加の界面活性剤を含む、機能的に使用可能な農業用製剤に必要な製剤助剤を含有する水溶液を添加する工程、
によって製造される、前記の使用。
【請求項32】
前記化合物a.4)またはb.2)が、(メタ)アクリルグラフト共重合体であることを特徴とする、請求項30に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項33】
前記1種類以上の化合物a.4)またはb.2)が、界面活性剤:エトキシ化アルコール、エトキシおよび/またはプロポキシブロック共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、および前記界面活性剤の任意の誘導体またはグラフト共重合体の群から選択されることを特徴とする、請求項30に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項34】
前記水相に添加される前記1種類以上の界面活性剤が、約10000〜25000ダルトンの分子量を有する、ポリヒドロキシ脂肪酸のポリエチルグリコールエステルであることを特徴とする、請求項30に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項35】
前記1種類以上の化合物a.4)および/またはb.2)が、約100000〜200000ダルトンの分子量を有する、ポリビニル脂肪酸エステルまたはポリアルキル(メタ)アクリレートであることを特徴とする、請求項30に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項36】
請求項34および/または35に開示される界面活性剤の脂肪酸が、ステアリン酸であることを特徴とする、請求項30に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項37】
前記溶液I)b)が、重量パーセントで15〜25%のリグノスルホネート、5〜15%のポリビニルアルコール、および100%までの水(単位、重量%)の混合物からなる複合体を含有し、前記化合物は、前記リグノスルホネートおよびポリビニルアルコールが水に完全に溶解するように選択され、この溶液が、請求項30に記載の方法に使用される前に5〜20分間、60〜90℃に加熱されることを特徴とする、請求項30に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項38】
請求項30に記載のZCのタイプの農薬製剤(懸濁濃縮物+カプセル懸濁液)の調製のための、請求項1〜29のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの使用であって:
i)マイクロカプセルの水性懸濁液が請求項30の工程(a)および(b)に従って調製されること、
ii)通例の方法で、必要な製剤助剤を粉砕および提供すること、および、任意に、追加の水溶性活性成分または複数の追加の水溶性活性成分(全ての活性成分が化学的に適合性があり、有益な農業用途を有することを条件とする)、および必要な製剤助剤を更に提供することによって、所望の活性成分または複数の所望の活性成分(それらが水性媒体中で化学的に適合性があり、有益な農業用途を有することを条件とする)を有する、水性媒体中の懸濁濃縮物が調製されること、
iii)前記活性成分の混合物が有益な農業用途を有することを条件とし、前記懸濁液i)およびii)を混合すること
iv)場合によっては、このような製剤助剤が、この工程までに形成された混合物中に既に存在していないかまたは所望の量で存在していない場合、または、任意にこのような製剤助剤が、最終製剤中に存在する所望の量で前工程で既に添加された場合、前記製剤の安定性および機能性のため、前記混合物に製剤助剤を添加すること
v)農地で前記懸濁濃縮物を最終的に施用するとき、ノズルフィルタおよびフィルタのブロッキングを回避することに関して、前記懸濁濃縮物の適切な機能性に影響を与え得る望ましくない沈殿物が存在しないように、場合によってはiii)またはiv)の混合物をろ過すること、
を特徴とする、前記の使用。
【請求項39】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がフルロクロリドンであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項40】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜40のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質が1種類以上のピレスロイドおよび/または天然のピレトリンまたはこれらの混合物であり、任意に酸化防止剤、好ましくはブチルヒドロキシトルエン(BHTとして商業的に知られている)および/またはUV保護剤を添加することを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項41】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するポリマー壁を有するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がλ−シハロトリンであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項42】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がγ−シハロトリンであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項43】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がスーパーシハロトリンであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項44】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がα−シペルメトリンであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項45】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がクロマゾンであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項46】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
請求項30に従ってマイクロカプセル化された物質および/または水相中に懸濁された物質が、フルロクロリドンおよび/またはλ−シハロトリンおよび/またはクロマゾンおよび/またはメタザクロールおよび/またはアラクロールと、解毒剤、毒性緩和剤、殺環形動物剤および/またはセミオケミカルを含む他の有害生物防除剤または農薬との組み合わせを含有することを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項47】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がトリフルトリンおよび/またはフェノトリンであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項48】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がアラクロールおよび/またはアセタクロールであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項49】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がペンディメタリンであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項50】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がトリフルラリンであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項51】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質が有機リン酸系物質であることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項52】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がクロルピリホスであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項53】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がエンドスルファンであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項54】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がフェノキサプロップであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項55】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がトリアゾール殺真菌剤であることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項56】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がテブコナゾールおよび/またはプロピコナゾールおよび/またはケトコナゾールおよび/またはトリアジメノールおよび/またはエポキシコナゾールであることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項57】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質がテブコナゾールであり、前記油相が、置換されたN−アルキルラクタムまたはN,N−ジメチルアルキルアミドのタイプの通例の農業用溶媒を含有することを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項58】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、および農薬に存在するマイクロカプセルの使用であって、
前記マイクロカプセル化された物質がフルロキシピルであることを特徴とする、前記の使用。
【請求項59】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造されたマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質が相転移物質であることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項60】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造されたマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセル化された物質が化学反応に使用される触媒であることを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項61】
請求項1に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造されたマイクロカプセルの農薬製剤中での使用であって、
前記マイクロカプセル化された物質が農薬カプセル懸濁液(CS)製剤に使用されることを特徴とする、マイクロカプセルの使用。
【請求項62】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造された、農薬製剤中に存在するマイクロカプセルであって、マイクロカプセル化される物質が 90%が5μm以下の粒径を有するマイクロカプセルの形態で、マイクロカプセルの製造工程の間に封入され、初期の油相において、油相が、約3〜7、最も好ましくは5〜6の親水性親油性バランスを有するブロック共重合体を前記壁形成物質の5〜25%、好ましくは10%(重量%)の濃度で含有することを特徴とする、マイクロカプセル。
【請求項63】
前記活性成分がピレスロイド、より好ましくはラムダ-シハロトリンである請求項61記載のマイクロカプセルの製剤化のための、請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造されたマイクロカプセルの使用。
【請求項64】
前記のブロック共重合体がポリグリコール、好ましくはポリエチレンおよび/またはポリプロピレングリコールとポリ脂肪酸ヒドロキシル化、好ましくは12-ヒドロキシステアリン酸との共重合体であり、好ましくは共重合体がABA構造である請求項60記載のマイクロカプセルの製剤化のための、請求項1〜29のいずれか一項に記載の、または請求項30〜38のいずれか一項に従って製造されたマイクロカプセルの使用。
【請求項65】
前記油相が、酸化防止剤または酸化防止剤、好ましくはブチルヒドロキシアニソールおよび/またはブチルヒドロキシトルエンの混合物を含有することを特徴とする、請求項1〜64のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項66】
前記配合されたマイクロカプセルが農業用途に好適な任意の形態、好ましくはエマルジョン、乾燥粉末、水和剤、油中懸濁液であることを特徴とする、請求項1〜65のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの農薬製剤中での使用。
【請求項67】
触媒、より好ましくはパラジウムまたは白金または四酸化オスミウム触媒をマイクロカプセル化するための請求項1〜66のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの使用。
【請求項68】
相変化物質、好ましくは0〜50℃の融点を有するワックスをマイクロカプセル化するための請求項1〜67のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの使用。
【請求項68】
布帛およびコーティングに組み込むための、請求項1に記載のマイクロカプセルの使用。
【請求項69】
熱硬化性物質をマイクロカプセル化するための請求項1〜68のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの使用。
【請求項70】
前記除草剤クロマゾンをマイクロカプセル化してカプセル懸濁液を形成し、このカプセル懸濁液をメタザクロールの懸濁濃縮物と一緒に配合し、ZCタイプの製剤を得ることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセルの使用。
【請求項71】
前記の使用されるメタザクロールは融点が78℃であり、純度が98%である、請求項1〜71のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの使用。
【請求項72】
前記マイクロカプセルが医薬化合物または医療用化合物をマイクロカプセル化するために使用されることを特徴とする、請求項1〜72のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの使用。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−531169(P2009−531169A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501956(P2009−501956)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002810
【国際公開番号】WO2007/112934
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508291722)ゲーアーテー・マイクロエンカプセレイション・アクチエンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】