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アセテートトウの製造方法及び装置
説明

アセテートトウの製造方法及び装置

【課題】 生産中のアセテートトウの捲縮レベルを水分付与量で自動制御し、捲縮付与装置のクリンプ圧力条件を変更することなくアセテートトウの捲縮レベルを規定の範囲に保ち、安定した品質の製品を提供する。
【解決手段】 アセテートトウバンド(5) が工程の様々な変動要因により捲縮レベルが変化し品質が悪化する解決策として、捲縮付与装置(7) に搬送される前のアセテートトウバンド(5) に適量の水分付与装置(6) を設けるとともに、乾燥機(8) により乾燥されたのち密度量測定装置(9) を設け、捲縮レベルの変化に応じて水分の付与量を自動調整することで特に意識することなく常に品質規格を満たすアセテートトウを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセテートトウの製造方法とその製造装置に関し、具体的にはアセテートトウの製造時における捲縮レベルをより安定化させることができるアセテートトウの製造方法とその製造装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、タバコフィルターに使用されるアセテートトウ製品は、品質の上でフィルター通気抵抗値が最も重要なファクターとなる。通気抵抗値はアセテートトウの捲縮レベルによって左右されるが、製品に付与する捲縮レベルは様々な要因で変動することから、定期的に抜き取り試験を行い、捲縮レベルが規格範囲内にあるかを確認し、規格範囲を超えた場合、捲縮付与装置のクリンプ圧力を調整することにより規格範囲に捲縮を合わせる手法が取られている。しかし、クリンプ圧力の調整操作に対する調整量の判断はオペレータの勘に頼らざるを得ず、その判断を誤れば労力とロスの増加に繋がる。
【0003】
従来も、例えば特表2008−504453号公報(特許文献1)には捲縮付与前に25〜200cc/分の範囲で水による可塑効果について記載しているが、ある程度の水分を含有しなければアセテートトウの捲縮レベルが安定して付与できないことは当該技術分野では周知の事実である。通常、15〜50%対アセテートトウ質量の範囲で水分をアセテートトウに付与して捲縮が可能な状態にし、その後に捲縮付与装置上でクリンプ圧力を目標捲縮レベルになるまで調整する方式が採られる。この際、アセテートトウの含有水分率の適正値は明確ではなく、捲縮付与が可能なレベルを満たせればよいことから、特許文献1でも極めて広い範囲を記載している。これまでの技術は、ある程度水分を持たせることと、捲縮付与装置のクリンプ圧力の調整を行うこととによって、捲縮レベルを満たす手法が一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−504453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来技術の課題を解決するものであって、具体的な目的は、生産中のアセテートトウが工程の様々な変動要因により捲縮レベルが変化し、品質が悪化する解決策として、アセテートトウの捲縮レベルの変化を捲縮付与装置のクリンプ圧力条件を変更することしなくとも、高品質のアセテートトウを安定して製造する方法とその製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、第1の発明に係る基本構成となる、捲縮を付与したのち乾燥するアセテートトウの製造方法において、捲縮付与前のフィラメントトウに水分を付与すること、乾燥後のフィラメントトウに近赤外線を照射して、その吸光度からフィラメントトウの近赤外線減衰率を測定すること、前記減衰率からフィラメントトウの密度量を演算すること、演算されたフィラメントトウの密度量と引っ張り破断強度試験による構成フィラメントの強力値との相関に基づいて予め作成された相関回帰式により強力値を演算すること、及び演算された強力値と予め設定されている目標の強力値との差に応じて、前記水分の付与量を制御すること、を備えてなり、当該制御を行うことにより強力値を一定に維持して捲縮レベルを一定に維持することにより、効果的に達成することができる。
【0007】
更に上記目的は、第1の発明に係る製造方法をオンラインにて連続して実施するための装置であって、連続して走行するアセテートトウの下流側に配された捲縮付与装置と、当該捲縮付与装置のアセテートトウの下流側に配された乾燥機と、制御部とを備え、前記捲縮付与装置のフィラメント上流側に水分付与手段が配され、乾燥機のフィラメントトウ下流側に近赤外線減衰率演算部を有するアセテートトウの密度量測定手段が配されてなり、前記制御部は、近赤外線減衰率演算部により演算された減衰率からアセテートトウの密度量を演算する密度量演算手段と、当該密度量演算手段による演算結果に基づき前記繊維の強力値を演算する強力値演算手段と、を備えてなる、アセテートトウの製造装置に係る第2の発明によっても、効果的に達成できる。
【0008】
上記第1の発明にあって、好ましい態様によれば、アセテートトウの強力値が規格の範囲から外れたとき、さらにクリンプ装置の空気供給圧を制御することを含んでいるとよい。また、アセテートトウへの水分の付与と当該アセテートトウの上記近赤外線減衰率は連続的に行い、水分付与量の変更はアセテートトウへの水分付与から3〜5分後にするとよい。
【0009】
また、上記第2の発明における好ましい態様は、前記アセテートトウの密度量測定手段が、近赤外線分光光度計を含む近赤外線照射手段であることが望ましい。前記近赤外線分光光度計は、近赤外線光源、光源照射部、特定波長を透過するフィルターを有する分光部、測光部、信号処理部、及び近赤外線減衰率演算部を含むデータ処理部を有している。また好ましくは、前記強力値演算手段による演算結果を表示する表示手段をさらに備え、前記特定波長が、1770nmの参照波長、2220nmの測定波長、及び2300nmで正規化された波長であり、前記強力値演算手段は、アセテートトウの密度量と繊維の強力値との相関から予め作成した相関回帰式に基づき、前記密度量演算手段により演算された密度量から前記強力値を演算し、その演算結果を上記表示手段に出力する出力部を有していることである。また好ましくは、前記制御部が、前記強力値の前記演算結果に基づき、前記捲縮付与装置に配されたクリンプ装置の空気供給圧を制御する空気圧制御手段を有しているとよい。
【発明の効果】
【0010】
アセテートトウの捲縮レベルが捲縮付与工程でのアセテートトウの含有水分量と比例関係にあり、さらにはアセテートフィラメントの破断強力と捲縮レベルとが同じく比例関係にあることを種々の実験により確認した。本発明のアセテートトウの製造方法及び装置は、前述の特性を利用し、上述の構成を採用している。
【0011】
すなわち、捲縮付与工程における捲縮レベルの調整のため、従来一般に行われているフィラメント強力の人手による調整操作に代えて、アセテートトウの連続製造時における様々な外的要因により変化する捲縮レベルの変動に合わせて、水分付与手段からの水分の付与量を自動的に制御することにより、アセテートトウの含有水分量を自動的に調整し、常にフィラメントの破断強力、すなわち捲縮レベルを特に意識することなく、安定して一定の捲縮レベルを維持し、結果として規格を満たすに十分な高品質のタバコのフィルター製品が得られるようになる。
【0012】
また、アセテートトウへの水分の付与と当該アセテートトウの上記近赤外線減衰率は連続的に行い、水分付与量の変更はアセテートトウへの水分付与から3〜5分後にするとよい。これは、ライン上を走行するアセテートトウの速度(500m/分程度)に見合って、定めたのであり、必ずしも3〜5分にこだわるものではないが、この速度が紡糸速度として一般的であるがためである。密度量測定手段による測定結果をフィードバックして水分付与装置の水分付与量を制御するため、水分が付与されたときの時点における現実の水
分量に基づく繊維の強力値が演算されることとなり、密度量測定手段による測定の信頼性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るアセテートトウの代表的な製造工程例を模式的に示す工程説明図である。
【図2】近赤外線分光光度計の構成の一部を示すブロック図である。
【図3】捲縮付与装置のニップ圧の変更によるアセテートトウの破断強力値の変動を示すグラフである。
【図4】付与水分量を変更させたときのアセテートトウの破断強力値の変動を示すグラフである。
【図5】本発明方法による連続製造時のアセテートトウの破断強力値のばらつきを示すグラフである。
【図6】従来法による連続製造時のアセテートトウの破断強力値のばらつきを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の代表的な実施形態を図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明のアセテートトウの製造工程を模式的に示す工程説明図である。同図にも示すとおり、一般に、アセテートトウは、アセトンにセルロースジアセテートを溶解させた所定量の紡糸原液を紡糸口金1に送り込み、紡糸口金1に形成された多数の吐出孔から繊維束からなる原アセテートトウを吐出して、熱風によりトウに含まれるアセトンを揮発させて固化したのち、エマルジョンオイル付与装置3にてオイルを付与し、フィードローラー4を介して捲縮付与装置7に移送して、乾燥機8を通して乾燥することにより製造される。
【0015】
本発明に係るアセテートトウの製法にあっても、前述の一般的な工程を経るものであるが、この一般的工程と異なるところは、図1に示すように、フィードローラー4と捲縮付与装置7との間に、本発明にあって最も特徴とする捲縮レベルを適正な範囲内に維持するために水分付与量が自動的に調整可能な水分付与装置6が配されているとともに、乾燥機8のトウ下流側のトウ走行路に乾燥後のアセテートトウバンド5の捲縮レベルと相関のあるトウの密度量測定装置9が配されている点にある。この密度量測定装置9は近赤外線分光光度計を含む近赤外線照射手段を備えている。前記近赤外線分光光度計は、図示せぬ近赤外線光源、光源照射部、特定波長を透過するフィルターを有する分光部、測光部、信号処理部、及び近赤外線減衰率演算部を含むデータ処理部を有している。
【0016】
すなわち、本発明に係るフィラメントトウの製造は、捲縮を付与する前のアセテートトウ糸条2に水分を付与する。このときの水分付与は、連続して付与し、所定時間ごとに、例えば3〜5分間おきに付与量を変更する。また、本発明にあっては、乾燥後のアセテートトウバンド5に密度量測定装置9の近赤外線分光光度計から近赤外線を照射して、その測光部による吸光度を測定し、近赤外線減衰率演算部によってフィラメントトウの近赤外線減衰率を演算し、この減衰率からフィラメントトウの密度量を演算する。演算されたフィラメントトウの密度量と引っ張り破断強度試験による構成フィラメントの強力値との相関に基づいて予め作成された相関回帰式により強力値を演算する。このフィラメントトウ密度量の演算手法は、例えば特開2009−275314号公報(以下、特許文献2という。)に具体的に開示されている。したがって、ここではその演算手法について詳しい説明は省略して簡単な説明に止める。なお、フィラメントトウ密度量の演算手法は、前記特許文献2にて紹介された手法に限らないことはいうまでもない。
【0017】
図2は、密度量測定装置9としての近赤外線分光光度計の内部構成の一部を示すブロッ
ク線図である。近赤外線分光光度計は、近赤外線光源部91、同光源部91からの光路上に配され、所望の波長域の近赤外線を選択的に透過させる分光部92、同分光部92を通って透過する近赤外線を被測定対象に照射する照射部93、照射光の反射光の光量を測定する測光部94、測光部94で検出された光信号を電気信号へと変換して出力する信号処理部95、及び信号処理部95から出力される電気信号を必要な演算を行い各種のデータ処理を行うデータ処理部96を備えている。
【0018】
アセテートトウ自身が広い範囲で放射する反射光強度Iとアセテートトウの表面などで反射する反射光強度Irとの比を反射率Rとする。近赤外光はアセテートトウの所要深さまで侵入し、その過程で透過、屈折、反射、散乱を繰り返して拡散する。その拡散光の一部は再びトウ表面から放射され、測光部94にて捕捉される。反射率Rの逆数の対数が拡散反射吸光度Aとなり、これが本発明における減衰率に相当する。前記拡散反射吸光度Aが、A=log(1/R)=log(Ir/I)である。ここで、R=I/Ir(Iはアセテートトウから拡散反射する反射光強度、Irはアセテートトウからの反射光強度)である。
【0019】
この減衰率とアセテートトウの密度との間には所定の相関のあることが知られている。更に、アセテートトウの密度と捲縮付与レベルとの間にも相関のあることが知られている。なお、本実施形態にあっても、図2に示すように、上記近赤外線分光光度計には、本発明の制御部としてマイクロコンピュータ90が内蔵されており、上記信号処理部95、データ処理部96及び出力部97が同コンピュータ90に設けられている。アセテートトウバンド5の前記吸光度減衰率及び密度量は、前記コンピュータ90の図示せぬ減衰率演算部及び密度量演算部にてそれぞれ演算され、捲縮付与レベルを評価することができる。ただし、前記制御装置は近赤外線分光光度計に内蔵させずに独立して設置することも可能である。
【0020】
ところで、捲縮レベルは一般の指標が破断強度である強力値で評価されることから、例えば前記コンピュータ90の記憶部に密度と強力値との相関回帰式(Y=aX+b、Y=aX2+bX+c等)を予め設定して記憶させておき、この相関回帰式を使ってコンピュータ90の強力値演算部にて強力値を求め、捲縮付与レベルを評価する。ここで、Yは強力値、Xは補正吸光度比を示す。なお、繊維の強力値を演算する際は近赤外線分光光度計の測光部94をモニタリングする前記コンピュータ90の上記記憶部に前記相関回帰式を予め記憶させておき、その相関回帰式に基づき演算する。この相関回帰式に基づき演算された値を強力値として図示せぬ表示部に出力し、例えばぺーパ上に記録し、或いはディスプレイ上に表示する。
【0021】
密度量測定装置9としては、走行中のアセテートトウバンド5に非接触で測定が可能な装置であることが好ましく、測定精度の点から近赤外線分光光度計を採用することが好ましい。近赤外線分光光度計による測定には、一般的に透過法、拡散反射法又は透過反射法の3種類の測定法の何れかが採用されている。図1に示す実施形態は拡散反射法を採用しているが、他の測定法を採用することもできる。
【0022】
本発明では、図1に示すように、捲縮付与装置7を経てクリンプ処理されたアセテートトウバンド5を、乾燥機8を通して乾燥させたのち、密度量測定装置9である近赤外線照射手段に向けて連続的に走行させて減衰率を演算する。この減衰率とアセテートトウの密度との間には所定の相関のあり、さらにアセテートトウの密度と捲縮レベルとの間にも相関がある。記憶部に予め記憶させてある、密度量と破断強力値との相関回帰式(Y=aX+bなど)を使って破断強力値を求め、捲縮レベルを評価する。また、こうして得られた破断強力値を単に表示するだけでもよいが、破断強力値のバラツキを計算させることで、破断強力値の安定性を評価することもできる。
【0023】
一般にアセテートトウの捲縮付与方法はアセテートトウを紡糸後ニップロールで把持しスタッフィングボックスに押し込むことで座屈させる。この際、ニップロールの把持圧力(ニップ圧)、スタッフィングボックスの出口ドアの押え圧力(フラップ圧)が強いほど座屈が進み捲縮レベルが増大する(図3参照)。このニップ圧、フラップ圧は空気圧力で制御する機構が一般的である。
【0024】
通常の品質管理では抜き取り試験の結果から捲縮レベルの過不足を修正する際、ニップ・フラップ圧力を変更する操作で対応するが、この圧力の変更は図3に示したように微量でも強力値(捲縮レベルと相関あり)を大きく変動させることから慎重な操作が必要となり、かつアセテートトウバンド5の水分変動等様々な要因からアクションの度に異なる結果を生じさせることも少なくない。作業者は長年の経験を基にアクションを行っているが、ニップ・フラップ圧力を変更せずともアセテートトウバンド5の含有水分量で調整することが可能であれば品質の極端な変動は抑えられる。
【0025】
図4に示すように、アセテートトウバンド5は捲縮付与装置7で捲縮を付与する際、ニップ圧・フラップ圧が一定でもアセテートトウバンド5が持つ含有水分量により強力値が変化するが、その変化は比較的緩やかである。すなわち、ニップ・フラップ圧力で調整するよりは、アセテートトウバンド5の含有水分量で調整する方がアセテートトウバンド5の強力値をコントロールしやすい。
【0026】
本発明では、密度量測定装置9で測定して得られた測定値に基づき、捲縮レベルの過不足をアセテートトウバンド5の含有水分量で調整する。
【0027】
従来通り捲縮レベルを調整する捲縮付与装置7の空気圧を使用するクリンパーを用い、そのクリンパーの前にアセテートトウバンド5に水分付与装置6を設置する。水分付与装置6は脈動のない定量ポンプを使用し送液チューブを水が放出できるスリット孔を付けたセラミックガイドに繋ぎ、このガイドをクリンパー前に設置することが好ましいが、アセテートトウバンド5の含有水分量をクリンパー前に高精度で制御することが重要であり、これを満たせれば特に装置の構成に制約はない。
【0028】
更に付与した捲縮レベルを密度量測定装置9で測定し、捲縮レベルが少なければ水分付与装置の出力を上げ、逆なら下げる機構を設け、望ましくはPI制御で自動コントロールさせる。本発明では、得られた破断強力値が、予め目標値の破断強力値を入力しておいたサンプルPI調節ブロックに入力され、破断強力値に応じて水分付与量が変更されるようにした。
【0029】
水分付与装置6では、アセテートウバンド5に水を付与すると同時に油剤も付与できるように、例えば、アセテートトウバンド5に油剤成分を水中に分散させたエマルジョン油剤を与えることができる。
【0030】
本発明のフィラメントは、典型的には1〜10デシテックス/フィラメント(dpf)の範囲である。本発明のフィラメントは、限定するものではないが、円形、Y型、X型などあらゆる断面形状を有することが可能である。本発明のアセテートトウバンド5は10,000〜1000,000の総デシテックスの範囲である。
【0031】
本発明は、主としてタバコトウと関連しているが、本発明はあらゆる紡糸可能なポリマーの製造において使用することも可能である。そのような紡糸可能なポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、セルロースエステルおよびエーテルならびにそれらの誘導体、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。したがって、これらの合成樹脂材料も本発明に包含されるべきである。
【0032】
次に、本発明の実施例につき、より詳しく具体的に説明する。
以下の説明において、本発明での評価は、以下の通りに行った。
【0033】
(破断強力値)
トウ自動強伸度計を用いて、一定荷重を付与した後、引っ張り試験を行い、最高荷重の破断強力値を測定し、その三回の平均を破断強力値とした。
【0034】
(フィルタープラグのPD−CV)
通気抵抗(PD)はフィルタープラグのろ過性能に関する代表的な測定値であり、大気圧下(22℃、60%R.H.)でプラグの出荷で流量17.5cc/sec(標準状態)の空気を流した時に、プラグの空気入口と出口とで生ずる圧力差である。その通気抵抗の120本から変動係数(PD−CV)を求めた。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
図1に示すアセテート繊維束の製造装置を用い、以下のようにしてアセテート繊維束を製造した。
まず、平均酢化度55.5%のセルロースジアセテートをアセトンに溶解し、セルロースジアセテートの濃度29.3%質量%の原液を調整した。この原液を用い、吐出孔を380個有する紡糸口金を用いて乾式紡糸してアセテートトウ糸条2とした。引き続き、エマルジョンオイル付与装置3を用いて、アセテートトウ糸条2に対して1質量%付与した。次いで、フィードローラー4を用いて470m/分で引き取り、アセテートトウ糸条2を7本集束して、1フィラメントあたりの繊度:7デシテックス、トウ繊度:19600デシテックスのアセテートトウバンド5とした。次いで、水分付与装置6を用いて、水を、アセテートトウバンド5に付与速度27mL/分で付与した。引き続き、捲縮付与装置7を用いて破断強力値のバラツキが最も小さいクリンプ圧力条件でアセテートトウバンド5に捲縮を付与した。次いで、乾燥機8を用いて、乾燥させたアセテートトウバンド5を得た。
【0036】
このようにして得られたアセテートトウバンド5に密度量測定装置9である近赤外線分光光度計を用いて波長2220nmの近赤外線を連続的に照射し、予め求めた吸光度と破断強力値の回帰式を入力したデータ処理部に、近赤外線の吸光度のデータを入力し、アセテートトウバンド5の破断強力値が求められるようにした。さらに、得られた破断強力値が、予め目標値の破断強力値(70N)を入力しておいたサンプルPI調節ブロックに入力され、破断強力値に応じて水分付与量が変更されるようにした。
【0037】
以上のような破断強力値の制御方法で20日間アセテートトウバンド5を製造した。得られたアセテートトウバンド5の判断強力値のバラツキを図5に示した。またこのアセテートトウバンド5の破断強力値の標準偏差は5.1であった。
【0038】
次に得られたアセテートトウバンド5を用いてKDF−II/AF−2プラグ製造機で、円周16.7mm、長さ120mmのフィルタープラグを巻き上げた。得られたフィルタープラグのPD−CVは2.73であった。
【0039】
(比較例1)
実施例1において、水分付与による破断強力値の制御を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして20日間アセテートトウバンド5を製造した。得られたアセテートトウバンド5の破断強力値のバラツキを図6に示した。このアセテートトウバンド5の破断強
力値の標準差は7.1であった。また巻き上げられたフィルタープラグのPD−CVは3.17であった。
【0040】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、生産中のアセテートトウの捲縮レベルを意識することなく自動的に任意に設定した値に制御し捲縮レベルを規定の範囲に保ち、安定した品質の製品が得られる。
【符号の説明】
【0041】
1 紡糸口金
2 アセテートトウ糸条
3 エマルジョンオイル付与装置
4 フィードローラー
5 アセテートトウバンド
6 水分付与装置
7 捲縮付与装置
8 乾燥機
9 密度量測定装置
90 (マイクロ)コンピュータ
91 近赤外線光源部
92 分光部
93 照射部
94 測光部
95 信号処理部
96 データ処理部
97 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
捲縮を付与したのち乾燥するアセテートトウの製造方法において、
捲縮付与前のフィラメントトウに水分を付与すること、
乾燥後のフィラメントトウに近赤外線を照射して、その吸光度からフィラメントトウの近赤外線減衰率を測定すること、
測定された前記近赤外線減衰率からフィラメントトウの密度量を演算すること、
演算されたフィラメントトウの密度量と引っ張り破断強度試験による構成フィラメントの強力値との相関に基づいて予め作成された相関回帰式により強力値を演算すること、及び、
演算された強力値と予め設定されている目標の強力値との差に応じて、前記水分の付与量を制御すること、を備えてなり、
当該制御を行うことにより強力値を一定に維持して捲縮レベルを一定に維持すること、を含んでなるアセテートトウの製造方法。
【請求項2】
アセテートトウの強力値が規格の範囲から外れたとき、さらにクリンプ装置の空気供給圧を制御することを、含んでなる請求項1に記載されたアセテートトウの製造方法。
【請求項3】
アセテートトウへの水分付与から3〜5分後に当該アセテートトウの近赤外線減衰率を測定することを含んでなる請求項1に記載されたアセテートトウの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載されたアセテートトウの製造方法に適用されるアセテートトウの製造装置であって、
連続して走行するアセテートトウの下流側に配された捲縮付与装置と、当該捲縮付与装置のアセテートトウの下流側に配された乾燥機と、制御部とを備え、
前記捲縮付与装置のフィラメント上流側に水分付与手段が配され、乾燥機のフィラメントトウの下流側に近赤外線減衰率演算部を有するアセテートトウの密度量測定手段が配されてなり、
前記制御部は、
前記減衰率から捲縮付与装置及び乾燥機を経た連続走行するアセテートトウの密度量を演算する密度量演算手段と、
当該密度量演算手段による演算結果に基づき前記繊維の強力値を演算する強力値演算手段と、を備えてなる、アセテートトウの製造装置。
【請求項5】
前記アセテートトウの密度量測定手段が、近赤外線分光光度計を含む近赤外線照射手段を含んでなり、前記近赤外線分光光度計は、近赤外線光源、光源照射部、特定波長を透過するフィルターを有する分光部、測光部、信号処理部、及び前記近赤外線減衰率演算部を含むデータ処理部を有してなる、請求項4に記載されたアセテートトウの製造装置。
【請求項6】
前記強力値演算手段による演算結果を表示する表示手段をさらに備え、
前記特定波長が、1770nmの参照波長、2220nmの測定波長、及び2300nmで正規化された波長であり、
前記強力値演算手段は、アセテートトウの密度量と繊維の強力値との相関から予め作成した相関回帰式に基づき、前記密度量演算手段により演算された密度量から前記強力値を演算し、その演算結果を上記表示手段に出力する出力部を有してなる、請求項4に記載されたアセテートトウの製造装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記強力値の前記演算結果に基づき、空気圧を利用する前記捲縮付与装置の空気供給圧を制御する空気圧制御手段を有してなる請求項4〜6のいずれかに記載されたアセテートトウの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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