説明

アセチレン化合物

本発明は、あるクラスのアセチレン化合物、該アセチレン化合物を製造する方法、並びに該アセチレン化合物の重合及び治療的使用に関する。本発明は、特に、2個のアセチレン部分を含有する化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あるクラスのアセチレン化合物、該アセチレン化合物を製造する方法、並びに該アセチレン化合物の重合及び治療的使用に関する。本発明は、特に、2個のアセチレン部分を含有する化合物に関する。
【0002】
発明の背景
2個のアセチレン部分を含有する化合物(すなわちジイン化合物)は、数多くの興味ある性質を示すと知られている。たとえば、3−エン−1,5−ジイン構造を含むところのある範囲の化合物(いわゆるエンジイン化合物)は、効力のある抗生性質及び抗癌性質を有すると示されてきた。様々なジインアルコールもまた、細胞毒性の性質を有すると報告されてきた。
【0003】
生物学的活性を呈することに加えて、ジイン化合物は、ポリマー物質を製造する際にモノマーとして用いられてきた。ジイン化合物を用いて製造され得るユニークなクラスのポリマー物質は、ポリジアセチレン(PDA)として知られている。PDAは、典型的には、共役ジイン化合物から製造される。共役ジイン化合物の重合(下記のスキーム1参照)は、たとえばバルク単結晶、ベシクル並びに単層及び多層フィルムの形態に構造化されたところの、高度に共役されたエン−インポリマー主鎖をもたらし得る。
【0004】
【化1】

スキーム1: 共役ジイン化合物の重合の単純化図式表現(ここで、RA及びRBは有機置換基を表し、そしてmはポリマーの繰返し単位の数である)
【0005】
おそらく、PDAの最も注目に値する性質は、PDAのペンダント側基への化学的又は生物学的実体の結合(アフィノクロミズム/バイオクロミズム)、熱への暴露(サーモクロミズム)、応力の適用(メカノクロミズム)及び異なる化学環境への暴露(ケモクロミズム)のような様々な刺激に付されると劇的な発色性の転移(典型的には、青色、紫色及び赤色の間で)を受けるべきそれらの能力である。PDAはまた、それらの発色性の転移が最も広く研究されてきたけれども、強い構造異方性、高い非線形光感受性及び速い光応答のようなユニークな性質を示す。
【0006】
PDAの発色性の転移の背後のメカニズムは、未だ完全には理解されていない。該転移は、エン−イン−エンポリマー構造からブタトリエン型構造(すなわち、3個の連続した二重結合を有する構造)への転位を伴い得る、と提案されてきた。しかしながら、或る結晶学的研究及び量子化学的計算に照らして、かなりの疑いがこの理論に抱かれてきた。
【0007】
現在は、該転移についての最も広く受け入れられている説明は、ペンダント側基とポリマー主鎖のコンホメーション間のある形態の相互関係を伴う、というように思える。特に、ポリマー主鎖の吸収性質は、その平面性を変える因子(たとえば、ポリマー主鎖のC−C結合の周りの回転)により強く影響されると信じられる。
【0008】
ポリマー主鎖のC−C結合の周りの回転はペンダント側基のコンホメーションの変化を必要とし、かくしてそれらの間に感受性相互関係が存在する。これらの側基は、未重合形態のモノマーの分子間配置を支配する好ましい充填配置を有する。かかる充填配置は、一般的に、ファンデルワールス、水素結合、静電的及び/又はπ積重ね相互作用により指定される。重合中、伝搬ポリマー主鎖は、ペンダント側基の非共有結合型相互作用により課せられた立体束縛に因り、歪んだ立体配置をとると信じられる。
【0009】
本質的に、ペンダント側基の充填エネルギーは、ポリマー主鎖がより弛緩した形態をとるのを妨げる障壁を生じるのに十分に高いと信じられる。生じた歪んだポリマーコンホメーションを上記に挙げられた刺激の一つ又はそれ以上に付すことはペンダント側基の再組織化に通じ得、そしてポリマー主鎖をこの主鎖のC−C結合の周りの回転によってより弛緩したコンホメーションをとるようにさせ得、かくしてポリマーの吸収特性を変化させ得る。
【0010】
多くの他の不飽和モノマーの重合とは違って、PDAは、固体状態のモノマーのトポ化学重合によって製造される。換言すれば、この重合は、アセチレン部分が適切な空間配置を呈するように、ジインモノマーの秩序化充填を要求する。選択されたジインモノマーは、重合が進行するのを可能にするのに十分に秩序化された充填配置を呈する、ということが知られている。かかるモノマーは、典型的には、所要充填を達成するために、モノマーの整列を容易にする末端基(しばしば、モノマーの「頭」及び「尾」と称される)を有する。たとえば、下記のスキーム2に示されているように、5,7−ドデカジイン酸のような化合物は、自己集合して一次元シート型構造になって、PDAに重合されるべきアセチレン部分の所要整列をもたらし得る。この場合において、該化合物のカルボキシル頭及びアルキル尾は、適当に秩序化された充填配置へのその整列を容易にすると信じられる。
【0011】
【化2】

【0012】
注目すべきことに、ジインモノマーの適当によく秩序化された充填配置を形成すると、重合により、ユニークな次元を備えたPDAが形成されるように、充填モノマーの或る様相が永続的に編まれ得る。かくして、大きい単結晶に形成されたモノマーの重合は、高度に線状の主鎖を備えた高分子量PDAをもたらし得る。ユニークなベシクル状PDA構造体及び高度に組織化された超薄のPDAフィルム(単層)も作製され得る。PDAは、かかるユニークな構造特性及びそれらの発色性の性質に鑑みて、少数の例を挙げるとミクロデバイス及びナノデバイス、バイオセンサー、歪みゲージ並びに比色法検出表面のような用途における使用のための大きい潜在性を示す。
【0013】
それ故、この一般クラスの化合物に更なる多角性を加え得る新規なジイン化合物を提供することは望ましいであろう、
【0014】
発明の要約
本発明は、一般式(I)
【化3】

〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
のジイン化合物であって、但し該化合物は
【化4】

でないことを条件とするジイン化合物を提供する。
【0015】
本発明はまた、一般式(I)
【化5】

のジイン化合物を製造する方法であって、一般式(II)の化合物を一般式(III)の化合物
【化6】

とカップリングさせる
〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
Zは、ハロゲンであり、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
ことを含む方法を提供する。
【0016】
本発明は、一般式(I)
【化7】

のジイン化合物を製造する更なる方法であって、一般式(IV)
【化8】

の化合物のジアセタール脱保護
〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
を含む方法を提供する。
【0017】
一般式(IV)の化合物はそれらだけで新規であると信じられ、それ故本発明の更なる側面を表す。
【0018】
一般式(I)の化合物を製造する他の方法は、下記に記載される。
【0019】
本発明のいくつかの具体的態様において、一般式(I)、(II)及び(IV)の−(R)n−Y−は、好ましくは、−(CH2t−(ここで、tは0から15の範囲の整数好ましくは1から15の範囲の整数である)である。
【0020】
本発明のいくつかの具体的態様において、好ましくは−(CH2t−であるところの一般式(I)、(II)及び(IV)の−(R)n−Y−に加えて又はそれとは独立して、一般式(I)、(III)及び(IV)の−(W)q−におけるqは、好ましくは、1である。qが1である場合、本発明のいくつかの具体的態様において、Wは、好ましくは、−(CH2p−(ここで、pは0から15の範囲の好ましくは1から15の範囲の整数である)である。
【0021】
本発明のいくつかの具体的態様において、一般式(I)は、それ故、一般式(IA)
【化9】

〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
1は、H及び有機置換基から選択され、そして
t及びpは、各々独立して0から15の範囲の整数である〕
と表され得る。
【0022】
本発明のいくつかの具体的態様において、t及びpは、各々独立して1、2又は3から15の範囲の整数である。
【0023】
当業者は、一般式(IA)の−(CH2t−及び−(CH2p−の特徴はまた、適切な場合、一般式(II)、(III)及び(IV)に移され得ることを理解するであろう。
【0024】
理論により限定されたくないが、一般式(I)の構造においてカルボニル部分に関してα(すなわち−2−)位にヒドロキシル置換基を定着させることは、ジイン化合物に更なる有用性を付与し得る、ということが信じられる。特に、α−OH置換基は、かかる化合物にとって新しい及び/又は改善された用途に通じる水素結合相互作用を生じさせ得る、ということが信じられる。たとえば、α−OH置換基によりもたらされた水素結合機能及び増加親水性は、生物学的系との新しい及び/又は高められた相互作用をもたらすと予期される。
【0025】
少なくとも、α−OH置換基の水素結合機能はまた、ジイン化合物が自己集合しそして引き続いて重合され得る態様に影響を与えると予期される。たとえばそして下記のスキーム3に関して、2−ヒドロキシ−5,7−ドデカジイン酸のような化合物は、自己集合して、一連の積重ね一次元シート構造「A」〜「E」を含むユニークな二次元充填配列になると予期される。スキーム3におけるシート構造「B」〜「E」の詳細は、α−OH置換基によりもたらされた予期された水素結合を明らかに示すべき明瞭さのために省かれている。
【化10】

【0026】
α−OH置換基によりもたらされた水素結合の影響は、異なるジイン化合物と共に変動すると予期される。かくして、α−OH置換基は、α−OH置換基が存在しないジイン化合物(スキーム2参照)に関して、上記のスキーム3に示されたもののようなユニークな多次元充填配置の形成を容易にし得る。α−OH置換基はまた、かかる置換基がない場合に自己集合構造を容易に形成することができないジイン化合物において自己集合を促進し得、あるいはかかかる置換基がない場合に不安定である自己集合構造の健全性を高めさえし得る。
【0027】
更に、α−OH置換基は、縮重合反応に参加し得る官能基を一般式(I)のジイン化合物に付与する。たとえば、一般式(I)におけるXがOHである場合、ジイン化合物は、自己縮重合及び/又は1種若しくはそれ以上のコモノマーとの縮重合を受けて、ペンダントジイン基を有するポリエステルポリマー主鎖をもたらし得る。ペンダントジイン基は生じるポリマーにユニークな生物学的活性を付与し得、あるいは更なる反応部位として機能し得る。
【0028】
本発明の他の諸側面は、下記に一層詳細に記載される。
【0029】
発明の詳細な説明
置換基Rは、一般的に、任意の二価有機置換基から選択され得る。好ましくは、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、アシルチオ、カルボシクリルチオ、ヘテロシクリルチオ、ヘテロアリールチオ、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルキルアリール、アルキルアシル、アルキルカルボシクリル、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリール、アルキルオキシアルキル、アルケニルオキシアルキル、アルキニルオキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルキルアシルオキシ、アルキルカルボシクリルオキシ、アルキルヘテロシクリルオキシ、アルキルヘテロアリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルケニルチオアルキル、アルキニルチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルアシルチオ、アルキルカルボシクリルチオ、アルキルヘテロシクリルチオ、アルキルヘテロアリールチオ、アルキルアルケニルアルキル、アルキルアルキニルアルキル、アルキルアリールアルキル、アルキルアシルアルキル、アリールアルキルアリール、アリールアルケニルアリール、アリールアルキニルアリール、アリールアシルアリール、アリールアシル、アリールカルボシクリル、アリールヘテロシクリル、アリールヘテロアリール、アルケニルオキシアリール、アルキニルオキシアリール、アリールオキシアリール、アリールアシルオキシ、アリールカルボシクリルオキシ、アリールヘテロシクリルオキシ、アリールヘテロアリールオキシ、アルキルチオアリール、アルケニルチオアリール、アルキニルチオアリール、アリールチオアリール、アリールアシルチオ、アリールカルボシクリルチオ、アリールヘテロシクリルチオ及びアリールヘテロアリールチオから選択された基の二価形態である。
【0030】
一層好ましくは、Rは、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C6〜C18アリール、C1〜C18アシル、C3〜C18カルボシクリル、C2〜C18ヘテロシクリル、C3〜C18ヘテロアリール、C1〜C18アルキルオキシ、C2〜C18アルケニルオキシ、C2〜C18アルキニルオキシ、C6〜C18アリールオキシ、C1〜C18アシルオキシ、C3〜C18カルボシクリルオキシ、C2〜C18ヘテロシクリルオキシ、C3〜C18ヘテロアリールオキシ、C1〜C18アルキルチオ、C2〜C18アルケニルチオ、C2〜C18アルキニルチオ、C6〜C18アリールチオ、C1〜C18アシルチオ、C3〜C18カルボシクリルチオ、C2〜C18ヘテロシクリルチオ、C3〜C18ヘテロアリールチオ、C3〜C18アルキルアルケニル、C3〜C18アルキルアルキニル、C7〜C24アルキルアリール、C2〜C18アルキルアシル、C4〜C18アルキルカルボシクリル、C3〜C18アルキルヘテロシクリル、C4〜C18アルキルヘテロアリール、C2〜C18アルキルオキシアルキル、C3〜C18アルケニルオキシアルキル、C3〜C18アルキニルオキシアルキル、C7〜C24アリールオキシアルキル、C2〜C18アルキルアシルオキシ、C4〜C18アルキルカルボシクリルオキシ、C3〜C18アルキルヘテロシクリルオキシ、C4〜C18アルキルヘテロアリールオキシ、C2〜C18アルキルチオアルキル、C3〜C18アルケニルチオアルキル、C3〜C18アルキニルチオアルキル、C7〜C24アリールチオアルキル、C2〜C18アルキルアシルチオ、C4〜C18アルキルカルボシクリルチオ、C3〜C18アルキルヘテロシクリルチオ、C4〜C18アルキルヘテロアリールチオ、C4〜C18アルキルアルケニルアルキル、C4〜C18アルキルアルキニルアルキル、C8〜C24アルキルアリールアルキル、C3〜C18アルキルアシルアルキル、C13〜C24アリールアルキルアリール、C14〜C24アリールアルケニルアリール、C14〜C24アリールアルキニルアリール、C13〜C24アリールアシルアリール、C7〜C18アリールアシル、C9〜C18アリールカルボシクリル、C8〜C18アリールヘテロシクリル、C9〜C18アリールヘテロアリール、C8〜C18アルケニルオキシアリール、C8〜C18アルキニルオキシアリール、C12〜C24アリールオキシアリール、C7〜C18アリールアシルオキシ、C9〜C18アリールカルボシクリルオキシ、C8〜C18アリールヘテロシクリルオキシ、C9〜C18アリールヘテロアリールオキシ、C7〜C18アルキルチオアリール、C8〜C18アルケニルチオアリール、C8〜C18アルキニルチオアリール、C12〜C24アリールチオアリール、C7〜C18アリールアシルチオ、C9〜C18アリールカルボシクリルチオ、C8〜C18アリールヘテロシクリルチオ及びC9〜C18アリールヘテロアリールチオから選択された基のいずれかの二価形態である。
【0031】
更に一層好ましくは、Rは、アルキル(たとえばC1〜C18、C1〜C6、C1〜C5、C8〜C18又はC9〜C18)、アリール(たとえばC6〜C18)、ヘテロアリール(たとえばC3〜C18)、カルボシクリル(たとえばC3〜C18)、ヘテロシクリル(たとえばC2〜C18)、アルキルアリール(たとえばC7〜C24)、アルキルヘテロアリール(たとえばC4〜C18)、アルキルカルボシクリル(たとえばC4〜C18)及びアルキルヘテロシクリル(たとえばC3〜C18)から選択された基の二価形態である。
【0032】
Rが選択され得るところの二価基を定める上記のリストにおいて、各々のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール及びヘテロシクリル部分は、随意に置換され得る。いかなる疑問も避けるために、所与R基が2個又はそれ以上のかかる部分を含有する場合(たとえばアルキルアリール)、かかる部分の各々は、本明細書において定められたような1、2、3個又はそれ以上の随意置換基で随意に置換され得る。
【0033】
Rが選択され得るところの二価基を定める上記のリストにおいて、所与R基が2個又はそれ以上のサブ基(「部分基」)を含有する場合(たとえば[基A][基B])、これらの部分基の順序は、それらが呈されている順序に限定されるようには意図されていない。かくして、[基A][基B]と定められた2個の部分基を備えたR基(たとえばアルキルアリール)は、[基B][基A]と定められた2個の部分基を備えたR基(たとえばアリールアルキル)への言及でもあるよう意図されている。
Rが随意に置換されたアルキル部分を含む場合、好ましい随意置換基は、アルキル鎖中の−CH2−基が−O−、−S−、−NRa−、−C(O)−(すなわちカルボニル)、−C(O)O−(すなわちエステル)及び−C(O)NRa−(すなわちアミド)(ここで、Raは下記に定義されるとおりである)から選択された基により置き換えられる場合を包含する。
【0034】
置換基R1、R2及びR3は、一般的に、独立してH及び任意の有機置換基から選択され得る。好ましくは、R1、R2及びR3は、各々独立してH、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたアルケニル、随意に置換されたアルキニル、随意に置換されたアリール、随意に置換されたアルキルアリール、随意に置換されたカルボシクリル、随意に置換されたヘテロシクリル及び随意に置換されたヘテロアリールから選択される。R1は、更に、随意に置換されたアルコキシ、随意に置換されたアルケノキシ、随意に置換されたアルキノキシ、随意に置換されたアリールオキシ、随意に置換されたアシルオキシ、随意に置換されたアルキルチオ、随意に置換されたアルケニルチオ、随意に置換されたアルキニルチオ、随意に置換されたアリールチオ、随意に置換されたアシル、スルホキシド、スルホニル、スルホンアミド、アミノ、アミド、カルボキシエステル、アミノ酸及びペプチドから選択される。
【0035】
一層好ましくは、R1、R2及びR3は、各々独立してH、随意に置換されたC1〜C18アルキル、随意に置換されたC2〜C18アルケニル、随意に置換されたC2〜C18アルキニル、随意に置換されたC6〜C18アリール、随意に置換されたC3〜C18カルボシクリル、随意に置換されたC3〜C18ヘテロシクリル及び随意に置換されたC3〜C18ヘテロアリールから選択される。R1は、更に、随意に置換されたC1〜C18アルコキシ、随意に置換されたC2〜C18アルケノキシ、随意に置換されたC2〜C18アルキノキシ、随意に置換されたC6〜C18アリールオキシ、随意に置換されたC1〜C18アシルオキシ、随意に置換されたC1〜C18アルキルチオ、随意に置換されたC2〜C18アルケニルチオ、随意に置換されたC2〜C18アルキニルチオ、随意に置換されたC6〜C18アリールチオ、随意に置換されたC1〜C18アシル、スルホキシド、スルホニル、スルホンアミド、アミノ、アミド、カルボキシエステル、アミノ酸及びペプチドから選択され得る。
更に一層好ましくは、R1、R2及びR3は、各々独立してH、随意に置換されたC1〜C18アルキル、随意に置換されたフェニル、随意に置換されたベンジル、随意に置換されたナフチル、随意に置換されたアントラセニル、随意に置換されたピリジル、随意に置換されたピロリル、随意に置換されたチエニル及び随意に置換されたフラニルから選択される。
【0036】
X=NR23である場合、R2及びR3は、N原子と一緒に複素環式有機置換基を形成し得る。このヘテロシクリル置換基は、随意に置換され得る。ヘテロシクリル置換基は、好ましくは、随意に置換されたC1〜C18ヘテロシクリル置換基である。
【0037】
本発明のいくつかの具体的態様において、n及びqは、各々独立して1であり得る。
【0038】
本発明のいくつかの具体的態様において、tとpの和は、24を超えない。
【0039】
本発明のいくつかの具体的態様において、tは、1から6の範囲の又は8から15の範囲の整数である。
【0040】
本発明のいくつかの具体的態様において、一般式(I)のジイン化合物は、CH3(CH211−C≡C−C≡C−(CH27−CH(OH)CO2H又はCH3(CH211−C≡C−C≡C−(CH27−CH(OH)CO2CH(CH3)C65でない。
【0041】
本明細書において用いられる場合、単独で又は複合語でのどちらかで用いられる用語「アルキル」は、直鎖状、分枝状又は環状アルキル好ましくはC1~20アルキル(たとえばC1~10又はC1~6)を表す。直鎖状及び分枝状アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−メチルオクチル、1−、2−、3−、4−又は5−エチルヘプチル、1−、2−又は3−プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−及び8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−又は6−エチルオクチル、1−、2−、3−又は4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−又は9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−又は5−プロピルオクチル、1−、2−又は3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−又は10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−又は6−プロピルノニル、1−、2−、3−又は4−ブチルオクチル、1−又は2−ペンチルヘプチル、等を包含する。環状アルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、等のような単環式又は多環式アルキル基を包含する。アルキル基が一般的に「プロピル」、「ブチル」、等として言及される場合、これは、適切な場合、直線状、分枝状及び環状異性体のいずれかを指し得る、ということが理解されるであろう。アルキル基は、本明細書において定められたような1個又はそれ以上の随意置換基により随意に置換され得る。
【0042】
本明細書において用いられる場合の用語「アルケニル」は、エチレン型一、二又は多不飽和の先に定められたようなアルキル又はシクロアルキル基好ましくはC2~20アルケニル(たとえばC2~10又はC2~6)を含めて、少なくとも1個の炭素対炭素二重結合を含有する直鎖状、分枝状又は環状炭化水素残基から形成された基を表す。アルケニルの例は、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル及び1,3,5,7−シクロオクタテトラエニルを包含する。アルケニル基は、本明細書において定められたような1個又はそれ以上の随意置換基により随意に置換され得る。
【0043】
本明細書において用いられる場合、用語「アルキニル」は、エチレン型一、二又は多不飽和の先に定められたようなアルキル又はシクロアルキル基を含めて、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含有する直鎖状、分枝状又は環状炭化水素残基から形成された基を表す。炭素原子の数が明記されていなければ、この用語は、好ましくは、C2~20アルキニル(たとえばC2~10又はC2~6)を指す。その例は、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル及びブチニル異性体並びにペンチニル異性体を包含する。アルキニル基は、本明細書において定められたような1個又はそれ以上の随意置換基により随意に置換され得る。
【0044】
用語「ハロゲン」(「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素(フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード)を表す。好ましいハロゲンは、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0045】
用語「アリール」(又は「カルボアリール」)は、芳香族炭化水素環系の単一の、多核の、共役された及び縮合された残基のいずれかを表す。アリールの例は、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クァテルフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンゾアントラセニル、ジベンゾアントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、ピレニル、イデニル、アズレニル、クリセニルを包含する。好ましいアリールは、フェニル及びナフチルを包含する。アリール基は、本明細書において定められたような1個又はそれ以上の随意置換基により随意に置換されていてもいなくてもよい。用語「アリーレン」は、アリールの二価形態を表すよう意図されている。
【0046】
用語「カルボシクリル」は、非芳香族の単環式の、多環式の、縮合された又は共役された炭化水素残基のいずれか、好ましくはC3~20(たとえばC3~10又はC3~8)を含む。これらの環は、飽和(たとえばシクロアルキル)であってもあるいは1個若しくはそれ以上の二重結合(シクロアルケニル)及び/又は1個若しくはそれ以上の三重結合(シクロアルキニル)を有していてもよい。特に好ましいカルボシクリル部分は、5〜6員又は9〜10員の環系である。適当な例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロオクタテトラエニル、インダニル、デカリニル及びインデニルを包含する。カルボシクリル基は、本明細書において定められたような1個又はそれ以上の随意置換基により随意に置換され得る。用語「カルボシクリレン」は、カルボシクリルの二価形態を表すよう意図されている。
【0047】
単独で又は複合語で用いられる場合の用語「ヘテロシクリル」は、非芳香族残基をもたらすように1個又はそれ以上の炭素原子がヘテロ原子により置き換えられている単環式の、多環式の、縮合された又は共役された炭化水素残基のいずれか、好ましくはC3~20(たとえばC3~10又はC3~8)を含む。適当なヘテロ原子は、O、N、S、P及びSe、特にO、N及びSを包含する。2個又はそれ以上の炭素原子が置き換えられる場合、これは、2個若しくはそれ以上の同じヘテロ原子によってでも又は異なるヘテロ原子によってでもよい。ヘテロシクリル基は、飽和であっても又は部分不飽和(すなわち、1個又はそれ以上の二重結合を有する)であってもよい。特に好ましいヘテロシクリルは、5〜6及び9〜10員のヘテロシクリルである。ヘテロシクリル基の適当な例は、アズリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、2H−ピロリル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、インドリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピロリル、テトラヒドロチオフェニル、ピラゾリニル、ジオキサラニル、チアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ジヒドロピラニル、オキサジニル、チアジニル、チオモルホリニル、オキサチアニル、ジチアニル、トリオキサニル、チアジアジニル、ジチアジニル、トリチアジニル、アゼピニル、オキセピニル、チエピニル、インデニル、インダニル、3H−インドリル、イソインドリニル、4H−キノルアジニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、ピラニル及びジヒドロピラニルを包含し得る。ヘテロシクリル基は、本明細書において定められたような1個又はそれ以上の随意置換基により随意に置換され得る。用語「ヘテロシクリレン」は、ヘテロシクリルの二価形態を表すよう意図されている。
【0048】
用語「ヘテロアリール」は、芳香族残基をもたらすように1個又はそれ以上の炭素原子がヘテロ原子により置き換えられている単環式の、多環式の、縮合された又は共役された炭化水素残基のいずれかを含む。好ましいヘテロアリールは、3〜20個の環原子(たとえば3〜10個)を有する。特に好ましいヘテロアリールは、5〜6及び9〜10員の二環式環系である。適当なヘテロ原子は、O、N、S、P及びSe、特にO、N及びSを包含する。2個又はそれ以上の炭素原子が置き換えられる場合、これは、2個若しくはそれ以上の同じヘテロ原子によってでも又は異なるヘテロ原子によってでもよい。ヘテロアリール基の適当な例は、ピリジル、ピロリル、チエニル、イミダゾリル、フラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、1,5−ナフチリジニル、キノザリニル、キナゾリニル、キノリニル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、トリアジニル及びフラザニルを包含し得る。ヘテロアリール基は、本明細書において定められたような1個又はそれ以上の随意置換基により随意に置換され得る。用語「ヘテロアリーレン」は、ヘテロアリールの二価形態を表すよう意図されている。
【0049】
単独で又は複合語でのどちらかでの用語「アシル」は、部分C=Oを含有する(且つカルボン酸、エステル又はアミドでない)基を表す。好ましいアシルは、C(O)−Rx(ここで、Rxは水素又はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル残基である)を包含する。アシルの例は、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイルペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル及びイコサノイルのような直鎖状又は分枝状アルカノイル(たとえばC1~20);シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル及びシクロヘキシルカルボニルのようなシクロアルキルカルボニル;ベンゾイル、トルオイル及びナフトイルのようなアロイル;フェニルアルカノイル(たとえばフェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブチリル、フェニルペンタノイル及びフェニルヘキサノイル)及びナフチルアルカノイル(たとえばナフチルアセチル、ナフチルプロパノイル及びナフチルブタノイル)のようなアラルカノイル;フェニルアルケノイル(たとえばフェニルプロペノイル、フェニルブテノイル、フェニルメタクリロイル、フェニルペンテノイル及びフェニルヘキセノイル)及びナフチルアルケノイル(たとえばナフチルプロペノイル、ナフチルブテノイル及びナフチルペンテノイル)のようなアラルケノイル;フェノキシアセチル及びフェノキシプロピオニルのようなアリールオキシアルカノイル;フェニルチオカルバモイルのようなアリールチオカルバモイル;フェニルグリオキシロイル及びナフチルグリオキシロイルのようなアリールグリオキシロイル;フェニルスルホニル及びナフチルスルホニルのようなアリールスルホニル;複素環式カルボニル;チエニルアセチル、チエニルプロパノイル、チエニルブタノイル、チエニルペンタノイル、チエニルヘキサノイル、チアゾリルアセチル、チアジアゾリルアセチル及びテトラゾリルアセチルのような複素環式アルカノイル;複素環式プロペノイル、複素環式ブテノイル、複素環式ペンテノイル及び複素環式ヘキセノイルのような複素環式アルケノイル;並びにチアゾリルグリオキシロイル及びチエニルグリオキシロイルのような複素環式グリオキシロイルを包含する。Rx残基は、本明細書において記載されたように随意に置換され得る。
【0050】
単独で又は複合語でのどちらかでの用語「スルホキシド」は、基−S(O)Ry(ここで、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル及びアラルキルから選択される)を指す。好ましいRyの例は、C1~20アルキル、フェニル及びベンジルを包含する。
【0051】
単独で又は複合語でのどちらかでの用語「スルホニル」は、基S(O)2−Ry(ここで、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル及びアラルキルから選択される)を指す。好ましいRyの例は、C1~20アルキル、フェニル及びベンジルを包含する。
【0052】
単独で又は複合語でのどちらかでの用語「スルホンアミド」は、基S(O)NRyy(ここで、各Ryは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル及びアラルキルから選択される)を指す。好ましいRyの例は、C1~20アルキル、フェニル及びベンジルを包含する。好ましい具体的態様において、少なくとも一方のRyは水素である。別の形態において、両方のRyは水素である。
【0053】
用語「アミノ」は、当該技術において理解されるようなその最も広い意味で本明細書において用いられ、そして式NRab(ここで、Ra及びRbは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル及びアシルから選択されたいずれかであり得る)の基を包含する。Ra及びRbはまた、それらが結合されている窒素と一緒に、単環式又は多環式環系たとえば3〜10員環特に5〜6及び9〜10員系を形成し得る。「アミノ」の例は、NH2、NHアルキル(たとえばC1~20アルキル)、NHアリール(たとえばNHフェニル)、NHアラルキル(たとえばNHベンジル)、NHアシル(たとえばNHC(O)C1~20アルキル、NHC(O)フェニル)、Nアルキルアルキル(ここで、各アルキル(たとえばC1~20)は同じでも異なっていてもよい)及び5又は6員環(1個又はそれ以上の同じ又は異なるヘテロ原子(たとえばO、N及びS)を随意に含有する)を包含する。
【0054】
用語「アミド」は、当該技術において理解されるようなその最も広い意味で本明細書において用いられ、そして式C(O)NRab(ここで、Ra及びRbは上記のとおり定義される)を有する基を包含する。アミドの例は、C(O)NH2、C(O)NHアルキル(たとえばC1~20アルキル)、C(O)NHアリール(たとえばC(O)NHフェニル)、C(O)NHアラルキル(たとえばC(O)NHベンジル)、C(O)NHアシル(たとえばC(O)NHC(O)C1~20アルキル、C(O)NHC(O)フェニル)、C(O)Nアルキルアルキル(ここで、各アルキル(たとえばC1~20)は同じでも異なっていてもよい)及び5又は6員環(1個又はそれ以上の同じ又は異なるヘテロ原子(たとえばO、N及びS)を随意に含有する)を包含する。
【0055】
用語「カルボキシエステル」は、当該技術において理解されるようなその最も広い意味で本明細書において用いられ、そして式CO2z(ここで、Rzはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル及びアシルを含む群から選択され得る)を有する基を包含する。カルボキシエステルの例は、CO21~20アルキル、CO2アリール(たとえばCO2フェニル)、CO2アラルキル(たとえばCO2ベンジル)を包含する。
【0056】
本明細書において、「随意に置換された」は、基が次のものから選択されたものを含めて1、2、3個又はそれ以上の有機及び無機基で置換又は縮合(縮合多環式基を形成するように)されていてもいなくてもよいことを意味するように解される:アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アシル、アラルキル、アルカリール、アルクヘテロシクリル、アルクヘテロアリール、アルクカルボシクリル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ハロカルボシクリル、ハロヘテロシクリル、ハロヘテロアリール、ハロアシル、ハロアリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、ヒドロキシカルボシクリル、ヒドロキシアリール、ヒドロキシヘテロシクリル、ヒドロキシヘテロアリール、ヒドロキシアシル、ヒドロキシアラルキル、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルコキシアルキニル、アルコキシカルボシクリル、アルコキシアリール、アルコキシヘテロシクリル、アルコキシヘテロアリール、アルコキシアシル、アルコキシアラルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボシクリルオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アシルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ハロカルボシクリルオキシ、ハロアラルキルオキシ、ハロヘテロアリールオキシ、ハロヘテロシクリルオキシ、ハロアシルオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、ニトロヘテロアリール、ニトロカルボシクリル、ニトロアシル、ニトロアラルキル、アミノ(NH2)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アラルキルアミノ、ジアラルキルアミノ、アシルアミノ、ジアシルアミノ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロアリールアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、アミド、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフェニルオキシ、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、チオ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、カルボシクリルチオ、ヘテロシクリルチオ、ヘテロアリールチオ、アシルチオ、スルホキシド、スルホニル、スルホンアミド、アミノアルキル、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミノカルボシクリル、アミノアリール、アミノヘテロシクリル、アミノヘテロアリール、アミノアシル、アミノアラルキル、チオアルキル、チオアルケニル、チオアルキニル、チオカルボシクリル、チオアリール、チオヘテロシクリル、チオヘテロアリール、チオアシル、チオアラルキル、カルボキシアルキル、カルボキシアルケニル、カルボキシアルキニル、カルボキシカルボシクリル、カルボキシアリール、カルボキシヘテロシクリル、カルボキシヘテロアリール、カルボキシアシル、カルボキシアラルキル、カルボキシエステルアルキル、カルボキシエステルアルケニル、カルボキシエステルアルキニル、カルボキシエステルカルボシクリル、カルボキシエステルアリール、カルボキシエステルヘテロシクリル、カルボキシエステルヘテロアリール、カルボキシエステルアシル、カルボキシエステルアラルキル、アミドアルキル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、アミドカルボシクリル、アミドアリール、アミドヘテロシクリル、アミドヘテロアリール、アミドアシル、アミドアラルキル、ホルミルアルキル、ホルミルアルケニル、ホルミルアルキニル、ホルミルカルボシクリル、ホルミルアリール、ホルミルヘテロシクリル、ホルミルヘテロアリール、ホルミルアシル、ホルミルアラルキル、アシルアルキル、アシルアルケニル、アシルアルキニル、アシルカルボシクリル、アシルアリール、アシルヘテロシクリル、アシルヘテロアリール、アシルアシル、アシルアラルキル、スルホキシドアルキル、スルホキシドアルケニル、スルホキシドアルキニル、スルホキシドカルボシクリル、スルホキシドアリール、スルホキシドヘテロシクリル、スルホキシドヘテロアリール、スルホキシドアシル、スルホキシドアラルキル、スルホニルアルキル、スルホニルアルケニル、スルホニルアルキニル、スルホニルカルボシクリル、スルホニルアリール、スルホニルヘテロシクリル、スルホニルヘテロアリール、スルホニルアシル、スルホニルアラルキル、スルホンアミドアルキル、スルホンアミドアルケニル、スルホンアミドアルキニル、スルホンアミドカルボシクリル、スルホンアミドアリール、スルホンアミドヘテロシクリル、スルホンアミドヘテロアリール、スルホンアミドアシル、スルホンアミドアラルキル、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロカルボシクリル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、ニトロヘテロアリール、ニトロアシル、ニトロアラルキル、シアノ、サルフェート及びホスホネート基。随意置換はまた、鎖又は環中の−CH2−基が−O−、−S−、−NRa−、−C(O)−(すなわちカルボニル)、−C(O)O−(すなわちエステル)及び−C(O)NRa−(すなわちアミド)(ここで、Raは本明細書において定義されたとおりである)から選択された基により置き換えられている場合を指すように解され得る。
【0057】
好ましい随意置換基は、アルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルのようなC1~6アルキル)、ヒドロキシアルキル(たとえばヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル)、アルコキシアルキル(たとえばメトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、等)、アルコキシ(たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロポキシ、シクロブトキシのようなC1~6アルコキシ)、ハロ、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、ヒドロキシ、フェニル(それ自体たとえばC1~6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、シアノ、ニトロ、OC(O)C1~6アルキル及びアミノにより更に置換され得る)、ベンジル(ここで、ベンジルはそれ自体たとえばC1~6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、シアノ、ニトロ、OC(O)C1~6アルキル及びアミノにより更に置換され得る)、フェノキシ(ここで、フェニルはそれ自体たとえばC1~6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、シアノ、ニトロ、OC(O)C1~6アルキル及びアミノにより更に置換され得る)、ベンジルオキシ(ここで、ベンジルはそれ自体たとえばC1~6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、シアノ、ニトロ、OC(O)C1~6アルキル及びアミノにより更に置換され得る)、アミノ、アルキルアミノ(たとえばC1~6アルキル,メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、等のような)、ジアルキルアミノ(たとえばC1~6アルキル,ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノのような)、アシルアミノ(たとえばNHC(O)CH3)、フェニルアミノ(ここで、フェニルはそれ自体たとえばC1~6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、シアノ、ニトロ、OC(O)C1~6アルキル及びアミノにより更に置換され得る)、ニトロ、ホルミル、−C(O)−アルキル(たとえばC1~6アルキル,アセチルのような)、O−C(O)−アルキル(たとえばC1~6アルキル,アセチルオキシのような)、ベンゾイル(ここで、フェニルはそれ自体たとえばC1~6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、シアノ、ニトロ、OC(O)C1~6アルキル及びアミノにより更に置換され得る)、C=OでのCH2の置換え、CO2H、CO2アルキル(たとえばC1~6アルキル,メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステルのような)、CO2フェニル(ここで、フェニルはそれ自体たとえばC1~6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、シアノ、ニトロ、OC(O)C1~6アルキル及びアミノにより更に置換され得る)、CONH2、CONHフェニル(ここで、フェニルはそれ自体たとえばC1~6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、シアノ、ニトロ、OC(O)C1~6アルキル及びアミノにより更に置換され得る)、CONHベンジル(ここで、ベンジルはそれ自体たとえばC1~6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1~6アルキル、C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、シアノ、ニトロ、OC(O)C1~6アルキル及びアミノにより更に置換され得る)、CONHアルキル(たとえばC1~6アルキル,メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルアミドのような)、CONHジアルキル(たとえばC1~6アルキル)、アミノアルキル(たとえばHNC1~6アルキル−、C1~6アルキルHN−C1~6アルキル−及び(C1~6アルキル)2N−C1~6アルキル−)、チオアルキル(たとえばHSC1~6アルキル−)、カルボキシアルキル(たとえばHO2CC1~6アルキル−)、カルボキシエステルアルキル(たとえばC1~6アルキルO2CC1~6アルキル−)、アミドアルキル(たとえばH2N(O)CC1~6アルキル−、H(C1~6アルキル)N(O)CC1~6アルキル−)、ホルミルアルキル(たとえばOHCC1~6アルキル−)、アシルアルキル(たとえばC1~6アルキル(O)CC1~6アルキル−)、ニトロアルキル(たとえばO2NC1~6アルキル−)、スルホキシドアルキル(たとえば、C1~6アルキル(O)SC1~6アルキル−のようなR(O)SC1~6アルキル)、スルホニルアルキル(たとえば、C1~6アルキル(O)2SC1~6アルキル−のようなR(O)2SC1~6アルキル−)、スルホンアミドアルキル(たとえば2HRN(O)SC1~6アルキル、H(C1~6アルキル)N(O)SC1~6アルキル−)を包含する。
【0058】
最も広い意味で本明細書において用いられる場合の用語「ヘテロ原子」又は「ヘテロ」は、環状有機基の一員であり得るところの炭素原子以外の任意の原子を指す。ヘテロ原子の特定の例は、窒素、酸素、硫黄、リン、ホウ素、ケイ素、セレン及びテルル、一層特には窒素、酸素及び硫黄を包含する。
【0059】
本明細書において用いられる場合、用語「アミノ酸」は、アミノ基及びカルボン酸基を有する化合物を指す。アミノ酸は天然に存在する又は天然に存在しないものであり得、そしてタンパク質由来又は非タンパク質由来であり得る。アミノ酸はまた、L−アミノ酸、D−アミノ酸、α−アミノ酸又はβ−アミノ酸であり得る。
【0060】
適当な天然に存在するタンパク質由来アミノ酸が、それらの一文字略号及び三文字略号と一緒に表1に示されている。
【0061】
【表1】

【0062】
適当な非タンパク質由来又は天然に存在しないアミノ酸は、側鎖変性又は全合成によってのような当該技術において知られた技法により製造され得る。
【0063】
本明細書において用いられる場合、用語「ペプチド」は、一つのアミノ酸のカルボキシル基により別のアミノ酸のアミノ基に共有結合で連結された2個又はそれ以上のアミノ酸を含有する様々な天然又は合成化合物のいずれかを指す。
【0064】
一価置換基について、「[基A][基B]」と書かれた用語は、基Bの二価形態により連結された場合の基Aを指す。たとえば、「[基A][アルキル]」は、二価アルキルすなわちアルキレンにより連結された場合の特定の基A(ヒドロキシ、アミノ、等のような)(たとえば、ヒドロキシエチルはHO−CH2−CH−を表すよう意図されている)を指す。かくして、「[基]オキシ」と書かれた用語は酸素により連結された場合の特定の基を指し、たとえば用語「アルコキシ」つまり「アルキルオキシ」、「アルケノキシ」つまり「アルケニルオキシ」、「アルキノキシ」つまり「アルキニルオキシ」、「アリールオキシ」及び「アシルオキシ」は、それぞれ、酸素により連結された場合の、前記に定義されたとおりのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びアシル基を表す。同様に、「[基]チオ」と書かれた用語は硫黄により連結された場合の特定の基を指し、たとえば用語「アルキルチオ」、「アルケニルチオ」、「アルキニルチオ」及び「アリールチオ」は、それぞれ、硫黄により連結された場合の、前記に定義されたとおりのアルキル、アルケニル、アルキニル及びアリール基を表す。
【0065】
句「から選択された基の二価形態」への言及は、明記された基が二価基であることを意味するよう意図されている。かくして、二価アルキル基は、事実上はアルキレン基(たとえば−CH2−)である。同様に、基アルキルアリールの二価形態はたとえば−(C64)−CH2−により表され得、二価アルキルアリールアルキル基はたとえば−CH2−(C64)−CH2−により表され得、二価アルキルオキシ基はたとえば−CH2O−により表され得、そして二価アルキルオキシアルキル基はたとえば−CH2−O−CH2−により表され得る。用語「随意に置換された」がかかる二価基と組み合わされて用いられる場合、その基は、前記に記載されたように、置換又は縮合されていてもいなくてもよい。二価基が2個又はそれ以上の部分基たとえば[基A][基B][基C]を含む場合(たとえばアルキルアリールアルキル)、実行可能ならば、かかる部分基の一つ又はそれ以上は随意に置換され得る。
【0066】
一般式(I)、(IA)及び(II)の化合物は、少なくとも、α−OH置換基が結合されている炭素原子における1個のキラル中心を含有する、ということを当業者は理解するであろう。従って、一般式(I)、(IA)及び(II)は、立体異性体を生じ得る。これらの化合物のエナンチオマー的に純粋な形態及びラセミ混合物は、本発明により想定されている。
【0067】
本発明の一つの具体的態様によれば、一般式(I)のジイン化合物は、一般式(II)の化合物を一般式(III)の化合物とカップリングさせることにより製造される。任意の適当なカップリング反応が用いられ得る。一般式(III)におけるZ基は好ましくはヨードであり、そしてこの場合においてそれらの化合物のカップリングはHIの遊離をもたらすことになる。適当なカップリング反応は、カップリングされるべき化合物がメタノール、塩化銅(I)、エチルアミン(70%水溶液)及びヒドロキシルアミン塩酸塩を含む水酸化カリウムの水溶液中で一緒にされたところのSynthetic Communications,16(7),847(1986)に概略された手順に従って遂行され得る。このタイプのカップリング反応は、一般式(II)及び(III)のすべての化合物にとって適当であり得るとは限らない、ということを当業者は理解するであろう。反応経路が不適当であるならば、当業者は代替経路を決定し得る、ということが予期される。たとえば、反応が式(II)の特定のエステル(すなわち、ここでX=OR2)を用いて遂行され得ないならば、反応を式(II)の対応する酸形態(すなわち、ここでX=OH)を用いて遂行すると共に、生じた反応生成物を引き続いて当該技術においてよく知られた技法を用いて所要エステルに転化することが可能であり得る。
【0068】
一般式(II)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム4に概略された反応シーケンスを伴い得、しかしてJ. Org. Chem.,Vol.40,No.22,1975,3253に概略された手順に従って、一般式(V)の化合物が、テトラヒドロフラン(THF)中でリチウムジイソプロピルアミド(LDA)での脱プロトン及び直接酸素化によってα−OH誘導体(VI)に転化される。一般式(VI)の生じた化合物は、次いで、J. Org. Chem.,Vol.53,No.8,1988,1617に概略された手順に従って、THF中でテトラブチルアンモニウムフルオライドとの反応によって脱シリルされ得る。かかる反応経路は、一般式(V)のすべての化合物にとって適当であり得るとは限らない、ということを当業者は理解するであろう。反応経路が不適当であるならば、当業者は代替経路を決定し得る、ということが予期される。たとえば、反応が式(V)の特定のエステル(すなわち、ここでX=OR2)を用いて遂行され得ないならば、反応を式(IV)の対応する酸形態(すなわち、ここでX=OH)を用いて遂行すると共に、生じた反応生成物を引き続いて当該技術においてよく知られた技法を用いて所要エステルに転化することが可能であり得る。
【0069】
【化11】

【0070】
一般式(V)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム5に概略された反応シーケンスを伴い得、しかしてOrganic. Letters,2004,Vol.6,No.20,3601に概略された手順に従って、一般式(VII)の化合物が、n−ブチルリチウム(n−BuLi)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)及びTHFの存在下で、アルゴン下で−78℃にて(トリメチルシリル)アセチレン(VIII)と反応される。この場合において、Zは好ましくはブロモである。(トリメチルシリル)アセチレン(VIII)は商業的に得られ得、あるいは当該技術において知られた技法を用いて製造され得る。かかる反応経路は、一般式(VII)のすべての化合物にとって適当であり得るとは限らない、ということを当業者は理解するであろう。反応経路が不適当であるならば、当業者は代替経路を決定し得る、ということが予期される。たとえば、反応が式(VII)の特定のエステル(すなわち、ここでX=OR2)を用いて遂行され得ないならば、反応を式(VII)の対応する酸形態(すなわち、ここでX=OH)を用いて遂行すると共に、生じた反応生成物を引き続いて当該技術においてよく知られた技法を用いて所要エステルに転化することが可能であり得る。
【0071】
【化12】

【0072】
一般式(VII)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム6に概略された反応シーケンスを伴い得、しかしてJ. Chem. Soc.,1949,604に概略された手順に従って、一般式(IX)の化合物が、三酸化クロム及び硫酸を用いてジョーンズ酸化に付される。式(VIIA)の生じた酸化合物は、次いで、化合物(VII)(すなわち、ここでX=OH)として直接的に用いられ得、あるいは必要ならば、当該技術において知られた技法を用いて一般式(VII)の適切な特定の形態に転化され得る。
【0073】
【化13】

【0074】
一般式(V)の化合物を製造する代替手法は、下記のスキーム7に概略された反応シーケンスを伴い得、しかしてJ. Med. Chem.,2005,48,1849に概略された手順に従って、一般式(X)の化合物が、n−BuLi及びTHFの存在下で−78℃にて(トリメチルシリル)クロライド(XI)と反応される。(トリメチルシリル)クロライド(XI)は商業的に得られ得、あるいは当該技術において知られた技法を用いて製造され得る。かかる反応経路は、一般式(X)のすべての化合物にとって適当であり得るとは限らない、ということを当業者は理解するであろう。反応経路が不適当であるならば、当業者は代替経路を決定し得る、ということが予期される。たとえば、反応が式(X)の特定のエステル(すなわち、ここでX=OR2)を用いて遂行され得ないならば、反応を式(X)の対応する酸形態(すなわち、ここでX=OH)を用いて遂行すると共に、生じた反応生成物を引き続いて当該技術においてよく知られた技法を用いて所要エステルに転化することが可能であり得る。
【0075】
【化14】

【0076】
一般式(X)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム8に概略された反応シーケンスを伴い得、しかしてJ. Chem. Soc.,1949,604に概略された手順に従って、一般式(XII)の化合物が、三酸化クロム及び硫酸を用いてジョーンズ酸化に付される。式(XA)の生じた酸化合物は、次いで、化合物(X)(すなわち、ここでX=OH)として直接的に用いられ得、あるいは必要ならば、当該技術において知られた技法を用いて一般式(X)の適切な特定の形態に転化され得る。
【0077】
【化15】

【0078】
一般式(XII)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム9に概略された反応シーケンスを伴い得、しかしてCan. J. Chem.,Vol.62,1984に概略された手順に従って、一般式(XIII)の化合物が、1,3−ジアミノプロパンの存在下でリチウムを用いて一般式(XII)の化合物に転化される。
【0079】
【化16】

【0080】
一般式(XIII)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム10に概略された反応シーケンスを伴い得、しかしてTetrahedron,60(2004),5237に概略された手順に従って、一般式(XIV)の化合物が、リチウム、アンモニア及び[Fe(NO33]・9H2Oの存在下で一般式(XV)の化合物と反応される。一般式(XV)のハロアルケンは商業的に得られ得、あるいは当該技術において知られた技法を用いて製造され得る。
【0081】
【化17】

【0082】
一般式(III)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム11に概略された反応シーケンスを伴い得、しかしてPreparative Acetylenic Chemistry,Elsevier,アムステルダム,1988に概略された手順に従って、一般式(XVI)の化合物が、THF中でn−BuLiで脱プロトンされそしてハロゲン化される。一般式(XVI)の化合物は商業的に得られ得、あるいは当該技術において知られた技法を用いて製造され得る。
【0083】
【化18】

【0084】
上記の反応スキーム4〜11は、一般式(I)の化合物を製造する際に用いられ得る反応シーケンスを描く。一般式(I)のアミド化合物(すなわち、ここでX=NR23)は、一般式(I)の酸化合物(すなわち、ここでX=OH)から容易に製造され得る、ということを当業者は理解するであろう。たとえば、下記のスキーム12に示されているように一般式(I)の酸化合物がR2−NH2(ここで、R2は前記に定義されたとおりである)と反応される場合、標準的なペプチドカップリング反応条件が用いられ得る。かかる反応条件は、一般的に、α−OH置換基が保護される(たとえばトリメチルシリル又はトリイソプロピルシリル基で)ことを要求する。無論、上記のスキーム4〜8に描かれたもののような一般式(I)の化合物の製造の際に用いられる適当な中間体化合物に関して、かかる反応を遂行することは可能であろう。
【0085】
【化19】

【0086】
本明細書において用いられる場合、EDC=1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドであり、HOBt=N−ヒドロキシベンゾトリアゾールであり、HBTU=O−ベンゾトリアゾール−N,N,N′,N′−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロ−ホスフェートであり、DIPEA=ジイソプロピルエチルアミンであり、そしてDMF=ジメチルホルムアミドである。
【0087】
本発明の更なる具体的態様によれば、一般式(I)のジイン化合物は、一般式(IV)の化合物のジアセタール脱保護により製造される。用語「ジアセタール脱保護」により、一般式(IV)のジアセタール部分が、一般式(I)のX−C(O)−CH(OH)−部分を生じる試薬との反応に関与する、ということが意味される。
【0088】
ジアセタール脱保護を促進するために用いられる条件は、一般式(I)における置換基Xの官能基を指定する、ということを当業者は理解するであろう。かくして、酸媒介ジアセタール脱保護は、一般式(I)の酸形態(すなわち、ここでX=OH)をもたらし得る。たとえば、一般式(IV)の化合物は、水中でトリフルオロ酢酸(TFA)と反応され得る。適切なアルコールR2−OH(ここで、R2は前記に定義されたとおりである)を用いてのジアセタール脱保護は、一般式(I)のエステル形態(すなわち、ここでX=OR2)をもたらし得る。この場合において、反応をトリメチルシリルクロライドのようなハロ−シランの存在下で遂行することが必要であり得る。適切なアミンR23NH(ここで、R2及びR3は前記に定義されたとおりである)を用いてのジアセタール脱保護は、一般式(I)のアミド形態(すなわち、ここでX=NR23)をもたらし得る。この場合において、アミンをi−PrMgClのようなグリニャール試薬で活性化することにより反応を遂行することが必要であり得る。それ故、この方法論を用いて一般式(I)の化合物を製造することは、広範囲の2−ヒドロキシ−ジイン化合物を生成するべき比較的効率的な経路を提供する。下記に一層詳細に論考されるように、この方法論はまた、エナンチオマー的に純粋なブタン−2,3−ジアセタール保護グリコール酸部分の使用によって一般式(I)のエナンチオマー的に純粋な化合物を製造するための好都合な経路を提供する。
【0089】
一般式(IV)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム13に概略された反応シーケンスを伴い得、しかしてOrg. Biomol. Chem.,2004,2,3608に概略された手順に従って、一般式(XVII)の化合物が、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHMDS)及び過剰の求電子試薬を用いて一般式(XVIII)のハロジイン化合物(好ましくはヨードジイン化合物)でアルキル化される。
【0090】
【化20】

【0091】
一般式(XVII)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム14に概略された反応シーケンスを伴い得、しかしてOrg. Biomol. Chem.,2004,2,3608に概略された手順に従って、グリコール酸(XIX)が、触媒量のトリフェニルホスフィン臭化水素酸塩の存在下で2,3−ジメトキシブタジエン(XX)で保護される。2,3−ジメトキシブタジエン(XX)は商業的に得られ得、あるいはJ. C. S. Perkin,1,1979,1893に記載されたもののような当該技術において知られた技法を用いて製造され得る。
【0092】
【化21】

【0093】
一般式(I)のエナンチオマー的に純粋な化合物を製造する一つの手法は、上記のスキーム13に概略されたものと同様な反応シーケンスを伴い得、しかしてブタン−2,3−ジアセタール保護グリコール酸のエナンチオマー的に純粋な形態がハロジイン化合物でアルキル化される。次いで、生じたアルキル化生成物のジアセタール脱保護は、一般式(I)のエナンチオマー的に純粋な化合物をもたらし得る。
【0094】
エナンチオマー的に純粋なブタン−2,3−ジアセタール保護グリコール酸は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム15に概略された反応シーケンスを伴い得、しかしてOrg. Biomol. Chem.,2004,2,3608に概略された手順に従って、(S)−3−クロロプロパン−1,2−ジオール(XXI)が、(S,S)ブタン−2,3−ジアセタール保護グリコール酸(XXII)をもたらすべき三工程合成で転化される、(R,R)ブタン−2,3−ジアセタール保護グリコール酸(XXIV)をもたらすべき(R)−3−クロロプロパン−1,2−ジオール(XXIII)を用いて、類似の三工程合成が遂行され得る。
【0095】
【化22】

【0096】
一般式(XVIII)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム16に概略された反応シーケンスを伴い得、しかしてJ. Org. Chem.,2005,70,3898に概略された手順に従って、一般式(XXV)の化合物が、これをトリフェニルホスフィン、イミダゾール及びハロゲンと反応させることによりその対応するハロ誘導体に転化される。この場合において、ハロゲンは好ましくはヨウ素である。
【0097】
一般式(XXV)の化合物は商業的に得られ得、あるいは当該技術において知られた技法用いて、たとえばTetrahedron Letters,1996,Vol.37,No.16,2763に概略された手順に従ってアセチレンアルコールとヨード−アルキンとの銅触媒カップリングにより製造され得る。
【0098】
【化23】

【0099】
一般式(I)における置換基X、R、Y、W及びR1の特質に依存して、その化合物は上記のスキーム4〜16に記載されたものの代替合成経路により製造されることが好ましくあり得る。たとえば、一般式(I)における−(R)n−Y−が二価エステル部分(たとえば−CH2−O−C(O)−CH2−のような)を表す場合、一般式(I)のかかる化合物(便宜上一般式(IB)により表される)は下記のスキーム17に概略された反応シーケンスに従って製造されることが好ましくあり得、しかして一般式(XXVI)の化合物が還元(たとえばNaBH4で)されて一般式(IB)の化合物を生じる。
【0100】
【化24】

【0101】
一般式(XXVI)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム18に概略された反応シーケンスを伴い得、しかしてJ. Chem. Soc.,1949,604に概略された手順に従って、一般式(XXVII)の化合物が、三酸化クロム及び硫酸でのジョーンズ酸化に付される。
【0102】
【化25】

【0103】
一般式(XXVII)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム19に概略された反応シーケンスを伴い得、しかして一般式(XXVIII)の化合物が、エタノール中でアンバーリスト15のような酸性樹脂で処理される。
【0104】
【化26】

【0105】
一般式(XXVIII)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム20に概略された反応シーケンスを伴い得、しかして一般式(XXIX)の化合物が、一般式(XXX)の化合物でエステル化される。一般式(XXIX)及び(XXX)の化合物は商業的に得られ得、あるいは当該技術において知られた技法を用いて製造され得る。
【0106】
【化27】

【0107】
一般式(I)における−(R)n−Y−が二価エーテル部分(たとえば−CH2−O−(CH22−のような)を表す場合、一般式(I)のかかる化合物(便宜上一般式(IC)により表される)は下記のスキーム21に概略された反応シーケンスに従って製造されることが好ましくあり得、しかして一般式(XXXI)の化合物が還元(たとえばNaBH4で)されて一般式(IC)の化合物を生じる。
【0108】
【化28】

【0109】
一般式(XXXI)の化合物は、任意の適当な技法を用いて製造され得る。一つの手法は、下記のスキーム22に概略された反応シーケンスを伴い得、しかして一般式(XXXII)の化合物が臭素化(たとえばPPh3Br2で)されて一般式(XXXIII)の化合物を生じ、次にこの化合物は一般式(XXX)の化合物との縮合反応を受けてHBrを遊離して一般式(XXXIV)の化合物を生じ得、次にこの化合物はエタノール中でアンバーリスト15のような酸性樹脂での処理に付されて一般式(XXXV)の化合物を生じ得、次いでこの化合物はJ. Chem. Soc.,1949,604に概略された手順に従って三酸化クロム及び硫酸を用いてジョーンズ酸化に付されて一般式(XXXI)の化合物を生じ得る。
【0110】
【化29】

【0111】
上記のスキーム17〜22に概略された反応経路は、それらに概略された一般式のすべての化合物にとって適当であり得るとは限らない、ということを当業者は理解するであろう。反応経路が不適当であるならば、当業者は代替経路を決定し得る、ということが予期される。
【0112】
本発明により想定された化合物は、対象者の疾病又は病態を処置するのに適していると予期される。処置されるべき対象者は、哺乳類対象者すなわち人間、霊長類、家畜動物(牛、馬、羊、豚及び山羊を含めて)、愛玩動物(犬、猫、ウサギ、テンジクネズミを含めて)及びつながれている野生の動物を包含する。ウサギ、マウス、ラット、テンジクネズミ及びハムスターのような実験動物もまた想定され、何故ならそれらは好都合な試験用系統を提供し得るからである。好ましくは、対象者は人間対象者である。
【0113】
従って、本発明はまた、対象者における疾病又は病態を処置する方法であって、該対象者に有効量の一般式(I)
【化30】

〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0114】
本明細書において用いられる場合、「疾病又は病態を処置する」は、予防処置(たとえば、疾病若しくは病態又はそれらの症状の発症を防ぐ又は遅らせる、あるいはそうでなければ疾病又は病態の症状が明らかになる前に症状の程度つまり重症度を小さくする)又は治療処置(たとえば、1つ又はそれ以上の症状の緩和、あるいは疾病/病態の1つ若しくはそれ以上の症状又はそれらの重症度の進行を止める、逆転させる又はそうでなければ遅くする)のどちらかを指し得る。
【0115】
本明細書に記載された化合物は、適切に応じて処置有効量又は抑制有効量にて投与され得る。処置有効量は、所望の投与計画に従って投与される場合に所望の治療効果(処置される特定の疾病若しくは病態の症状を緩和すること、処置される特定の疾病若しくは病態の発症を防ぐ若しくは遅らせること、処置される特定の疾病若しくは病態の進行を抑制する若しくは遅くすること又は処置される特定の疾病若しくは病態の発症若しくは進行を全く止める若しくは逆転させることの一つ又はそれ以上を含めて)を達成する量を含むよう意図されている。
【0116】
これを達成するべき適当な投薬量及び投与計画は担当医師により決定され得、そして処置される特定の疾病又は病態、疾病又は病態の重症度、並びに対象者の大体の年齢、健康状態及び体重に依存し得る。
【0117】
一般式(I)の化合物は、一回用量で又は連続用量で投与され得る。かかる化合物が単独で投与されることは可能であるけれども、1種又はそれ以上の製薬上受容され得る補助剤と共に該化合物を組成物として好ましくは製薬組成物として提供することが好ましい。
【0118】
かくして、本発明は、更に、一般式(I)の化合物又はその製薬上受容され得る塩若しくはプロドラッグ
【化31】

〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
の、対象者における疾病又は病態を処置するための薬の製造における使用に関する。
【0119】
かかる組成物の処方成分は当業者によく知られており、たとえばRemington's Pharmaceutical Sciences,第18版,Mack Publishing,1990が参照される。該組成物は、任意の適当な担体、希釈剤又は賦形剤を含有し得る。これらは、あらゆる慣用の溶媒、分散媒、増量剤、固体担体、コーティング剤、抗真菌及び抗細菌剤、皮膚浸透剤、界面活性剤、等張及び吸収剤、等を包含する。該組成物はまた、他の補充的生理活性剤を含み得る、ということが理解されるであろう。
【0120】
担体は、組成物のその他の成分との適合性があり且つ対象者に有害でないという意味で製薬上受容され得ねばならない。組成物は、経口、直腸、鼻、局所(皮膚、頬及び舌下を含めて)、膣又は腸管外(皮下、筋肉内、静脈内及び皮内を含めて)投与に適したものを包含する。組成物は好都合には単位投薬形態で提供され得、そして調剤技術においてよく知られた任意の方法により調製され得る。かかる方法は、活性成分と1つ又はそれ以上の補助成分を構成する担体とを連合させる工程を含む。一般的に、組成物は、活性成分と液体担体若しくは微細に分割された固体担体又は両方とを一様に且つ親密に連合させそして次いで必要ならばこの生成物を造形することにより製造される。
【0121】
経口投与に適した組成物は、カプセル、サッシェ若しくはタブレットのような個別ユニット(各々が前もって決定された量の活性成分を含有する)として、粉末若しくは顆粒として、水性若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として、又は水中油型乳濁液若しくは油中水型乳濁液として提供され得る。
【0122】
タブレットは、随意に1つ又はそれ以上の補助成分と共に、圧縮又は成型により作られ得る。圧縮タブレットは、粉末又は顆粒のようなさらさらした形態の活性成分を、随意に結合剤(たとえば不活性希釈剤)、防腐性崩壊剤(たとえばナトリウムデンプングリコレート、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤又は分散剤と混合して、適当な機械で圧縮することにより作製され得る。成型タブレットは、不活性液体希釈剤で湿らされた粉末化合物の混合物を適当な機械で成型することにより作られ得る。タブレットは随意にコーティングされ得又は刻線がつけられ得、また活性成分の徐放又は制御放出をもたらす(たとえば、所望の放出プロフィールをもたらすべく変動する割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて)ように処方され得る。タブレットは、随意に、胃ではなく腸の部分において放出をもたらすために腸溶性コーティング膜を備え得る。
【0123】
口における局所投与のために適した組成物は、風味がつけられた基剤(通常、スクロース、及びアラビア又はトラガカントガム)中の活性成分を含むロゼンジ、不活性基剤(ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアラビアガムのような)中の活性成分を含む錠剤、及び適当な液体担体中の活性成分を含むうがい薬を包含する。
【0124】
皮膚への局所投与のために適した組成物は任意の適当な担体つまり基剤中に溶解又は懸濁された化合物を含み得、そしてローション、ゲル、クリーム、ペースト、軟膏、等の形態にあり得る。適当な担体は、鉱油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ロウ、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルロウ、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水を包含する。経皮性パッチもまた、本発明の化合物を投与するために用いられ得る。
【0125】
直腸投与用組成物は、適当な基剤(たとえば、カカオ脂、グリセリン、ゼラチン又はポリエチレングリコールを含む)を備えた坐剤として提供され得る。
【0126】
膣投与のために適した組成物は、活性成分に加えて適切であると当該技術において知られているような担体を含有する膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー用処方物として提供され得る。
【0127】
腸管外投与のために適した組成物は、水性及び非水性の等張無菌注射溶液(酸化防止剤、緩衝剤、殺細菌剤、及び組成物を予定レシピエントの血液に対して等張にする溶質を含有し得る)、並びに水性及び非水性の無菌懸濁液(懸濁剤及び増粘剤を含み得る)を包含する。組成物は単位用量又は複用量の密封容器(たとえばアンプル及びバイアル)にて提供され得、また使用直前に無菌液体担体(たとえば、注射用の水)の添加しか必要としない凍結乾燥状態で貯蔵され得る。即席の注射溶液及び懸濁液は、先に記載された種類の無菌の粉末、顆粒及びタブレットから調製され得る。
【0128】
本発明の化合物に加えて、組成物は、当該組成物タイプと関連があるところの当該技術において慣用の他の作用剤を含み得、たとえば、経口投与のために適したものは結合剤、甘味料、増粘剤、風味料、崩壊剤、コーティング剤、保存剤、滑剤及び/又は遅効剤のような更なる作用剤を含み得る、ということが理解されるべきである。適当な甘味料は、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルテーム又はサッカライドを含む。適当な崩壊剤は、トウモロコシデンプン、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸又は寒天を含む。適当な風味剤は、ハッカ油、ウィンターグリーン、チェリー、オレンジ又はラズベリー風味の油を含む。適当なコーティング剤は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸及び/又はそれらのエステルのポリマー又はコポリマー、ロウ、脂肪アルコール、ゼイン、シェラック、あるいはグルテンを含む。適当な保存剤は、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、アルファ−トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン又は重亜硫酸ナトリウムを含む。適当な滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム又はタルクを含む。適当な遅効剤は、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートを含む。
【0129】
本発明はまた、一般式(I)のプロドラッグに関する。式(I)の化合物のプロドラッグであるいかなる化合物も、本発明の範囲及び精神内にある。用語「プロドラッグ」はその最も広い意味で用いられ、そして生体内において酵素で又は加水分解でのどちらかで本発明の化合物に転化される誘導体を包含する。かかる誘導体は当業者には容易に思い浮かべられ、そしてたとえば遊離チオール若しくはヒドロキシ基がエステル(たとえばアセテートのような)に転化されている又は遊離アミノ基がアミドに転化されている化合物を包含する。本発明の化合物をアシル化する手順(たとえばエステル及びアミドプロドラッグを製造するために)は当該技術においてよく知られており、そして適当な触媒又は塩基の存在下での適切なカルボン酸、無水物又は塩化物での該化合物の処理を包含し得る。適当なプロドラッグの選択及び製造のための他の慣用の手順は当該技術において知られており、そしてたとえば国際公開第00/23419号パンフレット、Design of Prodrugs,Hans Bundgaard編集,Elsevier Science Publishers,1985、及びThe Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,第8章,pp.352〜401,Academic Press, Inc.,1992(それらの内容は参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0130】
本発明による化合物はまた、ユニークなPDAを提供するために重合され得る。
【0131】
従って、本発明はまた、ポリジアセチレンを製造する方法であって、一般式(I)
【化32】

〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
の1種又はそれ以上のジイン化合物を重合させることを含む方法を提供する。
【0132】
該化合物は、好都合には、ジアセチレン化合物を重合させるために当該技術において知られた技法を用いて重合され得る。たとえば、結晶化及びラングミュア−ブロジェット技法が用いられ得る。
【0133】
ラングミュア−ブロジェット技法は、当該技術において、単層及び多層PDAフィルムを作製するために用いられてきた。この技法は、典型的には、クロロホルムのような溶媒中で水面上にジインモノマーの薄い層を拡げることを伴う。溶媒は急速に蒸発し、しかしてモノマーを互いに及び水面に関して整列させる。次いで、コンピューター制御型可動障壁が一定の圧力を保つように水の表面上のモノマーの層を圧縮する一方、基材(ガラス又は雲母のような)が水の表面を通って上方へもたらされる。これは、基材上へのモノマーの高度に秩序化された単層の堆積をもたらすことになる。数層を作り上げるために、この過程は繰り返され得る。これらの層は、次いで、光重合されて基材上のPDAの極めて薄いフィルムを形成し得る。
【0134】
ラングミュア−ブロジェット技法を用いて形成されたPDAは、それらが典型的には基材上に形成されるので、限定された用途しか有し得ない。その場合に、生じたポリマーは、基材とは独立して用いるために取り去るのが困難であり得る。結晶形態のジイン化合物の重合は、有利なことに、この問題を克服し得る。この技法を用いてPDAを得るために、適当な分子充填を有するジイン化合物の前駆体結晶相を得ることが必要である。ジイン化合物は、重合され得るモノマー結晶相をもたらすように、適切な溶媒から、溶融物から又は蒸気拡散から結晶化され得る。
【0135】
溶媒結晶化が用いられる場合、様々な溶媒が用いられ得る。たとえば、モノカルボン酸のアルキルエステル、アルキルアルコール、パラフィン、オレフィン、ベンゼン、アルキル化ベンゼン、エーテル、ケトン、石油エーテル、ハロゲン化炭化水素及び水のような溶媒が用いられ得る。特定の溶媒の例は、エチルアセテート、メチルプロピオネート、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロペノール、ヘキサン、ヘプタン、1,4−ジメチルヘプタン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、エチルメチルケトン、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエタン及びそれらの混合物を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0136】
結晶化は、たとえば、溶媒又は溶媒配合物の重量部当たり約0.0001から約0.5そして好ましくは約0.002から0.2重量部のモノマーを含有する溶液の蒸発により室温にて行われ得る。
【0137】
昇華、又は飽和溶液を結晶化が起こるところの十分に低い温度(典型的には、室温又は室温より高い)に冷却することによるような他の慣用の再結晶技法も用いられ得る。
【0138】
適当な結晶はまた、当該技術において知られた慣用の技法を用いて、溶融物から成長され得る。
【0139】
ジイン化合物の結晶形態は、次いで、これらのモノマー結晶を化学線、熱又は機械的応力に付すことにより重合され得る。熱により重合される場合、モノマー結晶は、典型的には、結晶の融点より低く且つ生じるポリマーの分解温度より低い温度に付される。
【0140】
化学線の例は、可視、紫外及びガンマ線を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0141】
生じたPDAは、未重合ジイン化合物を抽出するべき適当な溶媒を用いることにより精製され得る。
【0142】
結晶化技法を用いて形成されたPDAは、有利なことに、それらが溶融加工可能、溶液加工可能又は両方であり得るので、液相加工可能であり得る。
【0143】
共役ジイン部分によって重合を受けてPDAを形成することに加えて、一般式(I)の化合物はまた、X−C(O)−CH(OH)−部分によって縮重合を受けて、ペンダントジイン基を呈するポリマー主鎖を有するユニークなポリエステル又はポリエステルアミドを生じ得る。
【0144】
一般式(I)のジイン化合物は、自己縮重合及び/又は1種若しくはそれ以上のコモノマーとの縮重合を受け得る。かかる反応において、一般式(I)におけるXは、一般的に、前記に定義されたとおりの−OR2である。かかる反応に参加するためには、一般式(I)(ここで、X=OR2)の化合物において、少なくともR2は、反応混合物から除去されそしてそれにより反応を重合に向かって進め得る揮発性脱離基を生じるのに分子量が十分に低くなければならない、ということを当業者は理解するであろう。この場合において、R2は、一般的に、H、及び1〜6個の炭素原子を有する有機置換基(C1~6アルキル置換基好ましくはC1~3アルキル置換基のような)から選択される。
【0145】
それ故、本発明はまた、ポリエステル又はポリエステルアミドを製造する方法であって、一般式(I)の1種又はそれ以上のジイン化合物を重合させることを含む方法を提供する。
【0146】
一般式(I)におけるXが縮合反応を受けることの可能な適当な酸又はエステル誘導体を与える場合、α−OH置換基は、かかる化合物が自己縮合を受けてペンダントジイン基を備えた対応するポリエステルポリマー主鎖を形成することを可能にし得る、ということを当業者は理解するであろう。その代わりに、かかる化合物は、1種又はそれ以上の他のコモノマーとの縮重合を受けて、ペンダントジイン基を有するコポリエステル又はポリエステルアミドポリマー主鎖を生じ得る。
【0147】
前記に記載されたようなコポリエステル又はポリエステルアミドを製造するために用いられ得る適当なコモノマーは、2−ヒドロキシエタン酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシパルミチン酸、2−ヒドロキシステアリン酸、2−ヒドロキシオレイン酸、プロピオラクトン、ガンマ−ブチロラクトン、ベータ−ブチロラクトン、カプロラクトン、カプロラクタム、アルファ−及びベータ−アミノ酸、2−ブロモエタン酸、2−ブロモエタニルブロマイド、2−ブロモプロパン酸、2−ブロモプロパニルブロマイド、2−ブロモブタン酸、2−ブロモブタニルブロマイド、2−ブロモエタニルクロライド、2−ブロモプロピオニルクロライド、2−ブロモヘキサニルブロマイド、2−ブロモヘキサニルクロライド、2−ブロモステアリルブロマイド、2−ブロモステアリルクロライド並びにそれらの組合わせを包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0148】
上記に記載されたタイプのポリエステル及びポリエステルアミドはまた、ポリ(グリコール酸)及びポリ(乳酸)のようなポリエステル並びにポリカプロラクタムのようなポリアミドを製造するために用いられるものと同様な開環重合反応によって製造され得る、ということを当業者は理解するであろう。かくして、一般式(I)の化合物は、−X基とα−OH基との自己縮合又は−X及びα−OH部分と1種若しくはそれ以上の他のコモノマーとの縮合によって環内に2個又はそれ以上のエステル基を含む環状エステル(すなわちジラクトン又はより高環状のエステル)を製造するために用いられ得る。一層特定的には、一般式(I)の化合物は、α−OH部分と−C(O)OR2部分の自己縮合又はα−OH及び−C(O)OR2部分と1種若しくはそれ以上の他のコモノマーとの縮合によって環状エステルを製造するために用いられ得る。
【0149】
環状エステルを作るための適当なコモノマーは、2−ヒドロキシエタン酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシパルミチン酸、2−ヒドロキシステアリン酸、2−ヒドロキシオレイン酸、2−ブロモエタン酸、2−ブロモエタニルブロマイド、2−ブロモプロパン酸、2−ブロモプロパニルブロマイド、2−ブロモブタン酸、2−ブロモブタニルブロマイド、2−ブロモエタニルクロライド、2−ブロモプロピオニルクロライド、2−ブロモヘキサニルブロマイド、2−ブロモヘキサニルクロライド、2−ブロモステアリルブロマイド、2−ブロモステアリルクロライド及びそれらの混合物を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0150】
従って、本発明はまた、ポリエステル又はポリエステルアミドを製造する方法であって、環内に2個又はそれ以上のエステル基を有する環状エステルであってしかもこれらのエステル基の少なくとも一つが一般式(I)の化合物の環化縮合物である環状エステルを開環重合により重合させることを含む方法を提供する。
【0151】
句「一般式(I)の化合物の環化縮合物」により、環状エステルの少なくとも一部を形成するように−X部分及びα−OH部分によって縮合を受けた一般式(I)の化合物から生じる反応生成物を定めるよう意図されている、ということが上記の論考及び下記の更なる注釈から理解されるであろう。
【0152】
換言すれば、一般式(I)の化合物の環化縮合物は、下記のスキーム23(ここで、破線は環状エステル構造の残部を表す)に示された残基構造として描かれ得る。
【0153】
【化33】

【0154】
かくして、一般式(I)の化合物の環化縮合物である「環状エステル中のエステル基の少なくとも一つ」により、該エステルの環の少なくとも一部がスキーム23に示された残基構造によって形成されることが意味される。それ故、環状エステルは、一般式(ID)
【化34】

〔ここで、
rは、1から約6好ましくは1から約4の範囲の整数であり、
kは、0から約5好ましくは1から3の範囲の整数であり、
しかもkが0である場合rは少なくとも2であり、そしてrとkの和は約6より大きくなく、
Kは、H及び随意に置換されたアルキル基から好ましくはH及びC1~6アルキル基から選択され、
Dは、随意に置換されたアルキレン及び随意に置換されたアルケニレンから好ましくは随意に置換されたC1~10アルキレン及び随意に置換されたC2~10アルケニレンから選択され、
jは、0又は1から選択され、そして
R、Y、W、R1、n、q及びpは、前記に定義されたとおりである〕
により表される構造を有し得る。
【0155】
式(ID)におけるkが0である場合、構造(ID)は、式(I)の化合物が自己縮合を受けて環状エステルを形成している状況を表すよう意図されている、ということを当業者は理解するであろう。この場合において、rは少なくとも2でなければならない。同様に、式(ID)におけるkが少なくとも1である場合、構造(ID)は、式(I)の化合物が適当なコモノマーとの縮合を受けて環状エステルを形成している状況を表すよう意図されている、ということが理解されるであろう。
【0156】
一般式(ID)の化合物における整数r及びkは、該化合物を作るために用いられた特定の出発化合物及び技法に依存して変動し得る、ということも当業者は理解するであろう。たとえば、環状構造を形成させるために乳酸のようなコモノマーが用いられた場合、rは1であり得、そして環の残部は、下記のスキーム24に示されているように、縮合残基つまり乳酸コモノマーの「環化縮合物」により形成される。式(ID)に関して、下記のスキーム24に示された構造において、r及びkは両方共1であり、Kはメチルであり、そしてjは0である。
【0157】
【化35】

【0158】
式(ID)の所与化合物において、rは、典型的には、1、2、3、4並びに可能的に5及び6の間で変動する。異なる環サイズを有する環状化合物の混合物も形成され得る。
【0159】
環状エステルは、それ自身との又は1種若しくはそれ以上の他の環状エステル若しくは環状アミドコモノマーとの開環重合を受け得る。コモノマーとして、かかる環状エステル又は環状アミドは、それぞれ、環を定める1個又はそれ以上のエステル又はアミド基を含有し得る。コモノマーとして用いるための適当な環状エステル又は環状アミドは、カプロラクトン、ラウリルラクトン、カプロラクタム、ラウリルラクタム及びそれらの混合物を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0160】
一般式(I)の化合物のポリエステル又はポリエステルアミド生成物は、多数の有用な用途を有すると予期される。たとえば、ペンダントジイン基は、これらのポリマーにユニークな生物学的活性を付与し得る。
【0161】
ポリマー生成物のペンダントジイン基はまた、更なる反応のための部位として働き得、しかして特定の用途における使用のためにポリマーが官能基化されるつまり変性されるのを可能にする。たとえば、ペンダントジイン基を変性するために、メタセシス化学が用いられ得る。
【0162】
それ故、本発明はまた、一般式(I)
【化36】

〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、随意に置換されたアリーレン、随意に置換されたヘテロアリーレン、随意に置換されたカルボシクリレン及び随意に置換されたヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
の化合物の重合残基を含むポリマー生成物を提供する。
【0163】
一般式(I)の化合物がポリマー生成物中の「重合残基」であることへの言及により、ポリマー構造内に組み込まれるようになるように一般式(I)の化合物が重合反応に参加したことが意味される。換言すれば、該化合物は、重合反応においてモノマーとして機能した。
【0164】
本発明は、以後、次の非制限的例に関して更に記載される。
【0165】
実施例
一般: 400MHz及び200MHzにて動作するそれぞれブルッカー(Bruker)AV400及びブルッカー(Bruker)AV200で、プロトンNMRスペクトルを得た。特記されていなければ、スペクトルはすべて23℃にて得られた。化学シフトは、δスケールで且つ7.26ppm(1H)におけるクロロホルムピークに関して百万分率(ppm)にて報告される。不活性雰囲気(乾燥窒素又はアルゴンのどちらか)下で行われたすべての反応において、オーブン乾燥ガラス器具が用いられた。別段記載されていなければ、出発物質及び試薬はすべて商業的に得られた。「減圧下」での溶媒の除去は、回転蒸発(低真空ポンプ)による大部分の溶媒除去及び次いで最小限30分間高真空ポンプ(油ポンプ)の適用の過程を指す。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、プラスチック又はアルミニウムで裏打ちされたメルク・キーゼルゲル(Merck Kieselgel)KG60F254シリカ板で遂行され、そして短波長紫外光、カリウムの過マンガン酸塩又はリンモリブデン酸塩の浸液を用いて視覚化された。フラッシュクロマトグラフィーは、230〜400メッシュのメルク・シリカゲル(Merck Silica Gel)60を用いて正圧下で遂行された。テトラヒドロフラン及びジクロロメタンは、不活性雰囲気下で溶媒分配装置から得られた。他の試薬及び溶媒はすべて、購入されたまま用いられた。
【0166】
実施例1
パートA: 11−トリメチルシラニル−ウンデカ−10−イン酸の合成
【化37】

−78℃における無水THF(200ml)中のウンデカ−10−イン酸(5g,27.43mmol)の溶液を、n−BuLi(ヘキサン中1.6M,37.72ml,60.35mmol,2.2モル当量)で処理した。2分間撹拌した後、トリメチルシリルクロライド(10.76ml,85.04mmol,9.24g,3.1モル当量)を添加した。この反応混合物を25℃にゆっくり温め、そして1時間撹拌した。反応を水性2N−HCl(50ml)の添加によりクエンチし、そしてCH2Cl2(3×50ml)で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2,EtOAc−ヘキサン2:1)により、酸(5.3g,20.83mmol,76%)が白色固体としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.61(9H,s)、1.17〜1.39(8H,m)、1.41〜1.53(2H,m)、1.55〜1.68(2H,m)、2.17(2H,t,J=6.5Hz)、2.35(2H,t,J=6.5Hz)。
【0167】
パートB: 2−ヒドロキシ−11−トリメチルシラニル−ウンデカ−10−イン酸の合成
【化38】

乾燥ジイソプロピルアミン(6.71ml,4.85g,47.91mmol,2.3当量)及び乾燥THF(100ml)をアルゴン掃引フラスコ中に導入し、そして0℃に冷却した。n−BuLi(ヘキサン中1.6M,27.34ml,43.74mmol,2.1モル当量)を細流にて導入した。次いで、この混合物を15〜30分間撹拌した。冷却と撹拌を続行しながら、THF(20ml)中の11−トリメチルシラニル−ウンデカ−10−イン酸(5.3g,20.83mmol)の溶液を添加した。撹拌を0℃にて30分間そして次いで50℃にて1.5時間続行した。この反応物を室温に冷却し、そしてこの溶液に酸素を30分間通気した。反応を水(200ml)でクエンチし、そして5N水性HClでpH1に酸性化した。この水性混合物をジエチルエーテル(3×50ml)で抽出し、次いで一緒にした有機層を飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。この粗製生成物を更なる精製なしに続けて反応させた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.62(9H,s)、1.21〜1.69(12H,m)、2.15(2H,t,J=6.8Hz)、4.13(1H,dd,J=13.5,3.2Hz)。
【0168】
パートC: 2−ヒドロキシ−11−トリメチルシラニル−ウンデカ−10−イン酸メチルエステルの合成
【化39】

アルゴン雰囲気下で乾燥メタノール(100ml)中に溶解された2−ヒドロキシ−11−トリメチルシラニル−ウンデカ−10−イン酸(4.8g,17.74mmol)の溶液に、トリメチルシリルクロライド(11.22ml,9.64g,88.74mmol,5当量)を添加した。この混合物を室温にて12時間撹拌した。メタノールを減圧下で除去し、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2,EtOAc−ヘキサン1:2)に付した。精製より、メチルエステル(2.67g,9.40mmol,53%)が透明油としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.62(9H,s)、1.19〜1.67(12H,m)、2.17(2H,t,J=6.9Hz)、3.71(3H,s)、4.13(1H,dd,J=13.5,3.2Hz)。
【0169】
パートD: 2−ヒドロキシ−ウンデカ−10−イン酸メチルエステルの合成
【化40】

乾燥THF(20ml)中の2−ヒドロキシ−11−トリメチルシラニル−ウンデカ−10−イン酸メチルエステル(1.4g,4.92mmol)の溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオライド(THF中1.0M,7.38ml,7.38mmol,1.5当量)を添加した。この暗色溶液を室温にて3時間撹拌し、そして次いで水で希釈した。この混合物をジエチルエーテル(3×30ml)で抽出し、そして一緒にした有機層をNa2SO4で乾燥した。溶媒を除去すると油が残され、そしてこの油を更なる精製なしに用いた。この中間体は、特性決定されないで使用された。
【0170】
パートE: 1−ヨード−ヘプタ−1−インの合成
【化41】

n−BuLi(ヘキサン中1.6M,25.34ml,40.55mmol,1.3当量)をアルゴン下で20℃にて乾燥THF中のヘプタ−1−イン(4.08ml,31.19mmol)の溶液にゆっくり添加し、そして1時間撹拌した。次いで、この混合物を40℃に冷却し、そしてヨウ素で処理した。室温にて12時間撹拌した後、この反応混合物を飽和NH4Cl(100ml)溶液でクエンチし、そしてエチルアセテート(3×50ml)で抽出した。一緒にした有機層を飽和チオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥した。溶媒を除去すると油が残され、そしてこの油を更なる精製なしに用いた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.88(3H,t,J=7.5Hz)、1.32〜1.59(6H,m)、2.35(2H,t,J=6.9Hz)。
【0171】
パートF: 2−ヒドロキシ−オクタデカ−10,12−ジイン酸の合成
【化42】

2−ヒドロキシ−ウンデカ−10−イン酸メチルエステル(1.04g,4.92mmol,0.5当量)を水中の5mlの10%水酸化カリウムの溶液中に懸濁し、そしてヒドロキシルアミン塩酸塩(34.2mg,0.49mmol,0.05当量)を添加した。次いで、1.5gの70%水性エチルアミン中の塩化銅(I)(0.155g,1.57mmol,0.16当量)の溶液から成る触媒を添加した。黄色沈殿物が直ちに形成した。次いで、撹拌しながら、10mlのメタノール中の1−ヨード−ヘプタ−1−イン(2.19g,9.84mmol)の溶液を滴加した。添加後、この懸濁液を1時間撹拌した。この反応混合物を2.5N−HClの添加により酸性化し、濾過し、そして濾液及び沈殿物をジエチルエーテル(3×20ml)で洗浄した。一緒にしたエーテル層を水(20ml)、チオ硫酸ナトリウム溶液(20ml)、水(20ml)そして塩化ナトリウム溶液(20ml)で洗浄した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。石油エーテル下で引っ掻くことにより、この残留物を結晶化するように誘起した。この生成物の結晶を濾過して分離しそして再結晶して、(0.53g,1.81mmol,37%)がもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.88(3H,t,J=7.5Hz)、1.17〜1.55(14H,m)、1.56〜1.71(2H,m)、1.75〜1.81(2H,m)、2.23(4H,m)、4.21。
【0172】
実施例2
パートA: ペンタデカ−8,10−ジイン−1−オールの合成
【化43】

アルゴン雰囲気下でピロリジン(50ml)中の1−ヨード−ヘキサ−1−イン(6.2g,29.80mmol)及びノナ−8−イン−1−オール(2.46g,17.53mmol)の撹拌溶液に、ヨウ化銅(I)(2.98mmol,0.57g)を添加した。室温にて30分間撹拌した後、この混合物を塩化アンモニウムの飽和水溶液で加水分解し、そしてジエチルエーテルで抽出した。この有機抽出液をMgSO4で乾燥し、そして溶媒を真空中で除去した。カラムクロマトグラフィー(SiO2,EtOAc−ヘキサン2:1)により、3.35g(15.19mmol,87%)の純粋なペンタデカ−8,10−ジイン−1−オールがもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.89(3H,t,J=7.3Hz)、1.26〜1.62(14H,m)、2.24(4H,t,J=6.6Hz)、3.62(2H,t,J=7.0Hz)。
【0173】
パートB: 15−ヨード−ペンタデカ−5,7−ジインの合成
【化44】

CH2Cl2(60ml)中のペンタデカ−8,10−ジイン−1−オール(2.6g,11.80mmol)、トリフェニルホスフィン(3.4g,12.98mmol)及びイミダゾール(0.96g,14.16mmol)の溶液に、−10度にてヨウ素(3.14g,12.39mmol)を少しずつ添加した。この溶液を−10℃にて1時間撹拌してから、飽和水性Ns223(80ml)でクエンチした。有機相を分離し、そして水性相をCH2Cl2(3×80ml)で抽出した。一緒にした有機相をNa2SO4で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2,ヘキサン中0%から2%へのEtOAcの傾斜溶離剤)により精製して、純粋な15−ヨード−ペンタデカ−5,7−ジイン3.60g(10.88mmol,92%)がもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.90(3H,t,J=7.3Hz)、1.22〜1.58(12H,m)、1.81(2H,五重線,J=7.2Hz)、2.24(4H,t,J=6.6Hz)、3.18(2H,t,J=7.0Hz)。
【0174】
パートC: 2,3−ジメトキシ−1,3−ブタジエン−ジエンの合成
【化45】

ビアセチル(17.2g,0.2mol)、無水メタノール(25ml,1.25mol)、トリメチルオルトホルメート(63.6g,0.6mol)及び濃硫酸(95滴)の混合物を10時間還流させた。過剰の試薬を蒸留して除去し、そして残存液体を真空蒸留した。リン酸二水素アンモニウム(25mg)及び数個のヒドロキノンの結晶を添加し、そしてこの液体を100度〜110度にて加熱した。メタノールが、いくらかの残存オルトホルメートと一緒にゆっくり留出した。温度を上げ(160度〜170度)、そして無色の油状液体が129度と132度の間で集まった(17.3gつまり76%の粗製ジエン)。再結晶により、b.p.132度〜132.5度の2,3−ジメトキシ−1,3−ブタジエン(15.5g,68%)がもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=3.57(6H,s)、4.02(2H,d,J=1.5Hz)、4.57(2H,d,J=1.5Hz)。
【0175】
パートD: (±)5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−[1,4]ジオキサン−2−オンの合成
【化46】

トリフェニルホスフィン臭化水素酸塩(165mg,0.48mmol)を、室温にてCH2Cl2(10ml)中のヒドロキシ−酢酸(270mg,3.55mmol)及び2,3−ジメトキシ−1,3−ブタジエン(490mg,2.29mmol)の撹拌溶液に添加した。3時間後、この反応混合物をCH2Cl2(20ml)で希釈した。有機相を飽和水性NaHCO3(20ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc4:1)により精製して、ラクトンが白色固体(559mg,83%)としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=1.38(3H,s)、1.49(3H,s)、3.30(3H,s)、3.43(3H,s)、4.14(1H,d,J=17.6Hz)、4.28(1H,d,J=17.6)。
【0176】
パートE: (±)5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−3−ペンタデカ−8,10−ジイニル−[1,4]ジオキサン−オンの合成
【化47】

リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1M,1.0ml)を、−78度にてTHF(5ml)中の5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−[1,4]ジオキサン−2−オン(200mg,1.05mmol)の撹拌溶液に添加した。15分後、15−ヨード−ペンタデカ−5,7−ジイン(1.04g,3.15mmol)を添加し、そしてこの溶液を−78度にて1時間撹拌しそして次いで−20度に2.5時間温めた。反応を−20度にて酢酸(0.148ml,2.1mmol)でクエンチし、Et2Oを添加し、そして沈殿した塩をシリカの充填物を通じての濾過により除去した。この粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2,Et2O−ガソリン8:1)で精製して、ラクトンが無色油0.17g(0.44mmol,42%)としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.89(3H,t,J=7.2Hz)、1.25〜1.56(14H,m)、1.38(3H,s)、1.47(3H,s)、1.85(2H,四重線,J=6.2Hz)、2.23(4H,四重線,J=5.9Hz)、3.30(3H,s)、3.41(3H,s)、4.13(1H,t,J=5.8Hz)。
【0177】
パートF: 2−ヒドロキシ−ヘプタデカ−10,12−ジイン酸メチルエステルの合成
【化48】

(±)5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−3−ペンタデカ−8,10−ジイニル−[1,4]ジオキサン−オン(0.15g,0.38mmol)をメタノール(7ml)中のトリメチルシリルクロライド(2.29mmol,0.249g)の0.3M溶液中に溶解し、そして室温にて25分間撹拌した。この反応物を真空中で濃縮して、純粋な生成物が95%の収率(0.36mmol,105mg)にてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.90(3H,t,J=7.3Hz)、1.22〜1.56(14H,m)、1.56〜1.69(1H,m)、1.71〜1.84(1H,m)、2.00〜2.55(1H,br)、3.79(3H,s)、4.18(1H,dd,J1=3.4,J2=7.7)。
【0178】
パートG: 2−ヒドロキシ−ヘプタデカ−10,12−ジイン酸の合成
【化49】

(±)5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−3−ペンタデカ−8,10−ジイニル−[1,4]ジオキサン−オン(0.15g,0.38mmol)をTFA−H2O(9:1,5ml)の溶液中に溶解し、そして室温にて45分間撹拌した。NaOH(2.5M,5ml)を添加し、この混合物を15分間撹拌し、そして次いでCH2Cl2(20ml)で抽出した。水性層を3N−HClで酸性化し、EtOAc(10ml)で抽出し、乾燥(MgSO4)しそして真空中で濃縮して、純粋な生成物が91%の収率(0.35mmol,96mg)にてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.89(3H,t,J=7.2Hz)、1.21〜1.54(14H,m)、1.58〜1.72(1H,m,)、1.75〜1.87(1H,m)、4.18(1H,dd,J1=3.4,J2=7.7)、10.2〜10.8(2H,br)。
【0179】
実施例3
パートA: 2−ヒドロキシ−ヘプタデカ−10,12−ジイン酸の結晶化
メタノール(30ml)中の2−ヒドロキシ−ヘプタデカ−10,12−ジイン酸(100mg,0.36mmol)の溶液を真空下で40℃にて容量について1mlに低減し、そしてテトラヒドロフラン中の塩酸溶液(1M−aq HCl,20mlのTHF中20ml)を添加した。この溶液を室温にて夜通し撹拌しそしてその後溶媒を除去して、透明油がもたらされた。これをジクロロメタン(1ml)中に溶解し、そして次いでこの中にヘキサンを−10℃における密封系において遅速蒸気拡散により導入した。3日後、2−ヒドロキシ−ヘプタデカジイン酸のよく形成された結晶がジクロロメタン中に出現していた。
【0180】
パートB: 2−ヒドロキシ−ヘプタデカ−10,12−ジイン酸の単結晶の重合
上記のパートAにおいて概略されたようにして製造された数個の単結晶を取り、そして小さい手持ちランプからのUV線(254nm)に暴露した。数秒の暴露後、これらの結晶は深青色に変わった。有機溶媒又は高温に暴露すると、これらの結晶は深赤色に変わった。−10℃にて1週間貯蔵後、これらの透明結晶は、ジアセチレン基の熱重合に因り、明るい青の色相を呈していた。
【0181】
実施例4
パートA: 4−[(トリメチルシリル)エチニル]ベンズアルデヒドの合成
【化50】

300mlの無水トリエチルアミン中の24.5g(132mmol)の4−ブロモベンズアルデヒド及び1.00gのトリフェニルホスフィンの脱気溶液を、アルゴン下で、20.0g(204mmol)のエチニルトリメチルシランそして次いで0.3gの酢酸パラジウム(II)で処理した。この混合物を還流にて2時間加熱し、冷却しそして濾過して、24.0g(100%)のトリエチルアミン臭化水素酸塩がもたらされた。濾液を濃縮して油にし、そしてこの油は固化して長い針状結晶になった。この粗製物質をヘキサン中に溶解しそしてシリカを通じて濾過して、26.3g(130mmol,98.6%)の4−[(トリメチルシリル)エチニル]ベンズアルデヒドがもたらされた。この物質を何ら更なる精製なしに次工程において用いた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.21(s,9H)、7.60(q,4H,J=7.0Hz)、9.85(s,1H)。
【0182】
パートB: 4−[(トリメチルシリル)エチニル−フェニル]メタノールの合成
【化51】

乾燥エタノール(10ml)中の4−[(トリメチルシリル)エチニル]ベンズアルデヒド(0.50g,2.47mmol)の撹拌溶液に、ホウ水素化ナトリウム(0.32g,8.50mmol)を添加した。還元は、室温にてほとんど瞬間的であった。この反応混合物を半飽和塩化アンモニウム水溶液(30ml)で注意深くクエンチし、そしてジクロロメタン(2×20ml)で抽出した。一緒にした有機層を飽和ブライン(2×15ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過しそして減圧下で濃縮して、4−[(トリメチルシリル)エチニル−フェニル]メタノール(0.47g,2.23mmol,94%)がもたらされた。この物質を何ら更なる精製なしに次工程において用いた。
1H−NMR(CDCl3,200MHz): δ[ppm]=0.25(s,9H)、1.65(t,1H,J=5.9Hz)、4.69(d,2H,J=5.8Hz)、7.29(d,2H,J=8.3Hz)、7.46(d,2H,J=8.3Hz)。
【0183】
パートC: (4−エチニル−フェニル)−メタノールの合成
【化52】

4−[(トリメチルシリル)エチニル−フェニル]メタノール(0.47g,2.30mmol)を、アルゴン下で室温にて2時間、10mlのメタノール中の炭酸カリウム(0.34g,2.47mmol)で処理した。この溶液を半飽和塩化アンモニウム水溶液(30ml)でクエンチし、そしてエーテル(2×25ml)で抽出した。一緒にした有機層を飽和ブライン(2×20ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過しそして減圧下で濃縮して、生成物が淡黄色油として定量的収率にてもたらされた。この物質を何ら更なる精製なしに次工程において用いた。
1H−NMR(CDCl3,200MHz): δ[ppm]=1.67(t,1H,J=5.9Hz)4.71(d,2H,J=5.9Hz)、7.32(d,2H,J=8.5Hz)、7.50(d,2H,J=8.5Hz)。
【0184】
パートD: (4−ドデカ−1,3−ジイニル−フェニル)−メタノールの合成
【化53】

脱気ピペリジン(10ml)中の(4−エチニル−フェニル)−メタノール(0.50g,3.78mmol)及び1−ヨードデシン(3.00g,11.4mmol)の溶液を、アルゴン下で0℃に冷却した。塩化銅(I)(14.0mg,0.38mmol)を添加し、そしてこの反応混合物を室温に温めた。1時間後、この反応混合物を半飽和塩化アンモニウム水溶液(30ml)でクエンチし、そしてジエチルエーテル(2×20ml)で抽出した。一緒にした有機層を飽和ブライン(2×20ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。シリカでのクロマトグラフィー(石油スピリット中15%エチルアセテート)により、(4−ドデカ−1,3−ジイニル−フェニル)−メタノール(0.44g,1.63mmol)がもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,200MHz): δ[ppm]=0.85(t,3H,J=6.7Hz)、1.75〜1.17(m,13H)、2.36(t,2H,J=6.9Hz)、4.70(d,2H,J=5.9Hz)、7.30(d,2H,J=8.2Hz)、7.47(d,2H,J=8.2Hz)。
【0185】
パートE: 1−ブロモメチル−4−ドデカ−1,3−ジイニル−ベンゼンの合成
【化54】

アセトニトリル(30ml)中の(4−ドデカ−1,3−ジイニル−フェニル)−メタノール(2.97g,11.0mmol)及びピリジン(17.7mmol,1.40ml)の溶液に、0℃にて10分で固体PPh3Br2(6.10g,14.40mmol)を添加した。室温にて1時間撹拌した後(アルコールの消失がTLCによりチェックされる)、この反応混合物をシリカゲルの短い詰め物を通じて濾過しそしてエーテル−ペンタン1/10(200ml)ですすいで、純粋な臭化物(3.10g,9.36mmol,85%)がもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.88(t,3H,J=6.0Hz)1.67〜1.11(m,12H)、2.36(t,2H,J=6.8Hz)、4.46(s,2H)、7.32(d,2H,J=8.3Hz)、7.44(d,2H,J=8.3Hz)。
【0186】
パートF: 3−(4−ドデカ−1,3−ジイニル−ベンジル)−5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−[1,4]ジオキサン−2−オンの合成
【化55】

リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1M,3.12ml)を、−78℃にてTHF(20ml)中の5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−[1,4]ジオキサン−2−オン(0.59g,3.12mmol)の撹拌溶液に添加した。15分後、1−ブロモメチル−4−ドデカ−1,3−ジイニル−ベンゼン(3.10g,9.36mmol)を添加し、そしてこの溶液を−78℃にて1時間撹拌しそして次いで−20℃に2.5時間温めた。反応を−20℃にて酢酸(0.36ml,6.24mmol)でクエンチし、次いでEt2O(20ml)を添加し、そして沈殿した塩をシリカの充填物を通じての濾過により除去した。この粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2,Et2O−ガソリン8:1)により精製して、ラクトンが無色油(1.21g,2.75mmol,88%)としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.89(t,3H,J=6.6Hz)、1.46〜1.22(m,16H)、1.62〜1.52(m,2H)、2.35(t,2H,J=7.0Hz)、3.06(s,3H)、3.15(d,2H,J=5.5Hz)、3.24(s,3H)、4.37(t,1H,J=5.0Hz)、7.22(d,2H,J=8.3Hz)、7.38(d,2H,J=8.3Hz)。
【0187】
パートG: 3−(4−ドデカ−1,3−ジイニル−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロピオン酸の合成
【化56】

3−(4−ドデカ−1,3−ジイニル−ベンジル)−5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−[1,4]ジオキサン−2−オン(0.15g,0.38mmol)をTFA−H2O(9:1,5ml)の溶液中に溶解し、そして室温にて45分間撹拌した。NaOH(2.5M,5ml)を添加し、この混合物を15分間撹拌し、そして次いでCH2Cl2(3×20ml)で抽出した。一緒にした有機層を3N−HClで洗浄し、乾燥(MgSO4)しそして真空中で濃縮して、純粋な生成物が91%の収率(0.35mmol,96mg)にてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,200MHz): δ[ppm]=0.88(t,3H,J=6.2Hz)、1.68〜1.07(m,12H)、2.35(t,2H,J=6.8Hz)、2.98(dd,1H,J=14.0Hz,J=7.0Hz)、3.21(dd,1H,J=14Hz,J=3.9Hz)、4.51(dd,1H,J=7.0Hz,J=3.9Hz)、7.20(d,2H,J=8.1Hz)、7.42(d,2H,J=8.1Hz)。
【0188】
パートH: 3−(4−ドデカ−1,3−ジイニル−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロピオン酸メチルエステルの合成
【化57】

3−(4−ドデカ−1,3−ジイニル−ベンジル)−5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−[1,4]ジオキサン−2−オン(0.15g,0.34mmol)をMeOH(5ml,2.5mmol)中のTMS−クロライドの0.5M溶液中に溶解し、そして室温にて30分間撹拌した。この反応物を飽和水性NaHCO3(20ml)で希釈し、水性層をCH2Cl2(3×20ml)で抽出し、乾燥(MgSO4)しそして真空中で濃縮して、エステルが黄色油(0.11g,0.32mmol,94%)としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.89(t,3H,J=6.2Hz)、1.61〜1.20(m,12H)、2.35(t,2H,J=7.0Hz)、2.72(d,1H,J=5.9Hz)、2.95(dd,1H,J=14.0Hz,J=7.0Hz)、3.11(dd,1H,J=14.0Hz,J=3.9Hz)、3.77(s,3H)、4.44(ddd,1H,J=4.5Hz,J=6.2Hz,J=10.4Hz)、7.15(d,2H,J=8.1Hz)、7.40(d,2H,J=8.1Hz)。
【0189】
パートI: N−ベンジル−3−(4−ドデカ−1,3−ジイニル−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロピオンアミドの合成
【化58】

3−(4−ドデカ−1,3−ジイニル−ベンジル)−5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−[1,4]ジオキサン−2−オン(0.15g,0.34mmol)をベンジルアミン(5ml)中に溶解し、そして室温にて120時間撹拌した。この反応物を真空中で濃縮して、アミンが白色固体(0.16mmol,0.06g,47%)としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.87(t,3H,J=6.8Hz)、1.62〜1.24(m,12H)、2.36(t,2H,J=7.0Hz)、3.01〜2.75(br,1H)、3.11(dd,1H,J=13.8Hz,J=3.1Hz)、3.28(dd,1H,J=13.8Hz,J=3.3Hz)、3.88(s,1H)、4.39〜4.29(m,2H)、4.80(d,1H,J=15.3Hz)、7.42〜7.12(m,10H)。
【0190】
実施例5
パートA: 11−ヨード−ウンデカ−10−イン−1−オールの合成
【化59】

ヘキサン(68.3mmol,27.3ml)中のn−ブチルリチウムの2.5モル溶液をアルゴン下で−20℃にて乾燥THF(500ml)中のウンデカ−10−イン−1−オール(5.00g,29.7mmol)の溶液にゆっくり添加し、そして1時間撹拌した。この反応混合物を−40℃に冷却し、そしてヨウ素(38.6mmol,9.80g)で処理した。室温にて12時間撹拌した後、この反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液(1000ml)でクエンチし、そしてジエチルエーテル(2×300ml)で抽出した。一緒にした有機層を半飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(2×200ml)そして飽和ブライン(2×20ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過しそして減圧下で濃縮して、11−ヨード−ウンデカ−10−イン−1−オールが定量的収率にてもたらされた。この物質を何ら更なる精製なしに次工程において用いた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=1.73〜1.18(m,14H)、2.34(t,2H,J=7.0Hz)、3.62(t,2H,J=6.6Hz)。
【0191】
パートB: 13−フェニル−トリデカ−10,12−ジイン−1−オールの合成
【化60】

脱気ピペリジン(50ml)中の11−ヨード−ウンデカ−10−イン−1−オール(29.7mmol,8.74g)及びエチニルベンゼン(89.1mmol,9.80ml)の溶液を、アルゴン下で0℃に冷却した。ヨウ化銅(I)(0.57g,2.97mmol)を添加し、そしてこの反応混合物を室温に温めた。1時間後、この反応混合物を半飽和塩化アンモニウム水溶液(200ml)でクエンチし、そしてジエチルエーテル(2×200ml)で抽出した。一緒にした有機層を飽和ブライン(2×200ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。シリカでのクロマトグラフィー(石油スピリット中15%エチルアセテート)により、13−フェニル−トリデカ−10,12−ジイン−1−オール(4.98g,18.6mmol)がもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,200MHz): δ[ppm]=1.66〜1.07(m,14H)、2.36(t,2H,J=6.8Hz)、3.64(2H,J=5.5Hz,J=6.4Hz)、7.36〜7.22(m,3H)、7.52〜7.42(m,2H)。
【0192】
パートC: (13−ヨード−トリデカ−1,3−ジイニル)−ベンゼンの合成
【化61】

CH2Cl2(50ml)中の13−フェニル−トリデカ−10,12−ジイン−1−オール(0.50g,1.86mmol)、PPh3(0.54g,2.05mmol)及びイミダゾール(0.15g,2.23mmol)の溶液に、−10℃にてI2(0.50g,1.95mmol)を少しずつ添加した。この溶液を−10℃にて1時間撹拌してから、飽和水性Ns223(30ml)でクエンチした。有機相を分離し、そして水性相をCH2Cl2(3×20ml)で抽出した。一緒にした有機相をNa2SO4で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0%から2%へのEtOAcの傾斜溶離剤)により精製して、ヨウ化物が淡黄色油(0.43g,61%)としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,200MHz): δ[ppm]=1.66〜1.05(m,13H)、1.91〜1.68(m,2H)、2.36(t,2H,J=6.8Hz)、3.19(t,2H,J=7.0Hz)、7.38〜7.24(m,3H)、7.53〜7.42(m,2H)。
【0193】
パートD: 5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−3−(13−フェニル−トリデカ−10,12−ジイニル)−[1,4]ジオキサン−2−オンの合成
【化62】

リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1M,2.36ml)を、−78℃にてTHF(20ml)中の5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−[1,4]ジオキサン−2−オン(0.50g,2.36mmol)の撹拌溶液に添加した。15分後、(13−ヨード−トリデカ−1,3−ジイニル)−ベンゼン(2.98g,7.88mmol)を添加し、そしてこの溶液を−78℃にて1時間撹拌しそして次いで−20℃に2.5時間温めた。反応を−20℃にて酢酸(0.31ml,5.26mmol)でクエンチし、次いでEt2O(20ml)を添加し、そして沈殿した塩をシリカの充填物を通じての濾過により除去した。この粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2,Et2O−ガソリン8:1)によって精製して、ラクトンが無色油0.41g(0.92mmol,39%)としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=1.60〜1.23(m,20H)、1.86(四重線,2H,J=7.8Hz)、2.36(t,2H,J=7.0Hz)、3.30(s,3H)、3.42(s,3H)、7.37〜7.26(m,3H)、7.51〜7.46(m,2H)。
【0194】
パートE: 2−ヒドロキシ−15−フェニル−ペンタデカ−12,14−ジイン酸の合成
【化63】

5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−3−(13−フェニル−トリデカ−10,12−ジイニル)−[1,4]ジオキサン−2−オン(0.15g,0.38mmol)をTFA−H2O(9:1,5ml)の溶液中に溶解し、そして室温にて45分間撹拌した。NaOH(2.5M,5ml)を添加し、この混合物を15分間撹拌し、そして次いでCH2Cl2(20ml)で抽出した。水性層を3N−HClで酸性化し、EtOAc(10ml)で抽出し、乾燥(MgSO4)しそして真空中で濃縮して、純粋な生成物が91%の収率(0.35mmol,96.0mg)にてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=1.62〜1.22(m,14H)、1.79〜1.62(m,1H)、1.92〜1.77(m,1H)、2.36(t,J=7.02Hz,2H)、4.28(dd,J=7.2Hz,J=4.1Hz,1H)、7.35〜7.27(m,3H)、7.53〜7.42(m,2H)。
【0195】
パートF: 2−ヒドロキシ−15−フェニル−ペンタデカ−12,14−ジイン酸イソプロピルエステルの合成
【化64】

5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−3−(13−フェニル−トリデカ−10,12−ジイニル)−[1,4]ジオキサン−2−オン(0.10g,0.27mmol)をiPrOH(5ml,2.5mmol)中のTMSクロライドの0.50M溶液中に溶解し、そして80℃にて45時間加熱して還流させた。この反応物を飽和水性NaHCO3(20ml)で希釈し、水性層をCH2Cl2(3×10ml)で抽出し、乾燥(MgSO4)しそして真空中で濃縮して、エステルが黄色油(85.0mg,0.23mmol,86%)としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=1.81〜1.23(m,22H)、2.35(t,2H,J=7.0Hz)、2.75(br,1H)、4.12(dd,1H,J=4.3Hz,J=2.2Hz)、5.10(七重線,1H,J=6.3Hz)、7.35〜7.26(m,3H)、7.50〜7.46(m,2H)。
【0196】
パートG: 2−ヒドロキシ−1−モルホリン−4−イル−15−フェニル−ペンタデカ−12,14−ジイン−1−オンの合成
【化65】

5,6−ジメトキシ−5,6−ジメチル−3−(13−フェニル−トリデカ−10,12−ジイニル)−[1,4]ジオキサン−2−オン(0.08g,0.18mmol)をモルホリン(5ml)中に溶解し、そして室温にて48時間撹拌した。この反応物を真空中で濃縮して、アミドが無色油(0.15mmol,60mg,83%)としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=1.46〜1.21(m,12H)、1.62〜1.51(m,2H)、1.77〜1.65(m,2H)、2.36(t,J=7.0Hz,2H)、3.78〜3.55(m,8H)、4.38(t,J=7.1Hz,1H)、7.36〜7.24(m,3H)、7.50〜7.44(m,2H)。
【0197】
実施例6
パートA: 2−ヒドロキシ−ペンタ−4−イン酸の合成
【化66】

プロパルギルグリシン(1.50g,13.3mmol,1.00モル当量)を1M−H2SO4(52.0ml)中に溶解し、そして−2℃に冷却した。温度を10℃未満に保ちながら、亜硝酸ナトリウムの水溶液(40%(w/w),6.6ml)を滴加した。添加が完了した後、この反応混合物を0℃に3時間保持し、そして次いで23℃に温めそして16時間撹拌した。この反応混合物をMTBE(3×75ml)で抽出し、一緒にした有機相をNa2SO4で乾燥しそして蒸発させて、2−ヒドロキシ−ペンタ−4−イン酸が黄色油(1.00g,66%)としてもたらされ、そしてこの油を更なる精製なしに用いた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=2.11(t,1H,J=2.6Hz)、2.73(ddd,1H,J=17.0Hz,J=5.3Hz,J=2.6Hz)、2.81(ddd,1H,J=17.0Hz,J=4.8Hz,J=2.6Hz)、4.43(t,1H,5.1Hz)。
【0198】
パートB: 2−ヒドロキシ−ペンタデカ−4,6−ジイン酸
【化67】

2−ヒドロキシ−ペンタ−4−イン酸(1.00g,8.76mmol)を10%(w/w)KOH水溶液(10ml)中に溶解した。エチルアミン(6ml)(70%水溶液)中のCuCl(2.19mmol,216mg)を添加し、そして次いでヒドロキシルアミン塩酸塩(0.43mmol,30.0mg)を添加した。この黄色溶液に、10mlのメタノール中に溶解された1−ヨード−デカ−1−イン(11.4mmol,3.00g)を添加した。このヨードアルキンの添加で反応混合物は青色に変わり、そして次いで数滴の10%(w/w)ヒドロキシルアミン塩酸塩水溶液の添加で黄色に変わった。ヨードアルキンのすべてが反応するまでこれらの工程を繰り返して、15分で完了した。次いで、この反応混合物を30%(w/w)HClで酸性化し、そしてジエチルエーテルで抽出した。この粗製生成物の分析サンプルを、ヘキサンからの再結晶により得た。この粗製生成物を更なる精製なしにメチルエステルに転化させた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=(t,3H,J=6.7Hz)、1.42〜1.19(m,10H)、1.51(五重線,2H,J=6.8Hz)、2.24(t,2H,J=7.0Hz)、2.78(dd,1H,J=17.4Hz,J=5.4Hz)、2.88(dd,1H,J=17.4Hz,J=3.6Hz)、4.07〜3.01(br,2H)、4.40(t,1H,J=4.9Hz)。
【0199】
パートC: 2−ヒドロキシ−ペンタデカ−4,6−ジイン酸メチルエステル
【化68】

2−ヒドロキシ−ペンタデカ−4,6−ジイン酸(0.10g,0.38mmol)をメタノール(5ml)中に溶解した。TMSクロライド(0.50ml)をアルゴン下で添加し、そしてこの反応混合物を室温にて夜通し撹拌した。過剰のメタノール及びTMSクロライドを減圧下で除去し、そして生成物が黄色油として定量的収率にて得られた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.88(t,3H,J=6.3Hz)、1.38〜1.22(m,10H)、1.51(五重線,2H,J=6.8Hz)、2.23(t,2H,J=7.0Hz)、2.72(dd,1H,J=17.3Hz,J=5.3Hz)、2.79(dd,1H,J=17.3Hz,J=5.5Hz)、4.32(t,1H,J=5.0Hz)。
【0200】
実施例7
パートA: 3−メチル−6−トリデカ−2,4−ジイニル−[1,4]ジオキサン−2,5−ジオンの合成
【化69】

トリエチルアミン(24.3mmol,3.39ml)を、アルゴン下で、乾燥THF(150ml)中の2−ヒドロキシ−ペンタデカ−4,6−ジイン酸(1.52g,6.07mmol)及び2−ブロモ−プロピオニル−ブロマイド(9.75mmol,1.03ml)の0℃溶液に滴加した。0℃にて夜通し撹拌した後、白色固体を濾過により除去し、そして濾液を濃縮した。残留褐色油及び追加のトリエチルアミン(24.3mmol,3.39ml)をアセトン中に溶解し、そして夜通し還流させた。溶媒を真空中で除去した後、残留物をジエチルエーテル(200ml)中に再溶解し、0.5M−HCl(3×200ml)そして飽和NaHCO3(3×200ml)で洗浄し、そしてMgSO4で乾燥した。エーテルの除去により褐色油がもたらされ、そしてこの油をカラムクロマトグラフィー(SiO2,85/15ヘキサン−エチルアセテート)により3回精製して、(0.02g,0.07mmol,1.1%)の褐色油がもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.89(t,3H,J=6.4Hz)、1.21〜1.64(m,17H)、2.13〜1.93(br,1H)、2.24(t,2H,J=6.9Hz)、2.62〜2.93(m,2H)、4.89〜5.10(m,2H)。
【0201】
実施例8
パートA: 8−トリメチルシラニル−オクタ−7−イン酸の合成
【化70】

−78℃における無水THF(200ml)中のオクタ−7−イン酸(5.00g,35.70mmol)の溶液を、n−BuLi(ヘキサン中1.6M,49.1ml,78.5mmol,2.20モル当量)で処理した。2分間撹拌した後、トリメチルシリルクロライド(14.0ml,110mmol,12.0g,3.10モル当量)を添加した。この反応混合物を25℃にゆっくり温め、そして1時間撹拌した。反応を水性2N−HCl(50ml)の添加でクエンチし、そしてCH2Cl2(3×50ml)で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2,EtOAc−ヘキサン2:1)により、酸(5.98g,28.2mmol,79%)が白色固体としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.61(9H,s)、1.17〜1.71(6H,m)、2.19(2H,t,J=6.6Hz)、2.33(2H,t,J=6.4Hz)。
【0202】
パートB: 2−ヒドロキシ−8−トリメチルシラニル−オクタ−7−イン酸の合成
【化71】

乾燥ジイソプロピルアミン(8.32ml,6.01g,59.4mmol,2.30当量)及び乾燥THF(100ml)をアルゴン掃引フラスコ中に導入し、そして0℃に冷却した。n−BuLi(ヘキサン中1.6M,33.9ml,54.2mmol,2.10モル当量)を細流にて導入した。次いで、この混合物を15〜30分間撹拌した。冷却と撹拌を続行しながら、THF(20ml)中の8−トリメチルシラニル−オクタ−7−イン酸(5.90g,25.9mmol)の溶液を添加した。撹拌を0℃にて30分間そして次いで50℃にて1.5時間続行した。この反応物を室温に冷却し、そしてこの溶液に酸素を30分間通気した。反応を水(200ml)でクエンチし、そして5N水性HClでpH1に酸性化した。この水性混合物をジエチルエーテル(3×50ml)で抽出し、一緒にした有機層を飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。この粗製生成物を更なる精製なしに続けて反応させた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.61(9H,s)、1.17〜1.65(6H,m)、2.15(2H,t,J=6.8Hz)、4.17(1H,dd,J=13.4,3.3Hz)。
【0203】
パートC: 2−ヒドロキシ−8−トリメチルシラニル−オクタ−7−イン酸メチルエステルの合成
【化72】

アルゴン雰囲気下で乾燥メタノール(100ml)中に溶解された2−ヒドロキシ−8−トリメチルシラニル−オクタ−7−イン酸(4.42g,19.4mmol)の溶液に、トリメチルシリルクロライド(12.2ml,10.5g,96.7mmol,5モル当量)を添加した。この混合物を室温にて12時間撹拌した。メタノールを減圧下で除去し、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2,EtOAc−ヘキサン1:2)に付した。精製より、メチルエステル(2.58g,10.7mmol,55%)が透明油としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.63(9H,s)、1.22〜1.70(6H,m)、2.15(2H,t,J=6.8Hz)、3.70(3H,s)、4.14(1H,dd,J=13.5,3.3Hz)。
【0204】
パートD: 2−ヒドロキシ−オクタ−7−イン酸メチルエステルの合成
【化73】

乾燥THF(20ml)中の2−ヒドロキシ−8−トリメチルシラニル−オクタ−7−イン酸メチルエステル(2.13g,8.80mmol)の溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオライド(THF中1.0M,13.2ml,13.2mmol,1.5モル当量)を添加した。この暗色溶液を室温にて3時間撹拌し、そして次いで水で希釈した。この混合物をジエチルエーテル(3×30ml)で抽出し、そして一緒にした有機層をNa2SO4で乾燥した。溶媒を除去すると油が残され、そしてこの油を更なる精製なしに用いた。この中間体は、特性決定されないで使用された。
【0205】
パートE: 1−ヨード−オクタ−1−インの合成
【化74】

n−BuLi(ヘキサン中1.6M,25.3ml,40.6mmol,1.3モル当量)をアルゴン下で20℃にて乾燥THF中のオクタ−1−イン(3.44g,31.2mmol)の溶液にゆっくり添加し、そして1時間撹拌した。次いで、この混合物を40℃に冷却し、そしてヨウ素(34.3mmol,8.68g,1.1モル当量)で処理した。室温にて12時間撹拌した後、この反応混合物を飽和NH4Cl(100ml)溶液でクエンチし、そしてエチルアセテート(3×50ml)で抽出した。一緒にした有機層を飽和チオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥した。溶媒を除去すると油が残され、そしてこの油を更なる精製なしに用いた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.88(3H,t,J=7.5Hz)、1.31〜1.63(8H,m)、2.35(2H,t,J=6.9)。
【0206】
パートF: 2−ヒドロキシ−ヘキサデカ−7,9−ジイン酸の合成
【化75】

2−ヒドロキシ−オクタ−7−イン酸メチルエステル(0.98g,5.77mmol,0.5モル当量)を水中の5mlの10%(w/w)水酸化カリウムの溶液中に懸濁し、そしてヒドロキシルアミン塩酸塩(40.0mg,0.57mmol,0.05モル当量)を添加した。次いで、1.90gの70%水性エチルアミン中の塩化銅(I)(0.41g,2.81mmol,0.16モル当量)の溶液から成る触媒を添加した。黄色沈殿物が直ちに形成した。撹拌しながら、10mlのメタノール中の1−ヨード−オクタ−1−イン(2.72g,11.5mmol)の溶液を滴加した。添加後、この懸濁液を1時間撹拌した。この反応混合物を2.5N−HClの添加により酸性化し、濾過し、そして濾液及び沈殿物をジエチルエーテル(3×20ml)で洗浄した。一緒にしたエーテル層を水(20ml)、チオ硫酸ナトリウム溶液(20ml)、水(20ml)そして塩化ナトリウム溶液(20ml)で洗浄した。Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧下で除去した。石油エーテル下で引っ掻くことにより、この残留物を結晶化するように誘起した。この生成物の結晶を濾過して分離しそして再結晶して、(0.53g,2.02mmol,35%)がもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.88(3H,t,J=7.4Hz)、1.14〜1.58(12H,m)、1.59〜1.73(2H,m)、1.75〜1.85(2H,m)、2.25〜2.37(4H,m)、4.21(1H,dd,J=13.5,3.2Hz)。
【0207】
パートG: 2−ヒドロキシ−ヘキサデカ−7,9−ジイン酸メチルエステルの合成
【化76】

アルゴン雰囲気下で乾燥メタノール(10ml)中に溶解された2−ヒドロキシ−ヘキサデカ−7,9−ジイン酸(0.10g,0.38mmol)の溶液に、トリメチルシリルクロライド(5モル当量)を添加した。この混合物を室温にて12時間撹拌した。メタノールを減圧下で除去し、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2,EtOAc−ヘキサン1:2)に付した。精製より、メチルエステルが透明油として定量的収率にてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): δ[ppm]=0.88(3H,t,J=7.4Hz)、1.14〜1.58(12H,m)、1.59〜1.73(2H,m)、1.75〜1.85(2H,m)、2.25〜2.37(4H,m)、4.21(1H,dd,J=13.5,3.2Hz)。
【0208】
実施例9
パートA: (2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルオクタデカ−6,8−ジイノエートの合成
【化77】

先に記載された方法によって製造されたオクタデカ−6,8−ジイン酸(1.54g,5.57mmol)をトルエン(200ml)中に溶解し、そしてソルケタール(solketal)(過剰,30ml)及びp−トルエンスルホン酸(10mg)を添加した。ディーン−スターク装置を用いて、この溶液を還流にて24時間加熱した。この後、トルエンを減圧下で70℃にて除去し、ジクロロメタン(200ml)中に溶解し、水(2×200ml)そしてブライン(1×200ml)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、そして生成物をシリカで精製した(3:1のエチルアセテート:ヘキサンで溶離した)。溶媒の除去により、生成物が明黄色油(1.05g,2.69mmol,48%)としてもたらされた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): 0.88(3H,t)、1.25〜1.43(12H,m)、1.37(6H,s)、1.63(2H,m)、2.13(2H,m)、2.34(2H,t)、3.74(1H,t)、4.05〜4.18(3H,m)、4.31(1H,m)。
【0209】
パートB: 2,3−ジヒドロキシプロピルオクタデカ−6,8−ジイノエートの合成
【化78】

(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルオクタデカ−6,8−ジイノエート(400mg,1.02mmol)をアセトニトリル(40ml)中に溶解し、そしてアンバーリスト15樹脂(200mg)を添加し、そして還流にて夜通し加熱した。濾過してアンバーリスト樹脂を除去した後、アセトニトリルを減圧下で除去して油がもたらされ、そして冷却するとこの油から生成物が白色固体として沈殿した。これを濾紙上に集め、そして非常に少量の冷ヘキサンで洗浄した(300mg,0.857mmol,85%)。
1H−NMR(アセトン−d6,400MHz): 0.88(3H,t)、1.22〜1.52(18H,m)、1.60(2H,m)、2.12(2H,m)、2.29(2H,m)、3.54(1.5H,m)、3.68(0.5H,m)、3.82(1H,m)、4.10(2H,2×dd)、4.86及び5.07(br m,2×OHから)。
【0210】
パートC: 3−(オクタデカ−6,8−ジイノイルオキシ)−2−オキソプロパン酸の合成
【化79】

2,3−ジヒドロキシプロピルオクタデカ−6,8−ジイノエート(300mg,0.838mmol)をアセトン(40ml)中に溶解し、そして激しく撹拌しながら橙色が持続するまでジョーンズ試薬を滴加した。反応中形成されたクロム塩を濾別し、そして次いで濾液をイソプロパノールで注意深く中和した。溶媒を減圧下で除去して緑色油がもたらされ、そしてこの油をジクロロメタン(50ml)中に溶解しそして水(50ml)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥しそして溶媒を減圧下で除去して明緑色油がもたらされ、そしてこの油を更なる精製なしに次工程において用いた。
【0211】
パートD: 2−ヒドロキシ−3−(オクタデカ−6,8−ジイノイルオキシ)プロパン酸の合成
【化80】

粗製3−(オクタデカ−6,8−ジイノイルオキシ)−2−オキソプロパン酸(193mg,0.530mmol)をTHF(20ml)中に溶解した。NaBH4(25mg,0.66mmol)を添加し、そしてこの混合物を室温にて夜通し撹拌した。反応を水(200ml)で中和し、次いでジエチルエーテル(3×100ml)で抽出した。これらのエーテル抽出液を一緒にしそしてNa2SO4で乾燥し、次いで溶媒を減圧下で除去して油がもたらされ、そしてこの油から白色ロウ質固体が沈殿した。この固体を集め、そしてシリカクロマトグラフィーを用いて、カラム上に装填し、ペンタン:エチルアセテート(2:1,3カラム容量)、エチルアセテート(1カラム容量)で洗浄し、次いでエタノール(無水,2カラム容量)で溶離することにより精製した。収量23mg,7%。
1H−NMR(CDCl3,400MHz): 0.89(3H,t)、1.17〜1.84(18H,m,br)、2.08〜2.35(6H,m,br)、3.64(2H,m)、4.16(1H,OHから,s,br)、4.25(1H,t)。
【0212】
実施例10
パートA: 生物学的試験 − 一般手順
100μlのDMSO中の1mgの化合物1又は化合物2のどちらかを2mlのルリアブロス(Luria broth)に添加し(1.8mMの濃度をもたらす)、そして大腸菌DH5α細胞(5×104細胞/ml)を接種した。この混合物を37℃にて夜通し振とうし、そして12時間後単一コロニーについて希釈しそして平板培養した。
対照実験(100μlのDMSOを用い、且つ活性化合物を用いない)を、同一条件下で行った。
各化合物を4回試験した。
【0213】
パートB: 生物学的試験 − 結果
【表2】

【0214】
両方の化合物は、大腸菌DH5α細胞に対する活性を示す。対照実験(DMSOのみを用いる)は、2−ヒドロキシ−ジイン化合物が生物学的活性の原因であることを実証する。
【0215】
本明細書及び請求項の全体を通じて、文脈が別段要求しなければ、語「含む」は、記載された整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群の包含を意味するが、しかしいかなる他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群の排除を意味しないよう理解される。
【0216】
本明細書におけるいずれの先行刊行物(又はそれに由来する情報)への言及も、又は知られているいずれの事柄への言及も、この先行刊行物(又はそれに由来する情報)又は知られている事柄は本明細書が関する努力の分野において一般常識の一部を成すという認諾若しくは自認又は何らかの示唆形態ではなく、そしてそのように解されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
のジイン化合物であって、但し該化合物は
【化2】

でないことを条件とするジイン化合物。
【請求項2】
Rが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、アシルチオ、カルボシクリルチオ、ヘテロシクリルチオ、ヘテロアリールチオ、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルキルアリール、アルキルアシル、アルキルカルボシクリル、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリール、アルキルオキシアルキル、アルケニルオキシアルキル、アルキニルオキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルキルアシルオキシ、アルキルカルボシクリルオキシ、アルキルヘテロシクリルオキシ、アルキルヘテロアリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルケニルチオアルキル、アルキニルチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルアシルチオ、アルキルカルボシクリルチオ、アルキルヘテロシクリルチオ、アルキルヘテロアリールチオ、アルキルアルケニルアルキル、アルキルアルキニルアルキル、アルキルアリールアルキル、アルキルアシルアルキル、アリールアルキルアリール、アリールアルケニルアリール、アリールアルキニルアリール、アリールアシルアリール、アリールアシル、アリールカルボシクリル、アリールヘテロシクリル、アリールヘテロアリール、アルケニルオキシアリール、アルキニルオキシアリール、アリールオキシアリール、アリールアシルオキシ、アリールカルボシクリルオキシ、アリールヘテロシクリルオキシ、アリールヘテロアリールオキシ、アルキルチオアリール、アルケニルチオアリール、アルキニルチオアリール、アリールチオアリール、アリールアシルチオ、アリールカルボシクリルチオ、アリールヘテロシクリルチオ及びアリールヘテロアリールチオから選択された基の二価形態である、一般式(I)のジイン化合物。
【請求項3】
Rが、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C6〜C18アリール、C1〜C18アシル、C3〜C18カルボシクリル、C2〜C18ヘテロシクリル、C3〜C18ヘテロアリール、C1〜C18アルキルオキシ、C2〜C18アルケニルオキシ、C2〜C18アルキニルオキシ、C6〜C18アリールオキシ、C1〜C18アシルオキシ、C3〜C18カルボシクリルオキシ、C2〜C18ヘテロシクリルオキシ、C3〜C18ヘテロアリールオキシ、C1〜C18アルキルチオ、C2〜C18アルケニルチオ、C2〜C18アルキニルチオ、C6〜C18アリールチオ、C1〜C18アシルチオ、C3〜C18カルボシクリルチオ、C2〜C18ヘテロシクリルチオ、C3〜C18ヘテロアリールチオ、C3〜C18アルキルアルケニル、C3〜C18アルキルアルキニル、C7〜C24アルキルアリール、C2〜C18アルキルアシル、C4〜C18アルキルカルボシクリル、C3〜C18アルキルヘテロシクリル、C4〜C18アルキルヘテロアリール、C2〜C18アルキルオキシアルキル、C3〜C18アルケニルオキシアルキル、C3〜C18アルキニルオキシアルキル、C7〜C24アリールオキシアルキル、C2〜C18アルキルアシルオキシ、C4〜C18アルキルカルボシクリルオキシ、C3〜C18アルキルヘテロシクリルオキシ、C4〜C18アルキルヘテロアリールオキシ、C2〜C18アルキルチオアルキル、C3〜C18アルケニルチオアルキル、C3〜C18アルキニルチオアルキル、C7〜C24アリールチオアルキル、C2〜C18アルキルアシルチオ、C4〜C18アルキルカルボシクリルチオ、C3〜C18アルキルヘテロシクリルチオ、C4〜C18アルキルヘテロアリールチオ、C4〜C18アルキルアルケニルアルキル、C4〜C18アルキルアルキニルアルキル、C8〜C24アルキルアリールアルキル、C3〜C18アルキルアシルアルキル、C13〜C24アリールアルキルアリール、C14〜C24アリールアルケニルアリール、C14〜C24アリールアルキニルアリール、C13〜C24アリールアシルアリール、C7〜C18アリールアシル、C9〜C18アリールカルボシクリル、C8〜C18アリールヘテロシクリル、C9〜C18アリールヘテロアリール、C8〜C18アルケニルオキシアリール、C8〜C18アルキニルオキシアリール、C12〜C24アリールオキシアリール、C7〜C18アリールアシルオキシ、C9〜C18アリールカルボシクリルオキシ、C8〜C18アリールヘテロシクリルオキシ、C9〜C18アリールヘテロアリールオキシ、C7〜C18アルキルチオアリール、C8〜C18アルケニルチオアリール、C8〜C18アルキニルチオアリール、C12〜C24アリールチオアリール、C7〜C18アリールアシルチオ、C9〜C18アリールカルボシクリルチオ、C8〜C18アリールヘテロシクリルチオ及びC9〜C18アリールヘテロアリールチオから選択された基のいずれかの二価形態である、請求項2に記載のジイン化合物。
【請求項4】
Rが、アルキル、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アルキルカルボシクリル及びアルキルヘテロシクリルから選択された基の二価形態である、請求項2に記載のジイン化合物。
【請求項5】
Rがアルキル部分を含む場合、該アルキル部分中の−CH2−基が−O−、−S−、−NRa−、−C(O)−、−C(O)O−及び−C(O)NRa−(ここで、Raは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル及びアシルから選択される)から選択された基により置き換えられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のジイン化合物。
【請求項6】
1、R2及びR3が、各々独立してH、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のアルキルアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のジイン化合物。
【請求項7】
1が、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のアルケノキシ、置換又は非置換のアルキノキシ、置換又は非置換のアリールオキシ、置換又は非置換のアシルオキシ、置換又は非置換のアルキルチオ、置換又は非置換のアルケニルチオ、置換又は非置換のアルキニルチオ、置換又は非置換のアリールチオ、置換又は非置換のアシル、スルホキシド、スルホニル、スルホンアミド、アミノ、アミド、カルボキシエステル、アミノ酸及びペプチドから選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のジイン化合物。
【請求項8】
一般式(I)
【化3】

のジイン化合物を製造する方法であって、一般式(II)の化合物を一般式(III)の化合物
【化4】

とカップリングさせる
〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
Zは、ハロゲンであり、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
ことを含む方法。
【請求項9】
一般式(I)
【化5】

のジイン化合物を製造する方法であって、一般式(IV)
【化6】

の化合物のジアセタール脱保護
〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
を含む方法。
【請求項10】
ジイン化合物が、請求項1〜7のいずれか一項に記載のジイン化合物から選択される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
対象者における疾病又は病態を処置する方法であって、該対象者に有効量の一般式(I)
【化7】

〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
のジイン化合物を投与することを含む方法。
【請求項12】
一般式(I)のジイン化合物又はその製薬上受容され得る塩若しくはプロドラッグ
【化8】

〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
の、対象者における疾病又は病態を処置するための薬の製造における使用。
【請求項13】
ジイン化合物が、請求項1〜7のいずれか一項に記載のジイン化合物から選択される、請求項11に記載の方法又は請求項12に記載の使用。
【請求項14】
ポリジアセチレンを製造する方法であって、一般式(I)
【化9】

〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
の1種又はそれ以上のジイン化合物を重合させることを含む方法。
【請求項15】
1種又はそれ以上のジイン化合物が、請求項1〜7のいずれか一項に記載のジイン化合物から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
一般式(I)の−(R)n−Y−及び−(W)q−が、それぞれ−(CH2t−及び−(CH2p−(ここで、t及びpは各々独立して0から15の範囲の整数である)である、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
1種又はそれ以上のジイン化合物の重合が、それらの結晶化又は単層若しくは多層フィルムへの形成により先行される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ポリエステル又はポリエステルアミドを製造する方法であって、一般式(I)
【化10】

〔ここで、
Xは、OR2であり、
2は、H及び有機置換基から選択され、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
の1種又はそれ以上のジイン化合物を重合させることを含む方法。
【請求項19】
一般式(I)の1種又はそれ以上の化合物が、自己縮重合を受けてポリエステルを形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
一般式(I)の1種又はそれ以上の化合物が、1種又はそれ以上のコモノマーとの縮重合を受けてポリエステル又はポリエステルアミドを形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
1種又はそれ以上のコモノマーが、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシパルミチン酸、2−ヒドロキシステアリン酸、2−ヒドロキシオレイン酸、プロピオラクトン、ガンマ−ブチロラクトン、ベータ−ブチロラクトン、カプロラクトン、カプロラクタム、アルファ−及びベータ−アミノ酸、2−ブロモエタン酸、2−ブロモエタニルブロマイド、2−ブロモプロパン酸、2−ブロモプロパニルブロマイド、2−ブロモブタン酸、2−ブロモブタニルブロマイド、2−ブロモエタニルクロライド、2−ブロモプロピオニルクロライド、2−ブロモヘキサニルブロマイド、2−ブロモヘキサニルクロライド、2−ブロモステアリルブロマイド、2−ブロモステアリルクロライド並びにそれらの組合わせから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
ポリエステル又はポリエステルアミドを製造する方法であって、環内に2個又はそれ以上のエステル基を有する環状エステルであってしかもこれらのエステル基の少なくとも一つが一般式(I)
【化11】

〔ここで、
Xは、OR2であり、
2は、H及び有機置換基から選択され、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
のジイン化合物の環化縮合物である環状エステルを開環重合により重合させることを含む方法。
【請求項23】
環状エステルが、一般式(I)の化合物の自己縮合により製造される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
環状エステルが、一般式(I)の化合物と1種又はそれ以上のコモノマーとの縮合により製造される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
1種又はそれ以上のコモノマーが、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシパルミチン酸、2−ヒドロキシステアリン酸、2−ヒドロキシオレイン酸、2−ブロモエタン酸、2−ブロモエタニルブロマイド、2−ブロモプロパン酸、2−ブロモプロパニルブロマイド、2−ブロモブタン酸、2−ブロモブタニルブロマイド、2−ブロモエタニルクロライド、2−ブロモプロピオニルクロライド、2−ブロモヘキサニルブロマイド、2−ブロモヘキサニルクロライド、2−ブロモステアリルブロマイド、2−ブロモステアリルクロライド及びそれらの組合わせから選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
環状エステルが、それ自身との開環重合を受けてポリエステルを形成する、請求項22〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
環状エステルが、1種又はそれ以上の環状エステル及び/又は環状アミドコモノマーとの開環重合を受けてポリエステル又はポリエステルアミドを形成する、請求項22〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
1種又はそれ以上の環状エステル及び環状アミドコモノマーが、カプロラクトン、ラウリルラクトン、カプロラクタム、ラウリルラクタム及びそれらの混合物から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
1種又はそれ以上のジイン化合物が、XがNR23でない場合の請求項1〜7のいずれか一項に記載のジイン化合物から選択される、請求項18〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
一般式(I)
【化12】

〔ここで、
Xは、OR2又はNR23であり、
2及びR3は、各々独立してH及び有機置換基から選択され又はNと一緒にヘテロシクリル置換基を形成し、
Rは、二価有機置換基であり、
Yは、−CH2−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
Wは、−(CH2p−、置換又は非置換のアリーレン、置換又は非置換のヘテロアリーレン、置換又は非置換のカルボシクリレン及び置換又は非置換のヘテロシクリレンから選択され、
1は、H及び有機置換基から選択され、
nは、0又は1から選択され、
qは、0又は1から選択され、そして
pは、0から15の範囲の整数である〕
のジイン化合物の重合残基を含むポリマー生成物。
【請求項31】
ジイン化合物が、請求項1〜7のいずれか一項に記載のジイン化合物から選択される、請求項30に記載のポリマー生成物。

【公表番号】特表2010−502753(P2010−502753A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527652(P2009−527652)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001353
【国際公開番号】WO2008/031157
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(305039998)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼイション (92)
【Fターム(参考)】